説明

紙葉類処理システムと、それを構成する紙葉類処理装置及び排除券処理装置

【課題】着脱可能な排除券容器に紙葉類の検査結果を記憶することにより、オフライン使用が可能な排除券処理機を有する紙葉類処理システムを提供する。
【解決手段】区分カードC及び紙葉類Pを紙葉類処理装置30に供給すると、区分カードCの固有情報及び紙葉類Pの検査結果が、排除券容器40の記憶部(不揮発メモリ)40bに記憶される。また、排除券容器40を排除券処理機4に取付けると、上記記憶部40bに記憶されたデータは読取られ、記憶部491に記憶される。操作員が、排除券処理容器40に収納されている区分カードC及び排除券Prを排除券処理機4に供給すると、区分カードCの固有情報及び排除券Prの検査結果は記憶部491に保存され、検査不能券は排除される。操作員が確認、計数し操作・表示部41から入力した入力データと記憶部491に記憶された区分カードCの固有情報に基づく紙葉類Pの検査データが照合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有価証券などの紙葉類を処理する紙葉類処理システムと、それを構成する紙葉類処理装置及び排除券処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有価証券などの紙葉類を処理する紙葉類処理装置は、処理単位に応じて一括して投入された紙葉類と、その紙葉類の最上面又は最下面に挿入された処理単位を区分するための区分カードを、1つの処理単位として供給した供給部から取出装置によって1枚ずつ取出して搬送し、カード読取装置又は紙葉類検査装置によって真偽判別(真券か、偽券か)及び正損判別(真券で際流通可能な正券か、真券で再流通不可能な損券か)を行い、正券、損券又は排除券に区分する装置である。
【0003】
正券は、集積装置に搬送され、100枚毎に結束帯で結束され把が形成される。また、損券は、再流通不可能なことから裁断装置によって裁断され排出される。一方、排除券には、2枚取り券、偽券及び区分カードなどが含まれ、処理単位毎に排除券容器に収納される。
【0004】
従来、上記処理単位毎に紙葉類処理装置に供給した紙葉類の枚数・種類と、当該紙葉類処理装置で処理された枚数・種類及び排除券容器に収納された枚数・種類の突合せ確認(照合)を行っている。この突合せ方法に関し、第1の方法は、紙葉類処理装置で紙葉類を処理した際に発生した排除券を取出して計数し、その種類・枚数を操作部から入力して付き合せ(照合)を行う方法である。
【0005】
第2の方法は、紙葉類処理装置、排除券処理装置及びファイルサーバをネットワークで接続した紙葉類処理システムを構成する。紙葉類処理装置で処理された紙葉類は区分カード情報と共にファイルサーバに保存される。一方、当該区分カードと共に収納された排除券は、区分カードのID(固有情報)と共に、排除券処理装置からその枚数・種類がキー入力される。この入力された情報が、ファイルサーバに保存されている紙葉類処理装置で処理されたデータと照合される(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−243519号公報 (第5−6頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の紙葉類処理装置では、紙葉類処理装置の検査結果の送信や排除券処理装置での受信データ転送が発生するため、1つのシステムに接続できる紙葉類処理装置や排除券処理装置の台数には限界があった。また、システム内の紙葉類処理装置の検査結果を別のシステムに属する排除券処理機で処理するには、システム間の接続などに制約が発生することや、オフラインの排除券処理機を用いた処理ができないため、システム構成をフレキシブルにできないと言う課題があった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、上記排除券容器を排除券処理装置と接続することにより、排除券容器に収納された排除券情報を排除券処理装置に転送し、当該排除券処理装置で実際に当該排除券容器の排除券を処理したデータと付き合わせることにより、排除券処理装置をフレキシブルに利用することを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の紙葉類処理システムは、紙葉類を区分処理する紙葉類処理装置と、この紙葉類処理装置によって区分された排除券を処理する排除券処理装置と、を備えた紙葉類処理システムであって、前記紙葉類処理装置は、一括して供給された紙葉類及びこの紙葉類に挿入された区分カードからなる媒体を1枚ずつ取り出す取出手段と、この取出手段によって取り出された前記媒体を搬送する搬送手段と、この搬送手段によって搬送された前記区分カードを読取る第1のカード読取手段と、前記搬送手段によって搬送された前記紙葉類を検査する第1の検査手段と、この第1の検査手段の検査結果に基づいて区分された排除券を集積する第1の排除券集積手段と、前記第1の排除券集積手段に集積された排除券を収納する収納手段と、この収納手段に設けられた不揮発メモリからなる第1の記憶手段と、この第1の記憶手段に前記第1のカード読取手段で読取った前記区分カードの固有情報及び前記第1の検査手段の検査結果を記憶する第2の記憶手段と、を備え、前記排除券処理装置は、前記紙葉類処理装置の前記収納手段に収納された排除券を処理する装置であって、前記収納手段と当該排除券処理装置を電気的に接続する接続手段と、この接続手段によって接続されたとき、前記第1の記憶手段に記憶された情報を読取る読取手段と、前記収納手段に収納された区分カードを読取る第2のカード読取手段と、前記収納手段に収納された前記排除券を検査する第2の検査手段と、この第2の検査手段の検査結果に基づいて区分された排除券を集積する第2の排除券集積手段と、前記読取手段によって読取られた情報、前記第2のカード読取手段によって読取られた区分カードの固有情報、前記第2の検査手段の検査結果を記憶する第3の記憶手段と、前記区分カードの固有情報を基に当該区分カードによる検査単位ごとの前記第3の記憶手段に記憶された情報及び前記第2の検査手段の検査の結果排除された第2の排除券集積装置に排除された排除券情報を基に供給された前記紙葉類の処理量を照合する照合手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、排除券容器に処理単位ごとの検査結果情報が記憶されているため、排除券容器と、排除券処理装置をネットに接続しなくても、オフラインで排除券処装置が可能になり処理効率がよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の実施例1による紙葉類処理システム100の外観図である。図2は、本発明の実施例による検査機3の機能ブロック図である。また、図3は、排除券集積装置332、及びこれに着脱可能に組み込まれた排除券容器(排除券カセットともいう)40の動作を説明する図である。
【0012】
この紙葉類処理システム100は、束処理機1、束搬送機2、紙葉類処理装置30を備えた検査機3、排除券処理機4及び集中制御卓5から構成される。
【0013】
束処理機1には、未鑑査束が供給される。この供給された未鑑査束は、100枚ごとに紙帯(小帯)で結束された把を10把まとめて紙帯(大帯)で結束したもので、未鑑査状態のものをいう。この未鑑査束は、順番に取り出されて束搬送機2で搬送され、検査機3に供給される。
【0014】
検査機3は、束搬送機2から供給された未鑑査束の大帯、小帯を切断する前処理装置(図示しない)、及びこの前処理装置で1枚ごとに分離された紙葉類Pは紙葉類処理装置30に供給される。
【0015】
紙葉類処理装置30は、供給された紙葉類Pを1枚ずつ取出して、搬送路上を搬送する。このようにして搬送された紙葉類Pは、上記搬送路上に配置された紙葉類検査装置32によって判別され、正券、損券又は排除券に区分される。
【0016】
正券は、紙葉類処理装置30に配置された集積装置333に集積され、所定枚数(例えば、100枚)に達するごとに小帯結束装置334によって紙帯(小帯)で結束され把が形成される。このようにして形成された把は、10個積層されて大帯結束装置335によって紙帯又はプラスチックフィルムからなる大帯で結束されて束が形成される。
【0017】
排除券Prは、検査機3内部に配置された排除券集積装置332の一時集積個332bに集積される。その後、当該処理単位の処理が終了すると、当該排除券Prは、下部に配置された排除券容器41に収納される。
【0018】
集中制御卓5は、上述した束整理機1、束搬送機2、検査機3及び排除券処理機4と接続され、当該装置によって処理された紙葉類Pの管理が行われる。
【0019】
検査機3には、操作員が操作する操作表示部31が設けられている。この操作表示部31の操作は、制御部34に通知される。制御部34は、操作表示部31から通知された情報を搬送制御部33に通知する。
【0020】
この搬送制御部33は、供給部330、搬送路331、排除券集積装置332、集積装置333、小帯結束装置334、大帯結束装置335及び裁断装置336などを制御する。
【0021】
供給部330は、前処理機(図示しない)で大帯及び小帯がカットされた紙葉類束Ps(例えば、1000枚紙葉類)が一括して供給台(図示しない)に供給される。この際、この処理単位ごとの紙葉類束(例えば、1000枚紙葉類)の先頭又は最後に区分カードCが挿入される。この区分カードCは、処理単位を区分するもので、ヘッダーカードと称する場合もあるが同義に使用される。本実施例では、先頭に区分カードCが挿入された場合を想定して説明する。
【0022】
このようにして供給部330供給された区分カードC及び紙葉類束Psからなる媒体は、取出ロータ(図示しない)などの取出手段によって1枚ずつ取り出されて搬送路(搬送手段)331に供給される。
【0023】
搬送路331は、供給部330から供給された紙葉類Pを1枚ずつ一定間隔で搬送する。このようにして搬送された紙葉類Pは、搬送路331に配置されたカード読取装置(第1のカード読取手段)337及び紙葉類検査装置32(第1の検査手段)に搬送される。
【0024】
区分カードCには、当該処理単位ごとの紙葉類Pの固有情報が記録されている。この区分カードCの固有情報には、紙葉類処理装置30で処理する1000枚紙葉類の券種、枚数、供給源、処理する検査機の機体番号などを含み、当該1000枚紙葉類を処理するに当たって必要とされる属性が記憶されている。
【0025】
本実施例では、上記属性をバーコードで印字した区分カードCを用いているが、これに限らず、読取り・書込み可能な磁気的方法によって記録されたカードを用いることも可能である。
【0026】
この区分カードCに記録された情報は、搬送路331に配置されたカード読取装置337によって読取られる。この読取られたデータは記憶部35に記憶される。
【0027】
紙葉類検査装置32は、搬送状態検知部320、真偽検知部321、券種検知部322、正損検知部323及び総合判別部324などから構成される。
【0028】
搬送状態検知部320は、搬送される紙葉類Pの搬送状態を検知する。この検知の結果、搬送状態の異常が検知された場合は、排除券Prに区分される。
【0029】
真偽検知部321は、搬送される紙葉類Pの真偽(本物の券か偽物の券か)を検知する。この検知の結果、本物の券は正券に区分され、偽物の券は排除券Prに区分される。
【0030】
券種検知部323は、搬送される紙葉類Pの種類を検知する。この検知の結果、取扱い券種以外の券は適用外券として排除券Prに区分される。
【0031】
正損検知は、搬送される紙葉類Pの正損(最流通可能な正券か、最流通不可能な損券か)を検知する。この検知の結果、損券に区分された紙葉類Pは、裁断装置336裁断される。
【0032】
上述した各検知部の検知結果は、総合判別部324で総合判別され、その判別結果は、上記記憶部(第1の記憶部)35に記憶される。また、この結果に基づいて最終的な当該紙葉類Pの区分先が決定されると、搬送制御部33にこの区分先が通知されて区分処理される。すなわち正券は、集積装置333に集積され小帯結束装置334で100枚ごとに結束されて把が形成される。また、当該把は10個さらに集積されてプラスチックフィルムなど大帯結束装置335で結束されて束が形成される。
【0033】
損券は、裁断装置336に送られ、当該裁断装置336で裁断されて紙葉類片となり、気送管(図示しない)に送られて排出される。
【0034】
排除券は、区分カードC、搬送異状券(例えば、2枚取券、搬送スキュー券、搬送位置ズレ券)、適用外券又は偽券を含んでおり、排除券集積装置332に集積される。この際、上記区分カードCが最初に集積され、その上面に排除券Prが集積される。
【0035】
上述した制御部34には、外部機器と通信するためのインターフェース341、342343が接続されている。インターフェース341は前処理機に接続され、インターフェース342は束処理機1に接続され、インターフェース343はLAN(Local Area Network)に接続され、このLANに接続された集中監視卓5及び排除券処理機(排除券処理装置)4と通信可能に構成されている。
【0036】
図3は、紙葉類処理装置30に配置された排除券集積装置332及び排除券容器40の部分を示す図である。
【0037】
排除券集積装置332は、紙葉類検査装置32によって排除券Prに区分され排除券搬送路331bに搬送された排除券Prを羽根車332aにより集積する。この羽根車332aは、排除券搬送路331bの終端に配置され、当該排除券搬送路331bによって搬送されてきた紙葉類Prを羽根と羽根の間で取込み、回転しながら紙葉類Pr(図示しない)の搬送エネルギーを吸収することにより排除券Prにダメージを与えずに取込むことができる。
【0038】
このようにして取込まれた排除券Prは、一時集積庫(第1の排除券集積手段)332bに集積される。なお、上記区分カードCによって、次に処理される媒体(区分カードC及び紙葉類P)の検査によって排出された排除券Prと区分することができる。
【0039】
なお、上記区分カードCの供給方法には、上述した方法の他、排除券集積装置の羽根車の近傍から自動挿入する方法もある。
【0040】
このようにして、処理単位(1000枚紙葉類)の処理が終了するとシャッタ332cが開き、(図に示す紙面の裏側に移動する。)シャッタ332cに搭載されていた区分カードC及び排除券Prは、排除券容器(収納手段)40に落下し、バックアッププレートBK上に積載される。区分カードC及び排除券Prは、当該一時集積個332bの下部に配置された排除券容器40に収納される。このようにして処理単位ごとに排除券Pr及び区分カードCが排除券容器40に収納される。
【0041】
図4は、上述した排除券容器40の概略斜視図である。図示した例は、上記方法によって集積された区分カードC及び排除券Prが集積された様子を示す。
【0042】
なお、バックアッププレートBK上に集積された紙葉類は、押込機構(図示しない)によって排除券容器40内に押込まれるが、この排除券容器の押込機構は、本発明の趣旨ではないのでその説明を省略する。
【0043】
図5は、排除券処理機(排除券処理装置)4の概略構成を示す図である。図6は、排除券処理機4の機能ブロック図である。以下これらの図を参照して排除券処理機4を説明する。
【0044】
排除券処理機4は、排除券供給部41、取出装置42、搬送装置43、検査装置44、裁断装置45、排除券集積装置46、区分カード読取装置47、及び排除券容器取付部48などで構成され、排除券容器40に収納された排除券Prを処理する装置である。
【0045】
排除券容器40には、上述した排除券Prが収納されており、排除券処理機4に設けられた排除券容器取付部48に装着される。この装着によって、排除券容器40と排除券処理機4が機構的及び電気的に接続され、排除券容器40に収納されている排除券Pr及び区分カードCの固有情報が排除券処理機4の読取手段としてのインターフェース494によって読取られる。読取られたデータは、排除券処理機内に設けられた記憶部(第2の記憶部)に記憶される。
【0046】
操作員は、排除券容器40に収納されている区分カードC及び対応する排除券Prを一対にして、排除券容器40から取り出す。次に、取出した当該区部カードCをカード読取装置(第2のカード読取手段)47に読み込ませる。この結果、当該排除券Prの元となった紙葉類Pの固有情報が排除券処理機に認識される。
【0047】
続けて、当該排除券Prを排除券供給部41のバックアッププレート41aに供給する。供給された排除券Prは、操作部41bからの操作員による開始操作により、供給部41のバックアッププレート41aに供給された排除券Prの取出しが開始される。
【0048】
取出装置42は、バックアッププレート41aに載置された排除券Prを駆動する駆動装置(図示しない)、この駆動装置によって排除券Prの最上面の排除券Prを検知するセンサ(図示しない)、このセンサにより排除券Prを取出し位置に導き、当該排除券Prが取出し位置にあるときに当該排除券Prを取り出す取出しロータ42aなどで構成される。
【0049】
この取出しロータ42aにより1枚ずつ取り出された排除券Prは搬送装置43によって搬送される。
【0050】
この搬送装置43によって搬送された排除券Prは検査装置(第2の検査手段)44によって搬送状態検知及び真偽検知が行われる。この検査の結果カード読取装置によって読み取られた固有情報及び検査装置44の検査結果は記憶部(第3の記憶手段)491に記憶される。また、この検査の結果、搬送異状券及び偽券以外の排除券は、裁断装置45によって裁断される、上記以外の搬送異常券、検査不能券又は偽券は、排除券集積装置(第2の排除券集積手段)46に集積される。
【0051】
この排除券集積装置46に集積された排除券Prは、操作員によって取り出され、操作員によって計数及び目視確認が行われる。この計数結果は、操作・表示部41から入力される。この入力結果と当該記憶部491に記憶された処理データを基に、排除券集積装置4内部のCPU49によって照合確認が行われる。
【0052】
CPU49は、本体制御部494、記憶部491、プリンタ492及びインターフェース493・494と接続され、これらを制御する。
【0053】
本体制御部495は、操作・制御部41、取出装置42、検査装置44、裁断装置45、排除券集積装置46及びカード読取装置47を制御又は駆動する。
【0054】
操作・表示部41は、操作員によって入力された情報を読取り、又はその読取り結果を表示部に表示する。
【0055】
取出装置42は、紙葉類処理装置30の供給部330の取出装置と基本的に同様である。紙葉類処理装置30の供給部330には、前処理機31で供給可能になった紙葉類Pが自動供給されるのに対して排除券処理機4では、操作員が排除券Prを供給する部分が異なる。
【0056】
検査装置44は、紙葉類処理装置30の検査装置32で判別された排除券Prを判別するために、その判別レベルが異なって用いられる場合が多く、また、当該検査装置44では、正損検知を行わない。すでに正損検知が行われているからである。
【0057】
裁断装置45は、この裁断装置45に搬送されてくる排除券Prを裁断する。この裁断装置45の基本的な機能は、紙葉類処理装置30内部に配置された裁断装置336の裁断機能と同じである。裁断装置336は損券Pcを裁断するのに対して、裁断装置45は排除券Prを裁断する。
【0058】
排除券集積装置46は、排除券処理機4内部で排除券Prと判別された券を集積する部分であり、偽券及び判別不能権が集積される。
【0059】
以上の構成を有する排除券処理機4において、本発明の実施例に基づいて、例えば1000枚の紙葉類P及び区分カードCからなる媒体を処理する場合の動作を説明する。
【0060】
初めに、上記媒体を紙葉類処理装置30の供給部330に供給すると、区分カードCは、カード読取装置337によって読取られる。また、紙葉類Pは、紙葉類検査装置32の各検知部で検知され、正券Pf、損券Pc及び排除券Prに検査される。
【0061】
ここで排除券Prは、排除券集積装置332に集積された後、排除券容器40に収納される。このとき、紙葉類処理装置30の制御部34は、区分カードCに記憶されている固有情報及び1000枚紙葉類の検査結果からなるデータを、搬送制御部33を介し、排除券容器40に送信する。
【0062】
排除券容器40は、その内部に設けられた記憶部40bに受信したデータを記憶する。この結果、排除券容器40の記憶部には、1000枚紙葉類の検査結果が保存される。また、この保存されたデータは、保存後、供給電源が切れた場合であってもデータが消去しない不揮発メモリを用いて構成される。
【0063】
さらに、制御部34は、上記データをインターフェース343及びLANを介して集中監視卓5に送信する。集中監視卓5は、同様にして、他の検査機3から送信されてくる紙葉類の検査結果も当該集中監視卓5内部に設けられた記憶部(図示しない)又は、別途設けられたファイルサーバ(図示しない)などに保存する。
【0064】
次に、操作員は、当該排除券容器40を紙葉類処理装置30から取外し、排除券処理機4の排除券容器取付部48に取付ける。本実施例では、当該排除券容器40はカセット状に構成されており、この排除券容器40を排除券容器取付部48に挿入することにより背面に配置されたコネクタ40aが接続されるように構成されている。
【0065】
この排除券容器40の取付けによって排除券容器40の記憶部40b(図3参照)に記憶された1000枚紙葉類の処理結果が排除券処理機4によって読取られ、排除券処理機が制御する記憶部491に記憶される。
【0066】
次に、操作員が、取付けられた排除券容器40の前面カバー(図示しない)を開け、収納されている排除券Pr及び区分カードCを取り出す。
【0067】
次に、操作員は、この取出した区分カードCをカード読取装置47に挿入する。カード読取装置47は、当該区分カードCの固有情報を読取り、記憶部491に保存する。
【0068】
次に、操作員は、排除券容器40に収納されている排除券Prを排除券処理機4の供給部42aに供給し、操作・表示部41から取込みを開始する。取込まれた排除券Prは検査装置44によって検査される。
【0069】
この検査の結果、偽券又は搬送異状券など検査不能券は、排除券集積部46に集積される。それ以外の券は、裁断装置45によって裁断される。
【0070】
裁断されずに排除券集積装置46に集積された排除券は、操作員によって1枚ずつ確認される。確認の結果は操作員によって計数され、操作・表示部41から入力される。この入力の結果は、CPU49によって上記区分カードCの情報との照合が行われる。
【0071】
以上説明したように本発明の実施例によれば、排除券容器に区分カードに記録された固有情報と共に、区分カードで区分された紙葉類の判別情報が記憶されているため、この判別情報と、排除券処理機の処理結果を照合することにより、排除券処理機単独で排除券処理を行うことが可能になり、1つのシステム接続できる検査機や排除券処理機の台数の制限を緩和することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施例1による紙葉類処理システムの外観図。
【図2】図1に搭載される検査機の機能ブロック図。
【図3】図2に示す排除券集積装置及び排除券容器の動作を説明する図。
【図4】排除券容器の斜視図。
【図5】図1に示す排除券処理機の概略構成図。
【図6】図5に示す排除券処理機の機能ブロック図。
【符号の説明】
【0073】
1 束処理機
2 束搬送機
3 検査機
30 紙葉類処理装置
31 操作・表示部
32 紙葉類検査装置
33 搬送制御部
34 制御部
35 記憶部
4 排除券処理機
40 排除券容器
40a コネクタ
41 操作・表示部
42 取出装置
43 搬送装置
44 検査装置
45 裁断装置
46 排除券集積装置
47 カード読取装置
48 排除券容器取付部
49 CPU
491 記憶部
5 集中制御卓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を区分処理する紙葉類処理装置と、この紙葉類処理装置によって区分された排除券を処理する排除券処理装置と、を備えた紙葉類処理システムであって、
前記紙葉類処理装置は、
一括して供給された紙葉類及びこの紙葉類に挿入された区分カードからなる媒体を1枚ずつ取り出す取出手段と、
この取出手段によって取り出された前記媒体を搬送する搬送手段と、
この搬送手段によって搬送された前記区分カードを読取る第1のカード読取手段と、
前記搬送手段によって搬送された前記紙葉類を検査する第1の検査手段と、
この第1の検査手段の検査結果に基づいて区分された排除券を集積する第1の排除券集積手段と、
前記第1の排除券集積手段に集積された排除券を収納する収納手段と、
この収納手段に設けられた不揮発メモリからなる第1の記憶手段と、
この第1の記憶手段に前記第1のカード読取手段で読取った前記区分カードの固有情報及び前記第1の検査手段の検査結果を記憶する第2の記憶手段と、
を備え、
前記排除券処理装置は、
前記紙葉類処理装置の前記収納手段に収納された排除券を処理する装置であって、
前記収納手段と当該排除券処理装置を電気的に接続する接続手段と、
この接続手段によって接続されたとき、前記第1の記憶手段に記憶された情報を読取る読取手段と、
前記収納手段に収納された区分カードを読取る第2のカード読取手段と、
前記収納手段に収納された前記排除券を検査する第2の検査手段と、
この第2の検査手段の検査結果に基づいて区分された排除券を集積する第2の排除券集積手段と、
前記読取手段によって読取られた情報、前記第2のカード読取手段によって読取られた区分カードの固有情報、前記第2の検査手段の検査結果を記憶する第3の記憶手段と、
前記区分カードの固有情報を基に当該区分カードによる検査単位ごとの前記第3の記憶手段に記憶された情報及び前記第2の検査手段の検査の結果排除された第2の排除券集積装置に排除された排除券情報を基に供給された前記紙葉類の処理量を照合する照合手段と、
を備えたことを特徴とする紙葉類処理システム。
【請求項2】
前記収納手段は、
前記紙葉類処理装置又は前記排除券処理装置に着脱可能に取付けられ、当該着脱によって、当該収納手段と前記紙葉類処理装置又は前記排除券処理装置が電気的にオン又はオフできることを特徴とする請求項1記載の紙葉類処理システム。
【請求項3】
一括して供給された紙葉類及びこの紙葉類に挿入された区分カードからなる媒体を1枚ずつ取り出す取出手段と、
この取出手段によって取り出された前記媒体を搬送する搬送手段と、
この搬送手段によって搬送された前記区分カードを読取る第1のカード読取手段と、
前記搬送手段によって搬送された前記紙葉類を検査する第1の検査手段と、
この第1の検査手段の検査結果に基づいて区分された排除券を集積する第1の排除券集積手段と、
前記第1の排除券集積手段に集積された排除券を収納する収納手段と、
この収納手段に設けられた不揮発メモリからなる第1の記憶手段と、
この第1の記憶手段に前記第1のカード読取手段で読取った前記区分カードの固有情報及び前記第1の検査手段の検査結果を書込む書込手段と、
を備えたことを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項4】
処理単位の紙葉類を区分処理する紙葉類処理装置により区分処理された排除券と、前記処理単位の紙葉類の固有情報が記録された区分カードが収納された収納手段を着脱可能に取付ける接続手段と、
この接続手段によって前記収納手段が接続されたとき、前記収納手段に配置された第1の記憶手段に記憶された情報を読取る読取手段と、
前記収納手段に収納された区分カードを読取る第2のカード読取手段と、
前記収納手段に収納された前記排除券を検査する第2の検査手段と、
この第2の検査手段の検査結果に基づいて区分された排除券を集積する第2の排除券集積手段と、
前記読取手段によって読取られた情報、前記第2のカード読取手段によって読取られた区分カードの固有情報、前記第2の検査手段の検査結果及び第2の検査手段によって裁断された裁断情報を記憶する第2の記憶手段と、
前記区分カードの固有情報を基に当該区分カードによる検査単位ごとの前記第2の記憶手段に記憶された情報及び前記第2の検査手段の検査の結果排除された第2の排除券集積装置に排除された排除券情報を基に前記供給された紙葉類の処理量を照合する照合手段と、
を備えたことを特徴とする排除券処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−64194(P2009−64194A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−230753(P2007−230753)
【出願日】平成19年9月5日(2007.9.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】