説明

細胞コレクションのライブラリー

【課題】コンビナトリアル遺伝子発現ライブラリー及びこれらを作成するための方法の提供。
【解決手段】細胞1、細胞2・・・・、細胞i(ここで、i≧2である)で表され、各細胞が個々のオリゴヌクレオチドカセットのうちの少なくとも1つのコンカテマーを含んで成り、各コンカテマーが以下の式:[rs2-SP-PR-X-TR-SP-rs1]n(ここで、rs1とrs2は共に制限部位を表し、SPは少なくとも2つの塩基のスペーサーを表し、Xは発現可能なヌクレオチド配列を表し、PRは、細胞内でXの発現を制御することができるプロモーターを表し、TRはターミネーターを表し、そしてn≧2であり、そして細胞1の少なくとも1つのコンカテマーが細胞2のコンカテマーと異なる)のヌクレオチド配列を含んで成る、個々の細胞のコレクションを含んで成るライブラリー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2001年6月27日に出願された米国仮特許出願番号第60/300,863号の非仮出願であり、これは引用によってその全体が本明細書に組み入れられる。本出願は、2001年1月25日に出願されたデンマーク特許出願番号PA 2001 00128及び2001年5月1日に出願されたPA 2001 00679の優先権を主張するものであり、これらは、引用によってその全体が本明細書に組み入れられる。当該出願、又は本出願で引用している全ての特許及び非特許文献も、引用によってそれらの全体が本明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明は、細胞コレクションのライブラリー及び前記ライブラリーを生成する方法に関する。当該ライブラリーは、新規特性を有する細胞又は集団(composition)に進化させるための出発材料として有用である。
【0003】
本発明は、コンビナトリアル遺伝子発現ライブラリー及びこれらを作成するための方法に関する。そのようなライブラリーは、例えば薬物の発見のための新規化合物の産生、及び/又は新規な量での若しくは細胞の新規な区画での既知の化合物の産生、をもたらす、新規な及び/又は増強された代謝経路の発見に有用である。
【背景技術】
【0004】
発現コンストラクトを含んで成る細胞間での交雑及び組換えによって、組換えコンビナトリアル遺伝子発現ライブラリーを提供する方法が知られている(WO 00/52180 Terragen Discovery Ltd.)。recA組換え酵素を用いてin vitroで実施されうる組換えを介して、宿主細胞内で機能的であることもあり、又は機能的でないこともある、新規遺伝子が得られる。
【0005】
従来技術のライブラリーの1つの欠点は、ライブラリーの進化が、細胞間の交雑及び組換えを介してしか得ることができず、相同又はホメオロガス(homeologous)な遺伝子が組換えられ、それによって特性、例えば基質特異性、例えば溶解度、細胞内での位置、が若干変化した遺伝子産物を生成する新規遺伝子が生じるということである。
【0006】
更に、一旦発現コンストラクトが細胞内に挿入されると、細胞の特定の遺伝子の組み合わせが静的となる。新規組み合わせは交雑及び組換えによって得ることができるが、このことはまた、乗換えを介する新規遺伝子の形成をもたらす。当該新規遺伝子は、機能的なこともあり、又は全く機能的でないこともある。
【0007】
更に、挿入された発現コンストラクトの発現は、任意な1つの細胞内に挿入された全ての遺伝子の同時発現である。広範な遠縁の種に由来する多数の異種遺伝子が1つの細胞内で構築される場合、異種遺伝子のいくつかが当該細胞にとって致死性又は亜致死性である機会、あるいは、複数の遺伝子産物が同一の基質について競合する機会は多い。インサートの同時発現のみが可能である場合、新規代謝経路は、この事実、又は新規代謝物が別の挿入酵素によって既知の代謝物に更に代謝されるという事実により未発見のままであろう。
【発明の概要】
【0008】
最初の観点の通り、本発明は、個々の細胞のコレクションを含んで成るライブラリーであって、当該細胞が
細胞1、細胞2・・・・、細胞i(ここで、i≧2である)で表され、
各細胞が個々のオリゴヌクレオチドカセットのうちの少なくとも1つのコンカテマーを含んで成り、
各コンカテマーが以下の式:
[rs2-SP-PR-X-TR-SP-rs1]n
(ここで、
rs1とrs2は共に制限部位を表し、SPは少なくとも2つの塩基のスペーサーを表し、Xは発現可能なヌクレオチド配列を表し、PRは、細胞内でXの発現を制御することができるプロモーターを表し、TRはターミネーターを表し、そして
n≧2であり、そして
細胞1の少なくとも1つのコンカテマーが細胞2のコンカテマーと異なる)
のヌクレオチド配列を含んで成る、ライブラリーに関する。
【0009】
本発明の態様に従うライブラリーは、任意な1つの細胞において、宿主細胞にとって異種な、高コピー数の発現カセットの独特で且つ、好ましくはランダムな組み合わせを含んで成ることもある。このランダムな発現カセットの組み合わせを介して、新規で且つ独特な遺伝子産物の組み合わせが各細胞において得られる。そのようなライブラリーは、非天然の遺伝子産物の組み合わせを介して創り出される新規な代謝経路の発見に特に適している。
【0010】
発現カセットの共通構造に起因して、これらは容易にコンカテマーに構築され、そして適切なベクターを介して宿主細胞内に挿入される。更に、当該カセットは、いずれかの時点で、好ましくは宿主細胞の天然遺伝子を切り出すこと無しに、rs1-rs2制限部位に特異的な制限酵素を用いて、宿主細胞から再び切り出されることがある。切り出しの後、発現カセットは、類似構造の他の発現カセットと混合され、そして再コンカテマー化(reconcatenate)され、そして別の組み合わせで別の宿主細胞内に挿入されることがある。
【0011】
発現カセットの共通構造の更なる利点とは、共通のrs1-rs2配列が、発現コンストラクトの標的のPCR増幅のタグとして使用されうることである。
【0012】
発現可能なヌクレオチド配列は、都合よくは、cDNAクローンが発現コンストラクト内に挿入されている、1又は複数の発現状態から得られるcDNAライブラリーに起因してもよい。cDNAライブラリー内のコンストラクトを含んで成るベクターからの発現コンストラクトの切り出しの後、多数のコンストラクトがコンカテマー化され、そして宿主細胞内に挿入されうる。
【0013】
本発明に従うそれぞれ独特な細胞は、1つの発現状態のみに由来する発現可能なヌクレオチド配列の選択を含んで成ることがあり、そしてその結果、この発現状態を代表する1つのライブラリーから構築されることがあり、あるいは、それは多数の発現状態に由来するカセットを含んで成ることもある。細胞内の複数のカセット間又はカセットとカセットの間のばらつきが、例えば、宿主細胞が細胞分裂を受ける際に、例えばいずれか1つのコンカテマーにおいて生じる反復配列のレベルを最小化することにより、乗換えの機会を最小化するために存在していてもよいのは、コンカテマーの染色体間又は染色体内組換えを得ることが本発明のこの態様の目的ではないからである。また、宿主細胞のエピトープとの組換えを得るためでもない。
【0014】
コンカテマーの中身は、任意の基準に従い混合されうる。従って、個々の細胞のライブラリー又はサブライブラリーは、共通の表現型を有する細胞、共通の起源に由来する発現カセットを含んで成る細胞、プロモーターと発現可能なヌクレオチドの特定の組み合わせを含んで成る細胞、を含んで成ることがある。ライブラリー又はサブライブラリーは更に、又は択一的に、異なるコンカテマーに加えて、1又は複数の共通のコンカテマーを含んで成る個々の細胞のコレクションを含んで成ることがあり、ここで、当該共通のコンカテマーは、共通の起源に由来する、又は共通の特性を有する遺伝子をコードする発現コンストラクトを表すことがある。
【0015】
別の観点によると、本発明は、個々の細胞コレクションのライブラリーであって、当該細胞が
細胞1、細胞2・・・・、細胞i(ここで、i≧2である)で表され、
各細胞が、以下の式:
[rs2-SP-PR-X-TR-SP-rs1]n
(ここで、
rs1とrs2は共に制限部位を表し、SPは少なくとも2つの塩基のスペーサーを表し、Xは発現可能なヌクレオチド配列を表し、
PRは、細胞内でXの発現を制御することができるプロモーターを表し、
TRはターミネーターを表し、そして
発現カセットのうちの少なくとも1つが、細胞にとって異種の発現可能なヌクレオチド配列を含んで成り、そして細胞1のカセットの少なくとも1つが細胞2のカセットと異なる)のヌクレオチド配列を含んで成る少なくとも2つの発現カセットを含んで成る、ライブラリーに関する。
【0016】
本発明のこの観点によると、細胞は、発現カセットに関して限定される。本発明のこの観点は、本発明の最初の観点と多数の利点を共有する。
【0017】
第三の観点によると、本発明は、個々の細胞コレクションを含んで成るライブラリーであって、当該細胞が
細胞1、細胞2・・・・、細胞i(ここで、i≧2である)で表され、
各細胞が、一般式:
[PR-X]
(ここで、Xは発現可能なヌクレオチド配列を表し、そしてPRは、Xと作用可能に関連している、独立して制御可能なプロモーターを表す)を有する異種のオリゴヌクレオチドのランダムな組み合わせを含んで成る、ライブラリーに関する。
【0018】
本発明のこの観点に従うライブラリーにおいて、遺伝子産物の混合は、発現可能なヌクレオチド配列の挿入時に行われうるだけでなく、1又は複数のプロモーターを誘導し、そして/あるいは抑制することによって、それぞれが発現可能なヌクレオチド配列のランダムな群の発現を制御する発現の間にも行われうる。従って、各細胞において、遺伝子の独特なサブセットが任意の時点で誘導され、そして/あるいは抑制されうる。
【0019】
この特徴は、新規な生化学的経路の発見において、別レベルの可能性の変動を追加する。独立なプロモーターのアップレギュレーション及びダウンレギュレーションによって、遺伝子のサブセットの任意な組み合わせが、プロモーターと発現可能なヌクレオチド配列とのランダムな組み合わせを有する細胞群において切り替わることがある。
【0020】
細胞群における異種遺伝子の挿入及び発現に基づく新規な生化学的経路の進化において、細胞が、致死性遺伝子産物の形成により死滅することは大いにありうる。各細胞が1つだけ致死性遺伝子を含んで成る場合、多数の異種遺伝子の同時発現は、任意の新規な生化学的経路に至らない。プロモーターと発現可能なヌクレオチド配列のランダムな組み合わせを有することによって、他の異種発現コンストラクトの発現に影響を及ぼすことなく、致死性又は亜致死性遺伝子をダウンレギュレーションすることも可能となりうる。
【0021】
所望の又は不所望の特性(例えば致死性又は亜致死性)に関与する発現可能なヌクレオチド配列を同定するために、プロモーターと、発現可能なヌクレオチド配列の同一のプールに由来する発現可能なヌクレオチド配列のランダムな組み合わせを介して得られる協調発現を使用することも可能である。本発明のこの観点に従う群において、各細胞は、原則として、多かれ少なかれ同一の、異種の発現可能なヌクレオチド配列を含んで成っていてもよく、細胞間の差異は、所定のプロモーターによって誘導/抑制される発現可能なヌクレオチド配列群にある。そのような細胞群において、所望又は不所望の特性は、異なるプロモーターの誘導/抑制に従い、異なる細胞において同定される。例示的な例として、細胞Aの特性がプロモーター1,2,及び3の誘導と関連していてもよく、そして細胞Bの特性がプロモーター5及び6の誘導と関連していてもよい。この情報により、これらの細胞内でこれらのプロモーターと関連している発現可能なヌクレオチド配列群に対して特性(又は複数の特性)をターゲッティングすることもできる。発現コンストラクトは、プロモーターについての知識を用いて単離されることがあり、そして同定された細胞に共通の1又は複数のヌクレオチド配列が同定されることがある。従って、一時に遺伝子のあるサブセットのみを切り換えることによって、どの遺伝子の組み合わせが特定の表現型を示すかを同定することができる。
【0022】
更なる観点によると、本発明は、上文で定義したような少なくとも1つのライブラリー又は少なくともサブライブラリーを含んで成るライブラリーに関する。新規な生化学的経路において、所望の特性を同定する機会を向上させるために、多数のライブラリー又はサブライブラリーを使用し、そして平行してこれらを進化させ、又はライブラリーを混合することも好ましいことがある。
【0023】
更なる観点によると、本発明は、個々の細胞コレクションを含んで成るライブラリーを生成する方法であって:
i)一般式:
[rs2-SP-PR-X-TR-SP-rs1]n
(ここで、rs1とrs2は共に制限部位を表し、SPは少なくとも2つの塩基のスペーサーを表し、Xは発現可能なヌクレオチド配列を表し、PRは、細胞内でXの発現を制御することができるプロモーターを表し、TRはターミネーターを表す)を有するヌクレオチドカセット群を提供し、そして
ii)当該カセットのランダムなサブセットを少なくとも2つのカセットを含んで成るコンカテマーに構築し、
iii)コンカテマーをベクター内にライゲーションし、
iv)ベクターを宿主細胞内に導入し、
v)第一細胞の少なくとも1つのコンカテマーが、第二細胞のカセットのランダムなサブセットと異なるカセットのランダムなサブセットを含んで成るように、少なくとも2つの細胞を混合する、
段階を含んで成る方法、に関する。
【0024】
コンカテマーの構築は、発現カセットの共通構造によって容易となる。rs1-rs2制限部位が既定のヌクレオチド配列を有する粘着末端を生む場合、コンカテマーの構築は実施するのが特に容易となる。
【0025】
カセットのランダム化は、任意の段階、すなわち、エントリーライブラリー(カセットを保存し、そして増幅するためのもの)が生成する前段階の間又はベクター内への挿入の間及び/又は宿主細胞の形質転換の間に実施されうる。好ましくは、ランダム化はコンカテマー化段階の間に実施される。
【0026】
別の観点によると、本発明は、個々の細胞コレクションを含んで成るライブラリーを生成する方法であって、
i) 5’→3’方向に、一般式
[RS1-RS2-SP-PR-CS-TR-SP-RS2'-RS1']
(ここで、RS1及びRS1'は第一制限部位を表し、RS2及びRS2'はRS1及びRS1'と異なる別の制限部位を表し、SPは少なくとも2つの塩基のスペーサーを表し、PRは、細胞内で機能しうるプロモーターを表し、CSはクローニング部位を表し、そしてTRはターミネーターを表す)のヌクレオチド配列を含んで成るカセットを含んで成る一次ベクターのクローニング部位内に少なくとも2つの発現可能なヌクレオチド配列を挿入し、
ii)RS1, RS1’及びRS2に特異的な少なくとも1つの制限酵素を用いて一次ベクターを切り出し、一般式[rs2-SP-PR-X-TR-SP-rs1](ここで、rs1-rs2はともに機能的制限部位を表し、そしてXは発現可能なヌクレオチド配列を表す)を有する発現カセットを獲得し、
iii)当該発現カセットをベクター内に挿入し、
iv)当該発現カセットを少なくとも2つの宿主細胞内に伝達し、そして
v)異なるカセットを有する少なくとも2つの宿主細胞を混合する、
段階を含んで成る方法、に関する。
【0027】
個々の細胞のライブラリーを生成するためのこの方法によると、もととなる発現可能なヌクレオチド配列は、クローニング部位及びクローニングカセットを含んで成る一次ベクター内に最初にライゲーションされうる。この一次ベクターは、cDNAライブラリー中で維持され、そして発現カセットの切り出し及び宿主細胞内への挿入のために再単離されうる。この方法を介して、発現可能なヌクレオチド配列は、ベクター内の既定のクローニング部位内にカセットをクローニングし、そしてその後で宿主細胞から選択的にカセットを除去することを可能にする共通構造が与えられる。
【0028】
最後の観点によると、本発明は、個々の細胞コレクションを含んで成るライブラリーを生成する方法であって、
i)少なくとも1つの発現可能なヌクレオチド配列を提供し、
ii)少なくとも1つの発現可能なヌクレオチド配列を、宿主細胞内で機能することができる制御可能なプロモーターとライゲーションして、第一の発現コンストラクトを獲得し、
iii)少なくとも1つの発現可能なヌクレオチド配列を、宿主細胞内で機能することができる別の独立して制御可能なプロモーターとライゲーションして、第二の発現コンストラクトを獲得し、
iv)段階ii)及び段階iii)のコンストラクトを少なくとも2つの宿主細胞内に挿入し、
v)独立して制御可能なプロモーターと発現可能なヌクレオチド配列の異なる組み合わせを有する少なくとも2つの細胞を混合する、
段階を含んで成る方法、に関する。
【0029】
本発明の別の観点によると、少なくとも制御可能なプロモーターの操作可能な支配下にある発現可能なヌクレオチド配列を含んで成る個々の細胞のライブラリーの調製のための簡便な方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、発現状態から、エントリーベクター(本発明に従うヌクレオチドライブラリー)内の発現可能なヌクレオチド配列の組込みへと導く段階のフローチャートを示す。
【図2a】図2は、発現可能なヌクレオチド配列を含んで成るエントリーライブラリーから、適切な宿主細胞に形質転換させる進化可能な人工染色体(EVAC)へと導く段階のフローチャートを示す。図2aは、コンカテマー化、サイズ選択及び人工染色体ベクターへの挿入を含む、EVACを産生するための1つの経路を示す。
【図2b】図2bは、EVACを得るための、コンカテマー化及びベクターのライゲーションのための一段階の手順を示す。
【図3】図3は、モデルエントリーベクターを示す。MCSは、発現可能なヌクレオチド配列を挿入するためのマルチクローニング部位である。Amp Rは、アンピシリン耐性遺伝子である。Col Eは、E.コリの複製起点である。R1及びR2は、制限酵素認識部位である。
【図4】図4は、本発明に従うエントリーベクターの例、EVE4を示す。MET25はプロモーターであり、ADH1はターミネーターであり、f1は糸状ファージ、例えばM13の複製起点である。スペーサー1及びスペーサー2は、マルチクローニング部位MCS由来のいくつかのヌクレオチドによって構成され、Srfl及びAsclは制限酵素認識部位である。他の略語については図3を参照のこと。当該ベクターの配列を配列番号1に記す。
【図5】図5は、本発明に従うエントリーベクターの例、EVE5を示す。CUP1はプロモーターであり、ADH1はターミネーターであり、f1は糸状ファージ、例えばM13の複製起点である。スペーサー1及びスペーサー2は、マルチクローニング部位MCS由来のいくつかのヌクレオチドによって構成され、Srfl及びAsclは制限酵素認識部位である。他の略語については図3を参照のこと。当該ベクターの配列を配列番号2に記す。
【図6】図6は、本発明に従うエントリーベクターの例、EVE8を示す。CUP1はプロモーターであり、ADH1はターミネーターであり、f1は糸状ファージ、例えばM13の複製起点である。スペーサー3は、ラムダファージのDNAの550bpフラグメントである。スペーサー4は、酵母由来のARS1配列である。Srfl及びAsclは制限酵素認識部位である。他の略語については図3を参照のこと。当該ベクターの配列を配列番号3に記す。
【図7】図7は、本発明に従うコンカテマーがクローニングされ得る進化可能な人工染色体(EVAC)のためのアームを提供するためのベクター(pYAC4-Ascl)を示す。TRP1, URA3, 及びHIS3は酵母の独立栄養性マーカー遺伝子であり、そしてAmp RはE.コリの独立栄養性マーカー遺伝子である。CEN4はセントロメアであり、そしてTELはテロメアである。ARS1及びPMB1は、それぞれ酵母及びE.コリ内での複製を可能にさせる。BamH I及びAsc Iは制限酵素認識部位である。当該ベクターのヌクレオチド配列を配列番号4に記す。
【図8】図8は、一般的なコンカテマー化のストラテジーを示す。左側には、制限部位、スペーサー、プロモーター、発現可能なヌクレオチド配列及びターミネーターを有する環状エントリーベクターを示す。これらは切り出されてランダムにライゲーションされる。
【表1】

レジェンド:レーンM:分子量マーカー、Pst1で消化したλファージDNA。レーン1〜9、コンカテマー化反応液。フラグメントとyac-アームの比率(F/Y)は表の通りである。
【図9a】図9aは、コンカテマー化と進化可能な人工染色体の合成の統合、及びコンカテマーのサイズが、実施例7に記載のようにベクターアームと発現カセットの比率を調整することによってどのように調整されうるかを例示する。
【図9b】図9bは、コンカテマー化と進化可能な人工染色体の合成の統合、及びコンカテマーのサイズが、実施例7に記載のようにベクターアームと発現カセットの比率を調整することによってどのように調整されうるかを例示する。
【図10】4つの異なる条件下で示したEVACで形質転換した集団のライブラリー。色の付いた表現型は、MET25及び/又はCapIプロモーターの誘導によって容易に検出されうる。
【図11】EVACゲルレジェンド:EVAC含有クローンのPFGE:レーン、a:酵母DNAのPFGEマーカー(菌株YNN295)、b:ラムダラダー、c:非形質転換宿主酵母、1〜9:EVAC含有クローン。EVACのサイズは1400〜1600kbに及ぶ。レーン2は、それぞれ1500kb未満及び550kb未満のサイズの2つのEVACを含むクローンを示す。550kbのEVACは、564kbの酵母染色体と一緒に移動し、そしてレーン中のほかのバンドと比較して、564kbのバンドの強度の増大をもたらす。矢印はEVACのバンドを示す。
【0031】
定義
特に断らない限り、本明細書で使用する全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する業界の当業者によって普通に理解されるものと同一の意味を有する。
【0032】
本明細書で使用する場合、選択的条件下での増殖は、生存についての選択マーカーの発現を必要とする条件下での細胞の増殖を意味する。
【0033】
制御可能なプロモーターとは、外部からの操作、例えば細胞の環境に由来する化合物の添加又は除去、生理学的条件の変化、等を介して制御されうるプロモーターを意味する。
【0034】
独立して制御可能なプロモーターは、本発明に従う他のプロモーターの誘導/抑制に実質的に影響を及ぼすことなしに、誘導/抑制されうる。独立して制御可能なプロモーターの誘導/抑制は、宿主細胞内の天然のプロモーターに影響を及ぼすことがある。
【0035】
協調した発現とは、同一の外部刺激によって誘導され、又は抑制される遺伝子のサブセットの発現を言及する。
【0036】
オリゴヌクレオチド
約2〜10000個の核酸を有する核酸の任意なフラグメント
【0037】
制限部位
本発明の目的のために、略語RSn(n=1,2,3等)は、制限部位を含んで成るヌクレオチド配列を表すために使用される。制限部位は、認識配列及び開裂部位によって定義される。開裂部位は、認識配列の内側又は外側に位置していてもよい。略語「rs1」-「rs2」は、開裂後の制限部位の2つの末端を表すために使用される。配列「rs1-rs2」は、一緒に完全な制限部位を表す。
【0038】
制限部位の開裂部位は、平滑末端又は粘着末端のいずれかで二本鎖ポリヌクレオチド配列に残りうる。その結果、「rs1」又は「rs2」は、平滑末端又は粘着末端のいずれかを表すことがある。
【0039】
本発明を通じて使用される表記法において、
RS1-RS2-SP-PR-X-TR-SP-RS2-RS1のような式は、個々の配列が指定された順序で続くことを意味すると解されるべきである。このことは、例えばRS2の認識配列の一部がスペーサー配列と重複することを排除しないが、RS1及びRS1'を除く全ての要素が機能的であり、且つ開裂及び再構築の後に機能的なままであることを厳密に必要とする。更に、当該式は、追加の配列が列記した要素間に挿入される可能性を排除しない。例えば、イントロンが、本発明の後文に記載のように挿入されることがあり、そして、更なるスペーサー配列がRS1とRS2の間、及びTRとRS2の間に挿入されることがある。重要なのは、当該配列が機能的なままであることである。
【0040】
更に、制限部位のサイズ及び/又はその中の特定の塩基に対して言及する場合、認識配列中の塩基のみを言及する。
【0041】
発現状態
発現状態は、任意なある時間の、任意な個々の生物の任意な特定の組織における状態である。遺伝子発現の変化をもたらす条件の任意な変化は、別の発現状態をもたらす。異なる発現状態が、異なる種の異なる個体において見られるが、それらは同一の種又は個体の異なる器官においても、そして同一の種又は個体の異なる組織型においても見ることができる。異なる発現状態は、任意なある種又は個体の同一の器官又は組織において、当限定しないが年齢の変化、疾患、感染、乾燥、湿気、塩分、生体異物に対する曝露、生理学的エフェクター、温度、気圧、pH、光、気体の環境、化学物質、例えば毒素を含んで成る、異なる環境条件に該組織又は器官を曝露することによって得ることもできる。
【0042】
人工染色体
本明細書で使用する場合、人工染色体(AC)は、内因性の染色体と一緒に安定的に複製し、そして分離することができる1個のDNAである。真核生物の場合、人工染色体はまた、機能的なセントロメア、機能的なテロメア、及び少なくとも1つの自己複製配列を含んで成る、十分な長さのヌクレオチドとしても記載されることがある。それは、その中に挿入される異種遺伝子を収納し、そして発現する能力を有する。それは、活動的な哺乳類のセントロメアを含む場合、哺乳類人工染色体(MAC)と言及される。植物人工染色体及び昆虫人工染色体(BUGAC)は、それぞれ植物及び昆虫のセントロメアを含む染色体を言及する。ヒト人工染色体(HAC)は、ヒトセントロメアを含む染色体を言及し、AVACは、鳥類人工染色体を言及する。酵母人工染色体(YAC)は、酵母において機能的な染色体、例えば酵母セントロメアを含む染色体を言及する。
【0043】
本明細書で使用する場合、染色体の安定的な維持は、少なくとも約85%、好ましくは90%、更に好ましくは95%の細胞が染色体を保持する場合に起こっている。安定性は、選択的な薬剤の存在下で測定される。好ましくは、これらの染色体は、選択的な薬剤無しでも維持される。安定な染色体はまた、染色体内の再構築も染色体間の再構築も受けずに、細胞培養の間それらの構造を保持する。
【0044】
本発明の詳細な説明
本発明は、天然由来の多様な遺伝子資源を捕獲し、そして維持するのに有用で、且つ捕獲した遺伝子資源を発現させ、そしてそれらを多様な化学構造を生み出すために相互作用させるのに有用な個々の細胞のライブラリーに関する。本発明はまた、所望な特性及び化合物をスクリーニングするのを容易にする。
【0045】
更に具体的には、本発明は、異種の発現可能なヌクレオチド配列を含んで成る個々の細胞のライブラリーを構築し、そしてスクリーニングする方法を提供する。これらのライブラリーは、多数の発現状態由来の、そして好ましくは更に多数の種由来の発現可能なヌクレオチド配列のランダムな取り合わせを含んで成り、これらの産物は、発現宿主内で互いに相互作用させられ、そしていくつかの場合には新規な生化学的経路の形成及び/又は新規な化合物のクラスの産生をもたらす。更に、本発明のライブラリーは、他の方法では到達できない分子多様性の起源への効率的な到達を提供する。
【0046】
新規な生化学的経路は、限定しないが、化合物の構造的修飾、化合物への化学基の追加、又は化合物の分解、を含む過程を実施しうる。
【0047】
新規な化合物のクラスは、限定しないが、代謝物、二次代謝物、酵素、又は生物の構造的成分を含むことがある。注目の化合物は、1又は複数の潜在的な治療特性を有することがあり、これらには、限定しないが、受容体のクラス又は特定の受容体に対するアゴニスト又はアンタゴニスト、抗生物質、抗ウイルス剤、抗腫瘍剤、薬理学的又は免疫調節性の特性、あるいは他の商業的に価値のある化学物質、例えば色素、が含まれる。
【0048】
個々の細胞のライブラリーは、多数のドナー生物種に由来する、ランダムに構築され、あるいは更にコンカテマー化した発現可能なヌクレオチド配列から調製された発現コンストラクトを含んで成るライブラリーであり、ここで、発現可能なヌクレオチド配列は、適切な宿主生物内で発現可能なヌクレオチド配列の発現を進める制御領域と、作用可能に関連している。使用する宿主生物は、ドナー生物の機能的な遺伝子産物を産生することができる。宿主生物内での発現時に、ドナー生物の遺伝子産物は、新規な生化学的経路を形成するために相互作用することがある。
【0049】
一般的に、本発明の方法は、1又は複数のドナー生物に由来する発現可能なヌクレオチド配列を提供し、前記発現可能なヌクレオチド配列を、前記発現可能なヌクレオチド配列が所定の宿主生物内で転写されうる状況へと操作し、そして、ドナー生物の1又は複数の発現可能なヌクレオチド配列が宿主生物内に伝達され、そして発現するように、前記発現可能なヌクレオチド配列を、クローニングベクター又は発現ベクターを介して宿主生物内に導入すること、を含んで成る。ドナーの発現可能なヌクレオチド配列を含む、そのような宿主生物は、ライブラリーを形成するために集められる。
【0050】
伝達される遺伝子材料は、典型的に、発現可能なヌクレオチド配列のランダムな取り合わせを含んで成り、これらの発現は、1又は、好ましくは複数の機能的な制御領域によって進められ、そして制御される。発現コンストラクト又はベクターは、有利には、これらの制御領域を提供する。ドナー生物の発現可能なヌクレオチド配列は、宿主生物内で転写され、翻訳され、そしてプロセシングされ、順次注目の代謝物を産生する機能的タンパク質を産生する。
【0051】
一度所望の活性又は化合物が同定されると、下流の薬物開発の努力、例えば菌株の改良及び方法の発展が非常に容易となる。ポジティブクローンは、更なる研究又は使用にとって十分な量の所望な化合物を産生する標準的な条件下で培養されうる。生化学的経路の発現可能なヌクレオチド配列は、配列決定、突然変異導入、発現、そして更には複数回のスクリーニングのためにすぐに利用できる。クローニングした生化学的経路は、所望の化合物の過剰産生のための伝統的で、そして/あるいは遺伝学的な操作にとってすぐに受け入れられる。
【0052】
更に、共通構造を有する発現カセットを含んで成る態様によると、複数のポジティブな細胞が同定されることがあり、それらの発現カセットは共通の制限部位、好ましくはレア(rare)制限部位の存在により切り出されうる。切り出された発現カセットは、選択された発現カセットの新規組み合わせを生成するために、ランダムに又は的をしぼって再構築されうる。
【0053】
更に、ドナー生物内で、他の方法ではサイレントであるか、又は検出できない生化学的経路は、宿主生物内でのそれらの機能的再構築により、更に容易に発見されうる。宿主生物の生化学的特性が周知であるので、ドナーの遺伝子材料の発現の結果としての多くの偏差が容易に認識されうる。新規化合物は、所定の一連の環境的条件下で、コントロールの宿主生物によって産生されることが知られている化合物のプロファイルに対して、ドナーの遺伝子材料を含む宿主生物の抽出物を比較することによって検出されうる。最低レベルの所望な活性又は化合物であっても、宿主生物の宿主生化学的及び細胞的な背景がよく特徴付けられている場合、検出されうる。
【0054】
1つの態様において、当該方法は、天然において十分量で回収されえず、又は研究室で培養されえないドナー生物に適用されうる。そのような生物由来の遺伝子材料、例えばcDNAを宿主生物内に伝達することによって、生物の代謝経路が再生されることがあり、そしてそれらの産物は、任意の所望な特性について効率的に試験されることがある。従って、これらの生物の遺伝学的多様性が捕獲され、そして維持され、そして他の生物の遺伝学的多様性と混合される。
【0055】
本発明の別の態様において、1又は多数のドナー生物由来の発現可能なヌクレオチド配列が、宿主生物内への導入前にランダムにコンカテマー化されているライブラリーが構築されうる。このように、各宿主生物は、ライブラリー内で、種々のドナーの経路又は生物に由来する発現可能なヌクレオチド配列の独特でランダムな組み合わせを個々に含むことがある。大部分につき、ライブラリー中のそのような発現可能なヌクレオチド配列の組み合わせは天然には発生しない。発現により、種々のドナー経路又は生物の機能的遺伝子産物が、互いに、そして個々の宿主生物内の遺伝子産物の天然の宿主成分と相互作用し、新規代謝経路及び/又は新規化合物の産生をもたらす生化学的反応の組み合わせを生成する。まとめると、ライブラリー内にあるドナー生物の遺伝学的資源は、個々のドナー生物において見ることができない多様な化合物に翻訳される。
【0056】
本発明の別の観点において、当該方法は、宿主生物の多数の界の経路の生成に適用されうる。この例は、カロテノイド経路由来の遺伝子(真菌、藻類及び/又は植物から得られる)並びにビタミンAの合成に由来する遺伝子(動物から得られる)又は視覚色素の産生をコードする遺伝子(昆虫から得られる)の導入であろう。生化学的経路の因子の、界を超えてのそのような標的とした選択及び組み合わせによって、新規代謝物を得る可能性が更に増大することがある。
【0057】
本発明の別の観点において、ドナー生物の種は、それらの生物学的特性に基づいて選択されうる。そのような生物学的特性は、限定しないが、ある栄養物を利用し、極限の条件下で生存し、化学的構造を多様化する能力、及びある型の化学結合の形成を破壊し、そして触媒する能力を含むことがある。ドナー生物の発現可能なヌクレオチド配列が宿主生物内で発現する場合、ドナー遺伝子産物は、宿主の代謝経路を構成する宿主の遺伝子産物の機能を修飾し、そして/あるいは置換し、それによって新規なハイブリッドの経路を生成しうる。新規の活性及び/又は化合物は、ドナー及び宿主由来の化合物を含んで成るハイブリッド経路によって生成することもある。ドナー遺伝子産物によって修飾される標的の代謝経路は、宿主生物にとって天然であってもよい。あるいは、標的の代謝経路は、内因性の、あるいは遺伝子発現コンストラクトの構築前に又はそれと同時に全ての宿主生物内で遺伝学的に操作されている異種遺伝子産物によって提供されることがある。このように、本発明はまた、遺伝子発現ライブラリーを構築し、そしてスクリーニングすることを構築し、この中で、ドナー生物の代謝経路をコードするDNAフラグメントがクローニングされ、そして標的の代謝経路を含む宿主生物内で同時発現する。
【0058】
本発明の別の態様において、宿主生物は、注目の化合物を培養液に分泌し、結果として宿主生物に対する当該化合物の毒性を低下させる活性薬物の流出系を補完することがある。吸収材料、例えば中性樹脂は、宿主生物の培養の間に使用されることがあり、それによって、宿主生物によって産生され、そして分泌された代謝物は隔離され、その結果代謝物の回収が容易となることがある。
【0059】
多くの点で、当該ライブラリーは、新規小分子の開発、例えば臨床試験までの薬物の開発、のさまざまな段階に対して重大な簡便性及び時間的優位性を提供する。本発明のライブラリーは、例えば確立済みの、高処理量スクリーニングのためのマルチウェルフットプリントフォーマット及びロボットと互換性がある。本発明の宿主生物は、遺伝学的操作及び/又は方法の開発に一般的に使用される生物である。本発明は、そのような宿主生物又は産生宿主が、それらの生物学的特性及び維持に必要なものの観点においてよく特徴付けられているという事実を利用する。遺伝子材料をドナー生物から他の更に精通している発現系に伝達することによって、ドナー生物にとって困難な培養条件の必要性が低下する。このように、本発明の系において発見される任意なリード化合物の生物学的活性、薬理学的及び毒物学的特性が、より効率的に研究され、そして最適化されうる。
【0060】
ポジティブクローンにおいて生成する新規代謝経路は、分子生物学の標準的技術によって描写されうる。当該リード化合物は、十分量のリード化合物がその後の解析及び開発のために単離されうるように、標準的な、又は実験的に決定された培養条件のもとで薬物産生宿主生物のクローンを培養することによって合成されうる。既に高純度の製造プロトコールが存在しており、例えば、適正製造基準(Good Manufacturing Practice(GMP))は、これらの標準的な産業用宿主生物のいくつかについて確立されている。天然産物の供給源をスクリーニングする従来の方法とは異なり、スクリーニング及び産生技術を、それぞれの潜在的に薬物を産生する生物の特定の要求に適合させるための努力はあまり必要とされない。
【0061】
本発明はまた、本発明の方法に従い、特定の一式のドナー生物及び/又は細胞型の遺伝子材料から作られるライブラリーを提供する。一式の、特に混合試料の中の全ての生物又は細胞型が、当該ライブラリーの調製を可能にするために個々に同定され、又は特徴付けられる必要はない。
【0062】
本発明の任意なライブラリーは、増幅され、複製され、そして保存されることがある。増幅は、好ましくは、発現可能なヌクレオチド配列の多数のクローンが生成するような、最初の宿主生物、例えばE.コリに、発現可能なヌクレオチド配列を含むエントリーベクターを導入することによって実施される。複製は、ライブラリー中の個々のクローンの選別及び増殖を言及する。本発明のライブラリーは、宿主生物に適した、当業界で知られた任意な技術によって保存され、そして回収されうる。このように、本発明のライブラリーは、薬物発見プログラム又は他の発見プログラムにおいて繰り返し利用されうる、ドナー生物の遺伝子資源を捕獲し、そして保存する有効手段である。
【0063】
コンカテマー構築物
コンカテマーは、日常的に、cDNAライブラリーから構築されうる。典型的なコンカテマー生成段階は、例えば、(1つの試料から)1,000個の遺伝子=cDNA発現コンストラクトをプールし、そして、1つのコンカテマーあたり平均25個の遺伝子の、1,000個のコンカテマーを生成するためにこれを使用する。この手段は、各遺伝子を平均して、プール内に25個の異なるコンカテマーがある。ソースcDNAライブラリーあたり、1つのそのようなコンカテマー「ソースプール(Source pool)」が生成することがある。当該ソースプールは、コンカテマーの保存に適している。
【0064】
しかしながら、本発明は、ソースプール内の任意な特定の数の遺伝子に限定されない。約500個の遺伝子を有するコンカテマーが容易に生成し、そしてこの数がまた更に増大しうることも考慮される。
【0065】
実際の数は、組み込まれうる異なるプロモーター及び/又はスペーサー及び/又はターミネーターの数に依存し、すなわち、発現状態が1000個の異なるcDNAを与え、そしてこれらが2個のプロモーター及び/又はスペーサー及び/又はターミネーターと組み合されうる場合、当該数は比例して、1000個のcDNA=2000個の発現コンストラクトへと増大し:その結果、各コンストラクトが、25個のコンストラクトの25個のコンカテマーに含まれる場合、ソースプールのサイズは2000である。
【0066】
あるソースプールは、事実、種に基づくというよりも機能について生成されうる。そのようなソースプールは、例えば、特定の特性、例えばカロテノイド活性、医薬学的な特性、化学分類、等について知られているソースに基づいていることがある。
【0067】
宿主ライブラリー構築物
ソースプールは、宿主ライブラリーを生成させ、あるいは多数のコンカテマーを含む各宿主を有するライブラリーをスクリーニングするために、混合され、そして使用される。どのソースプールを混合するかの選択において、所定のライブラリーのソース、宿主の経路、特定のプログラムの所望なフォーカス及び特定のスクリーニングにおける所定のライブラリーの成功率の知識を使用することもできる。
【0068】
各ソースライブリーが1,000個の異なる遺伝子から構成され、そしてそれぞれが25個の遺伝子を含むEVACへと構築される場合、前記遺伝子を含まないEVACのうちの任意な1つの所定の遺伝子につき、それらの98.8%がたった1つのコピーを含み、1.2%が2つのコピーを含み、そして0.01%が3又はそれ以上のコピーを含むだろう。このように、全ての実践的な目的のために、各EVACは、この状況において、25個の異なる遺伝子から構成されるとみなされることがある。万が一細胞群がそのようなソースライブラリーから作り出されれば、それぞれ異なる遺伝子(異なるソースに由来する遺伝子間の重複はないと仮定する)は、4,000個の遺伝子あたり1個のコピーの頻度で表される。
【0069】
各細胞が、4個のソースライブラリーのプールから生成した、4個のEVACを含む細胞群において、ソースライブラリーのいずれか1つに関して、統計的に:
・0.4%の細胞がこのソース由来のそれらのEVACの4つ全てを有し
・4.3%の細胞がこのソース由来の4つのEVACうちの3つを有し
・25.5%の細胞がこのソース由来の2つのEVACを含み、
・38.3%の細胞がこのソース由来のEVACを1つだけ有し
・31.6%の細胞がこのソース由来のEVACを全く含まない。
これらの統計から、任意な2つの遺伝子の組み合わせの可能性が、標準的な統計ツールを用いて算出されうる。
【0070】
更に集中した進化のアプローチ、例えば新規カロテノイド又は他の既知の構造的クラス又は代謝物の経路の進化のために、EVACは、代謝経路の異なる段階を導く、酵素、及びこれらの酵素の相同体又は機能的類似体がエンリッチメントされていることがある。そのような経路は、所定の経路の本質的に全ての段階が、細胞内において、少なくとも転写レベルで表される、優位な可能性へと導くことがある。以下のように、10段階の経路が必要とされ、そして50個の遺伝子のEVACが、各段階に重要なものと相同の又は類似の酵素をコードする遺伝子からランダムに構成される場合、任意な所定の段階が85%超のEVACにおいて3〜9倍(包括的)にコードされ、そしてEVACのうちのわずかに0.52%において完全に失われている。このように、各細胞が、4個の酵素をコードする遺伝子のプールから構成された、それぞれ50個の遺伝子の4つのEVACを含む108個のメンバーの細胞群が、潜在的な経路の全ての段階が多くの場合複数倍に表される多数の細胞を含むと理解できる。
【0071】
サブライブラリー
最初のスクリーニングは、宿主系を、新規活性がコンカテマーによって誘導されているか否か、及び誘導されている活性の型、に基づいて「コレクション」、サブライブラリーに分類するために設計される。従って、最初のスクリーニングは当然高処理量であるべきであり、そしてそれらの選択基準において任意であるべきである。
【0072】
多くのそのようなスクリーニングが考えられうる。そのようなスクリーニングの例示的な例は、限定しないが、
・新規なスペクトル特性
・誘導されたチトクロームオキシダーゼ活性
・変化したサイズ、形態、粘性又は接着性の特性、あるいはそれらの欠損、
・それらが通常増殖し得ない基質上での増殖能
・亜致死性基質上での増殖能
・正常な必須要求性無しでの増殖能
・1又は複数の阻害剤を含んで成る培地上での増殖能
・変化した生理学的条件、例えば温度、湿度、浸透圧、ある波長の光を含む電磁放射線、のもとでの増殖能
・ある力の磁場のもとでの増殖能
・細胞からの分泌又はその欠損
・酵素の阻害又はその阻害の妨害
・受容体の活性
・受容体に対する活性分子の結合の妨害
・核酸又はペプチド配列に対する小分子又はタンパク質の結合の阻害又は促進
・転写又は翻訳又は翻訳後プロセシングの阻害又は促進
・細胞又は細胞小器官内での分子の輸送又は局在の変化
・DNA含量又は細胞の形態の変化
・選択的な単離(例えば、当業者にとって利用可能な全てのクロマトグラフィーの原理)を可能にする、ある特性を有する小分子の産生
・ある分光学的特性(可視光、マイクロ波、IR, UV, X線、等を含むことが広く定義される)を有する小分子の産生
・細胞の形態の変化、例えば細胞分化の妨害又は促進
・アポトーシス経路の誘導、
を含むことがある。
【0073】
(10,000個の宿主系の)各宿主ライブラリーにつき、1〜2%の宿主系(その様な各基準で最も極端)が、サブライブラリーにグループ化されうる。これらの最初のソーティングスクリーニングは、通常、1コンカテマーあたり発現する遺伝子の数を最大化する条件下で実施される。
【0074】
ソーティングスクリーニングの生成物は、1又は複数の広範な基準で特徴付けられる宿主系であることがある。これらはサブライブラリーとして分類されることがある。
【0075】
サブライブラリーは、サブライブラリー内の細胞の共通の表現型に関して定義されることがある。しかし、サブライブラリーはまた、少なくとも1つの同一の発現可能なDNA配列につき、異なるプロモーターを有する。個々の細胞のコレクションとして、すなわち、特定の発現可能なヌクレオチド配列に関して定義されることがある。更に、サブライブラリーは、カセットに関して、そして/あるいは宿主細胞に含まれるカセットのコンカテマーで説明されることもある。従って、サブライブラリーは、各細胞が少なくとも1つのコンカテマーのカセット内に同一の発現可能なDNA配列を有する、個々の細胞のコレクションとして定義されうる。サブライブラリーはまた、少なくとも1つの同一の発現可能なDNA配列につき、更に好ましくは実質的に全て同一の発現可能なヌクレオチド配列につき、異なるプロモーターを有する個々の細胞のコレクションとしてみなされることもある。
【0076】
所定のライブラリーの共通の表現型は、異例な基質上での増殖能、亜致死性濃度の毒上での増殖能、高温での増殖能、低温での増殖能、上昇した浸透圧での増殖能、低浸透圧での増殖能、高塩濃度での増殖能、低塩濃度での増殖能、上昇した金属濃度での増殖能、高CO2濃度での増殖能、低CO2濃度での増殖能、高O2濃度での増殖能、低O2濃度での増殖能、特別な分光特性を提供する能力、特別な色を提供する能力、逸脱しているGST活性を有する能力、逸脱しているP450活性を有する能力、を含んで成る群から選択される少なくとも1つの表現型であることがある。
【0077】
ライブラリーのサイズ
細胞のライブラリーは、原則として、後述する特徴の1つに関して異なる2つの細胞のみを含んで成ることがある。しかしながら、通常ライブラリーは少なくとも20個の個々の細胞、例えば少なくとも50個の個々の細胞を含んで成る。更に好ましくは、ライブラリーは、少なくとも100個の個々の細胞、例えば少なくとも1,000個の細胞、例えば少なくとも10,000個の細胞、例えば100,000個の細胞、例えば少なくとも1,000,000個の細胞、例えば1,000,000,000個の細胞を含んで成る。
【0078】
サブライブラリーにおける細胞の数は、選択基準又は使用する基準に依存する。最初、サブライブラリーは典型的にライブラリーよりも少ない細胞を含んで成るが、サブライブラリーの細胞は、変動の増大を生むために、組み合わされ、又は有性繁殖にかけられることがある。
【0079】
細胞間の変動
ライブラリー内の細胞間の差異は、発現カセット間、コンカテマー間の差異、又は発現可能なヌクレオチド配列の発現を制御するプロモーター間の差異に関して定義されうる。
【0080】
このように、本発明に従うライブラリーにおいて、各細胞のコンカテマーは、少なくとも第一カセット及び第二カセットを含んで成ることがあり、前記第一カセットは前記第二カセットと異なる。更に好ましくは、所定の細胞内のコンカテマーの実質的に全てのカセットが異なる。
【0081】
異なる細胞内のコンカテマー間の差異に反映されうる、発現カセット間の差異は、スペーサー配列及び/又はプロモーター、及び/又は発現可能なヌクレオチド配列及び/又はイントロン及び/又はターミネーター配列の差異であってもよい。
【0082】
差異が発現可能なヌクレオチド配列に存する場合、これらの異なる発現可能なヌクレオチド配列は、同一の又は異なる発現状態に由来することがある。異なる発現状態は、少なくとも2つの組織、例えば少なくとも器官、例えば少なくとも2つの種、例えば少なくとも2つの属を表すことがある。異なる種は、少なくとも2つの門(phylum)、例えば少なくとも2つの異なる綱、例えば少なくとも2つの異なる門(division)、更に好ましくは少なくとも2つの異なる亜界、例えば少なくとも2つの異なる界に由来する。この方法においては、極度に幅広い遺伝子組み合わせのアレイを表す細胞及びライブラリーが得られる。
【0083】
好ましくはライブラリー内の実質的に全ての細胞が異なる。このことは、発現可能なヌクレオチド配列の利用可能な組み合わせの数を増大させる。更なる変動は、ある接合型の細胞のあるライブラリーと別の接合型の細胞の別のライブラリーを有することによって得ることができる。酵母の場合、これはMata細胞のあるライブラリー及びMata細胞の別のライブラリーを有することによって得ることができる。これらはその後、更なる変動を得るために有性交配されうる。
【0084】
本発明の特に好ましい態様によると、ライブラリーは、二次元配列のプロモーターと異種の発現可能なヌクレオチド配列から作られるプロモーターと発現可能なヌクレオチド配列のランダムな組み合わせを含んで成る。それによって、基本的に、異なるプロモーターの支配下にあるライブラリー内で表される所定のプールから全ての発現可能なヌクレオチド配列を得ることが可能である。
【0085】
各細胞が更に、プロモーターと異種の発現可能なヌクレオチド配列の同一のプールから個々に得られるプロモーターと発現可能なヌクレオチド配列のランダムな組み合わせを含んで成る場合、プロモーターと発現可能なヌクレオチド配列の完全にランダムな組み合わせが全ての細胞に挿入される。それぞれの発現可能なヌクレオチド配列は、異なるプロモーターの支配下にあり、且つ多くの他の発現可能なヌクレオチド配列との多数の組み合わせの、ライブラリーにおいて見られる。
【0086】
各ライブラリーは、少なくとも2個の独立して制御可能なプロモーターを含んで成ることがあり、例えば少なくとも3個、例えば少なくとも4個、例えば少なくとも5個、例えば少なくとも6個、例えば少なくとも7個、例えば少なくとも9個、例えば少なくとも10個、例えば少なくとも15個、例えば少なくとも25個、例えば少なくとも50個、例えば少なくとも75個、例えば少なくとも100個である。ライブラリー内のより多数のプロモーター、より多数の遺伝子のサブセットは、任意な1つの細胞内で、そして任意な1つのライブラリー内で構成されることもある。好ましくはプロモーターの制御は、互いに相互作用するべきではない。相互作用がないことは、実践的な環境下で使用されうるプロモーターの数に上限を設定する。しかしながら、新規のプロモーターが発見され、そして、将来的に異なる相互作用しないプロモーターの組み合わせが作られうるように合成プロモーターが継続して開発されている。
【0087】
少なくとも1つの異種の発現可能なヌクレオチド配列が、少なくとも2個の細胞、例えば少なくとも3個の細胞、例えば少なくとも5個の細胞、例えば少なくとも10個の細胞、例えば少なくとも25個の細胞、例えば少なくとも50個の細胞、例えば少なくとも100個の細胞、例えば少なくとも500個の細胞、例えば少なくとも1000個の細胞内で見ることができる。複数の、好ましくは多数の細胞内に同一の発現可能なヌクレオチド配列を提示することによって、任意な1つの発現可能なヌクレオチド配列が、異なる発現可能なヌクレオチド配列との多数の組み合わせで見られる。
【0088】
任意な1つの細胞内のプロモーターと発現可能なヌクレオチド配列の組み合わせは、少なくとも1つの細胞が、第一プロモーターの支配下にある異種の発現可能なヌクレオチド配列群、例えば少なくとも5個の異種の発現可能なヌクレオチド配列、例えば少なくとも10個の異種の発現可能なヌクレオチド配列、例えば少なくとも15個の異種の発現可能なヌクレオチド配列、例えば少なくとも25個の異種の発現可能なヌクレオチド配列、例えば少なくとも50個の異種の発現可能なヌクレオチド配列、例えば少なくとも75個の異種の発現可能なヌクレオチド配列、例えば少なくとも100個の異種の発現可能なヌクレオチド配列、例えば少なくとも250個の異種の発現可能なヌクレオチド配列、例えば少なくとも500個の異種の発現可能なヌクレオチド配列、を含んで成る群、を含んで成るように、レイアウトされ得る。それによって、異なるサイズの発現可能なヌクレオチド配列のサブセットが細胞内で切り替わることができる。
【0089】
更に、細胞内に、第二プロモーターの独立した支配下にある、少なくとも第二群の異種の発現可能なヌクレオチド配列、例えば第三プロモーターの独立した支配下にある、少なくとも第三群の異種の発現可能なヌクレオチド配列、例えば第四プロモーターの独立した支配下にある、少なくとも第四群の異種の発現可能なヌクレオチド配列、例えば第五プロモーターの独立した支配下にある、少なくとも第五群の異種の発現可能なヌクレオチド配列、例えば第六プロモーターの独立した支配下にある、少なくとも第六群の異種の発現可能なヌクレオチド配列、第七プロモーターの独立した支配下にある、少なくとも第七群の異種の発現可能なヌクレオチド配列、例えば第八プロモーターの独立した支配下にある、少なくとも第八群の異種の発現可能なヌクレオチド配列、例えば第九プロモーターの独立した支配下にある、少なくとも第九群の異種の発現可能なヌクレオチド配列、例えば第十プロモーターの独立した支配下にある、少なくとも第十群の異種の発現可能なヌクレオチド配列、を有することによって、発現可能なヌクレオチド配列群、サブセットは細胞内で切り換えられうる。
【0090】
発現可能なヌクレオチド配列の起源
本発明に従う、ベクター、コンカテマー、及び細胞に挿入されうる発現可能なヌクレオチド配列は、任意な型のヌクレオチド、例えばRNA、DNAを包含する。そのようなヌクレオチド配列は、例えば、天然で発現可能なcDNAから得ることもできる。しかし、特定の遺伝子をコードするゲノムDNAの配列を使用することもできる。好ましくは、発現可能なヌクレオチド配列は、完全長の遺伝子、例えば実質的に完全長のcDNAと対応しているが、もとの完全長のmRNAよりも短いペプチドをコードするヌクレオチド配列も使用されうる。より短いペプチドは、天然タンパク質のものと類似の触媒活性をなおも保持することがある。
【0091】
発現可能なヌクレオチド配列を得るための別の方法は、既知のペプチド又はタンパク質配列をコードするヌクレオチド配列の化学合成を介するものである。このように、発現可能なDNA配列は、天然の配列である必要はないが、実際的には、天然のヌクレオチド配列を主に使用することが好ましいことがある。DNAが一本鎖であるか二本鎖であるかは、使用するベクター系に依存する。
【0092】
多くの場合、発現可能なヌクレオチド配列のプロモーターに関する配向は、コード鎖が適切なmRNAに転写されるような配向である。しかしながら、特定の遺伝子の発現を阻止するために、配列が逆転してアンチセンスの転写物を生成することも考えられる。
【0093】
カセット
本発明の重要な観点は、高度に順序づけられた配列のヌクレオチドのカセットであって、5’→3’方向に、一般式
[RS1-RS2-SP-PR-CS-TR-SP-RS2'-RS1']
(ここで、RS1及びRS1'は制限部位を表し、RS2及びRS2'はRS1及びRS1'と異なる制限部位を表し、SPは個々に少なくとも2つのヌクレオチドのスペーサーを表し、PRは、細胞内で機能しうるプロモーターを表し、CSはクローニング部位を表し、そしてTRはターミネーターを表す)を有するカセットに関する。
【0094】
発現コンストラクトの両側に隣接する2つの異なる制限部位を有することは有利である。
両方の制限部位を開裂する制限酵素で一次ベクターを処理することによって、当該発現コンストラクト及び当該一次ベクターは、2つのコンパチブルでない末端を有するものとなる。これは、空のベクターが発現コンストラクトのコンカテマー化に関与しないので、コンカテマー化を容易にする。
【0095】
制限部位
基本的に、制限酵素が知られている任意の制限部位が使用されうる。これらは、分子生物学の分野で一般的に知られ、そして使用される制限酵素、例えばSambrook, Fritsch, Maniatis,"A laboratory Manual", 2nd edition. Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989.に記載されているものを含む。
【0096】
制限部位認識配列は、好ましくは、クローニングされたオリゴヌクレオチド内の同一の制限部位の発生の可能性が最小化されるような十分な長さのものである。このように、第一の制限酵素は、少なくとも1つの6個の塩基を含んで成ることもあるが、更に好ましくは、当該認識配列は、少なくとも7個又は8個の塩基を含んで成る。当該認識配列中に7個又はそれ以上のN以外の塩基を有する制限部位は、一般的に「レア(rare)制限部位」として知られている(実施例6を参照のこと)。しかしながら、当該認識配列はまた、少なくとも10個の塩基、例えば少なくとも15個の塩基、例えば、少なくとも16個の塩基、例えば少なくとも17個の塩基、例えば少なくとも18個の塩基、例えば少なくとも18個の塩基、例えば少なくとも19個の塩基、例えば少なくとも20個の塩基、例えば少なくとも21個の塩基、例えば少なくとも22個の塩基、例えば少なくとも23個の塩基、例えば少なくとも25個の塩基、例えば少なくとも1つの30個の塩基、例えば少なくとも1つの35個の塩基、例えば少なくとも40個の塩基、例えば少なくとも1つの45個の塩基、例えば少なくとも50個の塩基であってもよい。
【0097】
好ましくは、第一制限部位RS1及びRS1'は、二本鎖のヌクレオチド配列の平滑末端を生成する制限酵素によって認識される。この部位に平滑末端が生成することによって、ベクターがその後のコンカテマー化に関与する危険性が大きく低下する。第一制限部位はまた、粘着末端を生じさせることもあるが、これらは、好ましくは第二制限部位RS2及びRS2'から生じる粘着末端及びAC中の粘着末端とコンパチブルではない。
【0098】
本発明の好ましい態様に従い、第二制限部位RS2及びRS2'は、レア制限部位を含んで成る。このように、レア制限部位の認識配列が長いほど、それを認識する制限酵素が他の−不所望な−位置でヌクレオチド配列を開裂することが更に少なくなり、そしてその可能性が低下する。
【0099】
レア制限部位は更に、PCRプライマー部位(PCR priming site)としての役割を果たすことがある。それによって、PCR技術を介して当該カセットをコピーし、それにより間接的にベクターから当該カセットを「切り出す」ことが可能となる。
【0100】
スペーサー配列
RS2配列とPR配列との間に位置するスペーサー配列は、好ましくは、転写されないスペーサー配列である。スペーサー配列の目的は、同一細胞内に存在する、異なるコンカテマー間の、又は同一のコンカテマー内に存在するカセット間の組み換えを最小限にすることであるが、それはまた、当該カセット内のヌクレオチド配列を更に「宿主」様にするための役割を果たすこともある。スペーサー配列の更なる目的は、カセットが頭と頭、又は尾と尾で会合する場合に起こりうる、隣接するパリンドローム配列間でのヘアピン形成の発生を低下させることである。スペーサー配列は、例えばPCRプライマー部位としての、又は、カセットのアフィニティー精製を可能にする核酸若しくはPNA若しくはLNAプローブに対するハイブリダイゼーションのための標的としての役割を果たしうる、短い保存ヌクレオチド配列を導入するために便利なこともある。
【0101】
当該カセットはまた、TRとRS2との間に少なくとも2つのヌクレオチドの別のスペーサー配列を任意に含んで成ることもある。カセットがベクターから切り出され、そしてカセットのコンカテマーへとコンカテマー化される場合、当該スペーサー配列はまた、2つの連続的な同一のプロモーター間及び/又はターミネーター配列間に一定の距離があることも保証する。この距離は、少なくとも50塩基、例えば少なくとも60塩基、例えば少なくとも75塩基、例えば少なくとも100塩基、例えば少なくとも150塩基、例えば少なくとも200塩基、例えば少なくとも250塩基、例えば少なくとも300塩基、例えば少なくとも400塩基、例えば少なくとも500塩基、例えば少なくとも750塩基、例えば少なくとも1000塩基、例えば少なくとも1100塩基、例えば少なくとも1200塩基、例えば少なくとも1300塩基、例えば少なくとも1400塩基、例えば少なくとも1500塩基、例えば少なくとも1600塩基、例えば少なくとも1700塩基、例えば少なくとも1800塩基、例えば少なくとも1900塩基、例えば少なくとも2000塩基、例えば少なくとも2100塩基、例えば少なくとも2200塩基、例えば少なくとも2300塩基、例えば少なくとも2400塩基、例えば少なくとも2500塩基、例えば少なくとも2600塩基、例えば少なくとも2700塩基、例えば少なくとも2800塩基、例えば少なくとも2900塩基、例えば少なくとも3000塩基、例えば少なくとも3200塩基、例えば少なくとも3500塩基、例えば少なくとも3800塩基、例えば少なくとも4000塩基、例えば少なくとも4500塩基、例えば少なくとも5000塩基、例えば少なくとも6000塩基、を含んで成ることもある。
【0102】
PR配列の5’側に位置するスペーサーとTR配列の3'側に位置するものとの間のヌクレオチドの数はいずれのものでもよい。しかしながら、スペーサー配列のうちの少なくとも1つが、100〜2500塩基、好ましくは200〜2300塩基、更に好ましくは300〜2100塩基、例えば400〜1900塩基、更に好ましくは500〜1700塩基、例えば600〜1500塩基、更に好ましくは700〜1400塩基を含んで成ることを保証するのは有利なことがある。
【0103】
対象の宿主細胞が酵母である場合、コンカテマー内に存在するスペーサーは、好ましくは幾つかのARSと様々なラムダファージDNAフラグメントとの組み合わせを含んで成るべきである。
【0104】
好ましいスペーサー配列の例は、限定しないが、ラムダファージDNA、原核生物のゲノムDNA、例えばE. コリのゲノムDNA, ARSを含む。
【0105】
プロモーター
プロモーターは、RNAポリメラーゼが結合し、そして転写を開始するDNA配列である。プロモーターは、鎖が転写されるのを指示することによって転写物の方向性を決定する。
【0106】
・細菌のプロモーターは通常、特定のシグマ因子及びRNAポリメラーゼが結合する、−35〜−10(転写開始部位に対して相対的なもの)の共通配列から成る。
【0107】
・真核生物のプロモーターはそれ以上に複雑である。発現ベクターで利用される多くのプロモーターは、RNAポリメラーゼIIによって転写される。基本転写因子(GTF)が最初に添加開始部位付近の特定の配列に結合し、そして次にRNAポリメラーゼの結合を漸加する。これらの最低限のプロモーター因子に加えて、小さな配列因子が、所定のプロモーターの活性を制御するモジュラーDNA結合/トランス活性化タンパク質(例えば、AP-1, SP-1)によって具体的に認識される。
【0108】
・ウイルスのプロモーターは、細菌及び真核生物と同じ機能を果たしうる。それらの宿主のウイルス感染時に、ウイルスのプロモーターは、宿主の転写機構を用いて、又は宿主の機構の一部を置き換えるためにウイルス性にコードされた酵素を供給することによって、転写を方向付ける。
【0109】
プロモーターは更に、プロモーターと一緒に働き、そしてリプレッサー(例えば、E. コリのlacO/LAC lqリプレッサー系)又はインデューサー(例えば、酵母のgal1/GAL4インデューサー系)のいずれかに結合するDNA配列因子である制御因子を含んで成ることもある。いずれの場合においても、プロモーターが抑制解除又は誘導され、転写が「開始される(turned on)」まで、転写は実質的に「止められる(shut off)」。カセットのプロモーターの選択は、カセットが挿入されるのが意図される宿主生物に主に依存する。この目的にとって重要な必要条件は、プロモーターが、好ましくは、発現可能なヌクレオチド配列が発現すべき宿主細胞において機能することができるべきであることである。
【0110】
好ましくは、プロモーターは、外部から制御可能なプロモーター、例えば誘導可能なプロモーター及び/又は抑制可能なプロモーターである。プロモーターは、化学物質、例えば化学的誘導因子、例えば代謝物、基質、金属、ホルモン、糖の不在/存在によって制御可能(抑制可能/誘導可能)でありうる。プロモーターは、ある生理学的パラメーター、例えば温度、pH、酸化還元状態、増殖段階、発育段階、によっても同様に制御可能である場合があり、あるいは、プロモーターは、合成のインデューサー/リプレッサー、例えばgalインデューサーによって誘導可能/抑制可能である場合がある。
【0111】
宿主細胞の遺伝子制御系による意図していない干渉を回避するために、且つ協調的な遺伝子発現の制御可能性を向上させるために、プロモーターは好ましくは合成プロモーターである。適当なプロモーターは、US 5,798,227, US 5,667,986に記載されている。適当な合成の真核生物プロモーターを設計するための原理は、US 5,559,027, US 5,877,018又はUS 6,072,050に開示されている。
【0112】
遺伝子の転写の制御のための、合成の誘導可能な真核生物のプロモーターは、タンパク質の発現レベルの向上及びより低い基底レベルの遺伝子発現を達成しうる。そのようなプロモーターは、好ましくは、一般的に他の誘導因子の挿入による誘導因子を1つ含む天然のプロモーターの修飾によって、制御因子の少なくとも2つのクラスを含む。例えば、追加の金属応答因子(IR:Es)及び/又は糖質コルチコイド応答因子(GRE)が、天然のプロモーターに提供されうる。更に、1又は複数の構成因子が、より低い基底レベルの遺伝子発現を提供するために、機能的に無能化されることがある。
【0113】
プロモーターの好ましい例は、限定しないが、炭水化物、例えばガラクトース;より低い無機性ホスファーゼレベル;温度、例えば低温又は高温シフト;金属又は金属イオン、例えば銅イオン;ホルモン、例えば、ジヒドロテストロン;デオキシコルチコステロン;熱ショック(例えば39℃);メタノール;酸化還元状態;増殖段階、例えば発育段階;合成のインデューサー、例えばgalインデューサーを含んで成る群から選択される任意の因子によって誘導され、そして/あるいは抑制されるプロモーターを含む。そのようなプロモーターの例として、ADH 1, PGK 1, GAP 491, TPI, PYK, ENO, PMA 1, PH05, GAL 1, GAL 2, GAL 10, MET25, ADH2, MEL 1, CUP 1, HSE, AOX, MOX, SV40, CaMV, Opaque-2, GRE, ARE, PGK/AREハイブリッド, CYC/GREハイブリッド,TPI/a2オペレーター, AOX 1, MOX A.がある。
【0114】
しかしながら、更に好ましくは、プロモーターは、ハイブリッドプロモーター、例えばPGK/AREハイブリッド、CYC/GREハイブリッドから、又は合成プロモーターから選択される。そのようなプロモーターは、発現宿主の天然遺伝子の制御に干渉しすぎることなしに制御されうる。
【0115】
酵母プロモーター
続いて、本発明で一緒に使用されうる既知の酵母プロモーターの例を示す。当該例は限定するものではなく、そして、本発明に従い有用なプロモーターをどのように選択し又は設計するかを当業者に示す役割を果たすためのものである。
【0116】
酵母で機能的な多くの転写プロモーターが文献に記載されているが、それらのうちのわずかにいくつかが、組み換え手段によるポリペプチドの産生にとって有効であることが証明されている。特に、強力な構成的プロモーターと考えられている、PGK遺伝子(3−ホスホグリセリン酸キナーゼ)、GAPDH(グリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼ)をコードするTDH遺伝子、TEF1遺伝子(伸長因子1)、MFα1(α性フェロモン前駆体)のプロモーター、あるいはチアミンによって制御されうる、グルコース又はPHO5の存在下で抑制される制御可能なプロモーターCYClを挙げることができる。しかしながら、しばしば説明できない理由により、それらは、自身が制御する遺伝子の有効な発現を常には可能にしない。本文においては、新規の有効な宿主/ベクター系を産生するために、新規のプロモーターを有することが可能であることが常に有利である。更に、所定の細胞において有効なプロモーターの選択が、同種の配列間の組み換えの問題を回避しつつ、この同一の細胞における多数のタンパク質(例えば、同一の代謝系の複数の酵素)の産生を予見させる。
【0117】
通常、プロモーター領域は、遺伝子の5’領域に配置され、そしてそれらの制御下にあるDNAフラグメントの転写を可能にする全ての因子、特に
(1)転写の開始部位の位置及び基底レベルを決定する、TATAボックス及び転写開始部位を含んで成る、いわゆる最小プロモーター領域。サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)においては、最小プロモーター領域の長さは比較的変化可能なものである。事実、TATAボックスの正確な配置は、開始部位の−40〜−120ヌクレオチド上流にあってもよい(Chen and Struhl, 1985, EMBO J., 4,3273-3280)。
(2)構成的に(培養条件に関係なく、細胞周期に沿った比較的一定の転写レベル)又は制御可能に(アクチベーターの存在下での転写及び/又はリプレッサーの存在下での抑制の活性化)有効な転写レベルを保証するのを可能にする、TATAボックスの上流(最大数百ヌクレオチドすぐ上流)の配列。これらの配列は、アクチベーター、インヒビター、エンハンサー、インデューサー、リプレッサーなどの複数の型のものでもよく、そして細胞性の因子又は培養条件の変化に応答することがある。
【0118】
そのようなプロモーターの例には、US 5,641,661に開示されているZZA1及びZZA2プロモーター、WO 97/44470に開示されているEF1-αタンパク質プロモーター及びリボソームタンパク質のS7遺伝子プロモーター、US 5,952,195に開示されているCOX 4プロモーター及び2つの未知のプロモーター(本明細書の配列番号1及び2)がある。他の有用なプロモーターには、WO 98/54339に開示されているHSP 150プロモーター並びにUS 4,870,013に開示されているSV 40及びRSVプロモーター、並びにEP 0 329 203 A1に開示されているPyk及びGAPDHプロモーターが含まれる。
【0119】
合成の酵母プロモーター
更に好ましくは、本発明は、合成プロモーターの使用を採用する。合成プロモーターは、ある遺伝子の最小プロモーター領域と別の遺伝子の上流制御配列とを組み合わせることによって構築される。プロモーターの制御の増大は、上流制御配列の特定配列を修飾することによって、例えば、置換又は欠失を介して、あるいは特定の制御配列の多数のコピーの挿入を介して得ることができる。合成プロモーターを用いる1つの利点は、それらが、宿主細胞の天然のプロモーターに干渉しすぎることなく制御されうることである。
【0120】
そのような合成の酵母プロモーターは、2つの異なる酵母由来遺伝子、酵母のキラー毒素リーダーペプチド、及びIL-1βのプロモーター又はプロモーター因子を含んで成る(WO 98/54339)。
【0121】
酵母の合成プロモーターの別の例は、酵母のPHO5遺伝子の上流活性化部位を含んで成る5’側の上流プロモーター因子及び、GAP遺伝子のヌクレオチド−300〜−180から開始してヌクレオチド−1で終わる、酵母GAPDH遺伝子の3’側の下流プロモーター因子、を含む酵母のハイブリッドプロモーターに関する、US 5,436,136 (Hinnen et al)に開示されている。
【0122】
酵母の合成プロモーターの別の例は、US 5,089,398 (Rosenberg et al)に開示されている。この開示には、一般式
(P. R. (2)-P. R. (1))-
(P. R. (1)は、コード配列に隣接し、且つ転写開始部位、RNAポリメラーゼ結合部位を有し、且つTATAボックス、CAAT配列、及び転写制御シグナル、例えばキャッピング配列を必要に応じて含む、プロモーター領域であり;
P. R. (2)は、RNAポリメラーゼ結合領域の転写の有効性の増強と関連した、P. R. (1)の5’末端に連結したプロモーター領域である)を有するプロモーターを記載している。
【0123】
US 4,945,046 (Horii et al)においては、合成の酵母プロモーターをどのように設計するかについての更なる例が開示されている。この特定のプロモーターは、酵母及び哺乳類の両方に由来するプロモーター因子を含んで成る。当該ハイブリッドプロモーターは本質的に、上流活性化部位(UAS)が欠失され、そしてSV40ウイルス由来の初期エンハンサー領域によって置換されている、サッカロマイセス・セレビシアエのPHO5又はGAP-DHプロモーターから成る。
【0124】
クローニング部位
一次ベクターのカセット内のクローニング部位は、任意のヌクレオチド配列がその中にクローニングされうるように設計されるべきである。
【0125】
カセットのクローニング部位は、好ましくは、ディレクショナルクローニング(directional cloning)を可能にする。これにより、宿主における転写が意図する方向のコード鎖から実施され、且つ翻訳されたペプチドが、もとのヌクレオチド配列がコードするペプチドと同一であることが保証される。
【0126】
しかしながら、いくつかの態様によると、反対方向の配列を挿入することが有利なこともある。これらの態様によると、特定の経路に関与する特定の遺伝子の機能的発現を防ぐ、いわゆるアンチセンスのコンストラクトも挿入されうる。それにより、一般的な経路から、別のあまり有力でない経路へと代謝中間生成物を方向転換させることも可能となる。
【0127】
カセット内のクローニング部位は、一般的にMCS又はポリリンカー部位として知られる多数のクローニング部位を含んで成ることがあり、これらは制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードする合成DNA配列である。これらの部位は、特定の位置でのベクター内へのDNAの簡便なクローニングのために、且つインサートのディレクショナルクローニングのために操作される。
【0128】
cDNAのクローニングは、制限酵素の使用を伴う必要はない。他の代わりとなる系には、限定しないが、
−組み換え及びloxP部位を使用する、Clontech社のCreator(商標)Cre-loxP系
−ラムダ付着部位(att-λ)、例えばLife Technologies社のGateway(商標)系の使用、
が含まれる。これらの系はともにディレクショナルである。
【0129】
ターミネーター
ターミネーター配列の役割は、コード配列の長さに転写を制限することである。最適なターミネーター配列は、それ故に、宿主細胞でこの作用を実施することができるものである。
【0130】
原核生物において、転写のターミネーターとして知られる配列は、DNAの鋳型を放出させ、そして新生RNAの転写を停止させるようにシグナルをRNAポリメラーゼに送る。
【0131】
真核生物において、RNA分子は、成熟mRNA分子の末端をはるかに超えて転写される。新規転写物は酵素によって開裂され、そしてポリA尾部として知られるアデニル酸残基の長い配列によって修飾される。ポリアデニル化共通配列は、実際の開裂部位から約10〜30塩基上流に位置する。
【0132】
酵母由来のターミネーター配列の好ましい例は、限定しないが、ADN1, CYC1, GPD, ADH1アルコールデヒドロゲナーゼを含む。
【0133】
イントロン
任意に、ベクター内のカセットは、発現可能なヌクレオチド配列に対して5’又は3’側に位置することがある、イントロンを含んで成ることがある。イントロンのデザイン及びレイアウト当業界で周知である。イントロンのデザインの選択は、発現可能なヌクレオチド配列が最終的に発現するべく対象の宿主細胞に大きく依存する。発現カセット内にイントロンを持つ効果は、イントロン配列と一般的に関連しているものである。
【0134】
酵母のイントロンの例は、文献及び特定のデータベース、例えば2000年4月15日に更新されたAres Lab酵母イントロンデータベース(バージョン2.1)において見られる。当該データベースの初期のバージョン及び当該データベースの抽出物は、Spingola M, Grate L, Haussier D, Ares M Jr.による「Genome-wide bioinformatic and molecular analysis of introns in Saccharomyces cerevisiae」(RNA 1999 Feb; 5 (2): 221-34) 及びDavis CA, Grate L, Spingola M, Ares M Jr.による「Test of intron predictions reveals novel splice sites, alternatively spliced mRNAs and new introns in meiotically regulated genes of yeast.」(Nucleic Acids Res 2000 Apr 15; 28 (8): 1700-6)において公開されている。
【0135】
一次ベクター(エントリーベクター)
用語「エントリーベクター」とは、本発明に従うカセットを用いて、cDNA又は他の発現可能なヌクレオチド配列を貯蔵し、又は増幅するためのベクターを意味する。一次ベクターは、好ましくは、E.コリ又は任意な他の適当な標準的宿主において増殖することができる。それは、好ましくは増幅可能で且つ、標準的な均一化手順及びエンリッチメント(enrichment)手順に適合可能であるべきである。
【0136】
一次ベクターは、a)少なくとも1つの適当な宿主生物において自身を複製させることができ、そしてb)その後当該ベクターと一緒に複製される外来DNAの挿入を可能にし、そしてc)好ましくは前記外来DNAの挿入を含むベクター分子の選択を可能にするという、基本的な要求を持つDNAの任意な型のものであってもよい。好ましい態様において、当該ベクターは、酵母、及び細菌のように標準的な宿主で複製可能であり、そして、好ましくは宿主細胞あたり高コピー数を有するべきである。当該ベクターが、宿主特異的な複製起点に加えて、単一の標準的ウイルスのための複製起点、例えば繊維状ファージのためのf1起点を含む。このことは、クローン化された配列の均一化及びエンリッチメント手順にとって有用なことがある単一の標準的核酸の産生を可能にする。一般的に使用される多数のクローニングベクターが説明されており、そしてSambrook, J; Fritsch, E. F; 及びManiatis T. (1989) Molecular Cloning : A laboratory manual. Cold Spring Harbour Laboratory Press, USA, Netherlands Culture Collection of Bacteria (www. cbs. knaw. nl/NCCB/collection. htm) 又はDepartment of Microbial Genetics, National Institute of Genetics, Yata 1111 Mishima Shizuoka 411-8540, Japan (www. shigen. nia. ac. ip/cvector/cvector. html)ににも言及することがある。多くの一般的な誘導体の親である幾つかの型の例は、M13mp10, pUC18, λgt 10, 及びpYAC4である。一次ベクターの例には、限定しないが、M13K07, pBR322, pUC18, pUC19, pUC118, pUC119, pSP64, pSP65, pGEM-3, pGEM-3Z, pGEM-3Zf (-), pGEM-4, pGEM-4Z, 7cAN13, pBluescript 11, CHARON 4A, B+, CHARON 21A, CHARON 32, CHARON 33, CHARON 34, CHARON 35, CHARON 40, EMBL3A, λ2001, λDASH, λFIX, λgt10, λgt11, λgt18, λgt20, λgt22, λORF8, XZAP/R, pJB8, c2RB, pcoslEMBLが含まれる。
【0137】
ベクター内へのcDNA又はゲノムDNAのクローニング方法は当業界で周知である。J. Sambrook, E. F. Fritsch, T. Maniatis: Molecular Cloning, A Laboratory Manual (2nd edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989).にも言及がされることがある。
【0138】
環状モデルのエントリーベクターの一例を図3に記載する。ベクターEVEは、発現カセット、R1-R2-スペーサー-プロモーター-マルチクローニング部位-ターミネーター-スペーサー-R2-R1を含む。当該ベクターは更に、アンピシリン耐性遺伝子AmpR、及びE.コリの複製起点ColE1を含む。
【0139】
エントリーベクターEVE4, EVE5, 及びEVE8を図3に示す。これらは全て、R1としてSrtlを、そしてR2としてAsclを含む。これらの部位はともにパリンドロームであり、且つ認識配列中に8塩基を有するレア制限部位とみなされる。当該ベクターは更に、AmpRアンピシリン耐性遺伝子、及びE.コリのColE1複製起点並びに繊維状ファージ、例えばM13の複製起点であるf1、を含む。EVE4(図4)は、MET25プロモーター及びADH1ターミネーターを含む。スペーサー1及びスペーサー2は、マルチクローニング部位MCS由来の短い配列である。EVE5(図5)は、CUP1プロモーター及びADH1ターミネーターを含む。EVE8(図6)は、CUP1プロモーター及びADH1ターミネーターを含む。EVE8のスペーサーは、550bpのλファージDNA(スペーサー3)及び酵母由来のARS配列である(スペーサー4)。
【0140】
ヌクレオチドライブラリー(エントリーライブラリー)
細胞においてヌクレオチド配列のライブラリーを構築し、そして維持するための方法並びにそれに適したベクター及び宿主細胞は当業界で周知である。当該ライブラリーに主に必要なことは、その中で本発明に従う多数の一次ベクター(コンストラクト)を保存し、そして増幅することが可能であるべきということであり、当該ベクター(コンストラクト)は、少なくとも1つの発現状態に由来する発現可能なヌクレオチド配列を含んで成り、そして少なくとも2つのベクター(コンストラクト)が異なる。
【0141】
そのようなライブラリーの1つの具体例は、周知で且つ広く適用されるcDNAライブラリーである。cDNAライブラリーの利点は、主に、それが転写されたメッセンジャーRNAに相当するDNA配列のみを細胞内に含むことである。実質的に完全長のcDNAのみが当該ライブラリー内にクローニングされるように、単離されたmRNA又は合成されたcDNAを精製するのに適した方法も存在する。
【0142】
実質的に完全長のcDNAを生成する過程の最適化のための方法は、サイズの選択、例えば電気泳動、クロマトグラフィー、沈澱を含んで成ることもあり、あるいは、完全長のcDNAを得る可能性を増大させる方法、例えばSMART(商標)法(Clontech)又はCapTrap(商標)法(Stratagene)を含んで成ることもある。
【0143】
好ましくは、当該ヌクレオチドライブラリーを生成するための方法は、cDNA種の均一化された提示(representation)を含んで成る、実質的に完全長のcDNA群を得ることを含んで成る。更に好ましくは、実質的に完全長のcDNA群は、所定の発現状態に特有のcDNA種の均一化された提示を含んで成る。
【0144】
均一化は、豊富なmRNA種を表現するクローンの重複性を低下させ、そして低頻度のmRNA種由来のクローンの相対的な表現を増大させる。
【0145】
cDNAライブラリーの均一化のための方法は当業界で周知である。均一化に適したプロトコール、例えばUS 5,763,239 (DIVERSA)及びWO 95/08647及びWO 95/11986.及びBonaldo, Lennon, Soares, Genome Research 1996,6: 791-806; Ali, Holloway, Taylor, Plant Mol Biol Reporter, 2000,18: 123-132に開示されているようなものを参照のこと。
【0146】
エンリッチメント(enrichment)法が、特定の発現状態に特有なmRNAを表現するクローンを単離するために使用される。サブトラクトハイブリダイゼーションと広く称される方法の多くの変法は当業界で周知である。Sive, John, Nucleic Acid Res, 1988,16: 10937; Diatchenko, Lau, Campbell et al, PNAS, 1996,93: 6025-6030; Carninci, Shibata, Hayatsu, Genome Res, 2000, 10: 1617-30, Bonaldo, Lennon, Soares, Genome Research 1996,6: 791-806; Ali, Holloway, Taylor, Plant Mol Biol Reporter, 2000,18: 123-132を参照のこと。例えば、エンリッチメントは、豊富なクローンのライブラリー由来のcDNAを用いて、又は単純に、誘導状態由来のテスターライブラリーに対するドライバーとして未誘導状態を表現するライブラリー由来のcDNAを用いて、均一化の手順に類似のハイブリダイゼーションを繰り返すことによって達成されうる。あるいは、選択した発現状態に由来する、mRNA又はPCR増幅されたcDNAが、テスターライブラリーから共通配列をサブトラクトするために使用されうる。ドライバー及びテスター群の選択は、それぞれの特定実験における標的の発現可能なヌクレオチド配列の性質に依存する。
【0147】
当該ライブラリーにおいて、あるペプチドをコードする発現可能なヌクレオチド配列は、好ましくは、異なるプロモーターの支配下にある、異なるが類似のベクター内で見られる。好ましくは、当該ライブラリーは、3個の異なるプロモーターの支配下にある、同一のペプチドをコードする発現可能なヌクレオチド配列を有する少なくとも3個の一次ベクターを含んで成る。更に好ましくは、当該ライブラリーは、5個の異なるプロモーターの支配下にある、同一のペプチドをコードする発現可能なヌクレオチド配列を有する少なくとも5個の一次ベクターを含んで成り、例えば、6個の異なるプロモーターの支配下にある、同一のペプチドをコードする発現可能なヌクレオチド配列を有する少なくとも6個の一次ベクターを含んで成り、例えば、7個の異なるプロモーターの支配下にある、同一のペプチドをコードする発現可能なヌクレオチド配列を有する少なくとも7個の一次ベクターを含んで成り、例えば、8個の異なるプロモーターの支配下にある、同一のペプチドをコードする発現可能なヌクレオチド配列を有する少なくとも8個の一次ベクターを含んで成り、例えば、9個の異なるプロモーターの支配下にある、同一のペプチドをコードする発現可能なヌクレオチド配列を有する少なくとも9個の一次ベクターを含んで成り、例えば、10個の異なるプロモーターの支配下にある、同一のペプチドをコードする発現可能なヌクレオチド配列を有する少なくとも10個の一次ベクターを含んで成る。
【0148】
同一のペプチドをコードする発現可能なヌクレオチド配列は、好ましくは、本質的に同一のヌクレオチド配列、更に好ましくは同一のヌクレオチド配列を含んで成る。
【0149】
異なるベクター内に、多数のプロモーターの支配下にある、とある1つの遺伝子を有するライブラリーを有することによって、ヌクレオチドライブラリーから、遺伝子とプロモーターの組み合わせのアレイを構築することが可能となる。好ましくは、あるライブラリーは、完全な又は実質的に完全な組み合わせ、例えば遺伝子とプロモーターの2次元アレイを構築することが可能となり、ここで、実質的に全ての遺伝子が、選択した数のうち実質的に全てのプロモーターの支配下に見られる。
【0150】
本発明の別の態様に従い、ヌクレオチドライブラリーは、異なるベクター内で異なるスペーサー配列及び/又は異なるイントロン配列と組み合わされた発現可能なヌクレオチド配列の組み合わせを含んで成る。従って、任意なある発現可能なヌクレオチド配列は、2,3,4又は5次元アレイでで異なるプロモーター及び/又は異なるスペーサー及び/又は異なるイントロン及び/又は異なるターミネーターと組み合わされることがある。2,3,4又は5次元アレイは、全ての組み合わせが存在しなければならないわけではないので、完全でも不完全でもよい。
【0151】
当該ライブラリーは、原核細胞又は真核細胞を含んで成る宿主細胞において適当に維持されうる。好ましい原核生物の宿主生物は、限定しないが、エスケリッチャ・コリ(Escherichia coli)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)、ストレプトマイセス・コエリコロー(Streptomyces coelicolor)、シュードモナス・アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)、ミクソコックス・キサンサス(Myxococcus xanthus)を含みうる。
【0152】
酵母種、例えばサッカロマイセス・セレビシアエ(出芽酵母)、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)(分裂酵母)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)及びハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)(メタノール資化性酵母)も使用されうる。フィラメンタス・アスコマイセテス(Filamentous ascomycetes)、例えばニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)及びアスペルギルス・ニジュランス(Aspergillus nidulans)も使用されうる。植物細胞、例えばタバコ及びシロイヌナズナ由来のものが好ましい。好ましい哺乳類宿主細胞は、限定しないが、ヒト、サル及び齧歯類、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NIH/3T3, COS, 293, VERO, HeLa 等を含む。(Kriegler M. in"Gene Transfer and Expression: A Laboratory Manual", New York, Freeman & Co. 1990を参照のこと)。
【0153】
コンカテマー
コンカテマーは、一連の連結した単位である。本文において、コンカテマーは、多数の直列に連結したヌクレオチドカセットを表すために使用され、ここでは、少なくとも2つの直列に連結したヌクレオチド単位が、基本構造
[rs2-SP-PR-X-TR-SP-rs1]
(ここで、
rs1とrs2は共に制限部位を表し、
SPは個々に少なくとも2つのヌクレオチド塩基のスペーサーを表し、
PRは、細胞内で機能しうるプロモーターを表し、
Xは発現可能なヌクレオチド配列を表し、
TRはターミネーターを表し、
SPは個々に少なくとも2つのヌクレオチド塩基のスペーサーを表す)
を有するカセットを含んで成る。
【0154】
任意に、当該カセットは、プロモーターと発現可能なヌクレオチド配列との間、及び/又はターミネーターと発現可能なヌクレオチド配列との間にイントロン配列を含んで成る。
【0155】
コンカテマーのカセット内の発現可能なヌクレオチド配列は、cDNA及びゲノムDNAを含んで成る群から選択されるDNA配列を含んで成ることがある。
【0156】
本発明の1つの観点に従い、コンカテマーは、発現可能なヌクレオチド配列の自然発生的でない組み合わせ又は非天然の組み合わせが得られるように、異なる発現状態由来の発現可能なヌクレオチドを有するカセットを含んで成る。これらの異なる発現状態は、少なくとも2つの異なる組織、例えば少なくとも2つの組織、例えば少なくとも2つの種、例えば少なくとも2つの属を表すことがある。異なる種は、少なくとも2つの門(phylum)、例えば少なくとも2つの異なる綱、例えば少なくとも2つの異なる門(division)、更に好ましくは少なくとも2つの異なる亜界、例えば少なくとも2つの異なる界に由来していてもよい。
【0157】
例えば、発現可能なヌクレオチド配列は、真核生物、例えば哺乳類、例えばヒト、マウス又はクジラから、爬虫類、例えばチョウチョ及びガから、腔腸動物、例えばクラゲ、イソギンチャク、又はサンゴから、魚類、例えば硬骨魚類及び軟骨魚類から、植物、例えば双子葉植物、例えばコーヒー、オーク又は単子葉植物、例えば大麻、百合、及びランから;低級植物、例えば藻類及び銀杏から、高等菌類、例えば陸生のキノコ(terrestrial fruiting fungi)から、海洋性の放線菌(marine actinomycete)から派生することもある。発現可能なヌクレオチド配列はまた、原虫、例えばマラリア又はトリパノソーマから、あるいは原核生物から、例えばE.コリ又は古細菌から派生することもある。更に、発現可能なヌクレオチド配列は、以下の表に列記した種及び属に由来する1又は複数の発現状態、好ましくはそれ以上の発現状態から派生することもある。
【0158】
細菌
ストレプトマイセス、ミクロモノスポラ(Micromonospora)、ノルカディア(Norcadia,)、アクチノマデュラ(Actinomadura)、アクチノプラネス(Actinoplanes)、ストレプトスポランギウム(Streptosporangium)、ミクロビスポラ(Microbispora)、キタサトスポリアム(Kitasatosporiam)、アゾバクテリウム(Azobacterium)、リゾビウム(Rhizobium)、アクロモバクテリウム(Achromobacterium)、エンテロバクテリウム(Enterobacterium)、ブルセラ(Brucella)、ミクロコッカス(Micrococcus)、ラクトバチルス(Lactobacillus)、バチルス(Bacillus)(B. t.毒素)、クロストリジウム(Clostridium)(毒素)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)、シュードモナス(Pseudomonas)、アエロバクター(Aerobacter)、ビブリオ(Vibrio)、ハロバクテリウム(Halobacterium)、マイコプラズマ(Mycoplasma)、サイトファーガ(Cytophaga)、ミクソコッカス(Myxococcus)
【0159】
真菌
アマニタ・ムスカリア(Amanita muscaria)(ベニテングダケ(fly agaric)、イボテン酸、ムシモール(muscimol))、シロシベ(Psilocybe)(シロシビン(psilocybin))、フィサリウム(Physarium)、フリゴ(Fuligo)、ムコール(Mucor)、フィトフトラ(Phytophtora)、リゾプス(Rhizopus)、アスペルギルス(Aspergillus)、ペニシリウム(Penicillium)(ペニシリン)、コプリヌス(Coprinus)、ファネロカエテ(Phanerochaete)、アクレモニウム(Acremonium)(セファロスポリン)、トロコデルマ(Trochoderma)、ヘルミンソスポリウム(Helminthosporium)、フサリウム(Fusarium)、アルテルナリア(Alternaria)、ミロセシウム(Myrothecium)、サッカロマイセス(Saccharomyces)
【0160】
藻類
マクリ(Digenea simplex)(カイニン酸(kainic acid)、駆虫薬)、ミツイシコンブ(Laminaria anqustata)(ラミニン、降圧剤),
【0161】
地衣類
ウスネア・ファスシアタ(Usnea fasciata)(バルピン酸(vulpinicacid)、抗菌剤、ウスニン酸、抗ガン剤)
【0162】
高等植物
ヨモギ(Artemisia)(アルテミニシン(artemisinin))、コリウス(Coleus)(フォルスコリン),、ハギ(Desmodium)(カリウムチャネルアゴニスト)、カタランサス(Catharanthus)(ビンカアルカロイド)、ジギタリス(Digitalis)(強心配糖体)、ポドフィルム(Podophyllum)(ポドフィロトキシン(podophyllotoxin))、イチイ(Taxus)(タキソール)、イヌガヤ(Cephalotaxus)(ホモハリントニン(homoharringtonine))、カンプトテカ(Camptotheca)(カンプトテシン(Camptothecin))、チャ(Camellia sinensis)(ティー(tea))、カンナビス・インディカ(Cannabis indica)、カンナビス・サチバ(Cannabis sativa)(大麻)、コカノキ(Erythroxylum coca)(コカ)、烏羽玉(Lophophora williamsii )
(ペヨーテ(Peyote))、ニクズク(Myristica fragrans)(ナツメグ)、ニコチアナ(Nicotiana)、ケシ(Papaver somniferum)(オピウム・ポピー(Opium Poppy))、クサヨシ(Phalaris arundinacea)(リードカナリーグラス(Reed canary grass))
【0163】
原虫
タイコジスカス・ブレビス(Ptychodiscus brevis); 渦鞭毛藻(Dinoflagellates)(ブレビトキシン、心血管性)
【0164】
海綿動物
ミクロシオニア・プロライフェラ(Microciona prolifera)(エクチオニン(ectyonin)、抗菌剤) クリプトテチラ・クリタ(Cryptotethya cryta)(D-アラビノフラノシド)
【0165】
腔腸動物
カツオノエボシ並びに他のクラゲ及びメデュソイド毒(medusoid toxin)
【0166】
サンゴ
シュードテルゴニア種(Pseudoterogonia specie)(シュードテラシン(Pseudoteracin)、抗炎症剤)、 エリスロポディウム(Erythropodium)(エリスロリド(erythrolide)、抗炎症剤)
【0167】
袋形動物
線虫分泌化合物(Nematode secretory compound)
【0168】
軟体動物
イモガイ毒、ウミウシ毒、頭足類神経伝達物質(cephalapod neurotransmitter)、イカスミ(squid ink)
【0169】
環形動物
ランブリコネレシス・ヘテロパ(Lumbriconereis heteropa)(ネライストキシン(nereistoxin、殺虫剤)
【0170】
クモ形類
ハシリグモ属(「フィッシング・スパイダー」毒)
【0171】
甲殻類
キセノバラヌス(Xenobalanus) (皮膚用接着剤)
【0172】
昆虫
エピラチュナ(Epilachna)(メキシカンビーンビートル(mexican bean beetle)のアルカロイド)
【0173】
Spinunculida
ボネリア・ビリジス(Bonellia viridis)(ボネリン(bonellin)、神経刺激性)
【0174】
苔虫類
フサコケムシ(Bugula neritina)(ブリオスタチン、抗ガン剤)
【0175】
棘皮動物
ウミユリ化学(Crinoid chemistry)
【0176】
被嚢類
トリジデナム・ソリダム(Trididemnum solidum)(ジデニン(didemnin) 、抗腫瘍剤及び抗ウイルス剤; エクテイナシジア(Ecteinascidia turbinata) エクテイナシジン(ecteinascidins)、抗腫瘍剤)
【0177】
脊椎動物
メクラウナギ(Eptatretus stoutii)(エプタトレチン(eptatretin)、心作用性)、トゲミシマ(Trachinus draco)(タンパク性毒素、血圧降下、呼吸及び心拍数低下). ヤドクガエル(Dendrobatid frog) (バトラコトキシン、プミリオトキシン(pumiliotoxin)、ヒストリオニコトキシン(histrionicotoxin)及び他のポリアミン)、ヘビ毒;カモノハシ(Orinthorhynohus anatinus)(カモノハシ毒), 修飾型カロテノイド;レチノイド及びステロイド;鳥類:ヒストリオニコトキシン(histrionicotoxin)、修飾型カロテノイド;レチノイド及びステロイド
【0178】
本発明の好ましい態様に従うコンカテマーは、少なくとも第一カセット及び第二カセットを含んで成り、前記第一カセットは前記第二カセットと異なる。更に好ましくは、コンカテマーは、実質的に全てのカセットが異なっているカセットを含んで成る。カセット間の差異は、プロモーター間、及び/又は発現可能なヌクレオチド配列間、及び/又はスペーサー間、及び/又はターミネーター間、及び/又はイントロン間の差異に起因してもよい。
【0179】
単一のコンカテマー内のカセットの数は、コンカテマーが最終的に挿入されるべき宿主種及び当該挿入の実施に介されるベクターによって主として決定される。従って、コンカテマーは、少なくとも10個のカセット、例えば少なくとも15個、例えば少なくとも20個、例えば少なくとも25個、例えば少なくとも30個、例えば少なくとも30〜60個又は60個以上、例えば少なくとも75個、例えば少なくとも100個、例えば少なくとも200個、例えば少なくとも500個、例えば少なくとも750個、例えば少なくとも1000個、例えば少なくとも1500個、例えば少なくとも2000個のカセットを含んで成ることもある。
【0180】
各カセットは、上述のようにレイアウトされ得る。
【0181】
一度コンカテマーが構築又はコンカテマー化すると、それは適当なベクター内にライゲーションされうる。そのようなベクターは、有利には、人工染色体を含んで成ることがある。機能的な人工染色体にとって基本的に必要なものは、US 4,464,472に記載されており、この内容は引用によって本明細書に組み入れられる。人工染色体又は、場合により機能的ミニ染色体とも称されるものは、宿主の有糸分裂の間のセントロメア様活性をコードするDNAセグメントを含んで成る宿主細胞内での複製及び安定な有糸分裂の維持が可能なDNA配列及び前記宿主によって認識される複製部位をコードするDNA配列を含んで成る必要がある。
【0182】
適当な人工染色体には、酵母人工染色体(YAC) (例えばMurray et al, Nature 305: 189-193; 又はUS 4,464,472を参照のこと), メガ酵母染色体(mega YAC), 細菌人工染色体(BAC), マウス人工染色体, 哺乳類人工染色体 (MAC) (例えばUS 6,133,503又はUS 6,077,697を参照のこと), 昆虫人工染色体(BUGAC), 鳥類人工染色体(AVAC), バクテリオファージ人工染色体, バキュロウイルス人工染色体, 植物人工染色体 (US 5,270,201), BIBACベクター(US 5,977,439)又はヒト人工染色体(HAC)が含まれる。
【0183】
人工染色体は、好ましくは、宿主細胞がそれを「真の」染色体と知覚し、そしてそれを維持し、そしてそれを染色体として伝達するほど大きなものである。酵母及び他の適当な宿主種の場合、これはしばしば、その種における最小の天然染色体のサイズにおおよそ相当する。サッカロマイセスの場合、最小の染色体は225kbのサイズを有する。
【0184】
MACは、他の種、例えば昆虫及び魚の種由来の人工染色体を構築するために使用されうる。人工染色体は、好ましくは、完全に機能的で案的な染色体である。2つの型の人工染色体が使用されうる。一方の型は、SATAC[サテライト人工染色体]と称される、安定な異種染色質染色体であり、そして他方の型は、真性染色質の増幅を基にしたミニ染色体である。
【0185】
哺乳類人工染色体は、注目のタンパク質をコードする遺伝子の導入のための、余分なゲノム特異的な組込み部位を提供し、そしてメガ塩基サイズのDNAの組込み、例えば本発明に従うコンカテマーの組込みを可能にする。
【0186】
本発明の別の態様に従い、コンカテマーは、宿主染色体内に組み込まれるか、他の型のベクター、例えばプラスミドベクター、ファージベクター、ウイルスベクター又はコスミドベクター内に組み込まれうる。
【0187】
好ましい人工染色体ベクターは、宿主細胞内、例えば酵母内で条件付きで増幅されることができるものである。増幅は、好ましくは、少なくとも10倍の増幅である。更に、人工染色体ベクターのクローニング部位は、上述のカセットに隣接しているものと同一の制限部位、すなわちRS2及び/又はRS2'を含んで成るように修飾されうる。
【0188】
コンカテマー化(concatenation)
コンカテマー化されるカセットは通常、制限酵素による消化、又はPCRのいずれかによってベクターから切り出される。切り出しの後、カセットは、サイズ分画、例えばゲルろ過を介して、又はカセット内の既知の配列のタギングを介して分離されうる。単離されたカセットは、続いて、粘着末端間の相互作用を介して、又は平滑末端のライゲーションを介して一緒に連結されうる。
【0189】
一本鎖のコンパチブルな末端は、制限酵素による消化によって作られることがある。コンカテマー化の場合、カセットの切り出しにとって好ましい酵素は、レアカッター、すなわち、7個又はそれ以上ヌクレオチドの配列を認識する酵素であろう。まれに切断する酵素の例はメガヌクレアーゼであり、この多くがイントロンをコードするものであり、例えばI-Ceu 1, I-Sce 1, I-Ppo I, and PI-Psp Iである(これ以上については実施例6dを参照のこと)。他の好ましい酵素は、8個のヌクレオチド配列を認識し、例えばAsc I, AsiS I, CciN I, CspB I, Fse I, MchA I, Not 1, Pac I, Sbf I, Sda I, Sgf I, SgrA I, Sse232 I, 及びSse8387 Iであり、これらは全て、一本鎖でパリンドロームのコンパチブルな末端を作り出す。
【0190】
コンカテマー内の個々のカセットの配向を制御するために使用されることもある、他の好ましいレアカッターは、非パリンドローム配列を認識する酵素、例えばAar I, Sap I, Sfi 1, Sdi I, 及びVpaである(これ以上については実施例6cを参照のこと)。
【0191】
あるいは、カセットは、末端に対する制限部位の追加、例えばPCR又はリンカー(短い合成dsDNA分子)に対するライゲーションによって調製されることもある。制限酵素は継続して単離され、そして特徴付けられており、そしてそのような新規酵素の多くが、本発明に従う一本鎖のコンパチブルな末端を生成するために使用されうることが予想される。
【0192】
一本鎖のコンパチブルな末端が、合成のカッターによりベクターを開裂することによって作られうることも予想される。従って、通常DNAを非特異的に開裂することができる反応性化学基は、特定の配列を認識してそれに結合する別の分子に結合する場合、特定の位置で切断することができる。特定のdsDNA配列を認識する分子の例はDNA, PNA, LNA, ホスホチオエート, ペプチド, 及びアミドである。例えば、Armitage, B. (1998) Chem. Rev. 98: 1171-1200(例えば、アントラキノン及びUV光を用いる光開裂を記載している); Dervan P. B. & Burli R. W. (1999) Curr. Opin. Chem. Biol. 3: 688-93 (DNAに対するポリアミドの特異的な結合を記載している)Nielsen, P. E. (2001) Curr. Opin. Biotechnol. 12: 16-20 (DNAに対するPNAの特異的な結合を記載している), 及び Chemical Reviews special thematic issue : RNA/DNA Cleavage (1998) vol. 98 (3) Bashkin J. K. (ed.) ACS publications(複数の化学的なDNA開裂物質の例を記載している)を参照のこと。
【0193】
一本鎖のコンパチブルな末端はまた、例えばdUTPを含むPCRプライマーを用いて、そして次に、当該プライマーの一部を分解するために、PCR産物をウラシル-DNAグリコシラーゼで処理することによって(US 5,035,996を参照のこと)作られることもある。あるいは、コンパチブルな末端は、ターミナルトランスフェラーゼを用いて、ベクター及びインサートの両方に尾部を設けることによって、作られることもある(Chang, LMS, Boll, um TJ (1971) J Biol Chem 246: 909)。
【0194】
また、例えば、組換えにより直接的にDNAを連結するためにCre-loxP機構(Sauer B 1993 Methods Enzymol 225:890-900)を用いるCreator系(Clontech)のような、又はディレクショナルな組換え(Landy A 1989, Ann Rev Biochem 58: 913)のためのラムダatt付着部位を用いるGateway(商標)系(Life Technologies, US 5,888,732)のような技術の改良したものを介して、コンカテマーを作り出すために、組換えが使用されうることも予想される。また、ラムダcos部位依存系が、コンカテマー化を可能にするべく発展されうることも予見される。
【0195】
更に好ましくは、カセットは、一方がカセット上に粘着末端を残し、そして他方のものがベクター内に平滑末端を残す、2つの制限酵素によるベクターからの切り出しを介して、精製段階を介することなくコンカテマー化されうる。これは、[RS1-RS2-SP-PR-X-TR-SP-RS2'-RS1']の基本構造を有するベクター由来のカセットのコンカテマー化にとって好ましい方法である。
【0196】
ベクター配列を含まないコンカテマーを生成する別の方法は、一本鎖の一次ベクター由来のカセットをPCR増幅することである。当該PCR産物は、制限部位RS2及びRS2'を含まなければならず、これは後でその同属酵素によって開裂される。続いて、コンカテマー化は、消化されたPCR産物を用いて、本質的に末端から切り出された一本鎖の一次ベクターの鋳型又は小さい二本鎖フラグメントの干渉無しに、実施されうる。
【0197】
コンカテマーは、それぞれのカセットが一次粘着末端、スペーサー配列、プロモーター、発現可能なヌクレオチド配列、ターミネーター、スペーサー配列、及び二次粘着末端を含んで成る、少なくともヌクレオチド配列のカセットのコンカテマー化によって構築され、又はコンカテマー化されうる。当該手順のフローチャートを図2aに示す。
【0198】
好ましくは、コンカテマー化は更に、一次ベクター[RS1-RS2-SP-PR-X-TR-SP-RS2'-RS1']
(ここで、Xは発現可能なヌクレオチド配列を表し、
RS1及びRS1'は制限部位を表し、
RS2及びRS2'はRS1及びRS1'と異なる制限部位を表し、
SPは個々に少なくとも2つのヌクレオチドのスペーサーを表し、
PRはプロモーターを表し、
TRはターミネーターを表す)から出発して、
i) RS2及びRS2'に特異的な少なくとも1つの制限酵素の力を借りて一次ベクターを切断し、一般式[rs2-SP-PR-X-TR-SP-rs1](ここで、rs1及びrs2はともに機能的制限部位RS2又はRS2'を表す)を有するカセットを獲得し、
ii) rs1とrs2との間の相互作用を介して切り出されたカセットを構築すること、
を含んで成る。
【0199】
この方法では、少なくとも10個のカセット、例えば少なくとも15個、例えば少なくとも20個、例えば少なくとも25個、例えば少なくとも30個、例えば少なくとも30〜60個又はそれ以上、例えば少なくとも75個、例えば少なくとも100個、例えば少なくとも200個、例えば少なくとも500個、例えば少なくとも750個、例えば少なくとも1000個、例えば少なくとも1500個、例えば少なくとも2000個がコンカテマー化されうる。
【0200】
特に好ましい態様によると、それぞれ、一方の末端にRS2又はRS2'を、そして他方の末端に非相補的なオーバーハング又は平滑末端を有するベクターアームは、更に当該手順を単純化するために、上述のカセットと一緒にコンカテマー化混合物に加えられる(図2bを参照のこと)。ベクターアームを提供するのに適したベクターの一例を図7に開示する。TRP1, URA3, 及びHIS3は栄養要求性のマーカー遺伝子であり、そしてAmpRはE.コリの抗生物質マーカー遺伝子である。CEN4はセントロメアであり、そしてTELはテロメアである。ARS1及びPMB1は、それぞれ酵母及びE.コリにおける複製を可能にする。BamH I及びAsc Iは制限酵素認識部位である。当該ベクターのヌクレオチド配列を配列番号4に記載する。当該ベクターは、コンカテマーに対するライゲーションに使用されるベクターアームを遊離させるために、BamHI及びAscIで消化される。
【0201】
ベクターアームとカセットの比率は、図8に例示するようなコンカテマー内のカセットの最大数を決定する。ベクターアームは、好ましくは、人工染色体ベクターアーム、例えば図7に記載のものである。
【0202】
当然ながら、コンカテマー化溶液に対しストッパーフラグメントを添加することも可能であり、当該ストッパーフラグメントは、それぞれ、一方の末端にRS2又はRS2'を、そして他方の末端に非相補的なオーバーハング又は平滑末端を有する。ストッパーフラグメントとカセットの比率は、同様にコンカテマーの最大サイズを制御することができる。
【0203】
mRNAの単離から開始して、エントリーベクター内に挿入するまでに、されるべき段階の完全な順序は、以下の
i)発現状態からmRNAを単離し、
ii)当該mRNA配列に相当する実質的に完全長のcDNAを獲得し、
iii)一次ベクター内の、5’→3’方向の一般式[RS1-RS2-SP-PR-CS-TR-SP-RS2'-RS1'](ここで、CSはクローニング部位を表す)のカセットのクローニング部位内に実質的に完全長のcDNAを挿入する段階、
を含んでもよい。
【0204】
コンカテマーの調製において、遺伝子は、遺伝子の所望の選択を提供するための異なるエントリーライブラリーから単離されることもある。従って、コンカテマー化は更に、少なくとも2つの異なる発現状態、例えば2つの異なる種由来の発現可能なヌクレオチド配列を有するベクターの選択を含んで成る。2つの異なる種は、2つの異なる綱由来、例えば2つの異なる門、更に好ましくは2つの異なる亜界、例えば2つの異なる界由来のものでもよい。
【0205】
コンカテマー化反応においてベクターアームを含める代わりに、酵母人工染色体、メガ酵母染色体、細菌人工染色体、マウス人工染色体、ヒト人工染色体から成る群から選択される人工染色体内にコンカテマーをライゲーションさせることが可能である。
【0206】
好ましくは、少なくとも1つ挿入されたコンカテマーが、更に選択マーカーを含んで成る。当該マーカーは、都合よくは、コンカテマー自身には含まれず、むしろコンカテマーが挿入される人工染色体ベクターに含まれる。選択マーカーは通常、増殖のために、ベクターを含む細胞のみを選択する手段を提供する。そのようなマーカーは、薬物耐性及び栄養要求性の2つの型のものがある。薬物耐性マーカーは、他の毒性化合物の存在下で細胞が増殖するのを可能にする。栄養要求性マーカーは、必須成分(通常アミノ酸)を細胞に合成させることによって、必須成分を各培地中での細胞の増殖を可能にする。
【0207】
選択マーカーがそれらの作用形態の簡単な説明により利用可能である、一般的な化合物の例示的且つ非限定的な例は以下のとおりである。
【0208】
原核生物
・アンピシリン:細菌の細胞壁合成の末端反応を阻害する。耐性遺伝子(bla)は、当該抗生物質のベータラクタム環を開裂してそれを解毒するベータラクタマーゼをコードする。
【0209】
・テトラサイクリン:30Sのリボソームサブユニットに結合することによって細菌のタンパク質合成を防ぐ。耐性遺伝子(tet)は、細菌の膜を修飾し、そして細胞内での抗生物質の蓄積を防ぐタンパク質をコードする。
【0210】
・カナマイシン:70Sリボソームに結合し、そしてメッセンジャーRNAの誤読をもたらす。耐性遺伝子(npth)は、当該抗生物質を修飾し、そしてリボソームとの相互作用を防ぐ。
【0211】
・ストレプトマイシン:30Sのリボソームサブユニットに結合し、メッセンジャーRNAの誤読をもたらす。耐性遺伝子(Sm)は、当該抗生物質を修飾し、そしてリボソームとの相互作用を防ぐ。
【0212】
・ゼオシン:この新規ブレオマイシンファミリーの抗生物質は、DNA内に介入し、そしてそれを開裂する。ゼオシン耐性遺伝子は、13,655ダルトンのタンパク質をコードする。このタンパク質は、当該抗生物質に結合し、そしてそれをDNAの結合から防ぐことによってゼオシンに対する耐性を付与する。ゼオシンは、多くの好気性細胞に対して有効であり、そして哺乳類の細胞系、酵母及び細菌における選択に使用されうる。
【0213】
真核生物
・ヒグロマイシン:リボソームの転移を混乱させ、そして翻訳ミスを促進することによってタンパク質合成を阻害するアミノサイクリトール。耐性遺伝子(hph)はヒグロマイシンBのリン酸化を解毒する。
【0214】
・ヒスチジノール:ヒスチジンを含まない培地中でのヒスチジルtRNA合成を阻害することによって哺乳類細胞に対して細胞障害性がある。耐性遺伝子(hisD)産物は、ヒスチジノールを必須アミノ酸であるヒスチジンに変換することによってヒスチジノールの毒性を阻害する。
【0215】
・ネオマイシン(G418):リボソーム機能を妨害することによってタンパク質合成を防ぐ。耐性遺伝子ADHはG418を解毒するアミノグリコシドホストトランスフェラーゼをコードする。
【0216】
・ウラシル:ウラシルの生合成に必須の酵素であるオロチジン-5'-リン酸デカルボキシラーゼをコードする変異遺伝子を有する研究室の酵母菌株は、外因性のウラシル無しに増殖することができない。ベクター上に担持されている野生型遺伝子(ura+, S.ポンベ又はURA3 S.セレビシアエ)は、形質転換した細胞において、この欠陥を補完する。
【0217】
・アデノシン:アデノシン合成の欠陥を有する研究室菌株は、野生型遺伝子ADE2を有するベクターによって補完されうる。
【0218】
・アミノ酸:LEU2, TRP1, HIS3又はLYS2の野生型遺伝子を有するベクターは、これらの遺伝子を欠損している酵母菌株を補完するために使用されうる。
【0219】
・ゼオシン:この新規ブレオマイシンファミリーの抗生物質は、DNA内に介入し、そしてそれを開裂する。ゼオシン耐性遺伝子は、13,655ダルトンのタンパク質をコードする。このタンパク質は、当該抗生物質に結合し、そしてそれをDNAの結合から防ぐことによってゼオシンに対する耐性を付与する。ゼオシンは、多くの好気性細胞に対して有効であり、そして哺乳類の細胞系、酵母及び細菌における選択に使用されうる。
【0220】
トランスジェニック細胞
本発明の1つの観点において、多数のカセットを含んで成るコンカテマーは、コンカテマーを維持することができ、且つ発現可能なヌクレオチド配列を協調して発現することができる宿主細胞内に導入される。コンカテマー内に含まれるカセットは宿主細胞から単離され、そして、好ましくはカセット間にコンカテマー制限部位を有するそれらの均一構造に起因して、再構築される。
【0221】
この目的で選択された宿主細胞は、好ましくは、標準的な研究室の条件下で、標準的な培養条件、例えば標準的な培地及びプロトコールを用いて培養可能である。好ましくは、宿主細胞は、コンカテマーを細胞分裂の世代の間維持することができる、実質的に安定な細胞系を含んで成る。宿主細胞の形質転換のための標準的な技術及び、特に宿主細胞内への人工染色体の挿入方法は知られている。
【0222】
これはまた、宿主細胞が、有性組換え(sexual recombination)を実施するために有糸分裂を受けることができる場合にも有利である。また、有糸分裂が細胞培養の外部からの操作を介して制御可能であることも有利である。1つの特に有利な宿主細胞の型は、細胞が、異なる接合型へと外部からの操作を介して操作されうるものである。
【0223】
多数の種のゲノムは、すでに多かれ少なかれ完全に配列決定されており、そして当該配列はデータベース内で見つけることができる。全ゲノムが配列決定された種のリストは一貫して増大している。好ましくは、宿主細胞は、全ゲノム又は本質的に全ゲノムが配列決定された種から成る群から選択される。宿主細胞は、好ましくは、遺伝子、代謝、生理機能に関して文献に色々と記載されている種、例えばゲノム研究に使用されているモデル生物から選択される。
【0224】
宿主生物は、好ましくは、条件付で相同組換えを受ける能力の欠損があるべきである。宿主生物は、好ましくは、ドナー生物のものと類似のコドン使用頻度を有するべきである。更に、ゲノムDNAの場合、真核生物のドナー生物が使用される場合、宿主生物は、ドナーのメッセンジャーRNAを適切に処理する、例えばイントロンをスプライシングする能力を有する。
【0225】
宿主細胞は、細菌、古細菌、又は原核生物であってもよく、そして同種の細胞系又は混合培養を構成することがある。適当な細胞には、遺伝子操作及びタンパク質発現に一般的に使用される細菌及び真核生物の細胞系が含まれる。
【0226】
好ましい原核生物の宿主生物には、限定しないが、エスケリッチャ・コリ(Escherichia coli)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)、ストレプトマイセス・コエリコロー(Streptomyces coelicolor)、シュードモナス・アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)、ミクソコックス・キサンサス(Myxococcus xanthus)、ロドコッカス属(Rhodococcus), ストレプトマイセス属(Streptomycetes), アクチノマイセス属(Actinomycetes), コリネバクテリア属(Corynebacteria), バチルス(Bacillus),シュードモナス属(Pseudomonas), サルモネラ(Salmonella), 及びエルウィニア(Erwinia)が含まれる。E.コリ(E. coli)及びバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)の完全な遺伝子配列は、Blattner et al., Science 277,1454-1462 (1997); Kunst et al., Nature 390,249-256 (1997)に記載されている。
【0227】
好ましい真核生物の宿主生物は、哺乳類、魚類、昆虫、植物、藻類及び真菌である。
【0228】
哺乳類細胞の例は、例えば、サル、マウス、ラット、ハムスター、霊長類、及びヒト由来のものであって、細胞系及び初代培養のものを含む。好ましい哺乳類の宿主細胞には、限定しないが、ヒト、サル及びげっ歯類、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NIH/3T3, COS, 293, VERO, HeLa 等(Kriegler M. in"Gene Transfer and Expression: A Laboratory Manual", New York, Freeman & Co. 1990を参照のこと)、及び幹細胞、例えば胚性幹細胞及び造血性幹細胞、接合体、線維芽細胞、リンパ球、腎臓、肝臓、筋肉、及び皮膚細胞由来のものが含まれる。
【0229】
昆虫細胞の例には、バキュロ・レピドプテラ(baculo lepidoptera)が含まれる。
【0230】
植物細胞の例には、トウモロコシ、コメ、コムギ、コットン、ダイズ、及びサトウキビが含まれる。植物細胞、例えばタバコ及びシロイヌナズナ由来のものが好ましい。
【0231】
真菌の例には、ペニシリウム属(penicillium), アスペルギルス属(aspergillus)、例えばアスペルギルス・ニジュランス(Aspergillus nidulans)、ポドスポラ属(podospora)、ニューロスポラ属(neurospora)、例えばニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)、サッカロマイセス属(saccharomyces)、例えばサッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)(出芽酵母)、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)(分裂酵母)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)及びハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)(メタノール資化性酵母)が含まれる。
【0232】
好ましい態様において、宿主細胞は酵母細胞であり、そして適当な酵母宿主細胞の例示的であって限定的でないリストには、パン酵母, クルイベロマイセス・マリキシャヌス(Kluyveromyces marxianus), K.ラクチス(K. lactis), , カンジダ・ウチリス(Candida utilis), ファフィア・ロドザイマ(Phaffia rhodozyma), サッカロマイセス・ボウラジイ(Saccharomyces boulardii), ピキア・パストリス(Pichia pastoris), ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha), ヤロウィア・リポリチカ(Yarrowia lipolytica), カンジダ・パラフィニカ(Candida paraffinica), シュワニオマイセス・カステリイ(Schwanniomyces castellii), ピキア・スチピチス(Pichia stipitis), カンジダ・シェハタエ(Candida shehatae), ロドトルラ・グルチニス(Rhodotorula glutinis), リポマイセス・リポフェル(Lipomyces lipofer), クリプトコッカス・クルバツス(Cryptococcos curvatus), カンジダ種(Candida spp)(例えば、C.パルミオレオフィリア(C. palmioleophila)), ヤロウィア・リポリチカ(Yarrowia lipolytica), カンジダ・ギリエルモンジイ(Candida guilliermondii), カンジダ属(Candida), ロドトルラ種(Rhodotorula spp), サッカロマイセス種(Saccharomycopsis spp)., アウレオバシジウム・プルランス(Aureobasidium pullulans), カンジダ・ブルンプチイ(Candida brumptii), カンジダ・ハイドロカーボフマリカ(Candida hydrocarbofumarica), トルロプシス属(Torulopsis), カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis), サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae), ロドトルラ・ルブラ(Rhodotorula rubra), カンジダ・フラベリ(Candida flaveri), エレモテシウム・アシュビイ(Eremothecium ashbyii), ピキア種(Pichia spp.), ピキア・パストリス(Pichia pastoris), クルイベロマイセス属(Kluyveromyces), ハンセヌラ属(Hansenula), クロエケラ属(Kloeckera), ピキア属(Pichia), パチソレン種(Pachysolen spp.), 又はトルロプシス・ボンビコラ(Torulopsis bombicola)が含まれる。
【0233】
宿主の選択は、操作される宿主の使用目的に依存する多数の因子、例えば病原性、基質の範囲、環境的な耐久性、重要な中間物質の存在、遺伝子操作のしやすさ、及び他の生物に対する遺伝子情報の無秩序な伝達の可能性、に依存する。特に有利な宿主は、E.コリ、ラクトバシル(lactobacilli),ストレプトマイセス属(Streptomycetes), アクチノマイセス属(Actinomycetes)及び糸状菌である。
【0234】
いずれの宿主細胞においても、全ての可能性がある種に由来する発現可能なヌクレオチド配列の種々の組み合わせを作り出すことが可能である。更に、まったく同一の発現可能なヌクレオチド配列と組み合わせたプロモーター及び/又はスペーサー及び/又はイントロン及び/又はターミネーターの組み合わせを作り出すことも可能である。
【0235】
従って、いずれの細胞においても、2つの異なる発現状態に由来する発現可能なヌクレオチド配列が存在することもある。更に、これらの2つの異なる発現状態は、1つの種、又は有利には2つの異なる種に由来していてもよい。いずれの宿主細胞も、少なくとも3個の種、例えば少なくとも4、5、6、7、8、9又は10個の種、又は15個以上の種、例えば20個以上の種、例えば30、40又は50個以上の種、例えば100個の異なる種、例えば300個以上の異なる種、例えば500個以上の異なる種、例えば1000個以上の異なる種、に由来する発現可能なヌクレオチド配列を含んで成ることがあり、それによって多数の種から多数の発現可能なヌクレオチド配列が得られる。この方法においては、潜在的に限定しない数の発現可能なヌクレオチドの組み合わせが、異なる発現状態を超えて組み合わされうる。これらの異なる発現状態は、少なくとも2つの異なる組織、例えば少なくとも2つの器官、例えば少なくとも2つの種、例えば少なくとも2つの属を表すことがある。異なる種は、少なくとも2つの異なる門、例えば少なくとも2つの異なる綱、例えば少なくとも2つの異なる門、更に好ましくは少なくとも2つの異なる亜界、例えば少なくとも2つの異なる界に由来することがある。
【0236】
これらの種のうちの任意な2つが、2つの異なる綱、例えば2つの異なる門、更に好ましくは2つの異なる亜界、例えば2つの異なる界、に由来することがある。従って、発現可能なヌクレオチド配列は、真核生物と原核生物から全く同一の細胞へと統合されることもある。
【0237】
本発明の別の態様に従い、発現可能なヌクレオチド配列は全く同一の発現状態に由来することもある。これらの配列の産物は、宿主細胞の遺伝子産物と相互作用することがあり、そして新規な生化学的経路へと導く新規な酵素の組み合わせを形成することがある。更に、発現可能なヌクレオチド配列を多数のプロモーターの支配下に置くことによって、協調して遺伝子群を切り換えることができるようになる。1つの発現状態のみに由来する発現可能なヌクレオチド配列を用いてこれを行うことによって、新規な遺伝子の組み合わせも発現する。
【0238】
1つの細胞におけるコンカテマーの数は、細胞あたり少なくとも1個のコンカテマー、好ましくは細胞あたり少なくとも2個のコンカテマー、更に好ましくは細胞あたり少なくとも3個のコンカテマー、例えば細胞あたり4個、更に好ましくは細胞あたり少なくとも5個、例えば細胞あたり少なくとも5個、例えば細胞あたり少なくとも6個、例えば細胞あたり7個、8個、9個又は10個、例えば細胞あたり10個以上であってもよい。上述のように、各コンカテマーは、好ましくは最大1000個のカセットを含んで成ることもあり、そして1つのコンカテマーが最大2000個のカセットを含んで成ることも予見される。1つの細胞内に最大10個のコンカテマーを挿入することによって、この細胞は、適当な条件のもと制御可能なプロモーターの制御によって切り換えられうる最大20,000個の異種の発現可能な遺伝子にエンリッチメントされることもある。
【0239】
しばしば、2〜4個の人工染色体がそれぞれ、遺伝子の1つのコンカテマーを含むように挿入される、10〜1000個の異種遺伝子、例えば20〜900個の異種遺伝子、例えば30〜800個の異種遺伝子、例えば40〜700個の異種遺伝子、例えば50〜600個の異種遺伝子、例えば60〜300個の異種遺伝子又は100〜400個の異種遺伝子、を随所に有する細胞を提供することがより好ましい。当該遺伝子は、有利には、細胞内の1〜10個、例えば2〜5個の異なるコンカテマー上に位置していることがある。各コンカテマーは、有利には、10〜1000個の遺伝子、例えば10〜750個の遺伝子、例えば10〜500個の遺伝子、例えば10〜200個の遺伝子、例えば20〜100個の遺伝子、例えば30〜60個の遺伝子、又は50〜100個の遺伝子を含んで成ることもある。
【0240】
コンカテマーは、任意な既知の形質転換技術に従い、好ましくは安定的で且つ一過性でない宿主細胞の形質転換を保証するような形質転換技術に従い、宿主細胞内に挿入されうる。従って、コンカテマーは人工染色体として挿入されることがあり、これらは、それらが分裂し、又は宿主細胞の染色体内に挿入されうる際に、当該細胞によって複製される。コンカテマーはまた、プラスミド、例えばプラスミドベクター、ファージベクター、ウイルスベクター、コスミドベクターの形態で挿入されることがあり、これらは、それらが分裂する際に当該細胞によって複製される。3つの挿入法の任意な組み合わせも可能である。1又は複数のコンカテマーが、プラスミド又は人工染色体として挿入されることがある。1又は複数のコンカテマーが人工染色体として挿入されることがあり、そして1又は複数のものがプラスミドを介して同一細胞内に挿入されることがある。
【実施例】
【0241】
実施例1
実施例1〜3において、Asc1部位は、粘着末端がpEVEベクターのカセットのAsc1部位(=本特許の一般式のRS2)に適合するように、C4 (Sigma, Burke DT et al. 1987, Science vol 236, p 806)のEcoR1部位内に導入された。
【0242】
サイズ分画を含むEVAC(進化可能な人工染色体(EVolvable Artificial Chromosomes))の調製
pYAC4-Ascアームの調製
1.150 mlのLB (sigma)にpYAC4-Ascを含むE. コリ DH5aαの単一コロニーを播種する。
2. OD600〜1まで増殖させ、細胞を採集し、そしてプラスミドを調製する。
3. 100μgのpYAC4-AscをBamH1及びAsc1で消化する。
4. フラグメントを脱リン酸化し、そしてホスファターゼを熱不活性化する(20分、80℃)。
5. フラグメントを精製する(例えばQiaquick Gel Extractionキット)。
6. フラグメントの量を推定するために1%アガロースゲルに流す。
【0243】
発現カセットの調製
1. 100μgのプラスミド調製物を以下の各ライブラリー
a) pMA-CAR
b) pCA-CAR
c) ファフィア(phaffia) cDNAライブラリー
d) キャロット(carrot) DNAライブラリーから採取する。
2. Srf1で消化する(10ユニット/調製物, 37℃で一晩)。
3. 脱リン酸化する(10ユニット/調製物, 37℃, 2時間)。
4. 80℃で20分間熱不活性化する。
5. 濃縮し、そして緩衝液を交換する(沈殿又は限外ろ過)。
6. Asc1で消化する(10 ユニット/調製物, 37℃, 一晩)。
7. 調製物の体積を100μlに調整する。
【0244】
EVACのゲルろ過
異なる型のEVACが、ライゲーション反応に投入する異なるライブラリーの比率を変化させることによって生成された。
【0245】
【表2】

【0246】
1. 100μgのカセット混合物あたり100 ng未満のpYAC4-Ascアームを添加する。
2. 33.5μL未満に濃縮する。
3. 2.5 ユニットのT4 DNA-リガーゼ+ 4μL 10x リガーゼ緩衝液を添加する。40μLに調整する。
4. 16℃で3時間ライゲーションする。
5. 2μLの500 mM EDTAを添加することによって反応を停止させる。
6. 反応液の体積を125μLにし、25μLのローディングミックスを添加し、60℃で5分間過熱する。
7 1 % LMPアガロースゲルの10個の穴に均一に分配する。
8. パルスフィールドゲルに流す(CHEF III, 1 % LMPアガロース, 1/2xTBE (BioRad), 角度 120度, 温度12℃, 電圧5.6V/cm, 5〜25秒に及ぶスイッチタイム, ランタイム30時間)。
9. 分子量マーカー+品質チェック用の1つのサンプルレーンを含むゲルの一部を染色する。
10. 97〜194 kb (画分1);194〜291 kb (画分 2); 291〜365 kb (画分 3)に相当する残りの9個のサンプルレーンをゲルから切り出す。
11. 高濃度のNaClアガラーゼ緩衝液(1 u のアガラーゼ/100μgゲル)中で40℃で3時間、ゲルをアガラーゼ処理する。
12. 20μL未満に濃縮する。
13. アルカリ/カチオン形質転換を用いて、調製物で適当な酵母を形質転換する。
14. 選択的最小培地上でプレーティングする。
15. 30℃で4〜5日間とインキュベートする。
16. コロニーをピッキングする。
17. コロニーを解析する。
【0247】
実施例2
直接的な形質転換を含むEVAC(進化可能な人工染色体)の調製
pYAC4-Ascアームの調製
1.150 mlのLB (sigma)にpYAC4-Ascを含むE. コリ DH5aαの単一コロニーを播種する。
2. OD600〜1まで増殖させ、細胞を採集し、そしてプラスミドを調製する。
3. 100μgのpYAC4-AscをBamH1及びAsc1で消化する。
4. フラグメントを脱リン酸化し、そしてホスファターゼを熱不活性化する(20分、80℃)。
5. フラグメントを精製する(例えばQiaquick Gel Extractionキット)。
6. フラグメントの量を推定するために1%アガロースゲルに流す。
【0248】
発現カセットの調製
1. 100μgのプラスミド調製物を以下の各ライブラリー
a) pMA-CAR
b) pCA-CAR
c) ファフィア(phaffia) cDNAライブラリー
d) キャロット(carrot) DNAライブラリーから採取する。
2. Srf1で消化する(10ユニット/調製物, 37℃で一晩)。
3. 脱リン酸化する(10ユニット/調製物, 37℃, 2時間)。
4. 80℃で20分間熱不活性化する。
5. 濃縮し、そして緩衝液を交換する(沈殿又は限外ろ過)。
6. Asc1で消化する(10 ユニット/調製物, 37℃, 一晩)。
7. 調製物の体積を100μlに調整する。
【0249】
EVACの調製
異なる型のEVACが、ライゲーション反応に投入する異なるライブラリーの比率を変化させることによって生成された。
【0250】
【表3】

【0251】
1. 32μL未満に濃縮する。
2. 1 ユニットのT4 DNA-リガーゼ+ 4μL 10x リガーゼ緩衝液を添加する。40μLに調整する。
3. 16℃で2時間ライゲーションする。
4. 2μLの500 mM EDTAを添加することによって反応を停止させ、60℃で20分熱不活性化する。
5. 反応液の体積を蒸留水で500μLにし、30μLに濃縮する。
6. 10 UのAsc1, 4 uLの10X Asc1緩衝液を添加し、40μLにする。
7 37℃で1時間インキュベートする(あるいは15分、30分)。
8.60℃で20分熱不活性化する。
9. 2μgのAC4-Ascアーム, 1 UのT4 DNA リガーゼ, 10 uLの10Xリガーゼ緩衝液を添加し、100μLにする。
10. 16℃でインキュベートする。
11. 水を添加して500μLにする。
12. 20μLに濃縮する。
13. アルカリ/カチオン形質転換を用いて、調製物で適当な酵母を形質転換する。
14. 選択的最小培地上でプレーティングする。
15. 30℃で4〜5日間とインキュベートする。
16. コロニーをピッキングする。
17. コロニーを解析する。
【0252】
実施例3
EVAC(進化可能な人工染色体)の調製(小規模な調製)
発現カセットの調製
1. 5 mlのLB-培地(Sigma) に10倍表示のライブラリーに相当するライブラリーの播種材料を播種する。一晩増殖させる。
2. 1.5mlの培養液からプラスミドをミニプレップする(例えばQiaprep スピンミニプレップキット)。
3. Srf 1でプラスミドを消化する。
4. フラグメントを脱リン酸化し、そしてホスファターゼを熱不活性化する(20分、80℃)。
5. Asc1で消化する。
6. フラグメントの量を推定するために、1%アガロース中に1/10の反応液を流す。
【0253】
pYAC4-Ascアームの調製
1.150 mlのLB (sigma)にpYAC4-Ascを含むE. コリ DH5aαの単一コロニーを播種する。
2. OD600〜1まで増殖させ、細胞を採集し、そしてプラスミドを調製する。
3. 100μgのpYAC4-AscをBamH1及びAsc1で消化する。
4. フラグメントを脱リン酸化し、そしてホスファターゼを熱不活性化する(20分、80℃)。
5. フラグメントを精製する(例えばQiaquick Gel Extractionキット)。
6. フラグメントの量を推定するために1%アガロースゲルに流す。
【0254】
EVACの調製
1. カセット/アーム比が1000/1未満となるように、発現カセットフラグメントをYAC-アームと混合する。
2. 必要に応じて、フラグメント濃度が75 ng/μL反応液となるように、混合物を濃縮する(例えば、Microcon YM30を用いる)。
3. 1ユニットのT4 DNA-リガーゼを添加し、16℃で1〜3時間ライゲーションする。1μLの500 mM EDTAを添加することによって反応を停止させる。
4.パルスフィールドゲルに流す(CHEF III, 1 % LMPアガロース, 1/2xTBE, 角度 120度, 温度12℃, 電圧5.6V/cm, 5〜25秒に及ぶスイッチタイム, ランタイム30時間)。2個のレーンに試料を添加する。
5. 分子量マーカーを含むゲルの一部を染色する。
6. 分子量100〜200kbに相当するサンプルレーンをゲルから切り出す。
7. 高濃度のNaClアガラーゼ緩衝液(1 u のアガラーゼ/100mgゲル)中でゲルをアガラーゼ処理する。
8. 20μL未満に濃縮する。
9. アルカリ/カチオン形質転換を用いて、調製物で適当な酵母を形質転換する。
10. 選択的最小培地上でプレーティングする。
11. 30℃で4〜5日間とインキュベートする。
12. コロニーをピッキングする。
【0255】
実施例4:EVACの生成において使用されるcDNAライブラリー
1.Daucus carota, キャロットルートライブラリー
・完全長
・オリゴdT プライミングした、ディレクショナルcDNA ライブラリー
・3個のEvolva EVE 4,5及び8ベクター(図4,5,6)のプールを用いて作成したcDNAライブラリー
・独立したクローンの数:41.6 x 106
・平均サイズ: 0.9-2.9 kb
・存在している異なる遺伝子数5000-10000個
【0256】
2. ザントフィロマイセス・デンドロロウス(Xanthophyllomyces dendrorhous), (酵母), hole生物ライブラリー
・完全長
・Oligo dTプライミングした、ディレクショナルcDNAライブラリー
・3個のEvolva EVE 4,5及び8ベクター(図4,5,6)のプールを用いて作成したcDNAライブラリー
・独立したクローンの数:48.0 x 106
・平均サイズ: 1.0-3.8 kb
・存在している異なる遺伝子数5000-10000個
【0257】
3. 標的カロテノイド遺伝子cDNAライブラリー
・完全長且つ均一
・ディレクショナル cDNAクローニング
・3個のEvolva EVE 4,5及び8ベクター(図4,5,6)のプールを用いて作成したcDNAライブラリー
・異なる遺伝子の数:48個
・使用した種及び遺伝子
・リンドウ種(Gentiana sp), ggps, psy, pds, zds, Icy-b, Icy-e, bhy, zep
・ロドバクター・カプスラツス(Rhodobacter capsulatus), idi, crtC, crtF
・エルウィニア・ウレドボラ(Erwinia uredovora), crtE, crtB, crti, crtY, crtZ
・ノストク・アナバエアナ(Nostoc anabaena), zds
・シネコッカス(Synechococcus)PCC7942, pds
・エルウィニア・ヘルビコラ(Erwinia herbicola), crtE, crtB, crtI, crtY, crtZ
・スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus), crtM, crtN
・ザントフィロマイセス・デンドロロウス(Xanthophyllomyces dendrorhous), crtl, crtYb
・カプシカム・アンヌウム(Capsicum annuum), ccs, crtL
・ニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum), crtL, bchy
・プロクロコッカス種(Prochlorococcus sp.), Icy-b, Icy-e
・サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae), idi
・コリネバクテリウム種(Corynebacterium sp.), crtl, crtYe, crtYf, crtEb
・リコペリシコン・エスキュレンタム(Lycopersicon esculentum), psy-1
・ニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa), al1
【0258】
実施例5:EVACの形質転換
実施例5a:形質転換
1. 単一のコロニーを100 mlのYPDブロス内に播種し、そして通気しながら30℃で2 x 106〜2 x 107個の細胞/mlに増殖させる。
2. 細胞をペレットにするために、400 x gで5分間遠心し;上清を捨てる。
3. 合計9 ml TE(pH 7.5)中で再懸濁する。細胞をペレットにするために遠心し、そして上清を捨てる。
4. 5 mlの0.1 M 酢酸リチウム/セシウム溶液(pH 7.5)中で穏やかに細胞を再懸濁する。
5. 穏やかに振とうしながら30℃で1時間インキュベートする。
6. 細胞をペレットにするために、400 x gで5分間遠心し、そして上清を捨てる。
7. 1LのTE(pH 7.5)中で穏やかに再懸濁する。.細胞はこれで形質転換の準備完了である。
8. 1.5 mlのチューブにおいて
・100μlの酵母細胞
・5μlのキャリアーDNA (10 mg/ml)
・5μlのヒスタミン溶液
・10μlの体積(最大)中1/5 量のEVAC調製物(1つのEVAC調製物は、100μgのコンカテマー化反応混合物から作られる)
9.穏やかに混合し、そして室温で30分間インキュベートする。
10.別々のチューブ内で、各形質転換反応液につき、0.8 ml 50% (w/v) PEG 4000及び0.1 mlのTE 及び0.1 mlの1 M LiAcを一緒にする。1 mlのこのPEG/TE/LiAc混合物を各形質転換反応液に添加する。穏やかにピペッティングしながら細胞を溶液中に混合させる。
11. 1時間30℃でインキュベートする。
12. 42℃で15分間熱ショックを与え;30℃に冷却する。
13. 微量遠心機内で、高速で5秒間細胞をペレットにし、そして上清を除去する。
14. 200μlの高濃度の培養液を再懸濁し、そして適当な選択的培地中にプレーティングする。
15. 形質転換コロニーが出現するまで、30℃で48〜72時間インキュベートする。
【0259】
実施例5b:エレクトロポレーションを用いてのEVACの形質転換
100 mlのYPDに1つの酵母のコロニーを接種し、そしてOD600 = 1.3〜1.5にまで増殖させる。培養物を4000 x g 、4℃で遠心することによって採集する。細胞を16mlの滅菌水中で再懸濁する。2 mlの10 x TE 緩衝液(pH 7.5)を添加し、そして回転させて混合する。30℃で45分穏やかに振とうする。回転させながら1.0 mlの0.5 M DTEを添加する。30℃で穏やかに15分間振とうする。酵母の懸濁液を滅菌水で100mlに希釈する。細胞を洗浄し、そして4000 x gで遠心し、50mlの氷冷した滅菌水中で再懸濁し、4000 x gで遠心し、5mlの氷冷した滅菌水中で再懸濁し、4000 x gで遠心し、そしてペレットを0.1mlの氷冷した滅菌1Mソルビトール中で再懸濁することによって濃縮する。エレクトロポレーションは、Bio-Rad Gene Pulserを用いて行った。滅菌した1.5mlの微量遠心管中で、40μlの濃縮された酵母細胞を5μlの1:10に希釈したEVAC調製物と混合した。酵母ーDNA混合物を氷冷した0.2-cm-ギャップの使い捨てのエレクトロポレーションキュベットに移し、そして1.5 kV, 25 F, 200Ωでパルスにかけた。1mlの氷冷した1Mソルビトールをキュベットに添加し、そして酵母を回収する。アリコートを1Mソルビトールを含む選択的プレート上に広げる。コロニーが出現するまで30℃でインキュベートする。
【0260】
実施例6:レア制限酵素と認識配列及び開裂点
本実施例において、レア制限酵素をそれらの認識配列及び開裂点と一緒に列記する。(^)は開裂点の5'-3'配列を示し、そして(_)は相補配列の開裂点を示す。
W=A又はT ; N=A, C, G, 又はT
6a) 独特なパリンドロームのオーバーハング
【0261】
【表4】

【0262】
6b) オーバーハング無し
【0263】
【表5】

【0264】
6c) パリンドローム無し及び/又は変化する可能性があるオーバーハング
【0265】
【表6】

【0266】
6d) メガヌクレアーゼ
【0267】
【表7】

【0268】
これ以外のメガヌクレアーゼも同定されているが、それらの正確な認識配列は決定されていない。例えば、www. meganuclease. comを参照のこと。
【0269】
実施例 7:コンカテマーのサイズ限定実験(ストッパーの使用)
使用した材料:
pYAC4 (Sigma. Burke et al. 1987, science, vol 236, p 806) をEcoR1及びBamH1で消化し、そして脱リン酸化したpSE420 (invitrogen)を、EcoR1を用いて直鎖化し、そしてコンカテマー化のためのモデルフラグメントとして使用した。
T4 DNA リガーゼ(Amersham-pharmacia biotech)を、取扱説明書に従い、ライゲーションに使用した。
【0270】
方法:フラグメントとアームを図9a及び9bに示した比率(濃度は任意の単位である)で混合した。ライゲーションを16℃で1時間進行させた。反応を1μLの500 mM EDTAの添加によって停止させた。生成物を標準的なアガロースGE(1 % アガロース, 1/2 x TBE)によって、又は PFGE(CHEF iii, 1% LMP アガロース, 1/2 xTBE, 角度 120度, 温度12℃, 電圧5.6V/cm, 5〜25秒に及ぶスイッチタイム, ランタイム30時間)によって解析した。
【0271】
当該結果を図9に示すが、この中で、コンカテマーのサイズはYACアームあたりのカセットの比率に比例している。
【0272】
実施例8:人工染色体内への発現カセットの組込み
YAC12内への発現カセットの組込みは、本質的にSears D. D., Hieter P., Simchen G., Genetics, 1994,138,1055-1065にて行われたように行った。
【0273】
Asc部位を組込みベクターpGS534 及び pGS525のBgl II 部位に導入した。
【0274】
βーガラクトシダーゼ遺伝子、並びにエルウィニア・ウレドロバ(Erwinia Uredovora)由来のcrtE, crtB, crtl及びcrtYをpEVE4内にクローニングした。これらの発現カセットを、修飾した組込みベクターpGS534及びpGS525のAscIにライゲーションした。
【0275】
発現カセットを含む、直鎖化したpGS534及びpGS525で、Ade"遺伝子を担持する適当な標的YACを含む単相体の酵母菌株を形質転換した。赤いAde-形質転換体を選択した(親の宿主菌株は、ade2-101の突然変異により赤い)。
【0276】
βーガラクトシダーゼの発現カセットの正確な組込みの追加の確認は、βーガラクトシダーゼアッセイを用いて行った。
【0277】
実施例9:細胞あたり少なくとも2つの人工染色体を得るための、すでに人工染色体を含む細胞の再形質転換
YAC12を含む酵母菌株(Sears D. D., Hieter P., Simchen G., Genetics, 1994, 138, 1055-1065) は、実施例4aに記載のプロトコールに従い、EVACで形質転換した。形質転換細胞は、YAC12及びEVACの両方を含む細胞を選択するプレート上にプレーティングされた。
【0278】
実施例10:異なる発現条件下で同一の酵母クローンを用いて得られた異なる発現パターンの「表現型」の例
クローンを滅菌した楊枝でピッキングし、そして4つの抑制され、そして/あるいは誘導された条件(-Ura/-Trp,-Ura/Trp/-Met,-Ura/-Trp/+200μM Cu2SO4,-Ura/-Trp/-MeV+200μM Cu2S04)に相当するプレート上に逐次ストリーキングした。20 mgのアデニンを、オーカーの表現型を抑制するために培地に加えた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個々の細胞のコレクションを含んで成るライブラリーであって、当該細胞が
細胞1、細胞2・・・・、細胞i(ここで、i≧2である)で表され、
各細胞が個々のオリゴヌクレオチドカセットのうちの少なくとも1つのコンカテマーを含んで成り、
各コンカテマーが以下の式:
[rs2-SP-PR-X-TR-SP-rs1]n
(ここで、
rs1とrs2は共に制限部位を表し、
SPは少なくとも2つの塩基のスペーサーを表し、
Xは発現可能なヌクレオチド配列を表し、
PRは、細胞内でXの発現を制御することができるプロモーターを表し、
TRはターミネーターを表し、そして
n≧2であり、そして
細胞1の少なくとも1つのコンカテマーが細胞2のコンカテマーと異なる)
のヌクレオチド配列を含んで成る、ライブラリー。
【請求項2】
各細胞のコンカテマーが少なくとも第一カセット及び第二カセットを含んで成り、前記第一カセットが第二カセットと異なる、請求項1に記載のライブラリー。
【請求項3】
コンカテマーの実質的に全てのカセットが異なる、請求項1に記載のライブラリー。
【請求項4】
ライブラリーの実質的に全ての細胞が異なる、請求項1に記載のライブラリー。
【請求項5】
前記ライブラリーがサブライブラリーのコレクションを含んで成る、請求項1に記載のライブラリー。
【請求項6】
サブライブラリーが少なくとも1つの共通の表現型を有する個々の細胞のコレクションである、請求項5に記載のライブラリー。
【請求項7】
少なくとも1つの表現型が、異例な基質上での増殖能、亜致死性濃度の毒上での増殖能、高温での増殖能、低温での増殖能、上昇した浸透圧での増殖能、低浸透圧での増殖能、高塩濃度での増殖能、低塩濃度での増殖能、上昇した金属濃度での増殖能、高CO2濃度での増殖能、低CO2濃度での増殖能、高O2濃度での増殖能、低O2濃度での増殖能、特別な分光特性を提供する能力、特別な色を提供する能力、逸脱しているGST活性を有する能力、逸脱しているP450活性を有する能力、を含んで成る群から選択される、請求項6に記載のライブラリー。
【請求項8】
サブライブラリーが個々の細胞のコレクションであり、前記細胞が、少なくとも1つの同一の発現可能なDNA配列のために、異なるプロモーターを有する、請求項6に記載のライブラリー。
【請求項9】
サブライブラリーが個々の細胞のコレクションであり、各細胞が、コンカテマーの少なくとも1つのカセット内に、同一の発現可能なDNA配列を有する、請求項6に記載のライブラリー。
【請求項10】
少なくとも20個の個々の細胞、例えば少なくとも50個の個々の細胞、を含んで成る、請求項1に記載のライブラリー。
【請求項11】
少なくとも100個の個々の細胞、例えば少なくとも1,000個の細胞、例えば少なくとも10,000個の細胞、例えば100,000個の細胞、例えば少なくとも1,000,000個の細胞、例えば1,000,000,000個の細胞を含んで成る、請求項1に記載のライブラリー。
【請求項12】
1つの種に由来する細胞のコレクションを含んで成る、請求項1に記載のライブラリー。
【請求項13】
前記種が原核生物の種又はそれらの変異体から選択される、請求項12に記載のライブラリー。
【請求項14】
前記原核生物種が、エスケリッチャ・コリ(Escherichia coli)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)、ストレプトマイセス・コエリコロー(Streptomyces coelicolor)、シュードモナス・アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)、ミクソコックス・キサンサス(Myxococcus xanthus)から選択される、請求項13に記載のライブラリー。
【請求項15】
前記原核生物種がE.コリから選択される、請求項14に記載のライブラリー。
【請求項16】
前記種が真核生物種又はそれらの変異体から選択される、請求項1に記載のライブラリー。
【請求項17】
前記真核生物種が、哺乳類、昆虫、脊椎動物、植物、真菌、酵母;フィラメンタス・アスコマイセテス(Filamentous ascomycetes)、例えばニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)及びアスペルギルス・ニジュランス(Aspergillus nidulans);植物細胞、例えばタバコ及びシロイヌナズナ由来のもの;哺乳類宿主細胞;ヒト、サル及び齧歯類由来のもの、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NIH/3T3, COS, 293, VERO, HeLa、から選択される、請求項16に記載のライブラリー。
【請求項18】
前記真核生物種が酵母又はそれらの変異体から選択される、請求項16に記載のライブラリー。
【請求項19】
前記酵母が、出芽酵母, クルイベロマイセス・マリキシャヌス(Kluyveromyces marxianus), K.ラクチス(K. lactis), , カンジダ・ウチリス(Candida utilis), ファフィア・ロドザイマ(Phaffia rhodozyma), サッカロマイセス・ボウラジイ(Saccharomyces boulardii), ピキア・パストリス(Pichia pastoris), ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha), ヤロウィア・リポリチカ(Yarrowia lipolytica), カンジダ・パラフィニカ(Candida paraffinica), シュワニオマイセス・カステリイ(Schwanniomyces castellii), ピキア・スチピチス(Pichia stipitis), カンジダ・シェハタエ(Candida shehatae), ロドトルラ・グルチニス(Rhodotorula glutinis), リポマイセス・リポフェル(Lipomyces lipofer), クリプトコッカス・クルバツス(Cryptococcos curvatus), カンジダ種(Candida spp)(例えば、C.パルミオレオフィリア(C. palmioleophila)), ヤロウィア・リポリチカ(Yarrowia lipolytica), カンジダ・ギリエルモンジイ(Candida guilliermondii), カンジダ属(Candida), ロドトルラ種(Rhodotorula spp), サッカロマイセス種(Saccharomycopsis spp)., アウレオバシジウム・プルランス(Aureobasidium pullulans), カンジダ・ブルンプチイ(Candida brumptii), カンジダ・ハイドロカーボフマリカ(Candida hydrocarbofumarica), トルロプシス属(Torulopsis), カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis), サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae), ロドトルラ・ルブラ(Rhodotorula rubra), カンジダ・フラベリ(Candida flaveri), エレモテシウム・アシュビイ(Eremothecium ashbyii), ピキア種(Pichia spp.), ピキア・パストリス(Pichia pastoris), クルイベロマイセス属(Kluyveromyces), ハンセヌラ属(Hansenula), クロエケラ属(Kloeckera), ピキア属(Pichia), パチソレン種(Pachysolen spp.), 又はトルロプシス・ボンビコラ(Torulopsis bombicola)、あるいはそれらの変異体を含んで成る群から選択される、請求項18に記載のライブラリー。
【請求項20】
実質的に全てのrs1-rs2配列が同一の制限酵素によって認識され、更に好ましくは実質的に全てのrs1-rs2配列が実質的に同一である、請求項1〜19のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項21】
少なくとも1つの細胞内の少なくとも1つのコンカテマーのnが、更に好ましくは実質的に全ての細胞内の実質的に全てのコンカテマーのnが、少なくとも10、例えば少なくとも15、例えば少なくとも20、例えば少なくとも25、例えば少なくとも30、例えば少なくとも30〜60又は60以上、例えば少なくとも75、例えば少なくとも100、例えば少なくとも200、例えば少なくとも500、例えば少なくとも750、例えば少なくとも1000、例えば少なくとも1500、例えば少なくとも2000である、請求項1〜20のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項22】
少なくとも1つの細胞が、更に好ましくは実質的に全ての細胞が、細胞あたり2個のコンカテマーを含んで成り、更に好ましくは細胞あたり3個、例えば細胞あたり4個である、請求項1〜21のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項23】
1つの細胞内の少なくとも1つのカセットが、プロモーターと発現可能なヌクレオチド配列との間にイントロンを含んで成り、更に好ましくは実質的に全ての細胞内の実質的に全てのカセットが、プロモーターと発現可能なヌクレオチド配列との間にイントロンを含んで成る、請求項1〜22のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項24】
差異が、スペーサー配列及び/又はプロモーター、及び/又は発現可能なヌクレオチド配列及び/又はイントロン及び/又はターミネーターにある、請求項1に記載のライブラリー。
【請求項25】
異なる発現可能なヌクレオチド配列が同一の、又は異なる発現状態に由来する、請求項24に記載のライブラリー。
【請求項26】
異なる発現状態が、少なくとも2つの異なる組織、例えば少なくとも2つの器官、例えば少なくとも2つの種、例えば少なくとも2つの属を表す、請求項25に記載のライブラリー。
【請求項27】
異なる種が、少なくとも2つの門(phylum)、例えば少なくとも2つの異なる綱、例えば少なくとも2つの異なる門(division)、更に好ましくは少なくとも2つの異なる亜界、例えば少なくとも2つの異なる界に由来する、請求項26に記載のライブラリー。
【請求項28】
少なくとも1つのコンカテマーのヌクレオチド配列、好ましくは実質的に全てのコンカテマー由来のヌクレオチド配列が、任意な1つのコンカテマー内の反復配列のレベルを最小化するために設計されている、請求項1〜27のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項29】
発現可能なヌクレオチド配列内の組換えが最小化されている、請求項28に記載のライブラリー。
【請求項30】
少なくとも1つのコンカテマーが、プラスミド又は組込みベクター、例えばプラスミドベクター、ファージベクター、ウイルスベクター又はコスミドベクター内に組み込まれる、請求項1〜29のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項31】
少なくとも1つのコンカテマーが宿主ゲノム内に組み込まれる、請求項30に記載のライブラリー。
【請求項32】
少なくとも1つのコンカテマーが宿主ゲノムの人工染色体内に組み込まれる、請求項30に記載のライブラリー。
【請求項33】
制限部位が、認識配列内に少なくとも7個の塩基、更に好ましくは少なくとも8個の塩基、例えば少なくとも9個の塩基、例えば少なくとも10個の塩基、を有するレア制限部位を含んで成る、請求項1〜32のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項34】
rs1 rs2制限部位を認識する制限酵素が、二本鎖ヌクレオチド配列の開裂により粘着末端を生成し、好ましくは当該粘着末端が既定のヌクレオチド配列を有する、請求項1〜33のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項35】
スペーサー配列が一緒に、少なくとも100塩基、例えば少なくとも250塩基、例えば少なくとも300塩基、例えば少なくとも400塩基、例えば少なくとも500塩基、例えば少なくとも750塩基、例えば少なくとも1000塩基、例えば少なくとも1100塩基、例えば少なくとも1200塩基、例えば少なくとも1300塩基、例えば少なくとも1400塩基、例えば少なくとも1500塩基、例えば少なくとも1600塩基、例えば少なくとも1700塩基、例えば少なくとも1800塩基、例えば少なくとも1900塩基、例えば少なくとも2000塩基、例えば少なくとも2100塩基、例えば少なくとも2200塩基、例えば少なくとも2300塩基、例えば少なくとも2400塩基、例えば少なくとも2500塩基、例えば少なくとも2600塩基、例えば少なくとも2700塩基、例えば少なくとも2800塩基、例えば少なくとも2900塩基、例えば少なくとも3000塩基、例えば少なくとも3200塩基、例えば少なくとも3500塩基、例えば少なくとも3800塩基、例えば少なくとも4000塩基、例えば少なくとも4500塩基、例えば少なくとも5000塩基、例えば少なくとも6000塩基、を含んで成る、請求項1〜34のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項36】
スペーサー配列のうちの少なくとも1つが、100〜2500塩基、好ましくは200〜2300塩基、更に好ましくは300〜2100塩基、例えば400〜1900塩基、更に好ましくは500〜1700塩基、例えば600〜1500塩基、更に好ましくは700〜1400塩基を含んで成る、請求項35に記載のライブラリー。
【請求項37】
個々の細胞コレクションを含んで成るライブラリーであって、当該細胞が
細胞1、細胞2・・・・、細胞i(ここで、i≧2である)で表され、
各細胞が、以下の式:
[rs2-SP-PR-X-TR-SP-rs1]n
(ここで、
rs1とrs2は共に制限部位を表し、
SPは少なくとも2つの塩基のスペーサーを表し、
PRは、細胞内で機能することができるプロモーターを表し、
Xは発現可能なヌクレオチド配列を表し、
TRはターミネーターを表し、そして
発現カセットのうちの少なくとも1つが、細胞にとって異種の発現可能なヌクレオチド配列を含んで成り、そして細胞1のカセットの少なくとも1つが細胞2のカセットと異なる)のヌクレオチド配列を含んで成る少なくとも2つの発現カセットを含んで成る、ライブラリー。
【請求項38】
ライブラリーの実質的に全ての細胞が異なる、請求項37に記載のライブラリー。
【請求項39】
前記ライブラリーがサブライブラリーのコレクションを含んで成る、請求項37に記載のライブラリー。
【請求項40】
サブライブラリーが少なくとも1つの共通の表現型を有する個々の細胞のコレクションである、請求項39に記載のライブラリー。
【請求項41】
少なくとも1つの表現型が、異例な基質上での増殖能、亜致死性濃度の毒上での増殖能、高温での増殖能、低温での増殖能、上昇した浸透圧での増殖能、低浸透圧での増殖能、高塩濃度での増殖能、低塩濃度での増殖能、上昇した金属濃度での増殖能、高CO2濃度での増殖能、低CO2濃度での増殖能、高O2濃度での増殖能、低O2濃度での増殖能、特別な分光特性を提供する能力、特別な色を提供する能力、逸脱しているGST活性を有する能力、逸脱しているP450活性を有する能力、を含んで成る群から選択される、請求項40に記載のライブラリー。
【請求項42】
サブライブラリーが個々の細胞のコレクションであり、前記細胞が、少なくとも1つの同一の発現可能なDNA配列のために、異なるプロモーターを有する、請求項37に記載のライブラリー。
【請求項43】
サブライブラリーが個々の細胞のコレクションであり、各細胞が、コンカテマーの少なくとも1つのカセット内に、同一の発現可能なDNA配列を有する、請求項6に記載のライブラリー。
【請求項44】
少なくとも20個の個々の細胞を含んで成る、請求項37に記載のライブラリー。
【請求項45】
少なくとも50個の個々の細胞を含んで成る、請求項37に記載のライブラリー。
【請求項46】
少なくとも100個の個々の細胞、例えば少なくとも1,000個の細胞、例えば少なくとも10,000個の細胞、例えば100,000個の細胞、例えば少なくとも1,000,000個の細胞、例えば1,000,000,000個の細胞を含んで成る、請求項37に記載のライブラリー。
【請求項47】
1つの種に由来する細胞のコレクションを含んで成る、請求項37に記載のライブラリー。
【請求項48】
前記種が原核生物の種又はそれらの変異体から選択される、請求項47に記載のライブラリー。
【請求項49】
前記原核生物種が、エスケリッチャ・コリ(Escherichia coli)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)、ストレプトマイセス・コエリコロー(Streptomyces coelicolor)、シュードモナス・アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)、ミクソコックス・キサンサス(Myxococcus xanthus)から選択される、請求項48に記載のライブラリー。
【請求項50】
前記原核生物種がE.コリから選択される、請求項49に記載のライブラリー。
【請求項51】
前記種が真核生物種又はそれらの変異体から選択される、請求項47に記載のライブラリー。
【請求項52】
前記真核生物種が、哺乳類、昆虫、脊椎動物、植物、真菌、酵母;フィラメンタス・アスコマイセテス(Filamentous ascomycetes)、例えばニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)及びアスペルギルス・ニジュランス(Aspergillus nidulans);植物細胞、例えばタバコ及びシロイヌナズナ由来のもの;哺乳類宿主細胞;ヒト、サル及び齧歯類由来のもの、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NIH/3T3, COS, 293, VERO, HeLa、から選択される、請求項51に記載のライブラリー。
【請求項53】
前記真核生物種が酵母又はそれらの変異体から選択される、請求項51に記載のライブラリー。
【請求項54】
前記酵母が、出芽酵母, クルイベロマイセス・マリキシャヌス(Kluyveromyces marxianus), K.ラクチス(K. lactis), , カンジダ・ウチリス(Candida utilis), ファフィア・ロドザイマ(Phaffia rhodozyma), サッカロマイセス・ボウラジイ(Saccharomyces boulardii), ピキア・パストリス(Pichia pastoris), ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha), ヤロウィア・リポリチカ(Yarrowia lipolytica), カンジダ・パラフィニカ(Candida paraffinica), シュワニオマイセス・カステリイ(Schwanniomyces castellii), ピキア・スチピチス(Pichia stipitis), カンジダ・シェハタエ(Candida shehatae), ロドトルラ・グルチニス(Rhodotorula glutinis), リポマイセス・リポフェル(Lipomyces lipofer), クリプトコッカス・クルバツス(Cryptococcos curvatus), カンジダ種(Candida spp)(例えば、C.パルミオレオフィリア(C. palmioleophila)), ヤロウィア・リポリチカ(Yarrowia lipolytica), カンジダ・ギリエルモンジイ(Candida guilliermondii), カンジダ属(Candida), ロドトルラ種(Rhodotorula spp), サッカロマイセス種(Saccharomycopsis spp)., アウレオバシジウム・プルランス(Aureobasidium pullulans), カンジダ・ブルンプチイ(Candida brumptii), カンジダ・ハイドロカーボフマリカ(Candida hydrocarbofumarica), トルロプシス属(Torulopsis), カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis), サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae), ロドトルラ・ルブラ(Rhodotorula rubra), カンジダ・フラベリ(Candida flaveri), エレモテシウム・アシュビイ(Eremothecium ashbyii), ピキア種(Pichia spp.), ピキア・パストリス(Pichia pastoris), クルイベロマイセス属(Kluyveromyces), ハンセヌラ属(Hansenula), クロエケラ属(Kloeckera), ピキア属(Pichia), パチソレン種(Pachysolen spp.), 又はトルロプシス・ボンビコラ(Torulopsis bombicola)、あるいはそれらの変異体を含んで成る群から選択される、請求項53に記載のライブラリー。
【請求項55】
実質的に全てのrs1-rs2配列が同一の制限酵素によって認識され、更に好ましくは実質的に全てのrs1-rs2配列が実質的に同一である、請求項37〜54のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項56】
少なくとも1つの細胞が、更に好ましくは実質的に全ての細胞が、少なくとも10個のカセットを含んで成り、例えば少なくとも15個、例えば少なくとも20個、例えば少なくとも25個、例えば少なくとも30個、例えば少なくとも30〜60個又は60個以上、例えば少なくとも75個、例えば少なくとも100個、例えば少なくとも200個、例えば少なくとも500個、例えば少なくとも750個、例えば少なくとも1000個、例えば少なくとも1500個、例えば少なくとも2000個、例えば少なくとも2500個、例えば少なくとも5000個、例えば少なくとも7500個、例えば少なくとも10,000個である、請求項37〜55のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項57】
1つの細胞内の少なくとも1つのカセットが、プロモーターと発現可能なヌクレオチド配列との間に、宿主細胞内のイントロンとして同定し、そして処理することができるイントロンを含んで成り、更に好ましくは、実質的に全ての細胞が、プロモーターと発現可能なヌクレオチド配列との間にイントロンを含んで成る、請求項37〜56のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項58】
差異が、スペーサー配列及び/又はプロモーター、及び/又は発現可能なヌクレオチド配列及び/又はイントロン及び/又はターミネーターにある、請求項37に記載のライブラリー。
【請求項59】
異なる発現可能なヌクレオチド配列が同一の、又は異なる発現状態に由来する、請求項58に記載のライブラリー。
【請求項60】
異なる発現状態が、少なくとも2つの異なる組織、例えば少なくとも2つの器官、例えば少なくとも2つの種、例えば少なくとも2つの属を表す、請求項59に記載のライブラリー。
【請求項61】
異なる種が、少なくとも2つの門(phylum)、例えば少なくとも2つの異なる綱、例えば少なくとも2つの異なる門(division)、更に好ましくは少なくとも2つの異なる亜界、例えば少なくとも2つの異なる界に由来する、請求項60に記載のライブラリー。
【請求項62】
少なくとも1つのカセットのヌクレオチド配列、好ましくは実質的に全てのカセット由来のヌクレオチド配列が、任意な1つのカセット内の反復配列のレベルを最小化するために設計されている、請求項37〜61のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項63】
発現可能なヌクレオチド配列内の組換えが最小化されている、請求項37〜62のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項64】
少なくとも1つのカセットが、プラスミド又は組込みベクター、例えばプラスミドベクター、ファージベクター、ウイルスベクター又はコスミドベクター内に組み込まれる請求項37〜63のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項65】
少なくとも1つのカセットが宿主ゲノム内に組み込まれる、請求項37〜64のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項66】
少なくとも1つのカセットが宿主ゲノムの人工染色体内に組み込まれる、請求項37〜65のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項67】
個々の細胞コレクションを含んで成るライブラリーであって、当該細胞が
細胞1、細胞2・・・・、細胞i(ここで、i≧2である)で表され、
各細胞が、一般式:
[PR-X]
(ここで、
Xは発現可能なヌクレオチド配列を表し、
そしてPRは、Xと作用可能に関連している、独立して制御可能なプロモーターを表す)を有する異種のオリゴヌクレオチドのランダムな組み合わせを含んで成る、ライブラリー。
【請求項68】
ランダムな組み合わせがプロモーターと異種の発現可能なヌクレオチド配列の2次元アレイから作られる、請求項67に記載のライブラリー。
【請求項69】
各細胞が、プロモーターと異種の発現可能なヌクレオチド配列の同一のプールから独立して導かれたプロモーターと異種の発現可能なヌクレオチド配列の組み合わせの個々の選択を含んで成る、請求項67又は68に記載のライブラリー。
【請求項70】
少なくとも2個の異なる独立して制御可能なプロモーターを含んで成ることがあり、例えば少なくとも3個、例えば少なくとも4個、例えば少なくとも5個、例えば少なくとも6個、例えば少なくとも7個、例えば少なくとも9個、例えば少なくとも10個、例えば少なくとも15個、例えば少なくとも25個、例えば少なくとも50個、例えば少なくとも75個、例えば少なくとも100個である、請求項67〜69のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項71】
外部から制御可能なプロモーターを含んで成る、請求項67〜70のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項72】
誘導可能なプロモーター及び/又は抑制可能なプロモーターを含んで成る、請求項71に記載のライブラリー。
【請求項73】
誘導可能なプロモーター及び抑制可能なプロモーターの両方を含んで成る少なくとも1つのプロモーターを含んで成る、請求項71に記載のライブラリー。
【請求項74】
プロモーターが化学的に誘導可能及び/又は誘導可能であり、そして/あるいは温度によって誘導可能/抑制可能である、請求項67〜73のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項75】
少なくとも1つのプロモーターが、炭水化物;ガラクトース;より低い無機性ホスファーゼレベル;温度、例えば低温又は高温シフト;金属又は金属イオン、例えば銅イオン;ホルモン、例えば、ジヒドロテストロン;デオキシコルチコステロン;熱ショック(例えば39℃);メタノール;酸化還元状態;増殖段階;発育段階;MATα細胞における誘導;合成のインデューサー;galインデューサーを含んで成る群から選択される任意の因子によって誘導される、請求項67〜74のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項76】
少なくとも1つのプロモーターが、炭水化物;ガラクトース;より低い無機性ホスファーゼレベル;温度、例えば低温又は高温シフト;金属又は金属イオン、例えば銅イオン;ホルモン、例えば、ジヒドロテストロン;デオキシコルチコステロン;熱ショック(例えば39℃);メタノール;酸化還元状態;増殖段階;発育段階;MATα細胞における誘導;合成のインデューサー;galインデューサー;より高い無機リン酸塩レベル;メチオニン;グリセロール;MATa又はa/α細胞における抑制、を含んで成る群から選択される任意の因子によって抑制される、請求項67〜75のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項77】
プロモーターが、ADH 1, PGK 1, GAP 491, TPI, PYK, ENO, PMA 1, PH05, GAL 1, GAL 2, GAL 10, MET25, ADH2, MEL 1, CUP 1, HSE, AOX, MOX, SV40, CaMV, Opaque-2, GRE, ARE, PGK/AREハイブリッド, CYC/GREハイブリッド,TPI/a2オペレーター, AOX 1, MOX Aを含んで成る群から選択されるプロモーターを含んで成る、請求項67〜76のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項78】
プロモーターが合成プロモーターである、請求項63〜90のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項79】
少なくとも1つの異種の発現可能なヌクレオチド配列が、少なくとも2個の細胞、例えば少なくとも3個の細胞、例えば少なくとも5個の細胞、例えば少なくとも10個の細胞、例えば少なくとも25個の細胞、例えば少なくとも50個の細胞、例えば少なくとも100個の細胞、例えば少なくとも500個の細胞、例えば少なくとも1000個の細胞において見られる、請求項67〜78のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項80】
少なくとも1個の細胞が、第一プロモーターの支配下にある異種の発現可能なヌクレオチド配列の群であって、少なくとも5個の異種の発現可能なヌクレオチド配列、例えば少なくとも10個の異種の発現可能なヌクレオチド配列、例えば少なくとも15個の異種の発現可能なヌクレオチド配列、例えば少なくとも25個の異種の発現可能なヌクレオチド配列、例えば少なくとも50個の異種の発現可能なヌクレオチド配列、例えば少なくとも75個の異種の発現可能なヌクレオチド配列、例えば少なくとも100個の異種の発現可能なヌクレオチド配列、例えば少なくとも250個の異種の発現可能なヌクレオチド配列、例えば少なくとも500個の異種の発現可能なヌクレオチド配列、を含んで成る群を含んで成る、請求項67〜79のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項81】
細胞が、第二プロモーターの独立した支配下にある、少なくとも第二群の異種の発現可能なヌクレオチド配列、例えば第三プロモーターの独立した支配下にある、少なくとも第三群の異種の発現可能なヌクレオチド配列、例えば第四プロモーターの独立した支配下にある、少なくとも第四群の異種の発現可能なヌクレオチド配列、例えば第五プロモーターの独立した支配下にある、少なくとも第五群の異種の発現可能なヌクレオチド配列、例えば第六プロモーターの独立した支配下にある、少なくとも第六群の異種の発現可能なヌクレオチド配列、第七プロモーターの独立した支配下にある、少なくとも第七群の異種の発現可能なヌクレオチド配列、例えば第八プロモーターの独立した支配下にある、少なくとも第八群の異種の発現可能なヌクレオチド配列、例えば第九プロモーターの独立した支配下にある、少なくとも第九群の異種の発現可能なヌクレオチド配列、例えば第十プロモーターの独立した支配下にある、少なくとも第十群の異種の発現可能なヌクレオチド配列、を含んで成る、請求項80に記載のライブラリー。
【請求項82】
異なる発現可能なヌクレオチド配列が同一の、又は異なる発現状態に由来する、請求項67〜81のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項83】
異なる発現状態が、少なくとも2つの異なる組織、例えば少なくとも2つの器官、例えば少なくとも2つの種、例えば少なくとも2つの属を表す、請求項82に記載のライブラリー。
【請求項84】
異なる種が、少なくとも2つの門(phylum)、例えば少なくとも2つの異なる綱、例えば少なくとも2つの異なる門(division)、更に好ましくは少なくとも2つの異なる亜界、例えば少なくとも2つの異なる界に由来する、請求項83に記載のライブラリー。
【請求項85】
少なくとも1つのカセットのヌクレオチド配列、好ましくは実質的に全てのカセット由来のヌクレオチド配列が、任意な1つのカセット内の反復配列のレベルを最小化するために設計されている、請求項67〜84のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項86】
発現可能なヌクレオチド配列内の組換えが最小化されている、請求項85のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項87】
少なくとも1つのカセットが、プラスミド又は組込みベクター、例えばプラスミドベクター、ファージベクター、ウイルスベクター又はコスミドベクター内に組み込まれる請求項67〜86のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項88】
少なくとも1つのカセットが宿主ゲノム内に組み込まれる、請求項67〜87のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項89】
少なくとも1つのカセットが宿主ゲノムの人工染色体内に組み込まれる、請求項67〜88のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項90】
前記ライブラリーがサブライブラリーのコレクションを含んで成る、請求項67〜89のいずれか1項に記載のライブラリー。
【請求項91】
サブライブラリーが少なくとも1つの共通の表現型を有する個々の細胞のコレクションである、請求項90に記載のライブラリー。
【請求項92】
少なくとも1つの表現型が、異例な基質上での増殖能、亜致死性濃度の毒上での増殖能、高温での増殖能、低温での増殖能、上昇した浸透圧での増殖能、低浸透圧での増殖能、高塩濃度での増殖能、低塩濃度での増殖能、上昇した金属濃度での増殖能、高CO2濃度での増殖能、低CO2濃度での増殖能、高O2濃度での増殖能、低O2濃度での増殖能、特別な分光特性を提供する能力、特別な色を提供する能力、逸脱しているGST活性を有する能力、逸脱しているP450活性を有する能力、を含んで成る群から選択される、請求項91に記載のライブラリー。
【請求項93】
サブライブラリーが個々の細胞のコレクションであり、前記細胞が、少なくとも1つの同一の発現可能なDNA配列のために、異なるプロモーターを有する、請求項90に記載のライブラリー。
【請求項94】
サブライブラリーが個々の細胞のコレクションであり、各細胞が、コンカテマーの少なくとも1つのカセット内に、同一の発現可能なDNA配列を有する、請求項90に記載のライブラリー。
【請求項95】
少なくとも20個の個々の細胞、例えば少なくとも50個の個々の細胞、を含んで成る、請求項67に記載のライブラリー。
【請求項96】
少なくとも100個の個々の細胞、例えば少なくとも1,000個の細胞、例えば少なくとも10,000個の細胞、例えば100,000個の細胞、例えば少なくとも1,000,000個の細胞、例えば1,000,000,000個の細胞を含んで成る、請求項67に記載のライブラリー。
【請求項97】
1つの種に由来する細胞のコレクションを含んで成る、請求項67に記載のライブラリー。
【請求項98】
前記種が原核生物の種又はそれらの変異体から選択される、請求項97に記載のライブラリー。
【請求項99】
前記原核生物種が、エスケリッチャ・コリ(Escherichia coli)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)、ストレプトマイセス・コエリコロー(Streptomyces coelicolor)、シュードモナス・アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)、ミクソコックス・キサンサス(Myxococcus xanthus)から選択される、請求項98に記載のライブラリー。
【請求項100】
前記種が真核生物種又はそれらの変異体から選択される、請求項97に記載のライブラリー。
【請求項101】
前記真核生物種が、哺乳類、昆虫、脊椎動物、植物、真菌、酵母;フィラメンタス・アスコマイセテス(Filamentous ascomycetes)、例えばニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)及びアスペルギルス・ニジュランス(Aspergillus nidulans);植物細胞、例えばタバコ及びシロイヌナズナ由来のもの;哺乳類宿主細胞;ヒト、サル及び齧歯類由来のもの、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NIH/3T3, COS, 293, VERO, HeLa、から選択される、請求項100に記載のライブラリー。
【請求項102】
前記真核生物種が真菌又はそれらの変異体から選択される、請求項100に記載のライブラリー。
【請求項103】
前記酵母が、出芽酵母, クルイベロマイセス・マリキシャヌス(Kluyveromyces marxianus), K.ラクチス(K. lactis), , カンジダ・ウチリス(Candida utilis), ファフィア・ロドザイマ(Phaffia rhodozyma), サッカロマイセス・ボウラジイ(Saccharomyces boulardii), ピキア・パストリス(Pichia pastoris), ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha), ヤロウィア・リポリチカ(Yarrowia lipolytica), カンジダ・パラフィニカ(Candida paraffinica), シュワニオマイセス・カステリイ(Schwanniomyces castellii), ピキア・スチピチス(Pichia stipitis), カンジダ・シェハタエ(Candida shehatae), ロドトルラ・グルチニス(Rhodotorula glutinis), リポマイセス・リポフェル(Lipomyces lipofer), クリプトコッカス・クルバツス(Cryptococcos curvatus), カンジダ種(Candida spp)(例えば、C.パルミオレオフィリア(C. palmioleophila)), ヤロウィア・リポリチカ(Yarrowia lipolytica), カンジダ・ギリエルモンジイ(Candida guilliermondii), カンジダ属(Candida), ロドトルラ種(Rhodotorula spp), サッカロマイセス種(Saccharomycopsis spp)., アウレオバシジウム・プルランス(Aureobasidium pullulans), カンジダ・ブルンプチイ(Candida brumptii), カンジダ・ハイドロカーボフマリカ(Candida hydrocarbofumarica), トルロプシス属(Torulopsis), カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis), サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae), ロドトルラ・ルブラ(Rhodotorula rubra), カンジダ・フラベリ(Candida flaveri), エレモテシウム・アシュビイ(Eremothecium ashbyii), ピキア種(Pichia spp.), ピキア・パストリス(Pichia pastoris), クルイベロマイセス属(Kluyveromyces), ハンセヌラ属(Hansenula), クロエケラ属(Kloeckera), ピキア属(Pichia), パチソレン種(Pachysolen spp.), 又はトルロプシス・ボンビコラ(Torulopsis bombicola)、あるいはそれらの変異体を含んで成る群から選択される、請求項102に記載のライブラリー。
【請求項104】
請求項1〜103のいずれか1項に記載の少なくとも1つのライブラリー又は少なくともサブライブラリーを含んで成るライブラリー。
【請求項105】
個々の細胞コレクションを含んで成るライブラリーを生成する方法であって:
i)一般式:
[rs2-SP-PR-X-TR-SP-rs1]n
(ここで、rs1とrs2は共に制限部位を表し、SPは少なくとも2つの塩基のスペーサーを表し、Xは発現可能なヌクレオチド配列を表し、PRは、細胞内でXの発現を制御することができるプロモーターを表し、TRはターミネーターを表す)を有するヌクレオチドカセット群を提供し、そして
ii)当該カセットのランダムなサブセットを少なくとも2つのカセットを含んで成るコンカテマーに構築し、
iii)コンカテマーをベクター内にライゲーションし、
iv)ベクターを宿主細胞内に導入し、
v)第一細胞の少なくとも1つのコンカテマーが、第二細胞のカセットのランダムなサブセットと異なるカセットのランダムなサブセットを含んで成るように、少なくとも2つの細胞を混合する、
段階を含んで成る方法。
【請求項106】
ベクターが、プラスミド又は組込みベクター、例えばプラスミドベクター、ファージベクター、ウイルスベクター又はコスミドベクターを含んで成る、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
ベクターが人工染色体を含んで成る、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
個々の細胞コレクションを含んで成るライブラリーを生成する方法であって、
i) 5’→3’方向に、一般式
[RS1-RS2-SP-PR-CS-TR-SP-RS2'-RS1']
(ここで、RS1及びRS1'は制限部位を表し、RS2及びRS2'はRS1及びRS1'と異なる制限部位を表し、SPは少なくとも2つのヌクレオチドのスペーサーを表し、PRは、細胞内で機能しうるプロモーターを表し、CSはクローニング部位を表し、そしてTRはターミネーターを表す)のヌクレオチド配列を含んで成るカセットを含んで成る一次ベクターのクローニング部位内に少なくとも2つの発現可能なヌクレオチド配列を挿入し、
ii)RS1, RS1’及びRS2に特異的な少なくとも1つの制限酵素を用いて一次ベクターを切り出し、一般式[rs2-SP-PR-X-TR-SP-rs1](ここで、rs1-rs2はともに機能的制限部位を表し、そしてXは発現可能なヌクレオチド配列を表す)を有する発現カセットを獲得し、
iii)当該発現カセットをベクター内に挿入し、
iv)当該発現カセットを少なくとも2つの宿主細胞内に伝達し、そして
v)異なるカセットを有する少なくとも2つの宿主細胞を混合する、
段階を含んで成る方法。
【請求項109】
個々の細胞コレクションを含んで成るライブラリーを生成する方法であって、
i)少なくとも1つの発現可能なヌクレオチド配列を提供し、
ii)少なくとも1つの発現可能なヌクレオチド配列を、宿主細胞内で機能することができる制御可能なプロモーターとライゲーションして、第一の発現コンストラクトを獲得し、
iii)少なくとも1つの発現可能なヌクレオチド配列を、宿主細胞内で機能することができる別の独立して制御可能なプロモーターとライゲーションして、第二の発現コンストラクトを獲得し、
iv)段階ii)及び段階iii)のコンストラクトを少なくとも2つの宿主細胞内に挿入し、
v)独立して制御可能なプロモーターと発現可能なヌクレオチド配列の異なる組み合わせを有する少なくとも2つの細胞を混合する、
段階を含んで成る方法。
【請求項110】
発現コンストラクトが、宿主細胞内への挿入前にコンカテマー化される、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
請求項105〜110のいずれか1項に記載の方法によって得ることができる発現ライブラリー。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−43108(P2010−43108A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233636(P2009−233636)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【分割の表示】特願2002−559584(P2002−559584)の分割
【原出願日】平成14年1月25日(2002.1.25)
【出願人】(504316263)エボルバ アクチェンゲゼルシャフト (3)
【Fターム(参考)】