説明

糖の回収方法

【課題】糖の回収方法の提供。
【解決手段】本発明は、高純度のマンノースを回収するための、クロマトグラフィー分離プロセスに関する。本発明は、少なくとも部分的にBa2+型樹脂である樹脂及びBa2+型以外の樹脂を含むクロマトグラフィー分離樹脂の使用に基づく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の背景
本発明は、炭水化物、特に、糖を含む混合物から、炭水化物、特に、糖を分離するクロマトグラフィー分離プロセスに関する。本発明に従って処理される混合物は、典型的には、炭水化物/糖を含む、バイオマス−誘導溶液である。特に、本発明は、古スルフィットパルピング液等のバイオマス−誘導溶液から高純度のマンノースを回収するクロマトグラフィー分離プロセスを提供する。マンノースは、結晶形態又は溶液形態で回収され得る。本請求の範囲に記載されたマンノースの回収方法は、分離樹脂として、Ba2+形態の樹脂及びBa2+形態以外の樹脂を組合せて使用することに基づき、その後、所望により、マンノースを結晶化させる。本発明の分離プロセスと関連して、キシロース及びアラビノース生成物も、出発バイオマス−誘導溶液の組成に依存して、副生物として得られ得る。
【背景技術】
【0002】
マンノースは、例えば、様々な医薬用途において有用である。それは、様々な医薬品の出発物質又は原料として使用され得る。マンノースはまた、尿感染症及び静脈炎症状態の治療において有用でもあり得る。食品技術において、マンノースは、例えば、いわゆる、ポジテック用途(Positech application)(食品のGMO−試験)において有用である。
【0003】
マンノースはまた、様々な医薬用途を有するマンニトールを製造するための原料としても有用である。
【0004】
マンノースは、マンノースが他の炭水化物及びリグニン成分との混合物として存在する木材資源から回収され得る。木材及び他の植物ベースの材料において、マンノースは、典型的には、ヘミセルロースのようなポリマー状の形態で、最も頻繁には、グルコマンナン、ガラクトグルコマンナン及びガラクトマンナン中のグルコース及び/又はガラクトースとのヘテロポリマーとして存在する。針葉木材パルピング加工から得られた古液は、特に、マンノースが豊富である。マンノースはまた、ゾウゲヤシの実及び特定の海草からも回収される。
【0005】
植物ベースの材料からの高純度のマンノースの回収は、現行技術においては問題があった。
【0006】
ジョンズ,J.K.N及びウォール,R.A.(Canadian Journal of Organic Chemistry 38(1960年),2290ないし2294頁)は、イオン交換樹脂を使用した、合成糖混合物及び植物抽出物からの糖の分離方法を記載している。該方法は、中性塩形態のスルホン酸型イオン交換樹脂を使用した、D−マンノース及びD−マンニトールを含む単糖類混合物の分離に関する。Ba2+形態の樹脂、ダウエックス 50W X8が、分離樹脂として使用されている。
【0007】
ラーソン,L.I及びサミュエルソン,O.(Acta Chemica Scandinavica 19(1965年),1357ないし1364頁)は、イオン交換樹脂を使用した、木材加水分解物に存在する単糖類の分離のための自動的な方法を開示している。D−マンノースを含む、16種類の単糖類の分離が、溶離剤としてエタノールを使用した、スルフェート形態の強塩基アニオン交換樹脂上での分配クロマトグラフィーによって研究された。
【0008】
更に、単糖類の単離のためのイオン交換樹脂の利用が、重亜硫酸塩飽和樹脂含有カラム上での糖の挙動を調査することを目的として研究された。例えば、重亜硫酸塩形態のアニオン交換体(アンバーライト IRA−400)がフルクトース、グルコース及びマンノースを分離するために使用された。この研究の実際上の結果として、スルフィット廃液中の還元糖を測定する改善された方法が提案された。
【0009】
酸化アルミニウムとD−マンノースを含む単糖類の水溶液の間に起こる相互作用も研究された。適当なアルミナの選択によって、糖の分離が、分取並びに分析スケール上で、容易かつ短時間で達成され得ることを示唆した。
【0010】
マンノース誘導体を通じての様々な供給源からのマンノース回収も既知である。フジタ,T及びサトウ,TによるBull.Chem.Soc.Japan 33(1960年) 353頁は、N−フェニル−D−マンノピラノシルアミンを通じてのD−マンノースの回収を開示している。N−フェニル−D−マンノピラノシルアミンが非常に安定かつ水に不溶性であるために、非常に不純な原料からのD−マンノースの単離においてでさえ、N−フェニル−D−マンノピラノシルアミンが推奨されることを記載している。
【0011】
ヘーリック,F.W.、ケースビアー,R.L.、ハミルトン,J.K.及びウィルソン,J.D.("Mannose chemicals",Applied Polymer
Symposium No.28(1975年),93ないし108頁)は、マンノースが他の炭水化物及びリグニン画分含有混合物の主成分である古スルフィット液のような木材源から、マンノース又はその誘導体を回収するための経済的方法の開発に関する研究を開示している。この研究の主な業績は、いくつかの原料から、マンノース重亜硫酸ナトリウム及びメチルマンノシドを回収するための方法の開発であった。2つのルート:(1)モノマー状木材糖混合物の重亜硫酸ナトリウム付加物の形成、マンノース重亜硫酸ナトリウムの結晶化及び分離、及びこの中間体からのマンノースの再生、又は、
(2)粗原料混合糖ポリマー又はモノマーのグリコシド化と同時の無水メタノリシス、メチルα−Dマンノシドの結晶化及び分離、及びこの中間体からのマンノースの再生、
を経て、粗原料混合物からマンノースを回収する方法が開発された。マンノースを回収するためのこれらの方法は、実際に行うことが非常に厄介であるという欠点がある。
【0012】
シナー,M、シマツパング,M.H.及びディエトリッヒ,H.H.("Automated Quantitative Analysis of Wood Carbohydrates by Borate Complex Ion Exchange Cromatography",Wood Science and Technology,1975年,307ないし322頁)は、硼酸塩錯体イオン交換クロマトグラフィーによる、木材多糖類の酸性の酵素加水分解物からの糖の分離及び定量のための簡単な自動分析方法を記載している。この方法によって分離された糖は、マンノース、フルクトース、アラビノース、ガラクトース、キシロース、グルコース、及びキシロビオース、セロビオース及びスクロースのような2糖類を含む。
【0013】
英国特許第1540556号明細書(ICI アメリカス,1979年2月14日公告)は、水溶液中に存在するグルコースからのマンノースの分離方法に関する。グルコース及びマンノースの出発混合物は、典型的には、水溶液中のグルコースのエピマー化によって得られる。グルコースからのマンノースの分離は、典型的には、Ca2+、Sr2+又はBa2+形態のような、アルカリ土類金属塩の形態のカチオン交換樹脂を使用して行われる。カチオン交換樹脂は、好ましくは、強酸性カチオン交換樹脂、典型的にはスチレンジビニルベンゼンベースの樹脂である。
【0014】
リグノスルホネートからの糖の分離は、ハシー,R.、ティカ,P.及びスジョースト
ーム,E.("Recovery of Lignosulphonates and Sugars from Spent Sulphite Liquors by Ion Exclusion Chromatography,1982年,国際スルフィットパルピング会議,シェラトン センター ホテル,オンタリオ州 トロント,10月20日から22日,165ないし170頁)によって記載されている。強酸性カチオン交換樹脂を用いたイオン排除クロマトグラフィーが、古スルフィット液中に存在するリグノスルホネートとマンノースを含む糖の分別に適用されてきた。試験において使用された樹脂は、強酸性ゲル型ポリスチレンカチオン交換樹脂(アンバーライト IR−120、Ca2+型)であった。糖画分がマンニトール製造における原料源として使用され得たことが提案されている。
【0015】
フィンランド国特許第78734号明細書(スオメン ソケリ オイ、1987年4月5日公告)は、古スルフィットパルピング液から糖及びリグノスルホネートを分離するための多工程方法に関する。この方法は、古スルフィットパルピング液を、金属塩形態の分離樹脂、典型的には、Ca2+形態の強酸性カチオン交換樹脂を含むクロマトグラフィーカラム中に導入すること、水でカラムを溶離すること、リグノスルホネートが豊富な画分及び糖が豊富な画分を回収すること、このようにして得られた糖が豊富な画分を、1価の金属塩形態の分離樹脂、典型的には、Na2+形態の分離樹脂を含むもう1つのクロマトグラフィーカラム中に導入することからなる。この方法により、リグノスルホネートを含まない糖画分が得られる。
【0016】
国際特許公開第96/27029号パンフレット(キシロフィン オイ、1996年9月6日公告)は、実質上、核形成により化合物を結晶化することによる、溶液からの糖等の有機化合物の回収方法に関する。マンノースが、例えば、核形成結晶化法によって回収され得ることが提案されている。
【0017】
フィンランド国特許第97625号明細書(キシロフィン オイ、1996年5月5日公告)は、キシロースを結晶化するための方法を開示している。この方法において、キシロースは、キシロース純度が比較的低い溶液からの結晶化によって回収される。特に、この方法は、バイオマス−誘導溶液からのキシロース回収に関する。
【0018】
国際特許公開第99/10542号パンフレット(カルター コーポレーション、1999年3月4日公告)は、分離樹脂として、1価の金属形態のカチオン交換体を使用したクロマトグラフィー分離プロセスによる、テンサイパルプからのL−アラビノースの回収方法を開示している。このようにして得られたL−アラビノース溶液は、カチオン及びアニオン交換体、及び吸着樹脂によって精製される。
【0019】
国際特許公開第01/21271A1号パンフレット(ソーカー オイ、2001年3月29日公告)は、好ましくは多価の金属の形態の、カチオン交換樹脂を使用した、植物材料からのペクチン、アラビノース及び塩の回収方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】英国特許第1540556号明細書。
【特許文献2】フィンランド国特許第78734号明細書。
【特許文献3】国際特許公開第96/27029号パンフレット。
【特許文献4】フィンランド国特許第97625号明細書。
【特許文献5】国際特許公開第99/10542号パンフレット。
【特許文献6】国際特許公開第01/21271A1号パンフレット。
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】ジョンズ,J.K.N及びウォール,R.A.によるCanadian Journal of Organic Chemistry 38(1960年),2290ないし2294頁。
【非特許文献2】ラーソン,L.I及びサミュエルソン,O.によるActa Chemica Scandinavica 19(1965年),1357ないし1364頁。
【非特許文献3】フジタ,T及びサトウ,TによるBull.Chem.Soc.Japan 33(1960年) 353頁。
【非特許文献4】ヘーリック,F.W.、ケースビアー,R.L.、ハミルトン,J.K.及びウィルソン,J.D.による"Mannose chemicals",Applied Polymer Symposium No.28(1975年),93ないし108頁。
【非特許文献5】シナー,M、シマツパング,M.H.及びディエトリッヒ,H.H.による"Automated Quantitative Analysis of Wood Carbohydrates by Borate Complex Ion Exchange Cromatography",Wood Science and Technology,1975年,307ないし322頁。
【非特許文献6】ハシー,R.、ティカ,P.及びスジョーストーム,E.による"Recovery of Lignosulphonates and Sugars from Spent Sulphite Liquors by Ion Exclusion Chromatography,1982年,国際スルフィットパルピング会議,シェラトン センター ホテル,オンタリオ州 トロント,10月20日から22日,165ないし170頁。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
マンノースの回収のために使用されるバイオマス−誘導原料は、典型的には、複雑な多成分混合物である。これらの複雑な混合物からの、十分な純度のマンノースの分離には問題があった。上記の既知の方法に関する問題の1つは、マンノースが他の非常に類似した糖との混合物として得られるか、又は十分な純度のマンノースが得られないことにある。他方で、マンナン及び他のマンノース誘導体からのマンノースの製造は、技術的に非常に厄介である。更に、マンノースの結晶化のために適当なマンノース出発マンノース溶液を製造し、結晶性マンノース生成物を得ることは問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0023】
新規クロマトグラフィー分離プロセスを使用することによって、高純度のマンノースが、バイオマス−誘導炭水化物含有溶液から効果的に回収され得ることが今や発見された。本発明のクロマトグラフィー法を用いると、45ないし80%、又はそれ以上の純度を有するマンノース画分が得られ得る。本発明のクロマトグラフィー分離によって得られたマンノース画分は、その後、結晶化によって更に精製され得る。結晶化により、99%までの、又はそれ以上の純度を有する結晶性マンノース生成物が得られる。本発明の方法に関連して、キシロース及びアラビノース等の様々な他の糖が、出発バイオマス−誘導原料の組成に依存して、副生物として回収され得る。
【0024】
発明の簡単な説明
従って、本発明の対象は、マンノース生成物を含有する炭水化物混合物からの、高純度マンノース生成物の回収方法の提供にある。副生物として、キシロース及びアラビノース等の様々な他の糖が回収され得る。本発明の対象は、独立請求項に示したことを特徴とする方法によって達成される。本発明の好ましい態様は従属請求項に開示する。
【0025】
本発明は、1種がBa2+ベースの樹脂である、少なくとも2種類の分離樹脂を使用して、マンノース含有炭水化物混合物をクロマトグラフィーにより精製する考えに基づく。
【0026】
本発明の方法を用いると、高純度のマンノース生成物が得られ得る。
【0027】
本発明に関する定義
明細書中及び、実施例及び請求の範囲を通じて、以下の定義が使用された:
SACは、強酸性カチオン交換樹脂を指す。
DSは、カール フィッシャー滴定により測定された乾燥物質含有率を指し、重量%で示される。
RDSは、屈折計による乾燥物質含有率を指し、重量%で示される。
【0028】
図面の簡単な説明
以下の図面は、本発明の態様を説明するためのものであり、いかなる場合においても、請求の範囲に定義された本発明の範囲を制限することを意味しない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施例1の、Na+型SAC樹脂を用いたマンノース−アラビノース分離(分離A)の濃度分布を図示したものである。
【図2】実施例1の、Ba2+型SAC樹脂を用いたマンノース分離(分離C.1)の濃度分布を図示したものである。
【図3】実施例1の、Ba2+型SAC樹脂を用いて繰返した、マンノース分離(分離C.2)の濃度分布を図示したものである。
【図4】実施例1の、Ca2+型SAC樹脂を用いたマンノース分離(分離C.3)の濃度分布を図示したものである。
【図5】実施例1の、Ca2+型SAC樹脂を用いたアラビノース分離(分離E.1)の濃度分布を図示したものである。
【図6】実施例1の、Ca2+型SAC樹脂を用いて繰返した、アラビノース分離(分離E.2)の濃度分布を図示したものである。
【図7】マンノース及びキシロースを回収するための、本発明の1つの態様を説明した方法略図である。方法は、前処理工程において、アラビノースの分離も含む。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、マンノース含有溶液からのマンノース回収方法に関する。本発明の方法は、前記混合物に、少なくとも部分的にBa2+型であるクロマトグラフィー分離樹脂ベッドを少なくとも1種類、及びBa2+型以外のクロマトグラフィー分離樹脂ベッドを少なくとも1種類使用したクロマトグラフィー分離プロセスを受けさせること、そして少なくとも1つのマンノース画分を回収することを特徴とする。
【0031】
本発明のクロマトグラフィー分離プロセスは、典型的には、少なくとも2つのクロマトグラフィー分離工程からなり、これら工程のうちの少なくとも1つは、少なくとも部分的にBa2+型であるクロマトグラフィー分離樹脂ベッドを使用して行い、かつ、これら工程のうちの少なくとも1つは、Ba2+型以外のクロマトグラフィー分離樹脂ベッドを使用して行う。
【0032】
本発明の1つの態様は、典型的には、マンノース含有溶液を、少なくとも部分的にBa2+型であるクロマトグラフィー分離樹脂ベッドを含む第1のクロマトグラフィーカラム中に供給すること、前記カラムを、溶離剤を用いて溶離すること、第1のマンノース画分を回収すること、そしてその後、前記第1のマンノース画分を、Ba2+型以外のクロマトグラフィー分離樹脂ベッドを含む第2のクロマトグラフィーカラム中に供給すること、前記
カラムを、溶離剤を用いて溶離すること、そして、第2のマンノース画分を回収することによって行われる。
【0033】
本発明のもう1つの態様において、前記クロマトグラフィー分離プロセスは、少なくとも部分的にBa2+型であるクロマトグラフィー分離樹脂ベッドを使用した2つの分離工程、及びBa2+型以外のクロマトグラフィー分離樹脂ベッドを使用した1つの分離工程からなる。
【0034】
本発明のこの態様は、典型的には、マンノース含有溶液を、少なくとも部分的にBa2+型であるクロマトグラフィー分離樹脂ベッドを含む第1のクロマトグラフィーカラム中に供給すること、前記カラムを、溶離剤を用いて溶離すること、第1のマンノース画分を回収すること、
前記第1のマンノース画分を、少なくとも部分的にBa2+型であるクロマトグラフィー分離樹脂ベッドを含む第2のクロマトグラフィーカラム中に供給すること、前記カラムを、溶離剤を用いて溶離すること、第2のマンノース画分を回収すること、
そしてその後、前記第2のマンノース画分を、Ba2+型以外のクロマトグラフィー分離樹脂ベッドを含む第3のクロマトグラフィーカラム中に供給すること、前記カラムを、溶離剤を用いて溶離すること、そして、第3のマンノース画分を回収することによって行われる。
【0035】
本発明の上記態様において、いくつかの他の分離が、Ba2+分離の前に行われ得る。同様に、いくつかの他の分離は、Ba2+分離の間に行われ得る。更に、2回のイオン交換操作の間にも、イオン又はイオン組成物の平衡比が、典型的には、例えば、イオン交換によって行われる。
【0036】
本発明の1つの態様において、少なくとも部分的にBa2+型である前記樹脂(樹脂ベッド)は、実質的にBa2+型である。クロマトグラフィー分離プロセスの間に、クロマトグラフィーカラムの平衡化が起き、それによって、少なくとも部分的にBa2+型である前記樹脂ベッドは、H+、Na+及びK+等のアルカリ金属カチオン、及びCa2+及びMg2+等のアルカリ土類金属カチオンのような他のイオンさえも含み得る。
【0037】
少なくとも部分的にBa2+型である前記樹脂は、カチオン交換樹脂を指す。
【0038】
Ba2+型以外の前記樹脂(樹脂ベッド)は、Ba2+以外のカチオンの形態の樹脂を指す。前記樹脂は、典型的には、カチオン交換樹脂であり、ここでカチオンは、水素形態(H+)、NH4+形態、又はNa+、K+、Mg2+及びCa2+等のアルカリ金属及びアルカリ土類金属から選択された金属の形態にある。特に好ましい金属は、Ca2+である。
【0039】
本発明に従った、マンノースを得るためのクロマトグラフィー分離は、典型的には、強酸性カチオン交換樹脂を用いて行われる。好ましい樹脂は、架橋スチレンジビニルベンゼンベースの樹脂である。樹脂の適当な架橋度は、1ないし20重量%、好ましくは3ないし8重量%である。樹脂の平均粒子サイズは、通常、10ないし2000μm、好ましくは、100ないし400μmである。ゼオライトベースの分子篩も使用され得る。
【0040】
本発明に従った、クロマトグラフィー分離に使用される溶離剤は、水、溶媒、例えば、アルコールか、又はそれらの混合物である。好ましい溶離剤は水である。
【0041】
溶離は、好ましくは10ないし95℃、より好ましくは30ないし95℃、最も好ましくは55ないし85℃の温度で行われる。
【0042】
本発明のクロマトグラフィー分離プロセスは、マンノースが溶液形態のマンノース画分を提供する。クロマトグラフィー分離によって得られるマンノース生成物は、RDSに基づき、45ないし80%の典型的な純度のマンノースである。
【0043】
クロマトグラフィー分離の収率を改善するために、クロマトグラフィー分離の再循環画分も使用され得る。
【0044】
本発明のクロマトグラフィー分離プロセスは、更に、膜濾過、イオン交換、蒸発、濾過及び誘導化から選択される1種以上の精製工程を含み得る。これらの精製工程は、前記クロマトグラフィー分離工程/工程群の前、後又は間に行われ得る。
【0045】
イオン交換は、典型的には、例えば、SO4イオンからマンノース含有溶液を精製するために行われる。
【0046】
誘導化方法においては、マンノース誘導体が形成され、その後、マンノースが、このようにして得られた誘導体から再生される。有用なマンノース誘導体の1つの例として、N−フェニル−D−マンノピラノシルアミンがある。
【0047】
クロマトグラフィー分離から得られたマンノース溶液は、結晶化によって更に精製され、結晶性マンノース生成物が得られ得る。結晶化は、典型的には、水、アルコール及び水とアルコールの混合物から選択された溶媒を使用して行われる。本発明の好ましい態様において、結晶化は、エタノールと水の混合物を用いて行われる。
【0048】
結晶化は、クロマトグラフィー分離から得られたマンノース溶液又はマンノースシロップを適当な乾燥物質含有率まで(例えば、約85%のRDSまで)蒸発させることによって行われる。煮沸シロップには、マンノースの種結晶が播種され得る。種結晶を使用する場合は、種結晶を結晶化溶媒中に懸濁させる。結晶化溶媒は、水、溶媒、例えばアルコールか、又はそれらの混合物であり得る。典型的な結晶化溶媒はエタノールである。結晶塊を室温まで冷却した後、結晶化溶媒が添加される。結晶塊は、その後、一定の期間、好ましくは3ないし6日、典型的には室温において放置され得、その後、結晶が濾去される。その濾過ケークは、結晶化溶媒で洗浄される。高純度のマンノース結晶が得られる。
【0049】
結晶化によって、RDSに基づき、90%以上の、好ましくは95%以上の、最も好ましくは99%以上の純度を有する結晶性マンノースが得られる。
【0050】
本発明の方法は、出発マンノース含有溶液の組成に依存して、キシロース、ラムノース及びアラビノース等の他の糖の分離も含み得る。他の糖の分離は、典型的には、マンノースの分離の前に行われる。
【0051】
従って、本発明の方法は、前処理工程として、キシロースの分離も含み得る。キシロースの回収は、様々な方法によって、例えば、沈殿結晶化によって行われ得る。
【0052】
キシロースの沈殿結晶化は、好ましくは、マンノースのクロマトグラフィー分離の直前に行われる。
【0053】
キシロースの沈殿結晶化において、マンノース及び多少のキシロースを含有する溶液は、結晶化工程を受けさせられる。キシロースの沈殿結晶化は、典型的には、前記溶液を所望の乾燥物質含有率まで蒸発させ、キシロースの種結晶を溶液に播種し、そしてその後、所望の冷却プログラムに従って、結晶塊を冷却することによって行われる。結晶塊を濾去し、キシロースケーク及びマンノース含有結晶化流出液を得る。キシロースは、結晶化ケ
ークから回収され、マンノース含有流出液は、本発明に従って高純度のマンノースを得るために、上記クロマトグラフィー精製を受けさせられる。
【0054】
本発明の方法は、好ましくは前処理工程として、アラビノースの分離も含む。アラビノースの分離は、キシロースの沈殿結晶化の前に行われ得る。クロマトグラフィー分離が、典型的には、アラビノースの回収のために使用される。アラビノースのクロマトグラフィー分離は、好ましくは、水素、アンモニウム及びアルカリ金属カチオンから選択される、1価のカチオンの形態のクロマトグラフィー分離樹脂ベッドを使用して行われる。前記1価のカチオンは、典型的には、H+、Na+、K+及びNH4+から選択される。アラビノース画分が回収される。クロマトグラフィー分離樹脂は、好ましくは、強酸性カチオン交換樹脂である。
【0055】
アラビノース画分は、更なるクロマトグラフィー精製を受けさせられ得る。アラビノース画分のクロマトグラフィー精製は、典型的には、アルカリ土類金属の、好ましくはCa2+の形態のクロマトグラフィー分離樹脂ベッドを使用した、少なくとも1工程を含む。このようにして得られたアラビノース画分も結晶化させられ得る。
【0056】
本発明の方法は、前処理工程として、ラムノースの分離も含み得る。ラムノースの分離は、典型的には、アラビノースの分離の前に行われる。
【0057】
キシロースが豊富な原料については、本発明の方法は、前処理工程として、キシロースの分離も含み得る。キシロースの分離は、典型的には、アラビノースの分離の前に行われる。
【0058】
本発明の方法は、例えば、リグノスルホネート、酸(有機酸及び無機酸)及び塩を除去するために、膜濾過、例えば、限外濾過及びナノ濾過、イオン交換、蒸発及び濾過等の更なる精製工程も含み得る。
【0059】
マンノースを含有する出発溶液は、典型的には、糖等の炭水化物を含有する混合物である。前記溶液は、マンノースに加えて、例えば、キシロース、ガラクトース、グルコース、ラムノース、アラビノース及びフルクトースを含み得る。
前記混合物は、2糖類及びそれ以上の多糖類も含み得る。
【0060】
炭水化物の混合物を含有する材料は、典型的には、バイオマス、一般的には、軟木又は硬木、わら、トウモロコシの苞葉、トウモロコシの穂軸、トウモロコシ繊維及びテンサイ等のマンノース含有植物材料から誘導される。出発物質は、原則として、例えば、前加水分解、全加水分解、水蒸気加水分解、酵素加水分解又は酸加水分解によって得られた加水分解物の形態で使用される。
【0061】
本発明に従ってマンノースの回収において使用されるバイオマス加水分解物は、典型的には、パルピング加工から得られる古液である。古液は、本質的には、酸性、塩基性又は中性スルフィットパルピングによって得られ得る古フルフィットパルピング液である。バイオマス加水分解物、例えば、古液が、ポリマー形態のマンノースを含む場合、ポリマー状のマンノースは、クロマトグラフィー分離工程の前に、酸又は酵素によって加水分解され得る。
【0062】
本発明において有用な典型的な古液は、好ましくは、酸性スルフィットパルピングから得られるマンノース含有古液である。古液は、スルフィットパルピングから直接得られ得る。それは、スルフィット蒸煮から得られる濃縮スルフィットパルピング液又は副放出液(side−relief)でもあり得る。それは、クロマトグラフィーによってスルフ
ィットパルピング液から得られるマンノース含有画分でもあり得る。
【0063】
本発明において、処理される液は、バイオマスの蒸解又は加水分解から得られるいかなる他の古液でもあり得、典型的には、リグノセルロース系材料の酸加水分解から得られる加水分解物である。このような加水分解物は、例えば、塩酸、硫酸又は二酸化硫黄等の無機酸で処理することによって、又は、蟻酸もしくは酢酸等の有機酸で処理することによって、リグノセルロース系材料から得られ得る。フェノールベースのパルピング及びエタノールベースのパルピング等の溶媒ベースのパルピングから得られる古液も使用され得る。
【0064】
マンノース含有出発溶液は、例えば、ラムノースの分離後に回収される古スルフィットパルピング液であり得る。前記出発溶液は、キシロースの分離後に回収される古スルフィットパルピング液でもあり得る。
【0065】
本発明に従って得られるマンノース生成物は、典型的には、D−マンノースを含む。
【実施例】
【0066】
以下の実施例で本発明を説明する。実施例は、いかなる方法においても本請求の範囲を制限すると解釈されるべきではない。
以下の実施例において、以下の定義が使用される:
DSは、特に記載がない限りは、カール フィッシャー滴定により測定された乾燥物質含有率を指し、重量%で示される。
クロマトグラフィー及び他の分離から得られる画分の様々な成分の含有率(DSに基づき%で示す。)は、HPLC法を使用して測定された。
【0067】
実施例1
実施例1の多工程方法を記載した方法略図を図7に示す。
本方法の第1工程において使用した出発液は、キシロース及びラムノース回収後のCa2+ベースのスルフィット古液から分離したマンノース含有副流液(side stream)であった。樺の木がスルフィットパルピングの原料として使用された。
ラムノースの分離後に回収されたマンノース含有副流液にクロマトグラフィー分離を受けさせ、マンノース画分及びアラビノース画分(クロマトグラフィー分離A)を得た。マンノース画分に分離B(キシロース沈殿結晶化)を受けさせ、キシロースケーク及びマンノースを含む結晶化流出液を得た。キシロースの結晶化からのマンノース含有流出液に、3連続クロマトグラフィー分離(C.1)、(C.2)及び(C.3)を受けさせた。最後のクロマトグラフィー分離からのマンノース画分でマンノースを結晶化させた。
分離(A)からのアラビノース画分に2連続クロマトグラフィー分離(E.1)及び(E.2)を受けさせ、精製されたアラビノースを回収した。
ラムノースの分離後に得られる出発マンノース含有液は以下の組成であった。
【表1】

【0068】
(A)Na+型SAC樹脂を使用したアラビノースの分離
供給材料から塩を除去し、かつ溶離分布の末端からアラビノースを回収するために、Na+形態の強酸性カチオン交換樹脂を使用した。分離は、以下の分離条件を使用して行った。
【表2】

分離(A)から回収されたマンノース及びアラビノース画分の組成を以下の表1に示す。表1.DSに基づく、マンノース及びアラビノース画分の組成(%)
【表3】

DSに基づくマンノース純度が19%で、DSに基づくキシロース純度が43%のマンノースの収率は38%であった。
分離(A)の濃度分布を図1に示す。
【0069】
(B)キシロースの沈殿結晶化
DSに基づくキシロース含有率が約43%の、分離(A)から得られたマンノース画分に、沈殿結晶化を受けさせ、キシロースを分離した。
キシロースの沈殿結晶化は、約200Lの結晶器を1台使用したパイロットスケールで行った。供給液を、87.5%の最終DSまで蒸発させた。このバッチにキシロースの種結晶を、煮沸槽中で播種した。塊を、48時間以内に、60℃から31℃まで冷まし、その後、塊を24時間、31℃において維持した。希釈は行わなかった。塊を、混合機(mingler)へ滴下し、その後、濾過を行った。
キシロース沈殿結晶化の結果を表2に示す。表は、DSに基づく、結晶化供給材料、ケーク及び流出液中の様々な成分の含有率(%)を示す。
表2.
キシロース沈殿結晶化の分析結果
【表4】

結晶化流出液のマンノース純度は、DSに基づき約24%まで増加し、キシロース純度は、約30%まで減少した。
【0070】
(C)マンノース分離
(C.1.)Ba2+型SAC樹脂を用いたマンノースの分離
キシロース沈殿結晶化から得られた流出液画分に、Ba2+型SAC樹脂を用いたクロマトグラフィー分離を受けさせた。分離は、以下の分離条件を使用して行った。
【表5】

マンノースの収率が70%で回収されたマンノース画分が得られ、DSに基づく総純度49%が得られた。マンノース及びキシロース画分の組成を表3に示す。
表3.DSに基づく、Ba2+型SAC樹脂を用いた第1分離からのマンノース及びキシロース画分の組成(%)
【表6】

分離(C.1)の濃度分布を表に示す。
【0071】
(C.2.)Ba2+型SAC樹脂を用いた分離
第2のBa2+型SAC樹脂を用いて分離を行い、前工程(分離C.1)から得られたマンノース画分を精製した。上記分離(C.1)と同様の分離条件を使用した。
分離から得られたマンノース画分は、マンノースの収率が68%で、DSに基づく純度は63%であった。DSに基づく、マンノース及びキシロース画分の組成(%)を表4に
示す。
表4.Ba2+型SAC樹脂を用いた第2分離からのマンノース及びキシロース画分の組成(%)
【表7】

キシロース画分は、依然としてマンノースを40%含む。
分離(C.2)の濃度分布を表に示す。
【0072】
(C.3.)Ca2+型SAC樹脂を用いた分離
分離(C.2)から得られたマンノース画分に、Ca2+型SAC樹脂を用いた更なるクロマトグラフィー分離を受けさせた。分離は、以下の分離条件を使用して行った。
【表8】

DSに基づく、マンノース画分の組成(%)を表5に示す。
表5.Ca2+型SAC樹脂を用いた分離から得られたマンノース画分の組成(%)
【表9】

DSに基づき、80%の純度のマンノース画分が、70%のマンノース収率で得られた。分離(C.3)の濃度分布を表4に示す。
【0073】
D.マンノースの結晶化
(D.1)水−エタノール溶媒を使用したマンノースの結晶化(バッチ1)
純粋なマンノースの屈折計による乾燥固体含有率に基づき、DSが51%、マンノース含有率が78%のマンノースシロップ2924gを、86.2%のRDSまで蒸発させ、30℃の温度において、2L反応容器へ移した。DSに基づき0.03%の種を、煮沸シロップに播種した(30℃、RDS86.2%)。種を、エタノール10mLに懸濁させた。
塊を、30℃の温度から25℃の温度まで冷ました。エタノール800gを塊にゆっくり添加した。
播種から5日後、圧力フィルターを用いて、結晶を濾過した。濾過によって、93.0%の純度のケーク(不純物としてエタノール溶媒を含む)及び52.5%の純度の母液(不純物としてエタノール溶媒を含む)を得た。これは、41%のマンノース収率に相当する。結晶サイズは、10ないし20μmの範囲であった。
濾過ケークを、エタノールで2回洗浄した。結晶を遠心分離し、40℃で24時間乾燥させた。結晶は、0.3%の結晶水含有率、及び99.9%のマンノース含有率であった。
【0074】
(D.2)水−エタノール溶媒を使用したマンノースの結晶化(バッチ2)
純粋なマンノースの屈折計による乾燥固体含有率に基づき、DSが50%、マンノース含有率が93%のマンノースシロップ1230gを、84.1%のRDSまで蒸発させ、30℃の温度において、2L反応容器へ移した。DSに基づき0.03%の種を、煮沸シロップに播種した(30℃、RDS84.1%)。種を、エタノール10mLに懸濁させた。
塊を、30℃の温度から20℃の温度まで冷ました。エタノール300gを塊にゆっくり添加した。
播種から3日後、結晶を遠心分離した。遠心分離によって、96.0%の純度のケーク(不純物としてエタノール溶媒を含む)を得た。遠心分離の結果は、50%のマンノース収率に相当する。結晶サイズは、30ないし50μmの範囲であった。
遠心分離ケークを、エタノールで2回洗浄した。結晶を遠心分離し、40℃で24時間乾燥させた。結晶水含有率は0.2%であると分析され、かつ結晶マンノース含有率は、99.7%であった。
【0075】
(D.3)溶媒として水を使用したマンノースの結晶化
純粋なマンノースの屈折計による乾燥固体含有率に基づき、DSが50%、マンノース含有率が80%のマンノースシロップ1552gを、86.7%のRDSまで蒸発させ、60℃の温度において、1L反応容器へ移した。DSに基づき0.07%の種を、煮沸シロップに播種した(60℃、RDS86.7%)。
塊を、60℃の温度から25℃の温度まで冷ました。播種から6日後、遠心分離ケークを、99.5%の純度で得た。遠心分離の結果は、30%のマンノース収率に相当する。結晶サイズは、30ないし50μmの範囲であった。
【0076】
(E)アラビノース画分の精製
分離(A)から得られたアラビノース画分は、DSに基づき10%の純度を有した。この画分を、Ca2+型SAC樹脂を用いて更に精製した。
【0077】
(E.1)Ca2+型SAC樹脂を用いたアラビノース画分の精製
分離を、以下の分離条件で行った。
【表10】

DSに基づく、供給材料、キシロース及びアラビノース画分の組成(%)を表6に示す。表6.Ca2+型樹脂を用いた第1分離からの、供給材料、キシロース及びアラビノース画分の組成
【表11】

分離(E.1)の濃度分布を図5に示す。
【0078】
(E.2)Ca2+型SAC樹脂を用いたアラビノース画分の繰返し精製
分離(E.1)から得られたアラビノース画分に、Ca2+型樹脂を用いて、もう1回の精製を受けさせた。分離は、以下の条件で行った。
【表12】

DSに基づく、供給材料、キシロース及びアラビノース画分の組成(%)を表7に示す。表7.Ca2+型樹脂を用いた第2分離からの、供給材料及びキシロース及びアラビノース画分の組成
【表13】

アラビノースは、収率85%で回収された。
分離(E.2)の濃度分布を図6に示す。
技術が進歩するにつれ、本発明の概念が様々な方法で実行され得ることは、当業者にとって明らかである。本発明及びその態様は上記された実施例に制限されず、本請求の範囲の範囲内で変更され得る。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンノース含有植物材料の加水分解物溶液であって、該加水分解物溶液はリグノセルロース系材料から派生する加水分解物である溶液からマンノースを回収する方法であって、前記溶液を、樹脂がBa2+型の陽イオン交換樹脂であるクロマトグラフィー分離樹脂ベッドの少なくとも1種類、及び樹脂がCa2+型の陽イオン交換樹脂であるクロマトグラフィー分離樹脂ベッドの少なくとも1種類、を用いてクロマトグラフィー分離プロセスを受けさせる工程、そして
少なくとも1つの、マンノース純度が80%以上の純度を有するマンノース画分を回収する工程、
を含む、方法。
【請求項2】
前記クロマトグラフィー分離プロセスが、少なくとも2種類のクロマトグラフィー分離工程を含み、
これらの工程の少なくとも1つが、前記溶液を、樹脂がBa2+型の陽イオン交換樹脂であるクロマトグラフィー分離樹脂ベッドを用いて行われ、そしてこれらの工程の少なくとも1つが、樹脂がCa2+型の陽イオン交換樹脂であるクロマトグラフィー分離樹脂ベッドを用いて行われるものである、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
マンノース含有植物材料の加水分解物溶液であって、該加水分解物溶液はリグノセルロース系材料から派生する加水分解物である溶液を、樹脂がBa2+型の陽イオン交換樹脂であるクロマトグラフィー分離樹脂ベッドを含む第1のクロマトグラフィーカラムへ供給する工程、
前記カラムを溶離液を用いて溶出をする工程、
第1のマンノース画分を回収する工程、そして次に
前記第1のマンノース画分を、樹脂がCa2+型の陽イオン交換樹脂であるクロマトグラフィー分離樹脂ベッドを含む第2のクロマトグラフィー分離カラムへ供給する工程、
前記カラムを溶離液を用いて溶出をする工程、そして
少なくとも1つの、マンノース純度が80%以上の純度を有する第2のマンノース画分を回収する工程、
を含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記クロマトグラフィー分離プロセスが、樹脂がBa2+型の陽イオン交換樹脂であるクロマトグラフィー分離樹脂ベッドを用いた少なくとも2つのクロマトグラフィー分離工程を含み、そして
樹脂がCa2+型の陽イオン交換樹脂であるクロマトグラフィー分離樹脂ベッドを用いた1つの分離工程を含む、
請求項2記載の方法。
【請求項5】
マンノース含有植物材料の加水分解物溶液であって、該加水分解物溶液はリグノセルロース系材料から派生する加水分解物である溶液を、樹脂がBa2+型の陽イオン交換樹脂であるクロマトグラフィー分離樹脂ベッドを含む第1のクロマトグラフィーカラムへ供給する工程、
前記カラムを溶離液を用いて溶出をする工程、
第1のマンノース画分を回収する工程、
第1のマンノース画分を、樹脂がBa2+型の陽イオン交換樹脂であるクロマトグラフィー分離樹脂ベッドを含む第2のクロマトグラフィーカラムへ供給する工程、
前記カラムを溶離液を用いて溶出をする工程、
、第2のマンノース画分を回収する工程、そして次に
前記第2のマンノース画分を、樹脂がCa2+型の陽イオン交換樹脂であるクロマトグラフィー分離樹脂ベッドを含む第3のクロマトグラフィー分離カラムへ供給する工程、
前記カラムを溶離液を用いて溶出をする工程、そして
少なくとも1つの、マンノース純度が80%以上の純度を有する第3のマンノース画分を回収する工程、
を含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記クロマトグラフィー分離プロセスが、強酸性カチオン交換樹脂を用いて行われる請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記クロマトグラフィー分離プロセスにより、マンノース、及びアラビノース、キシロース、ガラクトース、ラムノース及びフルクトースから選択される更なる糖を含むマンノース画分が得られる請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記方法が更に、前記クロマトグラフィー分離工程/工程群の前、後又は間に行われる、膜濾過、イオン交換、蒸発及び濾過から選択される1種以上の精製工程を含むことを含む請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記方法が更に、マンノースを結晶化させ、結晶性マンノース生成物を得ることを含む請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記結晶化が、水、アルコール、及び水とアルコールの混合物から選択される溶媒を用いて行われる請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記結晶化により、マンノース純度が90%以上の純度を有する結晶性マンノースが得られる請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記結晶化により、マンノース純度が95%以上の純度を有する結晶性マンノースが得られる請求項9記載の方法。
【請求項13】
前記結晶化により、マンノース純度が99%以上の純度を有する結晶性マンノースが得られる請求項9記載の方法。
【請求項14】
前記結晶化により、マンノース純度が90%ないし99.9%の純度を有する結晶性マンノースが得られる請求項9記載の方法。
【請求項15】
前記方法が更に、キシロース、アラビノース及びラムノースから選択される他の糖の分離も含む請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記方法が、前処理工程として、キシロースの分離を含む請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記キシロースの分離が、結晶化によって行われる請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記方法が更に、アラビノースの分離を含む請求項15記載の方法。
【請求項19】
前記アラビノースの分離が、キシロースの沈殿結晶化の前に行われる請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記アラビノースの分離が、クロマトグラフィー分離プロセスによって行われてアラビノース画分が回収される請求項18又は19記載の方法。
【請求項21】
前記クロマトグラフィー分離が、1価のカチオン型のクロマトグラフィー分離樹脂ベッドを使用して行われ、前記1価のカチオンが、H+、NH4+、Na+及びK+から選択される、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記アラビノースの分離が、強酸性カチオン交換樹脂を用いて行われる請求項20記載の方法。
【請求項23】
前記方法が、更に、前処理工程として、ラムノースの分離を含む請求項20記載の方法。
【請求項24】
前記ラムノースの分離が、アラビノースの分離の前に行われる請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記マンノース含有植物材料の加水分解物溶液が、マンノース、及びキシロース、アラビノース、ラムノース、ガラクトース、グルコース及びフルクトースから選択される更なる糖を含む、請求項1記載の方法。
【請求項26】
前記マンノース含有植物材料の加水分解物溶液が、マンノース、及びキシロース、アラビノース及びラムノースから選択される更なる糖を含む、請求項1記載の方法。
【請求項27】
前記マンノース含有植物材料の加水分解物溶液が、軟木又は硬木から派生する加水分解物である請求項1記載の方法。
【請求項28】
前記マンノース含有植物材料の加水分解物溶液が、古スルフィットパルピング液である請求項25記載の方法。
【請求項29】
前記マンノースがD−マンノースである請求項1記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−56946(P2013−56946A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−282814(P2012−282814)
【出願日】平成24年12月26日(2012.12.26)
【分割の表示】特願2003−556555(P2003−556555)の分割
【原出願日】平成14年12月30日(2002.12.30)
【出願人】(504252536)
【Fターム(参考)】