説明

紙葉類処理装置および紙葉類処理システム

【課題】受け入れ処理時の取扱可能紙葉類枚数の増加および処理時間短縮と受け入れ紙葉類そのものの返却とが可能な紙葉類処理装置を提供する。
【解決手段】紙葉類処理装置の制御部は、受け入れ処理の際に、正常紙葉類を紙葉類収納部に収納し、非正常紙葉類を排出口に排出する。制御部は、キャンセル処理の際に、受け入れ時収納枚数に基づき必要排出枚数を設定し、紙葉類収納部からの紙葉類の繰り出しと紙葉類の識別と正常紙葉類の第1の排出口への排出とを行う排出処理を開始する。必要排出枚数の正常紙葉類の排出完了前に非正常紙葉類が検出された場合には、制御部は、非正常紙葉類と後続紙葉類とを第2の排出口に排出し、必要排出枚数から合計既排出枚数を差し引いた特定枚数がゼロより大きい場合には、必要排出枚数を特定枚数と同数に更新してさらなる排出処理を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣等の紙葉類を取り扱う紙葉類処理装置および紙葉類処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関の窓口等において、係員(オペレータ)が操作して紙幣を処理する係員用紙幣処理装置が用いられている。係員は、係員用紙幣処理装置を用いて、顧客から受け取った紙幣の入金処理等の取引処理を行う。従来、係員用紙幣処理装置を用いた入金処理では、入金口に投入された紙幣の内、識別部により受け入れ不可(リジェクトすべき)と判定された紙幣はリジェクト口へ搬送され、受け入れ可能(リジェクトすべきでない)と判定された紙幣は一時保留部に収納され、入金処理確定の指示があると、一時保留部に収納された紙幣が金種別の紙幣収納庫(スタッカ)に収納され、入金処理確定の指示ではなく入金キャンセル指示があると、一時保留部に収納された紙幣が出金口に搬送される(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
他方、金種別紙幣収納庫からの出金の際に、識別部によりリジェクトすべきと判定された紙幣は一時保留部に収納され、リジェクトすべきでないと判定された紙幣は出金口に搬送され、所定額の出金完了後に、一時保留部に収納された紙幣が金種別紙幣収納庫に戻される紙幣処理装置が知られている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−134863号公報
【特許文献2】特開2008−3988号公報
【特許文献3】特開2009−129385号公報
【特許文献4】特開2010−20720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の係員用紙幣処理装置を用いた入金処理では、入金口に投入された紙幣が、金種別紙幣収収納庫と比較して収納容量の小さい一時保留部に一端収納され、入金処理確定の指示を待って金種別紙幣収納庫に収納されるため、一回の入金処理において取扱可能な紙幣の枚数が制限されると共に、紙幣の搬送経路が長くなって処理時間が長くなるという問題があった。他方、係員用紙幣処理装置を用いた入金処理において、投入された紙幣を一時保留部に収納することなく金種別紙幣収納庫に直接に収納するものとすると、一回の入金処理において取扱可能な紙幣の枚数を増大させることができると共に処理時間を短縮することができる。しかし、この場合において、入金キャンセル指示があると、金種別紙幣収納庫からの出金処理が行われることとなる。上記従来の出金処理では、識別部によりリジェクトすべきと判定された紙幣が発生すると、当該リジェクトされた紙幣は一時保留部に収納された後、金種別紙幣収納庫に戻されるため、返却される紙幣の少なくとも一部は入金処理において投入された紙幣とは異なる紙幣となる。そのため、「取引不成立の場合には預かった紙幣そのものを返却する」という金融機関の基本的な考え方に反する事態が発生するおそれがある。
【0006】
なお、このような課題は、紙幣を取り扱う紙幣処理装置に限らず、小切手や商品券を含む紙葉類を取り扱う紙葉類処理装置および紙葉類処理システムにおいて共通の課題であった。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、一回の受け入れ処理における取扱可能な紙葉類の枚数の増加および処理時間の短縮を実現すると共に、受け入れ処理のキャンセルの際に、受け入れられた紙葉類そのものを返却することが可能な紙葉類処理装置および紙葉類処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明は、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1]紙葉類を扱う紙葉類処理装置であって、
紙葉類を受け入れる受入口と、
紙葉類を排出する複数の排出口と、
紙葉類の種類毎に準備され、紙葉類を収納すると共に収納順と逆の順序で繰り出す紙葉類収納部と、
紙葉類を搬送する搬送機構と、
搬送される紙葉類の種類と枚数と真偽とについての識別を行う識別部と、
ユーザとの間の情報のやり取りのためのユーザインタフェース部と、
前記紙葉類処理装置の各部を制御して、前記受入口から受け入れられた紙葉類を順に搬送しつつ識別し、1枚の真の紙葉類であると識別された正常紙葉類を紙葉類の種類に対応する前記紙葉類収納部に収納すると共に、種類または枚数を確定できないか偽の紙葉類であると識別された非正常紙葉類を前記排出口に排出する受け入れ処理と、前記ユーザインタフェース部を介した指示に応じて前記受け入れ処理において前記受入口から受け入れられた紙葉類を排出するキャンセル処理と、を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、前記キャンセル処理の際に、各前記紙葉類収納部について、前記受け入れ処理において収納された紙葉類の枚数である受け入れ時収納枚数に基づき必要排出枚数を設定し、前記紙葉類収納部からの前記必要排出枚数の紙葉類の繰り出しと、繰り出された紙葉類の識別と、識別された正常紙葉類の第1の前記排出口への排出と、を行う排出処理を開始し、前記排出処理において前記必要排出枚数の正常紙葉類の排出完了前に非正常紙葉類が検出された場合には、非正常紙葉類と、該非正常紙葉類に続いて前記紙葉類収納部から繰り出された後続紙葉類と、を第2の前記排出口に排出し、前記必要排出枚数から、前記排出処理において前記第1の排出口へ排出された第1の排出紙葉類の枚数と前記第2の排出口へ排出された第2の排出紙葉類の枚数との合計である合計既排出枚数を差し引いた特定枚数がゼロより大きい場合には、前記必要排出枚数を前記特定枚数と同数に更新してさらなる前記排出処理を開始する、紙葉類処理装置。
【0010】
この紙葉類処理装置は、受け入れ処理の際に、受入口から受け入れられた紙葉類を順に搬送しつつ識別し、1枚の真の紙葉類であると識別された正常紙葉類を紙葉類の種類に対応する紙葉類収納部に収納すると共に、種類または枚数を確定できないか偽の紙葉類であると識別された非正常紙葉類を排出口に排出する。そのため、この紙葉類処理装置では、受入口から受け入れられた紙葉類を収納容量の小さい一時保留部に一端収納した後に確定指示を待って紙葉類収納部に収納する場合と比較して、一回の受け入れ処理における取扱可能な紙葉類の枚数を増大させることができると共に処理時間を短縮することができる。また、この紙葉類処理装置は、キャンセル処理の際に、各紙葉類収納部について、受け入れ時収納枚数に基づき必要排出枚数を設定し、紙葉類収納部からの必要排出枚数の紙葉類の繰り出しと、繰り出された紙葉類の識別と、識別された正常紙葉類の第1の前記排出口への排出と、を行う排出処理を開始し、排出処理において必要排出枚数の正常紙葉類の排出完了前に非正常紙葉類が検出された場合には、非正常紙葉類と後続紙葉類とを第2の排出口に排出し、必要排出枚数から合計既排出枚数を差し引いた特定枚数がゼロより大きい場合には、必要排出枚数を特定枚数と同数に更新してさらなる排出処理を開始する。そのため、この紙葉類処理装置では、非正常紙葉類が検出された場合に、必要排出枚数から合計既排出枚数を差し引いた特定枚数に応じて、さらなる排出処理が開始されるか否かが決定されるため、排出される紙葉類が受け入れ処理において受け入れられた紙葉類とは異なる紙葉類となる事態を回避し、受け入れ処理において受け入れられた紙葉類そのものを返却することができる。
【0011】
[適用例2]適用例1に記載の紙葉類処理装置であって、
前記制御部は、前記排出処理において非正常紙葉類が検出された場合には、前記ユーザインタフェース部を介して、前記第2の排出紙葉類の枚数を計数して入力することを要求し、入力された枚数に基づき前記合計既排出枚数を決定する、紙葉類処理装置。
【0012】
この紙葉類処理装置では、入力された枚数に基づき合計既排出枚数を決定することができ、決定された合計既排出枚数を用いて算出された特定枚数に基づき、さらなる排出処理を開始すべきか否かを判定することができる。
【0013】
[適用例3]適用例1または適用例2に記載の紙葉類処理装置であって、
前記制御部は、最初の前記排出処理の開始前に前記必要排出枚数を前記受け入れ時収納枚数と同数に設定し、前記排出処理において非正常紙葉類が検出された場合には、非正常紙葉類とすべての後続紙葉類とを前記第2の排出口に排出し、前記特定枚数がゼロ以下の場合には、前記ユーザインタフェース部を介して、前記第1の排出紙葉類と、最後の前記排出処理における前記第2の排出紙葉類の内、前記必要排出枚数から前記第1の排出紙葉類の枚数を差し引いた枚数の前記第2の排出紙葉類と、を返却用紙葉類とすることを要求する、紙葉類処理装置。
【0014】
この紙葉類処理装置では、キャンセル処理の際に、紙葉類収納部から必要以上の紙葉類が排出された場合であっても受け入れ処理において受け入れられた紙葉類のみを返却用の紙葉類とすることができる。また、紙葉類収納部からの受け入れ処理において収納された紙葉類以外の紙葉類の排出を最小限に抑制することができる。
【0015】
[適用例4]適用例1または適用例2に記載の紙葉類処理装置であって、
前記制御部は、前記受け入れ時収納枚数から前記排出処理において非正常紙葉類が検出された場合に想定される非正常紙葉類の枚数および後続紙葉類の枚数の合計を差し引いた調整排出枚数がゼロより大きい場合には、前記必要排出枚数を前記調整排出枚数と同数に設定して第1の前記排出枚数を開始し、前記第1の排出処理において非正常紙葉類が検出されると、非正常紙葉類と後続紙葉類の内の正常紙葉類ではないと識別された非正常後続紙葉類とを前記第2の排出口に排出すると共に後続紙葉類の内の正常紙葉類であると識別された正常後続紙葉類を前記第1の排出口に排出する、紙葉類処理装置。
【0016】
この紙葉類処理装置では、排出処理において非正常紙葉類が検出されても、その時点での後続紙葉類はすべて受け入れ処理において紙葉類収納部に収納された紙葉類であると想定される。そのため、後続紙葉類の内の非正常後続紙葉類のみを第2の排出口に排出し、後続紙葉類の内の正常後続紙葉類は第1の排出口に排出することにより、係員による計数の対象となる紙葉類の枚数を減らすことができ、処理時間の短縮および処理精度の向上を図ることができる。
【0017】
[適用例5]適用例4に記載の紙葉類処理装置であって、
前記制御部は、前記第1の排出処理において非正常紙葉類が検出された場合であって前記特定枚数がゼロ以下の場合には、前記受け入れ時収納枚数から前記合計既排出枚数の累計を差し引いた残枚数を決定し、前記残枚数がゼロより大きい場合には、前記必要排出枚数を前記残枚数と同数に設定して第2の前記排出処理を開始し、前記第2の排出処理において非正常紙葉類が検出された場合には、非正常紙葉類とすべての後続紙葉類とを前記第2の排出口に排出すると共に、前記特定枚数がゼロ以下の場合には、前記ユーザインタフェース部を介して、前記第1の排出紙葉類と、最後の前記第2の排出処理における前記第2の排出紙葉類の内、前記必要排出枚数から前記第1の排出紙葉類の枚数を差し引いた枚数の前記第2の排出紙葉類と、を返却用紙葉類とすることを要求する、紙葉類処理装置。
【0018】
この紙葉類処理装置では、キャンセル処理の最初に必要排出枚数を調整排出枚数と同数に設定して排出処理を実行しても、最終的に、受け入れ処理において紙葉類収納部に収納された紙葉類のすべてを排出・返却することができる。
【0019】
[適用例6]適用例5に記載の紙葉類処理装置であって、
前記制御部は、前記残枚数がゼロ以下である場合には、前記ユーザインタフェース部を介して、前記第1の排出紙葉類と、最後の前記第1の排出処理における前記第2の排出紙葉類の内の前記受け入れ時排出枚数から前記第1の排出紙葉類の枚数を差し引いた枚数の紙葉類と、を返却用紙葉類とすることを要求する、紙葉類処理装置。
【0020】
この紙葉類処理装置では、紙葉類収納部から必要以上の紙葉類が排出された場合であっても受け入れ処理において紙葉類収納部に収納された紙葉類のみを返却用紙葉類とすることができる。また、紙葉類収納部からの受け入れ処理において収納された紙葉類以外の紙葉類の排出を最小限に抑制することができる。
【0021】
[適用例7]適用例5または適用例6に記載の紙葉類処理装置であって、
前記制御部は、前記第1の排出処理における前記第2の排出口への紙葉類の排出回数と非正常紙葉類が検出された場合に想定される非正常紙葉類の枚数とに基づき前記第2の排出紙葉類の枚数を推定し、推定された枚数に基づき前記特定枚数を決定し、前記特定枚数がゼロ以下の場合には、前記ユーザインタフェース部を介して、前記第2の排出紙葉類の枚数を計数して入力することを要求し、入力された枚数に基づき前記残枚数を決定する、紙葉類処理装置。
【0022】
この紙葉類処理装置では、係員による第2の排出口に排出された紙葉類の枚数の計数回数を最小限に減らすことができ、処理時間の短縮および処理精度の向上を図ることができる。
【0023】
[適用例8]適用例7に記載の紙葉類処理装置であって、
前記制御部は、前記第1の排出処理において非正常紙葉類が検出された場合であって前記特定枚数がゼロより大きい場合には、前記紙葉類収納部からの紙葉類の繰り出しを停止せず、前記第1の排出処理において非正常紙葉類が検出された場合であって前記特定枚数がゼロ以下の場合には、前記紙葉類収納部からの紙葉類の繰り出しを停止する、紙葉類処理装置。
【0024】
この紙葉類処理装置では、紙葉類の繰り出し停止回数を最小限に減らすことができ、処理時間の短縮および処理精度の向上を図ることができる。
【0025】
[適用例9]適用例1に記載の紙葉類処理装置であって、さらに、
紙葉類を一時的に保持する一時保留部と、
紙葉類を収納する第2の紙葉類収納部と、を備え、
前記識別部は、紙葉類の種類と枚数と真偽と正損とについての識別を行い、
前記制御部は、前記受け入れ処理の際に、前記正常紙葉類の内の正券と識別された第1の正常紙葉類を前記紙葉類収納部に収納すると共に前記正常紙葉類の内の損券と識別された第2の正常紙葉類を前記一時保留部に収納し、前記キャンセル処理が行われない場合には前記一時保留部に収納された前記第2の正常紙葉類を前記第2の紙葉類収納部に収納し、前記キャンセル処理が行われる場合には前記一時保留部に収納された前記第2の正常紙葉類を前記排出口に排出する、紙葉類処理装置。
【0026】
この紙葉類処理装置では、受け入れ処理の際に、正常紙葉類を正券と損券とに分離して収納することができ、キャンセル処理が行われない場合には、損券を正券とは分離して第2の紙葉類収納部に回収することができる。
【0027】
[適用例10]適用例1ないし適用例9のいずれかに記載の紙葉類処理装置であって、
前記制御部は、前記キャンセル処理における最初の前記排出処理の前に、前記ユーザインタフェース部を介して、前記排出口に排出された紙葉類を返却用紙葉類として取り出すことを要求する、紙葉類処理装置。
【0028】
この紙葉類処理装置では、キャンセル処理における最初の排出処理の前に排出口を空の状態にすることができ、最小限の数の排出口を用いてキャンセル処理を実現することができる。
【0029】
[適用例11]適用例1ないし適用例10のいずれかに記載の紙葉類処理装置であって、
前記紙葉類は、紙幣と商品券と小切手と旅行小切手とのいずれか1つである、紙葉類処理装置。
【0030】
この紙葉類処理装置では、紙幣と商品券と小切手と旅行小切手とのいずれか1つの紙葉類を取り扱う紙葉類処理装置において、一回の受け入れ処理における取扱可能な紙葉類の枚数の増加および処理時間の短縮を実現すると共に、受け入れ処理のキャンセルの際に、受け入れられた紙葉類そのものを返却することができる。
【0031】
[適用例12]紙葉類を扱う紙葉類処理装置であって、
紙葉類を受け入れる受入口と、
紙葉類を排出する排出口と、
紙葉類を一時的に保持する一時保留部と、
紙葉類の種類毎に準備され、紙葉類を収納すると共に収納順と逆の順序で繰り出す紙葉類収納部と、
紙葉類を搬送する搬送機構と、
搬送される紙葉類の種類と枚数と真偽とについての識別を行う識別部と、
ユーザとの間の情報のやり取りのためのユーザインタフェース部と、
前記紙葉類処理装置の各部を制御して、前記受入口から受け入れられた紙葉類を順に搬送しつつ識別し、1枚の真の紙葉類であると識別された正常紙葉類を紙葉類の種類に対応する前記紙葉類収納部に収納すると共に、種類または枚数を確定できないか偽の紙葉類であると識別された非正常紙葉類を前記排出口に排出する受け入れ処理と、前記ユーザインタフェース部を介した指示に応じて前記受け入れ処理において前記受入口から受け入れられた紙葉類を排出するキャンセル処理と、を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、前記キャンセル処理の際に、各前記紙葉類収納部について、前記受け入れ処理において収納された紙葉類の枚数である受け入れ時収納枚数に基づき必要排出枚数を設定し、前記紙葉類収納部からの前記必要排出枚数の紙葉類の繰り出しと、繰り出された紙葉類の識別と、識別された正常紙葉類の前記排出口への排出と、を行う排出処理を開始し、前記排出処理において前記必要排出枚数の正常紙葉類の排出完了前に非正常紙葉類が検出された場合には、非正常紙葉類と、該非正常紙葉類に続いて前記紙葉類収納部から繰り出された後続紙葉類と、を前記一時保留部に収納し、前記必要排出枚数から、前記排出処理において前記排出口へ排出された紙葉類の枚数と前記一時保留部に収納された紙葉類の枚数との合計である合計既排出枚数を差し引いた特定枚数がゼロより大きい場合には、前記必要排出枚数を前記特定枚数と同数に更新してさらなる前記排出処理を開始し、前記排出処理において前記必要排出枚数の正常紙葉類の排出が完了した際に前記一時保留部に収納された紙葉類を前記排出口に排出する、紙葉類処理装置。
【0032】
この紙葉類処理装置では、1つのみの排出口を有する紙葉類処理装置であっても、正常紙葉類と非正常紙葉類とを分離して収納・排出することができ、一回の受け入れ処理における取扱可能な紙葉類の枚数の増加および処理時間の短縮を実現すると共に、受け入れ処理のキャンセルの際に、受け入れられた紙葉類そのものを返却することができる。
【0033】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、紙葉類処理装置、紙葉類処理装置を制御する制御装置、紙葉類処理装置および紙葉類処理装置を制御する制御装置を含む紙葉類処理システム、これらの装置・システムの制御方法、等の態様で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施例における紙葉類処理システムとしての紙幣処理システム40の構成を概略的に示す説明図である。
【図2】紙幣処理システム40の機能的な構成を示す説明図である。
【図3】紙幣処理装置10の紙幣処理機構170に関する構成を示す説明図である。
【図4】第1実施例の紙幣処理システム40による入金処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】第1実施例の紙幣処理システム40による入金キャンセル処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】第2実施例における紙幣処理装置10の紙幣処理機構170に関する構成を示す説明図である。
【図7】第2実施例の紙幣処理システム40による入金処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】第2実施例の紙幣処理システム40による入金キャンセル処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】第3実施例の紙幣処理システム40による入金キャンセル処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】第3実施例の紙幣処理システム40による入金キャンセル処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】第4実施例の紙幣処理システム40による入金キャンセル処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】第5実施例の紙幣処理システム40による入金キャンセル処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】変形例における紙幣処理装置10の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
A−1.システム構成:
A−2.入金処理:
A−3.入金キャンセル処理:
B.第2実施例:
C.第3実施例:
D.第4実施例:
E.第5実施例:
F.変形例:
【0036】
A.第1実施例:
A−1.システム構成:
図1は、本発明の第1実施例における紙葉類処理システムとしての紙幣処理システム40の構成を概略的に示す説明図である。紙幣処理システム40は、銀行等の金融機関の窓口に設置され、金融機関の係員(オペレータ)の操作に従い入金処理等の取引処理を行う。紙幣処理システム40は、紙葉類処理装置としての紙幣処理装置10と、伝送線30を介して紙幣処理装置10に接続された端末装置20と、を備えている。係員は、端末装置20を介して紙幣処理装置10の操作を行う。第1実施例の紙幣処理システム40では、2つの端末装置20が1つの紙幣処理装置10を共用している。紙幣処理装置10と端末装置20との関係は、1対1であってもよいし、1対3以上であってもよい。
【0037】
図2は、紙幣処理システム40の機能的な構成を示す説明図である。なお、図2には、2つの端末装置20の内の1つのみを示している。紙幣処理装置10は、紙幣処理装置10の各部を制御する制御部110と、操作部150と、表示部160と、紙幣処理機構170と、通信インタフェース180と、を有している。通信インタフェース180は、伝送線30を介して端末装置20との間で通信を行う。
【0038】
紙幣処理装置10の制御部110は、CPUとプログラムやデータ等を記憶する記憶部とを有し、CPUが記憶部に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、紙幣処理装置10の各部を制御する。制御部110は、2つの端末装置20の間での排他制御や通信インタフェース180を介した端末装置20との通信、保守員による保守処理等を行う業務処理部120と、紙幣処理機構170等を制御して紙幣に関する処理を行う紙幣処理部130と、を含んでいる。紙幣処理部130は、後述の入金処理を行う入金処理部132と、入金キャンセル処理を行うキャンセル処理部134と、を含んでいる。
【0039】
紙幣処理装置10の操作部150および表示部160は、係員との間の情報のやり取りのためのユーザインタフェースとして機能する。操作部150は、例えばボタンやタッチパネルにより構成される。表示部160は、例えば液晶ディスプレイにより構成される。なお、紙幣処理装置10は、必ずしもユーザインタフェースとして操作部150や表示部160を有している必要はなく、また、ユーザインタフェースとしてランプやスピーカーを有しているとしてもよい。
【0040】
紙幣処理機構170は、紙幣を処理する機械的機構である。図3は、紙幣処理装置10の紙幣処理機構170に関する構成を示す説明図である。図3に示すように、紙幣処理装置10は、紙幣を受け入れる入金口173と、入金口173における紙幣の有無を検出するセンサ174と、紙幣を排出する第1の出金口171および第2の出金口172と、紙幣の種類毎に準備された金種別紙幣収納庫176と、紙幣処理装置10の各部間において紙幣を搬送する搬送路と搬送路における紙幣の搬送方向を切り替えるゲート178とを含む搬送機構175と、搬送機構175により搬送される紙幣の種類と枚数と真偽とについての識別を行う識別部177と、を有している。
【0041】
本実施例の紙幣処理装置10は、4種類の紙幣を取り扱う装置であり、4つの金種別紙幣収納庫176(176A,176B,176C,176D)を有している。各金種別紙幣収納庫176は、紙幣を入出金可能な状態で搬送路と接続されており、搬送路から紙幣を受け入れて収納すると共に、紙幣を繰り出して搬送路上に送り出す。金種別紙幣収納庫176は、搬送路との接続位置から見て奥側から手前側に向けて順に紙幣を並べて収納し、手前側から奥側に向けて順に紙幣を1枚ずつ繰り出す。従って、金種別紙幣収納庫176からの紙幣の繰り出しは、金種別紙幣収納庫176への紙幣の収納順序と逆の順序で(金種別紙幣収納庫176への収納順がより後である紙幣ほど先に繰り出されるように)実行される。なお、金種別紙幣収納庫176は、紙幣処理装置10において取り扱われる紙幣の種類の数だけ準備されればよい。
【0042】
端末装置20(図2)は、端末装置20の各部を制御する制御部210と、操作部250と、表示部260と、通信インタフェース280と、を有している。通信インタフェース280は、伝送線30を介して紙幣処理装置10との間で通信を行う。
【0043】
端末装置20の制御部210は、CPUとプログラムやデータ等を記憶する記憶部とを有し、CPUが記憶部に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、端末装置20の各部を制御する。制御部210は、紙幣処理装置10を制御する紙幣処理装置制御部230を含んでいる。
【0044】
端末装置20の操作部250および表示部260は、係員との間の情報のやり取りのためのユーザインタフェースとして機能する。操作部250は、例えばキーボードやマウスにより構成される。表示部260は、例えば液晶ディスプレイにより構成される。
【0045】
A−2.入金処理:
図4は、第1実施例の紙幣処理システム40による入金処理の流れを示すフローチャートである。入金処理は、紙幣処理装置10の入金口173に投入された紙幣を紙幣処理装置10内に収納する処理である。入金処理は、紙幣処理装置10の入金処理部132と端末装置20の紙幣処理装置制御部230との制御の下、紙幣処理装置10および端末装置20の各部によって実行される。本実施例の入金処理は、顧客から紙幣を受け取った係員が、紙幣を入金口173に投入し、端末装置20の操作部250を介して処理開始を指示したときに開始される。
【0046】
紙幣処理装置10の入金処理部132(図2)は、端末装置20からの開始指示を受領すると(ステップS110)、入金口173に投入された紙幣を順に繰り出し、搬送機構175によって搬送しつつ識別部177によって識別し、1枚の真の紙幣であると識別された正常紙幣を紙幣の種類に対応する金種別紙幣収納庫176に収納し、金種または枚数を確定できないか偽の紙幣であると識別された非正常紙幣を予め定められた一方の出金口(第1の出金口171または第2の出金口172)に排出する(ステップS120)。本実施例では、非正常紙幣は第1の出金口171に排出されるものとする。この紙幣の繰り出し、搬送、識別、収納の処理は、入金口173内の紙幣がすべてなくなったことがセンサ174によって検出されるまで続けられる。
【0047】
センサ174によって入金口173内の紙幣がすべてなくなったことが検出されると、その事実を示す情報が端末装置20に送られる。端末装置20の紙幣処理装置制御部230は、表示部260を介して、係員に入金確定指示を要求する(ステップS130)。例えば、紙幣処理装置制御部230は、以下の選択肢(1)および(2)を表示部260に表示し、いずれか一方の選択を求める。
(1)出金口に紙幣がある場合はこれを顧客に返却し、金種別紙幣収納庫176に収納された金額で入金を確定させて取引を終了する。
(2)入金取引をキャンセルする。
【0048】
係員が操作部250を介して上記(1)の入金確定を選択した場合には(ステップS140:NO)、紙幣処理装置制御部230は、金種別紙幣収納庫176に収納された金額の入金を確定させ(ステップS150)、入金処理を終了する。係員が上記(2)の入金キャンセルを選択した場合には(ステップS140:YES)、以下に説明する入金キャンセル処理が開始される。
【0049】
A−3.入金キャンセル処理:
図5は、第1実施例の紙幣処理システム40による入金キャンセル処理の流れを示すフローチャートである。入金キャンセル処理は、入金処理(図4)において入金口173から紙幣処理装置10内に受け入れられた紙幣そのものを返却のために排出する処理である。入金キャンセル処理は、紙幣処理装置10のキャンセル処理部134と端末装置20の紙幣処理装置制御部230との制御の下、紙幣処理装置10および端末装置20の各部によって実行される。
【0050】
まず、紙幣処理装置制御部230は、表示部260を介して、第1の出金口171に排出された紙幣(すなわち、入金処理において金種または枚数を確定できないか偽の紙幣であると識別された非正常紙幣)を返却用紙幣として取り出すことを係員に要求する(ステップS210)。この要求に応じて係員が紙幣を取り出すと、第1の出金口171は空の状態となる。また、第2の出金口172は、元々、空の状態である。
【0051】
次に、紙幣処理装置制御部230は、各金種別紙幣収納庫176について、入金処理において収納された紙幣の枚数(以下、「入金処理時収納枚数」とも呼ぶ)M(x)を、紙幣処理装置10から取得する(ステップS220)。ここで、x(x=A,B,C,D)は金種別紙幣収納庫176を識別する記号である。例えば、M(A)は、入金処理において金種別紙幣収納庫176Aに収納された紙幣の枚数である。
【0052】
次に、紙幣処理装置制御部230は、1つの金種別紙幣収納庫176を選択し(ステップS230)、選択された金種別紙幣収納庫176について、入金処理時収納枚数M(x)に基づき必要排出枚数Nを設定する(ステップS240)。本実施例では、必要排出枚数Nは、入金処理時収納枚数M(x)と同数に設定される。
【0053】
次に、紙幣処理装置制御部230は、キャンセル処理部134に対して、選択された金種別紙幣収納庫176からの必要排出枚数Nの紙幣の繰り出しと、繰り出された紙幣の識別部177による識別と、識別された正常紙幣(1枚の真の紙幣であると識別された紙幣)の第1の出金口171への排出と、を含む排出処理の開始を指示する(ステップS250)。キャンセル処理部134は、指示に応じて、紙幣処理装置10の各部を制御して排出処理を開始する。排出処理の際には、キャンセル処理部134は、第1の出金口171に排出される正常紙幣の枚数を管理する。
【0054】
排出処理において、非正常紙幣(金種または枚数を確定できないか偽の紙幣であると識別された紙幣)が検出されることなく必要排出枚数Nの正常紙幣の第1の出金口171への排出が完了した場合には(ステップS340)、第1の出金口171に排出された紙幣は、すべて、入金処理において受け入れられた紙幣そのものである。従って、この場合には、端末装置20の紙幣処理装置制御部230は、表示部260を介して、第1の出金口171に排出された紙幣を返却用紙幣とすることを係員に要求する(ステップS350)。
【0055】
一方、排出処理において、必要排出枚数Nの正常紙幣の第1の出金口171への排出完了前に、例えば金種別紙幣収納庫176からの繰り出しにおいて複数枚の紙幣が重なって繰り出され、重なったまま識別部177に至った場合のように、識別部177によって非正常紙幣が検出された場合には(ステップS260:YES)、検出された非正常紙幣を第1の出金口171に搬送すると第1の出金口171に排出した紙幣の枚数が不明となるため、キャンセル処理部134は、金種別紙幣収納庫176からの紙幣の繰り出しを停止すると共に(ステップS270)、検出された非正常紙幣とその後続紙幣とを第2の出金口172に排出する(ステップS280)。ここで、後続紙幣とは、非正常紙幣に続いて既に金種別紙幣収納庫176から繰り出された紙幣(すなわち、金種別紙幣収納庫176からの紙幣繰り出しが停止された時点で、金種別紙幣収納庫176から識別部177に至る搬送路上に存在する紙幣)である。
【0056】
非正常紙幣および後続紙幣の第2の出金口172への排出が完了すると、端末装置20の紙幣処理装置制御部230は、表示部260を介して、第2の出金口172に排出された紙幣(すなわち、非正常紙幣および後続紙幣)を取り出して枚数Tを計数し、操作部250を介して枚数Tを入力することを係員に要求する(ステップS290)。
【0057】
第2の出金口172に排出された紙幣の枚数Tが入力されると、紙幣処理装置制御部230は、枚数Tと排出処理において計数された第1の出金口171へ排出された紙幣の枚数Dとの合計である合計既排出枚数(T+D)に基づき、必要排出枚数Nの紙幣の排出のためのさらなる排出処理が必要であるか否かを判定する。具体的には、紙幣処理装置制御部230は、必要排出枚数Nから合計既排出枚数(T+D)を差し引いた特定枚数J(=N−T−D)がゼロより大きい場合(すなわち、N>T+Dの場合)には(ステップS300:YES)、入金処理において金種別紙幣収納庫176に収納されたが排出処理において未排出である紙幣があり、さらなる排出処理が必要であると判定する。この場合には、紙幣処理装置制御部230は、必要排出枚数Nを特定枚数Jと同数に更新し(ステップS310)、更新された必要排出枚数Nの紙幣の排出のための排出処理を紙幣処理装置10に開始させる(ステップS250)。
【0058】
また、紙幣処理装置制御部230は、必要排出枚数Nから合計既排出枚数(T+D)を差し引いた特定枚数J(=N−T−D)がゼロ以下の場合(すなわち、N≦T+Dの場合)には(ステップS300:NO)、少なくとも入金処理において金種別紙幣収納庫176に収納された紙幣はすべて排出済みであり、さらなる排出処理は必要ではないと判定する。このとき、端末装置20の紙幣処理装置制御部230は、表示部260を介して、第1の出金口171に排出された紙幣と、第2の出金口172に排出されたT枚の紙幣の内の必要排出枚数Nから第1の出金口171に排出された紙幣の枚数Dを差し引いた枚数(すなわち、(N−D)枚)の紙幣と、を返却用紙幣とすることを係員に要求する(ステップS330)。なお、特定枚数J(=N−T−D)がゼロの場合(すなわち、N=T+Dの場合)には(ステップS320:NO)、(N−D)はTと同一となるため、第1の出金口171に排出されたD枚の紙幣すべてと第2の出金口172に排出されたT枚の紙幣すべてとを返却用紙幣とすることが要求されることとなる(ステップS350)。一方、特定枚数J(=N−T−D)がゼロより大きい場合(すなわち、N<T+Dの場合)には(ステップS320:YES)、入金処理において金種別紙幣収納庫176に収納された紙幣以外の紙幣(元々、金種別紙幣収納庫176に収納されていた紙幣)が第2の出金口172に排出されたこととなるため、第1の出金口171に排出されたD枚の紙幣すべてと第2の出金口172に排出されたT枚の紙幣の一部(すなわち、(N−D)枚の紙幣)とを返却用紙幣とすることが要求されることとなる(ステップS330)。このとき、第2の出金口172における排出紙幣の集積態様が、順に上に積み重ねていく上積み集積態様である場合には、下から(N−D)枚の紙幣が返却用紙幣となり、反対の下積み集積態様である場合には、上から(N−D)枚の紙幣が返却用紙幣となる。このようにすることによって、顧客の紙幣そのものを返却することができる。なお、第2の出金口172に排出されたT枚の紙幣の内の残り(すなわち、T−(N−D)枚)の紙幣は、金種別紙幣収納庫176に戻される。
【0059】
このように、本実施例の入金キャンセル処理では、必要排出枚数Nの設定と、設定された必要排出枚数Nの紙幣排出のための排出処理とが、非正常紙幣が検出されることなく必要排出枚数Nの正常紙幣の第1の出金口171への排出が完了するか、または、特定枚数J(=N−T−D)がゼロ以下となるまで、繰り返し実行される。
【0060】
選択された1つの金種別紙幣収納庫176についての紙幣の返却が完了すると、紙幣処理装置制御部230は、すべての金種別紙幣収納庫176が選択されたか否かを判定し(ステップS360)、未選択の金種別紙幣収納庫176がある場合には、未選択の金種別紙幣収納庫176の1つを選択し(ステップS230)、選択された金種別紙幣収納庫176についての必要排出枚数Nを設定し(ステップS240)、選択された金種別紙幣収納庫176についての出金処理(ステップS250〜)を開始する。すべての金種別紙幣収納庫176が選択され、すべての金種別紙幣収納庫176についての紙幣の返却が完了すると、入金キャンセル処理は終了する。
【0061】
以上説明したように、第1実施例の紙幣処理システム40による入金処理の際には、入金口173から受け入れられた紙幣を順に搬送しつつ識別部177により識別し、1枚の真の紙幣であると識別された正常紙幣を紙幣の種類に対応する金種別紙幣収納庫176に直接に収納すると共に、種類または枚数を確定できないか偽の紙幣であると識別された非正常紙幣を第1の出金口171に排出する。そのため、第1実施例の紙幣処理システム40による入金処理では、入金口173に投入された紙幣を収納容量の小さい一時保留部に一端収納した後に確定指示を待って金種別紙幣収納庫176に収納する場合と比較して、一回の入金処理における取扱可能な紙幣の枚数を増加させることができると共に、紙幣の搬送経路を短縮して処理時間を短縮することができる。また、非正常紙幣が第1の出金口171に排出されるため、排出された非正常紙幣を係員が取り出して目視確認を行い、目視確認によって正常紙幣であると判断された場合には係員による手入力で紙幣を確定させることができ、入金処理時間のさらなる短縮を実現することができる。また、第1実施例の紙幣処理システム40による入金キャンセル処理の際には、各金種別紙幣収納庫176について、最初に必要排出枚数Nを入金処理時収納枚数M(x)と同数に設定し、金種別紙幣収納庫176からの必要排出枚数Nの紙幣の繰り出しと、繰り出された紙幣の識別と、識別された正常紙幣の第1の出金口171への排出と、を行う排出処理を開始し、排出処理において必要排出枚数Nの正常紙幣の排出完了前に非正常紙幣が検出された場合には、非正常紙幣と後続資紙幣とを第2の出金口172に排出し、必要排出枚数Nから第1の出金口171へ排出された紙幣の枚数Dと第2の出金口172へ排出された紙幣の枚数Tとの合計である合計既排出枚数(T+D)を差し引いた特定枚数J(=N−T−D)がゼロより大きい場合には、必要排出枚数Nを特定枚数Jと同数に更新してさらなる排出処理を開始する。そのため、第1実施例の紙幣処理システム40による入金キャンセル処理では、非正常紙幣が検出されても、その都度、特定枚数Jに基づいてさらなる排出処理を実行すべきか否かの判定が行われることとなるため、返却される紙幣が入金処理において投入された紙幣とは異なる紙幣となる事態を回避し、入金処理において投入された紙幣そのものを返却することが可能となる。従って、第1実施例の紙幣処理システム40では、一回の入金処理における取扱可能な紙幣枚数の増大および処理時間の短縮を実現することができると共に、入金キャンセル処理の際に、入金処理において受け入れられた紙幣そのものを返却することが可能となる。
【0062】
また、第1実施例の紙幣処理システム40は、排出処理において非正常紙幣が検出された場合には、第2の出金口172に排出された紙幣の枚数Tを計数して入力することを係員に要求するため、第2の出金口172に排出された紙幣の枚数Tを把握してさらなる排出処理を実行すべきか否かを判定することができる。
【0063】
また、第1実施例の紙幣処理システム40は、排出処理において非正常紙幣が検出された場合には、非正常紙幣とすべての後続紙幣とを第2の出金口172に排出し、特定枚数Jがゼロ以下の場合には、第1の出金口171に排出された紙幣と、最後の排出処理において第2の出金口172に排出されたT枚の紙幣の内の必要排出枚数Nから第1の出金口171に排出された紙幣の枚数Dを差し引いた枚数(すなわち、(N−D)枚)の紙幣と、を返却用紙幣とすることを要求するため、金種別紙幣収納庫176から必要以上の紙幣が排出された場合であっても入金処理において受け入れられた紙幣のみを返却用紙幣とすることができる。また、金種別紙幣収納庫176からの入金処理において収納された紙幣以外の紙幣(元々、金種別紙幣収納庫176に収納されていた紙幣)の出金を最小限に抑制することができる。
【0064】
B.第2実施例:
図6は、第2実施例における紙幣処理装置10の紙幣処理機構170に関する構成を示す説明図である。第2実施例の紙幣処理装置10は、紙幣を一時的に収納する一時保留部179と1つの回収庫192とを有している点が、図3に示した第1実施例の紙幣処理装置10と異なっている。回収庫192は、収納専用庫であり、金種の区別無く紙幣を収納する。また、第2実施例の紙幣処理装置10の識別部177は、紙幣の種類と枚数と真偽とについての識別に加え、紙幣の正損についての識別を行う。ここで、正損についての識別は、紙幣が正券か損券かを判別することである。また、損券は、損傷や汚損の度合が激しく流通に適さない紙幣であり、正券とは損券以外の紙幣である。第2実施例における紙幣処理装置10のその他の構成は、第1実施例と同様である。
【0065】
図7は、第2実施例の紙幣処理システム40による入金処理の流れを示すフローチャートである。第2実施例の入金処理は、紙幣の繰り出し、搬送、識別、収納を行う処理(ステップS122)の内容が、図4に示した第1実施例の入金処理と異なっている。具体的には、第2実施例の入金処理では、1枚の真の紙幣であると識別された正常紙幣の内、正券であると識別された紙幣(第1の正常紙幣)は紙幣の種類に対応する金種別紙幣収納庫176に収納されるが、正常紙幣の内、損券であると識別された紙幣(第2の正常紙幣)は一時保留部179に搬送されて収納される。なお、非正常紙幣と識別された紙幣については、第1実施例と同様に、第1の出金口171に排出される。
【0066】
また、第2実施例の入金処理では、第1実施例と同様に、入金口173内の紙幣がすべてなくなったことが検出されると、端末装置20の紙幣処理装置制御部230は、係員に入金確定指示を要求する(ステップS130)。このとき、紙幣処理装置制御部230は、例えば、以下の選択肢(1)および(2)のいずれか一方の選択を求める。
(1)出金口に紙幣がある場合はこれを顧客に返却し、金種別紙幣収納庫176に収納された金額と一時保留部179に収納された金額とで入金を確定させて取引を終了する。
(2)入金取引をキャンセルする。
【0067】
係員が操作部250を介して上記(1)の入金確定を選択した場合には(ステップS140:NO)、紙幣処理装置制御部230は、紙幣処理装置10を制御して、一時保留部179に収納された紙幣(すなわち、正常紙幣の内の損券であると識別された紙幣)を回収庫192に搬送して収納し(ステップS142)、その後、入金を確定させて入金処理を終了する(ステップS150)。また、係員が上記(2)の入金キャンセルを選択した場合には(ステップS140:YES)、以下に説明する入金キャンセル処理が開始される。
【0068】
図8は、第2実施例の紙幣処理システム40による入金キャンセル処理の流れを示すフローチャートである。第2実施例の入金キャンセル処理は、最初に、一時保留部179に収納された紙幣を出金口に排出する処理(ステップS202)が行われる点のみが、図5に示した第1実施例の入金キャンセル処理と異なっており、その他の点は第1実施例と同じである。なお、一時保留部179から出金口へと排出された紙幣は、取り出し要求(ステップS210)に応じて係員により取り出される。
【0069】
以上説明したように、第2実施例の紙幣処理システム40による入金処理の際には、正常紙幣の内の損券は一時保留部179に収納されるが、残りの正常紙幣(すなわち正券)は金種別紙幣収納庫176に直接に収納され、非正常紙幣は第1の出金口171に排出される。一般に、流通紙幣の内の損券の割合はそれほど高くないと考えられる。そのため、第2実施例の紙幣処理システム40による入金処理でも、入金口173に投入された紙幣を収納容量の小さい一時保留部に一端収納した後に確定指示を待って金種別紙幣収納庫176に収納する場合と比較して、一回の入金処理における取扱可能な紙幣の枚数を増加させることができると共に、紙幣の搬送経路を短縮して処理時間を短縮することができる。また、第2実施例の紙幣処理システム40による入金キャンセル処理の際には、最初に一時保留部179に収納された紙幣が第1の出金口171に排出されるため、第1実施例と同様に、入金処理において受け入れられた紙幣そのものを返却することができる。また、第2実施例の紙幣処理システム40では、入金処理の際に、正常紙幣を正券と損券とに分離して収納することができ、入金確定が選択された場合には損券を正券とは分離して回収庫192に回収することができる。また、入金キャンセルが選択された場合には、損券が出金口に排出されるため、例えば係員による排出紙幣の目視確認の目的を明確とすることができ、目視確認の認証レベルの向上による精度の高い紙幣管理を実現することができる。
【0070】
C.第3実施例:
図9および図10は、第3実施例の紙幣処理システム40による入金キャンセル処理の流れを示すフローチャートである。第3実施例の入金キャンセル処理は、以下に詳述するように、排出処理において非正常紙幣が検出されても、その時点での非正常紙幣および後続紙幣はすべて入金処理において収納された紙幣であることとなるように、必要排出枚数Nを小さい値に調整しておく点が、図5に示した第1実施例の入金キャンセル処理と異なっている。第3実施例の入金キャンセル処理におけるステップS210からS230までの処理内容は、第1実施例と同じである。
【0071】
第3実施例の入金キャンセル処理では、1つの金種別紙幣収納庫176が選択されると(ステップS230)、紙幣処理装置制御部230は、選択された金種別紙幣収納庫176について、入金処理時収納枚数M(x)に基づき調整排出枚数aNを算出する(ステップS232)。本実施例では、調整排出枚数aNは、入金処理時収納枚数M(x)から、後の排出処理において非正常紙幣が検出された場合に想定される非正常紙幣の枚数αと想定される後続紙幣の枚数βとの合計を差し引くことにより算出される。一般に、金種別紙幣収納庫176からの紙幣の繰り出しの際に2枚を超える紙幣が重なって繰り出されることはないため、想定される非正常紙幣の枚数αは2以上の値に設定される。例えば、枚数αは4であると設定される。また、想定される後続紙幣の枚数βは、金種別紙幣収納庫176からの紙幣の繰り出し間隔と、金種別紙幣収納庫176から識別部177までの搬送距離に基づき設定される。なお、一般に、金種別紙幣収納庫176から識別部177までの搬送距離は金種別紙幣収納庫176毎に異なるため、枚数βの値も金種別紙幣収納庫176毎に異なる値に設定される。ただし、枚数βを、すべての金種別紙幣収納庫176に共通の値として、最も安全側の値に設定するものとしてもよい。
【0072】
入金処理時収納枚数M(x)が比較的少なく、算出された調整排出枚数aNがゼロ以下である場合には(ステップS234:NO)、紙幣処理装置制御部230は、必要排出枚数Nを入金処理時収納枚数M(x)と同数に設定する(ステップS246)。その後、処理は図10のステップS450に進む。この場合には、選択された金種別紙幣収納庫176に関しては、第1実施例の入金キャンセル処理における排出処理と同様の処理が実行される。すなわち、図10のステップS450からS550までの処理内容は、図5のステップS250からS350までの処理と同一である。
【0073】
一方、算出された調整排出枚数aNがゼロより大きい場合には(ステップS234:YES)、紙幣処理装置制御部230は、必要排出枚数Nを調整排出枚数aNと同数に設定し(ステップS242)、第1実施例と同様の排出処理を開始する(ステップS250以降)。なお、このとき開始される排出処理を、後述の残枚数Rがゼロより大きい場合に実行される第2の排出処理と区別するために、第1の排出処理とも呼ぶものとする。
【0074】
第1の排出処理において、必要排出枚数Nの正常紙幣の第1の出金口171への排出完了前に非正常紙幣が検出された場合には(ステップS260:YES)、第1実施例と同様に、キャンセル処理部134は、金種別紙幣収納庫176からの紙幣の繰り出しを停止し(ステップS270)、検出された非正常紙幣を第2の出金口172に排出する(ステップS282)。ただし、第3実施例の入金キャンセル処理では、識別部177によって後続紙幣の識別を行い、後続紙幣の内の1枚の真の紙幣であると識別された正常後続紙幣は第1の出金口171に排出し、後続紙幣の内の金種または枚数を確定できないか偽の紙幣であると識別された非正常後続紙幣のみを第2の出金口172に排出する(ステップS284)。
【0075】
ここで、調整排出枚数aNがゼロより大きい場合には、調整排出枚数aNと同数に設定された必要排出枚数Nの紙幣の排出処理中に非正常紙幣が検出されても、その時点での非正常紙幣および後続紙幣はすべて入金処理において金種別紙幣収納庫176に収納された紙幣であると想定できる。従って、第3実施例の入金キャンセル処理では、このような場合には、すべての後続紙幣を第2の出金口172に排出するのではなく、後続紙幣の内の非正常後続紙幣のみを第2の出金口172に排出し、後続紙幣の内の正常後続紙幣は第1の出金口171に排出する。その後、第1実施例と同様に、第2の出金口172に排出された紙幣の枚数Tの計数が要求されるが(ステップS290)、第2の出金口172に排出された紙幣は非正常紙幣と後続紙幣の内の非正常後続紙幣のみであるため、係員による計数の対象となる紙幣の枚数を減らすことができ、処理時間の短縮および処理精度の向上を図ることができる。
【0076】
その後は、第1実施例と同様に、必要排出枚数Nから合計既排出枚数(T+D)を差し引いた特定枚数J(=N−T−D)がゼロより大きい場合(すなわち、N>T+Dの場合)には(ステップS300:YES)、必要排出枚数Nが特定枚数Jと同数に更新され(ステップS310)、更新された必要排出枚数Nの紙幣の排出のための第1の排出処理が開始される(ステップS250)。
【0077】
第1の排出処理において、非正常紙幣が検出されることなく必要排出枚数Nの紙幣の第1の出金口171への排出が完了した場合(ステップS340)、および、特定枚数J(=N−T−D)がゼロ以下の場合には(ステップS300:NO)、紙幣処理装置制御部230は、入金処理時収納枚数M(x)と、各排出処理において第1の出金口171に排出された紙幣の枚数Dの累計と第2の出金口172に排出された紙幣の枚数Tの累計との合計である累計合計既排出枚数(ΣT+ΣD)と、を比較して、比較結果に応じた処理を実行する(ステップS302およびS322)。
【0078】
具体的には、紙幣処理装置制御部230は、入金処理時収納枚数M(x)から累計合計既排出枚数(ΣT+ΣD)を差し引いた残枚数R(M(x)−ΣT−ΣD)を算出し、残枚数Rがゼロ以下である場合(すなわち、M(x)≦(ΣT+ΣD)の場合)には、少なくとも入金処理において金種別紙幣収納庫176に収納された紙幣はすべて排出済みであり、さらなる排出処理(後述の第2の排出処理)は必要ではないと判定する。このとき、紙幣処理装置制御部230は、第1の出金口171に排出された紙幣と、第2の出金口172に排出されたΣT枚の紙幣の内の入金処理時収納枚数M(x)から第1の出金口171に排出された紙幣の枚数ΣDを差し引いた枚数(すなわち、(M(x)−ΣD)枚)の紙幣と、を返却用紙幣とすることを係員に要求する(ステップS332)。なお、残枚数Rがゼロの場合(すなわち、M(x)=(ΣT+ΣD)の場合)には(ステップS322:YES)、(M(x)−ΣD)はΣTと同数となるため、第1の出金口171に排出された紙幣すべてと第2の出金口172に排出された紙幣すべてとを返却用紙幣とすることが要求されることとなる(ステップS350)。一方、残枚数Rがゼロより小さい場合(すなわち、M(x)<(ΣT+ΣD)の場合)には(ステップS302:YES)、入金処理において金種別紙幣収納庫176に収納された紙幣以外の紙幣(元々、金種別紙幣収納庫176に収納されていた紙幣)が第2の出金口172に排出されたこととなるため、第1の出金口171に排出された紙幣すべてと第2の出金口172に排出された紙幣の一部(すなわち、(M(x)−ΣD)枚の紙幣)とを返却用紙幣とすることが要求されることとなる(ステップS332)。なお、第2の出金口172に排出された紙幣の内の残り(すなわち、ΣT−(M(x)−ΣD)枚)の紙幣は、金種別紙幣収納庫176に戻される。
【0079】
他方、紙幣処理装置制御部230は、残枚数Rがゼロより大きい場合(すなわち、M(x)>(ΣT+ΣD)の場合)には(ステップS322:NO)、入金処理において金種別紙幣収納庫176に収納されたが第1の排出処理において未排出である紙幣があり、さらなる排出処理が必要であると判定する。なお、残枚数Rがゼロより大きい場合に実行される排出処理を第2の排出処理とも呼ぶものとする。この場合には、処理は図10のステップS370に進み、紙幣処理装置制御部230が、必要排出枚数Nを残枚数Rと同数に設定し(ステップS370)、残枚数Rの紙幣を排出するための第2の排出処理(ステップS450からS550)を紙幣処理装置10に開始させる。残枚数Rの紙幣を排出するための第2の排出処理の内容は、第1実施例の入金キャンセル処理(図5)のステップS250からS350までの処理内容と同一である。
【0080】
選択された1つの金種別紙幣収納庫176についての紙幣の排出・返却が完了すると、第1実施例と同様に、すべての金種別紙幣収納庫176が選択されたか否かが判定され(ステップS360)、未選択の金種別紙幣収納庫176がある場合には未選択の金種別紙幣収納庫176の1つが選択され(ステップS230)、選択された金種別紙幣収納庫176についてステップS232以降の処理が実行される。すべての金種別紙幣収納庫176が選択され、すべての金種別紙幣収納庫176についての紙幣の排出・返却が完了すると、入金キャンセル処理は終了する。
【0081】
以上説明したように、第3実施例の入金キャンセル処理では、第1実施例の入金キャンセル処理と同様に、非正常紙幣が検出されても、その都度、特定枚数Jに基づいてさらなる排出処理を実行すべきか否かの判定が行われるため、返却される紙幣が入金処理において投入された紙幣とは異なる紙幣となる事態を回避し、入金処理において投入された紙幣そのものを返却することが可能となる。また、第3実施例の入金キャンセル処理では、入金処理時収納枚数M(x)から想定枚数αおよびβを差し引いた調整排出枚数aNが算出され、調整排出枚数aNがゼロより大きい場合には必要排出枚数Nが調整排出枚数aNと同数に設定されて排出処理が開始されるため、排出処理において非正常紙幣が検出されても、その時点での後続紙幣はすべて入金処理において金種別紙幣収納庫176に収納された紙幣であると想定できる。そのため、すべての後続紙幣を第2の出金口172に排出するのではなく、後続紙幣の内の非正常後続紙幣のみを第2の出金口172に排出し、後続紙幣の内の正常後続紙幣は第1の出金口171に排出することにより、係員による計数の対象となる紙幣の枚数を減らすことができ、処理時間の短縮および処理精度の向上を図ることができる。
【0082】
また、第3実施例の入金キャンセル処理では、非正常紙幣が検出されることなく必要排出枚数Nの紙幣の第1の出金口171への排出が完了した場合、および、特定枚数J(=N−T−D)がゼロ以下の場合には、入金処理時収納枚数M(x)から累計合計既排出枚数(ΣT+ΣD)を差し引いた残枚数R(M(x)−ΣT−ΣD)が算出され、残枚数Rがゼロより大きい場合には、必要排出枚数Nが残枚数Rと同数に設定されて第2の排出処理が開始されるため、入金キャンセル処理の最初に必要排出枚数Nを調整排出枚数aNと同数に設定して排出処理(第1の排出処理)を実行しても、最終的に、入金処理において金種別紙幣収納庫176に収納された紙幣のすべてを排出・返却することができる。また、残枚数Rがゼロ以下である場合には、第1の出金口171に排出された紙幣と、第2の出金口172に排出されたΣT枚の紙幣の内の(M(x)−ΣD)枚の紙幣と、を返却用紙幣とすることが要求されるため、金種別紙幣収納庫176から必要以上の紙幣が排出された場合であっても入金処理において金種別紙幣収納庫176に収納された紙幣のみを返却用紙幣とすることができる。また、金種別紙幣収納庫176からの入金処理において収納された紙幣以外の紙幣(元々、金種別紙幣収納庫176に収納されていた紙幣)の出金を最小限に抑制することができる。
【0083】
D.第4実施例:
図11は、第4実施例の紙幣処理システム40による入金キャンセル処理の流れを示すフローチャートである。第4実施例の入金キャンセル処理は、以下に詳述するように、第1の排出処理において所定の場合には第2の出金口172に排出された紙幣の枚数Tが計数されるのではなく、枚数Tの推定値が用いられる点が、図9に示した第3実施例の入金キャンセル処理と異なっている。第4実施例の入金キャンセル処理におけるステップS210からS284までの処理内容は、第3実施例と同じである。
【0084】
第4実施例の入金キャンセル処理では、第1の排出処理において、必要排出枚数Nの正常紙幣の第1の出金口171への排出完了前に非正常紙幣が検出され(ステップS260:YES)、紙幣の繰り出しの停止(ステップS270)、非正常紙幣の第2の出金口172への排出(ステップS282)、正常後続紙幣の第1の出金口171への排出および非正常後続紙幣の第2の出金口172への排出(ステップS284)が行われると、紙幣処理装置制御部230は、第2の出金口172へ排出された紙幣の枚数Tを、第2の出金口172への排出回数mと非正常紙幣(非正常後続紙幣含む)が検出された場合に想定される非正常紙幣の枚数αとの積に等しいと推定する(ステップS292)。
【0085】
枚数Tが推定されると、紙幣処理装置制御部230は、第3実施例と同様に、必要排出枚数Nから合計既排出枚数(T+D)を差し引いた特定枚数J(=N−T−D)がゼロより大きいか否かによって、さらなる第1の排出処理を行うか否かを判定する(ステップS300)。さらなる第1の排出処理においても、非正常紙幣が検出されると、第2の出金口172へ排出された紙幣の枚数Tの計数ではなく推定が行われる。
【0086】
第1の排出処理において、非正常紙幣が検出されることなく必要排出枚数Nの紙幣の第1の出金口171への排出が完了した場合(ステップS340)、および、特定枚数J(=N−T−D)がゼロ以下の場合には(ステップS300:NO)、紙幣処理装置制御部230は、第2の出金口172に排出された紙幣(すなわち、非正常紙幣および非正常後続紙幣)を取り出して枚数Tを計数し、操作部250を介して枚数Tを入力することを係員に要求する(ステップS301)。これにより、初めて、第2の出金口172へ排出された紙幣の枚数Tが正確に把握される。その後は、第3実施例と同様に、入金処理時収納枚数M(x)と累計合計既排出枚数(ΣT+ΣD)とが比較され(ステップS302,S322)、比較結果に応じた処理が実行される。
【0087】
以上説明したように、第4実施例の入金キャンセル処理では、第1の排出処理において非正常紙幣が検出されると、第2の出金口172に排出された紙幣の枚数Tが計数されるのではなく推定され、推定された枚数Tに基づき、さらなる第1の排出処理の実行要否が判定される。そして、非正常紙幣が検出されることなく必要排出枚数Nの紙幣の第1の出金口171への排出が完了するか、または、特定枚数J(=N−T−D)がゼロ以下となってさらなる第1の排出処理は不要であると判定されると、初めて、第2の出金口172に排出された紙幣の枚数Tの計数が要求される。そのため、第4実施例の入金キャンセル処理では、係員による第2の出金口172に排出された紙幣の枚数Tの計数回数を最小限に減らすことができ、処理時間の短縮および処理精度の向上を図ることができる。
【0088】
E.第5実施例:
図12は、第5実施例の紙幣処理システム40による入金キャンセル処理の流れを示すフローチャートである。第5実施例の入金キャンセル処理は、以下に詳述するように、第1の排出処理において非正常紙幣が検出された場合でも直ちに金種別紙幣収納庫176からの紙幣の繰り出しを停止しない点が、図11に示した第4実施例の入金キャンセル処理と異なっている。第5実施例の入金キャンセル処理におけるステップS210からS260までの処理内容は、第4実施例と同じである。
【0089】
第5実施例の入金キャンセル処理では、第1の排出処理において、必要排出枚数Nの正常紙幣の第1の出金口171への排出完了前に非正常紙幣が検出されても(ステップS260:YES)、金種別紙幣収納庫176からの紙幣の繰り出しは停止されず、非正常紙幣の第2の出金口172への排出(ステップS282)、正常後続紙幣の第1の出金口171への排出および非正常後続紙幣の第2の出金口172への排出(ステップS284)、第2の出金口172へ排出された紙幣の枚数Tの推定(ステップS292)が行われ、特定枚数J(=N−T−D)に基づいて、さらなる第1の排出処理を行うか否かの判定が行われる(ステップS300)。さらなる第1の排出処理が必要であると判定されると、必要排出枚数Nが更新設定され、新たな第1の排出処理が開始される。特定枚数J(=N−T−D)がゼロ以下となり、さらなる第1の排出処理は必要でないと判定されると、初めて、金種別紙幣収納庫176からの紙幣の繰り出しが停止される(ステップS303)。すなわち、第5実施例では、第1の排出処理金において非正常紙幣が検出されてから次の紙幣の繰り出しまでの期間に、ステップS282,S284,S292,S300,S310の処理が実行される。なお、紙幣の繰り出し停止の後は、第4実施例と同様に、第2の出金口172に排出された紙幣の枚数Tの計数が要求され(ステップS301)、入金処理時収納枚数M(x)と累計合計既排出枚数(ΣT+ΣD)とが比較され(ステップS302,S322)、比較結果に応じた処理が実行される。
【0090】
以上説明したように、第5実施例の入金キャンセル処理では、第1の排出処理において非正常紙幣が検出された場合でも、その都度、金種別紙幣収納庫176からの紙幣の繰り出しが停止されず、第2の出金口172に排出された紙幣の枚数Tの推定と推定値を用いたさらなる排出処理の要否判定とが行われるため、紙幣の繰り出し停止回数を最小限に減らすことができ、処理時間の短縮および処理精度の向上を図ることができる。
【0091】
F.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0092】
上記各実施例における紙幣処理システム40の構成は、あくまで一例であり、種々に変形可能である。例えば、上記各実施例では、紙幣処理装置10は、第1の出金口171と第2の出金口172との2つの出金口を有しているとしているが、紙幣処理装置10が3つ以上の出金口を有しているとしてもよい。この場合には、入金処理の際に非正常紙幣を排出する出金口を第1の出金口171および第2の出金口172とは別の出金口とすることができ、入金キャンセル処理の最初に出金口の紙幣の取り出しを要求するステップ(図5のステップS210等)を省略することができる。
【0093】
また、紙幣処理装置10が1つの出金口(第1の出金口171)のみを有しているとしてもよい。図13は、変形例における紙幣処理装置10の構成を示す説明図である。図13に示す変形例の紙幣処理装置10は、出金口として第1の出金口171のみを有し、第2の出金口172を有さない点が、図6に示した第2実施例の紙幣処理装置10と異なっている。図13に示す紙幣処理装置10を用いた入金処理は、図7に示した第2実施例の入金処理と同様に実行される。また、図13に示す紙幣処理装置10を用いた入金キャンセル処理は、図8に示した第2実施例の入金キャンセル処理と同様に実行される。ただし、図13に示す紙幣処理装置10を用いた入金キャンセル処理では、一時保留部179が、第2実施例における第1の出金口171の代わりとして利用され、第1の出金口171が第2実施例における第2の出金口172の代わりとして利用される。すなわち、正常紙幣であると判定された紙幣は一時保留部179に収納され、非正常紙幣であると判定された紙幣は第1の出金口171に排出される。そして、処理の最後に、一時保留部179に収納された紙幣が第1の出金口171に排出される。このようにすれば、紙幣処理装置10が1つのみの出金口を有する場合であっても、正常紙幣と非正常紙幣とを分離して収納・排出することができ、入金キャンセル処理の際に、入金処理において収納された紙幣そのものを返却することができる。
【0094】
また、上記各実施例の入金処理および入金キャンセル処理における紙幣処理装置10の制御部110と端末装置20の制御部210との役割分担は任意に変更可能である。また、上記各実施例では、紙幣処理装置10と端末装置20とにより紙幣処理システム40が構成されているが、紙幣処理装置10が端末装置20の機能を含み、紙幣処理装置10単独で(紙幣処理装置10の制御部110の制御の下で)入金処理および入金キャンセル処理を実行するものとしてもよい。
【0095】
また、上記各実施例では、紙幣を取り扱う紙幣処理装置10を備える紙幣処理システム40について説明したが、本発明は、紙幣以外の紙葉類(例えば商品券、小切手、旅行小切手、チケット)を取り扱う紙葉類処理装置および紙葉類処理装置を備える紙葉類処理システムにも適用可能である。
【0096】
また、上記各実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0097】
10…紙幣処理装置
20…端末装置
30…伝送線
40…紙幣処理システム
110…制御部
120…業務処理部
130…紙幣処理部
132…入金処理部
134…キャンセル処理部
150…操作部
160…表示部
170…紙幣処理機構
171…第1の出金口
172…第2の出金口
173…入金口
174…センサ
175…搬送機構
176…金種別紙幣収納庫
177…識別部
178…ゲート
179…一時保留部
180…通信インタフェース
192…回収庫
210…制御部
230…紙幣処理装置制御部
250…操作部
260…表示部
280…通信インタフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を扱う紙葉類処理装置であって、
紙葉類を受け入れる受入口と、
紙葉類を排出する複数の排出口と、
紙葉類の種類毎に準備され、紙葉類を収納すると共に収納順と逆の順序で繰り出す紙葉類収納部と、
紙葉類を搬送する搬送機構と、
搬送される紙葉類の種類と枚数と真偽とについての識別を行う識別部と、
ユーザとの間の情報のやり取りのためのユーザインタフェース部と、
前記紙葉類処理装置の各部を制御して、前記受入口から受け入れられた紙葉類を順に搬送しつつ識別し、1枚の真の紙葉類であると識別された正常紙葉類を紙葉類の種類に対応する前記紙葉類収納部に収納すると共に、種類または枚数を確定できないか偽の紙葉類であると識別された非正常紙葉類を前記排出口に排出する受け入れ処理と、前記ユーザインタフェース部を介した指示に応じて前記受け入れ処理において前記受入口から受け入れられた紙葉類を排出するキャンセル処理と、を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、前記キャンセル処理の際に、各前記紙葉類収納部について、前記受け入れ処理において収納された紙葉類の枚数である受け入れ時収納枚数に基づき必要排出枚数を設定し、前記紙葉類収納部からの前記必要排出枚数の紙葉類の繰り出しと、繰り出された紙葉類の識別と、識別された正常紙葉類の第1の前記排出口への排出と、を行う排出処理を開始し、前記排出処理において前記必要排出枚数の正常紙葉類の排出完了前に非正常紙葉類が検出された場合には、非正常紙葉類と、該非正常紙葉類に続いて前記紙葉類収納部から繰り出された後続紙葉類と、を第2の前記排出口に排出し、前記必要排出枚数から、前記排出処理において前記第1の排出口へ排出された第1の排出紙葉類の枚数と前記第2の排出口へ排出された第2の排出紙葉類の枚数との合計である合計既排出枚数を差し引いた特定枚数がゼロより大きい場合には、前記必要排出枚数を前記特定枚数と同数に更新してさらなる前記排出処理を開始する、紙葉類処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の紙葉類処理装置であって、
前記制御部は、前記排出処理において非正常紙葉類が検出された場合には、前記ユーザインタフェース部を介して、前記第2の排出紙葉類の枚数を計数して入力することを要求し、入力された枚数に基づき前記合計既排出枚数を決定する、紙葉類処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の紙葉類処理装置であって、
前記制御部は、最初の前記排出処理の開始前に前記必要排出枚数を前記受け入れ時収納枚数と同数に設定し、前記排出処理において非正常紙葉類が検出された場合には、非正常紙葉類とすべての後続紙葉類とを前記第2の排出口に排出し、前記特定枚数がゼロ以下の場合には、前記ユーザインタフェース部を介して、前記第1の排出紙葉類と、最後の前記排出処理における前記第2の排出紙葉類の内、前記必要排出枚数から前記第1の排出紙葉類の枚数を差し引いた枚数の前記第2の排出紙葉類と、を返却用紙葉類とすることを要求する、紙葉類処理装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の紙葉類処理装置であって、
前記制御部は、前記受け入れ時収納枚数から前記排出処理において非正常紙葉類が検出された場合に想定される非正常紙葉類の枚数および後続紙葉類の枚数の合計を差し引いた調整排出枚数がゼロより大きい場合には、前記必要排出枚数を前記調整排出枚数と同数に設定して第1の前記排出枚数を開始し、前記第1の排出処理において非正常紙葉類が検出されると、非正常紙葉類と後続紙葉類の内の正常紙葉類ではないと識別された非正常後続紙葉類とを前記第2の排出口に排出すると共に後続紙葉類の内の正常紙葉類であると識別された正常後続紙葉類を前記第1の排出口に排出する、紙葉類処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の紙葉類処理装置であって、
前記制御部は、前記第1の排出処理において非正常紙葉類が検出された場合であって前記特定枚数がゼロ以下の場合には、前記受け入れ時収納枚数から前記合計既排出枚数の累計を差し引いた残枚数を決定し、前記残枚数がゼロより大きい場合には、前記必要排出枚数を前記残枚数と同数に設定して第2の前記排出処理を開始し、前記第2の排出処理において非正常紙葉類が検出された場合には、非正常紙葉類とすべての後続紙葉類とを前記第2の排出口に排出すると共に、前記特定枚数がゼロ以下の場合には、前記ユーザインタフェース部を介して、前記第1の排出紙葉類と、最後の前記第2の排出処理における前記第2の排出紙葉類の内、前記必要排出枚数から前記第1の排出紙葉類の枚数を差し引いた枚数の前記第2の排出紙葉類と、を返却用紙葉類とすることを要求する、紙葉類処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の紙葉類処理装置であって、
前記制御部は、前記残枚数がゼロ以下である場合には、前記ユーザインタフェース部を介して、前記第1の排出紙葉類と、最後の前記第1の排出処理における前記第2の排出紙葉類の内の前記受け入れ時排出枚数から前記第1の排出紙葉類の枚数を差し引いた枚数の紙葉類と、を返却用紙葉類とすることを要求する、紙葉類処理装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の紙葉類処理装置であって、
前記制御部は、前記第1の排出処理における前記第2の排出口への紙葉類の排出回数と非正常紙葉類が検出された場合に想定される非正常紙葉類の枚数とに基づき前記第2の排出紙葉類の枚数を推定し、推定された枚数に基づき前記特定枚数を決定し、前記特定枚数がゼロ以下の場合には、前記ユーザインタフェース部を介して、前記第2の排出紙葉類の枚数を計数して入力することを要求し、入力された枚数に基づき前記残枚数を決定する、紙葉類処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の紙葉類処理装置であって、
前記制御部は、前記第1の排出処理において非正常紙葉類が検出された場合であって前記特定枚数がゼロより大きい場合には、前記紙葉類収納部からの紙葉類の繰り出しを停止せず、前記第1の排出処理において非正常紙葉類が検出された場合であって前記特定枚数がゼロ以下の場合には、前記紙葉類収納部からの紙葉類の繰り出しを停止する、紙葉類処理装置。
【請求項9】
請求項1に記載の紙葉類処理装置であって、さらに、
紙葉類を一時的に保持する一時保留部と、
紙葉類を収納する第2の紙葉類収納部と、を備え、
前記識別部は、紙葉類の種類と枚数と真偽と正損とについての識別を行い、
前記制御部は、前記受け入れ処理の際に、前記正常紙葉類の内の正券と識別された第1の正常紙葉類を前記紙葉類収納部に収納すると共に前記正常紙葉類の内の損券と識別された第2の正常紙葉類を前記一時保留部に収納し、前記キャンセル処理が行われない場合には前記一時保留部に収納された前記第2の正常紙葉類を前記第2の紙葉類収納部に収納し、前記キャンセル処理が行われる場合には前記一時保留部に収納された前記第2の正常紙葉類を前記排出口に排出する、紙葉類処理装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の紙葉類処理装置であって、
前記制御部は、前記キャンセル処理における最初の前記排出処理の前に、前記ユーザインタフェース部を介して、前記排出口に排出された紙葉類を返却用紙葉類として取り出すことを要求する、紙葉類処理装置。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の紙葉類処理装置であって、
前記紙葉類は、紙幣と商品券と小切手と旅行小切手とのいずれか1つである、紙葉類処理装置。
【請求項12】
紙葉類を扱う紙葉類処理装置であって、
紙葉類を受け入れる受入口と、
紙葉類を排出する排出口と、
紙葉類を一時的に保持する一時保留部と、
紙葉類の種類毎に準備され、紙葉類を収納すると共に収納順と逆の順序で繰り出す紙葉類収納部と、
紙葉類を搬送する搬送機構と、
搬送される紙葉類の種類と枚数と真偽とについての識別を行う識別部と、
ユーザとの間の情報のやり取りのためのユーザインタフェース部と、
前記紙葉類処理装置の各部を制御して、前記受入口から受け入れられた紙葉類を順に搬送しつつ識別し、1枚の真の紙葉類であると識別された正常紙葉類を紙葉類の種類に対応する前記紙葉類収納部に収納すると共に、種類または枚数を確定できないか偽の紙葉類であると識別された非正常紙葉類を前記排出口に排出する受け入れ処理と、前記ユーザインタフェース部を介した指示に応じて前記受け入れ処理において前記受入口から受け入れられた紙葉類を排出するキャンセル処理と、を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、前記キャンセル処理の際に、各前記紙葉類収納部について、前記受け入れ処理において収納された紙葉類の枚数である受け入れ時収納枚数に基づき必要排出枚数を設定し、前記紙葉類収納部からの前記必要排出枚数の紙葉類の繰り出しと、繰り出された紙葉類の識別と、識別された正常紙葉類の前記排出口への排出と、を行う排出処理を開始し、前記排出処理において前記必要排出枚数の正常紙葉類の排出完了前に非正常紙葉類が検出された場合には、非正常紙葉類と、該非正常紙葉類に続いて前記紙葉類収納部から繰り出された後続紙葉類と、を前記一時保留部に収納し、前記必要排出枚数から、前記排出処理において前記排出口へ排出された紙葉類の枚数と前記一時保留部に収納された紙葉類の枚数との合計である合計既排出枚数を差し引いた特定枚数がゼロより大きい場合には、前記必要排出枚数を前記特定枚数と同数に更新してさらなる前記排出処理を開始し、前記排出処理において前記必要排出枚数の正常紙葉類の排出が完了した際に前記一時保留部に収納された紙葉類を前記排出口に排出する、紙葉類処理装置。
【請求項13】
紙葉類を受け入れる受入口と、紙葉類を排出する複数の排出口と、紙葉類の種類毎に準備され紙葉類を収納すると共に収納順と逆の順序で繰り出す紙葉類収納部と、紙葉類を搬送する搬送機構と、搬送される紙葉類の種類と枚数と真偽とについての識別を行う識別部と、前記紙葉類処理装置の各部を制御する制御部と、を有する紙葉類処理装置と、前記紙葉類処理装置を制御する制御装置と、を備える紙葉類処理システムであって、
前記制御部および前記制御装置は、前記紙葉類処理装置の各部を制御して、前記受入口から受け入れられた紙葉類を順に搬送しつつ識別し、1枚の真の紙葉類であると識別された正常紙葉類を紙葉類の種類に対応する前記紙葉類収納部に収納すると共に、種類または枚数を確定できないか偽の紙葉類であると識別された非正常紙葉類を前記排出口に排出する受け入れ処理と、指示に応じて前記受け入れ処理において前記受入口から受け入れられた紙葉類を排出するキャンセル処理と、を行い、前記キャンセル処理の際に、各前記紙葉類収納部について、前記受け入れ処理において収納された紙葉類の枚数である受け入れ時収納枚数に基づき必要排出枚数を設定し、前記紙葉類収納部からの前記必要排出枚数の紙葉類の繰り出しと、繰り出された紙葉類の識別と、識別された正常紙葉類の第1の前記排出口への排出と、を行う排出処理を開始し、前記排出処理において前記必要排出枚数の正常紙葉類の排出完了前に非正常紙葉類が検出された場合には、非正常紙葉類と、該非正常紙葉類に続いて前記紙葉類収納部から繰り出された後続紙葉類と、を第2の前記排出口に排出し、前記必要排出枚数から、前記排出処理において前記第1の排出口へ排出された第1の排出紙葉類の枚数と前記第2の排出口へ排出された第2の排出紙葉類の枚数との合計である合計既排出枚数を差し引いた特定枚数がゼロより大きい場合には、前記必要排出枚数を前記特定枚数と同数に更新してさらなる前記排出処理を開始する、紙葉類処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−38008(P2012−38008A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176116(P2010−176116)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】