説明

紙粉測定方法及び紙粉測定装置

【課題】電子写真用転写紙において、複写機やプリンタでコピーを得る際に紙粉トラブルが発生しないように、事前に紙粉量をより的確に判定可能にして紙粉トラブルを解決する。
【解決手段】測定用紙Pの表面に接触部材5を接触摺動させ、この接触部材5の接触によって前記測定用紙Pから離脱した紙粉を集め、この集めた紙粉の量を測定紙粉量とする紙粉量測定装置において、前記測定用紙Pに接触して摺動する前記接触部材5を支持する刃物台4と、この刃物台4と一体にスライド部材用摺動レール2上を摺動するスライド部材3とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に使用する加工紙分野における、表裏面の紙粉量を測定する紙粉測定方法及び紙粉測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を適用している複写機やプリンタでは、感光体上のトナー像を転写紙に転写し、この転写像を加熱及び加圧を行なう定着ローラで転写紙に定着させることで複写物を得る。また、オフセット印刷においては、画像を一旦ブランケットに転写し、その画像を紙に転写する方式で印刷が行なわれている。
これらのプロセスにおいて、転写紙の表及び裏面から離脱する紙粉に起因する画像不良のトラブルが発生することがある。具体的には、複写時に離脱する紙繊維と填料が問題を発生させる。
電子写真方式の複写機やプリンタ、印刷機等においては、このような転写紙から離脱した紙粉で起きる画像不良トラブルの発生を防止することが、極めて重要な問題となっている。
電子写真方式の複写機やプリンタ、印刷機等におけるこのような問題に対して、従来から、例えば、紙面強度対策として紙抄造工程での内添薬品、填料使用量及びサイズプレスでの外添薬品等で対応している方法を含む幾つかの解決方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1では、測定紙の測定面と研磨剤である接触部材とを接触摺動させて紙の表裏面から紙粉を離脱させ、離脱した紙粉量を測定する試験方法が開示されている。
【特許文献1】特開2003−106952公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1による方法は、接触部材に研磨材を使用し、面接触させて紙の表面から離脱する紙粉量収集しているため、紙粉が接触物の凹部に入り込んでしまう。このため、収集効率が劣り、かつ目詰まりのために接触部材の寿命が短いという欠点を持っている。
そこで、本発明の目的は、上述した実情を考慮して、電子写真用転写紙において、複写機やプリンタでコピーを得る際に紙粉トラブルが発生しないように、事前に紙粉量をより的確に判定可能にして紙粉トラブル発生問題を解決する紙粉測定方法及び紙粉測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、測定用紙の表面に接触部材を接触摺動させ、この接触部材の接触によって前記測定用紙から離脱した紙粉を集め、この集めた紙粉の量を測定紙粉量とする紙粉量測定方法において、前記測定用紙の紙粉を、交換可能に取り付けた刃物を前記接触部材として用い、前記紙粉を集める紙粉測定方法を特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、測定用紙の表面に接触部材を接触摺動させ、この接触部材の接触によって前記測定用紙から離脱した紙粉を集め、この集めた紙粉の量を測定紙粉量とする紙粉量測定装置において、前記測定用紙に接触して摺動する前記接触部材を支持する刃物台と、この刃物台と一体にスライド部材用摺動レール上を摺動するスライド部材と、を備える紙粉測定装置を特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記接触部材がその稜線で前記測定用紙と接触し、前記測定用紙から紙粉を集める請求項2記載の紙粉測定装置を特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記接触部材が刃物であり、この刃物はセラミックからなる請求項2記載の紙粉測定装置を特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、前記接触部材が刃物であり、この刃物はダイヤモンドからなる請求項2記載の紙粉測定装置を特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、前記接触部材が刃物であり、この刃物はステンレス材からなる請求項2記載の紙粉測定装置を特徴とする。
【0005】
また、請求項7に記載の発明は、前記接触部材が前記測定用紙に接触する接触圧力を5kg以下にする請求項2乃至6の何れか1項記載の紙粉測定装置を特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、測定用紙の表面に接触部材を接触摺動させ、この接触部材の接触によって前記測定用紙から離脱した紙粉を集め、この集めた紙粉の量を測定紙粉量とする紙粉量測定装置において、前記測定用紙に接触して摺動する前記接触部材を支持する刃物台と、この刃物台と一体にスライド部材用摺動レール上を摺動するスライド部材とを含み、前記接触部材はその稜線で前記測定用紙と接触し、前記接触部材の稜線と前記測定用紙の接触角度が5度〜45度の範囲である紙粉測定装置を特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、前記接触部材が刃物であり、この刃物はセラミックからなる請求項8記載の紙粉測定装置を特徴とする。
また、請求項10に記載の発明は、前記接触部材が刃物であり、この刃物はダイヤモンドからなる請求項8記載の紙粉測定装置を特徴とする。
また、請求項11に記載の発明は、前記接触部材が刃物であり、この刃物はステンレス材からなる請求項8記載の紙粉測定装置を特徴とする。
また、請求項12に記載の発明は、前記接触部材が前記測定用紙に接触する接触圧力を5kg以下にする請求項8乃至11の何れか1項記載の紙粉測定装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、本発明の表面紙粉測定方法は、測定紙の測定面と接触部材を刃物にし、刃物の稜線を接触摺動させ、離脱した紙粉を集め、この集めた紙粉の量を測定紙粉量とするため精度のよい測定が可能となる。
また、刃物の稜線が研磨され、紙粉の収集が悪くなった場合、刃物の交換性も容易にしている。刃物に不具合(紙粉削り取り性能の劣化)が生じた場合にすぐ交換可能な構成にすることで測定時間の効率化が図れ、接触部材に刃物を用いて測定用紙の表面を削ることで効率よく紙粉を集めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明に係る紙粉測定装置の1つの実施の形態を示す側面図である。図2は図1の紙粉測定装置を示す上面図である。
図1及び図2を参照して、紙粉測定装置Aは、測定用紙Pをその上に載置する用紙載置台1、この用紙載置台1の上面に敷設されたスライド部材用摺動レール2、このスライド部材用摺動レール2上で往復駆動されるスライド部材3を含んでいる。
ここでは、このスライド部材3は取手9によって測定用紙P上をスライドさせる構成になっている。このスライド部材3は、また、図示してない摺動モータによってスライド部材用摺動レール2上を自動摺動する構成にすることも可能である。
また、用紙載置台1上には、用紙押さえ(図示せず)が設けてある。スライド部材3には刃物台4が刃物台昇降用レール6により結合され、刃物台4には測定用紙Pと直接接触する接触部材である刃物5が取り付けられている。
刃物台4は刃物台昇降用レール6によって昇降可能になっており、刃物5(接触部材)の稜線が測定用紙Pに刃物5の負荷を掛けるようになされている。刃物5のエッジで測定用紙Pの表面を削ることで効率よく紙粉を集めることができる。
さらに、刃物台4は刃物台昇降用レール6から取り外しが可能になっており、刃物5の交換が容易にできる構成をなしている。刃物5はこれを押さえる刃物押え7に取り付けネジ8によって固定されている。
このように、刃物5の稜線が研磨され、紙粉の収集が悪くなった場合、刃物の交換性を容易にしている。すなわち、刃物5に不具合(切れの鈍化)が生じた場合に、すぐに交換可能な構成にすることによって測定時間の効率化が図れ、接触部材に刃物5を用いて測定用紙Pの表面を削ることで効率よく紙粉を集めることができる。
上述したように、図中、Pは測定対象となる用紙である。なお、用紙載置台1上の測定用紙Pを載置する部位にゴムマットなどを敷くと位置ずれ等を小さくするか、あるいは無くすことができる。また、図示は省略するが、スライド部材3が測定用紙Pと触れる位置の近傍に紙粉を吸引する吸引手段を設けるようにしてもよい。
【0008】
以下、本発明に係る作動を説明する。まず、測定用紙Pを用紙載置台1に用紙押さえ(図示せず)にて貼り付ける。その後、刃物台昇降用レール6を作動させて刃物台4を降ろし、刃物5を測定用紙Pに接触させる。この時、測定用紙Pには、詳しくは後述する、5kgの加重(刃物5、すなわち、接触部材の自重)が掛かっている。
図3は刃物と測定用紙との接触角度を示す概略図である。図3において、接触部材である刃物5は接触角度10度にて測定用紙Pに接触している。測定用紙Pとの接触角度は実験により決めた値である。図に示すように、本実施の形態では接触角度は10度に設定している。
この接触角度については、45度を超えると刃物5と測定用紙Pとの間でビビリが生じ、正確な紙粉が測定できなかった。また、同様に破れも発生した。このように、接触(エッジ)角度が5度以下になると刃物が食い込みすぎて測定用紙Pが破れ、45度以上では刃が立ちすぎて測定用紙Pとの間でビビリが生じ、紙粉量の採取が正確に測定できない。
スライド部材3を取手9によって測定用紙P上をスライドさせ、刃物5によって測定用紙Pの表面から紙粉を集める。集めた紙粉は電子天秤(図示せず)で重さを測定して、その測定された重さを紙粉量としている。
【0009】
図4は紙粉量の測定結果をグラフで示す図である。図4では、集めた紙粉を電子天秤で重さを測定し、その重さを紙粉量とした、A紙とB紙の場合を示している。A紙ではほぼ9mmgの紙粉量、B紙ではほぼ13mmgの紙粉量となっている。
図5は測定用紙への刃物加重と紙粉量の関係をグラフで示す図である。図5に示す値は実験により決めた値である。本実施の形態では、実験結果から加重は5kgに設定している。
この加重は、実験では10kgを超えると、測定用紙P(図3)に刃物5(図3)による破れが発生し、また、測定用紙Pの繊維まで刃物5が剥ぎ取ってしまい、正確な測定ができなくなった。
このように、接触圧力を5kg以上にして加圧すると、表面の紙粉のほか繊維まで剥がれてしまい、薄紙の場合は測定用紙Pが破れて測定不可能になる。5kg以下の接触圧力であれば、測定用紙Pが破れることなく、効率よく紙粉を集めることができる。
図6は刃物の交換を説明する概略分解図である。刃物5の交換の必要が生じた場合に、スライド部材3(図1)から刃物台4を外し、刃物押え7及び取り付けネジ8を外すことによって接触部材である刃物5を新しい刃物5と交換することができる。
【0010】
図7は刃物の材質をセラミックにした場合の刃物の形状を示す概略斜視図である。刃物5の材質としては、測定用紙P(図3)から採取した紙粉が目詰まりしない材質が適している。図7では、材質としてセラミックを使用した刃物5の形状を示している。
図8は刃物の材質をダイヤモンドにした場合の刃物の形状を示す概略斜視図である。図8において、ダイヤモンド11は金属の基体10に接着している構成を採っている。
図示は省略するが、ステンレスもセラミック、ダイヤモンドと同様に使用することができる。これらの材料を使用することによって、摺動による刃物5の目詰まりを防止し、磨耗しにくい刃物5となる。これにより、刃物5に目詰まりを起こすと目詰まり部の採取が難しく正確な紙粉量が測定できないという不都合が解消される。
さらに、本発明を図1に基づいてまとめれば、上述したように、測定用紙Pを用紙載置台1に図示してない用紙押さえによって貼り付け、その後、刃物台4を刃物台昇降用レール6によって降ろし、刃物5を測定用紙Pに接触させる。この時、最適な条件として、測定用紙Pには5kgの加重(接触部材の自重)が掛かっている。また、刃物5は接触角度10度にて測定用紙Pに接触している。
このような状態から、その後、スライド部材用摺動レール2上でスライド部材3を取手9によって測定用紙P上をスライドさせ、刃物5によって測定用紙Pの表面から紙粉を集める。集めた紙粉は図示してない電子天秤で重さを測定し、その重さを紙粉量としている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る紙粉測定装置の実施の形態を示す側面図である。
【図2】図1の紙粉測定装置を示す上面図である。
【図3】刃物と測定用紙との接触角度を示す概略図である。
【図4】紙粉量の測定結果をグラフで示す図である。
【図5】測定用紙への刃物加重と紙粉量の関係をグラフで示す図である。
【図6】刃物の交換を説明する概略分解図である。
【図7】刃物の材質をセラミックにした場合の刃物の形状を示す概略斜視図である。
【図8】刃物の材質をダイヤモンドにした場合の刃物の形状を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0012】
A 紙粉測定装置、1 用紙載置台、2 スライド部材用摺動レール、3 スライド部材、4 刃物台、5 接続部材(刃物)、6 刃物台昇降用レール、7 刃物押え、8 取り付けネジ、9 取手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定用紙の表面に接触部材を接触摺動させ、前記接触部材の接触によって前記測定用紙から離脱した紙粉を集め、集めた紙粉の量を測定紙粉量とする紙粉量測定方法において、
前記測定用紙の紙粉を、交換可能に取り付けた刃物を前記接触部材として用い、前記紙粉を集めることを特徴とする紙粉測定方法。
【請求項2】
測定用紙の表面に接触部材を接触摺動させ、前記接触部材の接触によって前記測定用紙から離脱した紙粉を集め、集めた紙粉の量を測定紙粉量とする紙粉量測定装置において、
前記測定用紙に接触して摺動する前記接触部材を支持する刃物台と、該刃物台と一体にスライド部材用摺動レール上を摺動するスライド部材と、を備えることを特徴とする紙粉測定装置。
【請求項3】
前記接触部材は、その稜線で前記測定用紙と接触し、前記測定用紙から紙粉を集めることを特徴とする請求項2記載の紙粉測定装置。
【請求項4】
前記接触部材は、刃物であり、前記刃物はセラミックからなることを特徴とする請求項2記載の紙粉測定装置。
【請求項5】
前記接触部材は刃物であり、前記刃物はダイヤモンドからなることを特徴とする請求項2記載の紙粉測定装置。
【請求項6】
前記接触部材は刃物であり、前記刃物はステンレス材からなることを特徴とする請求項2記載の紙粉測定装置。
【請求項7】
前記接触部材が前記測定用紙に接触する接触圧力を5kg以下にすることを特徴とする請求項2乃至6の何れか1項記載の紙粉測定装置。
【請求項8】
測定用紙の表面に接触部材を接触摺動させ、前記接触部材の接触によって前記測定用紙から離脱した紙粉を集め、集めた紙粉の量を測定紙粉量とする紙粉量測定装置において、
前記測定用紙に接触して摺動する前記接触部材を支持する刃物台と、該刃物台と一体にスライド部材用摺動レール上を摺動するスライド部材と、を備え、前記接触部材は、その稜線で前記測定用紙と接触し、前記接触部材の稜線と前記測定用紙の接触角度が5度〜45度の範囲であることを特徴とする紙粉測定装置。
【請求項9】
前記接触部材は刃物であり、前記刃物はセラミックからなることを特徴とする請求項8記載の紙粉測定装置。
【請求項10】
前記接触部材は刃物であり、前記刃物はダイヤモンドからなることを特徴とする請求項8記載の紙粉測定装置。
【請求項11】
前記接触部材は刃物であり、前記刃物はステンレス材からなることを特徴とする請求項8記載の紙粉測定装置。
【請求項12】
前記接触部材が前記測定用紙に接触する接触圧力を5kg以下にすることを特徴とする請求項8乃至11の何れか1項記載の紙粉測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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