説明

紙の表面サイジング方法およびその紙の製造方法

【課題】
酸性から中性で抄紙して得られた紙に対して、従来の置換コハク酸無水物の水性エマルションでは得られない優れたサイズ性能を有し、経時的なサイズ性能の低下が少なく、さらに発泡の増加等の操業トラブルが少ない表面サイジング方法であり、そのような表面サイジング処理を施した紙およびその紙の製造方法を提供する。
【解決手段】
アルケニルコハク酸無水物、アルキルコハク酸無水物及びこれらの混合物からなる群から選択される無水物(A)を含有する水性エマルションとカチオン性物質とを含有する液を紙に塗工することにより、優れたサイズ性能のみならず安定したサイズ性能を付与できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙の表面サイジング方法と紙の製造方法および紙に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、製紙用表面サイズ剤としてはスチレン−マレイン酸系共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体、α−オレフィン−マレイン酸系共重合体等のアルカリ金属塩の水溶液が知られている。しかしながら、これら従来の樹脂を表面塗工した紙はサイズ性能が不十分であり、多量に使用する必要があった。
【0003】
置換コハク酸無水物の水性エマルションを紙表面に塗工することにより、紙に良好なサイズ性能を付与できることは既に公知である(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、置換コハク酸無水物の水性エマルションを実機レベルで表面サイズ剤として使用した場合、経時的なサイズ度の低下、さらには塗工液の発泡性増大及び塗工機の汚れを引き起こす等の表面サイズ剤として致命的な欠点を有しており、実用面で使用できないのが実状である。
【0004】
【特許文献1】特許第3271383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、酸性から中性で抄紙して得られた紙に対して、従来の置換コハク酸無水物の水性エマルションでは得られない優れたサイズ性能を有し、経時的なサイズ性能の低下が少なく、さらに発泡の増加等の操業トラブルが少ない表面サイジング方法であり、また、表面サイジング用水性エマルション組成物を提供し、そのような表面サイジング処理を施した紙およびその紙の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、アルケニルコハク酸無水物、アルキルコハク酸無水物及びこれらの混合物からなる群から選択される無水物(A)を含有する水性エマルジョンとカチオン性物質(B)とを少なくとも含有する液を紙に塗工することで、優れたサイズ性能のみならず安定したサイズ性能を付与できる表面サイジング方法及びその紙を見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、アルケニルコハク酸無水物、アルキルコハク酸無水物及びこれらの混合物からなる群から選択される無水物(A)を含有する水性エマルションと、下記の群から選ばれる1種類以上のカチオン性物質(B)とを少なくとも含有した液を、原紙に塗工することを特徴とする表面サイジング方法である。ここで、アルケニルコハク酸無水物、アルキルコハク酸無水物及びこれらの混合物からなる群から選択される無水物(A)に対するカチオン性物質(B)の併用比率が、((A)の分子数):((B)の金属原子数、若しくはカチオン性ポリマーのカチオン性基数又はそれらの合計数)が1:(0.1〜2)であってもよい。
さらに、本発明は、アルケニルコハク酸無水物、アルキルコハク酸無水物及びこれらの混合物からなる群から選択される無水物(A)を含有する水性エマルションと、下記の群:
(1)金属塩類
(2)カチオン性ポリマー
から選ばれる1種類以上のカチオン性物質(B)とを少なくとも含有した液、
を含む、表面サイジング用水性エマルション組成物である。
さらにまた、本発明は、前記水性エマルション組成物を含む塗工液を原紙に塗工することを特徴とする紙の製造方法及び、前記製造方法により製造される紙である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の紙および紙の製造方法は、発泡等の操業上のトラブルが少なく、サイズ効果の優れた紙および紙の製造方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明で使用されるアルケニルコハク酸無水物あるいはアルキルコハク酸無水物(A)は、下記一般式(I)で表される。
【0010】
一般式(I)
【化1】

(式中、Rは直鎖もしくは分岐鎖の炭素数6以上、好ましくは8〜30のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアラルケニル基である。)
【0011】
上記一般式(I)で表される無水物としては、一般にα−オレフィンあるいは内部オレフィンと無水マレイン酸との付加反応によって得られる化合物であり、オクテニルコハク酸無水物、ノネニルコハク酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ペンタデセニルコハク酸無水物、ヘキサデセニルコハク酸無水物、ヘプタデセニルコハク酸無水物、オクタデセニルコハク酸無水物、イコセニルコハク酸無水物、ドコセニルコハク酸無水物、テトラコセニルコハク酸無水物、テトラプロペニルコハク酸無水物、トリイソブテニルコハク酸無水物、1−ヘキシル−2−デセニルコハク酸無水物、1−オクチル−2−デセニルコハク酸無水物などのようなアルケニルコハク酸無水物、該アルケニルコハク酸無水物を水添反応して得られるアルキルコハク酸無水物、芳香環を有するオレフィン化合物から誘導されるアラルケニルコハク酸無水物、またはアラルキルコハク酸無水物等が挙げられる。なお、アルケニルコハク酸無水物、アルキルコハク酸無水物及びこれらの混合物からなる群から選択される無水物(A)は、1種類のみの使用に限るものではなく、2種類以上の併用も可能である。さらに、上記無水物にアルケニルコハク酸あるいはアルキルコハク酸を含有しても良い。
【0012】
また、アルケニルコハク酸あるいはアルキルコハク酸及び/またはそれらの無水物のハーフエステル化物、ハーフアミド化物もサイズ性能を低下させない範囲で、上記アルケニルコハク酸無水物、アルキルコハク酸無水物及びこれらの混合物からなる群から選択される無水物(A)に一部併用しても良い。アルケニルコハク酸あるいはアルキルコハク酸及び/またはそれらの無水物のハーフエステル化物としては、プロピルアルコール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、グリセリン等の水酸基を1個以上有するアルコール類とのハーフエステル化物、アルケニルコハク酸あるいはアルキルコハク酸及び/またはそれらの無水物のハーフアミド化物としては、プロピルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の1級アミンまたは2級アミンを1個以上有するアミン類との反応物を挙げることができる。
【0013】
上記アルケニルコハク酸あるいはアルキルコハク酸及び/またはそれらの無水物のハーフエステル化物、ハーフアミド化物は、アルケニルコハク酸無水物、アルキルコハク酸無水物及びこれらの混合物からなる群から選択される無水物(A)に対して0〜50重量%の範囲で併用しても良い。50重量%よりも多く併用するとサイズ性能の低下をもたらすので好ましくない。
【0014】
本発明のアルケニルコハク酸無水物、アルキルコハク酸無水物及びこれらの混合物からなる群から選択される無水物(A) を含有する水性エマルションを得る方法としては、各種公知の乳化剤を用いて、ユニバーサルホモジナイザー、ホモミキサー、超音波乳化機、家庭用ミキサー、ホモジナイザー等の乳化装置で乳化することで得ることができる。
【0015】
乳化剤としては、カチオン化澱粉、カチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミド、または両性のポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン等の高分子乳化剤、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、両性の低分子界面活性剤が挙げられる。なお乳化剤は1種類のみの使用に限るものではなく、2種類以上の併用も可能である。
【0016】
本発明において乳化剤として使用されるカチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミド、または両性のポリアクリルアミドの製造方法は特に限定するものではないが、ポリアクリルアミドのマンニッヒ反応やホフマン転位反応によってカチオン性基を導入する方法、またポリアクリルアミドのアルカリによるアミド基の加水分解やスルホメチル化反応することによってアニオン性基を導入する方法、またカチオン性ビニルモノマー、アニオン性ビニルモノマー、ノニオン性ビニルモノマー、疎水性ビニルモノマーのような各種ビニルモノマーとアクリルアミドの重合反応によって製造する方法などが応用できる。
【0017】
本発明において使用される低分子界面活性剤としては、長鎖アルキルアミン塩、変性アミン塩、テトラアルキル4級アンモニウム塩、トリアルキルベンジル4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルキノリウム塩、アルキルホスホニウム塩、アルキルスルホニウム塩等のカチオン性界面活性剤、各種ベタイン系界面活性剤等の両性界面活性剤、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキル燐酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルアリール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアラルキルアリール硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩及び各種スルホコハク酸エステル系界面活性剤等のアニオン性界面活性剤、脂肪酸ソルビタンエステルおよびそのポリアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸ポリグリコールエステル、各種ポリアルキレンオキサイド型ノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン脂肪族アルコール、ポリオキシエチレン脂肪族アミン、ポリオキシエチレン脂肪族メルカプタン、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンアラルキルアリールエーテルなど)等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。
【0018】
上記乳化剤の中では、得られた水性エマルションの安定性、サイズ性能の面から澱粉系及びポリアクリルアミド系高分子乳化剤単独及び併用、あるいはこれらの高分子乳化剤にアニオン性分散剤、ノニオン性分散剤、カチオン性分散剤等の低分子界面活性剤を併用したものが特に好ましい。
【0019】
本発明のアルケニルコハク酸無水物、アルキルコハク酸無水物及びこれらの混合物からなる群から選択される無水物(A)を含有する水性エマルションの平均粒子径は、サイズ性能、塗工液での安定性の面から、0.3〜1.5μmの範囲が好ましい。
【0020】
本発明で使用されるカチオン性物質(B)は、前記分散剤の目的以外に加えられるものであって、水に分散した場合にカチオン性を有する化合物のことであり、金属塩類、カチオン性ポリマー等が挙げられる。サイズ性能に優れた紙が得られやすい金属塩類単独、または金属塩類とカチオン性ポリマーを併用することが好ましい。
【0021】
金属塩類としては、水中でカチオン性を示す1価及び多価の金属イオンを含有する化合物が挙げられ、中でも多価の金属イオンを含有する化合物が好ましく、例えば、Mg、Al、Ca、Ti、Fe、Cu、Zn、Mn、Zr、Ba等の硫酸塩、塩化物、酢酸塩、炭酸塩、水酸化物等が挙げられる。なお、上記金属塩類は1種類のみ化合物の使用に限るものではなく、2種類以上の化合物を併用することも可能である。この中でもアルミニウム塩類である硫酸アルミニウム、塩化アルミニウムを使用することが好ましく、特に硫酸アルミニウムを使用することがサイズ性能およびコスト面で好ましい。
【0022】
また、カチオン性ポリマーとして、2級アミンとエピクロロヒドリンとを少なくとも反応させることから成るアミンエピクロロヒドリン変性物、ポリアルキレンポリアミンと二塩基性カルボン酸とエピクロロヒドリンを少なくとも反応させることから成るポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン変性物、カチオン性ポリアクリルアミドなどカチオン成分として4級アンモニウム基を有する合成カチオン性ポリマーを挙げることができる。なお、上記カチオン性ポリマーは1種類のみ化合物の使用に限るものではなく、2種類以上の化合物を併用することも可能である。
【0023】
本発明に係る、アルケニルコハク酸無水物、アルキルコハク酸無水物及びこれらの混合物からなる群から選択される無水物(A) を含有する水性エマルジョンとカチオン性物質(B)を少なくとも含有した液をそのまま塗工原紙の表面に塗工してもよいが、一般的には澱粉類、例えば酸化澱粉、燐酸エステル化澱粉、酵素変性澱粉、カチオン化澱粉、両性澱粉、セルロース類、例えばカルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール類、ポリアクリルアミド類、及びアルギン酸ソーダ等の水溶性高分子物質と混合することにより塗工液を調製し、塗工原紙の表面に塗工する。また、前記塗工液には、他の表面サイズ剤、防滑剤、防腐剤、防錆剤、消泡剤、粘度調整剤、染料、顔料、アルカリ物質等の添加物を更に含有させてもよい。
【0024】
本発明のアルケニルコハク酸無水物、アルキルコハク酸無水物及びこれらの混合物からなる群から選択される無水物(A)に対するカチオン性物質(B)の併用比率は、サイズ性能、塗工液での安定性の面から、((A)の分子数):((B)の金属原子数、若しくはカチオン性ポリマーのカチオン性基数又はそれらの合計数)が、1:(0.01〜5)が好ましく、1:(0.1〜2)が特に好ましい。カチオン性物質(B)の併用比率が5を越えて使用しても、サイズ性能の向上は見られず不経済である。なお、カチオン性基数は、4級アンモニウム基数、1級アミノ基数、2級アミノ基数、及び3級アミノ基数の合計である。
【0025】
本発明の(A)の水性エマルジョンと(B)とを含有して成る液を調製する方法としては、特に限定するものではないが、(A)の水性エマルションと(B)を混合して塗工液を調製しても良く、あるいはあらかじめ(A)と(B)と乳化剤を混合して乳化し、(B)を含む(A)の水性エマルションを用いて塗工液を調製しても良く、あるいは前者と後者の両者の方法を用いて調製しても良い。
【0026】
前記液中における(A)の濃度は、十分なサイズ性能を得るため、0.01〜2重量%、特に0.05〜1重量%であることが好ましい。
【0027】
また、通常、前記のようにして原紙に塗工される(A)の量は、固形分で0.001〜0.3g/m2、好ましくは0.005〜0.2g/m2である。前記範囲内であると、特に良くサイズ性能が発揮される。
【0028】
本発明に係る(A)の水性エマルジョンと(B)とを少なくとも含有した液を塗工原紙に塗工するための機械としては、例えばサイズプレス、フィルムプレス、ゲートロールコーター、シムサイザー、ブレードコーター、キャレンダー、バーコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、及びカーテンコーターを用いることができる。また、スプレー塗工機により塗工原紙の表面に塗工することもできる。
【0029】
本発明に係る紙は、前記に調製した液を塗工原紙に塗工することにより製造することができる。塗工原紙としては例えば、PPC用紙、インクジェット記録用紙、圧着紙、写真用印画紙、レーザープリンター用紙、フォーム用紙、熱転写用紙、感熱記録用紙等の記録用紙、アート紙、キャストコート紙、上質コート紙および中質コート紙等のコート紙、クラフト紙および純白ロール紙等の包装用紙、その他ノート用紙、書籍用紙、印刷用紙、および新聞用紙等の洋紙、印画紙等の加工原紙等の加工原紙、マニラボール、白ボール、およびチップボール等の紙器用板紙、並びにライナー等の板紙が挙げられ、酸性又は中性抄紙した各種原紙に使用することが可能である。この中でもサイズ向上効果が大きい中性紙に応用することが特に好ましい。
【0030】
前記塗工原紙に使用されるパルプとしては、クラフトパルプあるいはサルファイトパルプ等の晒あるいは未晒化学パルプ、砕木パルプ、機械パルプあるいはサーモメカニカルパルプ等の晒あるいは未晒高収率パルプ、又は新聞古紙、雑誌古紙、段ボール古紙、もしくは脱墨古紙等の古紙パルプ等を挙げることができ、抄造する紙の種類により、これらのパルプを適宜組み合わせて使用することができる。
【0031】
前記塗工原紙に使用される内添薬品としては、填料、染料、酸性抄紙用ロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー系あるいは置換コハク酸無水物系中性抄紙用サイズ剤、中性抄紙用ロジン系サイズ剤等のサイズ剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、歩留り向上剤、濾水性向上剤、及び消泡剤等の添加物を挙げることができ、これらは、各々の紙種に要求される物性を発現するために、必要に応じて使用されることができる。填料としては、クレー、タルク、酸化チタン、及び重質又は軽質炭酸カルシウム等が挙げられる。これらを単独であるいは2種以上用いてもよい。
【0032】
塗工原紙は中性抄紙で得られるものが好ましいため、前記内添薬品は中性抄紙に用いることができるものが好ましい。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を実施例で具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例において%とあるのは、特に断りのない限り、固型分重量%を意味し、また部とあるのは重量部を意味する。また填料、薬品の添加量は、乾燥パルプ重量に対する固型分重量%を示す。
【0034】
[原紙の製造]
(1)酸性上質用原紙の製造
カナディアン・スタンダード・フリーネス(以下、CSFと記述する)を380mlまで叩解したパルプ(広葉樹パルプ:針葉樹のパルプ=9:1である混合パルプ)を濃度2.5%とし、これに対パルプ15%(絶乾重量基準)のタルク(富士タルク工業株式会社製、商品名:NDタルク)、対パルプ2%(絶乾重量基準)の硫酸アルミニウム、対パルプ0.3%(絶乾重量基準)の酸性紙用ロジン系サイズ剤(星光PMC株式会社製、商品名:AL1200)を順次添加した後、pH=4.5の希釈水で、このパルプスラリーを濃度0.25%まで希釈した。その後、王研式手抄き抄紙機で、坪量65g/m2となるように抄紙した。尚、この時の抄紙pHは4.5であった。湿紙の乾燥は、ドラムドライヤーを用いて100℃で80秒間の条件で行った。
【0035】
(2)中性上質用原紙の製造
CSF380mlの叩解したパルプ(広葉樹パルプ:針葉樹のパルプ=9:1である混合パルプ)を濃度2.5%とし、これに対パルプ2%(絶乾重量基準)の炭酸カルシウム(奥多摩工業株式会社製、商品名:TP121S)、対パルプ0.5%(絶乾重量基準)の両性デンプン(ナショナルスターチ社製、商品名:Cato3210)、対パルプ0.08%(絶乾重量基準)のアルキルケテンダイマー系サイズ剤(星光PMC株式会社製、商品名:AD1602)を順次添加した後、pH=7.5の希釈水でこのパルプスラリーを濃度0.25%まで希釈した。王研式手抄き抄紙機で、坪量65g/m2となるように抄紙した。尚、この時の抄紙pHは7.5であった。湿紙の乾燥は、ドラムドライヤーを用いて100℃で80秒間の条件で行った。
【0036】
(3)酸性新聞原紙の製造
CSF160ml、濃度2.5%の脱墨パルプスラリーに、対パルプ5%(絶乾重量基準)のタルク(富士タルク工業株式会社製、商品名:NDタルク)、対パルプ1.5%(絶乾重量基準)の硫酸アルミニウム、対パルプ0.05%(絶乾重量基準)の酸性紙用ロジン系サイズ剤(星光PMC株式会社製、商品名:AL1200)を順次添加した後、pH=4.5の希釈水でこのパルプスラリーを濃度0.25%まで希釈した。その後、王研式手抄き抄紙機で、坪量50g/m2となるように抄紙した。尚、この時の抄紙pHは4.5であった。湿紙の乾燥は、ドラムドライヤーを用いて100℃で80秒間の条件で行った。
【0037】
(4)中性新聞原紙の製造
CSF160ml、濃度2.5%の脱墨パルプスラリーに、対パルプ2%(絶乾重量基準)の炭酸カルシウム(奥多摩工業株式会社製、商品名:TP121S)、対パルプ0.25%(絶乾重量基準)の硫酸アルミニウムを順次添加した後、pH=7.5の希釈水でこのパルプスラリーを濃度0.25%まで希釈した。王研式手抄き抄紙機で、坪量50g/m2となるように抄紙した。尚、この時の抄紙pHは7.5であった。湿紙の乾燥は、ドラムドライヤーを用いて100℃で80秒間の条件で行った。
【0038】
[乳化剤の合成]
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を備えた1Lの四つ口フラスコにジメチルアミノエチルメタクリレート7.78部、50%アクリルアミド水溶液225.2部、イタコン酸2.15部、ノルマルドデシルメルカプタン1.00部、イオン交換水163.1部、イソプロピルアルコール214.4部を仕込み、20%硫酸水溶液にてpH=4.0に調整した。次いで、撹拌しながら窒素ガスを導入して酸素を除去し、60℃まで昇温した。60℃にて、過硫酸アンモニウムの5%水溶液3.77部を加え、重合を開始した。その後78℃まで昇温し、1.5時間78℃に保持した後、5%過硫酸アンモニウム水溶液1.13部を追加した。さらに1時間同温度に保持した後、イオン交換水200部を加え、イソプロピルアルコールの留去を始めた。留去開始より2時間後にイソプロピルアルコールと水の混合留去物278.5部を得て、留去を終了した。得られた重合生成物にイオン交換水78.5gを加えて、不揮発分20.3%、25℃毎分60回転で測定したブルック・フィールド粘度(以下粘度という)が320mPa・s、pH=4.3なる共重合体水溶液P−1を得た。
【0039】
[塗工液の調製]
[実施例用塗工液1]
共重合体水溶液P−1の123部と水27部を充分均一に混合した後、オクタデセニルコハク酸無水物100重量部を加え、ユニバーサルホモジナイザー(日本精機製作所製)を用いて毎分10,000回転にて30秒間乳化操作を行なって、平均粒子径0.58μmの水性エマルションE1を得た。次いで酸化澱粉(日本食品化工株式会社製、商品名:MS3800)を濃度10%になるよう水に希釈し、95℃で糊化を行い、これに上記で得たE1および硫酸アルミニウム18水和物(以下、「硫酸アルミニウム」と略する)、水を塗工液中の固形分濃度が酸化澱粉6%、E1のオクタデセニルコハク酸無水物成分0.1%、硫酸アルミニウム0.09%((A)分子の数1に対してAl原子数の割合は1に相当)になるように加えて塗工液を調製した。調製した塗工液について発泡試験を行った。発泡試験は、塗工液600gを内径7cmおよび長さ50cmのフォームセルに入れ、マグネティックポンプを用いて3L/minで循環し、泡の高さ(mm)を測定した。
結果を表1に示す。
【0040】
[実施例用塗工液2]
共重合体水溶液P−1の123部と水27部を充分均一に混合した後、オクタデセニルコハク酸無水物100重量部を加え、ユニバーサルホモジナイザーを用いて毎分10,000回転にて30秒間乳化操作を行なって、平均粒子径0.58μmの水性エマルションE1を得た。次いで酸化澱粉MS3800を濃度10%になるよう水に希釈し、95℃で糊化を行い、これに上記で得たE1および硫酸アルミニウム、水を塗工液中の固形分濃度が酸化澱粉6%、E1のオクタデセニルコハク酸無水物成分0.1%、硫酸アルミニウム0.01%((A)分子の数1に対してAl原子数の割合は0.1に相当)になるように加えて塗工液を調製した。調製した塗工液について発泡試験を行った。結果を表1に示す。
【0041】
[実施例用塗工液3]
共重合体水溶液P−1の123部と水27部を充分均一に混合した後、オクタデセニルコハク酸無水物100重量部を加え、ユニバーサルホモジナイザーを用いて毎分10,000回転にて30秒間乳化操作を行なって、平均粒子径0.58μmの水性エマルションE1を得た。次いで酸化澱粉MS3800を濃度10%になるよう水に希釈し、95℃で糊化を行い、これに上記で得たE1および硫酸アルミニウム、水を塗工液中の固形分濃度が酸化澱粉6%、E1のオクタデセニルコハク酸無水物成分0.1%、硫酸アルミニウム0.18%((A)分子の数1に対してAl原子数の割合は2に相当)になるように加えて塗工液を調製した。調製した塗工液について発泡試験を行った。結果を表1に示す。
【0042】
[実施例用塗工液4]
共重合体水溶液P−1の123部と水27部を充分均一に混合した後、オクタデセニルコハク酸無水物100重量部を加え、ユニバーサルホモジナイザーを用いて毎分10,000回転にて30秒間乳化操作を行なって、平均粒子径0.58μmの水性エマルションE1を得た。次いで酸化澱粉MS3800を濃度10%になるよう水に希釈し、95℃で糊化を行い、これに上記で得たE1および塩化アルミニウム6水和物(以下、「塩化アルミニウム」と略する)、水を塗工液中の固形分濃度が酸化澱粉6%、E1のオクタデセニルコハク酸無水物成分0.1%、塩化アルミニウム0.07%((A)分子の数1に対してAl原子数の割合は1に相当)になるように加えて塗工液を調製した。調製した塗工液について発泡試験を行った。結果を表1に示す。
【0043】
[実施例用塗工液5]
共重合体水溶液P−1の123部と水27部を充分均一に混合した後、オクタデセニルコハク酸無水物100重量部を加え、ユニバーサルホモジナイザーを用いて毎分10,000回転にて30秒間乳化操作を行なって、平均粒子径0.58μmの水性エマルションE1を得た。次いで酸化澱粉MS3800を濃度10%になるよう水に希釈し、95℃で糊化を行い、これに上記で得たE1および炭酸ジルコニルアンモニウム、水を塗工液中の固形分濃度が酸化澱粉6%、E1のオクタデセニルコハク酸無水物成分0.1%、炭酸ジルコニルアンモニウム0.07%((A)分子の数1に対してZr原子数の割合は1に相当)になるように加えて塗工液を調製した。調製した塗工液について発泡試験を行った。結果を表1に示す。
【0044】
[実施例用塗工液6]
共重合体水溶液P−1の123部と水27部を充分均一に混合した後、オクタデセニルコハク酸無水物100重量部を加え、ユニバーサルホモジナイザーを用いて毎分10,000回転にて30秒間乳化操作を行なって、平均粒子径0.58μmの水性エマルションE1を得た。次いで酸化澱粉MS3800を濃度10%になるよう水に希釈し、95℃で糊化を行い、これに上記で得たE1およびポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン変性物であるWS4024(星光PMC株式会社製)、水を塗工液中の固形分濃度が酸化澱粉6%、E1のオクタデセニルコハク酸無水物成分0.1%、WS4024成分0.1%((A)分子の数1に対してWS4024ポリマーのカチオン性基数は1に相当)になるように加えて塗工液を調製した。調製した塗工液について発泡試験を行った。結果を表1に示す。
【0045】
[実施例用塗工液7]
共重合体水溶液P−1の123部と水27部を充分均一に混合した後、オクタデセニルコハク酸無水物100重量部を加え、ユニバーサルホモジナイザーを用いて毎分10,000回転にて30秒間乳化操作を行なって、平均粒子径0.58μmの水性エマルションE1を得た。次いで酸化澱粉MS3800を濃度10%になるよう水に希釈し、95℃で糊化を行い、これに上記で得たE1およびポリアミン系樹脂であるDK854(星光PMC株式会社製)、水を塗工液中の固形分濃度が酸化澱粉6%、E1のオクタデセニルコハク酸無水物成分0.1%、DK854成分0.1%((A)分子の数1に対してDK854ポリマーのカチオン性基数は1に相当)になるように加えて塗工液を調製した。調製した塗工液について発泡試験を行った。結果を表1に示す。
【0046】
[実施例用塗工液8]
共重合体水溶液P−1の123部と水27部を充分均一に混合した後、オクタデセニルコハク酸無水物100重量部を加え、ユニバーサルホモジナイザーを用いて毎分10,000回転にて30秒間乳化操作を行なって、平均粒子径0.58μmの水性エマルションE1を得た。次いで酸化澱粉MS3800を濃度10%になるよう水に希釈し、95℃で糊化を行い、これに上記で得たE1および硫酸アルミニウム、WS4024、水を塗工液中の固形分濃度が酸化澱粉6%、E1のオクタデセニルコハク酸無水物成分0.1%、硫酸アルミニウム0.05%((A)分子の数1に対してAl原子数の割合は0.5に相当)、WS4024成分0.05%((A)分子の数1に対してWS4024ポリマーのカチオン性基数は0.5に相当)になるように加えて塗工液を調製した。調製した塗工液について発泡試験を行った。結果を表1に示す。
【0047】
[実施例用塗工液9]
共重合体水溶液P−1を123部、水27部、硫酸アルミニウム93部((A)分子の数1に対してAl原子数の割合は1に相当)を充分均一に混合した後、オクタデセニルコハク酸無水物100重量部を加え、ユニバーサルホモジナイザーを用いて毎分8,000回転にて30秒間乳化操作を行なって、平均粒子径0.50μmの水性エマルションE2を得た。次いで酸化澱粉MS3800を濃度10%になるよう水に希釈し、95℃で糊化を行い、これに上記で得たE2および水を塗工液中の固形分濃度が酸化澱粉6%、E2のオクタデセニルコハク酸無水物成分0.1%、硫酸アルミニウム0.09%になるように加えて塗工液を調製した。調製した塗工液について発泡試験を行った。結果を表1に示す。
【0048】
[実施例用塗工液10]
クッキングを行なった後の濃度10重量%のカチオン化澱粉(日本エヌエスシー株式会社製、商品名:Cato15)150部とオクタデセニルコハク酸無水物10部をユニバーサルホモジナイザーを用いて、毎分15,000回転にて3分間乳化操作を行ない、平均粒子径0.88μmの水性エマルジョンE3を得た。次いで酸化澱粉MS3800を濃度10%になるよう水に希釈し、95℃で糊化を行い、これに上記で得たエマルションE3および硫酸アルミニウム、水を塗工液中の固形分濃度が酸化澱粉6%、E3のオクタデセニルコハク酸無水物成分0.1%、硫酸アルミニウム0.09%((A)分子の数1に対してAl原子数の割合は1に相当)になるように加えて塗工液を調製した。調製した塗工液について発泡試験を行った。結果を表1に示す。
【0049】
[実施例用塗工液11]
共重合体水溶液P−1の123部と水27部を充分均一に混合した後、ドコセニルコハク酸無水物100重量部を加え、ユニバーサルホモジナイザーを用いて毎分10,000回転にて30秒間乳化操作を行なって、平均粒子径0.60μmの水性エマルションE4を得た。次いで酸化澱粉MS3800を濃度10%になるよう水に希釈し、95℃で糊化を行い、これに上記で得たE4および硫酸アルミニウム、水を塗工液中の固形分濃度が酸化澱粉6%、E4のドコセニルコハク酸無水物成分0.1%、硫酸アルミニウム0.08%((A)分子の数1に対してAl原子数の割合は1に相当)になるように加えて塗工液を調製した。調製した塗工液について発泡試験を行った。結果を表1に示す。
【0050】
[実施例用塗工液12]
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を備えた1Lの四つ口フラスコにエチレングリコール31部を仕込み、オクタデセニルコハク酸無水物353部を30分掛けて滴下した後、120℃にて5時間反応させて、ハーフエステル化物を得た(表1中に(A)として「ODSA―EG」と示した)。
共重合体水溶液P−1の123部と水27部を充分均一に混合した後、オクタデセニルコハク酸無水物70重量部、上記ハーフエステル化物を30重量部を加え、ユニバーサルホモジナイザーを用いて毎分10,000回転にて30秒間乳化操作を行なって、平均粒子径0.62μmの水性エマルションE5を得た。次いで酸化澱粉MS3800を濃度10%になるよう水に希釈し、95℃で糊化を行い、これに上記で得たE5および硫酸アルミニウム、水を塗工液中の固形分濃度が酸化澱粉6%、E5のドコセニルコハク酸無水物成分0.07%、上記ハーフエステル化物成分0.03%、硫酸アルミニウム0.08%((A)分子の数1に対してAl原子数の割合は1に相当)になるように加えて塗工液を調製した。調製した塗工液について発泡試験を行った。結果を表1に示す。
【0051】
[比較例用塗工液1]
カチオン性物質(B)を使用しない以外は実施例用塗工液1と同様にして塗工液を調製した。調製した塗工液について発泡試験を行った。結果を表1に示す。
【0052】
[比較例用塗工液2]
[スチレン−マレイン酸系共重合体]
攪拌器、温度計、還流冷却管及び窒素導入管を備えた1Lの四つ口フラスコに、水35部と、95%イソプロピルアルコール65部と、スチレン60部及び無水マレイン酸40部を混合した単量体混合液と、アゾビスイソブチロニトリル3部とを入れ、フラスコ内の内容物を攪拌下に加熱し、内容物の温度を80℃にまで上昇させた。その後に4時間熟成させ反応を完結させた。その後、イソプロピルアルコールを留去し、冷却後に28%アンモニア水溶液50部(無水マレイン酸に対して100モル%)を加え、水で希釈し、共重合体の濃度が20%になるように調製し、水溶性共重合体であるスチレン−マレイン酸共重合体のアンモニア水溶液を得た。ポリマー中のモノマー構成比は重量比でスチレン/無水マレイン酸=60/40であった。次いで酸化澱粉MS3800を濃度10%になるよう水で希釈し、95℃で糊化を行い、これに上記で得たポリマーおよび水を塗工液中の固形分濃度が酸化澱粉6%、ポリマー固形分0.1%になるように加えて塗工液を調製した。調製した塗工液について発泡試験を行った。結果を表1に示す。
【0053】
[比較例用塗工液3]
[スチレン−アクリル酸系共重合体]
攪拌器、温度計、還流冷却管及び窒素導入管を備えた1Lの四つ口フラスコに、水35部と、95%イソプロピルアルコール65部と、スチレン70部及びアクリル酸30部を混合した単量体混合液と、アゾビスイソブチロニトリル3部とを入れ、フラスコ内の内容物を攪拌下に加熱し、内容物の温度を80℃にまで上昇させた。その後に4時間熟成させ反応を完結させた。その後、イソプロピルアルコールを留去し、冷却後に28%アンモニア水溶液25.3部(アクリル酸に対して100モル%)を加え、水で希釈し、共重合体の濃度が20%になるように調製し、水溶性共重合体であるスチレン−アクリル酸共重合体のアンモニア水溶液を得た。ポリマー中のモノマー構成比は重量比でスチレン/アクリル酸=70/30であった。次いで酸化澱粉MS3800を濃度10%になるよう水で希釈し、95℃で糊化を行い、これに上記で得たポリマーおよび水を塗工液中の固形分濃度が酸化澱粉6%、ポリマー固形分0.1%になるように加えて塗工液を調製した。調製した塗工液について発泡試験を行った。結果を表1に示す。
【0054】
[比較例用塗工液4]
[アルケニルコハク酸のナトリウム塩]
オクタデセニルコハク酸のナトリウム塩および水を塗工液中の固形分濃度が酸化澱粉6%、オクタデセニルコハク酸のナトリウム塩を固形分0.1%になるように加えて塗工液を調製した。調製した塗工液について発泡試験を行った。結果を表1に示す。
【0055】
【表1】

ODSA:オクタデセニルコハク酸無水物
DCSA:ドコセニルコハク酸無水物
(*):括弧内の数値は、(A)分子数1に対する(B)金属原子数比、または(A)分子数1に対する(B)のカチオン性基数比を示す。
ODSA−EG:オクタデセニルコハク酸無水物:エチレングリコール=2:1のモル比で反応させたハーフエステル化物
S−M:スチレン−マレイン酸系共重合体
S−A:スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体
ODSA−Na:オクタデセニルコハク酸のナトリウム塩
【0056】
表1の結果から、実施例用塗工液1〜12はいずれも、従来から使用されている表面サイズ剤を成分とする比較例用塗工液1〜4に比較して、発泡性が著しく少なく良好であり、操業性に優れていることが解る。
【0057】
以下の実施例、比較例で抄紙した紙の調湿条件、サイズ度の測定方法を次に示す。
(1)紙の調湿条件:恒温恒湿(23℃、50%相対湿度)環境下で24時間調湿した。
(2)ステキヒトサイズ度の測定
下記の2種類について、JIS P 8122に準拠し、測定した。数値が大きいほど、サイズ性能が良好であることを示す。
1)塗工法1:塗工液を循環させずに原紙に塗工。実施例1〜48、比較例1〜16について測定。
2) 塗工法2:マグネティックポンプで1時間循環させた後、原紙に塗工。実施例1〜12、比較例1〜4について測定。
(3)ドロップテスト:
下記の2種類について、JAPAN TAPPI 33の試験方法に準拠し、滴下水量1μLで測定した。数値が大きいほど、サイズ性能が良好であることを示す。
1) 塗工法1:塗工液を循環させずに原紙に塗工。
2) 塗工法2:マグネティックポンプで1時間循環させた後、原紙に塗工。
【0058】
[実施例1]
実施例用塗工液1をサイズプレスにて酸性上質用原紙に塗工し、酸性上質紙を得た。塗工液の付着量は21g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ステキヒトサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0059】
[実施例2]
実施例用塗工液1をサイズプレスにて中性上質用原紙に塗工し、中性上質紙を得た。塗工液の付着量は23g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ステキヒトサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0060】
[実施例3]
実施例用塗工液1をNo.3バーコーターにて酸性新聞原紙に塗工し、酸性新聞紙を得た。塗工液の付着量は18g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ドロップテストによりサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0061】
[実施例4]
実施例用塗工液1をNo.3バーコーターにて中性新聞原紙に塗工し、中性新聞紙を得た。塗工液の付着量は19g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ドロップテストによりサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0062】
[実施例5]
実施例用塗工液2をサイズプレスにて酸性上質用原紙に塗工し、酸性上質紙を得た。塗工液の付着量は21g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ステキヒトサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0063】
[実施例6]
実施例用塗工液2をサイズプレスにて中性上質用原紙に塗工し、中性上質紙を得た。塗工液の付着量は23g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ステキヒトサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0064】
[実施例7]
実施例用塗工液2をNo.3バーコーターにて酸性新聞原紙に塗工し、酸性新聞紙を得た。塗工液の付着量は18g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ドロップテストによりサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0065】
[実施例8]
実施例用塗工液2をNo.3バーコーターにて中性新聞原紙に塗工し、中性新聞紙を得た。塗工液の付着量は19g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ドロップテストによりサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0066】
[実施例9]
実施例用塗工液3をサイズプレスにて酸性上質用原紙に塗工し、酸性上質紙を得た。塗工液の付着量は21g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ステキヒトサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0067】
[実施例10]
実施例用塗工液3をサイズプレスにて中性上質用原紙に塗工し、中性上質紙を得た。塗工液の付着量は23g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ステキヒトサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0068】
[実施例11]
実施例用塗工液3をNo.3バーコーターにて酸性新聞原紙に塗工し、酸性新聞紙を得た。塗工液の付着量は18g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ドロップテストによりサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0069】
[実施例12]
実施例用塗工液3をNo.3バーコーターにて中性新聞原紙に塗工し、中性新聞紙を得た。塗工液の付着量は19g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ドロップテストによりサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0070】
[実施例13]
実施例用塗工液4をサイズプレスにて酸性上質用原紙に塗工し、酸性上質紙を得た。塗工液の付着量は21g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ステキヒトサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0071】
[実施例14]
実施例用塗工液4をサイズプレスにて中性上質用原紙に塗工し、中性上質紙を得た。塗工液の付着量は23g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ステキヒトサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0072】
[実施例15]
実施例用塗工液4をNo.3バーコーターにて酸性新聞原紙に塗工し、酸性新聞紙を得た。塗工液の付着量は18g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ドロップテストによりサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0073】
[実施例16]
実施例用塗工液4をNo.3バーコーターにて中性新聞原紙に塗工し、中性新聞紙を得た。塗工液の付着量は19g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ドロップテストによりサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0074】
[実施例17]
実施例用塗工液5をサイズプレスにて酸性上質用原紙に塗工し、酸性上質紙を得た。塗工液の付着量は21g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ステキヒトサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0075】
[実施例18]
実施例用塗工液5をサイズプレスにて中性上質用原紙に塗工し、中性上質紙を得た。塗工液の付着量は23g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ステキヒトサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0076】
[実施例19]
実施例用塗工液5をNo.3バーコーターにて酸性新聞原紙に塗工し、酸性新聞紙を得た。塗工液の付着量は18g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ドロップテストによりサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0077】
[実施例20]
実施例用塗工液5をNo.3バーコーターにて中性新聞原紙に塗工し、中性新聞紙を得た。塗工液の付着量は19g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ドロップテストによりサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0078】
[実施例21]
実施例用塗工液6をサイズプレスにて酸性上質用原紙に塗工し、酸性上質紙を得た。塗工液の付着量は21g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ステキヒトサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0079】
[実施例22]
実施例用塗工液6をサイズプレスにて中性上質用原紙に塗工し、中性上質紙を得た。塗工液の付着量は23g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ステキヒトサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0080】
[実施例23]
実施例用塗工液6をNo.3バーコーターにて酸性新聞原紙に塗工し、酸性新聞紙を得た。塗工液の付着量は18g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ドロップテストによりサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0081】
[実施例24]
実施例用塗工液6をNo.3バーコーターにて中性新聞原紙に塗工し、中性新聞紙を得た。塗工液の付着量は19g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ドロップテストによりサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0082】
[実施例25]
実施例用塗工液7をサイズプレスにて酸性上質用原紙に塗工し、酸性上質紙を得た。塗工液の付着量は21g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ステキヒトサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0083】
[実施例26]
実施例用塗工液7をサイズプレスにて中性上質用原紙に塗工し、中性上質紙を得た。塗工液の付着量は23g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ステキヒトサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0084】
[実施例27]
実施例用塗工液7をNo.3バーコーターにて酸性新聞原紙に塗工し、酸性新聞紙を得た。塗工液の付着量は18g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ドロップテストによりサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0085】
[実施例28]
実施例用塗工液7をNo.3バーコーターにて中性新聞原紙に塗工し、中性新聞紙を得た。塗工液の付着量は19g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ドロップテストによりサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0086】
[実施例29]
実施例用塗工液8をサイズプレスにて酸性上質用原紙に塗工し、酸性上質紙を得た。塗工液の付着量は21g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ステキヒトサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0087】
[実施例30]
実施例用塗工液8をサイズプレスにて中性上質用原紙に塗工し、中性上質紙を得た。塗工液の付着量は23g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ステキヒトサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0088】
[実施例31]
実施例用塗工液8をNo.3バーコーターにて酸性新聞原紙に塗工し、酸性新聞紙を得た。塗工液の付着量は18g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ドロップテストによりサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0089】
[実施例32]
実施例用塗工液8をNo.3バーコーターにて中性新聞原紙に塗工し、中性新聞紙を得た。塗工液の付着量は19g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ドロップテストによりサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0090】
[実施例33]
実施例用塗工液9をサイズプレスにて酸性上質用原紙に塗工し、酸性上質紙を得た。塗工液の付着量は21g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ステキヒトサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0091】
[実施例34]
実施例用塗工液9をサイズプレスにて中性上質用原紙に塗工し、中性上質紙を得た。塗工液の付着量は23g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ステキヒトサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0092】
[実施例35]
実施例用塗工液9をNo.3バーコーターにて酸性新聞原紙に塗工し、酸性新聞紙を得た。塗工液の付着量は18g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ドロップテストによりサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0093】
[実施例36]
実施例用塗工液9をNo.3バーコーターにて中性新聞原紙に塗工し、中性新聞紙を得た。塗工液の付着量は19g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ドロップテストによりサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0094】
[実施例37]
実施例用塗工液10をサイズプレスにて酸性上質用原紙に塗工し、酸性上質紙を得た。塗工液の付着量は21g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ステキヒトサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0095】
[実施例38]
実施例用塗工液10をサイズプレスにて中性上質用原紙に塗工し、中性上質紙を得た。塗工液の付着量は23g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ステキヒトサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0096】
[実施例39]
実施例用塗工液10をNo.3バーコーターにて酸性新聞原紙に塗工し、酸性新聞紙を得た。塗工液の付着量は18g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ドロップテストによりサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0097】
[実施例40]
実施例用塗工液10をNo.3バーコーターにて中性新聞原紙に塗工し、中性新聞紙を得た。塗工液の付着量は19g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ドロップテストによりサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0098】
[実施例41]
実施例用塗工液11をサイズプレスにて酸性上質用原紙に塗工し、酸性上質紙を得た。塗工液の付着量は21g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ステキヒトサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0099】
[実施例42]
実施例用塗工液11をサイズプレスにて中性上質用原紙に塗工し、中性上質紙を得た。塗工液の付着量は23g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ステキヒトサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0100】
[実施例43]
実施例用塗工液11をNo.3バーコーターにて酸性新聞原紙に塗工し、酸性新聞紙を得た。塗工液の付着量は18g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ドロップテストによりサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0101】
[実施例44]
実施例用塗工液11をNo.3バーコーターにて中性新聞原紙に塗工し、中性新聞紙を得た。塗工液の付着量は19g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ドロップテストによりサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0102】
[実施例45]
実施例用塗工液12をサイズプレスにて酸性上質用原紙に塗工し、酸性上質紙を得た。塗工液の付着量は21g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ステキヒトサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0103】
[実施例46]
実施例用塗工液12をサイズプレスにて中性上質用原紙に塗工し、中性上質紙を得た。塗工液の付着量は23g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ステキヒトサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0104】
[実施例47]
実施例用塗工液12をNo.3バーコーターにて酸性新聞原紙に塗工し、酸性新聞紙を得た。塗工液の付着量は18g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ドロップテストによりサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0105】
[実施例48]
実施例用塗工液12をNo.3バーコーターにて中性新聞原紙に塗工し、中性新聞紙を得た。塗工液の付着量は19g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ドロップテストによりサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0106】
[比較例1]
比較例用塗工液1をサイズプレスにて酸性上質用原紙に塗工し、酸性上質紙を得た。塗工液の付着量は21g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ステキヒトサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0107】
[比較例2]
比較例用塗工液1をサイズプレスにて中性上質用原紙に塗工し、中性上質紙を得た。塗工液の付着量は23g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ステキヒトサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0108】
[比較例3]
比較例用塗工液1をNo.3バーコーターにて酸性新聞原紙に塗工し、酸性新聞紙を得た。塗工液の付着量は18g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ドロップテストによりサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0109】
[比較例4]
比較例用塗工液1をNo.3バーコーターにて中性新聞原紙に塗工し、中性新聞紙を得た。塗工液の付着量は19g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ドロップテストによりサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0110】
[比較例5]
比較例用塗工液2をサイズプレスにて酸性上質用原紙に塗工し、酸性上質紙を得た。塗工液の付着量は21g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ステキヒトサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0111】
[比較例6]
比較例用塗工液2をサイズプレスにて中性上質用原紙に塗工し、中性上質紙を得た。塗工液の付着量は23g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ステキヒトサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0112】
[比較例7]
比較例用塗工液2をNo.3バーコーターにて酸性新聞原紙に塗工し、酸性新聞紙を得た。塗工液の付着量は18g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ドロップテストによりサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0113】
[比較例8]
比較例用塗工液2をNo.3バーコーターにて中性新聞原紙に塗工し、中性新聞紙を得た。塗工液の付着量は19g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ドロップテストによりサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0114】
[比較例9]
比較例用塗工液3をサイズプレスにて酸性上質用原紙に塗工し、酸性上質紙を得た。塗工液の付着量は21g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ステキヒトサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0115】
[比較例10]
比較例用塗工液3をサイズプレスにて中性上質用原紙に塗工し、中性上質紙を得た。塗工液の付着量は23g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ステキヒトサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0116】
[比較例11]
比較例用塗工液3をNo.3バーコーターにて酸性新聞原紙に塗工し、酸性新聞紙を得た。塗工液の付着量は18g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ドロップテストによりサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0117】
[比較例12]
比較例用塗工液3をNo.3バーコーターにて中性新聞原紙に塗工し、中性新聞紙を得た。塗工液の付着量は19g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ドロップテストによりサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0118】
[比較例13]
比較例用塗工液4をサイズプレスにて酸性上質用原紙に塗工し、酸性上質紙を得た。塗工液の付着量は21g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ステキヒトサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0119】
[比較例14]
比較例用塗工液4をサイズプレスにて中性上質用原紙に塗工し、中性上質紙を得た。塗工液の付着量は23g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ステキヒトサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0120】
[比較例15]
比較例用塗工液4をNo.3バーコーターにて酸性新聞原紙に塗工し、酸性新聞紙を得た。塗工液の付着量は18g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ドロップテストによりサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0121】
[比較例16]
比較例用塗工液4をNo.3バーコーターにて中性新聞原紙に塗工し、中性新聞紙を得た。塗工液の付着量は19g/m2であった。得られた試験紙を調湿した後、ドロップテストによりサイズ度を測定した。結果を表2に示す。
【0122】
以上の実施例1〜48、比較例1〜16における原紙の種類と塗工液の関係を表2にまとめた。
【0123】
【表2】

【0124】
表2の結果から、酸性上質紙、中性上質紙、酸性新聞紙、中性新聞紙のいずれにおいても、実施例用塗工液1〜14を塗工した紙は、従来から使用されている表面サイズを成分とする比較例用塗工液1〜4を塗工した紙よりも、サイズ度が優れていることが解る。また、実施例用塗工液1〜3と比較例用塗工液1に関しては、1時間循環させた後、原紙に塗工した場合の比較も行ったが、この結果も同様に実施例用塗工液を塗工した紙のほうがサイズ度が高かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルケニルコハク酸無水物、アルキルコハク酸無水物及びこれらの混合物からなる群から選択される無水物(A)を含有する水性エマルションと、下記の群:
(1)金属塩類、
(2)カチオン性ポリマー、
から選ばれる1種類以上のカチオン性物質(B)とを少なくとも含有した液を、原紙に塗工することを特徴とする表面サイジング方法。
【請求項2】
アルケニルコハク酸無水物、アルキルコハク酸無水物酸無水物及びこれらの混合物からなる群から選択される無水物(A)に対するカチオン性物質(B)の併用比率が、((A)の分子数):((B)の金属原子数、若しくはカチオン性ポリマーのカチオン性基数又はそれらの合計数)が1:(0.1〜2)であることを特徴とする請求項1に記載の表面サイジング方法。
【請求項3】
アルケニルコハク酸無水物、アルキルコハク酸無水物及びこれらの混合物からなる群から選択される無水物(A)を含有する水性エマルションと、下記の群:
(1)金属塩類、
(2)カチオン性ポリマー、
から選ばれる1種類以上のカチオン性物質(B)とを少なくとも含有した液、
を含む、表面サイジング用水性エマルション組成物。
【請求項4】
アルケニルコハク酸無水物、アルキルコハク酸無水物酸無水物及びこれらの混合物からなる群から選択される無水物(A)に対するカチオン性物質(B)の併用比率が、((A)の分子数):((B)の金属原子数、若しくはカチオン性ポリマーのカチオン性基数又はそれらの合計数)が1:(0.1〜2)であることを特徴とする請求項3に記載の水性エマルション組成物。
【請求項5】
請求項3または4に記載した水性エマルション組成物を含む塗工液を原紙に塗工することを特徴とする紙の製造方法。
【請求項6】
請求項5記載の紙の製造方法により製造される紙。

【公開番号】特開2006−152510(P2006−152510A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−348338(P2004−348338)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【出願人】(000183484)日本製紙株式会社 (981)
【Fターム(参考)】