説明

精製方法及びその装置

【課題】本発明の目的は、精製の精度を向上することのできる精製装置を提供することにある。
【解決手段】超臨界流体により、複数の構成物質を含む出発物質を、特定の構成物質を含む目的物質に精製する精製装置10であって、該構成物質の超臨界流体抽出を行うための抽出流路20に該超臨界流体を連続的に送り込むための送液手段12と、該送液手段12の後段に設けられ、該超臨界流体の流路方向に、該流体の臨界温度以上の範囲内で、該構成物質の溶解度に基づき定められた温度勾配をつけた該抽出流路20をつくり、該抽出流路20において、該構成物質の超臨界流体抽出を行う抽出手段14と、該抽出手段14の後段に設けられ、該抽出流路20での抽出圧力を制御する圧力制御手段16と、を備えたことを特徴とする精製装置10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は精製方法及びその装置、特に抽出手法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素系合成油の潤滑剤は、低温から高温までの広い使用温度範囲、高い安定性(耐酸化性、耐薬品性、耐溶媒性)、低蒸気圧、小さな表面張力、他の材料への腐食や劣化の影響が少ないなどの多くの長所がある。このためフッ素系潤滑油は、摩擦、磨耗、潤滑、表面変化、表面損傷を扱う半導体プロセス装置、磁気媒体、宇宙航空などの先端技術に利用されている。
【0003】
特に電子記録媒体として多くの電子機器に利用されているハードディスクにも表面保護剤としてフッ素系潤滑油が使われている。ハードディスクの小型化、高性能化に伴って、フッ素系潤滑油には、更なる性能向上が求められている。パーフルオロポリエーテル系(PFPE)の潤滑油は、分子構造中に、水酸基やカルボキシル基、イソシアネート基などの官能基、リン・窒素を含む複素環を導入した各種誘導体、さらに、ポリエーテル部の分子量分布を有する物質など、多くの種類が開発、市販されている。
【0004】
図7にパーフルオロポリエーテルの分子構造例を示す。
同図(A)はパーフルオロポリエーテルの骨格、同図(B)はZ−DOLタイプのパーフルオロポリエーテル、同図(C)はテトラオール(TETRAOL)タイプのパーフルオロポリエーテルである。
【0005】
このようなフッ素系潤滑油の性能向上の一つの方法として、分子量の規定、分子量分布範囲(分散度)の幅を狭くしたり、低分子側物質や高分子側物質の除去、さらに、水酸基などの官能基の分子内で結合している数の異なる物質を取り除くなどがある。これらのコントロールは、合成後の精製手段により、実施されている。
【0006】
従来のフッ素系潤滑油の精製は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(特許文献1)や真空蒸留法が利用されている。
【特許文献1】特開平5−20673号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来方式は、分子の大きさの違いや溶解度の違いで分離する方法であり、官能基の数や種類の違い、抽出媒体への溶解度を反映した精製を行うことが難しい。
さらに、精製に有機溶媒を用いるGPCなどの場合は、有機溶媒中の不純物などが、分取後の後処理工程において、有機溶媒を除去しても残存することがある。このような従来方式による分離精製では、良好な分画生成物を得ることが困難であった。
【0008】
一方、超臨界流体抽出法(SFE)も、これらの潤滑油の分離精製法として利用されている。特に超臨界二酸化炭素を用いた方法は、大気圧下にするだけで、二酸化炭素が気体となるため、分画物の媒体除去などの精製後に行う後処理が溶媒抽出法などに比較して容易、低コスト、無毒性、有害な有機溶媒よりも環境に優しい媒体であり、超臨界二酸化炭素への溶解度の相違などにより精製する方法として実用化されている。
【0009】
さらに、SFEによる精製法は、抽出媒体の密度や特性を、圧力、温度、補助溶媒の添加などによる方法で、コントロールすることができるため、抽出・分画精製したい物質の物性の違いを選択的に制御しながら精製することができるという特長を有している。しかしながら、多様化するPFPEに対して要求されている、官能基の違いや分子量、分子量分布、分散度なども考慮した分画精製法としては、不充分だった。
【0010】
このため、フッ素系潤滑油を扱う種々の分野では、官能基の違いや分子量、分子量分布、分散度なども考慮した分画精製を良好に行うことのできる技術の開発が強く望まれていたが、従来は、これを解決することのできる適切な技術が存在しなかった。
本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、精製の精度を向上することのできる精製方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らが、前記フッ素系潤滑油の精製を良好に行える手法について鋭意検討を行った結果、合成油であるフッ素系潤滑油には、一般的な魚油等の天然油とは異なる特性が求められており、その特性として次のようなものが非常に重要であるとの知見に至った。
すなわち、フッ素系潤滑油は、同一物質であるが、分子量分布や、幾つかの官能基の異なる成分を含むことが多く、分子量分布の狭い物質や、均一な構造を持つものを用いることにより、潤滑油の性能が向上する。
このため、フッ素系潤滑油の精製には、天然油の精製に比較して高い選択性、つまり以下に示されるように分子量分布の狭い物質や、均一な構造を持つものに精製することが求められる。
(1)官能基の違いを考慮した分画精製が行えること。
(2)分子量を考慮した分画精製が行えること。
(3)分子量分布を考慮した分画精製が行えること。
(4)分散度を考慮した分画精製が行えること。
【0012】
フッ素系潤滑油の精製は、これらの要求を満足することが非常に重要であり、このために精製方法として数ある方法の中から超臨界流体抽出法を選択し、かつ超臨界流体抽出による抽出段階において、抽出の効率や選択性が異なる状態を連続的または段階的につくることにより、精製の精度が大幅に向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
精製方法
すなわち、前記目的を達成するために本発明にかかる精製方法は、超臨界流体により、複数の構成物質を含む出発物質を、特定の構成物質を含む目的物質に精製する精製方法であって、抽出工程を備えることを特徴とする。
ここで、前記抽出工程は、前記超臨界流体の流路方向に、該流体の臨界温度以上の範囲内で、前記構成物質の溶解度に基づき定められた温度勾配をつけた抽出流路において、前記構成物質の超臨界流体抽出を行う。
ここにいう超臨界流体及び臨界温度とは、流体が、臨界状態の場合、亜臨界状態の場合とを含めていう。
なお、本発明においては、前記抽出工程が、前記構成物質の溶解度及び該構成物質の沸点に基づく温度勾配をつけた抽出流路において、前記超臨界流体抽出を行うことが好適である。
【0014】
<温度条件の決定>
また、本発明においては、溶解度情報取得工程と、温度条件設定工程と、を備えることが好適である。
ここで、前記溶解度情報取得工程は、前記抽出工程の前段に設けられ、前記構成物質の溶解度情報を得る。
また、前記温度条件設定工程は、前記溶解度情報取得工程で得られた溶解度情報に基づき、前記抽出流路の温度勾配を決定する。
【0015】
<フッ素系潤滑油>
なお、本発明において、前記物質は、フッ素系潤滑油であることが好適である。前記フッ素系潤滑油は、パーフルオロポリエーテルのテトラオールタイプであることが特に好適である。
本発明のパーフルオロポリエーテルのテトラオールタイプとは、前記図7(C)に示した分子構造をもつものをいう。
【0016】
精製装置
また、前記目的を達成するために本発明にかかる精製装置は、超臨界流体により、複数の構成物質を含む出発物質を、特定の構成物質を含む目的物質に精製する精製装置であって、送液手段と、抽出手段と、圧力制御手段と、を備えることを特徴とする。
ここで、前記送液手段は、前記構成物質の超臨界流体抽出を行うための抽出流路に、前記超臨界流体を連続的に送り込む。
また、前記抽出手段は、前記超臨界流体の流路方向に、該流体の臨界温度以上の範囲内で、前記構成物質の溶解度に基づき定められた温度勾配をつけた前記抽出流路をつくり、該抽出流路において、該構成物質の超臨界流体抽出を行う。
前記圧力制御手段は、前記抽出手段の後段に設けられ、前記抽出流路での抽出圧力を制御する。
なお、本発明においては、前記抽出手段が、前記抽出流路に、前記構成物質の溶解度及び該構成物質の沸点に基づく温度勾配をつけることが好適である。
【0017】
なお、本発明においては、前記抽出手段が、前記抽出流路において、0℃〜200℃の範囲内で、温度勾配をつくることが好適である。
ここにいう超臨界流体及び臨界温度とは、流体が、臨界状態の場合、亜臨界状態の場合とを含めていう。例えば二酸化炭素の臨界温度は約31℃であり、0℃〜30℃等の領域では、液体状態と気体状態とが混在する亜臨界状態となるが、臨界状態の二酸化炭素と同様な効果が得られるからである。
【0018】
<単一容器>
また、本発明においては、前記抽出手段が、抽出容器と、温調部と、を備えることが好適である。
ここで、前記抽出容器は、前記出発物質が入れられ、前記構成物質の超臨界流体抽出を行うための前記抽出流路をもつ。
また、前記温調部は、前記一つの抽出容器内で、前記温度勾配がつくられるように、該抽出容器を温調する。
そして、本発明においては、前記一つの抽出容器内で、前記構成物質の溶解度に基づき定められた温度勾配をつけて、該構成物質の超臨界流体抽出を行う。
【0019】
なお、本発明においては、前記温調部が、0℃〜200℃の範囲内で、温度勾配がつくられるように、該抽出容器を温調することが好適である。
【0020】
<直列容器>
本発明においては、前記抽出手段が、抽出容器群と、温調部と、を備え、
前記圧力制御手段が、前記各抽出容器での抽出圧力を同じに制御し、
前記抽出容器間で、前記構成物質の溶解度に基づき定められた温度勾配をつけて、該構成物質の超臨界流体抽出を行うことが好適である。
ここで、前記抽出容器は、前記出発物質が入れられ、前記構成物質の超臨界流体抽出を行うための抽出流路をもつ。
また、前記温調部は、前記各抽出容器内での抽出温度は同じであるが、該各抽出容器ごとに抽出温度が異なるように、該各抽出容器を温調する。
【0021】
なお、本発明においては、前記温調部が、前記抽出容器間で、0℃〜200℃の範囲内で、温度勾配がつくられるように、該各抽出容器を温調することが好適である。
【0022】
<分離媒体>
(1)単一容器、直列容器
本発明において、前記抽出容器は、分離媒体が充填されていることが好適である。
ここで、前記分離媒体は、前記抽出容器に充填され、該抽出容器内で、前記構成物質に対する抽出効率の異なる場をつくるためのものとする。
(2)直列容器
本発明においては、前記各抽出容器に、異なる分離媒体を充填し、
前記分離媒体により、前記抽出容器間で、前記構成物質に対する抽出効率を変えることが好適である。
ここにいう、異なる分離媒体とは、材質、形状等が異なるものをいう。
(3)本発明の分離媒体
本発明の分離媒体としては、精製をする物質の品質を落とさない不活性なものを用いる。
分離媒体の材質としては、例えばステンレス、ジルコニア、シリカゲル、ポリマー等が一例として挙げられる。この結果、構成物質の分離媒体への吸着等の違いを利用して、構成物質に対する分離性能(選択性)を上げることができるので、官能基の構造や数の違いで、各構成物質を、より確実に分けることができる。
【0023】
<モディファイア溶媒>
本発明においては、モディファイア溶媒供給手段を備えることが好適である。
ここで、前記モディファイア溶媒供給手段は、前記各抽出容器に、異なるモディファイア溶媒を送り込むためのものとする。
そして、前記モディファイア溶媒により、前記抽出容器間で、前記構成物質に対する抽出効率を変える。
ここにいう、異なるモディファイア溶媒とは、種類ないし組成比が異なるものをいう。
本発明のモディファイア溶媒としては、有機溶媒等が一例として挙げられる。
【発明の効果】
【0024】
精製方法
本発明にかかる精製方法によれば、構成物質の溶解度に基づき定められた温度勾配をつけて、超臨界流体抽出を行う抽出工程を備えることとしたので、精製の精度を向上することができる。
本発明においては、フッ素系潤滑油の精製を行うことにより、フッ素系潤滑油の精製の精度を向上することができる。
【0025】
精製装置
本発明にかかる精製装置によれば、構成物質の溶解度に基づき定められた温度勾配をつけて、超臨界流体抽出を行う抽出手段を備えることとしたので、精製の精度を向上することができる。
【0026】
本発明においては、前記温調部により、前記一つの抽出容器内に前記温度勾配をつけて、前記超臨界流体抽出を行うことにより、精製の精度を向上することができる。
本発明においては、前記温調部により、前記直列に接続された抽出容器間に温度勾配をつけて、前記超臨界流体抽出を行うことにより、前記精製の精度を、より向上することができる。
【0027】
本発明においては、前記分離媒体ないし前記モディファイア溶媒により、前記精製の精度を、より向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面に基づき本発明の好適な一実施形態について説明する。
第一実施形態
図1(A)には本発明の第一実施形態にかかる精製装置の概略構成が示されている。
なお、本実施形態では、一つの抽出容器内において、精製したい物質の構成物質の溶解度に基づき定められた温度勾配を連続的につけて、超臨界流体抽出を行う例について説明する。
同図に示す精製装置10は、送液手段12と、抽出手段14と、圧力制御手段16と、捕集手段18と、を備える。
ここで、送液手段12は、PFPE(フッ素系潤滑油)の構成物質の超臨界二酸化炭素(超臨界流体)抽出を行うための抽出流路20に、超臨界二酸化炭素を連続的に送り込む。
【0029】
また、抽出手段14は、抽出容器22と、温調部24a,24bと、を備える。
ここで、抽出容器22は、PFPEの出発物質が入れられ、PFPEの構成物質を抽出するための抽出流路20をもつ。
また、温調部24a,24bは、抽出容器22内の抽出流路20において、PFPEの構成物質の溶解度に基づき定められた温度勾配がつくられるように、抽出容器22を温調する。本実施形態においては、一つの抽出容器22内において、40度〜90度の温度勾配をつくる。
そして、抽出手段14は、抽出流路20において、超臨界二酸化炭素により、構成物質を抽出する。
【0030】
圧力制御手段16は、抽出手段14の後段に設けられ、抽出流路20での抽出圧力を、二酸化炭素の臨界圧力以上の範囲内で制御する。
捕集手段18は、抽出手段14からの抽出物質を捕集する。
【0031】
このように本実施形態においては、一つの抽出容器22内に、PFPEの構成物質の溶解度に基づき定められた温度勾配をつけて、構成物質の超臨界流体抽出を行うことにより、例えば分子量分布の広い出発物質を、分子量分布が極めて狭い目的物質にする。
【0032】
なお、本実施形態においては、送液手段12が、液化炭酸タンク30と、クリーンアップカラム32と、液化炭酸送液ポンプ34と、バルブ36と、プレヒートコイル38と、を含む。
温調部24a,24bとしては、例えばヒータ、オーブン、ジャケットが一例として挙げられる。
圧力制御手段16としては、自動圧力調整弁40が一例として挙げられる。
捕集手段18としては、回収瓶、フラクションコレクタが一例として挙げられる。本実施形態においては、回収瓶42と、切り換えバルブ44と、を含む。
【0033】
また、本実施形態においては、精製装置10の動作制御を行うための制御手段50を備える。
制御手段50は、一つの抽出容器22内において、40度〜90度の温度勾配がつくられように、温調部24a,24bの動作制御を行う。
制御手段50は、抽出容器22内の抽出圧力が、段階的(一定時間ごと)に変わるように、自動圧力調整弁40の動作制御を行う。
制御手段50は、送液手段12の送液制御を行う。
制御手段50は、切り換えバルブ42の切り換え制御を行うことにより、抽出物質の分取を確実に行うことができる。
【0034】
本実施形態にかかる精製装置10は概略以上のように構成され、以下にその作用について説明する。
本実施形態にかかる精製方法は、同図(B)に示されるように、溶解度情報取得工程(S10)と、温度条件設定工程(S12)と、出発物質セット工程(S14)と、抽出工程(S16)と、設定条件変更工程(S18)と、を含む。
【0035】
ここで、溶解度情報取得工程(S10)は、抽出工程(S16)の前段に設けられ、構成物質の溶解度情報を得る。
また、温度条件設定工程(S12)では、溶解度情報取得工程(S10)で得られた溶解度情報に基づき、抽出工程(S16)での温度勾配を決定する。
出発物質セット工程(S14)では、出発物質を抽出容器22に入れる。
抽出工程(S16)では、抽出容器22の抽出温度(勾配温度)、抽出圧力、送液流量などの条件を設定条件にした後、送液を開始し、コンディショニングと共に抽出を開始する。
そして、抽出物質が抽出流路20内を流れる間に、その特性に応じた分画が行われ、分画物が自動圧力調整弁40から溶出される。これを捕集手段18で収集する。
設定条件変更工程(S18)では、抽出圧力を段階的(一定時間経過ごと)に変える。
【0036】
本発明において特徴的なことは、抽出容器22内で、PFPEの構成物質に対する抽出効率の異なる状態をつくり出すための工夫をしたことである。このために本実施形態においては、一つの抽出容器22を温調する温調部24a,24bに対して異なった温度条件設定を行う。例えば、構成物質の溶解度に基づき、抽出容器22の入口付近では、温度が低く、その出口付近では、温度が高いというように、一つの抽出容器22内に、温度勾配をつけている。この結果、抽出容器22内には、流路方向に、超臨界流体に対する構成物質の溶解度が低下するように、超臨界流体に対する構成物質の溶解度の異なる場がつくられる。
【0037】
このため、抽出容器22の入口付近では超臨界二酸化炭素と出発物質とが接触し、出発物質中の超臨界二酸化炭素に可溶な構成物質が二酸化炭素中に溶出する。溶出した構成物質は超臨界二酸化炭素と共に抽出容器22の出口に向かって運ばれる。
ここで、抽出容器22内では、入口から出口に向かうにつれ、超臨界二酸化炭素に対する構成物質の溶解度が次第に低下するので、超臨界二酸化炭素に溶解しにくい低溶解性の構成物質は、超臨界流体から析出し、重力の作用により抽出容器22の底部に向かう。
一方、高溶解性の構成物質を含む超臨界二酸化炭素は、抽出容器22の出口から流出するので、低溶解性の構成物質と高溶解性の構成物質とを良好に分離することができる。
【0038】
本実施形態においては、超臨界二酸化炭素に溶解しやすい高溶解性の構成物質が抽出物となり、二酸化炭素に溶解しにくい低溶解性の構成物質が抽出残渣となるように、抽出容器22での入口温度、出口温度等の温度勾配を設定することで、PFPEの構成物質を、分子量の大きさによって分離することができる。
このように本実施形態においては、抽出容器22内での抽出温度の違いにより、構成物質の超臨界二酸化炭素への溶解度に差が生じることを利用して、特定分子量の構成物質の、超臨界二酸化炭素への選択的な取り込みを行うことができるので、分子量の異なる構成物質の良好な分離が行われる。
【0039】
このように本実施形態においては、PFPEに関して、官能基の違いや分子量、分子量分布、分散度なども考慮した分画精製を行うため、数ある精製法の中から超臨界流体抽出法を選択し、かつ一つの抽出容器内において、抽出の効率や選択性が異なる状態を連続的につくり出して抽出精製をすることにより、精製の精度を向上することができる。
【0040】
ところで、魚油等のように、異なる種類の物質が多く含まれている天然油の精製においても、超臨界流体抽出を用いることも考えられる。しかしながら、これをそのままフッ素潤滑油のように同じ種類の構成物質であるが、分子量ないし構造に分布をもつ出発物質を、特定の分子量ないし構造をもつ目的物質に精製する必要のあるものに用いたのでは、精製の精度、つまり構成物質に対する選択性は改善の余地がある。
【0041】
すなわち、従来方式の超臨界流体抽出は、抽出圧力を段階的に変化させて精製を行っている。
このような従来方式にあっても、ある特定のものは精製が可能であっても、精製が困難なものがある。PFPEに関して、従来方式でも、ジードールタイプは精製可能であるが、テトラオールタイプは満足のゆく精製が困難であった。従来は、前記不具合の原因も不明であった。
【0042】
これに対し、本発明者らは、汎用性の悪い原因として、圧力変化では、構成物質に対する選択性が不十分であることを突き止めた。
すなわち、各構成物質間には相互作用があり、抽出圧力を段階的に変化させただけでは、各構成物質間の相互作用により、異なる分子量のものが一緒に出て行きやすので、分画物は分子量が広い分布のままである。
【0043】
これに対し、本発明者らは、構成物質に対する選択性を向上するため、以下の点に着目した。
すなわち、超臨界流体に構成物質が溶け込むのは、構成物質の溶解度が大きく関係する。各構成物質に対する選択性を向上するためには、圧力変化を積極的に利用するよりも、構成物質の溶解度の違いによる選択性を積極的に利用することにより、異なる構成物質間の相互作用を断ち切り、分離性能が向上する。
本実施形態においては、同一圧力条件下において、前述のような物質の溶解度に基づき温度勾配を決定して、構成物質の溶解度の違いによる構成物質の選択性を積極的に利用することにより、精製の精度が大幅に向上する。
【0044】
<温度勾配の決定>
本実施形態は、構成物質の溶解度に基づき温度勾配を決定しているので、構成物質の溶解度を考慮することなく、試行錯誤で温度勾配をつけたものに比較し、構成物質に対する選択性を確実に制御することができるので、より精製の精度を向上することができる。
【0045】
<温度勾配の方向>
本実施形態においては、より多くの物質に対して、精製の精度の向上を図るためには、温度勾配の方向の考慮も非常に重要である。
すなわち、例えば沸点の低い物質は、温度が高くなると、溶解度が小さくなる。一方、沸点の高い物質は、温度が高くなると、溶解度が大きくなる。このため、単に流路方向において温度が高くなるように温度勾配を設定したのでは、精製が良好に行えないものがある。
これに対し、本実施形態は、構成物質の沸点を考慮し、流路方向に溶解度が高くなるように温度勾配をつけている。つまり沸点の低い物質を対象とするときは、流路方向に温度が高くなるように温度勾配を設定し、沸点の高い物質を対象とするときは、流路方向に温度が低くなるように温度勾配を設定している。この結果、本実施形態は、構成物質の沸点に関する考慮のないものに比較し、より多くの物質に対して、精製が良好に行える。
このように本実施形態においては、抽出流路において、構成物質の溶解度に基づき温度勾配をつけることが好ましいが、構成物質の溶解度及び沸点に基づき温度勾配をつけることが特に好ましい。
【0046】
精製の精度の更なる高精度化
ところで、本実施形態においては、精製の精度の更なる向上のためには、以下の工夫も非常に重要である。
【0047】
<分離媒体>
本実施形態においては、精製の精度の更なる向上のため、分離媒体により、抽出物との相互作用や抽出状態を変化させることにより、より選択的な抽出を行うことも非常に好ましい。
第二実施形態
図2には本発明の第二実施形態にかかる精製装置の概略構成が示されている。前記第一実施形態と対応する部分には符号100を加えて示し説明を省略する。
同図に示す精製装置110は、抽出容器122内に、分離媒体160を充填している。
分離媒体160としては、ステンレス、シリカゲル、ポリマーなどの材質、形状を考慮している。
この結果、本実施形態においては、分離媒体160と構成物質との相互作用や、抽出状態を変化させることができるので、抽出効率の異なる状態(場)を抽出容器122内に生じさせることができる。つまり抽出容器122内において、特定の構成物質が抽出されやすい条件、ないし抽出されにくい条件などをつくり出し、PFPEの精製を行っている。
このように本実施形態にかかる精製装置110によれば、前記実施形態と同様、温度勾配をつけて超臨界流体抽出を行うので、精製の精度を向上することができる。
さらに、本実施形態にかかる精製装置110によれば、分離媒体160により、抽出容器122内で、構成物質に対する抽出効率を変えることができるので、精製の精度を、より向上することができる。
【0048】
<直列容器>
前記構成では、一つの抽出容器内に温度勾配を連続的につけた例について説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、複数の抽出容器を直列に接続し、抽出容器間において温度勾配を段階的につけることも、より好ましい。
第三実施形態
図3には本発明の第二実施形態にかかる精製装置の概略構成が示されている。前記第一実施形態と対応する部分には符号200を加えて示し説明を省略する。
同図に示す精製装置210は、抽出手段214が、抽出容器群222と、温調部224a〜224cと、を備える。
ここで、抽出容器群222は、出発物質が入れられ、その構成物質の超臨界二酸化炭素抽出を行うための抽出流路220をもつ抽出容器222a〜222cを複数、直列に接続している。
また、温調部224a〜224cは、抽出容器群222、つまり各抽出容器222a〜222c内での抽出温度は同じであるが、各抽出容器222a〜222cごとに、抽出温度が異なるように、各抽出容器222a〜222cを温調する。
圧力制御手段216は、各抽出容器222a〜222cでの抽出圧力を同じに制御している。
本実施形態においては、抽出容器222a〜222c間で、構成物質の溶解度に基づき定められた温度勾配を段階的につけて、構成物質の超臨界二酸化炭素抽出を行う。
【0049】
本実施形態においては、制御手段250により、抽出容器222aでの抽出温度が40度となるように温調部224aの動作を制御し、抽出容器222bでの抽出温度が60度となるように温調部224bの動作を制御し、抽出容器222cでの抽出温度が90度となるように温調部224cの動作を制御する。
【0050】
本実施形態にかかる精製装置210は概略以上のように構成され、以下にその作用について説明する。
出発物質セット工程(S110)では、出発物質を最上流の抽出容器222aに入れる。
抽出工程(S112)では、各抽出容器222a〜222cの温度、圧力、流量などの条件を設定条件にした後、送液を開始し、コンディショニングと共に抽出を開始する。そして、抽出物質が抽出流路220内を流れる間に、その特性に応じた分画が行われ、分画物が、自動圧力調整弁240から溶出される。これをフラクションコレクタ218で収集する。
【0051】
ここで、抽出工程(S112)においては、PFPEの各構成物質に対する抽出効率の異なる状態をつくり出すため、複数の抽出容器222a〜222cを直列に接続し、各抽出容器222a〜222cの温度を別々に設定し、温度の低い状態から高い状態へ段階的に変化させている。
このように本実施形態においては、抽出効率の異なる複数の抽出容器222a〜222cを通過させていくことにより、連続的に超臨界流体抽出を行うことができるので、単一容器を用いたものに比較し、精製の精度を、より向上することができる。
【0052】
また、本実施形態にかかる精製装置210によれば、構成物質に対する抽出効率を段階的(一定時間ごと)に変えるため、精製装置210全体としての抽出圧力を段階的に変えるが、各圧力段階では、各抽出容器222a〜222cでの抽出圧力を同じにしている。 この結果、一つの流路中に圧力及び温度が異なる抽出容器を複数、接続したものに比較し、構成物質に対する選択性を、より緻密に制御することができるので、精製の精度を、より向上することができる。
【0053】
<溶媒条件>
なお、本実施形態においては、構成物質に対する抽出効率を段階的(一定時間ごと)に変えるため、さらに、モディファイア溶媒供給手段270を備えることも好適である。
ここで、モディファイア溶媒供給手段270は、モディファイア溶媒タンク272と、モディファイア溶媒ポンプ274と、自動ストップ弁276と、を含む。
そして、モディファイア溶媒供給手段270は、抽出容器222aの手前からモディファイア溶媒を入れ、超臨界流体と混合させて抽出流路220に供給している。
なお、本実施形態においては、制御手段250により、モディファイア溶媒と超臨界流体との組成比が段階的(一定時間ごと)に変わるように、モディファイア溶媒供給手段270の動作制御を行う。これにより抽出効率を段階的に変化させることができる。
【0054】
<モディファイア溶媒>
前記第三実施形態では、モディファイア溶媒を二酸化炭素と共に最上流の抽出容器の手前から入れた例について説明したが、さらに、各抽出容器間で構成物質に対する抽出効率が異なるように、各抽出容器に、種類や組成の異なるモディファイア溶媒を供給することも非常に好ましい。
第四実施形態
図4には本発明の第四実施形態にかかる精製装置の概略構成が示されている。前記第三実施形態と対応する部分には符号100を加えて示し説明を省略する。
同図に示す精製装置310は、さらに、第二モディファイア溶媒供給手段370b、第三モディファイア溶媒供給手段370cを備える。
第二モディファイア溶媒供給手段370b、第三モディファイア溶媒供給手段370cは、前記図3に示したモディファイア溶媒供給手段と同様、モディファイア溶媒容器372b,372cと、モディファイア溶媒ポンプ374b,374cと、を備える。
そして、本実施形態においては、第二モディファイア溶媒供給手段370b、第三モディファイア溶媒供給手段370cにより、異なるモディファイア溶媒を、第一抽出容器322aと第二抽出容器322bとの間、第二抽出容器322bと第三抽出容器322cとの間から入れて、超臨界二酸化炭素と混合している。
この結果、本実施形態においては、異なるモディファイア溶媒により、抽出容器322a〜322c間で、抽出効率を変化させることができるので、第三実施形態に比較し、精製の精度を、より向上することができる。
なお、本実施形態においては、制御手段350が、各抽出容器322a〜322cに異なるモディファイア溶媒が混合されるように、各モディファイア溶媒供給手段370,370b,370cの動作制御を行う。
【0055】
<分離媒体>
なお、直列容器、つまり第三実施形態,第四実施形態にかかる抽出容器を用いた場合も、単一容器、つまり第一実施形態,第二実施形態にかかる抽出容器を用いた場合と同様、分離媒体を充填することも好適である。つまり第三実施形態,第四実施形態において、各抽出容器に異なる分離媒体を充填することにより、抽出容器間で構成物質に対する抽出効率を変えることができるので、精製の精度を、より向上することができる。
【0056】
精製結果
以下に、本実施形態にかかる精製装置を用いた場合と従来例の精製装置を用いた場合との精製結果が示されている。
本試験例では、精製の精度を検証する目的で、フッ素系潤滑油としてテトラオールを分画し、該分画物の分散度を測定した。
【0057】
<従来例>
図5及び表1は、前記図1に示した精製装置とほぼ同様の構成において、温調部24a,24bを同一温度に設定することで抽出容器内の温度を一定にし、抽出圧力を段階的に変化させて(10MPa〜17MPa)、抽出した例である。
図5は、出発物質(sample)、抽出物質(F2−1〜F2−14)、容器内残渣(Residue)のPFPEをGPCにて平均分子量と分散度(d=Mw/Mn)を測定した例である。
この結果、従来例では、分画した各物質が、高分子から低分子まで広い範囲で混合されたまま抽出されていることがわかる。表1に示した分散度を確認すると、抽出物質(F2−1〜F2−14)の分散度は1.09から1.13ぐらいで、出発物質(sample)の分散度1.152に対しての改善度が小さい。
【0058】
【表1】

【0059】
<本実施形態>
本試験例では、本実施形態にかかる精製装置として、図3に示した精製装置において、抽出容器を二つ使用して抽出を行った。
図6及び表2は、直列に接続した抽出容器を二つ用意し、これらの抽出容器の温度を別々に設定し(40度、90度)、抽出圧力を段階的に変化させて(10MPa〜17MPa)、抽出した例である。
図6は、出発物質(sample)、抽出物質(F2−1〜F2−14)、容器内残渣(Residue)のPFPEをGPCにて平均分子量と分散度(d=Mw/Mn)を測定した例である。
表2に示した分散度を確認すると、本実施形態では、出発物質(sample)の分散度1.132に対して、抽出物質(F2−1〜F2−14)の分散度は1.05から0.088の範囲に入り、分散度の小さい分画物が得られていることがわかる。
【0060】
【表2】

【0061】
このように、従来例、つまり温度勾配を考慮することなく、圧力のみを段階的に変化させて精製を行う方法を示す図5に比較し、本実施形態、つまり温度勾配をつけて精製を行う方法を示す図6は、分画物の分散が非常に小さい。
本実施形態にかかる精製装置によれば、温度勾配をつけて超臨界流体抽出を行うことにより、前記従来例に比較し、精製したい物質中の各構成物質に対する選択性が大幅に向上するので、精製の精度の向上を図ることができる。
【0062】
なお、前記各構成では、二酸化炭素(流体)が超臨界状態の例について説明したが、亜臨界状態を含めることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第一実施形態にかかる精製装置の概略構成の説明図である。
【図2】本発明の第二実施形態にかかる精製装置の概略構成の説明図である。
【図3】本発明の第三実施形態にかかる精製装置の概略構成の説明図である。
【図4】本発明の第四実施形態にかかる精製装置の概略構成の説明図である。
【図5】従来の精製装置による精製結果の説明図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかる精製装置による精製結果の説明図である。
【図7】パーフルオロポリエーテルの分子構造例である。
【符号の説明】
【0064】
10,110,210,310 精製装置
12,112,212,312 送液手段
14,114,214,314 抽出手段
16,116,216,316 圧力制御手段
18,118,218,318 捕集手段
22,122 抽出容器
222a,222b,222c、322a,322b,322c 抽出容器
24a,24b、124a,124b 温調部
224a,224b,224c、324a,324b,324c 温調部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超臨界状態の流体により、複数の構成物質を含む出発物質を、特定の構成物質を含む目的物質に精製する精製方法であって、
前記超臨界流体の流路方向に、該流体の臨界温度以上の範囲内で、前記構成物質の溶解度に基づき定められた温度勾配をつけた抽出流路において、該構成物質の超臨界流体抽出を行う抽出工程を備えたことを特徴とする精製方法。
【請求項2】
請求項1記載の精製方法において、
前記抽出工程は、前記構成物質の溶解度及び該構成物質の沸点に基づく温度勾配をつけた抽出流路において、前記超臨界流体抽出を行うことを特徴とする精製方法。
【請求項3】
請求項1記載の精製方法において、
前記抽出工程の前段に設けられ、前記構成物質の溶解度情報を得る溶解度情報取得工程と、
前記溶解度情報取得工程で得られた溶解度情報に基づき、前記抽出流路の温度勾配を決定する温度条件設定工程と、
を備えたことを特徴とする精製方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の精製方法において、
前記物質は、フッ素系潤滑油であることを特徴とする精製方法。
【請求項5】
請求項4記載の精製方法において、
前記フッ素系潤滑油は、パーフルオロポリエーテルのテトラオールタイプであることを特徴とする精製方法。
【請求項6】
超臨界流体により、複数の構成物質を含む出発物質を、特定の構成物質を含む目的物質に精製する精製装置であって、
前記構成物質の超臨界流体抽出を行うための抽出流路に、前記超臨界流体を連続的に送り込む送液手段と、
前記送液手段の後段に設けられ、前記超臨界流体の流路方向に、該流体の臨界温度以上の範囲内で、前記構成物質の溶解度に基づき定められた温度勾配をつけた前記抽出流路をつくり、該抽出流路において、該構成物質の超臨界流体抽出を行う抽出手段と、
前記抽出手段の後段に設けられ、前記抽出流路での抽出圧力を制御する圧力制御手段と、
を備えたことを特徴とする精製装置。
【請求項7】
請求項6記載の精製装置において、
前記抽出手段は、前記抽出流路に、前記構成物質の溶解度及び該構成物質の沸点に基づく温度勾配をつけたことを特徴とする精製装置。
【請求項8】
請求項6又は7記載の精製装置において、
前記抽出手段は、前記抽出流路で、0℃〜200℃の範囲内で温度勾配をつくることを特徴とする精製装置。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれかに記載の精製装置において、
前記抽出手段は、前記出発物質が入れられ、前記構成物質の超臨界流体抽出を行うための前記抽出流路をもつ抽出容器と、
前記一つの抽出容器内で、前記温度勾配がつくられるように、該抽出容器を温調する温調部と、
を備え、前記一つの抽出容器内で、前記構成物質の溶解度に基づき定められた温度勾配をつけて、該構成物質の超臨界流体抽出を行うことを特徴とする精製装置。
【請求項10】
請求項9記載の精製装置において、
前記温調部は、前記一つの抽出容器内で、0℃〜200℃の範囲内で温度勾配をつくることを特徴とする精製装置。
【請求項11】
請求項6〜8のいずれかに記載の精製装置において、
前記抽出手段は、前記出発物質が入れられ、前記構成物質の超臨界流体抽出を行うための前記抽出流路をもつ抽出容器を複数、直列に接続した抽出容器群と、
前記各抽出容器内での抽出温度は同じであるが、該各抽出容器ごとに抽出温度が異なるように、該各抽出容器を温調する温調部と、
を備え、
前記圧力制御手段は、前記各抽出容器での抽出圧力を同じに制御し、
前記抽出容器間で、前記構成物質の溶解度に基づき定められた温度勾配をつけて、該構成物質の超臨界流体抽出を行うことを特徴とする精製装置。
【請求項12】
請求項11記載の精製装置において、
前記温調部は、前記抽出容器間で、0℃〜200℃の範囲内で温度勾配がつくられるように、該各抽出容器を温調することを特徴とする精製装置。
【請求項13】
請求項6〜12のいずれかに記載の精製装置において、
前記抽出容器に充填され、該抽出容器内で、前記構成物質に対する抽出効率の異なる場をつくるための分離媒体を備えたことを特徴とする精製装置。
【請求項14】
請求項11又は12記載の精製装置において、
前記各抽出容器に、異なる分離媒体を充填し、
前記分離媒体により、前記抽出容器間で、前記構成物質に対する抽出効率を変えることを特徴とする精製装置。
【請求項15】
請求項11又は12記載の精製装置において、
前記各抽出容器に、異なるモディファイア溶媒を送り込むためのモディファイア溶媒供給手段を備え、
前記モディファイア溶媒により、前記抽出容器間で、前記構成物質に対する抽出効率を変えることを特徴とする精製装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−588(P2009−588A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−161169(P2007−161169)
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【出願人】(000232689)日本分光株式会社 (87)
【Fターム(参考)】