説明

細断処理装置

【課題】細断片の排出部位から細断片を容易に除去することができ、細断片の散乱を防ぐことのできる細断処理装置を提供する。
【解決手段】紙処理装置から細断片を排出する排出部60は、排出ガイド61を備える。排出ガイド61は、側面板部61Bと下面板部61Cとで断面形状が排出孔61Eより大きい略矩形断面の排出路を形成し、その排出路の下面を形成する下面板部61Cの上側は、開放する形状となっている。側面板部61Bと下面板部61Cの上縁は排出路の開口部62を形成し、この開放部62にはカバー63が開閉可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙等を細断処理する細断処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば機密性のある文書を廃棄する際には、情報漏洩の防止やプライバシー保護等のためにその機密文書をいわゆるシュレッダで細断処理することが一般的に行われている。
このようなシュレッダとして、細断機構によって細断した細断片を、収容容器等に導くように構成されたものは知られている(たとえば特許文献1参照)。
特許文献1に開示のシュレッダは、細断機構によって細断処理された細断片を集合させて圧縮し、塊状にして収容容器等に排出するものである。
【0003】
【特許文献1】特開平6−306787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般的な細断装置(シュレッダ)は、細断処理した細断片を通路等で収容容器等に導いてこの収容容器に一旦蓄積するように構成される。収容容器が細断片で満杯になると、細断片はリサイクルや廃棄等のための別途処分場所に移される。
この収容容器が収容した細断片を処分する場合等、収容容器が細断片を受ける位置から移動された際に、収容容器に細断片を排出する部位に残存する排出途中の細断片が周囲に散乱してしまう虞がある。細断片が散乱すると清掃が煩わしく、このようなことのない構成が望まれている。
【0005】
本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、細断片の排出部位から細断片を容易に除去することができる細断処理装置を提供することにある。
また他の目的は、細断片の散乱を防ぐことのできる細断処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的のもと、本発明の細断処理装置は、対象物を細断する細断機構と、この細断機構によって細断された細断片が移動する移動路と、この移動路からの細断片を収容容器に排出する排出部と、を備え、この排出部は、移動路の断面より大きい断面の排出路を形成することを特徴とする。
【0007】
ここで、この排出路は、細断片を案内する面が細断片の移動方向前方に向かって所定の角度、傾いて形成されることを特徴とすれば、細断片の取り出し部分をユーザの身体に対して近くすることが可能となり、ユーザが扱い易くなる点で好ましい。また、細断片を分断し易くなり、収容容器への収容量を増やすことができる点で優れている。
【0008】
また、この排出路は、細断片を案内する面が上向きに開口していることを特徴とすれば、例えば、排出路に対してユーザの手が入りやすくなり、取り出し易くなる点で優れている。また、例えばユーザに対して細断片が見え易くなる点で好ましい。
【0009】
他の観点から把えると、本発明が適用される細断処理装置は、対象物を細断する細断機構と、この細断機構を収容する筐体と、細断機構によって細断された細断片が移動する移動路と、筐体の壁面に開口しこの壁面に隣接して配置された収容容器に移動路から細断片を排出する排出部と、を備え、この排出部は、細断片の排出方向に筐体から突出し細断片を収容容器に案内する支持案内部を有し、この支持案内部は細断片の移動に際して摩擦を低減する低摩擦部を備えることを特徴としている。
【0010】
ここで、この排出部は、開口の断面が移動路の断面より大きく形成されていることを特徴とすることができる。
また、この排出部は、支持案内部により案内された細断片を排出する開口部を備え、この開口部は上向きに開口していることを特徴とすることができる。
更には、この支持案内部は、細断片を案内する面が、細断片の移動方向前方に向かって所定の角度、傾いて形成されていることを特徴とすることができる。
【0011】
ここで、この排出部は、上縁部で揺動可能に支持されて排出部を開閉可能に覆う蓋部材を更に備え、この蓋部材は、排出部から排出される細断片によって開放操作されることを特徴とすることができる。
そして、この蓋部材は、細断片が当接する面に細断片の移動方向に、細断片の移動に際して摩擦を低減する低摩擦部を備えることを特徴とすることができる。
更に、この蓋部材は、排出部の内部を透視可能に形成されていることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように構成された本発明の細断処理装置によれば、本構成を採用しない場合に比べて、細断片を排出する排出部から細断片を容易に除去することができ、細断片の回収能力を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本実施の形態に係る細断処理装置としての紙処理装置10の外観図である。また、図2は紙処理装置10の内部を示す概略構成図、図3は図2のA矢視図である。
図1に示す紙処理装置10は、装置の本体を構成する本体部11の上面部12に細断処理する対象物としての紙が供給される供給部13が形成され、また、一方の側面(本実施の形態では正面側から見て右側面)に、処理済みの細断片を本体部11の外部に排出する排出部60が配置されている。
【0014】
本体部11は、後述する細断機構20等の機構を筐体14の内部に格納し、筐体14の前面には、開閉扉15が設けられてメンテナンス等の際に内部を開放し得るようになっている。
また、本体部11の排出部60が配置された部位に隣接して、処理された細断片を収容するための収容容器70が配置される。収容容器70は、上側に開放する所定容量の箱状の部材である。収容容器70の少なくとも排出部60と対応する上縁部位は、排出部60より下側となる(低い位置となる)ように設定される。
そして、紙処理装置10は、供給部13に供給された紙の処理(細断処理)を行って細断片を排出部60から本体部11の外部に排出し、収容容器70に収容するものである。
【0015】
つぎに、紙処理装置10の各部の構成を、順を追って説明する。
本体部11(筐体14)の内部には、供給部13に投入された紙を細断する細断機構20と、この細断機構20によって細断された細断片を圧縮して塊化する圧縮ユニット40とが設けられている。細断機構20と圧縮ユニット40との間には、細断機構20によって細断された細断片を圧縮ユニット40に導くホッパ30が設けられている。
さらに、圧縮ユニット40の下流側に、圧縮ユニット40で塊化された細断片を排出部60に移送する移動路としてのダクト50を備えている。
【0016】
細断機構20は、第1の回転刃軸21と第2の回転刃軸22とが略平行に配置されて成る細断部20Aと、この細断部20Aを駆動する細断モータ20Mと、を備えている。
細断部20Aは、長方形の平面形状を呈しており、細断モータ20Mはその側方に位置している。
細断部20Aの第1の回転刃軸21と第2の回転刃軸22には、それぞれ回転刃21a,22aが軸方向に所定間隔で複数設けられている。回転刃21a,22aは、円盤状でその周面に複数の刃が放射状に形成されており、両回転刃軸21,22に設けられた回転刃21a,22aは、交互に入り組んで配置されている。すなわち、第1の回転刃軸21の回転刃21aと第2の回転刃軸22の回転刃22aとは、それぞれ軸方向にずれて配置され、また、一方の回転刃21a,22aが他方の回転刃22a,21aの間に相互に所定量入り込んでいる。これにより、両回転刃軸21,22の回転刃21a,22aが軸方向に見て重なり合った重合域23を形成している。
【0017】
第1の回転刃軸21および第2の回転刃軸22は、細断モータ20Mによって互いに逆回転に回転駆動される。
すなわち、たとえば、通常(正回転時)には、図2中に矢印で示すように、第1の回転刃軸21は時計方向に回転し、第2の回転刃軸22は反時計方向に回転する。これにより、重合域23では下側から上側に向かって回転刃21a,22aが移動するようになっている。
また、第1の回転刃軸21の回転速度(回転刃21aの周速度)と第2の回転刃軸22の回転速度(回転刃22aの周速度)とは異なっている。すなわち、紙投入側(供給部13)の第1の回転刃軸21は遅く(低速)回転し、紙投入側から遠い第2の回転刃軸22は速く(高速)回転するようになっている。その速度差は例えば2倍の値を採用することができる。
なお、細断モータ20Mは、正逆反転が可能なものであり、第1の回転刃軸21および第2の回転刃軸22を図2の矢印方向とは反対の方向に回転させることも可能となっている。
【0018】
細断機構20の下方には、ホッパ30を挟んで、圧縮機構としての圧縮ユニット40が設けられている。
ホッパ30は、傾斜した周囲側板によって漏斗状に形成されている。そして、細断機構20から落下する細断片を受けて集合させ、圧縮ユニット40に供給する。
圧縮ユニット40は、ホッパ30の下部開口部に接続された略筒状のハウジング41と、ハウジング41の内部に回動自在に配置されたスクリュー42と、スクリュー42を回転駆動する圧縮モータ40Mとを備えている。そして、圧縮ユニット40は、スクリュー42が圧縮モータ40Mによって所定速度で回転駆動され、ホッパ30を介して供給される細断片を、圧縮して密度の高い塊状にして送り出す。
【0019】
圧縮ユニット40の下流側には、ダクト50が接続されている。
ダクト50は、略U字状に屈曲した管路であり、一方端が圧縮ユニット40のハウジング41の下流端に接続され、他端が筐体14の側板14Aに構成された排出部60に接続されている。そして、圧縮ユニット40から送り出される細断片の塊を連続的に排出部60に導く。この排出部60の構成については、後に詳述する。
ダクト50内を移動する細断片は、排出部60から外部に設けられた収容容器70の中に落下し、収容される。
【0020】
上記のごとく構成された紙処理装置10は、供給部13に投入された紙を、細断機構20で細断片に細断し、その細断片を圧縮ユニット40によって塊状に圧縮して収容容器70に排出する。
すなわち、細断機構20は、第1の回転刃軸21と第2の回転刃軸22とが、その速度差で投入された紙を引きちぎって、図示しない所定間隔のフィルタを通過するまで破砕を繰り返して細断片とする。
その細断片は、ホッパ30に落下し、ホッパ30によって圧縮ユニット40に導かれる。
圧縮ユニット40は、ホッパ30から供給される細断片を、圧縮モータ40Mで回転駆動されるスクリュー42によってハウジング41内を移動させて圧縮し、塊状とする。圧縮ユニット40によって塊状とされた細断片は、圧縮ユニット40からの押し出し力によってダクト50内を移動し、収容容器70に排出される。
【0021】
つぎに、本願発明の主要部分である排出部60について、前述の図1乃至図3と、図4乃至図6とを参照して詳細に説明する。
図4は排出部60を外部側から見た斜視図、図5は排出部60の断面図である。また、図6は排出部60を介した細断片の排出状態を説明する図である。
排出部60は、筐体14の壁面を構成する側板14Aの外面に装着された排出開口部としての排出ガイド61を備えている。この排出ガイド61には、本体部11の内側からダクト50が接続されている。そして、ダクト50を介して送られる細断片の塊を、この排出ガイド61を介して収容容器70に排出するようになっている。
【0022】
排出ガイド61は、矩形の基板部61Aの左右両側辺部と下辺部とを縁取るように、所定幅(厚さ)の側面板部61Bと下面板部61Cとが所定高さに立設されており、これら、側面板部61Bと下面板部61Cとで排出される細断片を導く排出路を形成している。側面板部61Bの上縁と下面板部61Cの上縁とは排出路の開口部62を形成し、この開口部62には蓋部材としてのカバー63が開閉可能に設けられている。
【0023】
排出ガイド61の基板部61Aには、本体部11の側板14Aに装着される側の面に、接続管部61Dが突設されている。
この接続管部61Dの内部と基板部61Aとを連通して、排出孔61Eが形成されている。
また、接続管部61Dの先端部には、ダクト50が嵌合するようになっている。接続管部61Dの排出孔61Eの内径はダクト50の内径と等しく設定されており、排出孔61Eの内周面はダクト50の内周面と円滑に連続するようになっている。
【0024】
基板部61Aの左右両側辺部に形成された側面板部61Bは、基板部61Aの上辺側から下辺側に向けてその高さが漸次高くなる側方側から見て略不等辺直角三角形状に形成されている。三角形の底辺に相当する基板部61Aの下辺部では下面板部61Cと一体に連続している。
また、側面板部61Bの上縁(略三角形の斜辺に相当する部位)は、外側に少し膨らむ所定半径の円弧状となっている。
【0025】
基板部61Aの下辺部に形成された下面板部61Cは、基板部61Aの外面から所定の高さに突出し、両側端で側面板部61Bと一体に連続している。
この下面板部61Cの上面は、細断片の排出側が漸次高くなる方向に、所定角度の傾斜面となっている。
また、下面板部61Cの上面には、細断片の移動に際して摩擦を低減する低摩擦部として、細断片の排出方向に延びる支持凸条61Fが幅方向に所定間隔で複数条設けられている。この支持凸条61Fは、所定幅で所定高さに形成され、その間隔は、間に溜まった細断片を手で排出側に掻き出しやすいように容易に指が入るようたとえば10mm以上に設定される。
さらに、側面板部61Bと下面板部61Cとの内側の隅部61Gは、細断片が溜まり難く、細断片を容易に掻き出し得るようにたとえば半径20mm程度以上の大きな曲面に形成される。
また、下面板部61Cの上面と外面との角部には、後述するカバー63の下縁が嵌る段部61Hが形成されている。これにより、閉じた状態のカバー63の上面と下面板部61Cの外面とが一致するようになっている。
【0026】
上記のごとき構成の排出ガイド61は、側面板部61Bと下面板部61Cとで断面形状が排出孔61Eより大きい略矩形断面の排出路を形成している。そして、その排出路にて、細断片を案内する面を形成する下面板部61Cの上側は、開口部62によって開放(後述するカバー63を除いて)している。つまり、換言すれば、ダクト50から排出される細断片を支持する支持案内部としての下面板部61Cが、排出孔61Eより下側の基板部61Aの外面から細断片の排出方向に所定量突出形成され、その上側は開放しているものである。
【0027】
カバー63は、所定厚さの樹脂等によって、排出ガイド61の開口部62を閉塞可能に覆い得る形状に形成されている。すなわち、開口部62の幅と対応する幅で、排出ガイド61の側面板部61Bの上縁に沿う円弧状に形成されている。その素材としては、たとえば透明な樹脂が用いられ、排出ガイド61の内部を透視できるようになっている。
また、カバー63の内面には、所定幅で所定高さの操作凸条63Aが、縦方向(細断片の排出方向と平行な方向)に所定長さで延設されている。この操作凸条63Aは、本実施の形態では幅方向に所定間隔で三条設けられている。
【0028】
そして、カバー63は、その上縁部で、排出ガイド61の基板部61Aの上縁部と平行に左右の側面板部61Bの間を渡して設けられた軸64によって揺動自在に支持されている。これにより、下縁側が上下に揺動することで、開口部62を開閉し得るようになっている。このカバー63は、自由状態では自重で図5中に実線で示すように開口部62を閉ざした状態となり、図5中想像線で示すように排出ガイド61の内側から細断片によって押圧操作されると容易に揺動して開放する。
なお、図4は排出ガイド61の内部を示すためにカバー63が開放した図としたもので、カバー63がこのような状態で停止することを示すものではない。
【0029】
つぎに、上記のごとき排出ガイド61等を備える排出部60の作用について説明する。
図6は、排出部60からの細断片の排出状態を示す説明図である。なお、説明中の各構成要素の符号等については図1乃至図5参照のこと。
紙処理装置10の細断作用によって形成された細断片は、前述のごとく連続した塊(細断片塊PB)となってダクト50を移動し、排出部60の排出ガイド61に至る。
排出ガイド61は、ダクト50の断面積より大きいために細断片塊PBは、周囲の規制がなくなって下面板部61Cの上を滑って移動し、その移動経路が案内される。
その際、下面板部61Cの上面には支持凸条61Fが形成されていることから、細断片塊PBは支持凸条61Fの上に載り、低摩擦で円滑に移動することができる。なお、細断片塊PBの移動摩擦抵抗を軽減する構成(低摩擦部)としては、支持凸条61Fに代え、下面板部61Cの上面に4フッ化エチレン樹脂等の低摩擦の部材を貼付しても良い。
【0030】
そして、細断片塊PBは、その移動に伴って先端がカバー63を内側から押圧して開放させ、排出ガイド61(支持凸条61F)の先端より外部に突出する。カバー63には、細断片の移動に際して摩擦を低減する低摩擦部として、操作凸条63Aが形成されており、細断片塊PBの先端がこの操作凸条63Aに当接してカバー63を揺動操作する。これにより、カバー63を低摩擦で円滑に揺動操作することができる。
排出ガイド61(支持凸条61F)の先端から突出した細断片塊PBは、その団結力が自重に耐えられなくなると、分断して崩落する。
【0031】
ここで、排出ガイド61は、本体部11の筐体14(側板14A)の外面に突出しており、本体部11に隣接して配置した収容容器70の縁を、排出ガイド61の外端より内側(本体部11寄り)に位置させることができる。これによって排出部60(排出ガイド61)から排出される(崩落する)細断片塊PBを確実に収容容器70の内部に収容することができる。
【0032】
また、排出ガイド61の下面板部61Cの上面は、排出側が漸次高くなる方向の傾斜面となっているため、細断片塊PBは図6中に矢印で示すように上向きの経路で移動する。これにより、図6中に二点鎖線で示すように収容容器70の縁より上側に細断片塊PBを位置させて積み上げることができる。収容容器70に余裕があればその細断片塊PBは収まりの良い場所に転がり落ちる。従って、収容容器70の内部に合理的に多くの細断片塊PBを収容させることができ、細断片を処分する作業の頻度を少なくできる。仮に、排出ガイド61の下面板部61Cの上面を水平とした場合には、細断片塊PBは収容容器70のほぼ同じ位置に排出されることとなってその位置に山積みの状態となって合理的に収容できず、また、新たに排出される細断片塊PBに押圧されて収容容器70を移動させてしまう虞がある。本構成では、このような不具合を防ぐことができる。
【0033】
カバー63は、排出される細断片塊PBによって揺動操作されるため、排出ガイド61の外端より突出した細断片塊PBが崩落して突出した部位がなくなると、排出ガイド61の開口部62を閉ざし、細断片塊PBの排出に伴って揺動(開閉)を繰り返す。細断片塊PBが排出ガイド61の外部に突出した状態で停止すれば、開放状態を保つ。なお、このカバー63を所定の重量とし、その重量で細断片塊PBを押圧して崩落を促進させて細かく分断するように作用させることもできる。
【0034】
ところで、収容容器70が収容した細断片を処分する場合等、収容容器70を排出部60と対応する所定位置から移動する際には、排出ガイド61から細断片を除去してその散乱を防ぐ必要がある。
排出部60は、排出ガイド61の開口部62を覆うカバー63を備え、また、排出ガイド61の下面板部61Cの上面は排出側が高い傾斜面として形成されているため、その内部に細断片が残存しても散乱する虞は少ない。しかし、全く生じ得ないわけではないので、排出ガイド61の内部の細断片は全て掻き出しておくことが望ましい。また、連続する細断片塊PBが排出ガイド61から突出した状態で停止している場合では、このような細断片塊PBは除去しなければならない。
すなわち、収容容器70を排出部60と対応する所定位置から移動する際には、排出ガイド61から突出する細断片塊PBを除去すると共に、排出ガイド61の内部(下面板部61Cの上)の細断片を掻き出し、しかる後に、収容容器70を移動する。
【0035】
ここで、排出ガイド61は、ダクト50より大きな断面に形成されると共に、カバー63を揺動させれば上側が開放するため、この排出ガイド61から突出する細断片塊PBの除去と、排出ガイド61の内部(下面板部61Cの上)の細断片を掻き出す作業を容易に行うことができる。また、排出ガイド61の下面板部61Cの上面に形成された支持凸条61Fは、間に溜まった細断片を手で排出側に掻き出しやすい間隔に設定され、さらに、下面板部61Cと側面板部61Bとの内側の隅部61Gは大きな曲面に形成されており、細断片を作業性良く残さず掻き出すことができるものである。
これにより、収容容器70が排出部60と対応する位置から移動された際に、排出部60(排出ガイド61)に残存する細断片が散乱することを防ぐことができる。
【0036】
なお、本実施の形態では、排出部60は排出ガイド61の開口部62を覆うカバー63を備えるため、細断片塊PBが排出ガイド61の外端より突出せずカバー63が開口部62を完全に閉ざしていれば、開口部62から細断片がこぼれ落ちることはなくそのまま収容容器70を移動させることができる。ところが、細断片がカバー63と開口部62との間に挟まる等によってカバー63が完全に閉じていない場合には、カバー63を開いて挟まった細断片を除去する必要がある。そのような場合でも、カバー63が透明であるために内部の状態を視認することができる。
【0037】
以上説明したように、排出部60を備えた紙処理装置10は、本体部11に隣接して配設された収容容器70に、細断片を合理的に収容することができる。また、収容した細断片を処分する場合等、細断片を受ける位置から収容容器70を移動する際に、排出部60の排出ガイド61から細断片を容易に除去し、細断片が落下して散乱することを防ぐことができる。
【0038】
なお、上記実施の形態に限らず、異なる実施の形態も採用できる。
たとえば、上記構成例の紙処理装置10の細断機構20は、紙を引きちぎって細断片とするものであるが、細断対象物は紙に限らず、また、カッタによって切断して短冊状や矩形の細断片とするものに適用しても良い。
さらに、上記排出ガイド61の形状は正面形状を略矩形としたが、形状はこれに限らずたとえば円形とする等、適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本実施の形態に係る紙処理装置の外観斜視図である。
【図2】紙処理装置の内部を示す概略構成図である。
【図3】図2のA矢視図である。
【図4】排出部を外部側から見た斜視図である。
【図5】排出部の断面図である。
【図6】排出部を介した細断片の排出状態を説明する図である。
【符号の説明】
【0040】
10…紙処理装置(細断処理装置)、11…本体部、14…筐体、14A…側板(壁面)、20…細断機構、50…ダクト(移動路)、60…排出部、61…排出ガイド(排出開口部)、61C…下面板部(支持案内部)、61F…支持凸条、62…開口部、63…カバー(蓋部材)、63A…操作凸条、70…収容容器、PB…細断片塊

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を細断する細断機構と、
前記細断機構によって細断された細断片が移動する移動路と、
前記移動路からの細断片を収容容器に排出する排出部と、
を備え、
前記排出部は、前記移動路の断面より大きい断面の排出路を形成することを特徴とする細断処理装置。
【請求項2】
前記排出路は、細断片を案内する面が細断片の移動方向前方に向かって所定の角度、傾いて形成されることを特徴とする請求項1に記載の細断処理装置。
【請求項3】
前記排出路は、細断片を案内する面が上向きに開口していることを特徴とする請求項1または2に記載の細断処理装置。
【請求項4】
対象物を細断する細断機構と、
前記細断機構を収容する筐体と、
前記細断機構によって細断された細断片が移動する移動路と、
前記筐体の壁面に開口し当該壁面に隣接して配置された収容容器に前記移動路から細断片を排出する排出部と、
を備え、
前記排出部は、細断片の排出方向に前記筐体から突出し細断片を前記収容容器に案内する支持案内部を有し、当該支持案内部は細断片の移動に際して摩擦を低減する低摩擦部を備えることを特徴とする細断処理装置。
【請求項5】
前記排出部は、開口の断面が前記移動路の断面より大きく形成されていることを特徴とする請求項4に記載の細断処理装置。
【請求項6】
前記排出部は、前記支持案内部により案内された細断片を排出する開口部を備え、当該開口部は上向きに開口していることを特徴とする請求項4または5に記載の細断処理装置。
【請求項7】
前記支持案内部は、細断片を案内する面が、細断片の移動方向前方に向かって所定の角度、傾いて形成されていることを特徴とする請求項4に記載の細断処理装置。
【請求項8】
前記排出部は、上縁部で揺動可能に支持されて当該排出部を開閉可能に覆う蓋部材を更に備え、
前記蓋部材は、前記排出部から排出される細断片によって開放操作されることを特徴とする請求項4乃至7何れか1項に記載の細断処理装置。
【請求項9】
前記蓋部材は、細断片が当接する面に細断片の移動方向に、当該細断片の移動に際して摩擦を低減する低摩擦部を備えることを特徴とする請求項8に記載の細断処理装置。
【請求項10】
前記蓋部材は、前記排出部の内部を透視可能に形成されていることを特徴とする請求項8または9に記載の細断処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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