説明

糸測定供給装置

巻き緯糸用の実質的に円筒状の格納面6を規定する静止した格納体(K)と、格納体(K)に対して、格納体の軸の周りに回転駆動される巻取り要素(2)と、緯糸の長さを測定する停止装置(S)とを含む糸測定供給装置Fが開示される。停止装置(S)は少なくとも1つの停止ピン(3)を備える。引き出し方向(W)において格納体(K)の前端(5)を越えて突出し、軸Xに関して非対称な少なくとも1つの延長部(V)が、格納体(K)に配置される。延長部(V)は、それによって引き出し方向(W)において格納体の格納面(6)に連続する線状の巻取り支持部(A)を、少なくとも形成する。さらに、引き出し方向(W)において先細りで、前端(5)を越えて突出する対向面(16)が、概ね直径方向から支持部(A)に対向するように設けられる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に従った糸測定供給装置に関する。
糸測定供給装置は、ジェット織機、特に、糸格納場所から緯糸材を引き出し、互いに接触し合いまたは互いから離間する巻きを格納部に中継格納し、中継格納された巻き糸を格納体の前端に向かう方向に搬送し、挿入工程すなわちピックの間の引き出しのために停止装置によって測定された巻き数のみを解放し、ピックを開始し、最後に、たとえば停止装置によってピックを終了するために、ジェット織機で使用されている。
【0002】
さらに、WO−A−02/33157から、極めて小さな直径を有する格納体と共に、1つの停止ピンを有して、引き出しのために解放すべき巻き糸の数を個別に測定してピックを終了させる停止装置とを装備し、一方、格納体の前の引き出し方向に位置する制御糸クランプが各ピックを開始する糸測定供給装置が知られている。巻取り要素によって格納面上に形成される巻きは、連続して前方に押されて、停止ピンを所定の終端位置まで移動させる。たとえば停止ピンが退避した状態で、制御糸クランプによって各ピックが開始されると、格納体の前端が停止ピンの終端位置の後ろに近接して位置しているので、数個の巻き糸が円筒状の形状で前端を越えて解放され、次いで、後に続くピックの開始まで停止ピンと係合するが、解放された巻き糸は、ピックが生じるまでおよびピック中に、いわば内側の支持なしで空間に留まり、次いで停止ピンに向かって引き戻される。場合によっては、解放された巻き糸のために、案内外面のみが備えられる。この原理は、主として、巻きを内側の支持のない自由な状態にするため、および、引き出しを妨げるかもしれないバルーンの形成が小さな直径の格納体の使用によって大幅に防がれるため、高いピック速度での高いピッキング頻度と織機の挿入ノズルへの比較的緩和な圧力を可能にする。しかしながら、解放された巻き糸を消費するときに、織物の不良および/または糸の切断という結果となり得るもつれの形成の危険性が生じるかもしれない。2つの巻きが互いにくっつき合って同時に引き出されることが、時には生じるかもしれないからである。このため、場合によっては、格納体の前端を越えて引き出し方向に突出し、もつれ形成の危険性を排除するピンが、格納体の中央に取付けられる。しかしながら、この対策にもかかわらず、緯糸材がもつれがちであることを、実務は示している。
【0003】
本発明の目的は、高いピッキング頻度および高いピック速度での動作中に、もつれの形成が信頼性高く避けられる糸測定供給装置を提供することである。
この目的は請求項1の特徴によって達成される。
【0004】
延長部は、ピックの前およびピック中に、局所的な内側の支持のみを巻き糸に提供する。支持部と、支持部に向かって収束する対向面は、格納体の前端を越えて解放された各巻き糸が、支持部によって実質的に点状にのみ支持されて、格納体の軸の理論的延長線に向けて内側に引かれ、引き出しの間の360゜にわたる範囲の残余の部分が、いかなる支持も受けず、バルーン化作用も受けないように、作用する。支持部での摩擦と、引き出し動作の間に支持部によって生じる糸の連なりの、摩擦によって意図的に生じる凹凸とが、驚いたことに、最前の各巻き糸が信頼性よく分離して単独で引き出されるという結果をもたらす。こうして、もつれの形成の危険性が排除される。傾斜した対向面は、さらに、延長部において巻きが固くなるのを妨げるが、これは、固くなろうとする各巻きが対向面の傾斜によって延長部から押し外されるからである。対向面は格納体の外径において始まってよい。最も簡単な例では、延長部は一種の直角三角形であり、たとえば、2次元の平面の表面であるか、あるいは、少なくとも実質的な直角三角形の直角を挟む辺の1つと斜辺とを規定するロッドのみで形成される。重大で支障を来たすバルーン化作用は、各巻きが、360゜の最大部位での引き出しの間に、格納体の軸の理論的延長線に向かう方向に内側に直ちに引かれるので、排除される。巻き糸は、最終的に、伸ばされた緯糸が延長部から解放されて停止装置の停止ピンに直接達するまで、引き出しの間に適切にかつ整然とかつ連続して消費され、次いで、停止ピンがピックを終了させる。実際には、格納面から織機に向かう引き出し経路上の延長部は、不都合な作用を有すると考えなければならないので、延長部の作用の肯定的な結果は驚くべきである。
【0005】
支持部を、重力方向に関して上端である、格納体の12時の位置に配置することは、垂下する巻き糸の対称的な支持という利点となり、また、引き出しの間の糸の不穏で異様な動きの防止に貢献する。さらに、各巻き糸は支持部の中央位置によって支持され、各巻き糸は支持部の上端に乗って、格納体の軸周りの回転によって位置が変わり得ないようになる。巻き糸と支持部の線接触は、必要な下垂支持を達成するために充分であり、また、引き外される巻き糸に対する摩擦抵抗が小さいという結果にもなる。しかしながら、たとえば、大きく開いた状態における曲率を記憶する糸材の自然の能力を利用して巻き糸を保持するために、より広い、または、面を有する支持部を使用することは可能である。逆に、格納体から解放された巻き糸が案内面上で下から支持されるだけの場合は、延長部は、配置を変えて、たとえば、格納部の9時の位置に配置してもよい。
【0006】
格納体の格納面は、中間空隙をもって軸の周りに分布するフィンガの外面によって規定されると、便利である。好ましくは、フィンガは格納体の前端に自由端を有する。延長部の支持部はフィンガの外面を延長する。この場合、支持部とフィンガの外面との間に大きな変わり目がないのが好都合であろう。
【0007】
支持部がフィンガの外面を延長する延長部は、好ましくは、フィンガに直接設けるべきである。場合によっては、延長部をフィンガと一体に形成してもよい。
【0008】
動作振動によって生じる延長部の個々の動きを抑えるために、延長部は、格納体において、たとえば直径方向の反対側のフィンガにおいて、さらに支持されてもよい。
【0009】
異なる糸材には延長部の異なる形状が最適の効果をもたらす場合も有り得るので、延長部は、他の形状を有する他の延長部で置き換え得るように、格納体に設けるのが便利かもしれない。
【0010】
簡単な実施形態では、延長部はたとえばプラスチック材料またはワイヤから作製されたロッドで構成される。あるいは、ブレードであって、その切断端面または背面が支持部を構成するブレードが設けられてもよい。
【0011】
さらに便利なように、巻き糸が延長部の周りで固くなりがちな場所である延長部から、巻き糸を押し外す傾斜した対向面が、延長部に組み込まれる。
【0012】
他の実施形態では、延長部は傾斜した円錐または円錐台としてもよい。円錐または円錐台の底面直径は、格納体の前端の直径よりも小さくてよい。この場合、各巻き糸は、支持部に達したとき、その360゜の範囲の最大部位内で直ちに拡張する。円錐または円錐台は支持部と対向面との双方を構成する。
【0013】
延長部を構成する円錐または円錐台は、真直ぐな、凸の、または凹の母線を、それぞれ有していてもよい。
【0014】
あるいは、延長部は、幅の狭い上側面および下側面と長方形または楕円形の断面を有する中空体であってもよい。断面の幅は、延長部が融合するフィンガの外面の幅に少なくとも対応すべきである。
【0015】
この場合、支持部は中空体の幅の狭い側面によって都合よく形成され、この幅の狭い側面は、その中央の領域においては僅かに湾曲しているか平坦であり、両端においては丸いのが好ましい。中空体の幅の狭い反対の側面は、中空体の先端部に向かって傾斜しつつ後方に延びる対向面を構成する。糸測定供給装置の他の糸制御部材のための空間が必要な場合は、対向面は格納体の外径内で始まってもよい。
【0016】
支持部は、軸に平行に延びてもよいし、次第に収束する態様で延びてもよい。所定の収束または下方へ傾斜する湾曲は、巻き糸の移送および/または引き出しの間の糸の消費を促進する。
【0017】
さらに、引き出し方向において下方に傾斜する端面を支持部に設けると、便利かもしれない。これは引き出し工程にとって有利であり、支持部の端に達した巻き糸が落下するのを防止する。
【0018】
対向面が格納体の軸に実質的に平行な端面を有するとき、解放された巻き糸の引き出しの間に支持部から上昇する傾向が軽減される。
【0019】
停止ピンが巻き糸と共に運ばれるときの、格納体の上側の、および支持部上の巻き糸の正しい配列への悪影響を避けるために、重力方向に関して低い側である格納体の6時の位置に、停止ピンを備えることが便利かもしれない。好ましくは、停止ピンは、支持部によって延長されたフィンガに対して直径方向に反対側のフィンガと協働する。基本的に、延長部は、引き出し工程の終わりに引き伸ばされた糸が、決して延長部において垂下せず、延長部から解放されて、そして停止ピンに直接達することを保障する幾何形状を有するべきである。
【0020】
さらに、引き出し方向、引き出し方向に対して逆方向、および半径方向に移動し得るように設けられた停止ピンが、巻き糸によってなされる停止ピンの移動の終わりにおける停止ピンの終端位置を規定する格納体の案内溝に係合して、停止ピンが終端位置で挿入工程を終了させるようにすると、便利であるかもしれない。挿入工程を開始するため、および、停止ピンの退避の後さらなる巻き糸が格納体の前端を越えて解放されて支持部上に置かれる動作相の間、緯糸を保持するためには、格納体の前端の下流に設けられる制御糸クランプが便利である。
【0021】
格納体の下方で引き出し方向において前端の後ろに位置する案内面が、解放された巻き糸にさらなる支持を提供し、この支持は引き出しのために有利である。しかしながら、この案内面は、円筒状の形態の解放された巻き糸パッケージに対して、外側からのみ作用する。
【0022】
ピックの運動学のため、格納体から押し外された巻き糸が支持部から上昇しがちであり、および/またはもつれがちであるという傾向が生じるかもしれないので、引き出し方向において前端の後ろに達する覆い面を、格納体の上方に設けると便利かもしれない。この対策によって、糸引き出し動作またはピックの間の糸の表面形状が向上するであろう。
【0023】
引き出しの間に、解放された巻き糸が上方に昇ることおよび/またはもつれが生じることを避けるために、覆い面は外側方向に弾発的に配置され、また、覆い面がフィンガの外面および支持部と共に巻き糸制御空隙を規定するようにすると便利であるかもしれない。巻き糸は、その空隙内で整然と並んで保持され、また、空隙内で押されながら案内される。
【0024】
この場合、覆い面は、フィンガの外面および支持部に対して外側から弾発的に、予め装着しておくのが便利かもしれない。そうすると、糸の凹凸および/または結び目が、問題なく通過するであろう。
【0025】
巻き糸をそれらの通路に沿ってフィンガから支持部上に制御された態様で移動させるために、巻取り要素から遠い前端を有する覆い面が、フィンガに沿って、支持部に沿って、支持部の端部を越えて延びるのが便利かもしれない。覆い面が支持部の端部を越えて延びる領域では、解放された巻き糸が引き出し中に上方に昇る傾向を覆い面が抑える。
【0026】
覆い面は、ばね要素の下面によって形成すると便利である。ばね要素は、平面であってもよいし、ロッドまたは線の形状であってもよい。
【0027】
好ましい実施形態では、ばね要素は、静止支持部内で弾発的に保持される板ばねである。好ましくは、板ばねは、実質的に格納体軸に平行に延び、板ばねと支持体の間の接触領域に対して側方にずらして配置された傾斜軸に関して、弾発的に歪められ得る。この対策によって、板ばねは、巻き糸に対して比較的安定な力で作用しながらも、容易に屈服することができる。
【0028】
好ましい実施形態においては、板ばねは、板ばねを位置決めし、板ばねの容易な回避運動を可能にする少なくとも1つのばね体の助けによって、支持部に固定される。
【0029】
板ばねは、少なくとも一端において、好ましくは巻取り要素に対向する端部において、格納体から離れる向きの屈曲部を有するのが便利である。屈曲部は、巻き糸が制御空隙に穏やかに入るのを可能にして、巻き糸が板ばねにおいて詰まる危険性を排除する。
【0030】
図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1に示す糸測定供給装置Fは、国際公開第02/33157号パンフレットから知られる測定供給装置に実質的に対応し、巻取り要素2のための不図示の駆動モータを含むハウジング1を有する。ハウジング1には格納体Kが静止して設けられている。巻取り要素2は、格納体Kの本質的に円筒状の表面6の周りに回転駆動される。格納体Kは、軸Xと、固定または可変の直径を有する。ハウジング1に近接して、停止ピン3を有する少なくとも1つの停止装置Sが設けられており、停止ピン3は、格納体Kと協働して、それぞれ1度の引き出しで解放されるべき巻き糸の数を測定する役割を担う。巻き糸は、巻取り要素2の助けによって生成され、互いに直接接触するように、あるいは、軸方向に互いに離間するように、格納面6に中継格納される。停止ピンは、案内溝4を規定する格納体Kの凹部と協働してもよい。停止ピン3は、軸Xに対する半径方向において、さらには、格納面6上の巻き糸の不図示の糸供出部の引き出し方向W、およびこの引き出し方向Wの逆方向において、前後に動かすことが可能である。
【0031】
巻取り要素2が回転している間、停止ピン3が、2つの連続した巻き糸の間の巻取り要素2に近い案内溝4に退避位置から挿入され、次いで、引き出し方向Wにおける巻き糸の前方に向かう移動のみによって、終端位置に移動される(ほとんど図示のとおり)。終端位置は案内溝4によって規定される。この終端位置で、停止ピンは糸の引き出し(および挿入工程すなわちピック)を終了させる。前方に向かう移動は、巻取りオン動作に、および/または格納体Kの不図示の巻き糸分離装置に、由来する。
【0032】
格納体Kは前端5を有し、その前には、引き出し方向Wにおいて、個々の挿入工程を開始させることと、織機の不図示の挿入装置から格納体Kに向かって延びる緯糸を一時的に保持することの役割を担う、制御糸クランプCが設けられている。
【0033】
停止ピン3は、たとえば重力方向Gに関して格納体Kの下側の領域に、たとえば6時の位置に設けられる。
【0034】
重力方向Gに関して格納体Kの上端の場所7(たとえば12時の位置)には、前端5を越えて突出する延長部Vが設けられている(延長部Vは格納体と一体であるか、または置換可能である)。延長部Vは実質的に引き出し方向Wに延びる支持部Aを形成し、この支持部は、少なくとも線状であり、格納面6から解放された巻き糸を、巻き糸が支持部から垂下した状態で支持されるように、支持する役割を担う。実質的に直径方向の反対側から支持部Aに対向するように、対向面16が支持部Aに関連付けられている。対向面16は、格納面6の外径またはいくらか内側寄りから始まり、引き出し方向Wの後方に斜めに、図示の例では上方に、延びる。
【0035】
図1の延長部Vは、たとえば単純なロッド8またはブレード9であり、その背部が支持部Aを規定する。延長部Vは、軸Xに関して非対称であり、格納体Kの前端5を越えて解放され支持部Aに達する各巻き糸が接するように、設計されている。格納面6の下側は、たとえば、平坦なまたは窪んだ案内面22(点線で示す)によって前端5を越えて延長され、一方、前端5の上側かつ下流に覆い面23が設けられてもよい。
【0036】
図2の延長部Vは、格納体Kにおける傾斜した円錐10または円錐台11であり、この円錐または円錐台は、支持部が上端位置で格納面6を本質的に引き出し方向Wに延長するように、配置されている。円錐10または円錐台11は、全ての側面において閉じられた覆いを有してもよく、また代わりに、単一のロッドで形成されてもよい。円錐10または円錐台11は底面12を有しており、底面12の直径は場合によっては前端5の直径よりも小さくてよい。しかしながら、格納面6と支持部Aの間の変わり目は存在すべきでない。底面12は、必ずしも円形である必要はなく、楕円形でもよく、他の輪郭を有するように設計してもよい。斜めの円錐または円錐台の下側が、対向面16を構成する。
【0037】
図3の延長部Vは、格納体Kにおけるブレード17であり、このブレードは平坦な側面または凸に湾曲した側面13によって支持部Aを形成する。支持部Aは、軸Xに向かう方向においてより強く下方に傾斜し先端部15に達する切断端面14で終わる。先端部15は、場合によっては、丸くてもよく、または尖っていなくてもよい。ブレード17の幅の狭い下側は、引き出し方向Wにおいて傾いた、すなわち、凸または凹の丸みをもって先端部15に向かって上方に傾斜する対向面16を規定する。
【0038】
図4の糸測定供給装置における格納体Kは、互いの間に中間空隙をもって軸Xの周りに周方向に分布するフィンガ18から構成される。フィンガ18は自由端を有し、外面19によって多角形様の格納面6を規定する。フィンガ18によって規定される格納面6の直径は、比較的小さく、たとえば、ほとんどの糸材の曲率を記憶する自然能力に実質的に対応し、たとえば僅か25mm〜50mmである。
【0039】
この場合、延長部Vは、幅の狭い上側面および下側面を有し、実質的に長方形の断面の中空体(または中実体)である。幅の狭い上側面は、重力方向に関して上端に位置するフィンガ18を延長する支持部Aを規定する。好ましくは、幅の狭い上側面は少なくとも、このフィンガ18の外面19と同じ幅である。軸Xと平行に延びるか、または、軸Xに向かう方向において下方に真直ぐまたはいくらか湾曲して傾斜した支持部Aは、場合によってはフィンガ18の外面19も、より大きな勾配で下方に傾斜し、この場合尖っていない先端部15に達する端面14に連なる。先端部15は、たとえば、格納体Kの軸Xの理論的延長線上に概ね位置する。中空体(または中実体)20は、図示した実施形態では、平坦でより広い横側面を有する。楕円断面の場合は、この広い側面は凸に湾曲するであろう。幅の狭い下側面は、比較的急勾配で上方に傾斜し端部15に達する対向面16を構成する。中空体20は、フィンガ18と一体であってもよく、置き換え可能にフィンガ18に設けてもよい。延長部Vをより安定して支持するために、下側に位置するフィンガ18すなわち格納部Kの幅の狭い下側面16の下端領域に、追加の支持部21を設けてもよい。図示した実施形態では、延長部Vの追加の固定部21が、図4には示していない停止ピン3(図1参照)が協働する下側のフィンガ18’に設けられている。格納体Kの下流に示したプレートは、図1の制御糸クランプCを装着する役割を担い、または、さらなる装置要素もしくはセンサを装着する役割を担い、また、格納体Kから軸方向に押し外される巻き糸のための外側案内面22を構成する。
【0040】
必須ではないが、巻取り要素2は、停止ピン3が退避している間に引き出し方向Wの前方に移送され支持部Aに達する新たな巻き糸が格納面6に連続して形成されるように、場合によっては可変の速度で、連続的に駆動される。同時に、緯糸の下流部は糸クランプCによって保持される。糸クランプCが開いた後、巻き糸は連続して支持部Aから消費される。その時にまたはそれ以前に既に、停止ピン3が案内溝4の終端位置に達していてもよい。停止ピン3に延びる引き出し方向W側の最後の巻き糸は、最終的に延長部Vから引き出され、次いで、挿入工程すなわちピックが停止ピン3によって終了させられた後、糸クランプCから停止ピン3まで実質的に真直ぐに延びるであろう。
【0041】
その後、糸クランプCが緯糸をクランプする。停止ピン3は、退避させられ、引き出し方向Wとは逆に巻取り要素2に向かって移動させられて、その後再び2つの巻き間に押し込まれ、次いで、続いて形成される巻き糸が停止ピン3を案内溝内の終端位置に再び移送する。
【0042】
案内面22が押し外された巻き糸を下側から支持しているので、延長部Vは、たとえば、9時の位置に、または他の場所、すなわち図示した格納体Kの12時の位置以外に、配置してもよい。
【0043】
図5の実施形態は、本質的に直角三角形24の形状を有する特に簡素な延長部Vに特徴があり、直角を挟む辺の1つが支持部Aを規定し、斜辺が上方に傾斜した対向面を構成する。この三角形は、図示したように平面の三角形のブレードでもよく、ロッド8と対向面16を規定するもう1つのロッドとで構成してもよい。後者の場合、好ましくは、両ロッドを三角形の頂点領域で相互に連結させることができる。
【0044】
図6の実施形態も、図5のものに類似した実質的に三角形の延長部Vを実装する。支持部Aの下側に位置する案内面22は9時の位置に設けられており、一方、対向面16は3時の位置に設けられている。
【0045】
図7(側面図)の実施形態は、特に好ましい実施態様の延長部Vを格納体Kに有する。格納体Kの格納面6を延長する本質的に真直ぐな支持部Aは、より急勾配で傾斜する端面15を経て先端部15に達する。対向面16は、格納体Kの軸Xにほとんど平行な、すなわち、対向面16よりも弱い傾斜の端面25を有し、この端面は先端部15で終わる。端面25は、引き出し中に支持部Aから上方に昇ろうとする巻き糸の傾向の抑制に寄与する。
【0046】
本発明の核心は、ピッキング頻度およびピック速度を最適に高くし得るべき糸測定供給装置の格納部に、延長部を設けることであって、かかる延長部によって、糸の引き出しへの不安定化の影響を多く吸収することが可能となり、糸測定供給装置の概念によって可能であるところのピッキング頻度およびピック速度が全く影響を受けず、また、2つの巻き糸が引き出しの間に決してくっつき合わずまたはもつれることがない。延長部の影響は、各巻き糸の360゜の範囲における局所位置であって、巻き糸を格納体の軸の論理的延長線に向けて直接内側に引くことができない位置に、実質的に限定される。これは、巻き糸が、解放された巻き糸パッケージの円筒状の形状から、巻き糸同士互いに信頼性よく分離されて、もつれから解放されたままで、信頼性よく挿入され得るという効果を有する。引き出し方向における延長部の支持部の長さは、糸の直径に依存して選択され、好ましくは、格納体の格納面の長さに概ね対応してもよい。巻き糸が延長部で固くなるのを防止する対向面は、必要な他の糸制御要素のための空間ができるように、格納体で始まる設計としてもよい。
【0047】
図8、図9および図10は、図1においては模式的にのみ示した覆い面23の物理的実現物を有する測定供給装置Fの簡潔な実施形態を示す。張出し形状を有する支持体28が、固定部27によってハウジング1に取り付けられている。板ばね29が支持体28に支持されている。板ばね下側が外の覆い面23を形成する。
【0048】
図8、図9および図10によれば、板ばね29は、少なくとも1つのばね体30を介して支持体28内に、特に、ばね体30が支持部Aとフィンガ18の外面とに関して側方にずれた傾斜軸を規定するように、保持される。傾斜軸は実質的に格納体Kの軸に平行に延びる。場合によっては、板ばね29は、双頭矢印31の方向に弾発的に動き得るように、フィンガ18の外面に、および延長部Vの支持部Aに、わずかに押圧されてもよい。板ばね29の前端は、引き出し方向Wにおいて、巻取り要素2から間隔をあけて位置する(図10)。板ばね29は、少なくとも支持部Aの最前端まで延び、外面19および支持部Aと協働して、長手方向に延びる巻き糸制御空隙を規定する。少なくとも巻取り要素2に対向する端部において、板ばね29は、格納体Kから遠ざかるように向けられた屈曲部32を有する。
【0049】
図10によれば、延長部Vはフィンガ18と一体であり、このため、延長部Vとフィンガ18との間に変わり目はない。たとえば板ばね29によって構成される覆い面23は、測定供給装置Fの動作中に巻き糸に弱い作動力を与えるとともに、引き出しの間に、巻き糸が互いの上に押され得ず、また、支持部Aから上方に昇らないことを確保する限り、外面19および支持部Aから僅かの間隔をあけて保持されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】延長部を含む静止した格納体を有する糸測定供給装置の模式的斜視図である。
【図2】延長部を備える格納体の他の実施形態である。
【図3】延長部を備える格納体の他の実施形態である。
【図4】糸測定供給装置の簡潔な実施形態の斜視図である。
【図5】さらに他の実施形態の斜視図である。
【図6】さらに他の実施形態の斜視図である。
【図7】さらに他の実施形態の側面図である。
【図8】さらに他の実施形態の下側からの傾斜した観察方向における斜視図である。
【図9】図8のIX−IX断面における断面図である。
【図10】図9のX−X断面における断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端(5)によって限定される巻き糸用の格納面(6)を規定する静止した格納体(K)と、格納体(K)に対して相対的に格納体(K)の軸(X)の周りに回転駆動される巻取り要素(2)と、糸の長さを測定する停止装置(S)とを含む糸測定供給装置において、
少なくとも1つの延長部(V)が、引き出し方向(W)において、前端(5)を越えて格納体(K)から突出し、延長部(V)は軸(X)に関して非対称であり、前端(5)を越えて解放された巻き糸を内側において支持する線状の支持部(A)を少なくとも形成し、
支持部は、実質的に引き出し方向(W)において、前端(5)を越えて格納面(6)を延長し、
実質的に直径方向から支持部(A)に対向し、引き出し方向(W)において支持部(A)に向かって傾斜する対向面(16)が、前端(5)を越えて突出する
ことを特徴とする糸測定供給装置。
【請求項2】
支持部(A)は、重力方向(G)に関して上端の場所に設けられることを特徴とする請求項1記載の糸測定供給装置。
【請求項3】
格納面は、中間空隙をもって軸(X)の周りに分布するとともに、好ましくは、自由端を有するフィンガ(18)の外面(19)によって規定され、
支持部(A)は、少なくとも1つのフィンガ(18)の外面(19)を延長することを特徴とする請求項1記載の糸測定供給装置。
【請求項4】
延長部(V)は、フィンガ(18)に設けられ、好ましくは、フィンガ(18)と一体に形成されることを特徴とする請求項2記載の糸測定供給装置。
【請求項5】
延長部(V)は、格納体(K)において、そこで、実質的に直径方向から1つのフィンガ(18)に対向するもう1つのフィンガ(18’)において、さらに支持されることを特徴とする請求項4記載の糸測定供給装置。
【請求項6】
延長部(V)は、他の形状を有する他の延長部(V)で置き換えられるように、格納体(K)に設けられることを特徴とする請求項1記載の糸測定供給装置。
【請求項7】
延長部(V)はロッド(8)またはブレード(9)であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の糸測定供給装置。
【請求項8】
対向面(16)は延長部(V)に組み込まれることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の糸測定供給装置。
【請求項9】
延長部(V)は、好ましくは、格納体(K)の直径よりも小さい底面直径を有する、傾斜した円錐(10)または円錐台(11)であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の糸測定供給装置。
【請求項10】
円錐(10)または円錐台(11)は、真直ぐな、凸の、または凹の母線を有することを特徴とする請求項9記載の糸測定供給装置。
【請求項11】
延長部(V)は、幅の狭い上下の側面と、機能的に支持部(A)に割り当てられたフィンガ(18)の外面(19)の幅に断面の幅が対応する長方形または楕円形の断面と、を有する中空体(20)であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の糸測定供給装置。
【請求項12】
支持部(A)は中空体(20)の幅の狭い1側面によって形成され、中空体の反対の幅の狭い側面は対向面(16)を規定し、対向面は、引き出し方向(W)において、中空体の、好ましくは尖っていない、先端部(15)に向かう傾斜方向で支持部(A)に向かって傾斜することを特徴とする請求項11記載の糸測定供給装置。
【請求項13】
支持部(A)は、格納体(K)の軸(X)に平行に延び、または、軸(X)に向かって収束することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の糸測定供給装置。
【請求項14】
支持部(A)は、引き出し方向(W)において、下方に向かって進む端面(14)を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の糸測定供給装置。
【請求項15】
対向面(16)は、実質的に軸(X)に平行な端面(25)を有することを特徴とする請求項1記載の糸測定供給装置。
【請求項16】
停止装置(S)の停止ピン(3)は、重力方向(G)に関して格納体(K)の下部領域に設けられ、好ましくは、支持部(A)によって延長された1つのフィンガ(18)に実質的に直径方向から対向する他のフィンガ(18’)と協働することを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の糸測定供給装置。
【請求項17】
停止ピン(3)は、格納体(K)に凹部を形成する案内溝(4)に関して、引き出し方向(W)およびその逆方向と半径方向とに軸(X)に関して前後に可動であり、
停止ピン(3)は、もっぱら、引き出し方向(W)において、案内溝(4)によって規定される終端位置まで、格納面(6)上を前方に移送される巻き糸によって移動され、
糸クランプ(C)が格納体の前端(5)の前に間隔をあけて配置され、糸クランプは、少なくとも糸クランプ位置と糸解放位置との間で調整可能であることを特徴とする請求項16記載の糸測定供給装置。
【請求項18】
格納体(K)の下、かつ引き出し方向(W)において前端(5)の後ろに、案内面(22)が設けられることを特徴とする請求項1記載の糸測定供給装置。
【請求項19】
重力方向(G)に関して格納体(K)の上端に、覆い面(23)が設けられ、覆い面(23)は引き出し方向(W)において前端(5)の後ろの場所まで延びることを特徴とする請求項1記載の糸測定供給装置。
【請求項20】
覆い面(23)は、格納体(K)に関して外側に屈服可能なように、かつ、フィンガ(18)の外面(19)および支持部(A)と協働して巻き糸制御空隙を規定するように、配置されることを特徴とする請求項19記載の糸測定供給装置。
【請求項21】
覆い面(23)は、フィンガ(18)の外面(19)に対しておよび支持部(A)に対して外側から、弾発的に、予め装着されることを特徴とする請求項19記載の糸測定供給装置。
【請求項22】
覆い面(23)は、引き出し方向(W)において巻取り要素(2)から遠いフィンガ(18)の外面(19)における場所から、引き出し方向(W)において、フィンガ(18)の外面(19)と支持部(A)の双方に沿って、支持部(A)の端を越えて延びることを特徴とする請求項19記載の糸測定供給装置。
【請求項23】
覆い面(23)は、ばね要素の下面によって構成されることを特徴とする請求項19記載の糸測定供給装置。
【請求項24】
ばね要素は板ばね(29)であり、板ばね(29)は、格納体の軸(X)に実質的に平行な傾斜軸にて、静止支持体(28)内に弾発的に保持されることを特徴とする請求項23記載の糸測定供給装置。
【請求項25】
板ばね(29)は、少なくとも1つのばね体(30)によって、ばね体(30)が引き出し方向(W)に関して板ばね(29)と支持部(A)との間の接触領域の一方側に側方にずれるように、支持体(28)内に取り付けられることを特徴とする請求項24記載の糸測定供給装置。
【請求項26】
板ばね(29)は、格納体(K)から遠ざかるように向けられた屈曲部(32)を、少なくとも一端部に有することを特徴とする請求項24記載の糸測定供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−514065(P2007−514065A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543372(P2006−543372)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007444
【国際公開番号】WO2005/061358
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(506198595)イロ エービー (1)
【氏名又は名称原語表記】IRO AB
【住所又は居所原語表記】P.O.BOX 54,Ulricehamn,Sweden
【Fターム(参考)】