説明

糞尿処理装置

【課題】便器から洗浄水と共に排出される糞尿の分解・殺菌・消臭処理を行える、構造がシンプルで安価に実施出来る糞尿処理装置を提供する。
【解決手段】便器1からの糞尿を洗浄水と共に受け入れる第一処理タンク2と高所に配設された第二処理タンク3とは、第一処理タンク2から第二処理タンク3へ液状処理物を送給するポンプ5を含む送給管路6と、第二処理タンク3から第一処理タンク1へ液状処理物をオーバーフローにより戻す自動開閉手段8を備えたオーバーフロー管路7で接続され、第二処理タンク3と最終処理タンク4とは、第二処理タンク3からのオーバーフロー水位L2より高い設定水位L3を超えたときに当該第二処理タンク2から最終処理タンク4へ液状処理物をサイフォン作用で流出させるサイフォン管路9で接続され、最終処理タンク4には、最終処理済みの液状処理物を取り出す開閉自在な排出口10が設けられた構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器から洗浄水と共に排出される糞尿の処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の糞尿処理装置として、特許文献1に記載されるように、便器から洗浄水と共に排出される糞尿を受け入れる処理タンクから被処理物を汲み出し、これを処理タンクに戻す液状物と乾燥手段に送り込む固形物とに分離し、乾燥手段に送り込まれた固形物を乾燥させて取り出すように構成された糞尿処理装置が考えられていた。このような糞尿処理装置では、乾燥固形物の廃棄処理が必要であるところから、最近では、便器から洗浄水と共に排出される糞尿を処理タンク内で分解促進菌を併用するなどして分解し、さらにこの分解処理後の液状処理物をオゾン処理などにより殺菌消臭処理を行なうことにより、最終的には雨水と同じように取り扱える液状処理物に変化させることが出来る特別な残渣処理が不要な糞尿処理装置が考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−130535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような特別な残渣処理が不要な糞尿処理装置では、液状処理物の分解処理を行なう分解処理タンクと最終的な殺菌消臭処理を行なう最終処理タンクとが併設され、最終処理タンク内での最終処理が完了した液状処理物を排出して空になった最終処理タンクに分解処理タンク内から所要量の液状処理物を送給するための送給手段が必要である。分解処理タンク内の液状処理物を汲み出して最終処理タンクに送り込む場合は、前記送給手段としてポンプが必要であり、分解処理タンク内の液状処理物を重力で下位の最終処理タンクに送り込む場合は、前記送給手段として電磁弁が必要である。何れの場合も、自動制御のための手段を含めて構造が複雑になり、コストアップは免れない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題点を解消することの出来る、特別な残渣処理が不要な糞尿処理装置を提案するものであって、請求項1に記載の本発明に係る糞尿処理装置は、後述する実施例との関係を理解し易くするために、当該実施例の説明において使用した参照符号を括弧付きで付して示すと、便器(1)からの糞尿を洗浄水と共に受け入れる第一処理タンク(2)と、この第一処理タンク(2)より高所に配設された第二処理タンク(3)と、この第二処理タンク(3)より低所に配設された最終処理タンク(4)とを備え、第一処理タンク(2)と第二処理タンク(3)とは、第一処理タンク(2)内に貯留された液状処理物を第二処理タンク(3)内へ送給するポンプ(5)を含む送給管路(6)と、第二処理タンク(3)内に貯留された液状処理物を第一処理タンク(2)内へオーバーフローにより戻すオーバーフロー管路(7)で接続され、このオーバーフロー管路(7)には、第一処理タンク(2)内の貯留液状処理物が設定水位(L1)を超えているときに閉じられる自動開閉手段(8)が設けられ、第二処理タンク(3)と最終処理タンク(4)とは、第二処理タンク(3)内の貯留液状処理物の水位が前記オーバーフロー管路(7)へのオーバーフロー水位(L2)より高い設定水位(L3)を超えたときに当該第二処理タンク(2)内の貯留液状処理物をサイフォン作用で最終処理タンク(4)内へ流出させるサイフォン管路(9)で接続され、最終処理タンク(4)には、当該最終処理タンク(4)内に貯留された最終処理済みの液状処理物を取り出す開閉自在な排出口(10)が設けられた構成になっている。
【0006】
上記本発明を実施する場合、具体的には請求項2に記載のように、第一処理タンク(2)の長さ方向の一端外側に、最終処理タンク(4)の排出口(10)から排出される最終処理済み液状処理物を受け入れる容器(24)を出し入れ自在に支持する容器収納空間(25)を設け、この容器収納空間(25)の上に最終処理タンク(4)を配設し、この最終処理タンク(4)の上に第二処理タンク(3)を配設することが出来る。
【0007】
又、請求項3に記載のように、第二処理タンク(3)の横には、便器(1)へ送給される洗浄水を収容する洗浄水タンク(26)を並設し、この第二処理タンク(3)と洗浄水タンク(26)とが、最終処理タンク(4)の水平面上の輪郭を上方に延長させた筒状空間を埋めるように構成することが出来る。
【0008】
又、請求項4に記載のように、第二処理タンク(3)は、前記送給管路(6)が開口する第一槽(3A)と、前記オーバーフロー管路(7)とサイフォン管路(9)が設けられた第二槽(3B)とに仕切り、この第一槽(3A)と第二槽(3B)とは、第一槽(3A)内の上部と第二槽(3B)内の下部とを連通させる連通管路(13)で接続し、第二槽(3B)内の液状処理物がサイフォン管路(9)で最終処理タンク84)内へ流出するとき、前記連通管路(13)の上端開口水位以下の第一槽(3A)内の液状処理物が残されるように構成することが出来る。
【0009】
サイフォン管路(9)は、単に管体を逆U字形に曲げ加工したものでも良いが、請求項5に記載のように、下端が最終処理タンク(4)内に開口する垂直固定管(36)と、この垂直固定管(36)に引き抜き可能に外嵌された上端閉塞外側管(37)とからサイフォン管路(9)を構成し、上端閉塞外側管(37)が垂直固定管(36)に対して外嵌された状態において、第二処理タンク(3)の底部に開口する上端閉塞外側管(37)の下端開口部と、垂直固定管(36)と上端閉塞外側管(37)との間の環状流路と、この環状流路の上端と垂直固定管(36)の上端を連通させる連通路(切欠き部38)が形成されるように構成し、第二処理タンク(3)には、前記上端閉塞外側管(37)の真上に位置する開閉自在な蓋(27)を設けることが出来る。
【0010】
更に、請求項6に記載のように、オーバーフロー管路(7)に設けられた前記自動開閉手段(8)は、第一処理タンク(2)内の貯留液状処理物の水位の変動に連動して上下動するフロート(8a)と、このフロート(8a)と上下逆方向に連動してオーバーフロー管路(7)の出口(7d,7e)を開閉する弁体(33A,33B)から成る開閉弁(8b)とで構成し、前記弁体(33A,33B)が、第一処理タンク(2)内の貯留液状処理物が設定水位(L1)を超えたときにオーバーフロー管路(7)の出口(7d,7e)を閉じるように構成することが出来る。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の本発明の構成によれば、糞尿を含む液状処理物を分解処理するための処理タンクを第一処理タンクと第二処理タンクとで構成し、この両タンク間で液状処理物を循環移動させることが出来るので、液状処理物の攪拌手段を特に併用しなくとも液状処理物を十分に攪拌することが出来、又、空気との接触も促進されるので、好気性の分解処理菌による分解処理が良好に行なわれる。しかも、第一処理タンク内の貯留液状処理物が設定水位を超えた場合、第二処理タンクから第一処理タンクへの液状処理物のオーバーフローによる戻しを自動的に停止し、この結果生じる第二処理タンク内の水位の上昇を利用して、第二処理タンク内の貯留液状処理物を最終処理タンクへ送給する動作をサイフォン管路により自動的に開始させることが出来るので、この第二処理タンクから最終処理タンクへの液状処理物の送給に関して、特別なセンサーやこのセンサーの動作に連動するポンプや電磁弁が不要であり、構造が極めて簡単になり、非常に安価に実施することが出来る。又、電気的制御回路や電気的に動作する機器が無いので、故障の恐れも少なく、保守管理も容易になる。
【0012】
尚、請求項2に記載の構成によれば、便器の下側に第一処理タンクを設置し、第二処理タンク、最終処理タンク、及び最終処理済み液状処理物を受け入れる容器を出し入れ自在に支持する容器収納空間の三者を、第一処理タンク及び便器の後ろ側に上下方向に積層状態でまとめることが出来、糞尿処理装置を備えた便器設備全体をコンパクトにまとめて構成することが出来る。又、最終処理済み液状処理物は、最終処理タンクの排出口を開くだけで前記容器収納空間内にセットした容器に移し替えて容易に取り出すことが出来る。更に請求項3に記載の構成によれば、便器へ送給される洗浄水を収容する洗浄水タンクも含めて、糞尿処理装置を備えた便器設備全体をコンパクトにまとめて構成することが出来る。
【0013】
又、請求項4に記載の構成によれば、最終処理タンクに移し替る前の液状処理物が、第一処理タンク、第二処理タンクの第一槽、及び第二処理タンクの第二槽の3つを循環することになるので、液状処理物に対する攪拌効果、空気との接触効果を一層高めることが出来、分解処理を一層効果的に行なわせることが出来る。しかも、最終処理タンクの容量に合わせて、第二処理タンクの第二槽の容量を設定することにより、第二処理タンク全体の容量に関係なく、第二処理タンクから最終処理タンクへの液状処理物のサイフォン管路による流出量を決めることが出来る。
【0014】
更に、請求項5に記載の構成によれば、管体を単に逆U形に曲げてサイフォン管路を構成する場合に比較して、サイフォン管路の構成は複雑になるが、第二処理タンクの蓋を開けて上端閉塞外側管を上方に引き抜くことにより、サイフォン管路内の清掃が極めて簡単容易に行なえる。
【0015】
又、請求項6に記載の構成によれば、オーバーフロー管路に設けられる自動開閉手段を、水位検出用センサーと電磁弁とで構成する場合と比較して、電気的な機器や制御回路が不要であり、非常に安価に実施することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明一実施例に係る糞尿処理装置の全体の構成を説明する模式図である。
【図2】A図は同上糞尿処理装置の具体実施例を示す側面図、B図は同背面図である。
【図3】同上糞尿処理装置の平面図である。
【図4】同上糞尿処理装置の第一処理タンクの蓋板及び最終処理タンクより上側を取り外した状態での一部切欠き平面図である。
【図5】A図は図3のA−A線断面図、B図は同A図の要部拡大縦断側面図、C図は同A図の要部の変形例を示す拡大縦断側面図である。
【図6】図3のB−B線断面図である。
【図7】図3のC−C線断面図である。
【図8】同上糞尿処理装置の最終処理タンク位置での横断一部切欠き平面図である。
【図9】図5AのD−D線位置での処理タンクの横断平面図である。
【図10】A図はサイフォン管路を構成する上端閉塞外側管の縦断側面図、B図は同垂直固定管の縦断側面図、C図は組み立てられたサイフォン管路の縦断側面図である。
【図11】図10CのE−E線拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に基づいて本発明の一実施例に係る糞尿処理装置全体の基本構成を説明すると、便器1からの糞尿を洗浄水と共に受け入れる第一処理タンク2と、この第一処理タンク2より高所に配設された第二処理タンク3と、この第二処理タンク3より低所に配設された最終処理タンク4とを備え、第一処理タンク2と第二処理タンク3とは、第一処理タンク2内に貯留された液状処理物を第二処理タンク3内へ送給するポンプ5を含む送給管路6と、第二処理タンク3内に貯留された液状処理物を第一処理タンク2内へオーバーフローにより戻すオーバーフロー管路7で接続され、このオーバーフロー管路7には、第一処理タンク2内の貯留液状処理物が設定水位L1を超えているときに閉じられる自動開閉手段8が設けられ、第二処理タンク3と最終処理タンク4とは、第二処理タンク3内の貯留液状処理物の水位が前記オーバーフロー管路7へのオーバーフロー水位L2より高い設定水位L3を超えたときに当該第二処理タンク3内の貯留液状処理物をサイフォン作用で最終処理タンク4内へ流出させるサイフォン管路9で接続され、最終処理タンク4には、当該最終処理タンク4内に貯留された最終処理済みの液状処理物を取り出す開閉自在な排出口10が設けられている。
【0018】
自動開閉手段8は、第一処理タンク2内の液状処理物の水位の変動に伴って上下動するフロート8aと、このフロート8aの上下動に連動して開閉する開閉弁8bとから構成されている。第一処理タンク2には、貯留される液状処理物の水位が異常高水位L4に達したことを検出する水位センサー11が設けられ、この水位センサー11の検出信号により便器1の使用停止を表示する非常灯の点灯などが自動的に実行される。
【0019】
第二処理タンク3内は、送給管路6が底部に開口する第一槽3Aと、オーバーフロー管路7及びサイフォン管路9が設けられた第二槽3Bとに、仕切り板12により二分割されている。そして、この第一槽3Aと第二槽3Bとは、第一槽3A内の上部、具体的にはオーバーフロー管路7の上端開口水位、即ち、オーバーフロー水位L2と略同一高さと第二槽3B内の底部とを連通させる連通管路13で接続されている。この連通管路13は、仕切り板12のオーバーフロー水位L2と略同一高さに設けられた開口13aと、この開口13aの第二槽3B側を覆うように仕切り板12に取り付けられた、上端閉塞で下端にのみ第二槽3B内に開放された開口13bを形成する溝形材13cによって形成されている。サイフォン管路9は、第二槽3B内の底部に開口する吸入側垂直管路9aと、この吸入側垂直管路9aの上端と設定水位L3の高さでUターン部を介して接続された吐出側垂直管路9bとから成り、吐出側垂直管路9bは、最終処理タンク4内の上部に開口している。従って、このサイフォン管路9は、1本の管体の曲げ加工により構成することが可能である。
【0020】
最終処理タンク4内には、底部近くにオゾン発生管14が設けられると共に、この最終処理タンク4内の液状処理物の水位がオゾン発生管14より若干高い設定水位L5に達したことを検出する水位センサー15が設けられている。オゾン発生管14は、水位センサー15が最終処理タンク4内の液状処理物を検出しているとき、即ち、最終処理タンク4内の液状処理物の水位が設定水位L5より低くないとき、通電されてオゾンを発生するように自動制御される。
【0021】
図1に示す基本構成での作用を説明すると、実際に便器1が使用可能な状態では、第一処理タンク2内と第二処理タンク3内には、分解促進菌を添加した水が貯蔵されていると共にポンプ5が稼働されて、第一処理タンク2内の液状処理物(分解促進菌添加水)が、送給管路6から第二処理タンク3の第一槽3A内に送り込まれ、この第一槽3A内から連通管路13を経由して第二処理タンク3の第二槽3B内に流入し、そしてオーバーフロー管路7からオーバーフローして元の第一処理タンク2内に戻るように循環流動している。このときの第一処理タンク2内の液状処理物(分解促進菌添加水)の水位は、設定水位L1より低く、第二処理タンク3内の液状処理物(分解促進菌添加水)の水位は、オーバーフロー水位L2となっている。この状態で便器1が使用され、使用後には、図示省略しているが便器1に供給される洗浄水と共に糞尿が第一処理タンク2内に排出される。尚、便器1の排出口1aには、洗浄水の流出時に自動的に開く周知の自動開閉蓋を併設しておくことが出来る。
【0022】
第一処理タンク2内に排出された糞尿を含む液状処理物は、上記のように第一処理タンク2内と第二処理タンク3の第一槽3A及び第二槽3Bをこの順に循環流動する間に分解されるが、このときの第二処理タンク3内での液状処理物の流れは、第一槽3Aの底部から上昇し、この第一槽3Aの上部から第二槽3Bの底部に移り、この第二槽3Bの底部から上昇し、この第二槽3Bの上部からオーバーフロー管路7に流出することになるので、第二処理タンク3内での液状処理物の滞留はない。而して、便器1の使用回数が増えるに従って第一処理タンク2内の液状処理物の水位が上昇することになり、この第一処理タンク2内の液状処理物の水位が設定水位L1に達すると、当該液状処理物の水位の上昇に伴って上動する自動開閉手段8のフロート8が開閉弁8bを閉じるので、それ以降は、第二処理タンク3の第二槽3B内からオーバーフロー管路7を経由して第一処理タンク2内に戻る液状処理物のオーバーフローが止まることになる。
【0023】
第二処理タンク3内から第一処理タンク2内への液状処理物のオーバーフローが止まってもポンプ5は稼働し続けており、第一処理タンク2内の液状処理物が送給管路6を経由して第二処理タンク3の第一槽3A内に送り出されるので、第二処理タンク3内の液状処理物の水位がオーバーフロー水位L2から上昇し、その結果、第二処理タンク3内の液状処理物の水位が設定水位L3に到達することになる。液状処理物の水位が設定水位L3に到達すると、それ以降に第一処理タンク2内からポンプアップされる液状処理物は、サイフォン管路9の吸入側垂直管路9aの上端から吐出側垂直管路9b内に流出し、当該吐出側垂直管路9b内での液状処理物の重力による流下に伴って当該サイフォン管路9内にサイフォン作用が生じ、それ以降は、当該サイフォン作用により第二処理タンク3内の液状処理物がサイフォン管路9を経由して最終処理タンク4内に自動的に排出される。ここでサイフォン管路9を経由して最終処理タンク4内に自動的に排出される液状処理物の単位時間当りの流量は、ポンプ5によって送給管路6から第二処理タンク3に送給される単位時間当りの流量よりも大きくなるように構成されている。
【0024】
従って、ポンプ5が連続稼働されていて、第一槽3Aから第二槽3Bへの連通管路13を経由しての液状処理物の流入が継続されていても、サイフォン作用により第二槽3B内の液状処理物が最終処理タンク4内に排出されるのに伴って当該第二槽3B内の液状処理物の水位が下がり、当該第二槽3B内の液状処理物の水位がサイフォン管路9の吸入側垂直管路9aの下端開口より低くなって当該吸入側垂直管路9aが開放されたときに、サイフォン管路9を経由しての最終処理タンク4への液状処理物の排出が終了する。
【0025】
即ち、第一処理タンク2内の液状処理物の水位が設定水位L1に達するまでは、液状処理物は第一処理タンク2内と第二処理タンク3内とを循環流動し続け、この間に液状処理物の分解処理が行なわれ、第一処理タンク2内の液状処理物の水位が設定水位L1に達した以後に第二処理タンク3の第二槽3B内の分解処理済みの液状処理物が自動的に最終処理タンク4内に移し替られる。そして、ポンプ5による第一処理タンク2から第二処理タンク3への液状処理物の送給が継続していることにより、第一処理タンク2内の液状処理物の水位が設定水位L1以下に下がると共に、第二処理タンク3の連通管路13を経由しての第一槽3Aから第二槽3Bへの液状処理物の流入の結果、第二処理タンク3内の液状処理物の水位がオーバーフロー水位L2より高くなると、再び、液状処理物が第一処理タンク2内と第二処理タンク3内とを循環流動する元の状態に復帰する。若し、便器1の使用頻度が高くて第一処理タンク2内の液状処理物の水位が設定水位L1以下に下がらないで上昇し続けるときは、第一処理タンク2内の液状処理物の水位が水位センサー11で検出される異常高水位L4に達し、便器1の使用停止を表示する非常灯の点灯などが自動的に実行される。
【0026】
一方、サイフォン管路9によるサイフォン作用で第二処理タンク3から最終処理タンク4へ排出される液状処理物の量は、当該最終処理タンク4での最適処理容量となるように、オーバーフロー水位L2とサイフォン作用が開始される設定水位L3との間の水位差、第二処理タンク3の第二槽3Bの容量、及びサイフォン管路9の吸入側垂直管路9aにおける下端開口水位、などが設定されている。而して、最終処理タンク4内に液状処理物が流入すると、当該最終処理タンク4内の液状処理物の水位が設定水位L5に達した時点、即ち、オゾン発生管14が液状処理物中に埋没する時点で水位センサー15が働き、オゾン発生管14に通電され、この最終処理タンク4内に移し替られた液状処理物に対するオゾン処理、即ち、殺菌・消臭処理が実行される。このオゾン発生管14による殺菌・消臭処理の時間はタイマー制御され、当該オゾン発生管14に通電された後の経過時間が設定時間に達したことをもってオゾン発生管14への通電が断たれ、この最終処理タンク4からの処理済み液状物の取り出しを促す表示灯の自動点灯などが実行される。従って、管理者などは、最終処理タンク4の排出口10を開いて、当該排出口10から排出される処理済み液状物を容器などに移し替て然るべく処理することが出来る。勿論、最終処理タンク4から取り出される処理済み液状物の性状によっては、当該排出口10から土中や雨水処理管路などに処理済み液状物を直接放流するように構成しても良い。
【0027】
又、第二処理タンク3は2槽構造に限定されるものではなく、3槽又はそれ以上の多槽構造としても良いし、逆に1槽構造としても良い。第二処理タンク3を複数槽構造とする場合、送給管路6の第二処理タンク3(第一槽3A)内に対する開口位置は、底部ではなく槽上部とし、逆に槽間の連通管路13は、上手側の槽内の底部から下手側の槽内の上部に開口する構造とすることも出来る。
【0028】
次に、上記の基本構成の本発明による糞尿処理装置の具体的実施例を、図2〜図11に基づいて説明する。尚、この具体的実施例の作用は、上記基本構成での作用と基本的に同じであるので、異なる点についてのみ作用を補足する。
【0029】
この実施例における糞尿処理装置は、図2及び図3に示すように、脚部21aを介して床面20上に支持される下側水平タンク構造体21と、当該下側水平タンク構造体21の後端部上側に立設された上側垂直タンク構造体22とを備え、下側水平タンク構造体21の上側で上側垂直タンク構造体2の前側に便器1が配置される。この便器1は、下側水平タンク構造体21の左右両側で床面20上に設置される枠構造体23間に支持され、当該枠構造体23には、便器1の左右両側に位置する手摺り部23aと便器1の後側上方に位置する背もたれ部23bとを備えている。
【0030】
下側水平タンク構造体21は、図4及び図5に示すように、第一処理タンク2と、最終処理済み液状処理物を受け入れる容器24を出し入れ自在に支持する容器収納空間25を形成するもので、第一処理タンク2は、便器1の排出口1aが嵌合する開口部2aを形成する円筒状囲壁2bが上向きに突設されたカバー板2cで上側が閉じられる。容器収納空間25は、第一処理タンク2の後側垂直壁となる垂直仕切り板21bよりも後方へ延出する底板部21cと左右両側板部21d、及び当該左右両側板部21dの後端部間を閉じるように取り付けられた、後方に突曲する後側カバー板21eによって、第一処理タンク2の後側に連設されている。後側カバー板21eには、容器24を出し入れするための開口21fが設けられている。前記ポンプ5は、容器収納空間25の底板部21c上の、出し入れされる容器24と干渉しない横側部に設置されている。
【0031】
上側垂直タンク構造体22は、図5〜図9に示すように、下側水平タンク構造体21の後端部上に、容器収納空間25の上側開放端部を閉じるように載置固定されており、容器収納空間25を上方に延長させた、後側壁部が後方に突曲した筒状空間を埋める輪郭を有するものであって、中間高さに張設された水平仕切り板22aと底板部22bとの間で最終処理タンク4を形成すると共に、水平仕切り板22aの上側空間を前後2つに区画する平面視コ字形の垂直仕切り板22cによって、当該垂直仕切り板22cの前側の平面視コ字形の第二処理タンク3と、当該垂直仕切り板22cの後側の平面視矩形の洗浄水タンク26を形成している。第二処理タンク3の連通管路13を備えた仕切り板12は、前記垂直仕切り板22cと上側垂直タンク構造体22の前側壁部との間で水平仕切り板22aの上に垂直に張設されている。前後に並列する第二処理タンク3と洗浄水タンク26とは、共通の着脱自在な蓋27によって上端が開閉可能であり、当該蓋27の洗浄水タンク26の真上位置には、開閉自在なキャップ26aを備えた給水口が設けられている。更に、上側垂直タンク構造体22の後側壁部には、洗浄水タンク26内の水量を視覚でチェックするための上下方向に細長い水位確認用透明窓26bが設けられている。
【0032】
第一処理タンク2と第二処理タンク3の第一槽3Aとを接続する送給管路6は、図4に示すように、下側水平タンク構造体21の垂直仕切り板21bに設けられた開口とポンプ5の吸引口とを接続する水平管体6aと、図6に示すように、上側垂直タンク構造体22の水平仕切り板22aに上端が固着された状態で最終処理タンク4内を貫通し且つ下端部が上側垂直タンク構造体22の底板部22bを下向きに貫通する垂直管体6bと、この垂直管体6bの下端部とポンプ5の吐出口とを接続する接続管体6cとで構成されている。この接続管体6cは容器収納空間25内に配設されるので、当該接続管体6cは、容器収納空間25に出し入れされる容器24と干渉しない高さに配設されている。又、図4に示すように、第一処理タンク2内には、送給管路6の水平管体6aが開口する下側水平タンク構造体21の垂直仕切り板21bの内側コーナー部を囲むように平面視円弧形にフィルター用ネット28が張設されている。
【0033】
オーバーフロー管路7は、図5及び図7に示すように、上側垂直タンク構造体22の底板部22bと水平仕切り板22aを貫通して第二処理タンク3内のオーバーフロー水位L2で開口する垂直管体7aと、下側水平タンク構造体21の垂直仕切り板21bを水平に貫通する水平管体7bと、垂直管体7aの下端と水平管体7bとを接続する接続管体7cとから構成されている。このオーバーフロー管路7を開閉する前記自動開閉手段8のフロート8aは、図4及び図5Bに示すように、下側水平タンク構造体21の垂直仕切り板21bの第一処理タンク2側に固着突設された軸受け板29に水平支軸30の周りで上下揺動自在に軸支された揺動アーム31に支持杆32を介して支持され、このフロート8aに連動する開閉弁8bは、水平支軸30に対してフロート8aのある側とは反対側で前記揺動アーム31に取り付けられた、水平支軸30と同心状の円弧形弁板33Aで構成され、オーバーフロー管路7を構成する水平管体7bの第一処理タンク2側の開口端7dを円弧形弁板33が直接開閉するように構成している。従って、水平管体7bの第一処理タンク2側の開口端7dは、水平支軸30と同心状の円弧形に形成されている。
【0034】
上記構成の自動開閉手段8の構成によれば、第一処理タンク2内の液状処理物の水位の上昇に伴ってフロート8aが水平支軸30の周りで上方に揺動し、これに連動して円弧形弁板33Aが水平支軸30の周りで下方に揺動する。そして、第一処理タンク2内の液状処理物の水位が設定水位L1に達したとき、円弧形弁板33Aがオーバーフロー管路7を構成する水平管体7bの第一処理タンク2側の円弧形開口端7dを閉じる。尚、この円弧形弁板33が水平管体7bの円弧形開口端7dを閉じたとき、両者間に隙間があって、オーバーフロー管路7から第一処理タンク2内へ液状処理物が流入しても、その量が僅かであるように構成しておけば、所期の作用に影響は及ばない。又、円弧形弁板33Aが水平管体7bの円弧形開口端7dを閉じたとき、フロート8aは第一処理タンク2の上側壁部、即ち、カバー板2cの下側に当接して、それ以上の上方への揺動は阻止されるので、円弧形弁板33が水平管体7bの開口端を下方に通過して、再び水平管体7bの開口端が開いてしまうことは無いが、円弧形弁板33が水平管体7bの円弧形開口端7dを閉じた位置から下方に揺動するのを阻止するストッパーを別に設けても良い。
【0035】
図5Cは、自動開閉手段8の開閉弁8bの変形例を示している。即ち、オーバーフロー管路7を構成する水平管体7bの第一処理タンク2側の端部は、斜めに切断されて斜め前方上方に向かって開口する傾斜開口端7eに構成され、揺動アーム31には、前記円弧形弁板33Aに代えて偏平板状弁板33Bが取り付けられ、第一処理タンク2内の液状処理物の水位が設定水位L1に達したとき、偏平板状弁板33Bが水平管体7bの傾斜開口端7eに上から重なって閉じるように構成している。この構成によれば、水平管体7bの第一処理タンク2側の端部や弁体の加工が容易になるばかりでなく、フロート8aに作用する浮力を利用して水平管体7bの傾斜開口端7eを偏平板状弁板33Bで確実に閉塞することができる。又、フロート8aの上動を制限するストッパーも別途設ける必要がない。尚、図示のように、偏平板状弁板33Bは揺動アーム31に対して所定角度で固着するのではなく、水平支軸31aの周りに揺動自在に軸支して、水平管体7bの傾斜開口端7eに偏平板状弁板33Bが確実に密着できるように構成するのが望ましい。
【0036】
最終処理タンク4に設けられるオゾン発生管14と水位センサー15とは、図5A、図6、及び図8に示すように、上側垂直タンク構造体22の前側壁部に設けられた開口34を外側から開閉する着脱自在なカバー板35の内側に取り付けられ、開口34を閉じるようにカバー板35を上側垂直タンク構造体22の前側壁部の外側に取り付けることにより、オゾン発生管14と水位センサー15と最終処理タンク4内に所定の高さで突出するように構成されている。尚、オゾン発生管14は、カバー板35の外側に取り付けられたソケット本体14aからカバー板35の内側に突出するソケット部14bに対して抜き差し自在なものである。従って、オゾン発生管14の交換や水位センサー15のメンテナンスは、カバー板35を取り外してこれらオゾン発生管14と水位センサー15を最終処理タンク4内から一体に取り出した状態で容易に行なうことが出来る。
【0037】
第二処理タンク3の第二槽3Bに設けられるサイフォン管路9は、図1に例示した、1本の管体を逆U字形に曲げ加工したものとは異なっている。即ち、図7及び図9に示すように、サイフォン管路9は、吐出側垂直管路9bを形成する垂直固定管36と、この垂直固定管36に外嵌して、当該垂直固定管36の周囲で環状に吸入側垂直管路9aを形成する上端閉塞外側管37とで構成されている。詳細に説明すると、図10及び図11に示すように、垂直固定管36は、第二処理タンク3の第二槽3Bの底板、即ち、上側垂直タンク構造体22の水平仕切り板22aの上側に下端が垂直に固着され、その下側開口端は、当該水平仕切り板22aの下側、即ち、最終処理タンク4内に開口している。この垂直固定管36の上側開口端には、下辺が設定水位L3と一致するように、周方向複数の切欠き部38が設けられている。又、この垂直固定管36の外周には、下端近傍位置と上端近傍位置との2箇所において、周方向複数の羽根板39が放射状に突設されている。
【0038】
上端閉塞外側管37は、垂直固定管36より長さが少し短い管体の上端を蓋板37aで閉じたものであって、当該上端閉塞外側管37を垂直固定管36に外嵌させたとき、垂直固定管36側の羽根板39に内周面が隣接して当該外嵌して垂直固定管36と略同心状に位置決めされる内径と、当該上端閉塞外側管37の蓋板37aが垂直固定管36の上端に支持されたとき、この上端閉塞外側管37の下側開口端が第二処理タンク3の第二槽3Bの底板(上側垂直タンク構造体22の水平仕切り板22a)から少し上側で開口する長さとを備えている。このサイフォン管路9の作用は、図1に例示した、1本の管体を逆U字形に曲げ加工したものと同一であり、垂直固定管36と上端閉塞外側管37との間に形成される環状の吸入側垂直管路9a内の水位は、第二処理タンク3内の液状処理物の水位と同じであり、この吸入側垂直管路9a内の水位が設定水位L3を超えると、当該環状の吸入側垂直管路9a内の液状処理物が垂直固定管36の上端の切欠き部38を経由して吐出側垂直管路9bである垂直固定管36内に流入し、この垂直固定管36内を経由して下側の最終処理タンク4内に流出する。
【0039】
上記構成のサイフォン管路9によれば、上側垂直タンク構造体22の上端の蓋27を外して第二処理タンク3の上端を開放させると、上端閉塞外側管37を垂直固定管36に対して上方に引き抜くことが出来、上端閉塞外側管37の内側や垂直固定管36の内外両側の清掃なども容易に行なえる。勿論、サイフォン管路9の構成は上記のものに限定されない。例えば、上端閉塞外側管37の長さを長くして、その下端が第二処理タンク3の第二槽3Bの底板(上側垂直タンク構造体22の水平仕切り板22a)上で支持されるようにすると共に、当該上端閉塞外側管37の下端に、液状処理物が流入する切欠き部又は開口を設け、垂直固定管36は短くして、その上端が上端閉塞外側管37の蓋板37aの下側で上向きに開口させても、同一の作用を行なうサイフォン管路9を構成することが出来る。
【0040】
尚、第二処理タンク3や洗浄水タンク26の上端開口部を閉じる蓋27は気密性のないものであって、蓋27を閉じていても第二処理タンク3や洗浄水タンク26は、その上端において大気に開放されている。従って、密閉構造となっている最終処理タンク4内の空気抜きとして、当該最終処理タンク4内の上端、即ち、上側垂直タンク構造体22の水平仕切り板22aの下側に下側開口端が開口する垂直な空気抜き管体40を、その上側開口端が第二処理タンク3内の設定水位L3よりも上側に位置するように、上側垂直タンク構造体22内の垂直仕切り板22cの第二処理タンク3側に沿わせて固着することが出来る。
【0041】
最終処理済み液状処理物を受け入れる容器24は、図4及び図5Aに示すように、下側水平タンク構造体21の後端の後側カバー板21eに設けられた開口21fから差し入れて、容器収納空間25の底板部21c上で支持させることが出来るものであって、開口21fの左右両側で後側カバー板21eに当接する正面板24aには把手24bが設けられている。図示のように容器24が容器収納空間25内に差し入れてセットされた状態では、当該容器収納空間25の上側の最終処理タンク4の開閉自在な排出口10が当該容器24の上側開放部に下向きに対向しており、この排出口10が備える開閉弁10aを、当該容器24の正面板24aの上側に露出している開口21fを通じて外側から開閉操作することができる。尚、図示では、容器収納空間25の底板部21cが短く、容器24の全体を支持できない構造となっているが、当該底板部21cを後側カバー板21eの直下又はその近くまで延出させても良い。
【0042】
洗浄水タンク26は、図5Aに示すように、その底部から下側の最終処理タンク4内を貫通して上側垂直タンク構造体22の底板部22bから下側の容器収納空間25内に突出する垂直給水管41を備えており、図示省略しているが、垂直給水管41に接続された送水ポンプから便器1に洗浄水を送給できるように構成されている。
【0043】
尚、第一処理タンク2内や第二処理タンク3内での液状処理物の分解処理、及び最終処理タンク4内での殺菌・消臭処理を促進させるために、図4〜図6、図8、及び図9にそれぞれ仮想線で示すように、これら第一処理タンク2、第二処理タンク3、及び最終処理タンク4の内側底面上には、エアーブロー管42〜45を敷設し、例えば図2A及び図5Aに仮想線で示すように、便器1と上側垂直タンク構造体22との間で下側水平タンク構造体21の上側、具体的には第一処理タンク2のカバー板2cの上側に設置したエアーポンプ46から各エアーブロー管42〜45に送気して、第一処理タンク2内、第二処理タンク3内、及び最終処理タンク4内の液状処理物に対してエアーレーションを行えるように構成することが出来る。又、図5Aに示すように、第一処理タンク2には、清掃などのために内部の液状処理物を排出するための開閉自在栓47を設けることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明に係る糞尿処理装置は、特に介護用として建屋内において使用する便器から洗浄水と共に排出される糞尿処理装置として活用できる。
【符号の説明】
【0045】
1 便器
2 第一処理タンク
3 第二処理タンク
3A 第一槽
3B 第二槽
4 最終処理タンク
5 ポンプ
6 送給管路
7 オーバーフロー管路
8 自動開閉手段
8a フロート
8b 開閉弁
9 サイフォン管路
9a 吸入側垂直管路
9b 吐出側垂直管路
10 開閉自在な排出口
11,15 水位センサー
12,21b,22a,22c 仕切り板
13 連通管路
14 オゾン発生管
21 下側水平タンク構造体
21c,22b 底板部
21e 後側カバー板
22 上側垂直タンク構造体
23 枠構造体
23a 手摺り部
23b 背もたれ部
24 最終処理済み液状処理物を受け入れる容器
25 容器収納空間
26 洗浄水タンク
27 上側垂直タンク構造体の蓋
28 フィルター用ネット
36 垂直固定管
37 上端閉塞外側管
38 切欠き部
39 羽根板
40 空気抜き管体
41 垂直給水管
42〜45 エアーブロー管
46 エアーポンプ
47 開閉自在栓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器からの糞尿を洗浄水と共に受け入れる第一処理タンクと、この第一処理タンクより高所に配設された第二処理タンクと、この第二処理タンクより低所に配設された最終処理タンクとを備え、第一処理タンクと第二処理タンクとは、第一処理タンク内に貯留された液状処理物を第二処理タンク内へ送給するポンプを含む送給管路と、第二処理タンク内に貯留された液状処理物を第一処理タンク内へオーバーフローにより戻すオーバーフロー管路で接続され、このオーバーフロー管路には、第一処理タンク内の貯留液状処理物が設定水位を超えているときに閉じられる自動開閉手段が設けられ、第二処理タンクと最終処理タンクとは、第二処理タンク内の貯留液状処理物の水位が前記オーバーフロー管路へのオーバーフロー水位より高い設定水位を超えたときに当該第二処理タンク内の貯留液状処理物をサイフォン作用で最終処理タンク内へ流出させるサイフォン管路で接続され、最終処理タンクには、当該最終処理タンク内に貯留された最終処理済みの液状処理物を取り出す開閉自在な排出口が設けられている、糞尿処理装置。
【請求項2】
第一処理タンクの長さ方向の一端外側には、最終処理タンクの排出口から排出される最終処理済み液状処理物を受け入れる容器を出し入れ自在に支持する容器収納空間が設けられ、この容器収納空間の上に最終処理タンクが配設され、この最終処理タンクの上に第二処理タンクが配設されている、請求項1に記載の糞尿処理装置。
【請求項3】
第二処理タンクの横には、便器へ送給される洗浄水を収容する洗浄水タンクが並設され、この第二処理タンクと洗浄水タンクとが、最終処理タンクの水平面上の輪郭を上方に延長させた筒状空間を埋めるように構成されている、請求項1又は2に記載の糞尿処理装置。
【請求項4】
第二処理タンクは、前記送給管路が開口する第一槽と、前記オーバーフロー管路とサイフォン管路が設けられた第二槽とに仕切られ、この第一槽と第二槽とは、第一槽内の上部と第二槽内の下部とを連通させる連通管路で接続され、第二槽内の液状処理物がサイフォン管路で最終処理タンク内へ流出するとき、前記連通管路の上端開口水位以下の第一槽内の液状処理物が残されるように構成された、請求項1〜3の何れか1項に記載の糞尿処理装置。
【請求項5】
サイフォン管路は、下端が最終処理タンク内に開口する垂直固定管と、この垂直固定管に引き抜き可能に外嵌された上端閉塞外側管とから構成され、この上端閉塞外側管が垂直固定管に対して外嵌された状態において、第二処理タンクの底部に開口する上端閉塞外側管の下端開口部と、垂直固定管と上端閉塞外側管との間の環状流路と、この環状流路の上端と垂直固定管の上端とを連通させる連通路が形成されるように構成され、第二処理タンクには、前記上端閉塞外側管の真上に位置する開閉自在な蓋が設けられている、請求項1〜4の何れか1項に記載の糞尿処理装置。
【請求項6】
オーバーフロー管路に設けられた前記自動開閉手段は、第一処理タンク内の貯留液状処理物の水位の変動に連動して上下動するフロートと、このフロートと上下逆方向に連動してオーバーフロー管路の出口を開閉する弁体から成る開閉弁とで構成され、前記弁体が、第一処理タンク内の貯留液状処理物が設定水位を超えたときにオーバーフロー管路の出口を閉じるように構成された、請求項1〜5の何れか1項に記載の糞尿処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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