説明

紙管接続構造及びそれを用いた椅子

【課題】
パイプ状の紙管とL字状に湾曲する接続ジョイントを確実かつ強固に連結でき、この接続構造を用いた椅子を提供する。
【解決手段】パイプ状の紙管で前脚1、後脚2及び接床パイプ9を構成し、その先端を斜めにカットして斜行先端部13を形成する。L字状に湾曲する挿入部10を有する接続ジョイント11には、湾曲部の内面に係止突起12が設けられている。上記前脚1、後脚2及び接床パイプ9を接続ジョイント11の挿入部10に入れ、上記斜行先端部13を係止突起12と挿入部10の内面間に差し込んで固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙管の接続構造およびその接続構造を用いた紙管製の椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
パイプ製の家具、例えば椅子の前脚、後脚は通常金属パイプ材料で作られているが、脚を紙材料で構成した椅子も知られており、この紙材料として、子供達でも取り扱えるよう紙管を用いた椅子や収納用ラックも知られている(例えば特許文献1、2参照)。しかし、従来知られている椅子は、紙管を単なるL字状のジョイントや連結具で接続しているので、L字状に接続する場合には、紙管の先端をジョイントのコーナーの湾曲部の手前までしか差し込むとことができないので、連結部分の長さが短くなり、強度が弱く、また紙管を回転する方向に力が作用すると、ジョイントと紙管を固定している取付ねじ部等に力が作用して壊れやすい。そのため、脚に対して垂直に荷重が作用するような簡素な椅子しか構成することができず、変化に富んだ、たとえば折畳み椅子のような椅子を紙管で構成することがむずかしかった。また、子供達が取り扱い中に指を挟まれるような危険性もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61−48312号公報(請求の範囲、第1図)
【特許文献2】実開昭48−57319号公報(請求の範囲、第1図〜第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の解決課題は、パイプ状の紙管をL字状の接続ジョイントで弛まないように確実に固定でき、強度も十分にあって収納ラックや斜めに傾斜する脚を有する椅子その他の家具に使用することができる紙管接続構造を提供し、またその紙管接続構造を使用した椅子、特に折畳み椅子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、パイプ状の紙管と、この紙管を挿入できるL字状に屈曲する挿入部を有する接続ジョイントを具備し、上記接続ジョイント内の屈曲部に係止突起を設け、上記紙管の先端を斜めにカットして斜行先端部を形成し、この斜行先端部を上記接続ジョイントに挿入して上記係止突起と挿入部の内面間に差し込んで固定したことを特徴とする紙管接続構造が提供され、上記課題が解決される。
【0006】
また、本発明によれば、椅子の前脚及び後脚をパイプ状の紙管で構成し、前脚、後脚の下部にそれぞれパイプ状の紙管で構成した接床パイプを設け、上記前脚、後脚の下部両端と接床パイプを上記本発明による紙管接続構造を有するL字状の接続ジョイントで連結したことを特徴とする椅子が提供され、この椅子として、
上記前脚の中間部に座枠部を枢着し、該座枠部の上方に後脚シリンダーの頭部を枢着し、該頭部の下方に上記後脚の内面に挿入されるシリンダー細径部を設け、該シリンダー細径部に溝を形成し、該溝を通して上記後脚と座枠部をピンで連結し、前脚と後脚を折畳み可能に連結した折りたたみ椅子が提供され、上記課題が解決される。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、上記のように構成され、パイプ状の紙管と、この紙管を挿入できるL字状に屈曲する挿入部を有する接続ジョイントを具備し、上記接続ジョイント内の屈曲部に係止突起を設け、上記紙管の先端を斜めにカットして斜行先端部を形成し、この斜行先端部を上記接続ジョイントに挿入して上記係止突起と挿入部の内面間に差し込んで固定したから、紙管をジョイントの屈曲部の奥まで差し込むことができるので、強度が増し、また回転が防止されるから、ジョイントと紙管を連結するねじ部に大きな力が作用することもなく、壊れにくく、各種の家具を構成することができる。特に、上記接続構造を用いて椅子を構成すると、前脚、後脚および接床パイプが確実かつ強固に連結されるから、従来の紙製いすには見られないような前脚、後脚が斜めになっている椅子や折畳み椅子を作ることができ、また、上記後脚シリンダーを用いて後脚を前脚に折畳み可能に連結すると、指挟みを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施例を示す椅子の斜視図。
【図2】脚と接床パイプの連結部の構成を示す分解斜視図。
【図3】連結部の断面図。
【図4】接続ジョイントの屈曲部の断面斜視図。
【図5】折畳み途中の側面図。
【図6】後脚シリンダー部分の他の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の紙管接続構造は、各種の家具等に適応することもできるが、以下、椅子に適応した実施例について説明する。図1において、本発明の椅子は、前脚1、後脚2を有し、前脚1の上端には背部3が固定され、中間部には連結軸4で座枠部5が枢着さている。後脚2の先端は後記するように後脚シリンダー6を介して前脚1に枢着7され、かつ座枠部5と後脚2はピン8で連結されている。
【0010】
上記前脚1、後脚2は丸パイプ状の紙管で構成され、各前脚1、後脚2の下部には丸パイプ状の紙管で構成した接床パイプ9が設けられ、L字状に屈曲する挿入部10を有する接続ジョイント11で連結されている。
【0011】
該接続ジョイント11は、プラスチック材料で構成され、屈曲部の内面に沿って係止突起12が形成されている。この係止突起12は図3においては、屈曲して一連に設けてあるが、挿入部10の内面に沿って複数箇所に設けることもでき、先端は後記する斜行先端部13の傾斜角度と対応させ傾斜させてある。また、挿入部10の側面には取付ねじ14を差し込むための孔15が設けられている。
【0012】
而して、上記前脚1、後脚2及び接床パイプ9の先端は斜め、好ましくは約45度の傾斜角度でカットして斜行先端部13が形成され、またナット16を固定するための取付孔17が設けられている。そして、この斜行先端部13が、上記係止突起12と挿入部10の内面に入り込むように上記前脚1、後脚2及び接床パイプ9を上記接続ジョイント11に挿入し、取付ねじ14で固定してある(図3、図4)。このようにして、脚1、2と接床パイプ9は回転防止状態で接続ジョイント11の奥部まで差し込まれる。
【0013】
上記後脚シリンダー6は、プラスチック材料で形成され、頭部18に形成した平面視略U字状のブラケット19が上記前脚1の側面に接する状態で枢着7され、このブラケット19の底部20と前脚1間には指を挟まない程度の空間21が形成されている。
【0014】
また、上記後脚シリンダー6の頭部18の下方には、上記後脚2の内面に挿入されるシリンダー細径部22が設けられ、細径部22に形成した縦長の溝23を通して上記のようにピン8を後脚2と座枠部5に枢着して、後脚2と前脚1を折畳み可能に連結している。この細径部22の太さは、折畳み操作をする際、前脚1と細径部22の間で指を挟まない間隔としてある。
【0015】
上記後脚シリンダー6の頭部18の基端と後脚の先端の間、図においてはシリンダー細径部22の上端には、緩衝作用のあるオレフィン系エラストマー等で構成した柔軟性のあるクッション部材24を設けてある。この構成により、万一図6に示すように指を挟むようなことがあっても、ケガを防止することができる。
【0016】
上記のようにして紙管製の折畳み椅子を製作することができ、上記前脚、後脚等の長さを変えれば、大きさの相違する椅子も簡単に得ることができ、椅子以外の収納棚その他適宜の家具を製造することも容易である。
【符号の説明】
【0017】
1 前脚
2 後脚
6 後脚シリンダー
9 接床パイプ
10 挿入部
11 接続ジョイント
12 径止突起
13 斜行先端部
22 シリンダー細径部
24 クッション部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプ状の紙管と、この紙管を挿入できるL字状に屈曲する挿入部を有する接続ジョイントを具備し、上記接続ジョイント内の屈曲部に係止突起を設け、上記紙管の先端を斜めにカットして斜行先端部を形成し、この斜行先端部を上記接続ジョイントに挿入して上記係止突起と挿入部の内面間に差し込んで固定したことを特徴とする紙管接続構造。
【請求項2】
上記斜行先端部の傾斜角度は45度である請求項1に記載の紙管接続構造。
【請求項3】
上記紙管と接続ジョイントはねじで固定されている請求項1又は2に記載の紙管接続構造。
【請求項4】
椅子の前脚及び後脚をパイプ状の紙管で構成し、前脚、後脚の下部にそれぞれパイプ状の紙管で構成した接床パイプを設け、上記前脚、後脚の下部両端と接床パイプを上記請求項1から3のいずれかの紙管接続構造を有するL字状の接続ジョイントで連結したことを特徴とする椅子。
【請求項5】
上記前脚の中間部に座枠部を枢着し、該座枠部の上方に後脚シリンダーの頭部を枢着し、該頭部の下方に上記後脚の内面に挿入されるシリンダー細径部を設け、該シリンダー細径部に溝を形成し、該溝を通して上記後脚と座枠部をピンで連結し、前脚と後脚を折畳み可能に連結した請求項4に記載の椅子。
【請求項6】
上記後脚シリンダーの頭部には前脚の両側面に接する状態で枢着されるブラケットが有り、該頭部の基端と後脚の先端間には緩衝作用を有するクッション部材が設けられている請求項5に記載の椅子。
【請求項7】
上記ブラケットは平面視略U字状に形成され、該ブラケットの底部と前脚間には指挟み防止の空間が形成されている請求項6に記載の椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−30760(P2011−30760A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179726(P2009−179726)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(391014114)三惠工業株式会社 (10)