説明

糖尿病性歯周炎の治療のための組成物

本発明は、ソリダゴ種(Solidago sp.)の一部分(前記部分は地上で生育した部分である)のエキス又は該エキスの溶媒分の除去後に有効成分として残留する固体残渣の、糖尿病性歯周炎の治療に好適な医薬組成物の調製における使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アキノキリンソウ(ソリダゴ(Solidago))種の一部分(ここで、一部分とは、地上で生育する部分である)のエキス又はエキスの溶媒分の除去後に有効成分として残留する固体残渣の、糖尿病性歯周炎の治療に適する医薬組成物の調製における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔内で生ずる疾患の中でも、歯肉炎及び歯周炎(すなわち、歯周病)は極めて広くはびこっており、その結果、これらは汎発病と考えられる(Jenkins, W.M.及びPapapanou, P.N., 子供及び若者における歯周病の疫学, Peridontology 2000, 26, 16-32(2001))。歯肉炎は、子供を含む人口の70〜90%において発生する。歯肉炎の場合、歯ぐき(すなわち、歯肉)が腫れ、赤くなり、容易に出血する。歯肉炎を治療しないまま放置すると、歯周炎の発症につながる。
【0003】
歯周炎は人口の2/3以上に広がっている(Murray, J.J., The Prevention of Dental Disease, Oxford University Press, 1988, 10章:慢性の歯周病の予防とコントロール, 328-372)。歯周炎は、歯を支え及び歯に付着する組織の疾患であり、疾患の重症度に応じて異なる段階を有する。歯周炎を未処置のまま放置すると、歯ぐきと歯との間に隙間(すなわち、歯周ポケット)の形成、歯を顎に取付ける歯周靭帯の喪失、歯槽骨の喪失及び最後に、歯の喪失を生ずる。30歳以上では、歯周炎によって喪失する歯の数が、ますます多くなる。歯周炎は、歯群全体に広がるか、又は局所的に生ずる(限局性歯周炎又は歯周ポケットの炎症)。歯周炎の発症の重大な危険因子としては、年齢、環境因子(例えば、喫煙)及び各種の系統的疾患が含まれる(Mealey, B.L., Perodontal Implications: Medically Compromised Patients, Ann. Periodontol., 1, 256-321 (1996))。
【0004】
糖尿病患者では、平均的なヒトよりも、重篤な歯周炎が明らかに発症し易い(Axelsson, P., 歯周疾患の診断及び危険の予測, Quintessence Publishing Co., Ltd., 2002, p. 175)。歯周炎は、糖尿病のよくある合併症であり、おそらく、慢性の炎症、骨形成の減少及び組織の再生を低減させる微小循環障害に関連し、これらは全て糖尿病によって発現する(Kathryn, E.ら, 炎症、ストレス及び糖尿病, J. Clin. Invest., 115, 1111-1119 (2005));Hongbing, H.ら, 糖尿病は、破骨細胞形成の増大、骨形成の減少及びバクテリア刺激骨喪失における骨芽細胞のアポトーシスの促進の原因となる, Endocrinology, 145, 447 (2005);McMullen, J.A.ら, 特に前糖尿病状態に関する糖尿病患者の歯肉組織内の細小血管障害, Periodontics, 5, 61-69 (1967))。糖尿病性歯周炎は、特に、若年者において発症するタイプ1真性糖尿病(IDDM)の場合、患者が30歳に達する以前でも歯を喪失することがあるため、重大な問題である。しかし、糖尿病と歯周炎との間の相互作用は2つの方向性を有する:糖尿病において代表的である悪い代謝状態が、患者を歯周炎にかかりやすくするとの事実に加えて、この結果として、代謝平衡の悪化を生ずる(Losche, W.ら, 壊滅的な歯周疾患にかかった患者における血漿脂質及び血糖レベル, J. Clin. Periodontal., 2000 Aug. 27(8), 537-41)。
【0005】
歯肉の治療には、薬用ハーブエキスを含有するマウスウォッシュ、トゥースペースト又はトゥースジェルが広く使用されている。例えば、ドイツ国特許第1959275号には、口腔内における炎症の低減を達成するために、カモミールエキスを含有するマウスケア組成物が記載されている。ハンガリー国特許第207792号には、一般的なキャリヤーに加えて、質量比1:5〜5:1のヘラオオバコ(Plantago lanceolata)及びソリダゴ・カナデンシス(Solidago canadensis)のエキス及びpH7.0〜8.2を有する薬用水を含有する、口腔内の炎症及び歯肉炎を低減するためのトゥースペースト及びマウスウォッシュが記載されている。
【0006】
薬草エキスを含有するマウス及びトゥースケア組成物の場合、その目的は、もちろん、歯肉炎、歯ぐき(すなわち、歯肉)の出血及び歯石の形成の低減にある。歯周炎は、マウス及びトゥースケア組成物の適用対象となる、より重篤な状態である。いくつかの科学文献では、薬草エキスの効果が評価されている。Pistorius, A.らは、薬草(ヤクヨウサルビア(Salvia officinalis)、ペパーミント(Mentha piperita)、メントール、カモミール、コミフォーラ・ミーラ(Commiphora myrrha)、ヒメウイキョウ(Carum carvi)、チョウジ(Eugenia caryophylus)及びエキナセア・プルプリア(Echinacea purpuria))を含有するマウスウォッシュを、3ヶ月間の炎症治療において検討している。研究の終了時、歯ぐきの出血は減少したが、炎症を起こした歯周ポケットの深さは減少しなかった(Pistorius, A.ら, 歯肉の炎症に関する、薬草エキスを使用する歯肉縁下洗浄の効力, J. Periodontol., 74, 616-622 (2003))。しかし、Van der Weijden, G.A.らは、3種の薬草(セイヨウネズ(Juniperus communis)、セイヨウイラクサ(Urtica dioica)及びアキラエア・ミレフォリウム(Achillaea millefolium))のエキスを含有するマウスウォッシュを検討したが、歯石の形成及び歯ぐきの状態に関する何らの効果も見い出されなかった(Van der Weijden, G.A.ら, 既存のプラーク及び歯肉炎に関する実験用マウスリンス中の薬草エキスの効果, J. Clin. Periodontal., 25, 399-403 (1998))。Chan, T.らは、動物における歯周炎に関する薬草を基材とする漢方薬の効果を検討しており、実験的に惹起させた歯周炎の治療において、炎症、歯槽骨の吸収及び歯周炎の改善に関して、処置した動物とコントロール動物との間に有意差は見い出されなかったと述べている(Chan, Y.ら, 歯周病原体に対する漢方薬草の効果に関する評価, Am. J. Chln. Med., 31(5), 751-61 (2003))。このように、薬草エキスを含有するマウス及びトゥースケア組成物は、最大、歯肉炎を低減するか、又はその発症を防止できるが、存在する歯周炎の治療には好適ではないことが明らかである。
【0007】
糖尿病性歯周炎の治療の間の臨床では、初に、口内の悪い衛生状態を、殺菌剤による治療及び歯石の除去によって改善する。この処置後又は平行して、抗生物質、例えば、ドキシサイクリンによって歯周炎を治療する。しかし、抗生物質治療は、特に、長期間行われる場合には、望ましくない副作用があり、患者は、一般に、このような副作用を回避することを望んでいる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、実質的に副作用を持たず、糖尿病性歯周炎の有効な治療に好適な、抗生物質以外の組成物を調製することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者らは、アキノキリンソウ(ソリダゴ(Solidago))種の一部分(ここで、一部分とは、地上で生育する部分である)のエキス又はエキスの溶媒分の除去後に有効成分として残留する固体残渣から調製された医薬組成物が、糖尿病性歯周炎の効果的な治療に使用されるとの知見を得た。
かかる事実は、薬草エキスを含有する組成物について行われた研究の上述の結果に基づけば、当業者は、歯周炎、特に糖尿病性歯周炎を薬草エキスによって治療することを想起しないため、当業者にとっては驚くべきことである。
このように、本発明は、ソリダゴ種の一部分(ここで、一部分とは、地上で生育する部分である)のエキス又はエキスの溶媒分の除去後に有効成分として残留する固体残渣の、糖尿病性歯周炎の治療に適した医薬組成物の調製における使用にある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
表現「ソリダゴ種(Solidago sp.)」とは、分類学的表記として、下記の薬用植物を意味するものである。
【0011】
綱:モクレン(Magnoliopsida)
亜綱:キク(Asteridae)
科:キク(Asteraceae)
属:アキノキリンソウ(Solidago L.)
種:
ソリダゴ・アスペストリス(Solidago alpestris)
ソリダゴ・アルピコラ((S. alpicola)
ソリダゴ・カンブリカ(S. cambrica)
ソリダゴ・カナデンシス(S. canadensis)
ソリダゴ・ギガンテア(S. gigantea)
ソリダゴ・ギガンテア・亜種セロチナ(S. gigantea ssp. Serotina)
ソリダゴ・グラミニフォリア (L.) Salisb.(Solidago graminifolia (L.) Salisb.)
ソリダゴ・ハルトマンイアナ(S. hartmanniana)
ソリダゴ・×ヒルチペス・Fern(Solidago ×hirtipes Fern.)
ソリダゴ・ホルバティー(S. horvatii)
ソリダゴ・ジャイラルム(S. jailarum)
ソリダゴ・ラッポニカ(S. lapponica)
ソリダゴ・ロンギフォリア(S. longifolia)
ソリダゴ・マクロリッザ((S. macrhorriza)
ソリダゴ・マリチマ(S. maritima)
ソリダゴ・ミヌタ(S. minuta)
ソリダゴ・モニコラ(S. monicola)
ソリダゴ・×ニエデレデリ(Solidago ×niederederi)
ソリダゴ・セプシエンシス(S. scepusiensis)
ソリダゴ・パウチフロスクロサ(Solidago pauciflosculosa)
ソリダゴ・プリチェリ(S. pritcheri)
ソリダゴ・セロチナ(S. serotina)
ソリダゴ・ショーティー(S. shortii)
ソリダゴ・タウリカ(S. taurica)
ソリダゴ・バレシアカ(S. valesiaca)
ソリダゴ・ビルガウレア(S. virgaurea)
ソリダゴ・ビルガウレア・亜種アルペストリス(S. virgaurea ssp. alpestris)
ソリダゴ・ビルガウレア・亜種マクロリッザ(S. virgaurea ssp. macrorrhiza)
ソリダゴ・ビルガウレア・亜種ミヌタ(S. virgaurea ssp. minuta)
ソリダゴ・ビルガウレア・亜種バルガリス(S. virgaurea ssp. vulgaris)
ソリダゴ・バルガリス(S. vulgaris)
ソリダゴ・アルグタ・Ait.・亜種カロリニアナ・(Gray)・G. Morton(Solidago arguta Ait. ssp. caroliniana (Gray) G. Morton)
ソリダゴ・アルグタ・Ait.・亜種シュードヤドキネンシス・G. Morton(Solidago arguta Ait. ssp. pseudoyadkinensis G. Morton)
ソリダゴ・ブッティー・Hook・変種カロリニアナ・(Gray)・Cronq.(Solidago boottii Hook var. caroliniana (Gray) Cronq.)
ソリダゴ・ヤドキネンシス・(Porter)・Small(Solidago yadkinensis (Porter) Small)
ソリダゴ・アルグタ・Ait.・変種ハリッシー・(Steele)・Cronq.(Solidago arguta Ait. var. harrisii (Steele) Cronq.)
ソリダゴ・ハリッシー・Steele(Solidago harrisii Steele)
ソリダゴ・アルグタ・Ait.・変種ネウロレピス・(Fern.)・Steyermark(Solidago arguta Ait. var. neurolepis (Fern.) Steyermark)
ソリダゴ・ネウロレピス・Fern.(Solidago neurolepis Fern.)
ソリダゴ・×アスペルラ・Desf.・(pro sp.)・[ルゴサ×セムペルビレンス](Solidago ×asperula Desf. (pro sp.) [rugosa×sempervirens])
ソリダゴ・アウリクラタ・Shuttlw.よりBlake(Solidago auriculata Shuttlw. ex Blake)
ソリダゴ・アムプレクシカウリス・Torr. & GrayよりGray, non Martens(Solidago amplexicaulis Torr. & Gray ex Gray, non Martens)
ソリダゴ・ノタビリス・Mackenzie(Solidago notabilis Mackenzie)
ソリダゴ・×ビュードリイ・Boivin・[ルゴサ×ウリギノサ](Solidago ×beaudryi Boivin [rugosa×uliginosa])
ソリダゴ・ビカラー・L.(Solidago bicolor L.)
ソリダゴ・ブラチフィッラ・Chapman(Solidago brachyphylla Chapman)
ソリダゴ・ブッティー・Hook・変種ブラチフィッラ・(Chapman)・Gray (Solidago boottii Hook. var. brachyphlla (Chapman) Gray)
ソリダゴ・バックレイ・Torr. & Gray(Solidago buckleyi Torr. & Gray)
ソリダゴ・カエシア・L.(Solidago caesia L.)
ソリダゴ・カエシア・L.・変種カエシア(Solidago caesia L. var. caesia)
ソリダゴ・アクシッラリス・Pursh(Solidago axillaris Pursh)
ソリダゴ・カエシア・L.・変種アクシッラリス・(Pursh)・Gray(Solidago caesia L. var. axillaris (Pursh) Gray)
ソリダゴ・カエシア・L.・変種カルティシー・(Torr. & Gray)・Wood(Solidago caesia L. var. curtisii (Torr. & Gray) Wood)
ソリダゴ・カエシア・L.・変種ヒスピダ・Wood(Solidago caesia L. var. hispida Wood)
ソリダゴ・カルティシー・Torr. & Gray(Solidago curtisii Torr. & Gray)
ソリダゴ・カルティシー・Torr. & Gray・変種プベンス・(M.A. Curtis)・Gray(Solidago curtisii Torr. & Gray var. pubens (M.A. Curtis) Gray)
ソリダゴ・ランチフォリア・Torr. & Gray (Solidago lancifolia Torr. & Gray)
ソリダゴ・モンティコラ・Torr. & Gray (Solidago monticola Torr. & Gray)
ソリダゴ・プベンス・M.A. Curtis(Solidago pubens M.A. Curtis)
ソリダゴ・カルチコラ・Fern.(Solidago calcicola Fern.)
ソリダゴ・カリフォルニカ・Nutt.(Solidago californica Nutt.)
カナダアキノキリンソウ(Solidago canadensis L.)
ソリダゴ・カナデンシス・L.・変種カナデンシス(Solidago canadensis L. var. Canadensis)
ソリダゴ・カナデンシス・L.・変種ギルボカネッセンス・Rydb.(Solidago canadensis L. var. gilvocanescens Rydb)
ソリダゴ・アルティッシマル・L.・変種ギルボカネッセンス・(Rydb.)・Semple(Solidago altissima L. var. gilvocanescens (Rydb.) Semple)
ソリダゴ・ギルボカネッセンス・(Rydb.)・Smyth(Solidago gilvocanescens (Rydb.) Smyth)
ソリダゴ・プルイノサ・Greene(Solidago pruinosa Greene)
ソリダゴ・カナデンシス・L.・変種ヘルゲリ・Fern.(Solidago canadensis L. var. hargeri Fern.)
ソリダゴ・カナデンシス・L.・変種レピダ・(DC.)・Cronq.(Solidago canadensis L. var. lepida (DC.) Cronq.)
ソリダゴ・カナデンシス・L.・変種スブセラッタ・(DC.)・Cornq.(Solidago canadensis L. var. subserrata (DC.) Cronq.)
ソリダゴ・レピダ・DC.(Solidago lepida DC.)
ソリダゴ・レピダ・DC.・変種モリナ・Fern.(Solidago lepida DC. var. molina Fern.)
ソリダゴ・カナデンシス・L.・変種サレブロサ・(Piper)・M.E. Jones(Solidago canadensis L. var. salebrosa (Piper) M.E. Jones)
ソリダゴ・カナデンシス・L.・亜種エロンガタ・(Nutt.)・Keck(Solidago canadensis L. ssp. Elongata (Nutt.) Keck)
ソリダゴ・カナデンシス・L.・変種エロンガタ・(Nutt.)・M.E. Peck(Solidago canadensis L. var. elongata (Nutt.) M.E. Peck)
ソリダゴ・カナデンシス・L.・亜種サレブロサ・(Piper.)・Keck(Solidago canadensis L. ssp. Salebrosa (Piper) Keck)
ソリダゴ・デュメトラム・Lunell(Solidago dumetorum Lunell)
ソリダゴ・エロンガタ・Nutt.(Solidago elongata Nutt.)
ソリダゴ・レピダ・DC.・変種エロンガタ・(Nutt.)・Fern.(Solidago lepida DC. var. elongata (Nutt.) Fern.)
ソリダゴ・レピダ・DC.・変種ファラックス・Fern.(Solidago lepida DC. var. fallax Fern.)
ソリダゴ・カナデンシス・L.・変種スカブラ・Torr. & Gray(Solidago canadensis L. var. scabra Torr. & Gray)
ソリダゴ・アルティッシマ・L.(Solidago altissima L.)
ソリダゴ・アルティッシマ・L.・変種プルリセファラ・M.C. Johnson(Solidago altissima L. var. pluricephala M.C. Johnston)
ソリダゴ・アルティッシマ・L.・変種プロセラ・(Ait.)・Fern.(Solidago altissima L. var. procera (Ait.) Fern.)
ソリダゴ・ヒルスティッシマ・P. Mill.(Solidago hirsutissima P. Mill.)
ソリダゴ・ルネッリー・Rydb.(Solidago lunellii Rydb.)
ソリダゴ・カトレリ・Fern.(Solidago cutleri Fern.)
ソリダゴ・デアミー・Fern.(Solidago deamii Fern.)
ソリダゴ・ディスコイデア・Ell.(Solidago discoidea Ell.)
ソリダゴ・×エルスキネイ・Boivin・[カナデンシス×セムペルビレンス](Solidago ×erskinei Boivin [canadensis × sempervirens])
ソリダゴ・フィスタロサ・P. Mill.(Solidago fistulosa P. Mill.)
ソリダゴ・フラッシディフォリア・Small(Solidago flaccidifolia Small)
ソリダゴ・グラミニフォリア・(L.)・Salisb.(Solidago graminifolia (L.) Salisb.)
ソリダゴ・グラミニフォリア・(L.)・Salisb.・変種メジャー・(Michx.)・Fern.(Solidago graminifolia (L.) Salisb. var. major (Michix.) Fern.)
ソリダゴ・×ヒルティペス・Fern.(Solidago ×hirtipes Fern.)
ソリダゴ・グラミニフォリア・(L.)・Salisb.・変種ヌッタッリー・(Greene)・Fern.(Solidago graminifolia (L.) Salisb. var. nuttallii (Greene) Fern.)
ソリダゴ・グラミニフォリア・(L.)・Salisb.・変種ポリセファラ・(Fern.)・Fern.(Solidago graminifolia (L.) Salisb. var. polycephala (Fern.) Fern.)
ソリダゴ・ヒルテッラ・(Greene)・Bush(Solidago hirtella (Greene) Bush)
ソリダゴ・ヌッタッリー・(Greene)・Bush(Solidago nuttallii (Greene) Bush)
ソリダゴ・ポリセファラ・Fern.(Solidago polycephala Fern.)
ソリダゴ・カンポルム・(Greene)・A.. Nels(Solidago camporum (Greene) A.Nels)
ソリダゴ・クリソサムノイデス・(Greeene)・Bush(Solidago chrysothamnoides (Greene) Bush)
ソリダゴ・グラミニフォリア・(L.)・Salisb.・変種ギムノスペリモイデス・(Greene)・Croat(Solidago graminifolia (L.) Salisb. var. gymnospermoides (Greene) Croat)
ソリダゴ・グラミニフォリア・(L.)・Salisb.・変種メディア・(Greene)・S.K. Harris(Solidago graminifolia (L.) Salisb. var. media (Greene) S.K. Harris)
ソリダゴ・ギムノスペリモイデス・(Greene)・Fern.(Solidago gymnospermoides (Greene) Fern.)
ソリダゴ・ギムノスペリモイデス・(Greene)・Fern.・変種カロッサ・S.K. Harris(Solidago gymnospermoides (Greene) Fern. var. callosa S.K. Harris)
ソリダゴ・メディア・(Greene)・Bush(Solidago media (Greene) Bush)
ソリダゴ・モセレイイ・Fern.(Solidago moseleyi Fern.)
ソリダゴ・ペルグラブラ・Friesner(Solidago perglabra Friesner)
ソリダゴ・テキセンシス・Friesner(Solidago texensis Friesner)
ソリダゴ・レプトセファラ・Torr. & Gray(Solidago leptocephala Torr. & Gray)
ソリダゴ・オッシデンタリス・(Nutt.)・Torr. & Gray(Solodago occidentalis (Nutt.) Torr. & Gray)
ソリダゴ・ガレトラム・(Greene)・Friesner(Solidago galetorum (Greene) Friesner)
ソリダゴ・グラミニフォリア・(L.)・Salisb.・変種ガレトラム・(Greene)・House(Solidago graminifolia (L.) Salisb. var. galetorum (Greene) House)
ソリダゴ・テヌイフォリア・Pursh・変種ピクノセファリア・Fern.(Solidago tenuifolia Pursh var. pycnocephala Fern.)
ソリダゴ・カロリニアナ・B.S.P.(Solidago caroliniana B.S.P.)
ソリダゴ・マイナー・(Michix.)・Fern.(Solidago minor (Michix.) Fern.)
ソリダゴ・ミクロフィッラ・(Greene)・Bush(Solidago microphylla (Greene) Bush)
ソリダゴ・ミクロセファラ・(Greene)・Bush(Solidago microcephala (Greene) Bush)
ソリダゴ・レモタ・(Greene)・Friesner(Solidago remota (Greene) Friesner)
ソリダゴ・テヌイフォリア・Pursh(Solidago tenuifolia Pursh)
ソリダゴ・サロスラエ・Pursh(Solidago sarothrae Pursh)
ソリダゴ・プタルミコイデス・(nees)・Boivin(Solidago ptarmicoides (Nees) Boivin)
ソリダゴ・×ベルナルディ・Boivin(Solidago ×bernardi Boivin)
ソリダゴ・オウグトニー・Torr. & GrayよりGray(Solidago houghtonii Torr.& Gray ex Gray)
ソリダゴ・×クロトコビー・Boivin(Solidago ×krotkovii Boivin)
ソリダゴ・×ルテッセンス・(Lindl.よりDC.)・Boivin(Solidago ×lutescens (Lindl. ex DC.) Boivin)
ソリダゴ・ニチダ・Torr. & Gray(Solidago nitida Torr. & Gray)
ソリダゴ・オイオエンシス・FrankよりRiddell(Solidago ohioensis Frank ex Riddell)
ソリダゴ・リッデルリー・FrankよりRiddell (Solidago riddellii Frank ex Riddell)
ソリダゴ・コリンボサ・Ell.(Solidago corymbosa Ell.)
ソリダゴ・ジャックソニー・(Kuntze)・fern.(Solidago jacksonii (Kuntze) Fern.)
ソリダゴ・リジダ・L.・変種グラブラタ・E.L. Braun(Solidago rigida L. var. glabrata E.L.Braun)
ソリダゴ・リジダ・L.・亜種グラブラタ・(E.L. Braun)・Heard & Semple(Solidago rigida L. ssp. Glabrata (E.L.Braun) Heard & Semple)
ソリダゴ・リジダ・L.・変種ラエビカウリス・Shinners(Solidago rigida L. var. laevicaulis Shinners)
ソリダゴ・カネッセンス・(Ryob.)・Friesner(Solidago canescens (Ryob.) Friesner)
ソリダゴ・ジャックソニー・(Kuntze)・fern.・変種ヒューミリス・(Porter)・Besudry(Solidago jacksonii (Kuntze) Fern. var. humilis (Porter) Beaudry)
ソリダゴ・パルビギダ・Beaudry(Solidago parvirigida Beaudry)
ソリダゴ・リジダ・L.・変種ヒューミリス・Porter(Solidago rigida L. var. humilis Porter)
ソリダゴ・リジダ・L.・亜種ヒューミリス・(Porter)・Heard & Semple(Solidago rigida L. ssp. humilis (Porter) Heard & Semple)
ソリダゴ・グラディフロラ・Raf.(Solidago gradiflora Raf.)
ソリダゴ・リジダ(Solidago rigida)
ソリダゴ・パッリイ・(Gray)・Greene(Solidago parryi (Gray) Greene)
ソリダゴ・グラミネア・(Woot. & Standl.)・Blake(Solidago graminea (Woot. & Standl.) Blake)
ソリダゴ・ペトラドリア・Blake(Solidago petoradoria Blake)
ソリダゴ・L.(Solidago L.)
ソリダゴ・アルボピルサ・E.L. Braun(Solidago albopilsa E.L.Braun)
ソリダゴ・アルチプラニティース・C.& J. Taylor(Solidago altiplanities C.& J. Taylor)
ソリダゴ・プベルラ・Nutt.・変種プルベルレンタ・(Nutt.)・Chapman(Solidago puberula Nutt. var. pulverulenta (Nutt.) Chapman)
ソリダゴ・プルベルレンタ・Nutt.(Solidago pulverulenta Nutt.)
ソリダゴ・プルキラ・Small(Solidago pulchra Small)
ソリダゴ・ラデュラ・Nutt.(Solidago radula Nutt.)
ソリダゴ・ラデュラ・Nutt.・変種ラエタ・(Greene)・Fern.(Solidago radula Nutt. var. laeta (Greene) Fern.)
ソリダゴ・ラデュラ・Nutt.・変種ラデュラ(Solidago radula Nutt. var. radula)
ソリダゴ・ペンデュラ・Small(Solidago pendula Small)
ソリダゴ・ロタンディフォリア・DC.(Solidago rotundifolia DC.)
ソリダゴ・スカベッリマ・Torr. & Gray(Solidago scaberrima Torr. & Gray)
ソリダゴ・ラデュラ・Nutt.・変種ステノレピス・Fern.(Solidago radula Nutt. var. stenolepis Fern.)
ソリダゴ・ロアネンシス・Porter(Solidago roanensis Porter)
ソリダゴ・マキソニー・Pollard(Solidago maxonii Pollard)
ソリダゴ・ロアネンシス・Porter ・変種モンティコラ・(Torr. & Gray)・Fern.(Solidago roanensis Porter var. monticola (Torr. & Gray) Fern.)
ソリダゴ・ルゴサ・P. Mill.(Solidago rugosa P. Mill.)
ソリダゴ・ルゴサ・P. Mill.・変種アスペラ・(Ait.)・Cronq.(Solidago rugosa P. Mill. ssp. aspera (Ait.) Cronq.)
ソリダゴ・アスペラ・Ait.(Solidago aspera Alt.)
ソリダゴ・セルティディフォリア・Small(Solidago celtidifolia Small)
ソリダゴ・デュルムモンディー・Torr. & Gray(Solidago drummondii Torr. & Gray)
ソリダゴ・ルゴサ・P. Mill.・変種セルティディフォリア・(Small)・Fern.(Solidago rugosa P. Mill. var. celtidifolia (Small) Fern.)
ソリダゴ・ルゴサ・P. Mill.・亜種ルゴサ(Solidago rugosa P. Mill. ssp. Rugosa)
ソリダゴ・ルゴサ・P. Mill.・亜種ルゴサ・変種ルゴサ(Solidago rugosa P. Mill. ssp. rugosa var. rugosa)
ソリダゴ・スカブラ・Muhl. よりWilld., non Muhl.(Solidago scabra Muhl. ex Willd., non Muhl.)
ソリダゴ・ルゴサ・P. Mill.・亜種ルゴサ・変種スファグノフィラ・ Graves(Solidago rugosa P. Mill. ssp. rugosa var. sphagnophila Graves)
ソリダゴ・アエスティバリス・Bickn.(Solidago aestivalis Bickn.)
ソリダゴ・ルゴサ・P. Mill.・亜種ルゴサ・変種ビッロサ・(Pursh)・Fern.(Solidago rugosa P.Mill. ssp. rugosa var. villosa (Pursh ) Fern.)
ソリダゴ・ルペストリス・Raf.(Solidago rupestris Raf.)
ソリダゴ・カナデンシス・L.・変種ルペストリス・(Raf.)・Poter(Solidago Canadensis L.var. rupestris (Raf.) Porter)
ソリダゴ・スティアフィラ・Steele(Solidago sciaphila Steele)
ソリダゴ・セムペルビレンス・L.(Solidago sempervirens L.)
ソリダゴ・セムペルビレンス・L.・変種メキシカナ・(L.)・Fern.(Solidago sempervirens L. var. mexicana (L.) Fern.)
ソリダゴ・アングスティフォリア・Ell.(Solidago angustifolia Ell.)
ソリダゴ・メキシカナ・L.(Solidago mexicana L.)
ソリダゴ・ペティオラタ・auct. Non P. Mill.(Solidago petiolata auct.non P. Mill.)
ソリダゴ・セムペルビレンス・L.・変種セムペルビレンス(Solidago sempervirens L. var. sempervirens)
ソリダゴ・ショーティー・Torr. & Gray(Solidago shortii Torr. & Gray)
ソリダゴ・シンプレックス・Kunth(Solidago simplex Kunth)
ソリダゴ・シンプレックス・Kunth ・亜種ランディー・(Porter)・Ringius(Solidago simplex Kunth ssp. randii ( Porter ) Ringius)
ソリダゴ・シンプレックス・Kunth ・亜種ランディー・(Porter)・Ringius ・変種ギッルマニー・(Gray)・Ringius(Solidago simplex Kunth ssp. randii ( Porter ) Ringius var. gillmanii ( Gray ) Ringius)
ソリダゴ・ギッルマニー・(Gray)・Steele(Solidago gillmanii ( Gray ) Steele)
ソリダゴ・グルティノサ・Nutt.・変種ギッルマニー・(Gray)・Corq.(Solidago glutinosa Nutt. var. gillmanii ( Gray ) Cronq.)
ソリダゴ・ラセモサ・Greene・変種ギッルマニー・(Gray)・Fern.(Solidago racemosa Greene var. gillmanii (Gray ) Fern.)
ソリダゴ・スパチュラタ・DC.・変種ギッルマニー・(Gray)・Gleason(Solidago spathulata DC. var. gillmanii (Gray) Gleason)
ソリダゴ・シンプレックス・Kunth ・亜種ランディー・(Porter)・Ringius・変種モンティコラ・(Poter)・Ringius(Solidago simplex Kunth ssp. randii (Porter) Ringius var. monticola (Poter) Ringius)
ソリダゴ・ランディー・(Poter)・Britt.・変種モンティコラ・(Poter)・Fern.(Solidago randii (Porter) Britt. var. monticola (Porter) Fern.)
ソリダゴ・シンプレックス・Kunth ・亜種ランディー・(Porter)・Ringius・変種オンタリオエンシス・(Ringius)・Ringius(Solidago simplex Kunth ssp. randii (Poter) Ringius var. ontarioensis (Ringius) Ringius)
ソリダゴ・グルティノサ・Nutt.・変種オンタリオエンシス・Ringius(Solidago glutinosa Nutt. var. ontarioensis Ringius)
ソリダゴ・シンプレックス・Kunth ・亜種ランディー・(Porter)・Ringius・変種ラセモサ・(Greene)・Ringius(Solidago simplex Kunth ssp. randii (Porter) Ringius var. racemosa (Greene ) Ringius)
ソリダゴ・グルティノサ・Nutt.・変種ラセモサ・(Greene)・Cronq.(Solidago glutinosa Nutt. var. racemosa ( Greene ) Cronq.)
ソリダゴ・ラセモサ・Greene(Solidago racemosa Greene)
ソリダゴ・スパチュラタ・DC.・変種ラセモサ・(Greene)・Gleason(Solidago spathulata DC. var. racemosa (Greene ) Gleason)
ソリダゴ・シンプレックス・Kunth ・亜種ランディー・(Porter)・Ringius・変種ランディー・(Porter)・Kartesz & Gandhi(Solidago simplex Kunth ssp. randii (Porter) Ringius var. randii (Porter) Kartesz & Gandhi)
ソリダゴ・グルティノサ・Nutt.・変種ランディー・(Greene)・Cronq.(Solidago glutinosa Nutt. ssp. randii (Greene) Cronq.)
ソリダゴ・ランディー・(Poter)・Britt.(Solidago randii (Porter) Britt.)
ソリダゴ・スパチュラタ・DC.・亜種ランディー・(Porter)・Gleason(Solidago spathulata DC. ssp. randii (Porter) Gleason)
ソリダゴ・シンプレックス・Kunth ・亜種シンプレックス(Solidago simplex Kunth ssp. Simplex)
ソリダゴ・シンプレックス・Kunth ・亜種シンプレックス・変種ナナ・(Gray)・Ringius(Solidago simplex Kunth ssp. simplex var. nana (Gray) Ringius)
ソリダゴ・ベッリディフォリア・Greene(Solidago bellidifolia Greene)
ソリダゴ・デクムベンス・Greene(Solidago decumbens Greene)
ソリダゴ・デクムベンス・Greene・変種オレオフィラ・(Rydb.)・Fern.(Solidago decumbens Greene var. oreophila ( Rydb.) Fern.)
ソリダゴ・グルティノサ・Nutt.・変種ナナ・(Gray)・Cronq.(Solidago glutinosa Nutt. var. nana (Gray) Cronq.)
ソリダゴ・オレオフィラ・Rydb.(Solidago oreophila Rydb.)
【0012】
このように、そのエキスが本発明に従って使用されるソリダゴ種は、アキノキリンソウ(Solidago L.)属に属する種である。好適な種は、ソリダゴ・カナデンシス(S. canadensis)である。
【0013】
「地上で生育した植物又は薬草の一部分」とは、植物の葉及び/又は茎及び/又は花(花序)を意味する。好ましくは、エキスは、主に花及びいくらかの葉を含む植物の端部から調製される。特に、植物の花からエキスを調製することが好ましい。
【0014】
エキスは、それ自体知られた様式で調製される。この目的について、地上で生育した植物の一部分を、任意に乾燥し、裁断した後、抽出処理する。抽出は、水又はアルコール(例えば、エタノール)のような有機溶媒又は有機溶媒の水性溶液、例えば、水性エタノール(水10〜60質量%を含有する)にて、一般に0〜100℃、好ましくは、20〜100℃において行われる。抽出の間、多くの場合、混合を行うが、超音波振動も使用できる。例えば、沈降、植物の一部分の圧縮、濾過、遠心分離又はこれら手段の組み合せを使用する公知の方法によって、抽出液を植物部分から分離する。得られたエキスは、そのままで使用されるか、又は液体組成物又は水溶液又はシロップのような医薬組成物に転化されうる。しかし、例えば、蒸発、噴霧乾燥、又はフリーズドライ(凍結乾燥)によって、エキスの溶媒分を除去することが好ましく、固体残渣は組成物又は医薬組成物の調製用の有効成分として使用される(明細書及び請求の範囲において、表現「有効成分」は、この意味で使用されており、エキスに溶解されており、薬草のエキスから得られる固体残渣に関する)。エキス及びエキスから得られた固体残渣は、いずれも、フラボノイド含量の測定によって特徴付けられる。例えば、固体残渣のフラボノイド含量は、2.7〜4.1g/100gである。
【0015】
「医薬組成物」とは、疾患の予防又は治療に一般的に使用され、全身作用又は局部作用を有する。一般に、医薬組成物は、経口、非経口、直腸又は経皮投与又は局所治療に適する。このように、本発明の医薬組成物は、固体又は液体であり、薬草から抽出によって得られた有効成分に加えて、任意に、1以上の薬学上のキャリヤーを含有する。本発明の医薬組成物は、一般に、0.1〜100質量%、好ましくは、1〜50質量%、好適には、5〜30質量%の有効成分を含有する。有効成分100質量%は、特定のケース、例えば、希釈が必ずしも必要でないようなカプセルの場合においてのみ可能であることが理解されなければならない。多くの剤形では、医薬組成物の調製には、キャリヤー、すなわち、希釈剤及び/又は他の添加剤が要求される。
【0016】
経口投与に適する固体医薬組成物は、粉末、カプセル、錠剤、フィルムコーティング錠、マイクロカプセル、トローチ剤等であり、ゼラチン、ソルビトール、ポリビニルピロリドン等のような結合剤;乳糖、グルコース、デンプン、リン酸カルシウム等のような賦形剤;ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ等のような打錠用添加剤;ラウリル硫酸ナトリウム等のような湿潤剤を、キャリヤーとして含有する。
【0017】
好適な剤形には、全身治療又は局部治療のための錠剤が含まれる。錠剤は、例えば、1以上の賦形剤、結合剤、滑沢剤、風味剤等を、キャリヤーとして含有する。賦形剤は、好ましくは、キシリトール、マンニトール、イソマルトール又は乳糖のような、甘味も提供する糖である。一般に、賦形剤は、30〜60質量%の量で存在する。賦形剤としては、さらに、デンプン又は微小結晶性セルロースのような炭水化物(一般に、10〜40質量%の量)が含まれる。多くの場合、結合剤としては、ポリ(ビニルピロリドン)又はヒドロキシプロピルメチルセルロースが含まれる(一般に、1〜5質量%の量)。滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム(0.2〜3質量%の量)、タルク(1〜5質量%の量)又はシリカ(0.1〜2質量%の量)が含まれる。必要であれば、風味剤は、人口甘味料又は芳香物質である(一般に、0.01〜1質量%の量)。人口甘味料としては、例えば、アスパルテーム(N-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニンメチルエステル)、サッカリンナトリウム(1,2-ベンズイソチアゾール-3(2H)-オン1,1-ジオキシドナトリウム塩)、サイクラミン酸ナトリウム(シクロヘキシルスルファミン酸ナトリウム)又はアセスルファムK塩(6-メチル-1,2,3-オキサチアジン-4(3H)-オン2,2-ジオキシドカリウム塩)が含まれ、芳香物質は、通常、ミント、メントール等である。
【0018】
カプセルは、有効成分又は錠剤に関して上述した1以上のキャリヤーのみを含有する。
【0019】
好適な他の剤形としては、口腔内において局所的に使用されるジェル形の医薬組成物が含まれる、ジェルのキャリヤーは、好適には、1以上の溶媒、ゼリー様コンシステンシーを提供する化学剤、保存料、人口甘味料、芳香物質等である。一般に、溶媒は、蒸留水又は脱塩水である(一般に、50〜95質量%の量)。グリセロール、エチルアルコール又はプロピレングリコールを含む他の溶媒も、通常、1〜20質量%の量で存在できる。ゼリー様コンシステンシーを提供する化学剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、カルシウムカルボキシメチルセルロース、ポリ(ビニルピロリドン)又はガーゴムが含まれる(一般に、0.5〜5質量%の量)。ゼリー様コンシステンシーを提供する好適な化学剤は、ナトリウムカルボキシメチルセルロースである。保存料は、例えば、ソルビン酸又はメチルパラベン(p-ヒドロキシ安息香酸メチル)である(一般に、0.1〜2質量%の量)。人口甘味料及び芳香物質は、通常、上述のものである(一般に、0.1〜2質量%の量)。
【0020】
本発明のジェルは、重要な局所作用を達成するため、注射針のような好適な器具によって、歯周ポケットに導入される。
【0021】
トローチ剤は、口の中でゆっくり溶けて、口腔内において、有効成分を長期間放出する錠剤、丸剤、マイクロカプセル、ビスケット、ウエハースである。一般に、トローチ剤は、キャリヤーとして、炭水化物及びゼラチンを含有し、さらに、錠剤に関して示したような、滑沢剤、人口甘味料及び芳香物質を含有する。トローチ剤は、本質的に、有効成分1〜30質量%に加えて、一般的な成分を含有する。
【0022】
経口投与に適する液体医薬組成物は、溶液、シロップ、懸濁液又はエマルジョンであり、例えば、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース等のような懸濁剤;ソルビタンモノオレエート等のような乳化剤;水、オイル、グリセロール、プロピレングリコール、エタノール等のような溶媒;メチル又はプロピルp-ヒドロキシ安息香酸エステルのような保存料を、キャリヤーとして含有できる。
【0023】
経口投与に適する好適な液体剤形としては、例えば、溶媒、保存料、甘味料、芳香物質等をキャリヤーとして含有する溶液が含まれる。溶媒としては、一般に、蒸留水又は脱塩水が含まれ(通常、70〜95質量%の量)、さらに、助溶媒としては、グリセロール、エチルアルコール又はプロピレングリコールが含まれる(一般に、1〜20質量%の量)。保存料、甘味料及び芳香物質としては、主として、上述のものが含まれる。溶液は、スプレーの形で投与され、このようにして、エーロゾルを口腔に導入する。
【0024】
非経口投与に適する医薬組成物は、一般に、有効成分の殺菌溶液を含有する。
【0025】
局所治療に適する医薬組成物としては、有効成分を含浸した吸収性又は非吸収性の糸又はチップが含まれる。このような糸又はチップは、歯周炎を治療するため、歯科医によって歯周ポケット内に配置される。歯周ポケットにおいて、有効成分は、任意に、糸又はチップと共に、ゆっくりと吸収される。非吸収性の糸又はチップは、後に、歯科医によって除かれる。
【0026】
上述の剤形は、他の剤形と共に、それ自体公知であり、例えば、マニュアルRemington's Pharmaceutical Sciences, 18版, Mack Publishing Co., Easton, 米国 (1990)を参照する。
【0027】
医薬組成物は、一般に、用量ユニットを含有する。日用量が1回以上に分けて投与される。実際の用量は、多くのファクターに左右され、医師によって決定される。一般に、体重70kgの大人の患者に関する代表的な用量は、1日当たり有効成分0.01〜10g、好ましくは0.1〜5gである。
【0028】
一般に、医薬組成物は、有効成分を1以上のキャリヤーと混合し、得られた混合物を、それ自体公知の様式で医薬組成物に変形させることによって調製される。使用できる方法は、文献、例えば、上述のマニュアルRemington's Pharmaceutical Sciencesから公知である。もちろん、他の可能性としては、エキスから得られた固体残渣を直接カプセルに充填するか、又は必要であれば、他のキャリヤーを添加することによって、エキスを液体の医薬組成物に転化させることができる。
【0029】
本発明の好適な医薬組成物は、主に全身作用のための単位剤形、例えば、カプセル、錠剤、フィルムコーティング錠等である。
【0030】
ソリダゴ種の一部分(ここで、一部分とは、地上で生育する部分である)のエキスの糖尿病性歯周炎に関する作用を、下記に示すように、ラットにおいて検討した。動物において糖尿病を惹起させ、このようにして、糖尿病性歯周炎を発症させ、ついで、糖尿病性歯周炎を増強させるため、歯頸を結紮し、ソリダゴ・カナデンシスのエキスの糖尿病性歯周炎についての作用を検討した。歯周疾患の重症度を、固定したEvans青色染料の量に基いて評価した。歯肉粘膜組織に、より多量の染料が存在すればするほど、糖尿病性歯周炎は重症である。
【0031】
体重270〜290gのSpraque-Dawleyラット(Charles River, ハンガリー国)において、ストレプトゾシン(2-デオキシ-2-{[(メチルニトロソアミノ)カルボニル]アミノ}-D-グルコピラノース)の静脈内投与(用量60mg/kg)によって糖尿病を惹起させた。糖尿病の惹起後6週間、検討を行った。テスト動物において、血糖値は安定して高く(20mM/L)、各動物において、糖尿病の一般的な症状(多食、多尿、多渇、糖尿、体重減少)が観察された。加えて、中位の歯肉萎縮が認められた。
【0032】
糖尿病に伴う歯周炎を、Lohinai(Lohinai, Z., J. Dent. Res., 82, 987 (2003))に従って促進させた。ラットを、各々動物7匹からなる2つの群に分けた。群の1つをテスト群とし、他の群をコントロール群とした。ラットを、用量35mg/kgで投与したペントバルビタールナトリウム(5-エチル-5-(1-メチル-ブチル)-2,4,6-(1H, 3H, 5H)-ピリミジントリオンナトリウム塩)によって軽く麻酔した。殺菌した編んだ絹糸を、左側の下第1臼歯の歯頸の周りに置き、近心に結んで、結紮を形成した。炎症プロセスを加速するため、予め、絹糸にネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)の1mg/ml水性懸濁液を含浸させ、乾燥した。麻酔から回復した後、ラットを制御された実験室環境におき、げっ歯類用の食事及び水を随意に与えた。テスト群の動物には、後述の実施例1のプロセスAによってソリダゴ・カナデンシスから調製した凍結乾燥の有効成分50mg/kgを、1日1回、8日間、強制経口投与した。コントロール群の動物については、生理食塩水を使用して同様に処置した。8日目に、最後の処置から1時間の時点で、動物を上述のようにして再度麻酔し、右大腿静脈にカニューレを挿入した。炎症の速度を、生理食塩水に溶解したEvans青色染料50mg/kgの静脈内投与によって、歯肉及び歯周組織の血管透過性に基いてアッセイした。5分後、他のカニューレを腹大動脈に挿入した。10分後、右心房を切開し、歯肉粘膜組織の毛細血管に残留する染料を、等張食塩水40mlの逆行性大動脈内注入によって除去した。ついで、下顎を摘出し、周りの組織を除去し、門歯の間において矢状面で半分に切断した。Evans青含量を測定するため、下顎第1臼歯の周りの第2臼歯の近心面舌面側の半分から、第2臼歯の近心面頬面側の半分までの歯肉粘膜組織ストリップ(厚さ約3mm)を、動物から両側で摘出した。摘出した歯肉粘膜組織サンプルから、ホルムアミド0.5mlにより、室温において、48時間でEvans青を抽出し、ついで、620 nmにおいて分光光度定量を行った。染料の含量を、それぞれ、右側及び左側の歯肉粘膜組織1gについてμgで表示した。テスト群及びコントロール群について、得られた結果の平均値を求めた。得られた結果を表1に示す。
【0033】
【表1】

【0034】
表1から、糖尿病性歯周炎を左側の第1臼歯の歯頸での結紮によって増強したが、治験薬草エキスでの治療を行っていないコントロール群では、Evans青含量は563μg/gまで達し、非常に重症の歯周炎であることを示すことが理解される。同じコントロール群において、ストレプトゾシンでの処置によって発現された糖尿病のために、右側の第1臼歯において歯周炎が発症しているが、治験薬草エキスでの治療を行っていない場合には、Evans青含量は265μg/gであり、これは、糖尿病性歯周炎が軽いことを示している。
【0035】
テスト群では、右側の第1臼歯において歯頸の結紮によって糖尿病性歯周炎を増強したが、治験薬草エキスでの処置を行った結果、コントロールの数値と比べて、糖尿病に伴う歯周炎が約20%低減した。同時に、左側の第1臼歯では、結紮によって増強された糖尿病性歯周炎が、治験薬草エキスでの経口治療によって非常に有意に低減された。歯肉のEvans青含量は、8日間の治療後、コントロールの数値の約65%に低減された。
【0036】
毒性試験
体重23〜25gの雄NMRI(white)マウス5匹を、後述の実施例1のプロセスAによってソリダゴ・カナデンシスから調製した凍結乾燥有効成分(シングル用量200 mg/kg)の腹腔内投与にて処置し、ついで、動物の挙動を1週間観察した。動物の挙動及び体重には何ら変化が認められなかった。これにより、薬草ソリダゴ・カナデンシスから得られた有効成分は、非常に高い用量(腹腔内投与)であっても、何ら急性毒性を誘発しないと言うことができる。
【0037】
上記テストに基づき、薬草ソリダゴ(アキノキリンソウ属)の一部分(ここで、一部分とは、地上で生育する部分である)のエキス又はエキスの溶媒分の除去後に有効成分として残留する固体残渣が、糖尿病性歯周炎の治療に使用される。
【0038】
このように、本発明の1具体例は、ソリダゴ種の一部分(ここで、一部分とは、地上で生育する部分である)のエキス又はエキスの溶媒分の除去後に有効成分として残留する固体残渣の、糖尿病性歯周炎の治療に適する医薬組成物の調製における使用である。
【0039】
本発明の他の具体例は、糖尿病性歯周炎を治療する方法であって、糖尿病性歯周炎に罹った患者に、ソリダゴ種の一部分(ここで、一部分とは、地上で生育する部分である)のエキス又はエキスの溶媒分の除去後に有効成分として残留する固体残渣を、有効な無毒性用量で投与することを含んでなる糖尿病性歯周炎の治療法である。
【0040】
下記の実施例によって、本発明をさらに詳述する。
【実施例1】
【0041】
エキスの調製
プロセスA
乾燥し、細かく粉砕した、ソリダゴ・カナデンシスの地上で生育した部分(主として花からなる)100gについて、激しく撹拌しながら、60℃、水浴において、水により、質量比5:200で抽出を行った。得られた水性抽出液を濾過し、植物分を圧縮し、ついで、抽出液を4〜8時間沈降させ、再度濾過した。得られた水性エキスの乾燥固形分量は、6.2〜6.9mg/mlであった。トレーの温度を−50℃以下に維持しながら、凍結乾燥によって水分を除去した。得られた乾燥残渣を、室温において暗所に保存し、水分から保護した。乾燥物質(すなわち、有効成分)は、フラボノイド含量3.1〜3.4g/100gを有していた。
【0042】
プロセスB
乾燥し、細かく粉砕した、ソリダゴ・カナデンシスの花100gについて、100℃において沸騰させることによって、水により、質量比5:150で抽出を行った。得られた水性抽出液を、プロセスAに記載のように処理した。水性エキスは、乾燥固形分量8.5〜9.1mg/mlを有していた。プロセスAに示すように処理した凍結乾燥生成物(すなわち、有効成分)は、フラボノイド含量3.8〜4.1g/100gを有していた。
【0043】
プロセスC
乾燥し、細かく粉砕した、ソリダゴ・カナデンシスの地上で生育した部分(すなわち、葉、茎、花)100gについて、冷超音波振動浴において、エタノール75容量%を含有する水性エタノールにより、質量比5:200で抽出を行った。抽出液を濾過し、減圧下での蒸発によってエタノールを除去した。残留する水相を、プロセスAに記載のように処理して、凍結乾燥させた。
【実施例2】
【0044】
カプセルの調製
実施例1のプロセスBに従って調製した凍結乾燥有効成分0.6gずつを各硬質ゼラチンカプセルに充填し、カプセルを封止し、空気密封されたガラス容器に入れた。
【実施例3】
【0045】
カプセルの調製
実施例1のプロセスAに従って調製した凍結乾燥有効成分75g及びカルボキシメチルセルロース40gを均質化し、混合物を各硬質ゼラチンカプセルに充填し、カプセルを封止し、空気密封されたガラス容器に入れた。各カプセルは有効物質75mgを含む。
【実施例4】
【0046】
錠剤の調製
下記成分から錠剤を調製した:
実施例1のプロセスAに従って調製した凍結乾燥有効成分
10.0質量%
乳糖 42.0質量%
微小結晶性セルロース 39.9質量%
ポリビニルピロリドン 6.0質量%
ステアリン酸マグネシウム 2.0質量%
アスパルテーム 0.1質量%
成分を均質化し、混合物を圧縮して錠剤とした。別法として、有効物質を乳糖及び微小結晶性セルロースと均質化し、混合物をポリビニルピロリドン水溶液にて湿潤させ、ついで、混合物にステアリン酸マグネシウム及びアスパルテームを添加する。最後に、均質化した混合物を圧縮して、500mgの錠剤とする。
【実施例5】
【0047】
シロップの調製
実施例1のプロセスAに従って調製した水性抽出液(乾燥固形分6.2mg/ml)1000 mlに、グリセロール20ml、70%ソルビトール水溶液100 ml、芳香物質0.1g及びメチルパラベン1gを添加し、混合物を均質化し、ビン(50ml)に充填した。
【実施例6】
【0048】
ジェルの調製
下記成分からジェルを調製した:
実施例1のプロセスAに従って調製した凍結乾燥有効成分
10.0質量%
脱塩水 75.9質量%
グリセロール 8.0質量%
ナトリウムカルボキシメチルセルロース
5.0質量%
メチルパラベン 1.0質量%
ハッカ 0.1質量%
有効成分、メチルパラベン及びハッカを、水及びグリセロールの混合物に溶解し、ついで、混合物にナトリウムカルボキシメチルセルロースを混合してゲルを調製し、これをチューブに充填し、歯周ポケットを治療するために使用する。
別法として、次の操作法によってゲルを調製できる:有効成分及びハッカを水の一部に溶解し、一方、水の残部にグリセロールを添加する。温かいグリセロール水溶液に、メチルパラベンを溶解し、形成されたゲルを冷めるまで撹拌し、最後に、有効成分及び芳香物質の水溶液を混合する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソリダゴ種(Solidago sp.)の一部分(前記部分は地上で生育した部分である)のエキス又はエキスの溶媒分の除去後に有効成分として残留する固体残渣の、糖尿病性歯周炎の治療に適する医薬組成物の調製における使用。
【請求項2】
医薬組成物がカプセル剤である、請求項1記載の使用。
【請求項3】
医薬組成物がシロップ剤である、請求項1記載の使用。
【請求項4】
医薬組成物が、特に、歯周ポケットの治療用のジェルである、請求項1記載の使用。
【請求項5】
医薬組成物が、歯周ポケット内に配置される吸収性チップである、請求項1記載の使用。
【請求項6】
糖尿病性歯周炎を治療する方法であって、糖尿病性歯周炎に罹った患者に、ソリダゴ種の一部分(ここで、一部分とは、地上で生育する部分である)のエキス又はエキスの溶媒分の除去後に有効成分として残留する固体残渣を、有効な無毒性用量で投与することを含んでなる、糖尿病性歯周炎の治療法。

【公表番号】特表2009−511564(P2009−511564A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535124(P2008−535124)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【国際出願番号】PCT/IB2006/002856
【国際公開番号】WO2007/042925
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(508113365)
【Fターム(参考)】