説明

紫外線照射により識別可能なインキ

【課題】 本発明は、紫外線の照射により色相変化して、印字が識別でき、溶出がなく、衛生性に優れたインキを提供することを目的とする。又、本発明は、迅速な可変情報を瞬時にマーキングし、食品類の品質管理、流通管理の形態を向上させるインキを提供することを目的とするものである。
【解決手段】溶剤と、リボフラビン類と、シェラック、コーパル樹脂、ダンマル樹脂、ニューコウ、ロジン、ファーバルサム、マスチック、ポリ酢酸ビニル、ポリイソブチレン、ポリブテン、グアヤク樹脂、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、キチン、キトサン、グァーガム、ブルランなどからなる群より選ばれる可食性インキバインダーとを含んでなる、紫外線照射により色相変化する隠し用途のインキ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生鮮食品表面または食品に接触するおそれのある食品包装材料に対しても安全性の高いマーキングするのに適し、紫外線によって識別できるインキに関する。
【背景技術】
【0002】
生鮮食品をはじめとする食品類には、近年、製造年月日、賞味期限、産地情報等の表示が必要とされる状況があり、商品の一部に、産地情報等をマーキングすることが必要不可欠となっている。生鮮食品は、その1個1個について、収穫年月日、産地情報等の表示を行うことにより品質上の管理が向上する。しかしながら、表示による確認を行なう一般のマーキングとは別に、一般には確認できない方法にて商品類のマーキングを行ない、商品のトレーサビリティーをとる必要がある。
従来、種々の特殊用途において、特殊な光によって可視化したり、センサーでの読み取りを可能にするインキの開発が行われている。このような用途には、蛍光増白剤のように紫色に発光するものが用いられているが、あくまでも、食品を対象とするものではなく、蛍光増白剤にて食品類へのマーキングをすることは、食品衛生上の問題があり用いることが制限される。
【0003】
特許文献1には、紫外線照射により赤橙色に発光するインキが記載されている。このインキは、水および親水性のグリコールエーテルを主体とするインキであり高速で印刷処理する用途においては、水の量が多くグリコールエーテル類の乾燥も遅いことから、十分な乾燥が得られなかった。とくに、被印刷物が、紙以外の非ポーラスなフィルム等の上への印字においては、特に十分な乾燥速度は得られなかった。ここで、もちいられている色素も重金属からなるもので食品および食品包装の分野でのマーキングには適していない。
【0004】
特許文献2には、紫外線にて赤橙色に発光する乾燥性の良好なインキが記載されている。これらは、溶剤として、キシレン、メチルエチルケトンを使用している。したがって、非ポーラスなフィルム等への密着、乾燥性が良好であるが、使用している溶剤は、溶剤の臭気、取り扱い上の制約があった。
【0005】
特許文献3は、上記のメチルエチルケトンのような溶剤に代えてアルコールを70%以上使用するものであるが、使用する発光材は、やはり食品および食品包装剤へのマーキングには適性の有るものではない。
【0006】
従来、トレーサビリティーの確認をマーキングするような可変の情報については、通常の印刷機を用いた方法では、迅速な可変情報のマーキングができない。また、生鮮食品のマーキングに使用されるインキは食品に準じたインキであることが衛生上からも好ましい。
【0007】
一方、従来、食品等の缶詰、パックに製造年月日やロット番号を記録するためにインクジェットプリンターや熱転写プリンターが使われている。これらのプリンターは、可変情報をダイレクトに記録できるため印刷の版を作成する必要がなく、コンピューターによる情報の変更が容易であり、生産現場において種々の用途展開がなされている。
【0008】
特に、インクジェットプリンターは、高速での印字ができ、必要なインキを吐出させるだけでインキの量が少量で済むことから、極めて広い範囲において使用されている。また、非接触で印字できるため曲面あるいは柔らかな対象物へのマーキングに適している。インクジェットプリンターに用いられるインキとしては、食品添加物着色料である水溶性染料を水に溶解したものがあるが、耐水性が劣り、水に接触する対象物には使用できなかった。
【0009】
また、耐水性に優れたインクジェットインキとしては、油溶性染料をメチルエチルケトン、エタノール等の揮発性の溶剤に溶解したものや、さらにこれに塩酢ビ、キシレン樹脂、ブチラール樹脂等を溶解したインキもあり、速乾性インキとして広く用いられている。これらのインキは、耐水性に優れ、擦っても落ちないような耐性を有しているが、食品添加物で構成されていないため、口に触れるような用途への使用は好ましくない。また、以上のようなインキは、通常の条件下で印字を目視確認できるものであり、隠しインキとして使えるようなインキでもない。
【0010】
特許文献4には麹酸、ニコチンアミドを用いた、紫外線照射により識別可能な隠しインキが記載されている。しかし、麹酸、ニコチンアミドとも、別の紫外線蛍光発色性物質が存在する際に、その蛍光発色を抑制する事で発色するため、使用用途が大幅に制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特公昭54−22336号公報
【特許文献2】特公平8−26264号公報
【特許文献3】特開2000−160083号公報
【特許文献4】特開2004−217841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、紫外線の照射により色相変化して、印字が識別でき、溶出がなく、衛生性に優れたインキを提供することを目的とする。又、本発明は、迅速な可変情報を瞬時にマーキングし、食品類の品質管理、流通管理の形態を向上させるインキを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、
溶剤と、
リボフラビン類と、
シェラック、コーパル樹脂、ダンマル樹脂、ニューコウ、ロジン、ファーバルサム、マスチック、ポリ酢酸ビニル、ポリイソブチレン、ポリブテン、グアヤク樹脂、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、キチン、キトサン、グァーガム、ブルラン、カラギナン、ペクチン、タマリンドガム、カルナバロウ、及びミツロウからなる群より選ばれる可食性インキバインダーとを含んでなる、
紫外線照射により色相変化する隠し用途のインキに関する。
【0014】
また、本発明は、リボフラビン類が、リボフラビン、リボフラビン5’−燐酸エステル、リボフラビン酪酸エステル、それらのナトリウム塩、それらのカリウム塩から成る群より選ばれる上記インキに関する。
【0015】
また、本発明は、可食性インキバインダーが、カルボキシル基を含有する上記インキに関する。
【0016】
また、本発明は、溶剤が、エタノールである上記インキに関する。
【0017】
また、本発明は、インキが、インクジェットインキである上記インキに関する。
【0018】
また、本発明は、溶剤と、
リボフラビン類と、
シェラック、コーパル樹脂、ダンマル樹脂、ニューコウ、ロジン、ファーバルサム、マスチック、ポリ酢酸ビニル、ポリイソブチレン、ポリブテン、グアヤク樹脂、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、キチン、キトサン、グァーガム、ブルラン、カラギナン、ペクチン、タマリンドガム、カルナバロウ、及びミツロウからなる群より選ばれる可食性インキバインダーとを含んでなる、
紫外線照射により色相変化する隠し用途のインキを、
食品又は食品に直接触れるパッケージに、印刷又は塗布し、
紫外線照射することを特徴とする隠しインキの識別方法に関する。
【発明の効果】
【0019】
本発明のインキは、衛生性に優れた材料を使用し、紫外線の照射により印字が識別できる。
又、本発明のインキは、迅速な可変情報を瞬時にマーキングし、食品類の品質管理、流通管理の形態を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のインキは、本質的に紫外線の照射により色相変化して顕色し、識別可能となる色素としてリボフラビン類を用いるインキである。リボフラビン類は、実質的にリボフラビン骨格からなるもので、具体的には、リボフラビン、リボフラビン5’−燐酸エステル、リボフラビン酪酸エステル、及び/またはそれらのナトリウム塩及び/またはカリウム塩から成る群より1種または2種以上が挙げられる。
【0021】
本発明では、紫外線照射において、印字面がり鮮やかな黄白色の蛍光を示すので、印字基材との発光の差違による識別を果たす。この識別のため、リボフラビン類は、全インキ中に0.01重量%以上含有する事が好ましい。また、インキの種類によっては、含有量を多くすることも可能であるが、隠しインキとしての特性から印字部分の識別のしにくい範囲にて用いる。また、紫外線非照射時に被印刷部分を見え辛く或は見えなくするため10重量%以下にて用いることが好ましい。
【0022】
リボフラビン類が混合物である場合、全リボフラビン類中のリボフラビンの含有量は20重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましい。これは、リボフラビン5’−燐酸エステルとそのアルカリ金属塩は水溶性であること、リボフラビン酪酸エステルそそのアルカリ金属塩はエタノール可溶性であることから、インクジェットインキの調製が容易であり、ノズルヘッドでの析出の可能性も低いことによる。リボフラビンを使用する場合には食用乳化剤等を用いて溶剤中に分散させる必要がある。
【0023】
本発明において溶剤は、インキを構成する材料を溶解ないし分散溶媒として使用できるものであれば限定されないが、防腐の観点からエタノールが全溶剤中の50重量%以上含有することが好ましい。エタノールとしては、食品用のエタノールまたは食品用変性エタノールであってもよい。
【0024】
本発明で使用する可食性インキバインダーは、樹脂であり、印刷時に被印刷体上で皮膜を形成する。このような樹脂は無色ないし淡い色であることが好ましい。このような樹脂としては、シェラック、コーパル樹脂、ダンマル樹脂、ニューコウ、ロジン、ファーバルサム、マスチック、ポリ酢酸ビニル、ポリイソブチレン、ポリブテン、グアヤク樹脂、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、キチン、キトサン、グァーガム、ブルラン、カラギナン、ペクチン、タマリンドガム、カルナバロウ、及びミツロウ等がある。これらの樹脂は、組み合わせて用いることも可能である。更に、樹脂としては、上記の溶剤に可溶であるものが好ましく、シェラック、コーパル樹脂、マスチック、ポリ酢酸ビニルのようなエタノール可溶性の樹脂が更に好ましく、シェラックが最も好ましい。
【0025】
本発明において可食性インキバインダーは、全インキ中に固形分に対して20重量%以上含まれることが好ましく、40重量%以上含まれる事が更に好ましい。含有量が少ない場合、十分な強度の塗膜が形成されない。
【0026】
本発明のインキは、オフセットインキ、グラビアインキ、フレキソインキ、スクリーンインキとして処方化が可能である。また、種々の塗布方法で塗布可能である。しかしながら、可変情報の印字においては、インクジェット方式が優れている。インクジェット方式としては、種々の方式があり、いずれの方式のヘッドにおいてもインキ化の調整は可能であるが、大文字での印字としては、ノズル径が大きくインキの液滴量の大きな電磁弁方式のプリンター、また、文字は小さめとなるが、高速での対応が可能なコンティニュアス方式のプリンターにてマーキングすることが適している。
【0027】
本発明において、乾燥性を調整する目的で、またオンデマンドタイプのインクジェットプリンターを用いるときはインキのノズルでの乾燥を防止するために、溶剤としてプロピレングリコールまたはグリセリンを併用することができる。これらの溶剤は、インキの全溶剤中30重量%以下の範囲で含有させることが好ましい。30重量%を越えるとマーキング面の乾燥が遅くなり、生産スピードの低下となる。また、搬送容器の汚れ等の悪影響を与える。
【0028】
本発明において、コンティニュアスタイプのインクジェットプリンターにて用いるときは、インキの導電性を調整する必要があり、電導度調整剤を用いる。電導度調整剤としては、エタノールに対して良好な溶解性と電導性を与え、かつ食品添加物であるものが好ましい。このような電導度調整剤としては、乳酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸カリウム、パントテン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウムがある。好ましい電導度調整剤は、乳酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸カリウム、パントテン酸ナトリウムである。これらの電導度調整剤は、全インキ中0.5〜10重量%配合することが好ましい。0.5重量%より少ないと充分な導電性が得られず、含有量が10重量%を越えると、溶解性が不足し析出等の不良を招く。更に好適な添加量はインキ中1〜7重量%である。
【0029】
本発明をインクジェットインキとして用いる場合、さらに、色素の安定な溶解性を維持するためのpH調整剤(pH緩衝剤を含む)などを用いることもできる。本発明のインキの製造は、これらの成分を処方にしたがって計量し、混合攪拌した後、0.2〜3.0μmのフィルターで濾過することにより、製造することができる。フィルターの例としては、濾紙、メンブランフィルターが挙げられる。シリカゲル等の濾過助剤を使用しても良い。混合攪拌は、通常の羽根を具備した攪拌機のほか、高速の分散機、乳化機により行うこともできる。
【0030】
更にインキの25℃における粘度は1〜20mPa・sの範囲に調整することが好ましい。粘度が低すぎると、被印刷体でのインキのドットの形成が不良となり、印字濃度が低くなる。一方、粘度が高すぎると、吐出の不良、乾燥不良の問題が出てくる。
【0031】
表面張力は、プリンターとの適性もあるが、22〜35mN/mの範囲に調整することが好ましい。また、コンティニュアスタイプのプリンターによりマーキングする場合には、インキの電導度は、0.5〜10mS/cmの範囲に調整することが好ましい。
【0032】
食品および食品包装材表面に本発明のインキを用いてマーキングする場合は、インクジェット方式により行われ、マーキングした食品ないし食品包装材が得られる。インクジェット方式には、コンティニュアス方式(多値偏向、2値偏向)、ドロップオンデマンド方式(バブルジェット(登録商標)方式、ピエゾ方式、電磁弁方式等)等が挙げられるが、高速でのマーキングおよび生鮮食品のような曲面および柔軟な表面のマーキングは、コンティニュアス方式が適している。インクジェットプリンターのノズル孔径は、8〜150μmであることが好ましい。
【0033】
本発明においては、必要に応じて、呈味剤、香料、乳化剤、消泡剤、その他の食品添加物を添加し、混合しておく事が出来る。
【0034】
呈味剤の例としては、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、エリスリトール、マルチトール、パラチノース、還元パラチノース、水飴、還元水飴、グルコース、ガラクトース、マンノース、リボース、アラビノース、キシロース、ラムノース、ソルビトール、マンニトール、マルトース、ラクトース、イソマルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、パラチノース、アステルパーム(アスパルチルフェニルアラニンメチルエステル)、アセスルファムK、ステビオサイド、グリチルリチン又はその塩類、サッカリンナトリウム、スクラロース、ソーマチン、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、酢酸、乳酸、グルコン酸、炭酸ガス等の各種有機酸、アスコルビン酸、ナリンジン、テオブロミン、トリゴネン、イソフムロン、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム、トリコロミン酸ナトリウム、テアニン、イボテン酸、リンゴ酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、マロン酸ナトリウム、各種有機酸塩類、乳清ミネラル類、例えば、タンニン、クロロゲン酸、カプサイシン、サンショオール、ピペリン、ジンゲロール、ショーガオール、などが挙げられ、これらは単独で用いても複数を混合で用いても構わない。
【0035】
乳化剤の例としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられ、これらは単独で用いても複数を混合で用いても構わない。
【0036】
消泡剤の例としては、シリコン樹脂が挙げられる。
【0037】
香料の例としては、ペパーミント油、スペアミント油、和種ハッカ油、オレンジ油、レモン油、グレープフルーツ油、ライム油、セージ油、ローズマリー油、シナモン油、ピメント油、ペパー油、ナツメグ油、フェンネル油、ディル油、クミン油、カモミール油、バジル油、クローブ油、タイム油、カシア油、コリアンダー油、アニス油、ウィンターグリーン油、ラベンダー油、ジャスミン油、ローズ油、アブソリュート類、l−メントール、l−カルボン、サリチル酸メチル、シネオール、メンチルアセテート、リモネン、シトラール、アネトール、シンナムアルデヒド、チモール、オイゲノール、ワニリン、脂肪族エステル、ストロベリーコンパウンド、テュッティーフルーツコンパウンド、ヨーグルトコンパウンド、アップルコンパウンド、パイナップルコンパウンド、などが挙げられ、これらは単独で用いても複数を混合で用いても構わない。
【0038】
前記の呈味剤、香料、乳化剤、消泡剤、その他の食品添加物を添加する場合には、これらの総重量がペーストの0.01重量%〜20重量%となるように添加するのが望ましい。
【0039】
被印刷体となる食品としては、生鮮食品類、もも、すもも、ネクタリン、あんず、プルーン、うめ、さくらんぼ、なし、りんご、かき、キウイフルーツ、いちじく、ぶどう、くり、びわ、ブルーベリー、あけび、やまもも、ぎんなん、柑橘類(ミカン科ミカン亜科のミカン連(カンキツ連)及びミカン属(カンキツ属)に属する植物の果実)、いちご、びっくりぐみ、赤実ゆすらうめ、白実ゆすらうめ、アーモンド、大なつめ、ざくろ、ルビーレッド、ハスカップ、青芽朝倉山椒、くるみ、唐かりん等のくだものおよび、だいこん、かぶ、にんじん、ごぼう、食用ビーツ、はくさい、こまつな、ほうれんそう、キャベツ、ねぎ、アスパラガス、ブロッコリ、えだまめ、えんどう、いんげん、かぼちゃ、カリフラワー、きゅうり、メロン、みつば、ミニトマト、なばな、なす、オクラ、ピーマン、レタス、セルリー、パセリ、しろうり、そらまめ、すいか、しゅんぎく、たかな、たまねぎ、トマト、にがうり、とうがん、チンゲンサイ、サラダ菜、エンダイブ、タアサイ、つるむらさき、クレソン、おおば等の野菜類、卵、加工食品、インスタント食品、乾燥食品、液体食品、貯蔵用食品等種々のものが対象物である。好ましい対象物はくだもの、メロン、すいかである。これらには近年ブランド化されているものが多く、ブランドを偽ったものが流通されている例があり、本発明のインキによるマーキングによりブランドを守ることが可能となる。より好ましくはいちじく、びわ、やまもも、ぎんなん、柑橘類、いちご、赤みゆすらうめ、ざくろ及びルビーレッドといった、赤〜黄色即ち暖色系の果実であり、これらの果物に本発明のインキを塗布しても紫外線照射時には識別出来ないか、目立たない。対象物に印刷される事項としては、品質の特性である製造年月日、生産地、生産場所、生産工程、製品情報、品質情報等が挙げられ、管理、記憶、測定器等のデータを連動させてマーキングを行うと、品質管理、流通管理ができる。又、本発明のインキは、食品に直接接触する恐れのある包装材料に使用することができる。このような包装材料はポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロンのようなプラスチック材料である。
【0040】
本発明において、マーキングするデータは、生産地、収穫日時、生産者、日付、特殊記号等もあわせて表記できる。
【0041】
これらの表記は、経路の確実な表示方法として商品の流通形態への信頼性を付与する。マーキングにおいては、生鮮食品の特性上、表面への水滴等の付着も生じるが、このようなものにおいては、マーキング直前での加圧エアー(エアーガン)によるマーキング面の強制乾燥ないし、温風の付与にて水滴の強制除去は有効な処理手段である。
【実施例】
【0042】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。例中、部および%は、重量部および重量%をそれぞれ示す。
(実施例1)
下記の原料を混合、溶解した後、0.8μmのメンブランフィルターで吸引濾過しコンティニュアスインクジェットプリンタ用インキを調製した。
リボフラビン酪酸エステルナトリウム 2.0部
白ラックエタノールワニス(岐阜セラツク製漂白シェラック。固形分:50.0%。以下のワニスも同様) 10.0部
乳酸ナトリウム 3.0部
エタノール 85.0部
【0043】
(実施例2)
下記の原料を混合、溶解した後、0.8μmのメンブランフィルターで吸引濾過しコンティニュアスインクジェットプリンタ用インキを調製した。
リボフラビン酪酸エステルカリウム 4.0部
白ラックエタノールワニス 6.0部
乳酸ナトリウム 5.0部
エタノール 85.0部
【0044】
(実施例3)
下記の原料を混合、アイガーミルにて目視で均一となるまで分散した後、0.8μmのメンブランフィルターで吸引濾過しオンデマンドインクジェットプリンタ用インキを調製した。
リボフラビン 0.1部
白ラックエタノールワニス 1.6部
エタノール 4.0部
グリセリン 2.7部
SYグリスターMCA−750(阪本薬品工業株式会社製グリセリン脂肪酸エステル) 0.1部
SYグリスターMO−3S(阪本薬品工業株式会社製グリセリン脂肪酸エステル) 0.1部
シリコンKM−72F(信越シリコン製シリコン樹脂水性分散体) 0.01部
エタノール91.4部
【0045】
(実施例4)
下記の原料を混合、溶解した後、0.8μmのメンブランフィルターで吸引濾過しコンティニュアスインクジェットプリンタ用インキを調製した。
リボフラビン酪酸エステルナトリウム 0.85部
リボフラビン 0.15部
ポリ酢酸ビニル 4.0部
エタノール 65.0部
精製水 27.9部
乳酸ナトリウム 2.0部
乳酸 4.0部
SYグリスターMO−3S 0.1部
シリコンKM−72F 0.01部
【0046】
(実施例5)
下記の原料を混合、溶解した後、0.8μmのメンブランフィルターで吸引濾過しコンティニュアスインクジェットプリンタ用インキを調製した。
リボフラビン燐酸エステルカリウム 0.5部
アラビアガム 0.5部
精製水 98.3部
乳酸 0.7部
シリコンKM−72F 0.01部
【0047】
(実施例6)
下記の原料を混合、溶解し、PAD印刷用インキを調製した。
リボフラビン酪酸エステルカリウム 10.0部
白ラックエタノールワニス 20.0部
エタノール 52.5部
プロピレングリコール 17.5部
シリコンKS−66(信越シリコン製シリコン樹脂オイルペースト) 0.01部
【0048】
(比較例1)
下記の原料を混合、溶解した後、0.8μmのメンブランフィルターで吸引濾過しコンティニュアスインクジェットプリンタ用インキを調製した。
ニコチンアミド 4.0部
白ラックエタノールワニス 6.0部
乳酸ナトリウム 5.0部
エタノール 85.0部
【0049】
(比較例2)
下記の原料を混合、溶解し、PAD印刷用インキを調製した。
麹酸 10.0部
白ラックエタノールワニス 20.0部
エタノール 52.5部
プロピレングリコール 17.5部
シリコンKS−66 0.01部
【0050】
実施例で得られたインキについて、25℃における粘度(mPa・s)を測定した。また、実施例1〜5及び比較例1で得られたインキは表面張力(mN/m)を測定した、更に実施例1、2、4、5及び比較例1で得られたインキは電導度(mS/cm)を測定した。なお、粘度の測定は粘度計(YAMAICHI社製「デジタルビスコメイト」)を用いて行い、表面張力の測定は表面張力計(KYOWA INTERFACE社製「サーフェイステンシオメーター」)を用いて行い、電導度の測定は電導度計(HORIBA社製「コンダクティビティメーター」)を用いて行った。また、実施例1、2、4,5および比較例1で得られたインキはコンティニュアスタイプのインクジェットプリンターで、実施例3で得られたインキはオンデマンドタイプのインクジェットプリンターで、実施例6及び比較例2で得られたインキはPAD印刷機で市販のサンキスト製オレンジにマーキングし、得られたマーキング物について下記の評価を行った。結果を表1に示す。
【0051】
・印字適性:インクジェットインキの場合は、連続吐出300時間での異常の有無。PADインキの場合は、12時間連続稼動での異常の有無。5→吐出開始時と変化無し。4→連続規定時間から更なる使用に際して全く問題無し。3→連続規定時間の使用に際して全く問題無しだが、更なる印刷にはヘッドや版の洗浄が必要。2→連続規定時間内にヘッドの詰まりや版転写不具合発生。1→印刷開始時から印刷画像に異常有り。
・マーキング識別性:マーキング物の紫外線照射(ブラックライト 254nm)による暗室での目視の確認の可否。5→はっきりと認識出来る。4→認識できる。3→何とか認識できる。2→認識できない文字/図柄がある。1→認識できない。
・接着性メンディングテープによるはがれの有無。
【0052】
【表1】

【0053】
表1より、実施例1〜6で得られたインキで印刷されたマーキングは、比較例1及び2で得られたマーキングよりも識別性に優れていることが明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶剤と、
リボフラビン類と、
シェラック、コーパル樹脂、ダンマル樹脂、ニューコウ、ロジン、ファーバルサム、マスチック、ポリ酢酸ビニル、ポリイソブチレン、ポリブテン、グアヤク樹脂、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、キチン、キトサン、グァーガム、ブルラン、カラギナン、ペクチン、タマリンドガム、カルナバロウ、及びミツロウからなる群より選ばれる可食性インキバインダーとを含んでなる、
紫外線照射により色相変化する隠し用途のインキ。
【請求項2】
リボフラビン類が、リボフラビン、リボフラビン5’−燐酸エステル、リボフラビン酪酸エステル、それらのナトリウム塩、それらのカリウム塩から成る群より選ばれる請求項1記載のインキ。
【請求項3】
可食性インキバインダーが、カルボキシル基を含有する請求項1または2記載のインキ。
【請求項4】
溶剤が、エタノールである請求項1〜3いずれかに記載のインキ。
【請求項5】
インキが、インクジェットインキである請求項1〜4いずれかに記載のインキ。
【請求項6】
溶剤と、
リボフラビン類と、
シェラック、コーパル樹脂、ダンマル樹脂、ニューコウ、ロジン、ファーバルサム、マスチック、ポリ酢酸ビニル、ポリイソブチレン、ポリブテン、グアヤク樹脂、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、キチン、キトサン、グァーガム、ブルラン、カラギナン、ペクチン、タマリンドガム、カルナバロウ、及びミツロウからなる群より選ばれる可食性インキバインダーとを含んでなる、
紫外線照射により色相変化する隠し用途のインキを、
食品又は食品に直接触れるパッケージに、印刷又は塗布し、
紫外線照射することを特徴とする隠しインキの識別方法。


【公開番号】特開2011−241312(P2011−241312A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115249(P2010−115249)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000222118)東洋インキSCホールディングス株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】