説明

精製液生成方法及び精製液生成装置

【課題】大量の精製液を劣化させることなく良質に生成すること。
【解決手段】本発明では、精製液生成方法において、水と被処理液との混合液を加熱して蒸気とし、その蒸気を100℃以上に過熱して過熱蒸気とし、その過熱蒸気を冷却することで精製液を生成することにした。特に、前記被処理液を含有する植物を水で煮出しすることで前記混合液を生成することにした。また、本発明では、精製液生成装置(1)において、水と被処理液との混合液を加熱して蒸気とする蒸気発生装置(3)と、蒸気発生装置(3)で発生した蒸気を100℃以上に過熱して過熱蒸気とする蒸気過熱装置(4)と、蒸気過熱装置(4)で過熱した過熱蒸気を冷却して精製液を生成する冷却装置(5)とを有することにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精製液生成方法及び精製液生成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、植物等に含まれる有効な成分や特定の成分を抽出する場合には、植物等を水蒸気蒸留して所望の成分を含んだ精製液を生成している(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
この精製液の生成には、容器の内部に水と植物等を投入し、加熱装置で煮沸することで蒸気を生成し、その蒸気を冷却装置で冷却して精製液を生成するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−207116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来の精製液の生成方法では、煮沸によって所望の成分を含んだ蒸気を生成しているために、大量の精製液を生成することが困難であった。
【0006】
また、大量の精製液を生成するためには、長時間かけて熱処理(煮沸)を行う必要があり、それによって所望の成分が熱による分解や変質してしまい、精製液が劣化してしまうおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、請求項1に係る本発明では、精製液生成方法において、水と被処理液との混合液を加熱して蒸気とし、その蒸気を100℃以上に過熱して過熱蒸気とし、その過熱蒸気を冷却することで精製液を生成することにした。
【0008】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記被処理液を含有する植物を水で煮出しすることで前記混合液を生成することにした。
【0009】
また、請求項3に係る本発明では、精製液生成装置において、水と被処理液との混合液を加熱して蒸気とする蒸気発生装置と、蒸気発生装置で発生した蒸気を100℃以上に過熱して過熱蒸気とする蒸気過熱装置と、蒸気過熱装置で過熱した過熱蒸気を冷却して精製液を生成する冷却装置とを有することにした。
【発明の効果】
【0010】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0011】
すなわち、本発明では、水と被処理液との混合液を加熱して蒸気とし、その蒸気を100℃以上に過熱して過熱蒸気とし、その過熱蒸気を冷却することで精製液を生成することにしているために、大量の精製液を劣化させることなく良質に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る精製液生成装置を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る精製液生成方法及び精製液生成装置の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1に示すように、精製液生成装置1は、加熱装置2、蒸気発生装置3、蒸気過熱装置4、冷却装置5、貯留タンク6を順に接続した構成となっている。
【0015】
加熱装置2は、加熱器7の上部に加熱容器8を載置している。この加熱装置2は、所望の成分を含有する植物や鉱物などの被処理物9を加熱容器8の内部に水10とともに投入し、加熱器7で加熱容器8を100℃未満で加熱することで被処理物9を煮出しして、水10を蒸発させることなく被処理物9から抽出した所望の成分を含んだ被処理液と水10との混合液を生成するようにしている。
【0016】
また、加熱装置2は、蒸気発生装置3に開閉バルブ11とポンプ12を介して接続している。この加熱装置2は、開閉バルブ11を閉じた状態で混合液を生成し、その後、開閉バルブ11を開くとともにポンプ12を駆動して、混合液をポンプ12で蒸気発生装置3に送るようにしている。
【0017】
蒸気発生装置3は、ポンプ12によって送られてくる加熱装置2で生成した混合液を100℃で加熱することで混合液の蒸気を生成するとともに、生成した混合液の蒸気を蒸気過熱装置4へと送るようにしている。
【0018】
蒸気過熱装置4は、蒸気発生装置3から送られてくる混合液の蒸気を100℃以上(たとえば、500℃)で更に加熱することで混合液の過熱蒸気を生成するとともに、生成した混合液の過熱蒸気を冷却装置5へと送るようにしている。
【0019】
蒸気過熱装置4と冷却装置5との間には、分岐管13を介して不純物除去器14を接続しており、過熱蒸気に含まれる不純物を重量選別して除去するようにしている。
【0020】
冷却装置5は、蒸気過熱装置4から送られてくる混合液の過熱蒸気を100℃未満(たとえば、20℃)で一気に冷却することで混合液の過熱蒸気を液化して精製液を生成し、生成した精製液を貯留タンク6へと送るようにしている。
【0021】
精製液生成装置1は、以上に説明したように構成しており、加熱装置2を用いて被処理液(たとえば、植物エキス)を含有する植物を水で煮出しすることで混合液を生成し、或いは、水と被処理液(たとえば、燃料)を混合することで混合液を生成し、その混合液を蒸気発生装置3を用いて加熱して蒸気とし、その蒸気を蒸気過熱装置4を用いて100℃以上に過熱して過熱蒸気とし、その過熱蒸気を冷却装置5で冷却することで精製液を生成し、生成した精製液を貯留タンク6に貯留するようにして、所望の成分を含んだ精製液を生成するようにしている。
【0022】
なお、精製液生成装置1は、加熱装置2から蒸気発生装置3へは液体を送るためにポンプ12を用いているが、蒸気発生装置3から蒸気過熱装置4、及び、蒸気過熱装置4から冷却装置5へは段階的に温度を上昇させた蒸気を送るために温度上昇に伴う圧力上昇によって蒸気を円滑に送ることができ、しかも、冷却装置5から貯留タンク6へは液体を重力の作用で送るようにしているため、加熱装置2と蒸気発生装置3との間に小型のポンプ12を設けるだけで良好に精製液を生成することができるようになっている。
【0023】
上記した本発明に係る精製液生成方法及び精製液生成装置1は、ハーブ等の植物や亜鉛等の鉱物などから所望の成分を抽出した抽出液を生成するために用いられるとともに、水と燃料とをエマルジョン化させたエマルジョン燃料を生成するためにも用いることができる。
【0024】
そして、上記精製液生成方法及び精製液生成装置1では、水と被処理液との混合液を加熱して蒸気とし、その蒸気を100℃以上に過熱して過熱蒸気とし、その過熱蒸気を冷却することで精製液を生成することにしている。
【0025】
そのため、上記精製液生成方法及び精製液生成装置1では、蒸気から一気に過熱蒸気となる際に所望の成分が劣化することなく抽出されることになり、従来に比べて大量の精製液を劣化させることなく良質に生成することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 精製液生成装置 2 加熱装置
3 蒸気発生装置 4 蒸気過熱装置
5 冷却装置 6 貯留タンク
7 加熱器 8 加熱容器
9 被処理物 10 水
11 開閉バルブ 12 ポンプ
13 分岐管 14 不純物除去器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と被処理液との混合液を加熱して蒸気とし、その蒸気を100℃以上に過熱して過熱蒸気とし、その過熱蒸気を冷却することで精製液を生成することを特徴とする精製液生成方法。
【請求項2】
前記被処理液を含有する植物を水で煮出しすることで前記混合液を生成することを特徴とする請求項1に記載の精製液生成方法。
【請求項3】
水と被処理液との混合液を加熱して蒸気とする蒸気発生装置と、蒸気発生装置で発生した蒸気を100℃以上に過熱して過熱蒸気とする蒸気過熱装置と、蒸気過熱装置で過熱した過熱蒸気を冷却して精製液を生成する冷却装置とを有する精製液生成装置。

【図1】
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【公開番号】特開2012−170902(P2012−170902A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36064(P2011−36064)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【特許番号】特許第4794695号(P4794695)
【特許公報発行日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(508224384)
【出願人】(511047099)
【Fターム(参考)】