説明

納豆及びその製造方法

【課題】納豆に味の深みと濃さを加え旨さを増し、更に歯応えのある食感が得られると共に、小さな力で掻き混ぜることのできる納豆及びその製造方法を提供する。
【解決手段】干し納豆入り納豆とした。納豆100重量部に対して10〜30重量部の干し納豆を入れる。納豆の製造方法は、大豆を蒸煮又は煮た後に納豆菌を接種する納豆の製造方法において、蒸煮又は煮た後に干し納豆を混合させてから納豆菌を接種するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、納豆及びその製造方法に関し、より詳細には納豆の味に旨味と濃さを増すことのできる納豆及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のパック入り納豆の製造方法として、図1に示す如く工程1で大豆をきれいに洗浄し、工程2で容器に入れ約1日浸漬をする。充分に吸水した大豆を工程3で蒸煮し、工程4でパックに詰め、工程5で大豆に納豆菌を接種する。工程6で発酵室に入れ発酵が終わった時点で工程7で熟成室に入れて約1日位で納豆が完成する(特許文献1参照)。
【0003】
従来のわら納豆の製造方法として図2に示す如く図1と同様に大豆を洗浄、浸漬後、工程3Aで蒸煮又は煮る。工程5で納豆菌を接種する。一方、工程10で稲わらを選り、工程11でそれを結束し、工程12で定尺に切断し、わら苞を完成する。工程13でわら苞を煮沸消毒する。工程14で煮沸したわら苞を高温乾燥し、工程15で検査をする。工程16で菌接種された大豆を検査したわら苞内に詰める。
【0004】
図1と同様に工程6、7で発酵熟成させて完成する。
図3は従来の干し納豆の製造方法を示し、工程20で納豆に各種味付粉抹、例えばとうがらし粉抹、しその葉粉抹をまぶし、よくかき混ぜ、工程21で乾燥させ完成させる。
従来の納豆には味に深みも濃さもなく味が淡白であり、味が単一的で食感もなかった。掻き混ぜる際には特に粘性が強く、大きな力を必要とした。一方、干し納豆は独特の臭いがあるため単独では食べられない人が多かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−229893
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の納豆及び干し納豆の欠点をなくし、納豆に味の深みと濃さを加え旨さを増し、更に歯応えのある食感が得られると共に、小さな力で掻き混ぜることのできる納豆及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、干し納豆入り納豆とした。
納豆100重量部に対し10〜30重量部の干し納豆を入れる。
本発明の納豆の製造方法は、大豆を蒸煮又は煮た後に納豆菌を接種する納豆の製造方法において、蒸煮又は煮た後に干し納豆を混合させてから納豆菌を接種するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、納豆に納豆を乾燥して固く味の凝縮した糸の引かない干し納豆を混合することにより、納豆に歯応えのある食感が加わり味が濃く深い旨味が増し、その上糸の引かない干し納豆が入っているので、全体としての粘性力が弱まり、掻き混ぜる際も小さな力で掻き混ぜられる。本納豆の製造方法による大豆の蒸煮又は煮る工程の後でかつ納豆菌接種工程の前で干し納豆を混合するので、凝縮された干し納豆の旨味成分と干し納豆独特の臭いが発酵する際に蒸煮又は煮た大豆に吸収され、干し納豆独特の臭いのない味が濃い、かつ深い旨味の増した納豆になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】従来例のパック入り納豆の製造工程を示す。
【図2】従来例のわら納豆の製造工程を示す。
【図3】従来例の干し納豆の製造工程を示す。
【図4】本発明のパック入り納豆の製造工程を示す。
【図5】本発明のわら納豆の製造工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図4は本発明によるパック入り納豆の製造工程を示す。
図1の従来例の如く工程1、2及び3で大豆を洗浄、浸漬、蒸煮する。その後、工程3Bで干し納豆を加え均一に攪拌混合する。その配合割合は蒸煮した大豆100重量部に対し干し納豆を10〜30重量部が好ましい。10重量部未満だと味に影響が出ない。逆に30重量部を超えると干し納豆の影響が強く出てしまい糸引きも悪くなってしまう。そして、従来と同じように工程4、5、6及び7でパック詰めし、納豆菌接種、発酵、熟成して干し納豆入り納豆が完成する。
【0011】
図5は本発明によるわら納豆の製造工程を示す。
図2の従来例の如く工程1、2及び3Aで大豆を洗浄、浸漬、蒸煮又は煮る。そして、工程3Bで干し納豆を加え均一に攪拌混合する。その配合割合は上記の図4の例と同様10重量部〜30重量部が好ましい。工程5で納豆菌を接種する。一方図2の従来例と同様に稲わらを工程10から工程15で稲わらを選り、結束、定尺切断、煮沸消毒、高温乾燥、検査する。工程16で菌接種された大豆を検査したわら苞内に詰め、工程6、7で発酵熟成させ完成する。
【0012】
本発明の納豆は上記のように構成したので、干し納豆による歯応えのある食感が得られ又、味が濃く深い旨味が増す。
又、本発明の納豆の製造方法によれば、凝縮された干し納豆の旨味成分と干し納豆独特の臭いが発酵する際に蒸煮又は煮た大豆に吸収され、干し納豆独特の臭いのない味の濃い、かつ深い旨味の増した納豆になる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
干し納豆入り納豆。
【請求項2】
納豆100重量部に対し10〜30重量部の干し納豆が入った請求項1記載の納豆。
【請求項3】
大豆を蒸煮又は煮た後に納豆菌を接種する納豆の製造方法において、蒸煮又は煮た後に干し納豆を混合させてから納豆菌を接種することを特徴とする納豆の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−246472(P2010−246472A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−99796(P2009−99796)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(309014230)
【Fターム(参考)】