説明

紙葉類表裏整理装置

【課題】紙葉類の表裏を反転して表裏を揃えることのできるコンパクトな紙葉類表裏整理装置を提供する。
【解決手段】表裏鑑別部8によって紙幣が裏状態であると鑑別された場合には、紙幣は、搬入部2によって紙幣表裏整理装置1内に搬入された後、第1反転部3によって表裏反転され、搬出部4によって紙幣表裏整理装置1から表状態で搬出される。一方、表裏鑑別部8によって紙幣が表状態であると鑑別された場合には、紙幣は、搬入部2によって紙幣表裏整理装置1内に搬送された後、方向変換反転部5によって表裏反転され、搬送部6によって搬送され、第2反転部7によって表裏反転されて、搬出部4によって紙幣表裏整理装置から表状態で搬出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、紙葉類表裏整理装置に係り、特に、紙幣や投票用紙等の紙葉類の表裏を揃える紙葉類表裏整理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙葉類の表裏を反転する従来の装置として、特許文献1には、紙葉類にひねりを加えて紙葉類を反転させるものが記載され、特許文献2には、スイッチバック部により紙葉類を反転させるものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−29350号公報
【特許文献2】特開平11−5661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の方式では、紙葉類にひねりを加える部分やスイッチバック部のスペースが必要となり、装置が大型化してしまうといった問題点があった。
【0005】
この発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、紙葉類の表裏を反転して表裏を揃えることのできるコンパクトな紙葉類表裏整理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る紙葉類表裏整理装置は、紙葉類の表裏を揃える紙葉類表裏整理装置であって、紙葉類を紙葉類表裏整理装置内に搬入する搬入部と、搬入部によって搬送された紙葉類を、搬入部によって搬送される方向に沿って表裏反転させる第1反転部と、搬入部によって搬送された紙葉類を、搬入部によって搬送される方向に対して垂直な方向に変換した後、変換された搬送方向に沿って表裏反転させる方向変換反転部と、方向変換反転部によって表裏反転された紙葉類を、変換された搬送方向に対して垂直な方向に搬送する搬送部と、搬送部によって搬送された紙葉類を、搬送部によって搬送される方向に沿って表裏反転させる第2反転部と、第1反転部及び第2反転部によって表裏反転された紙葉類を紙葉類表裏整理装置から搬出する搬出部とを備え、紙葉類は、a)搬入部によって紙葉類表裏整理装置内に搬入された後、第1反転部によって表裏反転され、搬出部によって紙葉類表裏整理装置から搬出される、又は、b)搬入部によって紙葉類表裏整理装置内に搬送された後、方向変換反転部によって表裏反転され、搬送部によって搬送され、第2反転部によって表裏反転されて、搬出部によって紙葉類表裏整理装置から搬出される、のいずれかのルートを通ることによって表裏が揃えられる。
第1反転部は、少なくとも一対の第1反転部搬入固定ローラ及び第1反転部搬入可動ローラからなる第1反転部搬入手段と、第1反転部搬入手段によって搬送された紙葉類を、その搬送方向に沿って表裏反転させる第1反転手段とを備え、方向変換反転部は、方向変換固定ローラと、搬入部と第1反転部との間に設けられた第1可動ローラと、方向変換固定ローラに対して第1可動ローラとは反対側に設けられた第2可動ローラとからなる組合せを少なくとも1組有する方向変換手段と、方向変換固定ローラ及び第1可動ローラによって搬送された紙葉類を、その搬送方向に沿って表裏反転させる第2反転手段とを備え、搬送部は、少なくとも一対の搬送部固定ローラ及び搬送部可動ローラを備え、紙葉類がa)のルートを通る場合には、第1反転部搬入可動ローラが第1反転部搬入固定ローラに接すると共に、第1可動ローラが方向変換固定ローラから離れ、紙葉類がb)のルートを通る場合には、第1可動ローラ及び第2可動ローラが方向変換固定ローラに接すると共に第1反転部搬入可動ローラが第1反転部搬入固定ローラから離れ、第2可動ローラが方向変換固定ローラから離れると共に搬送部可動ローラが搬送部固定ローラに接するようにしてもよい。
第1反転部搬入手段から第1反転手段への紙葉類の搬送を妨げる遮断部材を備え、紙葉類がb)のルートを通る場合に、遮断部が紙葉類の搬送を妨げるようにしてもよい。
方向変換固定ローラは2つの側面部を有し、2つの側面部が搬入部による紙葉類の搬送方向に対して垂直となるように、方向変換固定ローラが設けられ、方向変換固定ローラの2つの側面部のうち、少なくとも搬入部に面する側の側面部の周縁部が面取りされていてもよい。
第1反転部搬入固定ローラは2つの側面部を有し、2つの側面部が、搬入部によって搬送される方向に対して垂直な方向に変換した後の紙葉類の搬送方向に対して垂直となるように、第1反転部搬入固定ローラが設けられ、搬送部固定ローラの2つの側面部のうち、少なくとも第2反転手段に面する側の側面部とは反対側の側面部の周縁部が面取りされていてもよい。
搬送部固定ローラは2つの側面部を有し、2つの側面部が、第2反転手段によって表裏が反転された後の紙葉類の搬送方向に対して垂直となるように、搬送部固定ローラが設けられ、搬送部固定ローラの2つの側面部のうち、少なくとも第2反転手段に面する側の側面部の周縁部が面取りされていてもよい。
紙葉類表裏整理装置は、搬入部によって搬入される紙葉類の表裏を鑑別する表裏鑑別部を備え、表裏鑑別部が紙葉類を裏であると鑑別したときには、紙葉類はa)のルートを通り、表裏鑑別部が紙葉類を表であると鑑別したときには、紙葉類はb)のルートを通るようにしてもよい。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、紙葉類を搬送方向に沿って表裏反転させることにより表裏反転のためのスペースを小さくすることができるので、紙葉類の表裏を反転して表裏を揃えることのできる紙葉類表裏整理装置をコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態に係る紙葉類表裏整理装置の側面図である。
【図2】図1の矢印Aの方向から見た図である。
【図3】図1の矢印Bの方向から見た図である。
【図4】図1のIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】この実施の形態に係る紙葉類表裏整理装置の別の状態の側面図である。
【図6】この実施の形態に係る紙葉類表裏整理装置に設けられた第3搬送固定ローラ、方向変換固定ローラ、第7搬送固定ローラそれぞれの正面図である。
【図7】この実施の形態に係る紙葉類表裏整理装置における紙幣の軌跡を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
この発明の実施の形態に係る紙葉類表裏整理装置を、紙幣の表裏を揃える装置を例にして説明する。この実施の形態に係る紙葉類表裏整理装置である紙幣表裏整理装置1の側面図を図1に示し、平面図を図2に示し、底面図を図3に示す。紙幣表裏整理装置1は、紙幣を紙幣表裏整理装置1内に搬入する搬入部2と、紙幣の表裏を反転する第1反転部3と、紙幣を紙幣表裏整理装置1から搬出する搬出部4と、搬入部2と第1反転部3との間に設けられた方向変換反転部5と、方向変換反転部5と第1反転部3との間に設けられた搬送部6と、搬送部6によって搬送された紙幣の表裏を反転する第2反転部7とを備えている。また、紙幣表裏整理装置1には、紙幣が搬入部2に搬入される前に紙幣の表裏を鑑別する表裏鑑別部8が設けられている。
【0010】
搬入部2は、第1搬入手段2aと、第2搬入手段2bとを備えている。第1搬入手段2aは、回転可能に固定された第1搬送回転軸部11と、第1搬送回転軸部11に等間隔をあけて固定された4つの第1搬送固定ローラ12と、第1搬送回転軸部11の上方で第1搬送回転軸部11に平行に回転可能に固定された第1搬入回転軸部13と、各第1搬送固定ローラ12に接するように第1搬入回転軸部13に固定された4つの第1搬入固定ローラ14とを備えている。第2搬入手段2bは、第1搬送回転軸部11と平行に回転可能に固定された第2搬送回転軸部15と、第2搬送回転軸部15に等間隔をあけて固定された3つの第2搬送固定ローラ16と、第2搬送回転軸部15の上方で第2搬送回転軸部15に平行に回転可能に固定された第2搬入回転軸部17と、各第2搬送固定ローラ16に接するように第2搬入回転軸部17に固定された3つの第2搬入固定ローラ18とを備えている。第2搬入手段2bと方向変換反転部5との間には、紙幣が通過したことを検知する第1センサ20が設けられている。
【0011】
第1反転部3は、第1反転部搬入手段23と、第1反転手段24とを備えている。第1反転部搬入手段23は、第2搬送回転軸部15と平行に回転可能に固定された第3搬送回転軸部25と、第3搬送回転軸部25に等間隔をあけて固定された3つの第3搬送固定ローラ26(図1には1つのみ図示されている)と、各第3搬送固定ローラ26に接するか又は離れるように可動な3つの搬入可動ローラ27とを備えている。また第1反転部搬入手段23は、第3搬送回転軸部25と平行に回転可能に固定された第4搬送回転軸部28と、第4搬送回転軸部28に等間隔をあけて固定された3つの第4搬送固定ローラ29(図1には1つのみ図示されている)と、第4搬送回転軸部28の上方で平行に設けられた第5搬送回転軸部30と、第5搬送回転軸部30に等間隔をあけて固定され、各第4搬送固定ローラ29に接しながら回転可能に設けられた3つの第5搬送固定ローラ31とを備えている。第1反転手段24は、第4搬送回転軸部28と平行に回転可能に固定された第6搬送回転軸部35と、第6搬送回転軸部35に等間隔をあけて固定された3つの第6搬送固定ローラ36(図1には1つのみ図示されている)と、各第6搬送固定ローラ36に接するように設けられたそれぞれ3つずつの第1反転ローラ37、第2反転ローラ38、及び第3反転ローラ39とを備えている。
【0012】
方向変換反転部5は、方向変換手段41と、第2反転手段42とを備えている。方向変換手段41は、方向変換固定ローラ43と、第1可動ローラ44と、第2可動ローラ45とからなる組合せを3組備えている。方向変換固定ローラ43は、第2搬送回転軸部15及び第3搬送回転軸部25に垂直な方向に回転可能に固定された回転軸部46に固定されている。第1可動ローラ44及び第2可動ローラ45はそれぞれ、方向変換固定ローラ43に対して反対側に位置している。方向変換固定ローラ43と、第1可動ローラ44と、第2可動ローラ45とはそれぞれ、それらの側面が、第2搬送固定ローラ16と垂直になるように配置されている。
【0013】
図4に示されるように、方向変換反転部5の第2反転手段42は、回転軸部46と平行に回転可能に固定された反転回転軸部47と、反転回転軸部47に等間隔をあけて固定された2つの反転送りローラ48(図1には1つのみ図示されているが、図2及び3には2つ図示されている)と、各反転送りローラ48に接するように設けられたそれぞれ2つずつの第4反転ローラ49、第5反転ローラ50、及び第6反転ローラ51とを備えている。第2反転手段42には、反転送りローラ48と第5反転ローラ50とにより搬送された紙幣が通過したことを検知する第2センサ52が設けられている。
【0014】
図1及び3に示されるように、搬送部6は、第3搬送回転軸部25の下方で平行に設けられた第7搬送回転軸部61と、第7搬送回転軸部61に等間隔をあけて固定された3つの第7搬送固定ローラ62(図1及び3には1つのみ図示されているが、図4に3つ図示されている)と、各第7搬送固定ローラ62に接するか又は離れるように可動な3つの搬送可動ローラ63とを備えている。
【0015】
第2反転部7は、第4搬送回転軸部28の下方で平行に設けられた第8搬送回転軸部64と、第8搬送回転軸部64に等間隔をあけて固定された3つの第8搬送固定ローラ65(図1には1つのみ図示されている)と、各第8搬送固定ローラ65に接するように設けられた第7反転ローラ66とを備えている。また、搬出部4は、第8搬送回転軸部64の下方で平行に設けられた第9搬送回転軸部67と、第9搬送回転軸部67に等間隔をあけて固定された3つの第9搬送固定ローラ68(図1には1つのみ図示されている)と、各第9搬送固定ローラ68に接するように設けられた第1搬出固定ローラ69及び第2搬出固定ローラ70とを備えている。
【0016】
図1及び2に示されるように、3つの第1可動ローラ44と3つの搬入可動ローラ27とは、シーソーリンク71により連結されており、3つの第2可動ローラ45と3つの搬送可動ローラ63とは、シーソーリンク72により連結されている。シーソーリンク71,72はそれぞれ、ソレノイド75,76から伸縮可能なピストン73,74に連結されている。図1に示された状態では、ソレノイド75,76がそれぞれピストン73,74を伸ばすことにより、各搬入可動ローラ27及び各搬送可動ローラ63がそれぞれ各第3搬送固定ローラ26及び各第7搬送固定ローラ62に接すると共に、各第1可動ローラ44及び各第2可動ローラ45が各方向変換固定ローラ43から離れている。また、図5に示された状態では、ソレノイド75,76がそれぞれピストン73,74を縮めることにより、各搬入可動ローラ27及び各搬送可動ローラ63がそれぞれ各第3搬送固定ローラ26及び各第7搬送固定ローラ62から離れると共に、各第1可動ローラ44及び各第2可動ローラ45が各方向変換固定ローラ43に接している。
【0017】
図1、2及び5に示されるように、ピストン73には、ソレノイドリンク77の一端が連結されており、ソレノイドリンク77の他端には、紙幣の搬送を遮断する遮断部材である第1搬送ストッパ78が回動可能に設けられている。図5に示される状態では、ピストン73によってソレノイドリンク77がソレノイド75に向かって引っ張られることにより、第1搬送ストッパ78が下方に向かって回動して、第1搬送ストッパ78が第3搬送固定ローラ26と第4搬送固定ローラ29との間に挿入されている。これにより、紙幣が第1反転部搬入手段23から第1反転手段24へ搬送されるのを遮断するようになる。一方、図1に示される状態では、ピストン73によってソレノイドリンク77がソレノイド75と反対方向に押されることにより、第1搬送ストッパ78が第3搬送固定ローラ26と第4搬送固定ローラ29との間から上方に向かって回動することにより、紙幣が第1搬送ストッパ78に邪魔されずに、第1反転部搬入手段23から第1反転手段24へ搬送可能となる。
【0018】
図4に示されるように、方向変換反転部5の方向変換手段41には、第2反転手段42とは反対側に、方向変換固定ローラ43及び第2可動ローラ45による紙幣の搬送を遮断する第2搬送ストッパ80が設けられている。第2搬送ストッパ80は、シーソーリンク72に連結されており、シーソーリンク72の動きに応じて、矢印a及びbの方向に回動可能になっている。第2可動ローラ45が方向変換固定ローラ43に接する状態では、第2搬送ストッパ80は、各方向変換固定ローラ43と各第2可動ローラ45とが接している部分の延長線上に位置し、第2可動ローラ45が方向変換固定ローラ43から離れた状態になると、第2搬送ストッパ80は、矢印bの方向に回動して、当該延長線よりも下方に位置するようになる。
【0019】
図6(a)に示されるように、第3搬送固定ローラ26は、両側面26a,26bの周縁部が面取りされた構成を有している。また、図6(b)に示されるように、方向変換固定ローラ43も、両側面43a,43bの周縁部が面取りされた構成を有している。さらに、図6(c)に示されるように、第7搬送固定ローラ62も、両側面62a,62bの周縁部が面取りされた構成を有している。ここで、「面取り」とは、図6(a)〜(c)に示されるような平面状に傾斜している構成に限定するものではなく、円弧状に膨らんだ構成や、傾斜角の異なる複数の平面状の傾斜が複数連結した構成も含むものとする。
【0020】
次に、この実施の形態に係る紙葉類表裏整理装置の動作について説明する。
紙幣は、その長手方向に対して垂直な向きで紙幣表裏整理装置1内に搬送される。紙幣が紙幣表裏整理装置1内に搬入される前に、表裏鑑別部8は、紙幣の表裏を鑑別する。紙幣が表の状態か裏の状態かに応じて、紙幣表裏整理装置1内での紙幣の搬送経路が異なるので、以下に、紙幣が表の状態か裏の状態かにわけて、紙幣の搬送経路を説明する。
【0021】
表裏鑑別部8が紙幣を裏の状態であると鑑別した場合には、図1に示されるように、紙幣は、搬入部2において第1搬送固定ローラ12と第1搬入固定ローラ14との間及び第2搬送固定ローラ16と第2搬入固定ローラ18との間を通過する。第1センサ20が紙幣の通過を検知すると、ソレノイド75がピストン73を伸ばすことにより、各搬入可動ローラ27が各第3搬送固定ローラ26に接すると共に、各第1可動ローラ44が各方向変換固定ローラ43から離れた状態となる。この状態では、紙幣は第1可動ローラ44と方向変換固定ローラ43との間に挟まれないので、搬入部2によって搬送された紙幣は、方向変換反転部5を通り越すことになる。
【0022】
方向変換反転部5を通り越した紙幣は、第1反転部3に搬送される。第1反転部3に搬送された紙幣は、第1反転部搬入手段23において搬入可動ローラ27と第3搬送固定ローラ26との間及び第5搬送固定ローラ31と第4搬送固定ローラ29との間を通過して第1反転手段24に搬送される。第1反転手段24において、紙幣は、第1反転ローラ37と第6搬送固定ローラ36との間、第2反転ローラ38と第6搬送固定ローラ36との間、第3反転ローラ39と第6搬送固定ローラ36との間を順次搬送されることにより、搬送方向に沿って表裏反転されて表天状態となる。第3反転ローラ39と第6搬送固定ローラ36との間を通過した紙幣は、第1反転部搬入手段23によって搬送される方向とは180度反対の方向に搬送され、搬出部4において第9搬送固定ローラ68と第2搬出固定ローラ70とによって、紙幣表裏整理装置1から表状態で搬出される。
【0023】
尚、方向変換固定ローラ43の側面43a及び43bが紙幣の搬送方向に対して垂直に面しているので、紙幣が方向変換反転部5を通り越す際、紙幣の搬送方向に対する先端部が方向変換固定ローラ43の側面43aに衝突する可能性がある。しかし、方向変換固定ローラ43の側面43a及び43bの周縁部が面取りされていることにより、紙幣の先端部は、面取りされた周縁部に沿って移動することができるので、紙幣がスムーズに方向変換固定ローラ43を通り越すことができ、従って、紙幣が方向変換固定ローラ43の側面43aで押しつぶされることを防止できる。尚、この実施の形態では、紙幣は、方向変換固定ローラ43の側面43bには衝突することはないので、方向変換固定ローラ43の側面43aの周縁部のみを面取りしてもよい。
【0024】
一方、表裏鑑別部8が紙幣を表の状態であると鑑別した場合には、図5に示されるように、第1センサ20が紙幣の通過を検知したタイミングで、ソレノイド75がピストン73を縮めることにより、各搬入可動ローラ27が各第3搬送固定ローラ26から離れると共に、各第1可動ローラ44が各方向変換固定ローラ43に接する状態となる。この状態では、搬入部2によって搬送された紙幣は、方向変換反転部5において、第1可動ローラ44と方向変換固定ローラ43とによって挟まれ、これらによって搬送されるようになる。尚、後述するタイミングで、ソレノイド76がピストン74を縮めることにより、各搬送可動ローラ63が各第7搬送固定ローラ62から離れると共に、各第2可動ローラ45が各方向変換固定ローラ43に接する状態となる。
【0025】
表状態の紙幣は、搬入部2によって搬送された後、図4に示されるように、方向変換反転部5において、第1可動ローラ44と方向変換固定ローラ43とによって搬送されることにより、搬入部2によって搬送される方向に対して垂直の方向に搬送方向が変換される。第1可動ローラ44と方向変換固定ローラ43とによって搬送された紙幣は、第2反転手段42に搬入される。第2反転手段42において、紙幣は、第4反転ローラ49と反転送りローラ48との間、第5反転ローラ50と反転送りローラ48との間、第6反転ローラ51と反転送りローラ48との間を順次搬送されることにより、搬送方向に沿って表裏反転されて裏状態となる。
【0026】
紙幣が第5反転ローラ50と反転送りローラ48との間を搬送された後、第2センサ52が紙幣の通過を検知すると、このタイミングで、ソレノイド76がピストン74を縮めることにより、各第2可動ローラ45を各方向変換固定ローラ43に接する状態にする。すると、第6反転ローラ51と反転送りローラ48とにより搬送された紙幣は、第2可動ローラ45と方向変換固定ローラ43とにより搬送され、やがて搬送方向に対する紙幣の先端部が第2搬送ストッパ80に衝突する。このタイミングで、ソレノイド76がピストン74を伸ばすことにより、各第2可動ローラ45が各方向変換固定ローラ43から離れて、紙幣が第2可動ローラ45と方向変換固定ローラ43とにより搬送されなくなる。各第2可動ローラ45が各方向変換固定ローラ43から離れると、図1に示されるように、搬送可動ローラ63が第7搬送固定ローラ62に接するようになるので、紙幣が搬送可動ローラ63と第7搬送固定ローラ62との間に挟まれて、第2反転部7へ搬送されるようになる。第2反転部7において、紙幣は、第8搬送固定ローラ65と第7反転ローラ66との間を搬送され、続いて、搬出部4において、第9搬送固定ローラ68と第1搬出固定ローラ69との間及び第9搬送固定ローラ68と第2搬出固定ローラ70との間を順次搬送されることにより、搬送方向に沿って表裏反転されて表状態となり、紙幣表裏整理装置1から表状態で搬出される。
【0027】
尚、図4に示されるように、紙幣が方向変換固定ローラ43と第1可動ローラ44とによって搬送される際と、紙幣が方向変換固定ローラ43と第2可動ローラ45とによって搬送される際とのそれぞれにおいて、紙幣は、第3搬送固定ローラ26の側面26aと第7搬送固定ローラ62の側面62bとのそれぞれに対して垂直な方向に移動する。これらの際、紙幣の搬送方向に対する先端部が第3搬送固定ローラ26の側面26aまたは第7搬送固定ローラ62の側面62bに衝突する可能性があるが、第3搬送固定ローラ26の側面26aの周縁部が面取りされていると共に第7搬送固定ローラ62の側面62bの周縁部が面取りされていることにより、紙幣の先端部は、面取りされた周縁部に沿って移動することができるので、紙幣がスムーズに第3搬送固定ローラ26及び第7搬送固定ローラ62を通り越すことができ、従って、紙幣が第3搬送固定ローラ26の側面26aまたは第7搬送固定ローラ62の側面62bで押しつぶされることを防止できる。尚、この実施の形態では、紙幣は、第3搬送固定ローラ26の側面26b及び第7搬送固定ローラ62の側面62aには衝突することはないので、第3搬送固定ローラ26の側面26aの周縁部のみ及び第7搬送固定ローラ62の側面62bの周縁部のみを面取りしてもよい。
【0028】
また、図5に示されるように、第1可動ローラ44が方向変換固定ローラ43に接する状態となって、これらによって紙幣の搬送方向が変換される場合、第1搬送ストッパ78が、第3搬送固定ローラ26と第4搬送固定ローラ29との間に挿入される。これにより、紙幣が第1反転部3に搬送されるのを防止する。図5の状態では、搬入部2によって搬送された紙幣は、方向変換反転部5において、第1可動ローラ44及び方向変換固定ローラ43によって第2反転手段42へ搬送されるので、原則として第1反転部3に搬送されることはないが、搬入部2によって搬送された紙幣が斜めに傾いた状態であると、紙幣の一部が第4搬送固定ローラ29と第5搬送固定ローラ31とによって挟まれて第1反転部3に送られてしまうおそれがある。しかし、第1搬送ストッパ78が、第3搬送固定ローラ26と第4搬送固定ローラ29との間に挿入された状態であることにより、斜めに傾いた状態で搬送される紙幣は、第1搬送ストッパ78に衝突して斜めに傾いた状態が直されることになる。
【0029】
尚、紙幣表裏整理装置1内において、裏状態の紙幣が表状態に反転されるための軌跡を図7(a)に示し、表状態の紙幣が表状態で搬出されるための軌跡を図7(b)に示す。
【0030】
このように、紙幣を搬送方向に沿って表裏反転させることにより表裏反転のためのスペースを小さくすることができるので、紙幣の表裏を反転して表裏を揃えることのできる紙幣表裏整理装置をコンパクトにすることができる。
【0031】
この実施の形態では、紙葉類表裏整理装置として、紙幣の表裏を揃える紙幣表裏整理装置1を例にして説明したが、これに限定するものではない。紙葉類は紙幣に限定するものではなく、投票用紙等、任意のものであってもよく、従って、紙葉類表裏整理装置は、紙葉類の種類に応じて、投票用紙表裏整理装置等、紙葉類の表裏を揃えることのできる任意のものであってもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 紙幣表裏整理装置(紙葉類表裏整理装置)、2 搬入部、3 第1反転部、4 搬出部、5 方向変換反転部、6 搬送部、7 第2反転部、8 表裏鑑別部、23 第1反転部搬入手段、24 第1反転手段、26 第3搬送固定ローラ(第1反転部搬入固定ローラ)、26a,26b (第3搬送固定ローラの)側面、27 搬入可動ローラ(第1反転部搬入可動ローラ)、41 方向変換手段、42 第2反転手段、43 方向変換固定ローラ、43a,43b (方向変換固定ローラの)側面、44 第1可動ローラ、45 第2可動ローラ、62 第7搬送固定ローラ(搬送部固定ローラ)、62a,62b (第7搬送固定ローラの)側面、63 搬送可動ローラ(搬送部可動ローラ)、78 第1搬送ストッパ(遮断部材)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類の表裏を揃える紙葉類表裏整理装置であって、
前記紙葉類を前記紙葉類表裏整理装置内に搬入する搬入部と、
該搬入部によって搬送された前記紙葉類を、前記搬入部によって搬送される方向に沿って表裏反転させる第1反転部と、
前記搬入部によって搬送された前記紙葉類を、前記搬入部によって搬送される方向に対して垂直な方向に変換した後、変換された搬送方向に沿って表裏反転させる方向変換反転部と、
該方向変換反転部によって表裏反転された前記紙葉類を、前記変換された搬送方向に対して垂直な方向に搬送する搬送部と、
該搬送部によって搬送された前記紙葉類を、前記搬送部によって搬送される方向に沿って表裏反転させる第2反転部と、
前記第1反転部及び前記第2反転部によって表裏反転された前記紙葉類を前記紙葉類表裏整理装置から搬出する搬出部と
を備え、
前記紙葉類は、
a)前記搬入部によって前記紙葉類表裏整理装置内に搬入された後、前記第1反転部によって表裏反転され、前記搬出部によって前記紙葉類表裏整理装置から搬出される、又は、
b)前記搬入部によって前記紙葉類表裏整理装置内に搬送された後、前記方向変換反転部によって表裏反転され、前記搬送部によって搬送され、前記第2反転部によって表裏反転されて、前記搬出部によって前記紙葉類表裏整理装置から搬出される
のいずれかのルートを通ることによって表裏が揃えられる紙葉類表裏整理装置。
【請求項2】
前記第1反転部は、
少なくとも一対の第1反転部搬入固定ローラ及び第1反転部搬入可動ローラからなる第1反転部搬入手段と、
該第1反転部搬入手段によって搬送された前記紙葉類を、その搬送方向に沿って表裏反転させる第1反転手段と
を備え、
前記方向変換反転部は、
方向変換固定ローラと、前記搬入部と前記第1反転部との間に設けられた第1可動ローラと、前記方向変換固定ローラに対して前記第1可動ローラとは反対側に設けられた第2可動ローラとからなる組合せを少なくとも1組有する方向変換手段と、
前記方向変換固定ローラ及び前記第1可動ローラによって搬送された前記紙葉類を、その搬送方向に沿って表裏反転させる第2反転手段と
を備え、
前記搬送部は、少なくとも一対の搬送部固定ローラ及び搬送部可動ローラを備え、
前記紙葉類が前記a)のルートを通る場合には、前記第1反転部搬入可動ローラが前記第1反転部搬入固定ローラに接すると共に、前記第1可動ローラが前記方向変換固定ローラから離れ、
前記紙葉類が前記b)のルートを通る場合には、前記第1可動ローラ及び前記第2可動ローラが前記方向変換固定ローラに接すると共に前記第1反転部搬入可動ローラが前記第1反転部搬入固定ローラから離れ、前記第2可動ローラが前記方向変換固定ローラから離れると共に前記搬送部可動ローラが前記搬送部固定ローラに接する、請求項1に記載の紙葉類表裏整理装置。
【請求項3】
前記第1反転部搬入手段から前記第1反転手段への前記紙葉類の搬送を妨げる遮断部材を備え、
前記紙葉類が前記b)のルートを通る場合に、前記遮断部が前記紙葉類の搬送を妨げる、請求項2に記載の紙葉類表裏整理装置。
【請求項4】
前記方向変換固定ローラは2つの側面部を有し、該2つの側面部が前記搬入部による前記紙葉類の搬送方向に対して垂直となるように、前記方向変換固定ローラが設けられ、
前記方向変換固定ローラの前記2つの側面部のうち、少なくとも前記搬入部に面する側の側面部の周縁部が面取りされている、請求項2または3に記載の紙葉類表裏整理装置。
【請求項5】
前記第1反転部搬入固定ローラは2つの側面部を有し、該2つの側面部が、前記搬入部によって搬送される方向に対して垂直な方向に変換した後の前記紙葉類の搬送方向に対して垂直となるように、前記第1反転部搬入固定ローラが設けられ、
前記搬送部固定ローラの前記2つの側面部のうち、少なくとも前記第2反転手段に面する側の側面部とは反対側の側面部の周縁部が面取りされている、請求項2〜4のいずれか一項に記載の紙葉類表裏整理装置。
【請求項6】
前記搬送部固定ローラは2つの側面部を有し、該2つの側面部が、前記第2反転手段によって表裏が反転された後の前記紙葉類の搬送方向に対して垂直となるように、前記搬送部固定ローラが設けられ、
前記搬送部固定ローラの前記2つの側面部のうち、少なくとも前記第2反転手段に面する側の側面部の周縁部が面取りされている、請求項2〜5のいずれか一項に記載の紙葉類表裏整理装置。
【請求項7】
前記紙葉類表裏整理装置は、前記搬入部によって搬入される前記紙葉類の表裏を鑑別する表裏鑑別部を備え、
前記表裏鑑別部が前記紙葉類を裏であると鑑別したときには、前記紙葉類は前記a)のルートを通り、前記表裏鑑別部が前記紙葉類を表であると鑑別したときには、前記紙葉類は前記b)のルートを通る、請求項1〜6のいずれか一項に記載の紙葉類表裏整理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−121656(P2012−121656A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272430(P2010−272430)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(592221908)武蔵エンジニアリング株式会社 (30)
【Fターム(参考)】