説明

紙葉類処理装置

【課題】設定用位置センサの取付位置がバラ付いた場合であっても、目標値を適正な値に設定可能にするとともに、設定用位置センサの取り付け作業を簡易化した紙葉類処理装置を提供する。
【解決手段】基準用検知位置bs1(bs2)から設定用検知位置st1(st2)まで往復搬送部26aの移動に必要なモータの回転量T1(T3)および設定用検知位置st1(st2)から目標停止位置sp1(sp2)まで往復搬送部26aの移動に必要なモータの回転量の往復分の回転量T2(T4)を検出し、検出した回転量T1・T2(T3・T4)に基づいて得られる基準用検知位置bs1(bs2)から目標停止位置sp1(sp2)まで往復搬送部26aの移動に必要な回転量(T1+T2/2)[T3+T4/2]を目標値Ds1(Ds2)として設定するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣等の紙葉類を搬送するためのフォーク等の往復搬送部と、往復搬送部の移動制御に用いる位置センサとを有する紙葉類処理装置に係り、特に位置センサの取り付け位置精度に拘わらず往復搬送部を適切な位置に停止可能な紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の紙葉類処理装置は、例えば特許文献1等に示されるように、金庫に設けられた紙葉類を収納する収納部と、この収納部内外間で紙葉類を搬送するため往復運動するプッシャやフォーク等の往復搬送部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−308233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような紙葉類処理装置として、例えば、回転駆動するモータと、モータの回転運動を往復運動に変換するクランク機構を介してモータから受けた動力により往復移動するように構成された紙葉類を搬送するための往復搬送部と、モータの回転量を検出するロータリーエンコーダ等を用いた回転量検出部と、往復搬送部が予め定めた基準用検知位置を通過したことを検出する基準位置センサとを設け、往復動作の可動範囲のうち往復方向の両端をそれぞれ目標停止位置に設定しておき、モータの駆動を通じて往復搬送部を移動させ、回転量検出部で検出される回転量の計測を往復搬送部が基準位置センサで検出される時点から開始し、計測した回転量が予め設定した目標値となるように前記モータの回転を制御することにより、前記往復搬送部を前記目標停止位置に移動させる移動制御を行うように構成することが考えられる。
【0005】
この場合、目標値を移動制御の前に予め設定する必要があるが、この目標値の手動による設定ミスや目標値とすべき適正な値が環境や経年により変化すること等に対応するために、往復搬送部が通過したことを検出する設定用位置センサを、その検知位置が目標停止位置に一致するように配置し、基準位置センサで検出された時点から設定用位置センサで検出される時点まで回転量検出部で検出される回転量を計測し、計測した回転量を目標値として、目標値を自動設定可能にすることが考えられる。
【0006】
しかしながら、設定用位置センサの検知位置と目標停止位置とがズレた状態で自動設定された目標値は、目標停止位置に停止させるための適正な値とならず、適切な移動制御を行うことができないため、設定用位置センサの検知位置が目標停止位置と一致するように厳密に設定用位置センサを取り付けなければならず、設定用位置センサの取り付けに精度が要求され、取り付け作業が難しくなる。特に、紙葉類を収納する金庫内部等に往復搬送部を設け、目標停止位置と設定用位置センサの検知位置とが一致するように当該センサを取り付けようとした場合には、設定用位置センサの設置位置が金庫を構成する壁部その他の機構の近傍になる場合や、設定用位置センサが金庫壁部や他の機構とスペースを取り合って、設定用位置センサの取り付け作業が困難となり、製造コストが増大してしまう。
【0007】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、その目的は、制御量である目標値を自動設定するための設定用位置センサの取り付け位置がバラ付いた場合であっても、往復搬送部を所望の目標停止位置に停止させるための目標値を適正な値に設定可能にするとともに、設定用位置センサの取り付け作業を簡易化して装置の組立作業性を向上させた紙葉類処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0009】
すなわち、本発明の紙葉類処理装置は、回転駆動するモータと、前記モータの回転運動を往復運動に変換するクランク機構を介して前記モータから受けた動力により往復移動するように構成され且つ往復動作の可動範囲のうち往復方向の両端の少なくともいずれかの一端が目標停止位置に設定された往復搬送部と、前記モータの回転量を検出する回転量検出部と、前記目標停止位置と関連付けて設けられ予め設定された基準用検知位置を前記往復搬送部が通過したことを検出する基準位置センサと、前記モータの回転を通じて前記往復搬送部を移動させ、前記回転量検出部で検出される回転量の計測を前記往復搬送部が前記基準位置センサで検出される時点から開始し、計測した回転量が予め設定した目標値となるように前記モータの回転を制御することにより、前記往復搬送部を前記目標停止位置に移動させる制御部とを具備してなり、取り付け位置に応じて定まる設定用検知位置を前記往復搬送部が通過したことを検出する設定用位置センサが前記目標停止位置と関連付けて設けられているとともに、前記制御部は、所定のタイミングで、前記往復搬送部が前記基準用検知位置、前記設定用検知位置及び前記目標停止位置を順に通過して再び前記設定用検知位置を通過するように前記モータを回転させ、前記基準用検知位置から前記設定用検知位置まで前記往復搬送部を移動させるために必要なモータの回転量および前記設定用検知位置から前記目標停止位置まで前記往復搬送部を移動させるために必要なモータの回転量の往復分の回転量を前記回転量検出部により検出し、検出した回転量に基づいて得られる前記基準用検知位置から前記目標停止位置まで前記往復搬送部を移動させるために必要な回転量を前記目標値として設定するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
このように、所定のタイミングで、往復搬送部が基準用検知位置、設定用検知位置及び目標停止位置を順に通過して再び設定用検知位置を通過するようにモータを回転させ、基準用検知位置から設定用検知位置までの移動に必要な回転数および設定用検知位置から目標停止位置までの移動に必要な回転数の往復分の回転数を検出し、検出した回転数に基づいて基準用検知位置から目標停止位置までの移動に必要な回転量を得て、この回転量を目標値として設定するので、設定用位置センサを、その検知位置と目標停止位置とがズレた状態に取り付けてしまった場合であっても、往復搬送部を目標停止位置に移動させるために必要な目標値を適正な値に自動設定でき、往復搬送部の適切な移動制御を実現できるとともに、設定用位置センサの取り付け精度を不要として装置の組立作業性を向上させることが可能となる。
【0011】
また、本発明に係る他の構成の紙葉類処理装置は、回転駆動するモータと、前記モータの回転運動を往復運動に変換するクランク機構を介して前記モータから受けた動力により往復移動するように構成され且つ往復動作の可動範囲のうち往復方向の両端の少なくともいずれかの一端が目標停止位置に設定された往復搬送部と、前記モータの回転量を検出する回転量検出部と、前記目標停止位置と関連付けて設けられ予め設定された基準用検知位置を前記往復搬送部が通過したことを検出する基準位置センサと、前記モータの回転を通じて前記往復搬送部を移動させ、前記回転量検出部で検出される回転量の計測を前記往復搬送部が前記基準位置センサで検出される時点から開始し、計測した回転量が予め設定した目標値となるように前記モータの回転を制御することにより、前記往復搬送部を前記目標停止位置に移動させる制御部とを具備してなり、前記制御部は、所定のタイミングで、前記往復搬送部が前記基準用検知位置、前記目標停止位置を順に通過して再び前記基準用検知位置を通過するように前記モータを回転させ、前記基準用検知位置から前記目標停止位置まで前記往復搬送部を移動させるために必要なモータの回転量の往復分の回転量を前記回転量検出部により検出し、検出した回転量の半分の値を前記目標値として設定するように構成されていることを特徴とする。この構成によれば、設定用位置センサを用いずに、上記と同様の効果を奏することが可能となる。
【0012】
センサの故障リスクや製造コストの低減、装置の小型化を図るためには、前記往復搬送部の可動範囲のうち往復方向の両端をそれぞれ第一の目標停止位置、第二の目標停止位置に設定したものであって、前記第一の目標停止位置に関連付けられる基準位置センサは、前記第二の目標停止位置に関連付けられる設定用位置センサを兼ねているとともに、前記第二の目標停止位置に関連付けられる基準位置センサは、前記第一の目標停止位置に関連付けられる設定用位置センサを兼ねていることが好ましい。
【0013】
製造コストの増大を抑制して、往復搬送部の停止箇所を把握するためには、前記設定用位置センサ又は前記設定用位置センサを兼ねる基準位置センサは、取り付け位置に応じて定まる検知位置に前記往復搬送部があることを検出するもので、前記検知位置に前記往復搬送部のある検知状態と前記検知位置に前記往復搬送部のない非検知状態とが切り替わるときに前記往復搬送部が前記検知位置を通過したと検出するように構成されているとともに、前記往復搬送部が前記検知位置から前記目標停止位置に近づく位置にある場合に前記検知状態となり、前記往復搬送部が前記検知位置よりも更に前記目標停止位置から遠ざかる位置にある場合に前記非検知状態となるように取り付け位置が設定されていることが望ましい。
【0014】
紙葉類を搬送するための既存の動作に影響を与えることなく、目標値の自動設定を実現するためには、前記所定のタイミングは、電源投入時に実行される初期処理時であることが効果的である。
【0015】
往復搬送部を着脱可能な金庫に設けることにより生じ易くなる不具合を適切に回避するためには、前記往復搬送部が着脱可能な金庫に設けられており、前記所定のタイミングは、前記金庫を装着したときであるのが効果的である。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、以上説明したように、設定用検知位置等の或る位置を往復搬送部が通過したことを検出する位置センサを設け、往復搬送部が或る位置、目標停止位置を順に通過して再び或る位置を通過するまでモータの回転量を計測し、計測した回転量の半分の値を或る位置から目標停止位置に往復搬送部を移動させるために必要な回転量とし、この回転量を利用して移動制御に用いる目標値を自動設定するので、位置センサを、その検知位置と目標停止位置とがズレた状態に取り付けてしまった場合であっても、目標値を適正な値に自動設定でき、往復搬送部の適切な移動制御を実現できるとともに、位置センサの取り付け精度を不要として装置の組立作業性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る紙葉類処理装置の概略的な全体構成図。
【図2】一部の金庫を抜き取った状態を示す図1に対応した図。
【図3】同実施形態の構成および機能の概要を示すブロック図。
【図4】紙幣を搬送する往復搬送部を模試的に示す図
【図5】往復搬送部及びこれに関連する周辺構成を模式的に示す図。
【図6】往復搬送部と位置センサの関係を模式的に示す図。
【図7】目標値を自動設定する動作を制御するために実行される目標値自動設定処理ルーチンを示すフローチャート。
【図8】往復搬送部の移動を制御するために実行される移動制御処理ルーチンを示すフローチャート。
【図9】本発明の他の実施形態における往復搬送部と位置センサの関係を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。本実施形態では紙幣を取り扱う紙幣ブロックとしての紙葉類処理装置を例に挙げて説明する。
【0019】
図1に示す本実施形態の紙葉類処理装置は、例えば乗車券やカード、精算切符等の券売を行う券売機として用いられるもので、紙幣ブロック1と、これにセットされて紙幣の収納場所となる4つの金庫A〜Dと、投入される紙幣の金種を識別部22で識別して金庫A〜Dのうち対応する金庫に搬送経路21を介して搬送する搬送手段2と、搬送手段2や金庫A〜Dにおける紙葉類の搬送を制御する制御部23(図3参照)とを具備する。
【0020】
紙幣ブロック1は、利用者に近い側に挿入口11、出金口13、返却口14(以下、出金口13及び返却口14を合わせて払出口12ともいう)を設けたもので、同じく利用者に近い側に固定式の混合金庫Dを内設し、側方であり係員が操作を行う側に3つのカセット式の金庫A〜Cを設けている。また、紙幣ブロック1には、搬送経路21上の紙幣を一時的に保留する一時保留部Eや出金保留部F、読み取り不能、重送発生、異常検知時の不良券を回収する不良券回収部G等も設けられている。カセット式の金庫A〜Cは、図2に例示するように把手hを把持して引き出すことが可能とされた着脱可能な金庫であり、金庫A〜Cが装着されたか否かを検出する図3に示す金庫着脱センサ9が設けられている。
【0021】
識別部22は、図1及び図3に示すように、紙幣の金種判定を主として行うもので、挿入口11から投入される紙幣の金種のみ識別する。これに対して、各金庫A〜Dに紙幣が補給される場合や、各金庫A〜Dから紙幣が回収される場合等には、補給回収用の簡易型の識別部20(以下、簡易識別部と称する)で金種識別を行う。ここに言う簡易型とは、金種識別のみを行い、紙幣の真性(偽造か否か)までは識別しないものを言う。
【0022】
搬送手段2は、図3に示すように、周知の紙幣処理装置と同様に、図示しない挾持ローラ、搬送ベルト、ウィング等の方向変換部などから構成される前記搬送経路21と、搬送される紙幣の金種を識別する前記識別部22および簡易識別部20とを有する。
【0023】
各金庫A〜Cには、図4に示すように、紙幣を積み重ねた状態で収納する集積部a2と、集積部a2と搬送経路21との間で紙幣を搬送するため上下方向に往復運動するフォークを用いた往復搬送部26aが設けられている。往復搬送部26aは、図5に示すように、紙葉類たる紙幣Paの幅方向両側端部を保持した状態で上下方向に往復運動可能に支持部26bに支持されている。図5に示すように、往復搬送部26aを上下動(往復動)させるために通電部pwからの通電により回転駆動する停止精度に乏しいDCモータ等のモータ4と、このモータ4の回転運動を往復運動に変換するクランクアーム3a及びクランク軸3bからなるクランク機構3とが設けられており、往復搬送部26aは、クランク機構3を介してモータ4から受けた動力により往復移動するように構成されている。モータ4の回転動力出力軸にはモータ4の回転角(回転量)を検出するエンコーダを用いた回転量検出部5が設けられており、所定の回転角(回転量)を検出する毎にエンコーダパルス信号を出力する。
【0024】
ここで、図6において上下の往復運動を環状に展開して模式的に示すように、往復搬送部26aの往復動作の可動範囲のうち往復方向の両端がそれぞれ目標停止位置に設定され、上方を第一の目標停止位置sp1とし、下方を第二の目標停止位置sp2としている。この第一の目標停止位置sp1に往復搬送部を移動させる移動制御の基準となる位置として予め設定された第一の基準用検知位置bs1を往復搬送部26aが通過したことを検出する第一の基準位置センサ7aと、移動制御の制御量を自動設定するために用いる第一の設定用検知位置st1を往復搬送部26aが通過したことを検出する第一の設定用位置センサ8aとが、それぞれ第一の目標停止位置sp1に関連付けて設けられている。第二の目標停止位置sp2についても同様に、予め設定された第二の基準用検知位置bs2を往復搬送部26aが通過したことを検出する第二の基準位置センサ7bと、第二の設定用検知位置st2を往復搬送部26aが通過したことを検出する第二の設定用位置センサ8bとが、それぞれ第二の目標停止位置sp2に関連付けられて設けられている。各々の位置関係は、モータ4(図5参照)を或る方向に回転させ続けると、往復搬送部26aが第一の目標停止位置sp1、第二の基準用検知位置bs2、第二の設定用検知位置st2、第二の目標停止位置sp2、第一の基準用検知位置bs1、第一の設定用検知位置st1を順に通過して再び第一の目標停止位置sp1に戻るように、規定されている。勿論、センサの取り付け精度によって、第一の設定用検知位置st1又は第二の基準用検知位置bs2が第一の目標停止位置sp1と一致してもよいし、第二の設定用検知位置st2又は第一の基準用検知位置bs1が第二の目標停止位置sp2と一致してもよい。
【0025】
本実施形態では、第一の基準用検知位置bs1と第二の設定用検知位置st2が同じと取り扱うことで、第一の目標停止位置sp1に関連付けられる第一の基準位置センサ7aが、第二の目標停止位置sp2に関連付けられる第二の設定用位置センサ8bを兼ねている。同様に、第二の基準用検知位置bs2と第一の設定用検知位置st1が同じと取り扱うことで、第二の目標停止位置sp2に関連付けられる第二の基準位置センサ7bが、第一の目標停止位置sp1に関連付けられる第一の設定用位置センサ8aを兼ねるようにしている。このように、一つのセンサに基準位置センサ及び設定用位置センサの両役割を持たせて共用している。勿論、各センサを別個に設けてもよい。
【0026】
図6に示すように、設定用位置センサ8b・8a又は設定用位置センサ8b・8aを兼ねる基準位置センサ7a・7bは、図示しない投光部及び受光部からなる光センサ等のように、取り付け位置に応じて定まる検知位置(図中では破線で示す)に往復搬送部26aがあることを検知するもので、検知位置に往復搬送部26aがある検知状態(遮光状態)と検知位置に往復搬送部26aがない非検知状態(透過状態)とが切り替わるときに往復搬送部26aが検知位置を通過したと検出するように構成されており、往復搬送部26aの部材寸法を利用して、往復搬送部26aが検知位置から目標停止位置sp1(sp2)へ近づく位置にある場合に検知状態となり、且つ往復搬送部26aが検知位置よりも更に目標停止位置sp1(sp2)から遠ざかる位置にある場合に非検知状態(透過状態)となるようにその取り付け位置が設定されている。往復搬送部26aの部材寸法を利用する具体例としては、例えば往復搬送部26aのうちセンサの検出対象となる部位を板金等の板状部材で構成した場合に、板厚方向に直交する方向の寸法等を利用することが挙げられる。勿論、これに限定されるものではない。すなわち、設定用位置センサ8b・8aを兼ねる各々の基準位置センサ7(7a・7b)によって、第一の目標停止位置sp1及びその近傍若しくは第二の目標停止位置sp2及びその近傍のいずれに往復搬送部26aがあるかを検出可能にしている。これら基準位置センサ7(7a・7b)は、図3に示すように、検出結果を制御部23に電気的に入力する。勿論、本実施形態では光センサを用いているが、メカニカルセンサや磁気センサを用いてもよい。
【0027】
制御部23は、図3に示すように、搬送手段2の駆動制御や金庫A〜Dにおける紙葉類の搬送を制御するもので、例えば、挿入口11から投入された紙幣を識別部22に通過させた後、搬送経路21に沿って流通させ、随所に設けた分岐部a〜gで必要に応じて紙幣を方向変換して、金庫A〜D、一時保留部E、出金保留部F、払出口12、一次保留部a1〜c1、不良券回収部G等へ搬送する動作を行うとともに、金庫A〜D等から搬送経路21上への紙幣の繰り出し動作、簡易識別部20における金種識別、更には次なる搬送先である払出口12や金庫A〜Dへの搬送動作、往復搬送部26aの上下移動などを含む統括的な制御を行うように構成されている。
【0028】
このような制御を行うために制御部23は、周知の紙葉類処理装置と同様にCPU、メモリ及びインターフェイスを具備する通常のマイクロコンピュータユニットにより構成されて、メモリ内に図示しない搬送制御ルーチンや図8に示す往復搬送部26aの移動を制御する移動制御処理ルーチン、図7に示す目標値自動設定処理ルーチン等の所要のプログラムが書き込まれており、CPUは適宜必要なプログラムを呼び出して実行することにより、周辺ハードウェア資源と協働して、図3に示す移動制御部24と、目標値自動設定部25とを実現する。
【0029】
移動制御部24は、図3に示すように、モータ4の回転駆動を通じて往復搬送部26aを移動させ、往復搬送部26aを所望の目標停止位置に停止させる移動制御を行うもので、具体的には、図5及び図6に示すように、モータ4への通電によるモータ4の回転駆動を通じて往復搬送部26aを移動させ、回転量検出部5で検出される回転量の計測を往復搬送部26aが基準位置センサ7a(7b)で検出される時点から開始し、計測した回転量が予め設定された目標値Ds1(Ds2)と一致するようにモータ4の駆動を制御することにより、往復搬送部26aを所望の目標停止位置sp1(sp2)に停止させる。本実施形態では、図6に示すように、反重力方向側を向いて移動する場合の停止位置の目標となる第一の目標停止位置sp1に往復搬送部26aを移動させるための第一の目標値Ds1と、重力方向側を向いて移動する場合の停止位置の目標となる第二の目標停止位置sp2に往復搬送部26aを移動させるための第二の目標値Ds2とが別々に予め設定されており(図3参照)、図3に示す移動制御部24は、これら目標値Ds1・Ds2のうち移動先に対応する目標値を選択し、選択した目標値を用いて往復搬送部26aの移動を制御する。
【0030】
図3に示す目標値自動設定部25は、所定のタイミングで、モータ4の回転制御や回転量検出部5の検出結果、基準位置センサ7a・7bの検出結果及び設定用位置センサ8a・8bの検出結果を用いて、上記の第一の目標値Ds1及び第二の目標値Ds2を自動設定する。所定のタイミングとしては、電源投入時に実行される初期化処理時や金庫着脱センサ9により金庫A〜Cの装着が検出されたとき等が設定されている。
【0031】
具体的には、目標値自動設定部25は、図6に示すように、第一の目標値Ds1を設定する場合に、往復搬送部26aが第一の基準用検知位置bs1、第一の設定用検知位置st1及び第一の目標停止位置sp1を順に通過して再び第一の設定用検知位置st1を通過するように図3のモータ4を回転させる。この際、回転量検出部5で検出される回転量(エンコードパルス)を計測しておき、第一の基準用検知位置bs1から第一の設定用検知位置st1まで往復搬送部26aを移動させるために必要なモータの回転量T1と、第一の設定用検知位置st1から第一の目標停止位置sp1まで往復搬送部26aを移動させるために必要なモータの回転量の往復分の回転量T2を取得する。そして、検出した回転量T1及びT2に基づいて得られる第一の基準用検知位置bs1から第一の目標停止位置sp1まで往復搬送部26aを移動させるために必要な回転量(T1+T2/2)を第一の目標値Ds1として設定する。
【0032】
同様に、図6に示すように、第二の目標値Ds2を設定する場合には、往復搬送部26aが第二の基準用検知位置bs2、第二の設定用検知位置st2及び第二の目標停止位置sp2を順に通過して再び第二の設定用検知位置st2を通過するように図3のモータ4を回転させる。この際、回転量検出部5で検出される回転量(エンコードパルス)を計測しておき、第二の基準用検知位置bs2から第二の設定用検知位置st2まで往復搬送部26aを移動させるために必要なモータの回転量T3と、第二の設定用検知位置st2から第二の目標停止位置sp2まで往復搬送部26aを移動させるために必要なモータの回転量の往復分の回転量T4を取得する。そして、検出した回転量T3及びT4に基づいて得られる第二の基準用検知位置bs2から第二の目標停止位置sp2まで往復搬送部26aを移動させるために必要な回転量(T3+T4/2)を第二の目標値Ds2として設定する。
【0033】
このように、目標値自動設定部25は、往復搬送部26aが回転運動を往復運動に変換するクランク機構3を介してモータ4に接続され、目標停止位置sp1(sp2)が往復運動の可動範囲の両端に設定されている構成において、往復搬送部26aが或る位置を通過して目標停止位置に至り、再度或る位置に戻ってくるまでに検出される回転数が、或る位置から目標停止位置まで往復搬送部26aを移動させるために必要な回転数の往復分に相当することを利用して、検出した回転数T2、T4の半分の値を用いている。
【0034】
すなわち、図3の制御部23は、電源投入時に実行される初期化処理の実行中であるか否かと、金庫着脱センサ9により金庫A〜Cが装着されたか否かを判定する(図7の処理ST1参照)。初期化処理の実行中である、又は、金庫A〜Cが装着されたと判定した場合(図7の処理ST1:YES参照)には、目標値自動動作を開始し、図6に示すように、往復搬送部26aが第一の基準用検知位置bs1、第一の設定用検知位置st1及び第一の目標停止位置sp1を順に通過して再び第一の設定用検知位置st1を通過するようにモータ4を回転駆動するとともに、往復搬送部26aが第二の基準用検知位置bs2、第二の設定用検知位置st2及び第二の目標停止位置sp2を通過して再び第二の設定用検知位置st2を通過するようにモータ4を回転駆動する。すなわち、モータ4を少なくとも一回転させて往復搬送部26aを少なくとも一回往復させる(図7の処理ST2参照)。この際、回転量検出部5で検出される回転量(エンコードパルス)を計測しておき、上記の回転量T1、T2、T3、T4を取得する(図7の処理ST3参照)。そして、第一の目標値Ds1=T1+T2/2とし、第二の目標値Ds2=T3+T4/2として各々の目標値をメモリに記憶し、目標値自動動作を終了する(図7の処理ST4参照)。
【0035】
上記の目標値自動設定動作を行った後、図8に示すように、例えば上位のコントローラ等から第一の目標停止位置sp1への移動指令がなされた場合(処理ST11:YES参照)には、図6に示す第一の基準用検知位置bs1を通過して第一の目標停止位置sp1に至るように往復搬送部26aを下方から上方へ移動させるべく、図5に示す通電部pwを通じてモータ4への通電を行い、モータ4の回転駆動を開始する(図8の処理ST12参照)。第一の基準位置センサ7aでの検出がなされると(図8の処理ST13:YES参照)、その時点から回転量検出部5で検出される回転量(エンコードパルス数)の計測を開始する(図8の処理ST14参照)。計測した回転量が予め設定された第一の目標値Ds1となるようにモータ4の回転駆動を制御し、往復搬送部を第一の目標停止位置sp1に停止させ(図8の処理ST15:YES参照)、図8に示す処理ST11の実行に戻る。
【0036】
第二の目標停止位置sp2の場合も上記の第一の目標停止位置sp1とほぼ同様であり、上記説明における第一の基準位置センサ7aを第二の基準位置センサ7bに、第一の目標値Ds1を第二の目標値Ds2に代えて図8に示す処理ST16〜ST20の各処理を上記と同様に行うことにより、第二の目標停止位置sp2への移動制御がなされ、往復搬送部が所望の第二の目標停止位置sp2に移動する。
【0037】
以上のように、本実施形態に係る紙葉類処理装置は、回転駆動するモータ4と、モータ4の回転運動を往復運動に変換するクランク機構3を介してモータ4から受けた動力により往復移動するように構成され且つ往復動作の可動範囲のうち往復方向の両端の少なくともいずれかの一端が目標停止位置sp1(sp2)に設定された往復搬送部26aと、モータ4の回転量を検出する回転量検出部5と、目標停止位置sp1(sp2)と関連付けて設けられ予め設定された基準用検知位置bs1(bs2)を往復搬送部26aが通過したことを検出する基準位置センサ7a(7b)と、モータ4の回転を通じて往復搬送部26aを移動させ、回転量検出部5で検出される回転量の計測を往復搬送部26aが基準位置センサ7a(7b)で検出される時点から開始し、計測した回転量が予め設定した目標値Ds1(Ds2)となるようにモータ4の回転を制御することにより、往復搬送部26aを目標停止位置sp1(sp2)に移動させる制御部23とを具備してなり、取り付け位置に応じて定まる設定用検知位置st1(st2)を往復搬送部26aが通過したことを検出する設定用位置センサ8a(8b)が目標停止位置sp1(sp2)と関連付けて設けられているとともに、制御部23は、所定のタイミングで、往復搬送部26aが基準用検知位置bs1(bs2)、設定用検知位置st1(st2)及び目標停止位置sp1(sp2)を順に通過して再び設定用検知位置st1(st2)を通過するようにモータ4を回転させ、基準用検知位置bs1(bs2)から設定用検知位置st1(st2)まで往復搬送部26aを移動させるために必要なモータの回転量T1(T3)および設定用検知位置st1(st2)から目標停止位置sp1(sp2)まで往復搬送部26aを移動させるために必要なモータの回転量の往復分の回転量T2(T4)を回転量検出部5により検出し、検出した回転量T1・T2(T3・T4)に基づいて得られる基準用検知位置bs1(bs2)から目標停止位置sp1(sp2)まで往復搬送部26aを移動させるために必要な回転量(T1+T2/2)[T3+T4/2]を目標値Ds1(Ds2)として設定するように構成されている。
【0038】
このように、所定のタイミングで、往復搬送部26aが基準用検知位置bs1(bs2)、設定用検知位置st1(st2)及び目標停止位置sp1(sp2)を順に通過して再び設定用検知位置st1(st2)を通過するようにモータ4を回転させ、基準用検知位置bs1(bs2)から設定用検知位置st1(st2)までの移動に必要な回転数T1(T3)および設定用検知位置st1(st2)から目標停止位置sp1(sp2)までの移動に必要な回転数の往復分の回転数T2(T4)を検出し、検出した回転数T1・T2(T3・T4)に基づいて基準用検知位置bs1(bs2)から目標停止位置sp1(sp2)までの移動に必要な回転量(T1+T2/2)[T3+T4/2]を得て、この回転量を目標値Ds1(Ds2)として設定するので、設定用位置センサ8a(8b)を、その検知位置と目標停止位置sp1(sp2)とがズレた状態に取り付けてしまった場合であっても、往復搬送部26aを目標停止位置sp1(sp2)に移動させるために必要な目標値Ds1(Ds2)を適正な値に自動設定でき、往復搬送部26aの適切な移動制御を実現できるとともに、設定用位置センサ8a(8b)の取り付け精度を不要として装置の組立作業性を向上させることが可能となる。
【0039】
特に、本実施形態は、往復搬送部26aの可動範囲のうち往復方向の両端をそれぞれ第一の目標停止位置sp1、第二の目標停止位置sp2に設定したものであって、第一の目標停止位置sp1に関連付けられる第一の基準位置センサ7aは、第二の目標停止位置sp2に関連付けられる第二の設定用位置センサ8bを兼ねているとともに、第二の目標停止位置sp2に関連付けられる第二の基準位置センサ7bは、前記第一の目標停止位置sp1に関連付けられる第一の設定用位置センサ8aを兼ねているので、一方の目標停止位置sp1(sp2)に関連付けられる設定用位置センサ8a(8b)の役割と、他方の目標停止位置sp2(sp1)に関連付けられる基準位置センサ7b(7a)の役割とを一つのセンサに持たせて共用するので、一つの目標停止位置あたり二つのセンサが必要であるところ、センサの数を減らすことができ、故障リスクや製造コストの低減、装置の小型化を図ることが可能となる。
【0040】
さらに、本実施形態では、設定用位置センサ8a・8b又は設定用位置センサ8a・8bを兼ねる基準位置センサ7a・7bは、取り付け位置に応じて定まる検知位置に往復搬送部26aがあることを検出するもので、検知位置に往復搬送部26aのある検知状態(遮光状態)と検知位置に往復搬送部26aのない非検知状態(透過状態)とが切り替わるときに往復搬送部26aが検知位置を通過したと検出するように構成されているとともに、往復搬送部26aの部材寸法を利用して、往復搬送部26aが検知位置から目標停止位置sp1(sp2)に近づく位置にある場合に検知状態(遮光状態)となり、往復搬送部26aが検知位置よりも更に目標停止位置sp1(sp2)から遠ざかる位置にある場合に非検知状態(透過状態)となるように、その取り付け位置が設定されているので、設定用位置センサ8a・8b又は設定用位置センサ8a・8bを兼ねる基準位置センサ7a・7bによって目標停止位置sp1・sp2及びその近傍に往復搬送部26aがあるか否かを検出することが可能となり、往復搬送部26aの停止位置を監視するセンサを別途に設けることによる製造コストの増大を避けて、往復搬送部26aの停止箇所を把握することが可能となる。
【0041】
さらにまた、本実施形態では、上記の所定のタイミングを電源投入時に実行される初期化処理時としており、初期化処理時には、紙葉類Paの搬送制御を行うことがないので、紙葉類Paを搬送するための既存の動作に影響を与えることなく、目標値Ds1(Ds2)を自動設定することが可能となる。
【0042】
その他、本実施形態では、往復搬送部26aは着脱可能なカセット式の金庫A〜Cに設けているので、同種の金庫A〜Cでも組み付け精度等の相違によって金庫A〜Cの個体毎に適切な目標値Ds1(Ds2)が異なり、異なる金庫A〜Cの着脱により目標値Ds1(Ds2)と適正な値との偏差が生じて停止位置ズレを招きやすいほか、環境温度(周囲温度)の変化によっても停止位置ズレを生じ易くなるものの、上記の所定のタイミングを金庫A〜Cの装着時として、金庫A〜Cを装着したときに目標値Ds1(Ds2)の自動調整を行うので、往復搬送部26aを着脱可能な金庫A〜Cに設けたことにより生じ易くなった不具合を適切に回避して、往復搬送部26aを所望の目標停止位置sp1(sp2)に適切に移動させることができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0044】
例えば、本実施形態では、紙葉類を紙幣Paとしているが、乗車券やカード、精算切符等のその他の紙葉類に適用してもよい。
【0045】
また、図9(a)に示すように、設定用位置センサを設けずに、目標停止位置sp1(sp2)に関連付けて基準位置センサ107a(107b)を設け、制御部23(図3参照)が、往復搬送部26aが基準用検知位置bs1(bs2)、目標停止位置sp1(sp2)を順に通過して再び基準用検知位置bs1(bs2)を通過するようにモータを回転させ、基準用検知位置bs1(bs2)から目標停止位置sp1(sp2)まで往復搬送部26aを移動させるために必要なモータの回転量の往復分の回転量T5(T6)を回転量検出部により検出し、検出した回転量T5(T6)の半分の値(T5/2)[T6/2]を目標値Ds1(Ds2)として設定するように構成してもよい。この構成でも本実施形態と同様に、位置センサを、その検知位置と目標停止位置sp1(sp2)とがズレた状態に取り付けてしまった場合であっても、往復搬送部26aを目標停止位置sp1(sp2)に移動させるために必要な目標値Ds1(Ds2)を適正な値に自動設定でき、往復搬送部26aの適切な移動制御を実現できるとともに、位置センサの取り付け精度を不要として装置の組立作業性を向上させることが可能となる。
【0046】
また、この場合、図9(b)に示すように、一方の目標停止位置sp1に関連付けられる基準位置センサ107aが、他方の目標停止位置sp2に関連付けられる基準位置センサ107bを兼ねるようにして、部品点数の低減による製造コストや故障リスクの低下を図ってもよい。
【0047】
最後に、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0048】
23…制御部
26a…往復搬送部
3…クランク機構
4…モータ
5…回転量検出部
7a、7b…基準位置センサ
8b、8a…設定用位置センサ
sp1、sp2…目標停止位置
sp1…第一の目標停止位置
sp2…第二の目標停止位置
bs1、bs2…基準用検知位置
bs1…第一の基準用検知位置
bs2…第二の基準用検知位置
st1、st2…設定用検知位置
st1…第一の設定用検知位置
st2…第二の設定用検知位置
Ds1、Ds2…目標値
Ds1…第一の目標値
Ds2…第二の目標値
T1、T2、T3、T4、T5、T6…検出した回転量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動するモータと、
前記モータの回転運動を往復運動に変換するクランク機構を介して前記モータから受けた動力により往復移動するように構成され且つ往復動作の可動範囲のうち往復方向の両端の少なくともいずれかの一端が目標停止位置に設定された往復搬送部と、
前記モータの回転量を検出する回転量検出部と、
前記目標停止位置と関連付けて設けられ予め設定された基準用検知位置を前記往復搬送部が通過したことを検出する基準位置センサと、
前記モータの回転を通じて前記往復搬送部を移動させ、前記回転量検出部で検出される回転量の計測を前記往復搬送部が前記基準位置センサで検出される時点から開始し、計測した回転量が予め設定した目標値となるように前記モータの回転を制御することにより、前記往復搬送部を前記目標停止位置に移動させる制御部とを具備してなり、
取り付け位置に応じて定まる設定用検知位置を前記往復搬送部が通過したことを検出する設定用位置センサが前記目標停止位置と関連付けて設けられているとともに、前記制御部は、所定のタイミングで、前記往復搬送部が前記基準用検知位置、前記設定用検知位置及び前記目標停止位置を順に通過して再び前記設定用検知位置を通過するように前記モータを回転させ、前記基準用検知位置から前記設定用検知位置まで前記往復搬送部を移動させるために必要なモータの回転量および前記設定用検知位置から前記目標停止位置まで前記往復搬送部を移動させるために必要なモータの回転量の往復分の回転量を前記回転量検出部により検出し、検出した回転量に基づいて得られる前記基準用検知位置から前記目標停止位置まで前記往復搬送部を移動させるために必要な回転量を前記目標値として設定するように構成されていることを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項2】
回転駆動するモータと、
前記モータの回転運動を往復運動に変換するクランク機構を介して前記モータから受けた動力により往復移動するように構成され且つ往復動作の可動範囲のうち往復方向の両端の少なくともいずれかの一端が目標停止位置に設定された往復搬送部と、
前記モータの回転量を検出する回転量検出部と、
前記目標停止位置と関連付けて設けられ予め設定された基準用検知位置を前記往復搬送部が通過したことを検出する基準位置センサと、
前記モータの回転を通じて前記往復搬送部を移動させ、前記回転量検出部で検出される回転量の計測を前記往復搬送部が前記基準位置センサで検出される時点から開始し、計測した回転量が予め設定した目標値となるように前記モータの回転を制御することにより、前記往復搬送部を前記目標停止位置に移動させる制御部とを具備してなり、
前記制御部は、所定のタイミングで、前記往復搬送部が前記基準用検知位置、前記目標停止位置を順に通過して再び前記基準用検知位置を通過するように前記モータを回転させ、前記基準用検知位置から前記目標停止位置まで前記往復搬送部を移動させるために必要なモータの回転量の往復分の回転量を前記回転量検出部により検出し、検出した回転量の半分の値を前記目標値として設定するように構成されていることを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項3】
前記往復搬送部の可動範囲のうち往復方向の両端をそれぞれ第一の目標停止位置、第二の目標停止位置に設定したものであって、
前記第一の目標停止位置に関連付けられる基準位置センサは、前記第二の目標停止位置に関連付けられる設定用位置センサを兼ねているとともに、前記第二の目標停止位置に関連付けられる基準位置センサは、前記第一の目標停止位置に関連付けられる設定用位置センサを兼ねている請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項4】
前記設定用位置センサ又は前記設定用位置センサを兼ねる基準位置センサは、取り付け位置に応じて定まる検知位置に前記往復搬送部があることを検出するもので、前記検知位置に前記往復搬送部のある検知状態と前記検知位置に前記往復搬送部のない非検知状態とが切り替わるときに前記往復搬送部が前記検知位置を通過したと検出するように構成されているとともに、前記往復搬送部が前記検知位置から前記目標停止位置に近づく位置にある場合に前記検知状態となり、前記往復搬送部が前記検知位置よりも更に前記目標停止位置から遠ざかる位置にある場合に前記非検知状態となるように取り付け位置が設定されている請求項1又は3に記載の紙葉類処理装置。
【請求項5】
前記所定のタイミングは、電源投入時に実行される初期処理時である請求項1〜4のいずれかに記載の紙葉類処理装置。
【請求項6】
前記往復搬送部が着脱可能な金庫に設けられており、前記所定のタイミングは、前記金庫を装着したときである請求項1〜4のいずれかに記載の紙葉類処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−177970(P2012−177970A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39303(P2011−39303)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】