説明

糸条冷却装置及び繊維機械、糸条冷却方法

【課題】糸条冷却装置の冷却性能を改善するための全く新規な技術を提供する。
【解決手段】走行する糸条Yを円筒体1に対して接触させることで上記糸条Yを冷却する冷却装置110であって、走行する上記糸条Yに対する前記円筒体1の接触部分を前記円筒体1上でずらしながら上記糸条Yを冷却するようにした糸条冷却装置。以上の構成によれば、上記糸条Yは、前記円筒体1の局所的に高温となった部分を避けるように走行することとなるので、前記冷却器110の冷却性能が改善される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸条冷却装置及び繊維機械、糸条冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術として特許文献1(特表2003−500564号公報)は、熱可塑性糸をテクスチャード加工するために、加熱装置と冷却装置、それにテクスチャード加工装置を備えた繊維機械を開示する。この冷却装置は、糸を冷却管の外周面につる巻線状に巻き付けることで、その糸を冷却するようになっている。また、この冷却管の上流側端部と下流側端部に夫々当接糸ガイドと退出糸ガイドを設けており、これらの糸ガイドの取り付け位置を適宜に調整することで、例えば、強力な冷却を実現すべく冷却管における糸の巻き付けの程度を切り換えられるようになっている。
【0003】
また、特許文献2(特表2005−501980号公報)には、冷却管の表面に沿った冷却区分の長さを変更するために、冷却管そのものを傾斜させる点が述べられている。この技術も上記特許文献1に開示の技術と似たようなものであり、その趣旨は、糸の冷却の強弱を手軽に切り換えたいといったものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように糸条の冷却の強弱を手軽に切り換えられるようにした技術は散見する。以上の特許文献を踏まえつつ、本願発明の発明者らは、全く新規な視点から上記の糸条冷却装置の冷却性能を改善することに成功した。即ち、本願発明の主な目的は、糸条冷却装置の冷却性能を改善するための全く新規な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0006】
本願発明の第一の観点によれば、走行する糸条を受熱部材に対して接触させることで上記糸条を冷却する糸条冷却装置は、以下のように構成される。即ち、走行する上記糸条に対する前記受熱部材の接触部分を前記受熱部材上でずらしながら上記糸条を冷却するようにした。以上の構成によれば、上記糸条は、前記受熱部材の局所的に高温となった部分を避けるように走行することとなるので、前記糸条冷却装置の冷却性能が改善される。
【0007】
上記の糸条冷却装置は、更に、以下のように構成される。即ち、前記受熱部材は断面円形状に形成される。前記受熱部材を軸回りに回転駆動する回転駆動手段を設けた。以上の構成によれば、簡素な構成で、走行する上記糸条に対する前記受熱部材の接触部分を前記受熱部材上でずらすことができる。
【0008】
上記の糸条冷却装置は、更に、以下のように構成される。即ち、前記受熱部材内に冷却流路を形成する。この冷却流路内に冷却流を形成するための、冷却流発生手段を設けた。以上の構成によれば、前記糸条冷却装置の冷却性能が一層向上する。
【0009】
上記の糸条冷却装置は、更に、以下のように構成される。即ち、前記冷却流発生手段は、前記受熱部材の内部に収容した。以上の構成によれば、前記冷却流発生手段を備えた前記糸条冷却装置をまとまりよくコンパクトに構成することができる。
【0010】
上記の糸条冷却装置は、更に、以下のように構成される。即ち、走行する上記糸条を前記受熱部材に対して案内するための糸ガイドを設ける。この糸ガイドは、走行する上記糸条を前記受熱部材に対して2本以上、同時に案内することが可能に形成される。前記糸ガイドをこのように形成することで、前記糸条冷却装置を複数で設置する必要がある場合、前記糸条冷却装置の必要となる個数を半減することができる。
【0011】
また、上記の糸条冷却装置は冷却性能に優れるので、その分、糸条冷却装置自体のコンパクト化が可能となる。従って、この糸条冷却装置を備える繊維機械のコンパクト化が実現する。
【0012】
本願発明の第二の観点によれば、走行する糸条を受熱部材に対して接触させることで上記糸条を冷却する糸条冷却は、以下のような方法で行われる。即ち、走行する上記糸条に対する前記受熱部材の接触部分を前記受熱部材上でずらしながら上記糸条を冷却する。これによれば、上記糸条は、前記受熱部材の局所的に高温となった部分を避けるように走行するので、上記糸条の冷却性能が改善される。
【0013】
上記の糸条冷却は、更に、以下のような方法で行われる。即ち、前記受熱部材は断面円形状に形成する。前記受熱部材を軸回りに回転させる。これによれば、簡単なやり方で、走行する上記糸条に対する前記受熱部材の接触部分を前記受熱部材上でずらすことができる。
【0014】
上記の糸条冷却は、更に、以下のような方法で行われる。即ち、走行する上記糸条を前記受熱部材の外周面に対して螺旋状に接触させる。これによれば、走行する上記糸条に対する前記受熱部材の接触部分の接触距離を大きく確保することができる。
【0015】
上記の糸条冷却は、更に、以下のような方法で行われる。即ち、前記受熱部材内に冷却流を形成することで前記受熱部材を冷却する。これによれば、上記糸条の冷却性能が一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本願発明の第一実施形態に係る延伸仮撚機の全体概略図
【図2】本願発明の第一実施形態に係る糸条冷却装置の斜視図
【図3】本願発明の第一実施形態に係る糸条冷却装置の断面図
【図4】図2に類似する図であって、本願発明の第二実施形態に係る糸条冷却装置の斜視図
【図5】図2に類似する図であって、本願発明の第三実施形態に係る糸条冷却装置の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の第一実施形態を説明する。図1は、本願発明の第一実施形態に係る延伸仮撚機の全体概略図である。
【0018】
本実施形態において延伸仮撚機100(繊維機械)は、給糸パッケージ101から糸条Yを供給する給糸部102と、この給糸部102から供給される糸条Yに対して延伸仮撚処理を施す糸加工処理部103と、糸加工処理部103により延伸仮撚処理が施された糸条Yを巻き取って所定径の巻取パッケージPを形成する巻取部104と、を含んで構成される錘105を複数で備える。複数の錘105は、図1の紙面垂直方向に並べて設けられる。延伸仮撚機100をコンパクトとすることを目的として、図1に示されるように、給糸部102や巻取部104は上下に重ねて配される。
【0019】
給糸パッケージ101は、複数の錘105で共通のクリールスタンド106のペグ107に保持される。
【0020】
糸加工処理部103は、糸条Yの走行方向に沿って順に、第一フィードローラ108と、一次ヒータ109(糸条加熱装置)と、冷却器110(糸条冷却装置)と、撚糸装置111と、第二フィードローラ114と、インタレースノズル115と、二次ヒータ116と、第三フィードローラ117と、を備えて構成される。第一フィードローラ108と第二フィードローラ114の間で糸条Yが延伸されるように、第二フィードローラ114の糸送り速度は、第一フィードローラ108の糸送り速度と比較して大きく設定される。一方、第二フィードローラ114と第三フィードローラ117の間で糸条Yが弛緩されるように、第三フィードローラ117の糸送り速度は、第二フィードローラ114の糸送り速度と比較して小さく設定される。第一フィードローラ108と一次ヒータ109との間には、第一フィードローラ108から送られる糸条Yを一次ヒータ109へと案内する糸ガイド118が設けられる。
【0021】
撚糸装置111は、走行する糸条Yに撚りを付与するものであって、この糸条Yに付与された撚りは撚糸装置111から糸条Yの走行方向上流側へ向かって伝播する。糸条Yは、延伸されつつ撚りが付与された状態で一次ヒータ109で熱セットされた後、冷却器110で冷却され、撚糸装置111を通過する際に解撚される。この延伸仮撚処理が施された糸条Yには、インタレースノズル115において適宜に交絡部が形成されることで、加撚糸と同程度の集束性が付与される。その後、糸条Yは、弛緩された状態で二次ヒータ116において所定の熱処理が施され、巻取部104において巻取パッケージPとして巻き取られる。
【0022】
本実施形態において冷却器110と一次ヒータ109は略水平方向に略一直線となるようにレイアウトされる。また、各錘105は、対称軸Cに関して左右対称となるように、紙面左側にも配置される。そして、対称軸Cに関して左右対称にレイアウトされた冷却器110と一次ヒータ109、それに巻取部104とがアルファベットの「T」を想起させるので、本実施形態に係る延伸仮撚機100はT型と称される。
【0023】
本実施形態に係る冷却器110は、図1に示されるように、走行する糸条Yをステンレス製の円筒体1(受熱部材)に対して接触させることで上記糸条Yを冷却するように構成される。以下、この冷却器110の構成を詳細に説明する。図2は、本願発明の第一実施形態に係る糸条冷却装置の斜視図である。図3は、本願発明の第一実施形態に係る糸条冷却装置の断面図である。
【0024】
図2及び図3に示されるように、本実施形態に係る冷却器110は、断面円形状に形成される円筒体1と、この円筒体1を軸回りに回転駆動する電気モータ2(回転駆動手段)と、を主たる構成として備える。
【0025】
上記の円筒体1は、延伸仮撚機100の図示しない機体フレームに対してL字型ステー3を介して回転自在に支持される。詳しくは図3に示されるように、中空シャフト4が上記のL字型ステー3によって回転不能に支持され、この中空シャフト4の外周側にはブッシュ5が設けられる。一方、円筒体1の長手方向一端部にはフランジ6が嵌め込まれ、このフランジ6の内周側端部から円筒体1の長手方向と平行に延びる筒状の内筒部7が上記のブッシュ5の外周面に対して滑るようになっており、もって、円筒体1は上記の機体フレームに対してL字型ステー3を介して回転自在に支持される。円筒体1の長手方向他端についても同様の支持構造とされる。
【0026】
上記の内筒部7の軸方向端部には、第一歯車8が、中空シャフト4に対して若干の隙間を空けつつ設けられる。また、図示しない方法により上記のL字型ステー3によって支持される電気モータ2の出力軸2aには、上記の第一歯車8と噛み合う第二歯車9が設けられる。この構成で、電気モータ2の出力軸2aが所定の回転数で所定の方向に回転することで、この電気モータ2の動力は、第二歯車9と第一歯車8、内筒部7、それにフランジ6を順番に介して円筒体1へ伝わるようになっている。端的に言えば、上記の電気モータ2は、円筒体1を軸回りに回転駆動する。
【0027】
また、上記の円筒体1の長手方向一端部の内部には、ファン10と、このファン10を回すためのファンモータ11と、から構成される送風機構12(冷却流発生手段)が収容される。このファンモータ11は、L字型ステー3によって固定支持される中空シャフト4によって円筒体1の内部で支持され、この中空シャフト4内に配線される電気線13(図2を参照。)を介して供給される電力によって駆動してファン10を回転させるようになっている。図3において太線矢印で示され、この送風機構12によって形成される空気流Rは、円筒体1の内部空間Q(冷却流路)を、円筒体1の長手方向一端部に設けられる送風機構12から円筒体1の長手方向他端部に向かって流れる。この内部空間Q内における空気流Rの形成を阻害しないように、上記のフランジ6には、多数の図示しない小窓が形成される。
【0028】
ところで、図2に示されるように、本実施形態に係る冷却器110は、走行する上記糸条Yを円筒体1に対して案内するための糸ガイド110a・110bを備える。走行する上記糸条Yの上流側に配される糸ガイド110aは、略U字状の切欠き溝を有し、上記のL字型ステー3に支持される。同様に、走行する上記糸条Yの下流側に配される糸ガイド110bも、略U字状の切欠き溝を有し、上記のL字型ステー3に支持される。前記の円筒体1の軸方向に沿って上記の糸ガイド110a・110bをみると、本実施形態において、糸ガイド110a・110bは重なるように見える。
【0029】
次に、図2〜3を参照しつつ、本実施形態に係る冷却器110の作動について説明する。
【0030】
即ち、冷却器110に糸条Yをセットするには、電気モータ2によって円筒体1を回転させつつ、糸掛けガン(吸引装置)で糸条Yを吸引保持しながら、図1に示される給糸部102から引き出される糸条Yを図2に示される糸ガイド110aに糸掛けし、そして、円筒体1の外周面に対して2周、螺旋状に巻き付け、その後、糸ガイド110bに糸掛けし、図1に示される撚糸装置111へとセットする。
【0031】
次に、第一フィードローラ108などによる糸条Yの送りを開始し、更に、図3に示す送風機構12を駆動して円筒体1の内部空間Q内に空気流Rを形成することで円筒体1を内側から空冷し始める。この状態で、糸条Yは、図2に示すようにステンレス製の円筒体1の外周面上を接触しながら走行することで、円筒体1との間で熱交換する。この結果、糸条Yは糸ガイド110aから糸ガイド110bに至るまでの間に例えば150℃の状態から60℃の状態へとなるように冷却される。一方、走行する糸条Yに対する円筒体1の接触部分は、糸条Yから受熱することで局所的に高温となる。しかし、本実施形態では、円筒体1の外周面上を走行する上記糸条Yの糸道は上記の糸ガイド110a・110bによって保持される一方で前記の円筒体1が図2の太線矢印の方向へ回転するので、走行する上記糸条Yに対する円筒体1の接触部分を円筒体1上でずらしながら上記糸条Yを冷却するようになっている。従って、上記糸条Yは、円筒体1の局所的に高温となった部分を避けるように走行することとなるので、高い冷却性能が発揮される。
【0032】
(まとめ)
(請求項1)
以上説明したように上記実施形態において、走行する糸条Yを円筒体1に対して接触させることで上記糸条Yを冷却する冷却器110は、以下のように構成される。即ち、走行する上記糸条Yに対する前記円筒体1の接触部分を前記円筒体1上でずらしながら上記糸条Yを冷却するようにした。以上の構成によれば、上記糸条Yは、前記円筒体1の局所的に高温となった部分を避けるように走行することとなるので、前記冷却器110の冷却性能が改善される。
【0033】
なお、上記実施形態において受熱部材は断面円形状としたが、走行する上記糸条Yに対する受熱部材の接触部分を前記受熱部材上でずらしながら上記糸条Yを冷却する構成さえ実現できれば、断面円形状の受熱部材に限らず、他の断面形状を有する受熱部材であってもよい。他の断面形状を有する受熱部材の一例として、平板が挙げられる。
【0034】
また、上記実施形態において、上記糸条Yの糸道は糸ガイド110a・110bによって保持しながら円筒体1を回転させることとしたが、これに加えて、又は、これに代えて、円筒体1は固定したまま糸ガイド110a・110bの方を運動させる構成も考えられる。即ち、例えば、図2において、糸ガイド110a・110bを円筒体1の周方向に沿って往復運動させる、などである。
【0035】
(請求項2)
上記の冷却器110は、更に、以下のように構成される。即ち、受熱部材は断面円形状に形成される。この受熱部材を軸回りに回転駆動する電気モータ2を設けた。以上の構成によれば、簡素な構成で、走行する上記糸条Yに対する受熱部材の接触部分を前記受熱部材上でずらすことができる。
【0036】
なお、断面円形状の受熱部材とは、円筒形状の受熱部材である上記の円筒体1のみならず、例えば、截頭円錐形状である受熱部材も含まれる。また、円筒体1(例えば直径20〜80mm)の回転数は任意であり、例えば1〜10rpm程度とされる。
【0037】
(請求項3)
上記の冷却器110は、更に、以下のように構成される。即ち、円筒体1の内部空間Q内に空気流Rを形成するための、送風機構12を設けた。以上の構成によれば、冷却器110の冷却性能が一層向上する。
【0038】
(請求項4)
上記の冷却器110は、更に、以下のように構成される。即ち、送風機構12は、円筒体1の内部に収容した。以上の構成によれば、送風機構12を備えた冷却器110をまとまりよくコンパクトに構成することができる。
【0039】
(請求項6)
また、上記の冷却器110は冷却性能に優れるので、その分、冷却器110自体のコンパクト化が可能となる。従って、この冷却器110を備える延伸仮撚機100のコンパクト化が実現する。なお、上記実施形態では繊維機械として延伸仮撚機100を取り上げたが、これに限らず、他の種類の繊維機械であっても問題なく本願発明を適用できる。
【0040】
次に、本願発明の第二実施形態を説明する。図4は、図2に類似する図であって、本願発明の第二実施形態に係る糸条冷却装置の斜視図である。なお、以下、本実施形態が上記第一実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明は適宜に割愛する。
【0041】
即ち、上記第一実施形態において各糸ガイド110a・110bは、一本の糸条Yのみを円筒体1に対して案内するように形成したが、これに代えて、本実施形態では、図4に示されるように2本の糸条Yを円筒体1に対して同時に案内することが可能となるように、糸ガイド110a・110bには、夫々、二つずつの略U字状の切欠き溝を形成してもよい。
【0042】
本実施形態では糸ガイド110a・110bによって円筒体1の外周面に対して案内される2本の糸条Yの糸道は、円筒体1の外周面で共にS巻きの螺旋を描く。換言すれば、走行する2本の糸条Yが円筒体1の外周面に同じ方向で螺旋状に巻き付けられる。
【0043】
(請求項5)
このように、冷却器110には、走行する上記糸条Yを円筒体1に対して案内するための糸ガイド110a・110bを設ける。この糸ガイド110a・110bは、走行する上記糸条Yを円筒体1に対して2本、同時に案内することが可能に形成される。前記糸ガイド110a・110bをこのように形成することで、冷却器110を複数で設置する必要がある場合、冷却器110の必要となる個数を半減することができる。なお、同様の考え方で、糸ガイド110aと糸ガイド110bに対して、必要数の略U字状の切欠き溝を設ければ、例えば、走行する3本以上の糸条Yを円筒体1に対して案内することができる。
【0044】
なお、上記実施形態に係る糸ガイド110aは、略U字状の切欠き溝を2つ有するが、これに代えて、糸ガイド110aを、略U字状の切欠き溝を有する糸ガイド部を組み合わせたものとしてもよい。端的に言えば、糸ガイド110aは一体型であってもよいし別体型であってもよい。
【0045】
次に、本願発明の第三実施形態を説明する。図5は、図2に類似する図であって、本願発明の第三実施形態に係る糸条冷却装置の斜視図である。なお、以下、本実施形態が上記第二実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明は適宜に割愛する。
【0046】
上記第二実施形態では、円筒体1の外周面に対して案内した、走行する2本の糸条Yの糸道が同じ方向の螺旋を描くように、各糸条Yを冷却器110にセットした。これに対し、本実施形態では、円筒体1の外周面に対して案内した、走行する2本の糸条Yの糸道が異なる方向の螺旋を描くように、各糸条Yを冷却器110にセットする。本実施形態では、各糸条Yは、円筒体1の軸方向から見て略180度分だけ、螺旋を描くようになっている。このため、糸ガイド110bの設置位置が上記第二実施形態と若干異なっている。
【0047】
このようにあえて、走行する2本の糸条Yの糸道が異なる方向の螺旋を描くようにしたのは、以下の理由による。即ち、異なる撚り方向の糸条Yを冷却する場合、撚り方向の相違による弊害を相殺できる可能性があるからである。
【0048】
以上に、本願発明の好適な実施形態を説明したが、上記の各実施形態は以下のようにして実施できる。
【0049】
即ち、図1に示される延伸仮撚機100は、所謂T型としたが、これに代えて、所謂V型やM型であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 円筒体
2 電気モータ
12 送風機構
100 延伸仮撚機
110 冷却器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行する糸条を受熱部材に対して接触させることで上記糸条を冷却する糸条冷却装置であって、
走行する上記糸条に対する前記受熱部材の接触部分を前記受熱部材上でずらしながら上記糸条を冷却するようにした、
ことを特徴とする糸条冷却装置。
【請求項2】
請求項1に記載の糸条冷却装置であって、
前記受熱部材は断面円形状に形成され、
前記受熱部材を軸回りに回転駆動する回転駆動手段を設けた、
ことを特徴とする糸条冷却装置。
【請求項3】
請求項2に記載の糸条冷却装置であって、
前記受熱部材内に冷却流路を形成し、
この冷却流路内に冷却流を形成するための、冷却流発生手段を設けた、
ことを特徴とする糸条冷却装置。
【請求項4】
請求項3に記載の糸条冷却装置であって、
前記冷却流発生手段は、前記受熱部材の内部に収容した、
ことを特徴とする糸条冷却装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の糸条冷却装置であって、
走行する上記糸条を前記受熱部材に対して案内するための糸ガイドを設けると共に、
この糸ガイドは、走行する上記糸条を前記受熱部材に対して2本以上、同時に案内することが可能に形成される、
ことを特徴とする糸条冷却装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載の糸条冷却装置を備える、
ことを特徴とする繊維機械。
【請求項7】
走行する糸条を受熱部材に対して接触させることで上記糸条を冷却する糸条冷却方法であって、
走行する上記糸条に対する前記受熱部材の接触部分を前記受熱部材上でずらしながら上記糸条を冷却する、
ことを特徴とする、糸条冷却方法。
【請求項8】
請求項7に記載の糸条冷却方法であって、
前記受熱部材は断面円形状に形成し、
前記受熱部材を軸回りに回転させる、
ことを特徴とする、糸条冷却方法。
【請求項9】
請求項8に記載の糸条冷却方法であって、
走行する上記糸条を前記受熱部材の外周面に対して螺旋状に接触させる、
ことを特徴とする、糸条冷却方法。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の糸条冷却方法であって、
前記受熱部材内に冷却流を形成することで前記受熱部材を冷却する、
ことを特徴とする、糸条冷却方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−159500(P2010−159500A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539(P2009−539)
【出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【出願人】(502455511)TMTマシナリー株式会社 (91)
【Fターム(参考)】