説明

紙製ロールブラシ作製方法および紙製ロールブラシ

【課題】本発明は、薄い紙シートを丸めた後、捩じり、縒ったブラシ毛とし、前記ブラシ毛をチャンネル部材に植え込んだ紙製ロールブラシ作製方法および紙製ロールブラシに関するものである。
【解決手段】本発明の紙製ロールブラシ作製方法は、薄い紙シートを丸めた棒状体とし、前記丸めた棒状体を捻じった後に縒り、前記縒られた棒状体の一本または複数本を集合して紙製ブラシ毛とする。前記紙製ブラシ毛は、半分に折られ、チャンネル部材に植え込み、前記チャンネル部材の側部を挟持して、チャンネルブラシとする。前記チャンネルブラシは、心棒に螺旋状に巻き付けられ、あるいは、複数個の円盤状にして重ねられて、紙製ロールブラシが作製される。前記紙製ロールブラシは、柔らかさおよび強度が増加し、腰が強く、かつ、柔軟性の優れている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄い紙シートを丸めた後、捩じり、縒ったブラシ毛とし、前記ブラシ毛をチャンネル部材に植え込んだ紙製ロールブラシ作製方法および紙製ロールブラシに関するものである。本発明は、紙独特の柔らかさ、捻じりおよび縒りによる腰の柔軟性、長さを調整することによる紙独特の柔らかさ、強さ、弾力性を容易に変えられる紙製ロールブラシ作製方法および紙製ロールブラシに関するものである。なお、本明細書において、「紙シートを丸めた後、捩じり、これらを縒ったブラシ毛」を「捻じり縒りブラシ毛」と記載する。
【背景技術】
【0002】
特開2007−021014号公報に記載されているブラシは、熱溶着性を有する複数本のブラシ毛を長尺チャンネル部材内において、互いに熱溶着された状態で植え込まれ、前記長尺チャンネル部材の開口面から突出して長手方向に連続した状態で形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−021014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、チャンネル型ブラシは、ブラシ毛のほぼ中央部を二つに折り曲げ、断面コ字状の細長いチャンネル部材の間に挿入し、両側から圧力をかけて、両者を一対にすることにより、作製される。しかし、前記チャンネル型ブラシは、ブラシ毛が金属線または金属線を含む場合、前記金属線の根本または途中から折れて、周囲に飛び散り、作業者を傷つけるという問題があった。また、前記金属線を使用たブラシは、表面の柔らかい液晶表示画面の表面を上手に磨くことができなかった。紙製の製品は、水に弱いため、紙コップ、紙皿のように成形したもの以外、使用が制限されていた。
【0005】
以上のような課題を解決するために、本発明は、薄い紙シートを丸め、捩じり、縒りを加えることにより、被研磨面が紙独特の柔らかさを持つだけでなく、腰に弾力がある紙製ロールブラシの作製方法および紙製ロールブラシを提供することを目的とする。また、本発明は、薄い紙シートを丸め、捩じり、縒って作製された紙製ブラシ毛をチャンネル部材に植え込んだ後、紙製ロールブラシとすることにより、紙製品として独特の柔らかさ、および硬さ、独特の強さ、弾力を有する紙製ロールブラシの作製方法および紙製ロールブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(第1発明)
第1発明の紙製ロールブラシ作製方法は、薄い紙シートの端部から丸めて棒状体を作製する工程と、前記棒状体を捻じる工程と、前記捻じられた棒状体を縒る工程と、前記縒られた棒状体を集合して紙製ブラシ毛とする工程と、前記紙製ブラシ毛を半分に折って、チャンネル部材に植え込んで、紙製チャンネルブラシを作製する工程と、前記紙製チャンネルブラシを心棒に螺旋状に巻き付け、あるいは、複数個の円盤状にして重ねる工程とから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0007】
(第2発明)
第2発明の紙製ロールブラシ作製方法において、前記紙製ブラシ毛の先端部近傍は、接着剤を染み込ませて乾燥後に成形することを特徴とする。
【0008】
(第3発明)
第3発明の紙製ロールブラシ作製方法において、前記棒状体は、中心に紙製部材、金属線、合成樹脂製ブラシ毛、動植物ブラシ毛の少なくとも一つが巻き込まれていることを特徴とする。
【0009】
(第4発明)
第4発明の紙製ロールブラシ作製方法において、前記棒状体は、接着剤により、砥粒が接着されていることを特徴とする。
【0010】
(第5発明)
第5発明の紙製ロールブラシは、薄い紙シートの端部から丸められた棒状体が捻じられるとともに、縒られた紙製ブラシ毛と、前記紙製ブラシ毛が挟持されたチャンネル部材と、前記紙製ブラシ毛が挟持されたチャンネル部材を心棒に螺旋状に巻き付け、あるいは、複数個の円盤状部材として重ねられてロール状に形成されていることを特徴とする。
【0011】
(第6発明)
第6発明の紙製ロールブラシにおいて、前記紙製ブラシ毛の先端部近傍は、接着剤の固さにより所望の形状に成形されていることを特徴とする。
【0012】
(第7発明)
第7発明の紙製ロールブラシにおいて、前記棒状体は、中心に紙製部材、金属線、合成樹脂製ブラシ毛、動植物ブラシ毛の少なくとも一つが巻き込まれていることを特徴とする。
【0013】
(第8発明)
第8発明の紙製ロールブラシにおいて、前記棒状体は、接着剤により、砥粒が接着されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、薄い紙製シートを丸めた後、捩じり、縒った紙製ブラシ毛とし、前記紙製ブラシ毛をチャンネル部材に植え込み、心棒に巻き付けた紙製ロールブラシとすることにより、紙独特の柔らかさ、弾性、バネ性、あるいクッション性が向上し、腰部分に柔軟性を有する紙製ロールブラシを作製することができる。
【0015】
本発明によれば、前記捻じり縒り紙製ブラシ毛に接着剤を適度に染み込ませることにより、前記柔らかい紙製ブラシ毛に弾力と強度を持たせることができるため、所望の柔らかさ、弾力、強度を持たせた紙製ロールブラシとすることができる。前記紙製ロールブラシは、接着剤により、先端部を金型等により所定の形状に成形し、研磨面を固くすることができる。
【0016】
本発明によれば、紙シートを丸める際に、金属線、合成樹脂製ブラシ毛、動植物ブラシ毛を芯線として巻き込むことにより、捻じり縒り紙製ブラシ毛の腰の柔軟性を調整することができ、使用目的に合った紙製ロールブラシを作製することができる。
【0017】
本発明によれば、捻じり縒り紙製ブラシ毛にペースト状接着剤を用い、砥粒を付着させることにより、紙製独特の柔らかさと砥粒の硬さを兼ね備えた紙製ロールブラシを得ることがてきる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(イ)から(ヘ)は本発明の捻じり縒り紙製ロールブラシの作製方法を順次説明するための模式図である。(実施例1)
【図2】(イ)から(ニ)は本発明に使用する捻じり縒り紙製ロールブラシを作製する状態を説明するための模式図である。
【図3】(イ)および(ロ)は本発明の捻じり縒り紙製ブラシ毛を連続して紙製ロールブラシとした場合の例を説明するための模式斜視図および側面図である。
【図4】(イ)および(ロ)は本発明の捻じり縒り紙製ブラシの他の実施例で、先端部の形状を成形により変えた例を説明するための模式図である。(実施例2)
【図5】(イ)および(ロ)は本発明の捻じり縒りブラシ毛をチャンネル部材に植設した後に、芯の周囲に巻回して紙製ロールブラシを作製した例を説明するための図である。
【図6】(イ)および(ロ)は本発明の捻じり縒りブラシ毛を捻じった捻じりブラシを作製した例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1発明)
第1発明における紙製ロールブラシ作製方法は、薄い紙シートを丸めた棒状体とし、前記丸めた棒状体を捻じった後に、これらを縒り、前記縒られた棒状体の一本または複数本を集合して紙製ブラシ毛とする。前記紙製ブラシ毛は、たとえば、半分に折られ、チャンネル部材に植え込み、前記チャンネル部材の側部を挟持、または接着剤により、チャンネルブラシとする。前記チャンネル部材は、金属製の場合、側部から力を加えることにより前記紙製ブラシ毛を挟持する。また、前記チャンネル部材は、合成樹脂製の場合、熱を加えることにより前記紙製ブラシ毛を挟持する。前記チャンネルブラシは、心棒に螺旋状に巻き付けられ、あるいは、複数個の円盤状にして重ねられて、紙製ロールブラシが作製される。
【0020】
前記薄い紙シートは、たとえば、ケナフまたは楮のような和紙を原料とすることができる。和紙からなる紙シートは、ひげのような細い繊維、および濃淡を有する部分からなり、捻じり縒りブラシ毛の先端部が柔軟であり、たとえば、大型液晶表示画面を拭くブラシを作製することができる。また、通常使用される木材パルプは、和紙以外に、洋紙、古紙、牛乳パック、段ボール等がある。これらの紙は、それぞれ独特の柔らかさ、強さ、腰の柔軟性を得ることができる。丸められ、捻じられた後、縒られた紙製ブラシ毛は、柔らかさおよび強度が増加し、腰が強く、かつ、柔軟性の優れている。特に、前記捻じり縒り紙製ブラシ毛は、長さを調節することにより、腰の強さを容易に調整することができる。
【0021】
前記紙製ロールブラシ作製方法は、薄い紙製シートを丸めた後、捻じり、さらに、縒っているため、先端部が紙独特の柔らかさを有し、強度が高く、研磨ブラシとして腰に柔軟性があるだけでなく、水に対する耐候性が高く、強度も高い。前記作製方法で作製された紙製ロールブラシは、たとえば、大型液晶表示装置の画面、大型ガラス部材またはセラミック部材の表面を磨くのに適した柔らかさ、強度、および柔軟性を兼ね備えている。本発明は、紙の種類、捩じりおよび縒り方を選択することにより、紙独特の柔軟性、腰の強さ、摩擦力等を調整することができる。
【0022】
(第2発明)
第2発明の紙製ロールブラシ作製方法において、紙製ブラシ毛の先端部近傍は、接着剤が染み込まされた後、乾燥させる。その後、前記乾燥された紙製ブラシ毛は、金型等によって、所望の形状に成形される。前記紙製ブラシ毛は、紙の種類、接着剤の種類または濃度を変えることにより、先端部の形状を所望のものとすることができるだけでなく、先端部の固さ、あるいは腰の部分の固さを紙独特のものに加えて調整することができる。
【0023】
(第3発明)
第3発明における紙製ロールブラシ作製方法において、紙製の棒状体は、その中心に少なくとも1本の金属線、合成樹脂製ブラシ毛、動植物ブラシ毛のいずれかを芯とすることができる。前記金属線、合成樹脂製ブラシ毛、動植物ブラシ毛は、材質および/または本数を任意に選択することにより、紙の種類、捩じりおよび縒りによって生じる紙独特の強度、柔軟性、摩擦性、および腰の弾力性を得ることができる。
【0024】
(第4発明)
第4発明における紙製ロールブラシ作製方法において、紙製または紙製で芯が入った棒状体は、接着剤により、砥粒が接着されている。前記砥粒は、たとえば、シリコンカーバイト、アルミナ、ジルコニア、ダイアモンド、エメリー、酸化セリウム、金属砥粒のうちの少なくとも一つであり、ペースト状接着剤により、所定量が接着される。前記砥粒およびペースト状接着剤の量は、紙製ロールブラシの使用目的および紙製ロールブラシで拭く対象物によって任意に選択できる。さらに、前記砥粒およびペースト状接着剤の入れる場所(先頭部、先頭部および腰部等)は、前記同様に、紙製ロールブラシの使用目的および紙製ロールブラシで拭く対象物によって任意に選択できる。前記砥粒は、たとえば、2%から30%混入させることにより、紙独特の強さおよび柔軟性を持たせると同時に、紙以外の硬さを持たせることができる。
【0025】
前記紙製ロールブラシのブラシ毛は、紙製デッキ、紙製チャンネル、あるいは紙製筒体に組み込まれる。前記紙製デッキ、紙製チャンネル、あるいは紙製筒体に組み込まれた紙製ブラシは、紙製ブラシ毛とともに、軽量化が可能であり、省力化が可能である。紙製デッキ、紙製チャンネル、あるいは紙製筒体は、接着剤等で成形する際に、肉抜き部を作製し、材料および重さをさらに軽減することができる。
【0026】
(第5発明)
第5発明における紙製ロールブラシは、紙製ブラシ毛と、前記紙製ブラシ毛を組み込んだ、紙製デッキ、紙製チャンネル、あるいは紙製筒体とから少なくとも構成されている。前記紙製ブラシ毛は、始め、薄い紙シートの端部から丸められた棒状体のものを捻じった後に、縒られたものである。紙製デッキ、紙製チャンネル、あるいは紙製筒体からなる紙製ブラシは、従来の作製方法により、作製される。特に、紙製チャンネルは、紙製ブラシ毛を挟んだ後、接着剤等により固定する。さらに、紙製チャンネルは、接着剤が乾燥して固くなる前に、心棒に螺旋状に巻回して、紙製ロールブラシに加工することができる。また、前記捩じりおよび縒られた紙製ブラシ毛素材は、捩じりおよび縒り部において、紙独特の柔らかさに加えて隙間ができるため、研磨面の振動を吸収することができ、表面の柔らかい部材の研磨に独特の効果を発揮する。
【0027】
(第6発明)
第6発明の紙製ロールブラシは、紙製ブラシ毛の先端部近傍に接着剤を染み込ませ、金型等により、所望の形状に成形する。前記紙製ブラシ毛は、紙の種類、接着剤の材質あるいは濃度を選択することにより、紙独特の固さ、捩じりおよび縒りによって生じる固さ、柔軟性、腰の弾力性を調整にすることができる。
【0028】
(第7発明)
第7発明の紙製ロールブラシは、紙製ブラシ毛の中心に少なくとも1本の金属線、樹脂製ブラシ毛、動植物ブラシ毛が巻き込まれている。前記紙製ロールブラシは、紙の種類、捩じりおよび縒り方により、紙独特の弾力、腰の強さ、接触面の硬さ等を満たすことができるために、芯線として、必要な金属線、樹脂製ブラシ毛、動植物製ブラシ毛が選択される。
【0029】
(第8発明)
第8発明の紙製ロールブラシは、捻じりと縒りが形成されている紙製棒状体に、接着剤により、砥粒が接着されている。前記接着剤および砥粒が設けられている場所は、紙製ロールブラシの使用目的、および研磨する部材によって任意に選択される。第5発明から第6発明の紙製ロールブラシは、紙素材、芯素材、組み込み部材、あるいは紙素材および芯素材の長さ、接着剤の量、接着箇所等により、研磨面に紙独特の柔らかさ、腰の弾力性、全体の強度等を任意に調整することができる。
【実施例1】
【0030】
図1(イ)から(ヘ)は本発明の捻じり縒り紙製ロールブラシ作製方法を順次説明するための模式図である。本発明の紙製ロールブラシは、図1(イ)に示されているような薄い紙製シート11から作製される。前記紙製シート11は、一端から丸められ、丸い棒状体12となる。前記棒状体は、図(ハ)に示されているように、捻じられられた状態13となる。前記薄い紙製シートを丸めた棒状体は、捻じられた後、さらに、これらを縒ることにより、捻じり縒り紙製ブラシ毛14が作製される。前記紙製シートは、和紙の場合、濃淡のある(透けて見える所がある)ものとなる。また、前記紙製シートは、和紙、洋紙、厚紙、リサイクル用紙等、被研磨面、あるいは研磨目的によって、種々の品質のものを選択することができる。前記紙製シートは、古紙、牛乳パック、段ボール等を基にしたものを使用することもできる。
【0031】
図1(ホ)は、捻じり縒り紙製ブラシ毛の他の例で、前記捻じり縒り紙製ブラシ毛の少なくとも一本を編み機により編み込んだ状態にしたもの15を巻回15′する。前記巻回した網は、たとえば、図示されていないが、取付部材に一方が取り付けられて紙製ブラシとなる。前記紙製ブラシは、その端面または側面を研磨面とすることができる。前記合成樹脂製ブラシ毛より、研磨面および腰が柔らかい、紙独特の性質を得ることができる。前記紙の種類は、多数あり、紙製ブラシ毛として使用する際の用途により、目的に合った紙の種類を選択することができる。前記各種紙製シートは、薄いシートを丸めて棒状体とした後、捻じられる。
【0032】
前記捻じられた棒状体は、これらを縒ることにより、紙の種類から生じる独特の柔らかさ、紙の捩じりおよび縒りから生じる摩擦力、およびこれらによる独特の強度を持ち、腰が強く、かつ、柔軟性の優れた紙製ブラシ毛となる。また、紙の捩じりおよび縒りには、隙間が生じ、紙独特の柔らかさと振動の吸収性を有するとともに、研磨面および腰の強さに独特の性質を与えることができる。前記捩じりおよび縒られた棒状体は、少なくとも1本または複数本が集合されて紙製ブラシ毛となる。前記柔軟性の高い紙製ブラシ毛は、チャンネル状の植え込み部材に植え込まれる。
【0033】
前記捻じり縒り紙製ブラシ毛は、さらに、図1(ホ)に示されているように、公知の編み機によって網状に編まれる。前記捻じり縒り紙製ブラシ毛の編み方は、図示以外に、公知の各種方法を採用することができる。前記網状に編まれた紙製ブラシ毛は、先端、側端、側面をブラシ面として使用できる。前記網の編み方は、紙の材質以外に、交差部、結び目、編み目の大小、編み目の密度等によって研磨具合を変えることができる。前記網状に編まれた紙製ブラシ毛は、捩じり縒りだけの場合と比較して、より多くの隙間を有するため、柔らかい研磨以外に、振動を吸収しながらの研磨ができる。
【0034】
前記巻回した網は、たとえば、図1(ヘ)に示されたように、取付部材152に一方が取り付けられて網目を有する紙製ブラシとなる。前記紙製ブラシは、その端面151または側面を研磨面とすることができる。
【0035】
図2(イ)から(ニ)は本発明に使用する捻じり縒り紙製ブラシ毛から紙製ブラシを作製する状態を説明するための模式図である。図2(イ)において、作製された捻じり縒り紙製ブラシ毛21は、たとえば、少なくとも1本が半分に折られ、その中間部に芯線22を挟み、コ字状チャンネル部材23に挟むことにより植設される。その後、前記コ字状チャンネル部材23は、両側から押され、紙製ブラシが完成する。前記コ字状チャンネル部材23は、金属製または合成樹脂製とすることができるが紙製部材に接着剤を染み込ませて、強度を向上させることができる。前記合成樹脂製チャンネルは、熱等を加えることにより、前記紙製ブラシを強く挟み込む。
【0036】
また、図2(ロ)に示す捻じり縒り紙製ブラシ毛24は、半分に折るか、あるいは長さを一定にして、コ字状チャンネル部材25に植設される。その後、前記捻じり縒り紙製ブラシ毛24は、前記コ字状チャンネル部材25に接着剤26を入れることにより、紙製ブラシとなる。さらに、図2(ハ)に示す紙製ブラシは、通常の方法により、捻じり縒り紙製ブラシ毛28をデッキ27の孔に植設する。前記紙製ブラシは、いろいろな形状のものとすることができるだけでなく、紙の種類、捩じりおよび縒りによって生じる独特のものを作製することができる。前記チャンネル部材は、断面コ字状以外に、断面C型、断面U型、あるいは変形した形状にすることができる。
【0037】
図1(ヘ)に示された紙製ブラシの束は、図2(ハ)に示すデッキ27に植設することにより、紙製ブラシとすることができる。図2(イ)および(ロ)に示された捻じり縒り紙製ブラシ毛21、24が植設されたコ字状チャンネル部材23、25は、環状に成形されホイール291に沿った捻じり縒り紙製ブラシ毛292を有する円盤状ブラシが作製される。前記円盤状ブラシは、同心的に重ねることにより、ホイールブラシができる。
【0038】
図3(イ)および(ロ)は本発明の捻じり縒り紙製ブラシ毛を連続して紙製ロールブラシとした場合の例を説明するための模式斜視図および側面図である。図3(イ)および(ロ)において、紙製ロールブラシ33は、図2(イ)または(ロ)の捻じり縒り紙製ブラシ毛が植設されたチャンネル部材23、25を芯棒32に螺旋状に巻き付けて作製される。また、前記紙製ロールブラシ33は、図2(ニ)に示された環状ブラシ29を重ねることにより、作製される。図2に示された紙製ロールブラシ33は、模式図のため、螺旋状に巻き付けた様子および重ねた様子が正確に描かれていない。
【0039】
前記紙製ロールブラシ33は、被研磨面、たとえば、基台34上に置かれた大型液晶表示画面31を研磨するものである。前記紙製ロールブラシ33は、被研磨面に合った捻じり縒り紙製ブラシ毛を選択することができる。前記捻じり縒り紙製ブラシ毛は、紙の材質、縒りと捩じり等紙としての独特の柔らかさ、強さ、摩擦力、腰の柔軟性等によって、大型液晶表示画面31の表面を磨くことができる。
【実施例2】
【0040】
図4(イ)および(ロ)は本発明の捻じり縒り紙製ブラシの他の実施例で、先端部の形状を成形により変えた例を説明するための模式図である。前記捻じり縒り紙製ブラシ毛は、先端部近傍に接着剤が染み込まされる。前記接着剤の種類および濃度は、任意に変えることができる。前記接着剤の染み込んだ捻じり縒り紙製ブラシ毛は、乾燥されて、所定の硬さになった際に、金型等によって所望の形状に成形される。図4(イ)に示す紙製ブラシ毛41は、先端部近傍から先端411に向かって尖っている。また、図4(ロ)に示す紙製ブラシ毛42は、先端部に球状部422が成形されている。
【0041】
前記捻じり縒り紙製ブラシ毛41、42の先端部411、422の形状は、前記以外に所望により、金型の形状を変えれば、任意の形状に成形することができる。前記紙製ブラシ毛の先端部411、422は、前記接着剤の種類あるいは濃度を調整することにより、形状以外に固さも調整することができる。前記接着剤が染み込んだ捻じり縒り紙製ブラシ毛は、接着剤の種類および濃度、紙の種類、捩じり、および縒りから生じる独特の柔らかさを持たせることができる。また、前記接着剤は、水性接着剤、天然ゴム系接着剤、ニカワを主原料とした天然接着剤、ニカワと木質セルローズを含む接着剤、壁紙用天然接着剤等がある。
【実施例3】
【0042】
第3実施例の紙製ブラシは、図示されていないが、図1(イ)において、薄い紙シートを巻いて棒状体12にする前に、その中心に少なくとも1本の金属線、合成樹脂製ブラシ毛、動植物ブラシ毛のいずれかを芯とすることができる。紙シートを巻く際の芯は、前記金属線、合成樹脂製ブラシ毛、動植物製ブラシ毛の材質および/または本数を任意に選択することにより、所望の強度および柔軟性(研磨面および腰)を得ることができる。前記金属線、合成樹脂製ブラシ毛、動植物ブラシ毛の芯を有する捻じり縒り紙製ブラシ毛は、材質、芯線の太さ、および柔軟性、紙の種類、捩じりおよび縒りによって生じる独特の柔らかさを得ることができる。
【実施例4】
【0043】
第4実施例は、図示されていないが、捻じり縒り紙製ブラシ毛、または前記紙製ブラシ毛の中心に金属線、合成樹脂製ブラシ毛、動植物製ブラシ毛を芯として入れたブラシ毛は、接着剤により、たとえば、シリコンカーバイト、アルミナ、ジルコニア、ダイアモンド、エメリー、酸化セリウム、金属等のうちの少なくとも一つの砥粒がペースト状接着剤により、所定量だけ取り付けられている。
【0044】
前記砥粒の種類、大きさ、およびペースト状接着剤の量は、紙製ロールブラシの使用目的および紙製ロールブラシで拭く対象物によって任意に選択できる。さらに、前記砥粒およびペースト状接着剤の入れる場所は、前記同様に、紙製ロールブラシの使用目的および紙製ブラシで拭く(磨く)対象物によって、先端部の一部、先端部から中間部まで、あるいは全体といったように任意に選択できる。本発明の紙製ロールブラシは、廃棄して焼却する際に、有毒ガスを放出しないという効果を奏する。
【0045】
図5(イ)および(ロ)は本発明の捻じり縒り紙製ブラシ毛を使用したロールブラシの例を説明するための模式図である。図5(イ)および(ロ)において、紙製ロールブラシは、心の周囲に芯が形成されており、前記芯の周囲に紙製ブラシ毛53が植設されたチャンネル部材54が巻回されている。前記紙製ロールブラシは、紙製ブラシ毛53の密度、および巻回密度によって、目的に合ったものを得ることができる。
【0046】
図6(イ)および(ロ)は、紙製捻じりブラシを説明するための図である。図2(イ)および(ロ)において、芯線611および612の間に捻じり縒りブラシ毛からなる紙製ブラシ毛615を挟み、前記芯線611および612を回転させて捻じる。前記捻じられた捻じりブラシは、図6(イ)の左側に示された状態になる。図6(ロ)は、芯線が4本の場合を示している。前記芯線の数は、任意に増減できる。
【0047】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。ブラシ毛となる紙の種類、厚さ、透きかた、形状、密度、捩じり方、縒り方等は、任意に選択することができる。また、紙の捩じり、または縒り方は、従来から使用されている機械により作製することができる。
【符号の説明】
【0048】
11・・・紙製シート
12・・・紙製シートを棒状にした状態
13・・・捻じった状態
14・・・捻じったものを縒った状態
15・・・板状または棒状の樹脂部材
15′・・・巻回した状態のもの
151・・・研磨部
152・・・取付部材
21、24、28・・・捻じり縒り紙製ブラシ毛
22・・・芯棒
23、25・・・チャンネル部材
26・・・接着剤
29・・・環状ブラシ
31・・・液晶表示画面
32・・・芯棒
33・・・捻じり縒り紙製ロールブラシ毛
41、42・・・捻じり縒り紙製ブラシ毛
411・・・尖った先端部
422・・・球状先端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄い紙シートの端部から丸めて棒状体を作製する工程と、
前記棒状体を捻じる工程と、
前記捻じられた棒状体を縒る工程と、
前記縒られた棒状体を集合して紙製ブラシ毛とする工程と、
前記紙製ブラシ毛をチャンネル部材に植え込んで、紙製チャンネルブラシを作製する工程と、
前記紙製チャンネルブラシを心棒に螺旋状に巻き付け、あるいは、複数個の円盤状にして重ねる工程と、
から少なくとも構成されていることを特徴とする紙製ロールブラシ作製方法。
【請求項2】
前記紙製ブラシ毛の先端部近傍は、接着剤を染み込ませて乾燥後に成形することを特徴とする請求項1に記載された紙製ロールブラシ作製方法。
【請求項3】
前記棒状体は、中心に紙製部材、金属線、合成樹脂製ブラシ毛、動植物ブラシ毛の少なくとも一つが巻き込まれていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された紙製ロールブラシ作製方法。
【請求項4】
前記棒状体は、接着剤により、砥粒が接着されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載された紙製ロールブラシの作製方法。
【請求項5】
薄い紙シートの端部から丸められた棒状体が捻じられるとともに、縒られた紙製ブラシ毛と、
前記紙製ブラシ毛が挟持されたチャンネル部材と、
前記紙製ブラシ毛が挟持されたチャンネル部材を心棒に螺旋状に巻き付け、あるいは、複数個の円盤状部材として重ねられてロール状に形成されていることを特徴とする紙製ロールブラシ。
【請求項6】
前記紙製ブラシ毛の先端部近傍は、接着剤の固さにより所望の形状に成形されていることを特徴とする紙製ロールブラシ。
【請求項7】
前記棒状体は、中心に紙製部材、金属線、合成樹脂製ブラシ毛、動植物ブラシ毛の少なくとも一つが巻き込まれていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載された紙製ロールブラシ。
【請求項8】
前記棒状体は、接着剤により、砥粒が接着されていることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載された紙製ロールブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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