糞尿処理方法および糞尿処理装置
【課題】簡易のトイレパック内に糞尿を受け、発熱処理に対応した処理容器内で糞尿を処理して衛生的に廃棄することができる糞尿処理方法を提供する。
【解決手段】少なくとも糞尿を受ける内面が撥水性を有する容器状のトイレパック10内に糞尿を受け、トイレパック10内に受けた糞尿に糞尿処理剤20を混合した後、この混合物をトイレパック10ごと、少なくとも内部が耐熱性を有する処理容器30内に投入し、処理容器30内で糞尿を発熱処理する糞尿処理方法である。
【解決手段】少なくとも糞尿を受ける内面が撥水性を有する容器状のトイレパック10内に糞尿を受け、トイレパック10内に受けた糞尿に糞尿処理剤20を混合した後、この混合物をトイレパック10ごと、少なくとも内部が耐熱性を有する処理容器30内に投入し、処理容器30内で糞尿を発熱処理する糞尿処理方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害時等に糞尿を処理する糞尿処理方法および糞尿処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地震等の災害による長期の停電および断水時等においては、トイレットが使用できなくなり、各家庭では糞尿が大量に溜まってしまう。大量に溜まった糞尿からは悪臭が発散し続け、そのままにしておくと、その臭気により生活環境が著しく悪化してしまう。
【0003】
このような災害時には、例えば、糞尿をプラスチック製の袋に入れ、密封状態でとりあえず保管しておく方法等が採られているが、プラスチック製の袋は破損し易いため、保管中に破損して糞尿が漏れ出し、周囲に悪臭を発散させてしまう等の問題がある。また、プラスチック製の袋内で糞尿が時間とともに腐敗し、溜まった臭気ガスの圧力で袋内から臭気ガスが漏れ出てしまう等の問題もある。
【0004】
そこで、ダンボール紙製の組み立て構造体を使い捨ての簡易便器(簡易トイレット)とすること(特許文献1参照)や、木製や紙製等の枠体内にポリエチレン袋等の袋体を内装したものを簡易便器とし、糞尿を受ける袋体を使い捨てること(特許文献2および3参照)などが提案されている。
【0005】
また、糞尿を積極的に処理する方法としては、おが屑中に糞尿を導入し、おが屑および糞尿ともども攪拌して、糞尿中の微生物により糞尿を処理する方法(特許文献4参照)や、生石灰の微粒子の表面を高級脂肪酸、その塩およびそのエステルからなる群より選ばれた少なくとも1種の被覆剤で被覆してなる糞尿処理剤、ならびにそれを用いた糞尿の処理方法(特許文献5参照)などが提案されている。
【特許文献1】特開2006−296925号公報
【特許文献2】特開2000−1496号公報
【特許文献3】特開2006−223725号公報
【特許文献4】特開平11−300324号公報
【特許文献5】特開2002−210496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、使い捨ての簡易便器を使用しても、そのまま廃棄したのでは臭気を発し、また衛生面から好ましくなく、環境を汚染する虞がある。したがって、特許文献4および5のような糞尿処理方法との併用によって糞尿を処理した後に、簡易便器を廃棄することが好ましい。
【0007】
しかしながら、特許文献4に記載の処理方法は、微生物による処理であるため、処理能力に限界があり、処理速度も遅い等の問題がある。
【0008】
また、特許文献5に記載の生石灰の微粒子を含む糞尿処理剤を用いて、その水和反応により糞尿を発熱処理しようとすると、使い捨ての簡易便器(特許文献1〜3参照)の場合には、反応熱で焦げて穴が開いたり、引火したりするなどの虞があるという問題がある。またこの場合、普段使い慣れた既存の便器ではない簡易便器に対して直接用を足すことに抵抗感が生じる虞がある。
【0009】
そこで、本発明は、簡易のトイレパック内に糞尿を受け、発熱処理に対応した処理容器内で糞尿を処理して衛生的に廃棄することができる糞尿処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的は、下記の手段により達成される。
【0011】
(1)少なくとも糞尿を受ける内面が撥水性を有する容器状のトイレパック内に糞尿を受け、該トイレパック内に受けた糞尿に糞尿処理剤を混合した後、該混合物を前記トイレパックごと、少なくとも内部が耐熱性を有する処理容器内に投入して、該処理容器内で糞尿を発熱処理することを特徴とする糞尿処理方法。
【0012】
(2)前記トイレパックは、可燃性素材の少なくとも一方の面が撥水性を有する撥水素材を容器状に折り畳み成形してなり、少なくとも内面側が撥水面であることを特徴とする上記(1)に記載の糞尿処理方法。
【0013】
(3)前記トイレパックを既設の便器内に配置して糞尿を受けることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の糞尿処理方法。
【0014】
(4)前記処理容器が外容器とこれに内装された内装材とからなり、該内装材が耐熱性を有する素材からなることを特徴とする上記(1)から(3)のいずれか1項に記載の糞尿処理方法。
【0015】
(5)前記処理容器内で糞尿を発熱処理する際に、該処理容器の上部開口部を通気口を有する蓋体で覆うことを特徴とする上記(1)から(4)のいずれか1項に記載の糞尿処理方法。
【0016】
(6)前記蓋体の表面には、前記処理容器内の臭気ガスを吸着する活性炭、および該活性炭の吸湿を防止する吸水材が装着されていることを特徴とする上記(5)に記載の糞尿処理装置。
【0017】
(7)前記内装材が外容器に着脱可能な80℃以上450℃以下の温度において耐熱性を有する素材からなる廃棄用処理袋であって、糞尿処理後に該廃棄用処理袋を前記外容器から取り外して該袋ごと内容物を廃棄することを特徴とする上記(4)に記載の糞尿処理方法。
【0018】
(8)前記外容器の内面に、80℃以上450℃以下の温度において耐熱性を有する素材が積層されていることを特徴とする上記(4)または(7)に記載の糞尿処理方法。
【0019】
(9)前記外容器は、折り畳んで収納可能なダンボール紙を用いて構成されることを特徴とする上記(4)、(7)または(8)に記載の糞尿処理方法。
【0020】
(10)前記糞尿処理剤が、少なくとも、疎水性の被覆剤で表面処理した生石灰および発熱剤を含む粉体剤であることを特徴とする上記(1)から(9)のいずれか1項に記載の糞尿処理方法。
【0021】
(11)少なくとも糞尿を受ける内面が撥水性を有する容器状のトイレパックと、該トイレパック内に受けた糞尿に添加される糞尿処理剤と、該糞尿処理剤の混合後に前記トイレパックを投入して糞尿の発熱処理を行う、少なくとも内部が耐熱性を有する処理容器と、を備えてなることを特徴とする糞尿処理装置。
【0022】
(12)前記トイレパックは、可燃性素材の一方の面が撥水性を有する撥水素材を容器状に折り畳み成形してなり、少なくとも内面側が撥水面であることを特徴とする上記(11)に記載の糞尿処理装置。
【0023】
(13)前記トイレパックは、既設の便座開閉式便器の便座によって保持可能な保持部を備えていることを特徴とする上記(11)または(12)に記載の糞尿処理装置。
【0024】
(14)前記処理容器が外容器とこれに内装された内装材とからなり、該内装材が耐熱性を有する素材からなることを特徴とする上記(11)から(13)のいずれか1項に記載の糞尿処理装置。
【0025】
(15)前記処理容器は上部開口部を覆う蓋体を備え、該蓋体には前記糞尿処理剤の発熱反応により前記処理容器内に充満する蒸気を逃す通気口が開口されていることを特徴とする上記(11)から(14)のいずれか1項に記載の糞尿処理装置。
【0026】
(16)前記蓋体の表面には、前記処理容器内の臭気ガスを吸着する活性炭、および該活性炭の吸湿を防止する吸水材が装着されていることを特徴とする上記(15)に記載の糞尿処理装置。
【0027】
(17)前記内装材が外容器に着脱可能な80℃以上450℃以下の温度において耐熱性を有する素材からなる廃棄用処理袋であることを特徴とする上記(14)に記載の糞尿処理装置。
【0028】
(18)前記外容器の内面に、80℃以上450℃以下の温度において耐熱性を有する素材が積層されていることを特徴とする上記(14)または(17)に記載の糞尿処理装置。
【0029】
(19)前記外容器は、折り畳んで収納可能なダンボール紙を用いて構成されることを特徴とする上記(14)、(17)または(18)に記載の糞尿処理方法。
【0030】
(20)前記糞尿処理剤が、少なくとも、疎水性の被覆剤で表面処理した生石灰および発熱剤を含む粉体剤であることを特徴とする上記(11)から(19)のいずれか1項に記載の糞尿処理装置。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、使い捨てのトイレパックを既存の便器に配置して糞尿を受け、例えば疎水性の被覆剤で表面処理した生石灰および発熱剤を含む糞尿処理剤を用いて、屋外等に配置した処理容器内で糞尿の発熱処理を行うことができる。そして、糞尿を受ける容器状のトイレパックの少なくとも糞尿が接触する内面が撥水性を有するので、トイレパック内に受けた糞尿の水分が外に漏れ出ることはない。また、処理容器は内部が耐熱性を有するので、トイレパック内に受けた糞尿に糞尿処理剤を混合して、該混合物をトイレパックごと処理容器内に投入しても、糞尿処理剤の発熱反応による反応熱で処理容器が焦げて穴が開いたり、引火したりするのを防止することができる。
【0032】
さらに、処理容器を外容器とこれに内装された内装材とから形成し、内装材が耐熱性を有する素材からなるように構成すれば、トイレパックの投入に際して、糞尿処理後に内装材を取り外して該内装材ごと内容物を廃棄することができ、極めて衛生的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0034】
(糞尿処理装置)
まず、本発明に係る糞尿処理方法の実施に用いる糞尿処理装置について説明する。
【0035】
図1は本実施形態の糞尿処理装置におけるトイレパックの折り畳み手順を示す模式図である。図2は本実施形態におけるトイレパックを便器内に配置した状態を示す概略図である。図3は本実施形態におけるトイレパックを便座で保持した状態を示す概略図である。
【0036】
図1および図2を参照して、本実施形態の糞尿処理装置1は、容器状のトイレパック10と、このトイレパック10内に受けた糞尿に添加される糞尿処理剤20(図4参照)と、この糞尿処理剤20の混合後に、該混合物を上記トイレパック10ごと投入して糞尿の発熱処理を行う処理容器(処理槽)30(図6から図9参照)と、を備えている。
【0037】
トイレパック10は、糞尿を受ける使い捨ての簡易の容器であって、少なくとも糞尿を受ける内面が撥水性を有している。すなわち、トイレパック10は、一方の面に撥水加工が施された撥水素材を内面側が撥水面となるように容器状に折り畳み成形されており、折り畳んだ状態で保管され、使用時には内部に空間ができるように開口縁部Fを拡げて容器状に成形される(図1(e)、図2参照)。
【0038】
撥水素材としては、例えば、紙、ビニール等の可燃性素材における一方の面にシリコン樹脂等の樹脂層をコーティングまたはラミネート等したものが挙げられる。特に、本実施形態のトイレパック10は容器状に折り畳み成形されるので、折り畳み成形し易いシート状またはフィルム状の撥水素材であることが好ましく、例えば、剥離紙(離型紙)が好適に用いられる。
【0039】
次に、図1を参照して、シート状またはフィルム状のトイレパック10の折り畳み手順を説明する。この折り畳み構造はトイレパック10を容器として折り畳み成形する一例であり、その構造や折り畳み手順等は限定されない。
【0040】
トイレパック10の素材は、例えば、正方形の剥離紙であって、上面(表面)に撥水加工が施されている。このトイレパック10は、図1(a)のような展開した状態で、SL、L1、L2、L3、L4の各ラインを想定する。
【0041】
まず、図1(b)のように、正方形の対角線上のセンターラインSLを基準として、内側(上面側)へ折り畳んで直角二等辺三角形を作成する。次に、図1(c)のように、直角二等辺三角形の両側に左右対称に斜めに立ち上がった傾斜線L1およびL2を基準として、直角二等辺三角形の両側端部を内側へ折り畳んで重ね合わせ、五角形を作成する。次に、図1(d)のように、横線L3およびL4を基準として、五角形の上部に位置する直角二等辺三角形の部分を上面側(表面側)と下面側(裏面側)との相反する方向へそれぞれ折り畳んで重ね合わせ、逆台形を作成する。トイレパック10は、この状態でも容器状に折り畳まれているが、図1(e)のように、開口縁部Fを外側へ折り返すことにより、開口縁部Fを補強でき、各折り畳み片を折り畳んだ状態に維持できる。そして、直角二等辺三角形の折り返し部分(以下、「保持部11、12」という。)を指で摘んで開口縁部Fを拡げれば、トイレパック10は簡易容器として成形されることになる(図2参照)。
【0042】
図2および図3を参照して、このように本実施形態のトイレパック10は、その両側に三角形状の保持部11、12を備えており、これら保持部11、12を指で摘んで開口縁部Fを左右に拡げると共に、該保持部11、12を利用して既設の便座開閉式便器(洋式便器)60の便座61に保持することができる。なお、トイレパック10は既設便器60内に装着することなく単体で用いても構わない。また、既設便器60の便座61へのトイレパック10の保持手順については後述する。
【0043】
図4はトイレパック内の糞尿に糞尿処理剤を添加する状態を示す概略図である。
【0044】
図4を参照して、糞尿と混合される糞尿処理剤20は、防湿性を有する袋体21内に密封収納されており、袋体21を開封してトイレパック10内の糞尿に添加される。糞尿処理剤20は、使用の際に計量して用いてもよいが、本実施形態では、利便性を考慮して、1回の排便または数回の排便に見合う使用量が袋体21内に密封されている。糞尿処理剤20は、疎水性の被覆剤で表面処理した生石灰および発熱剤を含む粉体剤であり、さらに必要に応じて、吸水材および/または添加剤を含有していてもよい。以下、糞尿処理剤20の構成成分について詳述する。
【0045】
(表面処理される生石灰)
本発明で用いられる表面処理される生石灰(CaO)の形態は、特に限定されないが、大便に対して効果的に分散させるという観点から、粉粒状であることが好ましい。また、その平均粒径は、0.1μm〜5mmの範囲であることが好ましく、0.5μm〜2mmの範囲であることがより好ましく、1μm〜1mmの範囲であることが特に好ましい。前記表面処理される生石灰の平均粒径が0.1μm未満である場合には、製造が困難となり生産コストが高くなる場合がある。一方、5mmより大きい場合には、得られる糞尿処理剤と糞尿との接触面積が減少し、反応効率が低下する場合がある他、糞尿処理時に塊状物が生じ、未反応物が残存する場合がある。また、必要に応じて、前記表面処理される生石灰は、平均粒径の異なる2種以上の生石灰を組み合わせて使用してもよい。なお、本発明において、前記平均粒径は、粒度分布測定装置により測定した値を採用するものとする。
【0046】
(疎水性の被覆剤)
本発明で用いられる疎水性の被覆剤は、該被覆剤を使用して生石灰の表面を処理した際に、生石灰に対して疎水性を付与することができ、かつ、被覆後の生石灰を粉粒状にし易くする化合物であることが好ましい。
【0047】
前記被覆剤の具体例としては、例えば、パラフィン、ステアリルアミン、高級脂肪酸、高級脂肪酸の塩、または高級脂肪酸のエステルからなる群より選択される少なくとも1種の化合物などが挙げられ、これらの中でも、高級脂肪酸、高級脂肪酸の塩、および高級脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。かかる高級脂肪酸としては、炭素数8〜26の一価または多価の飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸が好ましく、炭素数8〜24の一価または多価の飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸がより好ましく、炭素数10〜20の一価の飽和脂肪酸が特に好ましい。前記高級脂肪酸の具体例としては、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、リグノセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などが挙げられる。前記高級脂肪酸の塩の具体例としては、アンモニウム塩;ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;またはカルシウム塩、マグネシウム塩などの第2族の金属塩などが挙げられる。また、前記高級脂肪酸のエステルの具体例としては、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル、sec−ブチルエステル、tert−ブチルエステル、イソブチルエステル、n−ヘキシルエステルなどのアルキルエステル;またはシクロヘキシルエステルなどのシクロアルキルエステルなどが挙げられる。
【0048】
被覆剤の使用量は、表面処理される生石灰に対し、0.01〜10質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜3質量%の範囲であることがより好ましく、0.4〜1.5質量%の範囲であることが特に好ましい。被覆剤の使用量が、0.01質量%未満である場合には、糞尿処理時に、十分な反応遅延効果が得られず、急激に反応が進行し、均一な混合ができないために塊状物が生成する他、反応生成物の疎水性が保たれず、水分の混入等により元の糞尿の形態に戻る虞がある。一方、10質量%を超える場合には、生石灰の活性表面積が減少するため効率的に反応が進行しない虞がある他、コストが高くなる虞がある。
【0049】
(疎水性の被覆剤で表面処理した生石灰)
疎水性の被覆剤で表面処理した生石灰の製造方法は、本発明の糞尿処理剤およびそれを用いた糞尿処理方法に悪影響を及ぼさない限り、特に限定されない。具体的には、例えば、被覆剤の融点よりも高い温度において、生石灰粉末と被覆剤とを混合する方法、または被覆剤の融点より若干低い温度に保持した生石灰粉末に、攪拌下、前記被覆剤の溶融物を噴霧する方法等が好ましく挙げられる。また、前記生石灰は、通常、炭酸カルシウムを焼成して製造されるため、焼成により得られた生石灰を所定の温度まで冷却した後、前記の表面処理方法に付すこともまた好ましい。前記の表面処理した生石灰は、必要に応じて、異なる使用量の被覆剤を用いて表面処理した生石灰を、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0050】
前記の表面処理した生石灰の形状は、特に限定されないが、粉粒状であることが好ましい。また、その平均粒径は、0.1μm〜5mmの範囲であることが好ましく、0.5μm〜2mmの範囲であることがより好ましく、1μm〜1mmの範囲であることが特に好ましい。
【0051】
(発熱剤)
本発明で用いられる発熱剤は、本発明の糞尿処理方法において悪影響を及ぼさない限り、特に制限されず、公知の発熱剤を使用することができるが、糞尿処理の系内において、水分、空気、または消石灰(Ca(OH)2)等との反応により発熱し、前記被覆剤の溶融に必要な熱量を供給しうる物質であることが好ましい。かかる発熱剤の具体例としては、例えば、生石灰、粉体アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、または無水塩化マグネシウム等が挙げられる。これらの化合物は単独でもまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0052】
これらの中でも、糞尿処理にも寄与できるという観点から、生石灰を用いることが好ましい。この場合の生石灰の使用量は、前記表面処理した生石灰100質量部に対して、20〜200質量部の範囲であることが好ましく、処理後の処理物を粉末として得るという観点から、25〜150質量部の範囲であることがより好ましく、25〜100質量部の範囲であることが特に好ましい。生石灰の使用量が20質量部未満である場合には、発熱量が少なく、前記表面処理した生石灰の活性化が効率的に行えないために、糞尿処理時間が長くなる虞がる。一方、生石灰の使用量が200質量部を超える場合には、発生する過剰な熱量により、前記表面処理した生石灰が即座に活性化され、塊状物が生じ、未反応物が残存する虞がある。
【0053】
しかしながら、前記発熱剤の使用量は、前記の発熱剤が生石灰である場合の使用量に制限されず、前記被覆剤の種類および使用量、ならびに発熱剤の種類などに基づき適宜調整可能である。
【0054】
また、発熱剤として生石灰を用いる場合、形状は特に限定されないが、粉粒状であることが好ましい。また、その平均粒径は0.1μm〜5mmであることが好ましく、0.5μm〜2mmであることがより好ましい。
【0055】
なお、前記の疎水性の被覆剤で表面処理した生石灰が、糞尿処理時に水分等との反応による凝集を起こさず、かつ、糞尿処理時の混合条件により効率的に粉砕されうる場合、または前記疎水性の被覆剤の欄で述べたような物理的および/もしくは化学的機構により、被覆剤で表面処理した生石灰の表面から被覆剤が剥離され、活性面が露出した生石灰と糞尿との反応により、本発明で使用される前記表面処理した生石灰の表面に存在する被覆剤溶融に必要な熱量が供給されうる場合等においては、前記の表面処理した生石灰を発熱剤として使用することも可能である。
【0056】
(吸水材)
本発明の糞尿処理剤は、吸水材をさらに含むことが好ましい。本発明で用いられうる吸水材は、活性な生石灰と糞尿との反応を制御する観点、すなわち、糞尿中に含まれる水分が、一度に生石灰の活性表面と反応して凝集により塊状物を生成し、未反応の糞尿が残存することを抑制する観点から添加されるものである。前記吸水材は、本発明の糞尿処理剤およびそれを用いた糞尿処理方法において悪影響を及ぼさない限り、特に制限はなく、公知の物質を使用することができるが、吸水性を有し、かつ吸水した水分が、生石灰の活性表面との接触において反応しうる物質であることが好ましい。かかる吸水材の例としては、例えば、おが屑、水溶紙、繊維束、不織布、ピートモス、または草炭等が挙げられる。これらは単独でもまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。吸水材の使用量は、吸水材の種類や形状、および被処理物である糞尿中に含まれる水分量などにより適宜調整可能であるが、糞尿処理剤100質量部に対して、1〜10質量部の範囲であることが好ましく、2〜6質量部の範囲であることがより好ましい。
【0057】
(添加剤)
本発明の糞尿処理剤は、本発明の糞尿処理剤およびそれを用いた糞尿処理方法において悪影響を及ぼさない限り、吸水材に代えてまたは吸水材に加えてその他の添加剤をさらに含有していてもよい。かかる添加剤の例としては、臭気対策の観点から、香料、消臭剤、または脱臭剤;前記表面処理した生石灰の水に対する濡れ性を向上させるという観点から、アルコール等の親水性有機化合物、または界面活性剤;糞尿中の水分含量を制御するという観点から、シリカゲル、無水硫酸ナトリウム等の乾燥剤、吸水性樹脂等の保水剤等が挙げられる。これらの添加剤は、単独でもまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0058】
前記香料の例としては、例えば、レモンオイル、レモングラス、シナモン油、ラベンダー油、ベチパー等が挙げられる。
【0059】
前記界面活性剤としては、各種の界面活性剤を使用することができ、その具体的な例としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンジ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステルなどのノニオン系界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホサクシネート、アルキルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート、アリールスルホネートなどのアニオン系界面活性剤;長鎖第1級アミン塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルピリジニウム塩、ベンザルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリドなどのカチオン系界面活性剤;または塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、塩酸アルキルポリアミノエチルグリシンなどの両性系界面活性剤等が挙げられる。
【0060】
また、糞尿処理剤を糞尿に添加する際に用いられうる、後述の水溶性樹脂からなる包袋、水溶紙からなる包袋、または水解性不織布からなる包袋も、本発明の糞尿処理剤の添加剤として含有されうる。
【0061】
(糞尿処理剤の調整方法)
本発明の糞尿処理剤の調製方法は、特に制限されず、例えば、疎水性の被覆剤で表面処理した生石灰、および発熱剤を混合し、必要に応じて、さらに吸水材および/または所望の添加剤を混合する方法等が挙げられる。
【0062】
前記表面処理した生石灰は、疎水性の被覆剤で被覆されているため、得られる糞尿処理剤の耐湿性が高まるだけではなく、糞尿処理時に糞尿と接触してもすぐには反応を起こさない反応遅延性を有していることから、生石灰の活性表面と直ちに接触して塊状物等を生成することがない。したがって、糞尿と本発明の糞尿処理剤とは均一に混合されうる。しかし、前記被覆剤として高級脂肪酸、特に炭素数が15〜26である高級脂肪酸を使用した場合には疎水性がより高く、水分を多く含有する糞尿と混合すると攪拌が困難となる場合がある。このような場合には、粉体の攪拌を容易にするという観点から、界面活性剤等の添加剤または比較的疎水性の低い高級脂肪酸の塩、特に炭素数が8〜14である高級脂肪酸の塩を糞尿処理剤にさらに添加して使用してもよい。
【0063】
前記糞尿処理剤を糞尿に添加する方法としては、特に限定されないが、取り扱いの容易性等の観点から、例えば、前記糞尿処理剤を予め包袋に入れておき、糞尿処理時に前記包袋をそのまま糞尿に添加する方法が好ましい。この場合の包袋は、糞尿処理時に糞尿処理剤が糞尿に効率的に拡散するよう、水溶性樹脂からなる包袋、水溶紙からなる包袋、または水解性不織布からなる包袋であることが好ましい。なお、これらの態様を含め、前記糞尿処理剤は、耐湿、耐水条件下で保存することが好ましい。
【0064】
図5はトイレパック内の糞尿と糞尿処理剤との撹拌混合する状態、およびへらを示す概略図である。
【0065】
図5(a)を参照して、本実施形態の糞尿処理装置1には、トイレットパック10内に受けた糞尿と糞尿処理剤20とを撹拌混合するためのへら70が付属部品として備えられている。このへら70は、例えば、ボール紙やダンボール紙等によって形成され、独立の備品としてもよいし、後述する蓋体80や外容器40の一部にへら用部分71として切り離し可能に備えてもよい(図6参照)。図5(b)に示すように、例えば、使用時に蓋体80等からへら用部分71を切り取り、切り取られたへら用部分71のミシン目72に沿って切り目を入れ、一対の折り曲げ線73に沿って上方(内側)に折り曲げると、図5(a)に示すようなへら70が製作される。このように、へらが簡単かつ容易に製作できるので、利便性が向上する。
【0066】
図6は本実施形態における処理容器を構成する外容器を示す斜視図である。図7は本実施形態における外容器を折り畳んだ状態を示す概略図である。図8は本実施形態における外容器に廃棄用処理袋を内装材として内装した状態を示す斜視図である。図9は処理容器の上部開口部を蓋体で覆った状態を示す斜視図である。
【0067】
図6を参照して、処理容器(処理槽)30は、外容器40とこれに内装された内装材50とから構成されている。外容器40は、例えば、底面が矩形で上面が開放された箱体状(上面が開放された中空直方体状)の容器である。容器形状はこれに限定されず、例えば、上面が開放された中空立方体(例えば一辺30cm程度)、有底円筒体等の他の形状であってもよい。この外容器40は、可燃性素材を組み立てて、上記容器形状に成形されており、外容器40を可燃性素材により形成するのは、災害等が過ぎ去った後に焼却物としての廃棄を可能にするためである。
【0068】
可燃性素材としては、例えば、ダンボール紙、ボール紙、または木材等が挙げられるが、折り畳み可能な収納性や軽量化等を考慮すると、本実施形態の外容器40のようにダンボール紙を組み立てて成形することが好ましい。図7を参照して、本実施形態の外容器40はダンボール箱により形成されているので、底部45を分解すれば、容易に平板状に折り畳むことができ、未使用時の収納性に優れている。そして、底部45をガムテープやステープラ針等により結合すれば、容易に組み立てることができる。なお、可燃性素材として、厚めのダンボール紙を使用すれば、断熱効果を得ることができる。
【0069】
上記外容器40に内装される内装材50は、80℃以上450℃以下の温度において耐熱性を有する素材によって形成されている。図8を参照して、本実施形態の内装材50は、例えば、外容器40に着脱可能な難燃性の廃棄用処理袋によって形成されている。この廃棄用処理袋50は外容器40の内側に挿入配置され、その開口縁部を外容器40の上端外縁部に沿って外側へ折り返すようにして内装される。80℃以上の温度で耐熱性を要求するのは、後述する糞尿処理剤の水和反応により系内が80℃〜95℃に達するからである。450℃以下の温度で耐熱性を要求するのは、後述する糞尿処理剤が粉体であるため系内で熱が伝達され難く、その水和反応による発熱時に局部的に200℃〜400℃近くに上昇していると推察されるからである。
【0070】
廃棄用処理袋50としては、80℃以上450℃以下の温度において難燃性(耐熱性)を有する素材、例えば、エアフォームやポリエステル,ナイロン,ポリエチレン等にアルミニウム箔を蒸着したアルミ蒸着フィルム材、ナイロン蒸着ビニール材、ガラスやセラミック,シリカ,アルミナ等の繊維材、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂ラミネート紙、ポリエチレン(PE)等の樹脂発泡断熱紙、またはエンボス加工紙スリーブ、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP),エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)等の樹脂加工材などが挙げられ、これらを利用して袋体として形成される。廃棄用処理袋50は、処理容器30の内形状に沿い易い柔軟性を有していることが好ましく、例えば、少なくとも内面にナイロンを蒸着したビニール袋が好適に用いられる。
【0071】
内装材50として難燃性の廃棄用処理袋を採用することにより、処理済みの糞尿やトイレパック10等を廃棄用処理袋50に収容したまま、外容器40から該袋50を取り外して衛生的に廃棄することができ、また外容器40を繰り返し使用することができる。なお、廃棄用処理袋50を内装した外容器40の上部開口部は、後述する蓋体80で覆われることになる。
【0072】
上述した外容器40は、可燃性素材(ダンボール紙)のみによって形成されているが、これに限定されず、この外容器40の内面41に、さらに80℃以上450℃以下の温度において耐熱性を有する素材を積層してもよい。耐熱性を有する素材としては、例えば、難燃紙の表面に耐熱性樹脂やアルミニウム箔等の金属箔を貼り付けた素材、エアフォームやポリエステル,ナイロン,ポリエチレン等の樹脂材表面にアルミニウム等の金属を蒸着した金属蒸着フィルム材、これらの樹脂材の表面にアルミニウム箔等の金属箔を貼付した金属箔フィルム材、およびナイロン蒸着ビニール材等の難燃性樹脂材などが挙げられる。このように外容器40の内面41に耐熱性を有する素材を積層した場合には、この耐熱性素材の層が上記内装材50の役目をするので、廃棄用処理袋50を用いないで外容器40を単体で使用することも可能である。耐熱性素材を積層した外容器40内に更に廃棄用処理袋50を内装すれば、処理容器30の耐熱性は確実なものとなる。
【0073】
再び図6を参照して、上記処理容器30は、その上部開口部を覆う蓋体80を備えており、この蓋体80の中央部には矩形の通気口81が開口されている。この通気口81は、糞尿処理剤20の発熱反応により該処理容器30内に充満する蒸気を逃すための開口部であり、処理容器30の上部に蓋体80を装着した場合に、蓋体80が蒸気圧で持ち上がらない程度の開口面積があれば足りる。
【0074】
蓋体80は、上述したように、最終的に焼却物としての廃棄を可能にするため、例えば、ダンボール紙、ボール紙、または木材等の可燃性素材により形成されている。本実施形態では、外容器40を構成する可燃性素材と共材(ダンボール紙)により形成されている。この蓋体80にも、上記の耐熱性素材を内装してもよい。
【0075】
また、この蓋体40の上面には、処理容器30内から発生した臭気ガスを吸着する活性炭92、および該活性炭の吸湿を防止する吸水材91が装着されている。吸水材91は、スポンジのように水分を吸収するシート状部材であり、蓋体80の通気口81を塞がないようにロ字状に形成されている。材質としては、例えば多孔質のアクリル樹脂や高分子吸湿剤等が挙げられる。条件としては、水蒸気の熱で変質しない材質が望ましい。活性炭43は、例えば、不織布等の袋体内に収容され、該袋体は蓋体80の通気口81を塞がないようにロ字状や矩形状に形成されている。吸水材91および活性炭92は、それぞれ1枚ものであっても、複数個に分割されたものであってもよいが、蓋体80の通気口81を塞がないように配置することが好ましい。このように活性炭92の下に吸水材91を配置すれば、活性炭92の空孔が初期に水蒸気で塞がって臭気ガスの吸着が低下することが防止される。
【0076】
なお、吸水材91および活性炭92の配置は、本実施形態に限定されず、蓋体80の天板内面(天井面)に下から吸水材91および活性炭92の順に内装してもよい。また、外容器40の上端開口部に上記蓋体80とは別個に中蓋(図示せず)を設け、この中蓋上に吸水材91を載せ、さらに吸水材91の上に活性炭92を載せてもよい。
【0077】
(糞尿処理方法)
次に、上記図1から図9を参照して、本発明に係る糞尿処理方法の一実施形態について説明する。
【0078】
本実施形態の糞尿処理方法は、まず、上述のように、容器状に折り畳み成形されたトイレパック10内に糞尿を受ける。トイレパック10は、通常時は図1(e)のように折り畳んだ状態で収納等されており、災害時に収納場所や災害袋などから取り出される。そして、図2に示すように、トイレパック10の外側両面に位置する三角形状の保持部11、12を指で摘んで、その開口縁部Fを左右に拡げて容器状に成形し、これら保持部11、12を利用して既設の便座開閉式便器(洋式便器)60の便座61によって保持する。
【0079】
具体的には、図2のように、便器60の便座61を上方へ開けた状態で、トイレパック10の容器部分13を便器60内に収容し、指で摘んで左右に張り出させた保持部11、12を該便器60の左右の縁部に載せて配置する。次に、図3のように、便座61を閉じれば、該便器60の左右縁部と便座61との間に保持部11、12を挟んで保持することができる。
【0080】
なお、トイレパック10は、既設便器内に装着することなく、単体での使用も可能であり、又、保持することはできないが、便座を有しない便器(和式便器)内に装着しても構わない。
【0081】
トイレパック10は、少なくとも糞尿を受ける内面が撥水性を有するので、トイレパック10内に受けた糞尿の水分が該トイレパック10の外に漏れ出ることはない。また、トイレパック10の外面にも樹脂コーティング等の撥水加工を施してもよく、このように構成すれば、便器60内に溜まった水に接触しても、それを原因として該トイレパック10が破れることはない。
【0082】
図8に示す処理容器30は、ベランダ、風呂場および軒下等の雨露の凌げる屋外に設置することが好ましい。トイレパック10に糞尿を受けた後、処理容器30の設置場所まで移動し、図4のように、糞尿処理剤20を密封した袋体21を開封して、トイレパック10内の糞尿に糞尿処理剤20を添加する。なお、糞尿は、大便単独でもよいし、大便と小便との混合物であってもよい。
【0083】
そして、図5(a)のように、へら70やスコップ等を用いて、トイレパック10内の糞尿と糞尿処理剤20とを撹拌混合する。糞尿処理剤20の混合後、直ちに糞尿と糞尿処理剤20との混合物をトイレパック10ごと処理容器30内に投入し、この処理容器30内で糞尿を発熱処理する。
【0084】
糞尿処理剤20の使用量は適宜計量してもよいが、使用の簡便性を考慮すると、1回または数回の排便に見合う使用量が袋体21内に小分けして密封されていることが好ましい。具体的には、被処理物である糞尿100質量部に対し、1〜200質量部の範囲であることが好ましく、10〜150質量部の範囲であることがより好ましく、80〜120質量部であることがさらに好ましい。上記使用量が、1質量部未満である場合には、糞尿の吸着処理が十分に行えず、未反応物が残存してしまう虞がある。一方、200質量部より多い場合には、処理効率が悪くなる虞がある。
【0085】
上述したように、本実施形態の処理容器30は外容器40とこれに内装された内装材50とから構成され、内装材50として外容器40内に着脱可能であって、80℃以上450℃以下の温度において難燃性(耐熱性)を有する廃棄用処理袋50が採用される。図8のように、外容器40の内側に内装材として廃棄用処理袋50を挿入配置し、その開口縁部を外容器40の上端外縁部に沿って外側へ折り返して内装して、この廃棄用処理袋50の内部にトイレパック10ごと糞尿と糞尿処理剤20との混合物を投入する。
【0086】
処理容器30(廃棄用処理袋50を内装した外容器40)内にトイレパック10ごと混合物を投入した後、その上部開口部を蓋体80で覆い、処理容器30内で糞尿と糞尿処理剤20との水和反応(発熱反応)を進行させる。すなわち、発熱剤が糞尿との反応により発熱して、表面処理した生石灰の被覆剤を溶融し生石灰の活性表面を露出させ、生石灰が、さらに糞尿中の水分と反応して発熱すると共に、反応生成物である水酸化カルシウムが糞尿を吸着することにより処理後の物質は粉末として得られる。こうして得られた処理後の粉末は、被覆剤の効果により疎水性を有し、雨水等の水分の混入等によっても元の糞尿の形態に戻ることはない。また、上記の処理系内は、温度が80〜95℃にも達し、かつ、強アルカリ性であるため糞尿中の菌を殺菌することができ、処理後の物質の腐敗による悪臭の発生を抑制することができる。
【0087】
外容器40に内装された難燃性の廃棄用処理袋50は80℃以上450℃以下の温度において耐熱性を有しており、また外容器40の断熱材として作用するので、トイレパック10内に受けた糞尿に糞尿処理剤20を混合して、該混合物をトイレパック10ごと廃棄用処理袋50内に投入しても、糞尿処理剤20の発熱反応による反応熱で処理容器30が焦げて穴が開いたり、引火したりするのを防止することができる。なお、外容器40の内面41にも80℃以上450℃以下の温度において耐熱性を有する素材を積層すれば、外容器40を反応熱から確実に保護することができる。また、外容器40の内面41に耐熱性素材を積層した場合には、この耐熱性素材の層が内装材50として機能するので、難燃性の廃棄用処理袋50を用いないで、外容器40を単体で使用することも可能である。
【0088】
処理容器30内には糞尿処理剤20の発熱反応により蒸気が充満するが、蓋体80の中央部には通気口81が開口されているので、該処理容器30の外部へ蒸気を逃すことができ、蓋体80が蒸気圧で持ち上がることはない。この蓋体80の上面には、処理容器30内から発生した臭気ガスを吸着する活性炭92が装着されている。この活性炭92の下には吸水材91が配置されており、活性炭92の空孔が初期に水蒸気で塞がって臭気ガスの吸着が低下することが防止される。
【0089】
処理容器30内での発熱処理の完了後に、処理物(処理済みの糞尿等)を廃棄する。本実施形態では、外容器40内に着脱可能に廃棄用処理袋50を内装しているので、発熱処理済みの糞尿やトイレパック10等を廃棄用処理袋50に収容したまま、該袋50を外容器40から取り外してその開口部を閉じれば、衛生的に処理物(処理済みの糞尿等)を廃棄することができ、又、災害中において外容器40を汚さずに繰り返し使用することができる。
【0090】
災害が過ぎ去った後、図7のように外容器40は折り畳んで収納し、再度の使用に備えることも可能である。外容器40を廃棄する場合には、その構成材料がダンボール紙等の可燃性素材であるので、焼却処分することができる。
【0091】
以上のように、本実施形態の糞尿処理装置1および糞尿処理方法によれば、使い捨てのトイレパックを既存の便器に配置して糞尿を受け、例えば疎水性の被覆剤で表面処理した生石灰および発熱剤を含む糞尿処理剤を用いて、屋外等に配置した処理容器内で糞尿の発熱処理を行うことができる。そして、糞尿を受ける容器状のトイレパック10の少なくとも糞尿が接触する内面が撥水性を有するので、トイレパック10内に受けた糞尿の水分が外に漏れ出ることはない。また、処理容器30は内部が耐熱性を有するので、トイレパック10内に受けた糞尿に糞尿処理剤20を混合して、該混合物をトイレパック10ごと処理容器30内に投入しても、糞尿処理剤20の発熱反応による反応熱で処理容器30が焦げて穴が開いたり、引火したりするのを防止することができる。さらに、トイレパック10の投入に際して、外容器40内に難燃性の廃棄用処理袋50を着脱可能に内装すれば、糞尿処理後に廃棄用処理袋50を取り外して該袋50ごと内容物を廃棄することができ、極めて衛生的である。
【0092】
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。例えば糞尿処理剤としては、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、例えば生石灰から構成された糞尿処理剤等の任意の形態の糞尿処理剤が使用され得る。
【0093】
また、例えば、図1に示すトイレパック10の中には補強用シートを内側に敷くことが、耐熱性向上の観点から望ましい。
【0094】
図10は、トイレパック内に敷く補強用シートの展開図である。図10に示す補強用シート14は、可燃性素材(ダンボール紙)の少なくとも一面に耐熱性を有する素材が貼着されて形成されている。当該素材は、80℃以上450℃以下の温度において耐熱性を有する素材が望ましい。耐熱性を有する素材としては、例えば、難燃紙の表面に耐熱性樹脂やアルミニウム箔等の金属箔を貼り付けた素材、エアフォームやポリエステル,ナイロン,ポリエチレン等の樹脂材表面にアルミニウム等の金属を蒸着した金属蒸着フィルム材、これらの樹脂材の表面にアルミニウム箔等の金属箔を貼付した金属箔フィルム材、およびナイロン蒸着ビニール材等の難燃性樹脂材などが挙げられる。補強用シート14は、折り曲げ線L5で折り曲げた後、トイレパック10の中に敷く様にして配置される。補強用シート14は、トイレパック内側の側方部の補強のための側方面141、142と、トイレパック内側の前後部の補強のための前後面143、144とを備えている。
【0095】
但し、トイレパック10の耐熱性向上のために、補強用シート14と同様な素材からなる袋体で、トイレパック10の外側を覆うようにしてもよい。
【0096】
また、トイレパック10は、図1に示す折り畳み手順で例えば手作業で製作されるが、トイレパック製作の自動化を促進するために、図15に示すような箱型のトイレパック15が使用されてもよい。トイレパック15は、上方が開口された中空直方体形状の本体部151と、本体部151の開口縁部に連接された一対の保持部152、153とから構成される。なお、トイレパック15の材料は、前述したトイレパック10と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、トイレットおよび糞尿処理の関連分野に好適に用いられうる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本実施形態の糞尿処理装置におけるトイレパックの折り畳み手順を示す模式図である。
【図2】本実施形態におけるトイレパックを便器内に配置した状態を示す概略図である。
【図3】本実施形態におけるトイレパックを便座で保持した状態を示す概略図である。
【図4】トイレパック内の糞尿に糞尿処理剤を添加する状態を示す概略図である。
【図5】トイレパック内の糞尿と糞尿処理剤との撹拌混合する状態、およびへらを示す概略図である。
【図6】本実施形態における処理容器を構成する外容器を示す斜視図である。
【図7】本実施形態における外容器を折り畳んだ状態を示す概略図である。
【図8】本実施形態における外容器に廃棄用処理袋を内装材として内装した状態を示す斜視図である。
【図9】本実施形態における処理容器の上部開口部を蓋体で覆った状態を示す斜視図である。
【図10】トイレパック内に敷く補強用シートの展開図である。
【図11】トイレパックの他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0099】
1 糞尿処理装置、
10、15 トイレパック、
11、12、152、153 保持部、
14 補強用シート、
20 糞尿処理剤、
21 袋体、
30 処理容器、
40 外容器、
50 内装剤(廃棄用処理袋)、
60 既設便器、
61 便座、
70 へら、
80 蓋体、
81 通気口。
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害時等に糞尿を処理する糞尿処理方法および糞尿処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地震等の災害による長期の停電および断水時等においては、トイレットが使用できなくなり、各家庭では糞尿が大量に溜まってしまう。大量に溜まった糞尿からは悪臭が発散し続け、そのままにしておくと、その臭気により生活環境が著しく悪化してしまう。
【0003】
このような災害時には、例えば、糞尿をプラスチック製の袋に入れ、密封状態でとりあえず保管しておく方法等が採られているが、プラスチック製の袋は破損し易いため、保管中に破損して糞尿が漏れ出し、周囲に悪臭を発散させてしまう等の問題がある。また、プラスチック製の袋内で糞尿が時間とともに腐敗し、溜まった臭気ガスの圧力で袋内から臭気ガスが漏れ出てしまう等の問題もある。
【0004】
そこで、ダンボール紙製の組み立て構造体を使い捨ての簡易便器(簡易トイレット)とすること(特許文献1参照)や、木製や紙製等の枠体内にポリエチレン袋等の袋体を内装したものを簡易便器とし、糞尿を受ける袋体を使い捨てること(特許文献2および3参照)などが提案されている。
【0005】
また、糞尿を積極的に処理する方法としては、おが屑中に糞尿を導入し、おが屑および糞尿ともども攪拌して、糞尿中の微生物により糞尿を処理する方法(特許文献4参照)や、生石灰の微粒子の表面を高級脂肪酸、その塩およびそのエステルからなる群より選ばれた少なくとも1種の被覆剤で被覆してなる糞尿処理剤、ならびにそれを用いた糞尿の処理方法(特許文献5参照)などが提案されている。
【特許文献1】特開2006−296925号公報
【特許文献2】特開2000−1496号公報
【特許文献3】特開2006−223725号公報
【特許文献4】特開平11−300324号公報
【特許文献5】特開2002−210496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、使い捨ての簡易便器を使用しても、そのまま廃棄したのでは臭気を発し、また衛生面から好ましくなく、環境を汚染する虞がある。したがって、特許文献4および5のような糞尿処理方法との併用によって糞尿を処理した後に、簡易便器を廃棄することが好ましい。
【0007】
しかしながら、特許文献4に記載の処理方法は、微生物による処理であるため、処理能力に限界があり、処理速度も遅い等の問題がある。
【0008】
また、特許文献5に記載の生石灰の微粒子を含む糞尿処理剤を用いて、その水和反応により糞尿を発熱処理しようとすると、使い捨ての簡易便器(特許文献1〜3参照)の場合には、反応熱で焦げて穴が開いたり、引火したりするなどの虞があるという問題がある。またこの場合、普段使い慣れた既存の便器ではない簡易便器に対して直接用を足すことに抵抗感が生じる虞がある。
【0009】
そこで、本発明は、簡易のトイレパック内に糞尿を受け、発熱処理に対応した処理容器内で糞尿を処理して衛生的に廃棄することができる糞尿処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的は、下記の手段により達成される。
【0011】
(1)少なくとも糞尿を受ける内面が撥水性を有する容器状のトイレパック内に糞尿を受け、該トイレパック内に受けた糞尿に糞尿処理剤を混合した後、該混合物を前記トイレパックごと、少なくとも内部が耐熱性を有する処理容器内に投入して、該処理容器内で糞尿を発熱処理することを特徴とする糞尿処理方法。
【0012】
(2)前記トイレパックは、可燃性素材の少なくとも一方の面が撥水性を有する撥水素材を容器状に折り畳み成形してなり、少なくとも内面側が撥水面であることを特徴とする上記(1)に記載の糞尿処理方法。
【0013】
(3)前記トイレパックを既設の便器内に配置して糞尿を受けることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の糞尿処理方法。
【0014】
(4)前記処理容器が外容器とこれに内装された内装材とからなり、該内装材が耐熱性を有する素材からなることを特徴とする上記(1)から(3)のいずれか1項に記載の糞尿処理方法。
【0015】
(5)前記処理容器内で糞尿を発熱処理する際に、該処理容器の上部開口部を通気口を有する蓋体で覆うことを特徴とする上記(1)から(4)のいずれか1項に記載の糞尿処理方法。
【0016】
(6)前記蓋体の表面には、前記処理容器内の臭気ガスを吸着する活性炭、および該活性炭の吸湿を防止する吸水材が装着されていることを特徴とする上記(5)に記載の糞尿処理装置。
【0017】
(7)前記内装材が外容器に着脱可能な80℃以上450℃以下の温度において耐熱性を有する素材からなる廃棄用処理袋であって、糞尿処理後に該廃棄用処理袋を前記外容器から取り外して該袋ごと内容物を廃棄することを特徴とする上記(4)に記載の糞尿処理方法。
【0018】
(8)前記外容器の内面に、80℃以上450℃以下の温度において耐熱性を有する素材が積層されていることを特徴とする上記(4)または(7)に記載の糞尿処理方法。
【0019】
(9)前記外容器は、折り畳んで収納可能なダンボール紙を用いて構成されることを特徴とする上記(4)、(7)または(8)に記載の糞尿処理方法。
【0020】
(10)前記糞尿処理剤が、少なくとも、疎水性の被覆剤で表面処理した生石灰および発熱剤を含む粉体剤であることを特徴とする上記(1)から(9)のいずれか1項に記載の糞尿処理方法。
【0021】
(11)少なくとも糞尿を受ける内面が撥水性を有する容器状のトイレパックと、該トイレパック内に受けた糞尿に添加される糞尿処理剤と、該糞尿処理剤の混合後に前記トイレパックを投入して糞尿の発熱処理を行う、少なくとも内部が耐熱性を有する処理容器と、を備えてなることを特徴とする糞尿処理装置。
【0022】
(12)前記トイレパックは、可燃性素材の一方の面が撥水性を有する撥水素材を容器状に折り畳み成形してなり、少なくとも内面側が撥水面であることを特徴とする上記(11)に記載の糞尿処理装置。
【0023】
(13)前記トイレパックは、既設の便座開閉式便器の便座によって保持可能な保持部を備えていることを特徴とする上記(11)または(12)に記載の糞尿処理装置。
【0024】
(14)前記処理容器が外容器とこれに内装された内装材とからなり、該内装材が耐熱性を有する素材からなることを特徴とする上記(11)から(13)のいずれか1項に記載の糞尿処理装置。
【0025】
(15)前記処理容器は上部開口部を覆う蓋体を備え、該蓋体には前記糞尿処理剤の発熱反応により前記処理容器内に充満する蒸気を逃す通気口が開口されていることを特徴とする上記(11)から(14)のいずれか1項に記載の糞尿処理装置。
【0026】
(16)前記蓋体の表面には、前記処理容器内の臭気ガスを吸着する活性炭、および該活性炭の吸湿を防止する吸水材が装着されていることを特徴とする上記(15)に記載の糞尿処理装置。
【0027】
(17)前記内装材が外容器に着脱可能な80℃以上450℃以下の温度において耐熱性を有する素材からなる廃棄用処理袋であることを特徴とする上記(14)に記載の糞尿処理装置。
【0028】
(18)前記外容器の内面に、80℃以上450℃以下の温度において耐熱性を有する素材が積層されていることを特徴とする上記(14)または(17)に記載の糞尿処理装置。
【0029】
(19)前記外容器は、折り畳んで収納可能なダンボール紙を用いて構成されることを特徴とする上記(14)、(17)または(18)に記載の糞尿処理方法。
【0030】
(20)前記糞尿処理剤が、少なくとも、疎水性の被覆剤で表面処理した生石灰および発熱剤を含む粉体剤であることを特徴とする上記(11)から(19)のいずれか1項に記載の糞尿処理装置。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、使い捨てのトイレパックを既存の便器に配置して糞尿を受け、例えば疎水性の被覆剤で表面処理した生石灰および発熱剤を含む糞尿処理剤を用いて、屋外等に配置した処理容器内で糞尿の発熱処理を行うことができる。そして、糞尿を受ける容器状のトイレパックの少なくとも糞尿が接触する内面が撥水性を有するので、トイレパック内に受けた糞尿の水分が外に漏れ出ることはない。また、処理容器は内部が耐熱性を有するので、トイレパック内に受けた糞尿に糞尿処理剤を混合して、該混合物をトイレパックごと処理容器内に投入しても、糞尿処理剤の発熱反応による反応熱で処理容器が焦げて穴が開いたり、引火したりするのを防止することができる。
【0032】
さらに、処理容器を外容器とこれに内装された内装材とから形成し、内装材が耐熱性を有する素材からなるように構成すれば、トイレパックの投入に際して、糞尿処理後に内装材を取り外して該内装材ごと内容物を廃棄することができ、極めて衛生的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0034】
(糞尿処理装置)
まず、本発明に係る糞尿処理方法の実施に用いる糞尿処理装置について説明する。
【0035】
図1は本実施形態の糞尿処理装置におけるトイレパックの折り畳み手順を示す模式図である。図2は本実施形態におけるトイレパックを便器内に配置した状態を示す概略図である。図3は本実施形態におけるトイレパックを便座で保持した状態を示す概略図である。
【0036】
図1および図2を参照して、本実施形態の糞尿処理装置1は、容器状のトイレパック10と、このトイレパック10内に受けた糞尿に添加される糞尿処理剤20(図4参照)と、この糞尿処理剤20の混合後に、該混合物を上記トイレパック10ごと投入して糞尿の発熱処理を行う処理容器(処理槽)30(図6から図9参照)と、を備えている。
【0037】
トイレパック10は、糞尿を受ける使い捨ての簡易の容器であって、少なくとも糞尿を受ける内面が撥水性を有している。すなわち、トイレパック10は、一方の面に撥水加工が施された撥水素材を内面側が撥水面となるように容器状に折り畳み成形されており、折り畳んだ状態で保管され、使用時には内部に空間ができるように開口縁部Fを拡げて容器状に成形される(図1(e)、図2参照)。
【0038】
撥水素材としては、例えば、紙、ビニール等の可燃性素材における一方の面にシリコン樹脂等の樹脂層をコーティングまたはラミネート等したものが挙げられる。特に、本実施形態のトイレパック10は容器状に折り畳み成形されるので、折り畳み成形し易いシート状またはフィルム状の撥水素材であることが好ましく、例えば、剥離紙(離型紙)が好適に用いられる。
【0039】
次に、図1を参照して、シート状またはフィルム状のトイレパック10の折り畳み手順を説明する。この折り畳み構造はトイレパック10を容器として折り畳み成形する一例であり、その構造や折り畳み手順等は限定されない。
【0040】
トイレパック10の素材は、例えば、正方形の剥離紙であって、上面(表面)に撥水加工が施されている。このトイレパック10は、図1(a)のような展開した状態で、SL、L1、L2、L3、L4の各ラインを想定する。
【0041】
まず、図1(b)のように、正方形の対角線上のセンターラインSLを基準として、内側(上面側)へ折り畳んで直角二等辺三角形を作成する。次に、図1(c)のように、直角二等辺三角形の両側に左右対称に斜めに立ち上がった傾斜線L1およびL2を基準として、直角二等辺三角形の両側端部を内側へ折り畳んで重ね合わせ、五角形を作成する。次に、図1(d)のように、横線L3およびL4を基準として、五角形の上部に位置する直角二等辺三角形の部分を上面側(表面側)と下面側(裏面側)との相反する方向へそれぞれ折り畳んで重ね合わせ、逆台形を作成する。トイレパック10は、この状態でも容器状に折り畳まれているが、図1(e)のように、開口縁部Fを外側へ折り返すことにより、開口縁部Fを補強でき、各折り畳み片を折り畳んだ状態に維持できる。そして、直角二等辺三角形の折り返し部分(以下、「保持部11、12」という。)を指で摘んで開口縁部Fを拡げれば、トイレパック10は簡易容器として成形されることになる(図2参照)。
【0042】
図2および図3を参照して、このように本実施形態のトイレパック10は、その両側に三角形状の保持部11、12を備えており、これら保持部11、12を指で摘んで開口縁部Fを左右に拡げると共に、該保持部11、12を利用して既設の便座開閉式便器(洋式便器)60の便座61に保持することができる。なお、トイレパック10は既設便器60内に装着することなく単体で用いても構わない。また、既設便器60の便座61へのトイレパック10の保持手順については後述する。
【0043】
図4はトイレパック内の糞尿に糞尿処理剤を添加する状態を示す概略図である。
【0044】
図4を参照して、糞尿と混合される糞尿処理剤20は、防湿性を有する袋体21内に密封収納されており、袋体21を開封してトイレパック10内の糞尿に添加される。糞尿処理剤20は、使用の際に計量して用いてもよいが、本実施形態では、利便性を考慮して、1回の排便または数回の排便に見合う使用量が袋体21内に密封されている。糞尿処理剤20は、疎水性の被覆剤で表面処理した生石灰および発熱剤を含む粉体剤であり、さらに必要に応じて、吸水材および/または添加剤を含有していてもよい。以下、糞尿処理剤20の構成成分について詳述する。
【0045】
(表面処理される生石灰)
本発明で用いられる表面処理される生石灰(CaO)の形態は、特に限定されないが、大便に対して効果的に分散させるという観点から、粉粒状であることが好ましい。また、その平均粒径は、0.1μm〜5mmの範囲であることが好ましく、0.5μm〜2mmの範囲であることがより好ましく、1μm〜1mmの範囲であることが特に好ましい。前記表面処理される生石灰の平均粒径が0.1μm未満である場合には、製造が困難となり生産コストが高くなる場合がある。一方、5mmより大きい場合には、得られる糞尿処理剤と糞尿との接触面積が減少し、反応効率が低下する場合がある他、糞尿処理時に塊状物が生じ、未反応物が残存する場合がある。また、必要に応じて、前記表面処理される生石灰は、平均粒径の異なる2種以上の生石灰を組み合わせて使用してもよい。なお、本発明において、前記平均粒径は、粒度分布測定装置により測定した値を採用するものとする。
【0046】
(疎水性の被覆剤)
本発明で用いられる疎水性の被覆剤は、該被覆剤を使用して生石灰の表面を処理した際に、生石灰に対して疎水性を付与することができ、かつ、被覆後の生石灰を粉粒状にし易くする化合物であることが好ましい。
【0047】
前記被覆剤の具体例としては、例えば、パラフィン、ステアリルアミン、高級脂肪酸、高級脂肪酸の塩、または高級脂肪酸のエステルからなる群より選択される少なくとも1種の化合物などが挙げられ、これらの中でも、高級脂肪酸、高級脂肪酸の塩、および高級脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。かかる高級脂肪酸としては、炭素数8〜26の一価または多価の飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸が好ましく、炭素数8〜24の一価または多価の飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸がより好ましく、炭素数10〜20の一価の飽和脂肪酸が特に好ましい。前記高級脂肪酸の具体例としては、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、リグノセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などが挙げられる。前記高級脂肪酸の塩の具体例としては、アンモニウム塩;ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;またはカルシウム塩、マグネシウム塩などの第2族の金属塩などが挙げられる。また、前記高級脂肪酸のエステルの具体例としては、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル、sec−ブチルエステル、tert−ブチルエステル、イソブチルエステル、n−ヘキシルエステルなどのアルキルエステル;またはシクロヘキシルエステルなどのシクロアルキルエステルなどが挙げられる。
【0048】
被覆剤の使用量は、表面処理される生石灰に対し、0.01〜10質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜3質量%の範囲であることがより好ましく、0.4〜1.5質量%の範囲であることが特に好ましい。被覆剤の使用量が、0.01質量%未満である場合には、糞尿処理時に、十分な反応遅延効果が得られず、急激に反応が進行し、均一な混合ができないために塊状物が生成する他、反応生成物の疎水性が保たれず、水分の混入等により元の糞尿の形態に戻る虞がある。一方、10質量%を超える場合には、生石灰の活性表面積が減少するため効率的に反応が進行しない虞がある他、コストが高くなる虞がある。
【0049】
(疎水性の被覆剤で表面処理した生石灰)
疎水性の被覆剤で表面処理した生石灰の製造方法は、本発明の糞尿処理剤およびそれを用いた糞尿処理方法に悪影響を及ぼさない限り、特に限定されない。具体的には、例えば、被覆剤の融点よりも高い温度において、生石灰粉末と被覆剤とを混合する方法、または被覆剤の融点より若干低い温度に保持した生石灰粉末に、攪拌下、前記被覆剤の溶融物を噴霧する方法等が好ましく挙げられる。また、前記生石灰は、通常、炭酸カルシウムを焼成して製造されるため、焼成により得られた生石灰を所定の温度まで冷却した後、前記の表面処理方法に付すこともまた好ましい。前記の表面処理した生石灰は、必要に応じて、異なる使用量の被覆剤を用いて表面処理した生石灰を、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0050】
前記の表面処理した生石灰の形状は、特に限定されないが、粉粒状であることが好ましい。また、その平均粒径は、0.1μm〜5mmの範囲であることが好ましく、0.5μm〜2mmの範囲であることがより好ましく、1μm〜1mmの範囲であることが特に好ましい。
【0051】
(発熱剤)
本発明で用いられる発熱剤は、本発明の糞尿処理方法において悪影響を及ぼさない限り、特に制限されず、公知の発熱剤を使用することができるが、糞尿処理の系内において、水分、空気、または消石灰(Ca(OH)2)等との反応により発熱し、前記被覆剤の溶融に必要な熱量を供給しうる物質であることが好ましい。かかる発熱剤の具体例としては、例えば、生石灰、粉体アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、または無水塩化マグネシウム等が挙げられる。これらの化合物は単独でもまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0052】
これらの中でも、糞尿処理にも寄与できるという観点から、生石灰を用いることが好ましい。この場合の生石灰の使用量は、前記表面処理した生石灰100質量部に対して、20〜200質量部の範囲であることが好ましく、処理後の処理物を粉末として得るという観点から、25〜150質量部の範囲であることがより好ましく、25〜100質量部の範囲であることが特に好ましい。生石灰の使用量が20質量部未満である場合には、発熱量が少なく、前記表面処理した生石灰の活性化が効率的に行えないために、糞尿処理時間が長くなる虞がる。一方、生石灰の使用量が200質量部を超える場合には、発生する過剰な熱量により、前記表面処理した生石灰が即座に活性化され、塊状物が生じ、未反応物が残存する虞がある。
【0053】
しかしながら、前記発熱剤の使用量は、前記の発熱剤が生石灰である場合の使用量に制限されず、前記被覆剤の種類および使用量、ならびに発熱剤の種類などに基づき適宜調整可能である。
【0054】
また、発熱剤として生石灰を用いる場合、形状は特に限定されないが、粉粒状であることが好ましい。また、その平均粒径は0.1μm〜5mmであることが好ましく、0.5μm〜2mmであることがより好ましい。
【0055】
なお、前記の疎水性の被覆剤で表面処理した生石灰が、糞尿処理時に水分等との反応による凝集を起こさず、かつ、糞尿処理時の混合条件により効率的に粉砕されうる場合、または前記疎水性の被覆剤の欄で述べたような物理的および/もしくは化学的機構により、被覆剤で表面処理した生石灰の表面から被覆剤が剥離され、活性面が露出した生石灰と糞尿との反応により、本発明で使用される前記表面処理した生石灰の表面に存在する被覆剤溶融に必要な熱量が供給されうる場合等においては、前記の表面処理した生石灰を発熱剤として使用することも可能である。
【0056】
(吸水材)
本発明の糞尿処理剤は、吸水材をさらに含むことが好ましい。本発明で用いられうる吸水材は、活性な生石灰と糞尿との反応を制御する観点、すなわち、糞尿中に含まれる水分が、一度に生石灰の活性表面と反応して凝集により塊状物を生成し、未反応の糞尿が残存することを抑制する観点から添加されるものである。前記吸水材は、本発明の糞尿処理剤およびそれを用いた糞尿処理方法において悪影響を及ぼさない限り、特に制限はなく、公知の物質を使用することができるが、吸水性を有し、かつ吸水した水分が、生石灰の活性表面との接触において反応しうる物質であることが好ましい。かかる吸水材の例としては、例えば、おが屑、水溶紙、繊維束、不織布、ピートモス、または草炭等が挙げられる。これらは単独でもまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。吸水材の使用量は、吸水材の種類や形状、および被処理物である糞尿中に含まれる水分量などにより適宜調整可能であるが、糞尿処理剤100質量部に対して、1〜10質量部の範囲であることが好ましく、2〜6質量部の範囲であることがより好ましい。
【0057】
(添加剤)
本発明の糞尿処理剤は、本発明の糞尿処理剤およびそれを用いた糞尿処理方法において悪影響を及ぼさない限り、吸水材に代えてまたは吸水材に加えてその他の添加剤をさらに含有していてもよい。かかる添加剤の例としては、臭気対策の観点から、香料、消臭剤、または脱臭剤;前記表面処理した生石灰の水に対する濡れ性を向上させるという観点から、アルコール等の親水性有機化合物、または界面活性剤;糞尿中の水分含量を制御するという観点から、シリカゲル、無水硫酸ナトリウム等の乾燥剤、吸水性樹脂等の保水剤等が挙げられる。これらの添加剤は、単独でもまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0058】
前記香料の例としては、例えば、レモンオイル、レモングラス、シナモン油、ラベンダー油、ベチパー等が挙げられる。
【0059】
前記界面活性剤としては、各種の界面活性剤を使用することができ、その具体的な例としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンジ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステルなどのノニオン系界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホサクシネート、アルキルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート、アリールスルホネートなどのアニオン系界面活性剤;長鎖第1級アミン塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルピリジニウム塩、ベンザルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリドなどのカチオン系界面活性剤;または塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、塩酸アルキルポリアミノエチルグリシンなどの両性系界面活性剤等が挙げられる。
【0060】
また、糞尿処理剤を糞尿に添加する際に用いられうる、後述の水溶性樹脂からなる包袋、水溶紙からなる包袋、または水解性不織布からなる包袋も、本発明の糞尿処理剤の添加剤として含有されうる。
【0061】
(糞尿処理剤の調整方法)
本発明の糞尿処理剤の調製方法は、特に制限されず、例えば、疎水性の被覆剤で表面処理した生石灰、および発熱剤を混合し、必要に応じて、さらに吸水材および/または所望の添加剤を混合する方法等が挙げられる。
【0062】
前記表面処理した生石灰は、疎水性の被覆剤で被覆されているため、得られる糞尿処理剤の耐湿性が高まるだけではなく、糞尿処理時に糞尿と接触してもすぐには反応を起こさない反応遅延性を有していることから、生石灰の活性表面と直ちに接触して塊状物等を生成することがない。したがって、糞尿と本発明の糞尿処理剤とは均一に混合されうる。しかし、前記被覆剤として高級脂肪酸、特に炭素数が15〜26である高級脂肪酸を使用した場合には疎水性がより高く、水分を多く含有する糞尿と混合すると攪拌が困難となる場合がある。このような場合には、粉体の攪拌を容易にするという観点から、界面活性剤等の添加剤または比較的疎水性の低い高級脂肪酸の塩、特に炭素数が8〜14である高級脂肪酸の塩を糞尿処理剤にさらに添加して使用してもよい。
【0063】
前記糞尿処理剤を糞尿に添加する方法としては、特に限定されないが、取り扱いの容易性等の観点から、例えば、前記糞尿処理剤を予め包袋に入れておき、糞尿処理時に前記包袋をそのまま糞尿に添加する方法が好ましい。この場合の包袋は、糞尿処理時に糞尿処理剤が糞尿に効率的に拡散するよう、水溶性樹脂からなる包袋、水溶紙からなる包袋、または水解性不織布からなる包袋であることが好ましい。なお、これらの態様を含め、前記糞尿処理剤は、耐湿、耐水条件下で保存することが好ましい。
【0064】
図5はトイレパック内の糞尿と糞尿処理剤との撹拌混合する状態、およびへらを示す概略図である。
【0065】
図5(a)を参照して、本実施形態の糞尿処理装置1には、トイレットパック10内に受けた糞尿と糞尿処理剤20とを撹拌混合するためのへら70が付属部品として備えられている。このへら70は、例えば、ボール紙やダンボール紙等によって形成され、独立の備品としてもよいし、後述する蓋体80や外容器40の一部にへら用部分71として切り離し可能に備えてもよい(図6参照)。図5(b)に示すように、例えば、使用時に蓋体80等からへら用部分71を切り取り、切り取られたへら用部分71のミシン目72に沿って切り目を入れ、一対の折り曲げ線73に沿って上方(内側)に折り曲げると、図5(a)に示すようなへら70が製作される。このように、へらが簡単かつ容易に製作できるので、利便性が向上する。
【0066】
図6は本実施形態における処理容器を構成する外容器を示す斜視図である。図7は本実施形態における外容器を折り畳んだ状態を示す概略図である。図8は本実施形態における外容器に廃棄用処理袋を内装材として内装した状態を示す斜視図である。図9は処理容器の上部開口部を蓋体で覆った状態を示す斜視図である。
【0067】
図6を参照して、処理容器(処理槽)30は、外容器40とこれに内装された内装材50とから構成されている。外容器40は、例えば、底面が矩形で上面が開放された箱体状(上面が開放された中空直方体状)の容器である。容器形状はこれに限定されず、例えば、上面が開放された中空立方体(例えば一辺30cm程度)、有底円筒体等の他の形状であってもよい。この外容器40は、可燃性素材を組み立てて、上記容器形状に成形されており、外容器40を可燃性素材により形成するのは、災害等が過ぎ去った後に焼却物としての廃棄を可能にするためである。
【0068】
可燃性素材としては、例えば、ダンボール紙、ボール紙、または木材等が挙げられるが、折り畳み可能な収納性や軽量化等を考慮すると、本実施形態の外容器40のようにダンボール紙を組み立てて成形することが好ましい。図7を参照して、本実施形態の外容器40はダンボール箱により形成されているので、底部45を分解すれば、容易に平板状に折り畳むことができ、未使用時の収納性に優れている。そして、底部45をガムテープやステープラ針等により結合すれば、容易に組み立てることができる。なお、可燃性素材として、厚めのダンボール紙を使用すれば、断熱効果を得ることができる。
【0069】
上記外容器40に内装される内装材50は、80℃以上450℃以下の温度において耐熱性を有する素材によって形成されている。図8を参照して、本実施形態の内装材50は、例えば、外容器40に着脱可能な難燃性の廃棄用処理袋によって形成されている。この廃棄用処理袋50は外容器40の内側に挿入配置され、その開口縁部を外容器40の上端外縁部に沿って外側へ折り返すようにして内装される。80℃以上の温度で耐熱性を要求するのは、後述する糞尿処理剤の水和反応により系内が80℃〜95℃に達するからである。450℃以下の温度で耐熱性を要求するのは、後述する糞尿処理剤が粉体であるため系内で熱が伝達され難く、その水和反応による発熱時に局部的に200℃〜400℃近くに上昇していると推察されるからである。
【0070】
廃棄用処理袋50としては、80℃以上450℃以下の温度において難燃性(耐熱性)を有する素材、例えば、エアフォームやポリエステル,ナイロン,ポリエチレン等にアルミニウム箔を蒸着したアルミ蒸着フィルム材、ナイロン蒸着ビニール材、ガラスやセラミック,シリカ,アルミナ等の繊維材、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂ラミネート紙、ポリエチレン(PE)等の樹脂発泡断熱紙、またはエンボス加工紙スリーブ、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP),エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)等の樹脂加工材などが挙げられ、これらを利用して袋体として形成される。廃棄用処理袋50は、処理容器30の内形状に沿い易い柔軟性を有していることが好ましく、例えば、少なくとも内面にナイロンを蒸着したビニール袋が好適に用いられる。
【0071】
内装材50として難燃性の廃棄用処理袋を採用することにより、処理済みの糞尿やトイレパック10等を廃棄用処理袋50に収容したまま、外容器40から該袋50を取り外して衛生的に廃棄することができ、また外容器40を繰り返し使用することができる。なお、廃棄用処理袋50を内装した外容器40の上部開口部は、後述する蓋体80で覆われることになる。
【0072】
上述した外容器40は、可燃性素材(ダンボール紙)のみによって形成されているが、これに限定されず、この外容器40の内面41に、さらに80℃以上450℃以下の温度において耐熱性を有する素材を積層してもよい。耐熱性を有する素材としては、例えば、難燃紙の表面に耐熱性樹脂やアルミニウム箔等の金属箔を貼り付けた素材、エアフォームやポリエステル,ナイロン,ポリエチレン等の樹脂材表面にアルミニウム等の金属を蒸着した金属蒸着フィルム材、これらの樹脂材の表面にアルミニウム箔等の金属箔を貼付した金属箔フィルム材、およびナイロン蒸着ビニール材等の難燃性樹脂材などが挙げられる。このように外容器40の内面41に耐熱性を有する素材を積層した場合には、この耐熱性素材の層が上記内装材50の役目をするので、廃棄用処理袋50を用いないで外容器40を単体で使用することも可能である。耐熱性素材を積層した外容器40内に更に廃棄用処理袋50を内装すれば、処理容器30の耐熱性は確実なものとなる。
【0073】
再び図6を参照して、上記処理容器30は、その上部開口部を覆う蓋体80を備えており、この蓋体80の中央部には矩形の通気口81が開口されている。この通気口81は、糞尿処理剤20の発熱反応により該処理容器30内に充満する蒸気を逃すための開口部であり、処理容器30の上部に蓋体80を装着した場合に、蓋体80が蒸気圧で持ち上がらない程度の開口面積があれば足りる。
【0074】
蓋体80は、上述したように、最終的に焼却物としての廃棄を可能にするため、例えば、ダンボール紙、ボール紙、または木材等の可燃性素材により形成されている。本実施形態では、外容器40を構成する可燃性素材と共材(ダンボール紙)により形成されている。この蓋体80にも、上記の耐熱性素材を内装してもよい。
【0075】
また、この蓋体40の上面には、処理容器30内から発生した臭気ガスを吸着する活性炭92、および該活性炭の吸湿を防止する吸水材91が装着されている。吸水材91は、スポンジのように水分を吸収するシート状部材であり、蓋体80の通気口81を塞がないようにロ字状に形成されている。材質としては、例えば多孔質のアクリル樹脂や高分子吸湿剤等が挙げられる。条件としては、水蒸気の熱で変質しない材質が望ましい。活性炭43は、例えば、不織布等の袋体内に収容され、該袋体は蓋体80の通気口81を塞がないようにロ字状や矩形状に形成されている。吸水材91および活性炭92は、それぞれ1枚ものであっても、複数個に分割されたものであってもよいが、蓋体80の通気口81を塞がないように配置することが好ましい。このように活性炭92の下に吸水材91を配置すれば、活性炭92の空孔が初期に水蒸気で塞がって臭気ガスの吸着が低下することが防止される。
【0076】
なお、吸水材91および活性炭92の配置は、本実施形態に限定されず、蓋体80の天板内面(天井面)に下から吸水材91および活性炭92の順に内装してもよい。また、外容器40の上端開口部に上記蓋体80とは別個に中蓋(図示せず)を設け、この中蓋上に吸水材91を載せ、さらに吸水材91の上に活性炭92を載せてもよい。
【0077】
(糞尿処理方法)
次に、上記図1から図9を参照して、本発明に係る糞尿処理方法の一実施形態について説明する。
【0078】
本実施形態の糞尿処理方法は、まず、上述のように、容器状に折り畳み成形されたトイレパック10内に糞尿を受ける。トイレパック10は、通常時は図1(e)のように折り畳んだ状態で収納等されており、災害時に収納場所や災害袋などから取り出される。そして、図2に示すように、トイレパック10の外側両面に位置する三角形状の保持部11、12を指で摘んで、その開口縁部Fを左右に拡げて容器状に成形し、これら保持部11、12を利用して既設の便座開閉式便器(洋式便器)60の便座61によって保持する。
【0079】
具体的には、図2のように、便器60の便座61を上方へ開けた状態で、トイレパック10の容器部分13を便器60内に収容し、指で摘んで左右に張り出させた保持部11、12を該便器60の左右の縁部に載せて配置する。次に、図3のように、便座61を閉じれば、該便器60の左右縁部と便座61との間に保持部11、12を挟んで保持することができる。
【0080】
なお、トイレパック10は、既設便器内に装着することなく、単体での使用も可能であり、又、保持することはできないが、便座を有しない便器(和式便器)内に装着しても構わない。
【0081】
トイレパック10は、少なくとも糞尿を受ける内面が撥水性を有するので、トイレパック10内に受けた糞尿の水分が該トイレパック10の外に漏れ出ることはない。また、トイレパック10の外面にも樹脂コーティング等の撥水加工を施してもよく、このように構成すれば、便器60内に溜まった水に接触しても、それを原因として該トイレパック10が破れることはない。
【0082】
図8に示す処理容器30は、ベランダ、風呂場および軒下等の雨露の凌げる屋外に設置することが好ましい。トイレパック10に糞尿を受けた後、処理容器30の設置場所まで移動し、図4のように、糞尿処理剤20を密封した袋体21を開封して、トイレパック10内の糞尿に糞尿処理剤20を添加する。なお、糞尿は、大便単独でもよいし、大便と小便との混合物であってもよい。
【0083】
そして、図5(a)のように、へら70やスコップ等を用いて、トイレパック10内の糞尿と糞尿処理剤20とを撹拌混合する。糞尿処理剤20の混合後、直ちに糞尿と糞尿処理剤20との混合物をトイレパック10ごと処理容器30内に投入し、この処理容器30内で糞尿を発熱処理する。
【0084】
糞尿処理剤20の使用量は適宜計量してもよいが、使用の簡便性を考慮すると、1回または数回の排便に見合う使用量が袋体21内に小分けして密封されていることが好ましい。具体的には、被処理物である糞尿100質量部に対し、1〜200質量部の範囲であることが好ましく、10〜150質量部の範囲であることがより好ましく、80〜120質量部であることがさらに好ましい。上記使用量が、1質量部未満である場合には、糞尿の吸着処理が十分に行えず、未反応物が残存してしまう虞がある。一方、200質量部より多い場合には、処理効率が悪くなる虞がある。
【0085】
上述したように、本実施形態の処理容器30は外容器40とこれに内装された内装材50とから構成され、内装材50として外容器40内に着脱可能であって、80℃以上450℃以下の温度において難燃性(耐熱性)を有する廃棄用処理袋50が採用される。図8のように、外容器40の内側に内装材として廃棄用処理袋50を挿入配置し、その開口縁部を外容器40の上端外縁部に沿って外側へ折り返して内装して、この廃棄用処理袋50の内部にトイレパック10ごと糞尿と糞尿処理剤20との混合物を投入する。
【0086】
処理容器30(廃棄用処理袋50を内装した外容器40)内にトイレパック10ごと混合物を投入した後、その上部開口部を蓋体80で覆い、処理容器30内で糞尿と糞尿処理剤20との水和反応(発熱反応)を進行させる。すなわち、発熱剤が糞尿との反応により発熱して、表面処理した生石灰の被覆剤を溶融し生石灰の活性表面を露出させ、生石灰が、さらに糞尿中の水分と反応して発熱すると共に、反応生成物である水酸化カルシウムが糞尿を吸着することにより処理後の物質は粉末として得られる。こうして得られた処理後の粉末は、被覆剤の効果により疎水性を有し、雨水等の水分の混入等によっても元の糞尿の形態に戻ることはない。また、上記の処理系内は、温度が80〜95℃にも達し、かつ、強アルカリ性であるため糞尿中の菌を殺菌することができ、処理後の物質の腐敗による悪臭の発生を抑制することができる。
【0087】
外容器40に内装された難燃性の廃棄用処理袋50は80℃以上450℃以下の温度において耐熱性を有しており、また外容器40の断熱材として作用するので、トイレパック10内に受けた糞尿に糞尿処理剤20を混合して、該混合物をトイレパック10ごと廃棄用処理袋50内に投入しても、糞尿処理剤20の発熱反応による反応熱で処理容器30が焦げて穴が開いたり、引火したりするのを防止することができる。なお、外容器40の内面41にも80℃以上450℃以下の温度において耐熱性を有する素材を積層すれば、外容器40を反応熱から確実に保護することができる。また、外容器40の内面41に耐熱性素材を積層した場合には、この耐熱性素材の層が内装材50として機能するので、難燃性の廃棄用処理袋50を用いないで、外容器40を単体で使用することも可能である。
【0088】
処理容器30内には糞尿処理剤20の発熱反応により蒸気が充満するが、蓋体80の中央部には通気口81が開口されているので、該処理容器30の外部へ蒸気を逃すことができ、蓋体80が蒸気圧で持ち上がることはない。この蓋体80の上面には、処理容器30内から発生した臭気ガスを吸着する活性炭92が装着されている。この活性炭92の下には吸水材91が配置されており、活性炭92の空孔が初期に水蒸気で塞がって臭気ガスの吸着が低下することが防止される。
【0089】
処理容器30内での発熱処理の完了後に、処理物(処理済みの糞尿等)を廃棄する。本実施形態では、外容器40内に着脱可能に廃棄用処理袋50を内装しているので、発熱処理済みの糞尿やトイレパック10等を廃棄用処理袋50に収容したまま、該袋50を外容器40から取り外してその開口部を閉じれば、衛生的に処理物(処理済みの糞尿等)を廃棄することができ、又、災害中において外容器40を汚さずに繰り返し使用することができる。
【0090】
災害が過ぎ去った後、図7のように外容器40は折り畳んで収納し、再度の使用に備えることも可能である。外容器40を廃棄する場合には、その構成材料がダンボール紙等の可燃性素材であるので、焼却処分することができる。
【0091】
以上のように、本実施形態の糞尿処理装置1および糞尿処理方法によれば、使い捨てのトイレパックを既存の便器に配置して糞尿を受け、例えば疎水性の被覆剤で表面処理した生石灰および発熱剤を含む糞尿処理剤を用いて、屋外等に配置した処理容器内で糞尿の発熱処理を行うことができる。そして、糞尿を受ける容器状のトイレパック10の少なくとも糞尿が接触する内面が撥水性を有するので、トイレパック10内に受けた糞尿の水分が外に漏れ出ることはない。また、処理容器30は内部が耐熱性を有するので、トイレパック10内に受けた糞尿に糞尿処理剤20を混合して、該混合物をトイレパック10ごと処理容器30内に投入しても、糞尿処理剤20の発熱反応による反応熱で処理容器30が焦げて穴が開いたり、引火したりするのを防止することができる。さらに、トイレパック10の投入に際して、外容器40内に難燃性の廃棄用処理袋50を着脱可能に内装すれば、糞尿処理後に廃棄用処理袋50を取り外して該袋50ごと内容物を廃棄することができ、極めて衛生的である。
【0092】
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。例えば糞尿処理剤としては、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、例えば生石灰から構成された糞尿処理剤等の任意の形態の糞尿処理剤が使用され得る。
【0093】
また、例えば、図1に示すトイレパック10の中には補強用シートを内側に敷くことが、耐熱性向上の観点から望ましい。
【0094】
図10は、トイレパック内に敷く補強用シートの展開図である。図10に示す補強用シート14は、可燃性素材(ダンボール紙)の少なくとも一面に耐熱性を有する素材が貼着されて形成されている。当該素材は、80℃以上450℃以下の温度において耐熱性を有する素材が望ましい。耐熱性を有する素材としては、例えば、難燃紙の表面に耐熱性樹脂やアルミニウム箔等の金属箔を貼り付けた素材、エアフォームやポリエステル,ナイロン,ポリエチレン等の樹脂材表面にアルミニウム等の金属を蒸着した金属蒸着フィルム材、これらの樹脂材の表面にアルミニウム箔等の金属箔を貼付した金属箔フィルム材、およびナイロン蒸着ビニール材等の難燃性樹脂材などが挙げられる。補強用シート14は、折り曲げ線L5で折り曲げた後、トイレパック10の中に敷く様にして配置される。補強用シート14は、トイレパック内側の側方部の補強のための側方面141、142と、トイレパック内側の前後部の補強のための前後面143、144とを備えている。
【0095】
但し、トイレパック10の耐熱性向上のために、補強用シート14と同様な素材からなる袋体で、トイレパック10の外側を覆うようにしてもよい。
【0096】
また、トイレパック10は、図1に示す折り畳み手順で例えば手作業で製作されるが、トイレパック製作の自動化を促進するために、図15に示すような箱型のトイレパック15が使用されてもよい。トイレパック15は、上方が開口された中空直方体形状の本体部151と、本体部151の開口縁部に連接された一対の保持部152、153とから構成される。なお、トイレパック15の材料は、前述したトイレパック10と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、トイレットおよび糞尿処理の関連分野に好適に用いられうる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本実施形態の糞尿処理装置におけるトイレパックの折り畳み手順を示す模式図である。
【図2】本実施形態におけるトイレパックを便器内に配置した状態を示す概略図である。
【図3】本実施形態におけるトイレパックを便座で保持した状態を示す概略図である。
【図4】トイレパック内の糞尿に糞尿処理剤を添加する状態を示す概略図である。
【図5】トイレパック内の糞尿と糞尿処理剤との撹拌混合する状態、およびへらを示す概略図である。
【図6】本実施形態における処理容器を構成する外容器を示す斜視図である。
【図7】本実施形態における外容器を折り畳んだ状態を示す概略図である。
【図8】本実施形態における外容器に廃棄用処理袋を内装材として内装した状態を示す斜視図である。
【図9】本実施形態における処理容器の上部開口部を蓋体で覆った状態を示す斜視図である。
【図10】トイレパック内に敷く補強用シートの展開図である。
【図11】トイレパックの他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0099】
1 糞尿処理装置、
10、15 トイレパック、
11、12、152、153 保持部、
14 補強用シート、
20 糞尿処理剤、
21 袋体、
30 処理容器、
40 外容器、
50 内装剤(廃棄用処理袋)、
60 既設便器、
61 便座、
70 へら、
80 蓋体、
81 通気口。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも糞尿を受ける内面が撥水性を有する容器状のトイレパック内に糞尿を受け、
該トイレパック内に受けた糞尿に糞尿処理剤を混合した後、
該混合物を前記トイレパックごと、少なくとも内部が耐熱性を有する処理容器内に投入して、該処理容器内で糞尿を発熱処理することを特徴とする糞尿処理方法。
【請求項2】
前記トイレパックは、可燃性素材の少なくとも一方の面が撥水性を有する撥水素材を容器状に折り畳み成形してなり、少なくとも内面側が撥水面であることを特徴とする請求項1に記載の糞尿処理方法。
【請求項3】
前記トイレパックを既設の便器内に配置して糞尿を受けることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の糞尿処理方法。
【請求項4】
前記処理容器が外容器とこれに内装された内装材とからなり、該内装材が耐熱性を有する素材からなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の糞尿処理方法。
【請求項5】
前記処理容器内で糞尿を発熱処理する際に、該処理容器の上部開口部を通気口を有する蓋体で覆うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の糞尿処理方法。
【請求項6】
前記蓋体の表面には、前記処理容器内の臭気ガスを吸着する活性炭、および該活性炭の吸湿を防止する吸水材が装着されていることを特徴とする請求項5に記載の糞尿処理装置。
【請求項7】
前記内装材が外容器に着脱可能な80℃以上450℃以下の温度において耐熱性を有する素材からなる廃棄用処理袋であって、糞尿処理後に該廃棄用処理袋を前記外容器から取り外して該袋ごと内容物を廃棄することを特徴とする請求項4に記載の糞尿処理方法。
【請求項8】
前記外容器の内面に、80℃以上450℃以下の温度において耐熱性を有する素材が積層されていることを特徴とする請求項4または請求項7に記載の糞尿処理方法。
【請求項9】
前記外容器は、折り畳んで収納可能なダンボール紙を用いて構成されることを特徴とする請求項4、請求項7または請求項8に記載の糞尿処理方法。
【請求項10】
前記糞尿処理剤が、少なくとも、疎水性の被覆剤で表面処理した生石灰および発熱剤を含む粉体剤であることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の糞尿処理方法。
【請求項11】
少なくとも糞尿を受ける内面が撥水性を有する容器状のトイレパックと、
該トイレパック内に受けた糞尿に添加される糞尿処理剤と、
該糞尿処理剤の混合後に前記トイレパックを投入して糞尿の発熱処理を行う、少なくとも内部が耐熱性を有する処理容器と、を備えてなることを特徴とする糞尿処理装置。
【請求項12】
前記トイレパックは、可燃性素材の一方の面が撥水性を有する撥水素材を容器状に折り畳み成形してなり、少なくとも内面側が撥水面であることを特徴とする請求項11に記載の糞尿処理装置。
【請求項13】
前記トイレパックは、既設の便座開閉式便器の便座によって保持可能な保持部を備えていることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の糞尿処理装置。
【請求項14】
前記処理容器が外容器とこれに内装された内装材とからなり、該内装材が耐熱性を有する素材からなることを特徴とする請求項11から請求項13のいずれか1項に記載の糞尿処理装置。
【請求項15】
前記処理容器は上部開口部を覆う蓋体を備え、該蓋体には前記糞尿処理剤の発熱反応により前記処理容器内に充満する蒸気を逃す通気口が開口されていることを特徴とする請求項11から請求項14のいずれか1項に記載の糞尿処理装置。
【請求項16】
前記蓋体の表面には、前記処理容器内の臭気ガスを吸着する活性炭、および該活性炭の吸湿を防止する吸水材が装着されていることを特徴とする請求項15に記載の糞尿処理装置。
【請求項17】
前記内装材が外容器に着脱可能な80℃以上450℃以下の温度において耐熱性を有する素材からなる廃棄用処理袋であることを特徴とする請求項14に記載の糞尿処理装置。
【請求項18】
前記外容器の内面に、80℃以上450℃以下の温度において耐熱性を有する素材が積層されていることを特徴とする請求項14または請求項17に記載の糞尿処理装置。
【請求項19】
前記外容器は、折り畳んで収納可能なダンボール紙を用いて構成されることを特徴とする請求項14、請求項17または請求項18に記載の糞尿処理方法。
【請求項20】
前記糞尿処理剤が、少なくとも、疎水性の被覆剤で表面処理した生石灰および発熱剤を含む粉体剤であることを特徴とする請求項11から請求項19のいずれか1項に記載の糞尿処理装置。
【請求項1】
少なくとも糞尿を受ける内面が撥水性を有する容器状のトイレパック内に糞尿を受け、
該トイレパック内に受けた糞尿に糞尿処理剤を混合した後、
該混合物を前記トイレパックごと、少なくとも内部が耐熱性を有する処理容器内に投入して、該処理容器内で糞尿を発熱処理することを特徴とする糞尿処理方法。
【請求項2】
前記トイレパックは、可燃性素材の少なくとも一方の面が撥水性を有する撥水素材を容器状に折り畳み成形してなり、少なくとも内面側が撥水面であることを特徴とする請求項1に記載の糞尿処理方法。
【請求項3】
前記トイレパックを既設の便器内に配置して糞尿を受けることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の糞尿処理方法。
【請求項4】
前記処理容器が外容器とこれに内装された内装材とからなり、該内装材が耐熱性を有する素材からなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の糞尿処理方法。
【請求項5】
前記処理容器内で糞尿を発熱処理する際に、該処理容器の上部開口部を通気口を有する蓋体で覆うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の糞尿処理方法。
【請求項6】
前記蓋体の表面には、前記処理容器内の臭気ガスを吸着する活性炭、および該活性炭の吸湿を防止する吸水材が装着されていることを特徴とする請求項5に記載の糞尿処理装置。
【請求項7】
前記内装材が外容器に着脱可能な80℃以上450℃以下の温度において耐熱性を有する素材からなる廃棄用処理袋であって、糞尿処理後に該廃棄用処理袋を前記外容器から取り外して該袋ごと内容物を廃棄することを特徴とする請求項4に記載の糞尿処理方法。
【請求項8】
前記外容器の内面に、80℃以上450℃以下の温度において耐熱性を有する素材が積層されていることを特徴とする請求項4または請求項7に記載の糞尿処理方法。
【請求項9】
前記外容器は、折り畳んで収納可能なダンボール紙を用いて構成されることを特徴とする請求項4、請求項7または請求項8に記載の糞尿処理方法。
【請求項10】
前記糞尿処理剤が、少なくとも、疎水性の被覆剤で表面処理した生石灰および発熱剤を含む粉体剤であることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の糞尿処理方法。
【請求項11】
少なくとも糞尿を受ける内面が撥水性を有する容器状のトイレパックと、
該トイレパック内に受けた糞尿に添加される糞尿処理剤と、
該糞尿処理剤の混合後に前記トイレパックを投入して糞尿の発熱処理を行う、少なくとも内部が耐熱性を有する処理容器と、を備えてなることを特徴とする糞尿処理装置。
【請求項12】
前記トイレパックは、可燃性素材の一方の面が撥水性を有する撥水素材を容器状に折り畳み成形してなり、少なくとも内面側が撥水面であることを特徴とする請求項11に記載の糞尿処理装置。
【請求項13】
前記トイレパックは、既設の便座開閉式便器の便座によって保持可能な保持部を備えていることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の糞尿処理装置。
【請求項14】
前記処理容器が外容器とこれに内装された内装材とからなり、該内装材が耐熱性を有する素材からなることを特徴とする請求項11から請求項13のいずれか1項に記載の糞尿処理装置。
【請求項15】
前記処理容器は上部開口部を覆う蓋体を備え、該蓋体には前記糞尿処理剤の発熱反応により前記処理容器内に充満する蒸気を逃す通気口が開口されていることを特徴とする請求項11から請求項14のいずれか1項に記載の糞尿処理装置。
【請求項16】
前記蓋体の表面には、前記処理容器内の臭気ガスを吸着する活性炭、および該活性炭の吸湿を防止する吸水材が装着されていることを特徴とする請求項15に記載の糞尿処理装置。
【請求項17】
前記内装材が外容器に着脱可能な80℃以上450℃以下の温度において耐熱性を有する素材からなる廃棄用処理袋であることを特徴とする請求項14に記載の糞尿処理装置。
【請求項18】
前記外容器の内面に、80℃以上450℃以下の温度において耐熱性を有する素材が積層されていることを特徴とする請求項14または請求項17に記載の糞尿処理装置。
【請求項19】
前記外容器は、折り畳んで収納可能なダンボール紙を用いて構成されることを特徴とする請求項14、請求項17または請求項18に記載の糞尿処理方法。
【請求項20】
前記糞尿処理剤が、少なくとも、疎水性の被覆剤で表面処理した生石灰および発熱剤を含む粉体剤であることを特徴とする請求項11から請求項19のいずれか1項に記載の糞尿処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−95453(P2009−95453A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−269226(P2007−269226)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(506190360)
【出願人】(507223133)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(506190360)
【出願人】(507223133)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]