説明

紙葉類識別装置

【課題】簡単な検出装置で識別精度の向上が図ることができる紙葉類識別装置を提供するものである。
【解決手段】搬送路を備えた搬送装置と、発光部3と、受光部4と、中継導光路53と、前記中継導光路と受光部とを直接導光させた迂回導光路54を形成した導光体5とを有する検知装置とを備え、前記発光部と導光体の発光導入路51並びに前記受光部と導光体の導出路52とを前記搬送路を挟んで各々対向配置し、前記発光部と発光導入路の間を通過する紙葉類Mを透過した出射光の光量と、前記導出路と受光部の間を通過する紙葉類透過した出射光の光量と、前記迂回導光路を透過し直接受光部へ入射した出射光の光量との合成した光量を基準データとして予め設定記憶させ、挿入された紙葉類の測光データと該基準データとを比較して紙葉類の識別を行なったものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送路に取り込まれた紙葉類の真贋を識別する紙葉類識別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙葉類識別装置は自動販売機、自動両替機、遊技機の遊技媒体貸出機等、種々の省力機器に広く使用され、紙葉類を挿入する入口と、入口に設けられかつ紙葉類の挿入を検出する検知センサと、入口から挿入された紙葉類を搬送通路に沿って搬送する搬送装置と、搬送通路に隣設して設けられた識別検知装置と、検知センサと識別検知装置に接続されかつ搬送装置のモータを制御する制御回路とを備えている。この識別検知装置は、紙葉類の明暗パターン又は透過光パターンを形成する光学的特徴を検出する光学センサ又は紙葉類に印刷されたインキの成分によって磁気パターンを形成する磁気的特徴を検出する磁気センサ等により構成されている。
【0003】
例えば、特開2003−187293に開示されている紙葉類識別装置では、搬送通路を搬送される紙葉類に光を照射して、その透過光を受光素子で検出した信号による検出データと、予め前記搬送通路に少なくとも被識別対象用紙葉に相当する基準用紙葉類を搬送させて同様に得られた基準データとに基づき前記被識別対象用紙葉類の識別を行なう紙葉類識別装置であって、前記受光素子の出力信号を所定の時間間隔でサンプリングして、サンプリングした信号をデジタル信号に変換する手段と前記検出データおよび前記基準データを相前後するサンプリングタイミングにおけるデジタル信号の差または比として求める検出手段と、該検出手段が求めた前記検出データおよび基準データを時系列に記憶するデータ記憶回路と、基準データと前記検出データとを比較して前記比識別対象用紙葉類の識別を行なう識別手段を具備している。
【0004】
この出願における識別検査部は、搬送通路の幅方向の中央部に設けられ、紙葉類搬送通路を搬送される紙葉類にスポット光を照射する、例えばLED等光源と、光源から照射された光の紙葉類からの反射光を受光する位置に配置された、例えばホトダイオード等の受光素子を備えている。尚、反射光に代えて透過光を用いることも可能である。
【0005】
しかしながら、前述の従来技術は、紙葉類の挿入方向の変化に対応する必要上、搬送通路の幅方向の中央部に識別検査部を設けている。従って、識別精度の向上を図るため、紙葉類の搬送方向に対して幅方向の複数箇所で反射光或いは透過光の測定を行なう場合には、その測定位置の数だけの発光素子と受光素子が必要であった。このため、取付けスペース上、搬送ベルトの幅方向の間隔が広くなり、実際上幅の狭い紙葉類の搬送が困難となる場合があった。
【0006】
この出願の発明に関連する先行技術文献としては次のものがある。
【特許文献1】特開2003−187293号公報
【非特許文献1】 なし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の従来技術が有する問題を解決するためになされたものであり、その目的は、搬送路を備えた搬送装置と、発光素子を有する発光部と、受光素子を有する受光部と、該発光導入路と導出路と前記発光導入路と導出路とを中継する中継導光路と、前記中継導光路と受光部とを直接導光させた迂回導光路を形成した導光体とを有する検知装置とを備え、
前記発光部と導光体の発光導入路ならびに前記受光部と導光体の導出路とを前記搬送路を挟んで各々対向配置し、
前記発光部と発光導入路の間を通過する紙葉類を透過した出射光の光量と、前記導出路と受光部の間を通過する紙葉類透過した出射光の光量と、前記迂回導光路を透過し直接受光部へ入射した出射光の光量との合成した光量を基準データとして予め設定記憶させ、挿入された紙葉類の測光データと該基準データとを比較して紙葉類の識別を行なうことにより、簡単な検出装置で識別精度の向上が図ることができる紙葉類識別装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明においては、搬送路を備えた搬送装置と、発光素子を有する発光部と、受光素子を有する受光部と、該発光導入路と導出路と前記発光導入路と導出路とを中継する中継導光路と、前記中継導光路と受光部とを直接導光させた迂回導光路を形成した導光体とを有する検知装置とを備え、前記発光部と導光体の発光導入路ならびに前記受光部と導光体の導出路とを前記搬送路を挟んで各々対向配置し、前記発光部と発光導入路の間を通過する紙葉類を透過した出射光の光量と、前記導出路と受光部の間を通過する紙葉類透過した出射光の光量と、前記迂回導光路を透過し直接受光部へ入射した出射光の光量との合成した光量を基準データとして予め設定記憶させ、挿入された紙葉類の測光データと該基準データとを比較して紙葉類の識別を行なったものである。
【0009】
上記のように、一ヶ所の発光部から出射された出射光を発光部と発光導入路の間一ヶ所で紙葉類を透光させた後に、二つの出射光に分光させ、その一つを他の導出路と受光部の間一ヶ所で紙葉類を透光させ、他の一つの迂回導光路を介して直接受光部に入射させることによって、三つの異なる透過率を有する出射光を形成し、それらの異なる三つの透過率を有する出射光を合成して基準データとした透過率パターンを作成して、挿入された紙葉類の二ヶ所を透過する出射光の少なくても一方の透過率が真券のデータと異なった場合に、その合成透過率パターンが基準データの透過率パターンと相違して表示されるため、容易に紙葉類の真贋が判定される。
【0010】
次の発明は、検知装置は、該出射光の前記発光部と発光導入路の間或いは前記導出路と受光部の間を先に通過した紙葉類の先端部分を透過した光量と、該出射光の前記発光部と発光導入路の間或いは前記導出路と受光部の間を直接透過した光量と、前記迂回導光路を透過し、直接受光部へ入射した出射光の光量との合成光量を検知し、前記紙葉類の先端部分の前記基準データと前記測光した合成光量を比較して紙葉類の斜行方向を判定するとともに、
該紙葉類の先端部分が該出射光の前記発光部と発光導入路の間或いは前記導出路と受光部の間を先に通過した時点において、前記搬送装置を制御して紙葉類の斜行を修正したものである。
【0011】
このことにより、紙葉類が搬送装置に斜行して挿入された場合にも、紙葉類の先端部分を透過した光量によって、斜行を検知して該斜行が補正され斜行した状態で検知装置に搬送されることがなく、検知装置で正確に識別される。
【0012】
次の発明は、前記搬送装置の駆動は、前記搬送装置に設けられた左右一対の搬送ベルトのうち、最初の光量が検知された紙葉類先端部側の搬送ベルトを停止することによって制御されたものである。
【0013】
このことにより、確実に紙葉類の模様部分が検知装置を通過する前に紙葉類の斜行とその方向が修正されるので、より正確に紙葉類の真贋を検知することができる。
【0014】
次の発明は、前記発光部と発光導入路の間を通過する紙葉類を透過した出射光の光量と、
前記導出路と受光部の間を通過する紙葉類を透過した出射光の光量と、前記迂回導光路を透過し直接受光部へ入射した出射光の光量との合成した光量を基準データとして予め設定記憶させ、挿入された紙葉類の測光データが該基準データの範囲を逸脱した場合に前記搬送路を逆作動させ、挿入された紙葉類を返却したものである。
【0015】
このことにより、紙葉類が重ねられて挿入されたり、大きく斜行して挿入されたりしても、紙葉類の先端で挿入不良として、検知されて、直ちに挿入口方向に返却されるので、検知装置が誤って識別するようなことがない。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、搬送路を備えた搬送装置と、発光素子を有する発光部と、受光素子を有する受光部と、該発光導入路と導出路と前記発光導入路と導出路とを中継する中継導光路と、前記中継導光路と受光部とを直接導光させた迂回導光路を形成した導光体とを有する検知装置とを備え、前記発光部と導光体の発光導入路ならびに前記受光部と導光体の導出路とを前記搬送路を挟んで各々対向配置し、前記発光部と発光導入路の間を通過する紙葉類を透過した出射光の光量と、前記導出路と受光部の間を通過する紙葉類透過した出射光の光量と、前記迂回導光路を透過し直接受光部へ入射した出射光の光量との合成した光量を基準データとして予め設定記憶させ、挿入された紙葉類の測光データと該基準データとを比較して紙葉類の識別を行なうことにより、簡単な構造で正確に紙葉類の真贋を識別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施例に係わる紙葉類識別装置を示した説明図であって、(a)は、上面図、(b)は、(a)のA−A断面図である。図2は、本発明における検知装置を示した斜視図である。図3は、本発明の識別データの一例を示したグラフである。図4は、本発明における斜行修正の状態を示した説明図である。図5は、搬送状態における斜行検知と斜行修正に関係を説明したタイミングチャートである。図6の斜行検知と修正過程を示したフローチャートである。図7は、導光体の別な構成を示した斜視図である。
【0018】
本発明の紙葉類識別装置100は、搬送装置1と紙葉類の識別をする識別装置2とを有している。この搬送装置1は、駆動源(図示しない)と、前後に紙葉類Mの挿入口(図示しない)と排出口(図示しない)を形成し、その間を一対の搬送ベルト11、12を有する搬送路13で連絡するとともに、紙葉類の挿入の有無を検知する検知センサ14を搬送路13の入口近傍に配設している。そして、この検知センサ14が紙葉類Mの挿入を検知すると駆動源(図示しない)が作動して搬送ベルト11、12を駆動させる。
【0023】
識別装置2は、図1、図2に示すように、搬送路13の上側に発光素子(図示しない)を有する発光部3(赤外線透過光)と、受光素子(図示しない)を有する受光部4とを配設するとともに、搬送路13を挟んで下側、即ち、発光部3と受光部4と反対側に、上記発光部3から出射された出射光aを受光部4へ透過誘導する導光体5を配設している。
【0024】
発光部3は、発光素子(図示しない)と矩形状の発光面31を有している。発光素子(図示しない)からの発光(赤外線透過光、以下、単に発光、出射光と称するのは、赤外線透過光を指す)は、この発光面31から導光体5に向けて出射される。尚、発光面31の形状は、矩形状に限定されず、半球形状、楕円状等でも良く、導光体5に均一に出射することができれば良い。また、受光部4の受光面および導光体5の形状についても同様である。
【0025】
受光部4は、断面が略逆台形状のブロック体に構成され、下面(導光体5側)に形成された受光面41と、側面に形成された受光面42を有している。また、上面には、受光面41で受光された出射分光a1と受光面42で受光された出射分光a2が合成された出射光a(出射分光a1+出射分光a2)を受光素子(図示しない)に照射する照射面43が形成されている。また、受光面41は、発光部3からの出射光aの出射分光a1を導出路と受光部の間を介して受光し、受光面42は、発光部3からの出射光aの出射分光a2を導光体5に一体に形成された迂回導光部54を介して直接受光する。更に、受光面42と対向した側面には、反射面44が形成され、出射分光a2を照射面43方向に反射させている。
【0026】
導光体5は、凹状の本体部分(発光導入路51、導出路52、中継導光路53)と迂回導光路54を備えている。そして、この本体部分(発光導入路51、導出路52、中継導光路53)は、搬送路13を挟んで前述の発光部3と対向して形成された発光導入路51と、受光部4と対向して形成された導出路52と、発光導入路51と導出路52の下部を接続中継する中継導光路53とを形成している。また、迂回導光路54は、中継導光路53の導出路52側から分岐し、受光部4に形成された受光面42に至る逆コ字状成している。これらは、合成樹脂やガラス等で一体に成型されている。そして、発光導入路51と中継導光路53との接続部ならびに中継導光路53と導出路52の接続部には、相対する反射面53aと53bが形成されている。尚、以下発光部3と発光導入路51の間をSP1、導出路52と受光部4の間SP2とする。
【0027】
迂回導光路54は、出射側を受光面42に接続された上部導出路54aと、入射側を中継導光路53に接続された下部導入路54bと、上部導出路54aと下部導入路54bとを中継接続している中継導光路54eより構成されている。そして、上部導出路54aと中継導光路54eの接続部ならびに中継導光路54eと下部導入路54bの接続部に相対する反射面54dと54cを形成している。
【0028】
次に、発光部3から出射された射出光aの光路について、発光部3と発光導入路51の間SP1ならびに導出路52と受光部4の間SP2に紙葉類が存在しない状態で説明する。先ず、発光部3から出射された出射光aは、発光面31から発光部3と発光導入路51の間SP1を通過して導光体5の発光導入路51の端面から導光体5内に透過される。この透過された出射光aは、反射面53aにより中継導光路53内に透過される。そして、この出射光aは、中継導光路53の反射面53bによって導出路52に反射透光される出射分光a1と迂回導光路54の下部導入路54bに透光される出射分光a2に出射分光される。出射分光a1は、導出路52から出射して導出路52と受光部4の間SP2を通過して受光部4の受光面41を透過して受光部4内に入射して照射面43から受光制御部(図示しない)へ至る。また、出射分光a2は、迂回導光路54の内部を下部導入路54b、下部反射面54c、中継導光路54e、上部反射面54d、上部導出路54aの順で透過し受光面42から受光部4内に入射した後、反射面44で反射され、照射面43から受光制御部(図示しない)へ至る。
【0029】
従って、照射面43から受光制御部(図示しない)へ出射される出射光aは、出射分光a1と出射分光a2が合成されたものである。途中の光ロスと紙葉類と透過しない場合には、その光量は、発光部3から出射された出射光aと同じ光量となる。
【0030】
そして、搬送路13内に搬送された紙葉類Mが、発光部3と発光導入路51の間SP1を通過した時、導出路52と受光部4の間SP2を通過した時、また、発光部3と発光導入路51の間SP1と導出路52と受光部4の間SP2とを同時に通過した時と、迂回導光路54から受光部4に入射した出射分光a2の合成され照射面43に入射される出射光aの光量は、各種状態によって相違する。これらの光量を基準データと比較することによって、紙葉類の真贋を判定することができる。
【0031】
以下、紙葉類の真贋を検知する手段について、次の条件下で具体的に説明する。
1:出射光として、赤外線を使用する。所謂、赤外透過光を使用する。
2:発光部3からの出射光aの光量を100。
3:紙葉類固有で模様の位置によって変化するが、先端部分(一般的には、無地であ る)の透過率は25%とする。
4:出射分光a2への出射分光配分を20%。とする。
1:発光部3と発光導入路51の間SP1ならびに導出路52と受光部4の間SP2に 紙葉類が到達していない状態では、当然、導光体5への入射光aの光量は、出射光 の100%で、受光部4へ出射された光量も(出射分光a1へ80%、出射分光a 2へ20%の合計)100%となる。
2:発光部3と発光導入路51の間SP1ならびに導出路52と受光部4の間SP2に 紙葉類が同時に到達した状態、即ち、正常に搬送されている状態では、紙葉類に描 かれた模様によって異なるが、仮に先端部分では、透過率が25%であるので、導 光体5への入射光aの光量は、100*0.25=25%となる。そして、受光部 4へ入射された出射光aの光量は、出射分光a1が25*0.80*0・25=5 %で、出射分光a2が25*0.2=5%となり、合成された光量は、合計は10 %となる。
このように、受光部4で検出される光量は、実質的に発光部3と発光導入路51の間SP1ならびに導出路52と受光部4の間SP2の2ヶ所のデータが関与することになる。従って、少なくも一方が本物と異なると当然合成された受光量も変化することになる。上記したように、紙葉類の搬送に伴って、紙葉類に描かれた模様の状態によって、受光部4に入射する光量が異なるので、この傾向を基準データとして記憶しておき、挿入された測定データと比較することによって真贋が判定できる。そして、前述の測光データを受光制御部(図しない)に入力させて光量のデータの変化を電圧や電流或いは抵抗値等に変換し、基準データと比較して範囲外の時に、搬送装置の正逆搬送を制御して紙葉類を逆送させる。
【0032】
図3は、本発明の識別データの一例を示したグラフであり、縦軸に出力電圧を、横軸に時間を取った時の紙葉類における透過率の変化を表したものである。ここで、出力電圧は、受光部4で受光した光量を公知の光量−電圧変換装置によって変換して得た数値である。また、時間は、円盤の回転を定点測定したものを時間に置換えた数値である。ある紙葉類のロアーリミットLとアッパーリミットUの設定は、サンプリングN=1000の実測値を正規分布図化し、ある範囲から外れたものを除いた測定値の下限をロアーリミットL、上限をアッパーリミットUとした。尚、当然、各種紙葉類の固有のも同様にして基準データを作成しておけば、それらの紙葉類の真贋を検知することができる。
【0033】
図中、1−1の範囲は、搬送装置1に挿入された紙葉類Mがまだ発光部3に到達していない状態であり、光量は、出射光量=受光量でこの時点で電圧が最も高く検出される。2−2の範囲は、紙葉類M先端の無地部分で受光量に応じて高い電圧が検出された。3−3の範囲は、紙葉類Mの模様部分の範囲で、測定ポイントによって検出値が異なり、この時間の軌跡をパターン化したものでこのパターンが基準データの基本となっている。
【0034】
図4および図5は、紙葉類の先端の一部が通過したときに紙葉類の斜行を確認して、直ちに斜行を修正する方法による斜行修正のタイミングを示したもので、図5は、搬送装置1に挿入された紙葉類Mの状態を示した説明図であり、紙葉類Mの状態は、次の3通りに分類される。尚、この時、紙葉類Mの先端無地部分の透過率を25%と仮定して説明する。
ex1:正常な状態で搬送される。従って、発光部3と発光導入路51の間SP1ならびに導出路52と受光部4の間SP2に同時に紙葉類Mが到達する。(図中実線で表示した。)
ex2:少し斜行して、発光部3と発光導入路51の間SP1に先に紙葉類が到達した状態である。(図中破線で表示した。)
ex3:大きく斜行して、導出路52と受光部4の間SP2に先に紙葉類が到達した状態である。(図中一点鎖線で表示した。)
【0035】
次に、各状態における搬送装置1に挿入された紙葉類の傾斜を修正するタイミングを図5に基づいて説明する。図5(a)に示すように、紙葉類Mが搬送装置1の搬入口(図示しない)から内部に挿入されると、検知センサ14でその存在を確認し、モータMoを停止状態から駆動し、正回転させる。この時には、いずれの状態ex1〜ex3でも紙葉類Mは、搬送ベルト11、12によって搬送される。
【0036】
図5(b)は、斜行状態を修正するために、搬送装置1の搬送ベルト11、12の駆動を制御するクラッチCL(搬送ベルト11の駆動制御用)とクラッチCR(搬送ベルト12の駆動制御用)のon、offのタイミングを示したものであり、図6(c)は、出射光aが受光部4で受光された時の受光量と搬送装置1の駆動タイミングを示したものである。尚、本実施例では、モータMoは常時正回転しており、クラッチをoffにした時に搬送ベルト11、12が停止するように設定しているが、逆にクラッチをonにした時に逆サイドの搬送ベルトが停止するようにしても良い。
【0037】
以下、各状態ex1〜ex3について、順次説明する。
ex1:正常な状態で搬送される。従って、発光部3と発光導入路51の間SP1ならびに導出路52と受光部4の間SP2に同時に紙葉類Mが到達し、受光部4での受光量は、ゾーン3に位置するため、クラッチCL、クラッチCRのいずれも作動せず、搬送ベルト11、搬送ベルト12が停止することがなく紙葉類は搬送される。(図中実線で表示した。)
【0038】
ex2:(少し斜行して、発光部3側が先行する状態である。図中破線)で発光部3と発光導入路51の間SP1に先に紙葉類が到達した状態が最初に検出される。この時の受光量は、ゾーン2に該当する。(実際には、検出する受光量には幅±5を持たせている)このゾーン2の達した時に、クラッチCLが作動し、搬送ベルト11が一定時間t1だけ停止する。即ち、クラッチCRは作動せず、搬送ベルト12のみ一定時間t1だけ駆動し、紙葉類Mの導出路52と受光部4の間SP2側を搬送し、紙葉類Mの斜行を修正する。そして、最終的に紙葉類Mが発光部3と発光導入路51の間SP1と導出路52と受光部4の間SP2に達した時に検知される受光量10%のゾーン3に達した時に、搬送ベルト11と12が駆動し、正常状態で紙葉類Mを搬送する。そして、これらの一連の動作で、紙葉類Mの斜行は修正される。
【0039】
ex3:(大きく斜行して、受光部3側が先行する状態である図中一点鎖線。)で導出路52と受光部4の間SP2のみに紙葉類が先に到達した状態が最初に検出される。この時の受光量は、ゾーン1に該当する。(実際には、検出する受光量には幅±5を持たせている)このゾーンZ1の達した時に、クラッチCRが作動し、搬送ベルト12が一定時間t2だけ停止する。この停止時間は、紙葉類の斜行状態が大きければ大きい分長くなる。即ち、クラッチCLは作動せず、搬送ベルト11のみ一定時間t2だけ駆動し、紙葉類Mの発光部3と発光導入路51の間SP1側を搬送し、紙葉類Mの斜行を修正する。そして、最終的に紙葉類Mが発光部3と発光導入路51の間SP1と導出路52と受光部4の間SP2に達した時に検知される受光量10%のゾーン3に達した時に、搬送ベルト11と12が同時に駆動し、正常状態で紙葉類Mを搬送する。そして、これらの一連の動作で、紙葉類Mの斜行は修正される
【0040】
以上の修正工程を図6のフローチャートで説明すると、スタートで紙葉類を挿入し、検知センサ14で挿入が確認されると、搬送装置1が駆動し、紙葉類Mを発光部3と発光導入路51の間SP1ならびに導出路52と受光部4の間SP2に搬送する。この時、紙葉類Mが同時に発光部3と発光導入路51の間SP1ならびに導出路52と受光部4の間SP2に搬送されると、紙葉類は斜行されていないと認識され、そのまま搬送される。ここで、発光部3と発光導入路51の間SP1ならびに導出路52と受光部4の間SP2で先に紙葉類の通過を検知すると、発光部3と発光導入路51の間SP1が先行するように斜行しているものと認識し、クラッチCLをoffにして、搬送ベルト11を停止させ、紙葉類が導出路52と受光部4の間SP2を通過した時点で、紙葉類の斜行が修正されたと認識し、再度クランチCLをonさせて紙葉類を搬送する。逆に、導出路52と受光部4の間SP2で先に紙葉類の通過を検知すると、導出路52と受光部4の間SP2側が先行するように斜行しているものと認識し、クラッチCRをoffにして、搬送ベルト12を停止させ、紙葉類が発光部3と発光導入路51の間SP1を通過した時点で、紙葉類の斜行が修正されたと認識し、再度クラッチCRをonさせて紙葉類を搬送する。
【0041】
図7は、本発明の検知装置に用いられている導光体の別の形態を示したものである。尚、実施例1と類似の構成には同符号を付し、説明は省略する。発光部3から発光された出射光aは、反射面53aにより中継導光路53内に透過される。そして、この出射光aは、中継導光路53の端部で反射面53bによって導出路52に透過される出射分光a1と迂回導光路54の下部下部導入路54bに透過される出射分光a2に出射分光される。この例では、出射分光a2は、迂回導光路54の内部を下部導入路54b、下部反射面54c、上部反射面54d、上部導出路54aに対向して形成された反射面54fの順で透過し、受光制御部(図示しない)への照射面43に至るもので、透過経路が短縮され、ロスが少なくなり、透過効率の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施例に係わる紙葉類識別装置を示した説明図であって、(a)は、上面図、(b)は、(a)のA−A断面図である。
【図2】本発明の検知装置を示した斜視図である。
【図3】本発明の識別データの一例を示したグラフである。
【図4】本発明における斜行修正の状態を示した説明図である。
【図5】

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路を備えた搬送装置と、
発光素子を有する発光部と、受光素子を有する受光部と、該発光導入路と導出路と前記発光導入路と導出路とを中継する中継導光路と、前記中継導光路と受光部とを直接導光させた迂回導光路を形成した導光体とを有する検知装置とを備え、
前記発光部と導光体の発光導入路並びに前記受光部と導光体の導出路とを前記搬送路を挟んで各々対向配置し、
前記発光部と発光導入路の間を通過する紙葉類を透過した出射光の光量と、前記導出路と受光部の間を通過する紙葉類を透過した出射光の光量と、前記迂回導光路を透過し、直接受光部へ入射した出射光の光量との合成した光量を基準データとして予め設定記憶させ、
挿入された紙葉類の測光データと該基準データとを比較して紙葉類の識別を行なった
ことを特徴とする、紙葉類識別装置。
【請求項2】
請求項1項に記載の紙葉類の紙葉類識別装置において、
検知装置は、該出射光の前記発光部と発光導入路の間或いは前記導出路と受光部の間を先に通過した紙葉類の先端部分を透過した光量と、該出射光の前記発光部と発光導入路の間或いは前記導出路と受光部の間を直接透過した光量と、前記迂回導光路を透過し、直接受光部へ入射した出射光の光量との合成光量を検知し、
前記紙葉類の先端部分の前記基準データと前記測光した合成光量を比較して紙葉類の斜行方向を判定するとともに、
該紙葉類の先端部分が該出射光の前記発光部と発光導入路の間或いは前記導出路と受光部の間を先に通過した時点において、前記搬送装置を制御して紙葉類の斜行を修正した
ことを特徴とする、紙葉類識別装置。
【請求項3】
請求項1項乃至請求項2項のいずれかに記載の紙葉類の紙葉類識別装置において、
前記搬送装置の駆動は、前記搬送装置に設けられた左右一対の搬送ベルトのうち、最初の光量が検知された紙葉類先端部側の搬送ベルトを停止することによって制御された
ことを特徴とする、紙葉類識別装置。
【請求項4】
請求項1項に記載の紙葉類の紙葉類識別装置において、
前記発光部と発光導入路の間を通過する紙葉類を透過した出射光の光量と、
前記導出路と受光部の間を通過する紙葉類を透過した出射光の光量と、
前記迂回導光路を透過し直接受光部へ入射した出射光の光量との合成した光量を基準データとして予め設定記憶させ、
挿入された紙葉類の測光データが該基準データの範囲を逸脱した場合に前記搬送路を逆作動させ、挿入された紙葉類を返却した
ことを特徴とする、紙葉類識別装置。

【図4】の搬送状態における斜行検知と斜行修正に関係を説明したタイミングチャートであって、(a)は、モータの運転タイミングをしめしたもので、(b)は、紙葉類の斜行を修正するクラッチの作動時間のタイミングを示し、(c)は、クラッチのon,offタイミングを示したものである。
【図6】
【図5】の斜行検知と修正過程を示したフローチャートである。
【図7】導光体の別な構成を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
M…紙葉類
a…出射光
a1…出射分光
a2…出射分光
100…紙葉類識別装置
1…搬送装置
11…搬送ベルト(左側)
12…搬送ベルト(右側)
13…搬送路
14…検知センサ
2…識別装置
3…発光部
31…発光面
4…受光部
41…受光面
42…受光面
43…照射面
44…反射面
5…導光体
51…発光導入路
52…導出路
53…中継導光路
53a…反射面
53b…反射面
54…迂回導光路
54a…上部導光路
54b…下部導入路
54c…(下部)反射面
54d…(上部)反射面
54e…(迂回導光路)中継導光路
54f…反射面
SP1…発光部3と発光導入路51の間
SP2…導出路52と受光部4の間
1−1…紙葉類が検知装置の受光部に未到達な状態での検知光量(電圧変換)
2−2…紙葉類の先端部分が検知装置の受光部に到達した状態での検知光量(電圧変換)
3−3…紙葉類の模様部分が検知装置の受光部を通過した状態での検知光量(電圧変換)
U…アッパーリミット
L…ロアーリミット
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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