説明

紙シート製造のための疎水基水溶性コポリマーを含有する無機質材料の水性懸濁液および/または水性分散液の使用

本発明は、紙シートを製造する方法において、前記シートにおけるコーティング混合物の浸透を遅延させる薬剤として、少なくとも1つのエチレン性不飽和アニオン性モノマーおよび少なくとも1つのエチレン性不飽和オキシアルキルモノマーを含み、疎水性鎖を末端とする少なくとも1つの水溶性コポリマーを含有することを特徴とする、無機質材料の水性分散液および/または水溶液の使用に関する。本発明はまた、前記コポリマーを使用して紙シートを製造する方法およびそれによって得られた紙シートに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙シートの製造にかかわる無機質材料の水性懸濁液の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
コート紙シートを製造する場合、第1ステップは、製紙機械の手段により製紙用パルプを紙シートに転換することであり、この紙シートは未だコーティングされていない。製紙用パルプは、基本的に、天然型セルロース繊維または合成繊維、水および1つまたは複数の無機質材料(炭酸カルシウムなど)の、加えていわゆる「貼合せ」剤などの様々な他の添加剤を含有する。こうした状況において使用される炭酸カルシウムなどの無機質材料は、「充填剤」と称される。第2ステップは、すでに得られたシートをコーティングすることである。この操作は、特に、水、炭酸カルシウムなどの1つまたは複数の無機質材料、1つまたは複数の結合剤および様々な添加剤を含有する、「紙コーティング剤」として知られている水性化合物を、原紙媒体に塗布することである。紙コーティング剤を製造する場合、使用される炭酸カルシウムなどの無機質材料はコーティング顔料と称される。
【0003】
媒体に塗布後、紙コーティング剤は、これが含有する水溶性物質または懸濁物質の一部または全部を媒体に移行させるという自然な傾向を有する。紙媒体中へのこの移動の遅延は、こうして塗布された紙コーティング剤の厚さ内で水溶性物質または懸濁物質の均質分布を維持するために必要であり、最終的に紙の表面状態および印刷適性を向上させる。
【0004】
紙シート中への紙コーティング剤の浸透を遅延させるという特定の技術的問題を解決しようとする際、これが起きるのを防止しなくとも、こうして塗布された紙コーティング剤の厚さ内で水溶性物質または懸濁物質の均質分布を維持することを目標として、当業者は、2つの可能な科学技術:
−第1の科学技術は、紙コーティング剤の粘度を増加させることにより紙シート中への紙コーティング剤の浸透を低減する「増粘剤」として知られているレオロジー改質剤を紙コーティング剤に添加することによって紙コーティング剤のレオロジーを改善することからなる。紙コーティング剤の「保水」はこうした場合において言及される。この科学技術における問題は、紙コーティング剤のレオロジーに対するいずれの有意な変化も、(紙コーティング剤の吸込み、ろ過および拡散など)該工程の他のパラメータに負の効果をもたらす恐れがあること
−第2の科学技術は、多孔性を減少させる、または疎水性の程度を増加させることのいずれかにより紙媒体の吸収特性を改善することからなること
を認定してきた。
【0005】
(特に、高湿度条件に耐えなければならない紙に望まれ得るような)水に対するまたは(水性で、特に酸性のインクを用いて印刷するよう意図されている紙にとりわけ求められるような)インクに対する紙シートの疎水性を最大にするという問題を扱う多くの文献がある。したがってこれらの文献は、水またはインクなど、配合が紙コーティング剤の配合とは異なる液体の浸透に焦点を当てている。さらに、該文献は一般に、水またはインクが紙シートを通過するのにかかる時間を測定することを含める極めて簡単な試験に依拠している。こうした試験は、本出願により取り上げられる技術的問題:
−第1に、これらの試験において、液体(水またはインク)は紙シートを完全に通過し、これは塗布される時点で紙媒体に部分的にしか浸透しない紙コーティング剤には当てなまらないこと
−第2に、これらの試験では、前記紙コーティング剤が紙媒体と接触し始めた後の最初の十分の一秒間は、紙シートへの紙コーティング剤の浸透速度を動的に決定することが可能でないこと
を浮き彫りにするには完全に不適当であろう。
【0006】
上記で説明した通り、本明細書に示した試験において実施した科学技術だけが、上文に記載した現象の理解を可能にできる。
【0007】
結果的に、水またはインクに対する紙シートの疎水性を最大にするという問題を扱っている文献は、したがって、本出願の目的を形成する問題とは非常に異なる問題を解決する。いずれにしても本出願人がこれらの文献に言及する場合、これは、当業者が前記文献を参照することを選択したとしても(前記文献は当業者が解決することを望んでいる技術的問題を扱っていないため、当業者を考えさせ得る対象要素はないであろう。)、本出願の目的である技術的解決法を開示または示唆する情報を見出すことはなかったであろうことを実証するために行われるだけである。
【0008】
したがって、水またはインクに対する紙シートの疎水性を増加させるため、当業者は、紙シートを製造する際の使用において、3種:
−前記シート中への水の浸透を制限する特性を持つ特定の添加剤、
−天然には親水性である紙媒体のセルロース繊維に、水に対する耐性を向上させる疎水性の特性を付与する貼合せ剤、
−特定の有機ポリマーで処理、分散または混合し、それによって、紙シートに水浸透抵抗特性を付与する前記ポリマーで処理、分散または混合する炭酸カルシウムなどの無機質材料
に分類することができるいくつかの溶液に精通している。
【0009】
第1分類において、当業者は、パルプ、炭酸カルシウムなどの無機質材料、およびインクの、したがって水溶性物質の浸透を抑制する「浸透抑制」剤を含有する紙を記載している文献特開平06−219038号公報に精通している。こうした薬剤は、特に、カゼインおよびスターチなどの親水性樹脂の中から、加えてマレイン酸無水物およびスチレンのコポリマーなど、親水性の部分と疎水性の部分とを併せ持つコポリマーの中から選択される。
【0010】
この分類において、当業者は、紙シートを製造する方法において、炭酸カルシウムなどの無機質材料懸濁液および製紙用パルプと組み合わせて、ワックスなど、紙シートを疎水性にする薬剤の使用を記載している文献ソ連特許第1,263,739号明細書にも精通している。
【0011】
第2分類は、本来疎水性である貼合せ剤を使用する溶液から構成される。
【0012】
文献国際公開第96/23105号パンフレットにおいて述べられている通り、硫酸アルミニウムを用いる樹脂であるタイプの従来の貼合せ剤またはケテン二量体に基づいている従来の貼合せ剤は、前記貼合せ剤が使用される紙中への水および水溶性物質の浸透を制限する疎水特性を呈している。この文献は、紙シートの疎水性を向上させる目的で、コロイドポリマーを用いるこれらの貼合せ剤を使用する組合せさえ開示している。
【0013】
最後に、溶液の第3分類は、有機ポリマーで処理または混合される、炭酸カルシウムなどの無機質材料の実装に依拠している。
【0014】
この分類において、当業者は、16個から18個の炭素原子を有するスターチおよび脂肪酸の化合物の存在下で沈殿を介する炭酸カルシウムの表面の処理を記載している文献米国特許第5,514,212号明細書に精通している。この方法で改質された炭酸カルシウムは、紙シートを製造する際に水性懸濁液として使用される。この文献は、紙シートを製造する際に使用される貼合せ剤の分量がこれによって低減される可能性があることを指摘している。この文献は、紙シートの疎水性の程度がこれにより改善されるとも言及している。この疎水性レベルは、酸性の水性インクの浸透測定を使用して決定され、これは、ギ酸を含有する標準的な水性インクが紙シートを通過するのに必要な時間を決定することからなる「Hercules Sizing Test」または「HST」として、当業者によく知られている試験である。この試験の目的は、したがって、後に前記紙上に印刷されることを意図する水性の酸性インクに対する紙の耐性を決定することである。さらに、この文献に示された実施例は、非コート紙シートだけに関する。結果的に、文献米国特許第5,514,212号明細書には、そこに記載されている方法を用いて処理された炭酸カルシウムの使用が、紙シート中への紙コーティング剤の浸透を遅延させ、紙に塗布された紙コーティング剤の厚さ全体に水溶性物質または懸濁物質を均等に分布させることを明らかにするまたは示唆する情報が何もない。
【0015】
当業者は、スターチ、多糖類またはカルボキシメチルセルロースの存在下で重合したアクリレート、アクリロニトリルおよびスチレンベースの疎水性ポリマーを使用して炭酸カルシウムなどの無機質材料を処理する方法を記載している文献国際公開第01/86067号パンフレットにも精通している。前記ポリマーは、水溶液または懸濁液の形態において前記無機質材料と混合され、この溶液または懸濁液は後に、疎水性の程度がこれにより改善されている紙シートの製造において使用される。前文献と同様に、実施例は、コート紙シートにかかわることはない。さらに、これらの実施例は、基本的HST試験からなる。
【0016】
最後に、当業者は、アクリロニトリルをスチレンなどの別のモノマーと組み合わせて炭酸カルシウムに疎水性機能を与えるコポリマーをさらに含有する水性懸濁液の形態において、炭酸カルシウムなどの無機質材料を使用して紙シートを製造する方法を記載している文献国際公開第00/03093号パンフレットにも精通している。この文献において、炭酸カルシウムおよびコポリマーが水中で混合されることが示されている。紙シートを製造する際これにより使用される炭酸カルシウムは、前記シートに向上した疎水性を付与する。2つの前文献と同様に、実施例はHST試験を使用する簡単なインク浸透測定からなる。さらに、紙シートはコーティングされていない。
【0017】
したがって、これらの文献は1つも、紙シートを製造する方法において、前記シートへの紙コーティング剤の浸透を遅延させるための薬剤として:
a)少なくとも1つのエチレン性不飽和アニオン性モノマー、
b)疎水性鎖を末端とする少なくとも1つのエチレン性不飽和オキシアルキル化モノマー
から構成される少なくとも1つの水溶性コポリマーを含有することを特徴とする無機質材料の水性懸濁液または水性分散液を使用することを明らかにまたは示唆していない。
【0018】
本出願人の技術革新の1つは、特に、無機質材料が
−水性懸濁液および/または水性分散液中であること、および
−特定のコポリマーを伴っていること
の両方で、本出願により取り上げられた技術的問題を解決するのに特に適当であることに注目したという事実に依拠している。
【0019】
いかなる任意の理論に制限することを望むことなく、本出願人は、特に、前記コポリマーを用いて無機質材料を粉砕および/または分散し、次いで紙シートを製造する際にこの無機質材料を使用すると、この無機質材料が前記シート中への紙コーティング剤の浸透を遅延させる特性を発揮すると考える。この特性は、特に、紙コーティング剤が紙媒体に接触し始めた後の十分の一秒間、超音波の手段によりシート中への紙コーティング剤の浸透を追跡するという独自の技術を用いる本明細書の試験において示される。これにより、まったく有利なことに、本発明が紙シート中への紙コーティング剤の浸透を遅延させることになり、紙に塗布した紙コーティング剤の厚さ全体にわたる水溶性物質または懸濁物質の均等分布をもたらすことが示される。
【0020】
本出願人は、しかし、特に疎水基を含む水溶性ポリマーを用いて処理、分散または粉砕され、充填剤として、即ち紙シートの製造において使用される無機質材料の水性懸濁液を扱っている多くの文献に精通していると示すことを望んでいる。こうした文献を示すことにより、本出願人は、該文献が本明細書において取り上げる技術的問題にまったくかかわっていないと強調することを意図し、そのため、当業者は、本発明の目的である技術的解決法に当業者を導く目標の教示を該文献において見出すことができない。
【0021】
したがって、充填剤として使用される処理済みの無機質材料に関し、当業者は、文献特開2003−166195号公報に精通している。この文献は、無機質材料と混合される有機化合物を使用して紙を製造する際に水性懸濁液に使用される前記無機質材料の処理を記載している。この有機化合物は、親水性部分および疎水性部分を併せ持ち、前記疎水性部分は、6個から24個の炭素原子を有するアルキル基またはアルケニル基から構成されている。紙の製造においてこれによって処理される無機質材料の水性懸濁液の使用は、紙シートの厚さを増加させるが、これは本発明により解決される問題とは非常に異なる問題である。
【0022】
水性媒体において分散され、充填剤として使用される無機質材料に関し、当業者は、文献米国特許第4,801,354号明細書に精通している。この文献は、無機質材料の分散剤として、10から65の「Fikentscher K値」を有し、(メタ)アクリル酸エステルおよびエチレン性不飽和カルボン酸、優先的にアクリル酸イソブチルから構成され、水溶性が非常に低い(水100g中0.2g)コポリマーの使用を記載している。これによって分散される(炭酸カルシウムなどの)無機質材料の水性懸濁液が紙シートの製造の際に使用され、薬剤を保持する無機添加物の量を制限することを可能にしているが、本発明はこれを解決しようとしているのではない。
【0023】
最後に、水性媒体において分散または粉砕される無機質材料に関し、当業者は、文献ヨーロッパ特許第0,892,020号明細書に精通している。この文献は、水性懸濁液における無機質材料のための分散剤および/または粉砕助剤として、50以下の特定粘度を持つコポリマーであり、カルボン酸官能基を持つ少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーおよび疎水性鎖を末端とする少なくとも1つのエチレン性不飽和オキシルアルキル化モノマーから構成されることを特徴とするコポリマーの使用を記載している。
【0024】
この文献により解決される技術的問題は、こうした材料が、炭酸カルシウムなどの親水性であろうとまたはタルクなどの疎水性であろうと、無機質材料の分散および/または粉砕の両薬剤として使用され得るポリマーへの探求である。
【0025】
文献ヨーロッパ特許第0,892,020号明細書は、これにより得られる無機質材料が充填剤として使用され得ることを示しているが、こうした使用法に関する実施例がない。さらに、この文献に、水性懸濁液において粉砕され、紙シート中への紙コーティング剤の浸透を遅延させる特定の官能基を持つ充填剤として使用される無機質材料の使用を明らかにまたは示唆する情報がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】特開平06−219038号公報
【特許文献2】ソ連特許第1,263,739号明細書
【特許文献3】国際公開第96/23105号パンフレット
【特許文献4】米国特許第5,514,212号明細書
【特許文献5】国際公開第01/86067号パンフレット
【特許文献6】国際公開第00/03093号パンフレット
【特許文献7】特開2003−166195号公報
【特許文献8】米国特許第4,801,354号明細書
【特許文献9】ヨーロッパ特許第0,892,020号明細書
【発明の概要】
【0027】
したがって、発明の第1目的は紙シートを製造する方法において、前記シート中への紙コーティング剤の浸透を遅延させるための薬剤として:
a)少なくとも1つのエチレン性不飽和アニオン性モノマー、
b)疎水性鎖を末端とする少なくとも1つのエチレン性不飽和オキシアルキル化モノマー
から構成される少なくとも1つの水溶性コポリマーを含有することを特徴とする無機質材料の水性分散液および/または水性懸濁液の使用である。
【0028】
この使用は、前記水溶性コポリマーが、水性媒体において前記無機質材料を粉砕および/または分散する少なくとも1つのステップの間に使用されることをさらに特徴とする。
【0029】
当然、当業者は、前記コポリマーと組み合わせて、無機質材料を粉砕および/または分散するために、当業者が精通している別の薬剤を使用してよい。
【0030】
この使用は、前記水溶性コポリマーが:
a)酸もしくは塩の形態におけるモノカルボン酸官能基を持つエチレン性不飽和アニオン性モノマーの中から、優先的にアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸もしくはケイ皮酸から、またはマレイン酸もしくはイタコン酸のC−Cモノエステルなどの二酸半エステルの中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるジカルボン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にイタコン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸もしくはシトラコン酸から、またはマレイン酸無水物などのカルボン酸無水物の中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるスルホン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にアクリルアミド−2−メチル−2−プロパン−スルホン酸、メタリルスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸およびスチレンスルホン酸の中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるリン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にビニルリン酸、エチレングリコールメタクリレートホスフェート、プロピレングリコールメタクリレートホスフェート、エチレングリコールアクリレートホスフェート、プロピレングリコールアクリレートホスフェートおよびこれらのエトキシ化物の中から選択される;または酸もしくは塩の形態における、優先的にビニルホスホン酸であるホスホン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から選択される;またはこれらの混合物から選択される、酸もしくは塩の形態におけるエチレン性不飽和アニオン性モノマーである少なくとも1つのエチレン性不飽和アニオン性モノマー、
b)および一般式(I)
【0031】
【化1】

[式中、
−mおよびpは、100未満または100に等しいアルキレンオキシド単位の数を表し、nは、100未満または100に等しいエチレンオキシド単位の数を表し、qは、少なくとも1に等しい数であり、0≦q(n+m+p)≦100であり、
−Rは、水素またはメチル基もしくはエチル基を表し、
−Rは、水素またはメチル基もしくはエチル基を表し、
−Rは、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル、クロトン酸エステルおよびビニルフタル酸エステルを、加えて例えば、アクリルウレタン、メタクリルウレタン、α−α’ジメチル−m−イソプロペニル−ベンジルウレタンおよびアリルウレタンなどの不飽和ウレタンの群に属する重合可能な不飽和基を表し、
−R’は疎水性基を表す。]
を有する疎水性鎖を末端とする少なくとも1つのエチレン性不飽和オキシアルキル化モノマー
から構成されることをさらに特徴とする。
【0032】
この使用は、R’基が、トリスチリルフェニル基もしくは少なくとも8個の炭素原子を持つジアルキルアミン類の中から、またはそれぞれが少なくとも6個の炭素原子を有する2つの分枝を持つ、少なくとも8個の炭素原子、優先的に10個から24個の炭素原子、非常に優先的に16個から20個の炭素原子を持つ直鎖もしくは分枝のアルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびアリール基の中から、またはこれらの基の混合物の中から選択され、R’基が、2−ヘキシル1−デカニルおよび2−オクチル1−ドデカニルまたはこれらの混合物の中から極めて優先的に選択されることをさらに特徴とする。
【0033】
上記したコポリマーを選択する場合、2つのモノマーa)およびb)が前記コポリマーの構成に依然必須であるが、本発明は、これらの2つのモノマーの存在だけに限定されない。そのため、本出願は、少なくとも1つのa)モノマーおよび少なくとも1つのb)モノマーに加えて、前記コポリマーが、アクリルアミドモノマーもしくはメタクリルアミドモノマー、またはN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミドもしくはN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドなどこれらの誘導体、およびこれらの混合物の中から;またはアルキルアクリレートもしくはメタクリレートなどの非水溶性モノマー、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]メタクリレートもしくはN−[2−(ジメチルアミノ)エチル]アクリレートなどの不飽和エステル、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、スチレン、アルファメチルスチレンおよびこれらの誘導体などのビニル化物の中から;優先的に2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムスルフェートもしくは[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド、[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムスルフェートもしくは[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド、[3−(アクリルアミド)プロピル]トリメチルアンモニウムスルフェートもしくは[3−(アクリルアミド)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジアリルアンモニウムスルフェートもしくはジメチルジアリルアンモニウムクロリド、[3−(メタクリルアミド)プロピル]トリメチルアンモニウムスルフェートもしくは[3−(メタクリルアミド)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリドなどのカチオン性または第4級アンモニウムモノマーの中から;または有機フッ素化もしくは有機シリル化モノマーの中から、または当業者によく知られているこれらの架橋モノマー(即ち、少なくとも2つのエチレン不飽和を持つモノマー)もしくはこれらのモノマーの混合物の中から選択される少なくとも1つの他のモノマーをさらに含有することをさらに特徴とする。
【0034】
本出願は、前記水溶性コポリマーが、以下の成分のそれぞれから構成され、それぞれが重量による百分率:
a)酸もしくは塩の形態におけるモノカルボン酸官能基を持つエチレン性不飽和アニオン性モノマーの中から、優先的にアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸もしくはケイ皮酸から、またはマレイン酸もしくはイタコン酸のC−Cモノエステルなどの二酸半エステルの中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるジカルボン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にイタコン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸もしくはシトラコン酸から、またはマレイン酸無水物などのカルボン酸無水物の中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるスルホン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にアクリルアミド−2−メチル−2−プロパン−スルホン酸、メタリルスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸およびスチレンスルホン酸の中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるリン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にビニルリン酸、エチレングリコールメタクリレートホスフェート、プロピレングリコールメタクリレートホスフェート、エチレングリコールアクリレートホスフェート、プロピレングリコールアクリレートホスフェートおよびこれらのエトキシ化物の中から選択される;または酸または塩の形態における、優先的にビニルホスホン酸であるホスホン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から選択される;またはこれらの混合物から選択される、酸もしくは塩の形態におけるエチレン性不飽和アニオン性モノマーである少なくとも1つのエチレン性不飽和アニオン性モノマーを5%から95%、優先的に50%から95%、非常に優先的に70%から95%、
b)一般式(I)
【0035】
【化2】

[式中、
−mおよびpは、100未満または100に等しいアルキレンオキシド単位の数を表し、nは、100未満または100に等しいエチレンオキシド単位の数を表し、qは、少なくとも1に等しい数であり、0≦q(n+m+p)≦100であり、
−Rは、水素またはメチル基もしくはエチル基を表し、
−Rは、水素またはメチル基もしくはエチル基を表し、
−Rは、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル、クロトン酸エステルおよびビニルフタル酸エステルを、加えて例えば、アクリルウレタン、メタクリルウレタン、α−α’ジメチル−m−イソプロペニル−ベンジルウレタンおよびアリルウレタンなどの不飽和ウレタンの群に属する重合可能な不飽和基を表し、
−R’は、トリスチリルフェニル基の中から、または少なくとも8個の炭素原子を持つジアルキルアミンの中から、またはそれぞれが少なくとも6個の炭素原子を有する2つの分枝を持つ、少なくとも8個の炭素原子、優先的に10個から24個の炭素原子および非常に優先的に16個から20個の炭素原子を持つ直鎖もしくは分枝のアルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびアリール基の中から、またはこれらの基の混合物から選択される疎水性基を表し、極めて優先的に2−ヘキシル1−デカニルおよび2−オクチル1−ドデカニル、またはこれらの混合物の中から選択される。]
を有する疎水性鎖を末端とする少なくとも1つのエチレン性不飽和オキシアルキル化モノマーを5%から95%、優先的に5%から50%、非常に優先的に5%から30%
として表されることをさらに特徴とする。
【0036】
この使用は、前記水溶性コポリマーが、触媒系および移行剤の存在下、溶液中、直接のもしくは逆エマルション中、溶媒における懸濁液もしくは沈殿液中でのラジカル重合法により、または制御ラジカル重合法により、優先的に窒素酸化物媒介重合(NMP)もしくはコバロキシム媒介重合により、原子移動ラジカル重合(ATRP)により、硫黄誘導体が、カルバメート、ジチオエステル、トリチオカルボネート(RAFT)またはキサンテートの中から選択される硫黄誘導体制御ラジカル重合により得られることをさらに特徴とする。
【0037】
この使用は、酸性の形態および潜在的に蒸留された形態で得られる前記水溶性コポリマーが、アルカリカチオンから構成される群から、優先的にナトリウム、カリウムもしくはアンモニウムの中から選択される;または第1級、第2級もしくは第3級の脂肪族および/もしくは環状アミンから構成される群の中から、優先的にステアリルアミン、エタノールアミン(モノ、ジおよびトリエタノールアミン)、モノおよびジエチルアミン、シクロヘキシルアミンおよびメチルシクロヘキシルアミンの中から選択される;または二価のアルカリ土類カチオンから構成される群から、優先的にマグネシア、カルシウムおよび亜鉛の中から選択される;三価のカチオン類、優先的にアルミニウムから構成される群から選択される一価または多価官能基を有する1つまたは複数の中和剤により全部または一部を中和されてもよいことをさらに特徴とする。
【0038】
各中和剤は、この時、各価数の官能基に特定な中性化率に従って含まれる。
【0039】
別の変形において、共重合反応から得られるコポリマーは、全部または一部の中和の前または後に、静的または動的方法に従って、優先的に水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、テトラヒドロフランまたはこれらの混合物から構成される群に属する1つまたは複数の極性溶媒により処理されおよび多相に分離されることが潜在的に可能である。
【0040】
これらの相の1つは、水性懸濁液における無機質材料のための粉砕助剤として、本発明に従って使用されるコポリマーに対応する。
【0041】
この使用は、無機質材料の全乾燥重量と対比して、乾燥重量で0.1%から3%、優先的に0.2%から1.5%、非常に優先的に0.3%から1%の量の前記水溶性コポリマーを使用することをさらに特徴とする。
【0042】
この使用は、無機質材料の分散液および/または水性懸濁液が、この全重量と対比して、乾燥重量で少なくとも10%、優先的に少なくとも20%、非常に優先的に少なくとも50%、極めて優先的に少なくとも70%の無機質材料を含有することも特徴とする。
【0043】
この使用は、最後に、前記無機質材料が、天然型または合成の炭酸カルシウム、ドロマイト、石灰岩、カオリン、タルク、石膏、石灰、マグネシア、二酸化チタン、サチン白、アルミニウム三酸化物またはアルミニウム三水酸化物、シリカ、雲母、およびタルク−炭酸カルシウム、炭酸カルシウム−カオリンの混合物、または炭酸カルシウムとアルミニウム三水酸化物もしくはアルミニウム三酸化物との混合物、または合成もしくは天然型繊維との混合物、またはタルク−炭酸カルシウムもしくはタルク−二酸化チタンの再構成物などの鉱物の再構成物、またはこれらの混合物など、これらの添加物の混合物から選択されること、好ましくは天然型または合成の炭酸カルシウムもしくはタルクまたはこれらの混合物から選択されること、非常に好ましくは天然型または合成の炭酸カルシウムまたはこれらの混合物から選択されることを特徴とする。
【0044】
本発明の別の目的は、前記パルプが、天然型および/または合成の繊維、水および
a)酸または塩の形態におけるモノカルボン酸官能基を持つエチレン性不飽和アニオン性モノマーの中から、優先的にアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸もしくはケイ皮酸から、またはマレイン酸もしくはイタコン酸のC−Cモノエステルなどの二酸半エステルの中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるジカルボン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にイタコン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸もしくはシトラコン酸から、またはマレイン酸無水物などのカルボン酸無水物の中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるスルホン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にアクリルアミド−2−メチル−2−プロパン−スルホン酸、メタリルスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸およびスチレンスルホン酸の中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるリン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にビニルリン酸、エチレングリコールメタクリレートホスフェート、プロピレングリコールメタクリレートホスフェート、エチレングリコールアクリレートホスフェート、プロピレングリコールアクリレートホスフェートおよびこれらのエトキシ化物の中から選択される;または酸または塩の形態における、優先的にビニルホスホン酸であるホスホン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から選択される;またはこれらの混合物から選択される、酸または塩の形態におけるエチレン性不飽和アニオン性モノマーである少なくとも1つのエチレン性不飽和アニオン性モノマー、
b)一般式(I)
【0045】
【化3】

[式中、
−mおよびpは、100未満または100に等しいアルキレンオキシド単位の数を表し、nは、100未満または100に等しいエチレンオキシド単位の数を表し、qは、少なくとも1に等しい数であり、0≦q(n+m+p)≦100であり、
−Rは、水素またはメチル基もしくはエチル基を表し、
−Rは、水素またはメチル基もしくはエチル基を表し、
−Rは、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル、クロトン酸エステルおよびビニルフタル酸エステルを、加えて例えば、アクリルウレタン、メタクリルウレタン、α−α’ジメチル−m−イソプロペニル−ベンジルウレタンおよびアリルウレタンなどの不飽和ウレタンの群に属する重合可能な不飽和基を表し、
−R’は、トリスチリルフェニル基の中から、または少なくとも8個の炭素原子を持つジアルキルアミンの中から、またはそれぞれが少なくとも6個の炭素原子を有する2つの分枝を持つ、少なくとも8個の炭素原子、優先的に10個から24個の炭素原子および非常に優先的に16個から20個の炭素原子を持つ直鎖もしくは分枝のアルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびアリール基の中から、またはこれらの基の混合物から選択される疎水性基を表し、極めて優先的に2−ヘキシル1−デカニルおよび2−オクチル1−ドデカニル、またはこれらの混合物の中から選択される。]を有する、疎水性鎖を末端とする少なくとも1つのエチレン性不飽和オキシアルキル化モノマー
から構成される水溶性コポリマーを含有する無機質材料の水性懸濁液および/または水性分散液を混合するステップから得られることを特徴とする、製紙用パルプから紙シートを製造する方法である。
【0046】
当然、当業者は、この方法において、当業者が精通し、紙シートを製造する際に通常含まれる他の添加剤を使用してよい。
【0047】
この方法は、少なくとも1つのa)モノマーおよび少なくとも1つのb)モノマーに加えて、前記コポリマーが、アクリルアミドモノマーもしくはメタクリルアミドモノマー、またはN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミドもしくはN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドなどこれらの誘導体、およびこれらの混合物の中から;またはアルキルアクリレートもしくはメタクリレートなどの非水溶性モノマー、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]メタクリレートもしくはN−[2−(ジメチルアミノ)エチル]アクリレートなどの不飽和エステル、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、スチレン、アルファメチルスチレンおよびこれらの誘導体などのビニル化物の中から;優先的に[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムスルフェートもしくは[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド、[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムスルフェートもしくは[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド、[3−(アクリルアミド)プロピル]トリメチルアンモニウムスルフェートもしくは[3−(アクリルアミド)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジアリルアンモニウムスルフェートもしくはジメチルジアリルアンモニウムクロリド、[3−(メタクリルアミド)プロピル]トリメチルアンモニウムスルフェートもしくは[3−(メタクリルアミド)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリドなどのカチオン性または第4級アンモニウムモノマーの中から;または有機フッ素化もしくは有機シリル化モノマーの中から、または当業者によく知られているこれらの架橋モノマー(即ち、少なくとも2つのエチレン不飽和を持つモノマー)もしくはこれらのモノマーの混合物の中から選択される少なくとも1つの他のモノマーをさらに含有することをさらに特徴とする。
【0048】
この方法は、前記水溶性コポリマーが、以下の成分から構成され、それぞれが重量による百分率:
a)酸もしくは塩の形態におけるモノカルボン酸官能基を持つエチレン性不飽和アニオン性モノマーの中から、優先的にアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸もしくはケイ皮酸から、またはマレイン酸もしくはイタコン酸のC−Cモノエステルなどの二酸半エステルの中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるジカルボン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にイタコン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸もしくはシトラコン酸から、またはマレイン酸無水物などのカルボン酸無水物の中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるスルホン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にアクリルアミド−2−メチル−2−プロパン−スルホン酸、メタリルスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸およびスチレンスルホン酸の中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるリン酸官能基を持つエチレン性不飽和オキシアルキル化モノマーの中から、優先的にビニルリン酸、エチレングリコールメタクリレートホスフェート、プロピレングリコールメタクリレートホスフェート、エチレングリコールアクリレートホスフェート、プロピレングリコールアクリレートホスフェートおよびこれらのエトキシ化物の中から選択される;または酸または塩の形態における、優先的にビニルホスホン酸であるホスホン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から選択さる;またはこれらの混合物から選択される、酸もしくは塩の形態におけるエチレン性不飽和アニオン性モノマーである少なくとも1つのエチレン性不飽和アニオン性モノマーを5%から95%、優先的に50%から95%、非常に優先的に70%から95%、
b)一般式(I)
【0049】
【化4】

[式中、
−mおよびpは、100未満または100に等しいアルキレンオキシド単位の数を表し、nは、100未満または100に等しいエチレンオキシド単位の数を表し、qは、少なくとも1に等しい数であり、0≦q(n+m+p)≦100であり、
−Rは、水素またはメチル基もしくはエチル基を表し、
−Rは、水素またはメチル基もしくはエチル基を表し、
−Rは、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル、クロトン酸エステルおよびビニルフタル酸エステルを、加えて例えば、アクリルウレタン、メタクリルウレタン、α−α’ジメチル−m−イソプロペニル−ベンジルウレタンおよびアリルウレタンなどの不飽和ウレタンの群に属する重合可能な不飽和基を表し、
−R’は、トリスチリルフェニル基もしくは少なくとも8個の炭素原子を持つジアルキルアミン類の中から、またはそれぞれが少なくとも6個の炭素原子を有する2つの分枝を持つ少なくとも8個の炭素原子、優先的に10個から24個の炭素原子、非常に優先的に16個から20個の炭素原子を持つ直鎖もしくは分枝のアルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基もしくはアリール基の中から選択される、またはこれらの基の混合物である疎水性基を表し、極めて優先的に2−ヘキシル1−デカニルおよび2−オクチル1−ドデカニル、またはこれらの混合物の中から選択される。]
を有する、疎水性鎖を末端とする少なくとも1つのエチレン性不飽和オキシアルキル化モノマーを5%から95%、優先的に5%から50%、非常に優先的に5%から30%
として表されることをさらに特徴とする。
【0050】
この方法は、前記水溶性コポリマーが、触媒系および移行剤の存在下、溶液中、直接のもしくは逆エマルション中、溶媒における懸濁液もしくは沈殿液中でのラジカル重合法により、または制御ラジカル重合法により、優先的に窒素酸化物媒介重合(NMP)もしくはコバロキシム媒介重合により、原子移動ラジカル重合(ATRP)により、硫黄誘導体が、カルバメート、ジチオエステル、トリチオカルボネート(RAFT)またはキサンテートの中から選択される硫黄誘導体制御ラジカル重合により得られることをさらに特徴とする。
【0051】
この方法は、酸性の形態および潜在的に蒸留された形態で得られる前記水溶性コポリマーが、アルカリカチオンから構成される群から、優先的にナトリウム、カリウムもしくはアンモニウムの中から選択される;または第1級、第2級もしくは第3級の脂肪族および/もしくは環状アミンから構成される群の中から、優先的にステアリルアミン、エタノールアミン(モノ、ジおよびトリエタノールアミン)、モノおよびジエチルアミン、シクロヘキシルアミンおよびメチルシクロヘキシルアミンの中から選択される;または二価のアルカリ土類カチオンから構成される群から、優先的にマグネシア、カルシウムおよび亜鉛の中から選択される;三価のカチオン類、優先的にアルミニウムから構成される群から選択される一価または多価官能基を有する1つまたは複数の中和剤により全部または一部を中和されてもよいことをさらに特徴とする。
【0052】
各中和剤は、この時、各価数の官能基に特定の中性化率に従って含まれる。
【0053】
この方法は、共重合反応の結果得られるコポリマーが、全部または一部の中和の前または後に、当業者に知られている静的または動的方法に従って、優先的に水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、テトラヒドロフランまたはこれらの混合物から構成される群に属する1つまたは複数の極性溶媒により処理されおよび多相に分離されることが潜在的に可能であることをさらに特徴とする。
【0054】
該相の1つは、水性懸濁液における無機質材料のための粉砕助剤として、本発明に従って使用されるコポリマーに対応する。
【0055】
この方法は、無機質材料の全重量と対比して、乾燥重量で0.1%および3%の間、優先的に0.2%から1.5%、非常に優先的に0.3%から1%の量の前記水溶性コポリマーを使用することをさらに特徴とする。
【0056】
この方法は、無機質材料の水性分散液および/または水性懸濁液が、全重量に対して、乾燥重量で少なくとも10%、優先的に少なくとも20%、非常に優先的に少なくとも50%、極めて優先的に少なくとも70%の無機質材料を含有することをさらに特徴とする。
【0057】
この方法は、前記無機質材料が、天然型または合成の炭酸カルシウム、ドロマイト、石灰岩、カオリン、タルク、石膏、石灰、マグネシア、二酸化チタン、サチン白、アルミニウム三酸化物またはアルミニウム三水酸化物、シリカ、雲母、およびタルク−炭酸カルシウム、炭酸カルシウム−カオリンの混合物、または炭酸カルシウムとアルミニウム三水酸化物もしくはアルミニウム三酸化物との混合物、または合成もしくは天然型繊維との混合物、またはタルク−炭酸カルシウムもしくはタルク−二酸化チタンの再構成物などの鉱物の再構成物、またはこれらの混合物など、こうした添加物相互の混合物から選択されること、好ましくは天然型または合成の炭酸カルシウムもしくはタルクまたはこれらの混合物から選択されること、非常に好ましくは天然型または合成の炭酸カルシウムまたはこれらの混合物から選択されることをさらに特徴とする。
【0058】
本発明の別の目的は、無機質材料および
a)少なくとも1つのエチレン性不飽和アニオン性モノマー
b)疎水性鎖を末端とする少なくとも1つのエチレン性不飽和オキシアルキル化モノマー
から構成される少なくとも1つの水溶性コポリマーを含有することを特徴とする紙シートにある。
【0059】
これらのシートは、前記無機質材料が、前記コポリマーの存在下、水性媒体において粉砕および/または分散されていることをさらに特徴とする。
【0060】
これらのシートは、前記コポリマーが、
a)酸または塩の形態におけるモノカルボン酸官能基を持つエチレン性不飽和アニオン性モノマーの中から、優先的にアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸もしくはケイ皮酸から、またはマレイン酸もしくはイタコン酸のC−Cモノエステルなどの二酸半エステルの中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるジカルボン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にイタコン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸もしくはシトラコン酸から、またはマレイン酸無水物などのカルボン酸無水物の中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるスルホン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にアクリルアミド−2−メチル−2−プロパン−スルホン酸、メタリルスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸およびスチレンスルホン酸の中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるリン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にビニルリン酸、エチレングリコールメタクリレートホスフェート、プロピレングリコールメタクリレートホスフェート、エチレングリコールアクリレートホスフェート、プロピレングリコールアクリレートホスフェートおよびこれらのエトキシ化物の中から選択される;または酸または塩の形態における、優先的にビニルホスホン酸であるホスホン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から選択される;またはこれらの混合物から選択される、酸または塩の形態におけるエチレン性不飽和アニオン性モノマーである少なくとも1つのエチレン性不飽和アニオン性モノマー、
b)一般式(I)
【0061】
【化5】

[式中、
−mおよびpは、100未満または100に等しいアルキレンオキシド単位の数を表し、nは、100未満または100に等しいエチレンオキシド単位の数を表し、qは、少なくとも1に等しい数であり、0≦q(n+m+p)≦100であり、
−Rは、水素またはメチル基もしくはエチル基を表し、
−Rは、水素またはメチル基もしくはエチル基を表し、
−Rは、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル、クロトン酸エステルおよびビニルフタル酸エステルを、加えて例えば、アクリルウレタン、メタクリルウレタン、α−α’ジメチル−m−イソプロペニル−ベンジルウレタンおよびアリルウレタンなどの不飽和ウレタンの群に属する重合可能な不飽和基を表し、
−R’は、疎水性基を表す。]
を有し、疎水性鎖を末端とする少なくとも1つのエチレン性不飽和オキシアルキル化モノマー
から構成されることをさらに特徴とする。
【0062】
これらのシートは、R’基が、トリスチリルフェニル基もしくは少なくとも8個の炭素原子を持つジアルキルアミン類の中から、またはそれぞれが少なくとも6個の炭素原子を有する2つの分枝を持つ、少なくとも8個の炭素原子、優先的に10個から24個の炭素原子、非常に優先的に16個から20個の炭素原子を持つ直鎖もしくは分枝のアルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびアリール基の中から、またはこれらの基の混合物の中から選択され、極めて優先的に2−ヘキシル1−デカニルおよび2−オクチル1−ドデカニルまたはこれらの混合物の中から選択されることをさらに特徴とする。
【0063】
これらのシートは、少なくとも1つのa)モノマーおよび少なくとも1つのb)モノマーに加えて、前記コポリマーが、アクリルアミドモノマーもしくはメタクリルアミドモノマー、またはN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミドもしくはN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドなどこれらの誘導体、およびこれらの混合物の中から;またはアルキルアクリレートもしくはメタクリレートなどの非水溶性モノマー、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]メタクリレートもしくはN−[2−(ジメチルアミノ)エチル]アクリレートなどの不飽和エステル、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、スチレン、アルファメチルスチレンおよびこれらの誘導体などのビニル化物の中から;優先的に2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムスルフェートもしくは[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド、[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムスルフェートもしくは[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド、[3−(アクリルアミド)プロピル]トリメチルアンモニウムスルフェートもしくは[3−(アクリルアミド)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジアリルアンモニウムスルフェートもしくはジメチルジアリルアンモニウムクロリド、[3−(メタクリルアミド)プロピル]トリメチルアンモニウムスルフェートもしくは[3−(メタクリルアミド)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリドなどのカチオン性または第4級アンモニウムモノマーの中から;または有機フッ素化もしくは有機シリル化モノマーの中から、または当業者によく知られているこれらの架橋モノマー(即ち、少なくとも2つのエチレン不飽和を持つモノマー)もしくはこれらのモノマーの混合物の中から選択される少なくとも1つの他のモノマーをさらに含有することをさらに特徴とする。
【0064】
これらのシートは、前記水溶性コポリマーが、以下の成分から構成され、それぞれが重量による百分率:
a)酸もしくは塩の形態におけるモノカルボン酸官能基を持つエチレン性不飽和アニオン性モノマーの中から、優先的にアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸もしくはケイ皮酸から、またはマレイン酸もしくはイタコン酸のC−Cモノエステルなどの二酸半エステルの中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるジカルボン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にイタコン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸もしくはシトラコン酸から、またはマレイン酸無水物などのカルボン酸無水物の中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるスルホン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にアクリルアミド−2−メチル−2−プロパン−スルホン酸、メタリルスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸およびスチレンスルホン酸の中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるリン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にビニルリン酸、エチレングリコールメタクリレートホスフェート、プロピレングリコールメタクリレートホスフェート、エチレングリコールアクリレートホスフェート、プロピレングリコールアクリレートホスフェートおよびこれらのエトキシ化物の中から選択される;または酸または塩の形態における、優先的にビニルホスホン酸であるホスホン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から選択される;またはこれらの混合物から選択される、酸もしくは塩の形態におけるエチレン性不飽和アニオン性モノマーである少なくとも1つのエチレン性不飽和アニオン性モノマーを5%から95%、優先的に50%から95%、非常に優先的に70%から95%、
b)一般式(I)
【0065】
【化6】

[式中、
−mおよびpは、100未満または100に等しいアルキレンオキシド単位の数を表し、nは、100未満または100に等しいエチレンオキシド単位の数を表し、qは、少なくとも1に等しい数であり、0≦q(n+m+p)≦100であり、
−Rは、水素またはメチル基もしくはエチル基を表し、
−Rは、水素またはメチル基もしくはエチル基を表し、
−Rは、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル、クロトン酸エステルおよびビニルフタル酸エステルを、加えて例えば、アクリルウレタン、メタクリルウレタン、α−α’ジメチル−m−イソプロペニル−ベンジルウレタンおよびアリルウレタンなどの不飽和ウレタンの群に属する重合可能な不飽和基を表し、
−R’は、トリスチリルフェニル基の中から、または少なくとも8個の炭素原子を持つジアルキルアミンの中から、またはそれぞれが少なくとも6個の炭素原子を有する2つの分枝を持つ、少なくとも8個の炭素原子、優先的に10個から24個の炭素原子および非常に優先的に16個から20個の炭素原子を持つ直鎖もしくは分枝のアルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびアリール基の中から、またはこれらの基の混合物から選択される疎水性基を表し、極めて優先的に2−ヘキシル1−デカニルおよび2−オクチル1−ドデカニル、またはこれらの混合物の中から選択される。]
を有する疎水性鎖を末端とする少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーを5%から95%、優先的に5%から50%、非常に優先的に5%から30%
として表されることをさらに特徴とする。
【0066】
これらのシートは、前記水溶性コポリマーが、触媒系および移行剤の存在下、溶液中、直接もしくは逆エマルション中、溶媒における懸濁液もしくは沈殿液中でのラジカル重合法により、または制御ラジカル重合法により、優先的に窒素酸化物媒介重合(NMP)もしくはコバロキシム媒介重合により、原子移動ラジカル重合(ATRP)により、硫黄誘導体が、カルバメート、ジチオエステル、トリチオカルボネート(RAFT)またはキサンテートの中から選択される硫黄誘導体制御ラジカル重合により得られることをさらに特徴とする。
【0067】
これらのシートは、酸性の形態および潜在的に蒸留された形態で得られる前記水溶性コポリマーが、アルカリカチオンから構成される群から、優先的にナトリウム、カリウムもしくはアンモニウムの中から選択される;または第1級、第2級もしくは第3級の脂肪族および/もしくは環状アミンから構成される群の中から、優先的にステアリルアミン、エタノールアミン(モノ、ジおよびトリエタノールアミン)、モノおよびジエチルアミン、シクロヘキシルアミンおよびメチルシクロヘキシルアミンの中から選択される;または二価のアルカリ土類カチオンから構成される群から、優先的にマグネシア、カルシウムおよび亜鉛の中から選択される;三価のカチオン類、優先的にアルミニウムから構成される群から選択される一価または多価官能基を有する1つまたは複数の中和剤により全部または一部を中和されてもよいことをさらに特徴とする。
【0068】
各中和剤は、この時、各価数の官能基に特定な中性化率に従って含まれる。
【0069】
別の変形において、共重合反応の結果得られるコポリマーは、全部または一部の中和の前または後に、当業者に知られている静的または動的方法に従って、優先的に水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、テトラヒドロフランまたはこれらの混合物から構成される群に属する1つまたは複数の極性溶媒により処理されおよび多相に分離されることが潜在的に可能である。
【0070】
これらの相の1つは、水性懸濁液における無機質材料のための粉砕助剤として、本発明に従って使用されるコポリマーに対応する。
【0071】
これらのシートは、前記無機質材料が、天然型または合成の炭酸カルシウム、ドロマイト、石灰岩、カオリン、タルク、石膏、石灰、マグネシア、二酸化チタン、サチン白、アルミニウム三酸化物またはアルミニウム三水酸化物、シリカ、雲母、およびタルク−炭酸カルシウム、炭酸カルシウム−カオリンの混合物、または炭酸カルシウムとアルミニウム三水酸化物もしくはアルミニウム三酸化物との混合物、または合成もしくは天然型繊維との混合物、またはタルク−炭酸カルシウムもしくはタルク−二酸化チタンの再構成物などの鉱物の再構成物、またはこれらの混合物など、これらの添加物の混合物から選択されること、好ましくは天然型または合成の炭酸カルシウムもしくはタルクまたはこれらの混合物から選択されること、非常に好ましくは天然型または合成の炭酸カルシウムまたはこれらの混合物から選択されることをさらに特徴とする。
【0072】
以下の実施例は、範囲を限定することなく、本発明の利益をより理解することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、本発明の紙シートおよび比較のための紙シートの、時間経過による強度曲線を示す。
【実施例】
【0074】
(実施例1)
この実施例の目的は、紙シートを製造する場合、本発明に従ったコポリマーを用いて粉砕された炭酸カルシウムの水性懸濁液の使用を例示することである。
【0075】
この実施例は、従来技術において見られるような粉砕剤を用いる炭酸カルシウムを含有するシートと比較して、前記シート中への紙コーティング剤の浸透を遅延させることを可能にすることも示す。
【0076】
この実施例は、本発明の紙シートも例示する。
【0077】
試験番号1から4のそれぞれに関し、第1に、当分野の技術者によく知られている方法(特に、文献フランス特許第2,846,978号明細書において示されている通り)に従い、炭酸カルシウムの水性懸濁液を、従来技術において見られるような粉砕助剤の存在下(試験番号1および2)または本発明に従ったコポリマーの存在下(試験番号3から4)で粉砕を介して調製する。
【0078】
第2に、試験番号1から4のそれぞれに関し、(過酸化水素で100%白くした)熱機械パルプおよび試験番号1から4のそれぞれに従って得られた炭酸カルシウムの水性懸濁液から、ハンドシート型における炭酸カルシウムの乾燥重量による百分率が全重量の8%に等しくなるように、ハンドシート型、即ち紙シートを作製する。ハンドシート型は、Rapid Kothen(商標)実験装置を使用して作製する。
【0079】
第3に、紙コーティング剤は:
−Hydrocarb(商標)90の名称でOMYA(商標)社より販売されている炭酸カルシウムを乾燥重量で80部
−ブラジルのカオリンを乾燥重量で20部
−DOW(商標)CHEMICALS社より販売されているDL966スチレンブタジエンラテックスを乾燥重量で6部
−CERESTAR(商標)社より販売されているC−Film(商標)酸化スターチを乾燥重量で6部
から構成、作製し、全重量の63%に等しい乾燥物質の含有量を有する。
【0080】
第5および最後に、EMTEC(商標)社により販売されているEMTEC(商標)PDA C2装置を使用して、ハンドシート型(紙シート)中へのこの紙コーティング剤の浸透速度を測定する。この装置は、超音波を使用し、紙などの媒体中へ液体の浸透を動的に決定することを可能にする。
【0081】
この装置は以下のように作動する:超音波信号を使用し、紙と液体との間の相互作用を定量化する。紙の中へ浸透する紙コーティング剤は、超音波透過率を変化させ、これによって受信器で読み取られる強度を変化させる。時間経過による強度におけるこの変化は、時間(s)経過による強度(%)のグラフで示される。
【0082】
紙コーティング剤と媒体との間の相互作用は、表面の構造、特にこの多孔質構造により、また紙コーティング剤の特質によっても決定される。「理想的」曲線は、シートが紙コーティング剤に接触し始めた後、最初の数ミリ秒間でピークに達し(第1位相)、次いでゆっくり下がる(第2位相)。
【0083】
これは:
−紙コーティング剤の均等な浸透および第1位相中における紙媒体上の急速な固定化;こうした場合、閉じ込められた空気はほとんどまたはまったくなく、したがって超音波信号の分散液はほとんどまたはまったくない;超音波透過における増加、したがって受信器で読み取られる強度における増加がこれにより観察される
−紙コーティング剤の固定化は、形成した膜のために前記紙コーティング剤の浸透が遅延しながら、第2位相中において媒体内で持続する;この位相中、紙コーティング剤の浸透が早いほど、閉じ込められている空気の分量は多くなる;空気が閉じ込められている局部は、超音波信号拡散点として働く;これが起こると、信号の強度における減少が観察され、したがって、閉じ込められている空気の分量が多くなると、即ち紙コーティング剤の浸透速度が速くなると、この減少はずっと大きくなる
として明示することができる。
【0084】
したがって、炭酸カルシウムの様々な水性懸濁液を含有する様々なハンドシート型の時間経過による強度曲線を比較することは、どのハンドシート型(したがってどの水性懸濁液)が最大の紙コーティング剤浸透耐性をもたらすのか決定することを可能にする。
【0085】
試験番号1
この試験は、従来技術を例示し、粉砕助剤として、全部を中和したアクリル酸ホモポリマーを、炭酸カルシウムの乾燥重量に対して乾燥重量で0.45%使用する。
【0086】
試験番号2
この試験は、従来技術を例示し、粉砕助剤として:
a)アクリル酸75重量%
b)ラウリルアクリレート25重量%
から構成され、全部を中和された水溶性コポリマーを、炭酸カルシウムの乾燥重量に対して乾燥重量で0.45%使用する。
【0087】
試験番号3
この試験は、本発明を例示し、粉砕助剤として:
d)アクリル酸75重量%
e)式(I)のモノマー25重量%[式中:
−Rは、メタクリレート基を表し、
−R’は、20個の2−オクチル1−ドデカニル炭素原子を持つ非芳香族疎水性鎖を表し、
−m=p=0、
−q=1、
−n=25である。]
から構成され、全部を中和された水溶性コポリマーを、炭酸カルシウムの乾燥重量に対して乾燥重量で0.45%使用する。
【0088】
試験番号4
この試験は、本発明を例示し、粉砕助剤として:
a)アクリル酸75重量%
b)式(I)のモノマー25重量%[式中:
−Rは、メタクリレート基を表し、
−R’は、16個の2−ヘキシル1−デカニル炭素原子を持つ直鎖疎水性鎖を表し、
−m=p=0、
−q=1、
−n=25である。]
から構成され、全部を中和された水溶性コポリマーを、炭酸カルシウムの乾燥重量に対して乾燥重量で0.45%使用する。
【0089】
試験番号1から4のために作製された炭酸カルシウムの水性懸濁液の特性(固体含有量、分当たり10回転および100回転でt=0の時点および攪拌後t=8日に測定されたBrookfield(商標)粘度およびMICROMERITICS(商標)社により販売されているSedigraph(商標)5100によって測定された粒径分布)を表3に示す。
【0090】
【表1】

【0091】
この表により、本発明に従って得られた炭酸カルシウムの水性懸濁液の特性は、(固体含有量、粒径分布およびBrookfield(商標)粘度の観点から)充填剤としての使用に適合していることが示されている。
【0092】
試験番号1から4の時間経過による強度曲線を図1/1に示す。
【0093】
この図を検討することにより、本発明に従って粉砕された炭酸カルシウムの水性懸濁液を用いて作製されたハンドシート型は、より高い強度、したがって時間の経過による紙コーティング剤の浸透において有意な遅延をもたらすことが明確に示される。
【0094】
(実施例2)
この実施例の目的は、紙シートを製造する場合、本発明に従ったコポリマーを用いて粉砕された炭酸カルシウムの水性懸濁液の使用を例示することである。
【0095】
この実施例は、従来技術に見られるような粉砕剤を用いた炭酸カルシウムを含有するシートと比較して、こうした使用が、前記シート中への紙コーティング剤の浸透を遅延させることを可能にすることも示す。
【0096】
この実施例は、本発明の紙シートも例示する。
【0097】
試験番号5から16のそれぞれに関し、最初に、従来技術に見られるように粉砕助剤の存在下(試験番号5から7)または本発明に従ったコポリマーの存在下(試験番号8から16)のいずれかで、当分野の技術者によく知られている方法(特に、文献フランス特許第2,846,978号明細書において示された通り)に従い、粉砕を介して炭酸カルシウムの水性懸濁液を調製する。
【0098】
実施例1と同様の方法で、最初に、紙ハンドシート型、次いで紙コーティング剤を(実施例1の組成と同一の組成で)作製し、実施例1において使用した手順に従ってハンドシート型への各紙コーティング剤の浸透を追跡した。
【0099】
試験番号5
この試験は従来技術を例示し、粉砕助剤として、全部をナトリウムで中和したアクリル酸ホモポリマーを、炭酸カルシウムの乾燥重量に対して乾燥重量で0.50%使用する。
【0100】
試験番号6
この試験は従来技術を例示し、粉砕助剤として、全部をナトリウムで中和したアクリル酸およびメタクリル酸のコポリマー(これらのモノマー両方で50重量%)を炭酸カルシウムの乾燥重量に対して乾燥重量で0.50%使用する。
【0101】
試験番号7
この試験は従来技術を例示し、粉砕助剤として、全部をナトリウムで中和したアクリル酸およびマレイン酸無水物のコポリマー(これらのモノマー両方で50重量%)を、炭酸カルシウムの乾燥重量に対して乾燥重量で0.50%使用する。
【0102】
試験番号8
この試験は本発明を例示し、粉砕助剤として:
a)アクリル酸80重量%、
b)式(I)のモノマー20重量%[式中:
−Rは、メタクリレート基を表し、
−R’は、20個の2−オクチル1−ドデカニル炭素原子を持つ非芳香族疎水性鎖を表し、
−m=p=0、q=1、n=25である。]
から構成され、全部を中和した水溶性コポリマーを、炭酸カルシウムの乾燥重量に対して乾燥重量で0.50%使用する。
【0103】
試験番号9
この試験は本発明を例示し、粉砕助剤として:
a)アクリル酸85重量%、
b)式(I)のモノマー15重量%[式中:
−Rは、メタクリレート基を表し、
−R’は、20個の2−オクチル1−ドデカニル炭素原子を持つ非芳香族疎水性鎖を表し、
−m=p=0、q=1、n=25である。]
から構成され、全部を中和された水溶性コポリマーを、炭酸カルシウムの乾燥重量に対して乾燥重量で0.50%使用する。
【0104】
試験番号10
この試験は本発明を例示し、粉砕助剤として:
a)アクリル酸90重量%、
b)式(I)のモノマー10重量%[式中:
−Rは、メタクリレート基を表し、
−R’は、20個の2−オクチル1−ドデカニル炭素原子を持つ非芳香族疎水性鎖を表し、
−m=p=0、q=1、n=25である。]
から構成され、全部を中和した水溶性コポリマーを、炭酸カルシウムの乾燥重量に対して乾燥重量で0.50%使用する。
【0105】
試験番号11
この試験は本発明を例示し、粉砕助剤として:
a)アクリル酸80重量%、
b)式(I)のモノマー20重量%[式中:
−Rは、メタクリレート基を表し、
−R’は、16個の2−ヘキシル1−デカニル炭素原子を持つ鎖を表し、
−m=p=0、q=1、n=25である。]
から構成され、全部を中和した水溶性コポリマーを、炭酸カルシウムの乾燥重量に対して乾燥重量で0.50%使用する。
【0106】
試験番号12
この試験は本発明を例示し、粉砕助剤として:
a)アクリル酸85重量%、
b)式(I)のモノマー15重量%[式中:
−Rは、メタクリレート基を表し、
−R’は、16個の2−ヘキシル1−デカニル炭素原子を持つ鎖を表し、
−m=p=0、q=1、n=25である。]
から構成され、全部を中和した水溶性コポリマーを、炭酸カルシウムの乾燥重量に対して乾燥重量で0.50%使用する。
【0107】
試験番号13
この試験は本発明を例示し、粉砕助剤として:
a)アクリル酸90重量%、
b)式(I)のモノマー10重量%[式中:
−Rは、メタクリレート基を表し、
−R’は、16個の2−ヘキシル1−デカニル炭素原子を持つ直鎖疎水性鎖を表し、
−m=p=0、q=1、n=25である。]
から構成され、全部を中和した水溶性コポリマーを、炭酸カルシウムの乾燥重量に対して乾燥重量で0.50%使用する。
【0108】
試験番号14
この試験は本発明を例示し、粉砕助剤として:
a)アクリル酸75重量%、
b)式(I)のモノマー25重量%[式中:
−Rは、メタクリレート基を表し、
−R’は、トリスチリルフェニルを表し、
−m=p=0、q=1、n=25である。]
から構成され、全部を中和した水溶性コポリマーを、炭酸カルシウムの乾燥重量に対して乾燥重量で0.50%使用する。
【0109】
試験番号15
この試験は本発明を例示し、粉砕助剤として:
a)アクリル酸80重量%、
b)式(I)のモノマー20重量%[式中:
−Rは、メタクリレート基を表し、
−R’は、トリスチリルフェニルを表し、
−m=p=0、q=1、n=40である。]
から構成され、全部を中和した水溶性コポリマーを、炭酸カルシウムの乾燥重量に対して乾燥重量で0.50%使用する。
【0110】
試験番号16
この試験は本発明を例示し、粉砕助剤として:
a)アクリル酸85重量%、
b)式(I)のモノマー15重量%[式中:
−Rは、メタクリレート基を表し、
−R’は、トリスチリルフェニルを表し、
−m=p=0、q=1、n=60である。]
から構成され、全部を中和した水溶性コポリマーを、炭酸カルシウムの乾燥重量に対して乾燥重量で0.50%使用する。
【0111】
試験番号5から16に関して作製された炭酸カルシウムの水性懸濁液の特性(固体含有量、分当たり10回転および100回転でt=0の時点および攪拌後t=8日に測定されたBrookfield(商標)粘度およびMICROMERITICS(商標)社により販売されているSedigraph(商標)5100によって測定された粒径分布)を表3に示す。
【0112】
表3により、本発明の水性懸濁液の特性が、本発明の水性懸濁液を、取り扱いに完全に適切であり、加えて紙コーティング剤を製造するための使用に適合するものとしていることが示される。
【0113】
【表2】

【0114】
試験のそれぞれに関し、EMTEC(商標)装置を用いて測定した強度の値を、t=0.1秒、0.5秒および1秒の時点で記録した。結果を表4に示す。
【0115】
本発明は、測定が行われる時点にかかわらず、従来技術よりも常に強度が高い。これは、本発明を実施した実験のほうが閉じ込められた空気が少なく、紙ハンドシート型中に浸透する際に紙コーティング剤が遅延していることを明確に示している。
【0116】
【表3】

【0117】
(実施例3)
この実施例の目的は、紙シートを製造する際の、本発明に従ったコポリマーを用いて分散した炭酸カルシウムの水性分散液の使用を例示することである。
【0118】
この実施例は、従来技術に見られるように分散剤と一緒に炭酸カルシウムを含有するシートと比較して、こうした使用が、前記シート中への紙コーティング剤の浸透を遅延させることを可能にすることも示す。
【0119】
この実施例は、本発明の紙シートも例示する。
【0120】
試験番号17から19のそれぞれに関し、最初に、従来技術に見られるような分散剤の存在下または本発明に従って、当初の固体含有量が全重量の40%と等しい炭酸カルシウムのケーキを固体含有量が乾燥重量の50%超である炭酸カルシウムのケーキに熱濃縮することにより、炭酸カルシウムの水性分散液を調製する。
【0121】
こうした方法は、特に、文献フランス特許第2,802,830号明細書に記載されている。
【0122】
実施例1と同様の方法で、最初に、紙ハンドシート型、次いで紙コーティング剤を(実施例1の組成と同一の組成で)作製し、実施例1において使用した手順に従ってハンドシート型への各紙コーティング剤の浸透を追跡した。
【0123】
試験番号17
この試験は従来技術を例示し、分散剤として、アクリル酸およびマレイン酸無水物のコポリマーを、炭酸カルシウムの乾燥重量に対して乾燥重量で0.60%使用した。
【0124】
試験番号18
この試験は本発明を例示し、分散剤として:
a)アクリル酸80重量%、
b)式(I)のモノマー20重量%[式中:
−Rは、メタクリレート基を表し、
−R’は、20個の2−オクチル1−ドデカニル炭素原子を持つ非芳香族疎水性鎖を表し、
−m=p=0、q=1、n=25である。]
から構成され、全部を中和した水溶性コポリマーを、炭酸カルシウムの乾燥重量に対して乾燥重量で0.60%使用する。
【0125】
試験番号19
この試験は本発明を例示し、分散剤として:
a)アクリル酸80重量%、
b)式(I)のモノマー20重量%[式中:
−Rは、メタクリレート基を表し、
−R’は、16個の2−ヘキシル1−デカニル炭素原子を持つ直鎖疎水性鎖を表し、
−m=p=0、q=1、n=25である。]
から構成され、全部を中和した水溶性コポリマーを、炭酸カルシウムの乾燥重量に対して乾燥重量で0.60%使用する。
【0126】
試験番号17から19に関して作製した炭酸カルシウムの水性分散液の特性(固体含有量、分当たり10回転および100回転で攪拌後t=0およびt=8日に測定されたBrookfield(商標)粘度)を表5に示す。
【0127】
表5により、本発明の水性懸濁液の特性が、本発明の水性懸濁液を、取り扱いに完全に適切であり、加えて紙コーティング剤を製造するための使用に適合するものとしていることが示される。
【0128】
【表4】

【0129】
試験のそれぞれに関し、EMTEC(商標)装置を用いて測定した強度の値を、t=0.1秒、0.5秒および1秒の時点で記録した。結果を表6に示す。本発明の強度は、測定が行われる時点にかかわらず、従来技術よりも常に高い。これは、本発明を実施した実験のほうが閉じ込められた空気が少なく、紙ハンドシート型中に浸透する際に紙コーティング剤が遅延していることを明確に示している。
【0130】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙シートを製造する方法における、前記シート中へ紙コーティング剤の浸透を遅延させるための薬剤として、
a)少なくとも1つのエチレン性不飽和アニオン性モノマー、
b)疎水性鎖を末端とする少なくとも1つのエチレン性不飽和オキシアルキル化モノマー
から構成される少なくとも1つの水溶性コポリマーを含有することを特徴とする、無機質材料の水性懸濁液および/または水性分散液の使用。
【請求項2】
前記水溶性コポリマーが、水性媒体中において前記無機質材料を粉砕および/または分散する少なくとも1つのステップの間使用されることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記水溶性コポリマーが、
a)酸もしくは塩の形態におけるモノカルボン酸官能基を持つエチレン性不飽和アニオン性モノマーの中から、優先的にアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸もしくはケイ皮酸から、またはマレイン酸もしくはイタコン酸のC−Cモノエステルなどの二酸半エステルの中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるジカルボン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にイタコン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸もしくはシトラコン酸から、またはマレイン酸無水物などのカルボン酸無水物の中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるスルホン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にアクリルアミド−2−メチル−2−プロパン−スルホン酸、メタリルスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸およびスチレンスルホン酸の中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるリン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にビニルリン酸、エチレングリコールメタクリレートホスフェート、プロピレングリコールメタクリレートホスフェート、エチレングリコールアクリレートホスフェート、プロピレングリコールアクリレートホスフェートおよびこれらのエトキシ化物の中から選択される;または酸もしくは塩の形態における、優先的にビニルホスホン酸であるホスホン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から選択される;またはこれらの混合物から選択される、酸もしくは塩の形態におけるエチレン性不飽和アニオン性モノマーである少なくとも1つのエチレン性不飽和アニオン性モノマー、
b)および一般式(I)
【化7】

[式中、
−mおよびpは、100未満または100に等しいアルキレンオキシド単位の数を表し、nは、100未満または100に等しいエチレンオキシド単位の数を表し、qは、少なくとも1に等しい数であり、0≦q(n+m+p)≦100であり、
−Rは、水素またはメチル基もしくはエチル基を表し、
−Rは、水素またはメチル基もしくはエチル基を表し、
−Rは、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル、クロトン酸エステルおよびビニルフタル酸エステルを、加えて例えば、アクリルウレタン、メタクリルウレタン、α−α’ジメチル−m−イソプロペニル−ベンジルウレタンおよびアリルウレタンなどの不飽和ウレタンの群に属する重合可能な不飽和基を表し、
R’は疎水性基を表す。]
を有する、疎水性鎖を末端とする少なくとも1つのエチレン性不飽和オキシアルキル化モノマー
から構成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
R’基が、トリスチリルフェニル基の中からもしくは少なくとも8個の炭素原子を持つジアルキルアミン類の中から、またはそれぞれが少なくとも6個の炭素原子を有する2つの分枝を持つ、少なくとも8個の炭素原子、優先的に10個から24個の炭素原子、非常に優先的に16個から20個の炭素原子を持つ直鎖もしくは分枝のアルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびアリール基の中から、またはこれらの基の混合物の中から選択され、極めて優先的に2−ヘキシル1−デカニルおよび2−オクチル1−ドデカニル、またはこれらの混合物の中から選択されることを特徴とする、請求項1から3の一項に記載の使用。
【請求項5】
少なくとも1つのa)モノマーおよび少なくとも1つのb)モノマーに加えて、前記コポリマーが、アクリルアミドモノマーもしくはメタクリルアミドモノマー、またはN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミドもしくはN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドなどのこれらの誘導体、およびこれらの混合物の中から;またはアルキルアクリレートもしくはメタクリレートなどの非水溶性モノマー、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]メタクリレートもしくはN−[2−(ジメチルアミノ)エチル]アクリレートなどの不飽和エステル、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、スチレン、アルファメチルスチレンおよびこれらの誘導体などのビニル化物の中から;優先的に[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムスルフェートもしくは[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド、[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムスルフェートもしくは[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド、[3−(アクリルアミド)プロピル]トリメチルアンモニウムスルフェートもしくは[3−(アクリルアミド)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジアリルアンモニウムスルフェートもしくはジメチルジアリルアンモニウムクロリド、[3−(メタクリルアミド)プロピル]トリメチルアンモニウムスルフェートもしくは[3−(メタクリルアミド)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリドなどのカチオン性または第4級アンモニウムモノマーの中から;または有機フッ素化もしくは有機シリル化モノマーの中から、またはこれらの架橋モノマー(即ち、少なくとも2つのエチレン不飽和を持つモノマー)もしくはこれらのモノマーの混合物の中から選択される少なくとも1つの他のモノマーをさらに含有することを特徴とする、請求項1から4の一項に記載の使用。
【請求項6】
前記水溶性コポリマーが、以下の成分から構成され、それぞれが重量による百分率:
a)酸もしくは塩の形態におけるモノカルボン酸官能基を持つエチレン性不飽和アニオン性モノマーの中から、優先的にアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸もしくはケイ皮酸から、またはマレイン酸もしくはイタコン酸のC−Cモノエステルなどの二酸半エステルの中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるジカルボン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にイタコン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸もしくはシトラコン酸から、またはマレイン酸無水物などのカルボン酸無水物の中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるスルホン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にアクリルアミド−2−メチル−2−プロパン−スルホン酸、メタリルスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸およびスチレンスルホン酸の中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるリン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にビニルリン酸、エチレングリコールメタクリレートホスフェート、プロピレングリコールメタクリレートホスフェート、エチレングリコールアクリレートホスフェート、プロピレングリコールアクリレートホスフェートおよびこれらのエトキシ化物の中から選択される;または酸または塩の形態における、優先的にビニルホスホン酸であるホスホン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から選択され;またはこれらの混合物から選択される、酸もしくは塩の形態におけるエチレン性不飽和アニオン性モノマーである少なくとも1つのエチレン性不飽和アニオン性モノマーを5%から95%、優先的に50%から95%、非常に優先的に70%から95%、
b)一般式(I)
【化8】

[式中、
−mおよびpは、100未満または100に等しいアルキレンオキシド単位の数を表し、nは、100未満または100に等しいエチレンオキシド単位の数を表し、qは、少なくとも1に等しい数であり、0≦q(n+m+p)≦100であり、
−Rは、水素またはメチル基もしくはエチル基を表し、
−Rは、水素またはメチル基もしくはエチル基を表し、
−Rは、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル、クロトン酸エステルおよびビニルフタル酸エステルを、加えて例えば、アクリルウレタン、メタクリルウレタン、α−α’ジメチル−m−イソプロペニル−ベンジルウレタンおよびアリルウレタンなどの不飽和ウレタンの群に属する重合可能な不飽和基を表し、
−R’は、トリスチリルフェニル基の中から、または少なくとも8個の炭素原子を持つジアルキルアミンの中から、またはそれぞれが少なくとも6個の炭素原子を有する2つの分枝を持つ、少なくとも8個の炭素原子、優先的に10個から24個の炭素原子および非常に優先的に16個から20個の炭素原子を持つ直鎖もしくは分枝のアルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびアリール基の中から、またはこれらの基の混合物から選択される疎水性基を表し、極めて優先的に2−ヘキシル1−デカニルおよび2−オクチル1−ドデカニル、またはこれらの混合物の中から選択される。]
を有する、疎水性鎖を末端とする少なくとも1つのエチレン性不飽和オキシアルキル化モノマーを5%から95%、優先的に5%から50%、非常に優先的に5%から30%
として表されることを特徴とする、請求項1から5の一項に記載の使用。
【請求項7】
前記水溶性コポリマーが、触媒系および移行剤の存在下、溶液中、直接のもしくは逆エマルション中、溶媒における懸濁液もしくは沈殿液中でのラジカル重合法により、または制御ラジカル重合法により、優先的に窒素酸化物媒介重合(NMP)もしくはコバロキシム媒介重合により、原子移動ラジカル重合(ATRP)により、硫黄誘導体が、カルバメート、ジチオエステル、トリチオカルボネート(RAFT)またはキサンテートの中から選択される硫黄誘導体制御ラジカル重合により得られることを特徴とする、請求項1から6の一項に記載の使用。
【請求項8】
酸性の形態および潜在的に蒸留された形態で得られる前記水溶性コポリマーが、アルカリカチオンから構成される群から、優先的にナトリウム、カリウムもしくはアンモニウムの中から選択される;または第1級、第2級もしくは第3級の脂肪族および/もしくは環状アミンから構成される群の中から、優先的にステアリルアミン、エタノールアミン(モノ、ジおよびトリエタノールアミン)、モノおよびジエチルアミン、シクロヘキシルアミンおよびメチルシクロヘキシルアミンの中から選択される;または二価のアルカリ土類カチオンから構成される群から、優先的にマグネシア、カルシウムおよび亜鉛の中から選択される;三価のカチオン類、優先的にアルミニウムから構成される群から選択される一価または多価官能基を有する1つまたは複数の中和剤により全部または一部を中和されてもよいことを特徴とする、請求項1から7の一項に記載の使用。
【請求項9】
共重合反応の結果として得られる前記水溶性コポリマーが、全部または一部の中和の前または後で、静的または動的方法に従って、優先的に水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、テトラヒドロフランまたはこれらの混合物から構成される群に属する1つまたは複数の極性溶媒により処理および多相に分離されることが潜在的に可能であることを特徴とする、請求項1から8の一項に記載の使用。
【請求項10】
無機質材料の全重量と対比して、乾燥重量で0.1%および3%の間、優先的に0.2%から1.5%、非常に優先的に0.3%から1%の量の前記水溶性コポリマーを使用することを特徴とする、請求項1から9の一項に記載の使用。
【請求項11】
無機質材料の水性分散液および/または水性懸濁液が、全重量に対して、乾燥重量で少なくとも10%、優先的に少なくとも20%、非常に優先的に少なくとも50%、極めて優先的に少なくとも70%の無機質材料を含有することを特徴とする、請求項1から10の一項に記載の使用。
【請求項12】
前記無機質材料が、天然型または合成の炭酸カルシウム、ドロマイト、石灰岩、カオリン、タルク、石膏、石灰、マグネシア、二酸化チタン、サチン白、アルミニウム三酸化物またはアルミニウム三水酸化物、シリカ、雲母、およびタルク−炭酸カルシウム、炭酸カルシウム−カオリンの混合物、または炭酸カルシウムとアルミニウム三水酸化物もしくはアルミニウム三酸化物との混合物、または合成もしくは天然型繊維との混合物、またはタルク−炭酸カルシウムもしくはタルク−二酸化チタンの再構成物などの鉱物の再構成物、またはこれらの混合物など、こうした添加物相互の混合物から選択されること、好ましくは天然型または合成の炭酸カルシウムもしくはタルクまたはこれらの混合物から選択されること、非常に好ましくは天然型または合成の炭酸カルシウムまたはこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から11の一項に記載の使用。
【請求項13】
製紙用パルプが、天然型および/または合成の繊維、水および:
a)酸または塩の形態におけるモノカルボン酸官能基を持つエチレン性不飽和アニオン性モノマーの中から、優先的にアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸もしくはケイ皮酸から、またはマレイン酸もしくはイタコン酸のC−Cモノエステルなどの二酸半エステルの中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるジカルボン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にイタコン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸もしくはシトラコン酸から、またはマレイン酸無水物などのカルボン酸無水物の中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるスルホン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にアクリルアミド−2−メチル−2−プロパン−スルホン酸、メタリルスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸およびスチレンスルホン酸の中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるリン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にビニルリン酸、エチレングリコールメタクリレートホスフェート、プロピレングリコールメタクリレートホスフェート、エチレングリコールアクリレートホスフェート、プロピレングリコールアクリレートホスフェートおよびこれらのエトキシ化物の中から選択される;または酸または塩の形態における、優先的にビニルホスホン酸であるホスホン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から選択される;またはこれらの混合物から選択される、酸または塩の形態におけるエチレン性不飽和アニオン性モノマーである少なくとも1つのエチレン性不飽和アニオン性モノマー、
b)一般式(I)
【化9】

[式中、
−mおよびpは、100未満または100に等しいアルキレンオキシド単位の数を表し、nは、100未満または100に等しいエチレンオキシド単位の数を表し、qは、少なくとも1に等しい数であり、0≦q(n+m+p)≦100であり、
−Rは、水素またはメチル基もしくはエチル基を表し、
−Rは、水素またはメチル基もしくはエチル基を表し、
−Rは、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル、クロトン酸エステルおよびビニルフタル酸エステルを、加えて例えば、アクリルウレタン、メタクリルウレタン、α−α’ジメチル−m−イソプロペニル−ベンジルウレタンおよびアリルウレタンなどの不飽和ウレタンの群に属する重合可能な不飽和基を表し、
−R’は、それぞれが少なくとも6個の炭素原子を有する2つの分枝を持つ16個から20個の炭素原子を持つ分枝のアルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基もしくはアリール基またはこれらの混合物である疎水性基を表し、極めて優先的に2−ヘキシル1−デカニルおよび2−オクチル1−ドデカニルまたはこれらの混合物の中から選択される。]を有する、疎水性鎖を末端とする少なくとも1つのエチレン性不飽和オキシアルキル化モノマー
から構成される水溶性コポリマーを含有する無機質材料の水性懸濁液および/または水性分散液を混合するステップから得られることを特徴とする、製紙用パルプから紙シートを製造する方法。
【請求項14】
少なくとも1つのa)モノマーおよび少なくとも1つのb)モノマーに加えて、前記コポリマーが、アクリルアミドモノマーもしくはメタクリルアミドモノマー、またはN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミドもしくはN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドなどこれらの誘導体、およびこれらの混合物の中から;またはアルキルアクリレートもしくはメタクリレートなどの非水溶性モノマー、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]メタクリレートもしくはN−[2−(ジメチルアミノ)エチル]アクリレートなどの不飽和エステル、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、スチレン、アルファメチルスチレンおよびこれらの誘導体などのビニル化物の中から;または優先的に[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムスルフェートもしくは[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド、[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムスルフェートもしくは[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド、[3−(アクリルアミド)プロピル]トリメチルアンモニウムスルフェートもしくは[3−(アクリルアミド)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジアリルアンモニウムスルフェートもしくはジメチルジアリルアンモニウムクロリド、[3−(メタクリルアミド)プロピル]トリメチルアンモニウムスルフェートもしくは[3−(メタクリルアミド)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリドなどのカチオン性または第4級アンモニウムモノマーの中から;または有機フッ素化もしくは有機シリル化モノマーの中から、または当業者によく知られているこれらの架橋モノマー(即ち、少なくとも2つのエチレン不飽和を持つモノマー)もしくはこれらのモノマーの混合物の中から選択される少なくとも1つの他のモノマーをさらに含有することを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記水溶性コポリマーが、以下の成分から構成され、それぞれが重量による百分率:
a)酸もしくは塩の形態におけるモノカルボン酸官能基を持つエチレン性不飽和アニオン性モノマーの中から、優先的にアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸もしくはケイ皮酸から、またはマレイン酸もしくはイタコン酸のC−Cモノエステルなどの二酸半エステルの中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるジカルボン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にイタコン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸もしくはシトラコン酸から、またはマレイン酸無水物などのカルボン酸無水物の中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるスルホン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にアクリルアミド−2−メチル−2−プロパン−スルホン酸、メタリルスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸およびスチレンスルホン酸の中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるリン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にビニルリン酸、エチレングリコールメタクリレートホスフェート、プロピレングリコールメタクリレートホスフェート、エチレングリコールアクリレートホスフェート、プロピレングリコールアクリレートホスフェートおよびこれらのエトキシ化物の中から選択される;または酸または塩の形態における、優先的にビニルホスホン酸であるホスホン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から選択される;またはこれらの混合物から選択される、酸もしくは塩の形態におけるエチレン性不飽和アニオン性モノマーである少なくとも1つのエチレン性不飽和アニオン性モノマーを5%から95%、優先的に50%から95%、非常に優先的に70%から95%、
b)一般式(I)
【化10】

[式中、
−mおよびpは、100未満または100に等しいアルキレンオキシド単位の数を表し、nは、100未満または100に等しいエチレンオキシド単位の数を表し、qは、少なくとも1に等しい数であり、0≦q(n+m+p)≦100であり、
−Rは、水素またはメチル基もしくはエチル基を表し、
−Rは、水素またはメチル基もしくはエチル基を表し、
−Rは、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル、クロトン酸エステルおよびビニルフタル酸エステルを、加えて例えば、アクリルウレタン、メタクリルウレタン、α−α’ジメチル−m−イソプロペニル−ベンジルウレタンおよびアリルウレタンなどの不飽和ウレタンの群に属する重合可能な不飽和基を表し、
−R’は、それぞれが少なくとも6個の炭素原子を有する2つの分枝を持つ16個から20個の炭素原子を持つ分枝のアルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基もしくはアリール基、またはこれらの混合物である疎水性基を表し、極めて優先的に2−ヘキシル1−デカニルおよび2−オクチル1−ドデカニル、またはこれらの混合物の中から選択される。]を有する、疎水性鎖を末端とする少なくとも1つのエチレン性不飽和オキシアルキル化モノマーを5%から95%、優先的に5%から50%、非常に優先的に5%から30%
として表されることを特徴とする、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記水溶性コポリマーが、触媒系および移行剤の存在下、溶液中、直接のもしくは逆エマルション中、溶媒における懸濁液もしくは沈殿液中でのラジカル重合法により、または制御ラジカル重合法により、優先的に窒素酸化物媒介重合(NMP)もしくはコバロキシム媒介重合により、原子移動ラジカル重合(ATRP)により、硫黄誘導体が、カルバメート、ジチオエステル、トリチオカルボネート(RAFT)またはキサンテートの中から選択される硫黄誘導体制御ラジカル重合により得られることを特徴とする、請求項13から15の一項に記載の方法。
【請求項17】
酸性の形態および潜在的に蒸留された形態で得られる前記水溶性コポリマーが、アルカリカチオンから構成される群から、優先的にナトリウム、カリウムもしくはアンモニウムの中から選択される;または第1級、第2級もしくは第3級の脂肪族および/もしくは環状アミンから構成される群の中から、優先的にステアリルアミン、エタノールアミン(モノ、ジおよびトリエタノールアミン)、モノおよびジエチルアミン、シクロヘキシルアミンおよびメチルシクロヘキシルアミンの中から選択される;または二価のアルカリ土類カチオンから構成される群から、優先的にマグネシア、カルシウムおよび亜鉛の中から選択される;または三価のカチオン類、優先的にアルミニウムから構成される群から選択される一価または多価官能基を有する1つまたは複数の中和剤により全部または一部を中和されてもよいことを特徴とする、請求項13から16の一項に記載の方法。
【請求項18】
共重合反応の結果得られる前記コポリマーが、全部または一部の中和の前または後に、静的または動的方法に従って、優先的に水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、テトラヒドロフランまたはこれらの混合物から構成される群に属する1つまたは複数の極性溶媒により処理されおよび多相に分離されることが潜在的に可能であり、前記相の1つは、水性懸濁液において無機質材料のための粉砕助剤として本発明に従って使用されるコポリマーに対応していることを特徴とする、請求項13から17の一項に記載の方法。
【請求項19】
無機質材料の全重量と対比して、乾燥重量で0.1%および3%の間、優先的に0.2%から1.5%、非常に優先的に0.3%から1%の量の前記水溶性コポリマーを使用することを特徴とする、請求項13から18の一項に記載の方法。
【請求項20】
無機質材料の水性分散液および/または水性懸濁液が、全重量に対して、乾燥重量で少なくとも10%、優先的に少なくとも20%、非常に優先的に少なくとも50%、極めて優先的に少なくとも70%の無機質材料を含有することを特徴とする、請求項13から19の一項に記載の方法。
【請求項21】
前記無機質材料が、天然型または合成の炭酸カルシウム、ドロマイト、石灰岩、カオリン、タルク、石膏、石灰、マグネシア、二酸化チタン、サチン白、アルミニウム三酸化物またはアルミニウム三水酸化物、シリカ、雲母、およびタルク−炭酸カルシウム、炭酸カルシウム−カオリンの混合物、または炭酸カルシウムとアルミニウム三水酸化物もしくはアルミニウム三酸化物との混合物、または合成もしくは天然型繊維との混合物、またはタルク−炭酸カルシウムもしくはタルク−二酸化チタンの再構成物などの鉱物の再構成物、またはこれらの混合物など、こうした添加物相互の混合物から選択されること、好ましくは天然型または合成の炭酸カルシウムもしくはタルクまたはこれらの混合物から選択されること、非常に好ましくは天然型または合成の炭酸カルシウムまたはこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項13から20の一項に記載の方法。
【請求項22】
無機質材料および
a)酸または塩の形態におけるモノカルボン酸官能基を持つエチレン性不飽和アニオン性モノマーの中から、優先的にアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸もしくはケイ皮酸から、またはマレイン酸もしくはイタコン酸のC−Cモノエステルなどの二酸半エステルの中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるジカルボン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にイタコン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸もしくはシトラコン酸から、またはマレイン酸無水物などのカルボン酸無水物の中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるスルホン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にアクリルアミド−2−メチル−2−プロパン−スルホン酸、メタリルスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸およびスチレンスルホン酸の中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるリン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にビニルリン酸、エチレングリコールメタクリレートホスフェート、プロピレングリコールメタクリレートホスフェート、エチレングリコールアクリレートホスフェート、プロピレングリコールアクリレートホスフェートおよびこれらのエトキシ化物の中から選択される;または酸または塩の形態における、優先的にビニルホスホン酸であるホスホン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から選択される;またはこれらの混合物から選択される、酸または塩の形態においてエチレン性不飽和アニオン性モノマーである少なくとも1つのアニオン性モノマー、
b)一般式(I)
【化11】

[式中、
−mおよびpは、100未満または100に等しいアルキレンオキシド単位の数を表し、nは、100未満または100に等しいエチレンオキシド単位の数を表し、qは、少なくとも1に等しい数であり、0≦q(n+m+p)≦100であり、
−Rは、水素またはメチル基もしくはエチル基を表し、
−Rは、水素またはメチル基もしくはエチル基を表し、
−Rは、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル、クロトン酸エステルおよびビニルフタル酸エステルを、加えて例えば、アクリルウレタン、メタクリルウレタン、α−α’ジメチル−m−イソプロペニル−ベンジルウレタンおよびアリルウレタンなどの不飽和ウレタンの群に属する重合可能な不飽和基を表し、
−R’は、それぞれが少なくとも6個の炭素原子を有する2つの分枝を持つ16個から20個の炭素原子を持つ分枝のアルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基もしくはアリール基、またはこれらの混合物である疎水性基を表し、極めて優先的に2−ヘキシル1−デカニルおよび2−オクチル1−ドデカニル、またはこれらの混合物の中から選択される。]を有し、疎水性鎖を末端とする少なくとも1つのエチレン性不飽和オキシアルキル化モノマー
から構成される少なくとも1つの水溶性コポリマーを含有することを特徴とする紙シート。
【請求項23】
少なくとも1つのa)モノマーおよび少なくとも1つのb)モノマーに加えて、前記コポリマーが、アクリルアミドモノマーもしくはメタクリルアミドモノマー、またはN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミドもしくはN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドなどこれらの誘導体、およびこれらの混合物の中から;またはアルキルアクリレートもしくはメタクリレートなどの非水溶性モノマー、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]メタクリレートもしくはN−[2−(ジメチルアミノ)エチル]アクリレートなどの不飽和エステル、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、スチレン、アルファメチルスチレンおよびこれらの誘導体などのビニル化物の中から;または優先的に2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムスルフェートもしくは[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド、[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムスルフェートもしくは[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド、[3−(アクリルアミド)プロピル]トリメチルアンモニウムスルフェートもしくは[3−(アクリルアミド)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジアリルアンモニウムスルフェートもしくはジメチルジアリルアンモニウムクロリド、[3−(メタクリルアミド)プロピル]トリメチルアンモニウムスルフェートもしくは[3−(メタクリルアミド)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリドなどのカチオン性または第4級アンモニウムモノマーの中から;または有機フッ素化もしくは有機シリル化モノマーの中から、またはこれらの架橋モノマー(即ち、少なくとも2つのエチレン不飽和を持つモノマー)もしくはこれらのモノマーの混合物の中から選択される少なくとも1つの他のモノマーをさらに含有することを特徴とする、請求項22に記載の紙シート。
【請求項24】
前記水溶性コポリマーが、以下の成分から構成され、それぞれが重量による百分率:
a)酸もしくは塩の形態におけるモノカルボン酸官能基を持つエチレン性不飽和アニオン性モノマーの中から、優先的にアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸もしくはケイ皮酸から、またはマレイン酸もしくはイタコン酸のC−Cモノエステルなどの二酸半エステルの中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるジカルボン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にイタコン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸もしくはシトラコン酸から、またはマレイン酸無水物などのカルボン酸無水物の中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるスルホン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にアクリルアミド−2−メチル−2−プロパン−スルホン酸、メタリルスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸およびスチレンスルホン酸の中から選択される;または酸もしくは塩の形態におけるリン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から、優先的にビニルリン酸、エチレングリコールメタクリレートホスフェート、プロピレングリコールメタクリレートホスフェート、エチレングリコールアクリレートホスフェート、プロピレングリコールアクリレートホスフェートおよびこれらのエトキシ化物の中から選択される;または酸または塩の形態における、優先的にビニルホスホン酸であるホスホン酸官能基を持つエチレン性不飽和モノマーの中から選択される;またはこれらの混合物から選択される、酸もしくは塩の形態においてエチレン性不飽和アニオン性モノマーである少なくとも1つのアニオン性モノマーを5%から95%、優先的に50%から95%、非常に優先的に70%から95%、
b)一般式(I)
【化12】

[式中、
−mおよびpは、100未満または100に等しいアルキレンオキシド単位の数を表し、nは、100未満または100に等しいエチレンオキシド単位の数を表し、qは、少なくとも1に等しい数であり、0≦q(n+m+p)≦100であり、
−Rは、水素またはメチル基もしくはエチル基を表し、
−Rは、水素またはメチル基もしくはエチル基を表し、
−Rは、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル、クロトン酸エステルおよびビニルフタル酸エステルを、加えて例えば、アクリルウレタン、メタクリルウレタン、α−α’ジメチル−m−イソプロペニル−ベンジルウレタンおよびアリルウレタンなどの不飽和ウレタンの群に属する重合可能な不飽和基を表し、
−R’は、それぞれが少なくとも6個の炭素原子を有する2つの分枝を持つ16個から20個の炭素原子を持つ分枝のアルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基もしくはアリール基、またはこれらの混合物である疎水性基を表し、極めて優先的に2−ヘキシル1−デカニルおよび2−オクチル1−ドデカニル、またはこれらの混合物の中から選択される。]を有する、疎水性鎖を末端とする少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーを5%から95%、優先的に5%から50%、非常に優先的に5%から30%
として表されることを特徴とする、請求項22または23に記載の紙シート。
【請求項25】
前記水溶性コポリマーが、触媒系および移行剤の存在下、溶液中、直接もしくは逆エマルション中、溶媒における懸濁液もしくは沈殿液中でのラジカル重合法により、または制御ラジカル重合法により、優先的に窒素酸化物媒介重合(NMP)もしくはコバロキシム媒介重合により、原子移動ラジカル重合(ATRP)により、硫黄誘導体が、カルバメート、ジチオエステル、トリチオカルボネート(RAFT)またはザンテートの中から選択される硫黄誘導体制御ラジカル重合により得られることを特徴とする、請求項22から24の一項に記載の紙シート。
【請求項26】
酸性の形態および潜在的に蒸留された形態で得られる前記水溶性コポリマーが、アルカリカチオンから構成される群から、優先的にナトリウム、カリウムもしくはアンモニウムの中から選択される;または第1級、第2級もしくは第3級の脂肪族および/もしくは環状アミンから構成される群の中から、優先的にステアリルアミン、エタノールアミン(モノ、ジおよびトリエタノールアミン)、モノおよびジエチルアミン、シクロヘキシルアミンおよびメチルシクロヘキシルアミンの中から選択される;または二価のアルカリ土類カチオンから構成される群から、優先的にマグネシア、カルシウムおよび亜鉛の中から選択される;三価のカチオン類、優先的にアルミニウムから構成される群から選択される一価または多価官能基を有する1つまたは複数の中和剤により全部または一部を中和されてもよいことを特徴とする、請求項22から25の一項に記載の紙シート。
【請求項27】
共重合反応の結果得られる前記コポリマーが、全部または一部の中和の前または後で、静的または動的方法に従って、優先的に水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、テトラヒドロフランまたはこれらの混合物から構成される群に属する1つまたは複数の極性溶媒により処理されおよび多相に分離されることが潜在的に可能であることを特徴とする、請求項22から26の一項に記載の紙シート。
【請求項28】
前記無機質材料が、天然型または合成の炭酸カルシウム、ドロマイト、石灰岩、カオリン、タルク、石膏、石灰、マグネシア、二酸化チタン、サチン白、アルミニウム三酸化物またはアルミニウム三水酸化物、シリカ、雲母、およびタルク−炭酸カルシウム、炭酸カルシウム−カオリンの混合物、または炭酸カルシウムとアルミニウム三水酸化物もしくはアルミニウム三酸化物との混合物、または合成もしくは天然型繊維との混合物、またはタルク−炭酸カルシウムもしくはタルク−二酸化チタンの再構成物などの鉱物の再構成物、またはこれらの混合物など、こうした添加物相互の混合物から選択されること、好ましくは天然型または合成の炭酸カルシウムもしくはタルクまたはこれらの混合物から選択されること、非常に好ましくは天然型または合成の炭酸カルシウムまたはこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項22から27の一項に記載の紙シート。

【図1】
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【公表番号】特表2010−506058(P2010−506058A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531933(P2009−531933)
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【国際出願番号】PCT/IB2007/002997
【国際公開番号】WO2008/044118
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(398051154)コアテツクス・エス・アー・エス (35)
【Fターム(参考)】