説明

紙葉類識別機

【課題】紙幣識別用のホトセンサを用いて、搬送路が開いているのか、ホトセンサに異常が発生しているのかを正確に認識可能な紙葉類識別機を提案すること。
【解決手段】紙葉類識別機1の紙幣搬送路10は開閉ユニット4を開くと開放状態に切り替わる。紙幣搬送路10には透過型ホトセンサ11〜14が配置されている。透過型ホトセンサ11〜14の出力に基づき開閉ユニット4が開いているか否かを監視する監視部は、透過型ホトセンサ11〜14の検出信号レベルの全てが開閉判別用基準値Sを下回っている場合には開閉ユニット4が開状態であると判断し、逆の場合には開閉ユニット4が閉状態であると判断する。開閉判別用基準値Sの上下に検出信号レベルが現れる場合には、いずれかの透過型ホトセンサ11〜14に故障などの異常が発生していると判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉可能な搬送路上に配置されたホトセンサによって当該搬送路に送り込まれた紙幣などの紙葉類の識別を行う紙葉類識別機に関し、特に、ホトセンサを利用して搬送路の開閉状態を識別可能な紙葉類識別機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技店における遊技台の間には、遊技台で用いるパチンコ玉などの遊技媒体を貸し出すための遊技台用台間機が配置されている。遊技台用台間機には紙幣識別機が搭載されており、挿入された紙幣を識別して遊技媒体の貸し出しを行うことが出来るようになっている。また、紙幣識別機にはホトセンサが組み込まれており、搬送路に沿って送り込まれる紙幣にホトセンサの発光素子からの射出光を当て、紙幣からの透過光あるいは反射光を受光素子で受け、受光量の変化に基づき紙幣の真偽、種類を識別している。
【0003】
このような紙幣識別機では、搬送路に詰まった紙幣の取り出し作業などを簡単に行うことができるように、本体ユニットと、ここに開閉可能に取り付けた開閉ユニットとの間に搬送路が形成されており、開閉ユニットを開くと、搬送路が開放状態に切り替わる構成のものが知られている。特許文献1には、このような紙幣識別装置において、紙幣識別用のホトセンサを利用して、蓋部(開閉ユニット)の開閉状態を判定することが提案されている。当該特許文献1では、本体部あるいは蓋部に搭載された発光手段を発光させ、他方に搭載されている受光手段で受光される受光量が規定の値以上であれば、受発光素子の間隔が所定値以内に保持されており、蓋部が閉じていると判定している。
【特許文献1】特開2007−94807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の方法では、ホトセンサに異常が発生しているために受光量が規定値より低いときにも蓋部が開いていると判定してしまう。したがって、電源投入時などにおいて、ホトセンサの異常のために、蓋部が閉じているにも拘らず蓋部が開いていると誤判定を行う場合がある。
【0005】
また、蓋部の開閉状態を判定するために、一般に、紙幣識別装置の出荷時に蓋部が正常に閉じた状態で電源を入れてホトセンサの調光処理が行われ、規定の受光量が得られるように発光側の光量が調整される。この発光量がメモリなどに記憶保持され、電源投入時に当該発光量でホトセンサの発光素子を光らせて蓋部の開閉状態が判定される。しかしながら、周囲環境の変化、受発光素子の劣化などに起因して、出荷時に設定された発光量で発光させても、規定の受光量が得られなくなる場合がある。このような状態に陥ると、蓋部の開閉状態の判定を正確に行うことができないことがある。
【0006】
本発明の課題は、紙葉類識別用のホトセンサを用いて、搬送路が開いているのか、ホトセンサに異常が発生しているのかを正確に認識可能な紙葉類識別機を提案することにある。
【0007】
また、本発明の課題は、周囲環境の変化、受発光素子の劣化に起因するホトセンサの検出特性の変化に影響されることなく、正確に搬送路の開閉状態を認識可能な紙葉類識別機を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の紙葉類識別機は、
本体ユニットと、
この本体ユニットに開閉可能に取り付けた開閉ユニットと、
これら本体ユニットおよび開閉ユニットの間に形成されており、当該開閉ユニットを開くと開放状態になる搬送路と、
この搬送路に沿って搬送される紙葉類の光学情報を検出するために前記搬送路に配置された複数のホトセンサと、
これらのホトセンサの出力に基づき前記開閉ユニットが開いているか否かを監視する監視手段と、
前記開閉ユニットが閉じている状態において各ホトセンサから出力される検出信号レベルを、各ホトセンサの開閉判別用基準値として予め記憶保持している基準値メモリとを有し、
前記監視手段は、
前記ホトセンサの検出信号レベルの全てが前記開閉判別用基準値を下回っている場合には前記開閉ユニットが開状態であると判断し、
前記ホトセンサの検出信号レベルの全てが前記開閉判別用基準値を上回っている場合には前記開閉ユニットが閉状態であると判断し、
前記ホトセンサの検出信号レベルの少なくとも一つが前記開閉判別用基準値を下回り、且つ、少なくとも一つが前記開閉判別用基準値を上回っている場合には、前記ホトセンサに異常が発生していると判断することを特徴としている。
【0009】
紙葉類識別機においては一般に複数のホトセンサが搭載され、複数の走査ラインに沿って挿入された紙葉類の光学情報が読み取られることに着目し、本発明では、複数のホトセンサの検出信号に基づき、開閉ユニットが開いているのか、あるいは、ホトセンサに異常が発生しているのかを正確に認識するようにしている。
【0010】
また、本発明の紙葉類識別機においては、前記監視手段による監視時に各ホトセンサの発光素子に流す判別用発光電流の値を記憶保持している発光電流値メモリと、前記監視手段による監視時に前記判別用発光電流を各ホトセンサの発光素子に流す発光制御手段と、前記発光電流値メモリに記憶保持されている各判別用発光電流の値の更新処理を行う更新手段とを有し、当該更新手段の更新処理においては、前記発光制御手段によって、各ホトセンサの受光素子の検出信号レベルが前記開閉判別用基準値となるように各ホトセンサの発光素子に流す発光電流を調整させ、調整後の各発光電流の値で各判別用発光電流の値を更新することを特徴としている。
【0011】
更新手段によって開閉ユニットの開閉状態(搬送路の開閉状態)を識別するための判別用発光電流の値を更新することにより、紙葉類識別機の周囲環境、ホトセンサの受発光素子の劣化などに起因してホトセンサの検出特性が変動しても、正確に開閉ユニットの開閉状態を識別できる。
【0012】
ここで、前記更新手段の更新処理を、電源投入時点、および、紙葉類が前記搬送路に挿入された時点のうち、少なくとも一方の時点において行うようにすればよい。
【0013】
また、ホトセンサとして透過型ホトセンサを用いることができ、この場合には、各ホトセンサの発光素子および受光素子の一方は前記本体ユニットに搭載され、他方は前記開閉ユニットに搭載される。勿論、反射型ホトセンサを用いることもできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の紙葉類識別機では、紙葉類識別のために配置されている複数のホトセンサの検出出力を利用して開閉ユニットの開閉状態(搬送路の開閉状態)を識別している。したがって、開閉ユニットが開いているか、あるいは、ホトセンサに異常が発生しているかを正確に識別でき、ホトセンサの異常に起因して開閉ユニットが開いていると誤検出してしまうことを確実に防止できる。
【0015】
また、更新手段によって、周囲環境、ホトセンサの受発光素子の劣化等に起因するホトセンサの検出出力変動を反映するようにしているので、開閉ユニットの開閉状態を常に正確に識別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した紙葉類識別機の実施の形態を説明する。
【0017】
(全体構成)
図1は本実施の形態に係る紙幣識別機を示す平面図であり、図2は開閉ユニットを開けた状態での紙幣識別機の斜視図である。
【0018】
紙幣識別機1は、本体ユニット2と、この本体ユニット2の表面に形成された装置前後方向に延びている凹部3に収納されている開閉ユニット4と、本体ユニット2の紙幣挿入口側の前端部に取り付けられている挿入口蓋ユニット5とを有している。開閉ユニット4は、その後端部両側に形成した支軸6a、6bを中心として、凹部3に収納された閉じ位置から所定の角度の範囲で開閉可能である。また、開閉ユニット4の前端部の両側に形成した係合レバー7a、7bが、本体ユニット2に形成された係合溝7c、7dに差し込まれており、これにより開閉ユニット4が閉じ位置にロックされている。左右の係合レバー7a、7bを内方に引き込むことにより、係合レバー7a、7bが係合溝7c、7dから外れて開閉ユニット4を開けることが可能になる。
【0019】
図3は紙幣識別機1の内部構成を示す断面図である。この図も参照して、紙幣識別機1の内部構成を説明する。紙幣識別機1の本体ユニット2の前面には紙幣挿入口8が形成されており、この紙幣挿入口8は、本体ユニット2の前端部と挿入口蓋ユニット5との間に形成されている紙幣挿入路9を介して、本体ユニット2と開閉ユニット4の間に形成されている紙幣搬送路10に通じている。紙幣搬送路10の後端は紙幣排出口10aとなっており、ここから排出された紙幣は不図示の紙幣収納部に収納される。また、本体ユニット2には制御基板40Aが搭載されている。
【0020】
紙幣挿入路9に続く紙幣搬送路10の上流側の部位には、本体ユニット2の側に、紙幣の挿入を検出するために左右一対の入口センサ9a、9bが配置されている。入口センサ9a、9bとしては、ホトカプラ、メカニカルスイッチを備えたものを用いることができる。これらの入口センサ9a、9bの下流側には、ソレノイド式の紙幣引き抜き防止機構20が本体ユニット2の側に組み込まれており、この紙幣引き抜き防止機構20は、紙幣搬送路10に出没して当該紙幣搬送路10を封鎖状態および開放状態に切り換えるシャッタ片20aを備えている。
【0021】
シャッタ片20aの下流側の紙幣搬送路10の部位には、当該紙幣搬送路10を搬送される紙幣の光学的特徴である光透過パターンを検出するための4組の透過型ホトセンサ11〜14が幅方向に配置されている。これらの透過型ホトセンサの発光素子11a〜14aは開閉ユニット4に搭載され、受光素子11b〜14bは本体ユニット2に搭載されている。透過型ホトセンサ11〜14の設置位置よりも下流側の紙幣搬送路10の部分には紙幣の磁気特性を検出するための磁気ヘッド15が配置されている。磁気ヘッド15は本体ユニット2に搭載されており、この磁気ヘッド15の検出面に紙幣を押し付けるための押圧ローラ16が開閉ユニット4に搭載されている。
【0022】
紙幣排出口10aの近傍における本体ユニット2の側には、排出される紙幣を検出するために左右一対の出口センサ17a、17bが配置されている。これら出口センサとしては、ホトカプラ、メカニカルスイッチを備えたものを用いることができる。
【0023】
紙幣を紙幣搬送路10に沿って搬送するための搬送機構はベルト・プーリ式のものであり、左右一対の駆動側プーリ21a、21bと、左右三対の従動側プーリ22a、22b、23a、23b、24a、24bと、これら駆動側プーリ21aおよび従動側プーリ22a〜24aの間、および駆動側プーリ21bおよび従動側プーリ22b〜24bの間にそれぞれ張架した左右一対の搬送ベルト25a、25bとを備えている。これらの各部は、本体ユニット2の側に搭載されており、駆動側プーリ21a、21bは紙幣搬送路10の下流端側に配置され、従動側プーリ22a、22b、23a、23bは、駆動側プーリ21a、21bと磁気ヘッド15の間に配置されており、従動側プーリ24a、24bは、発光素子11a〜14aよりも紙幣挿入口8の側に配置されている。
【0024】
また、搬送機構は、開閉ユニット4の側に搭載されている4組の左右一対の押圧ローラ31a、31b、32a、32b、33a、33bおよび34a、34bを備えている。これらは、上下方向にスライド可能、かつ、回転自在の状態で開閉ユニット4に搭載されており、それぞれ、搬送ベルト25a、25bの上から、駆動側プーリ21a、21b、従動側プーリ22a、22b、23a、23bおよび24a、24bにばね力によって押圧されている。
【0025】
さらに、搬送機構は、図1に示すように、本体ユニット2における凹部3の側方の部位に内蔵されている搬送用モータ26を備えている。この搬送用モータ26の回転力が、不図示の減速歯車列および駆動軸28を介して、駆動側プーリ21a、21bに伝達されるようになっている。
【0026】
(制御系)
図4は紙幣識別機1の制御系を示す概略ブロック図である。制御系は、本体ユニット2の制御基板40Aに搭載されており、CPU、ROM、RAMを備えたマイクロコンピュータを中心に構成された制御部40を備えている。制御部40は、挿入された紙幣Pの搬送制御を行う搬送制御部41、透過型ホトセンサ11〜14の発光制御を行う発光制御部42、および、透過型ホトセンサ11〜14、磁気ヘッド15からの検出信号に基づき挿入された紙幣Pの真偽、種類を識別する識別部43を備えている。また、制御部40は、透過型ホトセンサ11〜14の検出出力に基づき開閉ユニット4が開いているか否かを監視する開閉監視部44と、各種の情報が記憶保持されているメモリ45と、メモリ45の記憶内容を更新するための更新部46とを備えている。
【0027】
搬送制御部41は、入口センサ9a、9bによって紙幣Pが挿入されたことを検出すると、紙幣引き抜き防止機構20のソレノイド20bを励磁してシャッタ片20aを開かせる。同時に、モータドライバ50を介して搬送用モータ26を駆動し、挿入された紙幣Pの搬送を開始させる。発光制御部42は、紙幣Pの搬送が開始されると、透過型ホトセンサ11〜14の発光素子11a〜14aをドライバ51〜54を介して駆動して発光させる。各透過型ホトセンサ11〜14の受光素子11b〜14bの検出信号および磁気ヘッド15の検出信号は、それぞれ、信号処理回路55〜59を介して、識別部43に入力される。
【0028】
識別部43は、メモリ45に記憶保持されている光透過パターン、磁気パターンに基づき、挿入された紙幣Pの識別を行う。搬送制御部41は、紙幣Pの送り込み動作を継続させ、予め定められている送り込み位置(エスクロ位置)まで送り込む。送り込み位置は、図3に示すように、送り込まれた紙幣Pの後端PBが磁気ヘッド15の検出位置を通過し終えた位置である。
【0029】
搬送制御部41は、紙幣Pが送り込み位置に送り込まれると、当該紙幣Pを送り込み位置に一時保留し、シャッタ片20aを閉じる。この後に、識別部43は、各透過型ホトセンサ11〜14、および磁気ヘッド15の検出信号と、メモリ45の内容とに基づき、紙幣Pの真偽、種類を識別する。真札であり、受け入れ可能な金種の紙幣である場合には、搬送制御部41は、搬送用モータ26を駆動して、送り込み位置に保留されている紙幣Pを紙幣排出口10aから不図示の紙幣収納部に送り込み、そこに収納させる。偽札、あるいは受け入れ不可の金種の紙幣である場合には、搬送制御部41は、搬送用モータ26を逆回転させて、送り込み位置に保留されている紙幣Pを紙幣挿入口8に向けて送り出し、当該紙幣挿入口8から排出して、紙幣挿入者に返却する。
【0030】
(開閉ユニットの開閉状態の監視)
ここで、メモリ45には、開閉ユニット4が閉じている状態において各透過型ホトセンサ11〜14から出力される検出信号レベルが開閉判別用基準値Sとして予め記憶保持されている。また、開閉監視部44による監視時に各透過型ホトセンサ11〜14の発光素子11a〜14aに流す判別用発光電流の値A1〜A4が記憶保持されている。これらの値は出荷時に設定されたものである。すなわち、紙幣識別機1の出荷時に開閉ユニット4が正常に閉じた状態で電源を入れて各透過型ホトセンサ11〜14の調光処理が行われ、規定の受光量を表す開閉判別用基準値Sが得られるように各透過型ホトセンサの発光側の光量が調整される。これらの発光量を表す判別用発光電流の値A1〜A4と、開閉判別用基準値Sがメモリ45に記憶保持される。開閉判別用基準値Sを、各透過型ホトセンサ11〜14について別個に設定することも可能である。
【0031】
開閉監視部44は、透過型ホトセンサ11〜14の検出信号レベルの全てが開閉判別用基準値Sを下回っている場合には開閉ユニット4が開状態であると判断する。また、透過型ホトセンサ11〜14の検出信号レベルの全てが開閉判別用基準値Sを上回っている場合には開閉ユニット4が正常な閉状態であると判断する。さらに、透過型ホトセンサ11〜14の検出信号レベルの一部が開閉判別用基準値Sを下回り、残りが開閉判別用基準値Sを上回っている場合には、透過型ホトセンサ11〜14のいずれかに異常が発生しているものと判断する。
【0032】
すなわち、図5(a)、(b)に示すように、開閉ユニット4が閉じている状態では、各透過型ホトセンサ11〜14における発光素子11a〜14aと受光素子11b〜14bの間は狭い一定の間隔L1に保持され、検出信号レベルは開閉判別用基準値Sを上回る。これに対して、開閉ユニット4が開いている場合には、発光素子11a〜14aと受光素子11b〜14bの間は広い間隔L2となり、検出信号レベルが開閉判別用基準値Sを大幅に下回る。したがって、検出信号レベルに基づき開閉ユニット4の開閉状態(搬送路10の開閉状態)を識別できる。
【0033】
また、4個の透過型ホトセンサ11〜14が正常である場合には、これらの検出信号レベルの全てが基準値Sを上回る状態か、あるいは下回る状態になる。基準値Sに対して、その上下に検出信号レベルが現れる場合には、いずれかの透過型ホトセンサに故障などの異常が発生したものと判断することができる。例えば、3個の透過型ホトセンサの検出信号レベルが、開閉判別用基準値Sを上回っているのに対して、残りの1個の透過型ホトセンサがその値を下回っている場合には、当該1個の透過型ホトセンサに故障などの異常が発生していると判断することができる。
【0034】
次に、更新部46は、発光制御部42によって、各透過型ホトセンサ11〜14の受光素子11b〜14bの検出信号レベルが開閉判別用基準値Sとなるように各透過型ホトセンサ11〜14の発光素子11a〜14aに流す発光電流を調整させ、調整後の各発光電流の値で、メモリ45の各判別用発光電流の値A1〜A4を更新する。
【0035】
例えば、図6のフローチャートに示すように、更新部46は、電源投入時の初期化処理(ステップST1)の終了後の時点(ステップST2)と、紙幣が投入されたことが入口センサ9a、9bによって検出された後の時点(ステップST3、4)において、値A1〜A4の更新処理(調光〜発光量記憶処理)を行っている。
【0036】
更新部46によって開閉ユニット4の開閉状態(搬送路の開閉状態)を識別するための判別用発光電流の値A1〜A4を更新することにより、紙幣識別機1の周囲環境、透過型ホトセンサ11〜14の受発光素子の劣化などに起因して検出特性が変動しても、正確に開閉ユニット4の開閉状態を識別できる。
【0037】
(その他の実施の形態)
上記の例は本発明を紙幣識別機に適用したものであるが、本発明は、チケット、クーポン券などの紙幣以外の紙葉類を識別するための紙葉類識別機に搭載されているホトセンサの調光に用いることができる。
【0038】
また、上記の例はホトセンサとして透過型ホトセンサを用いているが、反射型ホトセンサを用いた場合にも本発明を同様に適用可能である。この場合には、値A1〜A4の更新時(調光時)に発光素子からの射出光が受光素子で受光できるように、例えば紙幣搬送路を規定しているガイド面に反射面を形成しておけばよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明を適用した紙幣識別機の平面図である。
【図2】開閉ユニットを開いた状態の紙幣識別機の斜視図である。
【図3】紙幣識別機の内部構成図である。
【図4】紙幣識別機の制御系の主要部分を示す概略ブロック図である。
【図5】紙幣識別機の開閉ユニットの監視動作の説明図である。
【図6】紙幣識別機の判別用発光電流の値の更新時点の例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0040】
1 紙幣識別機
2 本体ユニット
3 凹部
4 開閉ユニット
5 挿入口蓋ユニット
6a、6b 支軸
7a、7b 係合レバー
7c、7d 係合溝
8 紙幣挿入口
9 紙幣挿入路
9a、9b 入口センサ
10 紙幣搬送路
10a 紙幣排出口
11〜14 透過型ホトセンサ
11a〜14a 発光素子
11b〜14b 受光素子
15 磁気ヘッド
16 押圧ローラ
17a、17b 出口センサ
20 紙幣引き抜き防止機構
20a シャッタ片
20b ソレノイド
21a、21b 駆動側プーリ
22a〜24a、22b〜24b 従動側プーリ
25a、25b 搬送ベルト
26 搬送用モータ
28 駆動軸
31a〜34a、31b〜34b 押圧ローラ
40 制御部
40A 制御基板
41 搬送制御部
42 発光制御部
43 識別部
44 開閉監視部
45 メモリ
46 更新部
50 モータドライバ
51〜54 ドライバ
55〜59 信号処理回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ユニットと、
この本体ユニットに開閉可能に取り付けた開閉ユニットと、
これら本体ユニットおよび開閉ユニットの間に形成されており、当該開閉ユニットを開くと開放状態になる搬送路と、
この搬送路に沿って搬送される紙葉類の光学情報を検出するために前記搬送路に配置された複数のホトセンサと、
これらのホトセンサの出力に基づき前記開閉ユニットが開いているか否かを監視する監視手段と、
前記開閉ユニットが閉じている状態において各ホトセンサから出力される検出信号レベルを、各ホトセンサの開閉判別用基準値として予め記憶保持している基準値メモリとを有し、
前記監視手段は、
前記ホトセンサの検出信号レベルの全てが前記開閉判別用基準値を下回っている場合には前記開閉ユニットが開状態であると判断し、
前記ホトセンサの検出信号レベルの全てが前記開閉判別用基準値を上回っている場合には前記開閉ユニットが閉状態であると判断し、
前記ホトセンサの検出信号レベルの少なくとも一つが前記開閉判別用基準値を下回り、且つ、少なくとも一つが前記開閉判別用基準値を上回っている場合には、前記ホトセンサに異常が発生していると判断することを特徴とする紙葉類識別機。
【請求項2】
請求項1に記載の紙葉類識別機において、
前記監視手段による監視時に各ホトセンサの発光素子に流す判別用発光電流の値を記憶保持している発光電流値メモリと、
前記監視手段による監視時に前記判別用発光電流を各ホトセンサの発光素子に流す発光制御手段と、
前記発光電流値メモリに記憶保持されている各判別用発光電流の値の更新処理を行う更新手段とを有し、
当該更新手段の更新処理においては、前記発光制御手段によって、各ホトセンサの受光素子の検出信号レベルが前記開閉判別用基準値となるように各ホトセンサの発光素子に流す発光電流を調整させ、調整後の各発光電流の値で各判別用発光電流の値を更新することを特徴とする紙葉類識別機。
【請求項3】
請求項2に記載の紙葉類識別機において、
前記更新手段の更新処理は、電源投入時点、および、紙葉類が前記搬送路に挿入された時点のうち、少なくとも一方の時点において行われることを特徴とする紙葉類識別機。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちのいずれかの項に記載の紙葉類識別機において、
各ホトセンサは透過型ホトセンサであり、
各ホトセンサの発光素子および受光素子の一方は前記本体ユニットに搭載され、他方は前記開閉ユニットに搭載されていることを特徴とする紙葉類識別機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−42919(P2009−42919A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−205764(P2007−205764)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(000128946)マミヤ・オーピー株式会社 (122)
【Fターム(参考)】