説明

紙幣処理装置

【課題】小型化が図れる紙幣処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】紙幣処理装置1は、紙幣が搬送される紙幣搬送路、及び紙幣搬送路幅方向に設けられる側壁部3bを備えたフレームと、フレームに設置され、搬送される紙幣の読取を行う紙幣読取手段20と、紙幣読取手段20により読取られた紙幣の真贋を識別する紙幣識別手段とを有している。紙幣読取手段20は、搬送される紙幣に光を照射する発光部として、発光素子27aから光が入力される導光体27を備えており、導光体27は、側壁部3b内に入り込むように設置されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣挿入口から挿入される紙幣を搬送すると共に、搬送される紙幣を読取って、その有効性を識別する紙幣処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に紙幣処理装置は、利用者によって紙幣挿入口から挿入された紙幣の有効性を識別し、有効と判定された紙幣価値に応じて、各種の商品やサービスを提供するサービス機器、例えば遊技場に設置されている遊技媒体貸出機、或いは、公共の場に設置されている自動販売機や券売機等に組み込まれている。
【0003】
通常、紙幣処理装置は、紙幣挿入口に挿入された紙幣を搬送する紙幣搬送機構、搬送される紙幣の読取を実行する紙幣読取手段、読取った紙幣情報からその有効性を判定(真贋判定とも称する)する紙幣識別手段等の動作機器、及びこれらの動作機器を駆動、制御する制御手段を備えている。
【0004】
上記した紙幣読取手段は、搬送される紙幣に光を照射し、その反射光及び/又は透過光を検知する光センサを備えており、前記紙幣識別手段は、光センサからの検知信号を、予め格納されている正規の紙幣データと比較することで、その有効性を識別するようになっている。この場合、例えば、特許文献1に開示されているように、搬送される紙幣の幅方向全体を検知することで紙幣の識別精度の向上が図れるようになる。すなわち、特許文献1には、紙幣の通過幅のほぼ全域をスリット状に照射する発光部と、フォトダイオードアレイで成る受光部とで構成した、いわゆるラインセンサによって紙幣読取手段を構成する技術が開示されており、通過する紙幣の幅全体の情報を読取ることで、有効性の識別精度の向上を図るようにしている。
【0005】
そして、前記スリット状に照射する発光部は、搬送紙幣に対して幅方向に延出し、端部において少なくとも1つのLEDから光が入射される導光体で構成されており、このような導光体と受光部を、紙幣の搬送路を挟んで対向配置させるか、又は紙幣の搬送路の一方に並列配置することで、紙幣情報の読取が実行される。
【特許文献1】特開2001−357429
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したように、発光体であるLEDの光を導光体へ入射する構成では、導光体の特性上、一方の端部と他方の端部は、発光量が不安定になるという問題がある。このため、前記導光体の発光量が安定する中心部から両端部に向けた所定長さを照射部分として利用する場合、導光体の両端部を、紙幣の通過幅を超えた状態で配置する必要があり、紙幣識別装置が紙幣通過幅方向に大型化してしまうという問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、小型化が図れる紙幣処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、請求項1に記載された紙幣処理装置は、紙幣が搬送される紙幣搬送路、及び紙幣搬送路幅方向に設けられる側壁部を備えたフレームと、前記フレームに設置され、搬送される紙幣の読取を行う紙幣読取手段と、前記紙幣読取手段により読取られた紙幣の真贋を識別する紙幣識別手段と、を有しており、前記紙幣読取手段は、搬送される紙幣に光を照射する発光部として、発光素子から光が入力される導光体を備えており、前記導光体は、前記側壁部内に入り込むように設置されることを特徴とする。
【0009】
上記した構成の紙幣処理装置によれば、紙幣搬送路に沿って搬送される紙幣は、紙幣読取手段によって、その情報が読取られる。前記導光体は、装置本体のフレームの側壁部内に入り込むように設置されるため、搬送路幅方向において、装置全体のコンパクト化を図ることが可能となる。また、端部側は発光量が低下する領域であり、その部分を側壁部内に位置させて読取光として利用しないようにすることが可能になるため、紙幣の識別精度の向上が図れるようになる。
【0010】
また、請求項2に係る発明においては、前記発光素子は、前記導光体の端部に設置されることを特徴とする。
【0011】
このような構成では、発光素子は、側壁部内に入り込むように設置された導光体の端部に位置するため、例えばLEDを複数並べて発光部を構成するよりも装置全体のコンパクト化が図れる。
【0012】
また、請求項3に係る発明においては、前記紙幣読取手段は、前記導光体を具備したラインセンサを備えており、前記側壁部に、前記ラインセンサをスライド設置可能にする開口を形成したことを特徴とする。
【0013】
このような構成では、装置本体の紙幣搬送幅方向の長さを短くすることが可能になると共に、側壁部の強度を低下させることなくラインセンサを設置することが可能になる。
【0014】
また、請求項4に係る発明においては、前記側壁部に、前記導光体の端部が位置するように切欠凹所を形成したことを特徴とする。
【0015】
このような構成では、導光体は、発光量が低下する部分となる端部が、前記側壁部に形成されている切欠凹所に位置するように設置されるため、紙幣搬送路幅方向のみならず厚さ方向にもコンパクト化を図ることが可能になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の紙幣処理装置によれば、装置全体、特に紙幣搬送路幅方向の小型化が図れる紙幣処理装置が得られるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
【0018】
図1から図4は、本実施形態に係る紙幣処理装置の構成を示す図であり、図1は、全体構成を示す斜視図、図2は、上部フレームを下部フレームに対して開いた状態を示す斜視図、図3は、下部フレームの紙幣搬送路部分を示した平面図、そして、図4は、下部フレームの裏面図である。
【0019】
本実施形態の紙幣処理装置1は、例えば、スロットマシン等の各種の遊技機間に設置される遊技媒体貸出装置(図示せず)に組み込み可能に構成されている。この場合、遊技媒体貸出装置には、紙幣処理装置1の上側又は下側に、他の装置(例えば、紙幣収納ユニット、硬貨識別装置、記録媒体処理装置、電源装置など)を設置しておいても良く、紙幣処理装置1は、これら他の装置と一体化されていたり、別個に構成されていても良い。そして、このような紙幣処理装置1に紙幣が挿入され、挿入された紙幣の有効性が判定されると、その紙幣価値に応じた遊技媒体の貸出処理、或いは、プリペイドカードのような記録媒体への書き込み処理等が行なわれる。
【0020】
紙幣処理装置1は、略直方体状に形成されたフレーム2を備えており、このフレーム2が図示されていない遊技媒体貸出装置の係止部に装着される。フレーム2は、ベース側となる下部フレーム2Bと、これを覆うように下部フレーム2Bに対して開閉可能な上部フレーム2Aとを有しており、これらのフレーム2A,2Bは、図2に示すように、基部を回動中心として開閉されるように構成されている。
【0021】
前記下部フレーム2Bは、略直方体形状を有しており、紙幣が搬送される紙幣搬送面3aと、その紙幣搬送面3aの両サイドに形成される側壁部3bとを備えている。また、上部フレーム2Aは、紙幣搬送面3cを備えたプレート状に構成されており、上部フレーム2Aが下部フレーム2Bの両サイドの側壁部3b間に入り込むように閉塞された際、紙幣搬送面3aと紙幣搬送面3cとの対向部分に、紙幣が搬送される隙間(紙幣搬送路)5が形成される。
【0022】
そして、上部フレーム2Aと下部フレーム2Bには、この紙幣搬送路5に一致するようにして、夫々紙幣挿入部6A,6Bが形成されている。これら紙幣挿入部6A,6Bは、上部フレーム2Aと下部フレーム2Bが閉じられた際、スリット状の紙幣挿入口6を形成し、図1に示すように、紙幣Mは、紙幣の短い辺側から矢印A方向に沿って内部に挿入される。
【0023】
また、前記上部フレーム2Aの先端側には、下部フレーム2Bに係止可能なロックシャフト4が配設されている。このロックシャフト4には、操作部4aが設けられており、操作部4aを、付勢バネ4bの付勢力に抗して回動操作することで、ロックシャフト4は回動支点Pを中心に回動し、上部フレーム2Aと下部フレーム2Bのロック状態(両者が閉じた状態;重合状態)が解除される。
【0024】
前記下部フレーム2Bには、紙幣搬送機構8、紙幣挿入口6に挿入された紙幣を検知する紙幣検知センサ18、紙幣検知センサ18の下流側に設置され、搬送状態にある紙幣の情報を読取る紙幣読取手段20、紙幣挿入口6と紙幣検知センサ18との間の紙幣搬送路5に設置され、紙幣挿入口6を閉塞するように駆動されるシャッタ機構50、並びに、上記した紙幣搬送機構8、紙幣読取手段20、シャッタ機構50等の構成部材の駆動を制御すると共に、読取った紙幣の有効性を識別する(真贋判定処理を行う)制御手段(制御回路基板100)が設けられている。
【0025】
前記紙幣搬送機構8は、紙幣挿入口6から挿入された紙幣を挿入方向Aに沿って搬送可能であると共に、挿入状態にある紙幣を紙幣挿入口6に向けて差し戻すように搬送可能とする機構である。紙幣搬送機構8は、下部フレーム2B側に設置された駆動源である駆動モータ10と、この駆動モータ10によって回転駆動され、紙幣搬送路5に紙幣搬送方向に沿って所定間隔おいて配設される搬送ローラ対12,13,14を備えている。
【0026】
搬送ローラ対12は、下部フレーム2B側に配設される駆動ローラ12Aと、上部フレーム2A側に配設されて駆動ローラ12Aに当接されるピンチローラ12Bとを備えており、これら駆動ローラ12Aとピンチローラ12Bは、紙幣搬送方向と直交する方向に沿って、所定間隔をおいて2箇所設置されている。これらの駆動ローラ12A及びピンチローラ12Bは、その一部が紙幣搬送路5に露出した状態となっている。
【0027】
前記2箇所に設置される駆動ローラ12Aは、下部フレーム2Bに回転可能に支持された駆動軸12aに固定されており、前記2つのピンチローラ12Bは、上部フレーム2Aに支持された支軸12bに回転可能に支持されている。この場合、上部フレーム2Aには、支軸12bを駆動軸12a側に付勢する付勢部材12cが設けられており、ピンチローラ12Bを駆動ローラ12A側に所定の圧力で当接させている。
【0028】
なお、ローラ対12と同様、上記した搬送ローラ対13,14も、それぞれ駆動軸13a,14aに固定される2つの駆動ローラ13A,14Aと、支軸13b,14bに回転可能に支持される2つのピンチローラ13B,14Bによって構成され、それぞれ付勢部材13c,14cによって、各ピンチローラ13B,14Bは、各駆動ローラ13A,14Aに所定の圧力で当接されている。
【0029】
前記搬送ローラ対12,13,14は、駆動モータ10に連結される駆動力伝達機構15によって同期駆動される。この駆動力伝達機構15は、下部フレーム2Bの一方の側壁部3bに回転可能に配設されるギヤトレインによって構成される。具体的には、駆動モータ10の出力軸に固定される出力ギヤ10a、この出力ギヤ10aに順次噛合され、前記駆動軸12a,13a,14aの端部に装着される入力ギヤ12G,13G,14G、及びこれらのギヤ間に設置されるアイドルギヤ16を備えたギヤトレインによって構成される。
【0030】
上記した構成により、駆動モータ10が正転駆動されると、各搬送ローラ対12,13,14は、紙幣を挿入方向Aに向けて搬送するように駆動され、駆動モータ10が逆転駆動されると、各搬送ローラ対12,13,14は、紙幣を紙幣挿入口側に差し戻すように逆転駆動される。
【0031】
前記紙幣検知センサ18は、紙幣挿入口6に挿入された紙幣を検知した際に、検知信号を発生するものであり、本実施形態では、後述するシャッタ機構を構成する回動片と、紙幣を読取る紙幣読取手段20との間に設置されている。前記紙幣検知センサ18は、例えば、光学式のセンサ、より詳しくは、回帰反射型フォトセンサによって構成されており、図5に示すように、上部フレーム2A側に設置されるプリズム18aと、下部フレーム2B側に設置されるセンサ本体18bによって構成される。具体的には、プリズム18aとセンサ本体18bは、センサ本体18bの発光部18cから照射された光が、プリズム18aを介してセンサ本体18bの受光部18dで検知される配置態様となっており、プリズム18aとセンサ本体18bとの間に位置する紙幣搬送路5に紙幣が通過して受光部18dで光が検知されなくなると検知信号を発生する。
【0032】
なお、上記した紙幣検知センサ18は、光学式のセンサ以外にも、機械式のセンサによって構成されていても良い。
【0033】
前記紙幣検知センサ18の下流側には、搬送状態にある紙幣について、その紙幣情報を読取る紙幣読取手段20が設置される。紙幣読取手段20は、上記した紙幣搬送機構8によって紙幣が搬送される際、紙幣に光を照射することで紙幣情報の読取を行い、紙幣の有効性(真贋)を判定できるような信号を生成できる構成であれば良く、本実施形態では、紙幣の両側から光を照射し、その透過光と反射光をフォトダイオードのような受光素子で検知することで紙幣の読取を行うようになっている。そして、この読取った紙幣情報に関する光信号は光電変化され、後述する紙幣識別手段において、予め格納されている真券のデータと比較することで、搬送される紙幣の真贋を判定するようになっている。
【0034】
前記紙幣挿入口6の下流側には、紙幣挿入口6を閉塞するシャッタ機構50が配設されている。このシャッタ機構50は、常時、紙幣挿入口6を開放した状態になっており、紙幣が挿入されて、紙幣検知センサ18が紙幣の後端を検知した際(紙幣検知センサ18がOFF)に閉塞されて、不正行為等が行えないように構成される。
【0035】
具体的にシャッタ機構50は、紙幣搬送路5の紙幣搬送方向と直交する方向に所定間隔おいて出没するように回動駆動される回動片52と、この回動片52を回動駆動する駆動源であるソレノイド(プル型)54とを有している。この場合、回動片52は、支軸55の幅方向に2箇所設置されており、紙幣搬送路5を形成する下部フレーム2Bの紙幣搬送面3aには、各回動片52が出没できるように紙幣搬送方向に延出する長孔5cが形成されている。
【0036】
また、前記紙幣読取手段20の下流側には、紙幣の通過を検知する紙幣通過検知センサ60が設けられている。この紙幣通過検知センサ60は、有効と判定された紙幣が、更に下流側に搬送されて、紙幣の後端を検知した際に検知信号を発生するものであり、この検知信号の発生に基づいて、上記したソレノイド54の通電が解除され(ソレノイドOFF)、駆動軸54aに設けられた付勢バネの付勢力によって駆動軸54aは突出方向に移動する。これにより、シャッタ機構を構成する回動片52は、駆動軸54aに連動する支軸55を介して紙幣搬送路を開放状態とするように回動駆動される。
【0037】
前記紙幣通過検知センサ60は、上述した紙幣検知センサ18と同様、光学式のセンサ(回帰反射型フォトセンサ)によって構成されており、上部フレーム2A側に設置されるプリズム60aと、下部フレーム2B側に設置されるセンサ本体60bによって構成される。もちろん、上記した紙幣通過検知センサ60は、光学式のセンサ以外にも、機械式のセンサによって構成されていても良い。
【0038】
前記紙幣挿入口6の近傍には、紙幣が挿入された状態にあることを視認可能に報知する報知素子が設けられている。このような報知素子は、例えば、点滅するLED70によって構成することが可能であり、利用者が紙幣挿入口6に紙幣を挿入することで点灯し、紙幣の処理状態であることを利用者に知らせる。このため、利用者が誤って次の紙幣を差し込むことを防止することが可能となる。
【0039】
次に、上部フレーム2A及び下部フレーム2Bに設置される紙幣読取手段20の構成について図2、図3及び図6を参照して説明する。
【0040】
前記紙幣読取手段20は、上部フレーム2A側に配設され、搬送される紙幣の上側で搬送路幅方向に亘ってスリット状の光を照射可能とした第1発光部23を具備した発光ユニット24と、下部フレーム2B側に配設されたラインセンサ25とを有している。
【0041】
前記下部フレーム2B側に設置されるラインセンサ25は、紙幣を挟むようにして、前記第1発光部23と対向するように配設される受光部26と、受光部26の紙幣搬送方向両側に隣接して配設され、スリット状の光を照射可能とした第2発光部27とを有している。
【0042】
前記ラインセンサ25の受光部26と対向配置された第1発光部23は、透過用の光源として機能する。この第1発光部23は、図2に示すように、合成樹脂製の矩形棒状体に形成されたいわゆる導光体として構成されており、好ましくは端部に設置されるLED等の発光素子23aからの射出光を入力して、長手方向に沿って導光させながら発光する機能を有する。これにより、簡単な構成で、搬送される紙幣の搬送路幅方向全体の範囲に対して均一にスリット状の光を照射することが可能となる。
【0043】
なお、前記ラインセンサ25の受光部26は、導光体である第1発光部23と平行にライン状に配設されており、紙幣搬送路5に対して交差方向に伸延し、かつ受光部26に設けた図示しない受光センサの感度に影響を与えない程度の幅を有する帯状に形成された薄肉の板状に形成されている。具体的には、受光部26の厚み方向の中央に複数のCCD(Charge Coupled Device)をライン状に設けるとともに、このCCDの上方位置に、透過光及び反射光を集光させるように、ライン状にセルフォックレンズアレイ26aを配置した構成となっている。
【0044】
前記ラインセンサ25の第2発光部27は、反射用の光源として機能する。この第2発光部27は、第1発光部23と同様、図3に示すように、合成樹脂製の矩形棒状体に形成されたいわゆる導光体として構成されており、好ましくは端部に設置されるLED等の発光素子27aからの射出光を入力して、長手方向に沿って導光させながら発光する機能を有する。これにより、簡単な構成で、搬送される紙幣の搬送路幅方向全体の範囲に対して均一にスリット状の光を照射することが可能となる。
【0045】
なお、前記第2発光部27は、45度の仰角で光を紙幣に向けて照射可能としており、紙幣からの反射光を受光部26(受光センサ)で受光するように配設されている。この場合、第2発光部27から照射された光が受光部26へ45度で入射するようにしているが、入射角は45度に限定されるものではなく、反射光を確実に受光可能な範囲であれば適宜設定することができる。このため、第2発光部27、受光部26の配置については、紙幣処理装置の構造に応じて、適宜設計変更が可能である。また、前記第2発光部27については、受光部26を挟んで両サイドに設置して、両側からそれぞれ入射角45度で光を照射するようにしている。これは、紙幣表面に傷や折皺などがある場合、これら傷や折皺部分に生じた凹凸に光が片側からのみ照射された場合、どうしても凹凸の部分においては光が遮られて陰になってしまう箇所が生じることがある。このため、両側から光を照射することにより、凹凸の部分において陰ができることを防止して、片側からの照射よりも精度の高い画像データを得ることを可能としている。もちろん、第2発光部27については、片方のみに設置した構成であっても良い。
【0046】
上記したラインセンサ25は、紙幣搬送路5に露出することから、その表面部分(搬送面3aと略面一になる部分)の紙幣搬送方向の両端には、図2に示すように凹凸部25aが形成されており、搬送される紙幣を引っ掛かり難くしている。また、発光ユニット24もラインセンサ25と同様、その表面部分の紙幣搬送方向の両端に、図2に示すように凹凸部24aが形成されており、搬送される紙幣を引っ掛かり難くしている。
【0047】
そして、上記したラインセンサ25の導光体として構成される第2発光部27(以下、導光体27とも称する)は、側壁部3b内に入り込むように設置されている。この場合、導光体27が側壁部3bに入り込むとは、図3に示すように、紙幣搬送路幅方向に延出している導光体27の端部(両端部であることが好ましい)が、フレーム2を構成している側壁部3bより幅方向外側に位置するものであれば良く、具体的には、側壁部3bを規定している内側面3b´よりも幅方向外側に位置するように設置されていれば良い。なお、ここでの内側面3b´は、紙幣搬送路5を図3のように平面視した際、搬送される紙幣の両サイドを規制する規制壁面によって規定される。
【0048】
導光体27の端部が側壁部3bに入り込む長さについては、その導光体の発光量を考慮することが好ましい。すなわち、通常、一端側から光を結合し、その伝搬光を発光させる導光体では、両端部において発光量が低下する傾向にある。このため、そのような発光量が低下する領域となる両端部を、側壁部3b内に位置させることで、発光量が充分な領域を利用して紙幣の読取精度を向上することが可能となる。
【0049】
さらに、上記した構成では、フレームを構成している側壁部3bに、ラインセンサ25をスライドさせて、内部に設置可能にする開口3Dを形成しておくことが好ましい。この開口3Dは、ラインセンサ25の側面部と同様な形状に構成されており、図7に示すように、略凸形状となるように構成されている。すなわち、ラインセンサ25は、上記した幅方向に延出する導光体27や受光部26を備えると共に、導光体27を発光させるための回路、受光部26を構成すべくライン状に設けられたCCDに入射した光を検出する検出回路、その出力を増幅する増幅器、増幅された出力信号をデジタル変換するA/Dコンバータ、これらを制御する制御部等を実装したセンサ基板25A上に装着されており、このセンサ基板25Aは、略ロの字型の保持フレーム25Bに取り付けられている。そして、ラインセンサ25、及びセンサ基板25Aを保持する保持フレーム25Bは、側面視で略凸形状に形成されることから、開口3Dは、これに対応する形状に構成されている。
【0050】
前記ラインセンサ25は、保持フレーム25Bと共に、前記開口3Dを介して、図8の矢印で示すように、スライドさせて下部フレーム2Bの所定の位置に設置される。具体的には、下部フレーム2Bに形成される開口3Dを介してスライド挿入されるラインセンサ25及びセンサ基板25Aは、保持フレーム25Bの隅の4箇所に形成されたビス孔にビス80を螺入することで、下部フレーム2Bの所定の位置に固定される。
【0051】
このように装置本体を構成する下部フレーム2Bに開口3Dを形成し、この部分を介してラインセンサ25をスライドさせて取り付ける構成によれば、装置本体の紙幣搬送路幅方向の長さを短くすることが可能になると共に、側壁部3bの強度を低下させることなくラインセンサ25を設置することが可能になる。
【0052】
図9は、上記した紙幣搬送機構8、紙幣読取手段20、シャッタ機構50等を備えた紙幣処理装置1を制御する制御手段の概略構成を示すブロック図である。
【0053】
制御手段30は、上記した各駆動装置の動作を制御する制御回路基板100を備えており、この制御回路基板100上には、各駆動装置の駆動を制御すると共に、紙幣識別手段を構成するCPU(Central Processing Unit)110と、ROM(Read Only Memory)112と、RAM(Random Access Memory)114と、基準データ記憶部116とが実装されている。
【0054】
前記ROM112には、上述した駆動モータ10、ソレノイド54、LED70等、各種駆動装置の作動プログラムや、真贋判定プログラム等の各種プログラム、恒久的なデータが記憶されており、CPU110は、ROM112に記憶されている前記プログラムに従って作動して、I/Oポート120を介して上述した各種駆動装置との信号の入出力を行い、紙幣識処理装置の動作制御を行う。すなわち、CPU110には、I/Oポート120を介して、駆動モータ駆動回路125(駆動モータ10)、ソレノイド54、LED70が接続されており、これらの駆動装置は、ROM112に格納された作動プログラムに従って、CPU110からの制御信号により動作が制御される。また、CPU110には、I/Oポート120を介して、紙幣検知センサ18からの検知信号、及び紙幣通過検知検知センサ60からの検知信号が入力されるようになっており、これらの検知信号に基づいて、駆動モータ10の正転/逆転駆動制御、LED70の点滅制御、ソレノイド54の駆動制御が行われる。
【0055】
前記RAM114には、CPU110が作動する際に用いるデータやプログラムが記憶されると共に、判定対象となる紙幣の受光データを取得して一時的に記憶し、これを基準データ記憶部116に記憶されている基準データと比較することによって、真贋判定処理を行う。なお、本実施形態では、基準データを専用の基準データ記憶部116に記憶させているが、これをROM112に記憶させておいても良い。また、真券の基準データは、基準でータ記憶部116に予め記憶させても良いが、例えば、真券を、紙幣搬送機構8を通して搬送させながら受光データを取得し、これを基準データとして記憶させても良い。
【0056】
さらに、CPU110には、I/Oポート120を介して、上記した発光ユニット24における第1発光部(導光体)23と、ラインセンサ25における受光部26及び第2発光部(導光体)27が接続されており、これらは、CPU110、ROM112、RAM114、基準データ記憶部116と共に、紙幣の真贋判定部150を構成し、紙幣処理装置1における真贋判定に必要な動作制御を行う。
【0057】
また、CPU110は、I/Oポート120を介して紙幣処理装置1が組み込まれる遊技媒体貸出装置の制御部や外部装置のホストコンピュータ等の上位装置200に接続されており、上位装置に対して、各種信号(紙幣に関する情報、警告信号等)を送信するようにしている。
【0058】
上記したように構成される紙幣処理装置によれば、紙幣検知センサ18が紙幣の挿入を検知してON状態になると、駆動モータ10が正転駆動されると共に、LED70が点灯する。これにより、搬送ローラ対12,13,14が紙幣挿入方向に回転駆動されて、紙幣を装置内に搬送すると共に、利用者に対して、紙幣処理中であることを知らせ、追加の紙幣挿入が防止される。
【0059】
紙幣の装置内への搬送により、前記紙幣読取手段20がその情報を読取り、上記した制御手段30において、真贋判定処理が実行される。この際、本実施形態では、前記紙幣検知センサ18が紙幣の後端を検知した際(紙幣検知センサ18がOFF)、ソレノイド54が通電され、これにより、回動片52が回動駆動されて紙幣挿入口6を閉塞するようになっている。
【0060】
上記した真贋判定処理において、紙幣が真正であると判定されると、紙幣は更に下流側に搬送される。この際、何らかの理由で返金処理等が発生することに対応できるように、紙幣を一時的に待機させる処理を行っても良い。そして、更に下流側に搬送される紙幣の後端が紙幣通過検知センサ60によって検知された段階で駆動モータ10の駆動が停止される。これに伴い、ソレノイド54の駆動をOFF(通電を解除)して回動片52を紙幣搬送路5から引き込ませて、紙幣挿入口6を開放状態にすると共に、LED70を消灯する。
【0061】
なお、上記した真贋判定処理において、真正でないと判定されると、その段階で駆動モータ10の逆転駆動処理が実行され、シャッタ機構50を開放して紙幣を紙幣挿入口側に向けて差し戻す。この差し戻し処理において、紙幣の後端が紙幣検知センサ18によって検知された段階でLED70を消灯する。
【0062】
以上のように構成される紙幣処理装置1では、上記した紙幣読取手段20におけるラインセンサ25に設けられる発光部27が導光体として構成されており、搬送される紙幣の幅方向全体を照射するため、識別精度の向上が図れるようになる。また、導光体27は、LED等の発光素子27aから光が入力されて、搬送される紙幣に対して光を照射する構成であることから、LED等を複数並べた構成と比較してコストの低減が図れるようになる。また、導光体27は、図3に示すように、その両端部が装置本体を構成するフレームの側壁部3b内に入り込むように設置されるため、装置全体のコンパクト化が図れるようになり、しかも導光体27は、一般的に発光量が低下する部分となる両端部が、側壁部3b内に入り込んでいることから、紙幣の識別精度が不安定となる領域を避けることができ、紙幣の識別精度の向上が図れるようになる。
【0063】
また、図3に示したように、上記した発光素子27aは、導光体27の端部に設置されるため、その発光素子27aが側壁部3b内に入り込むようになり、例えばLEDを複数並べて発光部を構成するよりも装置全体のコンパクト化が図れるようになる。
【0064】
なお、上記した装置本体のフレームの構造では、側壁部3bに、導光体27の端部が位置するように切欠凹所3dが形成されている。この切欠凹所3dは、図2に示すように、下部フレーム2B側の紙幣搬送面3aを露出させるように形成され、この切欠部分で、導光体27の端部が位置するように構成される。また、上部フレーム2Aが下部フレーム2Bに閉塞された際、上部フレーム2A側に設けられた導光体23を具備した発光ユニット24の両端部が、この切欠凹所3d内に位置することから、紙幣搬送路幅方向のみならず厚さ方向にもコンパクト化を図ることが可能になる。しかも、発光ユニット24に設けられる導光体23の両端部も、導光体27と同様、側壁部3b内に位置するため、紙幣搬送路幅方向の小型化が図れると共に、発光量が低下する部分となる端部が、側壁部3bに形成されている切欠凹所に位置するため、紙幣の識別精度が不安定となる領域を避けることができ、紙幣の識別精度の向上が図れるようになる。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、紙幣の読取手段を構成する発光部を導光体とし、かつその導光体をフレームの側壁部内に位置するように設置することに特徴があり、それ以外の構成については適宜変形することが可能である。例えば、紙幣の読取を行う読取手段(センサ)の構成や配置態様、紙幣の読取方法、紙幣の真贋判定処理の方法などについては、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の紙幣処理装置は、遊技媒体貸出装置に限られず、紙幣が挿入されたことで、商品やサービスを提供する各種の装置に組み込むことが可能である。また、本実施形態では紙幣を処理するものであることを例示して説明したが、金券やその他有価証券などの真贋判定を行う装置として適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に係る紙幣処理装置の一実施形態の全体構成を示す斜視図。
【図2】上部フレームを下部フレームに対して開いた状態を示す斜視図。
【図3】下部フレームの紙幣搬送路部分を示した平面図。
【図4】下部フレームの裏面図。
【図5】紙幣検知センサの構成を示す斜視図。
【図6】紙幣処理装置の構成を模式的に示した図。
【図7】紙幣処理装置の側面図。
【図8】下部フレームの裏面図であり、制御基板を取り外した状態を示す図。
【図9】紙幣処理装置の制御系を示すブロック図。
【符号の説明】
【0068】
1 紙幣処理装置
2 フレーム
2A 上部フレーム
2B 下部フレーム
3b 側壁部
6 紙幣挿入口
8 紙幣搬送機構
10 駆動モータ
18 紙幣検知センサ
20 紙幣読取手段
23 第1発光部(導光体)
23a 発光素子
25 ラインセンサ
27 第2発光部(導光体)
27a 発光素子
30 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣が搬送される紙幣搬送路、及び紙幣搬送路幅方向に設けられる側壁部を備えたフレームと、
前記フレームに設置され、搬送される紙幣の読取を行う紙幣読取手段と、
前記紙幣読取手段により読取られた紙幣の真贋を識別する紙幣識別手段と、
を有する紙幣処理装置において、
前記紙幣読取手段は、搬送される紙幣に光を照射する発光部として、発光素子から光が入力される導光体を備えており、
前記導光体は、前記側壁部内に入り込むように設置されることを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項2】
前記発光素子は、前記導光体の端部に設置されることを特徴とする請求項1に記載の紙幣処理装置。
【請求項3】
前記紙幣読取手段は、前記導光体を具備したラインセンサを備えており、
前記側壁部に、前記ラインセンサをスライド設置可能にする開口を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の紙幣処理装置。
【請求項4】
前記側壁部に、前記導光体の端部が位置するように切欠凹所を形成したことを特徴とする請求項1に記載の紙幣処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−52367(P2008−52367A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−225749(P2006−225749)
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【出願人】(391065769)株式会社セタ (89)
【Fターム(参考)】