説明

紙カップの検査装置およびその方法

【課題】正規品種の紙カップと異品種の紙カップとを区別し、異品種の紙カップを製造工程から排出可能にする検査装置およびその方法を提供する。
【解決手段】製造工程における隣り合う工程間を繋ぐシューター内を通過する紙カップを撮像するエリアカメラと、エリアカメラが撮像して得た画像データと予め用意した比較用の画像データとを比較して、紙カップが正規品種か否かを判定する判定部と、判定部が正規品種でないと判定した場合、正規品種でないことを報知する警告制御部および警告装置と、を備える紙カップの検査装置とその検査方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置およびその方法に関し、特に、紙カップを検査する検査装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙カップの検査に関して、特許文献1には、断熱紙カップの外装スリーブのはみ出しを検査する検査装置が記載されている。また、特許文献2には、紙カップのトップカール部に発生する形状不良を検出する紙カップ外観検査が記載されている。
紙カップの製造現場において、その製造過程で正規品種でない異品種の紙カップが混入
する場合がある。
【0003】
しかし、特許文献1の技術は、断熱紙カップの外装スリーブのはみ出しを検査する検査装置であるため、正規品種の紙カップと異品種の紙カップとの判別は出来ない。
また、特許文献2の技術は、紙カップのトップカール部に発生する形状不良を検出する紙カップ外観検査であるため、正規品種の紙カップと異品種の紙カップとの判別は出来ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−71324号公報
【特許文献2】特開2001−255276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、正規品種の紙カップと異品種の紙カップとを区別し、異品種の紙カップを製造工程から排出可能にする検査装置およびその方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、複数の製造工程における隣り合う工程間を繋ぐシューター内を通過する紙カップを撮像する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像して得た画像データと予め用意した比較用の画像データとを比較して、前記紙カップが正規品種か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が前記正規品種でないと判定した場合、正規品種でないことを報知する報知手段を備えている紙カップの検査装置であって、
前記判定手段が、予め用意した前記比較用画像データの内、モデル画像(正規品種の画像データ)を前記紙カップの画像データからサーチするサーチ処理と、
前記サーチ処理において前記モデル画像が前記紙カップの画像データ中に存在すると判断された際に、前記比較用画像データが色判定対象モデルか否かを予め記憶、判断する色判定対象モデル処理と、
前記色判定対象モデル処理において色判定対象モデルであると判断された際に、前記サーチ処理によって前記モデル画像と一致した前記紙カップの画像データの範囲の各画素において後述するRGBデータ抽出処理およびL*、a*、b*値算出処理および色情報判断処理およびカウントアップ処理およびa*、b*値保持処理を行う繰り返し処理と、
前記繰り返し処理において繰り返し回数内である際に、注目画素のRGBデータ抽出処理と、
前記RGBデータ抽出処理より得たRGBデータより前記注目画素のL*、a*、b*値を算出するL*、a*、b*値算出処理と、
前記L*、a*、b*値算出処理において得たa*、b*値より|(a*+(b*|の値がある閾値を超えるか否かを判断する色情報判断処理と、
前記色情報判断処理において色情報有りと判断された際に、
色情報を持つ画素とするカウントアップ処理と、
前記カウントアップ処理において、その画素のa*およびb*の値を保持するa*、b*値保持処理と、
前記繰り返し処理において繰り返し回数を満たせば、前記a*、b*値保持処理で保持しているa*、b*値と前記カウントアップ処理において得られた画素数より色情報を持つ全画素の平均a*および平均b*の値を算出する平均a*、b*値算出処理と、
前記平均a*、b*値算出処理において得た平均a*および平均b*の値と前記比較用画像データのモデルの基準色のa**平面上の距離が、ある閾値以内であるか否かを判断する色判定処理と、
を備えることを特徴とする紙カップの検査装置である。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、色判定対象モデルか否かを登録する際に、
モデル領域設定処理と、
前記モデル領域設定処理において設定した領域の紙カップの画像データの範囲の各画素において後述するRGBデータ抽出処理およびL*、a*、b*値算出処理および色情報判断処理およびカウントアップ処理を行う繰り返し処理と、
前記繰り返し処理において繰り返し回数内である際に、
注目画素のRGBデータ抽出処理と、
前記RGBデータ抽出処理より得たRGBデータより前記注目画素のL*、a*、b*値を算出するL*、a*、b*値算出処理と、
前記L*、a*、b*値算出処理において得たa*、b*値より|(a*+(b*|の値がある閾値を超えるか否かを判断する色情報判断処理と、
前記色情報判断処理において色情報有りと判断された際に、色情報を持つ画素とするカウントアップ処理と、
前記繰り返し処理において繰り返し回数を満たせば、前記カウントアップ処理で保持している値と前記モデル領域設定処理で設定した領域の全画素数とを比較し色情報を持つ画素領域が一定面積を占めるか否かを判断する色判定対象モデル登録処理と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の紙カップの検査装置である。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、シューターの周囲を取り囲むように配列されて、前記シューター内を通過する紙カップの外周面を撮像する撮像手段を複数備え、
判定手段が、各撮像手段が撮像して得た各画像データと比較用の画像データとを比較して、前記紙カップが正規品種か否かを判定することを特徴とする請求項1または2に記載の紙カップの検査装置である。
【0009】
また、請求項4に係る発明は、シューター内を通過する紙カップを検出したとき、信号を出力する検出手段と、
前記検出手段が出力する信号を基に、前記紙カップに向けて発光する発光手段と、を備え、
撮像手段は、前記検出手段が出力する信号を基に、前記紙カップを撮像し、
前記発光手段は、前記撮像手段の撮像タイミングに同期して発光することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の紙カップの検査装置である。
【0010】
また、請求項5に係る発明は、複数の製造工程における隣り合う工程間を繋ぐシューター内を通過する紙カップを撮像する撮像工程と、
前記撮像工程が撮像して得た画像データと予め用意した比較用の画像データとを比較して、前記紙カップが正規品種か否かを判定する判定工程と、
前記判定工程が前記正規品種でないと判定した場合、正規品種でないことを報知する報知工程と、を備えている紙カップの検査装置において、
前記判定工程が、予め用意した前記比較用画像データの内、モデル画像を前記紙カップの画像データからサーチするサーチ工程と、
前記サーチ工程において前記モデル画像が前記紙カップの画像データ中に存在すると判断された際に、前記比較用画像データが色判定対象モデルか否かを予め記憶、判断する色判定対象モデル工程と、
前記色判定対象モデル工程において前記色判定対象モデルであると判断された際に、前記サーチ工程によって前記モデル画像と一致した前記紙カップの画像データの範囲の各画素において、後述するRGBデータ抽出工程およびL*、a*、b*値算出工程および色情報判断工程およびカウントアップ工程およびa*、b*値保持工程を行う繰り返し工程と、前記繰り返し工程において繰り返し回数内である際に、注目画素のRGBデータ抽出工程と、
前記RGBデータ抽出工程より得たRGBデータより前記注目画素のL*、a*、b*値を算出するL*、a*、b*値算出工程と、
前記L*、a*、b*値算出工程において得たa*、b*値より|(a*+(b*|の値がある閾値を超えるか否かを判断する色情報判断工程と、
前記色情報判断工程において色情報有りと判断された際に、色情報を持つ画素とするカウントアップ工程と、
前記カウントアップ工程において、その画素のa*およびb*の値を保持するa*、b*値保持工程と、
前記繰り返し工程において繰り返し回数を満たせば、前記a*、b*値保持工程で保持しているa*、b*値と前記カウントアップ工程において得られた画素数より色情報を持つ全画素の平均a*および平均b*の値を算出する平均a*、b*値算出工程と、
前記平均a*、b*値算出工程において得た平均a*および平均b*の値と前記比較用画像データのモデルの基準色のa*、b*平面上の距離がある閾値以内であるか否かを判断する色判定工程と、を備え、
この順に検査工程を進めることを特徴とする紙カップの検査方法である。
【0011】
また、請求項6に係る発明は、色判定対象モデルか否かを登録する際に、
モデル領域設定工程と、
前記モデル領域設定工程において設定した領域の前記紙カップの画像データの範囲の各画素において後述するRGBデータ抽出工程およびL*、a*、b*値算出工程および色情報判断工程およびカウントアップ工程を行う繰り返し工程と、
前記繰り返し工程において繰り返し回数内である際に、注目画素のRGBデータ抽出工程と、
前記RGBデータ抽出工程より得たRGBデータより前記注目画素のL*、a*、b*値を算出するL*、a*、b*値算出工程と、
前記L*、a*、b*値算出工程において得たa*、b*値より|(a*+(b*|の値がある閾値を超えるか否かを判断する色情報判断工程と、
前記色情報判断工程において色情報有りと判断された際に、色情報を持つ画素とするカウントアップ工程と、
前記繰り返し工程において繰り返し回数を満たせば、前記カウントアップ処理で保持している値と前記モデル領域設定工程で設定した領域の全画素数とを比較し色情報を持つ画素領域が一定面積を占めるか否かを判断する色判定対象モデル登録工程と、を備え、
この順に検査工程を進めることを特徴とする請求項5に記載の紙カップの検査方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、正規品種の紙カップと異品種の紙カップとを区別し、異品種の紙カッ
プを製造工程から排出可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の検査装置の概略構成の例を示す側面図
【図2】本発明の検査装置の一連の動作の例を示すフローチャート
【図3】本発明の検査装置において図2で示されている正規品判定部の詳細フローチャート
【図4】本発明の検査装置において図3で示されているモデルの基準色設定時の詳細フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明について図面を用いて詳細に説明する。
(構成の説明)
図1は、本発明の検査装置1の概略構成の例を示す側面図である。
図1に示すように、検査装置1は、センサ2、エリアカメラ3、バー照明4、PC(パーソナルコンピュータ)10、および警告装置5を有する。
【0015】
センサ2は、シューター20内を通過する紙カップ30の進行方向に対して垂直方向に対となり配置されている。センサ2は、シューター20内を通過する紙カップ30を検出する。センサ2は、紙カップ30を検出したとき、トリガ信号をエリアカメラ3に出力する。
【0016】
ここで、シューター20は、紙カップ30の製造工程において隣り合う工程間を繋ぐものであり、紙カップ30がその中を一定の姿勢を保ちながら通過できるような形状或いは形態をなしている。このときの紙カップ30の姿勢とは、紙カップ30の進行方向に対して法線方向に、紙カップ30の印刷面など、紙カップ30の品種が識別できる面が向いている状態である。紙カップ30は、空気圧の力でこのシューター20内を通過する。シューター20は、複数本のステー(ガイド棒)より構成されており、紙カップ30の移動空間の周囲の円筒面上にこの複数本のステーを互いに平行に等間隔で並べたものである。
【0017】
エリアカメラ3は、センサ2に対して紙カップ30の進行方向の下流側に配置されている。図示していないが、エリアカメラ3は複数配置されており、複数のエリアカメラ3はシューター20の周囲を取り囲むようにして配列されている。この複数のエリアカメラ3により、シューター20内を通過する紙カップ30の外周面全体を撮像している。すなわち、紙カップ30の外観を網羅できるようにエリアカメラ3が配置されている。
【0018】
本発明では、カメラ視野幅が150mmとなるように6台のエリアカメラ3を配置している。なお、エリアカメラ3の台数はこれに限定されるものではなく、他の台数、例えば8台であっても良い。
各エリアカメラ3は、センサ2からのトリガ信号の入力タイミングで露光(撮像)を開始する。同時に、各エリアカメラ3は、各バー照明4にトリガ信号を出力する。また、各エリアカメラ3は、それぞれ撮像結果を画像データとして出力する。
【0019】
バー照明4は、エリアカメラ3に対応して複数配置されており、シューター20内に有るエリアカメラ3の視野内を照らすように配置されている。各バー照明4は、対応する各エリアカメラ3からのトリガ信号の入力タイミングでストロボ発光する。なお、センサ2からのトリガ信号を基に、バー照明4がストロボ発光するような構成であっても良い。
本発明では、エリアカメラ3の台数に対応して、6台のバー照明4が配置されている。また、バー照明4は照射幅を120mmとしている。なお、バー照明4の台数はこれ
に限定されるものではなく、他の台数、例えば8台であっても良い。
【0020】
PC10は、各エリアカメラ3が得た複数の画像データを取り込む。PC10は、その各画像データを基に、紙カップ30が正規品種か否かを判定する。そのため、PC10は判定部11、警告制御部12、および記憶部13を有する。例えば、この構成は、PC10において演算処理部により構成することができる。当然、この構成は、それぞれの機能部を、専用の装置として構成することができることは言うまでも無い。
記憶部13には、PC10が各種処理で使用するプログラム13aや各種データが記憶されている。各種データには、予め用意された比較用の画像データとして、正規品種の紙カップ30の画像データ(正規品種に基づく画像データ)がある。例えば、その画像データは、LAN(Local Area Network)等の通信手段を介してデータサーバから取得したものであったり、使用者又は管理者により予め登録されたものであったりすることができる。
【0021】
判定部11は、各エリアカメラ3から入力された各画像データ(以下、入力画像データという。)と、記憶部13に記憶されている画像データ(以下、比較用画像データという。)とを比較し、入力画像データに係る紙カップ30が正規品種か否かを判定する。判定部11は、複数の入力画像データの何れかが比較用画像データと一致するとき、例えば、マッチングの度合が予め設定した閾値よりも大きいとき、入力画像データに係る紙カップ30が正規品種であると判定する。警告制御部12は、判定部11が正規品種ではないと判定するときには、警告装置5を駆動して、警告音を出力する。
【0022】
(動作の説明)
図2は、以上のような検査装置1の一連の動作の例を示す。
図2に示すように、先ずステップS1において、検査装置1では、センサ2が紙カップ30を検出すると、ステップS2に進み、各バー照明4が該紙カップ30に向けて発光し、その発光タイミングに同期して、各エリアカメラ3が該紙カップ30を撮像する。
続くステップS3において、検査装置1では、判定部11が、各エリアカメラ3が撮像して得た各入力画像データと比較用画像データと比較し、紙カップ30が正規品種か否かを判定する。
【0023】
続くステップS4において、検査装置1では、判定部11が正規品種でないと判定したとき、警告制御部12が警告装置5を駆動して警告音を出力させる。
以上のように、本発明では、検査装置1は、シューター20内を通過する紙カップ
30を検出したときに、その検出した紙カップ30を撮像して、それにより得た画像データと比較用画像データとを比較して、正規品種でないと判定した場合、正規品種でないことを警告装置5の警告音により報知している。
【0024】
これにより、検査装置1は、正規品種の紙カップと異品種の紙カップとを区別し、異品種の紙カップを製造工程から排出可能にすることができる。この結果、検査装置1は、異品種の紙カップが混入されたまま箱詰めされ出荷されるのを防ぐことができる。
さらに、検査装置1では、製造工程で広く利用されている各種工程間を繋ぐシューター20を利用しているので、製造工程中に検査設備を設けることなく、簡易に正規品種の紙カップと異品種の紙カップとを区別することができる。
【0025】
また、検査装置1では、バー照明4をストロボ発光させて撮像している。これにより、シューター20内を高速で通過する紙カップ30を、十分な明るさのもとで明確に撮像することができる。
ところで、紙カップ製造現場において紙カップを出荷する際には、紙カップを重ねたスタックの状態にして箱詰めにして出荷している。このスタックの状態になると個々の紙カップの品種判別が不可能になる為、スタックの状態にする工程以前で紙カップを検査する必要がある。また、製造工程のどの工程においても異品種の紙カップが混入する可能性があるため混入したまま出荷されるのを防ぐためには、スタックの状態になる直前で紙カップを検査するのが好ましい。
【0026】
これに対して、本発明では、検査装置1を、スタックの状態になる直前のシューター20に設置することができる。この結果、本発明の検査装置1は、スタックの状態になる直前で紙カップを検査でき、異品種の紙カップが混入されたまま箱詰めされ出荷されるのを防ぐことができる。
【0027】
なお、本発明では、検出手段としてセンサ2を用いている。また、撮像手段としてエリアカメラ3を用いている。また、判定手段として判定部11を用いている。また、報知手段として警告制御部12および警告装置5を用いている。また、発光手段としてバー照明4を用いている。
【0028】
(判定部の説明)
図3は、本発明の検査装置において、図2で示されているステップS3の正規品判定部の詳細フローチャートである。
図3に示すように、先ずステップS31において、各エリアカメラ3が撮像して得た各入力画像データに正規品種の画像データ(以下モデル画像)と類似する画像パターンが存在しないかパターンサーチをする。
【0029】
ステップS32によって、各エリアカメラ3が撮像して得た各入力画像データにモデル画像が見つけられなければステップS33に進み、モデルサーチNG判定を下し、見つかればステップS34に進む。
【0030】
ステップS34では、ステップS32において用いたモデル画像が色判定対象モデルか否かを判断している。モデル画像が色判定対象モデルとして予め登録されていなければステップS35においてモデルサーチOK判定とされる。モデル画像が色判定対象モデルとして予め登録されていればステップS36に進む。
【0031】
ステップS36では、ステップS37、ステップS38、ステップS39、ステップS40およびステップS41の各ステップを、ステップS42の間で繰り返し処理している。繰り返す回数はモデル画像の構成画素数に依存しており、各エリアカメラ3が撮像して得た各入力画像データの内、モデル画像と一致した領域の全画素を対象に1画素毎に注目画素を変え、ステップS37、ステップS38、ステップS39、ステップS40、ステップS41およびステップS42に進む。
【0032】
ステップS37では、注目画素のRGBデータを抽出している。ステップS38ではステップS37で抽出したRGBデータより注目画素のL*、a*、b*の値を算出する。ステップS39において注目画素のa*、b*の値より算出される|(a*+(b*|の値がある閾値を超えるかを判定する。閾値を越えればS40に進み、注目画素を色情報が十分にある画素としてカウントアップし、ステップS41に進み、注目画素のa*およびb*の値を保持する。
【0033】
ステップS43ではステップS40でカウントアップした画素数とステップS41により保持されているa*、b*の値より、色情報を持つ全画素の平均a*、平均b*の値を算出する。ステップS44ではステップ43より算出した平均a*および平均b*の値よりa*・b*平面上の点を算出し、その点とモデルの基準色のa*・b*平面上の点との距離を導き、その距離がある閾値以内であればステップS45に進み、色判定OKと判断され、閾値以上であればステップS46に進み、色判定NGと下される。
【0034】
本発明では、ステップS3の正規品判定部においてステップS31のパターンサーチおよびステップS44での色判定という2重の検査を行っており、より精度のよい検査を実現している。またステップS38でRGBデータよりL*、a*、b*値を算出してステップS39の判定に用いているのは、RGBデータでの色判定よりもa*、b*での色評価を行う方が検査装置1において紙カップ30がシューター20内でとりえるあらゆる姿勢による撮像画像データのバラツキが少ないため好ましい。
【0035】
図4は、本発明の検査装置において図3のステップS44の判断で用いられているモデルの基準色設定時のフローチャートである。
図4で示すように、先ずステップS11においてモデル画像とする領域の設定を行う。ステップS12ではステップS13、ステップS14、ステップS15およびステップS16の各ステップをステップS17の間で繰り返し処理している。繰り返す回数はステップS11で設定したモデル画像の構成画素数に依存している。モデル画像を構成している全画素を対象に1画素毎に注目画素を変えステップS13、ステップS14、ステップS15およびステップS16に進む。
【0036】
ステップS13では、注目画素のRGBデータを抽出している。ステップS14ではステップS13で抽出したRGBデータより注目画素のL*、a*、b*の値を算出する。ステップS15において、注目画素のa*、b*の値より算出される|(a*+(b*|の値がある閾値を超えるかを判定する。閾値を越えればステップS16に進み注目画素を色情報が十分にある画素としてカウントアップする。
【0037】
ステップS12からステップS17までの繰り返し処理が終了すると、ステップS18に進み、ステップS11で設定したモデル画像を構成している画素数に対してステップS16でカウントアップされた画素数がある一定以上であるかを判定する。ある一定以上の領域があると判定された場合はステップS19に進みステップS11で設定したモデル画像は色判定対象モデルとして登録し、ある一定以下の領域でしかないと判定された場合にはステップS20に進み、ステップS11で設定したモデル画像はモデルサーチをのみを行うモデルとして登録する。
【0038】
(本発明のその他の使用例)
本発明のその他の使用例としては、製造工程に混入が予想される品種の画像データを比較用画像データとし、この比較用画像データと各入力画像データとを、パターンマッチングにより比較しても良い。この場合、検査装置1は、混入が予想される品種の画像データに各入力画像データの何れかが一致する場合、正規品種ではないと判定する。例えば、混入が予想される品種とは、同一ラインを使用して異なる時間帯で製造されている異なる品種や、隣接するラインで製造されている異なる品種等である。
【0039】
また、シューター20を構成するステー(ガイド棒)の数に応じて、検査装置1を構成する必要があることは言うまでもない。すなわち、6本や8本のステー(ガイド棒)が有る場合には、それら各ステー(ガイド棒)の間を撮像可能な位置に6個又は8個のエリアカメラ3、バー照明4等を備えるようにする。これは、シューター20内を通過中の紙カップ30は回転可能で、紙カップ30の品種を識別できる特徴的な印刷部分が、どのステーの間から見えるかは決まっていないので、全てのステーの間を撮像することが必要になるためである。
【0040】
また、本発明のその他の使用例として、正規品種でないと判定したとき、モニターに正規品種でないという表示をして報知しても良い。
また、本発明のその他の使用例として、正規品種でないと判定したとき、排除装置等に
より、その紙カップ30を製造ラインから自動的に排除しても良い。
【符号の説明】
【0041】
1・・・検査装置
2・・・センサ
3・・・エリアカメラ
4・・・バー照明
5・・・警告装置
11・・・判定部
12・・・警告制御部
13・・・記憶部
20・・・シューター
30・・・紙カップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の製造工程における隣り合う工程間を繋ぐシューター内を通過する紙カップを撮像する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像して得た画像データと予め用意した比較用の画像データとを比較して、前記紙カップが正規品種か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が前記正規品種でないと判定した場合、正規品種でないことを報知する報知手段を備えている紙カップの検査装置であって、
前記判定手段が、予め用意した前記比較用画像データの内、モデル画像(正規品種の画像データ)を前記紙カップの画像データからサーチするサーチ処理と、
前記サーチ処理において前記モデル画像が前記紙カップの画像データ中に存在すると判断された際に、前記比較用画像データが色判定対象モデルか否かを予め記憶、判断する色判定対象モデル処理と、
前記色判定対象モデル処理において色判定対象モデルであると判断された際に、前記サーチ処理によって前記モデル画像と一致した前記紙カップの画像データの範囲の各画素において後述するRGBデータ抽出処理およびL*、a*、b*値算出処理および色情報判断処理およびカウントアップ処理およびa*、b*値保持処理を行う繰り返し処理と、
前記繰り返し処理において繰り返し回数内である際に、注目画素のRGBデータ抽出処理と、
前記RGBデータ抽出処理より得たRGBデータより前記注目画素のL*、a*、b*値を算出するL*、a*、b*値算出処理と、
前記L*、a*、b*値算出処理において得たa*、b*値より|(a*+(b*|の値がある閾値を超えるか否かを判断する色情報判断処理と、
前記色情報判断処理において色情報有りと判断された際に、
色情報を持つ画素とするカウントアップ処理と、
前記カウントアップ処理において、その画素のa*およびb*の値を保持するa*、b*値保持処理と、
前記繰り返し処理において繰り返し回数を満たせば、前記a*、b*値保持処理で保持しているa*、b*値と前記カウントアップ処理において得られた画素数より色情報を持つ全画素の平均a*および平均b*の値を算出する平均a*、b*値算出処理と、
前記平均a*、b*値算出処理において得た平均a*および平均b*の値と前記比較用画像データのモデルの基準色のa**平面上の距離が、ある閾値以内であるか否かを判断する色判定処理と、
を備えることを特徴とする紙カップの検査装置。
【請求項2】
色判定対象モデルか否かを登録する際に、
モデル領域設定処理と、
前記モデル領域設定処理において設定した領域の紙カップの画像データの範囲の各画素において後述するRGBデータ抽出処理およびL*、a*、b*値算出処理および色情報判断処理およびカウントアップ処理を行う繰り返し処理と、
前記繰り返し処理において繰り返し回数内である際に、
注目画素のRGBデータ抽出処理と、
前記RGBデータ抽出処理より得たRGBデータより前記注目画素のL*、a*、b*値を算出するL*、a*、b*値算出処理と、
前記L*、a*、b*値算出処理において得たa*、b*値より|(a*+(b*|の値がある閾値を超えるか否かを判断する色情報判断処理と、
前記色情報判断処理において色情報有りと判断された際に、色情報を持つ画素とするカウントアップ処理と、
前記繰り返し処理において繰り返し回数を満たせば、前記カウントアップ処理で保持している値と前記モデル領域設定処理で設定した領域の全画素数とを比較し色情報を持つ画
素領域が一定面積を占めるか否かを判断する色判定対象モデル登録処理と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の紙カップの検査装置。
【請求項3】
シューターの周囲を取り囲むように配列されて、前記シューター内を通過する紙カップの外周面を撮像する撮像手段を複数備え、
判定手段が、各撮像手段が撮像して得た各画像データと比較用の画像データとを比較して、前記紙カップが正規品種か否かを判定することを特徴とする請求項1または2に記載の紙カップの検査装置。
【請求項4】
シューター内を通過する紙カップを検出したとき、信号を出力する検出手段と、
前記検出手段が出力する信号を基に、前記紙カップに向けて発光する発光手段と、を備え、
撮像手段は、前記検出手段が出力する信号を基に、前記紙カップを撮像し、
前記発光手段は、前記撮像手段の撮像タイミングに同期して発光することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の紙カップの検査装置。
【請求項5】
複数の製造工程における隣り合う工程間を繋ぐシューター内を通過する紙カップを撮像する撮像工程と、
前記撮像工程が撮像して得た画像データと予め用意した比較用の画像データとを比較して、前記紙カップが正規品種か否かを判定する判定工程と、
前記判定工程が前記正規品種でないと判定した場合、正規品種でないことを報知する報知工程と、を備えている紙カップの検査装置において、
前記判定工程が、予め用意した前記比較用画像データの内、モデル画像を前記紙カップの画像データからサーチするサーチ工程と、
前記サーチ工程において前記モデル画像が前記紙カップの画像データ中に存在すると判断された際に、前記比較用画像データが色判定対象モデルか否かを予め記憶、判断する色判定対象モデル工程と、
前記色判定対象モデル工程において前記色判定対象モデルであると判断された際に、前記サーチ工程によって前記モデル画像と一致した前記紙カップの画像データの範囲の各画素において、後述するRGBデータ抽出工程およびL*、a*、b*値算出工程および色情報判断工程およびカウントアップ工程およびa*、b*値保持工程を行う繰り返し工程と、前記繰り返し工程において繰り返し回数内である際に、注目画素のRGBデータ抽出工程と、
前記RGBデータ抽出工程より得たRGBデータより前記注目画素のL*、a*、b*値を算出するL*、a*、b*値算出工程と、
前記L*、a*、b*値算出工程において得たa*、b*値より|(a*+(b*|の値がある閾値を超えるか否かを判断する色情報判断工程と、
前記色情報判断工程において色情報有りと判断された際に、色情報を持つ画素とするカウントアップ工程と、
前記カウントアップ工程において、その画素のa*およびb*の値を保持するa*、b*値保持工程と、
前記繰り返し工程において繰り返し回数を満たせば、前記a*、b*値保持工程で保持しているa*、b*値と前記カウントアップ工程において得られた画素数より色情報を持つ全画素の平均a*および平均b*の値を算出する平均a*、b*値算出工程と、
前記平均a*、b*値算出工程において得た平均a*および平均b*の値と前記比較用画像データのモデルの基準色のa*、b*平面上の距離がある閾値以内であるか否かを判断する色判定工程と、を備え、
この順に検査工程を進めることを特徴とする紙カップの検査方法。
【請求項6】
色判定対象モデルか否かを登録する際に、
モデル領域設定工程と、
前記モデル領域設定工程において設定した領域の前記紙カップの画像データの範囲の各画素において後述するRGBデータ抽出工程およびL*、a*、b*値算出工程および色情報判断工程およびカウントアップ工程を行う繰り返し工程と、
前記繰り返し工程において繰り返し回数内である際に、注目画素のRGBデータ抽出工程と、
前記RGBデータ抽出工程より得たRGBデータより前記注目画素のL*、a*、b*値を算出するL*、a*、b*値算出工程と、
前記L*、a*、b*値算出工程において得たa*、b*値より|(a*+(b*|の値がある閾値を超えるか否かを判断する色情報判断工程と、
前記色情報判断工程において色情報有りと判断された際に、色情報を持つ画素とするカウントアップ工程と、
前記繰り返し工程において繰り返し回数を満たせば、前記カウントアップ処理で保持している値と前記モデル領域設定工程で設定した領域の全画素数とを比較し色情報を持つ画素領域が一定面積を占めるか否かを判断する色判定対象モデル登録工程と、を備え、
この順に検査工程を進めることを特徴とする請求項5に記載の紙カップの検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−63320(P2012−63320A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209595(P2010−209595)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】