説明

紙製コーン容器

【課題】
本発明は、底部の水漏れを防止できると共に量産性が極めて高い紙製コーン容器の提供を課題とするものであり、特に紙製コーン容器の成形時の溶着の程度を高め、不要な剥がれのない容器の提供を課題とする。
【解決手段】
係る課題を解決するため、溶融中のポリエチレンを容器素材の紙に流下延展した上で、冷却固着したポリエチレンラミネート紙よりなる容器素材を用い、辺部と、弧状辺と、側辺と、側辺によって構成する容器素材であり、境界線で区分けした略三分の一の箇所7から側辺2方向を溶着部とし、境界線で区分けした該箇所から側辺3方向を容器形成部とし、一方の側辺2と他方の側辺3との交点部の内側に折り目線を設けて三角形の折り返し片を形成し、円錐状に巻き込むと共に折り返し片を内側に折り込んで形成した上で該溶着部で溶着した紙製コーン容器を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイスクリーム等の冷菓を収納するために使用する可食用のコーン容器を包装するための紙製コーン容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、アイスクリーム等の冷菓に関しては、これを収納する可食性のもなかのコーン容器に収納し、更にこのもなかの可食コーン容器を紙製コーン容器で包装するものであった。
【0003】
係る紙製容器として実開昭56−166213号(特許文献1)が存在する。
係る構造は、ポリエチレンラミネート加工したコーン素材の一側辺に近い内面を糊代又は糊代代わりとして内側に丸め込んで他端辺と貼着してコーン容器を構成するものである。
しかし係る構造ではコーン容器の巻回製造時に予めコーン素材の底部近くの一側辺内面を他側辺内面に部分的に接着して局所的な袋体部分を作る必要が出るものである。
従ってコーン容器としての巻回製造時において、局部的な袋体部分を作るために巻回動作を中断しなければならないものである。
【0004】
更にこの中断時に袋体の部分の形成に必要な接着作業が必要となるものである。
これらのことにより作業性が悪く、コーン容器の量産性を阻害するものとなっていた。
更に尖端部分からの水漏れの恐れがあった。
これに対して係る点を改良すべく実開平1−51010号(特許文献2)および実開平1−51011号(特許文献3)が存在する。
かかる構成は、側辺交点を中心に巻き込むと共に折り目線から三角形の折り返し片を内側に折り返し、更にこの折り返された折り返し片を覆って接着部を成形部でコーン状に作られた容器の外側に接着した構成とするもの(特許文献2)である。
【0005】
又、三角形の折り返し片に変えて台形の折り返し片をもって構成するもの(特許文献3)もある。
又、以上の各種の紙製のコーン容器はコーン状即ち円錐状に成形して構成するものであることからその展開状態における紙素材は、略扇形状よりなるものが前提である。
従って、糊代部分を合わせて略扇状の展開紙素材を円錐体で丸め込んで円錐形状を形作るものである。
【特許文献1】実開昭56−166213号
【特許文献2】実開平1−51010号
【特許文献3】実開平1−51011号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上の様に、可食用のもなかのコーン容器を包装するための紙製容器としては係る構造のものが用いられてきたものである。
しかし、まず特許文献1に示す構成は前記した欠点を有するものであり、更には特許文献2及び3に関しては、水漏れ防止及び作業性の向上は図れるが、樹脂フィルムを裏面に貼着するか或いは衛生上支障のない接着剤を用いることが必要である。
即ち、製造上樹脂フィルムを予め製造し、このフィルムに貼着することが必要であって、極めて作業性が低くなってしまう。
【0007】
特に樹脂フィルムの特性によってヒートシールする場合には紙繊維に入り込んだ状態のラミネートをなされていないと接着性が低くなってしまうものである。
又、接着剤を用いた場合に例えばホットメルトを用いるとどうしてもはみ出し部などが出てしまい、大量生産時に不必要な箇所にホットメルトの貼着が出てしまい歩留まりが悪くなってしまうものである。
更に通常の糊を用いた場合にも、きれいに又はきっちりとした貼着は極めて難しいものであった。
【0008】
又、紙製コーン容器の成形は、できる限り低廉にかつ簡単に製造することが必要であり、コーン容器の溶着部も溶着しやすい形状が望まれる。
以上のことより、底部の水漏れを防止できると共に紙製コーン容器の量産性が極めて高く、更には低廉にかつ簡単に製造できる紙製コーン容器の提供が望まれるものであり、係る点を解決することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
係る課題を解決するため請求項1に係る発明は、溶融中のポリエチレンを容器素材の紙に流下延展した上で、冷却固着したポリエチレンラミネート紙よりなる容器素材を用い、容器素材の略三分の一の箇所から側辺へ斜めに切れ込んだ傾斜した辺部と、該箇所から他側辺に向けて形成した弧状辺と、側辺と、側辺によって構成する容器素材からなり、略三分の一の箇所から側辺方向と、該箇所から側辺方向とを、境界線で区分けをし、側辺方向に形成される略三角形状を溶着部とし、該箇所から側辺方向を容器形成部とし、該容器素材の一方の側辺と他方の側辺との交点部の内側に一方の側辺側から他方の側辺側に向けて折り目線を設けて三角形の折り返し片を形成し、一方の側辺から円錐状に巻き込むと共に該巻き込みに際して折り返し片を折り目線で内側に折り込んで円錐状に形成した上で該溶着部を溶着して形成した紙製コーン容器よりなり、係る容器によって前記課題を解決できる。
【0010】
或いは、請求項2に係る発明のように側辺方向に形成される略三角形状を溶着部の略三分の一の箇所から側辺へ斜めに切れ込んだ斜線と、側辺とが、略平行である紙製コーン容器でも、請求項3に係る発明のように折り目線が、側辺側から他方の側辺側に向けて若干下り傾斜をする折り目線である紙製コーン容器でもよい。
これらの場合特に、請求項4に係る発明のように容器素材が、ポリエチレン樹脂を押出機でTダイより押し出し、この溶融中のポリエチレンを容器素材の紙に流下延展した上で、冷却固着したポリエチレンラミネート紙よりなる容器素材である紙製コーン容器であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
以上のように構成したことから底部の水漏れを防止できると共に紙製コーン容器の量産性が極めて高い紙製コーン容器の提供することができる。
特に紙表面のポリエチレンのみに限らず、紙繊維内に絡みついたポリエチレンによっても溶着するものであり、その溶着の程度は極めて高いものであって、水漏れを防止できると共に極めて見栄えのよい紙製コーン容器の提供を可能とするものである。
更に、略三角形状の溶着部を用いたものであって、溶着部の各辺部は直線形状となり、溶着の剥がれ等を 高い精度で防ぐことができるものである。
又、容器素材をより少ない面積で製造することができ、コストの低減が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明に係る紙製コーン容器の使用状態の一例を示す図である。
本図に示すように略円錐形状のコーン形状よりなる紙製容器であり、アイスクリーム等の冷菓Aを可食性のもなかBのコーン容器で収納し、更に該もなかBのコーン容器を本考案に係る紙製コーン容器で包装しているものである。
従って、係る状態で使用するものである。
【0013】
図2は、図1に示す紙製コーン容器を展開した状態の一例を示す図である。
係る展開状態の容器素材1はその一端方向が斜めに傾斜した辺部90を有し、他端方向が略扇状の外周端辺部である弧状辺9を有する形態であって、全体として略扇状の弧状の辺の一端辺部方向は斜めに傾斜した辺部90からなる形状を基調とするものである。
この略扇状の容器素材1の一方の側辺2と他方の側辺3との交点部4の内側に一方の側辺2側から他方の側辺3側に向けて若干下り傾斜をする折り目線5を設けて三角形の折り返し片6を形成する。
【0014】
又前記折り目線5と前記一方の側辺2との交点Pに近い前記一方の側辺交点8と前記扇状をなす容器素材1の弧状辺9の前記一方の側辺2側から弧長の略三分の一の箇所7とを結ぶ境界線10をもって容器形成部11と溶着部12とに区分けする。
即ち、略三分の一の箇所7から境界線10を挟んで側辺2側が溶着部12となり、側辺3側が容器形成部11となる。
この場合略三分の一の箇所7から側辺2の該周辺部分は斜めに切れ込んだ斜線90によって形成されており、又側辺2とは、境界線10の長さに比して略三分の二程度の位置20で交差するものであり、略三角形状の溶着部12を有するものである。
【0015】
従って、略扇状の容器素材1の略三分の一の箇所7から短い弧状辺部分を他の側辺3とほぼ平行状態できり欠いた略三角形状の溶着部11を有する紙素材1を用いて紙製コーン容器を成形するものである。
尚、前記三分の一の箇所7は、容器としての開口角度に応じて定めればよいものである。
この様な容器素材1は、図3乃至図5に示すように円錐体13の尖頭部14を折り目線5と一方の側辺2との交点Pにあて、該円錐体13の周囲に該円錐体13を回しながら容器形成部11を巻きつけてから折り目線5で折り返し片6を折り曲げるものである。
【0016】
図3に示すように、側辺2の略三分の二程度の位置20を含む側辺2から円錐体13にまきつけて、図4に示すように円錐体13を回しながら、或いは円錐体13を固定して容器素材1を丸め込んで、形成していくものである。
図5に示すように、折り返し片6を折り目線5で折り込んで紙製のコーン容器の底部即ち先端の部分を形成する。
更に図6に示すようにヒーターバー15をもって、溶着部12を溶着するものである。
これらの場合、図示する構成は側辺2から巻き込んで形成するが、これに限らず側辺3側から巻き込んで円錐形状を形作るものであってもよい。
【0017】
係る場合に、容器素材1は次の構成によって紙にポリエチレンラミネートされた素材よりなるものである。
該構成は、まずポリエチレン樹脂粒等をエクストルーダー(圧縮加熱押出機)でTダイより押出し、一定の幅(例えば約600ミリ乃至2000ミリ程度)で厚さ約15ミリ乃至30ミリ程度のフィルムとなし、これを直ちに各種巻取り紙に流下してこの紙上に流下延展する。
紙上に流下した溶融中のポリエチレンは紙に密着して紙の繊維内に絡みつき冷却固着し、紙にラミネートされる。
このポリエチレンラミネート紙は、冷却後に成形し、或いは冷却時又は冷却前に成形し、成形時において、この溶着部12においてヒーターバー15によって熱溶着されるものである。
【0018】
又折り返し片6においても、同様に溶着できるものであり、紙製コーン容器の先端の部分における水漏れ等を防ぐことができる。 もとより側面における溶着部12においても同様である。
これらの場合、例えばこの溶着部12で紙の厚さに応じて適宜な温度例えば200度乃至300度程度で短時間(例えば0.5乃至1秒)程度加熱して溶融させるものである。
この他、例えば、ポリエチレン表面を接面直前に150度乃至200度程度に加熱し、接合するものであってもよい。
【0019】
これらによって、紙製コーン容器を成形した際に、加熱による溶融によって成形できると共に紙繊維内に絡みついたポリエチレンの融着もなされることとなり、容易にかつ強固に溶融することができる。
従って、極めて成形性の高い紙製コーン容器の提供ができると共にシール部分もきっちりとシールし、水漏れ等を極めて高い精度で抑えることができるものである。
更に、三角形状の溶着部によって溶着することから、溶着部を構成する辺の部分は円弧状ではなく直線状構成となり、溶着の不要な剥がれ等を防止でき、溶着の効率及び溶着性の高さを発揮できものであって、溶着剥がれを高い精度で防止できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る紙製コーン容器を用いた一例を示す図
【図2】本発明に係る紙製コーン容器の展開状態の一例を示す図
【図3】本発明に係る紙製コーン容器の成形段階の一例を示す図
【図4】本発明に係る紙製コーン容器の成形段階の一例を示す図
【図5】本発明に係る紙製コーン容器の成形段階の一例を示す図
【図6】本発明に係る紙製コーン容器の成形段階の一例を示す図
【符号の説明】
【0021】
1 容器素材
2 側辺
3 側辺
4 交点部
5 折り目線
6 折り返し片
7 略三分の一の箇所
8 側辺交点
9 弧状辺
10 境界線
11 容器形成部
12 溶着部
13 円錐体
14 尖頭部
15 ヒーターバー
20 略三分の二程度の位置
90 傾斜した辺部
P 交点
A アイスクリーム等の冷菓
B 可食性のもなか

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融中のポリエチレンを容器素材の紙に流下延展した上で、冷却固着したポリエチレンラミネート紙よりなる容器素材1を用い、
容器素材1の略三分の一の箇所7から側辺2へ斜めに切れ込んだ傾斜した辺部90と、該箇所7から他側辺3に向けて形成した弧状辺9と、側辺2と、側辺3によって構成する容器素材1からなり、
略三分の一の箇所7から側辺2方向と、該箇所7から側辺3方向とを、境界線10で区分けをし、側辺2方向に形成される略三角形状を溶着部12とし、該箇所7から側辺3方向を容器形成部11とし、
該容器素材1の一方の側辺2と他方の側辺3との交点部4の内側に一方の側辺2側から他方の側辺3側に向けて折り目線5を設けて三角形の折り返し片6を形成し、
いずれか一方の側辺から円錐状に巻き込むと共に該巻き込みに際して折り返し片6を折り目線5で内側に折り込んで円錐状に形成した上で該溶着部12を溶着して形成したことを特徴とする紙製コーン容器。
【請求項2】
側辺2方向に形成される略三角形状を溶着部12の略三分の一の箇所7から側辺2へ斜めに切れ込んだ斜線90と、側辺3とが、略平行であることを特徴とする請求項1記載の紙製コーン容器。
【請求項3】
折り目線5が、側辺2側から他方の側辺3側に向けて若干下り傾斜をする折り目線5であることを 特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の紙製コーン容器。
【請求項4】
容器素材1が、ポリエチレン樹脂を押出機でTダイより押し出し、この溶融中のポリエチレンを容器素材1の紙に流下延展した上で、冷却固着したポリエチレンラミネート紙よりなる容器素材であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の紙製コーン容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−260566(P2008−260566A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−105912(P2007−105912)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【出願人】(506048728)有限会社ホクオーパック (26)