説明

精製方法

出発材料の微粒子を試薬Yと混合するステップ、および、ナノ粒子から試薬Yに1種または複数の物質が移動するような、出発材料と試薬Yとの間の拡散界面を生み出すように出発材料を加熱するステップを含む、金属、半金属、金属化合物または半金属化合物を含む出発材料から1種または複数の物質を除去する方法。こうして、精製された金属または半金属粒子が製造される。この方法は光起電力級シリコンの製造に使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属、半金属、金属化合物または半金属化合物を含む出発材料から1種または複数の物質を、化学試薬によって除去する方法に関し、該出発材料は、微粒子の形態であり、好ましくはナノ粒子である。より詳細には、本発明は、シリカ、シリケートおよび/または金属級シリコンのナノ粒子からの高純度シリコンの製造に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンはエレクトロニクス産業において、例えば、半導体、集積回路および光起電力電池(太陽電池としても知られている)の製造において、広く用いられている。通常、高レベルの純度が必要とされ、正確な純度レベルは最終用途に応じて決まる。通常、光起電力級シリコンの純度(少なくとも、99.9999%)は、エレクトロニクス級シリコン(>99.9999999%)より低く、除去が必要な重大な不純物には、V、Cr、Fe、Co、Mn、NiおよびTiなどの第1列の遷移金属元素、さらには、Al、B、P、Zr、Nb、Mo、Ta、WおよびOが含まれる。前記不純物の含有は、太陽電池を含めて、シリコン系デバイスの性能に深刻な悪影響を及ぼし、電気への光の変換効率が低下する。
【0003】
シリコンは2段階プロセスによって工業的に製造される。第1段階では、石英が、99.5%から99.9%にすぎない典型的純度を有する安価な金属級シリコンに熱的に還元される。第2段階において、金属級シリコンは、通常シーメンス法によって、さらに精製される。シーメンス法では、金属級シリコンが、最初に、クロロシランに変換され、次いで、より高純度のシリコンを析出させるために加熱される。この第2の精製段階は、半導体級シリコンにドーパントを組み入れることもまた必要とされ得るさらなる処理段階がそうであるように、最終シリコン製品のコストをかなり増加させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、中級である光起電力シリコンのための特別な製造方法はなく、そのため、太陽電池は高価な原料シリコンから製造されている。太陽電池製造のための中程度に純粋なシリコンの可利用性は、非常に望ましい目標であり、またそれ故に、太陽電池業界は、低コスト代替プロセスによって製造された大量の光起電力級シリコンを利用しようと待っている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明の第1の態様は、金属、半金属、金属化合物または半金属化合物を含む出発材料から1種または複数の物質を除去する方法が提供され、この方法は、前記出発材料の微粒子を試薬Yと混合するステップ、および、出発材料から試薬Yに1種または複数の物質が移動してより純粋な金属または半金属の粒子を生成するような、出発材料と試薬Yとの間の拡散界面を生み出すように出発材料を加熱するステップを含む。
【0006】
微粒子によって、100ミクロン以下の程度の大きさを有する粒子を意味する。好ましくは、微粒子はナノ粒子であり、ナノ粒子によって、ナノメートルの寸法を有する粒子を意味し、ナノ粒子は、例えば、数ナノメートルから数百ナノメートルの程度の寸法を有し得る。ナノ粒子は、球状または非球状であってよく、ナノ粉末またはナノメートル材料としてもまた知られていることがある。本発明において出発材料として使用される金属または半金属の粒子には、金属および/または半金属の合金の粒子が含まれる。
【0007】
半金属によって、B、Si、Ge、As、SbおよびTeを含めて、性質が金属と非金属との間の中間である化学元素を意味する。これらの元素は、時には、メタロイドとしても知られている。
【0008】
好ましくは、試薬Yは、ゲッタリング(gettering)剤、還元剤またはこれらの組合せから選択される。特定の場合において、試薬Yは、ゲッタリング剤としても還元剤としても作用する。
【0009】
本発明の特に好ましい実施形態において、出発材料は、金属または半金属を、好ましくは、B、Si、Ge、As、SbおよびTeからなる群から選択される半金属を、より好ましくは、シリコンを、より一層好ましくは金属級シリコン(MG−Si)を含む。前記の場合のいずれにおいても、除去される1種または複数の物質は、前記金属または半金属内に残留する金属および/または半金属の不純物を含み、前記方法の生成物は、出発材料より高い純度を有する金属または半金属である。
【0010】
本発明の別の好ましい実施形態において、出発材料は、例えば、酸化物、窒化物または硫化物などの金属または半金属の化合物を含む。より好ましくは、出発材料は、B、Si、Ge、As、SbおよびTeからなる群から選択される半金属の化合物であり、より一層好ましくは、出発物質はシリコン化合物である。シリカは地上で最も豊富な鉱物の1つであり、したがって、シリコン製造にとって非常に望ましい出発材料である。このように、シリコンの製造では、出発材料は、好ましくは、シリカを含むが、別法として、シリケートを含み得る。
【0011】
上の場合、除去される1種または複数の物質には、共結合した元素(すなわち、酸化物の場合の酸素、窒化物の場合の窒素、硫化物の場合の硫黄など)、さらには残留する金属および/または非金属の不純物が含まれる。
【0012】
上の実施形態のいずれにおいても、出発材料からの1種または複数の物質の除去は、化学試薬Yを用いることによって成し遂げられ、この試薬は、出発材料の粒子と接触している、または出発材料の粒子の上に被覆されており、固体状態であり得る。接触している粒子を加熱すると、物理的および化学的過程の組合せによって、1種または複数の物質が出発材料から試薬Yに移動し、得られる生成物は、1種または複数の物質を含む試薬Yおよび副生成物と接触しているまたはこれらにより被覆されている、精製された金属または半金属の粒子を含む。次いで、試薬Yおよび副生成物は、さらなるステップにおいて除去することができるので、純粋な粉末生成物が生成する。試薬Yを除去する可能な方法は、当業者によく知られており、水溶解および酸エッチングが含まれる。
【0013】
本発明は、より純度の低い金属もしくは半金属の出発材料から、または、金属または半金属の化合物から直接、のいずれかで、精製された金属または半金属が製造されることを可能にする。特にシリコンの場合には、光起電力級シリコンが、金属級シリコンから直接製造され得るので、コストのかかる先行技術の工程は回避される。別法として、本発明の方法は、例えば、金属級以外の純度を有するシリコン、シリカ、シリケートおよび他のシリコン含有化合物などの様々な他の出発材料から、シリコンが製造できるようにする。言うまでもなく、精製の程度は、光起電力級シリコンに限定される必要はなく、本発明の方法は、シリコンおよび/またはシリコン含有化合物を、エレクトロニクス級シリコンまたは中間純度レベルに精製するように操作できる。
【0014】
一般に、精製過程は、かなりの数の異なるメカニズムによって進むことができ、例は、再結晶、化学反応および拡散である。本発明者等は、微粒子の形態の出発材料を用いることによって、精製が、かなりの数の異なる経路、すなわち、高濃度域から低濃度域への不純物の古典的な拡散、結晶欠陥およびそれらに付随する不純物のナノ粒子表面へのゲッタリング、および、金属または半金属化合物の場合における金属または半金属への還元によって、同時に進行し得ることを理解した。前記過程の全ては、拡散距離が短く、表面積が大きい場合に、より迅速に、効率的に進行する。したがって、本発明は、微粒子の固有の物理的性質(小さな粒径および大きな表面積)を利用でき、先行技術より低コストで効率的な方法に導く。
【0015】
本発明の別の利点は、生成物が粉末の形態であることであり、この粉末は、適切な任意の粉末処理技術(例えば、キャスティング)によってさらに処理され得る。さらに、生成物はキャスティングの前に精製された状態であるために、キャスティング後の精製ステップの必要性が改善される。
【0016】
出発材料が金属または半金属の化合物である場合、精製工程を2段階で実施することが望ましく、各段階は、本発明の方法を個々に含む。例えば、第1段階において、前記化合物を、中間の純度を有する金属または半金属に還元し、試薬Yを除去し、さらなる試薬Yを加え、次いで、第1段階によって製造された金属または半金属をさらに精製することが、有利であり得る。試薬Yは、各段階で異なる材料を含み得る、例えば、第1試薬Yは、その還元性のために特に選択され、第2試薬Yは、そのゲッタリング性のために特に選択され得る。最終製品における所望の精製レベルを達成するために、汚染された第1試薬Yを清浄な試薬Yに置き換えることがまた必要であり得る。
【0017】
いくつかの事例において、適切な出発純度レベルを得るために、出発材料を前処理することが必要であり得る。シリカをシリコンに還元する特定の場合には、予備精製ステップ(これによって、最初に粗鉱シリカが、水溶性シリケート(例えば、ナトリウムシリケート)またはケイ酸に変換され、次いで、限外濾過またはイオン交換などの水処理工程に従う)を含めることが好ましいことであり得る。次いで、精製されたシリケートまたはシリカは、知られている方法によって溶液から析出させられ、本発明の方法に従うことができる。
【0018】
前記のように、試薬Yの目的は、出発材料から1種または複数の物質を除去することである。出発材料が金属化合物または半金属化合物MXをかなり含む場合には、除去される1種または複数の物質はXを含み、金属および/または非金属の残留不純物もまた含み得る。したがって、本発明の方法は、抽出と精製を合わせた方法であり、試薬Yは、化合物MXに対する還元剤としても、また精製のためのゲッタリング剤としても機能する必要がある。他方、出発材料が金属または半金属をかなり含む場合、1種または複数の化合物は、前記残留不純物をかなり含み、試薬Yは、主にゲッタリング剤として作用する。どちらの場合においても、Xおよび/または残留不純物は、個々のナノ粒子から試薬Yの方に拡散していき、界面/被覆層の接触部分内に保持される、および/または、発生ガスとして放出され得る。
【0019】
残留不純物の例には、V、Cr、Fe、Co、Mn、NiおよびTiなどの第1列の遷移金属元素、さらには、Al、B、P、Zr、Nb、Mo、Ta、WおよびOが含まれる。通常、Xには、O、NまたはSが含まれる。
【0020】
好ましくは、試薬Yは、出発材料のナノ粒子と密接に接触している。これは、ガスまたは液体と接触しているナノ粒子の状態であり得る、または可能性として、出発材料の表面に被覆された離散的なYのナノ粒子としてであり得るが、より好ましくは、連続被覆として、すなわち、個々のナノ粒子の表面の上に被覆された試薬Yのシェル(shell)としてであり得る。適切などのような接触または被覆法、例えば、粉末混合、気相析出または溶融析出流動床、ゾルもしくはゲルが用いられてもよい。いくつかの固体状態の試薬Yでは、必要とされる被覆の厚さは、用途に応じて決まるが、通常、単原子または0.1から10nm、より好ましくは1から5nmの範囲にある。
【0021】
本発明の方法において使用される試薬Yの量は、正確な用途に、すなわち、試薬Yが残留不純物に対するゲッタリング剤として主に作用するかどうか、または試薬Yが金属または半金属の化合物を還元するためにも必要とされているかどうかに応じて決まる。前者の場合には、試薬Yは通常、1−2重量%で存在する。後者の場合には、試薬Yは、起こる還元反応の化学量論によって指図される量で、好ましくは僅かに過剰に存在する必要がある。
【0022】
ゲッタリング剤は、不純物を吸収するために、化学的または金属学的プロセスの間に少量加えられる材料である。ゲッタリング剤は、一般的に、除去される不純物より電気的に陽性である金属であるが、それだけに限らない。半導体業界では、アルミニウムなどのゲッタリング剤が、シリコンウェハの1つの表面をゲッタリング剤により被覆することによって、該ウェハの塊から不純物を除去するために用いられている。通常、被覆された表面はシリコンウェハの構成部分として存続し、半導体デバイスの一部分として作用すらし得る。同様に、光起電力業界では、アルミニウムは、時々、光起電力電池の複数ある金属化層に組み込まれ、金属の組合せは、半導体材料から酸素および他の不純物をゲッタリングするためにアニーリングされる。これはキャリア寿命および電池効率を向上させる。
【0023】
本発明において、ゲッタリング剤は、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、炭素、ナトリウム、カルシウム、リチウム、カリウム、水素、スクロースもしくは塩化ナトリウムまたはこれらの組合せなどの知られているゲッタリング材料から選択され得るが、エレクトロニクス業界における使用とは対照的に、ゲッタリング剤は、精製されたナノ粒子から、さらなる処理ステップにおいて、好ましくは除去されることによって、キャスティングなどのための、純粋な金属または半金属の粉末が製造される。
【0024】
ナノ粒子は、出発材料に起こる様々な精製過程の速度を増すために、加熱される。好ましいプロセス温度は、起こる正確な精製プロセスに応じて決まるが、最高の結果のためには、温度は通常、600から1700℃、より好ましくは800から1200℃の範囲にある。有利には、加熱ステップは、副反応を防ぐために不活性雰囲気中で実施される。ナノ粒子は、1種または複数の物質の移動が起こり、ナノ粒子が所望の純度レベルに達するのに十分な長さの時間、加熱される。
【0025】
出発材料のナノ粒子は、適切などのような方法によって製造されてもよい。例えば、ボールミル、ゾル−ゲルによる析出またはプラズマ析出である。好ましくは、ナノ粒子は、プラズマに基づく方法によって、より好ましくは、プラズマ−スプレ法によって製造される。プラズマ技術は、第1に、それらが、所望の物理的性質を有するナノ粒子を生成するために特に適しているために、第2に、プラズマ装置は、プラズマ領域自体の内部で、またはクエンチング段階の間のいずれかで、ナノ粒子合成の間に試薬Yを共析出させるために使用できるために、好ましい。
【0026】
ナノ粒子は、表面積を最大化し、拡散距離を最小化することによって、反応時間および効率を最適化するように、好ましくはできるだけ小さい。有利には、ナノ粒子は、1から200nmの範囲、より好ましくは、5から100nmの範囲、より一層好ましくは、10から50nmの大きさの範囲にある。
【0027】
本発明の第2の態様において、金属または半金属のナノ粒子をゲッタリング剤と混合するステップ、および、残留不純物がナノ粒子からゲッタリング剤に移動するような、出発材料とゲッタリング剤との間の拡散界面を生み出すように、ナノ粒子を加熱するステップを含む、金属または半金属の精製方法が提供される。
【0028】
本発明の第3の態様において、金属または半金属の化合物の微粒子を還元剤と混合するステップ、および、Xが還元剤に移動し金属または半金属Mが生成されるような、粒子と還元剤との間の拡散界面を生み出すように、それらを加熱するステップを含む、金属化合物または半金属化合物MXからの金属または半金属Mの製造方法が提供される。
【0029】
本発明の第4の態様において、光起電力級シリコンの製造方法が提供され、該方法は、金属級シリコンをゲッタリング剤と混合するステップ、および、不純物がシリコンナノ粒子からゲッタリング剤に移動するような、微粒子とゲッタリング剤との間の拡散界面を生み出すように、微粒子を加熱するステップを含む。好ましくは、試薬Yは、精製されたシリコン粉末を生成するように、さらなる処理ステップにおいて除去される。
【0030】
精製法または脱酸素法を提供する本発明の態様は、精製される出発物質固体粒子上での、流体相(液体、気体またはプラズマの状態が含まれる)の試薬Yとの反応を含むことによって、達成され得る。
【0031】
上の第2および第3の手段は、本明細書において前に記載されたように、第1の手段で記載されたものと同じ反応に関連することが容易に分かる。上の手段および態様の全てにおいて、高温プラズマの使用が好ましい。その結果として、高温および物質の4つの状態の間の速い変化の存在下におけるこのような反応では、本明細書に記載された3つの手段の全てと一致する反応が起こっていることが容易に理解され得る。実際には、記載された各手段に起因する前記反応によって生じる物質の割合は、出発物質および試薬Yの物理的および化学的パラメータと共に変わり得る。
【0032】
これから、本発明の特定の実施形態が添付図を参照して記載される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明による、金属級シリコンからの光起電力級シリコン製造の概略図である。
【図2】本発明による、シリカまたはシリケートからの光起電力級シリコン製造の概略図である。
【図3】本発明による精製方法を経る粒子のさらなる概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、金属級シリコンからの光起電力級シリコン製造の概略図である。この方法では、金属級シリコンMG−Siのナノ粒子が、ゲッタリング剤Yと接触している状態に置かれる、またはゲッタリング剤により被覆されており、次には、不純物Iがゲッタリング剤Yに移動するように加熱される。ナノ粒子が適切な時間加熱された後、ゲッタリング剤と不純物を含む汚染された界面Y(I)がナノ粒子から除去されて、後に光起電力級シリコンPVG−Siが反応生成物として残される。
【0035】
図2は、シリカまたはシリケートからの光起電力級シリコン製造の概略図である。この方法では、最初に、シリカまたはシリケートのナノ粒子Si[O]が、還元剤Rと接触状態に置かれる/還元剤Rにより被覆されており、次には、被覆されたナノ粒子は、不純物Iおよび酸素[O]が還元剤Rに移動するように加熱される。ナノ粒子が適切な時間加熱された後、還元剤と不純物を含む汚染された界面R[O]+(I)がナノ粒子から除去されて、後に光起電力級シリコンPVG−Siが反応生成物として残される。
【0036】
図3を参照すると、プラズマ装置における、混合された出発材料がイオン化され加熱されるプラズマ反応相を用いる反応過程の概略図が示されている。一例において、不純物を含むシリカはナノ粒子状に粉末化され、還元剤として作用するアルミニウムフレークと混合される。この粉末ブレンドは、プラズマ発生装置で、2000℃を超え、可能性として10,000℃のように高い温度に気化される。反応物は少なくとも数秒間(可能性として、1または2分のように長い)この状態に保たれ、温度は室温まで下げられて、反応物は凝縮して固体に戻る。反応物は、さらなる時間、約800℃に再加熱され、その後、さらに再び冷却される。次いで、汚染された試薬を除去するために酸エッチングを用いることによって、より純粋な状態のシリコンが残され、次に、これはさらなる使用に向けた準備のために洗浄され得る。
【0037】
これから、より具体的ないくつかの実施例が記載され、ここで、使用される材料は次の通りである。
【0038】
Degussaからのフュームドシリカ(aerosol R974)の試料およびAlfa Aesarによって供給された第2試料が、下の実施例において用いられる。ナトリウムシリケートの試料は、BDHによって供給され、25.5−28.5%のSiO2分析値および7.5%から8.5%のNa2Oを有するナトリウムシリケートの溶液(水ガラス)から得られた。金属不純物は、0.01%の程度であり、0.005%の鉄を単独で含む。この溶液、またはHClによりpHを下げたものを、WAC(weak anionic complex、弱陰イオン性錯体)イオン交換樹脂であるAmberlite IRC−86と、1時間混合すると、結果的に不純物レベルがかなり低下し、こうして、原料シリケートを、公称では99,99%の純度から99.9999%の純度のものにしたことが、ICPMS分析を用いて見出された。得られた溶液は、200℃で乾燥し、ミル加工して粗粉末にした。別法として、第2溶液が約100ミクロンの大きさの微粉末に噴霧乾燥され、ミル加工の必要はなかった。
【0039】
次いで、これらの試料は、化学的還元を引き起こす反応を受けたが、試料は、他の試薬との利点のある混合および反応のための大きな表面積を容認するために、細かく分割された形態の固体状態のままであった。
【実施例】
【0040】
(実施例1)
反応の化学量論は、5グラムのシリカ(0.0833モル)が1.25倍モル当量または2.81gのアルミニウムを必要とすることを表す。実際には、細かいフレーク材料として2.6グラムのアルミニウムを用い、栓をしたガラス容器を振り動かすことによって、シリカと徹底的に混合した。混合した粉末は、凝集したシリカの小さい塊以外は、薄い灰色の外観をしていた。混合した粉末を、石英ルツボに入れ、箱型炉内で、窒素雰囲気下に50℃/分の昇温速度で加熱した。反応時間は、800℃の反応温度に達した時を始めとした。
【0041】
1時間後に、試料を、窒素パージ下に、−50℃/分で100℃まで冷却し、ルツボから取り出した。材料は、かなり黒くなり、どの粒子も互いにくっ付いていた。いくらかのシリカが、反応の最初に見られた凝集体から未反応の塊として残った。光学顕微鏡での観察は、混合物中に残る未反応シリカの白い粒、およびシリコンの黒い粒子があることを示した。x線回折を用いた分析は、混合物中の微細結晶シリコンの存在を示した。未反応シリカは、アルミニウムフレークおよびその溶融相による密接な接触の生成がないために存在するように見えた。
【0042】
(実施例2)
Degussaのヒュームドシリカ試料およびAlfa Aesarからの第2試料を、それぞれ、僅かに過剰のアルミニウム金属フレークに加え、それぞれを別々に、900℃で1時間にわたって、シリコンに還元した。実施例におけると同じ反応生成物が見出された。
【0043】
(実施例3)
アルミニウム金属フレークを、各シリカ試料に別々に加え、実施例1および2の条件を用い、650℃で1時間加熱した。生成物は、かなり未反応であるように見え、白いシリカ粉末およびアルミニウムマイクロスフィアを主に含んでいた。
【0044】
(実施例4)
Degussaのヒュームドシリカ試料およびAlfa Aesarからの第2試料を、それぞれ、僅かに過剰に、表面酸化物不動態化アルミニウムナノ粒子(QnetiQ NanoMaterials Ltdによって製造された)に加え、前と同じに混合後、実施例1、2および3の条件を用い、800℃で加熱した。
【0045】
得られた粉末は、ナノ粉末アルミニウムに存在する酸化物表面層のために、未反応であった。結論は、溶融アルミニウムとシリカ粒子との間の密接な接触によって反応が進むということであった。
【0046】
(実施例5)
粗くミル加工したナトリウムシリケート試料とアルミニウムフレークとを、それぞれ、1:1.25のモル比で、一緒に振り動かすことによって混合した。混合物を窒素中、800℃で1時間加熱した。冷却した試料は黒くなっていて、いくらかは白い粉末の塊のままであった。噴霧乾燥してより細かい粉末とし、800℃でアルミニウムフレークと反応させたナトリウムシリケートは、かなり黒くなっており、未反応材料を明白に示すものはなかった。この粉末についてのx線回折は、それが微細結晶シリコンをかなり含むことを示した。
【0047】
(実施例6)
アルミニウムをマグネシウムに置き換えることによって、マグネシウムリボンとの混合は劣っており、またその表面は酸化されていたけれども、800℃で1時間の反応は、より効果的となった。その融点を超えたマグネシウムはアルミニウムよりかなり高い蒸気圧を有するという事実により、パージガスがマグネシウム蒸気の酸化を防ぎ、またこのガスが反応環境から蒸気を追い出さなければ、酸化物層が取り囲まれた状態になり、蒸気が周囲のシリカとのより効果的な混合をもたらすことが可能となる。反応温度は750℃より高温に現れ、速度制限ステップが、シリカまたはシリケート化学種からの酸素の外部への拡散速度によって生じていることを示唆していた。マグネシウムの場合、反応は700℃で認められたが、実用的には、反応は800℃より高温で最適化されると思われる。
【0048】
金属熱還元に使用される金属は、金属の固有の還元力、および化学的に還元(または、いわゆる脱酸)されようとする粒子との接触を適切なものとするその能力に依存するように思われた。反応速度は温度増加と共に増加する。
【0049】
シリカがその融解温度より低温の状態のままであるという事実は、それが固体状態で反応し、反応が接触界面領域によって駆動されていることを意味する。したがって、反応が化学量論的であり、完了するまで進むために、適切な混合が必要である。しかし、本発明の方法の1つの利点は、試薬の混合および界面の面積が、溶融状態または液体状態における反応を超えて著しく改善されることである。制御の向上により、望ましくない副反応および2次相(例えば、金属ケイ化物の生成から、シリコンで挙げた例における未反応酸化物まで)が阻止される。シリカまたはシリケートとの反応に亜鉛を用いることは、普通1−2000℃の範囲に渡る通常の反応条件下での酸化物との反応に関して、この金属の低い電気陰性度のために、できなかった。反応は、還元性金属の酸化還元電位に制限される。しかし、試薬が、シリカまたはシリケートからの四塩化ケイ素または他のハロゲン化もしくは水素化反応中間体の1つになれば、亜鉛などの金属を用いることは、依然として実現可能である。
【0050】
このように、シリカまたはシリケート化学種を、600から2000℃の温度範囲、または好ましくは、800−1000℃の範囲で、1−1000分であるが、好ましくは10から100分の時間で還元する、還元性金属との反応は可能である。
【0051】
本明細書において記載される、QinetiQ Nanomaterials Ltdによって運転されるプラズマトーチ装置において存在するような、プラズマ内で実施される反応では、試薬温度は約10,000℃まで上昇し、自然に蒸発し、イオン化される。他の試薬による反応性ゲッタリングが、通常の反応条件を用いては限定的であるまたは達成できない脱酸または化学的還元を可能にするような反応が、この変換過程を通して可能になる。
【0052】
それゆえに、QinetiQ Nanomaterials limitedにあるプラズマ析出装置を用いる還元反応スキームを記載する。原料シリカおよびシリケートは、本明細書において前に記載の調製による微粉末であった。
【0053】
(実施例7)
Alfa Aesarからのフュームドシリカ(シリカ粉末)の原料を、実施例1に記載の比の量のアルミニウム粉末と一緒にプラズマトーチ装置に通した。プラズマトーチ装置は、アルゴンパージガスの下で、ナノ粉末生成物を生成した。確実に反応を完了させるために、これを800℃で1時間加熱した。生成物を取り出し、黒くなったことを見出した。x線回折における生成物は、実質的にシリコンおよびアルミナであることを見出した。アルミナは酸浸出によって後で除去した。
【0054】
次のさらなる実施例は、ガス、または液体または固体のいずれかを含む第2相への不純物化学種の外部拡散を受ける微粒子物質の能力、および、第2相への該不純物の除去が、不純物の反応捕捉(ゲッタリング)によるか、または拡散の法則によって支配される過程によるかのいずれであり得るということに関する。本明細書では、被覆という用語は、微粒子物質に対する反応性ゲッターまたは拡散シンク(sink)のいずれかとして相互作用できる第2相を表す。目的は、微粒子物質を、その最初は不純物を含む状態から精製することである。微粒子は物質の如何なる形であってもよく、例えば、化合物、単体もしくは合金またはこれらの任意の混合物であってもよい。
【0055】
(実施例8)
99.9%の純度で325メッシュパスの金属級シリコン粉末(MGSi)原料は、Sigma−Aldrichによって供給された。それを、QinetuQ Nanomaterials Ltd.によって供給された不動態化アルミニウムナノ粉末と、1:1の質量比で混合した。混合物を、窒素パージしたスチールルツボで、800℃で5時間加熱処理した。シリコン中の不純物は、変わるように見えなかった。
【0056】
(実施例9)
さらなる実施例として、実施例8と同じシリコン粉末の試料を、マグネシウムリボンと混合し、同じ温度で同じ時間加熱した。
【0057】
SIMS分析を、2つの熱処理したシリコン試料について実施し、供給されたままの粉末と比較した。金属不純物および酸素は、粒子表面の最初の50nmでは激減したことを見出したが、供給されたままの試料に均一に見出されるレベルに増加して戻った。表面層における不純物水準の急激な低下はほぼ2桁の大きさであった。
【0058】
実施例8は、大きな粒径を有するMG−Si粉末を用いた。アルミニウムが不動態化表面を有し、この酸化物が拡散バリアとして作用したために、ナノアルミニウムとの反応は起こらなかったので、シリコンから外部への拡散は全く認められない。しかし、実施例9におけるマグネシウムの使用は、金属がMGSi粉末の表面と直接接触することを許す。この理由は、マグネシウムがその融点より高温で大きな蒸気圧を有するので、それが剥き出しの金属によりシリコン粒子表面を直ちに被覆する−したがって、ゲッタリング剤として作用するためである。しかし、シリコン粒子の大きさが原因となり、内側部分からのより長い拡散距離のために、不純物を粒子内のより深いレベルから除去することはできなかった。これは、より小さい粒子、例えばナノ粒子(この場合、拡散距離がより短く、拡散はより完全である)では正しくないであろう。
【0059】
(実施例10)
30nmの直径の平均粒径のナノ粉末シリコンの試料を、同じ平均粒径を有するナノ粉末アルミニウムの試料と混合し、850℃で1時間加熱した。XPSおよびSIMS分析は、粒子表面での酸素濃度の減少、または粒子の全体を通して一様に金属不純物のレベルの低下が全くないことを示した。アルミニウム上の不動態化層が拡散バリアとして作用したと考えられる。
【0060】
より大きな粒子を用いた実施例8に比べて、たとえナノシリコンを用いたとしても、実施例10は反応が全く見られなかった場合である。やはり、反応は、酸化物層(不動態化)を有するアルミニウム粒子表面によって妨げられ、こうして拡散バリアが存在したと考えられる。しかし、実施例10は、アルミニウムおよびシリコンのナノ粉末が、プラズマ析出装置内でin−situに生成し、アルミニウムが、空気に曝された材料(実施例8に見られる)のように不動態化されておらず、そのため拡散バリアが存在せずゲッタリングが可能であったために相互作用することができたという理由で、実際に進んだ。
【0061】
したがって、反応物は、出発粒子との効果的な拡散界面を可能にしなければならず、そうすることによって、出発材料の粒子内から反応物への不純物のバルク拡散に対する拡散シンクとして作用する。こうして、ある場合には、材料は、出発材料粒子により作り出される界面が拡散バリアとして作用するので、反応物として効果がない。いくつかの材料は、他のものより良好な、不純物に対する固体状態拡散媒体(例えば、金属)であり得る。アルミナは、拡散バリアとして作用する材料の例であるが、他の酸化物は、速いイオン拡散を許容し得る。
【0062】
(実施例11)
実施例8からの金属級シリコン(MGSi)の試料を細かく砕き、アルミニウムフレークと一緒に、QinetuQ Nanomaterials Ltdでプラズマトーチ装置に供給した(質量比で、シリコン:アルミニウムは10:1)。得られたナノ粉末生成物を850℃で1時間アニーリングした。XPSおよびSIMSによる粒子分析は、金属不純物がシリコンから除去されたことを示した。この実施例では、実施例12に見られる、アルミニウム上の酸素の不動態化層は存在しなかったと推測された。
【0063】
(実施例12)
未処理ナノ粉末シリコン試料を、精製したスクロースの溶液と混合し、被覆し、次いで、加熱乾燥し、熱分解によって糖は炭素に分解した。混合物を850℃で2時間加熱処理した。分離したナノ粉末シリコン粒子を、SIMSを用いて分析し、恐らく周囲の炭素への外部拡散により、それらの表面で金属不純物が激減したことを見出した。
【0064】
(実施例13)
ナノ粉末シリコンの試料を、精製した塩化ナトリウムの溶液と混合し、加熱乾燥し、塩化ナトリウムが溶融状態になる850℃まで窒素中でさらに加熱した。1時間後、材料を冷却し、シリコンナノ粉末が残されるように塩化ナトリウムを溶かして除いた。SIMS分析は、溶融塩化ナトリウムのバルクへの不純物の表面交換のためであると考えられるが、シリコンの金属不純物が2桁の程度の大きさで激減したことを示した。酸性、中性もしくはアルカリ性pHの、固体状態、溶融状態もしくはガスの状態の他の無機または有機の塩は、この純粋な相から不純物がナノ粉末シリコン、または他の細かく分割された材料に拡散できず、また不純物が外部へ拡散すれば、同じように働く。この方法の好ましい点は、不純物が固体から浸出する大きな表面積であろう。
【0065】
(実施例14)
ナノ粉末シリコンの試料を、水素中、850℃に加熱し、冷却後、試料は、XPSを用いると、恐らく、欠陥による偏析とナノ粒子表面への偏析により、不純物レベルの増加を示した。
【0066】
(実施例15)
ナノ粉末シリコンの試料を、窒素中、850℃に1時間加熱し、冷却後、試料はナノ粒子表面への不純物の偏析の徴候を全く示さなかった。
【0067】
ここに記載のゲッタリングまたは外部拡散スキームは、様々な外見において、微粒子物質から不純物を除去する効果的な方法であることが見出された。拡散の程度は、微粒子物質における粒子の粒径、拡散シンクとして作用する第2相の純度、微粒子物質から第2相への不純物種の拡散性、ならびに外部拡散過程に対する温度および時間によって制御されるように思われる。
【0068】
したがって、同等の純度の第2相またはより高純度の第2相の相互作用が、1−1000ナノメートルの大きさの範囲または好ましくは1−100nmの範囲の微粒子物質から拡散によって不純物を除去できる場合、方法は適切である。この方法は、1−2,000℃の温度範囲であるが、好ましくは500−1400℃の範囲における、0.1−10000分の時間であるが、好ましくは1−60分の範囲における化学反応を用い、効率的に進行し得る。この方法が、プラズマ析出装置内で実施される場合、プラズマ温度の範囲は、適切には、4,000から14,000℃の範囲であるが、好ましくは6,000から10,000℃の範囲である。
【0069】
微粒子物質と第2相との比は、モル比で1:1または1000:1の範囲であってよいが、好ましくは、モル比で10:1または100:1の範囲にあり得る。実際的な目的にとっては、不純物がもう一度微粒子物質を再汚染することなく第2相により運び去られ得るように、微粒子物質による外部拡散過程の後、第2相が容易に除去されることが好ましい。
【0070】
上の実施形態は、上への修正が当業者にとって明白であろうという点で、限定と見なされるべきでない。特に、それらの教示は、周期表の他の元素に移し替えられると思われ、ナノ粒子を加熱する適切な手段は、特定の用途に応じて選択され得る。さらに、混合、接触および被覆という用語の使用は、ここでは、精製ステップの反応段階が起こることを可能にするのに十分に出発物質を結び付ける過程を記述するために使用されている。反応段階は、高温で起こると了解されており、ナノ粒子出発材料の汚染物質が試薬に移動する、または、さもなければ試薬に拡散することを可能にする、移動または拡散の過程であると理解されている。したがって、拡散界面は、試薬によるナノ粒子の少なくとも部分的な接触/被覆の状態において、反応段階の間に、ナノ粒子と試薬の間に現れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属、半金属、金属化合物または半金属化合物を含む出発材料から1種または複数の物質を除去する方法であり、該出発材料の微粒子を試薬Yと混合するステップ、および、出発材料から試薬Yに1種または複数の物質が移動してより純粋な金属または半金属の粒子を生成するような、出発材料と試薬Yとの間の拡散界面を生み出すように、出発材料を加熱するステップを含む方法。
【請求項2】
試薬Yが、ゲッタリング剤、還元剤、浸出剤、拡散シンクまたはこれらの組合せから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
試薬Yが室温で固体の状態であり、好ましくは、拡散界面が、試薬Yがもはや固体ではない反応温度で生み出される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
試薬Yが、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、炭素、ナトリウム、カルシウム、リチウム、カリウム、スクロース、塩化ナトリウムもしくは水素またはこれらの組合せから選択される、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
出発材料が金属または半金属を含む、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
出発材料がシリコン、好ましくは金属級シリコンである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
試薬Yが1から2重量%の範囲の量で存在するおよび/または試薬Yが起こる還元反応の化学量論によって指図される量で、好ましくは僅かに過剰に存在する、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
出発材料が金属化合物または半金属化合物を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
出発材料がシリカまたはシリケート材料である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
光起電力級シリコンが製造される、請求項6または9に記載の方法。
【請求項11】
微粒子が、被覆ステップの前に、100ミクロン未満の平均の大きさを有し、好ましくは、1から200nm、好ましくは5から100nm、より好ましくは10nmから50nmの大きさを有する好ましくはナノ粒子である、請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
ナノ粒子がプラズマ技法によって製造される、請求項1から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
被覆されたナノ粒子が生成するように、試薬Yが出発材料と共に供給される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
試薬Yがナノ粒子の形態である、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
試薬Yが、微粒子上に、少なくとも1原子層から10nm、好ましくは0.1から10nm、好ましくは1から5nmの厚みに被覆される、請求項1から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
混合された微粒子と試薬が、600から1700℃の範囲、好ましくは800から1200℃の範囲、より好ましくは800から1000℃の範囲の温度に加熱される、請求項1から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
反応温度が、1から1000分の間、好ましくは10から100分の間、より一層好ましくは60分程度維持される、請求項1から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
精製された金属または半金属の粒子が、試薬Yを除去するためにさらに処理される、請求項1から17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
加熱ステップが、実質的に不活性な雰囲気中で実施される、請求項1から18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
出発材料および試薬Yが、プラズマ析出装置を用いるようなプラズマプロセスを通じて混合される、請求項1から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
出発材料および試薬が、4000から14000℃の間、好ましくは6000から1000℃の間、より好ましくは1000℃程度に加熱される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
試薬Yが、室温で液体または気体の状態である、請求項1から21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
試薬Yが、炭素、メタンまたは水素などの還元剤である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
金属または半金属の微粒子をゲッタリング剤と混合するステップ、および、残留不純物が微粒子からゲッタリング剤に移動するように微粒子を加熱するステップを含む、金属または半金属の精製方法。
【請求項25】
金属または半金属の化合物の粒子を還元剤と混合するステップ、および、Xが還元剤に移動し、金属または半金属Mが生成するように、微粒子を加熱するステップを含む、金属化合物または半金属化合物MXからの金属または半金属Mの製造方法。
【請求項26】
光起電力級シリコンの製造方法であって、金属級シリコンのナノ粒子をゲッタリング剤により被覆するステップ、および、不純物がシリコンナノ粒子からゲッタリング剤に移動するように、被覆されたナノ粒子を加熱するステップを含む方法。
【請求項27】
拡散界面がプラズマ相において生み出される、請求項1から26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
試薬を拡散シンクとして有効であるようにすることによって、反応段階の間に出発材料の粒子から1種または複数の物質が除去されることを可能にする、請求項1から27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
方法の段階の少なくとも1つがプラズマ装置内で、および/またはプラズマ相を通じて行われる、請求項1から28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
請求項1から29のいずれかに記載の方法によって製造された金属または半金属の粒子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−510163(P2010−510163A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537698(P2009−537698)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際出願番号】PCT/GB2007/004478
【国際公開番号】WO2008/062204
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(509143952)イントリンシツク・マテリアルズ・リミテツド (1)
【Fターム(参考)】