説明

紫外線測定装置

【課題】 環境によって紫外線の照り返し量が異なる場合においても、より最適な日焼け防止策を提示することができる。
【解決手段】 スイッチ104には、環境特定情報と、紫外線の照射を受ける照射時間とが入力される。紫外線センサー105は紫外線強度を測定する。ROM109は、環境に応じた紫外線の照り返し量を特定するための照り返し量特定情報を環境毎に記憶する。CPU101は、スイッチ104に入力された環境特定情報で特定される環境の照り返し量特定情報をROM109から読み出し、照り返し量特定情報と紫外線センサー105が測定した紫外線強度とに基づいて、照り返しを含む紫外線強度を算出する。また、CPU101は、スイッチ104に入力された照射時間と、算出した照り返しを含む紫外線強度とに基づいて、照射時間中の日焼けを防止する防止策を特定する。LCD108は、CPU101が特定した防止策を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入力された肌の状態や、希望日焼け程度や、日光浴時間等を示す情報と、測定した紫外線強度とに基づいて、最適な日焼け止めクリームを提示する日焼け情報演算装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭58−127633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
紫外線の照り返し量は環境によって異なる。例えば土のグラウンドと、雪山とでは、紫外線の照り返し量は大きく異なる。しかしながら、上記の日焼け情報算出装置では、環境に応じて最適な日焼け止めクリームを提示することができないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上述の事情を鑑みてなされたものであり、環境によって紫外線の照り返し量が異なる場合においても、より最適な日焼け防止策を提示することができる紫外線測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、紫外線強度を測定する環境を特定する環境特定情報と、紫外線の照射を受ける照射時間とが入力される入力部と、紫外線強度を測定する紫外線センサーと、環境に応じた紫外線の照り返し量を特定するための照り返し量特定情報を環境毎に記憶する記憶部と、前記入力部に入力された前記環境特定情報で特定される環境の前記照り返し量特定情報を前記記憶部から読み出し、当該照り返し量特定情報と前記紫外線センサーが測定した紫外線強度とに基づいて、照り返しを含む紫外線強度を算出する強度算出部と、前記入力部に入力された前記照射時間と、前記強度算出部が算出した前記照り返しを含む紫外線強度とに基づいて、当該照射時間中の日焼けを防止する防止策を特定する日焼け防止策特定部と、前記日焼け防止策特定部が特定した前記防止策を表示する表示部と、を備えたことを特徴とする紫外線測定装置である。
【0007】
また、本発明の紫外線測定装置において、前記日焼け防止策特定部は、前記入力部に入力された前記照射時間と、前記強度算出部が算出した前記照り返しを含む紫外線強度とに基づいて、当該照射時間中の日焼けを防止するために最適な日焼け止めクリームのSPF値を算出し、前記表示部は、前記日焼け防止策特定部が算出した前記SPF値を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、記憶部は、環境に応じた紫外線の照り返し量を特定するための照り返し量特定情報を環境毎に記憶する。強度算出部は、入力された環境特定情報で特定される環境の照り返し量特定情報を記憶部から読み出し、照り返し量特定情報と紫外線センサーが測定した紫外線強度とに基づいて、照り返しを含む紫外線強度を算出する。日焼け防止策特定部は、入力された照射時間と、強度算出部が算出した照り返しを含む紫外線強度とに基づいて、照射時間中の日焼けを防止する防止策を特定する。これにより、環境によって紫外線の照り返し量が異なる場合においても、より最適な日焼け防止策を提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態における紫外線測定装置の構成を示したブロック図である。
【図2】本実施形態における環境情報ファイルのデータ構造を示す概略図である。
【図3】本実施形態における紫外線測定装置の動作を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態における紫外線測定装置の構成を示したブロック図である。図示する例では、紫外線測定装置100は、CPU101(中央処理装置、制御部、強度算出部、日焼け防止策特定部)と、発振回路102と、分周回路103と、スイッチ104(入力部)と、紫外線センサー105と、センサー検出回路106と、表示駆動回路107と、LCD(Liquid Crystal Display、液晶ディスプレイ)108(表示部)と、ROM(Read Only Memory、読み出し専用メモリ)109(記憶部)と、RAM(Random Access Memory、ランダムアクセスメモリ)110とを備える。
【0011】
CPU101は、制御部として動作し、紫外線測定装置100が備える各部の制御を行う。また、CPU101は、強度算出部として動作し、紫外線センサー105が測定した紫外線強度と、環境に応じた照り返し量を特定するための照り返し量特定情報とに基づいて、照り返しを含む紫外線強度を算出する。また、CPU101は、日焼け防止策特定部として動作し、照り返しを含む紫外線強度と、スイッチ104に入力された紫外線の照射を受ける照射時間とに基づいて、照射時間中の日焼けを防止する防止策を特定する。例えば、CPU101は、照射時間中の日焼けを防止する防止策として、スイッチ104に入力された照射時間と、算出した照り返しを含む紫外線強度とに基づいて、照射時間中の日焼けを防止するために最適な日焼け止めクリームのSPF値を算出し、このSPF値を防止策として出力する。
【0012】
なお、照射時間中の日焼けを防止する防止策の特定方法は、例えは特開昭58−127633号公報に記載の方法など、防止策を特定することができる方法であればどのような方法を用いてもよい。但し、本実施形態では従来と異なり、紫外線センサー105が測定した紫外線強度をそのまま用いるのではなく、照り返しを含む紫外線強度を用いて照射時間中の日焼けを防止する防止策を特定する。これにより、環境によって紫外線の照り返し量が異なる場合においても、より最適な日焼け防止策を提示することができる。
【0013】
発振回路102は、所定周波数の信号を出力する。分周回路103は、発振回路102の出力信号を所定分周比で分周してCPU101用の規準クロック信号や計時用の時計信号を出力する。スイッチ104は、外部から操作可能であり、紫外線を測定する環境を特定するための情報や、紫外線が照射される時間を示す情報などの入力を受け付ける。紫外線センサー105は、紫外線の強度に応じたアナログ信号を出力する。センサー検出回路106は、紫外線センサー105が出力するアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0014】
表示駆動回路107は、LCDの表示を制御する。LCD108は、スイッチ104で入力される情報や、日焼け防止策(SPF値)や、紫外線の強度を示す情報(測定値(μW/cm2)、UVインデックスなど)などを表示する。ROM109は、CPU101が実行するプログラムを予め記憶している。また、ROM109は、環境(紫外線の測定場所など)に応じた紫外線の照り返し量を特定するための情報を含む環境情報ファイルを予め記憶している。RAM110は、紫外線測定装置100が用いるデータを記憶する。
【0015】
次に、本実施形態における紫外線測定装置100のROM110が記憶する環境情報ファイルについて説明する。図2は、本実施形態における環境情報ファイルのデータ構造を示す概略図である。環境情報ファイルは「競技」と、「環境」と、「係数」と、「UV算出量」とのデータ項目を有しており、各データ項目のデータを行毎に関連付けて記憶する。
【0016】
データ項目「競技」は、ユーザーにより選択される競技名(紫外線強度を測定する環境を特定する環境特定情報)を記憶する。データ項目「環境」は、競技が行われる環境名(紫外線強度を測定する環境を特定する環境特定情報)を記憶する。データ項目「係数」は、環境に応じた紫外線の照り返しの割合を示す係数(照り返し量特定情報)を記憶する。データ項目「UV算出量」は、紫外線センサー105が測定した紫外線量から、紫外線の照り返しを考慮した紫外線量を算出するための係数(照り返し量特定情報)を記憶する。
【0017】
図示する例では、行201のデータ項目「競技」に記憶されている値が「野球」であり、データ項目「環境」に記憶されている値が「土草」であり、データ項目「係数」に記憶されている値が「10%」であり、データ項目「UV算出量」に記憶されている値が「110%」である。これは、スイッチ104で選択された競技が野球である場合、紫外線を測定する環境は土や草のグラウンド等であり、このときの紫外線の照り返し量は紫外線センサー105が測定した値の10%であり、紫外線の照り返し量を考慮した紫外線量は紫外線センサー105が測定した値の110%であることを示している。これにより、紫外線を測定する環境を特定するための情報として「野球」が入力された場合、紫外線を測定する環境「土草」に応じた紫外線の照り返し量「紫外線センサー105が測定した紫外線量の10%の値」と、紫外線の照り返し量を考慮した紫外線量「紫外線センサー105が測定した紫外線量の110%の値」とを特定することができる。なお、他の行については図示するとおりである。
【0018】
CPU101は、スイッチ104に入力された環境特定情報で特定される環境に応じた紫外線の照り返しの割合を示す係数(データ項目「係数」に記憶されている情報)を、紫外線センサー105が測定した紫外線強度に乗算することで、紫外線の照り返し量を算出する。そして、CPU101は、算出した紫外線の照り返し量と、紫外線センサー105が測定した紫外線強度とを加算することで、紫外線の照り返し量を含む紫外線強度を算出する。
【0019】
なお、CPU101は、スイッチ104に入力された環境特定情報で特定される環境に応じた紫外線の照り返しを考慮した紫外線量を算出するための係数(データ項目「UV算出量」に記憶されている情報)を、紫外線センサー105が測定した紫外線強度に乗算することで、紫外線の照り返し量を含む紫外線強度を算出してもよい。
【0020】
次に、本実施形態における紫外線測定装置100の動作について説明する。図3は、本実施形態における紫外線測定装置100の動作を示したフローチャートである。
【0021】
(ステップS101)紫外線測定装置100のCPU101は、表示駆動回路107を制御し、ROM109が記憶する環境情報ファイルのデータ項目「競技」に記憶されている全ての競技名をLCD108に表示させる。なお、全ての競技名を一度にLCD108に表示させてもよく、競技名を1つまたは複数毎に順次LCD108に表示させてもよい。ユーザーは、紫外線測定装置100のスイッチ104を操作し、LCD108に表示されている競技名のうち1つを入力(選択)する。また、ユーザーは、紫外線測定装置100のスイッチ104を操作し、活動時間(紫外線の照射を受ける時間)を入力する。紫外線測定装置100のCPU101は、入力された競技名と活動時間とをRAM110に記憶させる。その後、ステップS102の処理に進む。
【0022】
(ステップS102)CPU101は、ROM109に記憶されている環境情報ファイルから、ステップS101で入力された競技名と関連付けて記憶されているUV算出量を読み出す。その後、ステップS103の処理に進む。例えば、CPU101は、ステップS101で競技名「野球」が入力された場合、UV算出量「110%」を読み出す。
【0023】
(ステップS103)CPU101は、紫外線センサー105とセンサー検出回路106とを動作させ、紫外線強度(紫外線量)を測定する。その後、ステップ104の処理に進む。
(ステップS104)CPU101は、ステップS102で読み出したUV算出量と、ステップS103で測定した紫外線強度とに基づいて、照り返しを考慮した紫外線強度を算出する。その後、ステップS105の処理に進む。
【0024】
(ステップS105)CPU101は、ステップS101で入力された「活動時間」と、ステップS104で算出した照り返しを考慮した紫外線強度とに基づいて、活動時間中の日焼けを防止するために必要なSPF値を算出する。その後、ステップS106の処理に進む。
(ステップS106)CPU101は、表示駆動回路107を制御し、LCD108にステップS105で算出したSPF値を表示させる。その後、処理を終了する。
【0025】
上述したとおり、本実施形態の紫外線測定装置100は、環境に応じた紫外線の照り返し量を特定するための情報を予めROM109に記憶しているため、紫外線センサー105が測定した紫外線強度と、環境に応じた紫外線の照り返し量を特定するための情報とを用いて、紫外線の照り返しを考慮した紫外線強度を算出することができる。そして、紫外線測定装置100は、紫外線の照り返しを考慮した紫外線強度に基づいて、活動時間中の日焼けを防止するために必要なSPF値を算出するため、より最適な日焼け防止策を提示することができる。
【0026】
なお、上述した実施形態における紫外線測定装置100が備える各部の機能全体あるいはその一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0027】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時刻の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時刻プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0028】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。本実施形態では、環境を特定する環境情報として、ステップS101の処理で「競技」の入力を受け付けるようにしたが、これに限らない。例えば、ステップS101の処理で「環境」の入力を受け付けるようにし、ステップS102以降の処理で「環境」と関連付けて記憶されているUV算出量を環境情報ファイルから読み出し、UV算出量を用いて紫外線の照り返しを考慮した紫外線強度を算出するようにしてもよい。また、紫外線測定装置100を腕時計型の装置としてもよく、容易に持ち運びが可能なように小型の装置としてもよい。また、紫外線測定装置100を他の電子機器に組み込んでもよい。
【符号の説明】
【0029】
100・・・紫外線測定装置、101・・・CPU、102・・・発振回路、103・・・分周回路、104・・・スイッチ、105・・・紫外線センサー、106・・・センサー検出回路、107・・・表示駆動回路、108・・・LCD、109・・・ROM、110・・・RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線強度を測定する環境を特定する環境特定情報と、紫外線の照射を受ける照射時間とが入力される入力部と、
紫外線強度を測定する紫外線センサーと、
環境に応じた紫外線の照り返し量を特定するための照り返し量特定情報を環境毎に記憶する記憶部と、
前記入力部に入力された前記環境特定情報で特定される環境の前記照り返し量特定情報を前記記憶部から読み出し、当該照り返し量特定情報と前記紫外線センサーが測定した紫外線強度とに基づいて、照り返しを含む紫外線強度を算出する強度算出部と、
前記入力部に入力された前記照射時間と、前記強度算出部が算出した前記照り返しを含む紫外線強度とに基づいて、当該照射時間中の日焼けを防止する防止策を特定する日焼け防止策特定部と、
前記日焼け防止策特定部が特定した前記防止策を表示する表示部と、
を備えたことを特徴とする紫外線測定装置。
【請求項2】
前記日焼け防止策特定部は、前記入力部に入力された前記照射時間と、前記強度算出部が算出した前記照り返しを含む紫外線強度とに基づいて、当該照射時間中の日焼けを防止するために最適な日焼け止めクリームのSPF値を算出し、
前記表示部は、前記日焼け防止策特定部が算出した前記SPF値を表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の紫外線測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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