説明

細胞培養膜、細胞培養キット及び細胞培養膜の製造方法

【課題】天然資源であるデオキシリボ核酸を利用し、生体親和性のある細胞培養膜を提供する。
【解決手段】カルシウムイオン又はマグネシウムイオンでイオン架橋されたデオキシリボ核酸を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は細胞培養技術に関し、特に細胞培養膜、細胞培養キット及び細胞培養膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体に含まれるデオキシリボ核酸(DNA)は極めて大きな分子量を有する。よってDNAは、溶媒キャスト法等によってフィルム化することが可能である。しかしDNAをキャスティングしただけのDNAフィルムは水溶性であり、用途が限定される。そのためDNAのナトリウム塩とアルキル型4級アンモニウムカチオン性脂質を混合し、不溶性のDNAフィルムを作製する方法が提案された(例えば、特許文献1参照。)。アルキル型4級アンモニウムカチオン性脂質を用いて作製されたDNAフィルムは偏光フィルムとして利用されている。
【0003】
DNAは鮭の白子に約10%含まれている。鮭の白子は食材に用いられないためほとんど廃棄されており、環境問題となっている。したがって天然資源であるDNAを偏光フィルム以外の用途に利用することが望まれている。そのためDNAフィルムを細胞培養用の基底膜である細胞培養膜として利用することが検討された。しかし、アルキル型4級アンモニウムカチオン性脂質を用いて作製されたDNAフィルムは抗菌性及び防カビ性を有し、生体適合性がない。そのため従来のDNAフィルムを細胞培養膜として利用することは不可能であった。
【特許文献1】特開平8-239398号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、天然資源であるDNAを利用し、生体親和性のある細胞培養膜、細胞培養キット及び細胞培養膜の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の特徴は、カルシウムイオン又はマグネシウムイオンでイオン架橋されたDNAを備える細胞培養膜であることを要旨とする。第1の特徴に係る細胞培養膜は生体適合性を有し、細胞培養液に対して一定期間不溶性である。
【0006】
本発明の第2の特徴は、紫外線照射で架橋された、デオキシリボ核酸とカチオンの塩を備える細胞培養膜であることを要旨とする。第2の特徴に係る細胞培養膜も生体適合性を有し、細胞培養液に対して一定期間不溶性である。
【0007】
本発明の第3の特徴は、第四級アンモニウムイオンでイオン架橋されたデオキシリボ核酸を備える細胞培養膜であることを要旨とする。第3の特徴に係る細胞培養膜も生体適合性を有し、細胞培養液に対して一定期間不溶性である。
【0008】
本発明の第4の特徴は、(イ)カルシウムイオン又はマグネシウムイオンでイオン架橋されたDNAを備える細胞培養膜と、(ロ)細胞培養膜に接着している細胞とを備える細胞培養キットであることを要旨とする。
【0009】
本発明の第5の特徴は、(イ)第四級アンモニウムイオンでイオン架橋されたデオキシリボ核酸を備える細胞培養膜と、(ロ)細胞培養膜に接着している細胞とを備える細胞培養キットであることを要旨とする。
【0010】
本発明の第6の特徴は、(イ)紫外線照射で架橋された、デオキシリボ核酸とカチオンの塩を備える細胞培養膜と、(ロ)細胞培養膜に接着している細胞とを備える細胞培養キットであることを要旨とする。
【0011】
本発明の第7の特徴は、(イ)DNAと1価のカチオンの塩を含む水溶性フィルムを形成するステップと、(ロ)1価のカチオンをカルシウムイオン又はマグネシウムイオンに交換し、カルシウムイオン又はマグネシウムイオンでイオン架橋されたDNAを形成するステップとを含む細胞培養膜の製造方法であることを要旨とする。第7の特徴に係る細胞培養膜の製造方法によれば、生体適合性を有し、細胞培養液に対して一定期間不溶性の細胞培養膜を製造可能である。
【0012】
本発明の第8の特徴は、(イ)デオキシリボ核酸とナトリウムイオンの塩を含む水溶性フィルムを形成するステップと、(ロ)ナトリウムイオンを第四級アンモニウムイオンに交換し、デオキシリボ核酸を第四級アンモニウムイオンでイオン架橋するステップとを含む細胞培養膜の製造方法であることを要旨とする。第8の特徴に係る細胞培養膜の製造方法によれば、生体適合性を有し、細胞培養液に対して一定期間不溶性の細胞培養膜を製造可能である。
【0013】
本発明の第9の特徴は、(イ)DNAと1価のカチオンの塩を含む水溶性フィルムを形成するステップと、(ロ)水溶性フィルムに紫外線を照射するステップとを含む細胞培養膜の製造方法であることを要旨とする。第9の特徴に係る細胞培養膜の製造方法によっても、生体適合性を有し、細胞培養液に対して一定期間不溶性の細胞培養膜を製造可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、天然資源であるDNAを利用し、生体親和性のある細胞培養膜、細胞培養キット及び細胞培養膜の製造方法を提供可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0016】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態に係る細胞培養膜は、カルシウムイオン(Ca2+)又はマグネシウムイオン(Mg2+)でイオン架橋されたデオキシリボ核酸(DNA)からなる。カルシウムイオンでイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜及びマグネシウムイオンでイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜のそれぞれは透明であり、光学顕微鏡による細胞の観察に適している。第1の実施の形態に係る細胞培養膜は生体適合性を有し、細胞に対する親和性が高い。また第1の実施の形態に係る細胞培養膜は細胞培養液中において2日間以上溶解せず、形態を維持することが可能である。
【0017】
次に、図1に示すフローチャートを用いて第1の実施の形態に係る細胞培養膜の製造方法について説明する。
【0018】
(a) ステップS100で鮭の白子又はホタテ貝のウロ等をホモジナイザーで均質化する。次に、均質化された鮭の白子又はホタテ貝のウロをろ過し、第1のろ過液を得る。ステップS101で第1のろ過液にプロテアーゼ等のタンパク質分解酵素を加え、第1のろ過液に含まれるタンパク質を分解する。その後、ステップS102で第1のろ過液のpHを調整し、ステップS103で第1のろ過液に含まれるタンパク質を除去する。ステップS104で第1のろ過液をカーボン処理する。ステップS105で第1のろ過液をろ過し、第2のろ過液を得る。ステップS106で第2のろ過液にエタノールを添加し、精製されたDNAと1価のカチオンの塩であるDNAのナトリウム塩を析出させる。その後DNAのナトリウム塩を乾燥させる。なおDNAは、1本鎖でも2本鎖でもよい。DNAの分子量は、例えば100kDaから10,000kDaである。以下の実施例においては、平均分子量が6,600kDaで、純度が90%以上の高純度DNAを使用する。
【0019】
(b) ステップS200でDNAのナトリウム塩を超純水に溶解し、濃度が7.5g/lのDNA水溶液を調整する。ステップS201でDNA水溶液を直径が100mmのシャーレの底面等の平面上に滴下し、DNA水溶液を乾燥させることにより、シャーレの底面にDNAのナトリウム塩からなる水溶性フィルムを形成する。ステップS202で1mol/lの塩化カルシウム(CaCl2)水溶液をシャーレに滴下し、水溶性フィルムをCaCl2水溶液に3時間以上浸す。CaCl2水溶液に浸すことによりナトリウムイオンがカルシウムイオンに交換され、カルシウムイオンでDNAがイオン架橋される。カルシウムイオンでイオン架橋されたゲル状のDNAを細胞培養膜として回収し、第1の実施の形態に係る細胞培養膜の製造方法を終了する。
【0020】
なお市販のDNAを使用する場合は、ステップS100乃至ステップS106を省略してもよい。またステップS202でCaCl2水溶液の代わりに1mol/lの塩化マグネシウム(MgCl2)水溶液に水溶性フィルムを浸せば、マグネシウムイオンでイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜を製造可能である。細胞培養膜を回収した後、細胞培養膜を超純水で洗浄し、乾燥してもよい。
【0021】
(第1の実施の形態の第1の実施例)
まず500mlのダルベッコ改変イーグル培地(DMEM: Dulbecco Modified Eagle Medium)に、体積濃度が10%となるようにウシ胎児血清(FBS: Fetal Bovine Serum)を添加し、さらに体積濃度が1%となるようにペニシリン−ストレプトマイシン(Penicillin Streptomycin)を添加して、細胞培養液を調整した。次に図2に示す凍結保存用チューブ61中のマウス軟骨細胞(ATDC5)を含む-80℃で凍結された細胞凍結保存液62を解凍した。解凍された細胞凍結保存液62を図3に示すボトル63に滴下し、さらに細胞培養液をボトル63に滴下した。その後、マウス軟骨細胞を細胞培養液で懸濁し、第1の懸濁液64を得た。
【0022】
ボトル63を回転速度2000rpmで5分間回転させ、図4に示すように第1の懸濁液64に含まれていたマウス軟骨細胞65を沈殿させた。次に沈殿したマウス軟骨細胞65を細胞培養液で懸濁し、第2の懸濁液を得た。その後、図5に示すように直径100mmのシャーレ66に第2の懸濁液67を滴下し、37℃、5%の二酸化炭素(CO2)濃度でマウス軟骨細胞を培養した。シャーレ66の底面でマウス軟骨細胞がコンフルエントになった後、シャーレ66中の細胞培養液を吸引除去した。次にマウス軟骨細胞をリン酸バッファ(PBS)で洗浄し、洗浄後リン酸バッファを吸引除去した。その後、5mlのトリプシン−EDTAをシャーレ66に滴下し、37℃で5分間インキュベートした。トリプシン−EDTAによってシャーレ66の底面から剥離したマウス軟骨細胞を遠心分離し、細胞培養液で懸濁した。
【0023】
次に図6に示すように、6個のウェル111A, 111B, 111C, 111D, 111E, 111Fが設けられたシャーレ101を用意した。さらに図7に示すように、ウェル111Aの底面にマグネシウムイオンでイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜10Aを配置し、ウェル111C, 111Dの底面にカルシウムイオンでイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜10C, 10Dをそれぞれ配置した。なおウェル111A, 111C, 111Dの底面に配置される前に、細胞培養膜10A, 10C, 10Dを体積濃度が70%のエタノールで30分間滅菌した。その後、ウェル111A〜111Fのそれぞれを細胞培養液で満たし、マウス軟骨細胞をまいた。
【0024】
マウス軟骨細胞は、マグネシウムイオンでイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜10Aに接着した。細胞培養膜10Aは、ウェル111Aに細胞培養液を満たしてから3日後に細胞培養液に溶けてなくなった。ただしマウス軟骨細胞は細胞培養膜10Aが細胞培養液に溶けてなくなるまで細胞培養膜10Aに接着していた。図8に示すようにマウス軟骨細胞は、カルシウムイオンでイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜10C, 10Dにも接着し、増殖した。なお図8の写真はマウス軟骨細胞をまいてから1日後に撮影された。細胞培養膜10C, 10Dは細胞培養液に溶解しなかった。以上の結果より、マグネシウムイオン又はカルシウムイオンでイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜は生体適合性を有し、生体内に移植可能であることが示された。また生体内に移植後、短期間に溶解することが好ましい場合にはマグネシウムイオンでイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜が有用であり、長期間に溶解しないことが好ましい場合にはカルシウムイオンでイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜が有用であることが示された。
【0025】
(第1の実施の形態の第2の実施例)
第1の実施の形態の第1の実施例と同様に、図7に示すシャーレ101のウェル111A, 111C, 111Dの底面に、細胞培養膜10A, 10C, 10Dをそれぞれ配置した。その後、ウェル111A〜111Fのそれぞれを第1の実施例と同じ細胞培養液で満たし、ヒト肝癌細胞(Huh7)をまいた。
【0026】
図9に示すように、ヒト肝癌細胞はマグネシウムイオンでイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜10Aに接着した。なお図9の写真はヒト肝癌細胞をまいてから1日後に撮影された。細胞培養膜10Aは、ウェル111Aに細胞培養液を満たしてから3日後に溶けてなくなった。
【0027】
図10に示すように、ヒト肝癌細胞はカルシウムイオンでイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜10C, 10Dにも接着した。なお図10の写真はヒト肝癌細胞をまいてから1日後に撮影された。また図11に示すように、ヒト肝癌細胞をまいてから6日後もヒト肝癌細胞は細胞培養膜10C, 10Dに接着していた。細胞培養膜10C, 10Dは徐々に細胞培養液中に溶解していくものの、ウェル111Aに細胞培養液を満たしてから1週間後も細胞培養液中に存在していた。
【0028】
(第1の実施の形態の第3の実施例)
図12に示すように、シャーレ101のウェル111Aの底面にカルシウムイオンでイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜20Aを配置した。またウェル111Bの底面に、カルシウムイオンでイオン架橋されたDNAからなり、細胞培養膜20Aよりも小さい細胞培養膜20Bを配置した。またウェル111Cの底面に、カルシウムイオンでイオン架橋されたDNAからなり、細胞培養膜20Bよりも小さい細胞培養膜20Cを配置した。またウェル111Dの底面に、カルシウムイオンでイオン架橋されたDNAからなり、細胞培養膜20Bと同じ大きさの細胞培養膜20Dを配置した。その後、ウェル111A〜111Fのそれぞれを第1の実施例と同じ細胞培養液で満たし、マウス骨髄由来未分化間葉系細胞(C3H10T1/2)をまいた。
【0029】
マウス骨髄由来未分化間葉系細胞は、細胞培養膜20A〜20Dのそれぞれに接着した。また図13に示すように、マウス骨髄由来未分化間葉系細胞をまいてから5日後もマウス骨髄由来未分化間葉系細胞は細胞培養膜20A〜20Dのそれぞれに接着していた。細胞培養膜20A〜20Dのそれぞれの面積の違いは、マウス骨髄由来未分化間葉系細胞の接着性に影響を与えなかった。
【0030】
(第1の実施の形態の比較例)
図6に示すシャーレ101のウェル111Aの底面に銅イオン(Cu2+)でイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜を配置し、ウェル111Bの底面に亜鉛イオン(Zn2+)でイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜を配置し、ウェル111Cの底面に第2鉄イオン(Fe3+)でイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜を配置し、ウェル111Dの底面に第1鉄イオン(Fe2+)でイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜を配置した。その後、ウェル111A〜111Fのそれぞれを第1の実施例と同じ細胞培養液で満たし、マウス軟骨細胞(ATDC5)をまいた。マウス軟骨細胞をまいてから1日後、ウェル111A〜111Fを観察した。
【0031】
銅イオンでイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜に、マウス軟骨細胞は接着しなかった。なお銅イオンでイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜は、細胞培養液に溶解しなかった。亜鉛イオンでイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜にも、マウス軟骨細胞は接着しなかった。また亜鉛イオンでイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜は、細胞培養液に浸されてから1晩経過した後、無色透明から白色に変化したものの、細胞培養液に溶解しなかった。
【0032】
第2鉄イオンでイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜にも、マウス軟骨細胞は接着しなかった。第2鉄イオンでイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜は、細胞培養液に浸された直後に溶解し始め、細胞培養液を黄色く変色させた。第1鉄イオンでイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜にも、マウス軟骨細胞は接着しなかった。第1鉄イオンでイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜は3日後に溶解し始め、細胞培養液を茶色に変色させた。
【0033】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る細胞培養膜はDNAの光産物からなる。DNAの光産物とは、紫外線(UV)照射によって架橋された、デオキシリボ核酸と1価のカチオンの塩である。DNAの光産物は、水(H2O)に対して不溶性である。次に第2の実施の形態に係る細胞培養膜の製造方法について説明する。まず第1の実施の形態と同様に、例えばDNAのナトリウム塩からなる水溶性フィルムをシャーレの底面に形成させる。その後、水溶性フィルムに、室温で1×10-2mJ/mm2以上のUVを照射する。UV照射により、例えば水溶性フィルムに含まれるチミンどうしが架橋し、チミンダイマーが形成される。またUV照射により、チミンの酸素(キノン構造)の部分が、他のチミン又はシトシンと反応して架橋する。あるいはDNAに含まれるリボースの炭素−水素結合(C-H)がUV照射により切断され、ラジカル化した炭素が他の炭素−水素結合と反応する。結果として、光架橋されたデオキシリボ核酸と1価のカチオンの塩から細胞培養膜が形成される。
【0034】
(第2の実施の形態の第1の実施例)
まずDNAの光産物からなる細胞培養膜を、体積濃度が70%のエタノールで30分間滅菌した。次にシャーレのウェルの底面に、DNAの光産物からなる細胞培養膜を配置した。その後、ウェルを第1の実施の形態と同じ細胞培養液で満たし、マウス軟骨細胞(ATDC5)をまいた。マウス軟骨細胞をまいてから1日後、図14に示すようにマウス軟骨細胞はDNAの光産物からなる細胞培養膜に接着していた。図15に示すように、3日後もマウス軟骨細胞はDNAの光産物からなる細胞培養膜の表面に接着しており、図16に示すように7日後もマウス軟骨細胞はDNAの光産物からなる細胞培養膜の表面に接着していた。またDNAの光産物からなる細胞培養膜は細胞培養液に溶解しなかった。
【0035】
(第2の実施の形態の第2の実施例)
シャーレのウェルの底面にDNAの光産物からなる滅菌された細胞培養膜を配置し、ウェルを第1の実施の形態と同じ細胞培養液で満たした。その後、ウェルにマウス骨髄由来未分化間葉系細胞(C3H10T1/2)をまいた。マウス骨髄由来未分化間葉系細胞をまいてから1日後、図17に示すようにマウス骨髄由来未分化間葉系細胞はDNAの光産物からなる細胞培養膜に接着していた。図18に示すように3日後もマウス骨髄由来未分化間葉系細胞はDNAの光産物からなる細胞培養膜の表面に接着しており、図19に示すように7日後もマウス骨髄由来未分化間葉系細胞はDNAの光産物からなる細胞培養膜の表面に接着していた。またDNAの光産物からなる細胞培養膜は細胞培養液に溶解しなかった。
【0036】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態に係る細胞培養膜は、DNA及び鮭由来I型コラーゲン(井原水産株式会社製)の混合物とカルシウムイオン又はマグネシウムイオンとの塩からなる。第3の実施の形態に係る細胞培養膜の製造方法について説明する。まず1.5gのDNAのナトリウム塩を200mlの純水に溶解させ、DNAのナトリウム塩の水溶液を調整する。また5gの鮭由来I型コラーゲンを100mlの純水に溶解させ、鮭由来I型コラーゲンの水溶液を調整する。次に、40mlのDNAのナトリウム塩の水溶液と20mlの鮭由来I型コラーゲンの水溶液とを混合し、混合液を調整する。その後、混合液を直径100mmのフッ素樹脂シャーレに滴下して乾燥させ、シャーレの底面にDNAのナトリウム塩及び鮭由来I型コラーゲンの混合物からなる水溶性フィルムを形成させる。次に水溶性フィルムを例えば1mol/lのCaCl2水溶液に浸すことにより、ナトリウムイオンをカルシウムイオンに交換する。結果としてDNA及び鮭由来I型コラーゲンの混合物がカルシウムイオンでイオン架橋され、第3の実施の形態に係る細胞培養膜が形成される。その後、細胞培養膜を超純水で洗浄し、乾燥させる。
【0037】
(第3の実施の形態の変形例)
第3の実施の形態の変形例に係る細胞培養膜は、カルシウムイオン又はマグネシウムイオンでイオン架橋されたDNAと鮭由来I型コラーゲンとの混合物からなる。第3の実施の形態の変形例に係る細胞培養膜の製造方法について説明する。まず第1の実施の形態と同様に、カルシウムイオン又はマグネシウムイオンでイオン架橋されたDNAを形成させる。イオン架橋されたDNAを純水で洗浄した後、重量濃度が5%の鮭由来I型コラーゲンの水溶液に一晩浸し、イオン架橋されたDNAと鮭由来I型コラーゲンとの混合物からなる細胞培養膜を形成させる。その後、イオン架橋されたDNAの自由体積に含浸しなかった鮭由来I型コラーゲンを廃棄し、細胞培養膜を乾燥させる。
【0038】
(第3の実施の形態の第1の実施例)
図6に示すシャーレ101のウェル111A, 111Bのそれぞれの底面に、DNAと鮭由来I型コラーゲンとの混合物のカルシウム塩からなる細胞培養膜を配置した。なおDNAと鮭由来I型コラーゲンとの混合物のカルシウム塩は、DNAと鮭由来I型コラーゲンの混合物を形成した後、混合物をカルシウムイオンで架橋して製造された。またシャーレ101のウェル111C, 111Dのそれぞれの底面に、カルシウムイオンでイオン架橋されたDNAと鮭由来I型コラーゲンとの混合物からなる細胞培養膜を配置した。なおカルシウムイオンでイオン架橋されたDNAと鮭由来I型コラーゲンとの混合物は、DNAをカルシウムイオンで架橋した後、イオン架橋されたDNAを鮭由来I型コラーゲンと混合して製造された。その後、ウェル111A〜111Dを第1の実施の形態と同じ細胞培養液で満たし、マウス軟骨細胞(ATDC5)をまいた。
【0039】
図20に示すようにマウス軟骨細胞は、DNAと鮭由来I型コラーゲンとの混合物のカルシウム塩からなる細胞培養膜に接着し、増殖した。なお図20の写真は、マウス軟骨細胞をまいてから3日後に撮影された。DNAと鮭由来I型コラーゲンとの混合物のカルシウム塩からなる細胞培養膜は、カルシウムイオンでイオン架橋されたDNAと鮭由来I型コラーゲンとの混合物からなる細胞培養膜及びカルシウムイオンでイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜と比較して溶解しやすく、3日後には溶解した。ただし、DNAと鮭由来I型コラーゲンとの混合物のカルシウム塩からなる細胞培養膜が溶解した後も、マウス軟骨細胞はシャーレのウェルの底面上に定着し、増殖した。
【0040】
図21及び図22に示すように、マウス軟骨細胞はカルシウムイオンでイオン架橋されたDNAと鮭由来I型コラーゲンとの混合物からなる細胞培養膜にも接着し、増殖した。なお図21の写真はマウス軟骨細胞をまいてから3日後に撮影され、図22の写真は6日後に撮影された。なお、細胞をまいてから4日目に細胞培養液を交換した。カルシウムイオンでイオン架橋されたDNAと鮭由来I型コラーゲンとの混合物からなる細胞培養膜における細胞の接着性及び増殖性は、DNAと鮭由来I型コラーゲンとの混合物のカルシウム塩からなる細胞培養膜及びカルシウムイオンでイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜よりも良好であった。なおカルシウムイオンでイオン架橋されたDNAと鮭由来I型コラーゲンとの混合物からなる細胞培養膜は、カルシウムイオンでイオン架橋されたDNAのみからなる細胞培養膜より溶解しやすいものの、細胞をまいてから5日以上形態を維持した。
【0041】
(第3の実施の形態の第2の実施例)
第3の実施の形態の第1の実施例を検証するために、図6に示すシャーレ101のウェル111A, 111Bのそれぞれの底面にカルシウムイオンでイオン架橋されたDNAと鮭由来I型コラーゲンとの混合物からなる細胞培養膜を配置し、ウェル111C, 111Dのそれぞれの底面にDNAと鮭由来I型コラーゲンとの混合物のカルシウム塩からなる細胞培養膜を配置した。その後、ウェル111A〜111Dを第1の実施の形態と同じ細胞培養液で満たし、マウス軟骨細胞(ATDC5)をまいた。
【0042】
図23、図24、図25に示すように、マウス軟骨細胞はカルシウムイオンでイオン架橋されたDNAと鮭由来I型コラーゲンとの混合物からなる細胞培養膜に接着し、順調に増殖した。なお図23の写真はマウス軟骨細胞をまいてから1日後に撮影され、図24の写真は2日後に撮影され、図25の写真は4日後に撮影された。
【0043】
また図26、図27、図28に示すようにマウス軟骨細胞は、DNAと鮭由来I型コラーゲンとの混合物のカルシウム塩からなる細胞培養膜に接着した。しかし、カルシウムイオンでイオン架橋されたDNAと鮭由来I型コラーゲンとの混合物からなる細胞培養膜上のマウス軟骨細胞と比較して、DNAと鮭由来I型コラーゲンとの混合物のカルシウム塩からなる細胞培養膜上のマウス軟骨細胞の増殖能は低かった。なお図26の写真はマウス軟骨細胞をまいてから1日後に撮影され、図27の写真は2日後に撮影され、図28の写真は4日後に撮影された。
【0044】
膜厚が等しい場合、カルシウムイオンでイオン架橋されたDNAと鮭由来I型コラーゲンとの混合物からなる細胞培養膜の溶解速度と、DNAと鮭由来I型コラーゲンとの混合物のカルシウム塩からなる細胞培養膜の溶解速度はほぼ等しかった。細胞培養膜が完全に溶解するまでの時間は膜厚に比例するが、少なくとも2日間は溶解することなく形態を維持した。
【0045】
(第3の実施の形態の第3の実施例)
第3の実施の形態の第1の実施例と同様に、図6に示すシャーレ101のウェル111A〜111Dの底面に、DNAと鮭由来I型コラーゲンとの混合物のカルシウム塩からなる細胞培養膜とカルシウムイオンでイオン架橋されたDNAと鮭由来I型コラーゲンとの混合物からなる細胞培養膜を配置した。その後、ウェル111A〜111Dを第1の実施の形態と同じ細胞培養液で満たし、マウス骨髄由来未分化間葉系細胞(C3H10T1/2)をまいた。
【0046】
図29及び図30に示すように、マウス骨髄由来未分化間葉系細胞はDNAと鮭由来I型コラーゲンとの混合物のカルシウム塩からなる細胞培養膜に接着し、増殖した。なお図29の写真はマウス骨髄由来未分化間葉系細胞をまいてから1日後に撮影され、図30の写真はマウス骨髄由来未分化間葉系細胞をまいてから2日後に撮影された。DNAと鮭由来I型コラーゲンとの混合物のカルシウム塩からなる細胞培養膜は、マウス骨髄由来未分化間葉系細胞をまいてから2日経過しても溶解しなかった。
【0047】
また図31及び図32に示すように、マウス骨髄由来未分化間葉系細胞はDNAと鮭由来I型コラーゲンとの混合物のカルシウム塩からなる細胞培養膜にも接着し、増殖した。なお図31の写真はマウス骨髄由来未分化間葉系細胞をまいてから1日後に撮影され、図32の写真はマウス骨髄由来未分化間葉系細胞をまいてから2日後に撮影された。DNAと鮭由来I型コラーゲンとの混合物のカルシウム塩からなる細胞培養膜は、マウス骨髄由来未分化間葉系細胞をまいてから2日経過しても溶解しなかった。
【0048】
(第3の実施の形態の第4の実施例)
第3の実施の形態の第3の実施例を検証するために、図6に示すシャーレ101のウェル111A, 111Bのそれぞれの底面にカルシウムイオンでイオン架橋されたDNAと鮭由来I型コラーゲンとの混合物からなる細胞培養膜を配置し、ウェル111C, 111Dのそれぞれの底面にDNAと鮭由来I型コラーゲンとの混合物のカルシウム塩からなる細胞培養膜を配置した。その後、ウェル111A〜111Dを第1の実施の形態と同じ細胞培養液で満たし、マウス骨髄由来未分化間葉系細胞(C3H10T1/2)をまいた。
【0049】
図33、図34、図35に示すように、マウス骨髄由来未分化間葉系細胞はカルシウムイオンでイオン架橋されたDNAと鮭由来I型コラーゲンとの混合物からなる細胞培養膜に接着し増殖した。なお図33の写真はマウス骨髄由来未分化間葉系細胞をまいてから1日後に撮影され、図34の写真は2日後に撮影され、図35の写真は3日後に撮影された。
【0050】
また図36、図37、図38に示すように、マウス骨髄由来未分化間葉系細胞はDNAと鮭由来I型コラーゲンとの混合物のカルシウム塩からなる細胞培養膜に接着し増殖した。なお図36の写真はマウス骨髄由来未分化間葉系細胞をまいてから1日後に撮影され、図37の写真は2日後に撮影され、図38の写真は3日後に撮影された。
【0051】
カルシウムイオンでイオン架橋されたDNAと鮭由来I型コラーゲンとの混合物からなる細胞培養膜の溶解速度と、DNAと鮭由来I型コラーゲンとの混合物のカルシウム塩からなる細胞培養膜の溶解速度はほぼ等しかった。細胞培養膜が完全に溶解するまでの時間は膜厚に比例するが、少なくとも2日間は溶解することなく、形態を維持した。2日目以降、細胞培養膜は溶解し始めるが、3日目までに溶解しきることはなかった。
【0052】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態に係る細胞培養膜は、下記化学式に示す長鎖アルキル基を有する第四級アンモニウムイオンでイオン架橋されたDNAからなる。なおアルキル基の炭素数が13以上になると、下記化学式に示す第四級アンモニウムイオンは細胞毒性を有する。したがってアルキル基の炭素数は6乃至12であることが好ましい。
【化1】

【0053】
第四級アンモニウムイオンでイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜は透明であり、光学顕微鏡による細胞の観察に適している。また生体適合性を有し、細胞に対する親和性が高い。さらに細胞培養液中において2日間以上溶解せず、形態を維持することが可能である。
【0054】
次に第4の実施の形態に係る細胞培養膜の製造方法について説明する。まず第1の実施の形態に係る細胞培養膜の製造方法と同様に、DNAのナトリウム塩からなる水溶性フィルムを形成する。その後、第四級アンモニウムイオンを含む水溶液をシャーレに滴下し、水溶性フィルムを第四級アンモニウムイオンを含む水溶液に室温で1日浸す。第四級アンモニウムイオンを含む水溶液に浸すことによりナトリウムイオンが第四級アンモニウムイオンに交換され、第四級アンモニウムイオンでDNAがイオン架橋される。第四級アンモニウムイオンでイオン架橋されたゲル状のDNAを第4の実施の形態に係る細胞培養膜として回収する。
【0055】
(第4の実施の形態の実施例)
第四級アンモニウムイオンでイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜の細胞毒性試験を行った。細胞毒性試験は、「医療用具の製造(輸入)承認申請に必要な生物学的安全性試験の基本的考え方について」(平成15年医薬審発第0213001号)の別添「医療機器の生物学的安全性評価の基本的考え方」に従った。具体的には、シャーレの円形の底面の半分を占めるように、半円形のフィルムに成形された細胞培養膜を配置した。次にV79細胞がシャーレの底面と細胞培養膜の両方の上で増殖し、コロニーを形成するか否かを検証した。結果として、アルキル基の炭素数が6乃至12である第四級アンモニウムイオンでイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜上ではV79細胞は増殖し、コロニーを形成した。しかし、アルキル基の炭素数が13以上である第四級アンモニウムイオンでイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜上では、V79細胞は増殖しなかった。
【0056】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。例えば第1の実施の形態においては、酵素を用いてDNAを精製する方法を示した。これに対し、図1のステップS100で得られた第1のろ過液に、塩化ナトリウム(NaCl)及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS: Sodium Dodecyl Sulfate)を加えてもよい。その後、60℃から80℃で第1のろ過液を加熱し、第1のろ過液を遠心分離して上澄み液を得る。上澄み液にエタノールを加えることにより、DNAのナトリウム塩が析出する。この様に、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る細胞培養膜の製造方法のフローチャートである。
【図2】本発明の第1の実施の形態の第1の実施例に係るチューブの模式図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態の第1の実施例に係るボトルの第1の模式図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態の第1の実施例に係るボトルの第2の模式図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態の第1の実施例に係るシャーレの第1の模式図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態の第1の実施例に係るシャーレの第2の模式図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態の第1の実施例に係るシャーレ及び細胞培養膜の模式図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態の第1の実施例に係るDNAのカルシウム塩からなる細胞培養膜上のマウス軟骨細胞(ATDC5)の写真である。
【図9】本発明の第1の実施の形態の第2の実施例に係るDNAのマグネシウム塩からなる細胞培養膜上のヒト肝癌細胞(Huh7)の写真である。
【図10】本発明の第1の実施の形態の第2の実施例に係るDNAのカルシウム塩からなる細胞培養膜上のヒト肝癌細胞(Huh7)の第1の写真である。
【図11】本発明の第1の実施の形態の第2の実施例に係るDNAのカルシウム塩からなる細胞培養膜上のヒト肝癌細胞(Huh7)の第2の写真である。
【図12】本発明の第1の実施の形態の第3の実施例に係るシャーレ及び細胞培養膜の模式図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態の第3の実施例に係るDNAのカルシウム塩からなる細胞培養膜上のマウス骨髄由来未分化間葉系細胞(C3H10T1/2)の写真である。
【図14】本発明の第2の実施の形態の第1の実施例に係るDNAの光産物からなる細胞培養膜上のマウス軟骨細胞(ATDC5)の第1の写真である。
【図15】本発明の第2の実施の形態の第1の実施例に係るDNAの光産物からなる細胞培養膜上のマウス軟骨細胞(ATDC5)の第2の写真である。
【図16】本発明の第2の実施の形態の第1の実施例に係るDNAの光産物からなる細胞培養膜上のマウス軟骨細胞(ATDC5)の第3の写真である。
【図17】本発明の第2の実施の形態の第2の実施例に係るDNAの光産物からなる細胞培養膜上のマウス骨髄由来未分化間葉系細胞(C3H10T1/2)の第1の写真である。
【図18】本発明の第2の実施の形態の第2の実施例に係るDNAの光産物からなる細胞培養膜上のマウス骨髄由来未分化間葉系細胞(C3H10T1/2)の第2の写真である。
【図19】本発明の第2の実施の形態の第2の実施例に係るDNAの光産物からなる細胞培養膜上のマウス骨髄由来未分化間葉系細胞(C3H10T1/2)の第3の写真である。
【図20】本発明の第3の実施の形態の第1の実施例に係るDNAと鮭由来I型コラーゲンの混合物のカルシウム塩からなる細胞培養膜上のマウス軟骨細胞(ATDC5)の写真である。
【図21】本発明の第3の実施の形態の第1の実施例に係るDNAのカルシウム塩と鮭由来I型コラーゲンの混合物からなる細胞培養膜上のマウス軟骨細胞(ATDC5)の第1の写真である。
【図22】本発明の第3の実施の形態の第1の実施例に係るDNAのカルシウム塩と鮭由来I型コラーゲンの混合物からなる細胞培養膜上のマウス軟骨細胞(ATDC5)の第2の写真である。
【図23】本発明の第3の実施の形態の第2の実施例に係るDNAのカルシウム塩と鮭由来I型コラーゲンの混合物からなる細胞培養膜上のマウス軟骨細胞(ATDC5)の第1の写真である。
【図24】本発明の第3の実施の形態の第2の実施例に係るDNAのカルシウム塩と鮭由来I型コラーゲンの混合物からなる細胞培養膜上のマウス軟骨細胞(ATDC5)の第2の写真である。
【図25】本発明の第3の実施の形態の第2の実施例に係るDNAのカルシウム塩と鮭由来I型コラーゲンの混合物からなる細胞培養膜上のマウス軟骨細胞(ATDC5)の第3の写真である。
【図26】本発明の第3の実施の形態の第2の実施例に係るDNAと鮭由来I型コラーゲンの混合物のカルシウム塩からなる細胞培養膜上のマウス軟骨細胞(ATDC5)の第1の写真である。
【図27】本発明の第3の実施の形態の第2の実施例に係るDNAと鮭由来I型コラーゲンの混合物のカルシウム塩からなる細胞培養膜上のマウス軟骨細胞(ATDC5)の第2の写真である。
【図28】本発明の第3の実施の形態の第2の実施例に係るDNAと鮭由来I型コラーゲンの混合物のカルシウム塩からなる細胞培養膜上のマウス軟骨細胞(ATDC5)の第3の写真である。
【図29】本発明の第3の実施の形態の第3の実施例に係るDNAと鮭由来I型コラーゲンの混合物のカルシウム塩からなる細胞培養膜上のマウス骨髄由来未分化間葉系細胞(C3H10T1/2)の第1の写真である。
【図30】本発明の第3の実施の形態の第3の実施例に係るDNAと鮭由来I型コラーゲンの混合物のカルシウム塩からなる細胞培養膜上のマウス骨髄由来未分化間葉系細胞(C3H10T1/2)の第2の写真である。
【図31】本発明の第3の実施の形態の第3の実施例に係るDNAのカルシウム塩と鮭由来I型コラーゲンの混合物からなる細胞培養膜上のマウス骨髄由来未分化間葉系細胞(C3H10T1/2)の第1の写真である。
【図32】本発明の第3の実施の形態の第3の実施例に係るDNAのカルシウム塩と鮭由来I型コラーゲンの混合物からなる細胞培養膜上のマウス骨髄由来未分化間葉系細胞(C3H10T1/2)の第2の写真である。
【図33】本発明の第3の実施の形態の第4の実施例に係るDNAのカルシウム塩と鮭由来I型コラーゲンの混合物からなる細胞培養膜上のマウス骨髄由来未分化間葉系細胞(C3H10T1/2)の第1の写真である。
【図34】本発明の第3の実施の形態の第4の実施例に係るDNAのカルシウム塩と鮭由来I型コラーゲンの混合物からなる細胞培養膜上のマウス骨髄由来未分化間葉系細胞(C3H10T1/2)の第2の写真である。
【図35】本発明の第3の実施の形態の第4の実施例に係るDNAのカルシウム塩と鮭由来I型コラーゲンの混合物からなる細胞培養膜上のマウス骨髄由来未分化間葉系細胞(C3H10T1/2)の第3の写真である。
【図36】本発明の第3の実施の形態の第4の実施例に係るDNAと鮭由来I型コラーゲンの混合物のカルシウム塩からなる細胞培養膜上のマウス骨髄由来未分化間葉系細胞(C3H10T1/2)の第1の写真である。
【図37】本発明の第3の実施の形態の第4の実施例に係るDNAと鮭由来I型コラーゲンの混合物のカルシウム塩からなる細胞培養膜上のマウス骨髄由来未分化間葉系細胞(C3H10T1/2)の第2の写真である。
【図38】本発明の第3の実施の形態の第4の実施例に係るDNAと鮭由来I型コラーゲンの混合物のカルシウム塩からなる細胞培養膜上のマウス骨髄由来未分化間葉系細胞(C3H10T1/2)の第3の写真である。
【符号の説明】
【0058】
10A〜10D…細胞培養膜
20A〜20D…細胞培養膜
61…凍結保存用チューブ
62…細胞凍結保存液
63…ボトル
64…第1の懸濁液
65…マウス軟骨細胞
66…シャーレ
67…第2の懸濁液
101…シャーレ
111A〜111F…ウェル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルシウムイオンでイオン架橋されたデオキシリボ核酸を備えることを特徴とする細胞培養膜。
【請求項2】
マグネシウムイオンでイオン架橋されたデオキシリボ核酸を備えることを特徴とする細胞培養膜。
【請求項3】
コラーゲンを更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の細胞培養膜。
【請求項4】
第四級アンモニウムイオンでイオン架橋されたデオキシリボ核酸を備えることを特徴とする細胞培養膜。
【請求項5】
前記第四級アンモニウムイオンのアルキル基の炭素数が6乃至12であることを特徴とする請求項4に記載の細胞培養膜。
【請求項6】
紫外線照射で架橋された、デオキシリボ核酸とカチオンの塩を備えることを特徴とする細胞培養膜。
【請求項7】
カルシウムイオンでイオン架橋されたデオキシリボ核酸を備える細胞培養膜と、
前記細胞培養膜に接着している細胞
とを備えることを特徴とする細胞培養キット。
【請求項8】
マグネシウムイオンでイオン架橋されたデオキシリボ核酸を備える細胞培養膜と、
前記細胞培養膜に接着している細胞
とを備えることを特徴とする細胞培養キット。
【請求項9】
第四級アンモニウムイオンでイオン架橋されたデオキシリボ核酸を備える細胞培養膜と、
前記細胞培養膜に接着している細胞
とを備えることを特徴とする細胞培養キット。
【請求項10】
紫外線照射で架橋された、デオキシリボ核酸とカチオンの塩を備える細胞培養膜と、
前記細胞培養膜に接着している細胞
とを備えることを特徴とする細胞培養キット。
【請求項11】
デオキシリボ核酸と1価のカチオンの塩を含む水溶性フィルムを形成するステップと、
前記1価のカチオンをカルシウムイオンに交換し、前記デオキシリボ核酸を前記カルシウムイオンでイオン架橋するステップ
とを含むことを特徴とする細胞培養膜の製造方法。
【請求項12】
前記1価のカチオンを前記カルシウムイオンに交換することが、前記カルシウムイオンを含む水溶液に前記水溶性フィルムを浸すことを含むことを特徴とする請求項11に記載の細胞培養膜の製造方法。
【請求項13】
デオキシリボ核酸と1価のカチオンの塩を含む水溶性フィルムを形成するステップと、
前記1価のカチオンをマグネシウムイオンに交換し、前記デオキシリボ核酸を前記マグネシウムイオンでイオン架橋するステップ
とを含むことを特徴とする細胞培養膜の製造方法。
【請求項14】
前記1価のカチオンを前記マグネシウムイオンに交換することが、前記マグネシウムイオンを含む水溶液に前記水溶性フィルムを浸すことを含むことを特徴とする請求項13に記載の細胞培養膜の製造方法。
【請求項15】
前記1価のカチオンがナトリウムイオンであることを特徴とする請求項11乃至14のいずれか1項に記載の細胞培養膜の製造方法。
【請求項16】
前記水溶性フィルムをコラーゲンの水溶液に浸すステップを更に含むことを特徴とする請求項11乃至15のいずれか1項に記載の細胞培養膜の製造方法。
【請求項17】
前記カルシウムイオンでイオン架橋されたデオキシリボ核酸をコラーゲンの水溶液に浸すステップを更に含むことを特徴とする請求項11又は12に記載の細胞培養膜の製造方法。
【請求項18】
前記マグネシウムイオンでイオン架橋されたデオキシリボ核酸をコラーゲンの水溶液に浸すステップを更に含むことを特徴とする請求項13又は14に記載の細胞培養膜の製造方法。
【請求項19】
デオキシリボ核酸とナトリウムイオンの塩を含む水溶性フィルムを形成するステップと、
前記ナトリウムイオンを第四級アンモニウムイオンに交換し、前記デオキシリボ核酸を前記第四級アンモニウムイオンでイオン架橋するステップ
とを含むことを特徴とする細胞培養膜の製造方法。
【請求項20】
前記第四級アンモニウムイオンのアルキル基の炭素数が6乃至12であることを特徴とする請求項19に記載の細胞培養膜の製造方法。
【請求項21】
デオキシリボ核酸と1価のカチオンの塩を含む水溶性フィルムを形成するステップと、
前記水溶性フィルムに紫外線を照射するステップ
とを含むことを特徴とする細胞培養膜の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公開番号】特開2009−17870(P2009−17870A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−264427(P2007−264427)
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】