説明

紫外線吸収性繊維処理剤組成物

【課題】紫外線吸収剤が衣類上に均一に吸着することを可能とし、経時的に変色するのを抑制した組成物を提供すること。
【解決手段】(A)塩化ジメチルジアリルジアリルアンモニウムの重合体等のカチオン性化合物、(B)紫外線吸収剤、(C)ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤、及び(D)エタノール等の水溶性溶剤を含有する組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線吸収性繊維処理剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年オゾン層の破壊により一層紫外線が地表に届きやすく、強いエネルギーを持った紫外線が増加している。このような紫外線被曝により肌は赤みを帯びる、またひどくなると水泡が生じ、さらに繰り返し持続して紫外線を浴び続けるとしわやしみの原因となる。
紫外線を防ぐ手段として、これまでにサンスクリーニング剤を肌に直接塗布すること、日傘や防止を使用または活用している。しかしながら、太陽から直接受ける紫外線を防ぐことはできるものの、その効果が不十分、または、地表からあるいは壁等から反射して受ける紫外線に対しては無防備である。さらに、室内においてもガラスを通過して入ってくる紫外線なども最近では問題となっている。
このような状況から、衣類にも紫外線防御効果を持たせる技術開発が以前より行なわれている(特許文献1〜3)。
しかしながら、これらは工業的に繊維処理を行なうものであり、お気に入りの服を家庭で処理する一般向けではない。
一般向けとしては、柔軟剤組成物中に紫外線吸収効果のある基材を添加し、紫外線を吸収するという技術が公開されている(特許文献4〜7)。しかし、特許文献1〜3に開示されている組成物は吸着性が良好でなく、特許文献4に開示されている組成物は紫外線吸収剤の吸着にムラがあり紫外線吸収効果が部分的に高い部分や低い部分が存在し、吸収効果の低い部分では有効性が損なわれる。該組成物はまた保存安定性も良好でない。このように紫外線吸収剤を衣類上に均一に吸着させることに課題があった。他方、紫外線吸収剤を含有する組成物は、経時的に変色してしまうという問題があった。
【0003】
【特許文献1】特開2003-147617号公報
【特許文献2】特開平5-179568号公報
【特許文献3】特許3892916号
【特許文献4】特開2003-301374号公報
【特許文献5】特開2002-161476号公報
【特許文献6】特開2002-161475号公報
【特許文献7】特許3871720号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明は、紫外線吸収剤が衣類上に均一に吸着することを可能とし、経時的に変色するのを抑制した組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、下記(A)、(B)、(C)及び(D)を含むことを特徴とする紫外線吸収性繊維処理剤組成物を提供する。
(A)下記からなる群から選択される1種以上のカチオン性化合物;アミド基、エステル基及び/又はエーテル基で分断されていてもよい、C12〜36の炭化水素基を分子内に1つ以上有し、且つ3級アミノ基又はその塩もしくは4級アンモニウム基を有するカチオン性界面活性剤、及びカチオン性を有する水溶性高分子化合物
(B)紫外線吸収剤
(C)酸化防止剤
(D)下記からなる群から選択される水溶性溶剤;
炭素数2〜6の一価アルコールもしくは多価アルコール、及び下記一般式(I)又は(II)で表わされるグリコールエーテル化合物
1−O−(R2O)m−H (I)
[式中、R1は、炭素数2〜6のアルキル基又はフェニル基であり、R2は、炭素数2又は3のアルキレン基であり、mは、平均付加モル数を表し、2〜3の数である。]
3−O−(R2O)n−R4 (II)
[式中、R3及びR4は、それぞれ独立して炭素数1又は2のアルキル基であり、R2は、炭素数2又は3のアルキレン基であり、nは、平均付加モル数を表し、1〜3の数である。]
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、処理対象である繊維製品上に紫外線吸収剤が均一にむらなく吸着できるので、紫外線遮断効果に優れる。本発明の組成物は日光に晒されても変色し難い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(A)成分
(A)成分は、(B)成分を繊維ないし繊維製品への吸着性を向上させるカチオン性化合物であり、アミド基、エステル基及び/又はエーテル基で分断されていてもよい、C12〜36の炭化水素基を分子内に1つ以上有し、且つ3級アミノ基又はその塩もしくは4級アンモニウム基を有するカチオン性界面活性剤であるか、又はカチオン性を有する水溶性高分子化合物である。カチオン性界面活性剤とカチオン性を有する水溶性高分子とを併用してもよい。
【0008】
本発明において用いることのできるカチオン性界面活性剤としては、以下に示すアミン化合物とその有機または無機酸による中和物、およびその4級化物を例示することができる。これらは、いずれも1種または2種以上の混合物として用いることができる。2種以上を混合する場合、カチオン界面活性剤混合物中の長鎖炭化水素基を2つまたは3つ有するカチオン性界面活性剤の質量比率が50%以上であると、仕上げ処理した繊維製品の柔軟性を良好にすることができるので好ましい。使用後自然環境中へ廃棄された後の生分解性を付与するためには、該長鎖炭化水素基の途中にエステル基を含有するカチオン性界面活性剤であることが好ましい。
【0009】
【化1】

【0010】
カチオン性界面活性剤を構成するRは炭素数10〜24、好ましくはC14〜18の炭化水素基、好ましくは飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖式基、より好ましくは直鎖又は分岐アルキル基又はアルケニル基である。不飽和基を有する場合、シス体とトランス体が存在するが、その質量比率はシス/トランス=25/75〜100/0が好ましく、40/60〜80/20が特に好ましい。また、飽和と不飽和炭化水素基の比率は95/5〜50/50(wt/wt)であることが好ましい。
また、カチオン性界面活性剤を構成するR1は炭素数10〜24の脂肪酸からカルボキシル基を除いた残基であり、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、直鎖脂肪酸、分岐脂肪酸のいずれから誘導される長鎖炭化水素基である。不飽和脂肪酸の場合、シス体とトランス体が存在するが、その質量比率はシス/トランス=25/75〜100/0が好ましく、40/60〜80/20が特に好ましい。R1のもととなる脂肪酸は以下のものが例示できる。ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、部分水添パーム油脂肪酸(ヨウ素価10〜60)、部分水添牛脂脂肪酸(ヨウ素価10〜60)などが挙げられる。中でも好ましいのは、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、エライジン酸を所定量組み合わせ、飽和/不飽和比率が95/5〜50/50(wt/wt)、シス/トランス体質量比が40/60〜80/20、ヨウ素価が10〜50、炭素数18の比率が80質量%以上であり、炭素数20の脂肪酸を2質量%以下、炭素数22の脂肪酸を1質量%以下となるように調整した脂肪酸組成を用いることが好ましい。ここで、式中に存在するR1はすべて同一であっても、またはそれぞれ異なっていても構わない。
【0011】
上記3級アミンの中和に用いる酸としては、塩酸、硫酸、メチル硫酸が挙げられる。本発明で用いる3級アミンは塩酸、硫酸、メチル硫酸によって中和されたアミン塩の形で用いることが好ましい。その中和工程は3級アミンを予め中和したものを水に分散してもよいし、酸水溶液中に3級アミン を液状又は固体状で投入してもよい。もちろん3級アミンと酸成分を同時に投入してもよい。また、上記3級アミンの4級化に用いる4級化剤としては塩化メチルやジメチル硫酸が挙げられる。
一般式(A-III)、(A-IV)の化合物は上記脂肪酸組成物、または脂肪酸メチルエステル組成物とメチルジエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、分散安定性を良好にする観点から、(A-III)と(A-IV)の化合物の存在比率は質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。更に、その4級化物を用いる場合には、4級化剤として塩化メチルやジメチル硫酸などを用いるが、低分子量であり4級化に所要する4級化剤重量が少ない点で塩化メチルがより好ましい。その際、(A-III)と(A-IV)で示されるエステルアミンの4級化物の存在比率も、分散安定性の観点から質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。また、(A-III)、(A-IV)を4級化する場合、一般的に4級化反応後も4級化されていないエステルアミンが残留する。その際、4級化物/4級化されていないエステルアミンの比率は、エステル基の加水分解安定性の観点から、質量比で99/1〜70/30の質量比率であることが好ましい。
【0012】
一般式(A-V)、(A-VI)、(A-VII)の化合物は上記脂肪酸組成物、または脂肪酸メチルエステル組成物とトリエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、分散安定性を良好にする観点から、[(A-V)+(A-VI)]と(A-VII)の化合物の存在比率は質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。更に、その4級化物を用いる場合には、4級化剤として塩化メチルやジメチル硫酸などを用いるが、反応性の観点からジメチル硫酸がより好ましい。その際、[(A-V)+(A-VI)]と(A-VII)で示されるエステルアミンの4級化物の存在比率も、分散安定性の観点から質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。また、(A-V)、(A-VI)、(A-VII)を4級化する場合、一般的に4級化反応後も4級化されていないエステルアミンが残留する。その際、4級化物/4級化されていないエステルアミンの比率は、エステル基の加水分解安定性の観点から、質量比で99/1〜70/30の質量比率であることが好ましい。
【0013】
一般式(A-VIII)、(A-IX)の化合物は上記脂肪酸組成物とN−メチルエタノールアミンとアクリロニトリルの付加物より、「J.Org.Chem.,26,3409(1960)」に記載の公知の方法で合成したN−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−1,3−プロピレンジアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、(A-VIII)と(A-IX)の化合物の存在比率は質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。更にその4級化物を用いる場合には塩化メチルで4級化するが、(A-VIII)と(A-IX)で示されるエステルアミンの4級化物の存在比率も質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。また、(A-VIII)、(A-IX)を4級化する場合、一般的に4級化反応後も4級化されていないエステルアミンが残留する。その際、4級化物/4級化されていないエステルアミンの比率は、エステル基の加水分解安定性の観点から、質量比で99/1〜70/30の質量比率であることが好ましい。
【0014】
本発明において使用できるカチオン性界面活性剤としては、炭素数が10〜22の高級脂肪酸由来の脂肪酸アミドアルキル3級アミン又はその塩を用いることも可能であり、該脂肪酸は飽和でも不飽和であってもよい。
該脂肪酸アミドアルキル3級アミンの具体例としては、カプリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジメチルアミノプロピルアミド等の脂肪酸アミドアルキル3級アミン又はその塩などが挙げられる。中でも、それ自体の臭気が低く良好なことから、カプリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジメチルアミノプロピルアミドが好ましく、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドがより好ましい。
長鎖アミンの具体的な商品としては、例えば、東邦化学(株)製のカチナールMPAS−R(商品名、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミドとステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドの質量比3/7混合物)、ライオンアクゾ(株)製のアーミンAPA168−65E(商品名、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミドとステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドの質量比3/7混合物の65質量%のエタノール溶液)等が好ましく用いられる。
【0015】
なお、上記の「脂肪酸アミドアルキル3級アミン又はその塩」は、例えば、脂肪酸あるいは脂肪酸低級アルキルエステル、動・植物性油脂等の脂肪酸誘導体と、ジアルキルアミノアルキルアミンとを縮合反応させ、その後、未反応のジアルキルアミノアルキルアミンを、減圧または窒素ブローにて留去することにより得られる。
ここで、脂肪酸又は脂肪酸誘導体としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、エルカ酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、とうもろこし油脂肪酸、牛脂脂肪酸、パーム核油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、ひまし油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸等、またはこれらのメチルエステル、エチルエステル、グリセライド等が具体的に挙げられる。中でも、洗濯すすぎ行程における繊維製品への吸着性能に優れることから、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸が好ましい。これら脂肪酸又は脂肪酸誘導体は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0016】
カチオン性界面活性剤としては、上記式(A-II)、(A-V)、(A-VI)又は(A-VII)で表されるアミン化合物の4級化物、及び炭素数14〜18の高級脂肪酸由来の脂肪酸アミドアルキル3級アミン又はその塩が好ましい。
上記のカチオン性界面活性剤の配合量は0.1〜50質量%であり、好ましくは0.5〜30質量%である。カチオン界面活性剤の配合量をこのような範囲とすることにより、(B)成分の紫外線吸収剤の吸着促進効果を高め、かつ、粘度の上昇を抑えて使用性の面で良好なものとすることができる。
【0017】
本発明において用いることのできるカチオン性高分子は、25℃の水100gに対する溶解度が1g以上であり、重量平均分子量が1,000〜5,000,000である高分子である。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによりポリエチレングリコールを標準物質とした条件下で測定することができる。水に溶解時にカチオン性を有する高分子化合物であればよく、具体的には、ダイドールEC−004、ダイドールHEC、ダイドールEC(大同化成工業)MERQUAT100(Nalco社)、アデカカチオエースPD−50(旭電化工業)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合体、MERQUAT550(Nalco社)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、MERQUAT280(Nalco社)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体、レオガードKGP(ライオン)等のカチオン化セルロース、LUVIQUAT−FC905(BASF)等の塩化イミダゾリニウム・ビニルピロリドン共重体、LUGALVAN−G15000(BASF)等のポリエチレンイミン、ポバールCM318(クラレ)等のカチオン化ポリビニルアルコール、キトサン等のアミノ基を有する天然系の高分子誘導体、ジエチルアミノメタクリレート・エチレンオキシド等が付加された親水基を有するビニルモノマーとの共重合体等が挙げられる。このうち、塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合体が好ましい。いずれも1種または2種以上の混合物として用いることができる。
【0018】
カチオン性高分子の配合量は特に限定されないが、繊維製品に剛性を付与しない範囲のものとするのが好ましく、例えば、組成物の全質量をベースとして、0.1〜30質量%とするのがよく、さらに好ましくは0.5〜10質量%とするのがよい。カチオン性高分子の配合量をこのような範囲とすることにより、前記(B)成分の吸着促進効果を高め、かつ、粘度の上昇を抑えて使用性の面で良好なものとすることができる。
【0019】
(B)成分
紫外線を防御する効果のあるものとしては一般的に、無機粉体である紫外線散乱剤と有機化合物である紫外線吸収剤とに大別できる。無機粉体は、主として散乱・遮断という物理的機構により効果を発揮する。それに対して、有機化合物である紫外線吸収剤は、吸収した光エネルギーをほかのエネルギーに効率的に転換する機構により効果を発揮する。紫外線を防御できる充分な濃度で使用すれば、上記の両基材の紫外線遮断効果は発現する。
無機粉体である紫外線散乱剤としては、安全性の高い無機顔料の酸化チタンや酸化亜鉛などが使用され、光の散乱や遮断という機構から紫外線の波長全域に効果がある。しかしながら、効果発現可能なレベルの量を配合すると、スプレー時に粉体が管に詰まり易くなるばかりか、衣類表面が白化してしまう可能性がある。
一方、有機化合物である紫外線吸収剤はカルボニル基をもつ芳香族化合物であり、短波長で高エネルギーの紫外線を吸収し、長波長の無害な低エネルギーの光線に変換して放出する。少量でも高い紫外線吸収効果を示し、無機粉体のようにスプレー時の目詰まりや、繊維製品上での白化などのトラブルを起こさない。
好ましい紫外線吸収剤は、スチルベン、ベンゾフェノンおよびベンゾトリアゾールの誘導体化合物である。特に、スチルベン誘導体が好ましい。
スチルベン誘導体は、下記一般式(B-I)〜(B-IV)で示されるスチルベン構造を有する化合物である。
【0020】
【化2】

【0021】
(式中、Mは水素、アルカリ金属原子、アンモニウム又はアミンから形成される陽イオンであり、R1は水素又はヒドロキシ基であり、R2はC1〜C4アルキル基又はフェニル基であり、Yは−C(=O)−NR3R4(R3及びR4は、互いに独立に水素又はC1〜C4アルキル基である)、−SO2−NR3R4、−C(=O)−NR2又は−C(=O)−OMであり、XはNH、Oであるか又はR2と一緒になってモルホリノ基を示す。)
【0022】
【化3】

【0023】
(式中、Mは水素、アルカリ金属原子、アンモニウムまたはアミンから形成された陽イオンであり、R1は置換されたアリール基、R2は水素、場合によっては置換されたアリール基、モルホリン基、アルキルアミン基、ハイドロキシ基、n1とn2は互いに独立的に0または1である。)
【0024】
【化4】

【0025】
(式中、Mは水素、アルカリ金属原子、アンモニウム又はアミンから形成される陽イオンであり、R1は下記で表される基である。
【0026】
【化5】

【0027】
(式中、R3はNR4R5など、R4R5は水素、アルキル基などを示す。)
R2はNH2、N(CH2CH2OH)2などを表す。)
【0028】
【化6】

【0029】
(式中、R1、R2、R3、R4は、−NR5R6で示される基であり、これらは同一又は異なっていても良い。ここで、R5、R6は、同一でも異なっていても良く、それぞれ水素原子、C1〜C3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基又は置換基を有していても良いアリール基、あるいはR5、R6がヘテロ原子を介在して連結した複素環を形成していても良い。Mは有機又は無機の陽イオンである。)
このうち、式(B-I)で表されるスチルベン誘導体が好ましい。
本発明において用いることのできるスチルベン誘導体紫外線吸収剤は、具体的には特開平9−3052号公報、特開平10−81672号公報、特開平10−87638号公報の実施例中に記載の化合物があげられる。これらの中でも、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の商品名Tinosorb FD及びTinosorb FRが好ましく、特に好ましくはTinosorb FDである。
ベンゾフェノン誘導体は以下に示された重合性ビニルモノマーの単独または共重合可能な他のビニルモノマーとの共重合物である。
【0030】
【化7】

【0031】
(式中、Rは水素またはメチル基、Xは、−O−、−OCH2CH2O−又は−OCH2CHCH3HO−を示す。)
本発明で用いることのできるベンゾフェノン誘導体としては、一方社油脂工業株式会社から市販されているULS−700等があげられる。
ベンゾトリアゾール誘導体は下記一般式(B-VI)で示される重合性ビニルモノマーの単独または共重合可能な他のビニルモノマーとの共重合物である。
【0032】
【化8】

【0033】
(式中、Yは水素、ハロゲン又はメチル基、R1は水素又はC1〜C6のアルキル基、R2はC1〜C6の直鎖又は分岐状のアルキレン基、R3は水素又はメチル基を示す。)
本発明で用いることのできるベンゾトリアゾール誘導体としては、ULS−1700(一方社油脂工業株式会社)やNCI−905−20EM(株式会社ニッコー化学研究所)等があげられる。
本発明ではまた、ポリアミド−2誘導体も紫外線吸収剤として使用することができる。本発明で用いることのできるポリアミド−2誘導体としては、NALCO社から市販されているSolamer GR8等があげられる。
さらに本発明では、シリコーン誘導体紫外線吸収剤を使用することができる。本発明で用いることのできるシリコーン誘導体紫外線吸収剤としては、DSMニュートリションジャパン社から市販されているPARSOL SLXがあげられる。
(B)成分の含有量は、組成物全量に対して、通常0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量% 配合することができる。(B)成分の量がこのような範囲にあると、紫外線吸収効果および経済的な面で好ましい。
【0034】
(C)成分
(C)成分は、(B)成分の経時による変色を防止できる酸化防止剤であり、酸化防止剤としては、一般に知られている天然系酸化防止剤、合成系酸化防止剤ともに使用できる。具体的にはアスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体(例えば、アスコルビン酸とリン酸との誘導体、アスコルビン酸と糖類との誘導体(ここで、使用できる糖類は、アスコルビン酸と結合できればなんでもよく、単糖、二糖、オリゴ糖、多糖を使用できる。また構成する糖は、五炭糖、六炭糖が好ましく、中でもグルコースがよい。)、アスコルビン酸とパルミチン酸との誘導体)、没食子酸プロピルの混合物、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)、クエン酸の混合物、ハイドロキノン、三級ブチルハイドロキノン、天然のトコフェロール系化合物、没食子酸の長鎖エステル(C8〜C22)、例えば没食子酸ドデシル、ビスフェノール類(例えば、チオビスフェノール系(チバスペシャルティケミカル(株)から入手可能なイルガノックス(登録商標)系化合物)、例えば、2,2'−メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール(川口化学工業(株)から購入できるビスフェノール系化合物(アンテージシリーズ))、クエン酸イソプロピル、4,5−ジヒドロキシ−m−ベンゼンスルホン酸/ナトリウム塩、ジメトキシフェノール、カテコール、メトキシフェノール、カロチノイド、フラン類、アミノ酸類等が挙げられる。
この中で、紫外線吸収性繊維処理剤組成物の外観や保存安定性の観点から、BHT、メトキシフェノール、アスコルビン酸誘導体、ビスフェノール類、トコフェロール誘導体が好ましい。
酸化防止剤の配合量は、組成物の全量を基準にして0.001〜10質量%の範囲で使用されることが好ましい。好ましくは0.05%〜5%、特に好ましくは0.01%を超え、5%以下の範囲である。この範囲にあると組成物の変色を効果的に抑制できる。
【0035】
(D)成分
(D)成分は、(B)成分の紫外線吸収剤を繊維ないし繊維製品表面に均一に適用するために必須である。但し、上記一般式(I)において、R1:炭素数2〜4のアルキル基、R2:エチレン基、m=1であるところの所謂セロソルブ類は、危険有害性の点から化学品の分類及び表示に関する世界調和システム(GHS)に基づき、表示対象物質となっているので、好ましくない。
(D)成分としては、炭素数2〜6の一価アルコールもしくは多価アルコール、または式(I)で表されるグリコールエーテル化合物が好ましい。一価アルコールもしくは多価アルコールとしては、炭素数2〜4のものがより好ましい。式(I)で表されるグリコールエーテル化合物としては、R1が炭素数2〜6のアルキル基である化合物がより好ましい。具体的には、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ペンタンジオール類、ヘキサンジオール類、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、これらの中ではジエチレングリコールモノブチルエーテル、エタノール、エチレングリコールがより好ましい。
(D)成分の含有量は、組成物全量に対して、通常0.1〜90質量%、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは1〜20質量%配合することができる。(D)成分の量がこのような範囲にあると、紫外線吸収剤の組成物安定性や均一吸着性の点で好ましい。
【0036】
[任意成分]
(E)成分
本発明の(E)成分は、シリコーン化合物である。このシリコーン化合物は、(B)成分の均一付着性を向上させることが可能であれば特に限定されない。一般的に繊維処理に使用されているシリコーン化合物としては、ジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、フッ素変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、及びアミノ変性シリコーンなどが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上の混合物として使用することができる。
このなかでも特に好ましいシリコーン化合物として、ポリエーテル変性シリコーンを挙げることができる。本シリコーンは、ポリエーテル基を有しないジメチルシリコーンに比べ、キシミ感が少なく滑り性が良好な繊維に仕上げることができる。好ましいポリエーテル変性シリコーンとしては、アルキル(炭素数1〜3)シロキサンとポリオキシアルキレン(アルキレン基の炭素数2〜5が好ましい)の共重合体が挙げられる。このうち、ジメチルシロキサンとポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダム又はブロック共重合体など)の共重合体が好ましい。
【0037】
該シリコーン化合物の分子構造は直鎖状であっても分岐や架橋していてもよい。また、変性シリコーン化合物は1種類の有機官能基により変性されていても構わないし、2種以上の有機官能基により変性されていてもよい。
該シリコーン化合物はオイルとして使用でき、また任意の乳化剤によって分散された乳化物としても使用できる。
特にポリエーテル変性シリコーンが(B)成分の均一塗布性および滑り性を向上させる点で好ましい。好ましいポリエーテル変性シリコーンとしては、アルキルシロキサンとポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダム又はブロック共重合体など)との共重合体が好ましい。このようなものとして下記一般式(E-I)で表される化合物が挙げられる。
【0038】
【化9】

【0039】
式中、−Zは、それぞれ独立に−R、−O−R、−OH、−O−X−R、−O−X−Hであり、Rは同一でも異なっていてもよく、いずれも飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭素数1〜4の炭化水素基である。−Z としては、−R、−OHが好ましく、Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの飽和炭化水素基(アルキル基)が好ましく、中でもメチル基が好ましい。
Xはポリオキシアルキレン基である。具体的には、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン基等があげられ、これらのうちの1種が付加したものであってもよく、あるいはオキシエチレン単位、オキシプロピレン単位、またはオキシブチレン単位などの異なった種類のオキシアルキレン基がブロック状あるいはランダムに配列したものであってもよい。但し、いずれの場合であっても、X中のポリオキシエチレン鎖部分の質量割合は、分子全体の質量を基準として10〜50質量%が好ましく、さらに好ましくは15〜45質量%であり、さらに好ましくは20〜35質量%である。
【0040】
−Yは、−R1−O−X−R2 または−O−X−R2、好ましくは−O−X−R2であり、R1 は炭素数1〜4の飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭化水素基であり、R2 は水素原子または炭素数1〜4の飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭化水素基である。ここで、R1は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などの飽和炭化水素基(アルキレン基)が好ましく、中でもプロピレン基が特に好ましい。R2は、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの飽和炭化水素基(アルキル基)が好ましい。特に好ましいR2 は、水素原子又はメチル基である。
L、M及びNはそれぞれ各繰返し単位の数の平均値を表す。Lは0〜50、好ましくは0〜10、さらに好ましくは0〜3であり、Mは1〜1000、好ましくは1〜300、さらに好ましくは1〜50であり、Nは10〜10000、好ましくは20〜3000、更に好ましくは20〜500である。
【0041】
本発明で用いることができるポリエーテル変性シリコーンとして商業的に入手可能な具体例としては、東レ・ダウコーニング(株)製のSH3772M、SH3775M、SH3748、SH3749、SF8410、SH8700、BY22−008、SF8421、SILWET L−7001、SILWET L−7002、SILWET L−7602、SILWET L−7604、SILWET FZ−2104、SILWET FZ−2120、SILWET FZ−2161、SILWET FZ−2162、SILWET FZ−2164、SILWET FZ−2171、ABN SILWET FZ−F1−009−01、ABN SILWET FZ−F1−009−02、ABN SILWET FZ−F1−009−03、ABN SILWET FZ−F1−009−05、ABN SILWET FZ−F1−009−09、ABN SILWET FZ−F1−009−11、ABN SILWET FZ−F1−009−13、ABN SILWET FZ−F1−009−54、ABN SILWET FZ−2222、信越化学工業(株)製のKF352A、KF6008、KF615A、KF6016、KF6017、GE東芝シリコーン(株)製のTSF4450、TSF4452等が挙げられ、これらを1種単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0042】
本発明で用いることのできるシリコーン化合物は、一般に、Si−H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、例えばポリオキシアルキレンアリルエーテル等の、炭素−炭素二重結合を末端に有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルとを付加反応させることにより製造することができる。得られたシリコーン化合物中に、炭素−炭素二重結合を末端に有するポリオキシアルキレン又はシリコーンなどの未反応原料、エタノール、イソプロピルアルコールなどの製造時に用いる溶剤、白金系などの触媒が微量残存するが、本発明の効果に影響を与えない。
好ましいポリエーテル変性シリコーンとしては、アルキル(炭素数1〜3)シロキサンとポリオキシアルキレン(アルキレン基の炭素数2〜5が好ましい)の共重合体が挙げられる。このうち、ジメチルシロキサンとポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダム又はブロック共重合体など)の共重合体が好ましい。このようなものとして、下記一般式(E-II)で表される化合物が挙げられる。
【0043】
【化10】

【0044】
(式中、M、N、a及びbは平均重合度であり、Rは水素又はアルキル基を表す。)
ここで、Mはジメチルシロキサン、Nはポリオキシアルキレン、aはポリオキシエチレン、bはポリオキシプロピレンの数を表す。Mは、10〜10000、好ましくは50〜1000、より好ましくは100〜300、Nは1〜1000、好ましくは5〜300、且つM>Nであることが好ましい。aは2〜100、好ましくは5〜50、より好ましくは5〜20、bは0〜50、好ましくは0〜10が好ましい。Rとしては水素又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であるのがより好ましい。
本発明で用いるシリコーン化合物の配合量は特に限定されないが、処理した繊維製品の(B)成分の均一吸着性の点から、組成物の全質量をベースとして、0.1〜50質量%が好ましく、さらに好ましくは0.3〜40質量%、特に好ましくは0.5〜30質量%である。これにより、(B)成分の均一吸着を良好なものとすることができ、かつ、組成物の粘度の上昇を抑えて使い易くすることができる。
【0045】
[任意成分:非イオン性界面活性剤]
さらに本発明には、組成物を安定な状態を保持するため、上記成分に加えて、非イオン性界面活性剤を用いることができ、下記一般式(1)で表される非イオン性界面活性剤が好ましい。
5−T−[(R2O)p−H]q (1)
(式中、R5:炭素数10〜20の炭化水素基、好ましくは12〜18のアルキル基又はアルケニル基であり、R2:炭素数2又は3のアルキレン基、好ましくはエチレン基。p:平均付加モル数であり2〜100、好ましくは10〜80、特に好ましくは20〜60。Tは−O−、−N−、−NH−、−N(C24OH)−、−CON−、−CONH−又はCON(C24OH)−であり、Tが−O−、−NH−、−N(C24OH)−、−CONH−、又は−CON(C24OH)−の場合は、qは1であり、Tが−N−又は−CON−の場合は、qは2である。)
【0046】
上記一般式(1)の化合物の具体例として、下記一般式(1-1)で表される化合物を挙げることができる。
5−O−(C24O)s(C36O)t−R6 (1-1)
(式中、R5:前記と同じ意味、s,t:平均付加モル数で、s:2〜100、好ましくは20〜80の数であり、t:0もしくは1〜5、の数である。(C24O)と(C36O)はランダム又はブロック付加体であってもよい。R6:Hもしくは炭素数1〜3のアルキル基。)
例えば、炭素数12〜18のアルキル基又はアルケニル基を1つ以上有するポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましく、オキシエチレン基が平均20〜80モル付加されたものが特に好ましい。
非イオン性活性剤を含有することにより、保存安定性が一層向上するので好ましい。その配合量は、組成物の全質量を基準として、0.01〜20質量%とするのが好ましく、特に0.5〜15質量%、更に1〜10質量%が好ましい。このような配合量とすることにより、保存安定性の向上効果を十分なものとすることができ、かつ、効果が飽和に達した際の余分な添加を抑えて経済性を図ることが可能となる。
【0047】
[任意成分:水]
使用される水としては、たとえば水道水、イオン交換水、純水、蒸留水などのいずれも用いることができる。なかでも、水中に微量に存在するカルシウム、マグネシウムなどの硬度成分や鉄などの重金属を除去した水が好ましく、コスト面も有利なことからイオン交換水が最も好ましい。
[任意成分:香料組成物]
香料としては特に限定されないが、使用できる香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals 」,Vol.Iand II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)および「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin 」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)および「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)および「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等に記載されている。
【0048】
[任意成分:防腐剤]
防腐剤は、主に長期保存中の防腐性を保つために使用し、具体的には、イソチアゾロン系の有機硫黄化合物、ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物、安息香酸類、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールなどが挙げられる。イソチアゾロン系の有機硫黄化合物の例としては、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−ブチル−3−イソチアゾロン、2−ベンジル−3−イソチアゾロン、2−フェニル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4,5−ジクロロイソチアゾロン、5−クロロ−2−メチル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、およびそれらの混合物があげられる。より好ましい防腐・殺菌剤は、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの水溶性混合物であり、さらに好ましくは約77%の5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと約23%の2−メチル-4−イソチアゾリン−3−オンとの水溶性混合物である。また、ベンズイソチアゾリン系の有機硫黄化合物の例としては、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オンなどがあげられ、類縁化合物としてジチオ−2,2−ビス(ベンズメチルアミド)なども使用できそれらを任意の混合比で使用することができる。このうち1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンが特に好ましい。安息香酸類の例としては、安息香酸又はその塩、パラヒドロキシ安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸ベンジル等を挙げることができ、防腐剤の配合量は、組成物全体に対して、0.0001〜1質量%である。
【0049】
[任意成分:消泡剤、その他添加成分]
消泡剤としては、例えば、シリカ等の微粉を含有するジメチルシリコーン等のシリコーン系消泡剤、アルコール系消泡剤、エステル系消泡剤、鉱油系消泡剤、植物油系消泡剤、及び合成油系消泡剤等が挙げられる。シリコーン系消泡剤としては、オイル型消泡剤、コンパウンド型消泡剤、自己乳化型消泡剤、エマルション型消泡剤、粉末型消泡剤及び固形型消泡剤等が挙げられ、この中でも、自己乳化型消泡剤及びエマルション型消泡剤が好ましい。消泡剤の配合量は特に限定されないが、組成物の全質量を基準として、0.1ppm〜1質量%とすることができ、さらに好ましくは1ppm〜0.05質量%とすることができる。その他の添加剤として、食塩、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウム等の水溶性塩、流動パラフィン、高級アルコールなどの油剤、尿素、炭化水素、非イオン性セルロース誘導体、蛍光増白剤、pH調整剤等が挙げられる。
[対象とする繊維製品]
本発明の組成物を使用する対象の繊維製品としては、特に限定はされないが、例えば、スポーツウエア、Tシャツ、ポロシャツ、ブラウス、チノパン、スーツ、スラックス、スカート、等が挙げられる。また、対象とする繊維製品の素材も、特に限定はされないが、例えば、綿、ウール、麻等の天然繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリル等の合成繊維、アセテート等の半合成繊維、レーヨン、テンセル、ポリノジック等の再生繊維及びこれら各種繊維の混紡品、混織品、混編品等が挙げられる。
【実施例】
【0050】
〔紫外線吸収性繊維処理剤組成物の調製〕
以下に示す成分を表7に示す配合量で用い、実施例及び比較例の組成物を調製した。
【0051】
【表1】

【0052】
※ 特開2003-12471号公報実施例1に従って合成した第4級アンモニウム塩((a)モノエステル、(b)ジエステル、(C)トリエステルの混合物)で、エステル基で中断された長鎖炭化水素基含有第4級アンモニウムメチルサルフェート[(a)モノエステル:(b)ジエステル:(C)トリエステル質量比=25:55:20]のものを使用した。
【0053】
[(B)成分:紫外線吸収剤]
B-1 紫外線吸収剤
TINOSORB FD チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製 スチルベン誘導体
B-2 紫外線吸収剤
TINOSORB FR チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製 スチルベン誘導体
B-3 紫外線吸収剤
ULS-1700 一方社油脂工業製 ベンゾトリアゾール誘導体
B-4 紫外線吸収剤
ULS-700 一方社油脂工業製 ベンゾフェノン誘導体
B-5 紫外線吸収剤
Solamer GR8 NALCO社製
【0054】
[(C)成分:酸化防止剤]
【0055】
【表2】

【0056】
【表3】

【0057】
【表4】

【0058】
E-1;シリコーン化合物の実験室合成方法
(E-1)は次の様に合成した。即ち、(CH3)3SiO(CH3CH3SiO)210(CH3HSiO)9Si(CH3)3で表されるハイドロジェンシロキサン828g、平均組成CH2=CHCH2O(CH2CH2O)9Hで表されるアリル化ポリエーテル210g、エチルアルコール726g及び塩化白金酸のClを中和したものを白金がアリル化ポリエーテルに対して重量で5ppmとなるように秤量して、反応温度80℃で攪拌し、5時間反応させた。反応終了後、減圧留去することにより、ポリエーテル変性シリコーンを得た。
尚、ポリエーテル変性シリコーンとしては、式(E-II)により示した平均構造を有するシリコーンを使用した。
【0059】
【化11】

【0060】
E-2 シリコーン化合物 ジメチルシリコーンエマルジョン
BY22-034(東レダウコーニング シリコーン製)
E-3 シリコーン化合物 アミノ変性シリコーンエマルジョン
Polon MF-14(信越化学工業製)
【0061】
【表5】

【0062】
【表6】

【0063】
[実施例1および21]
(B)、(C)、(D)、(E)および共通成分−1(a)を、500mlビーカーに充填し、撹拌羽を用いて十分に撹拌した。次に、撹拌しながら、イオン交換水を添加し、さらに撹拌しながら、(A)および残りの共通成分-1(b)を添加し撹拌後、均一になるまで十分に撹拌して、400gの紫外線吸収性繊維処理剤組成物を調製した。
[実施例2-20および比較例1-4]
予め55℃に加温して溶融させた(A)、(B)、(C)、(D)、(E)成分および共通成分-2(a)を内径120mmのガラス容器に取り、スリーワンモーター(新東科学(株)社製)を用いて1000rpmで攪拌しながら、予め50℃に加温しておいた、イオン交換水を加えて3分間攪拌し、乳化物を得た。その後に共通成分-2(b)を添加して、1000gの紫外線吸収性繊維処理剤組成物を調製した。予め乳化されているシリコーンを添加する場合には、最後に添加して、紫外線吸収性繊維処理剤組成物を調製した。攪拌羽としては、長さが100mmの羽を30mm間隔で3本有するパドル羽を用いた。予め乳化されているシリコーンを添加する場合やC-3成分を添加する場合には、共通成分-2(b)と同じタイミングで最後に添加して、紫外線吸収性繊維処理剤組成物を調製した。
また、共通成分-2(b)を添加する際に、塩化カルシウムは10%となるようにイオン交換水で希釈したものを配合に用いた。その他の成分も有り姿で100%品とみなし、それぞれイオン交換水で1%水溶液としたものを配合に用いた。
【0064】
<紫外線遮断効果(UPF)の評価>
評価布にはテストファブリック社製のテスト布 型番437Wを10×10cmに裁断したものを用いた。洗濯は、標準使用量の市販衣料用洗剤「トップ」(ライオン社製、成分:界面活性剤(アルファオレフィンスルホ脂肪酸エステルナトリウム、脂肪酸ナトリウム、直鎖アルキルベンゼン系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル)、水軟化剤、アルカリ剤、酵素安定化剤、酵素、蛍光増白剤))を水に添加して666ppmの洗剤液を調製し、そこにテスト布16枚(約24g)を投入し、ターゴットメーターにて120rpmでテスト布を10分洗浄した後、3分間濯ぎ、遠心脱水後、実施例又は比較例の組成物を333ppmとなるようにすすぎ液に添加し、再度3分間濯ぎを行なった後、遠心脱水した。洗浄→すすぎ→遠心脱水→実施例又は比較例の組成物を含む水中でのすすぎ→遠心脱水のサイクルを3回繰り返した。その後、室温20℃、相対湿度50%RHの条件下で該テスト布を12時間乾燥し、試験に供するテスト布を得た。洗浄及びすすぎに使用した水は、900ml、硬度1.7°DH、水温25℃である。
このようにして得られたテスト布を用い、一つの組成物に対してUPFの測定は4枚に限定した。
UPFは、一枚の布を4等分し、それぞれの中心付近の4箇所における洗濯前後のUPFをUVメータ(チバスペシャルティー社製、ISO-MET(登録商標))を用いて測定した。4枚の評価布のそれぞれ4箇所(計16箇所)における洗濯前後のUPFの差WHΔUPFを以下に示す式を用いて算出した。全16箇所のΔUPFの平均値を求め、以下の判定基準で判定した。結果を表7に示す。
(式1)ΔUPF=3回洗濯後UPF値−洗濯前UPF値
UPF判定基準

・均一性の判定
UPFを測定した16箇所の変動係数を求め、以下に示す判定基準で判定した。結果を表7に示す。
判定基準

※変動係数(CV%)=標準偏差(SD)/16箇所のΔUPFの平均値
【0065】
<組成物の変色評価>
実施例及び比較例で作成した組成物を広口規格ビンNo.11に100ml入れ、夏季の日光がよくあたる場所に置き7日後の色の変化を観察した(紫外線照射量合計6.2MJ/m2)。冷暗所に7日間入れたこと以外は同様にして調製したものを比較対照品とした。実施例及び比較例の組成物を投入したビンの外観を比較対照品のビンの外観と比較し、以下の基準で評価した。結果を表7に示す。
○:対照品(淡黄色ないし淡橙色)と同等の外観
△:対照品と比較して、色目がやや濃くなる
×:対照品と比較して、色目が明らかに濃くなる
【0066】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)、(B)、(C)及び(D)を含むことを特徴とする紫外線吸収性繊維処理剤組成物。
(A)下記からなる群から選択される1種以上のカチオン性化合物;アミド基、エステル基及び/又はエーテル基で分断されていてもよい、C12〜36の炭化水素基を分子内に1つ以上有し、且つ3級アミノ基又はその塩もしくは4級アンモニウム基を有するカチオン性界面活性剤、及びカチオン性を有する水溶性高分子化合物
(B)紫外線吸収剤
(C)酸化防止剤
(D)下記からなる群から選択される水溶性溶剤;
炭素数2〜6の一価アルコールもしくは多価アルコール、及び下記一般式(I)又は(II)で表わされるグリコールエーテル化合物
1−O−(R2O)m−H (I)
[式中、R1は、炭素数2〜6のアルキル基又はフェニル基であり、R2は、炭素数2又は3のアルキレン基であり、mは、平均付加モル数を表し、2〜3の数である。]
3−O−(R2O)n−R4 (II)
[式中、R3及びR4は、それぞれ独立して炭素数1又は2のアルキル基であり、R2は、炭素数2又は3のアルキレン基であり、nは、平均付加モル数を表し、1〜3の数である。]
【請求項2】
(B)成分がスチルベン、ベンゾフェノン又はベンゾトリアゾールのいずれかの誘導体である請求項1記載の紫外線吸収性繊維処理剤組成物。
【請求項3】
(B)成分が、スチルベンの誘導体である請求項1記載の紫外線吸収性繊維処理剤組成物。
【請求項4】
(C)成分がジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、メトキシフェノール、アスコルビン酸誘導体、ビスフェノール類及びトコフェロール誘導体からなる群から選択される請求項1〜3のいずれか1項記載の紫外線吸収性繊維処理剤組成物。
【請求項5】
さらに、(E)シリコーン化合物を含む請求項1〜4のいずれか1項記載の紫外線吸収性繊維処理剤組成物。

【公開番号】特開2009−7731(P2009−7731A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−142484(P2008−142484)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】