説明

紙幣整理装置

【課題】紙幣整理装置において、接近紙幣が発生した場合に一時集積部における集積異常を防止する手段を提供する。
【解決手段】紙幣を投入する投入口1と、投入口1から1枚毎に搬送された紙幣の金種、表裏、正損を含む各種の鑑別を行う鑑別部2と、鑑別部2の鑑別結果を基に紙幣の表裏を揃える表裏反転部4と、表裏反転部4から搬送された紙幣を鑑別部2の鑑別結果に基づいて紙幣の種別毎に一定枚数の紙幣を集積する複数の一時集積部6a〜6dを有する集積機構6とを備えた紙幣整理装置において、表裏反転部4と集積機構6との間を接続する搬送路3dに、紙幣の搬送状態を監視する搬送監視センサ19を設け、搬送監視センサ19を通過する紙幣の紙幣間隔が規定紙幣間隔より短い場合に、この規定紙幣間隔より短い紙幣間隔で通過した接近紙幣を集積する集積先を除く他の一時集積部を選定し、接近紙幣を集積先へ集積すると共に、以降の紙幣を選定された他の一時集積部へ集積する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣を計数し、計数した紙幣を金種別あるいは正損別に複数の一時集積部に集積して、一定枚数毎に結束して整理する紙幣整理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の紙幣整理装置は、紙幣を投入する投入口と、投入口から1枚毎に搬送された紙幣の金種、表裏、正損を含む各種の鑑別を行うと共に計数を行う鑑別部と、鑑別部の鑑別結果を基に紙幣の表裏を揃える表裏反転部と、紙幣を鑑別部の鑑別結果に基づいて金種、正損からなる種別毎に一定枚数集積する複数の一時集積部を有する集積機構と、前記各一時集積部に集積された一定枚数の紙幣を印字手段により印字されたテープで結束して紙幣束として放出する紙幣結束機構と、一時集積部に集積された一定枚数の紙幣を紙幣結束機構へ移送する移送機構と、一時集積部への紙幣の集積状況の表示等を行う表示部とを備えて構成され、鑑別部により一時集積部に集積すべき紙幣と鑑別された紙幣を、紙幣の種別の鑑別結果に関わらず表裏反転部へ搬送して紙幣の表裏を揃え、表裏が揃えられた紙幣を集積機構へ搬送して紙幣の種別毎にそれぞれの一時集積部に集積している(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−197509号公報(主に第3頁段落0007−第4頁段落0013、第6頁段落0038−0039、第1図、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の技術においては、鑑別部により一時集積部に集積すべき紙幣と鑑別された紙幣を、紙幣の種別に関わらず表裏反転部へ搬送して紙幣の表裏を揃えた後に紙幣の種別毎にそれぞれの一時集積部へ搬送してに集積しているため、表裏反転部の表裏を反転させる反転搬送路を経た紙幣と、表裏を反転させる必要がないために搬送路をそのまま搬送される紙幣とが合流する合流点において、紙幣の搬送間隔が狭くなる場合があり、搬送間隔が狭くなった接近紙幣が一時集積部へ搬送されると、先行紙幣が集積板上に落ちきらないうちに後続の接近紙幣が搬送されてしまい、先行紙幣に後続の接近紙幣が追突して紙幣が整然と集積されずに整列不良が生じ、その上に更に後続の紙幣が集積されると、紙幣が折り重なって一時集積部に一定枚数の紙幣が入りきらなくなり、集積異常が発生するという問題がある。
【0004】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、接近紙幣が発生した場合に一時集積部における集積異常を防止する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために、紙幣を投入する投入口と、該投入口から1枚毎に搬送された紙幣の金種、表裏、正損を含む各種の鑑別を行う鑑別部と、該鑑別部の鑑別結果を基に紙幣の表裏を揃える表裏反転部と、該表裏反転部から搬送された紙幣を、前記鑑別部の鑑別結果に基づいて紙幣の金種、正損からなる種別毎に一定枚数の紙幣を集積する複数の一時集積部を有する集積機構とを備えた紙幣整理装置において、前記表裏反転部と、前記集積機構との間を接続する搬送路に、紙幣の搬送状態を監視する搬送監視センサを設け、該搬送監視センサを通過する紙幣の紙幣間隔が規定紙幣間隔より短い場合に、該規定紙幣間隔より短い紙幣間隔で通過した接近紙幣を集積する集積先を除く他の一時集積部を選定し、前記接近紙幣を前記集積先へ集積すると共に、以降の紙幣を選定された他の一時集積部へ集積することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
これにより、本発明は、接近紙幣の次の紙幣以降の紙幣を他の一時集積部に整然と集積することが可能になり、接近紙幣が発生した場合の一時集積部における集積異常を防止することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、図面を参照して本発明による紙幣整理装置の実施例について説明する。
【実施例1】
【0008】
図1は実施例1の紙幣整理装置の内部構造を示す概略側面図、図2は実施例1の紙幣整理装置の外観を示す斜視図、図3は図1の上部の拡大図、図4は実施例1の集積機構の側面を示す説明図、図5は実施例1の一時集積部を示す斜視図、図6は実施例1の紙幣結束機構の側面を示す説明図、図7は実施例1の紙幣集積処理に係る制御系を示すブロック図である。
【0009】
図1、図2において、1は紙幣の投入部であり、装置正面の上部に設けられている。
2は鑑別部であり、装置内に設けられ、紙幣の真偽、金種、正損、表裏等の各種の鑑別および計数を行うと共に、搬送異常の検出を行う機能を有している。
3は紙幣の搬送路であり、この搬送路3については後で説明する。
4は表裏反転部であり、装置内の鑑別部2の下流に位置するように設けられ、紙幣の表裏反転を行う機能を有している。この表裏反転部4については後で説明する。
【0010】
5はオープンポケットであり、装置の上面に設けられ、結束対象外の金種の紙幣を集積し、オープンポケット5に集積された紙幣はオペレータが直接アクセスできるものとなっている。
6は集積機構であり、本実施例では、縦1列に4つの一時集積部6a〜6dが並べて装置内に設けられており、各一時集積部6a〜6dには、鑑別部2による鑑別結果に基づいて紙幣の金種および正損の組合せからなる紙幣の種別(例えば、1万円紙幣(万券)の正券)毎に、一定枚数(本実施例では100枚)の紙幣が集積できるようになっている。
【0011】
なお、一時集積部は4つに限らず、3つ以上であればよい。
7は操作部であり、投入部1の一側に設けられ、紙幣の計数の開始を指示するための計数開始ボタン7a等が設けられている。
8はリジェクトポケットであり、投入部1の上方に設けられ、鑑別部2で金種不明等と鑑別され、あるいは搬送異常が検出されたリジェクト紙幣を集積し、リジェクトポケット8に集積された紙幣にオペレータが直接アクセスできるものとなっている。
【0012】
9は移送機構であり、装置内に設けられ、一時集積部6a〜6dに集積された一定枚数の紙幣をハンド部9aで把持して、装置内に設けられた紙幣結束機構10へ移送できるものとなっている。紙幣結束機構10については後で説明する。
11は紙幣束の放出口、12は装置正面に設けられた扉であり、この扉12を開けることでオペレータは集積機構6等にアクセスできるものとなっている。
【0013】
13は表示部としての操作表示部であり、装置上面においてオープンポケット5の後方に位置するように設けられ、LCDとその表面に配置したタッチパネルによって構成されており、オペレータはこの操作表示部13を操作して整理モードの指定や、一時集積部6a〜6dに集積する紙幣の種別、集積の順序等の設定を行う。
また、この操作表示部13には鑑別部2で鑑別された紙幣の金種や正損および計数結果等も表示される。
【0014】
15は振分搬送路であり、図4に示すように、集積機構6の一時集積部6a〜6dに沿うように装置の下部に伸びて最も下位にある一時集積部6dに至るように設けられており、搬送された紙幣を所定の一時集積部6a〜6dへ振分ける機能を有している。
ここで搬送路3について説明する。装置内の上部において搬送路3は、図3に示すように、搬送路3a〜3eで構成されており、搬送路3aは投入部1から鑑別部2を経て分岐点Aに至るように設けられ、搬送路3bは分岐点Aからリジェクトポケット8に至るように設けられ、搬送路3cは分岐点Aから表裏反転部4をバイパスし分岐点Bを経て分岐点Cに至るように設けられ、搬送路3dは分岐点Cから振分搬送路15に至るように設けられ、搬送路3eは分岐点Cからオープンポケット5に至るように設けられている。
【0015】
なお、分岐点A、B、Cのそれぞれの近傍には紙幣の搬送方向を切替える図示しない切替えブレードが設けられ、後述する制御部40により動作制御される。
また、本実施例の紙幣は、紙幣の短手方向を搬送方向として搬送される。
表裏反転部4は、分岐部Bから分岐した反転搬送路4aと、反転搬送路4aにより搬送された紙幣を受け入れ、これを搬送路3cとの合流点Dへ繰出して紙幣の表裏を反転させるスイッチバック機構4bとが設けられており、鑑別部2で鑑別された表裏の鑑別結果を基に、表裏を揃えるために反転させる必要がある紙幣は、分岐点Bから反転搬送路4aに進入し、スイッチバック機構4bにより表裏を反転させて合流点Dから搬送路3aにより再度搬送される。
【0016】
集積機構6には、図4に示すように、上下方向に並べて配置された4つの一時集積部6a〜6dと、これらの一時集積部6a〜6dへ表裏が揃えられた紙幣を搬送するモータ17により駆動される搬送路3dと、搬送路3dから受け渡された紙幣を鑑別部2による鑑別結果に基づいて各一時集積部6a〜6dへ振分けるモータ18により駆動される振分搬送路15とが設けられている。
【0017】
19は搬送監視センサであり、発光部と受光部とを搬送路3dを挟んで対向配置した一対の光学式センサであって、搬送路3dの搬送方向の所定の位置、本実施例では搬送方向の中央部の左右にそれぞれ配置されており、発光部からの光を紙幣が遮断したことを受光部が検出して紙幣の通過を検出し、紙幣の搬送状態を監視する。
21a〜21cは切替ブレードであり、振分搬送路15の一時集積部6a〜6cに至るそれぞれの進入路との分岐点に設けられ、後述する制御部40により動作制御され、鑑別部2の鑑別結果に基づいて紙幣の搬送方向を集積先の一時集積部6a〜6cの方向に切替える機能を有している。
【0018】
22a〜22dは進入センサであり、搬送監視センサ19と同様の光学式センサであって、一時集積部6a〜6dへのそれぞれの紙幣の進入口の直前の進入路の左右にそれぞれ配置されている。
以下の説明においては、上記の搬送監視センサ19や各進入センサ22が紙幣を検出している状態を「ON」と、紙幣を検出していない状態を「OFF」という(図8参照)。
【0019】
上記の一時集積部6a〜6cは同一の構造を有しているので、以下にその集積動作について、一時集積部6aを例に説明する。
搬送路3dにより搬送されてきた紙幣は、振分搬送路15の一時集積部6aへの進入路の分岐点に設けられた切替ブレード21aにより搬送方向を切替えられて、進入路を一時集積部6aに向かって搬送され、進入センサ22aにより通過を検出された後に一時集積部6aに進入して放出され、叩き車25によりその後端を叩かれながら集積板24上に集積される。
【0020】
また、以降進入してくる紙幣に関しては、同様の動作で集積板24上に集積された紙幣の上に集積される。
一時集積部6aに進入した紙幣は、図4に示すように、叩き車25により叩かれるだけでなく、一時集積部6aの一側に設けられた長手整位機構26により長手方向の位置が揃えられ、更に一時集積部6aの前端側に設けられた短手整位機構27により短手方向の位置が揃えられる。
【0021】
なお、長手整位機構26は、正逆両方向への回転が可能なモータ26aと、このモータに連結部材26bを介して連結された棒あるいは板状等の整位部材26cを備え、進入してくる紙幣を検出する進入センサ22aの検出信号にタイミングをとってモータ26aにより整位部材26cを回動させることにより、紙幣を反対側に設置された基準面28に押しつけることで集積板24上に集積された紙幣の長手方向を整位する機能を有している。
【0022】
また、短手整位機構27は、図示しないトーションスプリング等の付勢手段によって付勢された棒状部材により構成され、集積された紙幣を進入口側に付勢することにより紙幣の短手方向を整位する機能を有している。
前記のようにして、集積板24上に紙幣が集積され、その集積高さが図示しない高さセンサにより基準値を越えたことが検出されると、集積板24は自動的に降下して一時集積部6aの集積紙幣上の集積空間を広げる。
【0023】
この動作により皺や折り目等に起因する紙幣の状態によって集積高さが違っても安定して集積が行えるようになっている。
また、集積板24の上方には板状の押え板29が対向するように設けられ、この押え板29は集積板24上への紙幣の集積中は一時集積部6aの上端に待機しており、順次取り込まれる紙幣の進入の邪魔にならないようになっている。
【0024】
一時集積部6aの集積板24上に予め定められた一定枚数(本実施例では100枚)の紙幣が集積されると、切替ブレード21aを他の一時集積部6b〜6cの方向へ動作させ、101枚目以降の紙幣は、前記と同様にして一時集積部6b〜6dのいずれかへ集積されるように制御される。
次に、移送動作について説明する。
【0025】
紙幣の集積が停止した一時集積部6aでは、集積板24を上昇させ、押え板29を降下させることにより紙幣を挟持する。
この動作により皺等の紙幣の状態によって集積高さの異なる紙幣の厚みを一定にし、移動機構9のハンド部9aへの受渡しを容易にするようになっている。
集積板24と押え板29とにより挟持された一定枚数の紙幣は、短手整位機構27側から一時集積部6aに進入してきた移動機構9のハンド部9a(図1参照)により把持されて引抜かれ、移送機構9により紙幣結束機構10へ束のまま移送される。
【0026】
なお、一時集積部6b〜6dも一時集積部6aと同様の構造になっているのであり、一時集積部6aと同様に紙幣を整位、集積、挟持することが可能である。
紙幣結束機構10は、図6に示すように、ローラおよびベルト等から成る搬送手段31と、紙テープ等による結束用のテープ32と、印字手段33と、テープ32を供給する供給手段34と、テープ32を所定の長さに切断するカッタ35と、図示しない結束手段を備えており、以下のように紙幣の結束動作を行う。
【0027】
すなわち、搬送手段31が移送機構9のハンド部9a(図1に破線で示すハンド部9a)から100枚の紙幣を束のまま受け取り、結束位置に搬送する。
そして、テープ供給手段34はテープ32を前記結束手段に供給し、その際、印字手段33はテープ32に結束する紙幣の種別等をインクリボンを介して印字する。
印字されたテープ32は所定の長さにカッタ35で切断され、この切断されたテープを結束手段が結束位置に搬送された100枚の紙幣に巻き掛けて結束することにより紙幣束を作成する。
【0028】
このようにして結束された紙幣束は、更に搬送手段31により搬送され、放出口11に送られ、装置の外部へ放出される。
図7において、40は紙幣整理装置の制御部であり、紙幣整理装置内の各部を制御して紙幣整理処理等を実行する機能を有している。
41は記憶部であり、制御部40が実行するプログラムやそれに用いる各種のデータおよび制御部40による処理結果等が格納される。
【0029】
また、記憶部41には、一時集積部6a〜6dに集積された紙幣の集積枚数をそれぞれ計数するための集積枚数カウントエリア42a〜42dが確保されている。
43は時計部であり、水晶発振器等を有する周波数発生器等を備えており、発生した周波数を基に時間を計数し、その経過時間等を制御部40へ送出する機能を有している。
上記の記憶部41には、投入口1に投入された紙幣を1枚毎に繰出し、鑑別部2で鑑別された紙幣の種別に基づいて、予め設定された集積先の一時集積部へ紙幣を搬送して集積し、一時集積部6a〜6dのいずれか一つに一定枚数の紙幣が集積されたときに、これを束のまま紙幣結束機構10へ移送して紙幣束を作成する機能を有する通常の紙幣結束処理プログラムに、搬送路3dを搬送される紙幣の紙幣間隔を検出し、接近紙幣が検出されたときに、接近紙幣の次の紙幣以降の紙幣を他の一時集積部へ搬送して集積異常を回避する機能を有する紙幣集積処理プログラム等が追加された紙幣整理処理プログラムが予め格納されており、制御部40が実行する紙幣整理処理プログラムのステップにより本実施例の紙幣整理装置のハードウェアとしての各機能手段が形成される。
【0030】
また、記憶部41には、搬送監視センサ19が先行する紙幣の後端を検出してから、次の紙幣の先端を検出するまでの時間である紙幣間隔の接近を判定するための時間で表された規定紙幣間隔が格納されている。
以下に、図8に示すタイムチャートおよび図9に示すフローチャートを用い、図9にSで示すステップに従って、本実施例の紙幣整理処理における紙幣集積処理について説明する。
【0031】
紙幣整理装置に電源が投入されると、制御部40は、紙幣整理処理プログラムにより、操作表示部13の画面に各種の整理モードの選択画面を表示する。
オペレータは、表示された選択画面から実行する整理モードを選択し、結束する紙幣の種別等を指定する。
本実施例では、整理モードとして、万券の1金種結束モードが選択され、紙幣の種別として、万券の正券と万券の損券とが指定されたものとして説明する。
【0032】
オペレータは、正損の混在した万券を投入口1へセットし、操作部7の計数開始ボタン7aを押下する。
計数開始ボタン7aの押下を受付けた制御部40は、記憶部41の集積枚数カウントエリア42a〜42dを「0」に初期設定すると共に、一時集積部6aへ集積する紙幣の種別を万券の正券とし、一時集積部6bへ集積する紙幣の種別を万券の損券とし、一時集積部6c、6dを一時集積部6aまたは一時集積部6bに一定枚数の紙幣が集積されたときにそれ以降の紙幣を集積する種別指定のない補助集積部として設定し、これを記憶部41へ種別設定として格納する。
【0033】
そして、制御部40は、時計部43により搬送監視センサ19が搬送路3dを搬送される紙幣の先端を検出するまでの経過時間を計測しながら、投入口1から紙幣を1枚毎に搬送路3aへ繰出して鑑別部2へ搬送し、鑑別部2は、搬送された紙幣の真偽、正損、金種等の鑑別と搬送異常等の検出を行い、その鑑別結果を制御部40へ転送する。
鑑別結果を受取った制御部40は、その鑑別結果を基に、鑑別された紙幣が真券で5千券や2千券、千券であって結束対象外の紙幣である場合は、搬送路3c、3eによりオープンポケット5に搬送して集積する。
【0034】
また、鑑別された紙幣が、偽券あるいは金種不明と鑑別された紙幣、および重送等の搬送異常が検出された紙幣である場合は、搬送路3bによりリジェクトポケット8に搬送して集積する。
真券の万券と鑑別された紙幣は、正損の別に関わらず搬送路3cにより表裏反転部4に搬送し、表裏反転部4で表裏を揃えた後に、搬送路3dにより集積機構6の振分搬送路15へ搬送する。
【0035】
このようにして集積機構6へ搬送された紙幣は、以下のように一時集積部6a〜6dに集積される。
S1、制御部40は、搬送監視センサ19により搬送路3dを搬送される紙幣の通過を待って待機しており、搬送される紙幣の先端を検出(図8に示す搬送監視センサ19のOFFからONをいう。本実施例では左右のセンサのいずれか一方がONになった時をいう。)したときに、時計部43により計測した経過時間を認識してステップS2へ移行する。
【0036】
S2、紙幣の先端を検出した制御部40は、鑑別部2の鑑別結果を基に、記憶部41の種別設定を参照して検出した紙幣の集積先を認識する。
本実施例では、鑑別結果が万券の正券であり、その集積先を一時集積部6aと認識した場合について説明する。
S3、集積先を認識した制御部40は、上記ステップS1で検出した当該紙幣の後端の検出を待って待機し、当該紙幣の後端を検出(図8に示す搬送監視センサ19のONからOFFをいう。本実施例では左右のセンサの両方がOFFになった時をいう。)したときに、時計部43により次の紙幣の先端を検出するまでの経過時間の計測を開始してステップS4へ移行する。
【0037】
S4、制御部40は、当該紙幣が搬送された最初の紙幣である場合はステップS10へ移行し、当該紙幣が2枚目以降の紙幣である場合はステップS5へ移行する。
S5、当該紙幣が2枚目以降の紙幣であることを認識した制御部40は、上記ステップS1で当該紙幣の先端を検出したときに認識した経過時間を、先行紙幣の後端から当該紙幣の先端までの紙幣間隔として認識し、これを記憶部41に一時保存する。
【0038】
S6、当該紙幣の紙幣間隔を認識した制御部40は、記憶部41の規定紙幣間隔および紙幣間隔を読出し、紙幣間隔が規定紙幣間隔未満の場合は、当該紙幣を接近紙幣と判定してステップS7へ移行する。
紙幣間隔が規定紙幣間隔以上の場合は、当該紙幣の搬送を正常搬送と判定してステップS10へ移行する。
【0039】
S7、当該紙幣を接近紙幣と判定した制御部40は、先行紙幣の集積先を鑑別部2の鑑別結果を基に認識し、その集積先が接近紙幣と異なる場合は、集積は正常に行われると判定してステップS10へ移行する。
先行紙幣の集積先が接近紙幣と同じ場合は、集積異常が発生する虞があると判定してステップS8へ移行する。
【0040】
S8、集積異常が発生する虞があると判定した制御部40は、接近紙幣を集積する集積先を除く他の一時集積部の中で、集積すべき紙幣の種別が設定されていない補助集積部(本実施例では一時集積部6c、6d)のいずれか一つ、例えば一時集積部6cを接近紙幣の種別と同じ種別(本実施例では万券の正券)の紙幣を集積する一時集積部として選択する。
【0041】
S9、そして、制御部40は、この選択結果を基に、一時集積部6cへ集積する紙幣の種別を万券の正券とし、一時集積部6aは接近紙幣を最後に以降の紙幣を集積しない縮退集積部として記憶部41の種別設定を変更する。
これにより、接近紙幣の次の紙幣以降の紙幣が、接近紙幣と同じ種別の紙幣の場合は一時集積部6cへ集積される。
【0042】
S10、搬送路3dを搬送される当該紙幣を検出し、その集積先を認識した制御部40は、振分搬送路15の集積先に該当する一時集積部(本実施例では6a)へ搬送方向を切替える切替ブレード21aを所定のタイミングで作動させて当該紙幣を一時集積部6aの方向に搬送する。
S11、制御部40は、時計部43により上記ステップS1で当該紙幣の先端を検出したときから、一時集積部6aの進入センサ22aが当該紙幣の先端を検出するまでの搬送時間を計測しながら、進入センサ22aが当該紙幣の先端を規定搬送時間以内に検出するのを待って待機しており、進入センサ22aが当該紙幣の先端を検出(図8に示す進入センサ22aのOFFからONをいう。本実施例では左右のセンサのいずれか一方がONになった時をいう。)したときにステップS13へ移行する。
【0043】
進入センサ22aが当該紙幣の先端を規定搬送時間以内に検出しない場合は、ステップS12へ移行する。
S12、進入センサ22aが当該紙幣の先端を規定搬送時間以内に検出しないことを認識した制御部40は、搬送監視センサ19から進入センサ22aまでの間のいずれかでジャムが発生したと判定し、操作表示部13の画面にその旨の文言を表示して紙幣整理装置の作動を停止させる。
【0044】
その後、オペレータは操作表示部13に表示された内容を確認し、その部位を点検してジャム紙幣等を除去し、紙幣整理装置を再作動させる。
S13、進入センサ22aが当該紙幣の先端を検出したことを認識した制御部40は、時計部43により上記ステップS11で進入センサ22aが当該紙幣の先端を検出したときから、進入センサ22aが当該紙幣の後端を検出するまでの時間(進入センサ22aを通過する1枚の紙幣の長さに相当する時間、紙幣通過時間という。)を計測しながら、進入センサ22aが当該紙幣の後端を規定紙幣通過時間以内に検出するのを待って待機しており、進入センサ22aが当該紙幣の後端を検出(図8に示す進入センサ22aのONからOFFをいう。本実施例では左右のセンサの両方がOFFになった時をいう。)したときにステップS15へ移行する。
【0045】
進入センサ22aが当該紙幣の後端を規定紙幣通過時間以内に検出しない場合は、ステップS14へ移行する。
S14、進入センサ22aが当該紙幣の後端を規定紙幣通過時間以内に検出しないことを認識した制御部40は、進入センサ22aの近傍、つまり一時集積部6aの進入口でジャムが発生したと判定し、操作表示部13の画面にその旨の文言を表示し、紙幣整理装置の作動を停止させる。
【0046】
その後、オペレータは操作表示部13に表示された内容を確認し、その部位を点検してジャム紙幣等を除去し、紙幣整理装置を再作動させる。
S15、進入センサ22aが当該紙幣の後端を検出したことを認識した制御部40は、当該紙幣が一時集積部6aに集積されたことを認識し、記憶部41の集積枚数カウントエリア42aのカウント数に「1」を加えて一時集積部6aに集積された紙幣の集積枚数を更新する。
【0047】
S16、一時集積部6aの集積枚数を更新した制御部40は、記憶部41の集積枚数カウントエリア42aの集積枚数を確認し、一時集積部6aの集積枚数が一定枚数未満の場合はステップS18へ移行する。
一時集積部6aの集積枚数が一定枚数、つまり100枚の場合は集積先の変更が必要と判定してステップS17へ移行する。
【0048】
S17、一時集積部6aに一定枚数の紙幣が集積されたことを認識した制御部40は、記憶部41の種別設定の補助集積部の一つ、例えば一時集積部6cへ集積する紙幣の種別を一時集積部6aと同じ種別、つまり万券の正券とし、一時集積部6aを補助集積部として記憶部41の種別設定を変更する。
そして、移送機構9により一時集積部6aの一定枚数の紙幣を束のまま引抜いて紙幣結束機構10へ移送すると共に、記憶部41の集積枚数カウントエリア42aの一時集積部6aの集積枚数を「0」にリセットしてステップS18へ移行する。
【0049】
これと並行して、制御部40は、紙幣結束機構10の搬送手段31により移送機構9から100枚の紙幣を束のまま受け取り、テープ供給手段34により供給されたテープ32に印字手段33により紙幣の種別等を印字し、カッタ35で切断されたテープを100枚の紙幣に巻き掛けて紙幣束を作成し、これを放出口11に送って装置の外部へ放出する。
S18、一時集積部6aの集積枚数の更新、または一定枚数の紙幣が集積されたことによる記憶部41の種別設定の変更を行った制御部40は、上記ステップS9において縮退集積部を設定した場合はステップS20へ移行し、縮退集積部を設定していない場合はステップS19へ移行する。
【0050】
S19、縮退集積部を設定していないことを認識した制御部40は、操作表示部13の画面に図10に示す集積状況表示画面を表示してステップS21へ移行する。
集積状況表示画面には、各一時集積部6a〜6dを示す番号に対応させて、そこに集積される紙幣の種別の設定がその集積種別欄に表示され、およびそのときまでの集積枚数が集積枚数欄に表示される。
【0051】
これにより、一時集積部6a〜6dの種別毎の集積枚数が、紙幣が集積される毎に随時更新されて表示される。
この場合に、ステップS17において記憶部41の種別設定を変更したときは、種別設定を変更した一時集積部6cには、その変更後の種別がその集積種別欄に表示される。
S20、縮退集積部を設定したことを認識した制御部40は、記憶部41の各一時集積部の種別設定を参照して、縮退した一時集積部(本実施例では6a)を特定し、操作表示部13の画面に図11に示す縮退集積部表示画面を表示してステップS21へ移行する。
【0052】
縮退集積部表示画面には、接近紙幣を集積したことを示す表示として、縮退集積庫として設定した一時集積部6aを示す番号に対応させて、その集積種別欄に縮退集積部である旨の表示および集積枚数欄に集積枚数が不定であることを示す「−」が表示され、他の一時集積部6b〜6dは、前記の集積状況表示画面と同様に表示される。
この場合に、縮退が発生したために新たに集積する紙幣の種別を設定した一時集積部6cには、その変更後の種別がその集積種別欄に表示される。
【0053】
これにより、オペレータは接近紙幣が発生し、縮退集積部が設定されたことを認知し、紙幣集積処理の終了後、または紙幣集積処理を一旦停止させて、縮退集積部内に集積された紙幣を適切に処置することができる。
S21、一時集積部6a〜6dへの集積状況を表示した制御部40は、上記ステップS15でカウントした紙幣が、投入口1に投入された紙幣の最後の紙幣である場合は、紙幣集積処理を終了させる。
【0054】
集積した紙幣が最後の紙幣でない場合は、ステップS1へ戻って上記の紙幣集積処理を継続する。
ここで、上記の紙幣集積処理の作動を図8を用いて連続的に説明する。
搬送監視センサ19が最初に検出した紙幣の集積先が一時集積部6aである場合は、所定のタイミングで切替ブレード21aを一時集積部6aの方向に切替え(ステップS10)、紙幣を一時集積部6aの方向に搬送し、進入センサ22aにより紙幣の後端を検出(ステップS13)したときに一時集積部6aの集積枚数を更新する(ステップS15)。
【0055】
2枚目に検出した紙幣の集積先も一時集積部6aである場合は、前記と同様にして、紙幣を一時集積部6aに集積し、その集積枚数を更新する。
3枚目の紙幣が、接近紙幣と判定(ステップS6)され、その集積先が先行紙幣と同一、つまり一時集積部6aと認識(ステップS7)した場合は、図8に鎖線の矢印で示すようにその接近紙幣を一時集積部6aに集積すると共に、以降に搬送される同一種別の紙幣の集積先を一時集積部6cに変更する(ステップS9)。
【0056】
4枚目に検出した紙幣の種別が、一時集積部6aに集積していた紙幣の種別と同一である場合は、その紙幣の集積先を変更された種別設定により一時集積部6cと認識(ステップS2)し、所定のタイミングで切替ブレード21cを一時集積部6cの方向に切替え(ステップS10)、紙幣を一時集積部6cの方向に搬送し、進入センサ22cにより紙幣の後端を検出(ステップS13)したときに一時集積部6cの集積枚数を更新する(ステップS15)。
【0057】
5枚目以降の紙幣の場合も同様である。
上記のように本実施例の紙幣集積処理では、接近紙幣を検出した場合に、その接近紙幣を本来の集積先の一時集積部(本実施例では6a)に集積し、その後の同一種別の次の紙幣は、選定した他の一時集積部(本実施例では6c)に集積先を変更して集積するので、例え本来の集積先の一時集積部6aで追突による整列不良が生じたとしても、それ以降の紙幣を他の一時集積部6cに整然と集積することが可能になり、一時集積部6a〜6dにおける集積異常を防止することができる。
【0058】
また、紙幣の先端の検出を左右のセンサのいずれか一方のON時とし、紙幣の後端の検出を左右のセンサの両方のOFF時としたので、搬送される紙幣に軽度の斜行等が生じた場合にその最短の紙幣間隔を測定することが可能になり、接近紙幣をより正確に検出して一時集積部6a〜6dにおける集積異常を確実に防止することができる。
以上説明したように、本実施例では、表裏反転部と集積機構との間を接続する搬送路に紙幣の搬送状態を監視する搬送監視センサを設け、この搬送監視センサを通過する紙幣の紙幣間隔が規定紙幣間隔より短い場合に、その接近紙幣を集積する集積先を除く他の一時集積部を選定し、接近紙幣を本来の集積先へ集積すると共に、以降の紙幣を選定された他の一時集積部へ集積するようにしたことによって、例え接近紙幣の本来の集積先の一時集積部で追突による整列不良が生じたとしても、その後の紙幣を他の一時集積部に整然と集積することが可能になり、接近紙幣が発生した場合の一時集積部における集積異常を防止することができる。
【0059】
また、他の一時集積部を、接近紙幣の集積先を除く他の複数の一時集積部の中で集積すべき紙幣の種別が設定されていない一時集積部に設定するようにしたことによって、接近紙幣の次の紙幣の適切な集積先を選定することができる。
この場合に、他の一時集積部を、接近紙幣と同一種別の紙幣を集積する一時集積部であって集積枚数が一定枚数未満の一時集積部に設定するようにしても同様の効果を得ることができる。
【0060】
このことは、オペレータにより予め各一時集積部の種別設定が指定された場合に、特に有効である。
更に、表示部としての操作表示部に、接近紙幣が集積された一時集積部を表示するようにしたことによって、オペレータは縮退集積部が発生したことを容易に認知することができ、縮退集積部内に集積された紙幣を適切に処置することができる。
【実施例2】
【0061】
図12は実施例2の一時集積部の側面を示す説明図、図13は実施例2の上位置の位置センサの上面を示す説明図である。
なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例の一時集積部6a〜6cは同一の構造を有しているので、以下に一時集積部6aを例に説明する。
【0062】
本実施例の一時集積部6aに設けられた板状の押え板29には、図12に示すように、押え板29を昇降させるモータ51が設けられ、その進入口と反対側の端部には位置センサ52a、52bの遮蔽板53が設けられている。
位置センサ52a、52bは、図13に示すように、コの字状のホルダ54の内側に発光部と受光部とを遮蔽板53の厚さより広い隙間を介して対向配置した一対の光学式センサであって、押え板29の退避位置である上位置と、紙幣の進入口より下方の位置である下位置にそれぞれ配置されており、発光部からの光を遮蔽板53が遮断したことを受光部が検出して押え板29の位置を検出する。
【0063】
図12において、55は残留紙幣検出センサであり、発光部から照射した光の反射光を受光部が検出して検出対象物の存在を検出する反射型の光学式センサであって、一時集積部6aの天板に設置され、押え板29の中央部に光を照射するように配置されており、押え板29上に残留する紙幣を検出する機能を有している。
56は集積板であり、一時集積部6aの進入口と反対側を上方に曲折させてバネ性を付与した板状部材であって、その上に集積された紙幣の自重により自身が徐々に撓むことにより集積紙幣を下方に移動させて紙幣の集積空間を形成するように機能する。
【0064】
本実施例の一時集積部6a〜6dに設けられた押え板29は、その上に接近紙幣を集積することで、紙幣集積部6a等における集積異常の発生を防止する。
本実施例の記憶部41には、上記実施例1と同様の紙幣結束処理プログラムに、搬送路3dを搬送される紙幣の紙幣間隔を検出し、接近紙幣が検出されたときに、その接近紙幣を押え板29上に集積して集積異常を回避する機能を有する紙幣集積処理プログラム等が追加された紙幣整理処理プログラムが予め格納されており、制御部40が実行する紙幣整理処理プログラムのステップにより本実施例の紙幣整理装置のハードウェアとしての各機能手段が形成される。
【0065】
また、記憶部41には、実施例1と同様の規定紙幣間隔が格納されている。
以下に、図14に示すフローチャートを用い、SAで示すステップに従って、本実施例の紙幣整理処理における紙幣集積処理について説明する。
本実施例ステップSA1〜SA5の作動は、上記実施例1のステップS1〜S5の作動と同様であるのでその説明を省略する。
【0066】
SA6、当該紙幣の紙幣間隔を認識した制御部40は、上記実施例1のステップS10と同様に、振分搬送路15の集積先に該当する一時集積部(本実施例では6a)へ搬送方向を切替える切替ブレード21aを所定のタイミングで作動させて当該紙幣を一時集積部6aの方向に搬送する。
SA7、制御部40は、実施例1のステップS11と同様にして、進入センサ22aが当該紙幣の先端を規定搬送時間以内に検出するのを待って待機しており、進入センサ22aが当該紙幣の先端を検出したときにステップSA9へ移行する。
【0067】
進入センサ22aが当該紙幣の先端を規定搬送時間以内に検出しない場合は、ステップSA8へ移行する。
その後のステップSA8の作動は、実施例1のステップS12の作動と同様であるのでその説明を省略する。
SA9、進入センサ22aが当該紙幣の先端を検出したことを認識した制御部40は、実施例1のステップS6と同様にして、紙幣間隔が規定紙幣間隔未満の場合は、当該紙幣を接近紙幣と判定してステップSA10へ移行し、紙幣間隔が規定紙幣間隔以上の場合は、当該紙幣の搬送を正常搬送と判定してステップSA15へ移行する。
【0068】
SA10、当該紙幣を接近紙幣と判定した制御部40は、実施例1のステップS7と同様にして、先行紙幣の集積先が接近紙幣と異なる場合は、集積は正常に行われると判定してステップSA15へ移行する。
先行紙幣の集積先が接近紙幣と同じ場合は、集積異常が発生する虞があると判定してステップSA11へ移行する。
【0069】
SA11、集積異常が発生する虞があると判定した制御部40は、全ての搬送路3(振分搬送路15を含む。)による紙幣の搬送を一旦停止させる(図15(a)参照)。
SA12、紙幣の搬送を停止させた制御部40は、モータ51により押え板29を位置センサ52bが遮蔽板53を検出するまで降下させて押え板29上に接近紙幣の集積空間を形成する(図15(b))。
【0070】
SA13、接近紙幣の集積空間を形成した制御部40は、モータ18(図4参照)を回転させて振分搬送路15のみを駆動し、実施例1のステップS13と同様にして、進入センサ22aが接近紙幣の後端を規定紙幣通過時間以内に検出するのを待って待機し、進入センサ22aが当該紙幣の後端を規定紙幣通過時間以内に検出しない場合は、ステップSA16へ移行する。
【0071】
制御部40は、進入センサ22aが接近紙幣の後端を検出したときに接近紙幣の押え板29上への集積を認識し(図15(c))、モータ51により押え板29を位置センサ52aが遮蔽板53を検出するまで上昇させ、押え板29と集積板56上に集積された紙幣の間に集積空間を形成する(図15(d))。このとき、残留紙幣検出センサ55により押え板29上に集積された接近紙幣が検出され、制御部40は一時集積部6aの押え板29上の接近紙幣の存在を認識する。
【0072】
SA14、押え板29上の接近紙幣の存在を認識した制御部40は、全ての搬送路3による紙幣の搬送を再開して接続子Eを介してステップSA19へ移行する。
この場合に、ステップSA1における経過時間の計測は、全ての搬送路3を一旦停止させてから紙幣の搬送を再開するまでの停止時間を減じたものとされる。
SA15、当該紙幣の先端を進入センサ22aが検出したことを認識した制御部40は、実施例1のステップS13と同様にして、進入センサ22aが当該紙幣の後端を規定紙幣通過時間以内に検出するのを待って待機しており、進入センサ22aが当該紙幣の後端を検出したときにステップSA17へ移行する。
【0073】
進入センサ22aが当該紙幣の後端を規定紙幣通過時間以内に検出しない場合は、ステップSA16へ移行する。
その後のステップSA16〜SA19の作動は、実施例1のステップS14〜S17の作動と同様であるのでその説明を省略する。
SA20、一時集積部6aの集積枚数の更新、または一定枚数の紙幣が集積されたことによる記憶部41の種別設定の変更、または接近紙幣の押え板29上への集積を行った制御部40は、残留紙幣検出センサ55により押え板29上に集積された接近紙幣の存在を認識している場合はステップSA22へ移行し、押え板29上に紙幣が存在していない場合はステップSA21へ移行する。
【0074】
SA21、押え板29上に紙幣が存在していないことを認識した制御部40は、実施例1のステップS19と同様に、操作表示部13の画面に図10に示す集積状況表示画面を表示してステップSA23へ移行する。
SA22、押え板29上の接近紙幣の存在を認識した制御部40は、押え板29上の接近紙幣を検出している残留紙幣検出センサ55によりその一時集積部(本実施例では6a)を特定し、操作表示部13の画面に図16に示す接近紙幣集積部表示画面を表示してステップSA23へ移行する。
【0075】
接近紙幣集積部表示画面には、図10に示す集積状況表示画面と同様の画面に、接近紙幣を押え板29上に集積した一時集積部6aを示す番号に対応させて、欄外に接近紙幣を集積したことを示す表示(本実施例では「RJ(リジェクトの意)」)が表示される。
これにより、オペレータは接近紙幣を集積した一時集積部を認知し、紙幣集積処理の終了後、または紙幣集積処理を一旦停止させて、集積された接近紙幣を適切に処置することができる。
【0076】
その後のステップSA23の作動は、上記実施例1のステップS21の作動と同様であるので、その説明を省略する。
上記のように本実施例の紙幣集積処理では、接近紙幣を検出した場合に、その接近紙幣を本来の集積先の一時集積部(本実施例では6a)の押え板29を降下させてその上に集積し、その後の同一種別の次の紙幣は、同じ一時集積部(本実施例では6a)の押え板29を上昇させて集積板24上に集積するので、接近紙幣を本来の一時集積部6a内に別に集積することが可能になり、一時集積部6aで追突による整列不良が生じることはなく、それ以降の紙幣を同じ一時集積部6aの集積板24上に整然と集積することができ、紙幣整理装置の紙幣の処理能力を維持したまま、一時集積部6a〜6dにおける集積異常を防止することができる。
【0077】
以上説明したように、本実施例では、表裏反転部と集積機構との間を接続する搬送路に紙幣の搬送状態を監視する搬送監視センサを設けると共に、一時集積部に、搬送された紙幣を集積する集積板と、集積板の上方に対向して昇降可能に構成された集積紙幣の押え板とを設け、搬送監視センサを通過する紙幣の紙幣間隔が規定紙幣間隔より短い接近紙幣が搬送されたときに、一時集積部の降下させた押え板上に接近紙幣を集積するようにしたことによって、接近紙幣を本来の一時集積部内に別に集積することが可能になり、それ以降の紙幣を同じ一時集積部の集積板上に整然と集積することができ、紙幣整理装置の紙幣の処理能力を維持したまま、接近紙幣が発生した場合の一時集積部における集積異常を防止することができる。
【実施例3】
【0078】
図17は実施例3の紙幣集積処理を示すフローチャートである。
なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例の紙幣整理装置は、上記実施例1と同様である。
本実施例の記憶部41には、上記実施例1と同様の紙幣結束処理プログラムに、搬送路3dを搬送される紙幣の紙幣間隔を検出し、接近紙幣が検出されたときに、その接近紙幣本来の集積先へ集積し、接近紙幣の次の紙幣以降の紙幣を他の一時集積部へ搬送して集積すると共に、本来の集積先へ集積した接近紙幣を含む紙幣を移送機構9により引抜いて集積異常を回避する機能を有する紙幣集積処理プログラム等が追加された紙幣整理処理プログラムが予め格納されており、制御部40が実行する紙幣整理処理プログラムのステップにより本実施例の紙幣整理装置のハードウェアとしての各機能手段が形成される。
【0079】
また、記憶部41には、実施例1と同様の規定紙幣間隔が格納されている。
以下に、図17に示すフローチャートを用い、SBで示すステップに従って、本実施例の紙幣整理処理における紙幣集積処理について説明する。
本実施例ステップSB1〜SB8の作動は、上記実施例2のステップSA1〜SA8の作動と同様であるのでその説明を省略する。
【0080】
SB9、当該紙幣の先端を進入センサ22aが検出したことを認識した制御部40は、実施例1のステップS13と同様にして、進入センサ22aが当該紙幣の後端を規定紙幣通過時間以内に検出するのを待って待機しており、進入センサ22aが当該紙幣の後端を検出したときにステップSB11へ移行する。
進入センサ22aが当該紙幣の後端を規定紙幣通過時間以内に検出しない場合は、ステップSB10へ移行する。
【0081】
その後のステップSB10の作動は、実施例1のステップS14の作動と同様であるのでその説明を省略する。
SB11、進入センサ22aが当該紙幣の後端を検出したことを認識した制御部40は、実施例1のステップS6と同様にして、紙幣間隔が規定紙幣間隔未満の場合は、当該紙幣を接近紙幣と判定してステップSB12へ移行し、紙幣間隔が規定紙幣間隔以上の場合は、当該紙幣の搬送を正常搬送と判定してステップSB14へ移行する。
【0082】
SB12、当該紙幣を接近紙幣と判定した制御部40は、実施例1のステップS7と同様にして、先行紙幣の集積先が接近紙幣と異なる場合は、集積は正常に行われると判定してステップSB14へ移行する。
先行紙幣の集積先が接近紙幣と同じ場合は、集積異常が発生する虞があると判定してステップSB13へ移行する。
【0083】
SB13、当該紙幣を接近紙幣と判定し、集積異常が発生する虞があると判定した制御部40は、接近紙幣が一時集積部6aに集積されたことを認識し、上記実施例1のステップS8と同様に、接近紙幣を集積する集積先を除く他の一時集積部の中で、集積すべき紙幣の種別が設定されていない補助集積部(本実施例では一時集積部6c、6d)のいずれか一つ、例えば一時集積部6cを接近紙幣の種別と同じ種別(本実施例では万券の正券)の紙幣を集積する一時集積部として選択し、この選択結果を基に、一時集積部6cへ集積する紙幣の種別を万券の正券とし、一時集積部6aを補助集積部として記憶部41の種別設定を変更する。
【0084】
これにより、接近紙幣の次の紙幣以降の紙幣が、接近紙幣と同じ種別の紙幣の場合は一時集積部6cへ集積される。
そして、制御部40は、移送機構9により一時集積部6aの接近紙幣を含む紙幣を集積枚数に関わらず束のまま引抜いて紙幣結束機構10へ移送すると共に、記憶部41の集積枚数カウントエリア42aの一時集積部6aの集積枚数を「0」にリセットしてステップSB18へ移行する。
【0085】
これと並行して、制御部40は、紙幣結束機構10の搬送手段31により移送機構9から接近紙幣を含む紙幣を束のまま受け取り、テープ供給手段34により供給されたテープ32に印字手段33により接近紙幣が含まれている旨の印字(本実施例では「RJ」)を行い、カッタ35で切断されたテープを接近紙幣を含む紙幣に巻き掛けて紙幣束を作成し、これを放出口11に送って装置の外部へ放出する。
【0086】
これにより、オペレータは接近紙幣を含む紙幣束を認知し、紙幣集積処理の終了後、または紙幣集積処理中に、接近紙幣を含む紙幣束を適切に処置することができる。
その後のステップSB14〜SB16の作動は、実施例1のステップS15〜S17の作動と同様であるのでその説明を省略する。
SB17、一時集積部6aの集積枚数の更新、または一定枚数の紙幣が集積されたことによる記憶部41の種別設定の変更を行った制御部40は、実施例1のステップS19と同様に、操作表示部13の画面に図10に示す集積状況表示画面を表示してステップSB18へ移行する。
【0087】
その後のステップSB18の作動は、上記実施例1のステップS21の作動と同様であるので、その説明を省略する。
上記のように本実施例の紙幣集積処理では、接近紙幣を検出した場合に、その接近紙幣を本来の集積先の一時集積部(本実施例では6a)に集積し、その後の同一種別の次の紙幣は、選定した他の一時集積部(本実施例では6c)に集積先を変更して集積し、一時集積部6aに集積された接近紙幣を含む紙幣は、これを移送機構9により引抜いて紙幣結束機構10によりテープ32に接近紙幣が含まれている旨の印字を行って装置外に放出するので、例え本来の集積先の一時集積部6aで追突による整列不良が生じたとしても、それ以降の紙幣を他の一時集積部6cに整然と集積することが可能になると共に、一時集積部6aに集積された接近紙幣を含む紙幣を引抜いて、直ちに一時集積部6aを空の状態に戻すことが可能になり、紙幣整理装置の紙幣の処理能力を維持したまま、一時集積部6a〜6dにおける集積異常を防止することができる。
【0088】
以上説明したように、本実施例では、表裏反転部と集積機構との間を接続する搬送路に紙幣の搬送状態を監視する搬送監視センサを設け、一時集積部に、搬送監視センサを通過する紙幣の紙幣間隔が規定時間より短い接近紙幣が集積されたときに、その接近紙幣を集積する集積先を除く他の一時集積部を選定し、以降の紙幣を選定された他の一時集積部へ集積すると共に、接近紙幣を本来の集積先の一時集積庫に集積し、この一時集積部に集積されている接近紙幣が含まれた紙幣を、集積枚数に関わらず移送機構により紙幣結束機構へ移送し、紙幣結束機構で、印字手段により接近紙幣が含まれている旨の印字を行ったテープを用いて移送された紙幣を結束して放出するようにしたことによって、例え本来の集積先の一時集積部で追突による整列不良が生じたとしても、それ以降の紙幣を他の一時集積部に整然と集積することが可能になると共に、一時集積部に集積された接近紙幣を含む紙幣を引抜いて直ちにその一時集積部を空の状態に戻すことが可能になり、紙幣整理装置の紙幣の処理能力を維持したまま、接近紙幣が発生した場合の一時集積部における集積異常を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】実施例1の紙幣整理装置の内部構造を示す概略側面図
【図2】実施例1の紙幣整理装置の外観を示す斜視図
【図3】図1の上部の拡大図
【図4】実施例1の集積機構の側面を示す説明図
【図5】実施例1の一時集積部を示す斜視図
【図6】実施例1の紙幣結束機構の側面を示す説明図
【図7】実施例1の紙幣集積処理に係る制御系を示すブロック図
【図8】実施例1の紙幣集積処理に係るタイムチャートを示すブロック図
【図9】実施例1の紙幣集積処理を示すフローチャート
【図10】実施例1の集積状況表示画面の表示例を示す説明図
【図11】実施例1の縮退集積部表示画面の表示例を示す説明図
【図12】実施例2の一時集積部の側面を示す説明図
【図13】実施例2の上位置の位置センサの上面を示す説明図
【図14】実施例2の紙幣集積処理を示すフローチャート
【図15】実施例2の接近紙幣集積処理の作動を示す説明図
【図16】実施例2の接近紙幣集積部表示画面の表示例を示す説明図
【図17】実施例3の紙幣集積処理を示すフローチャート
【符号の説明】
【0090】
1 投入口
2 鑑別部
3、3a〜3e 搬送路
4 表裏反転部
4a 反転搬送路
4b スイッチバック機構
5 オープンポケット
6 集積機構
6a〜6d 一時集積部
7 操作部
7a 計数開始ボタン
8 リジェクトポケット
9 移送機構
9a ハンド部
10 紙幣結束機構
11 放出口
12 扉
13 操作表示部
15 振分搬送路
17、18、26a、51 モータ
19 搬送監視センサ
21、21a〜21c 切替ブレード
22、22a〜22d 進入センサ
24、56 集積板
25 叩き車
26 長手整位機構
26b 連結部材
26c 整位部材
27 短手整位機構
28 基準面
29 押え板
31 搬送手段
32 テープ
33 印字手段
34 供給手段
35 カッタ
40 制御部
41 記憶部
42a〜42d 集積枚数カウントエリア
43 時計部
52a、52b 位置センサ
53 遮蔽板
54 ホルダ
55 残留紙幣検出センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣を投入する投入口と、該投入口から1枚毎に搬送された紙幣の金種、表裏、正損を含む各種の鑑別を行う鑑別部と、該鑑別部の鑑別結果を基に紙幣の表裏を揃える表裏反転部と、該表裏反転部から搬送された紙幣を、前記鑑別部の鑑別結果に基づいて紙幣の金種、正損からなる種別毎に一定枚数の紙幣を集積する複数の一時集積部を有する集積機構とを備えた紙幣整理装置において、
前記表裏反転部と、前記集積機構との間を接続する搬送路に、紙幣の搬送状態を監視する搬送監視センサを設け、
該搬送監視センサを通過する紙幣の紙幣間隔が規定紙幣間隔より短い場合に、該規定紙幣間隔より短い紙幣間隔で通過した接近紙幣を集積する集積先を除く他の一時集積部を選定し、前記接近紙幣を前記集積先へ集積すると共に、以降の紙幣を選定された他の一時集積部へ集積することを特徴とする紙幣整理装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記他の一時集積部が、接近紙幣を集積する集積先を除く他の複数の一時集積部の中で、集積すべき紙幣の種別が設定されていない一時集積部、および前記接近紙幣と同一種別の紙幣を集積する一時集積部であって集積枚数が前記一定枚数未満の一時集積部のいずれか一つであることを特徴とする紙幣整理装置。
【請求項3】
紙幣を投入する投入口と、該投入口から1枚毎に搬送された紙幣の金種、表裏、正損を含む各種の鑑別を行う鑑別部と、該鑑別部の鑑別結果を基に紙幣の表裏を揃える表裏反転部と、該表裏反転部から搬送された紙幣を、前記鑑別部の鑑別結果に基づいて、紙幣の金種、正損からなる種別毎に一定枚数の紙幣を集積する複数の一時集積部を有する集積機構とを備えた紙幣整理装置において、
前記表裏反転部と、前記集積機構との間を接続する搬送路に、紙幣の搬送状態を監視する搬送監視センサを設けると共に、前記一時集積部に、搬送された紙幣を集積する集積板と、該集積板の上方に対向して配置され、昇降可能に構成された集積紙幣の押え板とを設け、
前記搬送監視センサを通過する紙幣の紙幣間隔が規定紙幣間隔より短い接近紙幣が搬送されたときに、前記一時集積部の前記押え板を降下させ、該降下させた前記押え板上に前記接近紙幣を集積することを特徴とする紙幣整理装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
前記一時集積部への紙幣の集積状況を表示する表示部を設け、
該表示部に、前記接近紙幣が集積された一時集積部を表示することを特徴とする紙幣整理装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2において、
前記各一時集積部に集積された一定枚数の紙幣を印字手段により印字されたテープで結束して紙幣束として放出する紙幣結束機構と、前記一時集積部に集積された一定枚数の紙幣を前記紙幣結束機構へ移送する移送機構とを設け、
前記接近紙幣を前記集積先の一時集積部に集積したときに、集積枚数に関わらず該一時集積部に集積されている紙幣を前記移送機構により前記紙幣結束機構へ移送し、前記紙幣結束機構で、前記印字手段により接近紙幣が含まれている旨の印字を行ったテープを用いて、前記移送された紙幣を結束して放出することを特徴とする紙幣整理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−146143(P2008−146143A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−329401(P2006−329401)
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】