説明

糖類マトリックスを有する剤形

【課題】 医薬活性物質の投与及び圧縮急速分散錠剤の調製に適切な非圧縮急速分散固体剤形を提供する。
【解決手段】 本発明は、(a)デキストロース等量(DE)が1〜20のマルトデキストリンの形態の第1のマトリックス形成剤と、(b)ソルビトールの形態の第2のマトリックス形成剤と、(c)活性物質とを含む医薬活性物質を口粘膜投与するのに適する非圧縮急速分散固体剤形を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬活性物質の投与及び圧縮急速分散錠剤の調製に適切な非圧縮急速分散固体剤形に関する。
【背景技術】
【0002】
アレルギーは、欧米風の生活様式が取り入れられている国での主な健康問題である。更に、このような国では、アレルギー疾患の有病率が増大している。アレルギーは、一般的に致命的な疾患とは考えられていないであろうが、喘息で毎年かなりの数の死亡が生じている。十代の約30%という異例な有病率は、生活の質、労働日数、及び財産の実質的な損失をもたらし、当然のことに欧米社会での主な健康問題に分類されている。
【0003】
アレルギーは複雑な疾患である。感作事象に寄与する因子は多い。これらには、現在の段階で十分に理解されていないいくつかの遺伝子間の相互作用により規定される個体の感受性が含まれる。別の重要な因子は、ある一定の閾値を超えるアレルゲンへの露出である。感作過程には、公害、小児期感染症、寄生虫感染症、腸内微生物などを含むいくつかの環境因子が重要である場合がある。個体が感作されてアレルギー性免疫反応が確立された状態で、僅かな量のアレルゲンが存在するだけで直接的に症状が発生する。
【0004】
アレルギー疾患の自然経過には、通常、2段階の悪化を伴う。最初に、症状及び疾患の重症度が進行し、並びに、例えば花粉症から喘息へのように疾患が進行する。第二に、原因アレルゲンの伝播が起こることが最も多く、結果としてアレルギー性多反応が生じることになる。慢性炎症により、粘膜防御機構が全体的に弱まり、その結果不特定の刺激作用が起こり、最終的に粘膜組織が破壊されることになる。乳児は、主に食物、すなわちミルクに感作され、湿疹又は胃腸疾患になる可能性があるが、自然に症状がなくなることが最も多い。このような乳児は、後に吸入アレルギーを発症する危険性がある。
【0005】
最も重要なアレルゲン源は、呼吸する空気中の最も広く行き渡っているある一定の大きさの粒子に含まれる。これらの供給源は極めて普遍的で、草(grass)花粉及び室内塵ダニの糞粒子を含み、この両方で全てのアレルギーのほぼ50%を占める。また、世界的に重要なものには、動物の鱗屑、すなわちネコ及びイヌの鱗屑、ヨモギ花粉のような他の花粉、及びアルテルナリアのような微小菌類が含まれる。地域別では、北部及び中央ヨーロッパのカバ花粉、東部及び中央アメリカのブタクサ、及び日本のスギ花粉のように、更に別の花粉が優勢であることもある。昆虫、すなわちミツバチ及びスズメバチの毒、及び食物は、各々、全てのアレルギーのほぼ2%を占める。
【0006】
アレルギー、すなわちI型過敏症は、外来の非病原性物質に免疫系が不適切に反応することにより引き起こされる。アレルギーの重要な臨床上の徴候には、喘息、花粉症、湿疹、及び胃腸疾患が含まれる。アレルギー反応は、即時性であり、原因アレルゲンに接触すると20分以内にピークに達する。更に、アレルギー反応は、特定の個体が特定のアレルゲンに感作されるが、アレルギー疾患を引き起こすことが公知である他の物質に必ずしもアレルギー反応を示す必要がないという意味で特異的である。このアレルギー表現型は、目標臓器の粘膜に顕著な炎症が見られること、及び循環血液中及び肥満細胞及び好塩基球の表面にIgEクラスのアレルゲン特異抗体が存在することを特徴とする。
【0007】
アレルギー発作は、外来性アレルゲンとアレルゲン特異IgE抗体とが反応することにより始まり、この時、抗体は、肥満細胞及び好塩基球表面上の高親和性IgE特異受容体に結合する。肥満細胞及び好塩基球は、予め形成された媒介物、すなわち、ヒスタミン、トリプターゼ、及び他の物質を含み、これは、2つ又はそれ以上の受容体結合IgE抗体が架橋すると放出される。IgE抗体は、1つのアレルゲン分子の同時結合により架橋する。従って、この後、1つの抗体結合エピトープしか持たない外来物質は、アレルギー反応を開始しない。また、肥満細胞表面上で受容体結合IgEが架橋すると、好酸球、アレルゲン特異T細胞、及び他の種類の細胞をアレルギー反応部位に引き付けることを担うシグナル伝達分子を放出することになる。これらの細胞は、アレルゲン、IgE、及び効果器細胞と相互作用して、アレルゲンに遭遇した後12〜24時間に症状の再燃が起こることになる(遅発相反応)。
【0008】
アレルギー疾患の管理には、診断と予防的治療を含む治療とが含まれる。アレルギーの診断は、アレルゲン特異IgEの証明及びアレルゲン源の識別に関する。多くの場合に、アレルギーの診断及び原因アレルゲン源材料の識別には注意深い病歴の考察で十分であろう。しかし、ほとんどの場合、診断には、皮膚プリック試験、血液検査、又は誘発試験のような客観的測定により裏付けが取られる。
治療法の選択肢は、3つの主なカテゴリに分けられる。第1の場合は、アレルゲン回避又は露出の減少である。アレルゲン回避は、例えば食物アレルゲンの場合では明らかであるのに対して、室内塵ダニアレルゲンでは困難又は高価な場合があり、花粉アレルゲンの場合では不可能な場合がある。第2の最も広く用いられる治療法の選択肢は、抗ヒスタミン剤及びステロイドのような古典的対症薬の処方である。対症薬は安全で有効であるが、疾患の固有原因を変化させず、疾患の蔓延の制御もしない。第3の治療法の選択肢は、特定のアレルギーワクチン接種であり、これは、ほとんどの場合、問題のアレルゲンにより引き起こされるアレルギー症状を低減又は軽減する。
【0009】
従来の特定のアレルギーワクチン接種は、アレルギー疾患の原因治療である。これは、基本的免疫機構に介入し、患者の免疫状態を持続的に改善することになる。従って、特定のアレルギーワクチン接種の防御効果は、対症薬治療とは対照的に治療期間を超えて延びることになる。治療を受けた患者には治癒するものもおり、これに加えて、ほとんどの患者では、疾患の重篤度及び症状が軽減するか、又は少なくとも疾患の悪化が抑えられる。従って、特定のアレルギーワクチン接種は、花粉症が喘息に進行する危険性を低減すると共に、新しく感作が発生する危険性を低減する予防効果がある。
【0010】
奏効するアレルギーワクチン接種の基礎をなす免疫機構は、詳細には知られていない。特定の病原体に対する抗体産生のような特定の免疫応答は、適応免疫応答として公知である。この応答は、病原体に対する非特異的反応である生得的免疫応答とは区別することができる。アレルギーワクチンは、T細胞及び抗体産生B細胞のような抗原特異性のある細胞及び分子を含む適応免疫応答に対処すべきである。B細胞は、対応する特異性のあるT細胞の助けがなければ成熟して抗体産生細胞になることができない。アレルギー性免疫反応を刺激することに加わるT細胞は、主にTh2型である。Th1とTh2細胞の間に新しい均衡が確立することが、特定のアレルギーワクチン接種の免疫機構に有用で重要であると提唱されている。これが、Th2細胞の減少によるものであるか、Th2からTh1細胞へのシフトであるか、又はTh1細胞の上方制御であるかは議論の余地がある。近年、制御T細胞が、アレルギーワクチン接種の機序に重要であると提唱されている。このモデルによれば、制御T細胞、すなわち、Th3又はTr1細胞は、対応する抗原特異Th1及びTh2細胞を下方制御する。このような曖昧さにも関わらず、活性ワクチンは、アレルゲン特異T細胞、好ましくはTH1細胞を刺激する能力を有するであろうと一般的に考えられている。
【0011】
特定のアレルギーワクチン接種は、その長所にも関わらず、主に2つの理由で広くは用いられていない。理由の1つは、ワクチン接種を繰り返すこと、すなわち、数ヶ月に亘って注射することを含む従来のワクチン接種プログラムに関連する不便さである。他の理由は、更に重要なことであり、それはアレルギー副反応の危険性があることである。感染物質に対する通常のワクチン接種は、単回又は数回の高用量免疫処置を用いて効率的に行われる。しかし、この手法は、病的免疫応答が既に起こっているために、アレルギーワクチン接種には用いることはできない。
【0012】
従って、従来の特定のアレルギーワクチン接種は、長期間に亘って投与する複数回の皮下免疫処置を用いて行われる。この過程は、用量増加相及び維持相という2つの相に分かれている。用量増加相では、僅かな用量から開始し、一般的に16週間に亘って用量を増大させて投与する。推奨される維持用量に到達すれば、この用量を維持相の間、一般的に6週間毎に注射して投与する。各注射の後、極めて稀ではあるが原理上は致死的とすることができるアナフィラキシー性副反応の危険性があるために、患者を30分間医療的に観察すべきである。また、診療所は、救急治療を支援するように装備すべきである。異なる投与経路に基づくワクチンでは、現行の皮下に基づくワクチンに固有のアレルギー性副反応の危険性が消失又は減少することになり、並びに容易により広く用いられることになり、更に、家庭でのワクチン自己接種が可能になる可能性もあることが確実である。
【0013】
特定のアレルギーワクチン接種のためのワクチンを改善する試みは、30年以上行われており、多種多様の方法が含まれる。いくつかの方法は、IgE反応性を修正することによりアレルゲン自身に対処するものである。他の方法は、投与経路に対処するものである。
免疫システムには、口腔からアクセスすることができ、アレルゲンの舌下投与が公知の投与経路である。
【0014】
従来、口粘膜経路を用いるアレルギーワクチンは、一日用量までのアレルゲン溶液から成るものである。これに対して、与えられる治療(累積)維持量は、同程度の皮下用量を維持する場合の5〜500倍を超えていた。この剤形及び投与経路の明らかな欠点は、患者が正確な用量を間違いなく均質に自己投与することに関連する問題である(数滴を投与する必要がある場合、個々の液滴の均質性、投与部位の正確性等)。また、薬物を冷却すること、及び製剤に保存料を含むことも必要とされている。
【0015】
Netien他著「Galenica16−薬物ホメオパシー」、第2版、1986年、77〜99頁は、アレルゲンのような薬物を舌下投与するための乳糖、ショ糖、又はこれらの混合物の固体粒子(顆粒)又は従来の圧縮錠剤上に含浸した液体溶液を開示している。しかし、これらの剤形は、含浸手順のような重大な欠点を伴っている。
DD−A−0107208は、アレルゲンを含む従来の圧縮錠剤を調製する工程を開示している。投与すると直ぐに、錠剤は唾液に溶解され、次にアレルゲンが口腔の粘膜を通して吸収される。製剤は、水不溶性賦形剤、すなわち滑石粉、並びにパラフィン及び脂肪酸を含み、これは、患者の口内に不快な残遺物を残すことになるため望ましくない。更に、錠剤化工程の間の摩擦により、アレルゲンの物理的安定性に有害である可能性がある。
EP278877は、固体支持物、例えば、ショ糖/乳糖がアレルゲンの溶液でコーティングされた舌下に用いるための薬剤組成物を開示している。得られる製剤は、急速に分解するが瞬間的ではないと主張されている。しかし、どのようにして目的を達成するかは開示されていない。更に、この製剤は、乳糖の形で還元糖を含み、これは、アレルゲンと反応しやすい。
【0016】
特定のアレルゲンの投与用量をできるだけ多く確実に口腔の粘膜に存在させ、更に、分解生成物が粘膜に接触する時間を確実に最大にするために、口腔の唾液に接触すると剤形が瞬間的に分解することが極めて重要である。急速に分散する固体剤形は、活性原料を口腔内に容易に放出するものであり、これは、当業技術で公知である。
米国特許第4,371,516号は、水中で直ちに分解する活性原料を含む薬剤剤形を開示している。薬剤剤形は、10秒以内で分解する担体材料の開放マトリックス網状組織を含む。
【0017】
WO00/61117に開示されるような凍結乾燥した魚類ゼラチンベースの担体は、口腔内に投与されて唾液と接触すると瞬間的に活性原料を放出するように設計される。活性原料として、花粉症に対するワクチンを説明している。
WO00/44351に開示されるような凍結乾燥した加工デンプン担体は、口腔内に投与されて唾液に接触すると瞬間的に活性原料を放出するように設計される。活性原料として花粉症に対するワクチンを説明している。加工デンプン担体は、デキストリン及びゲル化前のデンプンとすることができる。
【0018】
WO99/21579は、ワクチン及び口腔用途のための補助剤を含む急速分散剤形を開示している。
WO02/13858は、口腔用途のための急速溶解「ケーク」の形態のワクチンを含む急速溶解薬物組成物を開示している。WO02/13858の目的は、消化管内で無傷のまま留まることになるウイルス又は細菌のワクチンを提供することのように見える。これは、炭酸カルシウムのような制酸剤をケークに組込み、胃の酸性内容物に対して抗原を保護することにより達成される。
【0019】
WO00/51568は、口中で唾液に接触すると30秒未満内に溶解し、易嚥下性の懸濁液を形成するように設計された急速分解圧縮性の低脆砕性錠剤を開示している。
US−A−5,648,093は、急速分散非圧縮性固体剤形を開示している。特定の例では、マルトデキストリン、マンニトール、及びキサンタンガムから成る剤形が開示されている。
WO91/09591(実施例25)は、固体状態で溶解させることにより、マトリックスがマルトデキストリン(DE10)、マンニトール、及びキサンタンガムから成るプラセボ担体マトリックスを調製することを開示している。
【0020】
US−B2−6337082は、40未満、好ましくは20〜40、代替的に10〜20のDEを有するマルトデキストリン、ゲル化剤、及び糖を含む食品に用いるための糖類ベースのマトリックスを説明している。ゲル化剤は、例えば、キサンタンガム又はゼラチンとすることができる。多くの適切な糖には、ソルビトールが含まれると示されている。マトリックスは、水中で瞬間的に分散可能であり、懸濁液を形成すると示されている。マトリックスは、同時のフラッシュ加熱及び印加物理力を伴う工程で形成される。得られるマトリックスは、粒子、チップ、フレーク、又はスピクラの形である。この例では、DEが36のマルトデキストリン、ソルビトール、及び食品原料の特定の組成物を紡績して白い幅の狭いフレークのマトリックスにしたものを説明している。
WO00/57856は、周口膜に接触すると投与される急速分散剤形の薬物を開示しており、この剤形は、50%〜99%の担体及び場合によっては希釈剤を含む。担体として、多くの化合物のなかからDEが3〜50であるマルトデキストリンが示されている。希釈剤として多くの化合物のなかからソルビトールが示されている。
【発明の開示】
【0021】
(本発明の概要)
本発明は、一般的に以下の事柄に関する。
(a)デキストロース等量(DE)が1〜20のマルトデキストリンの形態の第1のマトリックス形成剤、(b)ソルビトールの形態の第2のマトリックス形成剤、及び(c)活性物質、を含む医薬活性物質を口粘膜投与するのに適する非圧縮急速分散固体剤形。
1以上の更に別のマトリックス形成剤を含む本発明による剤形。
更に別のマトリックス形成剤が単糖類、二糖類、又は三糖類である本発明による剤形。
更に別のマトリックス形成剤がマンニトールである本発明による剤形。
ポリエチレングリコール(PEG)を更に含む本発明による剤形。
マルトデキストリンが投与溶液の3〜40%(w/w)、好ましくは10〜35(w/w)、より好ましくは15〜25%(w/w)の量で存在する本発明による剤形。
マンニトールが投与溶液の1〜20%(w/w)、好ましくは2〜10%(w/w)、より好ましくは3〜6(w/w)の量で存在する本発明による剤形。
ソルビトールが投与溶液の0.01〜10%(w/w)、好ましくは0.05〜5%(w/w)、より好ましくは0.1〜2%(w/w)の量で存在する本発明による剤形。
PEGが1〜20%(w/w)、好ましくは2〜15%(w/w)、より好ましくは3〜10%(w/w)の量で存在する本発明による剤形。
活性物質がアレルゲンである本発明による剤形。
【0022】
本発明は、急速分散非圧縮剤形に対して、ゼラチン及びデンプンのような従来の主要マトリックス形成剤の代わりに主要マトリックス形成剤としてマルトデキストリンを用いることが可能であるという驚くべき発見に基づいている。マルトデキストリンは部分的に加水分解するために、マルトデキストリンは、迅速に溶解するか又は分解するというデンプンに優る利点を有する。同時に、驚くべきことに、マトリックス形成剤としてマルトデキストリンを用いる非圧縮固体剤形は、製造、包装、運搬、取り扱い、及び貯蔵の間の活性物質の分解及び剤形からの活性物質の放出を避けるために安定で無傷のままであるのに十分な機械的強度を有することが見出されており、これは、アレルゲンのようないくつかの活性物質には極めて望ましいものである。
更に、驚くべきことに、ソルビトールは、極めて微量含まれている場合でも、剤形の機械的強度を大きく増大させることが示されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
口粘膜から粘膜にアレルゲンを供給するには、口腔で唾液に接触するとほぼ瞬間的に活性原料を放出する非圧縮急速分散固体剤形が非常に適切である。しかし、先験的に、アレルゲンにこの特定の剤形を用いることには厳しい問題を伴っている。この種の固体剤形は、すなわち、ほぼウェーハ状で脆弱である非圧縮マトリックスの固有の性質のために圧縮錠剤に比較して機械的強度が小さいことを特徴とする。これによって、患者がこの剤形を取り扱う間にアレルゲンを含む残留粒子が放出されることになる可能性がある。アレルゲンは、処置した個体にアレルギー反応を誘発するか、又はアレルギー応答を引き起こすことがあり、感作又はアレルギー反応が用量依存性であるために、これは、活性原料がアレルゲンである場合に特に有害である。塵中の例えばアレルゲンの形での環境汚染の最大許容レベルは、問題のアレルゲンにより、2マイクログラムの主要アレルゲン/グラム室内塵程の低さであると提唱されている。(「アレルギー、原理と診療」(1993年第4版)、「Mosby−Year book」、第I巻、520頁。)
【0024】
マトリックス形成剤、活性原料、及び他の適切な賦形剤を含む固化システムから液体を除去することにより製造されるこのような非圧縮急速分散個体剤形は、原位置で製造することができる。
原位置で製造するために、すなわち、最終容器すなわちブリスターパック内の活性原料及びマトリックス形成賦形剤の固化システムから溶媒を除去するために、この剤形を密封して剤形から残留物が放出しないように剤形をコーティングすることが不可能である。更に、剤形が瞬間的に放出するという特性を台無しにすることになるので、剤形をコーティングすることも不可能である。
【0025】
従って、口腔で迅速にアレルゲンを放出し、同時に理想的には患者が剤形を取り扱う間に剤形から環境に残留物が放出されることにならない程の機械的堅牢性を有するアレルゲン含有急速分散固体剤形が必要である。
更に、製造、運搬、貯蔵、及び特に患者の取り扱いを可能にするのに十分な化学的安定性を活性原料が有するアレルゲン含有急速分散固体剤形も必要である。
【0026】
現在、驚くべきことに、十分に堅牢であり患者が取り扱っても有害な量の残留物を放出しないアレルゲンを含む低脆弱性の非圧縮急速分散固体剤形を製造することが実際に可能であることが見出された。更に、驚くべきことに、これらの製剤は、室温で実際に安定であることが見出された。製造工場、運搬中、又は薬局での貯蔵中に冷所貯蔵することには、冷却機器を厳密にモニタする必要があるために高額な費用がかかることが多く、また、信頼の置ける冷却機器に投資することも高価であるために、これらの発見は、最終製品の取り扱い手順に関して非常に重要である。更に、患者の遵守に関しても、剤形は室温で貯蔵することができることが好ましい。アレルゲン製品に関するヨーロッパ薬局方の各条では、凍結乾燥した製品(すなわち、バイアルに入れたアレルゲン抽出物)に対しては水分レベルが5%を超えないようにする必要があることが示されている。驚くべきことには、水含量が要求される最大レベルである5%を超える本発明による剤形でも室温で安定であることが見出された。理論には縛られないが、これは、急速分散固体剤形の賦形剤が剤形中に残る水を結合し、アレルゲンワクチン投与製剤の水活性が減少するという事実により説明することができる。従って、製剤の水活性を低減することにより、水含量がバイアル中のアレルゲン抽出物に処方された最大レベルの5%より高くてもアレルゲンが分解しない安定な製剤を得ることが可能である。
【0027】
最終製品の貯蔵寿命を確実に十分にするために、固体剤形又はその個々の構成成分の物理的及び化学的特性に関して固体剤形の安定性を測定することができる。
水活性は、製品の貯蔵寿命に寄与する重要な因子の1つである。製品の水活性は、細菌の繁殖、並びに薬物の安定性、力価、及び粘性に影響を及ぼすことは公知である。また、タンパク安定性は、その脆弱性のために水活性により相当の影響を受ける。ほとんどのタンパク質は、活性を保持する高次構造を維持すべきである。水活性レベルを低度に維持することにより、高次構造の変化を防ぐか又は誘発するのを助けることができ、これは、次に、アレルゲンの形態のタンパク質を確実に安定にするのに重要となる。また、タンパク質の加水分解は、酵素により引き起こされるか否かに関わらず、水活性の影響を受けるものである。
【0028】
水活性の測定は、当業者に公知の方法、例えば、冷却鏡露点技術、電気抵抗又は電気容量を変化させるセンサで相対湿度を測定する方法、又は塩化リチウム電極を用いる方法を用いて実施される。
好ましい固体剤形の水活性は25%を超えず、好ましくは0.1%〜20%、より好ましくは0.5〜15%、更に好ましくは2〜8%、最も好ましくは4〜7%である。
実施例1に説明する方法により判断した固体剤形の水含量は、好ましくは25%を超えず、好ましくは0.1%〜20%、より好ましくは0.5〜15%、更に好ましくは2〜8%、最も好ましくは4〜7%である。
【0029】
アレルゲンの特徴を調べるのには、いくつかの臨床検査が利用可能である。最も広く用いられる技術は、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)、等電点電気泳動(IEF)、交差免疫電気泳動(CIE)、及びロケット免疫電気泳動(RIE)である。個々のアレルゲンの定量化は、様々な定量免疫電気泳動技術(QIE)、半径方向免疫拡散(RIE)、又は酵素免疫吸着検定法(ELISA)により行うことができる。総アレルゲン力価の測定は、放射性アレルギー吸着試験(RAST)、(LIA)、又は関連技術により行われることが最も多い。また、ELISAに基づく技術を用いることもできる。
【0030】
生物力価を測定する試験のために通常適用される許容可能な限界の指針は、例えば、アレルゲン製品に関する指針のための覚書である欧州医薬品評価局CPMP_BWP_243_96に見出される。
好ましくは、本発明の目的では、活性原料、一般的にアレルゲンの安定性は、総アレルゲン活性及び主要アレルゲン含量のようなアレルゲンの力価測定値により評価される。
【0031】
固体剤形の「初期アレルゲン活性」又は「少なくとも1つの主要アレルゲンの初期含量」は、固体剤形の製造が終了した後の値を意味する。
実施例1に説明する方法によれば、総アレルゲン活性の損失は、好ましくは総初期活性の50%未満、より好ましくは総初期活性の30%未満、更に好ましくは総初期活性の20%未満、最も好ましくは総初期活性の15%未満とすべきである。
【0032】
主要アレルゲンとしてのアレルゲンの分類にいくつかの試験を行うことができる。アレルゲンは、患者の少なくとも25%が強いIgE結合(スコア3)を示し、患者の50%が少なくとも中程度の結合(スコア2)を示す場合に、通常は主要アレルゲンとして分類され、この結合は、CRIEにより判断される(CRIE強結合、すなわち、1日後にX線フィルム上に可視IgE結合、CRIE中程度結合、すなわち、3日後に結合、CRIE弱結合、すなわち、10日後に結合)。患者の少なくとも10%に強いIgE結合があれば、このアレルゲンは、中程度アレルゲンとして分類され、患者の10%未満に明らかな特定の結合は、微量アレルゲンとなる。また、例えばIgEブロットのIgE結合を判断するのに他の方法を用いることもできる。
【0033】
実施例1に説明する方法によれば、少なくとも1つの主要アレルゲンのアレルゲン含量の損失は、好ましくは総初期含量の50%未満、より好ましくは総初期含量の30%未満、更に好ましくは総初期含量の20%未満、最も好ましくは初期含量の15%未満である。
固体アレルゲン剤形の一実施形態では、総アレルゲン活性の損失は、実施例1に説明する方法によれば、総初期活性の50%未満である。
固体アレルゲン投与の別の実施形態では、少なくとも1つの主要アレルゲンのアレルゲン含量の損失は、実施例1に説明する方法によれば、初期含量の50%未満である。
【0034】
本発明の剤形は、最終製品の貯蔵寿命を確実に十分にするために製造後に物理的及び化学的特性、例えば、アレルゲンの力価、機械的堅牢性、及び感覚器特性に関してあまり変化しないという意味で安定である。
すなわち、固体剤形の安定性は、脆砕性、引張強度、破断までのピーク荷重、物理特性の安定性、一般的に分散時間、及び剤形の視覚的外観のような感覚器特性の安定性のような機械的堅牢性等の付加的なパラメータで評価することが好ましい。
【0035】
これらは、例えば、本発明の固体剤形の破断までのピーク荷重又は引張強度を測定することにより評価することができる。引張強度を計算することができる式から明らかなように、引張強度値はいくつかのパラメータによって得られるが、これは、変数、例えば固体剤形の厚さ又は直径に影響され、値の変化に寄与することになる。従って、破断までのピーク荷重は、本発明の固体投与単位体の堅牢性を評価するのに更に正確なパラメータであると考えられる。
【0036】
貯蔵中及び患者が取り扱う時に固体剤形が確実に十分に堅牢であるようにするために、この剤形は、外力に対して特定の抵抗性を有する必要があるが、同時に、固体剤形は、口中で確実に迅速に分解されるべきである。
本発明の更に別の実施形態では、固体剤形の引張強度は、好ましくは1.1N/mm2未満、より好ましくは0.8N/mm2未満である。一般的に、剤形の引張強度は、0.2〜0.5N/mm2である。引張強度が小さくなると、剤形の機械的強度及び安定性が小さくなり、速く分散するようになる。
【0037】
急速分散剤形は、アレルゲンが嚥下される前に粘膜の免疫応答能力を有する組織に確実に最大に露出されるように、口中で唾液に接触すると瞬間的又は迅速に分解することが好ましい。好ましい実施形態では、固体剤形は、約90秒未満以内、好ましくは60秒未満以内、好ましくは30秒未満以内、より好ましくは20秒未満以内、更に好ましくは15秒未満以内、更に好ましくは口腔中で10秒未満以内、更に好ましくは5秒未満以内、最も好ましくは約2秒未満以内に分解する。
【0038】
本発明の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、アレルゲンの固体網状組織及び任意の水溶性又は水分散性マトリックスを含む急速分散固体剤形である。網状組織は、固体状態であり、アレルゲン及びマトリックスの溶液を含む組成物から溶媒を昇華することにより得られる。より好ましくは、網状組織は、凍結乾燥により得られる.
【0039】
賦形剤
本発明の好ましい実施形態では、剤形は、マトリックス形成剤に加えて1以上の賦形剤を更に含む。
本発明による急速分散固体剤形のマトリックスの部分を形成する薬剤的に許容可能な賦形剤は、補助剤、制酸剤、希釈剤、賦活薬、粘膜付着剤、着香剤、食味遮蔽剤、保存料、酸化防止剤、界面活性剤、増粘剤、着色剤、pH調整剤、及び甘味料のような適切な賦形剤である。これらの賦形剤は、アレルゲンワクチンを製剤化する分野の技術者に理解されるような従来の製薬業務に応じて選択される。
【0040】
本発明の好ましい実施形態では、剤形は、タンパク質安定剤を含む。タンパク質安定剤の例は、ポリエチレングリコール(PEG)、例えば、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG3000、PEG3050、PEG4000、PEH6000、PEG2000、及びPEG35000と、アミノ酸、例えば、グリシン、アラニン、アルギニンと、単糖類、二糖類、及び三糖類、例えば、トレハロース及びショ糖と、ポリビニルアルコール(PVA)と、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート、ツイーン又はスパン)と、ヒト血清アルブミン(HSA)と、ウシ血清アルブミン(BSA)とである。好ましくは、PEGは、タンパク質安定剤として用いる。タンパク質安定剤であることに加えて、PEGは、剤形のマトリックスに弾性特性を付与すると考えられている。
【0041】
適切な着色剤には、レッド、ブラック、及びイエロー酸化鉄及び「FD&C」ブルー第2号及び「FD&C」レッド第40号のような「FD&C」染料が含まれる。適切な着香剤には、ミント、ラズベリー、カンゾウ、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、キャラメル、バニラ、チェリー、及びグレープ香味、及びその組合せが含まれる。適切なpH調整剤には、クエン酸、酒石酸、リン酸、塩酸、及びマレイン酸が含まれる。適切な甘味料には、アスパルテーム、アセスルファムK、及びタウマチンが含まれる。適切な食味遮蔽剤には、重炭酸ナトリウム、イオン交換樹脂、シクロデキストリン含有化合物、吸着剤、又はマイクロカプセル化活性剤が含まれる。
補助剤は、通常、アレルゲンの吸収を促進し、並びにアレルゲンの免疫刺激特性を促進するのに用いられる。
【0042】
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの補助剤が本発明による剤形に組み込まれる。適切な補助剤の例は、アルミニウム塩、非毒性細菌の破片、サイトカイン、コレラ毒(及びその非毒化画分)、キトサン、相同易熱性の腸菌(及び解毒化画分)、サポニン、リポ多糖類(LPS)及びムラミールジペプチド(MDP)のような細菌生成物、リポゾーム、CpG(免疫活性化DNA配列)、微粒子状ポリマーの形態のラクチド/グリコリドホモコポリマーなどである。アレルゲンワクチンに補助剤を用いる理由は、問題のアレルゲンが、通過する障壁を穿通することができないという事実によることが多い。従って、補助剤は、吸収促進剤として働くことができ、又は免疫賦活剤として作用することもできる。しかし、補助剤を用いると、免疫応答や全身性エリテマトーデスの様々な機序を意図せずに刺激すること、及び粘膜の障壁能力を損なって有害な物質を通過させることのような重大な欠点を伴う可能性がある。更に、産業的な観点から見ると、補助剤を添加すれば、医薬品登録に関する文書作成に多大な手が掛かり、並びに更なる製造及び材料費用を構成することになる。
本発明の別の好ましい実施形態では、本発明による急速分散固体剤形は、補助剤を含まない。
また、驚くべきことに、問題のアレルゲンの免疫刺激特性を促進するためには、急速分散固体剤形に補助剤を組み込むことは必ずしも必要でなく、すなわち、固体剤形は、特定の免疫応答を向上させることができることが見出された。
【0043】
本発明による非圧縮急速分散固体剤形は、それ自身ある程度粘膜付着性とすることができるが、本発明の好ましい実施形態では、剤形が口腔粘膜に接触する時間を長くするために、前記剤形に更に粘膜付着性賦形剤を加える必要があることもある。適切な粘膜付着性賦形剤は、カルボマー及びカルボマー誘導体のようなポリアクリル酸ポリマーと、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース誘導体と、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、及びグリセロールのような天然ポリマーとである。
【0044】
マトリックス形成剤
本発明の好ましい実施形態では、マルトデキストリンのDEは、1〜15、より好ましくは1〜10である。
本発明の好ましい実施形態では、更に別のマトリックス形成剤は、単糖類、二糖類、又は三糖類である。単糖類、二糖類、及び三糖類の例は、マンノース、グルコース、ガラクトース、マンニトール、マンノース、ガラクティトール、エリスリトール、イノシトール、スレイトール、マルチトール、トレハロース、ショ糖、マルトース、マルトトリオース、乳糖、パラチノース、及びラクツロースである。好ましい単糖類、二糖類、及び三糖類は、マンノース及びマンニトールである。
本発明の剤形の好ましい実施形態では、この更に別のマトリックス形成剤はマンニトールである。
【0045】
本発明により用いるのに適する他のマトリックス形成剤には、ゼラチン、大豆、小麦及びオオバコ種タンパク質のような動物又は植物タンパク質と、アカシア、グアール、寒天及びキサンタンのようなゴムと、デンプン及び加工デンプンのような多糖類と、シクロデキストリンのような環状糖と、アルギナートと、カルボキシメチルセルロースと、カラギーナンと、デキストランと、ペクチンと、ポリビニルピロリドンのような合成ポリマーと、ゼラチン−アカシア複合体のような、ポリペプチド/タンパク質又は多糖類複合体からの物質が含まれる。
本発明により用いるのに適する他のマトリックス形成剤は、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、及びケイ酸アルミニウムのような無機塩と、グリシン、L−アラニン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−ヒドロキシプロリン、L−イソロイシン、L−ロイシン、及びL−フェニルアラニンのような2〜12の炭素原子を有するアミノ酸とである。
【0046】
上述のように、本発明では、主要マトリックス形成剤としてマルトデキストリン、及び二次的マトリックス形成剤としてソルビトールを用いて急速分散非圧縮剤形を生成することが可能になる。
更に、本発明では、マルトデキストリン、ソルビトール、及び単糖類、二糖類、及び三糖類から成るマトリックスを有する急速分散非圧縮剤形を生成することが可能になる。従って、本発明の別の好ましい実施形態では、マトリックスには、マルトデキストリン、ソルビトール、及び単糖類、二糖類、及び三糖類以外の他のマトリックス形成剤を含まない。より詳細には、マトリックスは、ポリマーマトリックス形成剤を含まないことが好ましく、より詳細には、マトリックスは、ゼラチン及び/又はデンプン及び/又はゴムを含まないことが好ましい。
投与溶液の総乾燥物質含量は、好ましくは20%(w/w)よりも大きく、より好ましくは30%(w/w)よりも大きく、更に好ましくは40%(w/w)よりも大きく、更に好ましくは50%(w/w)よりも大きく、最も好ましくは60%(w/w)よりも大きい。投与溶液の総乾燥物質含量は、生成する錠剤の寸法によって決まることになる。
【0047】
薬剤活性物質
本発明の剤形に用いられる薬剤活性物質は、口粘膜経路を通して投与することができる任意の活性物質とすることができる。口粘膜投与は、迅速に投与することが望ましい場合、及び/又は、例えば粘膜を超えて活性物質を運ぶのが困難なために及び/又は胃腸系を通過する間に活性物質が分解するために腸粘膜を通じて投与することが困難な場合に特に適切である。口粘膜経路を通じた投与は、例えばタンパク質に適切である。
【0048】
適切な活性物質の例には、以下に限定はしないが、以下のものが含まれる。
鎮痛剤及び抗炎症剤:アロキシプリン、オーラノフィン、アザプロパゾン、ベノリラート、ジフルニサル、エトドラク、フェンブフェン、フェノプロフェンカルシウム、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク。
駆虫剤:アルベンダゾール、ベフェニウムヒドロキシナフトエート、カンベンダゾール、ジクロロフェン、イベルメクチン、メベンダゾール、オキサムニキン、オクスフェンダゾール、オキサンテルエンボナート、プラジカンテル、ピランテルエンボナート、チアベンダゾール。
抗不整脈剤:アミオダロンHCl、ジソピラミド、酢酸フレカイニド、硫酸キニジン。
抗菌剤:ベネタミンペニシリン、シノキサシン、シプロフロキサシンHCl、クラリスロマイシン、クロファジミン、クロキサシリン、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、エリスロマイシン、エチオナミド、イミペネム、ナリジクス酸、ニトロフラントイン、リファンピシン、スピラマイシン、スルファベンザミド、スルファドキシン、スルファメラジン、スルファセタミド、スルファジアジン、スルファフラゾール、スルファメトキサゾール、スルファピリジン、テトラサイクリン、トリメトプリム。
抗凝固剤:ジクマロール、ジピリダモール、ニクマロン、フェニンジオン。
抗うつ剤:アモキサピン、シクラジンドール、マプロチリンHCl、ミアンセリンHCl、ノルトリプチリンHCl、トラゾドンHCl、マレイン酸トリミプラミン。
抗糖尿病剤:アセトヘキサミド、クロルプロパミド、グリベンクラミド、グリクラジド、グリピジド、トラザミド、トルブタミド。
抗てんかん剤:ベクラミド、カルバマゼピン、クロナゼパム、エトトイン、メトイン、メトスクシミド、メチルフェノバルビトン、オキシカルバゼピン、パラメタジオン、フェナセミド、フェノバルビトン、フェニトイン、フェンスクシミド、プリミドン、スルチアム、バルプロ酸。
抗真菌剤:アムフォテリシン、硝酸ブトコナゾール、クロトリマゾール、硝酸エコナゾール、フルコナゾール、フルシトシン、グリセオフルビン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナタマイシン、ナイスタチン、硝酸スルコナゾール、テルビナフィンHCl、テルコナゾール、チオコナゾール、ウンデセン酸。
抗通風剤:アロプリノール、プロベネシド、スルフィンピラゾン。
抗高血圧剤:アムロジピン、ベニジピン、ダロジピン、ジリタゼムHCl、ジアゾキシド、フェロジピン、酢酸グアナベンズ、インドラミン、イスラジピン、ミノキシジル、ニカルジピンHCl、ニフェジピン、ニモジピン、フェノキシベンザミンHCl、ピラゾシンHCL、レセルピン、テラゾシンHCl。
抗マラリア剤:アモジアキン、クロロキン、クロルプログアニルHCl、ハロファントリンHCl、メフロキンHCl、プログアニルHCl、ピリメタミン、硫酸キニーネ。
抗偏頭痛剤:メシル酸ジヒドロエルゴタミン、酒石酸エルゴタミン、マレイン酸メチセルシド、マレイン酸ピゾチフェン、コハク酸スマトリプタン。
抗ムスカリン剤:アトロピン、ベンズヘキソールHCl、ビペリデン、エトプロパジンHCl、ヒヨスチンブチルブロマイド、ヒヨスチアミン、臭化メペンゾラート、オルフェンナドリン、オキシフェンチルチミンHCl、トロピカミド。
抗腫瘍剤及び免疫抑制剤:アミノグルテチミド、アムサクリン、アザチオプリン、ブスルファン、クロラムブシル、シクロスポリン、ダカルバジン、エストラムスチン、エトポシド、ロムスチン、メルファラン、メルカプトプリン、メソトレキセート、マイトマイシン、ミトタン、ミトザントロン、プロカルバジンHCl、クエン酸タモキシフェン、テストラクトン。
抗原虫剤:ベンズニダゾール、クリオキノール、クリオキノール、ジヨードヒドロキシキノリン、ジロキサニドフロエート、ジニトルミド、フルゾリドン、メトロニダゾール、ニモラゾール、ニトロフラゾン、オルニダゾール、チニダゾール。
抗甲状腺剤:カルビマゾール、プロピルチオウラシル。
抗不安剤、鎮静剤、睡眠剤、及び神経遮断剤:アルプラゾラム、アミロバルビトン、バルビトン、ベンタゼパム、ブロマゼパム、ブロムペリドール、ブロチゾラム、ブトバルビトン、カルブロマール、クロルジアゼポキシド、クロルメチアゾール、クロルプロマジン、クロバザム、クロチアゼパム、クロザピン、ジアゼパム、ドロペリドール、エチナメート、フルナニゾン、フルニトラゼパム、フルオプロマジン、デカン酸フルペンチキソール、デカン酸フルフェナジン、フルラゼパム、ハロペリドール、ロラゼパム、ロルメタゼパム、メダゼパム、メプロバメート、メタカロン、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、ペントバルビトン、ペルフェナジンピモジド、プロクロルペラジン、スルピリド、テマゼパム、チオリダジン、トリアゾラム、ゾピクロン。
βブロッカー:アセブトロール、アルプレノロール、アテノロール、ラベタロール、メトプロロール、ナドロール、オクスプレノロール、ピンドロール、プロプラノロール。
強心剤:アムリノン、ジギトキシン、ジゴキシン、エノキシモン、ラナトシドC、メジゴキシン。
コルチコステロイド:ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデゾニド、酢酸コルチゾン、デゾキシメタゾン、デキサメタゾン、酢酸フルドロコルチゾン、フルニゾリド、フルコルトロン、プロピオン酸フルチカゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン。
利尿剤:アセタゾラミド、アミロリド、ベンドロフルアザイド、ブメタニド、クロロチアジド、クロルタリドン、エタクリン酸、フルセミド、メトラゾン、スピロノラクトン、トリアムテレン。
酵素:抗パーキンソン病剤:メシル酸ブロモクリプチン、マレイン酸リスリド。
胃腸病剤:ビサコジル、シメチジン、シサプリド、ジフェノキシレートHCl、ドンペリドン、ファモチジン、ロペラミド、メサラジン、ニザチジン、オメプラゾール、オンダンセトロンHCL、ラニチジンHCl、スルファサラジン。
ヒスタミンH,受容体拮抗剤:アクリバスチン、アステミゾール、シンナリジン、シクリジン、シプロヘプタジンHCl、ジメンヒドリナート、フルナリジンHCl、メクロジンHCl、オキサトミド、テルフェナジン、トリプロリジン。
脂質調整剤:ベザフィブラート、クロフィブラート、フェノフィブラート、ジェムフィブロジル、プロブコール。
局所麻酔剤:神経筋剤:ピリドスチグミン。
硝酸塩及び他の抗狭心症剤:アミル硝酸塩、ニトログリセリン、イソソルビドジニトレート、イソソルビドモノニトレート、ペンタエリトリトールテトラニトレート。
栄養剤:ベータカロテン、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK。
オピオイド鎮痛剤:コデイン、デキストロプロピオキシフェン、ジアモルフィン、ジヒドロコデイン、メプタジノール、メタドン、モルヒネ、ナルブフィン、ペンタゾシン。
経口ワクチン:疾患の症状を防止するか又は軽減するように設計されたワクチン(以下のものは代表的であるが網羅的なリストではない):インフルエンザ、結核、髄膜炎、肝炎、百日咳、ポリオ、破傷風、ジフテリア、マラリア、コレラ、疱疹、腸チフス、HIV、AIDS、麻疹、ライム病、旅行者下痢、A型、B型及びC型肝炎、中耳炎、デング熱、狂犬病、パラインフルエンザ、風疹、黄熱病、赤痢、レジオネラ病、トキソプラズマ症、Q熱、出血熱、アルゼンチン出血熱、カリエス、シャーガス病、大腸菌により引き起こされる尿路感染症、肺炎球菌感染症、流行性耳下腺炎、及びチクングンヤ熱。
他の疾患の症状を防止するか又は軽減するワクチン(以下のものは原因菌の代表的リストであるが網羅的なものではない):ビブリオ種、サルモネラ種、ボルデテラ種、ヘモプロテウス種、トキソプラズマ、サイトメガロウイルス、クラミジア種、連鎖球菌種、ノーウォークウイルス、大腸菌、ヘリコバクタピロリ、ロタウイルス、淋菌、髄膜炎菌、アデノウイルス、EBウイルス、日本脳炎ウイルス、カリニ肺炎、単純疱疹、クロストリジウム種、呼吸器合胞体、クレブシエラ種、赤痢菌種、緑膿菌、パルボウイルス、カンピロバクタ種、リケッチア種、水痘帯状疱疹、エルシニア種、ロスリバーウイルス、J.C.ウイルス、ロドコッカスエクイ、カタル性モラクセラ、ボレリアブルグドルフェリ、及びパスツレラヘモリチカ。
花粉症、喘息、間接リウマチ、及び癌腫のような局所性及び全身性アレルギー状態等の非感染性免疫変調疾患状態に関するワクチン。
獣医用途のためのワクチンには、ペット及び家畜に影響を及ぼすコクシジウム症、ニューカッスル病、地方病性肺炎、ネコ科動物白血病、萎縮性鼻炎、丹毒、口蹄疫、ブタ肺炎、及び他の疾患状態、及び他の感染症及び自己免疫疾患状態に関するものが含まれる。
タンパク質、ペプチド、及び組換え薬剤:インシュリン(六量体/二量体/単量体形)、グルカゴン、成長ホルモン(ソマトトロピン)、ポリペプチド又はその誘導体、(好ましくは、分子量1000〜300,000)、カルシトニン及びその合成修飾物、エンケファリン、インターフェロン(特に、風邪治療のためのアルファ2インターフェロン)、LHRH及び類似物(ナファレリン、ブセレリン、ゾラデックス)、GHRH(成長ホルモン放出ホルモン)、セクレチン、ブラジキン拮抗剤、GRF(成長ホルモン放出因子)、THF、TRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)、ACTH類似物、IGF(インシュリン状成長因子)、CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)、心房性ナトリウム利尿ペプチド、バソプレシン及び類似物(DDAVP、リプレシン)、第VIII因子、G−CSF(顆粒球コロニー刺激因子)、EPO(エリスロポエチン)。
性ホルモン:クエン酸クロミフェン、ダナゾール、エチニルエストラジオール、酢酸メドロキシプロゲステロン、メストラノール、メチルテストステロン、ノルエチステロン、ノルゲストレル、エストラジオール、複合エストロゲン、プロゲステロン、スタノゾロール、スチルベストロール、テストステロン、チボロン。
殺精子剤:ノノキシノール9。
興奮剤:アンフェタミン、デキサンフェタミン、デクスフェンフルラミン、フェンフルラミン、マジンドール、ペモリン。
【0049】
本発明の好ましい実施形態では、医薬活性物質はアレルゲンである。この節の残り及び本発明の説明のほとんどの他の部分は、本発明のこの実施形態に関して説明するものとする。
本発明によれば、アレルゲンワクチンは、口腔で唾液に接触すると迅速に溶解することにより、アレルゲンが粘膜の免疫関連組織と密接に接触してそれに働き掛けるようにした急速分散固体剤形で提供される。本発明の好ましい実施形態では、本発明によるアレルゲンは、個体に繰返し露出されるとアレルギー性、すなわちIgE媒介反応を引き起こすと報告されている任意の天然のタンパク質である。天然アレルゲンの例には、花粉アレルゲン(樹木、広葉草本(herb)、雑草(weed)、及び草花粉アレルゲン)、昆虫アレルゲン(吸入性、唾液及び毒アレルゲン、例えば、ダニアレルゲン、ゴキブリ及び小昆虫アレルゲン、ヒメノプテラ毒アレルゲン)、獣毛及びフケアレルゲン(例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ラット、マウス等由来)、及び食物アレルゲンが含まれる。樹木、草、及び広葉草本からの重要な花粉アレルゲンは、一般的に、カバノキ(カバノキ属)、ハンノキ(ハンノキ属)、ハシバミ(ハシバミ属)、シデ(クマシデ属)及びオリーブ(オリーブ属)、シーダー(クリプトメリア属及びジュニパレス属)、スズカケノキ(プラタナス)を含むブナ目、モクセイ目、マツ目、及びスズカケノキ目の分類学的目、ドクムギ属、オオアワガエリ属、イチゴツナギ属、ギョウギシバ属、カモガヤ属、シラゲガヤ属、クサヨシ属、ライムギ属、及びモロコシ属の一般的に草を含むイネ目、ブタクサ属、ヨモギ属、及びヒカゲミズ属の一般的に広葉草本を含むキク目、及びイラクサ目に由来するようなものである。他の重要な吸入アレルゲンは、ヒョウヒダニ属及びシワダニ属の室内塵ダニ、貯蔵庫ダニ、例えば、サヤアシニクダニ、ニクダニ、及びケナガコナダニからのもの、ゴキブリ、小昆虫、及びノミ、例えば、チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ユスリカ、及びイヌノミからのもの、ネコ、イヌ、及びウマのような哺乳動物からのものであり、毒アレルゲンは、ミツバチ(ミツバチ上科)、スズメバチ(スズメバチ上科)、及びアリ(アリ上科)を含む膜翅目の分類学的目からのもののような穿刺又は刺咬昆虫から生じるものなどを含む。菌類からの重要な吸入アレルゲンは、一般的に、アルテルナリア属及びクラドスポリウム属から生じるようなものである。
【0050】
本発明のより好ましい実施形態では、アレルゲンは、「Bet v 1」、「Aln g 1」、「Cor a 1」及び「Car b 1」、「Que a 1」、「Cry j 1」、「Cry j 2」、「Cup a 1」、「Cup s 1」、「Jun a 1」、「Jun a 2」、「jun a 3」、「Ole e 1」、「Lig v 1」、「Pla l 1」、「Pla a 2」、「Amb a 1」、「Amb a 2」、「Amb t 5」、「Art v 1」、「Art v 2」、「Par j 1」、「Par j 2」、「Par j 3」、「Sal k 1」、「Ave e 1」、「Cyn d 1」、「Cyn d 7」、「Dac g 1」、「Fes p 1」、「Hol l 1」、「Lol p 1及び5」、「Pha a 1」、「Pas n 1」、「Phl p 1」、「Phl p 5」、「Phl p 6」、「Poa p 1」、「Poa p 5」、「Sec c 1」、「Sec c 5」、「Sor h 1」、「Der f 1」、「Der f 2」、「Der p 1」、「Der p 2」、「Der p 7」、「Der m 1」、「Eur m 2」、「Gly d 1」、「Lep d 2」、「Blo t 1」、「Tyr p 2」、「Bla g 1」、「Bla g 2」、「Per a 1」、「Fel d 1」、「Can f 1」、「Can f 2」、「Bos d 2」、「Equ c 1」、「Equ c 2」、「Equ c 3」、「Mus m 1」、「Rat n 1」、「Apis m 1」、「Api m 2」、「Ves v 1」、「Ves v 2」、「Ves v 5」、「Dol m 1」、「Dil m 2」、「Dol m 5」、「Pol a 1」、「Pol a 2」、「Pol a 5」、「Sol i 1」、「Sol i 2」、「Sol i 3」及び「Sol i 4」、「Alt a 1」、「Cla h 1」、「Asp f 1」、「Bos d 4」、「Mal d 1」、「Gly m 1」、「Gly m 2」、「Gly m 3」、「Ara h 1」、「Ara h 2」、「Ara h 3」、「Ara h 4」、「Ara h 5」、又はこれらのいずれかの「分子育種」からの混合ハイブリッドである。
【0051】
本発明の最も好ましい実施形態では、アレルゲンは、花粉アレルゲン又はチリダニアレルゲン又はブタクサアレルゲン又はシーダー花粉又はネコアレルゲン又はカバノキアレルゲンである。
本発明の更に別の実施形態では、急速分散固体剤形は、同じアレルギー源由来又は異なるアレルゲン源由来の何れか、例えば、各々異なるダニ及び草の種からの草群1及び草群5のアレルゲン又はダニ群1及び群2のアレルゲン、低寸及び高寸ブタクサアレルゲンのような雑草抗原、アルテルナリア属及びクラドスポリウム属のような異なる真菌アレルゲン、カバノキ、ハシバミ、シデ、オーク及びハンノキアレルゲンのような樹木アレルゲン、ピーナッツ、大豆及び牛乳アレルゲンのような食物アレルゲンからの少なくとも2つの異なる種類のアレルゲンを含む。
【0052】
急速分散固体剤形に組み込んだアレルゲンは、抽出物、精製アレルゲン、修飾アレルゲン、組換えアレルゲン、又は組換えアレルゲンの突然変異の形態とすることができる。アレルゲン抽出物は、自然に同じアレルゲンの1以上のイソ型を含むことができるが、組換えアレルゲンは、一般的にアレルゲンの1つのイソ型のみに相当する。好ましい実施形態では、アレルゲンは、抽出物の形態である。別の好ましい実施形態では、アレルゲンは組換えアレルゲンである。別の好ましい実施形態では、アレルゲンは、天然低IgE結合突然変異体又は組換え低IgE結合突然変異体である。
アレルゲンは等モル量で存在することができ、存在するアレルゲン比が好ましくは1:20までで変動することができる。
本発明の更に別の実施形態では、低IgE結合アレルゲンは、WO99/47680、WO02/40676、又はWO03/096869A2によるアレルゲンである。
【0053】
剤形
本発明の剤形は、凍結乾燥により生成されることが好ましい。
好ましくは、pHは、アレルゲンの変性や沈殿を避けて確実に安定な生成物にするために、溶液を含むアレルゲン及びマトリックスを固化する前に調節される。異なるアレルゲン溶液に最適なpHは、その等電点(pl)がそうであるように、ほぼ全pH範囲に亘るものである。抽出物のようなアレルゲンの混合物は、抽出物中の個々のアレルゲンの濃度のような因子により判断される溶解性及び安定性に対して同じく最適なものである。従って、本発明による製剤に対して、個々に判断されるpHの実現可能な範囲を予想することができる。問題のアレルゲンに対する最適なpHは、異なるpHの製剤に加速安定試験を行うことにより判断される。このような試験の設計は、アレルゲンワクチンを製剤する技術の技術者には公知である。
好ましくは、アレルゲン抽出物を含む投与溶液は、3.5〜10、より好ましくは4〜9、最も好ましくは6〜9のpHに調節すべきである。
【0054】
更に、イオン強度は、主に凍結乾燥工程の効果を通して、凍結乾燥固体剤形の安定性に影響を及ぼすパラメータである可能性があることは当業技術で公知である。また、高イオン強度では、沈殿に影響を及ぼすことも公知である。従って、最適値は、当業者に公知の測定を行うことにより確立すべきである。好ましくは、10ug/mの抽出物のイオン強度は、1〜1500μS/cm、より好ましくは300〜800μS/cm、最も好ましくは約500μS/cmであり、マトリックス及びアレルゲン含有システムに対しては、イオン強度は、好ましくは1〜2000μS/cm、より好ましくは500〜1500μS/cmである。
【0055】
急速分散固体剤形の形態のアレルゲンの用量をある一定の最大値まで増大させる古典的漸増投与量脱感作により、アレルギーの症状が軽減される。剤形の単位投与量の好ましい力価は、150〜1000000SQ−u/剤形、より好ましくは、力価は500〜500000SQ−u/剤形、更に好ましくは、力価は1000〜250000SQ−u/剤形、更に好ましくは、1500〜125000SQ−u/剤形、最も好ましくは、1500〜75000SQ−u/剤形である。
本発明の別の実施形態では、剤形は、好ましくは1500〜75000SQ−u/剤形の範囲の繰返し単一投与量である。
【0056】
本発明の更に別の実施形態では、唾液に溶解されたアレルゲン剤形は、例えば、口中の粘膜に亘って吸収するのに十分な時間接触させるために投与後3分まで嚥下されない。
更に別の好ましい実施形態では、アレルゲン剤形は、例えば5分後までは流体状の水を取り込まないことにより口腔で希釈されない。
本発明による急速分散固体剤形は、米国特許第5,729,958号及び米国特許第5,343,762号に説明するように製造して、使い捨ての単用量ブリスターパックに入れて包装することができる。適切なブリスターパックの例は、全アルミニウムブリスターパック、ポリマー、例えばポリプロピレンで作られたブリスターパック、PVCのブリスターパック、及びPVC/PVdC積層体で作られて例えばカレンダ加工クラフト紙に積層されたアルミニウムで密封されたブリスターパック、「Aclar(登録商標)」、又は「Triplex(登録商標)」である。
【0057】
本発明の一実施形態では、急速分散剤形は、製造されて、PVC/PVdC積層体で作られてカレンダ加工クラフト紙に積層されたアルミニウムで密封されたブリスターパックに包装される。これの別の実施形態では、ブリスターパックは、カレンダ加工クラフト紙に積層されたアルミニウムで構成された適切な大きさのアルミニウムサッシェに封入される。
更に別の実施形態では、急速分散剤形は、アルミニウムで形成され、カレンダ加工クラフト紙に積層されたアルミニウムで密封されたブリスターパックに包装される。
更に別の実施形態では、急速分散剤形は、例えば5層アルミニウム積層体で形成された多層ブリスターパックに包装され、カレンダ加工クラフト紙に積層されたアルミニウムで密封される。
更に別の実施形態では、急速分散剤形は、アルミニウム積層体で形成されたブリスターパックに包装してカレンダ加工クラフト紙に積層されたアルミニウムで密封し、小児がこのブリスターパック、例えば対小児安全包装を開けることが困難なようにする。
【0058】
非圧縮急速分散固体剤形は、通常は、非圧縮剤形であることのような固有の性質のために圧縮錠剤に比較して機械強度が小さいことを特徴とする。これによって、ブリスターポケットから取り出される時及び患者が剤形を取り扱う間に、アレルゲンを含有する残留粒子が放出されることになる。ほとんどの場合に、これは重要でないか又は主に表面的に重要なだけである。しかし、低量アレルゲンにより、服用させたヒトにアレルギー反応が誘発される、すなわち感作される可能性があるために、これは、活性原料がアレルゲンである場合は特に有害である。通常、露出は、例えば、花粉アレルゲン又は塵ダニアレルゲンに対しては累積される主要アレルゲンタンパク質に対して10μg/年の範囲であり、これは、感作させるか又は症状を生じさせるのに妥当である。
【0059】
固体剤形を取り扱う時、アレルゲンが気道又は眼のような目標臓器と接触し、アレルギーのあるヒトの反応を誘発する可能性がある。剤形の1つは、露出の性質によって1年又はそれ以上の間にヒトが露出されるほどの量のアレルゲンを含むことができる。結膜アレルゲン抗原投与を用いて、アレルギー患者の眼症状を誘発することもできる。このような抗原投与研究に基づき、結膜症状を誘発するのにどの程度の量のアレルゲン抽出物が必要であるかを推定することができる。花粉誘発花粉症の患者集団では、結膜症状を引き起こす花粉抽出物の最低用量は、3000SQ−U/mlx0.05ml=150SQ−U(中央値)であると提唱されている(S.R.Durham、S.M.Walker、E.M.Varga、M.R.Jacobson、F.O’Brien、W.Noble、S.J.Till、Q.A.Hamid、K.及びT.Nouri−Aria著「花粉免疫療法の長期診療有効性」、「N.Engt.J.Med.」、第341巻(7)、468〜475頁、1999年)。
すなわち、本発明の剤形の一実施形態では、手で取り扱う間に各固体剤形から500SQ−U未満、より好ましくは250SQ−U未満、最も好ましくは150SQ−U未満が放出される。
【0060】
ブリスターパックを開けた時に固体剤形からの残留物を含むアレルゲンが環境に決して放出されないようにするために、経口投与後の剤形のアレルゲン放出を損なうことなく剤形の脆砕性をできるだけ小さくすることが重要である。
本発明の好ましい実施形態では、剤形を取り出した後のブリスターパックの粉塵の残留含量は、総アレルゲン含量の2%を超えず、より好ましくは、固体剤形の総アレルゲン含量の0.5%を超えず、更に好ましくは、固体剤形の総アレルゲン含量の0.2%を超えず、最も好ましくは、固体剤形の総アレルゲン含量の0.1%を超えない。
【0061】
通常、圧縮錠剤の脆砕性試験は、ヨーロッパ薬局方E.P.2.9.7及びアメリカ薬局方USP<1216>に規定されたように行われ、重量の損失が無傷剤形のパラメータとして評価される。従って、現行の剤形の無傷性は、このような方法が行われた時に目視検査及び錠剤重量の測定により評価することができる。代替的に、本発明による剤形の重量が小さいために、秤量は、問題のアレルゲンに特異的な免疫検定法で置換することができる。
【0062】
修正脆砕性試験の利用は、堅牢性及び機械的強度に関してどの組成物が最も安定であるかを評価するのに有用な手段であることが見出されている。一実施形態では、放出されるアレルゲンの量として測定された上述の固体剤形の脆砕性は、試験する組成物に十分な外力を及ぼす任意の適切な脆砕性試験で500SQ−U/固体剤形未満、より好ましくは、250SQ−U/固体剤形未満、最も好ましくは、150SQ−U/固体剤形未満である。より好ましい実施形態では、薬局方に従って行った脆砕性試験で放出されるアレルゲンの量として測定される脆砕性は、500SQ−U/固体剤形未満、より好ましくは、250SQ−U/固体剤形未満、最も好ましくは、150SQ−U/固体剤形未満である。更に好ましい実施形態では、放出されるアレルゲンの量として測定される脆砕性は、以下の段階、すなわち、
a)密封ブリスターパックユニットに収容した固体剤形の個々の単位体を脆砕性測定に適切な機器に入れる段階、
b)それを適切な時間に亘って適切な速度で動かす段階、
c)密封固体剤形単位体を取り出す段階、
d)密封固体剤形単位体を開けてこの単位内容物を容器に出す/急速分散剤形単位体及び全ての残留物を容器に入れる段階、
e)固体剤形単位体を容器から取り出して全ての遊離している残留物を上述の容器に残す段階、
f)上述の残留物にアレルゲン特異検定を行い、上述の残留物内のアレルゲン含量を判断する段階、及び
g)任意に、固体剤形単位体の総アレルゲン含量の上述の残留物内パーセントアレルゲン含量を計算する段階、
を含む検定法で、500SQ−U/固体剤形未満、より好ましくは、250SQ−U/固体剤形未満、最も好ましくは、150SQ−U/固体剤形未満である。
【0063】
脆砕性試験法の好ましい実施形態では、単位体は、251rpmで100回転させ、ELISA検定でアレルゲン含量を判断する。
更に、経口剤形は、魅力的な外観を有することが好ましい。従って、品質制御の一部として、本発明による急速分散固体剤形には、色、形状、不規則性、及び欠陥のようなパラメータに対して目視検査を行うことが好ましい。
患者の遵守性を確実に最適にするために、患者が剤形を口に入れて分解させる時に心地よいと感じることが好ましい。従って、剤形は、口中での感触も試験することが好ましい。
【0064】
アレルゲンは、アレルギーのあるヒトには生体に大きな影響を及ぼすために、すなわち、少量でも反応をトリガする可能性があるために、同じ用量を投与する時に患者が経験する反応パターンを再現することができるように、アレルゲンの含量が治療の間に亘って均質であることが好ましい。好ましくは、ブリスターパック内の単位体のアレルゲン含量のばらつきは、用量設定に比較して±10%以内、好ましくは±7%以内、最も好ましくは±5%以内である。
ブリスターパックには、任意の考えられる数の急速分散固体剤形を含むことができる。好ましい実施形態では、ブリスターパックは、1〜100固体剤形を含み、より好ましくは5〜35固体剤形を含む。ブリスターパックは、患者を脱感作するのに必要な任意の特定の投薬計画に従って適切な容器に更に包装することができる。
【0065】
更に、本発明は、医薬活性物質及びマルトデキストリン及び任意に1以上の別のマトリックス形成剤及び適切な賦形剤の水性投与溶液を調製する段階と、この溶液を多層積層体ブリスターシートの凹部に導入する段階と、貯蔵温度及びチャンバ内圧力の標準条件を用いて、装填したシートを凍結及び凍結乾燥させる段階とを含む請求項1に記載の急速分散非圧縮固体剤形を生成する方法に関する。
【0066】
更に、本発明は、1)急速分散非圧縮固体アレルゲンワクチン剤形を生成する段階と、2)a)密封ブリスターパックユニットに収容された固体剤形を脆砕性測定に適する機器に入れる段階、b)それを適切な時間に亘って適切な速度で動かす段階、c)密封固体剤形単位体を取り出す段階、d)密封固体剤形単位体を開けてその単位体を容器に出す/急速分散剤形単位体を容器に入れる段階、e)容器から固体剤形単位体を取り出し、上述の容器内に遊離残留物を残す段階、f)上述の残留物に免疫化学的アレルゲン特異検定を行い、上述の残留物中のアレルゲン含量の量を判断する段階、g)固体剤形単位体の総アレルゲン含量に比較し、上述の残留物中のアレルゲン含量のパーセントを計算する段階、及びh)剤形が低脆砕性という要件を満たすか否かを判断する段階を含む検定で上述の剤形の脆砕性を測定する段階と、3)剤形に対する要件が満たされるまで1)及び2)を繰り返す段階とを含む、口粘膜に投与するのに適切な急速分散非圧縮アレルゲンワクチン固体剤形を得る方法に関する。
【0067】
治療
本発明による急速分散固体剤形は、米国特許第4,371,516号に開示されている工程による昇華工程により調製することができる。従って、アレルゲン及びマトリックス形成賦形剤の固化溶液は、昇華を受けることになる。昇華工程は、溶液を凍結乾燥させることにより行うことが好ましい。溶液は、凍結乾燥段階を行って任意の望ましい形状の固体形を生成する間、ブリスターパックの凹部に収容されている。ブリスターパックは、液体窒素又は固体二酸化炭素を用いて冷却することができる。凍結段階の後、ブリスターパック内の凍結溶液を減圧し、必要に応じて熱を制御して加え、溶媒の昇華を助ける。
【0068】
臨床的なアレルギーの徴候及び症状はいくつかあり、感作個体及び罹っているアレルギーによって変動する場合がある。浮腫、掻痒、及び涙及び鼻水(鼻炎結膜炎)のような症状及び喘鳴、咳嗽、呼吸不足のような上部及び下部気道の症状、湿疹、蕁麻疹、及び掻痒のような皮膚の状態は共通である。また、疲労のような他の症状も経験される。対症療法は、症状の重さを軽減するか又はそれに影響を及ぼすこと、又は並行して与える他の薬剤を低減することを目的とする。対症薬には、H1及びH2受容体拮抗剤のような抗ヒスタミン剤、鼻腔及び全身性コルチコステロイド、非ステロイド系抗炎症性薬剤、アドレナリン受容体拮抗剤のような鼻鬱血除去薬が含まれる。1以上のアレルギー症状の治療及び緩和又は他の薬物療法の必要性を低減することが本発明の他の目的である。
【0069】
すなわち、本発明は、本発明による剤形の有効量を口粘膜に投与する段階を含む疾患を予防又は治療する方法に関する。
より詳細には、本発明は、本発明によるアレルゲンワクチン剤形の有効量を口粘膜に投与する段階を含む、アレルギーを予防又は治療するか又はアレルギー症状を軽減する方法に関する。
本発明はまた、本発明による急速分散非圧縮固体剤形を製造するための医薬活性物質に関する。
より詳細には、本発明は、本発明による急速分散非圧縮アレルゲンワクチン固体剤形を製造するためのアレルゲンに関する。
【0070】
更に、本発明は、疾病を口粘膜予防又は治療するための本発明による急速分散非圧縮固体剤形に関する。
より詳細には、本発明は、アレルギーを口粘膜予防又は治療するか又はアレルギー症状を軽減するための本発明による急速分散非圧縮アレルゲンワクチン固体剤形に関する。
また、本発明は、疾病を口粘膜予防又は治療するための請求項1に記載の急速分散又は非圧縮固体剤形を製造するための医薬的活性物質の使用に関する。
より詳細には、本発明は、アレルギーを口粘膜予防又は治療するか又はアレルギー症状を軽減するための請求項1に記載の急速分散又は非圧縮アレルゲンワクチン固体剤形を製造するためのアレルゲンの使用に関する。
【0071】
舌下免疫療法は、耐性を引き起こす粘膜ワクチン接種を生じさせる方法と見なすことができる。口粘膜は、抗原提示する強い潜在能力を有する樹状細胞が豊富である。樹状細胞は、アレルゲンを処理し、それから局所リンパ節に移行し、そこでアレルゲンからのペプチドをアレルゲン特異T細胞に示すと考えられている。舌下免疫療法の間、この樹状細胞−T細胞相互作用は、調節潜在能力を有するT細胞を誘発するか、又はアレルゲン特異Th1細胞のアレルゲン特異Th2細胞に対する比を大きくすると考えられている。アレルギーワクチン接種の間にモニタされるいくつかの免疫パラメータは、各々、単独又は組み合わせて治療の効果又は効率のための適切なマーカとすることができる。これらには、全身及び粘膜抗体反応、例えば、特異的IgA、IgG、及びIgE抗体と、血中又は粘膜分泌物中のサイトカインレベル、例えば、INFガンマ、IL−2、IL−4、IL−5、IL−10、IL−12、及びTNFアルファと、調節T細胞、Th1細胞、TH2細胞、CD8細胞、他のT細胞の部分集合又はB細胞又はNK細胞の活性、走化性、増殖、シグナル伝達、サイトカイン産生及び他の反応、及びCD(膜タンパク質群)マーカ、例えば、CD4、CD8、CD23、CD25、CD62L、CLA、ベータ7、CCR9、CD69、CD45RO、CCR3、CXCR5のような細胞表面マーカ表現型、好塩基球の総ヒスタミン含量のような効果器細胞機能と、血液、組織、及び分泌物中の好酸球、好塩基球、リンパ球、単球の数と、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球介在物の放出、サイトカイン産生、活性化、走化性、増殖、シグナル伝達、及び他の反応とが含まれる。
【0072】
好ましい実施形態では、本発明による剤形は、以下の免疫学的変化の1以上を見出すことができるという特徴を有する。すなわち、アレルゲン特異IgG反応の増大、アレルゲン特異IgA反応の増大、アレルゲン特異IgE反応の減少、及び局所副反応がほとんどないことと、好酸球、好塩基球、リンパ球及び/又は単球のアレルゲン特異エフェクター反応の減少と、調節潜在能力を有する調節T細胞の誘導、アレルゲン特異Th1細胞のアレルゲン特異Th2細胞に対する比の増大、調節潜在能力を有する他の細胞の誘導、及びアレルゲン特異Th2反応の減少とである。
【0073】
アレルギーはまた、動物、特に家畜及びペットにも公知の疾病である。それらは、草、室内塵ダニ、及び寄生虫を含む多くのアレルゲン源に対するアレルギーを発症することが当業技術で公知である。吸血動物、すなわち吸血昆虫が蔓延すると、ノミアレルギー皮膚炎(FAD)と呼ばれる過敏反応を引き起こすことが公知である。本発明の好ましい実施形態では、動物ワクチンのためのアレルゲンには、外部寄生虫(例えば、ノミ、ダニ、蚊、ハエ)のような寄生虫、寄生蠕虫毒(イヌ糸状虫、例えばジロフィラリア、又は回旋糸状虫、例えばオンコセルカのような)、及び室内塵ダニ由来か又はそれから移行したアレルゲンが含まれる。より好ましいものは、イヌノミ属、例えばイヌノミ及びネコノミのようなノミ、イクソデス属やキララマダニ属のようなマダニ、ヒメダニ属のような軟ダニ、及びヌカカ属のような小昆虫からの唾液アレルゲンである。
【0074】
マイクロカプセルを収容する剤形
パイエル板は、小腸、大腸、及び虫垂の壁に位置するリンパ結節の集合体であり、感染物質及び身体に異物となる他の物質の付着及び透過に対する身体防御の重要な部分である。また、パイエル板は、集合リンパ小節としても公知である。同様の集合リンパ小節は、気道、直腸、鼻腔、口腔、咽頭、尿生殖路、大腸、及び身体の他の粘膜組織に見ることができる。上述の組織は、一般的に粘膜関連リンパ組織(MALT)ということができる。
適切な大きさで適切な物理化学特性を有する医薬活性物質は、パイエル板及びMALTにより有効に取り込まれることが示されている。
【0075】
従って、本発明の付加的な態様は、活性物質の少なくとも一部がマトリックスに埋め込まれたマイクロカプセルの形で存在し、マイクロカプセルが第1の封入剤及び活性物質を含む剤形に関する。理論には縛られないが、特定のアレルゲン中のいくつかの活性物質は、MALTが取り込むことができるか、又はMALTを通じて効果を引き出すことができるマイクロカプセルにより意図する治療効果を得ることができると考えられている。本発明の好ましい実施形態では、活性物質は、マトリックス中にマイクロカプセルの形態及びマトリックスと直接接触する分子の形態の両方で存在する。この実施形態では、活性物質は、2つの異なる機構、すなわち、MALTを経由する機構及び自由アレルゲンにより誘発される免疫系刺激による機構により取り込まれるか及び/又はその効果が誘発され、活性物質がマイクロカプセルか又はマトリックスと直接組み合わせるかの何れかにより製剤化される場合に比較して良好な治療効果が得られると考えられている。
【0076】
治療効果を高めることに加えて、マイクロカプセルの利用には、剤形の生成及び貯蔵の両方の間及び活性物質を患者に投与する過程で医薬活性物質が分解しないように保護するという利点がある。本明細書の他所でより詳細に説明するように、これは、活性物質がアレルゲンである場合に特に重要である。マイクロカプセル封入を用いて感受性のある生物活性物質が分解しないように保護することは公知である。一般的に、生物活性物質は、通常は性質がポリマー状であるいくつかの保護壁材料の何れかにカプセル封入される。カプセル封入薬剤は、ポリマー材料の単壁でコーティングすることができ(マイクロカプセル)、ポリマーマトリックス内に均質に分散することができる(微小球)。(以後、マイクロカプセルという用語は、マイクロカプセル及び微小球の両方を意味し、「カプセル封入」及び「マイクロカプセル封入」という用語も相応に解釈されるべきである。)マイクロカプセル内の物質の量は、マイクロカプセル組成物の微量から95%又はそれ以上の多い量までの範囲で必要に応じて変えることができる。マイクロカプセルの直径は、好ましくは20μm未満、より好ましくは15μm未満、更に好ましくは10μm未満、最も好ましくは1〜10μmである。
更に、マイクロカプセルを利用すると、剤形から活性物質が放出されることが防止されるという利点を伴っている。本明細書の他所により詳細に説明するように、これは、活性物質がアレルゲンである場合に特に重要である。
【0077】
カプセル封入剤は、任意の生物分解性物質、好ましくはポリマー剤とすることができる。好ましくは、第1のカプセル封入剤は、ポリ−ラクチド、ポリ−ラクチド−ポリ(エチレングリコール)、ポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(グリコリド)、コポリオキザレート、ポリカプロラクトン、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリ(エステルアミド、ポリオルトエステル及びポリ(8−ヒドロキシ酪酸)、及びポリ酸無水物から成る群から選択され、最も好ましくは、ポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)である。カプセル封入剤の他の例は、ポリ(ブチル−2−シアノアクリレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、及びフマル酸及びセバシン酸のポリ酸無水物コポリマーであるポリ(FA:SA)である。また、本発明により用いるのに適切なカプセル封入剤には、ゼラチン、デキストリン及び大豆、小麦及びオオバコ種子タンパク質のような動物又は植物タンパク質と、アカシア、グアール、寒天、及びキサンタンのようなゴムと、多糖類と、デンプン及び加工デンプンやアルギナートと、カルボキシメチルセルロースと、カラギーナンと、デキストランと、ペクチンと、ポリビニルピロリドンのような合成ポリマーと、ゼラチン−アカシア複合物のようなポリペプチド/タンパク質又は多糖類複合物とから派生したものが含まれる。本発明の一実施形態では、2つ又はそれ以上のカプセル封入剤を用いる。好ましくは、カプセル封入剤は、微小粒子を疎水性にするように選択される。疎水性微小粒子は、MALTにより更に容易に取り込まれるか、又はMALT経由でその効果を導くと考えられている。
【0078】
本発明の好ましい一実施形態では、マイクロカプセル含有剤形は、錠剤、すなわち凝集性剤形単位体として製剤化される。別の好ましい実施形態では、微小粒子含有剤形は、顆粒組成物、例えば圧縮錠剤を調製するのに適する顆粒組成物として製剤化される。また、医薬活性物質がマトリックス形成剤と直接組み合わされて存在する本発明の剤形も、顆粒組成物、例えば圧縮錠剤を調製するのに適する顆粒組成物として製剤化することができる。
【0079】
本発明は、更に、本発明の顆粒組成物を含む圧縮錠剤に関する。
更に、本発明は、医薬活性物質を口粘膜投与するのに適する急速分散固体組成物を調製するための水性投与溶液に関し、この投与溶液は、(a)デキストロース等量(DE)が1〜20のマルトデキストリンの形態の第1のマトリックス形成剤、及び(b)第1のカプセル封入マトリックス形成剤及び活性物質を含むマイクロカプセルを含む。
【0080】
最後に、本発明は、第1のカプセル封入マトリックス形成剤及び医薬的活性物質を含むマイクロカプセルを調製する段階と、マイクロカプセル及びマルトデキストリン及び任意に1以上の別のマトリックス形成剤及び適切な賦形剤の水性投与溶液を調製する段階と、投与溶液を噴霧凍結して一次顆粒を生成し、一次顆粒を凍結乾燥して二次顆粒を生成する段階とを含む、本発明による剤形を調製する方法に関する。
【0081】
定義
「マルトデキストリン」という用語は、デキストロース等量(DE)が1〜20である部分加水分解デンプンを意味する。
「急速分散剤形」という用語は、口腔内で約90秒未満以内、好ましくは60秒未満以内、好ましくは30秒未満以内、より好ましくは20秒未満、更に好ましくは10秒未満、更に好ましくは5秒未満以内、最も好ましくは口腔内に入れて約2秒未満以内に分解される剤形を意味する。
【0082】
「安定な」という用語は、実施例1に記載の方法によれば少なくとも1つの主要アレルゲンのアレルゲン含量の損失が最初の含量の50%未満である剤形を意味する。
「低脆砕性」という用語は、外力を受けると剤形から失われる残留材料の量を意味する。固体剤形は、残留材料損失が投与量の総アレルゲン含量の500SQ−単位/固体剤形未満、より好ましくは250SQ−単位/固体剤形未満、最も好ましくは150SQ−U/固体剤形未満を含む場合には、輸送、貯蔵、及び取り扱いに十分な脆砕性及び堅牢性を有する。本発明においては、脆砕性は、本発明による方法で測定することができ、又は「ヨーロッパ薬局方」による修正方法により測定することもできる。
【0083】
「非圧縮」という用語は、マトリックス形成剤、活性原料、及び他の適切な原料を含む固化システムから液体を除去し、アレルゲン含有固体マトリックスにすることにより製造した固体剤形を意味する。
「固体剤形」という用語は、口腔に投与される時に液体でも粉末でもない剤形、例えば錠剤又は顆粒組成物を意味する。
「引張強度σ」は、以下の式により計算される。
σ=3Wax9.8Nmm−2/2d2b
ここで、w=破断までのピーク荷重(kgF)、a=支持部間の距離、d=急速分散固体剤形の厚さ(mm)、及び、b=急速分散固体剤形の直径(mm)である。
【0084】
「破断までのピーク荷重」とは、適切な器具(例えば「CT5」、エンジニアリング・システムズ、1ローチコート、ラドフォードブリッジロード、ノッチンガム、NG81NA)を用いて3点曲げ試験で単位体が破断するのに必要なピーク力を意味する。
「口粘膜の」という用語は、舌下、又は活性原料を患者の口腔又は咽頭の粘膜に接触させる口腔の他の任意の部位に配置される剤形を意味する。
「単糖類」という用語は、環状であるか又は線状分子の形であるかに関係なく6つの炭素を含む任意の有機分子を意味する。「二糖類」という用語は、2つの単糖類の任意の組合せを含む任意の糖類を意味する。「三糖類」という用語は、3つの単糖類の任意の組合せを含む任意の糖類を意味する。
【0085】
「投与溶液」とは、固化を行う溶媒、マトリックス形成剤、活性物質、及び他の任意的な賦形剤の非固体混合物を意味する。
「アレルゲン」という用語は、固体に繰返し露出するとアレルギー、すなわち、IgE介在反応を引き起こすと報告されている任意の天然のタンパク質又はタンパク質の混合物を意味する。天然アレルゲンの例には、花粉アレルゲン(樹木、雑草、及び広葉草本及び草花粉アレルゲン)、ダニアレルゲン(例えば、室内塵ダニ及び貯蔵庫ダニからのもの)、昆虫アレルゲン(吸入性、唾液、及び毒由来アレルゲン)、例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ラット、マウス等の例えば唾液、毛髪、及びフケからの動物アレルゲン、真菌アレルゲン、及び食物アレルゲンが含まれる。アレルゲンは、アレルゲン抽出物、精製アレルゲン、修飾アレルゲン、又は組換えアレルゲン又は組換え突然変異アレルゲン、30を超えるアミノ酸の任意のアレルゲン断片、又はその任意の組合せの形態で用いることができる。
【0086】
SQ単位:SQ単位は、「ALK−Abello A/S」の「SQ生物力価」標準化法により判断され、この場合、100.000SQ単位が標準皮下維持量に等しい。通常、抽出物1mgは、その起源であるアレルゲン源及び用いる製造工程により100000〜1000000SQ単位を含有する。正確なアレルゲン量は、免疫学的検定法、すなわち、総主要アレルゲン含量及び総アレルゲン活性により判断することができる。この専門技術の分野では、国際的に満足される標準化法は存在しない。従って、他のものを起源とする抽出物を用いる場合には、当業者に公知である手順の「ALK−Abello A/S」抽出物に対して標準化すべきである。この内容は、H.Ipsen他「アレルゲン抽出物」、第20章、「アレルギー、原理と診療」(S.Manning編)、1993年、「Mosby−Year Book」、St.Louisと、「Lowenstein H.」(1980)、「Arb Paul Ehrlich Inst」、75:122とにおいて扱われている。
【0087】
「含有物の均質性」は、規定の投与量からの投与量単位体のばらつきを意味するものとする。
「水含量」とは、「カール・フィッシャー」滴定原理を用いて定量的に判断した固体投与単位体中の残留水の含量を意味する。本方法は、12の所定量が水の等量に変換されることになるという原理に基づいている(ヨーロッパ薬局方2.5.12)。
【0088】
本明細書で用いる場合の「水活性aw」は、サンプル中の有効水である。水活性測定は、当業者に公知の方法を用いて、例えば、冷却鏡露点技術、電気抵抗又は電気容量を変化させるセンサでの相対湿度、又は塩化リチウム電極を用いて行われる。
awは、以下の式により計算することができる。
aw=p/ps=ERH(%)/100
ここで、p=生成物表面の水蒸気分圧、ps=飽和圧又は生成物温度での純水上の水蒸気分圧、及び、ERH=平衡相対湿度である。
【実施例】
【0089】
省略形:
API:活性タンパク質原料
ELISA:酵素免疫吸着検定法
DDT:ジチオスレイトール
HRP:西洋ワサビペルオキシダーゼ
LIA:「Magic Lite」特異IgE検定
LITE試薬:蛍光ラベル抗gE
PMP:常磁性粒子
SDS−PAGE:ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動
TMB:テトラメチルベンジジン
【0090】
(実施例1)
草抽出物
Ipsen及びLowensten(1983)、「Jour.Allergy.Clin.Immunol.」、72:2、150〜159頁に記載の方法により、草花粉抽出物を調製した。低寸草では、花粉は、5℃で20時間に亘って炭酸水素アンモニウムで抽出した。遠心分離で粒子物質を除去して上清を水で(3回)透析し、再構成するまで冷所で貯蔵した。
固体製剤
製造工程
1.磁石撹拌子を備えたビーカにMQ水を加える。
2.もしあれば、マンニトール及びソルビトールを加え、撹拌しながら溶解する。
3.もしあれば、マルトデキストリン及びPEGを加え、撹拌しながら溶解する。
4.もしあれば、アレルゲン抽出物を加える。
5.アレルゲンが存在する場合には、塩酸(2N)又は水酸化ナトリウム(2N)を用いてpH=7−8にpHを調節する。
6.溶液250μlを予め形成したブリスターパックに投入する。溶液は、周囲温度条件で投入する。
7.投入後、満たしたブリスターパックを−80℃で凍結させる。この単位体を貯蔵温度及びチャンバ圧力の標準条件を用いて凍結乾燥させる。
【0091】
分析法の簡単な説明
目視検査:全ての単位体に対して、例えば、色、形状、不規則性、及び欠陥の目視検査を行い、外観が許容可能であることを確認した。
分解:現行の「ヨーロッパ薬局方」又は現行の「USP」に記載の通りに試験が行われた。
水含量:「カール・フィッシャー」滴定原理を用いて残留水を判断した。本方法により、12の所定量が等量のH2Oに変換されるという原理に基づいてサンプル中の水含量が定量的に判断される。
組成
【0092】

【0093】

【0094】
ソルビトールの有無に関わらず、様々な含量のマンニトール、マルトデキストリン、アレルゲン抽出物を用いる凍結乾燥固体剤形を生成することが可能であることが示された。全ての剤形分解時間は全て1秒であった。
【0095】
(実施例2)

【0096】

【0097】
様々な含量のマンニトール、マルトデキストリン、及び/又はソルビトールを用いて凍結乾燥固体剤形を生成することが可能であることが示された。
【0098】
(実施例3)

【0099】

【0100】
様々な含量のマンニトール及び/又はマルトデキストリン及び/又はソルビトール及び/又はPEGを用いて凍結乾燥固体剤形を生成することが可能であることが示された。マンニトール、マルトデキストリン、及びソルビトールを含む剤形の分解時間は3秒であった。
【0101】
(実施例4)









【0102】

【0103】
様々な含量のマンニトール及び/又はマルトデキストリン及び/又はソルビトール及び/又はPEGで凍結乾燥固体剤形を生成することが可能であることが示された。マンニトール、マルトデキストリン、及びソルビトールを含む剤形の分解時間は3秒であった。
【0104】
(実施例5)
この実施例は、マルトデキストリン、マンニトール、及びソルビトールから成るマトリックスを有し、このマトリックスがマイクロカプセル封入アレルゲン(MEA)を含むような顆粒の顆粒組成物の調製と、この顆粒組成物からの圧縮錠剤の調製とに関する。
材料
カプセル封入剤:米国所在のバーミンガム・ポリマーズから入手される分子量40,000g/モルの「ポリ−D,L−ラクチド−グリコリド(DL−PLG)」(60/40)
活性物質:MEA粒子内の「Phl p」抽出物
マンニトール:「Unikem」から入手される「Ph.Eur.<559>」、番号281048
ソルビトール:「Nomeco」から入手される「Ph.Eur.<435>」、番号340927
マルトデキストリン:「Cerestar」から入手される「NF 18」、CPUR01915(18DE)型
滑石粉:「Unikem」から入手される「Ph.Eur.<438>」、番号297911
ステアリン酸マグネシウム:「Unikem」から入手される「Ph.Eur.<229>」、番号280560
【0105】
圧縮錠剤のための試験法
耐圧潰性
錠剤を第1の垂直板に接触するように支持体上に水平に置く。遠位端に第2の垂直板を備えて、2つの板が平行に配置されるようにしたピストンを錠剤に接触するように移動し、錠剤の圧潰時に印加される圧力をNで測定する。
脆砕性
20の錠剤の埃をはらって秤量し、その後、内部リブを備えたシリンダ内に入れる。シリンダは、25rpmで選択した時間に亘って回転し、シリンダから取り出して埃をはらって秤量する。最初及び最後の重量の差をパーセントで計算し、脆砕性を表す。
【0106】
MEAの調製
1.均質化
「DL−PLG」を酢酸エチルに溶解し(30w/w%)、アレルゲン抽出物を水に溶解する(13w/w%)。2つの溶液を混合して均質化し、油/水の2相乳剤を形成する。
2.水性媒体中での油/水乳剤の乳化
油/水乳剤をPVAの2w/w%水性溶液と混合し、これを酢酸エチルで飽和してリン酸ナトリウム及び塩酸を用いてpH=6.8に緩衝し、乳化して水/油/水乳剤を形成する。水/油/水乳剤を乳化器具の乳剤篩に通過させ、MEA−マイクロカプセルを形成する。
3.酢酸エチル/PVAの抽出
MEA−マイクロカプセルを硬化するために、酢酸エチル及びPVAを抽出する。抽出の最初の10分間は、温度を22℃に維持し、その後12℃に下げる。
4.遠心分離による濃縮
段階3で形成された懸濁液を遠心分離する。
5.再懸濁及び噴霧乾燥
遠心分離後、マイクロカプセルを水中に再懸濁し(1800ml/25g)、噴霧乾燥して完成マイクロカプセルを形成する。
【0107】
顆粒組成物の調製
MEAを蒸留水に懸濁し、マンニトール、マルトデキストリン、及びソルビトールを加えて懸濁液を撹拌する。得られる混合物を液体窒素で満たしたチャンバに噴霧して入れると、ここで、液滴は直ちに凍結する。噴霧凍結の間、液滴の一部分は互いに凍結することになり、従って、凍結粒子組成物は、任意に圧潰を受ける。圧潰した氷粒子を奮いにかけて凍結乾燥し、再び奮って完成顆粒を得る。
錠剤の調製
「Comprex II」錠剤形成装置を用いて錠剤を生成した。
組成




















【0108】

【0109】
結果























【0110】

【0111】
いくつかのマイクロカプセル含有顆粒組成物及び異なる組成の圧縮錠剤を調製した。圧縮錠剤は全て迅速に分解され、これは、顆粒組成物が容易に分散可能であることを意味する。上の表の結果から明らかなように、MEA、顆粒組成物、及び溶解後の錠剤の粒子の大きさの分散は、全ての場合でほぼ同様であった。すなわち、本発明のマイクロカプセル−マトリックスシステムを用いることにより、マイクロカプセルが無傷で維持される圧縮錠剤を調製するのに用いることができる顆粒組成物を調製することができると結論することができる。また、耐圧潰性及び脆砕性の結果から明らかなように、マンニトール、マルトデキストリン、及びソルビトールから成るマトリックスは強固であり、とにかく錠剤にする時の圧縮に抵抗するほど十分に強固である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬的活性物質を口腔粘膜投与するのに適する非圧縮急速分散固体剤形であって、
(a)1〜20のデキストロース等量(DE)を有するマルトデキストリンの形態の第1のマトリックス形成剤と、
(b)ソルビトールの形態の第2のマトリックス形成剤と、
(c)前記活性物質と、
を含むことを特徴とする剤形。
【請求項2】
1以上の更なるマトリックス形成剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の剤形。
【請求項3】
前記更なるマトリックス形成剤が、単糖類、二糖類、又は三糖類であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の剤形。
【請求項4】
前記更なるマトリックス形成剤が、マンニトールであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項5】
ポリエチレングリコール(PEG)を更に含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項6】
マルトデキストリンが、投与溶液の3〜40%(w/w)の量、好ましくは10〜35(w/w)の量、より好ましくは15〜25%(w/w)の量で存在することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項7】
ソルビトールが、投与溶液の0.01〜10%(w/w)の量、好ましくは0.05〜5%(w/w)の量、より好ましくは0.1〜2%(w/w)の量で存在することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項8】
マンニトールが、投与溶液の1〜20%(w/w)の量、好ましくは2〜10%(w/w)の量、より好ましくは3〜6(w/w)の量で存在することを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項9】
PEGが、投与溶液の1〜20%(w/w)の量、好ましくは2〜15%(w/w)の量、より好ましくは3〜10%(w/w)の量で存在することを特徴とする請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項10】
1以上の付加的な賦形剤を更に含むことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項11】
前記賦形剤が、補助剤、制酸剤、希釈剤、賦活薬、粘膜付着剤、着香剤、食味遮蔽剤、保存料、酸化防止剤、界面活性剤、増粘剤、着色剤、pH調整剤、及び甘味料から成る群から選択されることを特徴とする請求項10に記載の剤形。
【請求項12】
前記活性物質が、アレルゲンであることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項13】
前記アレルゲンが、樹木花粉アレルゲン、草花粉アレルゲン、ダニアレルゲン、昆虫アレルゲン、毒アレルゲン、獣毛及びフケアレルゲン、及び食物アレルゲンから成る群から選択されることを特徴とする請求項12に記載の剤形。
【請求項14】
前記アレルゲンが、抽出物、精製アレルゲン、修飾アレルゲン又は組換えアレルゲン又は組換えアレルゲンの突然変異、又はそれらの組合せの形態であることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の剤形。
【請求項15】
前記アレルゲンが、草花粉であることを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の剤形。
【請求項16】
前記アレルゲンが、塵ダニであることを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の剤形。
【請求項17】
少なくとも2つの異なるアレルゲンを含むことを特徴とする請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項18】
力価が、150から1000000SQ−u/剤形であることを特徴とする請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項19】
ブリスターパック内の単位体のアレルゲン含量のばらつきが、設定した投与量に比較して±10%、好ましくは±7%、最も好ましくは±5%であることを特徴とする請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項20】
舌下投与のためのものであることを特徴とする請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項21】
前記口腔内で約90秒未満、好ましくは60秒未満、好ましくは30秒未満、より好ましくは20秒未満、更に好ましくは10秒未満で分解し、該口腔内で更に好ましくは5秒未満、最も好ましくは約2秒未満で分解することを特徴とする請求項1から請求項20のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項22】
周囲に残留物を放出することなくブリスターパックから取り出されるほど十分に強固であることを特徴とする請求項1から請求項21のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項23】
アレルゲンの500SQ−U未満、より好ましくはアレルゲンの250SQ−U未満、最も好ましくはアレルゲンの150SQ−U未満が、手で取り扱う間に各固形投与量から放出されることを特徴とする請求項22に記載の剤形。
【請求項24】
放出されたアレルゲンの量として測定される脆砕性が、適切な脆砕性試験において500SQ−U/固体剤形未満、より好ましくは250SQ−U/固体剤形未満、最も好ましくは150SQ−U/固体剤形未満であることを特徴とする請求項1から請求項23のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項25】
前記脆砕性が、
a)密封ブリスターパックユニットに収容された固体剤形の1つの単位体を再現可能な脆砕性測定に適する機器に入れる段階と、
b)それを適切な時間に亘って適切な速度で動かす段階と、
c)前記密封固体剤形単位体を取り出す段階と、
d)前記密封固体剤形単位体を開けて容器内に該単位体を出し、前記急速分散剤形単位体を容器に入れる段階と、
e)前記容器にあらゆる遊離残留物を残して前記固体剤形単位体を該容器から取り出す段階と、
f)前記残留物に対してアレルゲン特異検定を行い、該残留物内のアレルゲン含量を測定する段階と、
g)任意に、前記固体剤形単位体の総アレルゲン含量に比較して前記残留物内のアレルゲン含量のパーセントを計算する段階と、
を含む検定法で測定されることを特徴とする請求項24に記載の剤形。
【請求項26】
前記活性物質の少なくとも一部が、前記マトリックスに埋め込まれて第1のカプセル封入剤及び該活性物質を含むマイクロカプセルの形態で存在することを特徴とする請求項1に記載の剤形。
【請求項27】
前記第1のカプセル封入剤は、ポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)であることを特徴とする請求項25に記載の剤形。
【請求項28】
圧縮錠剤を調製するのに適する顆粒組成物の形態であることを特徴とする請求項1から請求項27のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項29】
請求項1から請求項28のいずれか1項に記載のいくつかの固体剤形を収容するブリスターパック。
【請求項30】
請求項1から請求項27のいずれか1項に記載の剤形の有効量を口粘膜投与する段階を含む、疾病を予防又は治療する方法。
【請求項31】
請求項1から請求項27のいずれか1項に記載のアレルゲンワクチン剤形の有効量を口粘膜投与する段階を含む、アレルギーを予防又は治療するか又はアレルギー症状を軽減する方法。
【請求項32】
請求項1に記載の急速分散非圧縮固体剤形を製造するための医薬活性物質の使用。
【請求項33】
請求項1に記載の急速分散非圧縮アレルゲンワクチン固体剤形を製造するためのアレルゲンの利用。
【請求項34】
疾病を口粘膜予防又は治療するための請求項1による急速分散非圧縮固体剤形。
【請求項35】
アレルギーを口粘膜予防又は治療するためか又はアレルギー症状を軽減するための請求項1による急速分散非圧縮アレルゲンワクチン固体剤形。
【請求項36】
疾病を口粘膜予防又は治療するための請求項1による急速分散又は非圧縮固体剤形を製造するための医薬活性物質の使用。
【請求項37】
アレルギーを口粘膜予防又は治療するためか又はアレルギー症状を軽減するための請求項1による急速分散又は非圧縮アレルゲンワクチン固体剤形を製造するためのアレルゲンの使用。
【請求項38】
請求項1に記載の急速分散非圧縮固体剤形を生成する方法であって、
医薬活性物質及びマルトデキストリンと、任意に1以上の更なるマトリックス形成剤及び適切な賦形剤との水性投与溶液を調製する段階と、
前記溶液を多層積層体ブリスターシートの凹部に導入する段階と、
貯蔵温度及びチャンパ圧力の標準条件を用いて、前記装填したシートを凍結及び凍結乾燥させる段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項39】
口粘膜投与に適する急速分散非圧縮アレルゲンワクチン固体剤形を取得する方法であって、
1)急速分散非圧縮固体アレルゲンワクチン剤形を生成する段階と、
2)a)密封ブリスターパックユニットに収容された固体剤形を脆砕性測定に適する機器に入れる段階、
b)それを適切な時間に亘って適切な速度で動かす段階、
c)前記密封固体剤形単位体を取り出す段階、
d)前記密封固体剤形単位体を開けて容器内に該単位体を出し、前記急速分散剤形単位体を容器に入れる段階、
e)前記容器にあらゆる遊離残留物を残して前記固体剤形単位体を該容器から取り出す段階、
f)前記残留物に対して免疫化学的アレルゲン特異検定法を行い、該残留物内のアレルゲン含量を検出する段階、
g)前記固体剤形単位体の総アレルゲン含量に比較して前記残留物内のアレルゲン含量のパーセントを計算する段階、及び
h)前記剤形が低脆砕性に対する要件を満足するか否かを検知する段階、
を含む検定法で前記剤形の脆砕性を測定する段階と、
3)前記剤形に対する要件が満足されるまで1)及び2)を繰り返す段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項40】
請求項28に掲載の顆粒組成物を含む圧縮錠剤。
【請求項41】
医薬活性物質の口粘膜投与に適する急速分散固体組成物を調製するための水性投与溶液であって、
(a)1〜20のデキストロース等量(DE)を有するマルトデキストリンの形態の第1のマトリックス形成剤と、
(b)第1のカプセル封入マトリックス形成剤と活性物質とを含むマイクロカプセルと、
を含むことを特徴とする溶液。
【請求項42】
請求項28に記載の剤形を調製する方法であって、
第1のカプセル封入マトリックス形成剤と医薬活性物質とを含むマイクロカプセルを調製する段階と、
前記マイクロカプセル及びマルトデキストリンと、任意に1以上の更なるマトリックス形成剤及び適切な賦形剤との水性投与溶液を調製する段階と、
前記投与溶液を噴霧凍結して一次顆粒を生成する段階と、
前記一次顆粒を凍結乾燥して二次顆粒を生成する段階と、
を含むことを特徴とする方法。

【公表番号】特表2006−519187(P2006−519187A)
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501528(P2006−501528)
【出願日】平成16年2月24日(2004.2.24)
【国際出願番号】PCT/DK2004/000119
【国際公開番号】WO2004/075875
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(503055934)
【Fターム(参考)】