説明

紙葉類収納庫

【課題】大量の紙幣を安定させて集積し、かつ整列させた状態で収容する手段を提供する。
【解決手段】ステージ15のフィードローラ12から放出された紙幣の前端側に配置され、収納箱10の奥行方向に回動可能に構成された第1および第2の整位板18、19と、ステージ上に集積された紙幣の反対側に配置された支持ベルト21と、支持ベルトにステージを挟んで対向配置された弾性材からなる押えベルト25とを設け、押えベルトを、背面板10b側に設けられたプーリ25bを中心に回動可能に構成し、押えベルトをステージの反対側に回動させてステージに所定の枚数の紙幣を集積したときに、押えベルトをステージ側に回動させて所定の枚数の紙幣を支持ベルトとの間に束のまま挟持し、その紙幣束を第1および第2の整位板を奥行方向に回動させて奥行方向に移動させ、第1および第2の整位板の通過後に紙幣束を第1および第2の整位板の奥行側に収納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金自動預払機等の自動取引装置に設けられ、紙幣等の紙葉類を収納する紙葉類収納庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動取引装置においては紙幣収納庫として、水平方向に横長の収納空間を有する収納箱の搬入口にスタックローラとブラシローラとを対向させて配置し、搬送された紙幣をスタックローラとブラシローラとにより収納空間に放出し、整列性を確保せずに集積して収納するリジェクト庫や、横長の収納空間を有する収納箱の搬入口にフィードローラとこれに対向するゲートローラとブラシローラとを配置し、紙幣を収納する場合は、収納させている紙幣を押え板と上部掻き出しローラと下部掻き出しローラとによって立位を維持したままスタックガイドから遠ざけ、搬送された紙幣をフィードローラによりスタックガイドに沿わせて収納空間内に進入させ、底板上に立位で整列させて収納するリサイクル庫等が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−118111号公報(段落0031、0035−0038、第19図、第20図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、上記したリジェクト庫のように整列性を確保せずに集積すると、収納空間に放出された紙幣同士が衝突して安定した集積を行うことができないという問題がある。
【0005】
また、運搬時に収納空間内で紙幣が自由に動いてしまうため、収納した紙幣が折れたり、破れたりして紙幣を損傷させるという問題がある。
【0006】
一方、上記したリサイクル庫のように、横長の収納空間に紙幣を立位で収納する場合には、搬送された紙幣に折れや破れ、腰の弱い紙幣が含まれていると、スタックガイドに引っ掛かったり、スタックガイドに沿わずに折れ曲がったりしてジャムが発生しやすくなるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、紙葉類を集積して収納する紙葉類収納庫において、所定の枚数の紙葉類を集積したときに、前記紙葉類の積層方向の直交方向に、集積した紙葉類を束のまま移動させて収納することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
これにより、本発明は、収納庫の奥行側の収納空間に束のままの紙葉類を整列させて収納することができ、紙葉類同士が収納空間の中で衝突することや、集積中に折れ曲がってジャムが発生することを防止して、紙葉類の安定した集積を行うことができると共に、大量の紙葉類を整列させた状態で収容することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1のリジェクト庫の側面を示すブロック図
【図2】実施例1のリジェクト庫の側面を示す説明図
【図3】実施例1のリジェクト庫の紙幣の集積状態を示す説明図
【図4】実施例1のリジェクト庫の所定枚数の紙幣の集積状態を示す説明図
【図5】実施例1のリジェクト庫の紙幣束の収納動作を示す説明図
【図6】実施例1のリジェクト庫の紙幣束の収納動作を示す説明図
【図7】実施例1のリジェクト庫の紙幣束の収納動作を示す説明図
【図8】実施例1のリジェクト庫の1つの紙幣束の収納状態を示す説明図
【図9】実施例1のリジェクト庫の1つの紙幣束の収納後の紙幣の集積状態を示す説明図
【図10】実施例1のリジェクト庫の2つの紙幣束の収納後の紙幣の集積状態を示す説明図
【図11】実施例1のリジェクト庫の運搬状態を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して本発明による紙葉類収納庫の実施例について説明する。
【実施例1】
【0011】
図1において、1は紙葉類取扱装置としての紙幣入出金機であり、図示しない上位装置としての現金自動預払機に装備されており、顧客が投入した紙葉類としての紙幣Pを受入れ、これを鑑別および計数して収納し、顧客に支払う紙幣Pを計数して顧客に引渡す機能等を有しており、以下に示す構成を備えている。
【0012】
2は紙幣入出金機1の制御部であり、紙幣入出金機1内の各部を制御して、紙幣Pの入金処理や出金処理等の紙幣処理等を実行する機能を有している。
【0013】
3は紙幣入出金機1の記憶部であり、制御部2が実行するプログラムやそれに用いる各種のデータおよび制御部2による処理結果等が格納される。
【0014】
4は入出金部であり、紙幣入出金機1の前面側に設けられ、前面に開口する入出金口を開閉するシャッタ等を備え、入出金口から投入された紙幣Pを1枚毎に分離して繰出す機能、顧客に引渡す紙幣P等を集積する機能等を有している。
【0015】
5は鑑別部であり、搬送された紙幣に対する各種の鑑別を行う機能、つまり紙幣Pの真偽や正損、金種等を識別する機能、および連鎖、斜行等の搬送異常を検出する機能、鑑別結果を制御部2へ送出する機能等を有している。
【0016】
6は一時保留部であり、入出金部4に投入された紙幣Pで、鑑別部5により真券と鑑別され、取込可能と判定された紙幣を集積して一時保留する集積部である。
【0017】
7は紙葉類収納庫としての紙幣収納庫であり、設定された金種に応じて紙幣Pを収納する収納庫である。
【0018】
8はリジェクト庫であり、出金時に紙幣収納庫7から繰出され、鑑別部5により重送等の搬送異常と鑑別された出金時のリジェクト紙幣(出金リジェクト紙幣という。)、および入金時の収納処理時に鑑別部5により重送等の搬送異常と鑑別された紙幣Pや、入金された紙幣の中で出金には用いることができない損券等と鑑別された紙幣P等の収納時のリジェクト紙幣(収納リジェクト紙幣という。)を収納する収納庫である。
【0019】
9は搬送路であり、ベルト対またはローラ対で紙幣Pを挟持して搬送する搬送路であって、上記の各部の間を接続して紙幣Pを搬送する。
【0020】
本実施例の紙葉類収納庫の構成について、図2に示すリジェクト庫8を例に説明する。
【0021】
図2において、10は収納箱であり、正面板10aとこれに対向する背面板10bとを水平方向に配置した横長の筐体であって、その正面板10aの上方には、搬送された紙幣Pが搬入される搬入口11が設けられている。
【0022】
12はフィードローラであり、収納箱10の正面板10aに設けられた搬入口11の近傍に配置され、その外周面は対向配置された図示しないプレッシャローラにより押圧されており、搬入口11から一対のガイド板13a、13bの間に搬送された紙幣Pをプレッシャローラとの間に挟持して搬送する。
【0023】
15はステージであり、フィードローラ12から放出された紙幣Pを集積面15a上に集積する板状部材であって、ステージ15を昇降させるための昇降手段としての圧縮コイルバネ等のステージスプリング15bが集積面15aの反対側の面(裏面という。)を支持しており、集積面15a上に集積され積層された紙幣Pの自重に応じて紙幣Pの積層方向、つまりステージ15の集積面15aの鉛直方向に昇降する。
【0024】
16は舌片ローラであり、可撓性を有する舌片を、ハブ部の外周面に放射状に等ピッチで埴設したローラであって、紙幣Pの放出方向に回転可能に構成されており、フィードローラ12から放出された紙幣Pの後端を舌片の先端で叩き落してステージ15上に集積する機能を有している。
【0025】
17は整位ガイドであり、ステージ15上に集積された紙幣Pの正面板10a側の端部を整位させる板状部材であって、舌片ローラ16の舌片の先端を突出させるための窓部が設けられている。
【0026】
本実施例の整位ガイド17は、ガイド板13aと一体に形成されている。
【0027】
18は第1の整位板であり、ステージ15の、フィードローラ12から放出された紙幣Pの前端側に配置され、ステージ15の鉛直方向のフィードローラ12側、つまり収納箱10の天板側に設けられた回転支点18aを中心に収納箱10の正面板10aから背面板10bに向かう方向(奥行方向という。)に回動可能に構成され、図示しないトーションスプリング等のバネ部材とストッパによってステージ15の鉛直方向に位置決めされており、フィードローラ12から放出された紙幣Pの前端を衝突させてステージ15上に集積する。
【0028】
19は第2の整位板であり、第1の整位板18の、ステージ15の鉛直方向の反対側、つまり収納箱10の底板側に配置され、その底板側に設けられた回転支点19aを中心に奥行方向に回動可能に構成され、第1の整位板18より長く形成されており、図示しないトーションスプリング等のバネ部材とストッパによって第1の整位板18と略面一に位置決めされている。
【0029】
本実施例の第1および第2の整位板18、19はそれぞれ櫛歯状に形成され、ステージ15上に集積された所定の枚数の紙幣Pの中央部で互いの歯の先端を噛合わせて歯の先端部同士が接触しないように構成され、紙幣Pが奥行方向に抜け出ないようになっている。
【0030】
また、第1の整位板18のステージ15側の面は、第2の整位板19のステージ15側の面より僅かにステージ15側に配置され、ステージ15が、その上に集積され積層された紙幣Pの自重によって下降したときに、紙幣Pの第1の整位板18側の端部が、第2の整位板19の先端に引っ掛かって積層姿勢を乱さないようになっている。
【0031】
更に、第1の整位板18の回転支点18aと、第2の整位板19の回転支点19aとは、ステージ15の移動範囲の外側となるようにそれぞれ配置されている。
【0032】
21は支持ベルトであり、ステージ15を挟んで、ステージ15上に集積された紙幣Pのステージ15の鉛直方向の反対側、つまりステージ15の裏面側に配置され、正面板10a側に設けられたプーリ21aと、背面板10b側に設けられたプーリ21bとの間に掛渡された無端の歯付ベルトであって、プーリ21bを駆動するモータ等のアクチュエータ22によって正逆方向に駆動される。
【0033】
23は押え板であり、紙幣束Pt(後述)の背面板10b側の端部を受止める板状部材であって、支持ベルト21に取付けられており、支持ベルト21の移動に伴って移動する。
【0034】
25は弾性部材としての押えベルトであり、支持ベルト21にステージ15を挟んで対向配置され、正面板側に設けられたプーリ25aと、背面板10b側に設けられたプーリ25bとの間に掛渡された無端の歯付ベルトであって、合成ゴム等の比較的弾性に富んだ弾性材で形成されており、モータ等のアクチュエータ26によって背面板10b側に配置されたプーリ25bを中心に、ステージ15の鉛直方向に回動する。
【0035】
28は伝達ベルトであり、支持ベルト21のプーリ21bと同軸に設けられたプーリと、押えベルト25のプーリ25bに図示しないギアを介して接続するプーリ28aとの間に掛渡された無端の歯付ベルトであって、アクチュエータ22の駆動力を図示しないギアを介して押えベルト25のプーリ25bに伝達する。
【0036】
これにより、アクチュエータ22の正逆方向への回転に伴って、支持ベルト21と押えベルト25とが同期してそれぞれ正逆方向に駆動される。
【0037】
29はボトムセンサであり、発光部と受光部とを対向配置した光学式のセンサであって、ステージ15の裏面に設けられた検出突起29aが、発光部からの光を遮ったことを受光部で検出してステージ15の下限位置を検出するセンサであって、ステージの集積面15aと、支持ベルト21の押えベルト25側の面とが同じ位置になったときに検出信号を出力する。
【0038】
上記の第1および第2の整位板18、19と整位ガイド17との間で、搬送された紙幣Pをステージ15上に集積する本実施例の集積空間が形成される。
【0039】
また、第1および第2の整位板18、19の奥行側が、本実施例の紙幣束Ptの収納空間として機能する。
【0040】
本実施例の紙幣入出金機1の記憶部3には、入金取引における紙幣Pの入金処理や、出金取引における紙幣Pの出金処理等の場合に、図3ないし図10を用いて説明するリジェクト庫8における紙幣Pの集積収納処理等の紙幣処理を実行する機能を有する紙幣処理プログラムが予め格納されており、制御部2が実行する紙幣処理プログラムのステップにより本実施例の紙幣入出金機1の各機能手段が形成される。
【0041】
また、記憶部3には、各紙幣収納部7に対応させて収納すべき金種を設定した収納金種設定情報が予め設定されて格納される他、紙幣収納部7に収納されている紙幣Pの収納枚数を紙幣収納部7別にカウントするための収納枚数カウントエリア、一時保留部19に集積した紙幣Pを金種別にカウントするための取込紙幣カウントエリア等が予め確保されている。
【0042】
上記の構成の作用について説明する。
【0043】
紙幣入出金機1によって入金処理を行う場合は、上位装置から入金指令を受けた制御部2は、入出金部4に紙幣Pが投入されると、入出金部4のシャッタが閉鎖して投入された紙幣Pを一時保留部6に取込む取込処理を開始する。
【0044】
すなわち、制御部2は、入出金部4に投入された紙幣Pを繰出して搬送路9により鑑別部5へ搬送し、鑑別部5で真券と鑑別された紙幣Pは、搬送路9により一時保留部6へ搬送して集積し、記憶部3の取込紙幣カウントエリアによって集積した紙幣Pの金種別の枚数を計数する。
【0045】
このとき、鑑別部5で金種不明等によって入金時のリジェクト紙幣と鑑別された紙幣P(入金リジェクト紙幣という。)は、搬送路9により入出金部4へ搬送して顧客に返却する。
【0046】
そして、制御部2は、取込紙幣カウントエリアで計数した金種別の枚数を基に入金金額を算出して上位装置へ通知し、上位装置で入金金額が確定されると、確定された紙幣Pを収納する収納処理を開始する。
【0047】
すなわち、制御部2は、一時保留部6に集積されている確定された紙幣Pを繰出し、搬送路9により鑑別部5へ搬送し、鑑別部5で正券と鑑別された紙幣Pは、その金種を基に記憶部3の収納金種設定情報を参照して当該金種が設定された紙幣収納庫7を特定し、搬送路9により特定した紙幣収納庫7へ当該紙幣を搬送して収納し、記憶部3の収納枚数カウントエリアによって収納した紙幣Pの枚数を紙幣収納庫7別に計数する。
【0048】
このとき、鑑別部5で搬送異常と鑑別された紙幣P、および過度の汚れ、過度の損傷等のために出金には用いることができない損券等と鑑別された紙幣Pは、収納リジェクト紙幣として搬送路9によりリジェクト庫8へ搬送して集積される。
【0049】
このようにして、本実施例の紙幣入出金機1による入金処理が行われる。
【0050】
出金処理の場合は、上位装置から出金金額を添付した出金指令を受けた制御部2は、収納している紙幣Pを顧客に引渡す出金処理を開始する。
【0051】
すなわち、制御部2は、出金金額に相当する紙幣Pの金種別の枚数を演算し、記憶部3の収納金種設定情報を参照して該当する紙幣収納庫7からそれぞれ紙幣Pを繰出して、搬送路9により鑑別部5へ搬送し、鑑別部5で正券と鑑別された紙幣Pは、搬送路9により入出金部4へ搬送して集積し、記憶部3によってその金種別の枚数を計数する。
【0052】
このとき、鑑別部5で出金リジェクト紙幣と鑑別された紙幣Pは、搬送路9によりリジェクト庫9に搬送して集積する。
【0053】
そして、制御部2は、出金金額に相当する紙幣Pの入出金部4への集積を終えると、入出金部4のシャッタを開放して顧客に紙幣Pを引渡し、顧客の受取りを確認して出金処理を終了させる。
【0054】
このようにして、本実施例の紙幣入出金機1による出金処理が行われる。
上記のようにして、入金処理や出金処理が実行されている場合における、リジェクト庫8への紙幣の集積収納処理の作動について、図3ないし図10を用いて説明する。
【0055】
紙幣Pが搬送されてくると、制御部2は、紙幣Pの集積動作を開始し、アクチュエータ26によって押えベルト25を背面板10b側のプーリ25bを中心にステージ15の反対方向に回動させて集積空間を確保し、図示しないアクチュエータよってフィードローラ12および舌片ローラ16を回転させ、ガイド板13a、13bの間に搬送された紙幣Pをフィードローラ12とプレッシャローラとの間で挟持して搬送し、ステージ15上へ放出して紙幣Pの前端を第1の整位板18に衝突させる。
【0056】
このとき、紙幣Pは、図3に示すように、その後端を舌片ローラ16の舌片の先端で叩き落されて、第1の整位板18および整位ガイド17の間の集積空間に落下し、ステージ15の集積面15a上に集積されている紙幣Pの最上位に集積される。
【0057】
このようにして、紙面を水平方向にして、つまりステージ15と平行にして順次にステージ15上に放出された紙幣Pが積層されていくと、ステージ15上に積層された紙幣Pの自重との釣り合いを保ちながらステージ15が下降していき、所定の枚数の紙幣Pが集積される(この集積された所定の枚数の紙幣を紙幣束Ptという。)と、図4に示すように、ステージ15の裏面に設けられた検出突起29aがボトムセンサ29により検出され、ステージ15の下限位置が検出される。
【0058】
ボトムセンサ29がステージ15の下限位置を検出したことにより、所定の枚数の紙幣Pからなる紙幣束Ptがステージ15上に集積されたことを認識した制御部2は、搬送路9による紙幣Pの搬送を停止すると共に、フィードローラ12および舌片ローラ16の回転を停止させて集積動作を中断し、紙幣束Ptの収納動作を開始する。
【0059】
紙幣束Ptの収納動作を開始した制御部2は、アクチュエータ26によって押えベルト25を背面板10b側のプーリ25bを中心にステージ15の方向に回動させて支持ベルト21との間に紙幣束Ptを挟持し、アクチュエータ22によって、図5に示す矢印の方向に支持ベルト21を移動させると共に、伝達ベルト28を介して押えベルト25を移動させ、束のままの紙幣束Ptを支持ベルト21と押えベルト25との間に挟持して奥行方向に移動させる。
【0060】
このとき、本実施例の第1および第2の整位板18、19は、奥行方向に回動可能に構成されているので、移動する紙幣束Ptに押されて、それぞれ回転中心18a、19aを中心に奥行方向へ回動する。また紙幣束Ptがステージ15上から離れると、ステージ15はステージスプリング15bにより上昇して初期位置に戻る。
【0061】
そして、紙幣束Ptが奥行方向に移動していくと、図6に示すように、短い方の第1の整位板18が図示しないバネ部材によって元の位置に戻り、更に紙幣束Ptが奥行方向に移動すると、図7に示すように、長い方の第2の整位板19が図示しないバネ部材によって元の位置に戻って集積空間を形成する。
【0062】
このように、本実施例の第1および第2の整位板18、19は、長さを変えて短い順に元の位置に戻るようにしてあるので、紙幣束Ptが第1および第2の整位板18、19をそれぞれ通過して元の位置に戻るときに、それぞれの先端同士が突き合わさった状態で停止してしまうことはなく、収納動作における集積空間の形成を正確かつ円滑に行うことができる。
【0063】
第1および第2の整位板18、19が、それぞれ元に戻って集積空間が形成されたことを図示しないセンサで検出した制御部2は、紙幣束Ptの奥行方向への移動を停止し、図8に矢印で示すように、支持ベルト21と押えベルト25とを逆転させて、これらの間に挟持した束のままの紙幣束Ptを、支持ベルト21に取付けられた押え板23によって正面板10aの方向に移動させ、第1および第2の整位板18、19の位置まで移動させて収納動作を終了させる。
【0064】
このとき、図示しないセンサによって紙幣束Ptの位置を検出して、第1および第2の整位板18、19の背面板10b側の面(第1および第2の整位板18、19の背面という。)に押付け過ぎないように制御して積層姿勢の乱れを防止する。
【0065】
これにより、第1および第2の整位板18、19の奥行側の収納空間に1つ目の紙幣束Ptが収納される。
【0066】
収納空間に紙幣束Ptを収納して収納動作を終えた制御部2は、図9に示すように、アクチュエータ26によって押えベルト25を背面板10b側のプーリ25bを中心にステージ15の反対方向に回動させて集積空間を確保し、搬送された紙幣Pの集積動作を再開させ、所定の枚数の紙幣Pがステージ15上に集積され、ボトムセンサ29がステージ15の下限位置を検出すると、上記と同様にして2つ目の紙幣束Ptの収納動作を行い、収納動作の終了後に、図10に示すように、押えベルト25をステージ15の反対方向に回動させて集積空間を確保し、その集積空間への集積動作を再開させる。
【0067】
このように、本実施例では、上記した集積動作と収納動作を繰返して、横長の収納箱10内に、紙幣Pの紙面を水平方向にして集積した複数の紙幣束Ptを整列させた状態で収納する。
【0068】
そして、第1および第2の整位板18、19の背面側の収納空間に収納された紙幣束Ptと集積中の紙幣Pとを収容したリジェクト庫8を運搬するときは、上位装置からリジェクト庫8の取外し指令を受けた制御部2は、アクチュエータ26によって押えベルト25を背面板10b側のプーリ25bを中心にステージ15の方向に回動させて、収納空間に収納された紙幣束Ptを支持ベルト21との間に、集積中の紙幣Pをステージ15との間に挟持し、図示しないベルトストッパで押えベルト25を固定する。
【0069】
そして、リジェクト庫8が保守員等の係員によって取外され、再び紙幣入出金機1に装着されると、図示しないベルトストッパが解除されて上記した各動作が可能になる。
【0070】
上記のように、本実施例の集積収納処理においては、ステージ15上に紙面を水平方向にして集積した所定の枚数の紙幣Pからなる紙幣束Ptを束のまま奥行方向に移動させて、第1および第2の整位板18、19の奥行側の収納空間に整列させて収納するので、紙幣P同士が収納空間の中で衝突することや、集積中に折れ曲がってジャムが発生することはなく、紙幣Pの状態に関らず紙幣Pを水平方向に放出して安定した集積を行うことができると共に、横長の収納箱10内に大量の紙幣Pを整列させた状態で収容することができる。
【0071】
また、弾性材からなる押えベルトで整列させた紙幣束Ptを押圧して運搬するので、運搬中の紙幣Pの損傷を防止することができると共に、紙幣束Ptの積層姿勢を維持したまま運搬することができ、リジェクト庫8から取出した紙幣Pの取扱を容易にして係員の負担を軽減することができる。
【0072】
この場合に、集積中の紙幣Pは、押えベルト25とステージ15との間に挟持されて、第1および第2の整位板18、19と、整位ガイド17との間の集積空間に保持されているので、運搬中に積層姿勢が乱れることはない。
【0073】
更に、本実施例の整位板は中央部で分割して、第1および第2の整位板18、19に分けられているので、紙幣束Ptの奥行方向への移動時の移動距離を短縮することができ、横長の収納空間を有効に活用することができる。
【0074】
なお、本実施例では、第2の整位板19は、第1の整位板18より長く形成されているとして説明したが、第1の整位板18を、第2の整位板19より長く形成するようにしてもよく、第1および第2の整位板18、19のいずれか一方のみを整位板として設けるようにしてもよい。整位板を1つにすれば、ステージ15が下限位置にあるときに、ステージ15上へ集積される紙幣Pの所定の枚数が少ない収納庫等に本発明を適用する場合の構造の簡素化を図ることができる。
【0075】
また、本実施例では、第1の整位板18のステージ15側の面は、第2の整位板19のステージ15側の面より僅かにステージ15側に配置されているとして説明したが、第2の整位板19の先端に面取等を設けてそれぞれの面を面一にするようにしてもよい。
【0076】
更に、本実施例では、ステージ15をステージスプリング15bで支持して紙幣Pの自重を利用して昇降させるとして説明したが、アクチュエータによってステージ15を昇降させ、センサによって集積空間を制御しながら集積動作を行わせるようにしてもよい。
【0077】
更に、収納動作において、紙幣束Ptを第1および第2の整位板18、19の背面に押付け過ぎないようにセンサで検出した位置によって制御するとして説明したが、アクチュエータ22をステッピングモータとし、これを脱調させて紙幣束Ptを押付け過ぎないようにしてもよい。
【0078】
更に、本実施例では紙葉類収納庫をリジェクト庫8として場合を例に説明したが、紙葉類収納庫が紙幣収納庫7であっても同様である。
【0079】
以上説明したように、本実施例では、ステージ上に所定の枚数の紙幣Pを集積したときに、集積した紙幣Pを束のまま奥行方向に移動させて収納するようにしたことによって、
奥行側の収納空間に束のままの紙幣Pを整列させて収納することができ、紙幣P同士が収納空間の中で衝突することや、集積中に折れ曲がってジャムが発生することを防止して、紙幣Pの安定した集積を行うことができると共に、大量の紙幣Pを整列させた状態で収容することができる。
【0080】
また、束のまま収納された紙幣Pを、弾性部材で押圧して運搬するようにしたことによって、運搬中の紙幣Pの損傷を防止することができると共に、紙幣Pの積層姿勢を維持したまま運搬することができる。
【0081】
なお、上記実施例においては、収納箱は水平方向に長い横長であるとして説明したが、上記した構成をそのままにして垂直方向に設置し、垂直方向に長い縦長の収納箱とした場合も同様である。
【符号の説明】
【0082】
1 紙幣入出金機
2 制御部
3 記憶部
4 入出金部
5 鑑別部
6 一時保留部
7 紙幣収納庫
8 リジェクト庫
9 搬送路
10 収納箱
10a 正面板
10b 背面板
11 搬入口
12 フィードローラ
13a、13b ガイド板
15 ステージ
15a 集積面
16 舌片ローラ
17 整位ガイド
18 第1の整位板
18a、19a 回転支点
19 第2の整位板
21 支持ベルト
21a、21b、25a、25b、28a プーリ
22、26 アクチュエータ
23 押え板
25 押えベルト
28 伝達ベルト
29 ボトムセンサ
29a 検出突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を集積して収納する紙葉類収納庫において、
所定の枚数の紙葉類を集積したときに、前記紙葉類の積層方向の直交方向に、集積した紙葉類を束のまま移動させて収納することを特徴とする紙葉類収納庫。
【請求項2】
請求項1において、
前記束のまま収納された紙葉類を、弾性部材で押圧して運搬することを特徴とする紙葉類収納庫。
【請求項3】
正面板とこれに対向する背面板とを有する収納箱と、前記収納箱の正面板に設けられた紙葉類の搬入口に配置されたフィードローラと、前記フィードローラから放出された紙葉類を集積し、紙葉類の積層方向に往復移動可能に構成されたステージと、を備えた紙葉類収納庫において、
前記ステージの、前記フィードローラから放出された紙葉類の前端側に配置され、前記収納箱の前記正面板から背面板側に向かう方向である奥行方向に回動可能に構成された整位板と、
前記ステージ上に集積された紙葉類の反対側に配置され、前記正面板側に設けられたプーリと、前記背面板側に設けられたプーリとの間に掛渡された支持ベルトと、
前記支持ベルトに前記ステージを挟んで対向し、前記正面板側に設けられたプーリと、前記背面板側に設けられたプーリとの間に掛渡された弾性材からなる押えベルトと、を設け、
前記押えベルトを、前記背面板側に設けられたプーリを中心に前記ステージの鉛直方向に回動可能に構成し、
前記押えベルトを前記ステージの反対側に回動させて前記ステージに所定の枚数の紙葉類を集積したときに、前記押えベルトを前記ステージ側に回動させて前記所定の枚数の紙葉類を前記支持ベルトとの間に束のまま挟持し、
前記束のままの紙葉類を、前記整位板を奥行方向に回動させて前記奥行方向に移動させ、
前記整位板の通過後に、前記束のままの紙葉類を前記整位板の前記奥行側に収納することを特徴とする紙葉類収納庫。
【請求項4】
請求項3において、
前記束のまま収納された紙葉類を、前記押えベルトと前記支持ベルトとの間に挟持して運搬することを特徴とする紙葉類収納庫。
【請求項5】
請求項3または請求項4において、
前記整位板を、前記紙葉類の積層方向の中央部で分割して、第1および第2の整位板とし、
前記第1の整位板を、前記押えベルト側に設けられた回転支点を中心に前記奥行方向に回動させ、前記第2の整位板を、前記支持ベルト側に設けられた回転支点を中心に前記奥行方向に回動させることを特徴とする紙葉類収納庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−54058(P2011−54058A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204117(P2009−204117)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】