紙幣処理装置、紙幣処理方法、及び紙幣処理プログラム
【課題】この発明は搬送路47の紙幣から利用者により投入された紙幣を容易に区別できるとともに、違算が生じることを防止できる紙幣入出金機構部4、紙幣処理方法、及び紙幣処理プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】紙幣を搬送する搬送路47、金種と記番号を読取る紙幣判別部42、紙幣を収容・排出する還流庫45、金種と記番号と収容した順序を記憶する記憶部49、搬送障害を検知する搬送路センサ48、障害情報を表示する操作・表示部6、及び制御部50を備え、制御部50に、還流庫45の最上位を巡回紙幣として選択し、巡回紙幣に対応する記番号を記憶部49から読み出し巡回紙幣情報として記憶する巡回紙幣選択処理、巡回紙幣を搬送路47に送り出して一巡させる巡回処理、及び巡回紙幣による搬送障害を検知すると巡回紙幣情報を障害情報として操作・表示部6に表示する障害情報出力処理を備えた紙幣入出金機構部4を特徴とする。
【解決手段】紙幣を搬送する搬送路47、金種と記番号を読取る紙幣判別部42、紙幣を収容・排出する還流庫45、金種と記番号と収容した順序を記憶する記憶部49、搬送障害を検知する搬送路センサ48、障害情報を表示する操作・表示部6、及び制御部50を備え、制御部50に、還流庫45の最上位を巡回紙幣として選択し、巡回紙幣に対応する記番号を記憶部49から読み出し巡回紙幣情報として記憶する巡回紙幣選択処理、巡回紙幣を搬送路47に送り出して一巡させる巡回処理、及び巡回紙幣による搬送障害を検知すると巡回紙幣情報を障害情報として操作・表示部6に表示する障害情報出力処理を備えた紙幣入出金機構部4を特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば利用者が投入した紙幣を搬送するとともに、紙幣の金種や真偽を識別して金種毎に収容するような紙幣処理装置、紙幣処理方法、及び紙幣処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ATMや両替機のように、利用者が投入した紙幣を搬送路で内部に搬送し、紙幣の金種や真偽を識別して金種毎に収容するとともに、利用者との取引内容に応じて収容している紙幣を搬送路に送り出して利用者に対して排出する紙幣処理装置がある。
【0003】
このような紙幣処理装置において、投入された紙幣は、その殆どが使用済み紙幣であり、破れや折れ等などの損傷が生じている。このため、紙幣処理装置は、ときに紙幣の損傷部分が搬送路の途中で引っ掛かるなどして紙幣詰まりが生じることがある。
【0004】
このような場合、係員が詰まった紙幣を除去したのち紙幣処理装置を復旧させる必要があるが、複雑な搬送路から紙幣を探し出す時間がかかるとともに、係員が紙幣を見落とすことがある。また、紙幣詰まりを検出するセンサ等を設けたとしても、センサの間に残留した紙幣を検知することができない。このため、紙幣処理装置を復旧して次の取引を開始すると、再び紙幣詰まりが生じる、あるいは違算が生じるなどの問題があった。
【0005】
そこで、復旧動作の際、搬送路上の紙幣詰まりをチェックする技術が提案されている。
例えば、特許文献1の還流式紙幣取扱装置(本願における紙幣処理装置に相当)では、紙幣を収容している紙幣収容ボックスからチェック用紙幣を一枚送り出して搬送路を一巡させて、搬送路上に残留している残留紙幣の有無を確認する復旧動作を行うとされている。
【0006】
しかしながら、特許文献1の還流式紙幣取扱装置では、復旧動作の際、チェック用紙幣と搬送路に残留する残留紙幣とが衝突すると、係員にはどちらの紙幣が、利用者が投入した紙幣か区別できないため、誤った紙幣を利用者に渡すなどして違算が生じる、あるいは利用者とのトラブルの原因となるおそれがあるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭61−133492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、上述の問題に鑑み、搬送路の紙幣から利用者により投入された紙幣を容易に区別できるとともに、違算が生じることを防止することができる紙幣処理装置、紙幣処理方法、及び紙幣処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、少なくとも1枚の紙幣を搬送する搬送路と、前記紙幣の金種を示す金種情報、及び紙幣固有の情報を示す固有情報を読取る情報読取部と、前記金種情報に基づいて金種別に前記紙幣を収容するとともに、前記搬送路に前記紙幣を送り出す金種別収容部と、前記金種情報、前記固有情報、及び前記紙幣を収容した順序を関連付けて記憶する記憶部と、前記搬送路上における前記紙幣の搬送障害を検知する少なくとも1つの障害検知部と、前記搬送障害が生じたことを示す障害情報を出力する出力部と、前記各部を制御する制御部とを備え、該制御部に、前記金種別収容部の最上位に収容した前記紙幣を、前記搬送路を巡回させる巡回紙幣として選択するとともに、前記巡回紙幣に対応する前記固有情報を前記記憶部から読み出し巡回紙幣情報として記憶する巡回紙幣選択処理と、前記巡回紙幣を前記金種別収容部から前記搬送路に送り出して少なくとも一巡させる巡回処理と、前記巡回紙幣による搬送障害を検知すると、前記巡回紙幣情報を前記障害情報として前記出力部に出力する障害情報出力処理とを備えた紙幣処理装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明により、搬送路の紙幣から利用者により投入された紙幣を容易に区別できるとともに、違算が生じることを防止できる紙幣処理装置、紙幣処理方法、及び紙幣処理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】自動取引装置の外観を示す外観斜視図。
【図2】自動取引装置の内部構成を示すブロック図。
【図3】紙幣入出金機構部の内部構成を示す構成図。
【図4】紙幣入出金機構部の内部構成を示すブロック図。
【図5】紙幣情報テーブルについて説明する説明図。
【図6】搬送処理の動作を示すフローチャート。
【図7】入金情報記憶処理の動作を示すフローチャート。
【図8】入金情報記憶処理における紙幣情報テーブルを説明する説明図。
【図9】巡回紙幣選択処理の動作を示すフローチャート。
【図10】出金情報記憶処理の動作を示すフローチャート。
【図11】出金情報記憶処理における紙幣情報テーブルを説明する説明図。
【図12】搬送障害情報を表示した画面を示す障害情報画面。
【図13】実施例2における巡回紙幣選択処理の動作を示すフローチャート。
【図14】複数の搬送障害情報を表示した画面を示す障害情報画面。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は自動取引装置10の外観斜視図を示し、図2は自動取引装置10の内部構成のブロック図を示している。
【0014】
自動取引装置10は、図1に示すように、銀行などに設置されて利用者の操作によって現金の入出金等の取引を行うことができる装置であって、カード・明細票機構部2、通帳機構部3、紙幣入出金機構部4(紙幣処理装置)、硬貨入出金機構部5、操作・表示部6(出力部)、及び本体制御部9を筐体1に納めて構成している。
【0015】
具体的には、自動取引装置10は、図2に示すように、カード・明細票機構部2、通帳機構部3、紙幣入出金機構部4、硬貨入出金機構部5、操作・表示部6、音声案内出力部7、及び通信回線部8が、所定のバスを介して本体制御部9に接続している。
【0016】
カード・明細票機構部2は、キャッシュカードの挿入・排出機能とキャッシュカード情報の読取り書込み機能を有するカード機構部、及び取引の内容を明細票に印字し排出する機能を有する明細票機構部を一体で構成している。
【0017】
通帳機構部3は、利用者の通帳の挿入・排出する機能、通帳の情報を読取る機能、及び通帳に取引内容を印字する印字機能を有している。
紙幣入出金機構部4は、紙幣(紙幣)の入出金機能、識別機能、及び収納機能などを有している。なお、紙幣入出金機構部4については後ほど詳しく説明する。
【0018】
硬貨入出金機構部5は、硬貨の入出金機能、識別機能、及び収納機能などを有している。
操作・表示部6は、取引種別の選択や取引金額の入力などの利用者の入力操作を受付ける機能と、取引操作案内を表示する機能とを兼ね備えたタッチパネルで構成している。
【0019】
音声案内出力部7は、取引にかかる操作やエラー等を音声で案内する機能を有している。
通信回線部8は、自動取引装置10を通信回線に接続する機能と、通信回線を介して接続したホストコンピューター等と各種情報の受送信を行う機能を有している。
【0020】
本体制御部9は、CPU、及びメモリ等のハード構成と、プログラム、及びデータ等のソフト構成とで構成され、利用者が自動取引装置10を操作して取引を行う取引操作等の各種処理機能や、所定のバスを介して接続された各部の動作を制御する制御機能を有している。
【0021】
このような自動取引装置10において、紙幣詰まりが生じても利用者により投入された紙幣を容易に区別することができる紙幣入出金機構部4について、図3から図5を用いて説明する。
【0022】
なお、図3は紙幣入出金機構部4の内部構成の構成図を示し、図4は紙幣入出金機構部4の内部構成のブロック図を示し、図5は紙幣情報テーブル60について説明する説明図を示している。
【0023】
紙幣入出金機構部4は、図3、及び図4に示すように、紙幣入出金口41、紙幣判別部42(情報読取部)、一時保留部43、入金専用庫44、還流庫45(金種別収容部)、保管庫46、搬送路47(搬送路)、搬送路センサ48(障害検知部、位置検知部)、記憶部49(記憶部)、及び各部と所定のバスを介して接続した制御部50(制御部)で構成している。
【0024】
紙幣入出金口41は、紙幣を投入する投入口としての機能、及び利用者に対して排出した紙幣を貯留する機能を有している。
紙幣判別部42は、投入された紙幣の金種(金種情報)、及び記番号(固有情報)を読み取る機能と、紙幣の真偽、及び汚れや折れなどの損傷を判別する機能とを有している。
【0025】
一時保留部43は、利用者が投入した紙幣を取引成立まで一時保留する機能を有している。
入金専用庫44は、紙幣判別部42で損傷が酷く利用者に対して排出する紙幣として取り扱わない紙幣を収容している。
【0026】
還流庫45は、第1還流庫45a、第2還流庫45b、第3還流庫45c、及び第4還流庫45dで構成し、それぞれ紙幣判別部42で判別した金種毎に紙幣を収納している。
保管庫46は、紙幣入出金口41に排出したが、利用者が取り忘れた紙幣を回収して保管している。
【0027】
搬送路47は、複数の搬送ベルト、駆動モータ等で紙幣入出金機構部4の各部を接続するように構成し、制御部50の指示により、搬送先に応じて適切に制御して紙幣を搬送する機能を有している。
搬送路センサ48(48a〜48h)は、搬送路47に複数設置して、搬送される紙幣の通過を検知する機能を有している。
【0028】
記憶部49は、紙幣判別部42で読み取った紙幣情報などを記憶した紙幣情報テーブル60、及び紙幣入出金機構部4の各部を制御する各種プログラムを記憶している。なお、記憶部49には、紙幣情報テーブル60を還流庫45ごとに分けて記憶している。
【0029】
紙幣情報テーブル60は、図5に示すように、還流庫45に収容している順序を示す順序欄、紙幣の金額を示す金額欄、バージョン情報を示すバージョン欄、汚れの状態を示す汚れレベル欄、穴の有無を示す穴有無欄、記番号を示す記番号欄、及びその他の情報を示すその他欄で構成している。そして、紙幣情報テーブル60には、紙幣毎にこれら情報を関連付けて記憶するとともに、還流庫45の最上位が順序欄の1番目となる順序で記憶している。
【0030】
制御部50は、CPU、及びメモリ等のハード構成と、プログラム、及びデータ等のソフト構成とで構成され、投入された紙幣の識別等の各種処理機能、及び所定のバスを介して接続した紙幣入出金機構部4における各部の動作を制御する制御機能を有している。また、制御部50は、所定のバスを介して本体制御部9に接続している。
【0031】
以上のような構成の紙幣入出金機構部4を備えた自動取引装置10において、投入された紙幣を搬送して還流庫45に収納する処理動作について説明する。
なお、図6は搬送処理の動作のフローチャートを示し、図7は入金情報記憶処理の動作のフローチャートを示し、図8は入金情報記憶処理における紙幣情報テーブル60を説明する説明図を示し、図9は巡回紙幣選択処理の動作のフローチャートを示し、図10は出金情報記憶処理の動作のフローチャートを示し、図11は出金情報記憶処理における紙幣情報テーブル60を説明する説明図を示し、図12は搬送障害情報を表示した障害情報画面70を示している。
【0032】
自動取引装置10は、利用者が操作・表示部6に表示された操作案内に基づいて入金操作することで取引を開始する。そして、利用者がカード・明細票機構部2にキャッシュカードを挿入して、入金する紙幣を紙幣入出金機構部4の紙幣入出金口41に投入すると、自動取引装置10の本体制御部9の指示により、紙幣入出金機構部4の制御部50が搬送処理を開始する。
【0033】
制御部50が搬送処理を開始すると、図6に示すように、紙幣入出金口41に投入された紙幣を読取り、還流庫45に収容するとともに、紙幣情報テーブル60に投入された紙幣の情報を記憶する入金情報記憶処理を開始する(ステップS101)。
【0034】
具体的には、入金情報記憶処理を開始すると、図7に示すように、制御部50の指示により、紙幣入出金口41に投入された紙幣を搬送路47が紙幣判別部42に1枚ずつ搬送する。そして、紙幣判別部42は、搬送された紙幣の読取りを開始する(ステップS201)。この際、紙幣判別部42は、搬送された紙幣の金種、記番号、汚れや折れ具合、及び穴あきの有無などの紙幣情報を各種センサ等で1枚ずつ読み取る。
【0035】
紙幣判別部42で読み取った紙幣の金種を示す金種情報に基づいて、制御部50は、紙幣の搬送先となる還流庫45を確定する(ステップS202)。その後、搬送先である還流庫45ごとに、投入された紙幣の紙幣情報を一時記憶する(ステップS203)。
【0036】
この際、制御部50は、図8の(a)のように、一時記憶領域に生成した一時記憶紙幣情報テーブル61に読み取った紙幣の順に紙幣情報を登録して記憶する。
例えば、図8の(a)では、順序欄の1番目が紙幣判別部42で1枚目に読み取った1000円札であり、順序欄の2番目が紙幣判別部42で2枚目に読み取った1000円札である。なお、一時記憶紙幣情報テーブル61は、紙幣情報テーブル60と同一の構成である。
【0037】
紙幣情報を一時記憶した制御部50は、紙幣を搬送先である還流庫45に搬送する。その後、制御部50は、全ての紙幣の読取りが完了したか否かを判定する(ステップS204)。全ての紙幣の読取りが完了していなければ(ステップS204:No)、制御部50は、処理をステップS201に戻す。
【0038】
一方、全ての紙幣の読取りが完了していれば(ステップS204:Yes)、制御部50は、搬送路センサ48で検知した紙幣の通過状況等から紙幣の搬送が全て完了したか否かを判定する(ステップ205)。
【0039】
紙幣の搬送が全て完了していなければ(ステップS205:No)、制御部50は、紙幣入出金機構部4の搬送路47のどこかで紙幣が詰まり搬送障害が発生したと判定する(ステップS206)。その後、制御部50は、入金情報記憶処理を終了する。
【0040】
ステップS205において、紙幣の搬送が全て完了していれば(ステップS205:Yes)、制御部50は、紙幣の搬送先である還流庫45に対応する紙幣情報テーブル60を記憶部49から読み込む(ステップS207)。
【0041】
紙幣情報テーブル60を読み込むと、制御部50は、紙幣情報テーブル60に登録している紙幣情報の順番を、一時記憶紙幣情報テーブル61に登録した紙幣の枚数分だけ繰り下げる(ステップS208)。そして、一時記憶紙幣情報テーブル61に登録した下位の紙幣情報から順に、紙幣情報テーブル60の上位に順に登録して記憶部49に記憶する(ステップS209)。これは、一時記憶紙幣情報テーブル61の2番目の紙幣よりも1番目の紙幣が還流庫45において下位に収容されるためである。
【0042】
具体的には、図8の(b)に示すように、一時記憶紙幣情報テーブル61に2枚分の紙幣情報を記憶していれば、制御部50は、紙幣情報テーブル60に登録している紙幣情報の順番を紙幣2枚分繰り下げて、上位に紙幣2枚分の枠を設ける。
【0043】
そして、図8の(c)に示すように、一時記憶紙幣情報テーブル61の2番目に登録した紙幣情報を、紙幣情報テーブル60の1番目に登録し、一時記憶紙幣情報テーブル61の1番目に登録した紙幣情報を、紙幣情報テーブル60の2番目に登録して記憶部49に記憶する。
その後、制御部50は、入金情報記憶処理を終了する。
【0044】
図6のステップS101に戻り、制御部50は、搬送障害が発生したか否かを判定する(ステップS102)。搬送障害が発生していなければ(ステップS102:No)、制御部50は、紙幣が還流庫45に正常に搬送完了したと判定する(ステップS103)。そして、制御部50は、搬送処理を終了したのち、搬送処理が終了したことを示す信号を本体制御部9に出力する。
【0045】
一方、搬送障害が発生していれば(ステップS102:Yes)、制御部50が本体制御部9に対して取引の中断を要求する信号を出力し、本体制御部9の指示により、自動取引装置10は取引を中断する。(ステップS104)。そして、制御部50は、復旧初期化処理を開始する(ステップS105)。
【0046】
復旧初期化処理を開始すると、制御部50は、紙幣が搬送路センサ48を通過した状況、あるいは残留した紙幣を搬送路センサ48で検知しているか否かに基づいて、搬送路47の搬送方向を正逆するなどして残留した紙幣の除去を行う。
【0047】
そして、制御部50は、復旧初期化処理が正常に終了したか否かを判定する(ステップS106)。正常に終了していなければ(ステップS106:No)、制御部50は、復旧初期化処理が予め定めた繰り返し回数行われたか否かを判定する(ステップS107)。繰り返し回数に達していなければ(ステップS107:No)、制御部50は、処理をステップS105に戻し、復旧初期化処理を繰り返し行う。
【0048】
一方、繰り返し回数に達していれば(ステップS107:Yes)、搬送路47に紙幣が残留するなどして異常が生じていると判定して異常終了処理を行う(ステップS108)。この際、制御部50は、自動取引装置10に異常が生じて取引を中止した案内メッセージ、及び係員を呼ぶ案内メッセージを操作・表示部6に表示する。その後、制御部50は、搬送処理を終了したのち、搬送処理が終了したことを示す信号を本体制御部9に出力する。
【0049】
ステップS106において、復旧初期化処理が正常に終了すれば(ステップS106:Yes)、制御部50は、搬送路47に残留する残留紙幣の有無、及び搬送路47の動作確認等を行うため、搬送路47を巡回させる巡回紙幣を選択する巡回紙幣選択処理を行う(ステップS109)。
【0050】
具体的には、巡回紙幣選択処理を開始すると、制御部50は、図9に示すように、全ての還流庫45に対応する紙幣情報テーブル60を記憶部49から読み込む(ステップS301)。そして、各紙幣情報テーブル60の最上位、つまり順序欄の1番目に登録している紙幣の記番号を読み取る(ステップS302)。
【0051】
その後、制御部50は、順序欄の1番目に登録している記番号が正常に読み取れたか否かを紙幣情報テーブル60ごとに判定する(ステップS303)。全ての紙幣情報テーブル60において、順序欄の1番目に登録している記番号が正常に読み取れなければ(ステップS303:No)、制御部50は、巡回紙幣として使用できる紙幣ないと判定し(ステップS304)、巡回紙幣選択処理を終了する。
【0052】
一方、順序欄の1番目に登録している記番号が正常に読み取れる紙幣情報テーブル60が少なくとも1つあれば(ステップS303:Yes)、制御部50は、記番号が正常に読み取れる紙幣情報テーブル60が複数であるか否かを判定する(ステップS305)。
【0053】
記番号が正常に読み取れる紙幣情報テーブル60が複数あれば(ステップS305:Yes)、制御部50は、記番号が正常に読み取れる紙幣情報テーブル60に対応する還流庫45のうち、搬送路47の末端に近い還流庫45を選択する(ステップS306)。
【0054】
そして、制御部50の指示により、選択された還流庫45は、収容している紙幣のうち最も上位、つまり一番上に収容している紙幣を巡回紙幣として搬送路47に送り出す(ステップS307)。この際、制御部50は、巡回紙幣として搬送路47に送り出した紙幣の紙幣情報を巡回紙幣情報として一時記憶するとともに、巡回紙幣の紙幣情報を紙幣情報テーブル60から削除する出金情報記憶処理を開始する。
【0055】
具体的には、制御部50は、図10に示すように、選択した還流庫45に対応する出金情報記憶処理を開始すると、還流庫45から送り出した紙幣の枚数と選択した還流庫45とを関連づけて一時記憶する(ステップS401)。ここでは、巡回紙幣として1枚選択しているので、選択した還流庫45と1枚とを関連付けて記憶する。
【0056】
そして、制御部50は、還流庫45から紙幣の送り出しが完了したか否かを判定する(ステップS402)。紙幣の送り出しが完了していなければ(ステップS402:No)、処理をステップS401に戻す。
【0057】
一方、紙幣の送り出しが完了していれば(ステップS402:Yes)、制御部50は、図11の(a)に示すように、選択した還流庫45に対応する紙幣情報テーブル60を記憶部49から読み込む(ステップS403)。
【0058】
紙幣情報テーブル60を読み込むと、制御部50は、紙幣情報テーブル60の最上位、つまり順序欄の1番目から順に、送り出した紙幣の枚数分の紙幣情報を削除する(ステップS404)。
【0059】
ここでは、1枚の紙幣を巡回紙幣として送り出したため、制御部50は、図11の(b)に示すように、紙幣情報テーブル60の順序欄の1番目に登録した紙幣情報を削除する。
【0060】
そして、制御部50は、紙幣情報テーブル60に登録している紙幣情報を、送り出した紙幣の枚数分だけ繰り上げて記憶部49に記憶する(ステップS405)。
【0061】
例えば、制御部50は、図11の(b)における紙幣情報テーブル60の2番目の紙幣情報を、図11の(c)に示すように、1番目の紙幣情報として登録する。同様に、図11の(b)における紙幣情報テーブル60の2番目以降の紙幣情報も繰り上げて登録し記憶部49に記憶する。
【0062】
還流庫45から巡回紙幣として送り出した紙幣を紙幣情報テーブル60から削除して、紙幣情報テーブル60を更新して記憶すると、制御部50は、出金情報記憶処理を終了する。
図9のステップS307に戻り、出金情報記憶処理を終了すると、制御部50は、巡回紙幣選択処理を終了する。
【0063】
また、図9のステップS305において、記番号が正常に読み取れる紙幣情報テーブル60が1枚であれば(ステップS305:No)、制御部50は、処理をステップS307にすすめ、記番号が正常に読み取れる紙幣情報テーブル60に対応する還流庫45の一番上に収納している紙幣を巡回紙幣として搬送路47に送り出す。その後、制御部50は、巡回紙幣選択処理を終了する。
【0064】
図6のステップS109に戻り、巡回紙幣選択処理を終了すると、制御部50は、巡回紙幣として送り出す紙幣があるか否かを判定する(ステップS110)。巡回紙幣がなければ(ステップS110:No)、制御部50は、処理をステップS108に進め、搬送路47に残留する紙幣の確認が行えないため、紙幣が残留しているとして異常終了処理を行う。
【0065】
一方、巡回紙幣があれば(ステップS110:Yes)、制御部50は、搬送路47を適切に制御して巡回紙幣を巡回させる(ステップS111)。
具体的には、制御部50は、巡回紙幣が少なくとも搬送路47を一巡するように、搬送路47の駆動モータ等を適切に制御する。この際、制御部50は、搬送路47の搬送方向を逆転させるなどして全ての搬送路47を巡回紙幣が通過するようにする。
【0066】
そして、制御部50は、搬送路センサ48が検知する巡回紙幣の通過状況などから、搬送路47に残留した残留紙幣と巡回紙幣とが衝突して巡回紙幣の搬送障害が発生したか否かを判定する(ステップS112)。
【0067】
巡回紙幣の搬送障害が発生しなければ(ステップS112:No)、制御部50は、搬送路47に残留紙幣がなく、紙幣入出金機構部4が復旧したと判定する(ステップS113)。
【0068】
紙幣入出金機構部4が復旧すると、制御部50は、巡回紙幣情報に基づいて対応する金種の還流庫45に巡回紙幣を収納するとともに、図7に示す入金情報記憶処理を開始して紙幣情報テーブル60の最上位に巡回紙幣情報を登録して記憶部49に記憶する。その後、制御部50は、搬送処理を終了したのち、搬送処理が終了したことを示す信号を本体制御部9に出力する。
【0069】
一方、巡回紙幣による搬送障害が発生すれば(ステップS112:Yes)、制御部50は、図12に示すように、巡回紙幣情報を搬送障害情報として表示した障害情報画面70を、本体制御部9を介して操作・表示部6に出力する(ステップS114)。
【0070】
この障害情報画面70には、「係員を呼んで下さい。通路チェック処理にて異常が発生しました。No.××の位置にある紙幣を抜き取って下さい。下記の媒体は、通路チェック用のパトロール券なので、顧客には返さないで下さい。」というメッセージと、巡回紙幣の金種、記番号、及び搬送路センサ48が検知した障害の発生位置を示す障害位置情報と、OKボタン71とを表示している。
【0071】
係員は、障害情報画面70に表示された障害位置情報に基づいて、紙幣入出金機構部4の搬送路47を確認し、残留紙幣と巡回紙幣とを除去する。この際、障害情報画面70に表示された巡回紙幣の金種、及び記番号に基づいて、残留紙幣と巡回紙幣を区別し、残留紙幣を利用者に返却する。
その後、係員がOKボタン71を押下すると、制御部50は、搬送処理を終了したのち、搬送処理が終了したことを示す信号を本体制御部9に出力する。
【0072】
以上のような動作を実現する紙幣入出金機構部4、紙幣処理方法、及び紙幣処理プログラムは、搬送路47の紙幣から利用者により投入された紙幣を容易に区別できるとともに、違算が生じることを防止することができる。
【0073】
具体的には、巡回紙幣選択処理により、紙幣入出金機構部4の搬送路47を少なくとも一巡させて、搬送路47における残留紙幣の有無を確認するための媒体として、還流庫45に収容している紙幣を使用することができる。これにより、搬送路47の残留紙幣の有無を確認するための媒体を別途用意する、あるいは係員により投入する手間を省くことができる。
【0074】
そして、搬送路47において残留紙幣と巡回紙幣とが衝突することによる搬送障害を検知すると、巡回紙幣情報を障害情報として操作・表示部6に出力することにより、万一、巡回紙幣と残留紙幣とが搬送路47で衝突しても、係員は、紙幣の記番号からどの紙幣が巡回紙幣であるか容易に区別することができる。
【0075】
このため、巡回紙幣を利用者に返却するおそれを防止するとともに、違算が生じることを防止できる。さらに、係員による巡回紙幣と残留紙幣の除去を迅速に行うことができる。
【0076】
加えて、紙幣の記番号から巡回紙幣が明確であるため、利用者と係員との間で残留紙幣の返却に関するトラブルが生じるおそれがなく、迅速な復旧作業とともに利用者に対するサービス向上を図ることができる。
従って、紙幣入出金機構部4は、搬送路47の紙幣から利用者により投入された紙幣を容易に区別できるとともに、違算が生じることを防止することができる。
【0077】
また、巡回紙幣選択処理において、紙幣情報テーブル60における順序欄の1番目に登録している紙幣情報の記番号が正常に読取れるか否かを判定し、記番号が正常に読取れれば、該当する還流庫45を選択することにより、記憶部49に記憶した紙幣情報テーブル60に記番号が登録されていない紙幣を巡回紙幣として使用することを防止することができる。
【0078】
具体的には、投入された紙幣は、汚れなどにより、紙幣判別部42で記番号を読取れないことがある。このため、紙幣の記番号が記憶部49の紙幣情報テーブル60に正常に登録されていないおそれがある。このような紙幣を巡回紙幣として使用すると、巡回紙幣情報を操作・表示部6に正常に出力できないため、係員は、巡回紙幣と残留紙幣とを区別することができない。
【0079】
そこで、記憶部49の紙幣情報テーブル60に記番号が正常に登録している紙幣を必ず巡回紙幣として使用することにより、確実に巡回紙幣情報を操作・表示部6に出力することができる。これにより、巡回紙幣と残留紙幣とが搬送路47で衝突しても、係員は、より確実にどの紙幣が巡回紙幣であるか区別することができる。
【0080】
従って、紙幣入出金機構部4は、より確実に搬送路47の紙幣から利用者により投入された紙幣を容易に区別できるとともに、違算が生じることを防止することができる。
【0081】
また、巡回紙幣による搬送障害が発生した際、搬送路センサ47で巡回紙幣の障害位置を検知することにより、係員は、操作・表示部6に表示された金種、記番号、及び障害位置に基づいて、搬送障害の発生位置を特定して、残留紙幣と巡回紙幣とを迅速に除去することができる。そして、利用者が投入した紙幣を容易に区別して、確実に復旧作業を行うことができる。
【0082】
従って、紙幣入出金機構部4は、搬送路47の紙幣を迅速に除去可能して、除去した紙幣から利用者により投入された紙幣を容易に区別できるとともに、違算が生じることを防止することができる。
【実施例2】
【0083】
別の実施例として、上述した自動取引装置10の紙幣入出金機構部4における巡回紙幣選択処理が異なる例を、図13を用いて詳しく説明する。
なお、図13は実施例2における巡回紙幣選択処理の動作のフローチャートを示している。
【0084】
また、自動取引装置10、紙幣情報テーブル60、及び障害情報画面70は、上述した実施例1と同一の構成とし、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。さらに、搬送処理、入金情報記憶処理、及び出金情報記憶処理は、上述した実施例1と同一の動作とし、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0085】
実施例2における巡回紙幣選択処理は、実施例1における巡回紙幣選択処理に対して、利用者が投入した紙幣と異なる金種の紙幣を巡回紙幣として使用することが追加されている点が異なる。
【0086】
具体的には、巡回紙幣選択処理を開始すると、図13に示すように、制御部50は、全ての還流庫45に対応する紙幣情報テーブル60を記憶部49から読み込む(ステップS501)。そして、各紙幣情報テーブル60の最上位に、つまり順序欄の1番目に登録している紙幣の記番号欄を読み取る(ステップS502)。
【0087】
その後、制御部50は、順序欄の1番目に登録している記番号が正常に読み取れたか否かを紙幣情報テーブル60ごとに判定する(ステップS503)。全ての紙幣情報テーブル60において、順序欄の1番目に登録している記番号が正常に読み取れなければ(ステップS503:No)、制御部50は、巡回紙幣として使用できる紙幣ないと判定し(ステップS504)、巡回紙幣選択処理を終了する。
【0088】
一方、順序欄の1番目に登録している記番号が正常に読み取れる紙幣情報テーブル60が少なくとも1つあれば(ステップS503:Yes)、制御部50は、記番号が正常に読み取れる紙幣情報テーブル60が複数であるか否かを判定する(ステップS505)。
【0089】
記番号が正常に読み取れる紙幣情報テーブル60が複数あれば(ステップS505:Yes)、複数の紙幣情報テーブル60のうち、利用者が投入した紙幣と異なる金種を収容した還流庫45に対応する紙幣情報テーブル60があるかを判定する(ステップS506)。
【0090】
利用者が投入した紙幣と異なる金種を収容した還流庫45に対応する紙幣情報テーブル60がなければ(ステップS506:No)、制御部50は、制御部50は、記番号が正常に読み取れる紙幣情報テーブル60に対応する還流庫45のうち、搬送路47の末端に近い還流庫45を選択する(ステップS507)。
【0091】
そして、制御部50の指示により、選択された還流庫45は、収容している紙幣のうち最も上位、つまり一番上にある紙幣を巡回紙幣として搬送路47に送り出す(ステップS508)。
【0092】
この際、制御部50は、巡回紙幣として搬送路47に送り出した紙幣の紙幣情報を巡回紙幣情報として一時記憶するとともに、図10に示す出金情報記憶処理を開始する。出金情報記憶処理を終了すると、制御部50は、巡回紙幣選択処理を終了する。
【0093】
一方、利用者が投入した紙幣と異なる金種を収容した還流庫45に対応する紙幣情報テーブル60があれば(ステップS506:Yes)、制御部50は、紙幣情報テーブル60に対応する還流庫45を選択する(ステップS509)。
【0094】
また、ステップS505において、記番号が正常に読み取れる紙幣情報テーブル60が1枚であれば(ステップS505:No)、制御部50は、処理をステップS508にすすめ、記番号が正常に読み取れる紙幣情報テーブル60に対応する還流庫45の一番上に収納している紙幣を巡回紙幣として搬送路47に送り出す。その後、制御部50は、巡回紙幣選択処理を終了する。
【0095】
以上のような動作を実現する紙幣入出金機構部4、紙幣処理方法、及び紙幣処理プログラムは、搬送路47の紙幣から利用者により投入された紙幣を容易に区別できるとともに、違算が生じることを防止することができる。
【0096】
具体的には、巡回紙幣選択処理において、利用者が投入した紙幣を紙幣判別部41で読取った金種情報と異なる金種情報に対応する還流庫45を選択することにより、利用者が投入した紙幣の金種と同一金種の紙幣を巡回紙幣に使用することを防止できる。
【0097】
そして、搬送路47で残留紙幣と巡回紙幣とが衝突して搬送障害が生じても、係員は、操作・表示部6に表示された金種、記番号、及び障害位置に基づいて、巡回紙幣と残留紙幣とを区別することができる。
【0098】
さらに、利用者が投入した紙幣と異なる金種の紙幣を巡回紙幣として使用することにより、係員が誤って巡回紙幣を利用者に返却するおそれをより確実に防止することができる。これにより、巡回紙幣による搬送障害によって違算が生じることをより確実に防止することができる。
【0099】
従って、紙幣入出金機構部4は、利用者が投入した紙幣と異なる金種の紙幣を巡回紙幣とすることで、より確実に搬送路47の紙幣から利用者により投入された紙幣を容易に区別できるとともに、違算が生じることを防止することができる。
【0100】
なお、上述の実施例1、及び実施例2において、復旧初期化処理後における搬送路47の残留紙幣の有無を確認するために巡回紙幣を巡回させたが、これに限定せず、自動取引装置10の電源投入後などにおける搬送路47のチェックのために巡回紙幣を巡回させてもよい。
【0101】
また、紙幣の記番号を紙幣の固有情報としたが、これに限定せず、紙幣毎に異なる情報を固有情報としてもよい。
また、自動取引装置10における入金取引を実施例として説明したが、出金取引においても同様に適用することができる。
また、投入された紙幣を還流庫45に収納する場合について説明したが、一時保留庫43、入金専用庫44、及び保管庫46に搬送する場合に適用してもよい。
【0102】
また、障害情報画面70を操作・表示部6に表示したが、これに限定せず、別途メンテナンス用モニタを設けて表示するようにしてもよい。あるいは、通信回線部8を介して外部に設けたモニタに表示するようにしてもよい。
【0103】
また、巡回紙幣情報を搬送障害情報として操作・表示部6に出力したが、これに限定せず、音声案内やエラー音を音声案内出力部7に出力してもよい。あるいは、操作・表示部6、及び音声案内出力部7の両方に出力してもよい。
【0104】
また、紙幣入出金機構部4の各部を制御部50で制御したが、これに限定せず、本体制御部9で制御する構成としてもよい。この際、制御部50は不要としてもよい。
【0105】
また、搬送路47における搬送障害、及び紙幣の位置を搬送路センサ47で検知する構成としたが、これに限定せず、搬送障害を検知するセンサと紙幣の位置を検知するセンサとを別々に設けても良い。
【0106】
また、入金情報記憶処理、及び出金情報記憶処理における紙幣情報テーブル60への登録・削除は、この方法に限定するものではなく、紙幣情報テーブル60の順序欄の1番目を示すアドレスを変更するなどしてもよい。あるいは紙幣情報テーブル60の順序欄の最下位が、還流庫45に収容した紙幣の最上位であってもよい。この際、入金情報記憶処理、及び出金情報記憶処理における紙幣情報テーブル60の登録・削除の順序を適切に変更すればよい。
【0107】
また、巡回紙幣を1枚としたが、これに限定せず、2枚以上であってもよい。これにより、紙幣を効率よく巡回させることができる。この際、複数の巡回紙幣による搬送障害が発生した場合、図14の複数の搬送障害情報を表示した障害情報画面70のように、巡回紙幣の金種、記番号、及び搬送路センサ48が検知した障害の発生位置を示す障害位置情報を複数表示するようにする。
【0108】
また、紙幣処理装置として自動取引装置10に組み込まれた紙幣入出金機構部4を用いて説明したが、これに限定せず、紙幣を識別、搬送、及び収納する装置に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0109】
この発明は、利用者が投入した紙幣を搬送するとともに、紙幣の金種や真偽を識別して金種毎に収容するような自動取引装置、自動販売機、券売機など様々な装置に組み込んで適用することができる。
【符号の説明】
【0110】
4…紙幣入出金機構部
6…操作・表示部
42…紙幣判別部
45…還流庫
47…搬送路
48…搬送路センサ
49…記憶部
50…制御部
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば利用者が投入した紙幣を搬送するとともに、紙幣の金種や真偽を識別して金種毎に収容するような紙幣処理装置、紙幣処理方法、及び紙幣処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ATMや両替機のように、利用者が投入した紙幣を搬送路で内部に搬送し、紙幣の金種や真偽を識別して金種毎に収容するとともに、利用者との取引内容に応じて収容している紙幣を搬送路に送り出して利用者に対して排出する紙幣処理装置がある。
【0003】
このような紙幣処理装置において、投入された紙幣は、その殆どが使用済み紙幣であり、破れや折れ等などの損傷が生じている。このため、紙幣処理装置は、ときに紙幣の損傷部分が搬送路の途中で引っ掛かるなどして紙幣詰まりが生じることがある。
【0004】
このような場合、係員が詰まった紙幣を除去したのち紙幣処理装置を復旧させる必要があるが、複雑な搬送路から紙幣を探し出す時間がかかるとともに、係員が紙幣を見落とすことがある。また、紙幣詰まりを検出するセンサ等を設けたとしても、センサの間に残留した紙幣を検知することができない。このため、紙幣処理装置を復旧して次の取引を開始すると、再び紙幣詰まりが生じる、あるいは違算が生じるなどの問題があった。
【0005】
そこで、復旧動作の際、搬送路上の紙幣詰まりをチェックする技術が提案されている。
例えば、特許文献1の還流式紙幣取扱装置(本願における紙幣処理装置に相当)では、紙幣を収容している紙幣収容ボックスからチェック用紙幣を一枚送り出して搬送路を一巡させて、搬送路上に残留している残留紙幣の有無を確認する復旧動作を行うとされている。
【0006】
しかしながら、特許文献1の還流式紙幣取扱装置では、復旧動作の際、チェック用紙幣と搬送路に残留する残留紙幣とが衝突すると、係員にはどちらの紙幣が、利用者が投入した紙幣か区別できないため、誤った紙幣を利用者に渡すなどして違算が生じる、あるいは利用者とのトラブルの原因となるおそれがあるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭61−133492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、上述の問題に鑑み、搬送路の紙幣から利用者により投入された紙幣を容易に区別できるとともに、違算が生じることを防止することができる紙幣処理装置、紙幣処理方法、及び紙幣処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、少なくとも1枚の紙幣を搬送する搬送路と、前記紙幣の金種を示す金種情報、及び紙幣固有の情報を示す固有情報を読取る情報読取部と、前記金種情報に基づいて金種別に前記紙幣を収容するとともに、前記搬送路に前記紙幣を送り出す金種別収容部と、前記金種情報、前記固有情報、及び前記紙幣を収容した順序を関連付けて記憶する記憶部と、前記搬送路上における前記紙幣の搬送障害を検知する少なくとも1つの障害検知部と、前記搬送障害が生じたことを示す障害情報を出力する出力部と、前記各部を制御する制御部とを備え、該制御部に、前記金種別収容部の最上位に収容した前記紙幣を、前記搬送路を巡回させる巡回紙幣として選択するとともに、前記巡回紙幣に対応する前記固有情報を前記記憶部から読み出し巡回紙幣情報として記憶する巡回紙幣選択処理と、前記巡回紙幣を前記金種別収容部から前記搬送路に送り出して少なくとも一巡させる巡回処理と、前記巡回紙幣による搬送障害を検知すると、前記巡回紙幣情報を前記障害情報として前記出力部に出力する障害情報出力処理とを備えた紙幣処理装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明により、搬送路の紙幣から利用者により投入された紙幣を容易に区別できるとともに、違算が生じることを防止できる紙幣処理装置、紙幣処理方法、及び紙幣処理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】自動取引装置の外観を示す外観斜視図。
【図2】自動取引装置の内部構成を示すブロック図。
【図3】紙幣入出金機構部の内部構成を示す構成図。
【図4】紙幣入出金機構部の内部構成を示すブロック図。
【図5】紙幣情報テーブルについて説明する説明図。
【図6】搬送処理の動作を示すフローチャート。
【図7】入金情報記憶処理の動作を示すフローチャート。
【図8】入金情報記憶処理における紙幣情報テーブルを説明する説明図。
【図9】巡回紙幣選択処理の動作を示すフローチャート。
【図10】出金情報記憶処理の動作を示すフローチャート。
【図11】出金情報記憶処理における紙幣情報テーブルを説明する説明図。
【図12】搬送障害情報を表示した画面を示す障害情報画面。
【図13】実施例2における巡回紙幣選択処理の動作を示すフローチャート。
【図14】複数の搬送障害情報を表示した画面を示す障害情報画面。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は自動取引装置10の外観斜視図を示し、図2は自動取引装置10の内部構成のブロック図を示している。
【0014】
自動取引装置10は、図1に示すように、銀行などに設置されて利用者の操作によって現金の入出金等の取引を行うことができる装置であって、カード・明細票機構部2、通帳機構部3、紙幣入出金機構部4(紙幣処理装置)、硬貨入出金機構部5、操作・表示部6(出力部)、及び本体制御部9を筐体1に納めて構成している。
【0015】
具体的には、自動取引装置10は、図2に示すように、カード・明細票機構部2、通帳機構部3、紙幣入出金機構部4、硬貨入出金機構部5、操作・表示部6、音声案内出力部7、及び通信回線部8が、所定のバスを介して本体制御部9に接続している。
【0016】
カード・明細票機構部2は、キャッシュカードの挿入・排出機能とキャッシュカード情報の読取り書込み機能を有するカード機構部、及び取引の内容を明細票に印字し排出する機能を有する明細票機構部を一体で構成している。
【0017】
通帳機構部3は、利用者の通帳の挿入・排出する機能、通帳の情報を読取る機能、及び通帳に取引内容を印字する印字機能を有している。
紙幣入出金機構部4は、紙幣(紙幣)の入出金機能、識別機能、及び収納機能などを有している。なお、紙幣入出金機構部4については後ほど詳しく説明する。
【0018】
硬貨入出金機構部5は、硬貨の入出金機能、識別機能、及び収納機能などを有している。
操作・表示部6は、取引種別の選択や取引金額の入力などの利用者の入力操作を受付ける機能と、取引操作案内を表示する機能とを兼ね備えたタッチパネルで構成している。
【0019】
音声案内出力部7は、取引にかかる操作やエラー等を音声で案内する機能を有している。
通信回線部8は、自動取引装置10を通信回線に接続する機能と、通信回線を介して接続したホストコンピューター等と各種情報の受送信を行う機能を有している。
【0020】
本体制御部9は、CPU、及びメモリ等のハード構成と、プログラム、及びデータ等のソフト構成とで構成され、利用者が自動取引装置10を操作して取引を行う取引操作等の各種処理機能や、所定のバスを介して接続された各部の動作を制御する制御機能を有している。
【0021】
このような自動取引装置10において、紙幣詰まりが生じても利用者により投入された紙幣を容易に区別することができる紙幣入出金機構部4について、図3から図5を用いて説明する。
【0022】
なお、図3は紙幣入出金機構部4の内部構成の構成図を示し、図4は紙幣入出金機構部4の内部構成のブロック図を示し、図5は紙幣情報テーブル60について説明する説明図を示している。
【0023】
紙幣入出金機構部4は、図3、及び図4に示すように、紙幣入出金口41、紙幣判別部42(情報読取部)、一時保留部43、入金専用庫44、還流庫45(金種別収容部)、保管庫46、搬送路47(搬送路)、搬送路センサ48(障害検知部、位置検知部)、記憶部49(記憶部)、及び各部と所定のバスを介して接続した制御部50(制御部)で構成している。
【0024】
紙幣入出金口41は、紙幣を投入する投入口としての機能、及び利用者に対して排出した紙幣を貯留する機能を有している。
紙幣判別部42は、投入された紙幣の金種(金種情報)、及び記番号(固有情報)を読み取る機能と、紙幣の真偽、及び汚れや折れなどの損傷を判別する機能とを有している。
【0025】
一時保留部43は、利用者が投入した紙幣を取引成立まで一時保留する機能を有している。
入金専用庫44は、紙幣判別部42で損傷が酷く利用者に対して排出する紙幣として取り扱わない紙幣を収容している。
【0026】
還流庫45は、第1還流庫45a、第2還流庫45b、第3還流庫45c、及び第4還流庫45dで構成し、それぞれ紙幣判別部42で判別した金種毎に紙幣を収納している。
保管庫46は、紙幣入出金口41に排出したが、利用者が取り忘れた紙幣を回収して保管している。
【0027】
搬送路47は、複数の搬送ベルト、駆動モータ等で紙幣入出金機構部4の各部を接続するように構成し、制御部50の指示により、搬送先に応じて適切に制御して紙幣を搬送する機能を有している。
搬送路センサ48(48a〜48h)は、搬送路47に複数設置して、搬送される紙幣の通過を検知する機能を有している。
【0028】
記憶部49は、紙幣判別部42で読み取った紙幣情報などを記憶した紙幣情報テーブル60、及び紙幣入出金機構部4の各部を制御する各種プログラムを記憶している。なお、記憶部49には、紙幣情報テーブル60を還流庫45ごとに分けて記憶している。
【0029】
紙幣情報テーブル60は、図5に示すように、還流庫45に収容している順序を示す順序欄、紙幣の金額を示す金額欄、バージョン情報を示すバージョン欄、汚れの状態を示す汚れレベル欄、穴の有無を示す穴有無欄、記番号を示す記番号欄、及びその他の情報を示すその他欄で構成している。そして、紙幣情報テーブル60には、紙幣毎にこれら情報を関連付けて記憶するとともに、還流庫45の最上位が順序欄の1番目となる順序で記憶している。
【0030】
制御部50は、CPU、及びメモリ等のハード構成と、プログラム、及びデータ等のソフト構成とで構成され、投入された紙幣の識別等の各種処理機能、及び所定のバスを介して接続した紙幣入出金機構部4における各部の動作を制御する制御機能を有している。また、制御部50は、所定のバスを介して本体制御部9に接続している。
【0031】
以上のような構成の紙幣入出金機構部4を備えた自動取引装置10において、投入された紙幣を搬送して還流庫45に収納する処理動作について説明する。
なお、図6は搬送処理の動作のフローチャートを示し、図7は入金情報記憶処理の動作のフローチャートを示し、図8は入金情報記憶処理における紙幣情報テーブル60を説明する説明図を示し、図9は巡回紙幣選択処理の動作のフローチャートを示し、図10は出金情報記憶処理の動作のフローチャートを示し、図11は出金情報記憶処理における紙幣情報テーブル60を説明する説明図を示し、図12は搬送障害情報を表示した障害情報画面70を示している。
【0032】
自動取引装置10は、利用者が操作・表示部6に表示された操作案内に基づいて入金操作することで取引を開始する。そして、利用者がカード・明細票機構部2にキャッシュカードを挿入して、入金する紙幣を紙幣入出金機構部4の紙幣入出金口41に投入すると、自動取引装置10の本体制御部9の指示により、紙幣入出金機構部4の制御部50が搬送処理を開始する。
【0033】
制御部50が搬送処理を開始すると、図6に示すように、紙幣入出金口41に投入された紙幣を読取り、還流庫45に収容するとともに、紙幣情報テーブル60に投入された紙幣の情報を記憶する入金情報記憶処理を開始する(ステップS101)。
【0034】
具体的には、入金情報記憶処理を開始すると、図7に示すように、制御部50の指示により、紙幣入出金口41に投入された紙幣を搬送路47が紙幣判別部42に1枚ずつ搬送する。そして、紙幣判別部42は、搬送された紙幣の読取りを開始する(ステップS201)。この際、紙幣判別部42は、搬送された紙幣の金種、記番号、汚れや折れ具合、及び穴あきの有無などの紙幣情報を各種センサ等で1枚ずつ読み取る。
【0035】
紙幣判別部42で読み取った紙幣の金種を示す金種情報に基づいて、制御部50は、紙幣の搬送先となる還流庫45を確定する(ステップS202)。その後、搬送先である還流庫45ごとに、投入された紙幣の紙幣情報を一時記憶する(ステップS203)。
【0036】
この際、制御部50は、図8の(a)のように、一時記憶領域に生成した一時記憶紙幣情報テーブル61に読み取った紙幣の順に紙幣情報を登録して記憶する。
例えば、図8の(a)では、順序欄の1番目が紙幣判別部42で1枚目に読み取った1000円札であり、順序欄の2番目が紙幣判別部42で2枚目に読み取った1000円札である。なお、一時記憶紙幣情報テーブル61は、紙幣情報テーブル60と同一の構成である。
【0037】
紙幣情報を一時記憶した制御部50は、紙幣を搬送先である還流庫45に搬送する。その後、制御部50は、全ての紙幣の読取りが完了したか否かを判定する(ステップS204)。全ての紙幣の読取りが完了していなければ(ステップS204:No)、制御部50は、処理をステップS201に戻す。
【0038】
一方、全ての紙幣の読取りが完了していれば(ステップS204:Yes)、制御部50は、搬送路センサ48で検知した紙幣の通過状況等から紙幣の搬送が全て完了したか否かを判定する(ステップ205)。
【0039】
紙幣の搬送が全て完了していなければ(ステップS205:No)、制御部50は、紙幣入出金機構部4の搬送路47のどこかで紙幣が詰まり搬送障害が発生したと判定する(ステップS206)。その後、制御部50は、入金情報記憶処理を終了する。
【0040】
ステップS205において、紙幣の搬送が全て完了していれば(ステップS205:Yes)、制御部50は、紙幣の搬送先である還流庫45に対応する紙幣情報テーブル60を記憶部49から読み込む(ステップS207)。
【0041】
紙幣情報テーブル60を読み込むと、制御部50は、紙幣情報テーブル60に登録している紙幣情報の順番を、一時記憶紙幣情報テーブル61に登録した紙幣の枚数分だけ繰り下げる(ステップS208)。そして、一時記憶紙幣情報テーブル61に登録した下位の紙幣情報から順に、紙幣情報テーブル60の上位に順に登録して記憶部49に記憶する(ステップS209)。これは、一時記憶紙幣情報テーブル61の2番目の紙幣よりも1番目の紙幣が還流庫45において下位に収容されるためである。
【0042】
具体的には、図8の(b)に示すように、一時記憶紙幣情報テーブル61に2枚分の紙幣情報を記憶していれば、制御部50は、紙幣情報テーブル60に登録している紙幣情報の順番を紙幣2枚分繰り下げて、上位に紙幣2枚分の枠を設ける。
【0043】
そして、図8の(c)に示すように、一時記憶紙幣情報テーブル61の2番目に登録した紙幣情報を、紙幣情報テーブル60の1番目に登録し、一時記憶紙幣情報テーブル61の1番目に登録した紙幣情報を、紙幣情報テーブル60の2番目に登録して記憶部49に記憶する。
その後、制御部50は、入金情報記憶処理を終了する。
【0044】
図6のステップS101に戻り、制御部50は、搬送障害が発生したか否かを判定する(ステップS102)。搬送障害が発生していなければ(ステップS102:No)、制御部50は、紙幣が還流庫45に正常に搬送完了したと判定する(ステップS103)。そして、制御部50は、搬送処理を終了したのち、搬送処理が終了したことを示す信号を本体制御部9に出力する。
【0045】
一方、搬送障害が発生していれば(ステップS102:Yes)、制御部50が本体制御部9に対して取引の中断を要求する信号を出力し、本体制御部9の指示により、自動取引装置10は取引を中断する。(ステップS104)。そして、制御部50は、復旧初期化処理を開始する(ステップS105)。
【0046】
復旧初期化処理を開始すると、制御部50は、紙幣が搬送路センサ48を通過した状況、あるいは残留した紙幣を搬送路センサ48で検知しているか否かに基づいて、搬送路47の搬送方向を正逆するなどして残留した紙幣の除去を行う。
【0047】
そして、制御部50は、復旧初期化処理が正常に終了したか否かを判定する(ステップS106)。正常に終了していなければ(ステップS106:No)、制御部50は、復旧初期化処理が予め定めた繰り返し回数行われたか否かを判定する(ステップS107)。繰り返し回数に達していなければ(ステップS107:No)、制御部50は、処理をステップS105に戻し、復旧初期化処理を繰り返し行う。
【0048】
一方、繰り返し回数に達していれば(ステップS107:Yes)、搬送路47に紙幣が残留するなどして異常が生じていると判定して異常終了処理を行う(ステップS108)。この際、制御部50は、自動取引装置10に異常が生じて取引を中止した案内メッセージ、及び係員を呼ぶ案内メッセージを操作・表示部6に表示する。その後、制御部50は、搬送処理を終了したのち、搬送処理が終了したことを示す信号を本体制御部9に出力する。
【0049】
ステップS106において、復旧初期化処理が正常に終了すれば(ステップS106:Yes)、制御部50は、搬送路47に残留する残留紙幣の有無、及び搬送路47の動作確認等を行うため、搬送路47を巡回させる巡回紙幣を選択する巡回紙幣選択処理を行う(ステップS109)。
【0050】
具体的には、巡回紙幣選択処理を開始すると、制御部50は、図9に示すように、全ての還流庫45に対応する紙幣情報テーブル60を記憶部49から読み込む(ステップS301)。そして、各紙幣情報テーブル60の最上位、つまり順序欄の1番目に登録している紙幣の記番号を読み取る(ステップS302)。
【0051】
その後、制御部50は、順序欄の1番目に登録している記番号が正常に読み取れたか否かを紙幣情報テーブル60ごとに判定する(ステップS303)。全ての紙幣情報テーブル60において、順序欄の1番目に登録している記番号が正常に読み取れなければ(ステップS303:No)、制御部50は、巡回紙幣として使用できる紙幣ないと判定し(ステップS304)、巡回紙幣選択処理を終了する。
【0052】
一方、順序欄の1番目に登録している記番号が正常に読み取れる紙幣情報テーブル60が少なくとも1つあれば(ステップS303:Yes)、制御部50は、記番号が正常に読み取れる紙幣情報テーブル60が複数であるか否かを判定する(ステップS305)。
【0053】
記番号が正常に読み取れる紙幣情報テーブル60が複数あれば(ステップS305:Yes)、制御部50は、記番号が正常に読み取れる紙幣情報テーブル60に対応する還流庫45のうち、搬送路47の末端に近い還流庫45を選択する(ステップS306)。
【0054】
そして、制御部50の指示により、選択された還流庫45は、収容している紙幣のうち最も上位、つまり一番上に収容している紙幣を巡回紙幣として搬送路47に送り出す(ステップS307)。この際、制御部50は、巡回紙幣として搬送路47に送り出した紙幣の紙幣情報を巡回紙幣情報として一時記憶するとともに、巡回紙幣の紙幣情報を紙幣情報テーブル60から削除する出金情報記憶処理を開始する。
【0055】
具体的には、制御部50は、図10に示すように、選択した還流庫45に対応する出金情報記憶処理を開始すると、還流庫45から送り出した紙幣の枚数と選択した還流庫45とを関連づけて一時記憶する(ステップS401)。ここでは、巡回紙幣として1枚選択しているので、選択した還流庫45と1枚とを関連付けて記憶する。
【0056】
そして、制御部50は、還流庫45から紙幣の送り出しが完了したか否かを判定する(ステップS402)。紙幣の送り出しが完了していなければ(ステップS402:No)、処理をステップS401に戻す。
【0057】
一方、紙幣の送り出しが完了していれば(ステップS402:Yes)、制御部50は、図11の(a)に示すように、選択した還流庫45に対応する紙幣情報テーブル60を記憶部49から読み込む(ステップS403)。
【0058】
紙幣情報テーブル60を読み込むと、制御部50は、紙幣情報テーブル60の最上位、つまり順序欄の1番目から順に、送り出した紙幣の枚数分の紙幣情報を削除する(ステップS404)。
【0059】
ここでは、1枚の紙幣を巡回紙幣として送り出したため、制御部50は、図11の(b)に示すように、紙幣情報テーブル60の順序欄の1番目に登録した紙幣情報を削除する。
【0060】
そして、制御部50は、紙幣情報テーブル60に登録している紙幣情報を、送り出した紙幣の枚数分だけ繰り上げて記憶部49に記憶する(ステップS405)。
【0061】
例えば、制御部50は、図11の(b)における紙幣情報テーブル60の2番目の紙幣情報を、図11の(c)に示すように、1番目の紙幣情報として登録する。同様に、図11の(b)における紙幣情報テーブル60の2番目以降の紙幣情報も繰り上げて登録し記憶部49に記憶する。
【0062】
還流庫45から巡回紙幣として送り出した紙幣を紙幣情報テーブル60から削除して、紙幣情報テーブル60を更新して記憶すると、制御部50は、出金情報記憶処理を終了する。
図9のステップS307に戻り、出金情報記憶処理を終了すると、制御部50は、巡回紙幣選択処理を終了する。
【0063】
また、図9のステップS305において、記番号が正常に読み取れる紙幣情報テーブル60が1枚であれば(ステップS305:No)、制御部50は、処理をステップS307にすすめ、記番号が正常に読み取れる紙幣情報テーブル60に対応する還流庫45の一番上に収納している紙幣を巡回紙幣として搬送路47に送り出す。その後、制御部50は、巡回紙幣選択処理を終了する。
【0064】
図6のステップS109に戻り、巡回紙幣選択処理を終了すると、制御部50は、巡回紙幣として送り出す紙幣があるか否かを判定する(ステップS110)。巡回紙幣がなければ(ステップS110:No)、制御部50は、処理をステップS108に進め、搬送路47に残留する紙幣の確認が行えないため、紙幣が残留しているとして異常終了処理を行う。
【0065】
一方、巡回紙幣があれば(ステップS110:Yes)、制御部50は、搬送路47を適切に制御して巡回紙幣を巡回させる(ステップS111)。
具体的には、制御部50は、巡回紙幣が少なくとも搬送路47を一巡するように、搬送路47の駆動モータ等を適切に制御する。この際、制御部50は、搬送路47の搬送方向を逆転させるなどして全ての搬送路47を巡回紙幣が通過するようにする。
【0066】
そして、制御部50は、搬送路センサ48が検知する巡回紙幣の通過状況などから、搬送路47に残留した残留紙幣と巡回紙幣とが衝突して巡回紙幣の搬送障害が発生したか否かを判定する(ステップS112)。
【0067】
巡回紙幣の搬送障害が発生しなければ(ステップS112:No)、制御部50は、搬送路47に残留紙幣がなく、紙幣入出金機構部4が復旧したと判定する(ステップS113)。
【0068】
紙幣入出金機構部4が復旧すると、制御部50は、巡回紙幣情報に基づいて対応する金種の還流庫45に巡回紙幣を収納するとともに、図7に示す入金情報記憶処理を開始して紙幣情報テーブル60の最上位に巡回紙幣情報を登録して記憶部49に記憶する。その後、制御部50は、搬送処理を終了したのち、搬送処理が終了したことを示す信号を本体制御部9に出力する。
【0069】
一方、巡回紙幣による搬送障害が発生すれば(ステップS112:Yes)、制御部50は、図12に示すように、巡回紙幣情報を搬送障害情報として表示した障害情報画面70を、本体制御部9を介して操作・表示部6に出力する(ステップS114)。
【0070】
この障害情報画面70には、「係員を呼んで下さい。通路チェック処理にて異常が発生しました。No.××の位置にある紙幣を抜き取って下さい。下記の媒体は、通路チェック用のパトロール券なので、顧客には返さないで下さい。」というメッセージと、巡回紙幣の金種、記番号、及び搬送路センサ48が検知した障害の発生位置を示す障害位置情報と、OKボタン71とを表示している。
【0071】
係員は、障害情報画面70に表示された障害位置情報に基づいて、紙幣入出金機構部4の搬送路47を確認し、残留紙幣と巡回紙幣とを除去する。この際、障害情報画面70に表示された巡回紙幣の金種、及び記番号に基づいて、残留紙幣と巡回紙幣を区別し、残留紙幣を利用者に返却する。
その後、係員がOKボタン71を押下すると、制御部50は、搬送処理を終了したのち、搬送処理が終了したことを示す信号を本体制御部9に出力する。
【0072】
以上のような動作を実現する紙幣入出金機構部4、紙幣処理方法、及び紙幣処理プログラムは、搬送路47の紙幣から利用者により投入された紙幣を容易に区別できるとともに、違算が生じることを防止することができる。
【0073】
具体的には、巡回紙幣選択処理により、紙幣入出金機構部4の搬送路47を少なくとも一巡させて、搬送路47における残留紙幣の有無を確認するための媒体として、還流庫45に収容している紙幣を使用することができる。これにより、搬送路47の残留紙幣の有無を確認するための媒体を別途用意する、あるいは係員により投入する手間を省くことができる。
【0074】
そして、搬送路47において残留紙幣と巡回紙幣とが衝突することによる搬送障害を検知すると、巡回紙幣情報を障害情報として操作・表示部6に出力することにより、万一、巡回紙幣と残留紙幣とが搬送路47で衝突しても、係員は、紙幣の記番号からどの紙幣が巡回紙幣であるか容易に区別することができる。
【0075】
このため、巡回紙幣を利用者に返却するおそれを防止するとともに、違算が生じることを防止できる。さらに、係員による巡回紙幣と残留紙幣の除去を迅速に行うことができる。
【0076】
加えて、紙幣の記番号から巡回紙幣が明確であるため、利用者と係員との間で残留紙幣の返却に関するトラブルが生じるおそれがなく、迅速な復旧作業とともに利用者に対するサービス向上を図ることができる。
従って、紙幣入出金機構部4は、搬送路47の紙幣から利用者により投入された紙幣を容易に区別できるとともに、違算が生じることを防止することができる。
【0077】
また、巡回紙幣選択処理において、紙幣情報テーブル60における順序欄の1番目に登録している紙幣情報の記番号が正常に読取れるか否かを判定し、記番号が正常に読取れれば、該当する還流庫45を選択することにより、記憶部49に記憶した紙幣情報テーブル60に記番号が登録されていない紙幣を巡回紙幣として使用することを防止することができる。
【0078】
具体的には、投入された紙幣は、汚れなどにより、紙幣判別部42で記番号を読取れないことがある。このため、紙幣の記番号が記憶部49の紙幣情報テーブル60に正常に登録されていないおそれがある。このような紙幣を巡回紙幣として使用すると、巡回紙幣情報を操作・表示部6に正常に出力できないため、係員は、巡回紙幣と残留紙幣とを区別することができない。
【0079】
そこで、記憶部49の紙幣情報テーブル60に記番号が正常に登録している紙幣を必ず巡回紙幣として使用することにより、確実に巡回紙幣情報を操作・表示部6に出力することができる。これにより、巡回紙幣と残留紙幣とが搬送路47で衝突しても、係員は、より確実にどの紙幣が巡回紙幣であるか区別することができる。
【0080】
従って、紙幣入出金機構部4は、より確実に搬送路47の紙幣から利用者により投入された紙幣を容易に区別できるとともに、違算が生じることを防止することができる。
【0081】
また、巡回紙幣による搬送障害が発生した際、搬送路センサ47で巡回紙幣の障害位置を検知することにより、係員は、操作・表示部6に表示された金種、記番号、及び障害位置に基づいて、搬送障害の発生位置を特定して、残留紙幣と巡回紙幣とを迅速に除去することができる。そして、利用者が投入した紙幣を容易に区別して、確実に復旧作業を行うことができる。
【0082】
従って、紙幣入出金機構部4は、搬送路47の紙幣を迅速に除去可能して、除去した紙幣から利用者により投入された紙幣を容易に区別できるとともに、違算が生じることを防止することができる。
【実施例2】
【0083】
別の実施例として、上述した自動取引装置10の紙幣入出金機構部4における巡回紙幣選択処理が異なる例を、図13を用いて詳しく説明する。
なお、図13は実施例2における巡回紙幣選択処理の動作のフローチャートを示している。
【0084】
また、自動取引装置10、紙幣情報テーブル60、及び障害情報画面70は、上述した実施例1と同一の構成とし、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。さらに、搬送処理、入金情報記憶処理、及び出金情報記憶処理は、上述した実施例1と同一の動作とし、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0085】
実施例2における巡回紙幣選択処理は、実施例1における巡回紙幣選択処理に対して、利用者が投入した紙幣と異なる金種の紙幣を巡回紙幣として使用することが追加されている点が異なる。
【0086】
具体的には、巡回紙幣選択処理を開始すると、図13に示すように、制御部50は、全ての還流庫45に対応する紙幣情報テーブル60を記憶部49から読み込む(ステップS501)。そして、各紙幣情報テーブル60の最上位に、つまり順序欄の1番目に登録している紙幣の記番号欄を読み取る(ステップS502)。
【0087】
その後、制御部50は、順序欄の1番目に登録している記番号が正常に読み取れたか否かを紙幣情報テーブル60ごとに判定する(ステップS503)。全ての紙幣情報テーブル60において、順序欄の1番目に登録している記番号が正常に読み取れなければ(ステップS503:No)、制御部50は、巡回紙幣として使用できる紙幣ないと判定し(ステップS504)、巡回紙幣選択処理を終了する。
【0088】
一方、順序欄の1番目に登録している記番号が正常に読み取れる紙幣情報テーブル60が少なくとも1つあれば(ステップS503:Yes)、制御部50は、記番号が正常に読み取れる紙幣情報テーブル60が複数であるか否かを判定する(ステップS505)。
【0089】
記番号が正常に読み取れる紙幣情報テーブル60が複数あれば(ステップS505:Yes)、複数の紙幣情報テーブル60のうち、利用者が投入した紙幣と異なる金種を収容した還流庫45に対応する紙幣情報テーブル60があるかを判定する(ステップS506)。
【0090】
利用者が投入した紙幣と異なる金種を収容した還流庫45に対応する紙幣情報テーブル60がなければ(ステップS506:No)、制御部50は、制御部50は、記番号が正常に読み取れる紙幣情報テーブル60に対応する還流庫45のうち、搬送路47の末端に近い還流庫45を選択する(ステップS507)。
【0091】
そして、制御部50の指示により、選択された還流庫45は、収容している紙幣のうち最も上位、つまり一番上にある紙幣を巡回紙幣として搬送路47に送り出す(ステップS508)。
【0092】
この際、制御部50は、巡回紙幣として搬送路47に送り出した紙幣の紙幣情報を巡回紙幣情報として一時記憶するとともに、図10に示す出金情報記憶処理を開始する。出金情報記憶処理を終了すると、制御部50は、巡回紙幣選択処理を終了する。
【0093】
一方、利用者が投入した紙幣と異なる金種を収容した還流庫45に対応する紙幣情報テーブル60があれば(ステップS506:Yes)、制御部50は、紙幣情報テーブル60に対応する還流庫45を選択する(ステップS509)。
【0094】
また、ステップS505において、記番号が正常に読み取れる紙幣情報テーブル60が1枚であれば(ステップS505:No)、制御部50は、処理をステップS508にすすめ、記番号が正常に読み取れる紙幣情報テーブル60に対応する還流庫45の一番上に収納している紙幣を巡回紙幣として搬送路47に送り出す。その後、制御部50は、巡回紙幣選択処理を終了する。
【0095】
以上のような動作を実現する紙幣入出金機構部4、紙幣処理方法、及び紙幣処理プログラムは、搬送路47の紙幣から利用者により投入された紙幣を容易に区別できるとともに、違算が生じることを防止することができる。
【0096】
具体的には、巡回紙幣選択処理において、利用者が投入した紙幣を紙幣判別部41で読取った金種情報と異なる金種情報に対応する還流庫45を選択することにより、利用者が投入した紙幣の金種と同一金種の紙幣を巡回紙幣に使用することを防止できる。
【0097】
そして、搬送路47で残留紙幣と巡回紙幣とが衝突して搬送障害が生じても、係員は、操作・表示部6に表示された金種、記番号、及び障害位置に基づいて、巡回紙幣と残留紙幣とを区別することができる。
【0098】
さらに、利用者が投入した紙幣と異なる金種の紙幣を巡回紙幣として使用することにより、係員が誤って巡回紙幣を利用者に返却するおそれをより確実に防止することができる。これにより、巡回紙幣による搬送障害によって違算が生じることをより確実に防止することができる。
【0099】
従って、紙幣入出金機構部4は、利用者が投入した紙幣と異なる金種の紙幣を巡回紙幣とすることで、より確実に搬送路47の紙幣から利用者により投入された紙幣を容易に区別できるとともに、違算が生じることを防止することができる。
【0100】
なお、上述の実施例1、及び実施例2において、復旧初期化処理後における搬送路47の残留紙幣の有無を確認するために巡回紙幣を巡回させたが、これに限定せず、自動取引装置10の電源投入後などにおける搬送路47のチェックのために巡回紙幣を巡回させてもよい。
【0101】
また、紙幣の記番号を紙幣の固有情報としたが、これに限定せず、紙幣毎に異なる情報を固有情報としてもよい。
また、自動取引装置10における入金取引を実施例として説明したが、出金取引においても同様に適用することができる。
また、投入された紙幣を還流庫45に収納する場合について説明したが、一時保留庫43、入金専用庫44、及び保管庫46に搬送する場合に適用してもよい。
【0102】
また、障害情報画面70を操作・表示部6に表示したが、これに限定せず、別途メンテナンス用モニタを設けて表示するようにしてもよい。あるいは、通信回線部8を介して外部に設けたモニタに表示するようにしてもよい。
【0103】
また、巡回紙幣情報を搬送障害情報として操作・表示部6に出力したが、これに限定せず、音声案内やエラー音を音声案内出力部7に出力してもよい。あるいは、操作・表示部6、及び音声案内出力部7の両方に出力してもよい。
【0104】
また、紙幣入出金機構部4の各部を制御部50で制御したが、これに限定せず、本体制御部9で制御する構成としてもよい。この際、制御部50は不要としてもよい。
【0105】
また、搬送路47における搬送障害、及び紙幣の位置を搬送路センサ47で検知する構成としたが、これに限定せず、搬送障害を検知するセンサと紙幣の位置を検知するセンサとを別々に設けても良い。
【0106】
また、入金情報記憶処理、及び出金情報記憶処理における紙幣情報テーブル60への登録・削除は、この方法に限定するものではなく、紙幣情報テーブル60の順序欄の1番目を示すアドレスを変更するなどしてもよい。あるいは紙幣情報テーブル60の順序欄の最下位が、還流庫45に収容した紙幣の最上位であってもよい。この際、入金情報記憶処理、及び出金情報記憶処理における紙幣情報テーブル60の登録・削除の順序を適切に変更すればよい。
【0107】
また、巡回紙幣を1枚としたが、これに限定せず、2枚以上であってもよい。これにより、紙幣を効率よく巡回させることができる。この際、複数の巡回紙幣による搬送障害が発生した場合、図14の複数の搬送障害情報を表示した障害情報画面70のように、巡回紙幣の金種、記番号、及び搬送路センサ48が検知した障害の発生位置を示す障害位置情報を複数表示するようにする。
【0108】
また、紙幣処理装置として自動取引装置10に組み込まれた紙幣入出金機構部4を用いて説明したが、これに限定せず、紙幣を識別、搬送、及び収納する装置に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0109】
この発明は、利用者が投入した紙幣を搬送するとともに、紙幣の金種や真偽を識別して金種毎に収容するような自動取引装置、自動販売機、券売機など様々な装置に組み込んで適用することができる。
【符号の説明】
【0110】
4…紙幣入出金機構部
6…操作・表示部
42…紙幣判別部
45…還流庫
47…搬送路
48…搬送路センサ
49…記憶部
50…制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1枚の紙幣を搬送する搬送路と、
前記紙幣の金種を示す金種情報、及び紙幣固有の情報を示す固有情報を読取る情報読取部と、
前記金種情報に基づいて金種別に前記紙幣を収容するとともに、前記搬送路に前記紙幣を送り出す金種別収容部と、
前記金種情報、前記固有情報、及び前記紙幣を収容した順序を関連付けて記憶する記憶部と、
前記搬送路上における前記紙幣の搬送障害を検知する少なくとも1つの障害検知部と、
前記搬送障害が生じたことを示す障害情報を出力する出力部と、
前記各部を制御する制御部とを備え、
該制御部に、
前記金種別収容部の最上位に収容した前記紙幣を、前記搬送路を巡回させる巡回紙幣として選択するとともに、前記巡回紙幣に対応する前記固有情報を前記記憶部から読み出し巡回紙幣情報として記憶する巡回紙幣選択処理と、
前記巡回紙幣を前記金種別収容部から前記搬送路に送り出して少なくとも一巡させる巡回処理と、
前記巡回紙幣による搬送障害を検知すると、前記巡回紙幣情報を前記障害情報として前記出力部に出力する障害情報出力処理とを備えた
紙幣処理装置。
【請求項2】
前記巡回紙幣選択処理を、
前記金種別収容部の最上位に収容した前記紙幣に対応する前記固有情報が前記記憶部に正常に記憶されているか否かを判定し、前記固有情報が正常に記憶されていれば、該当する前記金種別収容部を選択して最上位に収容した前記紙幣を前記巡回紙幣とする構成とした
請求項1に記載の紙幣処理装置。
【請求項3】
前記巡回紙幣選択処理を、
前記情報読取部で読取った利用者により投入された紙幣と異なる金種情報に対応する前記金種別収容部を選択するとともに、前記巡回紙幣として選択した前記紙幣の前記金種情報、及び前記固有情報とを関連付けて巡回紙幣情報として記憶する構成とした
請求項1または2に記載の紙幣処理装置。
【請求項4】
前記搬送路上における前記紙幣の位置を検知する位置検知部を備え、
前記制御部の障害情報出力処理を、
前記巡回紙幣情報とともに、位置検知部で検知した前記巡回紙幣の位置情報を出力する構成とした
請求項1から3のいずれか1つに記載の紙幣処理装置。
【請求項5】
搬送路で少なくとも1枚の紙幣を搬送して、
情報読取部で前記紙幣の金種を示す金種情報、及び紙幣固有の情報を示す固有情報を読取り、
金種別収容部により、前記金種情報に基づいて金種別に前記紙幣を収容するとともに、前記搬送路に前記紙幣を送り出して、
記憶部により、前記金種情報、前記固有情報、及び前記紙幣を収容した順序を関連付けて記憶し、
障害検知部で前記搬送路上における前記紙幣の搬送障害を検知すると、
出力部で前記搬送障害が生じたことを示す障害情報を出力し、
制御部により、前記各部を制御するとともに、
前記制御部の巡回紙幣選択処理により、
前記金種別収容部の最上位に収容した前記紙幣を、前記搬送路を巡回させる巡回紙幣として選択するとともに、前記巡回紙幣に対応する前記固有情報を前記記憶部から読み出し巡回紙幣情報として記憶し、
巡回処理により、前記巡回紙幣を前記金種別収容部から前記搬送路に送り出して少なくとも一巡させ、
障害情報出力処理により、前記巡回紙幣による搬送障害を検知すると、前記巡回紙幣情報を前記障害情報として前記出力部に出力する
紙幣処理方法。
【請求項6】
少なくとも1枚の紙幣を搬送する搬送路と、前記紙幣の金種を示す金種情報、及び紙幣固有の情報を示す固有情報を読取る情報読取部と、前記金種情報に基づいて金種別に前記紙幣を収容するとともに、前記搬送路に前記紙幣を送り出す金種別収容部と、前記金種情報、前記固有情報、及び前記紙幣を収容した順序を関連付けて記憶する記憶部と、前記搬送路上における前記紙幣の搬送障害を検知する少なくとも1つの障害検知部と、前記搬送障害が生じたことを示す障害情報を出力する出力部とを制御する制御部に、
前記金種別収容部の最上位に収容した前記紙幣を、前記搬送路を巡回させる巡回紙幣として選択するとともに、前記巡回紙幣に対応する前記固有情報を前記記憶部から読み出し巡回紙幣情報として記憶するステップと、
前記巡回紙幣を前記金種別収容部から前記搬送路に送り出して少なくとも一巡させるステップと、
前記巡回紙幣による搬送障害を検知すると、前記巡回紙幣情報を前記障害情報として前記出力部に出力するステップとを実行させる
紙幣処理プログラム。
【請求項1】
少なくとも1枚の紙幣を搬送する搬送路と、
前記紙幣の金種を示す金種情報、及び紙幣固有の情報を示す固有情報を読取る情報読取部と、
前記金種情報に基づいて金種別に前記紙幣を収容するとともに、前記搬送路に前記紙幣を送り出す金種別収容部と、
前記金種情報、前記固有情報、及び前記紙幣を収容した順序を関連付けて記憶する記憶部と、
前記搬送路上における前記紙幣の搬送障害を検知する少なくとも1つの障害検知部と、
前記搬送障害が生じたことを示す障害情報を出力する出力部と、
前記各部を制御する制御部とを備え、
該制御部に、
前記金種別収容部の最上位に収容した前記紙幣を、前記搬送路を巡回させる巡回紙幣として選択するとともに、前記巡回紙幣に対応する前記固有情報を前記記憶部から読み出し巡回紙幣情報として記憶する巡回紙幣選択処理と、
前記巡回紙幣を前記金種別収容部から前記搬送路に送り出して少なくとも一巡させる巡回処理と、
前記巡回紙幣による搬送障害を検知すると、前記巡回紙幣情報を前記障害情報として前記出力部に出力する障害情報出力処理とを備えた
紙幣処理装置。
【請求項2】
前記巡回紙幣選択処理を、
前記金種別収容部の最上位に収容した前記紙幣に対応する前記固有情報が前記記憶部に正常に記憶されているか否かを判定し、前記固有情報が正常に記憶されていれば、該当する前記金種別収容部を選択して最上位に収容した前記紙幣を前記巡回紙幣とする構成とした
請求項1に記載の紙幣処理装置。
【請求項3】
前記巡回紙幣選択処理を、
前記情報読取部で読取った利用者により投入された紙幣と異なる金種情報に対応する前記金種別収容部を選択するとともに、前記巡回紙幣として選択した前記紙幣の前記金種情報、及び前記固有情報とを関連付けて巡回紙幣情報として記憶する構成とした
請求項1または2に記載の紙幣処理装置。
【請求項4】
前記搬送路上における前記紙幣の位置を検知する位置検知部を備え、
前記制御部の障害情報出力処理を、
前記巡回紙幣情報とともに、位置検知部で検知した前記巡回紙幣の位置情報を出力する構成とした
請求項1から3のいずれか1つに記載の紙幣処理装置。
【請求項5】
搬送路で少なくとも1枚の紙幣を搬送して、
情報読取部で前記紙幣の金種を示す金種情報、及び紙幣固有の情報を示す固有情報を読取り、
金種別収容部により、前記金種情報に基づいて金種別に前記紙幣を収容するとともに、前記搬送路に前記紙幣を送り出して、
記憶部により、前記金種情報、前記固有情報、及び前記紙幣を収容した順序を関連付けて記憶し、
障害検知部で前記搬送路上における前記紙幣の搬送障害を検知すると、
出力部で前記搬送障害が生じたことを示す障害情報を出力し、
制御部により、前記各部を制御するとともに、
前記制御部の巡回紙幣選択処理により、
前記金種別収容部の最上位に収容した前記紙幣を、前記搬送路を巡回させる巡回紙幣として選択するとともに、前記巡回紙幣に対応する前記固有情報を前記記憶部から読み出し巡回紙幣情報として記憶し、
巡回処理により、前記巡回紙幣を前記金種別収容部から前記搬送路に送り出して少なくとも一巡させ、
障害情報出力処理により、前記巡回紙幣による搬送障害を検知すると、前記巡回紙幣情報を前記障害情報として前記出力部に出力する
紙幣処理方法。
【請求項6】
少なくとも1枚の紙幣を搬送する搬送路と、前記紙幣の金種を示す金種情報、及び紙幣固有の情報を示す固有情報を読取る情報読取部と、前記金種情報に基づいて金種別に前記紙幣を収容するとともに、前記搬送路に前記紙幣を送り出す金種別収容部と、前記金種情報、前記固有情報、及び前記紙幣を収容した順序を関連付けて記憶する記憶部と、前記搬送路上における前記紙幣の搬送障害を検知する少なくとも1つの障害検知部と、前記搬送障害が生じたことを示す障害情報を出力する出力部とを制御する制御部に、
前記金種別収容部の最上位に収容した前記紙幣を、前記搬送路を巡回させる巡回紙幣として選択するとともに、前記巡回紙幣に対応する前記固有情報を前記記憶部から読み出し巡回紙幣情報として記憶するステップと、
前記巡回紙幣を前記金種別収容部から前記搬送路に送り出して少なくとも一巡させるステップと、
前記巡回紙幣による搬送障害を検知すると、前記巡回紙幣情報を前記障害情報として前記出力部に出力するステップとを実行させる
紙幣処理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−80372(P2013−80372A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219931(P2011−219931)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
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