説明

細胞内パラメータを改変することができる分子をスクリーニングするための発光タンパク質プローブを用いて、前記パラメータを検出するための方法

本発明は、標的細胞内のパラメータを改変することができる分子をスクリーニングするための発光組換えタンパク質プローブによって、前記細胞内パラメータを検出するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞内パラメータを改変することができる分子をスクリーニングするための発光組換えタンパク質プローブによって、前記パラメータを検出するための方法に関する。
【0002】
特に本発明は、細胞内パラメータ及び/又は活性を改変することができる薬理学的及び/又は化粧品的及び/又は環境的関心のある分子をスクリーニングするための発光タンパク質プローブによって、前記パラメータ及び/又は活性を検出するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
生体を形成する細胞は、他の細胞及び細胞外環境と連続的な情報交換があることが知られている。
【0004】
細胞間の連絡は、細胞の原形質膜の上に存在する特定の受容体と相互作用する化学的性質のシグナルを受信及び送信する、細胞の能力によって保証される。大抵の場合、これらの受容体の活性化は、細胞外メッセンジャー(又はファーストメッセンジャー)によってもたらされる情報を細胞に伝達する、セカンドメッセンジャーと呼ばれる細胞内メッセンジャーの生成を引き起こす。非常に様々な細胞外伝達物質に関しては、知られているセカンドメッセンジャーの数は驚くほど限られている:カルシウムイオン(Ca2+)、イノシトール1,4,5−3リン酸(IP)、ジアシルグリセロール(DAG)、アデノシンのヌクレオチド及び環状ヌクレオチド(cAMP及びcGMP)。
【0005】
これらのセカンドメッセンジャーは、細胞内パラメータを変えることによって、決定的な細胞応答が得られるまでの一連の事象を誘導することができる、細胞応答エフェクターと呼ばれる一連の細胞内の実行体を次いで活性化させる。
【0006】
細胞のパラメータは、濃度、活性化状態、細胞局在などの値であり、これらの値によって我々は、細胞内に存在するそれぞれ個々の要素(イオン、タンパク質、ヌクレオチド、シグナル分子)によって行われる活動を理解し、したがってそれを記載することが可能である。
【0007】
前記細胞パラメータの変動は、細胞外環境由来の(生理学的又は薬理学的な)何らかの刺激に応じた、通常の基本指数の修正(濃度の変動、原形質膜への移動、活性化又は不活性化)を指す。
【0008】
環境的、化学的、物理的又は遺伝的要因は、細胞シグナルの変換経路の改変を引き起こす病的状態を生み出す可能性がある。
【0009】
薬剤の機能を理解するために、薬剤及びそれらの変形が作用するはずである様々な細胞内パラメータの正確なモニタリングを可能にする方法を利用することが必要である。
【0010】
現在、シグナルの変換経路と関係がある、わずか数個の細胞伝達物質を検出するためのいくつかの技法が存在し、大抵の場合これらの技法は、数千個の分子の大規模なスクリーニング法、他方では薬剤、化学又は化粧品産業の分野で強く感じられている要件に有効ではなく、且つ/或いはそれらに容易に適用することができない。
【0011】
最も広く研究されている細胞伝達物質はカルシウムイオン(Ca2+)であったし、依然としてこれである。増殖因子から神経伝達物質までの範囲の広く様々な刺激が、サイトゾルのCa2+濃度([Ca2+)の変動によって細胞内で伝達することが分かってきている。
【0012】
Ca2+は、あらゆる細胞区画中に通常存在する遍在イオンであり、その濃度の変動によって多数の細胞機能を制御することができる。
【0013】
Ca2+の濃度を測定するための最初の技法の開発は60年代にさかのぼり、[Ca2+及び多数の生物学的機能を調節する際のその役割を制御する機構を詳細に理解する始まりとなった。
【0014】
最初の[Ca2+測定は、Ca2+感受性蛍光タンパク質、エクオリンのBalanusの巨大細胞へのマイクロインジェクションによって実施され(Ridgway及びAshley、1967)、その後数年間は、金属クロムインジケーター及び特異的微小電極がしばしば使用された。いずれの場合も、インジケーターへのマイクロインジェクション、又は細胞への電極の挿入の必要性、及びしたがって数個の大きな寸法の細胞型を使用する可能性によって、これらの技法は制限された。
【0015】
90年代には、原形質膜を通過し細胞質レベルにおいて捕捉された状態で存在することができる、例えばquin2及びfury−2などの蛍光Ca2+インジケーターの使用によって(Tsienら、1982、Grynkiewiczら、1985)、多くの細胞型においてCa2+の細胞における恒常性を試験し、このイオンの偏在的役割を実証することができた。しかしながら、蛍光インジケーター使用の容易さは、様々な細胞内オルガネラ中に選択的に蓄積する不適性によって反対される。
【0016】
しかしながら前述の技法は、薬理学的スクリーニング試験に容易に適用することはできず、いずれの場合もCa2+のみの測定に限られる。
【0017】
90年代、分子生物学的技法の出現は、トランスフェクション技法によって細胞内に導入されるタンパク質プローブの構築に基づいて、Ca2+イオンをモニターするための新たな方法の開発に貢献した。Ca2+用の2つのカテゴリーの組換えプローブが現在存在する。
【0018】
その第1群は、蛍光タンパク質GFPに由来する分子の蛍光特性を利用する(緑色蛍光タンパク質、Zhangら、2002)。これらのプローブは薬理学的スクリーニングに使用するのは困難である、何故ならこれらのプローブは、時間の点で非常にコストがかかる手順を必要とし、スタンバイ状態下で得られる蛍光シグナルと活性化状態下で得られる蛍光シグナルの間の比は、自動化された方法に使用することができるほど十分広範囲ではないからである。
【0019】
第2のカテゴリーのプローブは、Ca2+と結合することができ、したがって測定してCa2+自体の濃度と関連付けることが可能な発光線を放射することができる生物発光タンパク質、特にエクオリンの使用に基づく。
【0020】
1962年に発光クラゲの1種、Aequorea Victoriaから抽出及び精製された(Shimomuraら、1962)エクオリンは、アポタンパク質、及びペルオキシド型の共有結合によってアポタンパク質と結合した疎水性補欠分子団、セレンテラジンからなる約22kDaのタンパク質である。
【0021】
「EF−ハンド」型の3箇所の特定の高親和性部位のレベルでの、エクオリンとのCa2+の結合は、タンパク質自体の立体配坐の改変、及びその後の共有結合の切断、及び光子の放出、並びに酸化した補酵素の放出を誘導する。
【0022】
最大発光率、即ち飽和条件下に対する分率として表される光子の放出率(L)の対数(L/Lmax)と[Ca2+]の対数の間に関係が存在するおかげで、[Ca2+]の変動を測定することが可能である。pH、イオン強度[Mg2+]及び温度の知られている条件下でのin vitro測定によって得られるこれらの値は、S字形状検量線の構築を可能にし、これに基づいて、0.1〜10μMのCa2+濃度の範囲内で(及び突然変異エクオリンを使用して100μMを超えて(Monteroら、1995)、消費されたエクオリンの分率と蛍光タンパク質が曝される[Ca2+]値を各地点において関連付けることができる。細胞から得られる発光シグナルの変換は、この関係、[Ca2+]の値に基づく。
【0023】
エクオリンは生物発光マーカーとして、蛍光インジケーターに関するいくつかの利点を有する、何故ならエクオリンは、Ca2+の濃度の変動を測定するための信頼性の高い道具である適切な制御要素又はシグナルペプチドを使用することによって、様々な細胞区画に容易に向けることができるからである(Rizzutoら、1992)。特にこの刊行物は、ミトコンドリアレベルでのCa2+濃度を対象とし測定するための技法を記載する。
【0024】
例えば核(Briniら、1993;Briniら、1994)、小胞体(Monteroら、1995)、ゴルジ装置(Pintonら、1998)、ミトコンドリア内膜空間(Rizzutoら、1998)、筋小胞体(Briniら、1997)、膜下領域(Marsaultら、1997)などの他の細胞要素を対象とするエクオリンの様々な組換えプローブが後に開発され、これらが様々な種類の刺激後の、様々な細胞部分のCa2+の濃度の変動の測定を可能にした。
【0025】
発光の他の利点は、それが蛍光に関して励起光を必要とせず、したがって自己蛍光及び光退色現象を回避することである。さらにエクオリンは毒性ではなく、エクオリンは他のカチオンと結合を形成せず、細胞内のCa2+濃度に干渉することはない。
【0026】
著者達は以前に、Ca2+イオンの濃度を測定するための代替法として、哺乳動物細胞中で発現されるエクオリンなどのCa2+感受性組換え蛍光タンパク質の使用を試験した(Rizzutoら、1993;Rizzutoら、1994;Briniら、1994b;Rizzutoら、1995;Briniら、1995;De Giorgiら、1996;Rutterら、1996;Briniら、1999;Robertら、2000;Porcelliら、2001;Chiesaら、2001)。
【0027】
エクオリンの使用には、以下に記載する一連の技法の利点がある:
a)最適なシグナル/ノイズの関係、何故なら哺乳動物細胞は、内在性の発光タンパク質を有していないからである;
b)エクオリンの使用はトランスフェクト群のデータを集約し、したがって細胞の変動性に応じたエラーを回避する;
c)エクオリンプローブは細胞系において単独で安定的に発現させることができ(したがって「永続的」且つ反復可能なスクリーニング系を得る)、或いは当該の特異的受容体と共に安定的に同時発現させることができる(したがって特定のシグナル系の機能分析を簡潔にする);
d)非常に簡潔な検出系、何故ならそれは、放射されるすべての光の発光スペクトルを回収するのに十分であり、発光シグナルが強い(光の発光がCa2+濃度の変動と共に対数的に増大する)とき、分析するサンプルの小型化及び自動化に適しているからである。
【0028】
しかしながら、カルシウムイオンの変動は容易に検出することができるが、それらは薬剤的関心がある多数のシグナル変換経路の数個のみと関係があることが観察されることは興味深い。しかしながら、既に示されているように、直接検出するのは困難であるが、おそらく薬理学的又は毒物学的関心がある分子を同定するために非常に重要である、他の細胞要素(細胞エフェクター、酵素、イオンチャネル、セカンドメッセンジャー)と関係がある多くの他の変換経路が存在する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
前に示したことに鑑みて、細胞内パラメータ及び/又は活性を検出するため、前記パラメータ及び/又は活性の特異的な改変を引き起こすのに適した分子をスクリーニングするための、有効で、感度が良く且つ迅速な方法を利用することに関する必要性が明らかに存在する。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明者らは現在、細胞内パラメータの変動を間接的に検出することができ、容易に検出することができる対応するCa2+イオンの濃度の変動に前記変動を納めることができる、新しい方法を開発してきている。特に、何らかの生理学的及び/又は薬理学的刺激に応答する他の細胞内パラメータ又は酵素活性の変動を反映するCa2+の濃度の変動に応答して発光シグナルを放出することができるエクオリン蛍光タンパク質の使用に基づく、生物発光検出系が設定されてきている。
【0031】
細胞内パラメータ及び活性をカルシウム濃度の変動に変換することによって、例えばcAMPなどのセカンドメッセンジャーの生成、並びに例えばキナーゼタンパク質(PKCなどの制御タンパク質)、又はshcファミリーのタンパク質(p46shc、p52shc又はp66shcなどのタンパク質アダプター)などの、実行体タンパク質の活性化及び/又は移動を追跡することができる。
【0032】
当該の実行体タンパク質の中で、本発明者らは例示目的で、タンパク質キナーゼC(PKC)及びタンパク質p66shcを調べた。活性化の後、PKC及びp66shcが細胞質から、カルシウムイオンの濃度が細胞質中での濃度に対して高い原形質膜に移動するので、異なるCa2+濃度に対して非常に敏感なPKC/エクオリン及びp66shc/エクオリンのキメラタンパク質を、本発明者らは作製した。このようにして、膜への移動及びPKC及びp66shcのその後の活性化は、2つの細胞領域(細胞質及び膜下領域)中の異なるCa2+濃度などの間接的なパラメータと関連付けた。
【0033】
本発明者らは、膜のレベルでのPKC−エクオリン及びp66shc−エクオリンの発光シグナルは([Ca2+]に関する発光関数の非線形性のために)、非活性状態の細胞質レベルでは、PKC−エクオリン及びp66shc−エクオリンプローブの発光シグナルに関してより少なくとも50〜100倍強いことを示す。考慮するキメラタンパク質の発光シグナルは、これらのキメラタンパク質の原型を用いて実施した実験に関する図1〜6中に示すように、知られている活性化物質を用いた移動の誘導後はより一層強い。
【0034】
本発明者らにより確認された方法は、タンパク質の移動/活性化を簡潔に、経済的に且つ有効に定量化することを可能にし、光の発光が移動度と比例して増大すると、前記タンパク質に対して活性がある化合物のスクリーニングを実施する。
【0035】
平行して本発明者らは、検出系としてエクオリンを再度使用する、セカンドメッセンジャーの濃度値をCa2+濃度値に変換するため、即ち定量化するのが困難であるシグナルを容易に検出することができるシグナルに変換するための、同じ革新的な系を適用した。
【0036】
セカンドメッセンジャーの中で、本発明者らはcAMPを調べた。この場合、元の受容体の細胞内部分を置換した、即ち、cAMPの生成によって細胞応答を活性化させることができる部分を、細胞内のCa2+の濃度の変動を誘導することができる(Gqタンパク質と結合した)受容体の細胞内部分で置換した、キメラ受容体を開発した。このように、ひとたびキメラ受容体が刺激されると、それはcAMPの濃度よりもカルシウムの濃度の増大を誘導すると思われる。
【0037】
凝縮エクオリンを、ミトコンドリアがサイトゾルのカルシウムの濃度の増大を「増幅させる」という事実によるその高い感受性の結果として、それをミトコンドリア(mt−AEQ)に向けるシグナル周波数で(Rizzutoら、1992)、検出プローブとして使用した。図7及び8から推測することができるように、mt−AEQプローブの発光シグナルは、カルシウムの濃度の増大と通常関係がある刺激(ヒスタミン及びATP)で処理した細胞中、或いはcAMPの濃度の増大と関係がある刺激(イソプロテレノール又は痛覚物質)で処理した細胞中で比較可能である。
【0038】
本発明者らによって発見されたエクオリンに基づく、この型の発光プローブの他の適用例は、カルシウムのイオンチャネルに作用する細胞エフェクター(PKCなど)の触媒活性を分析する可能性、及び前記触媒活性に干渉する薬剤を同定する可能性によって表される。カルシウムチャネルは、重要な細胞区画の膜、例えば原形質膜、小胞体の膜又はミトコンドリア内膜などに局在する。これらはカルシウムの細胞内の恒常性の微調節に関与しており、それらの機能の改変は病的状態と関係がある。
【0039】
この目的のために本発明者らは、適切なエクオリンプローブ(当該のチャネルが局在する細胞区画に関して変わる)、及び細胞エフェクターによって正又は負に制御された、特定の場合PKCによって負に制御された、カルシウムチャネルを(内因的或いは遺伝子工学処理後に)発現する細胞系を使用した。
【0040】
本発明者らによって設定された系では、キナーゼの酵素作用によって閉じることができないチャネルを介したカルシウムの流れを示すエクオリンの発光シグナルの増大を検出することにより、PKCの触媒活性を阻害することによって作用する物質を同定することができる。
【0041】
本発明者らにより生成された発光プローブの様々な適用例は、試験する分子の差別化スクリーニングを実施するのを可能にし、そのスクリーニングは容易に自動化できるので、スクリーニングはHTS(高スループットスクリーニング)分析とMTS(中スループットスクリーニング)の両方、或いはLTS(低スループットスクリーニング)測定用に使用することができる。
【0042】
したがって本発明の目的は、添付の特許請求の範囲に従ったスクリーニング法に関する。
【0043】
本発明の好ましい実施形態では、標的の細胞内パラメータの改変を引き起こすことができる分子のスクリーニング法であって、前記改変がCa2+感受性組換えタンパク質プローブによって検出されるCa2+イオンの細胞内濃度の比例変数に変換され、以下の段階:
a)前記プローブをコードする配列を含む発現ベクターであって、前記配列が1つに凝縮されたCa2+感受性蛍光タンパク質、好ましくはエクオリン、及び少なくとも1つの細胞エフェクター又はシグナル配列をコードする配列を含むことを特徴とする発現ベクターの構築、
b)Ca2+感受性組換えタンパク質プローブを含む前記ベクターを用いた少なくとも1つの哺乳動物の細胞系のトランスフェクション、
c)前記組換えタンパク質プローブを発現する細胞系に補欠分子団、好ましくはセレンテラジンを加えることによる、エクオリンの活性化、
d)前記組換えタンパク質プローブを発現する細胞系への試験分子の投与、
e)細胞系において発現されたCa2+感受性蛍光タンパク質、好ましくはエクオリンの一部分における光子の放出の検出を含むスクリーニング法を提供する。
【0044】
さらに明確にするために、用語「Ca2+感受性蛍光タンパク質」は、カルシウムイオンとの結合後に光子を放出することができる任意のアミノ酸配列を指し;エクオリン及びオベリンタンパク質が実用的観点から特に重要である。
【0045】
「実行体又はエフェクタータンパク質」は、制御タンパク質、膜受容体と連結するタンパク質、膜チャネルと連結するタンパク質、膜脂質と連結するタンパク質を指す。
【0046】
「制御タンパク質」は、それが他のシグナル分子と相互作用した後に他の細胞要素の活性及び/又は構造を改変することができる、任意のアミノ酸配列を指す。
【0047】
「膜受容体と連結するタンパク質」は、細胞膜のレベルで位置する受容体と相互作用することができるアミノ酸配列を指す。これらの中では、活性化受容体と第3のタンパク質、及び受容体の活性に直接干渉する調節物質間の相互作用を可能にする、アダプターを識別することができる。
【0048】
用語「膜チャネルと連結するタンパク質」は、細胞膜のレベルで位置するチャネルと相互作用することができるアミノ酸配列を示す。
【0049】
さらに、用語「膜脂質と連結するタンパク質」は、細胞膜のレベルで位置する脂質と相互作用することができるアミノ酸配列として認められる。
【0050】
最後に、用語細胞区画は、好ましくは細胞膜によって境界が定められた細胞内の任意の領域:例えば細胞質、原形質膜の下の領域、核、ミトコンドリア、内質小胞体、ゴルジ装置、小胞、溶解性エンドソームなどを指す。
【0051】
添付の図面の図を個々に参照しながら、その好ましい実施形態に従い、非制限的な目的ではなく例示目的で本発明を以下に記載する:
【実施例】
【0052】
(実施例1)
当該の細胞エフェクター、キナーゼタンパク質C(PKC)の原形質膜への移動の分析
材料及び方法
PKC−エクオリンキメラプローブの構築
我々の手順を確認するために、それぞれ異なるPKCイソ型を含む、様々な型の一連のPKC−エクオリンキメラプローブを設計した:
1)PKCベータ−エクオリン(ベータPKC:ref.M13975)
2)PKCデルタ−エクオリン(デルタPKC:ref.M18330);
3)PKCイプシロン−エクオリン(イプシロンPKC:ref.AF028009);
4)PKCゼータ−エクオリン(ゼータPKC:ref.M18332);
5)PKCガンマ−エクオリン;
6)PKCアルファ−エクオリン(アルファPKC:ref.M13973);
7)PKC−ラムダ−エクオリン;
8)PKCシータ−エクオリン(シータPKC:ref.L07032);
9)PKCエータ−エクオリン。
【0053】
特に、PKC−エクオリンプローブを構築するために使用したエクオリンのヌクレオチド配列は以下の通りである:
【化1】

【0054】
特定の実施例では、示された結果は、PKCベータ−エクオリン(PCKβ−AEQ)、PKCデルタ−エクオリン(PCKδ−AEQ)、PKCイプシロン−エクオリン(PCKε−AEQ)、PKCゼータ−エクオリン(PCKζ−AEQ)プローブの使用と関係がある。
【0055】
前に記載したエクオリンをコードする配列とインフレームで凝縮させた様々なPKCイソ型をコードする配列を、真核生物の発現ベクター(pcDNA3;5.4kb)中に挿入することによって、これらのプローブを得た。
【0056】
キメラプローブの局在は、この具体例PKCにおいてその細胞内経路を追跡するタンパク質の元の配列内に含まれていたシグナルペプチドによって測定した。PKCをコードする配列のC末端にエクオリンのcDNAを加えることによって、調べるタンパク質の配向又は生理的挙動を変えることはない。
【0057】
この時点で、HeLa、Cos7又はHek293細胞などの異なる細胞系において、得られたキメラプローブのトランスフェクションを実施する。
【0058】
細胞系の遺伝子工学処理
示した実施例中では、細胞応答を活性化させるために任意の他の要素を発現させることは、使用した細胞系には必要ではなかった。しかしながら試験要件に応じて、細胞が試験する分子/薬剤に特異的な受容体を発現するのを誘導して、有効な結合度を保証し、これによって形質導入系の機能分析を簡潔にすることは可能である。
【0059】
細胞のトランスフェクション
細胞培養フラスコ(75cm)で培養した細胞を、問題の細胞系に最も適したトランスフェクション技法を使用して、生成したキメラプローブを含むベクターを用いてトランスフェクトした。HeLa安定化細胞系を実験モデルとして使用したので、この細胞系に関して高い割合の陽性細胞を保証するリン酸カルシウム技法を、トランスフェクション法として採用した。
【0060】
キメラプローブを発現する細胞の回収
トランスフェクション後36時間で、フラスコ中に含まれていた細胞を、トリプシン処理によって底部から剥離させた。次いで細胞の懸濁液をファルコンチューブ(15〜50ml)に移し、20℃で1200rpmの遠心分離にかけ、最後に細胞の沈殿をKRB(クレブス−リンガーの改変バッファー:125mMのNaCl、5mMのKCl、1mMのNaPO、1mMのMgSO、5.5mMのグルコース、20mMのHEPES、pH7.4、37℃)中に再懸濁させた。
【0061】
活性形へのエクオリン蛍光タンパク質の再構築
補欠分子団セレンテラジンを、5μMの最終濃度でPKC−エクオリンプローブを発現する細胞の懸濁液に加えた。
【0062】
マルチウェルプレート上での接種
トランスフェクトした細胞(約100,000の細胞に相当)を含む50μlの懸濁液を、プレートのそれぞれのウェルに接種した。これらの細胞は1〜2時間の範囲の時間放置して付着させ、セレンテラジンの光不安定性のために細胞は暗所に保った。
【0063】
応答の検出
インキュベーション時間の最後に、試験する様々な分子をそれぞれのウェルに加え、処理した細胞を含むプレートを、エクオリンの一部分における光子の放出を測定する光電子増倍管と次いで直接接触させた。
【0064】
結果
生きている細胞中でのPKCの移動を調節することができる化合物を試験するために、この簡潔な試験を使用することができる。
【0065】
図1〜4は、前に記載した方法に従う、PKCベータ、デルタ、イプシロン及びデルタのcpsの移動の測定を示すグラフを示す。
【0066】
示した実施例は2つの平行した細胞群で行った:
a)PKC−エクオリン(PKC−AEQ)プローブを発現するHeLa細胞(暗線)。
これらの細胞は次いで:
− 薬剤の作用を模倣するためにPMA(1μM、SIGMA)で処理したHeLaPKC−エクオリン細胞(濃い暗線);
− PMAで処理しなかった対照HeLaPKC−エクオリン細胞(薄い暗線);
b)サイトゾルエクオリンプローブ(cyt−AEQ)(如何なるタンパク質にも凝縮されない)を発現するHeLa細胞(光線)にさらに分けた。
これらの細胞は次いで:
− 薬剤の作用を模倣するためにPMAで処理したサイトゾルエクオリンを有するHeLa細胞(濃い光線);
− PMAで処理しなかったサイトゾルエクオリンを有する対照HeLa細胞(薄い光線);にさらに分けた。
【0067】
図1〜4に示すグラフの傾向から観察することができるように、外部からのカルシウムの不在下では、光子の放出(cps:秒当たりの計数値として表す)は、調べたすべての条件下において非常に低い強度(100cps未満)を有する。実際このような条件下では、cyt−AEQプローブ(PMAホルボールエステルの不在下及び存在下)及びPKC−AEQプローブ(PMAの不在下)が局在する細胞質中、原形質膜の下、即ちPMAを用いた処理の後にPKC−AEQプローブが移動する場所のカルシウムの濃度は、非常に低い(0.1μM)。
【0068】
外部からのカルシウムを加えることは、原形質膜下の領域中のカルシウム濃度の必然的な増大を伴う、原形質膜上に位置するチャネルを介したこのイオンの重要な流れを誘導する。これらの条件下では、PMAで処理したPKC−AEQプローブを発現する細胞中のみで、光子の放出の多大な増大が記録され(>100,000cps)、キナーゼの完全な移動を示す。
【0069】
すべての他の群の細胞において、エクオリンの一部分における光子の放出の有意な変動は存在しない(10,000cps未満)。
【0070】
グラフから、最大活性化物質(PMA)の不在下で観察したcps値より高いすべてのcps値が、キナーゼの完全な移動を示すであろうことは明らかである。この系に関しては、得られたcps値と細胞系の最大刺激条件下で記録された最大cps値の間の比に基づいて、移動を誘導することができる分子を同定することだけでなく、試験分子によって行われた活性化又は阻害の量を評価することも、したがって可能である。
【0071】
移動効率は、対照(0%)(PMAを含まない)条件下で得たcps値と、(PMAを用いた処理後の)最大移動(100%)後に得たcps値の間の範囲に基づいて、それを表すことによって測定することができ、これらは以下のように記載することができる:
− 最大活性化物質に対して70%〜100%の範囲の値の優れた活性化物質;
− 最大活性化物質に対して40%〜70%の範囲の値の中程度の活性化物質;
− 最大活性化物質に対して10%〜40%の範囲の値の低度の活性化物質;
− 最大活性化物質に対して10%未満の値の非活性化物質。
【0072】
この結果は、外部刺激に応答したサイトゾル区画から原形質膜へのタンパク質の移動を測定するために提案した、系の有効性を明らかに示す。
【0073】
(実施例2)
高血糖状態下でのベータPKCの原形質膜への移動の分析
材料及び方法
キメラPKC−エクオリンプローブの構築
実施例1で既に記載したベータ−エクオリンPKCプローブを使用し、それを用いてHUVEC内皮細胞をトランスフェクトした。
【0074】
細胞系の遺伝子工学処理
与えた実施例中では、細胞応答を開始させるために任意の他の要素を事前に発現させることは、使用した細胞系には必要ではなかった。しかしながら試験要件に応じて、細胞が試験する分子/薬剤に特異的な受容体を発現するのを誘導して、十分な結合度を保証し、これによって形質導入系の機能分析を簡潔にすることは可能である。
【0075】
細胞のトランスフェクション
細胞培養フラスコ(75cm)で培養した細胞を、問題の細胞系に最も適したトランスフェクション技法を使用して、生成したキメラプローブを含むベクターを用いてトランスフェクトした。HUVECと呼ばれる安定状態の臍帯静脈の内皮細胞を実験モデルとして使用し、この細胞系に関して高い割合の陽性細胞を保証するリポフェクタミンを使用し、PKCベータ−エクオリンプローブを用いて、これらの細胞をトランスフェクトした。
【0076】
キメラプローブを発現する細胞の回収
トランスフェクション後36時間で、フラスコ中に含まれていた細胞を、トリプシン処理によって底部から剥離させた。次いで細胞の懸濁液をファルコンチューブ(15又は50ml)に移し、20℃で1200rpmの遠心分離にかけ、最後に細胞の沈殿をKRB(クレブス−リンガーの改変バッファー:125mMのNaCl、5mMのKCl、1mMのNaPO、1mMのMgSO、5.5mMのグルコース、20mMのHEPES、pH7.4、37℃)中に再懸濁させた。
【0077】
活性形へのエクオリン発光タンパク質の再構築
補欠分子団セレンテラジンを、5μMの最終濃度でPKCベータ−エクオリンプローブを発現する細胞の懸濁液に加えた。
【0078】
マルチウェルプレート上での接種
トランスフェクトした細胞(約100,000の細胞に相当)を含む50μlの懸濁液を、プレートのそれぞれのウェルに接種した。これらの細胞は1〜2時間の範囲の時間放置して付着させ、セレンテラジンの光不安定性のために細胞は暗所に保った。
【0079】
応答の検出
インキュベーション時間の最後に、試験する様々な分子をそれぞれのウェルに加え、処理した細胞を含むプレートを、エクオリンの一部分における光子の放出を測定する光電子増倍管と次いで直接接触させた。
【0080】
結果
生きている細胞中でのPKCの移動を調節することができる化合物を試験するために、この簡潔な試験をしたがって使用することができる。
【0081】
図5は、前に記載した方法に従う、PKCベータの移動の測定を示すグラフを示す。
【0082】
与えた実施例は3つの平行した細胞群で行った:
a)対照条件(グルコースの不在)下に保った、PKCベータ−エクオリン(PKCβ−AEQ)プローブを発現するHUVEC細胞(点線)。
b)高血糖状態(10mMのグルコース)下に保った、PKCベータ−エクオリン(PKCβ−AEQ)プローブを発現するHUVEC細胞(黒、太線)。
c)よく知られている抗糖尿病剤、メトホルミン(20μM)で処理し高血糖状態(10mMのグルコース)下に保った、PKCベータ−エクオリン(PKCβ−AEQ)プローブを発現するHUVEC細胞(黒、細線)。
【0083】
図5に示すグラフの傾向から見ることができるように、外部からのカルシウムの不在下では、光子の放出(cps:秒当たりの計数値として表す)は、調べたすべての条件下において非常に低い強度(100cps未満)である。実際これらの条件下では、(グルコースの不在下で)PKCβ−AEQプローブが局在する細胞質中、及び原形質膜の下、即ちグルコースを用いた処理の後にPKCβ−AEQプローブが移動する場所のカルシウムの濃度は、非常に低い(0.1μM)。
【0084】
外部からのカルシウムを加えることは、原形質膜下の領域中のカルシウム濃度の必然的な増大を伴う、原形質膜上に位置するチャネルを介した前記イオンの持続的な流れを誘導する。これらの条件下では、高濃度のグルコースで処理したPKCβ−AEQプローブを発現する細胞中のみで、光子の放出の多大な増大が記録され(>100,000cps)、高血糖状態下でのキナーゼの完全な移動を示す。
【0085】
抗糖尿病剤で処理し高血糖状態下に保った細胞は、光子の放出の点で応答の相当な低下を示し(40,000cps未満)、これはPKCβ−AEQプローブの移動の十分な阻害を意味する。
【0086】
対照細胞では、エクオリンの一部分における光子の放出の有意な変動は観察されない(10,000cps未満)。
【0087】
グラフから、抗糖尿病剤メトホルミンにより、高濃度のグルコース状態下に保った細胞を処理することによって、高血糖状態下においてグルコースによって誘導される移動を阻害することは明らかとなる。
【0088】
この系に関しては、移動を阻害することができる分子を同定することだけでなく、対照(0%)(グルコースを含まない)条件下で得たcps値と、(高濃度のグルコースを用いた処理後の)最大移動(100%)後に得たcps値の間の範囲に基づいてそれを表すことによって、その効率を評価することも可能であり、これらは以下のように記載することができる:
− 最大活性化物質に対して10%〜40%の範囲の値の優れた阻害剤;
− 最大活性化物質に対して40%〜70%の範囲の値の中程度の阻害剤;
− 最大活性化物質に対して70%〜100%の範囲の値の低度の活性化物質;
【0089】
この結果は、外部刺激に応答したサイトゾル区画から原形質膜へのタンパク質の移動を測定するために提案した、系の有効性を明らかに示す。
【0090】
(実施例3)
shcタンパク質のファミリーに属するタンパク質アダプターp66の、原形質膜への移動の分析
材料及び方法
キメラp66shc−エクオリンプローブの構築
キメラプローブp66shc−エクオリンを設計して、我々の手順をさらに確認した。
【0091】
p66shc−エクオリンプローブを構築するために使用したタンパク質p66shcのヌクレオチド配列は、参照としてPUBMED9049300を有する。
【0092】
p66shc−エクオリンプローブを構築するために使用したエクオリンのヌクレオチド配列は、以下の通りである:
【化2】

【0093】
エクオリンをコードする配列とインフレームで凝縮させたp66shcタンパク質をコードする配列を、真核生物の発現ベクター(pcDNA3;5.4kb)中に挿入することによって、このプローブを得た。
【0094】
キメラプローブの局在は、この具体例p66shcにおいてその細胞内経路を追跡するタンパク質の元の配列内に含まれていたシグナルペプチドによって測定する。p66shcをコードする配列のC末端にエクオリンのcDNAを加えることによって、調べるタンパク質の配向又は生理的挙動を変えることはない。
【0095】
この時点で、A431、DMS79などの異なる細胞系において、得られたキメラタンパク質プローブのトランスフェクションを実施する。
【0096】
細胞系の遺伝子工学処理
示した実施例中では、細胞応答を活性化させるために任意の他の要素を発現させることは、使用した細胞系には必要ではなかった。しかしながら試験要件に応じて、細胞が試験する分子/薬剤に特異的な受容体を発現するのを誘導して、有効な結合度を保証し、これによって形質導入系の機能分析を簡潔にすることは可能である。
【0097】
細胞のトランスフェクション
細胞培養フラスコ(75cm)で培養した細胞を、問題の細胞系に最も適したトランスフェクション技法を使用して、生成したキメラプローブを含むベクターを用いてトランスフェクトした。この細胞系に関して高い割合の陽性細胞を保証する「Effectene試薬」手順(Qiagen、ドイツ)を使用して、安定状態のトランスフェクト細胞系A431を実験モデルとして採用した。
【0098】
トランスフェクション後24時間、無血清DMEM培地中に細胞を保った。
【0099】
キメラプローブを発現する細胞の回収
トランスフェクション後36時間で、フラスコ中に含まれていた細胞を、トリプシン処理によって底部から剥離させた。次いで細胞の懸濁液をファルコンチューブ(15〜50ml)に移し、20℃で1200rpmの遠心分離にかけ、最後に細胞の沈殿をKRB(クレブス−リンガーの改変バッファー:125mMのNaCl、5mMのKCl、1mMのNaPO、1mMのMgSO、5.5mMのグルコース、20mMのHEPES、pH7.4、37℃)中に再懸濁させた。
【0100】
活性形へのエクオリン発光タンパク質の再構築
補欠分子団セレンテラジンを、5μMの最終濃度でp66shc−エクオリンプローブを発現する細胞の懸濁液に加えた。
【0101】
マルチウェルプレート上での接種
トランスフェクトした細胞(約100,000の細胞に相当)を含む50μlの懸濁液を、プレートのそれぞれのウェルに接種した。これらの細胞は1〜2時間の範囲の時間放置して付着させ、セレンテラジンの光不安定性のために細胞は暗所に保った。
【0102】
応答の検出
インキュベーション時間の最後に、試験する様々な分子をそれぞれのウェルに加え、処理した細胞を含むプレートを、エクオリンの一部分における光子の放出を測定する光電子増倍管と次いで直接接触させた。
【0103】
結果
生きている細胞中でのshcファミリーのタンパク質の移動を調節することができる化合物を試験するために、この簡潔な試験を使用することができる。
【0104】
図6は、前に記載した方法に従うp66shcの移動の測定を示すグラフを示す。
【0105】
示した実施例は2つの平行した細胞群で行った:
a)p66shc−エクオリン(p66shc−AEQ)プローブを発現するA431細胞(暗線)。
これらの細胞は次いで:
− EGF(表皮成長因子)(100ng/ml)で処理した−A431p66shc−エクオリン細胞(濃い暗線);
− 対照A431p66shc−エクオリン細胞、即ちEGFで処理しなかった細胞(薄い暗線);
b)サイトゾルエクオリンプローブ(cyt−AEQ)(如何なるタンパク質にも凝縮されない)を発現するA431細胞(光線)にさらに分けた。
これらの細胞は次いで:
− EGF(100ng/mL)で処理したサイトゾルエクオリンを有するA431細胞(濃い光線);
− サイトゾルエクオリンを有する対照A431細胞、即ちEGFで処理しなかった細胞(薄い光線)にさらに分けた。
【0106】
図6に示すグラフの傾向から観察することができるように、外部からのカルシウムの不在下では、光子の放出(cps:秒当たりの計数値として表す)は、調べたすべての条件下において非常に低い強度(100cps未満)を有する。実際このような条件下では、cyt−AEQプローブ(EGF成長因子の不在下及び存在下)及びp66shc−AEQプローブ(EGFの不在下)が局在する細胞質中、及び原形質膜の下、即ちEGFを用いた処理の後にp66shc−AEQプローブが移動する場所のカルシウムの濃度は、非常に低い(0.1μM)。
【0107】
外部からのカルシウムを加えることは、原形質膜下の領域中のカルシウム濃度の必然的な増大を伴う、原形質膜上に位置するチャネルを介したこのイオンの重要な流れを誘導する。これらの条件下では、EGFで処理したp66shc−AEQプローブを発現する細胞中のみで、光子の放出の多大な増大が記録され(>100,000cps)、このタンパク質の完全な移動を示す。
【0108】
すべての他の群の細胞において、エクオリンの一部分における光子の放出の有意な変動は存在しない(10,000cps未満)。
【0109】
グラフから、最大活性化物質(EGF)の不在下で観察したcps値より高いすべてのcps値が、キナーゼの完全な移動を示すであろうことは明らかである。この系に関しては、タンパク質の完全又は不完全な移動を確認することによって、一方ではEGF成長因子によって活性化させたものに対して他の経路を介したshcタンパク質の移動を誘導することができる分子、及び他方では、EGF因子によって活性化される細胞内変換経路を遮断することができる分子を同定することが、したがって可能である。
【0110】
対照(0%)(EGFを含まない)条件下で得たcps値と(EGFを用いた処理後の)最大移動(100%)後に得たcps値の間の範囲に基づいてそれを表すことによって、前記移動を分子が誘導(又は遮断)する効率を測定することもでき、これらは以下のように記載することができる:
− 最大活性化物質に対して70%〜100%の範囲の値の優れた活性化物質;
− 最大活性化物質に対して40%〜70%の範囲の値の中程度の活性化物質;
− 最大活性化物質に対して10%〜40%の範囲の値の低度の活性化物質;
− 最大活性化物質に対して10%未満の値の非活性化物質。
【0111】
この結果は、外部刺激に応答したサイトゾル区画から原形質膜へのタンパク質の移動を測定するために提案した、系の有効性を明らかに示す。
【0112】
(実施例4)
当該の第2細胞メッセンジャー、cAMPの濃度の変動の分析
材料及び方法
mt−AEQプローブの構築
mt−AEQプローブの記載は、論文(Rizzutoら、1992)中に詳細に記載されている。
【0113】
mt−エクオリンプローブの細胞発現系の遺伝子工学処理
この適用例のために2つの細胞系を、cAMPの機能を制御することができる異なる薬剤を試験することができると思われる2つの異なるキメラ受容体を、細胞系が発現することができるように遺伝子工学処理した。
【0114】
使用した第1のキメラ受容体は、(cAMPの生成と関係がある)ベータアドレナリン作動性受容体の細胞外部分と(カルシウムの濃度の変動と関係がある)アルファアドレナリン作動性受容体の細胞内部分(Cotecchiaら、1992)を凝縮することによって構築し、ここでは以後ベータ/アルファアドレナリン作動性受容体と呼ぶ。
【0115】
前記受容体をHeLa細胞において発現させ、これによって当該の特定の薬剤を用いた刺激に応答することができる遺伝子工学処理した細胞系を得た。
【0116】
使用した第2のキメラ受容体は、(cAMPの生成と関係がある)痛覚物質用のORL1受容体の細胞外部分と(カルシウムの濃度の変動と関係がある)アルファアドレナリン作動性受容体の細胞内部分(Cotecchiaら、1992)を凝縮することによって構築し、ここでは以後ORL1/アルファアドレナリン作動性受容体と呼ぶ。
【0117】
前記受容体をCHO細胞において発現させ、これによって当該の特定の薬剤を用いた刺激に応答することができる遺伝子工学処理した細胞系を得た。
【0118】
細胞のトランスフェクション
このようにして遺伝子工学処理した細胞系は、リン酸カルシウム技法により
mt−AEQプローブを含むベクターを用いて、次いでいずれもトランスフェクトした。
【0119】
キメラプローブを発現する細胞の回収
トランスフェクション後36時間で、細胞培養用のフラスコ(75cm)で培養した細胞を、トリプシン処理によって底部から剥離させた。次いで細胞の懸濁液を(15又は50mlの)ファルコンチューブに移し、20℃において細胞遠心分離装置中で1200rpmの遠心分離にかけ、最後に細胞の沈殿をKRB/Ca2+(クレブス−リンガーの改変バッファー:125mMのNaCl、5mMのKCl、1mMのCaCl、1mMのNaPO、1mMのMgSO、5.5mMのグルコース、20mMのHEPES、pH7.4、37℃)中に再懸濁させた。
【0120】
活性形へのエクオリン蛍光タンパク質の再構築
補欠分子団セレンテラジンを、5μMの最終濃度でmt−AEQプローブを発現する遺伝子工学処理した細胞の懸濁液に加えた。
【0121】
マルチウェルプレート上での接種
トランスフェクトした細胞(約100,000の細胞に相当)を含む50μlの懸濁液を、プレートのそれぞれのウェルに接種した。これらの細胞は1〜2時間の範囲の時間放置して付着させ、セレンテラジンの光不安定性のために細胞は暗所に保った。
【0122】
応答の検出
インキュベーション時間の最後に、試験する様々な分子をそれぞれのウェルに加え、処理した細胞を含むプレートを、エクオリンの一部分における光子の放出を測定する光電子増倍管と次いで直接接触させた。
【0123】
結果
特定の受容体の活性化によってcAMPの濃度の変動を誘導することができる化合物を試験するために、この簡潔な試験をしたがって使用することができる。
【0124】
それぞれmt−AEQプローブ及びキメラ受容体(ベータ/アルファアドレナリン作動性)及びキメラ受容体(ORL1/アルファアドレナリン作動性)
を発現する、HeLa及びCHO細胞で実験を行った。
【0125】
HeLa細胞(図7)は以下のもので処理した:
− ヒスタミンH1の内因性受容体の刺激により、カルシウムの正常な増大を誘導するためのヒスタミン(100μM、SIGMA)(暗線)。
− キメラ受容体の刺激により、カルシウムの増大を誘導するためのイソプロテレノール(100μM、SIGMA)(光線)。
【0126】
ベータアドレナリン作動性受容体を発現し、前記受容体の刺激を誘導するためにイソプロテレノールで刺激したHeLa細胞は、対照として使用した(点線)。
【0127】
CHO細胞(図8)は以下のもので処理した:
− ATP P2Yの内因性受容体の刺激により、カルシウムの正常な増大を誘導するためのATP(100μM、SIGMA)(暗線)。
− キメラ受容体の刺激により、カルシウムの増大を誘導するための痛覚物質(1μM)(光線)。
【0128】
野生型ORL1受容体を発現し、前記受容体の刺激を誘導するために痛覚物質で刺激したCHO細胞は、対照として使用した(点線)。
【0129】
図7及び8は、前に記載した方法を用いたcAMPの生成及びcAMPの濃度の変動の測定の、2つの例を示すグラフを示す。グラフの分析から観察することができるように、刺激の不在下では、光子の放出(cps:秒当たりの計数値)は非常に低く、ほぼゼロである(100cps)。これらの基本条件下では、mt−AEQプローブが局在するミトコンドリアマトリクス中のカルシウムの濃度は、非常に低い(0.2μM)。
【0130】
文献(Rizzutoら、1992;Pintonら、1998)中に広く記載されているように、HeLa細胞の場合のヒスタミンを用いた刺激、及びCHO細胞の場合のATPを用いた刺激は、ミトコンドリアマトリクス中のカルシウムの濃度の相当且つ一時的な増大を誘導する。
【0131】
この増大は、エクオリンの一部分における桁外れの光子の放出で表される(1秒当たりに放出される20未満の光子から80,000を超える光子まで)。
【0132】
提案した系の有効性を確認するために我々は、キメラ受容体の細胞外部分の特異的アゴニスト(イソプロテレノール及び痛覚物質)を用いて細胞を刺激した。この場合も光線は、エクオリンの一部分における光子の放出の有意な増大(1秒当たりに放出される20未満の光子から80,000を超える光子まで)がどのような状態で存在するかを示し、イソプロテレノール及び痛覚物質(cAMPの生成及びcAMPの濃度の増大と通常関係がある)を用いた刺激は、カルシウムの濃度の変動と関係があるシグナルに変換されることを示す。これとは反対に、cAMPの生成としたがって関係がある、イソプロテレノールを用いたベータアドレナリン作動性受容体を発現する細胞の刺激、及び痛覚物質を用いたORL1野生型受容体を発現する細胞の刺激は、cpsの如何なる増大も誘導せず、カルシウムの濃度の非増大を示す。カルシウムの濃度の変動と関係がある細胞内部分を有するキメラ受容体を発現する細胞において、cpsの増大を誘導する任意の物質が、cAMPの濃度を変えることができるであろうことは明らかである。
【0133】
この結果は、cAMPの生成と関係がある特定の受容体の活性化を測定するために提案した、系の有効性を明らかに実証する。
【0134】
(実施例5)
カルシウム用のチャネルの機能状態の制御における、当該の細胞エフェクター、PKCの触媒活性の活性化/阻害の分析
この方法を確認するために、L型Ca2+チャネルと呼ばれる原形質膜のレベルに位置する特定のカルシウムチャネルにおける、PKCの触媒活性の分析実験を実施した。
【0135】
この具体例では、PKC依存性リン酸化によって阻害されるL型のCa2+チャネル、及び調べるチャネルと直接接触する原形質膜下に局在するエクオリンによって表されるプローブ(SNAP−AEQ)(Marsaultら、1997)で、細胞をトランスフェクトした。
【0136】
材料及び方法
SNAP−AEQプローブの構築
SNAP−AEQプローブの記載は、論文(Marsaultら、1997)中に詳細に記載されている。
【0137】
SNAP−AEQプローブの細胞発現系の遺伝子工学処理
この適用例のために、カルシウムチャネル(この場合L型)を有する細胞系を遺伝子工学処理することが必要である。
【0138】
当該の細胞エフェクター(PKC)によってその活性が制御されるカルシウムチャネルを発現するように、HeLa細胞を遺伝子工学処理した。
【0139】
細胞のトランスフェクション
遺伝子工学処理した細胞系は、リン酸カルシウム法によりSNAP−AEQプローブを含むベクターを用いて、次いでトランスフェクトした。
【0140】
キメラプローブを発現する細胞の回収
トランスフェクション後36時間で、細胞培養用のフラスコ(75cm)で培養した細胞を、トリプシン処理によって底部から剥離させた。次いで細胞の懸濁液を(15又は50mlの)ファルコンチューブに移し、20℃において細胞遠心分離装置中で1200rpmの遠心分離にかけ、最後に細胞の沈殿をKRB(クレブス−リンガーの改変バッファー:125mMのNaCl、5mMのKCl、1mMのNaPO、1mMのMgSO、5.5mMのグルコース、20mMのHEPES、pH7.4、37℃)中に再懸濁させた。
【0141】
活性形へのエクオリン蛍光タンパク質の再構築
補欠分子団セレンテラジンを、5μMの最終濃度でSNAP−AEQプローブを発現する遺伝子工学処理した細胞の懸濁液に加えた。
【0142】
マルチウェルプレート上での接種
トランスフェクト及び再構築した細胞(約100,000の細胞に相当)を含む50μlの懸濁液を、プレートのそれぞれのウェルに接種した。これらの細胞は1〜2時間の範囲の時間放置して付着させ、セレンテラジンの光不安定性のために細胞は暗所に保った。
【0143】
応答の検出
インキュベーション時間の最後に、試験する様々な分子をそれぞれのウェルに加え、処理した細胞を含むプレートを、エクオリンの一部分における光子の放出を測定する光電子増倍管と次いで直接接触させた。
【0144】
この試験によって、当該の細胞エフェクターの触媒活性、及びその結果カルシウムチャネルの機能状態を改変することができる分子を同定することができる。





【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】PMA刺激の存在下又は不在下でのイソ型PKCβ−エクオリンを有するプローブの移動単位(cps)、及びエクオリンサイトゾルcyt−AEQプローブに関する違いの測定を示すグラフの図である。
【図2】PMA刺激の存在下又は不在下でのイソ型PKCδ−エクオリンを有するプローブの移動単位(cps)、及びエクオリンサイトゾルcyt−AEQプローブに関する違いの測定を示すグラフの図である。
【図3】PMA刺激の存在下又は不在下でのPKCε−エクオリンイソ型を有するプローブの移動単位(cps)、及びエクオリンサイトゾルcyt−AEQプローブに関する違いの測定を示すグラフの図である。
【図4】PMA刺激の存在下又は不在下でのPKCζ−エクオリンイソ型を有するプローブの移動単位(cps)、及びエクオリンサイトゾルcyt−AEQプローブに関する違いの測定を示すグラフの図である。
【図5】薬剤の存在下又は不在下での高血糖状態下における、PKCβ−AEQプローブの移動単位(cps)の測定を示すグラフの図である。
【図6】EGF刺激の存在下又は不在下でのp66shc−AEQプローブの移動単位(cps)、及びエクオリンサイトゾルcyt−AEQプローブに関する違いの測定を示すグラフの図である。
【図7】ベータアドレナリン作動性受容体とイソプロテノール、或いはベータ/アルファアドレナリン作動性キメラ受容体とイソプロテノール又はヒスタミンの存在下での、cAMP濃度の増大の単位(cps)の測定を示すグラフの図である。
【図8】痛覚物質の野生型ORL1受容体、及び痛覚物質、或いはアドレナリン作動性ORL1/アルファアキメラ受容体、及びATP又は痛覚物質の存在下での、cAMP濃度の増大の単位(cps)の測定を示すグラフの図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的の細胞内パラメータの改変を引き起こすことができる分子のスクリーニング法であって、前記改変がCa2+感受性組換えタンパク質プローブによって検出されるCa2+イオンの細胞内濃度の比例変数に変換され、以下の段階:
a)前記プローブをコードする配列を含む発現ベクターであって、前記配列が1つに凝縮された少なくとも1つのCa2+感受性蛍光タンパク質、及び少なくとも1つの細胞エフェクター又はシグナル配列をコードする配列を含むことを特徴とする発現ベクターの構築、
b)Ca2+感受性組換えタンパク質プローブを含む前記ベクターを用いた少なくとも1つの哺乳動物の細胞系のトランスフェクション、
c)前記組換えタンパク質プローブを発現する細胞系に補欠分子団を加えることによる、前記Ca2+感受性蛍光タンパク質の活性化、
d)前記組換えタンパク質プローブを発現する細胞系への試験分子の投与、
e)得られたcps値と細胞系の最大刺激条件下で記録されたcpsの最大値の間の比に基づく、細胞系において発現されたCa2+感受性蛍光タンパク質の一部分における光子の放出の検出、及び試験分子によって行われた活性化又は阻害の量の評価を含むスクリーニング法。
【請求項2】
前記Ca2+感受性蛍光タンパク質がエクオリンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記補欠分子団がセレンテラジンである、請求項1及び2に記載の方法。
【請求項4】
前記細胞内パラメータの改変が、セカンドメッセンジャーの濃度の変動、膜又は活性/不活性状態の細胞エフェクターへの移動を含む群から選択される、請求項1から3までに記載の方法。
【請求項5】
前記セカンドメッセンジャーが、環状ヌクレオチド、アデノシンヌクレオチド、ジアシルグリセロール、Ca2+及びイノシトール1,4,5−3リン酸を含む群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記細胞エフェクターが、イオンチャネル、制御タンパク質、細胞膜受容体からなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記イオンチャネルが、電圧依存性Ca2+チャネル及びCa2+チャネル受容体を含む群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記制御タンパク質が、プロテインキナーゼ、ホスファターゼ、アデニル酸シクラーゼ、原形質膜受容体と連結するタンパク質、原形質膜チャネルと相互作用するタンパク質、原形質膜脂質と相互作用するタンパク質を含む群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記細胞膜受容体が、Gタンパク質と結合した受容体、酵素活性を有する受容体、チャネル受容体を含む群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記Ca2+感受性組換えタンパク質プローブが、少なくとも1つのCa2+感受性蛍光タンパク質、又はその一部分のアミノ酸配列を含むことを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
タンパク質プローブが、細胞エフェクターのシグナル配列及び/又はアミノ酸配列をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記細胞エフェクターが、イオンチャネル、制御タンパク質、細胞膜受容体からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記イオンチャネルが、電圧依存性Ca2+チャネル及びCa2+チャネル受容体を含む群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記制御タンパク質が、プロテインキナーゼ、ホスファターゼ、アデニル酸シクラーゼ、原形質膜受容体と連結するタンパク質、原形質膜チャネルと相互作用するタンパク質、原形質膜脂質と相互作用するタンパク質を含む群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記プロテインキナーゼがプロテインキナーゼC(PKC)である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記細胞膜受容体が、Gタンパク質と結合した受容体、酵素活性を有する受容体、チャネル受容体を含む群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記シグナル配列がCa2+感受性蛍光タンパク質、好ましくはエクオリンを細胞区画に誘導する、請求項10及び11に記載の方法。
【請求項18】
タンパク質プローブが、PKC−エクオリン(PKC−AEQ)、shc−エクオリン(shc−AEQ)、SNAP−エクオリン(SNAP−AEQ)、mt−エクオリン(mt−AEQ)、サイトゾルエクオリン(cyt−AEQ)からなる群から選択される凝縮タンパク質である、請求項10から17までのいずれかに記載の方法。
【請求項19】
PKC−エクオリンが、PKCベータ−エクオリン、PKCデルタ−エクオリン、PKCイプシロン−エクオリン、PKCゼータ−エクオリン、PKCガンマ−エクオリン、PKCアルファ−エクオリン、PKC−ラムダ−エクオリン、PKCシータ−エクオリン、PKCエータ−エクオリンを含む群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
shc−エクオリンが、p66shc−エクオリン、p46shc−エクオリン、p52shc−エクオリンからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
段階a)の発現ベクターが真核生物のベクターである、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの哺乳動物の細胞系を、異種原型又はキメラタンパク質を発現するように事前に遺伝子工学処理する、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記異種タンパク質が受容体、酵素、イオンチャネル又は細胞エフェクターからなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記受容体がキメラ受容体である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記キメラ受容体が、カルシウムの濃度の変動と関係がある受容体の細胞内部分、及びcAMPの生成と関係がある受容体の細胞外部分を有することを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記イオンチャネルが、電圧依存性Ca2+チャネル及びCa2+チャネル受容体を含む群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記細胞エフェクターが、イオンチャネル、制御タンパク質、細胞膜受容体からなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記イオンチャネルが、電圧依存性Ca2+チャネル及びCa2+チャネル受容体を含む群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記制御タンパク質が、プロテインキナーゼ、ホスファターゼ、アデニル酸シクラーゼ、原形質膜受容体と連結するタンパク質、原形質膜チャネルと相互作用するタンパク質、原形質膜脂質と相互作用するタンパク質を含む群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記細胞膜受容体が、Gタンパク質と結合した受容体、酵素活性を有する受容体、チャネル受容体を含む群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
1つに凝縮された少なくとも1つのCa2+感受性蛍光タンパク質、又はその一部分のアミノ酸配列、及び細胞エフェクター又はシグナル配列を含むことを特徴とする、Ca2+感受性組換えタンパク質プローブ。
【請求項32】
前記Ca2+感受性蛍光タンパク質がエクオリンである、請求項31に記載のプローブ。
【請求項33】
前記タンパク質プローブが、細胞エフェクターのシグナル配列及び/又はアミノ酸配列をさらに含む、請求項31及び32に記載のプローブ。
【請求項34】
前記細胞エフェクターが、イオンチャネル、制御タンパク質、細胞膜受容体からなる群から選択される、請求項31から33までに記載のプローブ。
【請求項35】
前記イオンチャネルが、電圧依存性Ca2+チャネル及びCa2+チャネル受容体を含む群から選択される、請求項34に記載のプローブ。
【請求項36】
前記制御タンパク質が、プロテインキナーゼ、ホスファターゼ、アデニル酸シクラーゼ、原形質膜受容体と連結するタンパク質、原形質膜チャネルと相互作用するタンパク質、原形質膜脂質と相互作用するタンパク質を含む群から選択される、請求項34に記載のプローブ。
【請求項37】
前記プロテインキナーゼがプロテインキナーゼC(PKC)である、請求項36に記載のプローブ。
【請求項38】
前記プローブがPKC−エクオリン(PKC−AEQ)からなる凝縮タンパク質である、請求項31から37までのいずれかに記載のプローブ。
【請求項39】
PKC−エクオリンが、PKCベータ−エクオリン(PCKベータ:rif.M13975)、PKCデルタ−エクオリン(PCKデルタ:rif.M18330)、PKCイプシロン−エクオリン(PCKイプシロン:rif.AF028009)、PKCゼータ−エクオリン(PCKゼータ:rif.M18332)、PKCガンマ−エクオリン、PKCアルファ−エクオリン(PCKアルファ:rif.M13973)、PKC−ラムダ−エクオリン、PKCシータ−エクオリン(PCKシータ:rif.L07032)、PKCエータ−エクオリンを含む群から選択される、請求項38に記載のプローブ。
【請求項40】
前記原形質膜受容体と連結するタンパク質がshcファミリーに属する、請求項36に記載のプローブ。
【請求項41】
タンパク質がp46shc、p52shc及びp66shcを含む群から選択される、請求項40に記載のプローブ。
【請求項42】
前記細胞膜受容体が、Gタンパク質と結合した受容体、酵素活性を有する受容体、チャネル受容体を含む群から選択される、請求項34に記載のプローブ。
【請求項43】
前記シグナル配列がCa2+感受性蛍光タンパク質、好ましくはエクオリンを細胞区画に誘導する、請求項31から42までに記載のプローブ。
【請求項44】
細胞内パラメータの改変を引き起こすことができる分子のスクリーニングであって、前記改変がCa2+イオンの細胞内濃度の比例変数に変換されるスクリーニング用の、請求項31から42までに定義したCa2+感受性組換えプローブの使用。
【請求項45】
前記細胞内パラメータの改変が、セカンドメッセンジャーの濃度の変動、膜又は活性/不活性状態の細胞エフェクターへの移動を含む群から選択される、請求項44に記載の使用。
【請求項46】
前記セカンドメッセンジャーが、環状ヌクレオチド、アデノシンのヌクレオチド、ジアシルグリセロール、Ca2+及びイノシトール1,4,5−3リン酸を含む群から選択される、請求項45に記載の使用。
【請求項47】
前記細胞エフェクターが、イオンチャネル、制御タンパク質、細胞膜受容体からなる群から選択される、請求項45に記載の使用。
【請求項48】
前記イオンチャネルが、電圧依存性Ca2+チャネル及びCa2+チャネル受容体を含む群から選択される、請求項47に記載の使用。
【請求項49】
前記制御タンパク質が、プロテインキナーゼ、ホスファターゼ、アデニル酸シクラーゼ、原形質膜受容体と連結するタンパク質、原形質膜チャネルと相互作用するタンパク質、原形質膜脂質と相互作用するタンパク質を含む群から選択される、請求項47に記載の使用。
【請求項50】
前記細胞膜受容体が、Gタンパク質と結合した受容体、酵素活性を有する受容体、チャネル受容体を含む群から選択される、請求項47に記載の使用。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−530027(P2007−530027A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504510(P2007−504510)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【国際出願番号】PCT/IB2005/000795
【国際公開番号】WO2005/093429
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(506324611)
【出願人】(506324622)
【出願人】(506324633)
【出願人】(506324644)
【出願人】(506324655)
【Fターム(参考)】