説明

紅富貴茶を使用したゼリー状食品の製造方法

【課題】花粉症等のアレルギー症状を軽減する作用を有するメチル化カテキンを含有する紅富貴茶を、ゼリー状食品とする製造方法を提供する。
【解決手段】従来公知の方法により生茶葉から加工して仕上げられた紅富貴茶を電解還元水等と混合して流状物とし、該流状物を超微粉末化装置に投入して前記紅富貴茶を小腸より生体に吸収できる5μm以下に超微粉末化して、該紅富貴茶のメチル化カテキン等の有効成分を前記粒状物中に抽出し、然る後、該超微粉末化した紅富貴茶を含む流状物をゼリー状食品とすることにより、メチル化カテキン等有効成分の消滅を阻止すると共に、紅富貴茶の渋味と苦味を緩和して、ゼリー状食品とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、花粉症等のアレルギー症状を軽減する作用を有するメチル化カテキンを含有する紅富貴茶をゼリー状食品とする製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
メチル化カテキンを多く含有する紅富貴茶は、花粉症、鼻づまりやくしゃみ等の鼻炎に効果があることが確認されている。
【0003】
前記紅富貴茶は、独立行政法人農業技術研究機構野菜茶業研究所で育成され、1993年に命名登録された茶葉である。この茶葉は、国産紅茶の「紅誉れ」と「ダージリン」の交配品種であり、紅茶用に開発されたお茶のため、そのまま緑茶に仕上げると、渋味と苦味が強く、極めて飲みにくいという性質を有している。
【0004】
前記花粉症等に効果のある紅富貴茶を茶飲料として摂取するため、前記紅富貴茶を酸化醗酵工程を要する紅茶として仕上げると、前記メチル化カテキンは激減してしまい、これを飲用しても花粉症等、鼻炎への効果が薄れる。
【0005】
このため、従来一般には、紅富貴茶は本来紅茶の品種として改良されたものであるにも拘らず、メチル化カテキンを含有した状態とするため、紅富貴茶の生茶葉を酸化醗酵工程を要しない緑茶製法により緑茶と同様の紅富貴茶として仕上げている。
【0006】
しかしながら、前記酸化醗酵工程を要しない緑茶製法においては、その製造過程において、紅富貴茶の茶葉が本来有する紅茶系の香りや味が消失してしまい、出来上がった紅富貴茶は香りが薄く、強い渋味と苦味があって、飲みにくいという課題があった。
【0007】
そして、前記課題を解決すべく、紅富貴茶の生茶葉を60〜80℃の低温下で、メチル化カテキンの消滅を抑えながら水分を除去する熱風処理して、紅茶風味を発現させるようにする方法が下記の特許文献1に開示されており、この方法によれば、メチル化カテキンの含有量を著しく低下させることがなく、また、醗酵工程を要することもなく、テアフラビンの含有量を増加させることが可能となり、紅茶風味を呈する加工茶葉とすることができるという効果を奏することができる旨記載されている。しかしながら、特許文献1には、小腸より生体に吸収される粒径と云われている5μm以下に紅富貴茶を超微粉末化すると共に、渋味と苦味を柔げるというような記載、および紅富貴茶をゼリー状食品とする記載はなく、従って、特許文献1記載のものでは、渋味と苦味を柔げることができず、更にゼリー状食品とする発想がないので、簡単に摂取することができないという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−206414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記従来公知の緑茶製法により加工して仕上げられた紅富貴茶、または前記特許文献1に記載された方法により加工して仕上げられた紅富貴茶のように、従来公知の方法により生茶葉から加工して仕上げられた紅富貴茶を電解還元水等と混合して流状物とし、該流状物を超微粉末化装置に投入して前記紅富貴茶を小腸より生体に吸収できる5μm以下に超微粉末化して、該紅富貴茶のメチル化カテキン等の有効成分を前記粒状物中に抽出し、然る後、該超微粉末化した紅富貴茶を含む流状物をゼリー状食品とすることにより、メチル化カテキン等有効成分の消滅を阻止すると共に、紅富貴茶の渋味と苦味を緩和して、ゼリー状食品として食し易くする一方、前記メチル化カテキン等の有効成分を迅速に、且つ効率よく生体に吸収できるようにした紅富貴茶を使用したゼリー状食品の製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記従来の課題を解決すべくなされたもので、従来公知の方法により生茶葉から加工して仕上げられた紅富貴茶を微粉末化して、これを電解還元水、アルカリイオン水、ミネラルウォーターあるいは純水と混合して流状物とし、該流状物を超微粉末化装置に投入して前記紅富貴茶を小腸より生体に吸収できる5μm以下に超微粉末化すると共に、該紅富貴茶のメチル化カテキン等の有効成分を前記粒状物中に抽出し、然る後、該超微粉末化した紅富貴茶を含む流状物をゼリー状食品とすることにより、メチル化カテキン等有効成分の消滅を阻止し、更に、紅富貴茶の渋味と苦味を緩和して、ゼリー状食品として食し易くする一方、前記メチル化カテキン等の有効成分を迅速に、且つ効率よく生体に吸収できるようにした紅富貴茶を使用したゼリー状食品を製造することにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0011】
本発明製造方法によって得られたゼリー状食品は、メチル化カテキン等有効成分の消滅を阻止すると共に、紅富貴茶の渋味と苦味を緩和して、ゼリー状食品として食し易くする一方、前記メチル化カテキン等の有効成分を迅速に、且つ効率よく生体に吸収できるので、時と場所を問わず、いつでも気軽に食することができ、花粉症等、鼻炎の患者にとって、極めて便利な食品である。
【実施例1】
【0012】
本発明は、紅富貴茶の生茶葉を、従来公知の方法より加工して仕上げられた紅富貴茶を超微粉末化したものを使用して、ゼリー状食品とする製造方法である。
【0013】
本発明の実施例1による紅富貴茶を使用したゼリー状食品の製造方法の第1工程は、前記従来公知の方法により加工して仕上げられた紅富貴茶を、後述する超微粉末化工程において超微粉末化装置に投入して超微粉末化するため、粉砕機により微粉砕して50μm以下に微粉末化する工程である。なお、前記粉砕機は、衝撃、摩擦(摩砕力)、せん断等を利用して、従来一般に使用されている粉砕機を使用する。
【0014】
次に、前記第1工程で微粉末化された紅富貴茶微粉末を、超微粉末化装置に投入して超微粉末化すると共に、紅富貴茶の有効成分を抽出する第2工程に入る。すなわち、本発明の実施例1による紅富貴茶を使用したゼリー状食品の製造方法の第2工程は、前記粒50μm以下に微粉末化された紅富貴茶微粉末1〜15重量%、好ましくは10重量%を、水道水、または天然水を電解して得られた、塩素を含まず、酸化還元電位が200mV以下であって、且つ活性水素を含む特性を有する電解還元水85〜99重量%、好ましくは90重量%中に添加混入して混合攪拌し、該混合液の調整を行ない、前記紅富貴茶微粉末が、前記電解還元水中に均等に分散するよう調整して、紅富貴茶微粉末と前記電解還元水との流状物とする工程である。
【0015】
なお、本発明において、前記電解還元水を使用するのは、特に水道水の場合、水道水に含まれている塩素によって酸化されて、紅富貴茶のビタミン等の有効成分が劣化するのを防止すると共に、不純物の混入を防止し、更に、電解還元水が保有する前記特性を、本発明製造工程において利用することにより、高品質の超微粉末化された紅富貴茶超微粉末を得るためである。
【0016】
本発明で使用する電解還元水としては、特に限定する必要はないが、好ましくは、例えば日本トリム株式会社製の電解還元水整水器である「トリムイオンTI−8000」を使用して水道水を電解して生成された、電解酸性水と電解還元水のうち、電解還元水を使用する。前記「トリムイオンTI−8000」により生成された電解還元水は、pH9.6程度のアルカリ性で、酸化還元電位が−274mV程度で、且つ活性水素を含んでいることが知られている。
【0017】
前記「電解還元水」は、チタンに白金焼成した電極板を用いて水道水を電気分解して得られた水であって、還元力を持つ活性水素を豊富に含む水で、その結果さまざまな活性酸素を消去する力を持った水である。
【0018】
通常、水素原子(H)が2個結合して水素分子(H)として存在しているのが普通であるが、水素が分子として存在せず、原子で存在しているのが活性水素である。
【0019】
一方、活性酸素は、様々な病気を引き起こすと考えられ、その強い酸化力から清浄な細胞を破壊し、病気や老化の原因となる。活性酸素は通常の酸素より電子が1つ少ない電気的に不安定な状態となり、正常な細胞から電子を奪おう(酸化)とする。このように、電子を奪われた細胞は、酸化され死滅する。
【0020】
そして、活性水素は、前記のように、水素が原子状態となることによって、電気的に不安定であるが、該活性水素が様々な病気の原因となる電気的に不安定な活性酸素と結びつき、無害な(H+O=HO)となって体外へ排出されることとなる。すなわち、活性水素は活性酸素を消去する能力がある。
【0021】
本発明の実施例1による紅富貴茶を使用したゼリー状食品の製造方法の第3工程は、紅富貴茶微粉末の超微粉末化および有効成分抽出工程である。すなわち、第3工程は、前記工程で得られた前記紅富貴茶微粉末と前記電解還元水との流状物を、従来公知の超微粉末化装置により前記流状物中の紅富貴茶微粉末全体を、小腸より生体に吸収される粒径といわれている5μm以下にまで超微粉末化すると共に、前記流状物中に紅富貴茶の有効成分を抽出して紅富貴茶超微粉末溶液とする工程である。前記紅富貴茶を超微粉末化することにより、超微粉末化されていない紅富貴茶より、苦味と渋味が緩和される。
【0022】
前記超微粉末化装置としては、特に限定する必要はないが、例えば特許第2788010号「乳化装置」を、または特許第3151706号「噴流衝合装置」を、本発明における紅富貴茶の超微粉末化装置として使用することが推奨される。前記装置はいずれも超高圧での流体同士の衝突を利用して乳化や微細な粒子の分散などの流体の均質化および/又は粉砕による流体の微粒子化を行うと共に、紅富貴茶の有効成分を流状物中に抽出するものである。本発明においては、これら装置を、紅富貴茶粉末の超微粉末化装置として使用する。
【0023】
すなわち、超微粉末化装置は、前記紅富貴茶微粉末と前記電解還元水との流状物を超高圧に加圧して前記超微粉末化装置に圧送して、前記流状物を高圧のもとで衝突させて紅富貴茶微粉末を粉砕して、該粒状物中の紅富貴茶微粉末全体を5μm以下にまで超微粉末化すると共に、該紅富貴茶の有効成分を前記粒状物中に抽出して紅富貴茶超微粉末溶液とする。
【0024】
また更に、前記超微粉末装置としては、前記2件の特許発明に係る装置の外、例えば株式会社スギノマシン(富山県魚津市本江2410番地)の販売している粉砕・乳化・分散用の「アルティマイザーシステム」の「スリットチャンバー方式」のものを使用することもできる。この「スリットチャンバー方式」の超微粉末化装置は、超高圧で加圧した紅富貴茶微粉末と前記電解還元水との流状物が、ダイヤモンドとダイヤモンドの隙間(スリット)を通過する際の圧縮、せん断、乱流により、紅富貴茶微粉末を紛砕して、該粒状物中の紅富貴茶微粉末全体を前記5μm以下にまで超微粉末化すると共に、前記紅富貴茶の有効成分を前記流状物中に抽出して紅富貴茶超微粉末溶液とする。
【0025】
すなわち、前記超微粉末化装置内へ圧送された紅富貴茶微粉末を含む流状物は、圧送方向が対向する前記流状物の2つの流れが激しく衝突すると共に、該流状物中の紅富貴茶粉末同士が衝突して、前記流状物に瞬時に強大なエネルギーが加わり、このエネルギーにより、該流状物中の紅富貴茶微粉末全体を5μm以下にまで超微粉末化して、メチル化カテキン等の紅富貴茶の有効成分を前記流状物中に抽出して紅富貴茶超微粉末溶液とする。
【0026】
前記超微粉末化装置に投入された流状物中の紅富貴茶微粉末の超微粉末化が所定の粒径に達しない場合は、一旦貯留槽等に貯留された前記流状物を、複数回超微粉末化装置に高圧で圧送して、超微粉末化および有効成分抽出工程を繰返すことにより、所定の粒径にまで超微粉末化された紅富貴茶を得ることができる。この場合、超微粉末化されて行くに従って紅富貴茶微粉末全体の表面積が大きくなることにより、水分比率が減少するため、スムーズに圧送できず目詰まりを起こす虞れあるので、必要であれば、新たに前記電解還元水を少量、例えば2〜10重量%、好ましくは5重量%程度を前記流状物中に追加混入して、水分比率を高めて前記超微粉末化および有効成分抽出装置へのスムーズな圧送を図り、超微粉末化してもよい。
【0027】
本発明製造方法において、前記超微粉末化装置に投入する流状物中に含まれる微粉末状の紅富貴茶粉末の量は、本発明者のテストの結果、還元水85〜99重量%に対して、1〜15重量%が好ましいことが判った。前記流状物中の紅富貴茶微粉末の量が15重量%以上であると、該紅富貴茶微粉末によって超微粉末化装置が目詰まりを起こして使用できないため、それ以下の1〜15重量%とすることが推奨される。
【0028】
前記紅富貴茶微粉末を含む流状物が高圧で衝突して、流状物に瞬時に強大なエネルギーが加わると、水分子が分解してOHラジカルのような強力な活性酸素が発生し、該活性酸素が紅富貴茶微粉末中のメチル化カテキン等の有効成分と反応して、これら有効成分が劣化してしまう。そこで、本発明においては、活性水素を含む電解還元水を使用しているので、前記超微粉末化作業で発生した活性酸素を活性水素で消去することにより、前記メチル化カテキン等の有効成分の劣化を防止して、高品質の紅富貴茶超微粉末を得ることができる。
【0029】
更に、前記超微粉末化された紅富貴茶粉末は、前記電解還元水がpH9〜10程度のアルカリ性である場合、更にメチル化カテキン等の有効成分の抽出効率が高められ、前記紅富貴茶中のメチル化カテキン等の有効成分をほとんど流状物中に抽出して紅富貴茶超微粉末溶液とする。
【0030】
そして、本発明の実施例1による紅富貴茶を使用したゼリー状食品の製造方法の最後の第4工程は、前記第3工程において、紅富貴茶を超微粉末化すると共に、流状物中に紅富貴茶の有効成分を抽出した紅富貴茶超微粉末溶液を、従来公知の方法を使用してゼリー状食品とする工程である。すなわち、第4工程は、特に限定する必要はないが、好ましくは、前記紅富貴茶超微粉末溶液60〜70重量%に、カラギナン、ローカストビーンガム、ジェランガム、キサンタンガム等のゲル化剤(増粘多糖類)3〜5重量%、クエン酸等の酸味料、pH調整剤等の調味料、およびソルビトール等の甘味料等の添加材27〜35重量%を、添加混入して攪拌し、然る後冷却してゼリー状食品とするものである。
【0031】
なお、前記製造方法により製造されたゼリー状食品は、携帯に便利なように小袋状のバッケージに封入したり、あるいはカップ状容器に封入して、適宜の方法により包装することができる。
【実施例2】
【0032】
次に、本発明の実施例2による紅富貴茶を使用したゼリー状食品の製造方法は、前記実施例1において使用する電解還元水に代えて、塩素を含まないアルカリイオン水、ミネラルウォーターあるいは純水のいずれかの水を使用するものである。水道水のように塩素を含んだ水を使用すると、該塩素によってメチル化カテキン等の有効成分が酸化されて劣化するので、これを防止すると共に、不純物の混入を防止して、高品質の紅富貴茶超微粉末を得るために、前記塩素を含まないアルカリイオン水、ミネラルウォーターあるいは純水のいずれかの水を使用するのである。
【0033】
前記アルカリイオン水は、一般に市販されているアルカリイオン水生成器を使用して水道水を電気分解して生成されたマイナス側の水で、好ましくはpH9〜10程度のアルカリ性であることが推奨され、これを使用することにより、メチル化カテキン等の有効成分の抽出効率が高められる。また、ミネラルウォーターは市販されているものを使用し、更に、純水は純水製造装置により製造されたものを使用する。
【0034】
そして、実施例2による紅富貴茶を使用したゼリー状食品の製造方法としては、実施例1の紅富貴茶を使用したゼリー状食品の製造方法とは、第2工程が少し異なるだけで、その他の工程は同一である。すなわち、実施例2における第2工程は、実施例1の電解還元水が、水道水、または天然水を電解して得られた塩素を含まず、酸化還元電位が200mV以下であって、且つ活性水素を含む水であるのに対し、実施例2において使用するアルカリイオン水、ミネラルウォーターあるいは純水は、活性水素を含まない水であるため、紅富貴茶微粉末を含む流状物の衝突時に発生する活性酸素を実施例1におけるように消去する作用がないが、品質的には実施例1のものに比して多少劣るだけで、食品として使用しても何等遜色がない。
【0035】
なお、実施例2においても、前記実施例1と同様に、所定の粒径の紅富貴茶超微粉末を得るまで、複数回に亘って超微粉末化および有効成分抽出工程を繰返す場合、超微粉末化されて行くに従って紅富貴茶微粉末全体の表面積が大きくなることにより、水分比率が減少するため、スムーズに圧送できず目詰まりを起こす虞れもあるので、必要であれば、新たに前記アルカリイオン水、ミネラルウォーターあるいは純水を少量、例えば2〜10重量%、好ましくは5重量%程度を前記流状物中に追加混入して、水分比率を高めて前記超微粉末化装置へのスムーズな圧送を図り、超微粉末化してもよい。
【実施例3】
【0036】
更に、本発明の実施例3による紅富貴茶を使用したゼリー状食品の製造方法は、前記実施例1および実施例2における第3工程の紅富貴茶を超微粉末化すると共に、粒状物中に紅富貴茶の有効成分を抽出して紅富貴茶超微粉末溶液とする工程と、第4工程のゼリー状食品とする工程の間に、前記第2工程で得られた粒状物中の紅富貴茶超微粉末から、前記第3工程により、ある程度苦味と渋味を緩和された紅富貴茶の苦味と渋味を、更に大巾に緩和する工程を付加したものである。
【0037】
すなわち、実施例3の第1工程〜第3工程は、実施例1と実施例2における第1工程〜第3工程と全く同一工程であるので、実施例3においては、前記第1工程〜第3工程の説明を省略する。
【0038】
本発明の実施例3による紅富貴茶を使用したゼリー状食品の製造方法の第4工程は、前記第3工程において、粒状物中に紅富貴茶の有効成分を抽出して得られた紅富貴茶微粉末溶液中に、遠赤外線を放射すると共に、カリウム40を含有して低線量の放射線を放射する天然放射性鉱物である角閃石を浸漬して、遠赤外線の作用により、前記第3工程において、苦味と渋味をある程度緩和された紅富貴茶の苦味と渋味を、更に大巾に緩和する工程である。
【0039】
本発明の実施例3による紅富貴茶を使用したゼリー状食品の製造方法の第4工程に使用する天然放射性鉱物である角閃石は、岩手県遠野市に埋蔵されている花崗斑岩の一種である。前記角閃石の効果については、既に多くの特許公報に開示されていると共に、その他の文献、並びにインターネットのウエブサイトに掲載されて広く知られている。
【0040】
そして、前記角閃石の生産者である岩手県遠野市所在の株式会社古代石器が、岩手県工業技術センターに該角閃石の定量分析を依頼したところ、前記角閃石はシリカ60重量%、酸化アルミニウム17重量%、酸化第二鉄17重量%、酸化チタン0.7重量%、酸化カルシウム6.2重量%、酸化マグネシウム2.7重量%、酸化ナトリウム3.3重量%、酸化カリウム1.6重量%等を含んでいるという分析結果が得られた。
【0041】
また、前記株式会社古代石器は、前記角閃石の遠赤外線放射率の測定を長野県工業試験場に依頼したところ、生体や動植物、あるいは水や溶液に吸収されやすい4〜15μmの波長範囲内の遠赤外線放射率が、90%以上であるという測定結果が得られ、本発明で使用する前記角閃石は遠赤外線放射率が高いことが立証されている。
【0042】
更に、多数のインターネットのウエブサイトにおいて、前記角閃石が低線量の放射線を放射する旨記載されているので、この事実を確認するため、前記株式会社古代石器が、茨城県つくば市所在の財団法人放射線計測協会へ、角閃石のδ線量当量率の測定を依頼したところ、δ線量当量率が0.07μSv/hという測定結果が得られた。なお、この測定数値は、バックグラウンド(角閃石のないδ線量当量率が0.06μSv/h)を含んでおり、従って、前記δ線量当量率が0.07μSv/hの数値は、生体に全く悪い影響を及ぼすような数値ではなく、生体にとって安全な極めて低線量の放射線を放射していることが確認することができた。
【0043】
そして、前記株式会社古代石器は、前記角閃石が極めて低線量の放射線を放射しているという測定結果から、該角閃石が低線量の放射線を放射するのは、特開2004−121685号公報の記載、並びに多数のインターネットのウエブサイトの記載から、前記角閃石にはカリウム40が含有されており、該カリウム40から低線量の放射線が放射されていると判断した。
【0044】
なお、前記特開2004−121685号に開示された鉱物は、石英斑岩である旨記載されているが、本願発明で使用する角閃石が属する花崗斑岩の中で、特に斑晶の少ないものが石英斑岩と云われているので、両者は同一性状を有する鉱物であると判断できる。
【0045】
前記特開2004−121685号公報中に、カリウム40は、ラジウム、ウラン、トリウムのように取扱いに危険性がある物質ではなく、低放射能で法規制のない安全な物質である旨記載されていることからも、本発明で採用する角閃石は、低線量の放射線を放射するカリウム40を含有するものの、極めて安全な放射性鉱物であることができる。
【0046】
本発明の実施例3による紅富貴茶を使用したゼリー状食品の製造方法の第4工程は、前記遠赤外線を放射すると共に、カリウム40を含有し低線量の放射する角閃石を、前記第3工程において、粒状物中に紅富貴茶の有効成分を抽出して得られた紅富貴茶超微粉末溶液中に浸漬し、前記角閃石の遠赤外線効果を紅富貴茶超微粉末およびその溶液に作用させて、紅富貴茶の苦味と渋味を緩和させる工程である。
【0047】
一般に遠赤外線は、生体の外、ほとんどの物質(プラスチック・繊維・食品等の高分子物質、水・アルコール等の低分子物質)に吸収され、物質の原子・分子を激しく動かし、物質の温度を上げたり、改質させたりする効果があり、水(溶液)の改質・状態変化の場合、クラスターの細分化、味覚向上等の作用があり、更に食品の改質の場合、お茶・コーヒー・水割り・焼酎・ワイン・日本酒等の味がまろやかになるという作用を有することが知られている。
【0048】
遠赤外線は前記のような作用および効果を有するが、本発明で採用する角閃石は、前記したように、低線量の放射線を放射するカリウム40を含有しているため、前記特開2004−121685号に記載されているように、該カリウム40は励起作用を有しており、該カリウム40の励起作用により遠赤外線の励起を高めて、前記紅富貴茶超微粉末溶液に遠赤外線の電磁波が放射されることによって、励起されていない遠赤外線と比べて、遠赤外線の特性である放射・深遠力・共鳴並びに吸収が高まり、共鳴共振行動から水のクラスタが分解して、水の分子が小さくなることで、前記溶液中に変化を生じさせ、これにより極めて短時間で即効的な芳醇化が起こり、紅富貴茶の苦味と渋味が緩和されて、まろやかな味に変化させることができるのである。
【0049】
前記角閃石を紅富貴茶超微粉末溶液中に浸漬する場合、該角閃石は遠赤外線の放射面積を高めるため、特に限定する必要はないが、好ましくは、小さく砕石状に破砕したものをネット状の袋に入れて、前記溶液中に浸漬することが推奨される。
【0050】
そして、前記溶液中に浸漬する角閃石の量は、特に限定する必要はないが、好ましくは該溶液85〜95重量%に対して、角閃石5〜15重量%を浸漬することが推奨される。また、角閃石を前記溶液中に浸漬すると、該角閃石から該記溶液および溶液中の紅富貴茶超微粉末に対して直ちに遠赤外線が放射される。この場合、前記溶液を攪拌しなくても、遠赤外線の放射効果はあるが、該溶液を攪拌することにより、角閃石の遠赤外線が効率よく平均的に溶液中に放射されるため、前記溶液中の紅富貴茶超微粉末と紅富貴茶抽出成分の芳醇化が迅速にできる。
【0051】
前記溶液中に角閃石を浸漬した場合、その浸漬時間は溶液の量と角閃石の量によって決定されるが、例えば、溶液90重量%に角閃石10重量%を浸漬する場合、30〜60分程度で充分であるが、好ましくは、角閃石の浸漬工程中において、作業者が溶液の味見をして苦味と渋味の確認をし、目的とする程度に苦味と渋味が緩和されるまで、第4工程を継続することが推奨される。
【0052】
前記第4工程により、紅富貴茶の苦味と渋味が緩和された紅富貴茶超微粉末溶液は、従来公知の方法を使用してゼリー状食品とする第5工程へ移行する。そして、この第5工程は、実施例1・2の第4工程と全く同一である。
【0053】
すなわち、第5工程は、特に限定する必要はないが、好ましくは、前記紅富貴茶超微粉末溶液60〜70重量%、カラギナン、ローカストビーンガム、ジェランガム、キサンタンガム等のゲル化剤(増粘多糖類)3〜5重量%、クエン酸等の酸味料、pH調整剤等の調味料、およびソルビトール等の甘味料等の添加物25〜37重量%を、前記紅富貴茶超微粉末溶液中に添加混入して攪拌し、然る後冷却してゼリー状食品とするものである。
【0054】
前記実施例3の製造方法により製造されたゼリー状食品は、紅富貴茶独特の苦味と渋味が更に緩和されているので食しやすい。そして、前記ゼリー状食品は、携帯に便利なように小袋状のバッケージに封入したり、あるいはカップ状容器に封入して、適宜の方法により包装することができる。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
従来公知の加工方法により生茶葉から加工して仕上げられた紅富貴茶を微粉砕して50μm以下に微粉末化する第1工程と、
前記第1工程で50μm以下に微粉末化された紅富貴茶微粉末を、水道水、または天然水を電解して得られた、塩素を含まず、酸化還元電位が200mV以下であって、且つ活性水素を含む特性を有する電解還元水に添加混入して混合攪拌し、混合液の調整を行い、前記紅富貴茶微粉末が、前記電解還元水中に均等に分散するよう調整して、紅富貴茶微粉末と前記電解還元水との流状物とする第2工程と、
前記第2工程で、前記電解還元水中に紅富貴茶微粉末を分散した流状物を、超微粉末化装置に投入して該紅富貴茶微粉末を高圧で衝突させて、前記紅富貴茶微粉末を粉砕して該紅富貴茶微粉末全体を超微粉末化することにより、前記超微粉末化された紅富貴茶から有効成分を前記流状物中に抽出する第3工程と、
前記第3工程で、超微粉末化された紅富貴茶から有効成分を抽出した超微粉末化された紅富貴茶を含む溶液に、ゲル化剤および添加材を添加混入して攪拌し、然る後、冷却してゼリー状食品とする第4工程とにより製造することを特徴とする紅富貴茶を使用したゼリー状食品の製造方法。
【請求項2】
従来公知の加工方法により生茶葉から加工して仕上げられた紅富貴茶を微粉砕して50μm以下に微粉末化する第1工程と、
前記第1工程で50μm以下に微粉末化された紅富貴茶微粉末を、塩素を含まないアルカリイオン水、ミネラルウォーターあるいは純水のいずれかの水中に添加混入して混合攪拌し、混合液の調整を行い、前記紅富貴茶微粉末が、前記アルカリイオン水、ミネラルウォーターあるいは純水のいずれかの水中に均等に分散するよう調整して、紅富貴茶微粉末と前記アルカリイオン水、ミネラルウォーターあるいは純水のいずれかの水との流状物とする第2工程と、
前記第2工程で、前記アルカリイオン水、ミネラルウォーターあるいは純水のいずれかの水中に紅富貴茶微粉末を分散した流状物を、超微粉末化装置に投入して該紅富貴茶微粉末を高圧で衝突させて、前記紅富貴茶微粉末を粉砕して該紅富貴茶微粉末全体を超微粉末化することにより、前記超微粉末化された紅富貴茶から有効成分を前記流状物中に抽出する第3工程と、
前記第3工程で、超微粉末化された紅富貴茶から有効成分を抽出した超微粉末化された紅富貴茶を含む溶液に、ゲル化剤および添加材を添加混入して攪拌し、然る後、冷却してゼリー状食品とする第4工程とにより製造することを特徴とする紅富貴茶を使用したゼリー状食品の製造方法。
【請求項3】
従来公知の加工方法により生茶葉から加工して仕上げられた紅富貴茶を微粉砕して50μm以下に微粉末化する第1工程と、
前記第1工程で50μm以下に微粉末化された紅富貴茶微粉末を、水道水、または天然水を電解して得られた、塩素を含まず、酸化還元電位が200mV以下であって、且つ活性水素を含む特性を有する電解還元水に添加混入して混合攪拌し、混合液の調整を行い、前記紅富貴茶微粉末が、前記電解還元水中に均等に分散するよう調整して、紅富貴茶微粉末と前記電解還元水との流状物とする第2工程と、
前記第2工程で、前記電解還元水中に紅富貴茶微粉末を分散した流状物を、超微粉末化装置に投入して該紅富貴茶微粉末を高圧で衝突させて、前記紅富貴茶微粉末を粉砕して該紅富貴茶微粉末全体を超微粉末化することにより、前記超微粉末化された紅富貴茶から有効成分を前記流状物中に抽出する第3工程と、
前記第3工程で有効成分を抽出した超微粉末化された紅富貴茶を含む溶液に角閃石を浸漬して、該溶液に遠赤外線を放射して紅富貴茶の苦味と渋味を緩和させる第4工程と、
前記第4工程で、紅富貴茶の苦味と渋味を緩和された前記溶液に、ゲル化剤および添加材を添加混入して攪拌し、然る後、冷却してゼリー状食品とする第5工程とにより製造することを特徴とする紅富貴茶を使用したゼリー状食品の製造方法。
【請求項4】
従来公知の加工方法により生茶葉から加工して仕上げられた紅富貴茶を微粉砕して50μm以下に微粉末化する第1工程と、
前記第1工程で50μm以下に微粉末化された紅富貴茶微粉末を塩素を含まないアルカリイオン水、ミネラルウォーターあるいは純水のいずれかの水に添加混入して混合攪拌し、混合液の調整を行い、前記紅富貴茶微粉末が、前記アルカリイオン水、ミネラルウォーターあるいは純水のいずれかの水中に均等に分散するよう調整して、紅富貴茶微粉末と前記アルカリイオン水、ミネラルウォーターあるいは純水のいずれかの水との流状物とする第2工程と、
前記第2工程で、前記アルカリイオン水、ミネラルウォーターあるいは純水のいずれかの水中に紅富貴茶微粉末を分散した流状物を、超微粉末化装置に投入して該紅富貴茶微粉末を高圧で衝突させて、前記紅富貴茶微粉末を粉砕して該紅富貴茶微粉末全体を超微粉末化することにより、前記超微粉末化された紅富貴茶から有効成分を前記流状物中に抽出する第3工程と、
前記第3工程で有効成分を抽出した超微粉末化された紅富貴茶を含む溶液に角閃石を浸漬して、該溶液に遠赤外線を放射して紅富貴茶の苦味と渋味を緩和させる第4工程と、
前記第4工程で、紅富貴茶の苦味と渋味を緩和された前記溶液に、ゲル化剤および添加材を添加混入して攪拌し、然る後、冷却してゼリー状食品とする第5工程とにより製造することを特徴とする紅富貴茶を使用したゼリー状食品の製造方法。




【公開番号】特開2010−279314(P2010−279314A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−136789(P2009−136789)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【出願人】(503158671)
【Fターム(参考)】