紙葉類処理装置および紙葉類処理方法
【課題】この発明は、集積した紙葉類を1枚ずつ確実に取り出しローターに吸着せしめて取り出すことができ、取り出した紙葉類を確実に搬送部へ受け渡すことができ、搬送部を介して当該紙葉類を比較的高速で安定して搬送することができる紙葉類処理装置、および紙葉類処理方法を提供することを課題とする。
【解決手段】紙葉類処理装置は、取り出し位置の紙葉類に負圧を作用させて回転する取り出しローター、および取り出し位置から取り出された紙葉類を受け取って搬送する搬送ベルトを有する。コントローラーは、搬送ベルトを目標搬送速度で走行させ、取り出し開始時に取り出しローターを低速回転し、取り出した紙葉類を搬送部へ受け渡すときにそのときの搬送速度と略同じ周速で取り出しローターを回転させる。
【解決手段】紙葉類処理装置は、取り出し位置の紙葉類に負圧を作用させて回転する取り出しローター、および取り出し位置から取り出された紙葉類を受け取って搬送する搬送ベルトを有する。コントローラーは、搬送ベルトを目標搬送速度で走行させ、取り出し開始時に取り出しローターを低速回転し、取り出した紙葉類を搬送部へ受け渡すときにそのときの搬送速度と略同じ周速で取り出しローターを回転させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、集積した紙葉類を1枚ずつ搬送路に取り出して搬送する紙葉類処理装置および紙葉類処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙葉類処理装置として、集積した複数枚の紙葉類を1枚ずつ連続して取り出して搬送し、搬送した紙葉類を検査し、検査した紙葉類をその検査結果に応じて所定の集積部へ集積する紙葉類処理装置が知られている。
【0003】
この装置は、例えば、集積された紙葉類に接触して回転する取り出し部の回転ドラムと、取り出された紙葉類を挟んで走行する搬送部の搬送ベルトと、をタイミングベルトを介して単一の駆動モーターに接続している。そして、取り出し部と搬送部を機械的に同期させて駆動するようにしている。
【0004】
これにより、駆動モーターの回転速度が何らかの原因によって変動した場合であっても、取り出し部と搬送部との間で動作にズレを生じることを防止できる。
【0005】
また、この種の紙葉類処理装置として、紙葉類を取り出しローターの表面に吸着して搬送路に取り出すタイプのものが知られている。この種の装置では、取り出しローターの表面に負圧を発生させて紙葉類を吸着するため、紙葉類をローター表面に確実に吸着させるためには、例えば、吸着時のローターの回転速度を遅くする方法が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−163500号公報
【特許文献2】特開平9−301547号公報
【特許文献3】特開平5−87204号公報
【特許文献4】特開2008−297095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば、上述した取り出し部と搬送部を機械的に同期させて駆動する装置で上述した負圧吸着タイプの取り出しローターを用いた場合、紙葉類を良好に吸着させるため、取り出しローターの回転速度を遅くしてしまうと、搬送部による紙葉類の搬送速度も遅くしなければならない。逆に、搬送部における搬送速度を高速にするため、取り出しローターの回転速度を速くすると、紙葉類の吸着が不十分になって取り出し不良を生じてしまう。
【0008】
一方で、搬送ベルトは、その物性値(摩擦係数など)が温度や湿度などの様々な外的要因によって変動し、個体間でもばらつきを有する。さらに、搬送ベルトを駆動するモーターも、搬送ベルトに作用する負荷が変わると回転速度が変化する。このため、搬送部における紙葉類の搬送速度は変動し易い。
【0009】
紙葉類の搬送速度が変動すると、搬送ピッチが変動し、検査部において誤判定を生じ、区分部において区分ミスを生じ、集積部において集積不良を生じる可能性がある。
【0010】
この発明の目的は、集積した紙葉類を1枚ずつ確実に取り出しローターに吸着せしめて取り出すことができ、取り出した紙葉類を確実に搬送部へ受け渡すことができ、搬送部を介して当該紙葉類を比較的高速で安定して搬送することができる紙葉類処理装置、および紙葉類処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態によれば、取り出し位置の紙葉類に負圧を作用させて吸着せしめた状態で回転することにより当該紙葉類を上記取り出し位置から取り出す取り出し部材と、この取り出し部材によって上記取り出し位置から取り出された紙葉類を受け取って搬送する搬送部と、上記取り出し部材に上記取り出し位置の紙葉類を吸着せしめるときに、上記搬送部における紙葉類の搬送速度より遅い周速で上記取り出し部材を回転させ、上記取り出し部材に吸着せしめた紙葉類を上記搬送部へ受け渡すときに、上記搬送部におけるそのときの搬送速度と略同じ周速で上記取り出し部材を回転させる制御部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、第1実施形態に係る紙葉類処理装置の概略図である。
【図2】図2は、図1の処理装置に組み込まれた取出部を拡大した概略図である。
【図3】図3は、図2の取出部の取り出しローターの駆動機構を示す側面図である。
【図4】図4は、図3の取り出しローターの断面図である。
【図5】図5は、図2の分離部に設けられた分離ローラーの断面図である。
【図6】図6は、図1の処理装置の搬送部の一部の構造を示す概略図である。
【図7】図7は、図6の構造の正面図である。
【図8】図8は、図1の処理装置の取出部における紙葉類の取り出し速度と搬送部における紙葉類の搬送速度を同期させるための制御系のブロック図である。
【図9】図9は、図8の制御系による動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】図10は、図9のフローチャートに沿って取り出しローターを回転させたときの速度パターンを示すグラフである。
【図11】図11は、図9のフローチャートの変形例である。
【図12】図12は、第2実施形態に係る紙葉類の取り出し動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】図13は、図12のフローチャートに従って動作制御される取り出しローターの速度パターンの一例を示すグラフである。
【図14】図14は、取り出しローターの回転速度を一定にした従来の速度パターンを示すグラフである。
【図15】図15は、図13の速度パターンについてより詳細に説明するためのグラフである。
【図16】図16は、図12のフローチャートの変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら実施形態について詳細に説明する。
図1には、第1実施形態にかかる紙葉類処理装置200(以下、単に処理装置200と称する)の概略図を示してある。この処理装置200は、例えば、複数枚の紙幣を搬送路に取り出して一定速度で搬送し、搬送した紙幣を検査し、検査済の紙幣を再使用に供するため集積する。
【0014】
処理装置200は、上下方向に集積した複数枚の紙葉類Pを最上端のものから一枚ずつ搬送路上に取り出す取出部1、この取出部1で取り出した紙葉類Pを搬送路上に受け取って搬送する搬送部2、取出部1で紙葉類Pが正常に取り出されたか否かに応じて当該紙葉類の搬送方向を2方向に振り分ける第1ゲート3、正常に取り出された紙葉類Pから情報を読み取って検査する検査部4、この検査部4における検査結果に従って当該紙葉類Pを2方向に振り分ける第2ゲート5、および、この第2ゲート5によって振り分けられた紙葉類Pをそれぞれ集積する第1の集積部6および第2の集積部7を有する。
【0015】
この処理装置200で紙葉類Pを処理する場合、まず、図示のように重ねた状態で複数枚の紙葉類Pを取出部1にセットする。そして、取出部1によって複数枚の紙葉類Pを最上端のものから順に一枚ずつ取り出す。この取り出された紙葉類Pは、搬送部2へ受け渡され、搬送部2によって一定の速度で搬送される。
【0016】
取出部1で正常に取り出された紙葉類Pは、第1ゲート3によって図示矢印A方向に区分搬送され、第1の分岐搬送路8を介して検査部4へと搬送される。一方、取出部1で取り出し不良(重送など)が発生した紙葉類Pは、第1ゲート3によって図示矢印B方向に区分搬送され、第2の分岐搬送路9を介して排除用の集積部10へと搬送される。
【0017】
矢印A方向に区分搬送された紙葉類Pは、検査部4で情報が読み取られて検査された後、この検査結果に基づいて第2ゲート5によって図示矢印C方向または図示矢印D方向に区分搬送される。矢印C方向に区分搬送された紙葉類Pは、第3の分岐搬送路11を介して、第1の集積部6に搬送されて再び集積される。また、矢印D方向に区分搬送された紙葉類Pは、第4の分岐搬送路12を介して、排除用の第2の集積部7に搬送されて再び集積される。
【0018】
なお、搬送部2には複数個の検出センサー13が紙葉類Pの搬送方向に沿って互いに離間して設けられており、図示しない制御部にて紙葉類Pの通過枚数や搬送方向に沿った長さなどを測定できるようになっている。各検出センサー13は、搬送路を挟んで発光部と受光部をそれぞれ有し、発光部から受光部に向かう光が搬送路を横切る光路を紙葉類Pが遮ることをもって、当該紙葉類Pの先端および後端通過を検出可能となっている。
【0019】
図2には、図1の処理装置200に組み込まれた取出部1を拡大した概略図を示してある。また、図3には、図2の取出部1に設けられた取り出しローター20の駆動機構を示す側面図を示してあり、図4には、図2の取り出しローター20の断面図を示してある。ここで、取出部1の詳細について説明する。
【0020】
取出部1には、複数枚集積された紙葉類Pを最上端のものから一枚ずつ取り出すための取り出しローター20(取り出し部材)、集積された複数枚の紙葉類Pを取り出しローター20に向けて上昇させる供給部30、および、取り出しローター20によって紙葉類Pを取り出すときに、紙葉類Pの重送を防止するための分離部40が設けられている。
【0021】
取り出しローター20は、略円筒スリーブ形状に形成され、略円柱状のコア部材22の外側に回転可能に取り付けられている。取り出しローター20は、その内周面と外周面を連絡する複数の吸着孔21を有する。
【0022】
図4に示すように、複数の吸着孔21は、取り出しローター20の回転方向に沿った一箇所にまとめて形成されている。言い換えると、取り出しローター20の複数の吸着孔21は、後述する分離ローラー41(図5)の複数の吸着孔42のようにローラーの回転方向に沿って等間隔で均一に全周に亘って設けられておらず、ローター20の全周の一箇所に孔群としてまとめて設けられている。本実施形態では、取り出しローター20の全周のうち1箇所にだけ吸着孔21の群を設けた。
【0023】
一方、コア部材22は、これら複数の吸着孔21に連通するチャンバー24を有する。チャンバー24には真空ポンプ23が接続され、その内部は負圧に保たれている。チャンバー24には、その内部を外部に開放させる切欠部24aが形成されている。コア部材22は、この切欠部24aが、集積された最上端の紙葉類Pの取り出し方向先端側上面に対向する姿勢で固定されている。
【0024】
取り出しローター20がコア部材22に対して回転すると、回転の途中で複数の吸着孔21がチャンバー24の切欠部24aを通過し、複数の吸着孔21を介してチャンバー24内に空気が流入される。これにより、取り出しローター20の外周面に紙葉類Pが吸着され、取り出しローター20の回転によって当該紙葉類Pが取り出し位置から取り出される。
【0025】
取り出しローター20の回転方向に沿った切欠部24aの長さは、取り出しローター20の回転の途中で全ての吸着孔21が同時にチャンバー24に連通することのできる長さに設定されている。本実施の形態の取り出しローター20は、金属製であるため、その外周面と紙葉類Pとの間の摩擦係数を高めるため、外周面に図示しないゴムチップを貼り付けてもよい。
【0026】
図3に示すように、取り出しローター20に接続されたシャフト25には、カップリング26を介して、サーボモーター27が同軸に取り付けられている。このサーボモーター27を駆動することで、取り出しローター20が回転される。また、取り出しローター20には、吸着孔21の位置を検出できるように遮蔽板28が設置されている。この遮蔽板28が検出センサー29の光軸を遮ることにより、吸着孔21の位置を検出できる。検出センサー29は、全ての吸着孔21がチャンバー24の切欠部24aに重なったときに遮蔽板28が検出センサー29の光軸を遮る位置に設けられている。つまり、検出センサー29の光軸を遮蔽板28が遮ったとき、取り出しローター20の表面に最も大きな負圧が生じて紙葉類Pが吸着されて取り出されることになる。検出センサー29からの信号は後述するコントローラー100へ送られる。
【0027】
供給部30には載置手段としての供給台31が昇降自在に設けられており、この供給台31上には紙葉類Pが積み重ねて置かれている。この供給台31は、モーターによって回転駆動されるタイミングベルト機構(図示せず)などによって上下動される。供給部30の上方には、紙葉類Pの上端位置を検出するための検出レバー32が設けられている。この検出レバー32は紙葉類Pの上端位置を電気信号に変換し、コントローラー100に位置情報を伝える。コントローラー100は、この位置情報に基づいて供給台31を上昇させ、集積した紙葉類Pのうち集積方向上端にある紙葉類が取り出しローター20に接触する直前で供給台31を停止させる。
【0028】
紙葉類Pの取り出し方向に沿って供給台31の前方(図中右側)には、鉛直方向に延設されたガイド板33が固定的に設けられている。このガイド板33は、集積した紙葉類Pの取り出し方向先端を取り揃える機能と、取り出しローター20の回転方向に沿って紙葉類Pが取り出されるときに、この紙葉類Pの下面側をガイドする機能と、を有し、取り出される紙葉類Pの姿勢を矯正して搬送部2に受け渡す。
【0029】
分離部40は、ガイド板33の裏面側(図中右側)で取り出しローター20の図中下方に配置されている。この分離部40には、紙葉類Pの重送を防止する分離ローラー41が設けられている。この分離ローラー41は図示しない駆動機構により、紙葉類Pが取り出されるのを妨げる方向(取り出しローター20が紙葉類Pを取り出す方向とは逆方向)に回転される。分離ローラー41は、取り出しローター20により複数枚の紙葉類Pが搬送路に同時に送り込まれるのを防ぐため、取り出しローター20に吸着されていない紙葉類Pを吸着して取り出し方向と逆方向へと戻すように機能する。
【0030】
図5は、図2の分離部40に設けられた分離ローラー41の断面図である。
分離ローラー41は円筒形状をしており、その内周面と外周面を連通する複数の吸着孔42を有する。上述したように、分離ローラー41の吸着孔42は、ローラーの全周に亘って等間隔で均一に設けられている。言い換えると、この分離ローラー41は、その表面のどの部位でも紙葉類Pに対して負圧を作用させることができる。
【0031】
この分離ローラー41は、チャンバー43を有する略円筒形のコア部材45の外側に回転可能に取り付けられている。チャンバー43の内部は真空ポンプ44(図2に示す)によって真空引きされて負圧に保たれている。コア部材45は、チャンバー43の開口43aが取り出しローター20に対向する姿勢で固定されている。
【0032】
分離ローラー41がコア部材45の周りを回転すると、複数の吸着孔42がチャンバー43の開口43aを順次通過し、各吸着孔42を通してチャンバー43内に空気が吸入される。これにより、分離ローラー41の外周面に負圧が生じ、外周面に紙葉類Pが吸着される。分離ローラー41は取り出しローター20と逆方向に回転するため、分離ローラー41に吸着された紙葉類Pは、取り出し方向と逆方向に戻されて分離される。
【0033】
図6は、図1の処理装置200の搬送部2の一部の構造を示す概略図であり、図7は、図6の構造の正面図である。搬送部2は、ここで説明する一部の構造を紙葉類Pの搬送方向に沿って複数組つなげた構造を有するが、ここでは、この一部の構造だけ代表して説明する。
【0034】
図7に示すように、搬送部2は、無端状の2組の搬送ベルト50を搬送路を挟んで接触させた構造を有する。より具体的には、搬送路の一側に2本の搬送ベルト50が配置され、これら2本の搬送ベルト50は、図6に示すように、紙葉類Pの搬送方向を横切る幅方向に離間して互いに平行に配置されている。搬送路の他側にも、図7に示すように、搬送路の一側の2本の搬送ベルト50それぞれに搬送路を介して接触して走行する2本の搬送ベルト50が配置されている。
【0035】
これら複数本の搬送ベルト50は、それぞれ、駆動プーリー51と従動プーリー52との間に掛け渡されており、互いに接触して走行する搬送ベルト対の間に紙葉類Pを挟持して搬送する。
【0036】
駆動プーリー51はシャフト53に接続されている。従動プーリー52はベース54に取り付けられたシャフト55に回転可能に取り付けられている。シャフト53はベース54を貫通して反対側まで延びており、ベース54の反対側でタイミングプーリー56が接続されている。このタイミングプーリー56はタイミングベルト57を介して搬送モーター58に接続されている。しかして、搬送モーター58を駆動することによって、駆動プーリー51が回転され、搬送ベルト50が走行される。
【0037】
また、駆動プーリー51にはシャフト53を介してローターリーエンコーダー59が接続されており、コントローラー100がこのエンコーダー59を介して駆動プーリー51の回転速度を検出する。なお、本実施形態では検出手段としてローターリーエンコーダー59を用いたが、スリットを設けた板と光学的なセンサーを用いて回転速度を検出する方式を採用してもよい。
【0038】
搬送モーター58が回転駆動されると、その駆動力はタイミングプーリー56、タイミングベルト57、シャフト53を介して、駆動プーリー51に伝達され、搬送ベルト50を走行させる。そして、取出部1によって取り出された紙葉類Pが、搬送ベルト50の間に挟持されて搬送される。このときの搬送速度は、エンコーダー59から得られる駆動プーリー51の回転速度情報から換算することができる。また、所定間隔だけ離れた位置にある紙葉類Pの有無を検出する検出センサー13を紙葉類Pが通過する時間から紙葉類Pの搬送速度を算出してもよい。
【0039】
上記構造の取出部1は、以下のように動作して複数枚の紙葉類Pを搬送路上に1枚ずつ取り出す。
まず、供給台31が上昇し、供給台31上に集積された複数枚の紙葉類Pのうち最上端の紙葉類Pが検出レバー32を押し上げる。検出レバー32は、その回転角度信号をコントローラー100へ送る。コントローラー100は、検出レバー32の回転角度情報に基づいて、最上端の紙葉類Pが取り出しローター20の外周面に接触する直前まで上昇されたことを判断し、この位置で供給台31を停止する。
【0040】
このように、最上端の紙葉類Pが取り出し位置まで上昇されると、真空ポンプ23が動作されて取り出しローター20のチャンバー24の内部が負圧に保たれ、サーボモーター27によって取り出しローター20が図中反時計周り方向に回転される。そして、取り出しローター20の吸着孔21がチャンバー24の切欠部24aと対向して連通すると、チャンバー24内の負圧によって吸着孔21から空気が吸引され、最上端の紙葉類Pが取り出しローター20の外周面に吸着される。吸着された紙葉類Pは、取り出しローター20の回転によって、取り出し位置から搬送部2に向けて取り出される。
【0041】
当該紙葉類Pが搬送部2へ受け渡された後、取り出しローター20がさらに回転すると、複数の吸着孔21がチャンバー24の切欠部24aを通過し、取り出しローター20の外周面に生じていた負圧が解消される。これにより、当該紙葉類Pに対する取り出しローター20の吸着力が無くなり、当該紙葉類Pは、この後、搬送部2によって拘束されて搬送されることになる。
【0042】
一方、取り出しローラー20による紙葉類Pの取り出し時には、分離ローラー41が紙葉類Pの取り出し方向と逆方向に回転され、真空ポンプ44の動作による負圧が付与され、吸着孔42から空気が吸引されて紙葉類Pが吸着される。これにより、取り出しローター20によって紙葉類Pが2枚同時に取り出されようとした場合であっても、下側の2枚目以降の紙葉類Pが逆方向へと送られて分離されるので、最上端の紙葉類Pのみが搬送路へ取り出されることになる。
【0043】
以上の動作によって、順次、同様にして、複数枚の紙葉類Pが1枚ずつ分離されて搬送部2へ取り出され、取り出された紙葉類Pが搬送部2によって搬送されて処理される。なお、本実施形態では、取り出しローター20を1回転する毎に1枚の紙葉類Pを搬送部2へ取り出すように吸着孔21の群をローター20の回転方向の1箇所にだけ設けたが、ローター20の径を大きくして回転方向の複数個所に孔群を設けるようにしても良い。この場合、取り出しローター20を1回転する毎に複数枚の紙葉類Pが取り出されることになる。
【0044】
ところで、本実施の形態の処理装置200のように、取出部1と搬送部2が別駆動で動作する場合、取出部1における紙葉類Pの取り出し速度と搬送部2における紙葉類Pの搬送速度を一致させる必要がある。少なくとも、取出部1から搬送部2へ当該紙葉類Pを受け渡す瞬間には、取出部1による当該紙葉類Pの送り速度と搬送部2における搬送速度を一致させる必要がある。両者の速度が異なると、当該紙葉類Pが座屈したり切れてしまったりする不具合を生じる虞がある。
【0045】
しかし、本実施の形態の処理装置200のように、取り出し位置に停止している状態の紙葉類Pを、回転している取り出しローター20の外周面(吸着面)に吸着せしめて取り出す方法を採用した場合、取り出しローター20を高速回転した状態のまま紙葉類Pを吸着すると、紙葉類Pに対する吸着力が不十分になって、取り出し不良を生じ易くなる。反面、処理装置200全体としてのスループット(処理速度)を上げるため、取出部1における紙葉類Pの取り出し速度および搬送部2における紙葉類Pの搬送速度は、できるだけ速くすることが望まれる。
【0046】
このような要求を満たすため、本願の発明者等は、以下に説明するように取り出しローター20を駆動制御するようにした。
図8には、上述した取出部1における紙葉類Pの取り出し動作と上述した搬送部2における紙葉類Pの搬送動作を同期させるための制御系のブロック図を示してある。この制御系は、それぞれ、コントローラー100に接続された、検出センサー13、搬送モーター58、エンコーダー59、サーボモーター27、検出センサー29を有する。また、コントローラー100には、予め設定した搬送速度の目標値(目標搬送速度)を記憶したメモリー101(記憶部)が接続されている。なお、メモリー101には、第2実施形態で説明するように、紙葉類Pの長さに応じた取り出しローター20の速度パターンを記憶したデータテーブルが格納されている。
【0047】
また、図9には、取り出しローター20による紙葉類Pの取り出し動作を搬送部2における紙葉類Pの搬送動作に同期させるための制御動作を説明するためのフローチャートを示してある。
【0048】
コントローラー100は、紙葉類Pの取り出し動作を開始する前に、まず、メモリー101から読み出した目標搬送速度に合わせるように搬送モーター58を駆動し、複数本の搬送ベルト50を目標搬送速度で走行させる(ステップ1)。そして、コントローラー100は、エンコーダー59を介して実際に走行している搬送ベルト50の走行速度、すなわち紙葉類Pの搬送速度を検出し(ステップ2)、検出した実際の搬送速度と目標搬送速度との間の速度差を判断する(ステップ3)。
【0049】
ステップ3の判断の結果、検出した速度差が予め設定した速度差の範囲を超えている場合(ステップ3;NO)、コントローラー100は、この速度差を無くすように搬送モーター58の回転速度を変更(調整)する(ステップ4)。例えば、実際の搬送ベルト50の走行速度が目標速度より遅くなっている場合には、コントローラー100は、搬送モーター58の回転速度が速くなるように調整する。また、コントローラー100は、実際の搬送速度が目標速度より速くなっている場合には、搬送モーター58の回転速度が遅くなるように調整する。
【0050】
そして、ステップ2からステップ4の処理を繰り返して、実際の搬送速度が目標速度に一定の速度差の範囲内で近付くと(ステップ3;YES)、コントローラー100は、サーボモーター27を回転して取り出しローター20を回転させ、紙葉類Pの取り出し動作を開始する(ステップ5)。
【0051】
このとき、コントローラー100は、取り出しローター20の回転速度を、例えば、図10に示す速度パターンに従って変化させ、紙葉類Pを1枚取り出すごとに取り出しローター20を加減速させる。図10の速度パターンは、1枚の紙葉類Pを取り出すときの取り出しローター20の速度変化の一例を示す。この速度パターンは、上述したように、メモリー101のデータテーブルに予め用意されている。
【0052】
なお、上述したステップ2からステップ4の処理は、取り出し動作を開始した後も、任意のタイミングで実施することができ、搬送部2における紙葉類Pの搬送速度は、常に、所定の目標搬送速度に近づくように制御される。
【0053】
ステップ5で取り出し動作を開始すると、コントローラー100は、まず、取り出し位置に供給された最上端の紙葉類Pを取り出しローター20に吸着せしめるタイミング(図10のT1)で、取り出しローター20を速度Vp(<Vc)で低速回転させる(ステップ6)。この回転速度Vpは、ステップ2で検出した搬送部2における搬送速度より十分に遅い速度であり、このように取り出しローター20を低速回転させてその外周面に紙葉類Pを吸着させることにより、紙葉類Pを取り出しローター20の外周面に確実に吸着させることができる。
【0054】
この吸着タイミングは、取り出しローター20の外周面に発生する負圧が最大になるタイミングであり、具体的には、取り出しローター20の全ての吸着孔21がコア部材22のチャンバー24の切欠部24aに連通するタイミングである。なお、この吸着タイミングは、検出センサー29を介してコントローラー100で判断される。
【0055】
そして、コントローラー100は、この時点で、エンコーダー59の出力信号に基づいて搬送部2におけるこのときの実際の搬送速度を検出し(ステップ7)、取り出しローター20の周速がこのステップ7で検出した搬送速度と略同じ速度になるように、サーボモーター27を加速して(ステップ8)、取り出しローター20に吸着せしめた当該紙葉類Pを取り出し位置から加速しつつ取り出す(ステップ9)。
【0056】
つまり、コントローラー100は、このとき、当該紙葉類Pが取り出しローター20に吸着されて取り出し位置から動き始めたタイミング(図10のT2)で取り出しローター20の加速を開始し、当該紙葉類Pの取り出し方向先端が搬送部2に送り込まれる直前のタイミング(図10のT3)で、取り出しローター20の周速をステップ7で検出した実際の搬送速度Vcに一致させる。
【0057】
このように、取出部1で取り出した紙葉類Pを搬送部2へ受け渡すとき、取り出し速度をその時点における搬送速度に一致させることにより、両者の間で速度差を生じることを防止でき、当該紙葉類Pを取出部1から搬送部2へスムーズに受け渡すことができる。つまり、これにより、両者間の速度差に起因した座屈や切れなどの不具合を防止できる。
【0058】
なお、ステップ7で検出される搬送速度は、当該紙葉類Pを取り出しているときの搬送部2における搬送速度であるため、1つ前に取り出した紙葉類Pの搬送速度となる。つまり、1つ前に取り出した紙葉類Pが比較的重い郵便物であるような場合には、この重い郵便物を搬送する際の負荷により搬送ベルト50の走行速度が遅くなることが考えられる。しかし、このような場合であっても、本実施の形態では、取出部1から搬送部2へ紙葉類Pを受け渡すときに、実際の搬送速度を検出するようにしているため、両者の間で速度差を生じることがない。
【0059】
ステップ5で取り出し動作を開始した後、コントローラー100は、供給台31上に載置した紙葉類Pが無くなるまで(ステップ10;NO)、上述したステップ6〜ステップ9の処理を繰り返し、全ての紙葉類Pを取り出した後、取り出しローター20を停止して処理を終了する(ステップ11)。
【0060】
以上のように、本実施の形態によると、取り出しローター20に紙葉類Pを吸着するとき、搬送部2における紙葉類Pの搬送速度より遅い周速で取り出しローター20を回転させるようにしたため、取り出し位置の紙葉類Pに負圧を十分な時間作用させることができ、紙葉類Pを取り出しローター20の外周面に確実に吸着させることができる。
【0061】
また、本実施の形態によると、取出部1で取り出した紙葉類Pを搬送部2へ受け渡すとき、搬送部2における実際の搬送速度と当該紙葉類Pの取り出し速度を一致させるように、取り出しローター20の回転速度を制御するようにしたため、処理装置200の動作開始時、定常運転時、環境変化、負荷変動などによらず、紙葉類Pを所定間隔で安定して搬送路上に取り出すことができる。これにより、紙葉類Pを所定の搬送速度、ピッチ間隔、タイミングで搬送することができ、区分部3、検査部4、集積部6などで紙葉類Pの処理を正確に行うことが可能となり、処理装置200の動作を安定させることができる。
【0062】
さらに、本実施の形態によると、図9のステップ2〜ステップ4で説明した処理により、搬送部2における紙葉類Pの搬送速度を常に目標搬送速度に近付けるように制御することができる。つまり、処理装置200の使用環境や使用時間に起因して搬送ベルト50の物性値が変化した場合であっても、その変化に合せて搬送モーター58の回転速度が調整され、搬送ベルト50による搬送速度が目標搬送速度となるように制御される。
【0063】
なお、上述した実施の形態では、図9のステップ2〜ステップ4の処理を含んだ場合について説明したが、これに限らず、ステップ2〜ステップ4の処理は必須要件ではない。つまり、上述した搬送部2における経時的な速度変化が許容範囲内であるような場合には、図11に示すようにこれらのステップを省略しても良い。
【0064】
すなわち、この場合、コントローラー100は、搬送モーター58を目標搬送速度で駆動した後(ステップ21)、取出部1を駆動制御して紙葉類Pの取り出し動作を開始する(ステップ22)。
【0065】
そして、コントローラー100は、上述したように、紙葉類Pを吸着せしめるタイミングで、取り出しローター20を低速回転させ(ステップ23)、搬送部2におけるこのときの搬送速度を検出し(ステップ24)、取り出しローター20の周速がこのステップ24で検出した搬送速度と略同じ速度になるように、サーボモーター27を加速して(ステップ25)、取り出しローター20に吸着せしめた当該紙葉類Pを取り出し位置から取り出す(ステップ26)。
【0066】
コントローラー100は、取り出すべき紙葉類Pが無くなるまで(ステップ27;NO)、ステップ23〜26の処理を繰り返し、取り出しローター20を停止する(ステップ28)。
【0067】
図11のように、処理ステップを簡略化することで、より安価なシステムを提供できる。この場合、搬送部2における搬送速度が経時的に目標搬送速度からズレた場合であっても、そのズレた搬送速度に合せて取り出し速度を制御することになるが、取り出し位置の紙葉類Pを取り出しローター20に吸着せしめるときにはローターの回転速度を十分に遅くしているため、取り出し不良を生じる心配はない。
【0068】
次に、第2実施形態について図12乃至図16を参照して説明する。
本実施形態の紙葉類処理装置は、上述した第1実施形態の紙葉類処理装置200と略同じ構造を有する。よって、ここでは、上述した第1実施形態と同様に機能する構成要素には同一符号を付して、装置構成についての詳細な説明を省略する。つまり、ここでは、紙葉類Pの取り出し方法の違いについて主に説明する。
【0069】
上述した第1実施形態のように取り出しローター20の複数の吸着孔21が取り出し位置の紙葉類Pに対向するタイミング(すなわち、取り出し位置の紙葉類Pを吸着するタイミング)で取り出しローター20の周速を搬送部における搬送速度より遅くすると、取り出しローター20の外周面に紙葉類Pを良好に吸着させることができる反面、取り出しローター20の周速を遅くした分だけ、次に取り出す紙葉類Pのために取り出しローター20を1回転する時間(すなわち、複数の吸着孔21を再び取り出し位置に対向させるまでの時間)も長くなる。
【0070】
つまり、このままでは、取り出しローター20を搬送部2における紙葉類Pの搬送速度と同じ速度で加減速させずに一定の周速で回転させる従来の場合(図14)と比較して、複数の吸着孔21が取り出し位置を通過する時間間隔(すなわち、取り出しローター20が1回転する時間)が長くなり、紙葉類Pの取り出しピッチが長くなり、装置の処理能力が従来と比較して低下してしまう。
【0071】
このため、複数の吸着孔21が取り出し位置に早く対向するように、取り出しローター20の直径(すなわち、外周長)を小さくする方法も考えられるが、この方法を採用すると、取り出しローター20の曲率半径も小さくなってしまい、紙葉類Pが取り出しローター20の外周面に吸着しずらくなってしまう。
【0072】
また、上記のように取り出しローター20の直径を変えると、取出部1の構成を大幅に変更する必要があり、従来の取り出しローター20をそのまま使うこともできない。つまり、理想的には、複数の吸着孔21が取り出し位置を通過するときに取り出しローター20の回転速度を十分に減速させることができ、従来の取り出しローターをそのまま使用することができ、且つ、従来の取り出しローターと同じピッチで紙葉類Pを取り出すことができることが望ましい。
【0073】
このため、本実施形態では、取出部1で取り出した紙葉類Pを搬送部2に受け渡した後、紙葉類Pの吸着時に取り出しローター20の周速を減速した分を取り戻すように、取り出しローター20の回転速度を一時的に速くして、紙葉類Pの取り出しピッチを所望する値に調整するようにした。
以下、本実施形態における紙葉類Pの取り出し動作について、図12に示すフローチャートを参照して説明する。
【0074】
紙葉類の取り出し動作に先立って、処理装置200のコントローラー100は、まず、真空ポンプ23を動作してチャンバー24内を真空引きする。そして、コントローラー100は、サーボモーター27を駆動して取り出しローター20を回転させ、紙葉類Pの取り出し動作を開始する(ステップ1)。
【0075】
このとき、コントローラー100は、取り出しローター20の回転速度を、例えば、図13に示す速度パターンにしたがって変化させる。つまり、コントローラー100は、紙葉類Pを1枚取り出すごとに取り出しローター20を図13の速度パターンに従って加減速させながら1回転させる。図13の速度パターンは、1枚の紙葉類Pを取り出すときの取り出しローター20の1回転分の速度変化の一例を示す。この速度パターンは、紙葉類Pの取り出し方向に沿った長さに応じて予め用意されており、メモリー101のデータテーブルに格納されている。
【0076】
ステップ1で取り出し動作を開始すると、コントローラー100は、まず、取り出し位置に供給された最上端の紙葉類Pを取り出しローター20に吸着せしめるタイミング(すなわち、複数の吸着孔21が取り出し位置を通過するタイミング)(図13のT1)で、取り出しローター20を速度Vp(<Vc)で低速回転させる(ステップ2)。このときの取り出しローターの回転速度Vpは、搬送部2における搬送速度よりも遅い速度である。このように取り出しローター20を低速駆動してその外周面に紙葉類Pを吸着させることにより、紙葉類Pを取り出しローター20に確実に吸着させることができ、取り出し位置の紙葉類Pを確実に取り出すことができる(ステップ3)。
【0077】
そして、コントローラー100は、ステップ3で当該紙葉類Pを取り出しローター20に吸着せしめて取り出し位置から取り出した後、取り出しローター20の速度Vpが搬送部2の搬送速度Vcとほぼ同じ速度(Vp≒Vc)となるようにサーボモーター27を加速して(ステップ4、図13のT2)、取り出しローター20に吸着した当該紙葉類Pを搬送部2の搬送ベルトへと受け渡す(ステップ5、図13のT3)。
【0078】
つまり、コントローラー100は、当該紙葉類Pが取り出しローター20に吸着されて取り出し位置から動き始めたタイミングで取り出しローター20の加速を開始し、当該紙葉類Pの取り出し方向先端が搬送部2の搬送ベルトに送り込まれる直前のタイミングで、取り出しローター20の周速Vpを搬送速度Vcに略一致させる。
【0079】
このように、取出部1で取り出した紙葉類Pを搬送部2へと受け渡すとき、取り出しローター20の速度を搬送速度と同期させることにより、両者の間で速度差を生じることを防止でき、当該紙葉類Pを取出部1から搬送部2へとスムーズに受け渡すことができる。これにより、当該紙葉類Pの受け渡し時における速度差に起因した座屈や切れなどの不具合を防止できる。
【0080】
ステップ5で当該紙葉類Pを搬送部2へ受け渡した後、取り出しローター20の複数の吸着孔21がチャンバー24の切欠部24aを通過すると、取り出しローター20の外周面に発生していた負圧が無くなる。これにより、当該紙葉類Pに対する取り出しローター20の吸着力が無くなり、当該紙葉類Pは搬送部2の搬送ベルト50に挟持されて後段の処理部へと搬送される(ステップ6)。
【0081】
この後、コントローラー100は、取り出しローター20の外周面の負圧が無くなったタイミング(すなわち、当該紙葉類Pに対する取り出しローター20の吸着力が無くなったタイミング)で、取り出しローター20の加速を開始する。つまり、コントローラー100は、このタイミングで、取り出しローター20の周速Vp(>Vc)が搬送速度Vcよりも大きくなるように取り出しローター20を加速する(ステップ7、図13のT4)。
【0082】
そして、ステップ7で加速してから所定時間経過後に、コントローラー100は、取り出しローター20の減速を開始し、取り出しローター20の周速を搬送速度より遅い速度まで減速させる(ステップ8、図13のT5)。このとき、コントローラー100は、次に取り出す紙葉類Pを取り出しローター20の外周面に良好に吸着させるため、ステップ2の速度まで取り出しローター20を減速させる。
【0083】
ステップ8までの動作が終了すると、コントローラー100は、検出センサー29を介して取り出しローター20の吸着位置(すなわち、複数の吸着孔21の位置)を検出し、この検出結果に基づいて、次の紙葉類Pの取り出しタイミングを調整する(ステップ9)。つまり、コントローラー100は、このとき、一定時間(T)毎に取り出しローター20の複数の吸着孔21が取り出し位置に対向するように、取り出しローター20の速度パターンを補正する。これにより、例えば、紙葉類Pと取り出しローター20との間に滑りなどが生じた場合であっても、当該紙葉類Pの取り出しピッチをほぼ一定に保つことができる。
【0084】
ステップ1で取り出し動作を開始した後、コントローラー100は、供給台31上に載置した紙葉類Pが無くなるまで(ステップ10;NO)、上述したステップ2〜ステップ9の処理を繰返し、全ての紙葉類Pを取り出した後、取り出しローター20を停止して処理を終了する(ステップ11)。
【0085】
以上のように、本実施形態においても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。つまり、本実施形態によると、取り出しローター20に紙葉類Pを吸着せしめるとき、搬送部2における紙葉類Pの搬送速度より遅い速度で取り出しローター20を駆動するようにしたため、取り出し位置の紙葉類Pに負圧を十分な時間作用させることができ、紙葉類Pを取り出しローター20に確実に吸着させることができる。
【0086】
また、本実施の形態によると、取出部1で取り出した紙葉類Pを搬送部2へ受け渡すとき、搬送速度と取り出し速度が一致するように取り出しローター20の回転を制御するようにしたため、紙葉類Pの受け渡し時における速度差に起因した座屈や切れなどの不具合を防止することができる。
【0087】
さらに、本実施の形態によると、取り出しローター20による吸着力が紙葉類Pに作用しない領域で、取り出しローター20の周速を搬送速度より速い速度まで一旦加速させるようにしたため、紙葉類Pの吸着時における取り出しローター20の回転速度を搬送速度より十分に遅くした上で、従来のように取り出しローターを搬送速度と同じ一定速度で回転させる場合と同じ取り出しピッチで複数枚の紙葉類Pを搬送路上へ取り出すことができる。
【0088】
つまり、本実施の形態によると、従来と同じ構造の取り出しローター20を用いることができ、搬送速度よりも遅い周速で取り出しローター20を回転させて取り出し位置の紙葉類Pを吸着せしめて取り出すことができ、且つ、取り出しローター20を搬送速度と同じ周速で回転させた場合と同様の取り出しピッチで複数枚の紙葉類Pを取り出すことができる。言い換えると、本実施形態の取り出し方法を採用すると、紙葉類Pを所望する搬送速度、ピッチ間隔、タイミングで搬送することができ、区分部3、検査部4、集積部6などで紙葉類Pの処理を正確に行うことが可能となり、処理装置200の動作を安定させることができる。
【0089】
ここで、図15を参照して、上述した第2実施形態における速度パターンについて、別の角度から考察する。
第2実施形態の速度パターンは、取り出し位置の紙葉類Pを取り出しローター20の外周面に吸着せしめるときに取り出しローター20の周速を搬送速度より減速させた分の時間的なロスを、当該紙葉類Pを搬送部2へ受け渡した後、取り出しローター20を一時的に搬送速度より速い速度まで加速することで取り戻すようにしたことを特徴としている。
【0090】
つまり、簡単に言うと、取り出しローター20を1回転する間の周速を1回転する時間Tで積分したときの取り出しローター20の外周面の移動距離が、当該取り出しローター20を搬送速度と同じ周速Vcで時間Tだけ回転させたときの外周面の移動距離に等しくなるように、当該取り出しローター20の速度パターンを設定すれば良いことになる。
【0091】
すなわち、図15を参照して説明すると、紙葉類Pの吸着時に搬送速度Vcより遅い周速で取り出しローター20を回転させたときの図示斜線領域の面積S1と、当該紙葉類Pを搬送部2へ受け渡した後、搬送速度Vcより速い周速で取り出しローター20を回転させたときの図示斜線領域の面積S2と、次の紙葉類Pを取り出すため取り出しローター20の周速を減速させたときの搬送速度Vcより遅い周速の図示斜線領域の面積S3と、が下式を満たすように、取り出しローター20の速度パターンを設定すれば良いことになる。
【0092】
S1+S3=S2
言い換えると、第2実施形態の速度パターンは図15に例示したパターンに限定されるものではなく、上式を満たすように取り出しローター20の周速を制御すればいかなる速度パターンでも良いことになる。さらに言い換えると、この速度パターンは、複数の吸着孔21が一定の時間間隔で取り出し位置を通過するように設定されれば良いことになる。
【0093】
ところで、上述した各実施形態で説明した方法により取出部1を制御して複数枚の紙葉類Pを搬送路上に連続して取り出すと、各紙葉類Pが一定のタイミングで搬送部2へ受け渡され、搬送部2を介して複数枚の紙葉類Pが定ピッチで搬送されることになる。このため、紙葉類Pの搬送方向に沿った長さが短くなったり長くなったりすると、同じ速度パターンで取り出しローター20を回転させて紙葉類Pを取り出した場合、紙葉類Pの搬送ギャップが異なってくる。
【0094】
例えば、同じ速度パターンで取り出しローター20を回転させて搬送方向に沿った長さが短い紙葉類Pを連続して取り出した場合、紙葉類P間の搬送ギャップは必要以上に大きくなる。つまり、紙葉類Pを効率良く処理するための適切な搬送ギャップより紙葉類P間のギャップが広がると、紙葉類Pの処理効率が低下する。この場合、搬送ギャップが開いた分だけ紙葉類Pの処理効率が低下して、処理装置200の処理能力が低下する。よって、このような場合には、搬送ギャップを短くして適切な搬送ギャップに近付けて処理効率を高めるように、取り出しローター20の速度パターンを変えることが望ましい。
【0095】
搬送ギャップを短くする場合、図15を用いて説明した面積S1、S2、S3の関係(S1+S3=S2)を保ったまま、取り出しローター20の回転周期Tを短くするように、速度パターンを変更する。一方、搬送ギャップを長くする場合、面積S1、S2、S3の関係(S1+S3=S2)を保ったまま、取り出しローター20の回転周期Tを長くするように、速度パターンを変更する。いずれにしても、取り出し位置の紙葉類Pを吸着せしめるタイミングでは、取り出しローター20を十分に減速させる必要があることから、上述したような回転周期Tの調整は、面積S2と面積S3の形状を変更することによりなされる。
【0096】
具体的には、紙葉類P間の適切なギャップを維持するとともに複数枚の紙葉類Pを定ギャップで取り出すことのできる速度パターンを、紙葉類Pの搬送方向に沿った長さに応じて予め算出しておき、この長さに応じた速度パターンをメモリー101のデータテーブルに格納しておく。そして、紙葉類Pの取り出し時に、コントローラー100が、搬送路上に取り出した紙葉類Pの搬送方向に沿った長さを検出して、この長さに応じた速度パターンをメモリ101のデータテーブルから読み出して、この読み出した速度パターンに従って取出部1のサーボモーター27を制御する。
【0097】
以上のように、上述した実施形態によれば、集積した紙葉類を1枚ずつ確実に取り出しローターに吸着せしめて取り出すことができ、取り出した紙葉類を確実に搬送部へ受け渡すことができ、搬送部を介して当該紙葉類を比較的高速で安定して搬送することができる紙葉類処理装置および紙葉類処理方法を提供することができる。
【0098】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0099】
例えば、上述した実施形態では取り出しローター20とサーボモーター27をカップリング26を介して接続しているが、タイミングベルトとタイミングプーリーのような別の機構を用いて駆動伝達機構を構成してもよい。また、検出センサー29の代用として、サーボモーター27に内蔵のエンコーダーを使用してもよい。特に、第2実施形態のように取り出しローター20の複数の吸着孔21の位置を検出する場合には、エンコーダーを用いた方が検出精度を高めることができて有利である。
【0100】
また、例えば、上述した第2実施形態では、図12のステップ9の処理を含んだ場合について説明したが、これに限らず、ステップ9の処理(検出センサーによるタイミング調整)は必須要件ではない。つまり、上述した取出部1における紙葉類Pの取り出しピッチ間隔のばらつきがある程度許容されるならば、図16に示すようにこのステップを省略してもよい。
【0101】
以上のように、処理ステップを簡略化することで、より安価なシステムを提供できる。例えば、処理速度やピッチ間隔の精度が要求されないような場合(低速機、中速機など)、図12のステップ9による調整処理が無くてもよい。この場合、検出センサー29による調整処理は無いが、取り出し位置の紙葉類Pを取り出しローター20に吸着するときに取り出しローター速度を十分に遅くすることができるため、取り出し不良や取り出しピッチ間隔の悪化などの心配はない。
【符号の説明】
【0102】
1…取出部、2…搬送部、20…取り出しローター、21…吸着孔、27…サーボモーター、29…検出センサー、50…搬送ベルト、58…搬送モーター、59…エンコーダー、100…コントローラー、101…エンコーダー、P…紙葉類。
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、集積した紙葉類を1枚ずつ搬送路に取り出して搬送する紙葉類処理装置および紙葉類処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙葉類処理装置として、集積した複数枚の紙葉類を1枚ずつ連続して取り出して搬送し、搬送した紙葉類を検査し、検査した紙葉類をその検査結果に応じて所定の集積部へ集積する紙葉類処理装置が知られている。
【0003】
この装置は、例えば、集積された紙葉類に接触して回転する取り出し部の回転ドラムと、取り出された紙葉類を挟んで走行する搬送部の搬送ベルトと、をタイミングベルトを介して単一の駆動モーターに接続している。そして、取り出し部と搬送部を機械的に同期させて駆動するようにしている。
【0004】
これにより、駆動モーターの回転速度が何らかの原因によって変動した場合であっても、取り出し部と搬送部との間で動作にズレを生じることを防止できる。
【0005】
また、この種の紙葉類処理装置として、紙葉類を取り出しローターの表面に吸着して搬送路に取り出すタイプのものが知られている。この種の装置では、取り出しローターの表面に負圧を発生させて紙葉類を吸着するため、紙葉類をローター表面に確実に吸着させるためには、例えば、吸着時のローターの回転速度を遅くする方法が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−163500号公報
【特許文献2】特開平9−301547号公報
【特許文献3】特開平5−87204号公報
【特許文献4】特開2008−297095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば、上述した取り出し部と搬送部を機械的に同期させて駆動する装置で上述した負圧吸着タイプの取り出しローターを用いた場合、紙葉類を良好に吸着させるため、取り出しローターの回転速度を遅くしてしまうと、搬送部による紙葉類の搬送速度も遅くしなければならない。逆に、搬送部における搬送速度を高速にするため、取り出しローターの回転速度を速くすると、紙葉類の吸着が不十分になって取り出し不良を生じてしまう。
【0008】
一方で、搬送ベルトは、その物性値(摩擦係数など)が温度や湿度などの様々な外的要因によって変動し、個体間でもばらつきを有する。さらに、搬送ベルトを駆動するモーターも、搬送ベルトに作用する負荷が変わると回転速度が変化する。このため、搬送部における紙葉類の搬送速度は変動し易い。
【0009】
紙葉類の搬送速度が変動すると、搬送ピッチが変動し、検査部において誤判定を生じ、区分部において区分ミスを生じ、集積部において集積不良を生じる可能性がある。
【0010】
この発明の目的は、集積した紙葉類を1枚ずつ確実に取り出しローターに吸着せしめて取り出すことができ、取り出した紙葉類を確実に搬送部へ受け渡すことができ、搬送部を介して当該紙葉類を比較的高速で安定して搬送することができる紙葉類処理装置、および紙葉類処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態によれば、取り出し位置の紙葉類に負圧を作用させて吸着せしめた状態で回転することにより当該紙葉類を上記取り出し位置から取り出す取り出し部材と、この取り出し部材によって上記取り出し位置から取り出された紙葉類を受け取って搬送する搬送部と、上記取り出し部材に上記取り出し位置の紙葉類を吸着せしめるときに、上記搬送部における紙葉類の搬送速度より遅い周速で上記取り出し部材を回転させ、上記取り出し部材に吸着せしめた紙葉類を上記搬送部へ受け渡すときに、上記搬送部におけるそのときの搬送速度と略同じ周速で上記取り出し部材を回転させる制御部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、第1実施形態に係る紙葉類処理装置の概略図である。
【図2】図2は、図1の処理装置に組み込まれた取出部を拡大した概略図である。
【図3】図3は、図2の取出部の取り出しローターの駆動機構を示す側面図である。
【図4】図4は、図3の取り出しローターの断面図である。
【図5】図5は、図2の分離部に設けられた分離ローラーの断面図である。
【図6】図6は、図1の処理装置の搬送部の一部の構造を示す概略図である。
【図7】図7は、図6の構造の正面図である。
【図8】図8は、図1の処理装置の取出部における紙葉類の取り出し速度と搬送部における紙葉類の搬送速度を同期させるための制御系のブロック図である。
【図9】図9は、図8の制御系による動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】図10は、図9のフローチャートに沿って取り出しローターを回転させたときの速度パターンを示すグラフである。
【図11】図11は、図9のフローチャートの変形例である。
【図12】図12は、第2実施形態に係る紙葉類の取り出し動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】図13は、図12のフローチャートに従って動作制御される取り出しローターの速度パターンの一例を示すグラフである。
【図14】図14は、取り出しローターの回転速度を一定にした従来の速度パターンを示すグラフである。
【図15】図15は、図13の速度パターンについてより詳細に説明するためのグラフである。
【図16】図16は、図12のフローチャートの変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら実施形態について詳細に説明する。
図1には、第1実施形態にかかる紙葉類処理装置200(以下、単に処理装置200と称する)の概略図を示してある。この処理装置200は、例えば、複数枚の紙幣を搬送路に取り出して一定速度で搬送し、搬送した紙幣を検査し、検査済の紙幣を再使用に供するため集積する。
【0014】
処理装置200は、上下方向に集積した複数枚の紙葉類Pを最上端のものから一枚ずつ搬送路上に取り出す取出部1、この取出部1で取り出した紙葉類Pを搬送路上に受け取って搬送する搬送部2、取出部1で紙葉類Pが正常に取り出されたか否かに応じて当該紙葉類の搬送方向を2方向に振り分ける第1ゲート3、正常に取り出された紙葉類Pから情報を読み取って検査する検査部4、この検査部4における検査結果に従って当該紙葉類Pを2方向に振り分ける第2ゲート5、および、この第2ゲート5によって振り分けられた紙葉類Pをそれぞれ集積する第1の集積部6および第2の集積部7を有する。
【0015】
この処理装置200で紙葉類Pを処理する場合、まず、図示のように重ねた状態で複数枚の紙葉類Pを取出部1にセットする。そして、取出部1によって複数枚の紙葉類Pを最上端のものから順に一枚ずつ取り出す。この取り出された紙葉類Pは、搬送部2へ受け渡され、搬送部2によって一定の速度で搬送される。
【0016】
取出部1で正常に取り出された紙葉類Pは、第1ゲート3によって図示矢印A方向に区分搬送され、第1の分岐搬送路8を介して検査部4へと搬送される。一方、取出部1で取り出し不良(重送など)が発生した紙葉類Pは、第1ゲート3によって図示矢印B方向に区分搬送され、第2の分岐搬送路9を介して排除用の集積部10へと搬送される。
【0017】
矢印A方向に区分搬送された紙葉類Pは、検査部4で情報が読み取られて検査された後、この検査結果に基づいて第2ゲート5によって図示矢印C方向または図示矢印D方向に区分搬送される。矢印C方向に区分搬送された紙葉類Pは、第3の分岐搬送路11を介して、第1の集積部6に搬送されて再び集積される。また、矢印D方向に区分搬送された紙葉類Pは、第4の分岐搬送路12を介して、排除用の第2の集積部7に搬送されて再び集積される。
【0018】
なお、搬送部2には複数個の検出センサー13が紙葉類Pの搬送方向に沿って互いに離間して設けられており、図示しない制御部にて紙葉類Pの通過枚数や搬送方向に沿った長さなどを測定できるようになっている。各検出センサー13は、搬送路を挟んで発光部と受光部をそれぞれ有し、発光部から受光部に向かう光が搬送路を横切る光路を紙葉類Pが遮ることをもって、当該紙葉類Pの先端および後端通過を検出可能となっている。
【0019】
図2には、図1の処理装置200に組み込まれた取出部1を拡大した概略図を示してある。また、図3には、図2の取出部1に設けられた取り出しローター20の駆動機構を示す側面図を示してあり、図4には、図2の取り出しローター20の断面図を示してある。ここで、取出部1の詳細について説明する。
【0020】
取出部1には、複数枚集積された紙葉類Pを最上端のものから一枚ずつ取り出すための取り出しローター20(取り出し部材)、集積された複数枚の紙葉類Pを取り出しローター20に向けて上昇させる供給部30、および、取り出しローター20によって紙葉類Pを取り出すときに、紙葉類Pの重送を防止するための分離部40が設けられている。
【0021】
取り出しローター20は、略円筒スリーブ形状に形成され、略円柱状のコア部材22の外側に回転可能に取り付けられている。取り出しローター20は、その内周面と外周面を連絡する複数の吸着孔21を有する。
【0022】
図4に示すように、複数の吸着孔21は、取り出しローター20の回転方向に沿った一箇所にまとめて形成されている。言い換えると、取り出しローター20の複数の吸着孔21は、後述する分離ローラー41(図5)の複数の吸着孔42のようにローラーの回転方向に沿って等間隔で均一に全周に亘って設けられておらず、ローター20の全周の一箇所に孔群としてまとめて設けられている。本実施形態では、取り出しローター20の全周のうち1箇所にだけ吸着孔21の群を設けた。
【0023】
一方、コア部材22は、これら複数の吸着孔21に連通するチャンバー24を有する。チャンバー24には真空ポンプ23が接続され、その内部は負圧に保たれている。チャンバー24には、その内部を外部に開放させる切欠部24aが形成されている。コア部材22は、この切欠部24aが、集積された最上端の紙葉類Pの取り出し方向先端側上面に対向する姿勢で固定されている。
【0024】
取り出しローター20がコア部材22に対して回転すると、回転の途中で複数の吸着孔21がチャンバー24の切欠部24aを通過し、複数の吸着孔21を介してチャンバー24内に空気が流入される。これにより、取り出しローター20の外周面に紙葉類Pが吸着され、取り出しローター20の回転によって当該紙葉類Pが取り出し位置から取り出される。
【0025】
取り出しローター20の回転方向に沿った切欠部24aの長さは、取り出しローター20の回転の途中で全ての吸着孔21が同時にチャンバー24に連通することのできる長さに設定されている。本実施の形態の取り出しローター20は、金属製であるため、その外周面と紙葉類Pとの間の摩擦係数を高めるため、外周面に図示しないゴムチップを貼り付けてもよい。
【0026】
図3に示すように、取り出しローター20に接続されたシャフト25には、カップリング26を介して、サーボモーター27が同軸に取り付けられている。このサーボモーター27を駆動することで、取り出しローター20が回転される。また、取り出しローター20には、吸着孔21の位置を検出できるように遮蔽板28が設置されている。この遮蔽板28が検出センサー29の光軸を遮ることにより、吸着孔21の位置を検出できる。検出センサー29は、全ての吸着孔21がチャンバー24の切欠部24aに重なったときに遮蔽板28が検出センサー29の光軸を遮る位置に設けられている。つまり、検出センサー29の光軸を遮蔽板28が遮ったとき、取り出しローター20の表面に最も大きな負圧が生じて紙葉類Pが吸着されて取り出されることになる。検出センサー29からの信号は後述するコントローラー100へ送られる。
【0027】
供給部30には載置手段としての供給台31が昇降自在に設けられており、この供給台31上には紙葉類Pが積み重ねて置かれている。この供給台31は、モーターによって回転駆動されるタイミングベルト機構(図示せず)などによって上下動される。供給部30の上方には、紙葉類Pの上端位置を検出するための検出レバー32が設けられている。この検出レバー32は紙葉類Pの上端位置を電気信号に変換し、コントローラー100に位置情報を伝える。コントローラー100は、この位置情報に基づいて供給台31を上昇させ、集積した紙葉類Pのうち集積方向上端にある紙葉類が取り出しローター20に接触する直前で供給台31を停止させる。
【0028】
紙葉類Pの取り出し方向に沿って供給台31の前方(図中右側)には、鉛直方向に延設されたガイド板33が固定的に設けられている。このガイド板33は、集積した紙葉類Pの取り出し方向先端を取り揃える機能と、取り出しローター20の回転方向に沿って紙葉類Pが取り出されるときに、この紙葉類Pの下面側をガイドする機能と、を有し、取り出される紙葉類Pの姿勢を矯正して搬送部2に受け渡す。
【0029】
分離部40は、ガイド板33の裏面側(図中右側)で取り出しローター20の図中下方に配置されている。この分離部40には、紙葉類Pの重送を防止する分離ローラー41が設けられている。この分離ローラー41は図示しない駆動機構により、紙葉類Pが取り出されるのを妨げる方向(取り出しローター20が紙葉類Pを取り出す方向とは逆方向)に回転される。分離ローラー41は、取り出しローター20により複数枚の紙葉類Pが搬送路に同時に送り込まれるのを防ぐため、取り出しローター20に吸着されていない紙葉類Pを吸着して取り出し方向と逆方向へと戻すように機能する。
【0030】
図5は、図2の分離部40に設けられた分離ローラー41の断面図である。
分離ローラー41は円筒形状をしており、その内周面と外周面を連通する複数の吸着孔42を有する。上述したように、分離ローラー41の吸着孔42は、ローラーの全周に亘って等間隔で均一に設けられている。言い換えると、この分離ローラー41は、その表面のどの部位でも紙葉類Pに対して負圧を作用させることができる。
【0031】
この分離ローラー41は、チャンバー43を有する略円筒形のコア部材45の外側に回転可能に取り付けられている。チャンバー43の内部は真空ポンプ44(図2に示す)によって真空引きされて負圧に保たれている。コア部材45は、チャンバー43の開口43aが取り出しローター20に対向する姿勢で固定されている。
【0032】
分離ローラー41がコア部材45の周りを回転すると、複数の吸着孔42がチャンバー43の開口43aを順次通過し、各吸着孔42を通してチャンバー43内に空気が吸入される。これにより、分離ローラー41の外周面に負圧が生じ、外周面に紙葉類Pが吸着される。分離ローラー41は取り出しローター20と逆方向に回転するため、分離ローラー41に吸着された紙葉類Pは、取り出し方向と逆方向に戻されて分離される。
【0033】
図6は、図1の処理装置200の搬送部2の一部の構造を示す概略図であり、図7は、図6の構造の正面図である。搬送部2は、ここで説明する一部の構造を紙葉類Pの搬送方向に沿って複数組つなげた構造を有するが、ここでは、この一部の構造だけ代表して説明する。
【0034】
図7に示すように、搬送部2は、無端状の2組の搬送ベルト50を搬送路を挟んで接触させた構造を有する。より具体的には、搬送路の一側に2本の搬送ベルト50が配置され、これら2本の搬送ベルト50は、図6に示すように、紙葉類Pの搬送方向を横切る幅方向に離間して互いに平行に配置されている。搬送路の他側にも、図7に示すように、搬送路の一側の2本の搬送ベルト50それぞれに搬送路を介して接触して走行する2本の搬送ベルト50が配置されている。
【0035】
これら複数本の搬送ベルト50は、それぞれ、駆動プーリー51と従動プーリー52との間に掛け渡されており、互いに接触して走行する搬送ベルト対の間に紙葉類Pを挟持して搬送する。
【0036】
駆動プーリー51はシャフト53に接続されている。従動プーリー52はベース54に取り付けられたシャフト55に回転可能に取り付けられている。シャフト53はベース54を貫通して反対側まで延びており、ベース54の反対側でタイミングプーリー56が接続されている。このタイミングプーリー56はタイミングベルト57を介して搬送モーター58に接続されている。しかして、搬送モーター58を駆動することによって、駆動プーリー51が回転され、搬送ベルト50が走行される。
【0037】
また、駆動プーリー51にはシャフト53を介してローターリーエンコーダー59が接続されており、コントローラー100がこのエンコーダー59を介して駆動プーリー51の回転速度を検出する。なお、本実施形態では検出手段としてローターリーエンコーダー59を用いたが、スリットを設けた板と光学的なセンサーを用いて回転速度を検出する方式を採用してもよい。
【0038】
搬送モーター58が回転駆動されると、その駆動力はタイミングプーリー56、タイミングベルト57、シャフト53を介して、駆動プーリー51に伝達され、搬送ベルト50を走行させる。そして、取出部1によって取り出された紙葉類Pが、搬送ベルト50の間に挟持されて搬送される。このときの搬送速度は、エンコーダー59から得られる駆動プーリー51の回転速度情報から換算することができる。また、所定間隔だけ離れた位置にある紙葉類Pの有無を検出する検出センサー13を紙葉類Pが通過する時間から紙葉類Pの搬送速度を算出してもよい。
【0039】
上記構造の取出部1は、以下のように動作して複数枚の紙葉類Pを搬送路上に1枚ずつ取り出す。
まず、供給台31が上昇し、供給台31上に集積された複数枚の紙葉類Pのうち最上端の紙葉類Pが検出レバー32を押し上げる。検出レバー32は、その回転角度信号をコントローラー100へ送る。コントローラー100は、検出レバー32の回転角度情報に基づいて、最上端の紙葉類Pが取り出しローター20の外周面に接触する直前まで上昇されたことを判断し、この位置で供給台31を停止する。
【0040】
このように、最上端の紙葉類Pが取り出し位置まで上昇されると、真空ポンプ23が動作されて取り出しローター20のチャンバー24の内部が負圧に保たれ、サーボモーター27によって取り出しローター20が図中反時計周り方向に回転される。そして、取り出しローター20の吸着孔21がチャンバー24の切欠部24aと対向して連通すると、チャンバー24内の負圧によって吸着孔21から空気が吸引され、最上端の紙葉類Pが取り出しローター20の外周面に吸着される。吸着された紙葉類Pは、取り出しローター20の回転によって、取り出し位置から搬送部2に向けて取り出される。
【0041】
当該紙葉類Pが搬送部2へ受け渡された後、取り出しローター20がさらに回転すると、複数の吸着孔21がチャンバー24の切欠部24aを通過し、取り出しローター20の外周面に生じていた負圧が解消される。これにより、当該紙葉類Pに対する取り出しローター20の吸着力が無くなり、当該紙葉類Pは、この後、搬送部2によって拘束されて搬送されることになる。
【0042】
一方、取り出しローラー20による紙葉類Pの取り出し時には、分離ローラー41が紙葉類Pの取り出し方向と逆方向に回転され、真空ポンプ44の動作による負圧が付与され、吸着孔42から空気が吸引されて紙葉類Pが吸着される。これにより、取り出しローター20によって紙葉類Pが2枚同時に取り出されようとした場合であっても、下側の2枚目以降の紙葉類Pが逆方向へと送られて分離されるので、最上端の紙葉類Pのみが搬送路へ取り出されることになる。
【0043】
以上の動作によって、順次、同様にして、複数枚の紙葉類Pが1枚ずつ分離されて搬送部2へ取り出され、取り出された紙葉類Pが搬送部2によって搬送されて処理される。なお、本実施形態では、取り出しローター20を1回転する毎に1枚の紙葉類Pを搬送部2へ取り出すように吸着孔21の群をローター20の回転方向の1箇所にだけ設けたが、ローター20の径を大きくして回転方向の複数個所に孔群を設けるようにしても良い。この場合、取り出しローター20を1回転する毎に複数枚の紙葉類Pが取り出されることになる。
【0044】
ところで、本実施の形態の処理装置200のように、取出部1と搬送部2が別駆動で動作する場合、取出部1における紙葉類Pの取り出し速度と搬送部2における紙葉類Pの搬送速度を一致させる必要がある。少なくとも、取出部1から搬送部2へ当該紙葉類Pを受け渡す瞬間には、取出部1による当該紙葉類Pの送り速度と搬送部2における搬送速度を一致させる必要がある。両者の速度が異なると、当該紙葉類Pが座屈したり切れてしまったりする不具合を生じる虞がある。
【0045】
しかし、本実施の形態の処理装置200のように、取り出し位置に停止している状態の紙葉類Pを、回転している取り出しローター20の外周面(吸着面)に吸着せしめて取り出す方法を採用した場合、取り出しローター20を高速回転した状態のまま紙葉類Pを吸着すると、紙葉類Pに対する吸着力が不十分になって、取り出し不良を生じ易くなる。反面、処理装置200全体としてのスループット(処理速度)を上げるため、取出部1における紙葉類Pの取り出し速度および搬送部2における紙葉類Pの搬送速度は、できるだけ速くすることが望まれる。
【0046】
このような要求を満たすため、本願の発明者等は、以下に説明するように取り出しローター20を駆動制御するようにした。
図8には、上述した取出部1における紙葉類Pの取り出し動作と上述した搬送部2における紙葉類Pの搬送動作を同期させるための制御系のブロック図を示してある。この制御系は、それぞれ、コントローラー100に接続された、検出センサー13、搬送モーター58、エンコーダー59、サーボモーター27、検出センサー29を有する。また、コントローラー100には、予め設定した搬送速度の目標値(目標搬送速度)を記憶したメモリー101(記憶部)が接続されている。なお、メモリー101には、第2実施形態で説明するように、紙葉類Pの長さに応じた取り出しローター20の速度パターンを記憶したデータテーブルが格納されている。
【0047】
また、図9には、取り出しローター20による紙葉類Pの取り出し動作を搬送部2における紙葉類Pの搬送動作に同期させるための制御動作を説明するためのフローチャートを示してある。
【0048】
コントローラー100は、紙葉類Pの取り出し動作を開始する前に、まず、メモリー101から読み出した目標搬送速度に合わせるように搬送モーター58を駆動し、複数本の搬送ベルト50を目標搬送速度で走行させる(ステップ1)。そして、コントローラー100は、エンコーダー59を介して実際に走行している搬送ベルト50の走行速度、すなわち紙葉類Pの搬送速度を検出し(ステップ2)、検出した実際の搬送速度と目標搬送速度との間の速度差を判断する(ステップ3)。
【0049】
ステップ3の判断の結果、検出した速度差が予め設定した速度差の範囲を超えている場合(ステップ3;NO)、コントローラー100は、この速度差を無くすように搬送モーター58の回転速度を変更(調整)する(ステップ4)。例えば、実際の搬送ベルト50の走行速度が目標速度より遅くなっている場合には、コントローラー100は、搬送モーター58の回転速度が速くなるように調整する。また、コントローラー100は、実際の搬送速度が目標速度より速くなっている場合には、搬送モーター58の回転速度が遅くなるように調整する。
【0050】
そして、ステップ2からステップ4の処理を繰り返して、実際の搬送速度が目標速度に一定の速度差の範囲内で近付くと(ステップ3;YES)、コントローラー100は、サーボモーター27を回転して取り出しローター20を回転させ、紙葉類Pの取り出し動作を開始する(ステップ5)。
【0051】
このとき、コントローラー100は、取り出しローター20の回転速度を、例えば、図10に示す速度パターンに従って変化させ、紙葉類Pを1枚取り出すごとに取り出しローター20を加減速させる。図10の速度パターンは、1枚の紙葉類Pを取り出すときの取り出しローター20の速度変化の一例を示す。この速度パターンは、上述したように、メモリー101のデータテーブルに予め用意されている。
【0052】
なお、上述したステップ2からステップ4の処理は、取り出し動作を開始した後も、任意のタイミングで実施することができ、搬送部2における紙葉類Pの搬送速度は、常に、所定の目標搬送速度に近づくように制御される。
【0053】
ステップ5で取り出し動作を開始すると、コントローラー100は、まず、取り出し位置に供給された最上端の紙葉類Pを取り出しローター20に吸着せしめるタイミング(図10のT1)で、取り出しローター20を速度Vp(<Vc)で低速回転させる(ステップ6)。この回転速度Vpは、ステップ2で検出した搬送部2における搬送速度より十分に遅い速度であり、このように取り出しローター20を低速回転させてその外周面に紙葉類Pを吸着させることにより、紙葉類Pを取り出しローター20の外周面に確実に吸着させることができる。
【0054】
この吸着タイミングは、取り出しローター20の外周面に発生する負圧が最大になるタイミングであり、具体的には、取り出しローター20の全ての吸着孔21がコア部材22のチャンバー24の切欠部24aに連通するタイミングである。なお、この吸着タイミングは、検出センサー29を介してコントローラー100で判断される。
【0055】
そして、コントローラー100は、この時点で、エンコーダー59の出力信号に基づいて搬送部2におけるこのときの実際の搬送速度を検出し(ステップ7)、取り出しローター20の周速がこのステップ7で検出した搬送速度と略同じ速度になるように、サーボモーター27を加速して(ステップ8)、取り出しローター20に吸着せしめた当該紙葉類Pを取り出し位置から加速しつつ取り出す(ステップ9)。
【0056】
つまり、コントローラー100は、このとき、当該紙葉類Pが取り出しローター20に吸着されて取り出し位置から動き始めたタイミング(図10のT2)で取り出しローター20の加速を開始し、当該紙葉類Pの取り出し方向先端が搬送部2に送り込まれる直前のタイミング(図10のT3)で、取り出しローター20の周速をステップ7で検出した実際の搬送速度Vcに一致させる。
【0057】
このように、取出部1で取り出した紙葉類Pを搬送部2へ受け渡すとき、取り出し速度をその時点における搬送速度に一致させることにより、両者の間で速度差を生じることを防止でき、当該紙葉類Pを取出部1から搬送部2へスムーズに受け渡すことができる。つまり、これにより、両者間の速度差に起因した座屈や切れなどの不具合を防止できる。
【0058】
なお、ステップ7で検出される搬送速度は、当該紙葉類Pを取り出しているときの搬送部2における搬送速度であるため、1つ前に取り出した紙葉類Pの搬送速度となる。つまり、1つ前に取り出した紙葉類Pが比較的重い郵便物であるような場合には、この重い郵便物を搬送する際の負荷により搬送ベルト50の走行速度が遅くなることが考えられる。しかし、このような場合であっても、本実施の形態では、取出部1から搬送部2へ紙葉類Pを受け渡すときに、実際の搬送速度を検出するようにしているため、両者の間で速度差を生じることがない。
【0059】
ステップ5で取り出し動作を開始した後、コントローラー100は、供給台31上に載置した紙葉類Pが無くなるまで(ステップ10;NO)、上述したステップ6〜ステップ9の処理を繰り返し、全ての紙葉類Pを取り出した後、取り出しローター20を停止して処理を終了する(ステップ11)。
【0060】
以上のように、本実施の形態によると、取り出しローター20に紙葉類Pを吸着するとき、搬送部2における紙葉類Pの搬送速度より遅い周速で取り出しローター20を回転させるようにしたため、取り出し位置の紙葉類Pに負圧を十分な時間作用させることができ、紙葉類Pを取り出しローター20の外周面に確実に吸着させることができる。
【0061】
また、本実施の形態によると、取出部1で取り出した紙葉類Pを搬送部2へ受け渡すとき、搬送部2における実際の搬送速度と当該紙葉類Pの取り出し速度を一致させるように、取り出しローター20の回転速度を制御するようにしたため、処理装置200の動作開始時、定常運転時、環境変化、負荷変動などによらず、紙葉類Pを所定間隔で安定して搬送路上に取り出すことができる。これにより、紙葉類Pを所定の搬送速度、ピッチ間隔、タイミングで搬送することができ、区分部3、検査部4、集積部6などで紙葉類Pの処理を正確に行うことが可能となり、処理装置200の動作を安定させることができる。
【0062】
さらに、本実施の形態によると、図9のステップ2〜ステップ4で説明した処理により、搬送部2における紙葉類Pの搬送速度を常に目標搬送速度に近付けるように制御することができる。つまり、処理装置200の使用環境や使用時間に起因して搬送ベルト50の物性値が変化した場合であっても、その変化に合せて搬送モーター58の回転速度が調整され、搬送ベルト50による搬送速度が目標搬送速度となるように制御される。
【0063】
なお、上述した実施の形態では、図9のステップ2〜ステップ4の処理を含んだ場合について説明したが、これに限らず、ステップ2〜ステップ4の処理は必須要件ではない。つまり、上述した搬送部2における経時的な速度変化が許容範囲内であるような場合には、図11に示すようにこれらのステップを省略しても良い。
【0064】
すなわち、この場合、コントローラー100は、搬送モーター58を目標搬送速度で駆動した後(ステップ21)、取出部1を駆動制御して紙葉類Pの取り出し動作を開始する(ステップ22)。
【0065】
そして、コントローラー100は、上述したように、紙葉類Pを吸着せしめるタイミングで、取り出しローター20を低速回転させ(ステップ23)、搬送部2におけるこのときの搬送速度を検出し(ステップ24)、取り出しローター20の周速がこのステップ24で検出した搬送速度と略同じ速度になるように、サーボモーター27を加速して(ステップ25)、取り出しローター20に吸着せしめた当該紙葉類Pを取り出し位置から取り出す(ステップ26)。
【0066】
コントローラー100は、取り出すべき紙葉類Pが無くなるまで(ステップ27;NO)、ステップ23〜26の処理を繰り返し、取り出しローター20を停止する(ステップ28)。
【0067】
図11のように、処理ステップを簡略化することで、より安価なシステムを提供できる。この場合、搬送部2における搬送速度が経時的に目標搬送速度からズレた場合であっても、そのズレた搬送速度に合せて取り出し速度を制御することになるが、取り出し位置の紙葉類Pを取り出しローター20に吸着せしめるときにはローターの回転速度を十分に遅くしているため、取り出し不良を生じる心配はない。
【0068】
次に、第2実施形態について図12乃至図16を参照して説明する。
本実施形態の紙葉類処理装置は、上述した第1実施形態の紙葉類処理装置200と略同じ構造を有する。よって、ここでは、上述した第1実施形態と同様に機能する構成要素には同一符号を付して、装置構成についての詳細な説明を省略する。つまり、ここでは、紙葉類Pの取り出し方法の違いについて主に説明する。
【0069】
上述した第1実施形態のように取り出しローター20の複数の吸着孔21が取り出し位置の紙葉類Pに対向するタイミング(すなわち、取り出し位置の紙葉類Pを吸着するタイミング)で取り出しローター20の周速を搬送部における搬送速度より遅くすると、取り出しローター20の外周面に紙葉類Pを良好に吸着させることができる反面、取り出しローター20の周速を遅くした分だけ、次に取り出す紙葉類Pのために取り出しローター20を1回転する時間(すなわち、複数の吸着孔21を再び取り出し位置に対向させるまでの時間)も長くなる。
【0070】
つまり、このままでは、取り出しローター20を搬送部2における紙葉類Pの搬送速度と同じ速度で加減速させずに一定の周速で回転させる従来の場合(図14)と比較して、複数の吸着孔21が取り出し位置を通過する時間間隔(すなわち、取り出しローター20が1回転する時間)が長くなり、紙葉類Pの取り出しピッチが長くなり、装置の処理能力が従来と比較して低下してしまう。
【0071】
このため、複数の吸着孔21が取り出し位置に早く対向するように、取り出しローター20の直径(すなわち、外周長)を小さくする方法も考えられるが、この方法を採用すると、取り出しローター20の曲率半径も小さくなってしまい、紙葉類Pが取り出しローター20の外周面に吸着しずらくなってしまう。
【0072】
また、上記のように取り出しローター20の直径を変えると、取出部1の構成を大幅に変更する必要があり、従来の取り出しローター20をそのまま使うこともできない。つまり、理想的には、複数の吸着孔21が取り出し位置を通過するときに取り出しローター20の回転速度を十分に減速させることができ、従来の取り出しローターをそのまま使用することができ、且つ、従来の取り出しローターと同じピッチで紙葉類Pを取り出すことができることが望ましい。
【0073】
このため、本実施形態では、取出部1で取り出した紙葉類Pを搬送部2に受け渡した後、紙葉類Pの吸着時に取り出しローター20の周速を減速した分を取り戻すように、取り出しローター20の回転速度を一時的に速くして、紙葉類Pの取り出しピッチを所望する値に調整するようにした。
以下、本実施形態における紙葉類Pの取り出し動作について、図12に示すフローチャートを参照して説明する。
【0074】
紙葉類の取り出し動作に先立って、処理装置200のコントローラー100は、まず、真空ポンプ23を動作してチャンバー24内を真空引きする。そして、コントローラー100は、サーボモーター27を駆動して取り出しローター20を回転させ、紙葉類Pの取り出し動作を開始する(ステップ1)。
【0075】
このとき、コントローラー100は、取り出しローター20の回転速度を、例えば、図13に示す速度パターンにしたがって変化させる。つまり、コントローラー100は、紙葉類Pを1枚取り出すごとに取り出しローター20を図13の速度パターンに従って加減速させながら1回転させる。図13の速度パターンは、1枚の紙葉類Pを取り出すときの取り出しローター20の1回転分の速度変化の一例を示す。この速度パターンは、紙葉類Pの取り出し方向に沿った長さに応じて予め用意されており、メモリー101のデータテーブルに格納されている。
【0076】
ステップ1で取り出し動作を開始すると、コントローラー100は、まず、取り出し位置に供給された最上端の紙葉類Pを取り出しローター20に吸着せしめるタイミング(すなわち、複数の吸着孔21が取り出し位置を通過するタイミング)(図13のT1)で、取り出しローター20を速度Vp(<Vc)で低速回転させる(ステップ2)。このときの取り出しローターの回転速度Vpは、搬送部2における搬送速度よりも遅い速度である。このように取り出しローター20を低速駆動してその外周面に紙葉類Pを吸着させることにより、紙葉類Pを取り出しローター20に確実に吸着させることができ、取り出し位置の紙葉類Pを確実に取り出すことができる(ステップ3)。
【0077】
そして、コントローラー100は、ステップ3で当該紙葉類Pを取り出しローター20に吸着せしめて取り出し位置から取り出した後、取り出しローター20の速度Vpが搬送部2の搬送速度Vcとほぼ同じ速度(Vp≒Vc)となるようにサーボモーター27を加速して(ステップ4、図13のT2)、取り出しローター20に吸着した当該紙葉類Pを搬送部2の搬送ベルトへと受け渡す(ステップ5、図13のT3)。
【0078】
つまり、コントローラー100は、当該紙葉類Pが取り出しローター20に吸着されて取り出し位置から動き始めたタイミングで取り出しローター20の加速を開始し、当該紙葉類Pの取り出し方向先端が搬送部2の搬送ベルトに送り込まれる直前のタイミングで、取り出しローター20の周速Vpを搬送速度Vcに略一致させる。
【0079】
このように、取出部1で取り出した紙葉類Pを搬送部2へと受け渡すとき、取り出しローター20の速度を搬送速度と同期させることにより、両者の間で速度差を生じることを防止でき、当該紙葉類Pを取出部1から搬送部2へとスムーズに受け渡すことができる。これにより、当該紙葉類Pの受け渡し時における速度差に起因した座屈や切れなどの不具合を防止できる。
【0080】
ステップ5で当該紙葉類Pを搬送部2へ受け渡した後、取り出しローター20の複数の吸着孔21がチャンバー24の切欠部24aを通過すると、取り出しローター20の外周面に発生していた負圧が無くなる。これにより、当該紙葉類Pに対する取り出しローター20の吸着力が無くなり、当該紙葉類Pは搬送部2の搬送ベルト50に挟持されて後段の処理部へと搬送される(ステップ6)。
【0081】
この後、コントローラー100は、取り出しローター20の外周面の負圧が無くなったタイミング(すなわち、当該紙葉類Pに対する取り出しローター20の吸着力が無くなったタイミング)で、取り出しローター20の加速を開始する。つまり、コントローラー100は、このタイミングで、取り出しローター20の周速Vp(>Vc)が搬送速度Vcよりも大きくなるように取り出しローター20を加速する(ステップ7、図13のT4)。
【0082】
そして、ステップ7で加速してから所定時間経過後に、コントローラー100は、取り出しローター20の減速を開始し、取り出しローター20の周速を搬送速度より遅い速度まで減速させる(ステップ8、図13のT5)。このとき、コントローラー100は、次に取り出す紙葉類Pを取り出しローター20の外周面に良好に吸着させるため、ステップ2の速度まで取り出しローター20を減速させる。
【0083】
ステップ8までの動作が終了すると、コントローラー100は、検出センサー29を介して取り出しローター20の吸着位置(すなわち、複数の吸着孔21の位置)を検出し、この検出結果に基づいて、次の紙葉類Pの取り出しタイミングを調整する(ステップ9)。つまり、コントローラー100は、このとき、一定時間(T)毎に取り出しローター20の複数の吸着孔21が取り出し位置に対向するように、取り出しローター20の速度パターンを補正する。これにより、例えば、紙葉類Pと取り出しローター20との間に滑りなどが生じた場合であっても、当該紙葉類Pの取り出しピッチをほぼ一定に保つことができる。
【0084】
ステップ1で取り出し動作を開始した後、コントローラー100は、供給台31上に載置した紙葉類Pが無くなるまで(ステップ10;NO)、上述したステップ2〜ステップ9の処理を繰返し、全ての紙葉類Pを取り出した後、取り出しローター20を停止して処理を終了する(ステップ11)。
【0085】
以上のように、本実施形態においても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。つまり、本実施形態によると、取り出しローター20に紙葉類Pを吸着せしめるとき、搬送部2における紙葉類Pの搬送速度より遅い速度で取り出しローター20を駆動するようにしたため、取り出し位置の紙葉類Pに負圧を十分な時間作用させることができ、紙葉類Pを取り出しローター20に確実に吸着させることができる。
【0086】
また、本実施の形態によると、取出部1で取り出した紙葉類Pを搬送部2へ受け渡すとき、搬送速度と取り出し速度が一致するように取り出しローター20の回転を制御するようにしたため、紙葉類Pの受け渡し時における速度差に起因した座屈や切れなどの不具合を防止することができる。
【0087】
さらに、本実施の形態によると、取り出しローター20による吸着力が紙葉類Pに作用しない領域で、取り出しローター20の周速を搬送速度より速い速度まで一旦加速させるようにしたため、紙葉類Pの吸着時における取り出しローター20の回転速度を搬送速度より十分に遅くした上で、従来のように取り出しローターを搬送速度と同じ一定速度で回転させる場合と同じ取り出しピッチで複数枚の紙葉類Pを搬送路上へ取り出すことができる。
【0088】
つまり、本実施の形態によると、従来と同じ構造の取り出しローター20を用いることができ、搬送速度よりも遅い周速で取り出しローター20を回転させて取り出し位置の紙葉類Pを吸着せしめて取り出すことができ、且つ、取り出しローター20を搬送速度と同じ周速で回転させた場合と同様の取り出しピッチで複数枚の紙葉類Pを取り出すことができる。言い換えると、本実施形態の取り出し方法を採用すると、紙葉類Pを所望する搬送速度、ピッチ間隔、タイミングで搬送することができ、区分部3、検査部4、集積部6などで紙葉類Pの処理を正確に行うことが可能となり、処理装置200の動作を安定させることができる。
【0089】
ここで、図15を参照して、上述した第2実施形態における速度パターンについて、別の角度から考察する。
第2実施形態の速度パターンは、取り出し位置の紙葉類Pを取り出しローター20の外周面に吸着せしめるときに取り出しローター20の周速を搬送速度より減速させた分の時間的なロスを、当該紙葉類Pを搬送部2へ受け渡した後、取り出しローター20を一時的に搬送速度より速い速度まで加速することで取り戻すようにしたことを特徴としている。
【0090】
つまり、簡単に言うと、取り出しローター20を1回転する間の周速を1回転する時間Tで積分したときの取り出しローター20の外周面の移動距離が、当該取り出しローター20を搬送速度と同じ周速Vcで時間Tだけ回転させたときの外周面の移動距離に等しくなるように、当該取り出しローター20の速度パターンを設定すれば良いことになる。
【0091】
すなわち、図15を参照して説明すると、紙葉類Pの吸着時に搬送速度Vcより遅い周速で取り出しローター20を回転させたときの図示斜線領域の面積S1と、当該紙葉類Pを搬送部2へ受け渡した後、搬送速度Vcより速い周速で取り出しローター20を回転させたときの図示斜線領域の面積S2と、次の紙葉類Pを取り出すため取り出しローター20の周速を減速させたときの搬送速度Vcより遅い周速の図示斜線領域の面積S3と、が下式を満たすように、取り出しローター20の速度パターンを設定すれば良いことになる。
【0092】
S1+S3=S2
言い換えると、第2実施形態の速度パターンは図15に例示したパターンに限定されるものではなく、上式を満たすように取り出しローター20の周速を制御すればいかなる速度パターンでも良いことになる。さらに言い換えると、この速度パターンは、複数の吸着孔21が一定の時間間隔で取り出し位置を通過するように設定されれば良いことになる。
【0093】
ところで、上述した各実施形態で説明した方法により取出部1を制御して複数枚の紙葉類Pを搬送路上に連続して取り出すと、各紙葉類Pが一定のタイミングで搬送部2へ受け渡され、搬送部2を介して複数枚の紙葉類Pが定ピッチで搬送されることになる。このため、紙葉類Pの搬送方向に沿った長さが短くなったり長くなったりすると、同じ速度パターンで取り出しローター20を回転させて紙葉類Pを取り出した場合、紙葉類Pの搬送ギャップが異なってくる。
【0094】
例えば、同じ速度パターンで取り出しローター20を回転させて搬送方向に沿った長さが短い紙葉類Pを連続して取り出した場合、紙葉類P間の搬送ギャップは必要以上に大きくなる。つまり、紙葉類Pを効率良く処理するための適切な搬送ギャップより紙葉類P間のギャップが広がると、紙葉類Pの処理効率が低下する。この場合、搬送ギャップが開いた分だけ紙葉類Pの処理効率が低下して、処理装置200の処理能力が低下する。よって、このような場合には、搬送ギャップを短くして適切な搬送ギャップに近付けて処理効率を高めるように、取り出しローター20の速度パターンを変えることが望ましい。
【0095】
搬送ギャップを短くする場合、図15を用いて説明した面積S1、S2、S3の関係(S1+S3=S2)を保ったまま、取り出しローター20の回転周期Tを短くするように、速度パターンを変更する。一方、搬送ギャップを長くする場合、面積S1、S2、S3の関係(S1+S3=S2)を保ったまま、取り出しローター20の回転周期Tを長くするように、速度パターンを変更する。いずれにしても、取り出し位置の紙葉類Pを吸着せしめるタイミングでは、取り出しローター20を十分に減速させる必要があることから、上述したような回転周期Tの調整は、面積S2と面積S3の形状を変更することによりなされる。
【0096】
具体的には、紙葉類P間の適切なギャップを維持するとともに複数枚の紙葉類Pを定ギャップで取り出すことのできる速度パターンを、紙葉類Pの搬送方向に沿った長さに応じて予め算出しておき、この長さに応じた速度パターンをメモリー101のデータテーブルに格納しておく。そして、紙葉類Pの取り出し時に、コントローラー100が、搬送路上に取り出した紙葉類Pの搬送方向に沿った長さを検出して、この長さに応じた速度パターンをメモリ101のデータテーブルから読み出して、この読み出した速度パターンに従って取出部1のサーボモーター27を制御する。
【0097】
以上のように、上述した実施形態によれば、集積した紙葉類を1枚ずつ確実に取り出しローターに吸着せしめて取り出すことができ、取り出した紙葉類を確実に搬送部へ受け渡すことができ、搬送部を介して当該紙葉類を比較的高速で安定して搬送することができる紙葉類処理装置および紙葉類処理方法を提供することができる。
【0098】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0099】
例えば、上述した実施形態では取り出しローター20とサーボモーター27をカップリング26を介して接続しているが、タイミングベルトとタイミングプーリーのような別の機構を用いて駆動伝達機構を構成してもよい。また、検出センサー29の代用として、サーボモーター27に内蔵のエンコーダーを使用してもよい。特に、第2実施形態のように取り出しローター20の複数の吸着孔21の位置を検出する場合には、エンコーダーを用いた方が検出精度を高めることができて有利である。
【0100】
また、例えば、上述した第2実施形態では、図12のステップ9の処理を含んだ場合について説明したが、これに限らず、ステップ9の処理(検出センサーによるタイミング調整)は必須要件ではない。つまり、上述した取出部1における紙葉類Pの取り出しピッチ間隔のばらつきがある程度許容されるならば、図16に示すようにこのステップを省略してもよい。
【0101】
以上のように、処理ステップを簡略化することで、より安価なシステムを提供できる。例えば、処理速度やピッチ間隔の精度が要求されないような場合(低速機、中速機など)、図12のステップ9による調整処理が無くてもよい。この場合、検出センサー29による調整処理は無いが、取り出し位置の紙葉類Pを取り出しローター20に吸着するときに取り出しローター速度を十分に遅くすることができるため、取り出し不良や取り出しピッチ間隔の悪化などの心配はない。
【符号の説明】
【0102】
1…取出部、2…搬送部、20…取り出しローター、21…吸着孔、27…サーボモーター、29…検出センサー、50…搬送ベルト、58…搬送モーター、59…エンコーダー、100…コントローラー、101…エンコーダー、P…紙葉類。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り出し位置の紙葉類に負圧を作用させて吸着せしめた状態で回転することにより当該紙葉類を上記取り出し位置から取り出す取り出し部材と、
この取り出し部材によって上記取り出し位置から取り出された紙葉類を受け取って搬送する搬送部と、
上記取り出し部材に上記取り出し位置の紙葉類を吸着せしめるときに、上記搬送部における紙葉類の搬送速度より遅い周速で上記取り出し部材を回転させ、上記取り出し部材に吸着せしめた紙葉類を上記搬送部へ受け渡すときに、上記搬送部におけるそのときの搬送速度と略同じ周速で上記取り出し部材を回転させる制御部と、
を有する紙葉類処理装置。
【請求項2】
上記搬送部による紙葉類の搬送速度を検出する検出部をさらに有し、
上記制御部は、上記検出部で検出した搬送速度に合せて上記取り出し部材を回転させる請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項3】
上記搬送部は、上記取り出し位置から取り出された紙葉類を挟んで上記搬送方向に走行する搬送ベルト対、この搬送ベルト対を巻回した搬送ローラー、およびこの搬送ローラーを回転させる搬送モーターを有し、
上記検出部は、上記搬送ローラーの回転速度を検出して上記搬送速度を検出する請求項2に記載の紙葉類処理装置。
【請求項4】
上記搬送部における目標搬送速度を記憶した記憶部をさらに有し、
上記制御部は、上記検出部で検出した搬送速度が上記記憶部で記憶した上記目標搬送速度に近付くように上記搬送モーターを制御する請求項3に記載の紙葉類処理装置。
【請求項5】
取り出し位置の紙葉類に負圧を作用させて吸着せしめて回転することで当該紙葉類を上記取り出し位置から取り出す取り出し部材と、
この取り出し部材によって上記取り出し位置から取り出された紙葉類を受け取って搬送する搬送部と、
この搬送部による紙葉類の搬送速度を検出する検出部と、
上記搬送部における目標搬送速度を記憶した記憶部と、
上記検出部で検出した搬送速度が上記記憶部で記憶した上記目標搬送速度に近付くように上記搬送部を制御する第1制御部と、
上記取り出し部材に上記取り出し位置の紙葉類を吸着せしめるときに、上記搬送部における紙葉類の搬送速度より遅い周速で上記取り出し部材を回転させ、上記取り出し部材に吸着せしめた紙葉類を上記搬送部へ受け渡すときに、上記搬送部におけるそのときの搬送速度と略同じ周速で上記取り出し部材を回転させる第2制御部と、
を有する紙葉類処理装置。
【請求項6】
取り出し位置の紙葉類に負圧を作用させて取り出し部材に吸着せしめ、当該取り出し部材を回転させて当該紙葉類を上記取り出し位置から取り出す取り出し工程と、
この取り出し工程で上記取り出し位置から取り出された紙葉類を搬送部で受け取って搬送する搬送工程と、を有し、
上記取り出し工程では、上記取り出し部材に上記取り出し位置の紙葉類を吸着せしめるときに、上記搬送工程における紙葉類の搬送速度より遅い周速で上記取り出し部材を回転させ、上記取り出し部材に吸着せしめた紙葉類を上記搬送部へ受け渡すときに、上記搬送工程におけるそのときの搬送速度と略同じ周速で上記取り出し部材を回転させる紙葉類処理方法。
【請求項7】
上記搬送工程で搬送する紙葉類の搬送速度を検出する検出工程をさらに有し、
上記取り出し工程では、上記検出工程で検出した搬送速度に合せて上記取り出し部材の回転速度を制御する請求項6に記載の紙葉類処理方法。
【請求項8】
上記搬送工程における紙葉類の搬送速度を予め設定した目標搬送速度に近付けるように上記搬送部を制御する工程をさらに有する請求項6に記載の紙葉類処理方法。
【請求項9】
取り出し位置の紙葉類に負圧を作用させて取り出し部材に吸着せしめ、当該取り出し部材を回転させて当該紙葉類を上記取り出し位置から取り出す取り出し工程と、
この取り出し工程で上記取り出し位置から取り出された紙葉類を搬送部で受け取って搬送する搬送工程と、
この搬送工程で搬送する紙葉類の搬送速度を検出する検出工程と、
この検出工程で検出した搬送速度が予め設定した上記搬送部の目標搬送速度に近付くように、上記搬送工程における紙葉類の搬送速度を制御する工程と、を有し、
上記取り出し工程では、上記取り出し部材に上記取り出し位置の紙葉類を吸着せしめるときに、上記搬送工程における紙葉類の搬送速度より遅い周速で上記取り出し部材を回転させ、上記取り出し部材に吸着せしめた紙葉類を上記搬送部へ受け渡すときに、上記搬送工程におけるそのときの搬送速度と略同じ周速で上記取り出し部材を回転させる紙葉類処理方法。
【請求項10】
取り出し位置の紙葉類に負圧を作用させて吸着せしめた状態で回転することにより当該紙葉類を上記取り出し位置から取り出す取り出し部材と、
この取り出し部材によって上記取り出し位置から取り出された紙葉類を受け取って搬送する搬送部と、
上記取り出し部材に上記取り出し位置の紙葉類を吸着せしめるときに、上記搬送部における紙葉類の搬送速度より遅い周速で上記取り出し部材を回転させ、上記取り出し部材に吸着せしめた紙葉類を上記搬送部へ受け渡すときに、上記搬送部における搬送速度と略同じ周速で上記取り出し部材を回転させ、当該紙葉類を上記搬送部へ受け渡した後、上記搬送部における搬送速度より速い周速で上記取り出し部材を回転させる制御部と、
を有する紙葉類処理装置。
【請求項11】
上記制御部は、上記速い周速で上記取り出し部材を回転させた後、次に取り出す紙葉類のため、上記遅い周速まで当該取り出し部材を減速させる請求項10に記載の紙葉類処理装置。
【請求項12】
上記取り出し部材の速度パターンを記憶した記憶部をさらに有し、
上記制御部は、上記記憶部で記憶した速度パターンに従って、上記取り出し部材を回転させる請求項11に記載の紙葉類処理装置。
【請求項13】
上記取り出し部材が上記取り出し位置の紙葉類を吸着せしめる吸着タイミングを検出する検出部をさらに有し、
上記制御部は、上記検出部における検出結果に基づいて、所定の吸着タイミングになるように、紙葉類を上記搬送部へ受け渡した後、次の紙葉類を吸着せしめるまでの間で、上記取り出し部材の周速を補正する請求項11に記載の紙葉類処理装置。
【請求項14】
上記制御部は、上記取り出し部材が上記取り出し位置の紙葉類を吸着せしめる吸着タイミングが一定の時間間隔になるように、上記取り出し部材の周速を制御する請求項11に記載の紙葉類処理装置。
【請求項15】
上記制御部は、上記搬送部における紙葉類の搬送ピッチが一定になるように、上記取り出し部材の周速を制御する請求項11に記載の紙葉類処理装置。
【請求項16】
上記取り出し位置の紙葉類を吸着してから次の紙葉類を吸着するまでの間の上記取り出し部材の吸着面の移動距離は、上記搬送部における紙葉類の搬送ピッチと同じである請求項11に記載の紙葉類処理装置。
【請求項17】
取り出し位置の紙葉類に負圧を作用させて取り出し部材に吸着せしめ、当該取り出し部材を回転させて当該紙葉類を上記取り出し位置から取り出す取り出し工程と、
この取り出し工程で上記取り出し位置から取り出された紙葉類を搬送部で受け取って搬送する搬送工程と、を有し、
上記取り出し工程では、上記取り出し部材に上記取り出し位置の紙葉類を吸着せしめるときに、上記搬送工程における紙葉類の搬送速度より遅い周速で上記取り出し部材を回転させ、上記取り出し部材に吸着せしめた紙葉類を上記搬送部へ受け渡すときに、上記搬送工程における搬送速度と略同じ周速で上記取り出し部材を回転させ、当該紙葉類を上記搬送部へ受け渡した後、上記搬送工程における搬送速度より速い周速で上記取り出し部材を回転させる紙葉類処理方法。
【請求項18】
上記速い周速で上記取り出し部材を回転させた後、次に取り出す紙葉類のため、上記遅い周速まで当該取り出し部材を減速させる請求項17に記載の紙葉類処理方法。
【請求項19】
上記取り出し工程では、記憶部に予め記憶した速度パターンを読み出して、この速度パターンに従って上記取り出し部材を回転させる請求項18に記載の紙葉類処理方法。
【請求項20】
上記取り出し部材が上記取り出し位置の紙葉類を吸着せしめる吸着タイミングを検出する検出工程と、
この検出工程における検出結果に基づいて、所定の吸着タイミングになるように、紙葉類を上記搬送部へ受け渡した後、次の紙葉類を吸着せしめるまでの間で、上記取り出し部材の周速を補正する補正工程と、
を有する請求項18に記載の紙葉類処理方法。
【請求項21】
上記取り出し部材が上記取り出し位置の紙葉類を吸着せしめる吸着タイミングが一定の時間間隔になるように、上記取り出し部材の周速を制御する請求項18に記載の紙葉類処理方法。
【請求項22】
上記搬送工程における紙葉類の搬送ピッチが一定になるように、上記取り出し部材の周速を制御する請求項18に記載の紙葉類処理方法。
【請求項1】
取り出し位置の紙葉類に負圧を作用させて吸着せしめた状態で回転することにより当該紙葉類を上記取り出し位置から取り出す取り出し部材と、
この取り出し部材によって上記取り出し位置から取り出された紙葉類を受け取って搬送する搬送部と、
上記取り出し部材に上記取り出し位置の紙葉類を吸着せしめるときに、上記搬送部における紙葉類の搬送速度より遅い周速で上記取り出し部材を回転させ、上記取り出し部材に吸着せしめた紙葉類を上記搬送部へ受け渡すときに、上記搬送部におけるそのときの搬送速度と略同じ周速で上記取り出し部材を回転させる制御部と、
を有する紙葉類処理装置。
【請求項2】
上記搬送部による紙葉類の搬送速度を検出する検出部をさらに有し、
上記制御部は、上記検出部で検出した搬送速度に合せて上記取り出し部材を回転させる請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項3】
上記搬送部は、上記取り出し位置から取り出された紙葉類を挟んで上記搬送方向に走行する搬送ベルト対、この搬送ベルト対を巻回した搬送ローラー、およびこの搬送ローラーを回転させる搬送モーターを有し、
上記検出部は、上記搬送ローラーの回転速度を検出して上記搬送速度を検出する請求項2に記載の紙葉類処理装置。
【請求項4】
上記搬送部における目標搬送速度を記憶した記憶部をさらに有し、
上記制御部は、上記検出部で検出した搬送速度が上記記憶部で記憶した上記目標搬送速度に近付くように上記搬送モーターを制御する請求項3に記載の紙葉類処理装置。
【請求項5】
取り出し位置の紙葉類に負圧を作用させて吸着せしめて回転することで当該紙葉類を上記取り出し位置から取り出す取り出し部材と、
この取り出し部材によって上記取り出し位置から取り出された紙葉類を受け取って搬送する搬送部と、
この搬送部による紙葉類の搬送速度を検出する検出部と、
上記搬送部における目標搬送速度を記憶した記憶部と、
上記検出部で検出した搬送速度が上記記憶部で記憶した上記目標搬送速度に近付くように上記搬送部を制御する第1制御部と、
上記取り出し部材に上記取り出し位置の紙葉類を吸着せしめるときに、上記搬送部における紙葉類の搬送速度より遅い周速で上記取り出し部材を回転させ、上記取り出し部材に吸着せしめた紙葉類を上記搬送部へ受け渡すときに、上記搬送部におけるそのときの搬送速度と略同じ周速で上記取り出し部材を回転させる第2制御部と、
を有する紙葉類処理装置。
【請求項6】
取り出し位置の紙葉類に負圧を作用させて取り出し部材に吸着せしめ、当該取り出し部材を回転させて当該紙葉類を上記取り出し位置から取り出す取り出し工程と、
この取り出し工程で上記取り出し位置から取り出された紙葉類を搬送部で受け取って搬送する搬送工程と、を有し、
上記取り出し工程では、上記取り出し部材に上記取り出し位置の紙葉類を吸着せしめるときに、上記搬送工程における紙葉類の搬送速度より遅い周速で上記取り出し部材を回転させ、上記取り出し部材に吸着せしめた紙葉類を上記搬送部へ受け渡すときに、上記搬送工程におけるそのときの搬送速度と略同じ周速で上記取り出し部材を回転させる紙葉類処理方法。
【請求項7】
上記搬送工程で搬送する紙葉類の搬送速度を検出する検出工程をさらに有し、
上記取り出し工程では、上記検出工程で検出した搬送速度に合せて上記取り出し部材の回転速度を制御する請求項6に記載の紙葉類処理方法。
【請求項8】
上記搬送工程における紙葉類の搬送速度を予め設定した目標搬送速度に近付けるように上記搬送部を制御する工程をさらに有する請求項6に記載の紙葉類処理方法。
【請求項9】
取り出し位置の紙葉類に負圧を作用させて取り出し部材に吸着せしめ、当該取り出し部材を回転させて当該紙葉類を上記取り出し位置から取り出す取り出し工程と、
この取り出し工程で上記取り出し位置から取り出された紙葉類を搬送部で受け取って搬送する搬送工程と、
この搬送工程で搬送する紙葉類の搬送速度を検出する検出工程と、
この検出工程で検出した搬送速度が予め設定した上記搬送部の目標搬送速度に近付くように、上記搬送工程における紙葉類の搬送速度を制御する工程と、を有し、
上記取り出し工程では、上記取り出し部材に上記取り出し位置の紙葉類を吸着せしめるときに、上記搬送工程における紙葉類の搬送速度より遅い周速で上記取り出し部材を回転させ、上記取り出し部材に吸着せしめた紙葉類を上記搬送部へ受け渡すときに、上記搬送工程におけるそのときの搬送速度と略同じ周速で上記取り出し部材を回転させる紙葉類処理方法。
【請求項10】
取り出し位置の紙葉類に負圧を作用させて吸着せしめた状態で回転することにより当該紙葉類を上記取り出し位置から取り出す取り出し部材と、
この取り出し部材によって上記取り出し位置から取り出された紙葉類を受け取って搬送する搬送部と、
上記取り出し部材に上記取り出し位置の紙葉類を吸着せしめるときに、上記搬送部における紙葉類の搬送速度より遅い周速で上記取り出し部材を回転させ、上記取り出し部材に吸着せしめた紙葉類を上記搬送部へ受け渡すときに、上記搬送部における搬送速度と略同じ周速で上記取り出し部材を回転させ、当該紙葉類を上記搬送部へ受け渡した後、上記搬送部における搬送速度より速い周速で上記取り出し部材を回転させる制御部と、
を有する紙葉類処理装置。
【請求項11】
上記制御部は、上記速い周速で上記取り出し部材を回転させた後、次に取り出す紙葉類のため、上記遅い周速まで当該取り出し部材を減速させる請求項10に記載の紙葉類処理装置。
【請求項12】
上記取り出し部材の速度パターンを記憶した記憶部をさらに有し、
上記制御部は、上記記憶部で記憶した速度パターンに従って、上記取り出し部材を回転させる請求項11に記載の紙葉類処理装置。
【請求項13】
上記取り出し部材が上記取り出し位置の紙葉類を吸着せしめる吸着タイミングを検出する検出部をさらに有し、
上記制御部は、上記検出部における検出結果に基づいて、所定の吸着タイミングになるように、紙葉類を上記搬送部へ受け渡した後、次の紙葉類を吸着せしめるまでの間で、上記取り出し部材の周速を補正する請求項11に記載の紙葉類処理装置。
【請求項14】
上記制御部は、上記取り出し部材が上記取り出し位置の紙葉類を吸着せしめる吸着タイミングが一定の時間間隔になるように、上記取り出し部材の周速を制御する請求項11に記載の紙葉類処理装置。
【請求項15】
上記制御部は、上記搬送部における紙葉類の搬送ピッチが一定になるように、上記取り出し部材の周速を制御する請求項11に記載の紙葉類処理装置。
【請求項16】
上記取り出し位置の紙葉類を吸着してから次の紙葉類を吸着するまでの間の上記取り出し部材の吸着面の移動距離は、上記搬送部における紙葉類の搬送ピッチと同じである請求項11に記載の紙葉類処理装置。
【請求項17】
取り出し位置の紙葉類に負圧を作用させて取り出し部材に吸着せしめ、当該取り出し部材を回転させて当該紙葉類を上記取り出し位置から取り出す取り出し工程と、
この取り出し工程で上記取り出し位置から取り出された紙葉類を搬送部で受け取って搬送する搬送工程と、を有し、
上記取り出し工程では、上記取り出し部材に上記取り出し位置の紙葉類を吸着せしめるときに、上記搬送工程における紙葉類の搬送速度より遅い周速で上記取り出し部材を回転させ、上記取り出し部材に吸着せしめた紙葉類を上記搬送部へ受け渡すときに、上記搬送工程における搬送速度と略同じ周速で上記取り出し部材を回転させ、当該紙葉類を上記搬送部へ受け渡した後、上記搬送工程における搬送速度より速い周速で上記取り出し部材を回転させる紙葉類処理方法。
【請求項18】
上記速い周速で上記取り出し部材を回転させた後、次に取り出す紙葉類のため、上記遅い周速まで当該取り出し部材を減速させる請求項17に記載の紙葉類処理方法。
【請求項19】
上記取り出し工程では、記憶部に予め記憶した速度パターンを読み出して、この速度パターンに従って上記取り出し部材を回転させる請求項18に記載の紙葉類処理方法。
【請求項20】
上記取り出し部材が上記取り出し位置の紙葉類を吸着せしめる吸着タイミングを検出する検出工程と、
この検出工程における検出結果に基づいて、所定の吸着タイミングになるように、紙葉類を上記搬送部へ受け渡した後、次の紙葉類を吸着せしめるまでの間で、上記取り出し部材の周速を補正する補正工程と、
を有する請求項18に記載の紙葉類処理方法。
【請求項21】
上記取り出し部材が上記取り出し位置の紙葉類を吸着せしめる吸着タイミングが一定の時間間隔になるように、上記取り出し部材の周速を制御する請求項18に記載の紙葉類処理方法。
【請求項22】
上記搬送工程における紙葉類の搬送ピッチが一定になるように、上記取り出し部材の周速を制御する請求項18に記載の紙葉類処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図10】
【図11】
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【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−225370(P2011−225370A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148126(P2010−148126)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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