説明

紡績装置の運転方法及び紡績装置

【課題】 ヤーンクリアラの糸欠点の検出に応じて糸をカッターで切断すると、切断により形成された糸の端部が勢い良く飛び出し、他の部材に絡まる場合があった。また、糸の端部の口出しミスも生じていた。
【解決手段】 カッターで切断する代わりに、複数の繊維を加撚し紡績糸10を生成するための空気紡績ノズル19の動作を停止させることで紡出を停止し、無撚りの繊維束集合体の状態となった端部10eを糸10に形成する。そして、この端部10eを下流側の巻取パッケージへ搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紡績装置の構成及びその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示される紡績装置としての紡績機は、紡績した糸を巻いて巻取パッケージを形成する紡績ユニットにカッター及び糸欠陥検出器を備え、この糸欠陥検出器が糸にスラブ等の欠陥を検出すると、当該紡績ユニットにおいてカッターが糸を切断して、糸に端部を形成することとしている。そして、こうして形成された巻取パッケージ側の糸端を、糸継装置側のサクションマウスで巻取パッケージの周面を吸引することで捕捉し(口出し作業)、紡績側の糸と糸継装置による糸継作業を行って、紡績及び巻取を再開させるようになっている。
【特許文献1】特開2004−277944号公報(段落番号0040、0043〜0044等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記特許文献1のようにカッターで糸を切断して糸端を形成する構成とした場合、糸の切断の瞬間に糸端が衝撃で飛び出すことがあり、周辺の部材に絡みつき易い。糸が周辺の部材に絡みついた場合は自動除去が困難なことから、オペレータによるメンテナンスの必要が生じてしまい、巻取りの稼動効率が低下し、自動化の妨げになっていた。
【0004】
また、従来より、糸継装置側のサクションマウスで巻取パッケージの周面を吸引することで糸の端部を吸引捕捉して口出しする際に、糸の端部をうまく捕捉できない口出しミスが生じることがあり、オペレータの手作業による口出しが必要になる場合もあった。従って、この意味でも、巻取りの稼動効率が低下してしまい、省力化の妨げになってしまっていた。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0006】
◆本発明の第1の観点によれば、糸欠陥検出器による糸欠陥検出時に、複数の繊維を加撚し糸を生成するための空気紡績ノズルからの圧空の噴射を停止させる、紡績装置の運転方法が提供される。
【0007】
上記の方法によれば、空気紡績ノズルからの圧空噴射の停止によって糸に端部を形成することから、その端部形成時に糸に衝撃が生じることがないために、糸端が勢い良く飛び出すことが防止される。この結果、糸の端部が周囲の他の部材に絡まったりすることが回避される。また、上記の方法によって形成された端部は、互いの繊維同士の結束が無くまとまりのない状態となるため、撚りの付与された糸よりも単位体積あたりの重量が軽い。従って、糸巻取層の周面から糸端を口出しする場合、その作業が確実かつ容易になる。
【0008】
◆前記の紡績装置の運転方法においては、前記空気紡績ノズルによる気流は、繊維を旋回させるための旋回気流を発生させるとともに、当該空気紡績ノズルに向かう吸引気流を発生させるものとし、前記旋回気流の停止時に前記吸引気流も停止することで新たな繊維束の供給を阻止し、前記紡績ノズルの下流側では、繊維連続体を下流側に搬送させる力を作用させて糸に端部を形成することが好ましい。
【0009】
これにより、空気紡績ノズルの下流側では繊維連続体を下流側に搬送させる力を作用させながら、空気紡績ノズルにおいて旋回気流と吸引気流とをほぼ同時に停止させることにより、糸に無撚り状の端部を確実に形成することができる。
【0010】
◆前記の紡績装置の運転方法においては、前記空気紡績ノズルの入口への繊維束の供給を、前記空気紡績ノズルの動作停止とほぼ同時、又は、その直後に停止させることが好ましい。
【0011】
これにより、動作停止後の空気紡績ノズルに対してドラフト装置から供給される繊維束の量を少なくできるから、紡績されずに滞留する繊維束の量を少なくできる。この結果、滞留した繊維束を容易に取り除くことができ、紡績作業をスムーズに再開できる。かつ、無撚りの繊維束集合体の状態となった端部の長さを長く確保できる。
【0012】
◆本発明の第2の観点によれば、糸欠陥検出器による糸欠陥検出時に、ドラフト装置による繊維束の供給を停止するとともに、ドラフト装置の下流側の加撚領域での加撚動作を停止状態にする、紡績装置の運転方法が提供される。
【0013】
上記の方法によれば、ドラフト装置による繊維束の供給を停止することにより、繊維束の端部を形成することから、糸の端部の形成時(繊維束の端部の形成時)に糸に衝撃が生じることがないために、糸端が勢い良く飛び出すことが防止される。この結果、糸に端部を形成したときに糸が周囲の他の部材に絡まったりすることが回避される。また、上記の方法によって形成された端部は、互いの繊維同士の結束が無くまとまりのない状態となるため、撚りの付与された糸よりも単位体積あたりの重量が軽い。従って、糸巻取層の周面から糸端を口出しする場合、その作業が確実かつ容易になる。
【0014】
◆本発明の第3の観点によれば、巻取手段の上流にクランプ手段を設け、糸欠陥検出器による糸欠陥検出時に、前記クランプ手段で糸をクランプするとともに、当該クランプ手段下流側の糸を巻取側へ引っ張る、紡績装置の運転方法が提供される。
【0015】
上記の方法によれば、クランプ手段の下流側で糸が強制的に搬送されることで、糸を引きちぎって糸の端部を形成することから、糸に形成された端部は互いの繊維同士の結束が無くまとまりのない状態となるため、撚りの付与された糸よりも単位体積あたりの重量が軽い。従って、糸巻取層の周面から糸端を口出しする場合、その作業が確実かつ容易になる。
【0016】
◆本発明の第4の観点によれば、以下のように構成する、紡績装置が提供される。複数の繊維を加撚し糸を生成するための空気紡績ノズルと、この空気紡績ノズルのエア供給/停止の制御を行う制御手段と、糸の欠陥を検出し、欠陥検出信号を出力する糸欠陥検出器と、を備える。前記制御手段は、前記欠陥検出信号の入力に基づいて前記空気紡績ノズルへのエア供給を停止制御する。
【0017】
この構成によれば、制御手段によるエア停止制御によって空気紡績ノズルからの圧空噴射を停止して糸の端部を形成するので、糸の端部の形成時に糸に衝撃が生じることがないために、糸端が勢い良く飛び出すことが防止される。この結果、糸に端部を形成したときに糸が周囲の他の部材に絡まったりすることが回避される。また、糸に形成された端部は、互いの繊維同士の結束が無くまとまりのない状態となるため、撚りの付与された糸よりも単位体積あたりの重量が軽い。従って、糸巻取層の周面から糸端を口出しする場合、その作業が確実かつ容易になる。
【0018】
◆本発明の第5の観点によれば、以下のように構成する、紡績装置が提供される。複数の繊維を加撚し糸を生成するための紡績部材と、この紡績部材に繊維束を供給するドラフト装置と、前記紡績部材の加撚動作の制御を行うとともに、前記ドラフト装置による繊維束の供給/停止の制御を行う、制御手段と、糸の欠陥を検出し、欠陥検出信号を出力する糸欠陥検出器と、を備える。前記制御手段は、前記欠陥検出信号の入力に基づいて前記ドラフト装置を停止するとともに、前記紡績部材の加撚動作を停止制御する。
【0019】
この構成によれば、ドラフト装置の停止により繊維束に端部を形成し、この繊維束の端部を加撚せずに紡績部材を通過させて糸の端部とするので、糸の端部の形成時に糸に衝撃が生じることがないために、糸端が勢い良く飛び出すことが防止される。この結果、糸に端部を形成したときに糸が周囲の他の部材に絡まったりすることが回避される。また、糸に上記のように形成された端部は、互いの繊維同士の結束が無くまとまりのない状態となるため、撚りの付与された糸よりも単位体積あたりの重量が軽い。従って、糸巻取層の周面から糸端を口出しする場合、その作業が確実かつ容易になる。
【0020】
◆本発明の第6の観点によれば、以下のように構成する、紡績装置が提供される。糸を下流側に引っ張る力を作用させて巻き取る巻取手段と、この巻取手段の上流に設けられたクランプ手段と、このクランプ手段のクランプ/アンクランプの制御を行う制御手段と、糸の欠陥を検出し、欠陥検出信号を出力する糸欠陥検出器と、を備える。前記制御手段は、前記欠陥検出信号の入力に基づいて前記クランプ手段をクランプ状態に制御しつつ前記巻取手段が糸を巻取側へ引っ張る。
【0021】
これにより、クランプ手段の下流側で糸が強制的に搬送されることで、糸を引きちぎって糸の端部を形成することから、引きちぎりにより形成された糸の端部は、互いの繊維同士の結束が無くまとまりのない状態となるため、撚りの付与された糸よりも単位体積あたりの重量が軽い。従って、糸巻取層の周面から糸端を口出しする場合、その作業が確実かつ容易になる。
【0022】
◆前記の紡績装置においては、以下のように構成することが好ましい。糸を巻取パッケージに巻き取る巻取手段を、当該巻取パッケージを支持する支持手段と、前記巻取パッケージに接触して回転駆動する駆動手段と、により構成する。前記糸の端部を検出する端部検出手段を設け、該端部検出手段の検出結果に基づいて、前記巻取パッケージを駆動手段から離間させるように支持手段を駆動する制御手段を設けた。
【0023】
これにより、糸の端部が巻取パッケージに巻き取られるタイミングでは、その巻取パッケージと駆動手段とが離間することとなる。従って、糸の端部が駆動手段によって巻取パッケージの周面に押し付けられて、当該端部が糸層の内部に埋め込まれて口出しが困難ないし不可能になる事態を回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0025】
〔第1実施形態〕
図1は、並設された多数の紡績ユニット2を備えた紡績装置1を示している。この紡績装置1には、紡績ユニット2が並べられる方向に走行自在に設けられた糸継台車3と、ブロアボックス4と、原動機ボックス5とが装備される。
【0026】
図1に示すように、各紡績ユニット2は、ドラフト装置7と、紡績部(紡績部材)9と、糸送り装置11と、巻取部12と、を主要な構成として有している。ドラフト装置7は紡績装置1本体のケーシング6の上端近傍に設けられており、このドラフト装置7から送られてくる繊維束8を紡績部9で紡績するように構成している。紡績部9から排出された紡績糸10は糸送り装置11で送られて、後述のヤーンクリアラ(糸欠陥検出器)52を通過した後、巻取手段12によって巻き取られ、巻取パッケージ45を形成する。
【0027】
ドラフト装置7は図2に示すように、スライバ13を延伸して繊維束8にするためのものであり、バックローラ14、サードローラ15、エプロンベルト16を装架したミドルローラ17及びフロントローラ18の4つのローラから構成されている。
【0028】
ケーシング6の適宜位置には電動モータからなるドラフトモータ31が設置されており、前記バックローラ14とサードローラ15は、このドラフトモータ31にベルトを介して連結される。このドラフトモータ31の駆動/停止は、各紡績ユニット2ごとに設けられたユニットコントローラ(制御手段)32によって制御される。なお、本実施形態の紡績装置1では、ミドルローラ17やフロントローラ18を駆動するための電動モータもケーシング6に設けられているが、ここでは図示を省略する。
【0029】
また、糸送り装置11は、紡績装置1本体のケーシング6に支持されたデリベリローラ39と、デリベリローラ39に接触して設けられたニップローラ40とからなる。この構成で、紡績部9から排出された紡績糸10をデリベリローラ39とニップローラ40との間に挟んでデリベリローラ39を図示しない電動モータで回転駆動することにより、紡績糸10を巻取手段12側へ送るようになっている。
【0030】
巻取手段12は、支軸70まわりに揺動自在に枢支されたクレードルアーム(支持手段)71を備え、このクレードルアーム71は、紡績糸10を巻回するボビンを回転自在に支持できるようになっている。また巻取手段12は、前記ボビンやそれに紡績糸10を巻回して形成される巻取パッケージ45の周面に当接して駆動可能な、巻取ドラム(駆動手段)72を備えている。
【0031】
この巻取ドラム72が図略の電動モータで駆動されることで、それに接触する巻取パッケージ45を回転させ、紡績糸10を巻き取るようになっている。
【0032】
上記クレードルアーム71には付勢バネ73が備えられて、上記巻取パッケージ45の周面を巻取ドラム72から離間させる方向の付勢力をクレードルアーム71に作用させている。一方、上記クレードルアーム71の基部から吸着アーム74が突設されて、その吸着アーム74の先端には、鉄板からなる吸着板75が固定される。その吸着板75に近接するように電磁石76が設置され、この電磁石76を制御する制御部77が設けられる。この制御部77は、前記ユニットコントローラ32からの制御信号によってON/OFFが切り換わるようになっている。
【0033】
紡績装置1のケーシング6の前面側であって前記糸送り装置11よりも若干下方の位置には、ヤーンクリアラ52が設けられている。そして、紡績部9で紡出された紡績糸10は、巻取手段12で巻き取られる前に前記ヤーンクリアラ52を通過するようになっている。ヤーンクリアラ52は走行する紡績糸10の太さを監視し、紡績糸10の糸欠点を検出した場合に、糸欠点検出信号をユニットコントローラ32へ送信するようになっている。
【0034】
このユニットコントローラ32は、上記糸欠点検出信号を受信すると、所定のタイミングでドラフト装置7や紡績部9等を停止し、糸継台車3に当該紡績ユニット2の前まで自走させる。その後、紡績部9等を再び駆動し、上記糸継台車3に糸継ぎを行わせて紡績及び巻取りを再開させるようになっている。この制御の詳細は後述する。
【0035】
糸継台車3は図1に示すように、紡績装置1本体のケーシング6に設けられたレール41上を走行するように設けられている。この台車3には、糸継装置(例えばスプライサ)43と、この台車3に俯仰自在に設けられ、軸を中心に旋回しながら、紡績部9から排出される糸端を吸い込みながら捕捉して糸継装置43へ案内するサクションパイプ44と、台車3に俯仰自在に設けられ、軸を中心に旋回しながら、巻取手段12に回転自在に支持された巻取パッケージ45から糸端を吸引捕捉して糸継装置43へ案内するサクションマウス46と、を備えている。
【0036】
本実施形態の紡績部9は、図3に示すように、フロントローラ18から送られてくる前記繊維束8を挿通させながらその繊維束8に旋回気流を与える空気紡績ノズル19と、空気紡績ノズル19に先端部が同軸挿入される中空ガイド軸体20と、を主に備えて構成される。
【0037】
空気紡績ノズル19は、ニードルホルダ23と、ノズルブロック34と、該ノズルブロック34を支持するノズル部ケーシング53とを有する。ニードルホルダ23は、上流側のドラフト装置7でドラフトされた繊維束を導入する案内孔21を有し、また、案内孔21から排出された繊維束の流路上にニードル22を保持している。
【0038】
ニードルホルダ23より下流側の位置において、ノズルブロック34にテーパ孔54が設けられ、このテーパ孔54に、当該テーパ孔54とほぼ等しいテーパ角を有する中空ガイド軸体20の先端部24が、同軸に且つ所定の隙間を隔てて挿入されている。中空ガイド軸体20の先端面とニードルホルダ23との間には、加撚領域としての紡績室26が形成され、この紡績室26には前記ニードル22の先端が突出されており、ニードル22の先端が中空ガイド軸体20の先端面と対向している。
【0039】
前記テーパ孔54と前記先端部24との間には、旋回気流発生室25が形成される。また、ノズル部ケーシング53には空気排出用空間55が形成され、この空気排出用空間55の一側に配管60を通じて図略の負圧源(吸引手段)が接続されている。
【0040】
ノズルブロック34には、出口端が紡績室26に開口される複数の旋回気流発生ノズル27が設けられる。これら旋回気流発生ノズル27はノズルブロック34に穿設された孔からなり、紡績室26の接線方向に且つ糸送り下流側に傾斜して設けられている。旋回気流発生ノズル27は図示しない圧空源から圧空の供給を受けてその圧縮空気(圧空)を紡績室26に噴射し、例えば平面視反時計回りの旋回気流(図4参照)を紡績室26に発生させる。この旋回気流は中空ガイド軸体20の先端部24の周りの旋回気流発生室25に沿って螺旋状に下流側に流れ、ノズル部ケーシング53に形成された空気排出用空間55から排出される。
【0041】
なお、旋回気流発生ノズル27への圧空の供給/停止(言い換えれば空気紡績ノズル19へのエアの供給/停止)は、ユニットコントローラ32が発生する制御信号によって行われるようになっている。
【0042】
中空ガイド軸体20は、前記先端部24を有する筒体56から構成される。中空ガイド軸体20には、その軸心に沿って糸通路29が形成され、この糸通路29内を糸が通過した後、下流側の図示しない出口孔を介して紡績糸10が排出されるようになっている。筒体56には、その先端部24より下流側に拡径状の太径部58が形成され、この太径部58は前記空気排出用空間55に露出される。この太径部58は軸体保持部材59に挿入固定される。
【0043】
次に、本実施形態の作用について説明する。図4に示すように、紡績時において繊維束8ないし紡績糸10は、フロントローラ18から案内孔21、紡績室26、糸通路29を通じて下流の糸送り装置11に至る連続状態にあり、図2に示す糸送り装置11によって下流側への送り力が付与されることで、糸に張力が付与される。
【0044】
図4において、前記旋回気流発生ノズル27によって生起される旋回気流(太線矢印)は、紡績室26を負圧にし、この結果、上流側の繊維束8を案内孔21を経由して紡績室26へ引き込む吸引気流が生成される(図4の白抜き矢印)。従って、ドラフト装置7のフロントローラ18から排出された繊維束8は、上記の吸引気流によって紡績室26へ引き込まれ、上記旋回気流発生ノズル27による旋回気流の作用を受ける。これにより、繊維束8のうちの芯繊維となる長繊維に対して残りの短繊維の一端が分離されて開繊され、旋回気流発生室25内で振り回され、加撚される。
【0045】
なお、この撚りはフロントローラ18側へ伝播しようとするが、その伝播は前記ニードル22によって阻止されるので、フロントローラ18から送り出される繊維束8が上記の撚りによって撚り込まれることがない。即ち、ニードル22は撚り伝播防止手段をなしている。上記のように加撚された繊維は、大部分が巻付き繊維となる実撚り状の糸10に順次生成され、糸通路29を通過して排出される。そして紡績糸10は、図2の糸送り装置11、ヤーンクリアラ52を経て、巻取手段12で巻き取られる。
【0046】
次に、糸欠点検出時の制御を説明する。上記の紡績時において、紡績糸10を監視する上記ヤーンクリアラ52が糸欠点を検出すると、当該ヤーンクリアラ52は糸欠点検出信号をユニットコントローラ32へ送る。この信号を受信したユニットコントローラ32は、図2に示すドラフトモータ31の駆動を停止させるので、バックローラ14とサードローラ15が停止される。この結果、ドラフト装置7からの繊維束8の供給が停止される。
【0047】
なお、バックローラ14とサードローラ15の停止後も、ミドルローラ17及びフロントローラ18の駆動は、少なくとも所定時間継続される。この結果、スライバ13ないし繊維束8は、駆動するミドルローラ17と停止中のサードローラ15との間で分断されることになる。
【0048】
上記のドラフトモータ31の停止制御のすぐ後に、又はほぼ同時に、ユニットコントローラ32は空気紡績ノズル19を制御し、旋回気流発生ノズル27からの圧空の噴出を停止する。この結果、上記の旋回気流が消失するために加撚が停止され、また、繊維束8を案内孔21から紡績室26へ導入する上記の吸引気流が消失し、繊維束8は中空ガイド軸体20の内部へ引き込まれなくなる。
【0049】
一方、既に中空ガイド軸体20内の糸通路29内に送られている紡績糸10は、前記糸送り装置11によって下流側へ引っ張られる。この結果、繊維束8ないし紡績糸10は、中空ガイド軸体20の先端近傍部分を境に、繊維の連続状態が分断されて、その下流側の紡績糸10の端部10eは、図5のように、無撚りの繊維束集合体の状態とされる。なお、残りの上流側の繊維束8はフロントローラ18の送りによって案内孔21やその近傍に滞留されるが、この滞留された繊維束8dは、図示しないサクション手段によって吸引除去される。
【0050】
このように本実施形態では、空気紡績ノズル19による加撚作用を停止して紡績糸10に端部を形成するために、上記特許文献1のように糸をカッターで切断することで紡績糸に端部を形成する場合と異なり、紡績糸10に衝撃が生じて強い勢いで飛び出すことが回避される。従って、紡績糸10の端部10eが意図せぬ方向に飛び出して他の部材に絡まったりすることが防止される。
【0051】
また、このようにして形成された紡績糸10の端部10eは、無撚りの繊維束集合体の状態とされたまま、図6のように紡績部9から排出され、糸送り装置11により搬送される。そして、紡績糸10の端部10eが糸送り装置11を抜けて、ヤーンクリアラ52の下流側に設けられた端部検出体(例えば、センサ)57を通過すると、それを検出した端部検出体57が糸なし信号をユニットコントローラ32へ送る。
【0052】
この糸なし信号を受信したユニットコントローラ32は、所定のタイミング(糸なし信号の受信から所定時間後であって、紡績糸10の端部10eが巻取パッケージ45に巻き取られる前のタイミング)で、電磁石76の制御部77に信号を送信して電磁石76をOFFとする。この結果、図7に示すように、電磁石76による吸着板75の吸着が解除され、クレードルアーム71は付勢バネ73の作用によって回動し、巻取パッケージ45が巻取ドラム72から離間する。そして、慣性回転する巻取パッケージ45に紡績糸10は巻き取られてゆき、紡績糸10の端部10eは最終的には、巻取手段12の巻取パッケージ45の周面に乗った状態となる。
【0053】
この後、ユニットコントローラ32は糸継台車3に対して糸継要求信号を送信する。そして、これを受信した糸継台車3が紡績ユニット2の前に到着すると、ユニットコントローラ32はドラフトモータ31や紡績部9等を再び駆動し、また糸継台車3側ではサクションパイプ44を回動させて、その吸引口を紡績部9の出口近傍まで移動させる(図8)。この結果、紡績部9から新しく紡出されてきた紡績糸10の端部がサクションパイプ44によって捕捉される。
【0054】
また、これとほぼ同時に、糸継台車3はサクションマウス46を回動させて、図8に示すように、その吸引口を巻取手段12の巻取パッケージ45の周面近傍まで移動させる。更に、糸継台車3に備えられた図略のモータ等の逆転手段によって、巻取パッケージ45を巻取時とは逆方向に回転させ、紡績糸10を若干解舒させる。この結果、巻取パッケージ45の周面に乗った状態の紡績糸10の端部10eは、サクションマウス46によって吸引捕捉される。なお、紡績糸10の端部10eは上記のように無撚りの繊維束集合体の状態とされているために、サクションマウス46による吸引は容易である。
【0055】
その後、糸継台車3は、紡績部9側の紡績糸10の端部と巻取パッケージ45側の紡績糸10の端部10eとを糸継装置43へ案内して糸継ぎし、紡績作業が再開される。なお、紡績作業を再開する際は、ユニットコントローラ32は制御部77に信号を送って電磁石76をONとし、吸着板75を電磁石76に吸着させることで巻取パッケージ45を再び巻取ドラム72に接触させ、巻取パッケージ45の巻取りを再開させることになる。
【0056】
以上に示すように本実施形態の紡績装置1では、複数の繊維を加撚し紡績糸10を生成するための空気紡績ノズル19の動作を停止させることで紡出を停止し、無撚りの繊維束集合体の状態となった端部10eを紡績糸10に形成し、該端部10eを巻取パッケージ45に搬送している。
【0057】
言い換えれば、本実施形態の紡績装置1は、複数の繊維を加撚し紡績糸10を生成するための空気紡績ノズル19と、この空気紡績ノズル19のエア供給/停止の制御を行うユニットコントローラ32と、繊維連続体を下流側に引っ張る力を作用させて糸巻取層へ搬送する糸送り装置11と、を備える。そして、ユニットコントローラ32は、ヤーンクリアラ52からの糸欠点信号の入力に基づいて空気紡績ノズル19へのエア供給を停止して空気紡績ノズル19の動作を停止させることで紡出を停止し、これによって、紡績糸10の端部10eを無撚りの繊維束集合体の状態とし、この端部10eを糸送り装置11によって巻取パッケージ45に搬送するように構成している。
【0058】
従って、紡績糸10に端部10eを形成する際に紡績糸10に衝撃が生じることが殆どないために、紡績糸10の端部10eが勢い良く飛び出すことが防止される。この結果、紡績糸10に端部10eを形成したときに紡績糸10が他の部材に絡まったりすることが回避される。
【0059】
また、上記のようにして形成された紡績糸10の端部10eの様子が図11(a)に示され、この図に示すように、紡績糸10の端部10eは互いの繊維同士の結束が無くまとまりのない状態となっている。このため、特許文献1のようにカッターで切断した場合の端部(図11(d)に図示)に比較して、端部10eの単位体積あたりの重量が軽く、巻取パッケージ45の周面からサクションマウス46で口出しするときの失敗を少なくできる。
【0060】
また本実施形態では図4に示すように、空気紡績ノズル19による気流は、繊維束8の短繊維の一端を旋回させるための旋回気流(図4の太線矢印)を発生させるとともに、空気紡績ノズル19に向かう吸引気流(白抜き矢印)を発生させるものとしている。そして、前記旋回気流の停止時に前記吸引気流も停止することで新たな繊維束8の供給を阻止し、空気紡績ノズル19の下流側では、糸送り装置11によって、繊維連続体としての紡績糸10を下流側に搬送させる力を作用させて紡績糸10に端部10eを形成している。
【0061】
従って、下流側で糸送り装置11により紡績糸10を搬送しながら、空気紡績ノズル19において旋回気流と吸引気流とをほぼ同時に停止させることにより、紡績糸10に無撚り状の端部10e(互いの繊維同士の結束が無くまとまりのない状態の端部)を確実に形成することができる。
【0062】
また本実施形態では、空気紡績ノズル19の上流側に設けられたドラフト装置7による繊維束8の供給を、空気紡績ノズル19の動作停止とほぼ同時、又は、それより前の適切なタイミングで停止させることにより、空気紡績ノズル19の入口側となる案内孔21への繊維束8の供給を、空気紡績ノズル19の動作停止とほぼ同時又は、その直後に停止させている。
【0063】
これにより、動作停止後の空気紡績ノズル19に対してドラフト装置7から供給される繊維束8の量を少なくできるから、紡績室26に導入されずに図5の如く滞留する繊維束8dの量を少なくできる。この結果、滞留した繊維束8dを(例えば図略のサクション手段によって)容易に取り除くことができ、紡績作業をスムーズに再開できるようにしつつも、空気紡績ノズル19までに至らない繊維束8の連続体の長さをできるだけ長くし、端部10eの長さを長く形成できる。
【0064】
また本実施形態では、紡績糸10を巻き取って巻取パッケージ45を形成する巻取手段を、当該巻取パッケージ45を支持するクレードルアーム71と、前記巻取パッケージ45に接触して回転駆動する巻取ドラム72と、を含んで構成している。そして前記ユニットコントローラ32は、前記端部検出体57の検出結果に基づいて、巻取パッケージ45を巻取ドラム72から離間させるようにクレードルアーム71を駆動するように構成している。
【0065】
これにより、紡績糸10の端部10eが巻取パッケージ45に巻き取られるタイミングでは、巻取パッケージ45と巻取ドラム72とが離間することとなる。即ち、紡績糸10の端部10eが巻取ドラム72によって巻取パッケージ45の周面に押し付けられない。従って、紡績糸10の端部10eが糸層の内部に埋め込まれてサクションマウス46による口出しが困難ないし不可能になる事態を回避できる。即ち、端部10eを形成して、巻取パッケージ45上に乗せるようにすることに加え、巻取パッケージ45の周面への押し付けもないことから、口出しの成功率が更に向上することになる。
【0066】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態を説明する。この第2実施形態は第1実施形態と全く同じ構成としているが、ヤーンクリアラ52による糸欠点検出信号を受信したときのユニットコントローラ32の紡績部9の制御タイミングが、第1実施形態と異なっている。
【0067】
具体的には、ヤーンクリアラ52が糸欠点を検出した場合、ユニットコントローラ32は直ちにドラフトモータ31を停止するのであるが、その後の紡績部9に対するエア停止制御は、第1実施形態よりも若干遅れたタイミングで行うこととしている。即ち、第2実施形態では、紡績部9の旋回気流および吸引気流の停止は、ドラフトモータ31の停止により形成されたスライバ13ないし繊維束8の端部8eが、紡績部9の前記案内孔21に導入される直前に行われる。
【0068】
この制御により、以下の作用が営まれる。即ち、先ずドラフトモータ31の停止制御が行われるので、ミドルローラ17とサードローラ15との間でスライバ13ないし繊維束8は分断され、無撚りの繊維束集合体の状態の端部8eが形成される。分断された下流側の繊維束8は、ミドルローラ17やフロントローラ18によって送られ、旋回気流発生ノズル27の圧空噴射に基づく前述の吸引気流によって紡績部9の案内孔21へ導入されるが、繊維束8の端部8eが前記案内孔21へ導入された直後のタイミングで、旋回気流発生ノズル27からの圧空の噴射は停止される。
【0069】
従って、図9に示すように、繊維束8の端部8eが紡績室26に入ってすぐに旋回気流が停止されるので、当該紡績室26での加撚は行われない。当該端部8eは、その無撚りの状態を保ったまま中空ガイド軸体20の糸通路29を通過することになる。結局、紡績部9から排出された紡績糸10の端部10eには、前記繊維束8の端部8eが現れ、第1実施形態と同様に無撚りの繊維束集合体の状態となる。
【0070】
上記したように、この第2実施形態では、ドラフト装置7による繊維束8の供給を停止することにより、無撚りの繊維束集合体の状態の端部8eを形成するとともに、ドラフト装置7の下流側の空気紡績ノズル19の加撚動作を停止状態にして、前記端部8eの状態を維持したまま通し、糸送り装置11により巻取パッケージ45へ搬送している。
【0071】
言い換えれば、第2実施形態の紡績装置1は、複数の繊維を加撚し紡績糸10を生成するための空気紡績ノズル19と、この空気紡績ノズル19に繊維束8を供給するドラフト装置7と、空気紡績ノズル19のエア供給/停止の制御を行うとともに、ドラフト装置7による繊維束8の供給/停止の制御を行う、ユニットコントローラ32と、繊維連続体を下流側に引っ張る力を作用させて糸巻取層へ搬送する糸送り装置11と、を備える。そして、ユニットコントローラ32は、ヤーンクリアラ52からの信号入力に基づいてドラフト装置7を停止して繊維束8に端部8eを形成するとともに、空気紡績ノズル19へのエア供給を停止して、繊維束8の上記端部8eを撚らないで当該空気紡績ノズル19を通過させ、糸送り装置11により、上記端部8eを巻取パッケージ45へ搬送するように構成している。
【0072】
この第2実施形態でも前記第1実施形態と同じく、紡績糸10に端部10eを形成する際(繊維束8に端部8eを形成する際)に紡績糸10に衝撃が生じることが殆どないために、紡績糸10の端部10eが勢い良く飛び出すことが防止される。この結果、紡績糸10に端部10eを形成したときに紡績糸10が他の部材に絡まったりすることが回避される。
【0073】
また、紡績糸10の端部10eは図11(b)に示すように、互いの繊維同士の結束が無くまとまりのない状態となっている。このため、端部10eの単位体積あたりの重量が軽く、巻取パッケージ45の周面からサクションマウス46で口出しするときの失敗を少なくできる。
【0074】
〔第3実施形態〕
図10には紡績装置1の第3実施形態が示される。この第3実施形態の紡績装置1では、糸送り装置11の下流側であって、ヤーンクリアラ52の直ぐ上流側に、クランプ装置(クランプ手段)51を設置している。このクランプ装置51は、ヤーンクリアラ52の上流側で走行する紡績糸10の両側を挟んでクランプできるようになっている。なお、クランプ装置51のクランプ/アンクランプ制御は、ユニットコントローラ32からのクランプ信号に基づき行われる。
【0075】
なお、この第3実施形態では、巻取手段12の巻取ドラム72が、紡績糸10を下流側に引っ張る力を作用させて巻取パッケージ45へ搬送する役割を果たす。
【0076】
この構成で、ヤーンクリアラ52が紡績糸10の糸欠点を検出し、糸欠点検出信号をユニットコントローラ32に送信すると、これを受信したユニットコントローラ32はクランプ装置51へクランプ信号を送り、走行する紡績糸10をクランプさせる。このクランプ状態においても巻取ドラム72による巻取パッケージ45の駆動は継続されるので、紡績糸10はクランプ装置51と巻取手段12との間で引きちぎられ、これによって紡績糸10に端部10eが形成される。
【0077】
以上に示すように、本実施形態の紡績装置1では、巻取パッケージ45の上流にクランプ装置51を設け、このクランプ装置51の下流側で紡績糸10が強制的に搬送されることで、糸を引きちぎって無撚りの繊維束集合体の状態の端部10eを形成し、その端部10eを巻取パッケージ45へ搬送している。
【0078】
この第3実施形態においては、紡績糸10に形成される端部10eは、図11(c)に示すように繊維同士の結束があまりなくまとまりのない状態となるため、特許文献1の場合(図11(d))に比較して単位体積あたりの重量が軽く、巻取パッケージ45の周面からサクションマウス46により口出しすることが確実かつ容易になる。
【0079】
なお、第3実施形態では、繊維束をいったん加撚して紡績糸10としたものを引きちぎって端部10eとしているため、図11(c)に示すように、この端部10eにおいて繊維束が無撚り状を呈する部分は、第1・第2実施形態の場合(図11(a),(b))と比べて小さい傾向がある。従って、本願発明の効果としては、第1・第2実施形態のほうが大きいといえる。
【0080】
〔変更態様〕
以上に本発明の複数の実施形態及びその変形例を説明したが、本発明は更に以下のように変更して実施することができる。
【0081】
(1)端部検出体57によって紡績糸10の端部10eを検出し、これに基づいてクレードルアーム71を駆動して巻取パッケージ45を巻取ドラム72から離間させる制御は、第1実施形態のみならず、上記第2・第3実施形態においても行うことができる。また、前記端部検出体57を省略する一方、前記ヤーンクリアラ52に、紡績糸10の端部10eを検出する端部検出手段としての機能を兼ねさせても良い。
【0082】
(2)なお、上記の特許文献1や特開2001−40532号公報に示すような弛み取りローラを備える紡績装置に本発明を適用することもできる。この場合、その弛み取りローラは本発明の巻取手段に相当する。
【0083】
(3)また、上記第3実施形態のクランプ装置51を備える構成は、例えば、紡績を行わない巻取機としての自動ワインダに適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の第1実施形態に係る紡績装置の全体的な構成を示した正面図。
【図2】同じく縦断側面図。
【図3】紡績部の正面側からみた断面図。
【図4】紡績部による紡績の様子を示す図。
【図5】紡績部において紡績糸に端部が形成された様子を示す図。
【図6】紡績糸の端部が紡績部から排出された直後の様子を示す縦断側面図。
【図7】紡績糸の端部が巻取パッケージに巻き取られる直前であって、巻取パッケージが巻取ドラムから離間する様子を示す図。
【図8】巻取パッケージに巻き取られた紡績糸の端部がサクションマウスによって口出しされる様子を示す図。
【図9】第2実施形態において、繊維束の端部が撚られずに紡績室を通過する様子を示す断面図。
【図10】第3実施形態の紡績装置の縦断側面図。
【図11】(a)〜(c)は、各実施形態において形成された紡績糸の端部を示す図。なお(d)は、カッターによる切断によって形成された糸の端部を示す参考図。
【符号の説明】
【0085】
1 紡績装置
7 ドラフト装置
8 繊維束
8e 繊維束の端部
9 紡績部(紡績部材)
10 紡績糸(糸)
10e 紡績糸の端部
11 糸送り装置(搬送手段)
12 巻取手段
19 空気紡績ノズル
26 紡績室(加撚領域)
32 ユニットコントローラ(制御手段)
45 巻取パッケージ(糸巻取層)
51 クランプ装置(クランプ手段)
52 ヤーンクリアラ
71 クレードルアーム(指示手段)
72 巻取ドラム(搬送手段、駆動手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸欠陥検出器による糸欠陥検出時に、複数の繊維を加撚し糸を生成するための空気紡績ノズルからの圧空の噴射を停止させることを特徴とする、紡績装置の運転方法。
【請求項2】
請求項1に記載の紡績装置の運転方法であって、
前記空気紡績ノズルによる気流は、繊維を旋回させるための旋回気流を発生させるとともに、当該空気紡績ノズルに向かう吸引気流を発生させるものとし、前記旋回気流の停止時に前記吸引気流も停止することで新たな繊維束の供給を阻止し、前記紡績ノズルの下流側では、繊維連続体を下流側に搬送させる力を作用させて糸に端部を形成することを特徴とする、紡績装置の運転方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の紡績装置の運転方法であって、
前記空気紡績ノズルの入口への繊維束の供給を、前記空気紡績ノズルの動作停止とほぼ同時、又は、その直後に停止させることを特徴とする、紡績装置の運転方法。
【請求項4】
糸欠陥検出器による糸欠陥検出時に、ドラフト装置による繊維束の供給を停止するとともに、ドラフト装置の下流側の加撚領域での加撚動作を停止状態にすることを特徴とする、紡績装置の運転方法。
【請求項5】
巻取手段の上流にクランプ手段を設け、糸欠陥検出器による糸欠陥検出時に、前記クランプ手段で糸をクランプするとともに、当該クランプ手段下流側の糸を巻取側へ引っ張ることを特徴とする、紡績装置の運転方法。
【請求項6】
複数の繊維を加撚し糸を生成するための空気紡績ノズルと、
この空気紡績ノズルのエア供給/停止の制御を行う制御手段と、
糸の欠陥を検出し、欠陥検出信号を出力する糸欠陥検出器と、
を備え、
前記制御手段は、前記欠陥検出信号の入力に基づいて前記空気紡績ノズルへのエア供給を停止制御することを特徴とする、紡績装置。
【請求項7】
複数の繊維を加撚し糸を生成するための紡績部材と、
この紡績部材に繊維束を供給するドラフト装置と、
前記紡績部材の加撚動作の制御を行うとともに、前記ドラフト装置による繊維束の供給/停止の制御を行う、制御手段と、
糸の欠陥を検出し、欠陥検出信号を出力する糸欠陥検出器と、
を備え、
前記制御手段は、前記欠陥検出信号の入力に基づいて前記ドラフト装置を停止するとともに、前記紡績部材の加撚動作を停止制御することを特徴とする、紡績装置。
【請求項8】
糸を下流側に引っ張る力を作用させて巻き取る巻取手段と、
この巻取手段の上流に設けられたクランプ手段と、
このクランプ手段のクランプ/アンクランプの制御を行う制御手段と、
糸の欠陥を検出し、欠陥検出信号を出力する糸欠陥検出器と、
を備え、
前記制御手段は、前記欠陥検出信号の入力に基づいて前記クランプ手段をクランプ状態に制御しつつ前記巻取手段が糸を巻取側へ引っ張ることを特徴とする、紡績装置。
【請求項9】
請求項6から請求項8までの何れか一項に記載の紡績装置であって、
糸を巻取パッケージに巻き取る巻取手段を、当該巻取パッケージを支持する支持手段と、前記巻取パッケージに接触して回転駆動する駆動手段と、により構成し、
前記糸の端部を検出する端部検出手段を設け、該端部検出手段の検出結果に基づいて、前記巻取パッケージを駆動手段から離間させるように支持手段を駆動する制御手段を設けたことを特徴とする、紡績装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−144136(P2006−144136A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−331800(P2004−331800)
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】