説明

紙箱

【課題】折り罫線により折り曲げることにより発生する折り曲げ線をシャープな折り曲げ線とすることが可能な紙箱を提供すること。
【解決手段】折り罫線で折り曲げて組み立てる紙箱において、互いに隣り合う二つの折り曲げ面に円弧状の折り罫線(a、b)が設けられた紙箱(20)であって、互いに隣り合う二つの折り曲げ面(11、12)には、二つの折り曲げ面に挟まれるようにして、両端を同一にする二本の円弧状の折り罫線(a、b)に囲まれた、中央部分が膨らみ両端に行くにしたがって窄まる円弧面(13)が、隣り合う二つの折り曲げ面(11、12)よりも内側に押し下げられて形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り曲げる面と面との間に円弧状の円弧部分を形成させた紙箱に関するものであり、特には、シャープに表現できる円弧部分を形成させた紙箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、互いに隣り合う面と面との間に二本の円弧状の折り罫線を形成させて、二本の折り罫線に囲まれた円弧面を形成させた紙箱は高級感を感じさせる箱として薬品、雑貨、菓子等を収納する容器として存在している(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
上記先行技術文献を示す。
【非特許文献1】特許庁公報 周知・慣用技術集(包装産業)、昭和53.12.20.発行、P.207、P.269。
【0004】
しかし、いずれの場合にも、円弧面とその円弧面を挟んだ両側の面の三つの面が同一平面内に存在していて、折り罫線で折り曲げて箱に組み立てた際に、折り曲げ部分のシャープさに欠けるというきらいがあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、互いに隣り合う面と面との間に二本の円弧状の折り曲げ罫線を形成させて、二本の折り曲げ罫線に囲まれた円弧面を形成させた紙箱に関する以上のような問題に鑑みてなされたもので、折り罫線により折り曲げることにより発生する折り曲げ線をシャープな折り曲げ線とすることが可能な紙箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1の発明は、折り罫線で折り曲げて組み立てる紙箱において、互いに隣り合う二つの折り曲げ面に円弧状の折り罫線が設けられた紙箱であって、前記互いに隣り合う二つの折り曲げ面には、二つの折り曲げ面に挟まれるようにして、両端を同一にする二本の円弧状の折り罫線に囲まれた、中央部分が膨らみ両端に行くにしたがい窄まる円弧面が、隣り合う二つの折り曲げ面よりも内側に押し下げられて形成されていることを特徴とする紙箱である。
【0007】
このように請求項1記載の発明によれば、折り罫線で折り曲げて組み立てる紙箱において、互いに隣り合う二つの折り曲げ面に円弧状の折り罫線が設けられた紙箱であって、前記互いに隣り合う二つの折り曲げ面には、二つの折り曲げ面に挟まれるようにして、両端を同一にする二本の円弧状の折り罫線に囲まれた、中央部分が膨らみ両端に行くにしたがい窄まる円弧面が、隣り合い二つの折り曲げ面よりも内側に押し下げられて形成されているので、折り罫線により折り曲げることにより発生する面との境界の折り曲げ線を非常にシャープな折り曲げ線とすることができ、高級感のある紙箱とすることができる。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明のおいて、前記押し下げられた円弧面は、隣り合う二つの折り曲げ面の少なくとも中央部分に形成されていることを特徴とする紙箱である。
【0009】
このように請求項2記載の発明によれば、押し下げられた円弧面は、隣り合う二つの折り曲げ面の少なくとも中央部分に形成されているので、安定感のある紙箱となる。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記押し下げられた円弧面は、折り曲げ面の少なくとも1/2以上に形成されていることを特徴とする紙箱である。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項1、2又は3記載の発明において、前記押し下げられた円弧面は、高さ方向に対して折り曲げ面の少なくとも3/4以内であることを特徴とする紙箱である。
【0012】
このように請求項3、請求項4記載の発明によれば、押し下げられた円弧面は、折り曲げ面の少なくとも1/2以上に形成されていたり、高さ方向に対して折り曲げ面の少なくとも3/4以内であったりするので、安定感のある紙箱となる。
【発明の効果】
【0013】
このように本発明の紙箱は、円弧面とその円弧面を挟んだ両側の折り曲げ面との間に内側に凹んだ段差をつけたので、折り罫線で折り曲げて紙箱に組み立てた際、折り曲げ部分がシャープに折り曲げられて高級感のある紙箱に組み上がる。すなわり、片罫となるため通常罫線よりもくぼみ(円弧面)がシャープに再現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を一実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。
本発明の紙箱は、例えば、図1、図2、図3に示すように、互いに隣り合う二つの折り曲げ面(11、12)に二本の円弧状の折り罫線(a、b)が用いられた紙箱(20)である。
【0015】
そして、互いに隣り合う二つの折り曲げ面(11、12)には、二つの折り曲げ面(11、12)に挟まれるようにして、両端を同一にする二本の円弧状の折り罫線(a、b)に囲まれた、中央部分が膨らみ両端に行くにしたがい窄まる円弧面(13)が、隣り合う二つの折り曲げ面(11、12)よりも内側に押し下げられて形成されているものである。
【0016】
また、押し下げられた円弧面(13)は、隣り合う二つの折り曲げ面(11、12)の少なくとも中央部分に形成されていると、釣合いがとれて安定した紙箱となる。
【0017】
さらに押し下げられた円弧面(13)を、長さ方向に対して折り曲げ面(11、12)の少なくとも1/2以上に形成するようにしても、釣合いがとれて安定した紙箱となる。
【0018】
さらに押し下げられた円弧面(13)を、高さ(厚み)方向に対して折り曲げ面(11、12)の少なくとも3/4以内に形成するようにしても、釣合いがとれて安定した紙箱となる。
【0019】
つぎにより具体的な例として差し込み式のブランク(10)を例に本発明を詳細に説明する。なお、箱の形態はこの実施例に限定されるものではなく、折り罫線で折り曲げて組み立てる紙箱であればどのような形式の紙箱であっても良い。
【0020】
側面(12)、天面(11)、側面(12)、底面(14)、糊代面(15)がそれぞれ折り罫線を介して連設されている。
【0021】
互いに隣り合う二つの折り曲げ面である天面(11)と側面(12)には、二つの折り曲げ面に挟まれるようにして、両端を同一にする二本の円弧状の折り罫線(a、b)に囲
まれた、中央部分が膨らみ両端に行くにしたがい窄まる円弧面(13)が隣り合う二つの折り曲げ面である天面(11)と側面(12)よりも内側に押し下げられて形成されている。
【0022】
なおこの例では円弧面(13)は、天面(11)の両側に形成されているが、一方にのみ形成される形態であっても構わない。円弧面の数は紙箱のデザイン、使い勝手等総合的に判断して決めれば良い。
【0023】
円弧面(13)は、隣り合う二つの折り曲げ面である天面(11)と側面(12)の中央部分に形成され、また、長さ方向に対して折り曲げ面(11、12)の1/2以上になるように形成され、さらに、高さ(厚み)方向に対して折り曲げ面(11、12)の3/4以内に形成した。
【0024】
天面(11)の両側には折り罫線を介して折り曲げ面(111)、差し込み片(112)が順次連設されている。
【0025】
側面(12)の両側には折り罫線を介して舌片(121)が、糊代面(15)の両側には折り罫線を介して糊代片(151)がそれぞれ連設されている。
【0026】
側面(12)と側面に連設される舌片(121)の略中央部分に、長手方向に側面(12)と舌片(121)を二分する直線状の折り罫線(c)を形成させても良い。
【0027】
直線状の折り曲げ罫線(c)を形成させることにより、紙箱(10)をスリーブ状に折り畳んで保管等することができる。
【0028】
ブランク(10)から紙箱(20)への組立ては、例えば、つぎのようにして行うことができる。
すなわち、先ず、糊代面(15)の表面に接着剤を塗布すると共に、ブランク(10)を直線状の折り罫線(c)に沿って折り曲げるとともに、糊代面(15)の表面と側面(12)と舌片(121)の裏面を接着してブランクをスリーブ状に組み立てる。
【0029】
ついでこのスリーブを起こして、中に必要に応じて内容物を収容した後、舌片(121)を折り曲げ、折り曲げ面(111)を折り曲げ、最後に差し込み片(112)を底面(14)の間に差し込むことにより、スリーブは円弧面を形成させた紙箱(20)となる。なお、紙箱の形態は図1の例示に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の紙箱の一実施例を示す、斜視説明図である。
【図2】図1の紙箱の展開平面図である。
【図3】図2のA−A’線断面説明図である。
【符号の説明】
【0031】
10‥‥紙箱ブランク
11‥‥折り曲げ面、天面
12‥‥折り曲げ面、側面
13‥‥円弧面
14‥‥底面
15‥‥糊代面
111‥‥折り曲げ面
112‥‥差し込み片
121‥‥舌片
151‥‥糊代片
20‥‥紙箱
a‥‥円弧状の折り罫線
b‥‥円弧状の折り罫線
c‥‥直線状の折り罫線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り罫線で折り曲げて組み立てる紙箱において、
互いに隣り合う二つの折り曲げ面に円弧状の折り罫線が設けられた紙箱であって、
前記互いに隣り合う二つの折り曲げ面には、二つの折り曲げ面に挟まれるようにして、両端を同一にする二本の円弧状の折り罫線に囲まれた、中央部分が膨らみ両端に行くにしたがい窄まる円弧面が、隣り合う二つの折り曲げ面よりも内側に押し下げられて形成されていることを特徴とする紙箱。
【請求項2】
前記押し下げられた円弧面は、隣り合う二つの折り曲げ面の少なくとも中央部分に形成されていることを特徴とする、請求項1記載の紙箱。
【請求項3】
前記押し下げられた円弧面は、長さ方向に対して折り曲げ面の少なくとも1/2以上に形成されていることを特徴とする、請求項1又は2記載の紙箱。
【請求項4】
前記押し下げられた円弧面は、高さ方向に対して折り曲げ面の少なくとも3/4以内であることを特徴とする、請求項1、2又は3記載の紙箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−308153(P2007−308153A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−137438(P2006−137438)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】