説明

糸巻取機の糸監視装置

【課題】巻取ボビン6,7を回転駆動するパッケージ駆動モータ41と、このモータ41とは切り離されて駆動し、前記糸巻取の際に糸を綾振るためのトラバース装置5とを備えた糸巻取機において、糸欠点を正確に検出できる糸監視装置を提供する。
【解決手段】糸監視装置63は、糸監視器15の監視結果と糸速度検出手段61の速度検出結果に基づいて糸欠点を検出する。糸速度検出手段61は、巻取チューブ6に糸4が巻き取られて形成された糸層の周面の周方向の糸層周面移動距離ΔPLsの検出手段73と、糸層の幅方向の糸のトラバース移動距離ΔTLsの検出手段74と、糸層周面移動距離演算手段73で検出されたΔPLsとトラバース移動距離演算手段74で検出されたΔTLsをそれぞれ入力し、これらから単位時間当たりの糸層周面移動距離及びトラバース移動距離を各々計算し、その結果に基づいて糸の走行速度を求める糸速度演算手段77と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸をトラバースガイドで綾振りしながら巻取ボビンに巻き取る糸巻取機において、糸に形成される糸欠点を監視して検出する糸監視装置の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、綾振ドラム式の糸巻取機(自動ワインダー)を開示するとともに、その糸巻取機における糸監視装置を開示する。この糸監視装置においては、糸の走行速度を前記綾振ドラムのドラム回転パルス信号で検出して、検出した糸の走行速度に基づいて糸欠点有無の判定を行っている。この特許文献1の構成によると、糸の走行速度が低速であっても高速であっても、糸欠点を正確に検出することができる。
【特許文献1】特開昭62−255366号公報
【0003】
一方、特許文献2は、巻取ボビン回転駆動装置とトラバース装置とが互いに独立して駆動する糸巻取機(自動ワインダ)を開示する。特許文献2では、このように巻取ボビン回転駆動装置と綾振りのための駆動装置とを独立させることで、プレシジョンワインディングやステッププレシジョンワインディング等の形式の綾巻ボビンを製造できることが開示されている。
【特許文献2】特開2000−247542号公報(0007等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1の糸監視装置は、特許文献2のように、トラバース装置が巻取ボビン回転駆動装置とは切り離されて駆動するタイプの糸巻取機に適用することができない。つまり、特許文献1のように糸層と接触するローラの回転を検出するだけでは、それと独立して綾振りされるトラバース成分を加味した糸速度検出が不可能である。
【0005】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、トラバース装置が巻取ボビン回転駆動装置とは切り離されて駆動するタイプの糸巻取機に好適な糸監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
本発明の観点によれば、糸を巻き取るための巻取ボビンを回転駆動するための巻取ボビン回転駆動装置と、この巻取ボビン回転駆動装置とは切り離されて駆動し、前記巻取ボビンへの糸の巻取りの際にその糸を綾振るためのトラバース装置とを備えた糸巻取機に設けられる糸監視装置であって、前記巻取ボビンに巻き取られる糸の走行速度を検出するための糸速度検出手段と、前記巻取ボビンに巻き取られる糸を監視する糸監視器と、この糸監視器の糸監視結果及び前記糸速度検出手段の糸走行速度検出結果に基づいて糸欠点を検出するための糸欠点検出手段と、を備える糸監視装置の、以下の構成が提供される。
前記糸速度検出手段は、前記巻取ボビンに糸が巻き取られて形成された糸層の周面の周方向の糸層周面移動距離を検出する手段と、前記糸層の幅方向の糸のトラバース移動距離を検出する手段と、前記糸層周面移動距離検出手段で検出された糸層周面移動距離及び前記トラバース移動距離検出手段で検出されたトラバース移動距離をそれぞれ入力し、入力された糸層周面移動距離及びトラバース移動距離から、所定時間当たりの、糸層周面移動距離及びトラバース移動距離をそれぞれ計算し、この計算結果に基づいて糸の走行速度を求める糸速度演算手段と、を備えた。
【0008】
この構成により、巻取ボビン回転駆動とトラバース駆動とが独立して行われるタイプの糸巻取機において、糸の走行速度を精度良く検出することが可能になり、糸欠点か否かを正確に判断できるようになる。
【0009】
前記の糸巻取機の糸監視装置においては、前記所定時間は、糸がnトラバースストローク分(ただし、nは1以上の整数)移動するのに必要な時間であることが好ましい。
【0010】
これによれば、糸の走行速度(糸の平均走行速度)を一層精度良く検出できるようになる。
【0011】
前記の糸巻取機の糸監視装置においては、前記nが1であることが好ましい。
【0012】
この構成により、糸の平均走行速度を最小時間で精度良く検出できる。
【0013】
前記の糸巻取機の糸監視装置においては、前記糸速度演算手段は、糸が1トラバースストローク分移動するのに必要な時間よりも短い時間ごとに糸層周面移動距離及びトラバース移動距離をそれぞれ求め、求めた短時間ごとの糸層周面移動距離及びトラバース移動距離をそれぞれ積算して、糸がnトラバースストローク分移動するのに必要な時間当たりの糸層周面移動距離及びトラバース移動距離を求めることが好ましい。
【0014】
この構成により、糸の綾振り運動による影響を細かく反映させて、糸の走行速度をより精度良く検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係る自動ワインダの巻取ユニットを示す正面模式図である。図2はトラバース制御部によるトラバースガイドの速度制御の様子を示すグラフ図、図3はサンプリング周期における糸の巻取長さΔYLsと周面の移動距離ΔPLsとトラバースガイドの移動距離ΔTLsの関係を説明する要部斜視図である。図4はサンプリング時間TtにおけるΔYLs、ΔPLs、ΔTLsの推移を示す図である。
【0016】
最初に図1に基づいて、自動ワインダ1の糸巻取ユニット(糸巻取機)2を説明する。この糸巻取ユニット2は、給糸ボビン3の糸4をトラバース装置5でトラバースさせながら巻取チューブ6に巻き取って糸層を形成し、所定長で所定形状のパッケージ7を形成するものである。給糸ボビン3からトラバース装置5への糸経路中には、糸4を監視するヤーンクリアラ(糸監視器)15が設けられている。図1では糸巻取ユニット2を1台しか図示していないが、このような糸巻取ユニット2が図略の機台上に多数列設されることで、自動ワインダ1が構成されている。なお、本明細書では、巻取チューブ6及びパッケージ7を総称して巻取ボビンと呼ぶ。即ち、糸層が形成されていない巻取ボビンが巻取チューブ6であり、糸層が形成された巻取ボビンがパッケージ7である。
【0017】
糸巻取ユニット2は、巻取チューブ6を着脱可能に支持するクレードル(巻取ボビン支持部材)8と、前記パッケージ7の糸層の周面に接触して従動回転可能な接触ローラ9と、を備えている。前記クレードル8は、前記巻取チューブ6の両端を挟持して回転自在に支持できるように構成されている。また、このクレードル8は揺動軸10を中心に傾動自在に構成されており、巻取チューブ6への糸4の巻取りに伴う巻太り(糸層の径の増大)を、クレードル8が揺動することによって吸収できるように構成されている。
【0018】
前記クレードル8の巻取チューブ6を挟持する部分にはパッケージ駆動モータ(巻取ボビン回転駆動装置)41が取り付けられており、このパッケージ駆動モータ41により巻取チューブ6を積極的に回転駆動して糸4を巻き取るように構成されている。パッケージ駆動モータ41のモータ軸は、巻取チューブ6をクレードル8に把持させたときに、当該巻取チューブ6と相対回転不能に連結されるようになっている(いわゆるダイレクトドライブ方式)。このパッケージ駆動モータ41の作動はパッケージ駆動制御部42により制御され、このパッケージ駆動制御部42はユニット制御部50からの信号を受けて前記パッケージ駆動モータ41の運転/停止を制御するように構成している。
【0019】
また、前記クレードル8にはパッケージ回転センサ(巻取ボビン回転角度センサ)43が取り付けられており、このパッケージ回転センサ43は、クレードル8に取り付けられた巻取ボビン(巻取チューブ6、パッケージ7)の回転角度(巻取ボビンが何回転したか)を検出するように構成している。この巻取ボビン6,7の回転角度検出信号は、パッケージ回転センサ43から、前記パッケージ駆動制御部42や前記ユニット制御部50へ送信される。更に、前記回転角度検出信号は、後述するトラバース制御部46へも入力される。
【0020】
また、前記クレードル8にはロータリエンコーダ等からなるパッケージ径センサ(糸層径センサ)44が取り付けられており、このパッケージ径センサ44は、クレードル8に取り付けられた巻取チューブ6に糸4を巻き取って形成される糸層(パッケージ7)の径を、クレードル8の揺動角を検出することで検出できるように構成されている。このパッケージ径センサ44は、糸4を巻き取っている時にも糸4の巻取を停止している時にも糸層の径の検出が可能なものである。パッケージ径センサ44で取得された糸層の径は、ユニット制御部50へ送信される。なお、パッケージ回転センサ43とパッケージ径センサ44とは、巻取チューブ6に糸4を巻き取って形成した糸層の周面の周方向の糸層周面移動距離を検出する糸層周面移動距離検出手段の構成要素である。
【0021】
このユニット制御部50は糸巻取ユニット2毎に備えられているものであり、このユニット制御部50には上位制御コントローラ51が接続されている。この上位制御コントローラ51は、自動ワインダ1において列設される複数の糸巻取ユニット2・2・・・を統括して制御するものである。
【0022】
前記接触ローラ9の近傍には前記トラバース装置5が設けられており、このトラバース装置5によって、糸4が綾振りされながらパッケージ7に巻き取られるようになっている。このトラバース装置5は、トラバース方向に往復移動自在に設けられたトラバースガイド(糸ガイド)11と、このトラバースガイド11を往復駆動するトラバース駆動モータ45と、を備えている。
【0023】
前記トラバース装置5は、支軸まわりに旋回可能に構成した細長状のアーム部材13の先端に前記トラバースガイド11をフック状に設けるとともに、このアーム部材13を前記トラバース駆動モータ45により図1の矢印のように往復旋回駆動させる構成になっている。本実施形態において前記トラバース駆動モータ45はボイスコイルモータで構成されている。
【0024】
このトラバース駆動モータ45の作動はトラバース制御部46により制御され、このトラバース制御部46はユニット制御部50からの信号を受けて前記トラバース駆動モータ45の運転/停止を制御するように構成している。また、トラバース装置5はロータリエンコーダ等からなるトラバースガイド位置センサ47を備えており、アーム部材13の旋回位置(ひいては、トラバースガイド11の位置)を検出して、位置信号を前記トラバース制御部46へ送信できるように構成されている。トラバースガイド位置センサ47は、トラバース移動距離検出手段の構成要素である。
【0025】
なお、本実施形態では図1に示すように、巻取ボビン6,7を駆動するパッケージ駆動モータ41と、トラバースガイド11を駆動するトラバース駆動モータ45とは、別々に設けられており、巻取ボビン6,7とトラバースガイド11とは別個独立に駆動(制御)されるように構成されている。これにより、巻取ボビン6,7への糸4の巻取りの際に、プレシジョン巻、ステッププレシジョン巻、ランダム巻等、多種多様な巻き方を実現することができる。
【0026】
図2には前記トラバース制御部46によるトラバースガイド11の速度制御の様子が示され、この図2に示すようにトラバース制御部46は、所定の単位制御パターンを繰り返すことによってトラバースガイド11を駆動制御するように構成している。この制御パターンを詳細に説明すると、トラバースガイド11は先ず、そのトラバースストロークの中央から所定の糸綾振り速度Vcを保ちながら一側の端部へ向かい、トラバースストローク端部近傍に差し掛かると前記の糸綾振り速度Vcから減速する。そして、トラバースストローク端部で停止した後は中央側に向かって加速して、前記の糸綾振り速度Vcに到達するとその速度を維持しながらトラバースストローク中央へ戻ることになる。こうして一単位の制御が終了し、次の単位の制御では、トラバースガイド11はトラバースストロークの他側の端部に向かって移動するよう制御される。上記のように、一側、他側、一側、・・・と上記単位の制御が向きを反転しつつ交互に繰り返されることで、トラバースガイド11の往復駆動制御が実現されている。
【0027】
なお、上記の一単位の制御により、トラバースガイド11はトラバースストローク中央→端部→中央と、延べ1トラバースストローク分の距離を移動することになる。そして、この一単位の制御を行わせる時間(1トラバースストローク時間)Toは、パッケージ7の巻き方、巻取速度、実現したい綾角等、種々の条件に応じてユニット制御部50又はトラバース制御部46で計算される。糸綾振り速度Vcも種々調整される。ストローク端部における前記糸綾振り速度Vcへの加速時間及び糸綾振り速度Vcからの減速時間も調整可能である。また、糸綾振り速度Vcを曲線的に変化させる場合もある。糸綾振り速度Vc及び1トラバースストローク時間Toは、巻取り中に変化する。
【0028】
次に、図1を参照して糸継装置14及びヤーンクリアラ15を説明する。即ち、前記糸巻取ユニット2は、給糸ボビン3と接触ローラ9との間の糸走行経路中に、給糸ボビン3側から順に、糸継装置14とヤーンクリアラ(糸監視器)15を配設した構成となっている。
【0029】
糸継装置14は、ヤーンクリアラ15が糸欠陥を検出して行う糸切断時、又は給糸ボビン3からの糸解舒中の糸切れ時に、給糸ボビン3側の下糸と、パッケージ7側の上糸とを糸継ぎするように構成されている。
【0030】
また、ヤーンクリアラ15は糸4の太さ欠陥を検出するためのものであって、ヤーンクリアラ15の検出部の部分を通過する糸4の太さを適宜のセンサ(例えば、光電センサや静電容量センサ)で検出し、このセンサからの信号をアナライザ23で分析することで、スラブ等の糸欠陥を検出するように構成されている。このヤーンクリアラ15には、糸欠陥を検出した時に直ちに糸4を切断するためのカッタ16が付設されている。
【0031】
糸継装置14の下側と上側には、給糸ボビン3側の下糸を吸引捕捉して案内する下糸捕捉案内手段17と、パッケージ7側の上糸を吸引捕捉して案内する上糸捕捉案内手段20が設けられている。上糸捕捉案内手段20はパイプ状に構成されており、軸21を中心に上下回動可能に設けられるとともに、その先端側にマウス22を設けている。同様に下糸捕捉案内手段17もパイプ状に構成されており、軸18を中心に上下回動可能に設けられるとともに、その先端側には吸引口19を設けている。上糸捕捉案内手段20及び下糸捕捉案内手段17には適宜の負圧源が接続されており、先端のマウス22及び吸引口19に吸引作用を生じさせるようになっている。
【0032】
以上が自動ワインダ1の構成であり、この自動ワインダ1の糸巻取ユニット2において糸4の走行速度を検出する糸速度検出手段61は、上記のパッケージ回転センサ43、パッケージ径センサ44、トラバースガイド位置センサ47、トラバース制御部46等を少なくとも含んで構成されている。各糸巻取ユニット2には、糸4に欠陥が有るか無いかを監視するための糸監視装置63が設けられている。糸監視装置63は、ヤーンクリアラ15とアナライザ(糸欠点検出手段)23と糸速度検出手段61とを少なくとも構成要素としている。
【0033】
次に、糸速度検出手段61における糸速度検出機能を説明する。この糸速度検出手段61を構成する前記トラバース制御部46はマイクロコンピュータ式に構成されて、演算手段としてのCPU70や、記憶手段としてのRAM71、タイマ回路72等を備えている。CPU70は、糸層周面移動距離演算手段73と、トラバース移動距離演算手段74と、糸速度演算手段77とを備えている。糸層周面移動距離演算手段73は、糸層周面移動距離検出手段の構成要素であり、パッケージ回転センサ43からの検出結果とパッケージ径センサ44の検出結果とから糸層周面の移動距離ΔPLsを演算する。トラバース移動距離演算手段74は、トラバース移動距離検出手段の構成要素であり、トラバースガイド位置センサ47の検出結果からトラバース移動距離ΔTLsを演算する。糸速度演算手段77は、糸層周面移動距離演算手段73で検出された糸層周面移動距離ΔPLsとトラバース移動距離演算手段74で検出されたトラバース移動距離ΔTLsとをそれぞれ入力し、入力された糸層周面移動距離ΔPLs及びトラバース移動距離ΔTLsから、糸4がnトラバースストローク分(ただし、nは1以上の整数)移動するのに必要な時間Tt当たりの、糸層周面移動距離PL及びトラバース移動距離TLをそれぞれ計算し、この計算結果に基づいて糸の走行速度Vを求めるものである。そしてトラバース制御部46のCPU70は、所定のサンプリング周期Tsごとに、前記巻取ボビン6,7に巻き取られた糸層の周面の移動距離ΔPLsと、前記トラバースガイド11の移動距離ΔTLsとを演算している。前記のサンプリング周期Tsは、前記トラバースガイド11が1トラバースストローク分移動する時間よりも十分短い微小時間であり、短ければ短いほど良いが、例えば1秒以下(数百μs程度)の時間とされる。
【0034】
具体的には、本実施形態において、パッケージ径センサ44はパッケージ7の径を適宜の時間間隔ごとに検出し、この検出された径はユニット制御部50へ送信される。ユニット制御部50は、パッケージ7の径の信号を受信すると、それをトラバース制御部46へ転送する。また、パッケージ回転センサ43は巻取ボビン6,7の回転角度(巻取ボビン6,7の回転速度)を適宜の時間間隔ごとに検出し、この検出された回転角度はトラバース制御部46へ送信される。
【0035】
上記によりトラバース制御部46はパッケージ(糸層)の径と巻取ボビン6,7の回転速度を取得することができ、これに基づいて、トラバース制御部46の糸層周面移動距離演算手段73は、当該サンプリング周期Tsにおける糸層の周面の移動距離ΔPLsを、以下の式に従って演算する。即ち、パッケージ7の直径をD(メートル)、巻取ボビン6,7の回転速度をB(rpm)、サンプリング周期をTs(s)とすると、ΔPLs=(π×D×B×Ts)/60である。
【0036】
同時に、前記トラバースガイド位置センサ47は、前記位置信号として、前記トラバースガイド11の移動距離に応じた数のパルス信号をトラバース制御部46へ適宜の時間間隔ごとに送信するように構成している。そしてトラバース制御部46のトラバース移動距離演算手段74は、今回入力された前記パルス信号の数と、前回のサンプリングで入力されたパルス信号の数との差を求め、これに1パルスあたりの距離を乗じることで、サンプリング周期Tsにおけるトラバースガイド11の移動距離ΔTLsを演算して取得する。即ち、今回のサンプリングにおけるパルス数をCc(個)、前回のサンプリングにおけるパルス数をCp(個)、1パルスあたりの距離をΔLp(メートル)とすると、ΔTLs=|Cc−Cp|×ΔLpである。
【0037】
そしてトラバース制御部46の糸速度演算手段77は、上記の演算で得られたΔPLs、ΔTLsの値を、所定のサンプリング時間Ttが経過するまでそれぞれ積算していく。なお、このサンプリング時間Ttは、トラバースガイド11が1トラバースストローク分移動するのに必要な時間(以下、1トラバースストローク時間と称する)であって、図2に示すように、前記の1トラバースストローク時間Toと等しい(Tt=To)。
【0038】
この結果、前記サンプリング時間Ttにおける、糸層の周面の移動距離PLと、トラバースガイド11の(延べの)移動距離TLが得られる。即ち、PL=ΣΔPLs、TL=ΣΔTLsである。なお、上記トラバースガイド11の移動距離TLは、サンプリング周期Tsにおけるトラバースガイド11の移動距離ΔTLsの1トラバースストローク時間Toにわたる積算値であるが、トラバース駆動モータ45の応答遅れ等の事情があるので、得られた移動距離TLが1トラバースストローク分の距離に一致するとは限らない。
【0039】
そしてトラバース制御部46の糸速度演算手段77は、上記の値PL、TLから、上記のサンプリング時間Ttにおける糸4の巻取長さYLを、YL=√(PL2+TL2)の式に基づいて求めるとともに、この巻取長さYLをサンプリング時間Ttで除して、当該サンプリング時間Tt(即ち1ストローク時間)における糸の平均走行速度Vを求める(V=YL/Tt)。こうして糸の走行速度Vを求めた後は、次のサンプリング時間Ttでの処理に移り、上記と同様の処理を反復する。
【0040】
上記の計算の原理を、図3及び図4を参照して説明する。図3には糸4が綾角θをもって糸層の周面に巻き取られている様子が示され、この図3に示すように、十分に短いサンプリング周期Tsでの糸4の巻取長さを表すベクトル(ΔYLs)は、糸層の周面の移動する方向の成分のベクトル(ΔPLs)と、それに垂直な綾振移動(トラバース移動)の成分のベクトル(ΔTLs)のベクトル和として表される。
【0041】
そして、サンプリング時間Ttにおいてトラバースガイド11がトラバースストローク中央から出発し、トラバースストローク端部で反転して再びトラバースストローク中央へ戻るまでの上記のΔYLs、ΔPLs、ΔTLsの推移の一例が図4に示される。このサンプリング時間Ttにおいて、トラバースガイド11はトラバースストローク中央と端部との間を1往復するので、理論的には、延べ1トラバースストローク分の距離を移動することになる。なお、図2の制御パターンに基づいてトラバースガイド11が制御されるので、図4に示すように、トラバースストローク端部ではトラバースガイド11は停止し、綾振移動の成分ΔTLsはゼロになる。
【0042】
そして図4に示すように、サンプリング時間Tt全体での糸4の巻取長さYLはΔYLsのベクトル長さの累計として表されるが(YL=Σ|ΔYLs|)、この図4を見ると判るように、この巻取長さYLは、前記の微小距離成分ΔPLs,ΔTLsのサンプリング時間Tt全体でのそれぞれの累計PL、TLを二辺とする長方形の対角線の長さであるとみなして、YL≒√(PL2+TL2)というように近似的に求めることができる。本実施形態ではこの方法により、前記サンプリング時間Ttにおける糸4の巻取長さYLを求め、これから糸の平均走行速度Vを求めているのである。
【0043】
なお、本実施形態においてトラバースガイド11は旋回駆動されるアーム部材13の先端に設けられているので、厳密にはトラバースガイド11は直線状の軌跡ではなく円弧状の軌跡を描いて運動する。この点、本実施形態ではアーム部材13の長さが十分に長いものであるとして、トラバースガイド11が綾振方向に直線運動をするものとみなして上記の計算式を適用している。ただし、上記の直線運動の近似を行うことに限定されず、トラバースガイド11の移動距離ΔTLsの前記糸層の幅方向の成分(糸4の綾振運動に実質的に寄与する成分距離)ΔTLs’を三角関数を使って演算し、こうして得られた距離ΔTLs’の積算値を用いて前記の三平方の定理の式からYLを計算するようにしても良い。
【0044】
以上に説明したように、サンプリング時間Tt毎に、換言すればトラバースガイド11が1トラバースストローク分の距離を移動する毎に、巻き取られる糸の平均走行速度Vがトラバース制御部46によって演算されて求められる。こうして得られた糸の平均走行速度Vの情報(データ)は、トラバース制御部46からユニット制御部50に送られる。
【0045】
次に、ユニット制御部50での前記糸走行速度に関連する制御フローを図5のフローチャートで説明する。ユニット制御部50は図示しないCPUやROM、RAM等を備え、図5のフローが記述されたプログラムを実行するように構成している。
【0046】
この図5のフローは、巻取開始によりスタートし、先ず、糸巻取ユニット2が現在、糸4を巻き取っている状態にあるか否かを判断する(S101)。この判断は、ユニット制御部50が巻取開始信号及び巻取停止信号をパッケージ駆動制御部42等に発するので、これらの信号を基に行うことができる。巻取中でない(巻取停止状態)と判断した場合は、このフローを終了する。
【0047】
糸4が巻取中であると判断した場合は、S102の処理で、前記トラバース制御部46の糸速度演算手段77で演算された糸の平均走行速度Vの情報を取得する。この情報の取得は、例えばシリアル通信により行うことができる。その後、S103の処理で、上記糸の平均走行速度Vの大きさに対応する信号、例えばパルス信号を、アナライザ23へ出力する。その後はS101の処理に戻って、上記の処理を反復する。
【0048】
以上の処理がユニット制御部50側で行われることによって、トラバース制御部46で検出された糸の走行速度Vの情報は、ユニット制御部50を介してアナライザ23へ転送されることになる。従って、糸4の巻取ボビン6,7への巻取中において、アナライザ23には糸の走行速度Vの情報が刻々と入力される。
【0049】
そしてアナライザ23では、ヤーンクリアラ15の検出部を通過する糸4の部分に、糸の太さの上基準値よりも太い領域(太糸部)が現れる時間が所定の基準時間t1以上になったり、下基準値よりも細い領域(細糸部)が現れる時間が所定の基準時間t2以上になると、それを太欠点や細欠点として検出する。なお、糸の太さの基準値は、段階的に設けられていて、各基準値に応じて基準時間が設定されている。
【0050】
ここで、太糸部や細糸部の長さが一定である場合、当該太糸部や細糸部がヤーンクリアラ15を通過する時間は、ヤーンクリアラ15を通過する糸4の速度、即ち糸の走行速度Vに反比例する。この点に鑑みてヤーンクリアラ15の前記アナライザ23では、前記のトラバース制御部46で検出された糸の平均走行速度Vに基づいて前記の基準時間t1、t2を計算し、糸4に太糸部や細糸部がこの基準時間t1、t2を上回る時間現れたことをもって糸欠点が存在すると判断して、カッタ16を作動させて糸4を切断するように構成している。これにより、糸の走行速度Vに変動があっても、糸欠点を確実かつ正確に検出して除去することができる。また、入力される糸の走行速度Vの値の変化に応じて前記の基準時間t1、t2を再計算して変更することで、巻取ボビン6,7の加速/減速時やトラバースガイド11によるトラバース速度の加速/減速時などの状況においても糸欠点を的確に検出することができる。
【0051】
以上に示すように、本実施形態の自動ワインダ1の糸巻取ユニット2は、糸4を巻き取るための巻取ボビン6,7をセット可能に構成するとともに、この巻取ボビン6,7に巻き取られる前の糸4を監視するヤーンクリアラ15と、ヤーンクリアラ15からの信号を分析して糸欠点を検出するアナライザ23と、糸4を前記巻取ボビン6,7に巻き取る際にその糸4を綾振るトラバース装置5と、を備える。そして、トラバース制御部46の糸速度演算手段77は、前記のサンプリング時間Tt内における、前記巻取ボビン6,7に巻き取られた糸層の周面の移動距離PLと、前記トラバースガイド11の移動距離TLとから、糸の平均走行速度Vを求める。また、その演算された前記糸の平均走行速度Vが前記アナライザ23に入力されて、当該アナライザ23がその糸の走行速度Vに基づいて糸欠点の検出を行うように構成している。
【0052】
従って、トラバース装置5による糸のトラバース運動を加味した形の糸の平均的な走行速度Vを糸速度検出手段61で精度良く検出し、それを用いてアナライザ23が糸欠点を正確且つ確実に検出することができる。従って、糸監視装置63が糸欠点を見逃してパッケージ7の品質を低下させたり、糸欠点の誤検出により糸4が必要ないのに切断されて生産効率を落としたりするのを回避することができる。また、本実施形態のように巻取ボビン6,7のパッケージ駆動モータ41とトラバース装置5とが独立して駆動される方式の糸巻取ユニット2において、上記の構成によれば糸の走行速度Vを精度良く検出でき、糸欠点の的確な検出が実現される。
【0053】
また、本実施形態では、前記アナライザ23は、走行する糸4について太さの基準値を上回るあるいは下回る時間が所定の基準時間t1、t2を上回ると糸欠点であると判断するように構成している。そして、このアナライザ23に入力される糸の走行速度Vが変化すると、それに対応して、前記の基準時間t1、t2を変化させるように構成している。
【0054】
このため、例えば巻取ボビン6,7の回転速度が増減する等して糸巻取の状況が変化しても正確に糸欠点か否かを判断することができる。
【0055】
また、本実施形態では、前記サンプリング時間Ttは、前記トラバースガイド11が1トラバースストローク分(糸4が1トラバースストローク分)移動するのに必要な時間Toに設定されている。そしてトラバース制御部46の糸速度演算手段77は、前記サンプリング時間Tt内における、前記巻取ボビン6,7に巻き取られた糸層の周面の移動距離PLと、前記トラバースガイド11の移動距離TLとから、当該時間Ttにおける糸の巻取長さYLを演算して求め、この巻取長さYLを前記のサンプリング時間Ttで除することで、当該サンプリング時間Ttにおける糸の平均走行速度Vを求めている。
【0056】
従って、糸の平均走行速度Vの検出値のバラツキを顕著に抑制できる。即ち、仮に、1トラバースストローク時間To(或いはその整数倍)と長さが異なるようにサンプリング時間Tt’を設定した場合(Tt’≠n×To、nは1以上の整数)、図2に示すように、サンプリングを継続していくとトラバースストローク端部におけるトラバースガイド11(糸4)の停止・反転タイミングがサンプリング時間Tt’の中に含まれたり含まれなかったりし、その影響で、算出される糸の平均走行速度Vが検出ごとに大きく変動することになる。この点、本実施形態ではサンプリング時間Ttが前述の1トラバースストローク時間Toに等しく設定されているので、どのサンプリング時間Ttの中にも前記トラバースガイド11の停止・反転タイミングが必ず1回だけ含まれることになる。このため、バラツキのない糸の平均走行速度Vの値を得ることができるのである。
【0057】
また本実施形態では、トラバース制御部46の糸速度演算手段77は、糸4の巻取長さYLを、YL=√(PL2+TL2)の式に基づいて求めている。従って、三平方の定理を用いる簡単な計算によって糸4の巻取長さYLを合理的に求めることができる。
【0058】
なお、本実施形態ではサンプリング時間Ttが前述の1トラバースストローク時間Toに等しく設定されているが、トラバースガイド11が1トラバースストロークの2倍、3倍、4倍・・・の距離だけ移動するのに必要な時間に設定されていても良い。即ち、サンプリング時間Ttは、トラバースガイド11がnトラバースストローク分(ただし、nは1以上の整数)移動するのに必要な時間に設定されていれば良い。nが整数であれば、そのサンプリング時間Tt中に含まれる前記トラバースガイド11の停止・反転タイミングの個数を一定とすることができる。しかしながら、本実施形態のようにn=1とすると、トラバースガイド11の1トラバースストローク毎に高精度で且つキメ細かく糸の走行速度Vを取得できる点で一層有利である。
【0059】
また、本実施形態においては、前記トラバース制御部46の糸速度演算手段77で演算して得られた糸の走行速度Vの信号が、コントローラとしてのユニット制御部50に入力される。この結果、有用な情報をユニット制御部50側で取得できるので、例えば、適宜のディスプレイに上記の糸の走行速度Vの値を表示してオペレータの便宜に供したり、異常の自動検出等に用いたりすることができる。勿論、ユニット制御部50に入力されることに代えて、又はこれに加えて、上位制御コントローラ51に前記の糸の走行速度Vの信号が入力されるようにしても良い。
【0060】
なお本実施形態において、前記アナライザ23での糸欠点検出結果は、ユニット制御部50を介して上位制御コントローラ51に送られる。上位制御コントローラ51は、各糸巻取ユニット2のユニット制御部50からの糸欠点検出結果を集計できるようになっている。
【0061】
また、本実施形態の自動ワインダ1の糸巻取ユニット2は、前記糸層の径を検出するパッケージ径センサ44と、前記糸層の回転角度を検出するパッケージ回転センサ43を備える。そして、トラバース制御部46の糸速度演算手段77は、前記パッケージ径センサ44の検出値と前記パッケージ回転センサ43の検出値とから、前記サンプリング時間Ttにおける糸層の周面の移動距離PLを演算して求めている。従って、正確に糸の走行速度を検出できる。なお、接触ローラ9に回転センサを取り付ける方式でも前記周面の移動距離ΔPLsを求めることは可能であるが、この方式では糸層と接触ローラ9との間にすべりが生じることがあるので、糸の走行速度の検出値が不正確になってしまいやすい。この点、本実施形態では糸層周面移動距離検出手段をパッケージ径センサ44とパッケージ回転センサ43とで構成することで、糸の走行速度を正確に検出することができ、糸欠点検出の精度を向上できる。
【0062】
また、本実施形態においてトラバース装置5は、糸4をトラバース方向に移動させるために駆動されるトラバースガイド11と、そのトラバースガイド11を駆動するためのトラバース駆動モータ45とを備え、このトラバース駆動モータ45の回転角度と前記トラバースガイド11の移動距離とが比例の関係になっている。そして、トラバースガイド位置センサ47は、このトラバース駆動モータ45の回転角度を検出するように構成している。従って、トラバースガイド11の移動距離TLを簡単な構成で精度良く検出することができ、糸欠点検出の精度向上に寄与できる。
【0063】
また、本実施形態においてパッケージ径センサ44は、糸4の巻取を停止している状態でも糸層径の検出が可能に構成されている。従って、空の巻取ボビンへの糸の巻取開始直後や糸継後の巻取再開直後のように巻取ボビン6,7が低速で回転しているときにも、パッケージ径センサ44で糸層径を測定することができ、正確に糸の走行速度を検出でき、良好な糸欠点の検出精度を実現できる。
【0064】
なお、例えば、パッケージ径センサ44を省略する代わりに接触ローラ9に回転センサを取り付け、この回転センサのパルス信号とパッケージ回転センサ43のパルス信号からCPU70等で糸層径を演算することも可能である。しかしながら、このように回転速度の関係から糸層径を演算する場合、糸巻取開始直後等の巻取ボビンが低速で回転している時は単位時間当たりのパルス数が少ないために、CPU70での演算処理が困難になってしまう。この点、本実施形態の構成では、巻取ボビンの低速回転時でもパッケージ径センサ44によって正確に糸層径を取得できるので、糸の走行速度を正確に検出することができる。特に本実施形態のような自動ワインダ1の糸巻取ユニット2では、ヤーンクリアラ15が糸欠点を検出する毎に巻取ボビン6,7の回転を停止し、当該糸欠点を除去して糸継装置14による糸継後に巻取ボビン6,7の回転を再開する動作を繰返すので、上記のように巻取ボビン停止時でも糸層径を検出可能なパッケージ径センサ44を採用することが有利である。
【0065】
なお、上記に開示された構成は一例であって、例えば以下のように変更することができる。
【0066】
トラバース装置5は、ボイスコイルモータに構成したトラバース駆動モータ45によってアーム部材13を旋回往復駆動させる構成に代えて、図6に示すように、接触ローラ9の近傍に無端状のタイミングベルト31を配置し、このタイミングベルト31にトラバースガイド11’を取り付けるとともに、当該タイミングベルト31を、例えばパルスモータとしてのトラバース駆動モータ45’によって往復駆動する構成に変更することができる。また、ドラム状のトラバースカムの外周面にカム溝を斜状に設け、このカム溝にトラバースガイドを係合する構成等、他の構成のトラバース装置に変更することもできる。
【0067】
パッケージ径センサ44が検出した径の信号は、ユニット制御部50を介してトラバース制御部46に転送される構成に代えて、トラバース制御部46に直接入力される構成に変更することができる。また、トラバース制御部46及び/又はパッケージ駆動制御部42をユニット制御部50に組み込むようにしても良い。
【0068】
糸の平均走行速度Vの情報をトラバース制御部46からユニット制御部50を介してアナライザ23へ転送する構成に代えて、トラバース制御部46から直接アナライザ23へ入力する構成に変更することができる。また、糸の平均走行速度Vを、トラバース制御部46で演算せずに、例えばユニット制御部50で演算する構成に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施形態に係る自動ワインダの糸巻取ユニットの模式正面図及びブロック図。
【図2】トラバース制御部によるトラバースガイドの速度制御の様子を示すグラフ図。
【図3】サンプリング周期における糸の巻取長さΔYLsと周面の移動距離ΔPLsとトラバースガイドの移動距離ΔTLsの関係を説明する要部斜視図。
【図4】サンプリング時間におけるΔYLs、ΔPLs、ΔTLsの推移を示す図。
【図5】ユニット制御部におけるヤーンクリアラに対する制御を説明するフロー図。
【図6】トラバース装置の変形例を示す模式正面図及びブロック図。
【符号の説明】
【0070】
1 自動ワインダ
2 糸巻取ユニット(糸巻取機)
4 糸
5 トラバース装置
6 巻取チューブ(空の巻取ボビン)
7 パッケージ(糸層付の巻取ボビン)
11 トラバースガイド
15 ヤーンクリアラ(糸監視器)
23 アナライザ(糸欠点検出手段)
41 パッケージ駆動モータ(巻取ボビン回転駆動装置)
43 パッケージ回転センサ(巻取ボビン回転角度センサ)
44 パッケージ径センサ(糸層径センサ)
46 トラバース制御部
47 トラバースガイド位置センサ
50 ユニット制御部
61 糸速度検出手段
63 糸監視装置
73 糸層周面移動距離演算手段
74 トラバース移動距離演算手段
77 糸速度演算手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸を巻き取るための巻取ボビンを回転駆動するための巻取ボビン回転駆動装置と、この巻取ボビン回転駆動装置とは切り離されて駆動し、前記巻取ボビンへの糸の巻取りの際にその糸を綾振るためのトラバース装置とを備えた糸巻取機に設けられ、
前記巻取ボビンに巻き取られる糸の走行速度を検出するための糸速度検出手段と、
前記巻取ボビンに巻き取られる糸を監視する糸監視器と、
この糸監視器の糸監視結果及び前記糸速度検出手段の糸走行速度検出結果に基づいて糸欠点を検出するための糸欠点検出手段と、
を備えた糸巻取機の糸監視装置であって、
前記糸速度検出手段は、
前記巻取ボビンに糸が巻き取られて形成された糸層の周面の周方向の糸層周面移動距離を検出する手段と、
前記糸層の幅方向の糸のトラバース移動距離を検出する手段と、
前記糸層周面移動距離検出手段で検出された糸層周面移動距離及び前記トラバース移動距離検出手段で検出されたトラバース移動距離をそれぞれ入力し、入力された糸層周面移動距離及びトラバース移動距離から、所定時間当たりの、糸層周面移動距離及びトラバース移動距離をそれぞれ計算し、この計算結果に基づいて糸の走行速度を求める糸速度演算手段と、
を備えたことを特徴とする、糸巻取機の糸監視装置。
【請求項2】
請求項1に記載の糸巻取機の糸監視装置であって、前記所定時間は、糸がnトラバースストローク分(ただし、nは1以上の整数)移動するのに必要な時間であることを特徴とする、糸巻取機の糸監視装置。
【請求項3】
請求項2に記載の糸巻取機の糸監視装置であって、前記nが1であることを特徴とする糸巻取機の糸監視装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の糸巻取機の糸監視装置であって、
前記糸速度演算手段は、糸が1トラバースストローク分移動するのに必要な時間よりも短い時間ごとに糸層周面移動距離及びトラバース移動距離をそれぞれ求め、求めた短時間ごとの糸層周面移動距離及びトラバース移動距離をそれぞれ積算して、糸がnトラバースストローク分移動するのに必要な時間当たりの糸層周面移動距離及びトラバース移動距離を求めることを特徴とする、糸巻取機の糸監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−145463(P2007−145463A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−340058(P2005−340058)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】