説明

紫外線硬化型インクジェット用インク、インクジェットプリント方法および凸模様が形成されたシート

【課題】反応性モノマー、反応性オリゴマーおよび光重合開始剤を含有する紫外線硬化型インクジェット用インクであって、該インクが硬化した後の収縮率が7.0%以上である紫外線硬化型インクジェット用インクの提供。
【解決手段】インクが硬化後に高い収縮率を示し、繊維布帛、皮革、フィルムなどの可撓性のある基材2に凸感のある模様1を形成するのに最適な紫外線硬化型インクジェット用インク、インクジェットプリント方法および凸模様が形成されたシート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化型インクジェット用インク、インクジェットプリント方法および凸模様が形成されたシートに関する。さらに詳細には、インクが硬化後、基材に大きな変形を生じさせる紫外線硬化型インクジェット用インクであり、繊維布帛、皮革、フィルムなどの可撓性のある基材に凸感のある模様を形成するのに最適な紫外線硬化型インクジェット用インク、インクジェットプリント方法および凸模様が形成されたシートに関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに本出願人は、繊維布帛、皮革、フィルムなどの可撓性のある基材に対して紫外線硬化型インクジェット用インクを用いてインクジェットプリンタにより画像を形成することで、凸感のある模様を形成する方法を幾つか提案してきた。(例えば、特許文献1、特許文献2)
【0003】
しかしながらこれまでに提案してきた方法では、インクジェットプリンタにより付与できる紫外線硬化型インクジェット用インクの量には限界があるため、最大でも100μm程度の高さの凸模様が限界であり、その出来映えに物足りなさを感じるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−131725号公報
【特許文献2】特開2007−284466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、紫外線硬化型インクジェット用インクの材料としてインクが硬化した後に高い収縮率を示すものを選定することにより、付与したインクの量による実際の凸模様の高さに加え、そのインクが硬化し収縮することで繊維布帛、皮革、フィルムなどの可撓性のある基材にうねりや反りなどの変形を生じさせ、よりダイナミックな凸感のある模様を表現しようというものである。
【0006】
本発明は、インクが硬化後に高い収縮率を示し、繊維布帛、皮革、フィルムなどの可撓性のある基材に凸感のある模様を形成するのに最適な紫外線硬化型インクジェット用インク、インクジェットプリント方法および凸模様が形成されたシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、(1)反応性モノマー、反応性オリゴマーおよび光重合開始剤を含有する紫外線硬化型インクジェット用インクであって、該インクが硬化した後の収縮率が7.0%以上である紫外線硬化型インクジェット用インクである。
【0008】
さらに、(2)インクが硬化した後の収縮率が10.0%以上であることが好ましい。
【0009】
また、(1)〜(2)いずれかに記載の紫外線硬化型インクジェット用インクを使用して可撓性基材に凸模様を形成するインクジェットプリント方法である。
【0010】
また、(1)〜(2)いずれかに記載の紫外線硬化型インクジェット用インクを使用してインクジェットプリントした凸模様が形成されたシートである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、インクが硬化後に高い収縮率を示し、繊維布帛、皮革、フィルムなどの可撓性のある基材に凸感のある模様を形成するのに最適な紫外線硬化型インクジェット用インク、インクジェットプリント方法および凸模様が形成されたシートを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】通常のUVインクを使用して得られる凸模様の概念図
【図2】本発明のUVインクを使用して得られる凸模様の概念図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の紫外線硬化型インクジェット用インク(以下、UVインク)には、反応性モノマー、反応性オリゴマーおよび光重合開始剤が含有されており、該インクが硬化した後の収縮率が7.0%以上である。UVインクの硬化後の収縮率が7.0%未満であると、繊維布帛、皮革、フィルムなどの可撓性のある基材にうねりや反りなどの変形を充分に生じさせることが出来ず、よりダイナミックな凸感のある模様を基材に表現することが困難となる。また、さらには、UVインクの硬化後の収縮率が10.0%以上であることがより好ましい。なお、UVインクの硬化後の収縮率の上限については、30.0%以下であることが好ましい。UVインクの硬化後の収縮率が30.0%を超えると、硬化前と硬化後の変化が大きすぎて凸模様の形成が困難であり、また、基材との密着性が悪くなるおそれがある。
【0014】
なお、UVインクの硬化後の収縮率については、以下の方法により算出する。
まず、体積V1〔m〕のUVインクの重量W1〔g〕を測定して、硬化前のUVインク密度A1〔g/m〕を算出する。
次に、UVインクを気泡が入らないように厚さ100μm程度に引き伸ばし、充分に紫外線ランプを照射して硬化物を得る。そして、その硬化物の体積V2〔m〕と重量W2〔g〕を測定して、硬化後のUVインク密度A2〔g/m〕を算出する。
よって、UVインクの硬化後の収縮率〔%〕は、(A2−A1)/A1 ×100 となる。
【0015】
ここで、インクが硬化した後に高い体積変化を示すものを選定することによりダイナミックな凸感のある模様ができる理由について、概念図を使って説明すると、図1は、硬化後もあまり体積変化を起こさない普通のUVインクを使用して凸模様を作製した場合の概念図である。このときの凸模様の高さはh1であり、硬化したUVインクにより築かれた凸模様の高さである。これに対し、図2は、インクが硬化した後に高い体積変化を示す本発明のUVインクを使用して凸模様を作製した場合の概念図である。このときの凸模様の高さはh2であり、付与したインクによる凸模様の高さに加え、インクが硬化して収縮することで生じた基材の変形による高さも加わっており、図1に比べて、よりダイナミックな凸感のある模様が表現されている。
【0016】
反応性モノマーとしては、硬化したインクに求められる様々な物性(例えば、硬化皮膜の硬度、密着性、追従性、耐摩耗性など)を満足させるために、単官能アクリレートや2官能アクリレートを選択することが好ましい。
【0017】
単官能アクリレートとしては、カプロラクトンアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコールジアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ネオペンチルフリコールアクリル酸安息香酸エステル、イソアミルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシ−ジエチレングリコールアクリレート、メトキシ−トリエチレングリコールアクリレート、メトキシ−ポリエチレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシ−ポリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイロキシエチル−コハク酸、2−アクリロイロキシエチル−フタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸などがあげられる。
【0018】
2官能アクリレートとしては、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、アルコキシ化ヘキサンジオールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンアクリル酸安息香酸エステル、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレートなどがあげられる。
【0019】
反応性モノマーはUVインク中に30〜70重量%含まれることが好ましい。30重量%未満の場合、インクの粘度が高くなるため吐出不良を生じるおそれがあり、70重量%を超えると硬化に必要な他の成分が不足し、硬化不良になるおそれがある。
【0020】
反応性オリゴマーについては、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、シリコンアクリレート、ポリブタジエンアクリレートがあげられ、単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。なかでも基材との密着性がよいとの理由からウレタンアクリレートが好ましい。
【0021】
反応性オリゴマーはUVインク中に20〜60重量%含まれることが好ましい。20重量%未満では硬化したインクの物性にあまり変化が無く、60重量%を超えると吐出時のインク粘度が高くなって吐出不良になるおそれがある。
【0022】
光重合開始剤については、ベンゾイン類、ベンジルケタール類、アミノケトン類、チタノセン類、ビスイミダゾール類、ヒドロキシケトン類およびアシルホスフィンオキサイド類があげられ、単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。光重合開始剤のなかでは、高反応性であり、難黄変性である点で、ヒドロキシケトン類およびアシルホスフィンオキサイド類が好ましい。
【0023】
光重合開始剤については、UVインク中に3〜10重量%含まれることがより好ましい。3重量%未満では重合が不完全でインクが未硬化となるおそれがあり、一方、10重量%を超えて添加しても、それ以上の硬化率や硬化スピードの効率向上が期待できず、コスト高となる。
【0024】
顔料については、有機または無機顔料で、有機顔料としては、例えば、ニトロソ類、染付レーキ類、アゾレーキ類、不溶性アゾ類、モノアゾ類、ジスアゾ類、縮合アゾ類、ベンゾイミダゾロン類、フタロシアニン類、アントラキノン類、ペリレン類、キナクリドン類、ジオキサジン類、イソインドリン類、アゾメチン類およびピロロピロール類などがあげられる。無機顔料としては、例えば、酸化物類、水酸化物類、硫化物類、フェロシアン化物類、クロム酸塩類、炭酸塩類、ケイ酸塩類、リン酸塩類、炭素類(カーボンブラック)および金属粉類などがあげられる。
【0025】
また必要に応じて、顔料を分散させる目的で分散剤を添加してもよい。分散剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性イオン界面活性剤および高分子系分散剤などがあげられ、単独もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0026】
さらには、光重合開始剤の開始反応を促進させるための増感剤、熱安定剤、酸化防止剤、防腐剤、消泡剤、浸透剤、樹脂バインダー、樹脂エマルジョン、還元防止剤、レベリング剤、pH調整剤、顔料誘導体、重合禁止剤、紫外線吸収剤および光安定剤などの添加剤を加えることもできる。
【0027】
そしてUVインクは、上記原材料を混合し、さらにその混合物をロールミル、ボールミル、コロイドミル、ジェットミルまたはビーズミルなどの分散機を使って分散させ、その後、濾過を行うことで得ることができる。なかでも、短時間かつ大量に分散できることから、ビーズミルが好ましい。
【0028】
UVインクの粘度は、60±1℃において1〜15mPa・sであることが好ましく、2〜15mPa・sであることがより好ましい。粘度が1mPa・s未満であると、吐出量の調整が難しく、インクの吐出が不安定になるおそれがあり、15mPa・sを超えるとインクの吐出ができないおそれがある。
【0029】
UVインクの表面張力は、20〜40dyne/cm・25℃であることがより好ましい。20dyne/cm・25℃より小さいと、濡れ性が良くなりすぎて画像が滲むおそれあり、また、プリンタヘッドへのインクの供給が困難になる。40dyne/cm・25℃を超えると、基材上でインクがはじかれ、画像が不鮮明になるおそれがある。
【0030】
UVインク付与量は、30〜150g/mであることがより好ましい。30g/m未満の場合、十分な凸感を表現することが難しく、150g/mを超えると、インクの硬化不良が発生するおそれがある。
【0031】
UVインクの1液滴重量は、60〜140pgであることが好ましい。1液滴重量が60pgより少ない場合、所望の付与量を得るためにはノズル数の多いプリンタヘッドを搭載しなくてはならず、プリンタのキャリッジサイズの大型化につながり、消費電力も高くなる。また、1液滴重量が140pgを超えると、プリンタヘッドへの負荷が大きく吐出不良を生じやすくなる。
【0032】
本発明のUVインクを用いて凸感のある模様を形成する対象となる基材については、繊維布帛、皮革、フィルムなどの可撓性のある基材であり、インクが基材表面にとどまり、基材内部には浸透しないことが肝要である。基材内部にインクが浸透してしまうような基材であると凸感のある模様は形成されない。このため、基材として繊維布帛を選択する場合には、繊維布帛表面に予め樹脂コーティング処理や樹脂ラミネート処理を施してインクが内部に浸透しないようにしておく。また、天然皮革、合成皮革などの皮革を基材として選択する場合には、皮革表面には既に樹脂処理が施されている場合が多く、その場合には特に新たな処理を必要とせず、そのまま使用すればよい。また、フィルムを基材として選択する場合には、大半のフィルムはインクを浸透させないものと考えられ、そのまま使用することができる。
【0033】
UVインクを吐出するインクジェット記録装置については特に限定されない。例えば、荷電変調方式、マイクロドット方式、帯電噴射制御方式およびインクミスト方式などの連続方式、ピエゾ方式、サーマル方式、バブルジェット(登録商標)方式および静電吸引方式などのオン・デマンド方式などを用いることができる。さらに具体的なインクジェット記録装置としてはシリアル型、ライン型などがあげられいずれも使用可能である。
【0034】
シリアル型とはキャリッジの駆動によりシリアル型印刷ヘッドを主走査方向(キャリッジの移動方向)に走査させるとともに、基材を主走査方向に直交する搬送方向(副走査方向)に間欠搬送させながらインクを吐出させ画像を形成する。印刷ヘッドには、例えばブラック(Bk)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)などのインクのカートリッジが搭載されており、各色のカートリッジには、複数個のインク吐出ノズルが主走査方向および副走査方向の両方向に沿って設けられている。印刷ヘッドに紫外線照射装置を設けてもよい。
【0035】
シリアル型の記録装置を用いる場合、インク液滴を基材に付与する工程、および、紫外線を照射する工程を、主走査毎に繰り返して行う。ここで、主走査とは、印刷ヘッドが同一ライン上を移動することをいい、印刷ヘッドが、副走査方向に移動しないで、左から右へ1回移動する態様、左から右へ複数回移動する態様、右から左へ1回移動する態様、右から左へ複数回移動する態様、1往復する態様、複数回往復する態様等が含まれる。主走査毎とは、印刷ヘッドが一つのラインから別のラインに移動する毎に(副走査方向の移動が行われる毎に)という意味である。前記このような印刷ヘッドの主走査毎に、インク付与工程の終了後に、あるいは、前記インク付与工程と平行して、紫外線照射によるインクの硬化を行う。
【0036】
ライン型とは、プリンタの幅方向(印刷基材の搬送方向に直交する方向)に亘って各色のインクの吐出ノズルがライン状に設けられており、例えばブラック(Bk)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)などの吐出ノズルがライン状に設けられている。印刷ヘッドでのインク付与工程の終了後に紫外線照射によるインクの硬化を行うことも可能であるし、またはこの印刷ヘッドに紫外線照射装置を設けてもよい。このような印刷ヘッドを使用する場合、1ラインの印刷毎に色替えが行われ、色替ごとに紫外線を照射して、基材に付与されたインク液滴の硬化を行う。
【0037】
上記インクジェット記録装置においてUVインクを吐出する場合には、インクジェット記録装置に装備されたヘッドに加熱装置を装備し、インクを加熱することによりインク粘度を低くして吐出してもよい。インクの加熱温度としては25〜150℃が好ましく、30〜70℃がより好ましい。25℃未満の場合、インクの粘度を低くすることができないおそれがあり、150℃を超えるとインクが硬化してしまうおそれがある。インクの加熱温度は、反応性モノマーおよび/または反応性オリゴマーの熱に対する硬化性を考慮して定められ、熱により硬化が開始する温度よりも低く設定する。
【0038】
UVインクに含まれる反応性モノマーおよび/または反応性オリゴマーを硬化させるための紫外線照射の条件としては、紫外線ランプの出力が、50〜280W/cmが好ましく、80〜200W/cmがより好ましい。紫外線ランプの出力が50W/cm未満であると、紫外線のピーク強度および積算光量不足によりインクが十分に硬化しない傾向にあり、280W/cmを超えると、着色媒体が紫外線ランプの熱により変形または溶融し、また、インクの硬化皮膜が劣化する傾向にある。
【0039】
紫外線の照射は、照射エネルギーによる基材の劣化や変形を防止する観点から、0.1〜1.0秒の照射を10〜30回繰り返すことが好ましい。
【実施例】
【0040】
次に本発明について実施例をあげて説明するが、本発明は必ずしもこれらの実施例に限定されるものではない。
【0041】
実施例1
以下の処方にて各原料を加え、ミキサーにて混合後、ビーズミル分散機を用い分散した後、濾過を行って不純物除去し、均質なUVインクを作製した。
〔処方1〕
・反応性モノマー
SR238(1,6ヘキサンジオールジアクリレート サートマージャパン(株)製)
55.0重量%
・反応性オリゴマー
CN981(脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー サートマージャパン(株)製)
32.0重量%
・光重合開始剤
ダロキュア1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン チバスペシャルティケミカルズ(株)) 10.0重量%
・顔料
IRGALITE BLUE GLNF(銅フタロシアニン顔料 チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 2.0重量%
・分散剤
フローレンDOPA−33(変性アクリル系共重合物 共栄社化学(株)製)
1.0重量%
なお、UVインクの硬化後の収縮率を算出したところ、12.0%であった。
【0042】
実施例2
以下の処方にて各原料を加え、ミキサーにて混合後、ビーズミル分散機を用い分散した後、濾過を行って不純物除去し、均質なUVインクを作製した。
〔処方2〕
・反応性モノマー
SR285(テトラヒドロフルフリルアクリレート サートマージャパン(株)製)
50.0重量%
・反応性オリゴマー
CN996(脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー サートマージャパン(株)製)
37.0重量%
・光重合開始剤
ダロキュア1173 10.0重量%
・顔料
IRGALITE BLUE GLNF 2.0重量%
・分散剤
フローレンDOPA−33 1.0重量%
なお、UVインクの硬化後の収縮率を算出したところ、8.5%であった。
【0043】
比較例1
以下の処方にて各原料を加え、ミキサーにて混合後、ビーズミル分散機を用い分散した後、濾過を行って不純物除去し、均質なUVインクを作製した。
〔処方3〕
・反応性モノマー
SR344(ポリエチレングリコールジアクリレート サートマージャパン(株)製)
50.0重量%
・反応性オリゴマー
CN929(三官能ウレタンアクリレートオリゴマー サートマージャパン(株)製)
17.0重量%
Ebecryl8402(脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー ダイセルサイテック(株)) 20.0重量%
・光重合開始剤
ダロキュア1173 10.0重量%
・顔料
IRGALITE BLUE GLNF 2.0重量%
・分散剤
フローレンDOPA−33 1.0重量%
なお、UVインクの硬化後の収縮率を算出したところ、4.0%であった。
【0044】
実施例1〜2及び比較例1にて得られたUVインクを使用して、以下の基材に対して以下の条件にてインクジェットプリントを実施した。
【0045】
◎基材の準備
ポリエステル100%編物に以下の処方の処理液をパット法により付与、乾燥し、布帛表面に樹脂がコーティングされた基材を作製した。
PVA205(ポリビニルアルコール クラレ(株)) 4重量部
ポリメタクリル酸メチル(合成樹脂) 10重量部
ポリオキシエチレンラウリルアルコールアチル(乳化剤) 1重量部
水 85重量部
【0046】
◎プリント条件
イ)ヘッド加熱温度 :55(℃)
ロ)ノズル径 :70(μm)
ハ)印加電圧 :50(V)
ニ)パルス幅 :15(μs)
ホ)駆動周波数 :4.5(kHz)
ヘ)繰り返し印刷回数 :4回
◎紫外線照射条件
あ)ランプ種類 :メタルハライドランプ
い)電圧 :110W/cm
う)照射回数 :20回
え)照射高さ :5(mm)
◎プリント柄
10mm間隔の幅2mmの横ストライプ柄
【0047】
実施例1および2にて得られた凸模様は、付与したインクによる凸模様の高さに加え、インクが硬化して収縮することで生じた基材の変形による高さも加わっており、ダイナミックな凸感のある模様が表現されていた。また、実施例1の凸模様より実施例2のものの方が起伏が大きかった。一方、比較例1にて得られた凸模様は、付与したインクによる凸模様による高さのみで基材の変形は認められなかった。
【符号の説明】
【0048】
1 硬化したUVインクにより形成された凸模様
2 基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応性モノマー、反応性オリゴマーおよび光重合開始剤を含有する紫外線硬化型インクジェット用インクであって、該インクが硬化した後の収縮率が7.0%以上である紫外線硬化型インクジェット用インク。
【請求項2】
インクが硬化した後の収縮率が10.0%以上である請求項1記載の紫外線硬化型インクジェット用インク。
【請求項3】
請求項1〜2いずれかに記載の紫外線硬化型インクジェット用インクを使用して可撓性基材に凸模様を形成するインクジェットプリント方法。
【請求項4】
請求項1〜2いずれかに記載の紫外線硬化型インクジェット用インクを使用してインクジェットプリントした凸模様が形成されたシート。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−6538(P2011−6538A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−149756(P2009−149756)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(000107907)セーレン株式会社 (462)
【Fターム(参考)】