説明

細粒化粒子の生成方法

ナノサイズ粒を有する複合金属酸化物の生成方法は、溶液中に溶解された少なくとも1つの金属カチオン、および1または複数の金属もしくは金属化合物の形態の少なくともさらに1つの金属を含有する微粒子材料を含有する混合物の形成工程、および混合物を処理して、ナノサイズ粒を有する複合金属酸化物を形成する工程を含む。微粒子材料からの少なくともさらに1つの金属は、複合金属酸化物中に組み込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常に細かい粒にされた微粒子材料、およびこのような非常に細かい粒にされた微粒子材料の生成方法に関する。好ましい態様において、本発明は、非常に細かい粒にされた微粒子材料の酸化物材料、およびこのような材料の生成方法に関する。最も適切には微粒子材料は、ナノメートル規模の粒サイズを有する。
【背景技術】
【0002】
金属酸化物は、広い範囲の用途に用いられている。例えば金属酸化物は、次のものに用いることができる:
・固体酸化物燃料電池(カソード、アノード、電解質、および電極配線(interconnect));
・触媒材料(自動車の排気ガス、排ガス規制、化学合成、石油精製、廃棄物管理);
・磁気材料;
・超伝導セラミック;
・光電子材料;
・センサー(例えばガスセンサー、エンジン用燃料制御);
・構造セラミック(例えば人工関節)。
【0003】
従来の金属酸化物は典型的には、マイクロメートル範囲内に含まれる粒サイズを有し、多くの場合、マイクロメートル範囲よりも大きい粒子サイズを有する粒子の形態で供給される。ナノメートルサイズ粒からなる金属酸化物は、従来の金属酸化物よりも優れた重要な利点を有すると考えられる。これらの利点は、より低い焼結温度、潜在的には非常に高い表面積、時には改良されているかまたは通常でない物理的性質を包含する。しかしながら、ナノメートルサイズ粒を有する有用な金属酸化物材料を経済的に生成する能力は、材料科学への大きな挑戦であることが分かっている。このような細かい規模の金属酸化物、特に次のものを有する多成分(複合)金属酸化物を製造することは難しいことがわかっている:
a)正確な化学組成;
b)異なる原子種の均一な分布;
c)正確な結晶構造;および
d)低コスト。
【0004】
多くの重要な金属酸化物、特に多成分金属酸化物は、非常に細かい粒では、いまだに生成されたことがない。これは、1つの酸化物中の異なる要素の数が増加するにつれて、ナノメートルサイズ粒に対して必要とされる超微粒規模で、異なる要素を均一に分散することが、より難しくなるからである。本発明者らによって実施された文献調査は、非常に小さい粒サイズ(20nm未満)が、限定数の金属酸化物についてのみ得られたことを示している。細かい粒サイズを得るために用いられた、報告されている方法は、非常に高価であり、低収率を有し、拡大するのは難しいことがある。生成された細粒化材料の多くは、特に高い表面積を示さず、このことは、粒の低い充填(packing)を示している。
【0005】
この段階において、材料の粒子は典型的には、いくつかの粒の凝塊であると理解されるであろう。各粒は、ほかの粒に接合された明確な結晶性の領域として考えられてもよい。これらの粒は、ほかの粒界に隣接する粒界を有しうる。あるいはまた、これらの粒のいくつかは、これらの粒と異なる組成物(例えば金属、合金、または非晶質材料)を有する領域によって取囲まれていることがあり、これらの領域によってほかの粒とともに凝塊されていることもある。
【0006】
ナノ材料の合成のための先行技術に記載されている方法は、気相合成、ボールミル粉砕、共沈、ゾルゲル、およびマイクロエマルジョン法を包含する。これらの方法は典型的には、異なる材料群、例えば金属、合金、金属間化合物(intermetallics)、酸化物、および非酸化物である。
【0007】
本発明者らの国際特許出願第PCT/AU01/01510号(第WO02/42201号)において、本発明者らは、ナノサイズ粒を有する金属酸化物粒子の生成方法について記載している。この方法は、次の工程を含む:
a)1またはそれ以上の金属カチオンを含有する溶液の調製工程;
b)工程(a)からの溶液と1またはそれ以上の界面活性剤とを、界面活性剤ミセルが溶液中に形成され、これによってミセル液体を形成するような条件下で混合する工程;および
c)工程(b)からのミセル液体を加熱して、金属酸化物を形成する工程であって、加熱工程が、界面活性剤を除去し、これによって金属酸化物粒子を形成する温度および時間の間行なわれる工程。
【0008】
この方法によって形成された金属酸化物粒子は、無秩序細孔構造を有する。本発明者らの国際特許出願第PCT/AU01/01510号(第WO02/42201号)の内容全体は、明らかに相互参照により本明細書に組み込まれる。
【0009】
本発明者らの国際特許出願第PCT/AU01/01510号に記載されている方法は、金属酸化物粒子の経済的生成を可能にする方法を提供する。この方法は、2またはそれ以上の金属を含有する複合金属酸化物粒子の調製にとって特に有用である。本明細書全体において、「複合金属酸化物」という用語は、その中に2またはそれ以上の金属を有する金属酸化物を説明するために用いられる。この方法によって調製された複合金属酸化物粒子は、これらの粒子全体において金属種の非常に均質な分布を有する。均一結晶構造も得られ、これは、混合金属酸化生成物の均質性のさらなる指標を与える。さらにはこの方法は、容易に拡大することができる。
【0010】
本発明者らの以前の国際特許出願第PCT/AU01/01510号に記載された方法において、工程(a)は、複合金属酸化物中に組み込まれることになる金属のすべてのカチオンを含有する溶液の調製を包含する。これらの金属のすべてを溶液中に入れる工程は、この方法によって生成された混合金属酸化物中のこれらの金属の均質分布を得るのを補助すると考えられた。
【0011】
米国特許番号第6,139,816号(Liuら)は、その内容全体が相互参照により本明細書に組み込まれるが、これは、金属酸化物粉末の生成方法であって、金属酸化沈殿物または金属酸化物ゲルが、界面活性剤と金属塩を含有する水溶液とを混合する工程によって形成される方法について記載している。界面活性剤および塩型は、金属酸化物の沈殿物もしくはゲルが、混合時に形成するように選択される。金属酸化沈殿物もしくは金属酸化物ゲルは、混合物の残りから分離され、次いでさらに、金属酸化物粉末を得るために熱処理される。
【0012】
米国特許番号第5,698,483号(Ongら)は、その内容全体が相互参照により本明細書に組み込まれるが、これは、ナノサイズ粉末の生成方法について記載している。Ongらは、金属カチオンを含有する溶液と親水性ポリマーとを混合して、親水性ポリマーゲルを形成している。親水性ポリマーゲルは次いで加熱され、水および有機物質を追い払い、ナノメートルサイズの金属酸化物粉末を残す。
【0013】
米国特許番号第6,328,947号(Mondenら)は、その内容全体が相互参照により本明細書に組み込まれるが、これは、有機溶媒の存在下に、金属ハロゲン化物を加水分解することによる、約20nmまたはそれ以下の直径を有する金属酸化物の細かい粒子の生成方法について記載している。Mondenらにおいて、金属酸化物は、有機溶液中の金属ハロゲン化物の加水分解によって形成される。金属酸化沈殿物は次いで、母液から(例えば濾過、遠心分離などによって)分離され、洗浄され、次いで乾燥される。
【0014】
米国特許番号第5,879,715号(Higginsら)および米国特許番号第5,770,172号(Linehanら)は、その内容全体が相互参照により本明細書に組み込まれるが、これらは、マイクロエマルジョン法を用いることによるナノ粒子の生成方法について記載している。これらの方法において、マイクロエマルジョンが形成され、金属酸化物がマイクロエマルジョンミセル中に沈殿し、これによって、金属酸化物粒子のサイズを、ほぼ小滴のサイズに制限する。Higginsらにおいて、2つの油中水エマルジョンが調製される。一方は、水小滴中に溶解された金属塩を有し、他方は、水小滴中にある反応体を有する。これらのマイクロエマルジョンが混合され、反応体含有小滴が金属溶液含有小滴と接触する時、金属酸化物の沈殿が発生する。Linehanらにおいて、水小滴中に溶解された金属塩を有する油中水エマルジョンが形成される。次いで反応体が、例えば気体反応体をそれを通してバブリングさせることによって系へ添加され、金属酸化物を水小滴中に沈殿させる。
【0015】
米国特許番号第5,788,950号(Imamuraら)は、その内容全体が相互参照により本明細書に組み込まれるが、これは、液体吸収性樹脂ゲルを用いた、複合金属酸化物粉末の合成方法について記載している。Imamuraらにおいて、少なくとも2つの溶解金属を含有する溶液は、溶液と組み合わせた後で、少なくとも2つの金属が液体吸収性樹脂中に存在するように、液体吸収性樹脂と接触させられる。液体吸収性樹脂は、膨潤してゲル化させられる。膨潤ゲルは、膨潤ゲルのpHまたは温度のうちの少なくとも1つを変えることによって処理され、先駆物質材料を形成する。先駆物質材料は、熱分解され、焼成されて、混合金属酸化物粉末を形成する。
【0016】
ドイツ国特許第19852547号は、その内容全体が相互参照により本明細書に組み込まれるが、これは、金属塩の水溶液を水性塩基で処理して、水溶性安定剤の存在下に沈殿物(縮合物)を生成することによる、金属酸化物粉末の生成方法について記載している。
【0017】
米国特許出願番号第2005/0008777号(McCleskeyら)は、その内容全体が相互参照により本明細書に組み込まれるが、これは、金属酸化物フィルムの形成方法について記載している。この方法は、1またはそれ以上の金属先駆物質、および1またはそれ以上の金属先駆物質に対して結合特性を有する可溶性ポリマーの溶液の調製工程を包含する。コーティング操作後、結果として生じたコーティングは、高温で加熱され、金属酸化物フィルムを生じる。
【0018】
上記米国特許および米国特許出願およびドイツ国特許第19852547号のすべては、金属酸化物材料上へ組み込まれた金属種のすべてを含有する溶液の形成に依存している。
【0019】
実際、適切な溶液の生成は、問題であることが時折分かることがある。いくつかの金属の場合、利用しうる塩の範囲は非常に限定され、まったく存在しないことさえある。異なる塩型、例えば塩化物および硝酸塩の混合は、金属要素の望まれない沈殿をともなう問題につながることがある。溶液化学の制御は、原料としてこの方法へ供給された金属化合物のすべてが溶液中に入り、溶液からのほかの金属化合物の沈殿が回避されるためことを確実にするためには、非常に重要であろう。これに加えて、多量の対イオン(例えばNO3)の存在は、熱処理の制御、および溶液中のほかの要素の望まれない沈殿における問題につながることがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明者らは今や驚くべきことに、これらの金属種のすべてを溶液中に入れることは必要でないこと、および満足すべき複合金属酸化生成物は、これらの金属種の1またはそれ以上が、微粒子物質の形態でプロセスに添加されるならば得ることができることを発見した。
【課題を解決するための手段】
【0021】
したがって第一の態様において、本発明は、ナノサイズ粒を有する複合金属酸化物の生成方法であって、
a)溶液中に溶解された少なくとも1つの金属カチオン、および1または複数の金属もしくは金属化合物の形態にある少なくともさらに1つの金属を含有する微粒子材料を含有する混合物を形成する工程;および
b)ナノサイズ粒を有する複合金属酸化物が形成されるような条件下に工程(a)の混合物を処理する工程であって、少なくともさらに1つの金属が、複合金属酸化物中に組み込まれる工程
を含む方法を提供する。
【0022】
本発明は、混合金属酸化物中への組み込みのためのこれらの金属の1またはそれ以上が、工程(a)において形成された溶液中に溶解されなければならない代わりに、微粒子材料の形態で存在しうるが、一方で、それでもなお、材料全体における異なる要素の合理的な分配をともなう、ナノサイズ粒を有する混合金属酸化物が得られるという驚くべき発見に基づいている。
【0023】
少なくともさらに1つの金属は適切には、複合金属酸化物マトリックスが、ナノメートル規模で均一な組成を示すように、複合金属酸化物マトリックス中に組み込まれる。より好ましくは複合金属酸化物は、単一の相純粋金属酸化物を形成する。
本発明によって生成される複合酸化物は、単一相材料であってもよく、またはこれは多重相を含有してもよい。複合酸化物が多重相を含有する場合、各相は適切には、ほかの相に対して異なる組成を有する。これらの多重相の1またはそれ以上は、単一金属の酸化物を含んでいてもよい。あるいはまた、これらの相の1またはそれ以上は、複合金属酸化物相を含んでいてもよい。これらの多重相はまた、単一金属の酸化物の1またはそれ以上の相、および複合酸化物の1またはそれ以上の相を含んでいてもよい。
【0024】
本発明の方法は、微粒子材料が先駆物質混合物と完全には反応せず、したがって最終生成物が、もとの粒子からの1つの相、および先駆物質混合物およびその中の微粒子材料からの金属原子を有する1つの金属酸化物相を含むように操作されてもよい。相混合物は、次の2つの異なる経路によって達成されてもよい:
i)工程(a)の混合物中に過剰微粒子材料を有し、したがって組み合わされていない微粒子材料は、すべての先駆物質混合物が微粒子材料と組み合わされた後に残留する工程;または
ii)例えば酸化物形成メカニズムを停止することによって、酸化物形成の程度を制御し、したがって不完全な反応が発生する工程。
【0025】
適切には、金属カチオンと組合わされていない微粒子材料が残留する場合、残留微粒子材料は酸化物相を含むか、または微粒子材料のみから由来する金属原子を含有する酸化物相へ転化される。
【0026】
本発明者らは、すべての液相を利用する方法についてよりも、本発明の工程(a)において完全に均質な混合物を得ることはより難しいと考える。その結果、最終生成物は、その中にもとの微粒子材料のいくつかの小さい領域または相を含む可能性がより高い。
【0027】
複合金属酸化物は、粒子として、またはフィルムとして形成されてもよい。フィルムが形成される場合、フィルムは基体上に形成されてもよい。
粒子が形成される場合、これらの粒子は好ましくは、これらの粒の凝塊物である。この実施形態において、これらの粒は、適切にはともに軽く焼結される。
【0028】
本発明の第一の態様の方法は、ナノサイズ粒を有する複合金属酸化物を生成しうる方法であって、以前には、溶液中にある先駆物質または供給原料金属種のすべてに依存していた方法とともに用いることができる。このような方法は、共沈、ゾル−ゲル合成、マイクロエマルジョン法、界面活性剤ベースの方法、溶液と混合されたポリマーを用いる方法(例えばOngの米国特許第5,698,483号に記載されているような方法)、およびこれらの溶液とともに錯体を形成するために特定のポリマーを用いるポリマー複合方法を包含する。本発明の第一の態様の方法はまた、本明細書の「背景技術」のセクションに記載され、かつ相互参照により本明細書に組み込まれている特許または特許出願に記載されている方法のいずれを用いてもよい。
【0029】
本発明の方法の工程(a)は、1またはそれ以上の金属カチオンを含有する溶液の調製を包含する。これらの金属カチオンは、これらの金属酸化物粒子の必要とされる組成にしたがって選択される。1またはそれ以上の金属カチオンの溶液は、好ましくは濃縮溶液である。本発明者らは目下、溶解された金属の高濃度が、生成物の最高収率を得るのに好ましいと考えている。
【0030】
非常に多数の金属カチオンおよび金属含有微粒子を、本発明に用いることができる。その例は、周期表の第1A、2A、3A、4A、5A、および6A族からの金属、遷移金属、ランタニドおよびアクチニド、およびこれらの混合物を包含する。このリストは網羅的であると考えるべきでない。混合物は、1またはそれ以上の異なる金属カチオンを含有してもよい。本発明における使用に適した金属のいくつかの特定例は、セリウム、ジルコニウム、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、ストロンチウム、イットリウム、ニオブ、モリブデン、白金族金属(Pt、Pd、Rh、Reを包含する)、金、銀、およびランタニド系列からの金属を包含する。本発明は、金属のこのリストのみに限定されると考えるべきでないことが理解されるであろう。
【0031】
金属カチオン溶液は適切には、1または複数の所望の金属を含有する1または複数の塩と溶媒とを混合することによって生成される。特定の溶媒中に可溶なあらゆる塩を用いることができる。金属カチオン溶液はまた、1または複数の金属酸化物または1または複数の金属と1または複数の適切な溶媒とを混合することによっても生成することができる。
金属カチオン溶液を調製するために、いくつかの溶媒を用いることができる。これらの溶媒は好ましくは、水性ベースの溶媒である。適切な溶媒の例は、水、硝酸、塩酸、硫酸、フッ化水素酸、アンモニア、アルコール、およびこれらの混合物を包含する。このリストは網羅的であると考えるべきでなく、本発明は、すべての適切な溶媒の使用を包含すると考えるべきである。
【0032】
本発明において用いられる微粒子材料は適切には、この方法によって生成された混合金属酸化物の粒サイズと同様であるかまたはこれよりも小さい粒子サイズを有する。混合物中に存在する微粒子材料は、約1nm〜約250nm、より好ましくは1〜100nm、さらにより好ましくは1〜50nm、さらに好ましくは1〜25nm、さらに好ましくは1〜10nm、最も好ましくは1〜4nmの範囲内に含まれる粒子サイズを有することが好ましい。粒子サイズが大きければ大きいほど、金属酸化物中のほかの要素との化学的均質性を得ることがより難しいと考えられる。
【0033】
微粒子材料は、金属酸化物中への組み込みのための1またはそれ以上のさらなる金属を供給する。1またはそれ以上の金属は、1つの金属、または複数の金属もしくは金属合金の混合物の形態で存在しうる。この実施形態において、微粒子材料は、1つの金属の粒子、2またはそれ以上の金属の粒子、2またはそれ以上の金属を含有する金属合金の粒子、またはこれらの混合物を含む。実際、金属の細かい粒子は、多くの場合非常に反応性があり、このことは、金属粒子の取扱い、ならびに安全性の問題の提起に困難を導入することがある。
【0034】
好ましくは1またはそれ以上のさらなる金属を含有する微粒子材料は、金属化合物の粒子、または異なる金属化合物の粒子の混合物、または混合金属化合物を含有する粒子、またはこれらの混合物を含む。これらの粒子は、酸化物、硝酸塩、塩化物、硫酸塩、水酸化物、より複合したオキシ水素化物、例えばゾル−ゲル型方法などを用いて生成することができるものの形態にあってもよい。微粒子材料は、1またはそれ以上の金属酸化物、水酸化物、またはオキシ水素化物を含有することが好ましい。
【0035】
微粒子材料は、本発明の第一の態様の方法の工程(b)において処理された混合物全体に等しく分散されることが好ましい。この点に関して、工程(a)において生成された溶液は、微粒子材料を溶液全体に分散するために適切に処理されてもよい。液体中の粒子の分散のための多くの技術が公知である。分散は、適切な混合技術とともに、溶液特徴(例えばpH、温度、特定の分散剤の添加)の制御によって達成されうる。混合は、高速インペラ、フロー・ミキサー、ロールミル、および超音波ミキサーを包含する、あらゆる適切な公知混合装置を用いることによって達成されうる。微粒子材料は、溶液が形成された後に分散されてもよい。あるいはまた、微粒子材料は、溶質への添加に先立って、1または複数の可溶性金属化合物と混合されて、溶液を形成してもよい。さらに1つの代替方法として、これらの粒子は、水中に分散されてもよく、1または複数の金属塩もしくは金属カチオン溶液が、その後粒子の分散液へ添加されてもよい。
【0036】
金属酸化物を形成するために選択された特定の方法に応じて、ほかの材料が、工程(a)において形成された混合物へ添加されてもよい。混合物へ添加されるほかの材料は、界面活性剤、乳化剤、膨潤性ポリマー、親水性ポリマー、不混和性液体(マイクロエマルジョン技術が用いられている場合)、沈殿剤、加水分解剤などを包含しうる。このような添加剤材料は、特定の目的のため、例えば2またはそれ以上の要素が溶液中に存在する場合、均質先駆物質固体の形成を補助するため、および/または多孔性を増すため、および/またはナノサイズ粒の形成を補助するために添加されてもよい。
【0037】
工程(a)の混合物は、金属酸化物を形成するためにいくつかの異なる方法において処理されてもよい。いくつかの処理は次のものを包含する:
i.典型的には高温への加熱による熱処理;
ii.沈殿、好ましくは次いで熱処理;
iii.加水分解、好ましくは次いで熱処理;
iv.ゲル化、好ましくは次いで熱処理;
v.焼成;
vi.熱分解。
【0038】
ここでもまた、用いられる処理の選択は、選択された特定の方法によるであろう。
いくつかの実施形態において、本発明の工程(b)は、溶解された金属カチオンが、微粒子材料と相互混合された固体先駆物質相を最初に形成するように混合物を処理する工程を包含する。固体先駆物質相および微粒子材料は、次いで組み合わされて、1または複数の複合金属酸化物相を形成する。このような実施形態において、工程(b)は、1または複数の酸化物相を形成するために、固体先駆物質相と微粒子材料との組み合わせを容易にする熱処理工程を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、熱処理はまた、工程(a)の混合物からの固体先駆物質相の形成も補助する。
【0039】
工程(b)が加熱工程を含む例では、加熱工程は、1または複数の金属酸化物を結果として生じるあらゆる熱処理を包含する。加熱工程は、高温まで、例えば200℃〜1,300℃、好ましくは300℃〜1,200℃への加熱を包含してもよい。実際の温度および加熱時間はいくぶん、生成される特定の酸化物に応じる。当業者なら、必要とされる温度、およびあらゆる特定の金属酸化物を形成するために必要とされる加熱時間を、容易に確認することができるであろう。
【0040】
本発明の方法は、本発明者らの国際特許出願第PCT/AU01/01510号および米国特許第6,752,979号に記載された方法との使用に特に適している。これらの内容全体は、相互参照により本明細書に組み込まれる。
【0041】
したがって第二の態様において、本発明は、ナノサイズ粒を有する複合金属酸化物粒子の生成方法であって、
a)1またはそれ以上の金属カチオンを含有する溶液を調製する工程;
b)工程(a)からの溶液と界面活性剤とを、界面活性剤ミセルが溶液中に形成され、これによってミセル液体を形成するような条件下で混合する工程;および
c)工程(b)からのミセル液体を加熱して、金属酸化物を形成する工程であって、加熱工程が、界面活性剤を除去し、これによって金属酸化物粒子を形成するための温度および時間の間実施される工程
を含む方法において、
工程(c)において加熱されたミセル液体はまた、1または複数の金属もしくは金属化合物の形態にある1またはそれ以上のさらなる金属を含有する微粒子材料も含有し、1またはそれ以上のさらなる金属は、工程(c)において生成されたナノサイズ粒を有する金属酸化物粒子中に組み込まれることを特徴とする方法を提供する。
【0042】
本発明の第二の態様の方法は、場合によりさらに、ゲルを形成するための工程(b)からの混合物の処理工程、および金属酸化物の粒子を形成するためのゲルの加熱工程を含んでいてもよい。
【0043】
本発明の第二の態様の方法の工程(b)は、混合物へ界面活性剤を添加して、界面活性剤/液体混合物を生じる工程を包含する。好ましくは界面活性剤は、ミセルが形成される条件下に溶液へ添加され、したがってミセル液体が形成される。
【0044】
ミセル液体は、界面活性剤分子が凝集してミセルを形成するように、十分な量で添加された時に形成される。ミセル液体において、ミセルは、有意な程度の秩序を示さず、したがって液体の粘度は、普通はゲル様である、より秩序のある液晶相の粘度よりも、通常はるかに低い。液晶に対立するものとしてのミセル液体の使用は、したがって、溶液と界面活性剤との単純で急速かつ十分な混合を可能にする。このことは、商業的生産方法には重要である。いくつかの実施形態において、溶液と混合された界面活性剤の量は、これらのミセルが、狭い間隔があけられているミセル液体を生成するのに十分である。ミセル液体が形成される条件は、1または複数の用いられている特定の界面活性剤によるであろう。実際、制御される必要がある主要な変数は、添加された界面活性剤の量および温度である。いくつかの界面活性剤については、温度が上昇されるべきであるが、一方で、ほかの界面活性剤については、室温またはそれ以下が必要である。
【0045】
ミセルを形成しうるあらゆる界面活性剤を、本発明において用いることができる。多数の界面活性剤を、本発明において用いることができる。これは、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、および双性界面活性剤を包含する。いくつかの例は、C16EO2と表わされるブリジ(Brij)C1633(OCH2CH22OH(アルドリッチ(Aldrich));ブリジ30、C12EO4、(アルドリッチ);ブリジ56、C16EO10、(アルドリッチ);ブリジ58、C16EO20、(アルドリッチ);ブリジ76、C18EO10、(アルドリッチ);ブリジ78、C16EO20、(アルドリッチ);ブリジ97、C1835EO10、(アルドリッチ);ブリジ35、C12EO23、(アルドリッチ);トリトン(Triton)X−100、CH3C(CH32CH2C(CH3264(OCH2CH2xOH,x=10(平均)(アルドリッチ);トリトンX−114、CH3C(CH32CH2C(CH3264(OCH)2CH25OH(アルドリッチ);ツイーン20、ポリ(酸化エチレン)(20)ソルビタンモノカイレート(アルドリッチ);ツイーン40、ポリ(酸化エチレン)(20)ソルビタンモノパルミテート(アルドリッチ);ツイーン60、ポリ(酸化エチレン)(20)ソルビタンモノステアレート(アルドリッチ);ツイーン、ポリ(酸化エチレン)(20)ソルビタンモノオレエート(アルドリッチ);およびスパン(Span)40、ソルビタンモノパルミテート(アルドリッチ)、テリタール(Terital)TMN6、CH3CH(CH3)CH(CH3)CH2CH2CH(CH3)(OCH2CH26OH(フルカ(Fulka));タージタール(Tergital)TMN10、CH3CH(CH3)CH(CH3)CH2CH2CH(CH3)(OCH2CH210OH(フルカ);2つの主要ヒドロキシル基を末端基とする(疎水性)ポリ(プロピレングリコール)核上に中心がある、ポリ(酸化エチレン)−ポリ(酸化プロピレン)−ポリ(酸化エチレン)(EO−PO−EO)配列を有するブロックコポリマー;プルロニック(Pluronic)L121(平均分子量=4,400)、EO5PO70EO5(バスフ(BASF));プルロニックL64(平均分子量=2,900)、EP13PO30EO13(バスフ);プルロニックP65(平均分子量=3,400);EP20PO30EO20(バスフ);プルロニックP85(平均分子量=4,600)、EO26PO39EO26(バスフ);プルロニックP103(平均分子量=4,950)、EO17PO56EO17(バスフ);プルロニックP123(平均分子量=5,800)、EO20PO70EO20(アルドリッチ);プルロニックF68(平均分子量=8,400)、EO80PO30EO80(バスフ);プルロニックF127(平均分子量=12,600)、EO106PO70EO106(バスフ);プルロニックF88(平均分子量=11,400)、EO100PO39EO100(バスフ);プルロニック25R4(平均分子量=3,600)、PO19EO33PO19(バスフ);エチレンジアミン核へ接着され、第二ヒドロキシル基を末端基とする、4つのEOn−POm鎖(または逆に、4つのPOm−EOn鎖)を有するスタージブロックコポリマー;テトロニック(Tetronic)908(平均分子量=25,000)、(EO113PO222NCH2CH2N(PO113EO222(バスフ);テトロニック901(平均分子量=4,700)、(EO3PO182NCH2CH2N(PO18EO32(バスフ);およびテトロニック90R4(平均分子量=7,240)、(PO19EO162NCH2CH2N(EO16PO192(バスフ)を包含する。
【0046】
上記界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。用いることができるほかの界面活性剤は、次のものを包含する:
アニオン性界面活性剤:
ナトリウムドデシルスルフェートCH3(CH211OSO3NA。
いくつかの製造業者があるようである。シグマ(Sigma)は一例である。
【0047】
カチオン性界面活性剤:
セチルトリメチルアンモニウムクロライドCH3(CH215N(CH33Clアルドリッチ
セチルトリメチルアンモニウムブロマイドCH3(CH215N(CH33BTアルドリッチ
セチルピリジニウムクロライドC2138NClシグマ。
このリストは、網羅的と考えるべきでない。
【0048】
本発明の第二の態様の工程(c)へ供給されるミセル液体はまた、金属もしくは金属化合物またはその両方の形態において1またはそれ以上のさらなる金属を含有する微粒子材料も含有する。本発明の第二の態様において用いられる微粒子材料は適切には、この方法によって生成される混合金属酸化物の粒サイズと同様であるかまたはこれよりも小さい粒子サイズを有する。ミセル液体中に存在する微粒子材料は、約1nm〜約250nm、より好ましくは1〜100nm、一層好ましくは1〜50nm、さらに好ましくは1〜25nm、さらに好ましくは1〜10nm、最も好ましくは1〜4nmの範囲に含まれる粒子サイズを有することが好ましい。粒子サイズが大きければ大きいほど、この中のほかの要素との化学的均質性を得ることがより難しくなると考えられる。
【0049】
微粒子材料は、混合金属酸化物材料を形成する加熱工程に先立って、第二の態様の方法のどの段階で添加されてもよい。例えば微粒子材料は、工程(a)において溶解された金属化合物と混合されてもよい。あるいはまた微粒子材料は、1またはそれ以上の金属カチオンを含有する溶液を形成するために工程(a)において用いられる溶媒へ添加されてもよい。さらなる代替方法として、微粒子材料は、工程(a)において形成された溶液へ添加されてもよい。なおもう1つの代替方法において、微粒子材料は、工程(b)において溶液と混合された1またはそれ以上の界面活性剤へ添加されてもよい。さらになお1つの代替方法において、微粒子材料は、工程(b)において生成されたミセル液体へ添加されてもよい。
【0050】
微粒子材料は、本発明の第二の態様の方法の工程(c)において処理されたミセル液体全体に等しく分散されることが好ましい。この点に関して、微粒子材料がミセル液体の形成に先立って添加される場合、工程(a)において生成された溶液は適切には、微粒子材料を溶液全体に分散させるために処理される。液体中の粒子の分散のための多くの技術が公知である。分散は、適切な混合技術とともに、溶液特徴(例えばpH、温度、特定の分散剤の添加)の制御によって達成されうる。混合は、高速インペラ、フローミキサー、ロールミル、および超音波ミキサーを包含する、あらゆる適切な公知の混合装置によって達成されうる。
【0051】
同様に、微粒子材料が工程(b)において形成されたミセル液体へ添加されるならば、微粒子材料は好ましくは、ミセル液体と混合され、その中に分散される。ここでもまた、あらゆる適切な混合装置が用いられてもよい。
【0052】
工程(c)において処理されたミセル液体中に含有された微粒子材料は、混合金属酸化物粒子中への組み込みのための1またはそれ以上の金属を供給する。1またはそれ以上の金属は、1つの金属、または複数の金属もしくは金属合金の混合物の形態で存在しうる。この実施形態において、微粒子材料は、1つの金属の粒子、2またはそれ以上の金属の粒子、2またはそれ以上の金属を含有する金属合金の粒子、またはこれらの混合物を含む。実際、金属の細かい微粒子は多くの場合、非常に反応性があり、これは、金属粒子の取扱い、ならびに安全性の問題の提起に困難を導入することがある。
【0053】
好ましくは、1またはそれ以上のさらなる金属を含有する微粒子材料は、金属化合物の粒子、異なる金属化合物の粒子の混合物、または混合金属化合物を含有する粒子、またはこれらの混合物を含む。これらの粒子は、酸化物、硝酸塩、塩化物、硫酸塩、水酸化物、より複合したオキシ水素化物、例えばゾル−ゲル型方法を用いて生成されうるものなどの形態にあってもよい。微粒子材料は、1またはそれ以上の金属酸化物、水酸化物、またはオキシ水素化物を含有することが好ましい。
【0054】
本発明の第二の態様の方法の工程(c)は典型的には、工程(b)からの混合物を高温へ加熱し、これによって金属酸化物粒子を形成する工程を包含する。場合によりこの工程の前に、ゲルを形成するための界面活性剤/液体混合物の処理工程を行なってもよい。通常、ゲルは、液晶を形成するためのミセルの秩序化(ordering)によって形成する。典型的には、ゲルを形成するために、混合物の温度を変えるだけで十分である。いくつかの混合物について、冷却が結果としてゲル形成を生じる。ほかの混合物については、加熱が結果としてゲル形成を生じる。これは、用いられる1または複数の界面活性剤によるようにみえる。
【0055】
ゲル形成の任意工程がこの方法において用いられるならば、工程(c)の加熱は、ゲルの加熱を包含する。
加熱工程の結果として、金属酸化物の形成およびこれらの粒子の細孔構造を生じる。加熱工程は、1または複数の金属酸化物の形成を結果として生じるあらゆる熱処理を包含する。加熱工程は、高温、例えば200℃〜1,300℃への加熱を包含しうる。実際の温度および加熱時間はいくぶん、生成される特定の酸化物に応じる。当業者なら、必要とされる温度、およびあらゆる特定の金属酸化物を形成するために必要とされる加熱時間を、容易に確認することができるであろう。
【0056】
本発明者らは、本発明の方法が、局部限定された発熱反応の発生を包含しうると考える。これは、非常に局部限定された温度につながることがある。
加熱工程は、最大の所望温度への急速加熱を包含しうるか、またはこれは、はるかにより厳密に制御された熱処理法(regime)を包含しうる。例えば加熱工程は、制御された雰囲気下に実施されてもよい。加熱工程は、混合物を乾燥するための乾燥温度(一般に混合物の沸騰温度以下)への加熱、次いで最大適用温度までのゆっくりとした傾斜、または次いで、最終的に最大適用温度に達する前に中間温度までの一連の漸進的増加を包含しうる。加熱工程の時間は、幅広く様々であってもよく、工程(c)における好ましい時間は、15分〜24時間である。工程(c)は、金属酸化物粒子の形成を結果として生じるすべての加熱プロフィールを包含することが意図されていると理解されるであろう。
【0057】
本発明の工程(c)は、所望の金属酸化物粒子の形成を結果として生じるすべてのこのような加熱工程を包含する。加熱工程は、当業者によってこのような目的に適していると知られている加熱装置を用いて実施されてもよい。その例は、ホットプレートまたはほかの加熱基体、オブン、固定テーブル炉、回転テーブル炉、誘導炉、流動床炉、浴炉、フラッシュ炉、管炉、赤外線炉、マッフル炉、ドロップ炉、ベルト炉、回転炉、回転キルン、回転乾燥機、スプレー乾燥機、スピン−フラッシュ乾燥機、ドラム乾燥機、反応容器、およびフラッシュ焼成機を包含する。
【0058】
本発明者らは、本発明の第二の態様の加熱工程が、界面活性剤/液体混合物中に存在するあらゆる秩序を破壊し、本発明の方法の結果が、有意量の結晶性、無秩序細孔構造、細孔サイズの広い分布、および本質的に均質な全体の組成を有する、ナノサイズ粒を有する金属酸化物の粒子であることを証明した。本発明は、反応工程(これは加熱を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい)全体に維持されているミセルまたは液晶構造に依存し、結果として非常に狭い細孔分布および秩序のある細孔構造を有する金属酸化物材料の形成を生じる、先行技術の界面活性剤テンプレート方法とは区別することができる。このような先行技術の方法は、所望の細孔構造を得るために、ゆっくりとして制御された加水分解−縮合反応の伝搬に依存する。本発明者らは、本発明者の方法において発生する正確な反応について不確かであるが、これらの反応は、加水分解−縮合反応だけではないと考えられる。本発明において首尾よく用いられた広い範囲の要素、非常に制御された液相反応工程の不在、金属酸化物粒子中に得られた高度な結晶性、および短い加工処理時間は、制御された加水分解−縮合反応が、本発明の第二の態様の方法において不可欠ではないことを示しており、実際に、これらはまったく発生しないことがありうる。
【0059】
この方法の好ましい実施形態によって生成された金属酸化物粒子は、ナノサイズ粒を有する。好ましくは粒サイズは、1〜250nm、より好ましくは1〜100nm、一層好ましくは1〜50nm、なお一層好ましくは1〜20nm、さらにより一層好ましくは2〜10nm、最も好ましくは2〜8nmの範囲内に含まれる。
【0060】
粒サイズは、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いてこれらの粒子のサンプルを調べ、粒サイズを視覚的に評価し、そこから平均粒サイズを計算することによって決定された。これらの粒子は、凝集するかまたは互いに結合する非常に細かい粒によって、様々な粒子サイズを有しうる。粒子サイズは、ナノメートル範囲からマイクロメートル範囲、またはそれ以上までの様々なものであってもよい。これらの粒子は、大きい比表面積(特定の金属酸化物について、これらの粒子を製造するための先行技術方法と比較した場合)を有してもよく、細孔サイズの幅広い分布を示しうる。
【0061】
本発明の方法のすべての態様において、所望の細孔構造を有する多孔質複合金属酸化物を形成するために、混合物へ細孔形成材料を添加することが望ましいことがある。この実施形態において、細孔形成材料は、複合金属酸化物の形成に先立って混合物へ添加され、金属酸化物の形成工程の間、または金属酸化物の形成後に、複合金属酸化物から除去され、多孔質複合金属酸化物を残す。細孔形成材料は、ポリマーベースの細孔形成剤、ポリマーベースの粒子、例えばラテックス、塩、またはほかの粒子、例えばカーボンブラックであってもよい。細孔形成材料は、約7nm〜250nmの範囲内の細孔サイズを生じるように選択されうる。細孔形成材料は適切には、向上した高温安定性を示す多孔質複合金属酸化物を生成するように選択される。
【0062】
多孔質複合金属酸化物の粒サイズは、1〜150nmの範囲内に含まれうる。
向上した高温安定性の複合金属酸化物を生成するための細孔形成材料の使用は、本発明者らの同時係属米国仮特許出願番号第US(60/538867号)に記載されている。これの内容全体は、相互参照により本明細書に組み込まれる。
【0063】
本発明のすべての態様において、金属酸化物は、1またはそれ以上のさらなる金属、例えば白金族金属を含んでいてもよい。1またはそれ以上のさらなる金属は、酸化物上またはその中の金属材料の領域の形態で存在しうる。
【0064】
本発明の方法は、金属酸化物粒子を製造するために用いられてもよい。これらの金属酸化物粒子は、実質的に1〜250nmの範囲の粒サイズを有してもよい。好ましくは粒サイズは、1〜100nm、より好ましくは1〜50nm、より好ましくは1〜20nm、一層より好ましくは2〜10nm、最も好ましくは2〜8nmの範囲内に含まれる。
【0065】
これらの粒子は、好ましくは実質的に結晶質であり、少量または無視しうる量のみの非晶質材料を含有する。これらの粒子は適切には、相純粋であり、本質的に均一な組成を有する。これらの粒子は、2またはそれ以上の金属を含有する単一金属酸化物格子を有してもよい。これらの粒子は、2またはそれ以上の金属酸化物相を有してもよい。これらの酸化物相の1またはそれ以上は、複合酸化物相であってもよい。一般に、これらの粒子中の粒は、ほぼ等軸である。
【0066】
本発明の方法は、驚くべきことに、先駆物質の溶液のみを利用した以前の方法と比較した時、向上した熱安定性を有する複合金属酸化物を形成しうることが発見された。向上した熱安定性とは、高温への暴露の結果としての比表面積の損失が減少されることを意味する。
【0067】
これらの粒子は好ましくは、本発明の第一の態様を参照して記載された粒子を参照して記載されているようなほかの特性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0068】
実施例1.
式La0.5Sr0.25Pd0.018Ni0.04Ti0.942xの複合金属酸化物を、次のように生成した。これは、本質的に単相の化合物の一例である。
Tiベースのナノ粒子を製造するために、公知方法と同様な方法を用いた。45.24gのチタンイソプロポキシドと酢酸とを、4:1イソプロポキシド:酢酸モル比において混合した。混合物を次いで、約150mlの水へ添加し、凝塊ナノ粒子の白色塊体が形成され、これを、遠心分離によって水から分離した。この方法によって生成されたナノ粒子は、約3nm直径のほぼ等軸の粒子であると考えられ、Ti、O、およびHからなる。
その他の必要とされる要素を含有する溶液を、40mlの水、10g硝酸、34.84gランタンニトレート六水和物、8.51gストロンチウムニトレート、0.76gニッケルカーボネート、および3.08gのパラジウムニトレート溶液(10%)を混合することによって形成した。
チタンベースのナノ粒子を、溶液へ添加し、約50℃で攪拌した。これらの粒子は溶液中に分散された。16.15gのモナーク(Monarch)1300カーボンブラックを、溶液へ添加し、高速攪拌機を用いて混ぜ入れた。次いで64gのエルノン(Erunon)LA4界面活性剤を添加し、再び高速攪拌機を用いて混ぜ入れた。
最終ミックスを、ゆっくりと650℃へ熱処理し、次いで800℃で2時間処理した。XRDトレースは大部分、少量の不純物相をともなう、必要とされるペロブスカイト相を示した。TEMは、粒サイズが15nm〜100nmで、平均粒サイズが約40nmのほぼ等軸の粒を示した。
【0069】
実施例2.
公称式La0.8Sr0.2Pd0.024Ni0.04Ti0.936xプラス10%CeO2の化合物を、第二熱処理が1,000℃で実施されること以外、実施例1と同様な方法を用いて生成した。これは、多重の異なる相を有する複合化合物の一例である。XRD分析は、主要相としてのLa0.5Sr0.25TiO3相およびいくつかのほかの相の存在を示した。TEMは、材料の平均粒サイズが約40nmであることを示した。
【0070】
実施例3.
公称式La0.8Sr0.2Pd0.03Ni0.04Cu0.03Ti0.9xプラス10%CeO2の化合物を、実施例2と同様な方法を用いて生成した。XRD分析はここでもまた、主要相としてのLa0.5Sr0.25TiO3相およびいくつかのほかの相の存在を示した。TEMは、材料の平均粒サイズが約40nmであることを示した。
【0071】
実施例4.
式La0.5Sr0.25Pd0.018Ni0.04Ti0.942xの複合金属酸化物を、エルノンLA2界面活性剤をエルノンLA4の代わりに用いたこと以外、実施例1と同じ方法で生成した。XRDトレースは大部分、少量の不純物相をともなう、必要とされるペロブスカイト相を示した。TEMは、約30nmの平均粒サイズを示した。
【0072】
実施例5.
式La0.5Sr0.25Pd0.018Ni0.04Ti0.942xの複合金属酸化物を、ポリエチレングリコール(分子量約 をエルノンLA4の代わりに用いたこと以外、実施例1と同じ方法で生成した。XRDトレースは大部分、少量の不純物相をともなう、必要とされるペロブスカイト相を示した。TEMは、約40nmの平均粒サイズを示した。
【0073】
実施例6.
式MgAl24の複合金属酸化物を、次の手順によって生成した。29.07gのアルミニウムヒドロキシドナノ粒子、ディスパル(Dispal)23N4−80(サゾル社(Sasol Corporation))を、260mlの水中に分散した。55.19gのマグネシウムニトレート六水和物を、100mlの水中に溶解した。溶液を、この分散液へ添加し、次いで16gのレーブン(Raven)850カーボンブラック(コロンビアン・ケミカルズ(Columbian Chemicals))を添加した。混合物を、高速攪拌機を用いて攪拌し、次いで64gのエルノンLA4界面活性剤を添加し、次いでさらに攪拌した。混合物をゆっくりと500℃へ加熱した。XRDは、材料がMgAl24スピネル相であることを示し、TEMは、平均粒サイズが約20nmであることを示した。
【0074】
実施例7.
式CuAl24の複合金属酸化物を、熱処理が500℃から続行されたこと、およびサンプルを500℃、900℃、および1,000℃で採取したこと以外、実施例6と同様な方法で生成した。
図1は、これら3つの温度で採取されたサンプルからのXRDトレースを示している。これらの相がCuOおよびアルミナ(アルミナピークは、この図面でははっきりとは見えない)であることを、500℃において見ることができる。熱処理が進行するにつれて、CuAl24が形成し、増加するが、一方で、CuOおよびアルミナは減少する。明らかに、CuO、CuAl24、およびアルミナの所望の混合物を得るために、熱処理のどの段階でもこの反応を停止することができる。
TEMは、900℃および1,000℃での熱処理後の平均粒サイズが、それぞれ約40nmおよび約250nmである、ほぼ等軸の粒を示した。
【0075】
比較例1.
CuAl24は、アルミニウムが溶解アルミニウムニトレート九水和物を介して供給され、微粒子物質が用いられないこと以外、実施例7と同様な方法で生成された。表1は、850℃、900℃、および1,000℃への熱処理後に得られた表面積を比較する。これらの熱処理後、XRDトレースは、材料および実施例7の材料について非常に類似していた。すなわち、CuAl24の形成度は非常に類似していた。明らかに、実施例7の材料は、より高い温度においてかなり高い表面積を有する。
【表1】

【0076】
本発明の好ましい実施形態は、本発明者らに公知の先行技術よりも優れた次の利点を提供する:
(a)生成された金属酸化物は、極端に小さい粒サイズを有する。例えば、二酸化セリウム材料は、約2〜約10ナノメートルの範囲の粒サイズを有する;
(b)生成された金属酸化物は、非常に結晶質である。すなわち、これらは高度の原子秩序を有する。これは、ほとんど原子結晶性を有していない、大部分の界面活性剤テンプレート材料よりも優れた大きい利点である;
(c)極端に高い表面積を、いくつかの金属酸化物について得ることができる(先行技術の方法と比較して)。その結果生じた粉末の表面積は、用いられる界面活性剤の型、金属イオンの型、および熱処理に応じる。同様に塩の型(例えば硝酸塩、酢酸塩、塩化物など)も、表面積に影響しうるように見える;
(d)非常に複合した多成分金属酸化物を、本発明を用いて生成することができる;
(e)多相金属酸化物を生成することができる;
(f)向上した熱安定性を有する金属酸化物を生成することができる;
(g)この方法は、低コスト原料および単純な加工処理技術を用いる。これはしたがって極端に安価である;
(h)ゲルの加熱が実施される場合、これらのゲルは、秩序のある界面活性剤構造からなる。しかしながら、この秩序のある構造は、最終材料中には確かに存在しない。これに加えて、細孔サイズ分布は非常に幅広く、このことは、これらの細孔が、界面活性剤ミセルの単純なバーンアウトの結果生じるわけではないことを示している。したがってこの細孔構造は、既に記載されている界面活性剤テンプレート材料におけるものとは有意に異なる。
(i)1またはそれ以上のさらなる金属を含有する先駆物質材料が耐火性であり、溶解が難しいか、またはほかの溶媒または溶液状の化合物と(例えば、金属化合物の望まれない沈殿または共沈を引起こすことによって)相溶性でない溶液中にのみ溶解する場合、1またはそれ以上のさらなる金属を含有する微粒子材料は、溶解を必要とすることなく、この方法への先駆物質もしくは供給材料の1つとして用いられうる。このことは、加工処理を単純化するが、一方で、驚くべきことに、適切な特性を有する混合金属酸化物粒子が得られるようにする。
【0077】
当業者なら、本発明は、具体的に記載されたもの以外の変形および修正をすることができることを理解するであろう。本発明は、その精神および範囲内に入る、すべてのこのような変形例および修正例を包含すると理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】実施例7に記載された生成物についてのXRDトレースを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノサイズ粒を有する複合金属酸化物の生成方法であって、
a)溶液中に溶解された少なくとも1つの金属カチオン、および1または複数の金属もしくは金属化合物の形態にある少なくともさらに1つの金属を含有する微粒子材料を含有する混合物を形成する工程;および
b)ナノサイズ粒を有する複合金属酸化物が形成されるような条件下に工程(a)の混合物を処理する工程であって、少なくともさらに1つの金属が、前記複合金属酸化物中に組み込まれる工程
を含む方法。
【請求項2】
前記少なくともさらに1つの金属は、複合金属酸化物マトリックスが、ナノメートル規模で実質的に均一な組成を示すように、前記複合金属酸化物マトリックス中に組み込まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複合金属酸化物が、粒子として、またはフィルムとして形成される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記金属カチオンは、周期表の第1A、2A、3A、4A、5A、および6A族、遷移金属、ランタニドおよびアクチニド、およびこれらの混合物からの1またはそれ以上の金属カチオンから選択される、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記溶液が、1またはそれ以上の異なる金属カチオンを含有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記金属カチオン溶液は、1または複数の所望の金属を含有する1または複数の塩と溶媒とを混合する工程によって、または1または複数の金属酸化物もしくは1または複数の金属と1または複数の溶媒とを混合する工程によって生成される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記溶媒が、水性ベースの溶媒である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記溶媒が、水、硝酸、塩酸、硫酸、フッ化水素酸、酢酸、蟻酸、アンモニア、アルコール、およびこれらの混合物の1またはそれ以上から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記微粒子材料は、工程(b)において生成された混合金属酸化物の粒サイズと類似であるか、またはこれよりも小さい粒子サイズを有する、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記混合物中に存在する微粒子材料は、約1nm〜約250nmの範囲内に含まれる粒子サイズを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記混合物中に存在する微粒子材料は、約1nm〜100nmの範囲内に含まれる粒子サイズを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記混合物中に存在する微粒子材料は、約1nm〜50nmの範囲内に含まれる粒子サイズを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記混合物中に存在する微粒子材料は、約1nm〜25nmの範囲内に含まれる粒子サイズを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記混合物中に存在する微粒子材料は、約1nm〜10nmの範囲内に含まれる粒子サイズを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記混合物中に存在する微粒子材料は、約1nm〜4nmの範囲内に含まれる粒子サイズを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記1またはそれ以上の金属は、1つの金属、または複数の金属もしくは金属合金の混合物の形態で存在する、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
1またはそれ以上のさらなる金属を含有する微粒子材料は、金属化合物の粒子、または異なる金属化合物の粒子の混合物、または混合金属化合物を含有する粒子、またはこれらの混合物を含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記粒子は、酸化物、硝酸塩、塩化物、硫酸塩、水酸化物、より複合したオキシ水素化物、またはこれらの混合物の形態にある、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記微粒子材料は、工程(b)において処理される混合物全体に均一に分散される、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
ほかの材料が、工程(a)において形成された混合物へ添加され、前記のほかの材料は、界面活性剤、乳化剤、膨潤性ポリマー、親水性ポリマー、不混和性液体、沈殿剤、加水分解剤、およびこれらの混合物から選択される、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
工程(a)の混合物は、工程(b)において、熱処理、沈殿、加水分解、ゲル化、次いで熱処理、焼成、または熱分解によって処理される、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
工程(b)は、200℃〜1300℃の範囲の温度までの加熱を含む熱処理工程を包含する、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
ナノサイズ粒を有する複合金属酸化物粒子の生成方法であって、
a)1またはそれ以上の金属カチオンを含有する溶液を調製する工程;
b)工程(a)からの溶液と界面活性剤とを、界面活性剤ミセルが前記溶液中に形成され、これによってミセル液体を形成するような条件下で混合する工程;および
c)工程(b)からのミセル液体を加熱して、金属酸化物を形成する工程であって、前記加熱工程が、界面活性剤を除去し、これによって金属酸化物粒子を形成するための温度および時間の間実施される工程
を含む方法において、
工程(c)において加熱されたミセル液体はまた、1または複数の金属もしくは金属化合物の形態にある1またはそれ以上のさらなる金属を含有する微粒子材料も含有し、前記1またはそれ以上のさらなる金属は、工程(c)において生成されたナノサイズ粒を有する金属酸化物中に組み込まれることを特徴とする方法。
【請求項24】
さらに、工程(b)からの混合物を処理してゲルを形成する工程、およびゲルを加熱して、金属酸化物の粒子を形成する工程も含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記界面活性剤が、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、および双性界面活性剤から選択される、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
前記微粒子材料は、工程(c)において生成された混合金属酸化物の粒サイズと類似であるか、またはこれよりも小さい粒子サイズを有する、請求項23〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記微粒子材料は、工程(c)において処理されるミセル液体全体に均一に分散される、請求項23〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記粒子は、水または溶液中に分散され、1またはそれ以上の可溶性金属塩、または金属カチオンを含有する溶液が、その後これへ添加されて、分散粒子を含有する金属カチオンの溶液を形成する、請求項23〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記粒子は、ミセル液体の形成に先立って、工程(a)からの1または複数の金属カチオンを含有する溶液中に分散される、請求項23〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
工程(c)において処理されたミセル液体中に含有される微粒子材料は、1つの金属、または複数の金属もしくは金属合金の混合物の粒子、または金属化合物の粒子、または異なる金属化合物の粒子の混合物、または混合金属化合物を含有する粒子、またはこれらの混合物を含む、請求項23〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記粒子は、酸化物、硝酸塩、塩化物、硫酸塩、水酸化物、より複合したオキシ水素化物、またはこれらの混合物の形態にある、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
工程(c)は、工程(b)からの混合物を高温へ加熱し、これによって金属酸化物粒子を形成する工程を包含する、請求項23〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
工程(c)の前に、界面活性剤/液体混合物を処理してゲルを形成する工程が行なわれ、工程(c)の加熱はゲルの加熱を包含する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
さらに、複合金属酸化物の形成に先立って、細孔形成材料を前記混合物へ添加する工程であって、前記細孔形成材料が、金属酸化物の形成する工程の間か、または金属酸化物の形成後に除去されて、多孔質複合金属酸化物を残す工程も含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記細孔形成材料が、ポリマーベースの細孔形成剤、ポリマーベースの粒子、例えばラテックス、塩、またはほかの粒子、例えばカーボンブラックである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記細孔形成材料が、約7nm〜250nmの範囲内の細孔サイズを生じるように選択される、請求項34または35に記載の方法。
【請求項37】
前記複合酸化物が、単一相材料を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記複合酸化物が、多重相を含む、請求項1〜36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記多重相の1またはそれ以上が、単一金属の酸化物を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記多重相の1またはそれ以上が、複合金属酸化物相を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記多重相は、単一金属の酸化物の1またはそれ以上の相、および複合酸化物の1またはそれ以上の相を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
微粒子材料と1またはそれ以上の金属カチオンとの不完全な組み合わせが発生し、したがって前記酸化物相の1つが、微粒子材料のみから由来する金属を含有する酸化物相を含む、請求項38〜41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記微粒子材料は、複合金属酸化物を形成するのに必要とされる量を超えて添加される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
酸化物相の形成は、1または複数の酸化物相を形成するために、微粒子材料のすべてが金属カチオンと組み合わされる前に終了する、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記金属酸化物が、1またはそれ以上のさらなる金属を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記1またはそれ以上のさらなる金属は、前記酸化物上またはその中の金属材料の領域の形態で存在する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記1またはそれ以上のさらなる金属は、1またはそれ以上の白金族金属である、請求項45または46に記載の方法。
【請求項48】
前記1またはそれ以上のさらなる金属は、金、銀、銅、コバルト、またはニッケルの1またはそれ以上から選択される、請求項45または46に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−504199(P2008−504199A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516897(P2007−516897)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【国際出願番号】PCT/AU2005/000935
【国際公開番号】WO2006/000049
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(506425963)ザ ベリー スモール パーティクル コンパニー ピーティーワイ リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】THE VERY SMALL PARTICLE COMPANY PTY LTD
【住所又は居所原語表記】31 Westgate Street, Wacol, QLD 4076 (AU)
【Fターム(参考)】