説明

紡機のエプロンクレードル

【課題】ウエイティングアームの加圧状態を解除することなく、エプロンドラフト装置のテンサー間隔を簡単に左右均等に調整することができる紡機のエプロンクレードルを提供する。
【解決手段】エプロンクレードル21は、ウエイティングアーム16に支持された支持軸19に支承されるクレードル本体23の先端側中央部に支軸26が装備されている。支軸26は、左右両端がウエイティングアーム16の幅より外側に位置する状態に設けられ、支軸26の両端部に左右一対のテンサー間隔調節体27が回動可能に支持されている。テンサー間隔調節体27は、テンサーバー13に当接してトップエプロン22先端部のボトムエプロン15との隙間を複数段階に調整可能になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紡機のエプロンクレードルに係り、詳しくはウエイティングアームに取り付けられる2錘一体型のエプロンドラフト装置に使用される紡機のエプロンクレードルに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、リング精紡機においてはフロントローラとバックローラとの間にエプロンドラフト装置を配設し、トップエプロンとボトムエプロンとの間で粗糸を把持してドラフトするようにしている。ボトムエプロンは一度組付けられた後は所定位置に常に保持されるが、トップエプロンは紡出条件変更時や保全作業時にボトムエプロンから離間する位置に配置される機会が多い。また、保全作業等を容易にするため、ドラフト装置ではトップエプロンを含むトップローラをウエイティングアームに2錘一対で支持して、各トップローラをボトムローラに当接するドラフト位置(紡出位置)と、ボトムローラから離間した待機位置とに配置可能とした構成が多く採用されている。
【0003】
このようなドラフト装置においては、糸の番手や繊維の種類に応じて上下のエプロン先端部の開き量を調整する必要がある。そのため、エプロンクレードルとテンサーバーとの間隔(以下、テンサー間隔と称する)を調整する必要がある。そして、左右両側のテンサー間隔を調整するために、トップエプロン装置のエプロンクレードルの先端部にディスタンスクリップを取付けている。ディスタンスクリップをエプロンクレードルに取り付ける場合、ウエイティングアームの加圧が解除された状態で行われる。
【0004】
一般に、ディスタンスクリップは、1種類のテンサー間隔に対応しており、紡出条件に応じて複数種のディスタンスクリップを常時準備し保管しておく必要があり、製造コストが高くなり、管理も煩わしい。この問題を解消するため、1つのディスタンスクリップで複数のテンサー間隔に対応することができるようにしたディスタンスクリップが提案されている(特許文献1参照)。このディスタンスクリップは、クレードルの先端部に取り付ける際に裏表の位置関係を変更することで2種類のテンサー間隔に対応することができる。
【0005】
また、ドラフト装置のエプロンニップ圧調整方法として、図6(a),(b)に示すように、エプロンテンショナー51の先端部に設けたエプロン押圧部材52に、左右一対の調節ねじ53をテンサーバー54の表面に達するまで貫通させ、調節ねじ53でエプロン押圧部材52とテンサーバー54間の圧力を変える方法が提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平11−302930号公報
【特許文献2】特開平3−113025号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のようにディスタンスクリップを用いてテンサー間隔の調整を行う構成では、テンサー間隔の調整を行う際にウエイティングアームの加圧状態を解除する必要がある。しかし、ウエイティングアームの加圧状態を解除すると、テンサー間隔の調整終了後、紡機の再起動時に糸切れが発生するため、全錘の糸継ぎ作業が必要になるという問題がある。
【0007】
一方、特許文献2に記載の方法の場合は、テンサー間隔の調整を行う際にウエイティングアームの加圧状態を解除する必要がないため、ディスタンスクリップを用いる場合の問題は発生しない。しかし、特許文献2に記載の方法では、調節ねじ53で無段階で連続的にテンサー間隔の調整を行うため、左右のテンサー間隔を均一に調整するのに手間がかかる。また、錘間のバラツキが生じ易いという問題もある。テンサー間隔は、紡出条件が異なる毎に必ず変更しなければならないものではなく、例えば、紡出糸の太さが異なる場合でも、1つのテンサー間隔で一定範囲の太さの紡出糸に対応できるため、無段階で調整可能とする必要はない。
【0008】
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的はウエイティングアームの加圧状態を解除することなく、エプロンドラフト装置のテンサー間隔を簡単に左右均等に調整することができる紡機のエプロンクレードルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、ウエイティングアームに取り付けられる2錘一体型のエプロンドラフト装置に装備される紡機のエプロンクレードルである。そして、ウエイティングアームに支持された支持軸に支承されるクレードル本体と、前記クレードル本体の先端側に装備された支軸と、前記ウエイティングアームの幅より外側に位置する状態で前記支軸に偏心位置において支持されるとともに、テンサーバーに当接してトップエプロン先端部のボトムエプロンとの隙間を複数段階に調整可能な複数の当接面を有する左右一対のテンサー間隔調節体とを備えている。
【0010】
この発明では、テンサー間隔の調整は、クレードル本体の先端側に装備された支軸に支持された左右一対のテンサー間隔調節体により行われる。左右一対のテンサー間隔調節体は、ウエイティングアームの幅より外側に位置する状態でテンサーバーと当接するため、テンサー間隔を調整する際、ウエイティングアームの加圧状態を解除する必要がない。そして、テンサー間隔調節体を、支軸を中心に回動させてテンサーバーとの当接面を変更することにより、トップエプロン先端部のボトムエプロンとの隙間が複数段階に調整される。したがって、ウエイティングアームの加圧状態を解除することなく、エプロンドラフト装置のテンサー間隔を簡単に左右均等に調整することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記左右一対のテンサー間隔調節体は、左右一体で回動可能に前記支軸に固定されている。したがって、この発明では、左右一対のテンサー間隔調節体の一方を回動させれば支軸と共に他方のテンサー間隔調節体も同時に回動され、テンサー間隔の調整作業の手間が、両テンサー間隔調節体が独立して回動可能な構成に比較して半分で済む。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記左右一対のテンサー間隔調節体は、左右独立に回動可能に前記支軸に支持されている。この発明では、支軸をクレードル本体に対して回動可能に支持する必要がなく、また、支軸は同軸上にあればよく、1本の共通軸である必要がない。したがって、左右一対のテンサー間隔調節体が一体回動可能な構成に比べて構成の自由度が高くなる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記左右一対のテンサー間隔調節体は、前記クレードル本体に支持される左右一対のトップエプロンの間に配置されている。左右一対のテンサー間隔調節体は、ウエイティングアームの加圧力を担うため、両テンサー間隔調節体の間隔が広くなり過ぎると、クレードル本体に作用する曲げモーメントが大きくなる。しかし、この発明では、左右一対のテンサー間隔調節体が左右一対のトップエプロンの間に配置されているため、クレードル本体に作用する曲げモーメントが大きくなるのが抑制される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ウエイティングアームの加圧状態を解除することなく、エプロンドラフト装置のテンサー間隔を簡単に左右均等に調整することができる紡機のエプロンクレードルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を精紡機の2錘一体型のエプロンドラフト装置に具体化した一実施形態を図1〜図4にしたがって説明する。
図1に示すように、ローラスタンド11にフロントボトムローラ12が支持され、フロントボトムローラ12の後方に設けられたテンサーバー13とミドルボトムローラ14とに巻き掛けられてボトムエプロン15が配設されている。
【0016】
ボトムローラの上方にウエイティングアーム16が設けられ、ウエイティングアーム16の先端にはフロントトップローラ17が支持され、その後方には支持アーム18が固定されている。支持アーム18の先端には支持軸19の中央が回転自在に支持され、支持軸19の両端にはミドルトップローラ20が一体回転可能に支持されている。支持軸19にはエプロンクレードル21が支承され、ミドルトップローラ20とエプロンクレードル21との間にトップエプロン22が巻き掛けられている。
【0017】
図2及び図3(a)に示すように、エプロンクレードル21は、クレードル本体23が略T字状を成す。そして、図1及び図2に示すように、基端寄りに形成された円弧部23aが支持軸19の外周面に当接し、クレードル本体23の中央部に固定された板ばね23b(図1及び図3(a)に図示)が支持アーム18に当接しており、クレードル本体23を介してトップエプロン22をボトムエプロン15側へ付勢する。クレードル本体23の先端側には左右一対のエプロンガイド24が固定され、トップエプロン22はミドルトップローラ20とエプロンガイド24とに巻き掛けられている。エプロンガイド24にはトップエプロン22の幅方向への移動を規制する規制部24aが、トップエプロン22の幅とほぼ同じ間隔をおいて突設されている。左右一対のトップエプロン22はウエイティングアーム16を挟んで対称位置に支持されている。
【0018】
クレードル本体23の先端側中央には支持部25が突設され、支持部25には支軸26が回動可能に支持されている。支軸26は、その両端が左右一対のトップエプロン22の間に位置するように支持部25から突出した状態で支持され、両端にテンサー間隔調節体27が一体回動可能に固定されている。テンサー間隔調節体27の材料は特に限定されず、金属、樹脂あるいは繊維強化樹脂等が用いられる。
【0019】
図3(b)に示すように、テンサー間隔調節体27は、側面略八角形状に形成されるとともに1つの面に溝28が形成され、溝28が形成された面と異なる4つの面がテンサーバー13と当接してテンサー間隔の調整を行う当接面27a,27b,27c,27dに設定されている。そして、テンサー間隔調節体27は、各当接面27a,27b,27c,27dがテンサーバー13と当接したときにテンサーバー13とクレードル本体23との隙間、即ちテンサー間隔がそれぞれ異なるように、偏心した位置で支軸26に固定されている。即ち、テンサー間隔調節体27は、ウエイティングアーム16の幅より外側に位置する状態で支軸26に偏心位置において支持されるとともに、クレードル本体23に支持される左右一対のトップエプロン22の間に位置する状態でテンサーバー13と当接してテンサー間隔を複数段階に調整可能に設けられている。
【0020】
この実施形態では、当接面27aがテンサーバー13と当接するときにテンサー間隔が最大になり、当接面27bが当接するときに2番目に大きく、当接面27cが当接するときに3番目に大きく、当接面27dが当接するときに4番目に大きくなるように、テンサー間隔調節体27が形成されている。テンサー間隔調節体27は、回動し易くするため、各角部が完全な角ではなく面取りが施されている。なお、テンサー間隔の適切な値は、紡出糸の太さが異なっても1つのテンサー間隔で一定範囲の太さの紡出糸に対応できるため、無段階で調整可能とする必要はない。
【0021】
また、テンサー間隔調節体27には、各当接面27a,27b,27c,27dのいずれがテンサーバー13に当接しているのかを表示可能にする着色部が設けられている。着色部は、各当接面27a,27b,27c,27dがテンサーバー13に当接しているときに、見易い所定位置に配置される4つの面が異なる色に着色されることで構成されている。
【0022】
次に前記のように構成された装置の作用を説明する。ウエイティングアーム16による加圧が解除された開放状態では、エプロンクレードル21はトップエプロン22をボトムエプロン15から離間した位置で保持する状態に配置される。ウエイティングアーム16が各トップローラをボトムローラ側に押圧する加圧位置(紡出位置)に配置されると、トップエプロン22がボトムエプロン15と当接する。
【0023】
ミドルボトムローラ14の回転によりボトムエプロン15が回動される。そして、トップエプロン22がボトムエプロン15との間の接圧によりボトムエプロン15と同期して回動され、ボトムエプロン15と共同して繊維束(図示せず)を移送する。トップエプロン22は上側走行部がエプロンガイド24の規制部24aにそれぞれガイドされて幅方向への移動が規制され、所定の位置で走行する。
【0024】
ボトムエプロン15及びトップエプロン22により把持された状態で移送される繊維束は、ミドルボトムローラ14及びミドルトップローラ20に把持され、一対のフロントローラの回転速度とエプロンの回転速度との差により引き伸ばされる。ボトムエプロン15及びトップエプロン22の先端部の開き量は、糸の番手や繊維の種類に応じて適切に調整する必要がある。そのため、テンサー間隔が紡出条件に対応して適切な値に調整される。
【0025】
テンサー間隔の調整を行う場合は、テンサー間隔調節体27の各当接面27a〜27dのうち目的のテンサー間隔に対応する面がテンサーバー13と当接する位置にテンサー間隔調節体27を回動操作する。テンサー間隔調節体27の回動操作は、図4に示すように、操作具30、例えばマイナスドライバーを使用して、操作具30の先端を溝28に挿入して行う。操作具30の先端を溝28に挿入した状態で操作具30を操作すると、左右一対のテンサー間隔調節体27が支軸26と一体回動される。例えば、図4の状態から当接面27aがテンサーバー13に当接する状態にテンサー間隔調節体27を回動させる場合は、操作具30を図4の反時計方向へ回動させる。また、当接面27cあるいは当接面27dがテンサーバー13に当接する状態にテンサー間隔調節体27を回動させる場合は、操作具30を図4の時計方向へ回動させる。そして、紡出条件に適したテンサー間隔になる当接面がテンサーバー13と当接する位置までテンサー間隔調節体27を回動させて回動操作を終了する。テンサー間隔調節体27を回動操作する際、作業者は、テンサー間隔調節体27のどの色の着色面が所定の位置に見える状態が適切なテンサー間隔に対応する状態であるのかを確認して操作を行う。そして、全ての錘において目的の着色面が所定の位置に見える状態にテンサー間隔調節体27を回動させて作業を終了する。
【0026】
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)エプロンクレードル21は、ウエイティングアーム16に支持された支持軸19に支承されるクレードル本体23を備えている。クレードル本体23の先端側に装備された支軸26には、ウエイティングアーム16の幅より外側に位置する状態でテンサーバー13に当接してトップエプロン22先端部のボトムエプロン15との隙間を複数段階に調整可能な左右一対のテンサー間隔調節体27が支持されている。そして、テンサー間隔の調整は、左右一対のテンサー間隔調節体27を、ウエイティングアーム16の加圧状態を解除せずに回動させることにより行われる。したがって、ウエイティングアーム16の加圧状態を解除することなく、エプロンドラフト装置のテンサー間隔を簡単に左右均等に調整することができる。
【0027】
(2)左右一対のテンサー間隔調節体27は、左右一体で回動可能に支軸26に固定されている。したがって、左右一対のテンサー間隔調節体27の一方を回動させれば支軸26と共に他方のテンサー間隔調節体27も同時に回動され、テンサー間隔の調整作業の手間が、両テンサー間隔調節体27が独立して回動可能な構成に比較して半分で済む。
【0028】
(3)左右一対のテンサー間隔調節体27は、クレードル本体23に支持される左右一対のトップエプロン22の間に配置されている。したがって、左右一対のテンサー間隔調節体27が左右一対のトップエプロンの外側に配置される構成に比べて、クレードル本体23に作用する曲げモーメントが小さくなり、クレードル本体23に作用する曲げモーメントが大きくなるのが抑制される。
【0029】
(4)テンサー間隔調節体27には回動操作部として溝28が形成されている。したがって、溝28に操作具30(例えばドライバー)の先を係合させて操作具30を傾動させることで簡単にテンサー間隔調節体27を回動操作することができる。
【0030】
(5)テンサー間隔調節体27には、テンサーバー13との当接面27a,27b,27c,27dのいずれがテンサーバー13に当接しているのかを表示可能にする着色部が設けられている。着色部は、各当接面27a,27b,27c,27dがテンサーバー13に当接しているときに、見易い所定位置に配置される4つの面が異なる色に着色されることで構成されている。したがって、テンサー間隔調整の際に、目的とするテンサー間隔に対応した色に着色された面が見易い所定位置に配置されるようにテンサー間隔調節体27を回動操作することで、全てのテンサー間隔調節体27を目的のテンサー間隔に対応する状態に簡単に配置することができる。
【0031】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 左右一対のテンサー間隔調節体27は、支軸26と一体回動可能に設けられている必要はなく、支軸26に対して左右独立に回動可能に支持されていてもよい。この場合、支軸26をクレードル本体23の支持部25を貫通して回動可能に支持する必要がなく、また、支軸26は1本の共通軸である必要がなく異なる軸部を同軸上に設けてもよい。したがって、左右一対のテンサー間隔調節体27が一体回動可能な構成に比べて構成の自由度が高くなる。
【0032】
○ テンサー間隔調節体27は複数段階でテンサー間隔の調整が可能であればよく、4段階で調整可能な構成に限らず、3段階以下あるいは5段階以上で調整可能としてもよい。しかし、3段階以上が好ましい。
【0033】
○ テンサー間隔調節体27の形状は、側面略八角形状に限らず、支軸26に偏心位置において支持されるとともに、テンサーバー13と当接してテンサー間隔を目的とする複数段階に調整可能な複数の当接面を有していればよい。例えば、七角形以下の多角形状あるいは九角形以下の多角形状としてもよい。また、多角形状に限らず、例えば、図5(a)に示すように、当接面27a〜27dを除いた部分の周面が曲面となる形状であってもよい。
【0034】
○ テンサー間隔調節体27を回動操作する操作部は溝28に限らない。例えば、溝28に代えて穴を形成し、その穴に操作部材(操作具30)の一端を挿入してテンサー間隔調節体27を回動させたり、凸部を形成し、その凸部を操作部材で挟持あるいは凸部と係合可能な凹部を有する操作部材を用いて回動させたりしてもよい。
【0035】
○ テンサー間隔調節体27を回動操作する操作部として、略多角柱状に形成されたテンサー間隔調節体27の当接面27a〜27d以外の1つの面に操作部を形成する構成に限らず、操作部を複数の面に形成してもよい。この場合、操作部を1つの面にだけ形成する構成に比較して、テンサー間隔調節体27の回動操作時の操作性が良くなる。操作部は、同じ構成のものだけ、即ち溝28、穴あるいは凸部だけ形成するのではなく、例えば、図5(b)に示すように、当接面27a〜27d以外の1つの面に溝28を形成し、当接面27bに穴31を形成してもよい。
【0036】
○ 操作具30として、複数のエプロンクレードル21のテンサー間隔調節体27の操作部、例えば、溝28、穴あるいは凸部に同時に係合可能な複数の係合部を有する構成のものを使用してもよい。例えば、複数の係合部が櫛歯状にテンサー間隔調節体27の配置ピッチで設けられた操作具30を使用して、同時に複数のテンサー間隔調節体27のテンサー間隔の調整を行う。この場合、テンサー間隔の調整工数を少なくできる。
【0037】
○ テンサー間隔調節体27の着色部を省略してもよい。
○ エプロンガイド24をクレードル本体23に固定する代わりに、規制部24aをクレードル本体23の上面に突設してもよい。
【0038】
○ 精紡機のドラフト装置に限らず粗紡機あるいは結束紡績機のドラフト装置に適用してもよい。
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
【0039】
(1)請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記テンサー間隔調節体には前記テンサーバーとの当接面のいずれがテンサーバーに当接しているのかを表示可能にする着色部が設けられている。
【0040】
(2)請求項1〜請求項4及び前記技術的思想(1)のいずれか一項に記載の発明において、前記テンサー間隔調節体にはテンサー間隔調節体を回動操作するための操作部が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】一実施形態におけるドラフト装置の側面図。
【図2】エプロンクレードルの模式斜視図。
【図3】(a)はエプロンクレードルを上側斜め前方から見た概略図、(b)はテンサー間隔調節体とテンサーバーとの関係を示す模式断面図。
【図4】テンサー間隔調節体と操作具の関係を示す模式断面図。
【図5】(a),(b)は別の実施形態のテンサー間隔調節体を示す模式断面図。
【図6】(a)は従来技術の模式斜視図、(b)は部分模式斜視図。
【符号の説明】
【0042】
13…テンサーバー、15…ボトムエプロン、16…ウエイティングアーム、19…支持軸、21…エプロンクレードル、22…トップエプロン、23…クレードル本体、26…支軸、27…テンサー間隔調節体、27a,27b,27c,27d…当接面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエイティングアームに取り付けられる2錘一体型のエプロンドラフト装置に使用される紡機のエプロンクレードルであって、
ウエイティングアームに支持された支持軸に支承されるクレードル本体と、
前記クレードル本体の先端側に装備された支軸と、
前記ウエイティングアームの幅より外側に位置する状態で前記支軸に偏心位置において支持されるとともに、テンサーバーに当接してトップエプロン先端部のボトムエプロンとの隙間を複数段階に調整可能な複数の当接面を有する左右一対のテンサー間隔調節体と
を備えた紡機のエプロンクレードル。
【請求項2】
前記左右一対のテンサー間隔調節体は、左右一体で回動可能に前記支軸に固定されている請求項1に記載の紡機のエプロンクレードル。
【請求項3】
前記左右一対のテンサー間隔調節体は、左右独立に回動可能に前記支軸に支持されている請求項1に記載の紡機のエプロンクレードル。
【請求項4】
前記左右一対のテンサー間隔調節体は、前記クレードル本体に支持される左右一対のトップエプロンの間に配置されている請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の紡機のエプロンクレードル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−293143(P2009−293143A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−145912(P2008−145912)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【出願人】(591099418)関発工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】