説明

細胞分別処理機能を有するフローサイトメータ、および生細胞分別処理方法

【課題】目的とする生細胞には一切の損傷を与えることなく、大量の生細胞が含まれる生細胞群から、短時間かつ高精度に、不要生細胞を分別して処理することを可能とする、生細胞分別処理機能を有するフローサイトメータを提供することを目的とする。
【解決手段】生細胞群を含むサンプル液流に測定用レーザ光を照射し、測定用レーザ光の照射を受けて、サンプル液流の各生細胞それぞれから発する、散乱光および蛍光の少なくともいずれか一方の光情報それぞれを取得し、取得された光情報に基づき、各光情報に対応する生細胞が、不要生細胞または目的生細胞のいずれであるかをそれぞれ判別し、判別結果に応じて、サンプル液中の生細胞群のうち不要生細胞と判別された生細胞に対してのみフェムト秒レーザ光を照射し、不要生細胞に損傷を与えて死細胞とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の不要生細胞と複数の目的生細胞とが混合してなる生細胞群のうち、特定の生細胞に処理を行うフローサイトメータ、および、上記生細胞群から目的生細胞を分別して回収する生細胞分別処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば癌などの研究における細胞や染色体の解析には、従来は顕微鏡が用いられていた。しかし、顕微鏡による解析では、大量のデータを集めて統計的に検討するのに、非常に多くの手間と時間を要していた。現在、多くの場合、このような細胞や染色体の解析には、短時間に多くのサンプル(細胞や染色体)について解析し、信頼性の高い統計データを得ることを可能とする、フローサイトメータが用いられている。フローサイトメータでは、抗体が蛍光染色された細胞などのサンプル粒子を含むサンプル液の流れであるサンプル液流を形成し、このサンプル液流にレーザ光を照射して、流れていく大量のサンプル粒子の1つ1つから放出される蛍光や散乱光を測定し、信頼性の高い統計データを得ることができる。このようなフローサイトメータは、医療分野における研究などに広く利用されている。
【0003】
ところで、今後の医療分野において大きな期待がかかっているのは、再生細胞ともいわれる幹細胞(stem cell)を用いた治療である。幹細胞とは、生体を構成する細胞の生理的な増殖・分化などの過程において、自己増殖能と、特定の機能を持つ細胞に分化する能力とをあわせ有する細胞である。すなわち、幹細胞は、自分自身が増える複製能力と、ほかの細胞になる能力を備えている細胞である。幹細胞には、胚から取り出される胚性幹細胞(ES細胞)、成人から取り出される成体幹細胞、胎児から取り出される胎児性幹細胞など、様々な種類がある。この幹細胞を、けがや病気で傷んだ臓器などの細胞に分化させることができれば、移植して修復に使えることから、再生医療の分野等で研究が盛んになっている。
【0004】
胚性幹細胞や胎児性幹細胞などから幹細胞を取り出すには、胚を壊してしまう(殺してしまう)必要があるといった倫理的な問題を有している。このため、現在の再生医療に関する研究の多くは、生きている人(子どもまたは成人)から、その体を傷つけることなく幹細胞を採取することができる成体幹細胞に関するものとなっている。成体幹細胞の研究には、当然ながら、成体肝細胞が必要である。成体幹細胞は、骨髄や血液、目の角膜や網膜、肝臓、皮膚などで見つかるものであるが、見つかることは非常にまれであり、通常、採取した大量の細胞サンプルの中から、ごく微量しか見つけることはできない。例えば、骨髄間質の中には、骨、軟骨、脂肪、筋肉、腱、神経など多くの組織に分化できる間葉系幹細胞と呼ばれ細胞が存在しており、病気や外傷などによる組織欠損に対する再生医療において注目されている。しかしながらこの細胞は骨髄中には10万個に1個の割合でしか存在していない。そのため欠損組織の再生を行うためには一度体外で培養して細胞を増やす必要がある。そのためには、この骨髄中の複数の細胞の中から、ごく微量の幹細胞を分離・抽出する必要がある。大量の細胞サンプルの中から、なるべく短時間に、ごく微量の成体幹細胞を分離・抽出するために、現在、上記フローメータを用いた細胞の分離・回収システム(セルソータ)が利用されている。
【0005】
例えば、下記非特許文献1には、このようなセルソータの一例について記載されている。図4は、下記非特許文献1記載のセルソータ100について説明する概略構成図である。セルソータ100では、大量の細胞サンプル102を含んだサンプル液を、ノズル103からジェット流104として出射する。これら大量の細胞サンプル102には、わずかながら幹細胞が含まれており、大量の細胞サンプル102には、このような幹細胞を特徴づけるための蛍光ラベリングが施されている。セルソータ100は、このジェット流104に測定用のレーザ光106を照射して、大量の細胞サンプル102に対して順次レーザ光106を照射する。そして、光電子増倍管108および光電子増倍管110を有する図示しない評価手段によって、個々の細胞サンプル102から発せられる各種散乱光や蛍光の情報を取得する。そして、図示しない評価手段において、レーザ光106を照射した細胞サンプルが、幹細胞サンプルであるか否かを判定する(なお、下記非特許文献1では、幹細胞を多く含んだサンプル細胞の集団部分を特定している)。ここまでは、一般的なフローサイトメータの構成であるが、セルソータ100では、特定した細胞を分離(ソーティング)する機能を有している。セルソータ100では、例えば図示しない圧電素子等によってノズル103を高周波で振動させ、ジェット流104を強制的に液滴112とする。この液滴112を形成する際、幹細胞サンプルなどの特定の細胞サンプルが液滴に入った瞬間に、この特定液滴に対して、プラス(+)またはマイナス(−)(図示例ではプラス)の電荷をかける(チャージする)。
【0006】
液滴112は、2枚の電場形成電極板114および116によって形成された水平方向の電場118の間を順次通過する。この際、チャージされた液滴112のみが、この水平方向の電場によって落下方向を変えて(偏向して)落下し、所望の試験管120に回収される。このようにして、幹細胞サンプルなどの特定の細胞サンプル102のみが、試験管120に回収される。チャージされなかったその他の細胞サンプル102は、鉛直に落下して、廃液受け122に回収される。
【0007】
【非特許文献1】“超高速セルソータMoFloTMによる幹細胞の新しい分析・分離方法”、[online]、[平成18年10月3日検索]、インターネット<URL:http://www.takara-bio.co.jp/goods/bioview/pdfs/42/42_15-16.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記非特許文献1のように、細胞サンプルが含まれる液滴をチャージして、しかも高電場をかけた場合、幹細胞などの必要な細胞にまで電気的な衝撃が加わり、この必要な細胞まで損傷を受けてしまうといった問題があった。このようなセルソータを用いて幹細胞サンプルを分離して、所望の臓器などの細胞に分化させるとしても、分離した幹細胞サンプルが損傷を受けている場合、うまく分化しなかったり、あるいは不良細胞(例えば癌細胞)が発現してしまうなど、多様かつ危険な問題が発生する可能性を完全には排除できない。このため、細胞に損傷を与えることができないような慎重を要する研究分野では、依然としてこのような高速セルソータを用いることができなかった。
【0009】
このような分野では、例えば、上記セルソータ100の試験管120自体を、所定のタイミングで移動させることで、液滴112に含まれて落下する特定細胞サンプルを、分離・回収していた。しかし、試験管120自体の移動速度は、ジェット流104が液滴化された液滴112の落下速度に比べて著しく小さい速度しか達成できない。大量のサンプルを高速度に流した場合、大量の細胞サンプルに対して、ごくわずかな特定細胞サンプルしか取得することしかできない。また、試験管120の120の移動速度に応じて、サンプルの流速度を著しく低くした場合は、細胞の分離・抽出に多くの時間を要する。
【0010】
本発明は、上記従来の問題点に着目してなされたものであり、目的とする生細胞には一切の損傷を与えることなく、大量の生細胞が含まれる生細胞群から、短時間かつ高精度に、不要生細胞を分別して処理することを可能とする、生細胞分別処理機能を有するフローサイトメータを提供することを目的とする。また、大量の生細胞が含まれる生細胞群から、目的生細胞のみを分別して回収することを可能とする、生細胞分別処理方法を提供することを目的とする。また、大量の生細胞が含まれる生細胞群から、目的生細胞のみを分別して培養することを可能とする、生細胞分別処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記問題を解決するために、本発明は、細胞分別処理機能を有するフローサイトメータであって、複数の不要生細胞と複数の目的生細胞とが混合してなる生細胞群を含むサンプル液の流れを形成するサンプル液流形成手段と、前記サンプル液流に測定用レーザ光を照射するレーザ光照射手段と、前記測定用レーザ光の照射を受けて、前記サンプル液流の各生細胞それぞれから発する、散乱光および蛍光の少なくともいずれか一方の光情報それぞれを取得する光情報取得手段と、前記光情報取得手段によって取得された光情報に基づき、各光情報に対応する前記生細胞が、前記不要生細胞または前記目的生細胞のいずれであるか、をそれぞれ判別する生細胞判別手段と、前記生細胞判別手段における判別結果に応じて、前記サンプル液中の前記生細胞群のうち前記不要生細胞と判別された生細胞に対してのみフェムト秒レーザ光を照射し、前記不要生細胞に損傷を与えて死細胞とするフェムト秒レーザ光照射手段と、を有することを特徴とする細胞分別処理機能を有するフローサイトメータを提供する。
【0012】
本発明は、また、生細胞分別処理方法であって、複数の不要生細胞と複数の目的生細胞とが混合してなる生細胞群を含むサンプル液の流れを形成するステップと、前記サンプル液流に測定用レーザ光を照射するステップと、前記測定用レーザ光の照射を受けて、前記サンプル液流の各生細胞それぞれから発する、散乱光および蛍光の少なくともいずれか一方の光情報それぞれを取得するステップと、前記取得するステップによって取得された光情報に基づき、各光情報に対応する前記生細胞が、前記不要生細胞または前記目的生細胞のいずれであるかをそれぞれ判別するステップと、前記判別するステップにおける判別結果に応じて、前記サンプル液中の前記生細胞群のうち前記不要生細胞と判別された生細胞に対してのみフェムト秒レーザ光を照射し、前記不要生細胞に損傷を与えて死細胞とするステップと、を有することを特徴とする生細胞分別処理方法を、併せて提供する。
【0013】
本発明の生細胞分別処理方法は、さらに、前記フェムト秒レーザ光の照射によって損傷を受けた前記死細胞と前記目的生細胞とが含まれる、前記フェムト秒レーザ光が照射された後の前記サンプル液を回収容器に回収するステップと、前記サンプル液中、前記回収容器の内壁面に付着した細胞を、前記目的生細胞として回収するとともに、前記回収容器の内壁面に付着せず前記サンプル液に浮遊する細胞を、前記死細胞として分別して回収するステップと、を有することが好ましい。
【0014】
本発明の生細胞分別処理方法では、さらに、前記フェムト秒レーザ光の照射によって損傷を受けた前記死細胞と前記目的生細胞とが含まれる、前記フェムト秒レーザ光が照射された後の前記サンプル液を回収容器に回収するステップと、前記回収容器中の前記サンプル液に対して生細胞を培養可能な培養処理を施し、前記サンプル液中の前記目的生細胞のみを分別して培養することで、前記サンプル液中の前記死細胞の割合を減少させるステップと、を有することも、また好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の細胞分別処理機能を有するフローサイトメータによれば、目的とする生細胞には一切の損傷を与えることなく、大量の生細胞が含まれる生細胞群から、短時間かつ高精度に不要生細胞を分別し、この不要生細胞に損傷を与えて死細胞とすることができる。また、本発明の生細胞分別処理方法の一態様によれば、目的とする生細胞には一切の損傷を与えることなく、大量の生細胞が含まれる生細胞群から、短時間かつ高精度に、目的生細胞を分別して回収することができる。また、本発明の生細胞分別処理方法の他の態様によれば、目的とする生細胞には一切の損傷を与えることなく、大量の生細胞が含まれる生細胞群から、短時間かつ高精度に、目的生細胞を分別して培養することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の、細胞分別処理機能を有するフローサイトメータ、および細胞分別処理方法について、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。図1は、本発明の細胞分別処理機能を有するフローサイトメータの一例である、フローサイトメータ10について説明する概略斜視図である。
【0017】
フローサイトメータ10は、液流形成ユニット20、光学ユニット40、分析ユニット50、および各部の動作シーケンスを制御する制御装置70、回収容器80とを有して構成されている。フローサイトメータ10は、大量の不要生細胞(幹細胞以外の細胞)に、目的生細胞である幹細胞がごく僅かだけ含まれる生細胞群について、各細胞毎に幹細胞であるか否かを判別し、幹細胞でない(すなわち不要生細胞)と判別された生細胞に対してのみフェムト秒レーザ光を照射し、不要生細胞に損傷を与えて死細胞とする装置である。フローサイトメータ10は、また、フェムト秒レーザ光が照射された後の、死細胞と幹細胞とが含まれるサンプル液を回収するための回収容器80を備えており、回収容器80の内壁面に付着せずサンプル液に浮遊する細胞を、死細胞として分別して回収する機能や、回収容器80中のサンプル液に対して生細胞を培養可能な培養処理を施し、サンプル液中の幹細胞のみを分別して培養することで、サンプル液中の死細胞の割合を減少させる機能も有する。
【0018】
フローサイトメータ10は、例えば、ヒトの骨髄から抽出した生細胞群など、大量の生細胞の中に、ごく少ない割合ながら幹細胞を含んだ(含む可能性が高い)生細胞群から、幹細胞を分別する、いわゆるソーティング機能を有する装置(ソーティングシステム)である。本実施形態では、このように、フローサイトメータ10を用いて、例えば、ヒトの骨髄から抽出した生細胞群など、大量の生細胞の中に、ごく少ない割合ながら幹細胞を含んだ(含む可能性が高い)生細胞群から、幹細胞を分別し、各種の処理を施す。なお、本発明における目的生細胞は、幹細胞であることに限定されない。
【0019】
例えば、上述したように、ヒトの骨髄の中には、間葉系幹細胞と呼ばれ細胞が、10万個に1個の割合でしか存在していない。フローサイトメータ10を用いて行なう細胞分別処理においては、このような生細胞群に対して、予め、蛍光色素を用いて一様に染色処理(蛍光ラベル)を施すことで、幹細胞とその他の不要生細胞とを識別可能に特徴付けておく。幹細胞は、いわゆるMDR(Multi Drug Resistance)の働きで、細胞内に取り込んだ色素を吐き出す性質をもっている。特定の蛍光色素を用い、所定の条件で生細胞群を染色処理した場合、このMDRの機能によって、幹細胞についてはほとんど染色されない(色素を吐き出した)状態となる。フローサイトメータ10で行う細胞分別処理には、このように、細胞における蛍光色素の染色状態の違いによって、幹細胞12aとその他の不要生細胞12bとを識別可能に特徴付けた生細胞群11を用いる。生細胞群11において、各細胞が、それぞれ幹細胞12aであるか不要生細胞12bであるかについては、生細胞群11をフローサイトメータ10に導入する時点では不明であることは言うまでもない。本明細書では、幹細胞12aと不要生細胞12bとを、(特に、幹細胞であるか不要生細胞であるか不明である状態において)共に分析サンプル12として記載する。なお、本実施形態では、幹細胞の有するMDR機能を利用して、幹細胞とその他の不要生細胞とを識別可能に特徴付けているが、本発明において、蛍光色素によって目的細胞とその他の不要生細胞とを識別可能に特徴付ける手法は、特に限定されない。
【0020】
液流形成ユニット20は、液体供給装置22と、流管部30とを有して構成されている。液体供給装置22と流管部30は、配管24によって接続されている。液体供給装置22内には、分析サンプル液を貯溜しておく分析サンプル液タンク25、シース液を貯溜しておくシース液タンク27とを有している。流管部30は、サンプル液がシース液に囲まれて内部を流れるフローセル32と、フローセル32にシース液を供給するフローセル32と連続した外部管路34と、外部管路34の内部に設けられて、フローセル32にサンプル液を供給するサンプル液流管36とを有している。液体供給装置22のサンプル液タンク25はサンプル液流管36に、シース液タンク27は外部管路34に、配管24を介してそれぞれ接続されている。フローセル32の出口には、回収容器80が設けられている。
【0021】
この液体供給装置22は、図示しないエアポンプを各タンク毎に備えている。フローサイトメータ10では、シース液タンク27内部を図示しないエアポンプによって加圧することで外部管路34内部にシース液を供給し、外部管路34およびフローセル32内を図1中上側から下側に向けて流れるシース流を形成する。そして、サンプル液タンク25を図示しないエアポンプによって加圧することで、サンプル液流管36の内部にサンプル液を供給し、サンプル液流管36の図中下側の開口端である吐出口38から、シース液の流れの中にサンプル液を吐出する。
【0022】
フローセル32では、サンプル液は、シース液に吐出された段階で流体力学的絞り込みが生じ、シース流に囲まれたサンプル液流は非常に細くなり、分析サンプル12が1列に並んだサンプル液流を形成する。すなわち、フローセル32では、分析サンプル12は1列となり、1個ずつ順番に所定の速さV(m/s)でフローセル32中を流れる。このフローセル32には、光学ユニット40の測定レーザ光照射手段42によってレーザ光が照射されており、このレーザ光を横切るようにして分析サンプル12は1個づつ順番に流れる。
【0023】
光学ユニット40は、フローセル32にむけて測定用のレーザ光を照射する測定レーザ光照射手段42と、フローセル32を流れる分析サンプル12による散乱光を受光し、受光した散乱光に応じた信号を出力する受光部44と、フローセル32を流れる分析サンプル12から発光した蛍光を受光し、受光した蛍光に応じた信号を出力する受光部46と、後述するデータ処理・判別部54において不要生細胞と判別された分析サンプル12に対してのみフェムト秒レーザ光を照射するフェムト秒レーザ光照射手段48と、を有している。受光部44および46は分析ユニット50に接続されており、出力された光信号は分析ユニット50に送られる。
【0024】
図2は、光学ユニット40の構成および動作についてより詳細に説明する、概略側面図である。測定レーザ光照射手段42は、フローセル32を流れるサンプル流に向けて特定波長のレーザ光を出射する測定レーザ光源部62と、測定レーザ光源部62から出射された測定用レーザ光を整形してフローセル32内のサンプル液流に導く、レンズなどからなるレーザ光整形・調整部64とを備えて構成されている。測定レーザ光源部62は、図示しないレーザ電源に接続されており、制御装置10の制御の下、フローセル32内を流れる、分析サンプル12が1列に並んだサンプル液流に向けて、測定用レーザ光を連続的に出射する。測定レーザ光源部62から出射される測定用レーザ光は、分析サンプル12に付着された(特に不要生細胞12b内に取り込まれて付着している)蛍光色素を励起させて特定波長範囲の蛍光を発生させる、特定波長のレーザ光である。レーザ光源部62としては、固体レーザや半導体レーザなどの、周知のレーザ装置を用いればよい。
【0025】
受光部44は、フローセル32を挟んで測定レーザ光照射手段42と対向するように配置されており、フローセル32を通過する分析サンプル12によるレーザ光の前方散乱光を連続して受光し、受光した前方散乱光の強度に応じたアナログ電気信号を出力する。一方、受光部46は、レーザ光源部42から出射されるレーザ光の出射方向に対して垂直方向であって、かつ、外部管路30中の分析サンプル12の移動方向に対して垂直方向に配置されており、レーザ光を受けて分析サンプル12から発せられた蛍光を受光して、受光した蛍光の強度に応じたアナログ電気信号を出力する。受光部44および受光部46における光検出およびアナログ電気信号の出力には、PMT(photomultiplier tube)を用いればよい。
【0026】
分析ユニット50は、データ取得部52と、データ処理・判別部54とを有して構成されている。データ取得部52は、受光部44および受光部46から出力されたアナログ信号を受け取り、このアナログ信号をAD変換してデジタル信号として出力する。データ処理・判別部54は、データ取得部52から出力されたデジタル情報を処理して、例えば、各分析サンプル12の染色具合(生細胞中の蛍光色素量の程度)を示す情報(染色量情報)を導出する。データ処理・判別部54は、さらに、この染色量情報に基づいて、染色量情報に対応する分析サンプル12が、不要生細胞または幹細胞のいずれであるか判別する。本実施形態では、上述のように、不要生細胞12bに比べて、幹細胞12aは染色具合(生細胞中の蛍光色素量の程度)が低いので、比較的染色具合が低いことを表す染色量情報(例えば、染色量の表す値が所定の閾値以下など)に対応する分析サンプル12を、幹細胞12aであると判別する。
【0027】
データ処理・判別部54は、判別結果を、制御装置70の照射タイミング制御部72(タイミング制御部72)に送信する。なお、分析ユニット50には、ディスプレイやプリンタなど、図示しない出力装置が接続されており、データ処理部54における解析結果を表示出力することが可能となっている。なお、本実施形態では、光情報から細胞の染色具合の程度を導出することで、幹細胞であるか不要生細胞であるかを判別していたが、本発明の生細胞判別手段における、目的生細胞と不要生細胞との判別基準については、特に限定されない。本発明の生細胞判別手段において、取得した蛍光情報などの光情報に加える処理の内容や、目的細胞を特定するためのアルゴリスムなどは、特に限定されない。
【0028】
フェムト秒レーザ光照射手段48は、フローセル32を流れるサンプル流に向けて特定波長のフェムト秒レーザ光を出射するフェムト秒レーザ光源部66と、フェムト秒レーザ光源部66から出射されたフェムト秒レーザ光を変調するレーザ変調部68と、変調されたフェムト秒レーザ光を整形してフローセル32内のサンプル液流に導く、レンズなどからなるレーザ光整形・調整部69とを備えて構成されている。フェムト秒レーザ光源部66は、パルス時間幅が1000(fs)未満(すなわち、数百フェムトセカンド(fs))の超短パルスレーザ光(いわゆるフェムト秒レーザ光)を出射することができる、いわゆる公知のフェムト秒レーザ発振装置である。本実施形態のフローサイトメータ10では、例えば、パルス時間幅が100(fs)程度、パルスエネルギー最大3(mJ/pulse)程度のフェムト秒レーザ光を用いる。
【0029】
このようなフェムト秒レーザ光では、パルスエネルギー自体は少ないものの、そのエネルギーを100(fs)という時間に圧縮しており、I=E/(S・t)(E;パルスエネルギー、S;レーザビームスポットの面積、t:レーザパルスの時間幅)で表されるレーザー強度I(空間エネルギー密度)を、例えば100(TW/cm)と、非常に大きくできる。フェムト秒レーザ光源部66から出射されたばかりの状態のフェムト秒レーザ光は、レーザビームのスポット面積Sが比較的大きく、それほど大きなレーザ強度(具体的には、レーザ変調部68やフローセル32の管壁を損傷してしまう程度のレーザ強度)にはなっていない。
【0030】
レーザ変調部68は、例えば、圧電素子を用いた高速の(1.0(μs)未満の応答速度で、レーザ光を透過/遮断できる)音響光変調器など、公知のレーザ変調手段であって、制御装置70の照射タイミング制御部72と接続している。照射タイミング制御部72が、データ処理・判定部54が受け取った判定結果に応じてレーザ変調部68の動作を制御することで、データ処理・判定部54における判定結果に応じた所定のタイミングで、フェムト秒レーザ光源部66からサンプル液流に向けて出射したレーザ光を透過または遮断させる。照射タイミング制御部72の動作については、後に詳述する。
【0031】
レーザ光整形・調整部64は、例えば複数のレンズ等を備えて構成されており、フェムト秒レーザ光源部66から出射されて、レーザ変調部68を透過したフェムト秒レーザ光を、所定のスポット面積でサンプル液流に集光させることで、サンプル液流中の分析サンプル12に対し、所定のレーザ強度でフェムト秒レーザ光を照射させる。
【0032】
光学ユニット40において、フェムト秒レーザ光は、測定レーザ光の照射位置A(図2参照)に対して、サンプル液流の流方向の下流側に照射されており、フェムト秒レーザ光の照射位置B(図2参照)と測定レーザ光の照射位置Aとは、予め設定された距離D(m)だけ離間している。サンプル液流の速度、すなわち分析サンプル12の移動速度V(m/s)であるので、1つの分析サンプル12は、測定レーザ光の照射を受けたタイミングからT=D/V(s)だけ経過したタイミングで、フェムト秒レーザ光の照射位置を通過することになる。分析ユニット50では、光情報を取得してから、少なくともこのT(s)経過するまでの間に、所得した光情報に対応する分析サンプルが、不要生細胞か幹細胞かを判別して、照射タイミング制御部72に判別結果を送信する。
【0033】
照射タイミング制御部72は、分析ユニット50のデータ処理・判別部54から、測定レーザ光に照射された分析サンプル12が不要生細胞12bであるとの判別結果を受け取った場合、この不要生細胞12bにフェムト秒レーザ光が照射されるよう、レーザ変調部68の動作を制御する。逆に、分析ユニット50のデータ処理・判別部54から、測定レーザ光に照射された分析サンプル12が幹細胞12aであるとの判別結果を受け取った場合、この幹細胞12aにはフェムト秒レーザ光が照射されないよう、レーザ変調部68の動作を制御する。
【0034】
具体的には、照射タイミング制御部72は、分析ユニット50のデータ処理・判別部54から、測定レーザ光に照射された分析サンプル12が不要生細胞12bであるとの判別結果を受け取ると、所定の時間範囲(対応する分析サンプル12が、レーザ光の照射位置Bを確実に通過している時間範囲)だけ、レーザ変調部68にフェムト秒レーザ光を透過させる。また、照射タイミング制御部72は、分析ユニット50のデータ処理・判別部54から、測定レーザ光に照射された分析サンプル12が不要生細胞12bであるとの判別結果を受け取ると同時に、所定の時間範囲(対応する分析サンプル12が、レーザ光の照射位置Bを確実に通過している時間範囲)だけ、レーザ変調部68にフェムト秒レーザ光を遮断させる。
【0035】
上記所定の時間範囲は予め設定されていてもよく、例えば、照射タイミング制御部72に上記T=D/V(s)の情報も設定されており、照射タイミング制御部72が比較的高い処理能力を有する場合など、以下のようにしてフェムト秒レーザ光の照射を制御すればよい。例えば、照射タイミング制御部72は、送信された判別結果を受け取ったタイミングから、分析ユニット50における各処理時間の影響を加味して、この判別結果に対応する分析サンプル12(すなわち幹細胞12a)が測定レーザ光の照射位置Aを通過したタイミングを同定する。さらに、照射タイミング制御部72は、幹細胞12aであるとの判別結果を受け取った場合は、少なくとも、この同定したタイミングからT=D/V(s)だけ経過したタイミング(すなわち、上記対応する分析サンプル12が、フェムト秒レーザ光の照射位置Bを通過するタイミング)を同定し、このタイミングを含む所定の時間範囲(対応する1つの分析サンプル12が、レーザ光の照射位置Bを通過している時間範囲)において、レーザ変調部68にフェムト秒レーザ光を遮断させる。また、照射タイミング制御部72は、不要生細胞12bであるとの判別結果を受け取った場合は、少なくとも、この同定したタイミングからT=D/V(s)だけ経過したタイミングを含む所定の時間範囲(対応する1つの分析サンプル12が、レーザ光の照射位置Bを通過している時間範囲)で、レーザ変調部68にフェムト秒レーザ光を透過させる。
【0036】
図3は、フローセル32内を移動する不要生細胞12bに対する、フェムト秒レーザ光の照射について説明する概略図である。フェムト秒レーザ光は、分析サンプル12よりもさらに小さい数μmのスポット径で、分析サンプル12に照射されるよう、レーザ光整形・調整部64によって集光されている。フェムト秒レーザ光は、上述のように、非常に大きなレーザ強度を持つ超短パルスレーザ光であり、充分なレーザ強度のフェムト秒レーザ光を物質に照射すると、照射された光エネルギーが熱エネルギーとして周辺部分に拡散することなく、光エネルギーによって照射部分の分子結合が切断されて瞬時に分子が除去される現象(一般的に、アブレーションと呼ばれる)が生じる。分析サンプル12への照射部分では、レーザ光が集光されて充分小さなスポット径となっているので、分析サンプル12の細胞壁や細胞壁を瞬時に破壊してしまう程度に充分なレーザ強度となっている。これに対し、フローセル32の管壁では、フェムト秒レーザ光のビームスポット径が、フローセルの壁面を瞬時に破壊する程度には充分に小さくないので、フローセル32の管壁については、破壊されることはない。
【0037】
ここで、サンプル液流の速度、すなわち分析サンプル12の移動速度を10.0(m/s)、分析サンプル12(不要生細胞12b)の直径を1.0×10−5(m)とする。この場合、分析サンプル12が、フェムト秒レーザ光の照射位置Bを通過してしまうまでにかかる時間は、1.0×10−6(s)となる。フェムト秒レーザ光のパルス周期を50×10(Hz)とすると、分析サンプル12(不要生細胞12b)が、フェムト秒レーザ光の照射位置を通過してしまうまでに、50個の超短パルスが、この分析サンプル12(不要生細胞12b)に照射される。これにより、分析サンプル12(不要生細胞12b)には、50箇所もの損傷箇所が形成され、この分析サンプル(不要生細胞12b)は、確実に死亡細胞13(図2参照)とされる。照射タイミング制御部72が、分析ユニット50のデータ処理・判別部54から、測定レーザ光に照射された分析サンプル12が不要生細胞12bであるとの判別結果を受け取った場合、この不要生細胞12bにフェムト秒レーザ光が照射されるよう、レーザ変調部68の動作を制御することで、サンプル群12のうちの不要生細胞12bは、確実に死亡細胞とされる。また、逆に、分析ユニット50のデータ処理・判別部54から、測定レーザ光に照射された分析サンプル12が幹細胞12aであるとの判別結果を受け取った場合、この幹細胞12aにはフェムト秒レーザ光が照射されないよう、レーザ変調部68の動作を制御するので、サンプル群12のうちの幹細胞12aは、損傷を一切受けることなく、確実にフェムト秒レーザ光照射位置Bを通過する。
【0038】
フェムト秒レーザ光の照射位置を通過した分析サンプル12は、回収容器80内に落下する。例えば、生細胞は、一般的に、接触した物体に付着(着床)する性質を有している。このため、回収容器80の壁面には、フェムト秒レーザ光の照射によって死亡細胞13となっていない分析サンプル12、すなわち幹細胞12aのみが付着している状態となる。フェムト秒レーザ光の照射によって死亡細胞13となった細胞は、回収容器80内のサンプル液に浮遊している状態となる。この浮遊状態の死亡細胞13(不要生細胞12bであったもの)を除去することで、回収容器80内に目的生細胞である幹細胞12aのみを分離して、回収することができる。フローサイトメータ10は、このような、回収容器80の内壁面に付着せずサンプル液に浮遊する細胞を、死亡細胞13として分別して回収し、回収容器80内に目的生細胞である幹細胞12aのみを分離・回収する、図示しない分離・回収手段を有していることが好ましい。
【0039】
また、回収容器80中のサンプル液に対して生細胞を培養可能な培養処理を施せば、サンプル液中の死亡細胞(不要生細胞12bであったもの)は培養される(増殖する)ことなく、サンプル液中の生細胞のみが培養される(増殖する)。このように、サンプル群11中の不要生細胞12bを、フェムト秒レーザ光によって確実に死亡細胞としているので、サンプル液に培養処理を施すことで、サンプル群11中の幹細胞12aのみを分別して培養することができ、サンプル液中の死亡細胞13の割合を減少させることができる。このような培養処理によって、ほとんど全ての細胞が幹細胞12aからなる細胞群を得ることができる。フローサイトメータ10は、このような、回収容器80中のサンプル液に対して生細胞を培養可能な培養処理を施すことができる、図示しない培養手段を有していることが好ましい。フローサイトメータ10は、以上のような構成となっている。
【0040】
本発明の細胞分別処理機能を有するフローサイトメータによれば、目的とする生細胞には一切の損傷を与えることなく、大量の生細胞が含まれる生細胞群から、短時間かつ高精度に不要生細胞を分別し、この不要生細胞に損傷を与えて死細胞とすることができる。また、本発明の生細胞分別処理方法の一態様によれば、目的とする生細胞には一切の損傷を与えることなく、大量の生細胞が含まれる生細胞群から、短時間かつ高精度に、目的生細胞を分別して回収することができる。また、本発明の生細胞分別処理方法の他の態様によれば、目的とする生細胞には一切の損傷を与えることなく、大量の生細胞が含まれる生細胞群から、短時間かつ高精度に、目的生細胞を分別して培養することができる。
【0041】
以上、細胞分別処理機能を有するフローサイトメータ、および細胞分別処理方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の細胞分別処理機能を有するフローサイトメータの一例について説明する概略斜視図である。
【図2】図1に示すフローサイトメータの光学ユニットの構成および動作について説明する概略側面図である。
【図3】図1に示すフローサイトメータのフローセル内を移動する不要生細胞に対する、フェムト秒レーザ光の照射について説明する概略図である。
【図4】従来の細胞分別処理機能を有するフローサイトメータの一例である、セルソータについて説明する概略構成図である。
【符号の説明】
【0043】
10 フローサイトメータ
11 生細胞群
12 分析サンプル
12a 幹細胞
12b 不要生細胞
13 死亡細胞
20 液流形成ユニット
22 液体供給装置
25 分析サンプル液タンク
27 シース液タンク
32 フローセル
34 外部管路
36 サンプル液流管
40 光学ユニット
42 測定レーザ光照射手段
44、46 受光部
48 フェムト秒レーザ光照射手段
50 分析ユニット
52 データ取得部
54 データ処理・判別部
62 測定レーザ光源部
64、69 レーザ光整形・調整部
66 フェムト秒レーザ光源部
68 レーザ変調部
70 制御装置
72 照射タイミング制御部
80 回収容器
100 セルソータ
102 細胞サンプル
103 ノズル
104 ジェット流
106 レーザ光
108、110 光電子増倍管
112 液滴
114、116 電場形成電極板
120 試験管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞分別処理機能を有するフローサイトメータであって、
複数の不要生細胞と複数の目的生細胞とが混合してなる生細胞群を含むサンプル液の流れを形成するサンプル液流形成手段と、
前記サンプル液流に測定用レーザ光を照射するレーザ光照射手段と、
前記測定用レーザ光の照射を受けて、前記サンプル液流の各生細胞それぞれから発する、散乱光および蛍光の少なくともいずれか一方の光情報それぞれを取得する光情報取得手段と、
前記光情報取得手段によって取得された光情報に基づき、各光情報に対応する前記生細胞が、前記不要生細胞または前記目的生細胞のいずれであるか、をそれぞれ判別する生細胞判別手段と、
前記生細胞判別手段における判別結果に応じて、前記サンプル液中の前記生細胞群のうち前記不要生細胞と判別された生細胞に対してのみフェムト秒レーザ光を照射し、前記不要生細胞に損傷を与えて死細胞とするフェムト秒レーザ光照射手段と、
を有することを特徴とする細胞分別処理機能を有するフローサイトメータ。
【請求項2】
生細胞分別処理方法であって、
複数の不要生細胞と複数の目的生細胞とが混合してなる生細胞群を含むサンプル液の流れを形成するステップと、
前記サンプル液流に測定用レーザ光を照射するステップと、
前記測定用レーザ光の照射を受けて、前記サンプル液流の各生細胞それぞれから発する、散乱光および蛍光の少なくともいずれか一方の光情報それぞれを取得するステップと、
前記取得するステップによって取得された光情報に基づき、各光情報に対応する前記生細胞が、前記不要生細胞または前記目的生細胞のいずれであるかをそれぞれ判別するステップと、
前記判別するステップにおける判別結果に応じて、前記サンプル液中の前記生細胞群のうち前記不要生細胞と判別された生細胞に対してのみフェムト秒レーザ光を照射し、前記不要生細胞に損傷を与えて死細胞とするステップと、
を有することを特徴とする生細胞分別処理方法。
【請求項3】
さらに、前記フェムト秒レーザ光の照射によって損傷を受けた前記死細胞と前記目的生細胞とが含まれる、前記フェムト秒レーザ光が照射された後の前記サンプル液を回収容器に回収するステップと、
前記サンプル液中、前記回収容器の内壁面に付着した細胞を、前記目的生細胞として回収するとともに、前記回収容器の内壁面に付着せず前記サンプル液に浮遊する細胞を、前記死細胞として分別して回収するステップと、を有することを特徴とする請求項2記載の生細胞分別処理方法。
【請求項4】
さらに、前記フェムト秒レーザ光の照射によって損傷を受けた前記死細胞と前記目的生細胞とが含まれる、前記フェムト秒レーザ光が照射された後の前記サンプル液を回収容器に回収するステップと、
前記回収容器中の前記サンプル液に対して生細胞を培養可能な培養処理を施し、前記サンプル液中の前記目的生細胞のみを分別して培養することで、前記サンプル液中の前記死細胞の割合を減少させるステップと、を有することを特徴とする請求項2記載の生細胞分別処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−104432(P2008−104432A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−292561(P2006−292561)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】