細胞発現システムを使用する水素生産方法
【課題】発現ベクターにより形質転換された宿主細胞中で、シアノバクテリアから誘導されるヒドロゲナーゼ蛋白質複合体を生産させる前記発現ベクターと、該発現ベクターを利用する水素生産方法を提供する。
【解決手段】転写プロモータ成分、シアノバクテリアヒドロゲナーゼと協働して特定の酵素活性を有するポリペプチドをエンコードする核酸分子、及び転写ターミネータのリンクして作用する成分を含んで成る発現ベクター。
【解決手段】転写プロモータ成分、シアノバクテリアヒドロゲナーゼと協働して特定の酵素活性を有するポリペプチドをエンコードする核酸分子、及び転写ターミネータのリンクして作用する成分を含んで成る発現ベクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞により水素を生産するための組替え発現システムに関する。より詳細には、本発明は、発現ベクターにより形質転換された宿主細胞である、一般的には大腸菌である細菌性細胞中で、シアノバクテリアから誘導されるヒドロゲナーゼ蛋白質複合体を生産させる前記発現ベクター、及び光合成による水素生産に適した条件下で宿主細胞を培養することにより水素を生産する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水素エネルギは、公知の化石燃料と置換するための重要な候補であり、特に微生物から生産される水素は重要である。現在のところ、微生物源から水素を光合成で生産することには多くの障害が存在する。シアノバクテリアや緑藻類などの従来の水素生産微生物のエネルギ変換効率は低く、水素発生速度も低い。更に種々の抑制因子のため、前記微生物からの水素生産は不安定性が付きまとう。例えば関与する酵素は本来酸素感受性で、好気性条件下でも変性してしまう。
【0003】
従来法は、微生物からの水素生産量を増加させるためのプロセス制御を探求している。特許文献1は、光が存在する好気性条件下で、水中に藻を培養して藻中に光合成生成物を蓄積する工程と、暗所の微好気性条件下で、水中に藻を培養して呼吸により蓄積した物質を分解して水素を発生させる工程を交互に含んで成る、交互の明暗サイクルを使用する、藻培養液中での水素生産を開示している。
【0004】
最近、問題を扱うために分子技術が採用されている。特許文献2は、酵素である鉄ヒドロゲナーゼ(HydA)が水素生産用、特に蛋白質の分子状水素への可逆的還元を触媒する工業的用途を有することを開示している。該特許文献は、鉄ヒドロゲナーゼをエンコードする藻であるセネデスムス・オブリクス(Scenedesmus Obliquus)、キラミドモナス・レインハードチイ(Chlamydomonas reinhardtti)及びクロレラ・フスカ(Chlorella fusca)から核酸配列を単離することを開示している。本発明は、更にゲノム核酸、cDNA及びHydAの蛋白質配列を開示する。
【0005】
これまでの文献はいずれも、工業的規模で水素生産に適する方法を提案していない。
【特許文献1】米国特許明細書第4532210号
【特許文献2】米国特許明細書第6858718号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、酵素又は酵素複合体を発現しない宿主細胞、一般に細菌宿主細胞中で、例えばシアノバクテリア種のような光合成細菌種から単離される酵素又は酵素複合体の発現に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によると、
a)転写プロモータ成分、
b)シアノバクテリアヒドロゲナーゼと協働して特定の酵素活性を有するポリペプチドをエンコードする核酸分子、及び
c)転写ターミネータ、
のリンクして作用する成分を含んで成る、ヒドロゲナーゼ蛋白質又はヒドロゲナーゼ蛋白質複合体を生産するための発現がされる。
【0008】
好ましくは、核酸分子は、
i)配列番号1のヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
ii)配列番号1のヌクレオチド配列に対して少なくとも70%の同一性を有し、ヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをエンコードする核酸分子、
iii)配列番号1のヌクレオチド配列にハイブリダイズし、ヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをエンコードする核酸分子、及び
iv)前記i)、ii)及びiii)の配列への遺伝子コードの結果として、変質したヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
から成る群から選択される。
【0009】
核酸分子は、配列番号1のヌクレオチド配列から成ることがより好ましい。
【0010】
その代わりに、核酸分子は、
i)配列番号2、4、7、9及び12のそれぞれのヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
ii)配列番号2に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、配列番号4に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、配列番号7に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、配列番号9に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、及び配列番号11に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
iii)配列番号2に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号4に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号7に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号9に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、及び配列番号11に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列から成る核酸分子
から成る群から選択される。
【0011】
核酸分子は、配列番号2、4、7、9及び12のそれぞれのヌクレオチド配列から成ることが好ましい。
【0012】
その代わりに、核酸分子が、
i)配列番号2、4、7、9及び12の少なくとも1つのヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、又は
ii)配列番号2に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号4に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号7に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号9に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、及び配列番号11に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列の少なくとも1つのヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
から成る群から選択される。
【0013】
より好ましくは、核酸分子が、配列番号2の核酸配列で表される核酸分子か、又は配列番号2にハイブリッドしかつジアホラーゼ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である。その代わりに、 核酸分子は、配列番号4の核酸配列で表される核酸分子か、又は配列番号4にハイブリッドしかつNADHデヒドロゲナーゼI活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である。その代わりに、核酸分子が、配列番号の核酸配列7で表される核酸分子か、又は配列番号7にハイブリッドしかつNAD還元デヒドロゲナーゼガンマ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である。核酸分子が、配列番号9の核酸配列で表される核酸分子か、又は配列番号9にハイブリッドしかつNAD還元デヒドロゲナーゼデルタ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である。その代わりに、核酸分子が、配列番号12の核酸配列で表される核酸分子か、又は配列番号12にハイブリッドしかつNAD還元デヒドロゲナーゼベータ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である。核酸分子は厳格なハイブリダイゼーション条件下で、ハイブリッドすることが好ましい。
【0014】
核酸分子が、配列番号3、5、8、10及び13のそれぞれのポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列から成ることが好ましい。
【0015】
変異核酸分子が、厳格なハイブリダイゼーション条件下でハイブリッドすることが好ましい。
【0016】
転写プロモーター成分が、前記核酸分子又は変異核酸分子に、誘導発現を起こす成分を含んで成ることが好ましい。その代わりに、転写プロモーター成分が、前記核酸分子又は変異核酸分子に、抑制発現を起こす成分を含んで成る。その代わりに、転写プロモーター成分が、前記核酸分子又は変異核酸分子に、構成的発現を起こす成分を含んで成る。
【0017】
発現ベクターが、選択可能なマーカーを含むことが好ましい。発現ベクターが、翻訳調節成分を含んで成ることが好ましい。翻訳調節成分が、リボゾーム結合配列であることが好ましい。
【0018】
核酸分子が、ヌクレオチド配列に特定の変化を受けて、コドン使用を最適化されていて、例えばDNAシャフリング、エラープローンPCR又はサイト指令突然変異生成が導入されている。
【0019】
他の態様では、本発明の第1態様による発現ベクターで転換された宿主細胞が提供される。
【0020】
前記細胞は、細菌性細胞であることが好ましく、より好ましくはグラム陰性細菌性細胞であり、例えばエシェリキア種の属であり、好ましくは大腸菌であり、更に好ましくは大腸菌BL21又は大腸菌BL21(DE3)pLys5である。その代わりに、細胞は他の細菌性細胞、例えばグラム陽性細菌性細胞、酵母細胞、藻細胞、昆虫細胞又は植物細胞である。
【0021】
前記細胞は、argU、ilex、leuW、Prol又はglyTをエンコードするtRNA遺伝子であることが好ましい。
【0022】
本発明の他の態様は、
i) 少なくとも1個のシアノバクテリアヒドロゲナーゼ遺伝子を含んで成る核酸分子を、発現ベクター中に組み入れて宿主細胞中で発現させ、かつ
ii)発現ベクターで宿主細胞をトランスフェクトし、生成するトランスフェクトされた宿主細胞が水素を生産する方法である。
【0023】
少なくとも1つのヒドロゲナーゼ遺伝子が、双方向ヒドロゲナーゼ遺伝子であることが好ましい。シアノバクテリアが、シネコシスティス属、より好ましくはシネコシスティス種PCC6803である。
【0024】
核酸分子が、
i)配列番号1のヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
ii)配列番号1のヌクレオチド配列に対して少なくとも70%の同一性を有する酸分子、
iii)配列番号1のヌクレオチド配列にハイブリダイズする核酸分子、及び
iv)前記i)、ii)及びiii)の配列への遺伝子コードの結果として、変質したヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
から成る群から選択されることが好ましい。
【0025】
核酸分子が、配列番号1のヌクレオチド配列から成ることがより好ましい。
【0026】
その代わりに、核酸分子が、
i)配列番号2、4、7、9及び12のそれぞれのヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
ii)配列番号2に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、配列番号4に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、配列番号7に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、配列番号9に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、及び配列番号11に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、及び
iii)配列番号2に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号4に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号7に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号9に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、及び配列番号11に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列から成る核酸分子
から成る群から選択される。
【0027】
核酸分子が、配列番号2、4、7、9及び12のそれぞれのヌクレオチド配列から成ることがより好ましい。
【0028】
その代わりに、核酸分子が、
i)配列番号2、4、7、9及び12の少なくとも1つのヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、又は
ii)配列番号2に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号4に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号7に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号9に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、及び配列番号11に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列の少なくとも1つのヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
から成る群から選択される。
【0029】
核酸分子が、配列番号2の核酸配列で表される核酸分子か、又は配列番号2にハイブリッドしかつジアホラーゼ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子であることが好ましい。その代わりに、核酸分子が、配列番号4の核酸配列で表される核酸分子か、又は配列番号4にハイブリッドしかつNADHデヒドロゲナーゼI活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である。その代わりに、核酸分子が、配列番号の核酸配列7で表される核酸分子か、又は配列番号7にハイブリッドしかつNAD還元デヒドロゲナーゼガンマ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である。その代わりに、核酸分子が、配列番号9の核酸配列で表される核酸分子か、又は配列番号9にハイブリッドしかつNAD還元デヒドロゲナーゼデルタ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である。その代わりに、 核酸分子が、配列番号12の核酸配列で表される核酸分子か、又は配列番号12にハイブリッドしかつNAD還元デヒドロゲナーゼベータ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である。核酸分子は厳格なハイブリダイゼーション条件下で、ハイブリッドすることが好ましい。
【0030】
核酸分子が、配列番号3、5、8、10及び13のそれぞれのポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列から成ることが好ましい。
【0031】
本発明の他の態様では、細胞の成長をサポートするために十分な媒体を含む反応容器が提供される。好ましい態様では、容器はバイオレアクタ、例えば発酵槽である。
【0032】
本発明の他の態様では、
i)本発明の宿主細胞を含む容器を準備し、
ii)該容器内に含まれる細胞培養により水素生産を容易にするための細胞培養を条件を提供し、必要であれば
iii)容器から水素を回収する
各工程を含んで成る水素の生産方法が提供される。
【0033】
本発明の更に他の態様では、
i)本発明の宿主細胞を含む反応容器、及び、
ii)細胞培養容器に流体を介して接続された第2の反応容器、
を含んで成り、
該第2の反応容器が、i)の反応容器内に含まれる細胞により生産される水素の回収及び/又は貯蔵に使用される、細胞により生産されかつ回収される水素生産装置が提供される。
【0034】
本発明の他の態様では、水素生産のための組み換え発現システムにおいて、シアノバクテリアヒドロゲナーゼを使用する方法が提供される。シアノバクテリアヒドロゲナーゼは、
i)配列番号1のヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
ii)配列番号1のヌクレオチド配列に対して少なくとも70%の同一性を有し、ヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをエンコードする核酸分子、
iii)配列番号1のヌクレオチド配列にハイブリダイズし、ヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをエンコードする核酸分子、及び
iv)前記i)、ii)及びiii)の配列への遺伝子コードの結果として、変質したヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
から成る群から選択される核酸分子でエンコードされることが好ましい。
【0035】
本発明の他の態様によると、配列番号1の核酸配列で表される核酸分子が提供される。
【0036】
本明細書及び特許請求の範囲において、「含んで成る」及び「含む」、又はこれらの用語の変形された用語は、「含むがそれに限定されない」ことを意味し、他の残基、付加物、成分、要素又は工程を排除しない。
【0037】
本明細書及び特許請求の範囲において、他に特定されていなければ、単数形は複数形も含む。
【0038】
本発明の特定の特徴、態様又は例として述べた特性、特徴、化合物、化学残基又は基は、矛盾がない限り、他の特徴、態様又は例にも適用できるものである。
【0039】
本発明の種々の態様を、以下に詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
微細藻類(緑藻類やシアノバクテリア)は、太陽エネルギによる収穫物として成長するときに、高等植物と比較して、明確な利点を有する。それは、成長速度が速く、自然の池や閉じた反応器内で操作が行いやすく、概して高い光合成効率を有していることである。シアノバクテリアや緑藻類に固有の、水から水素を生産する能力は、低炭素クリーンエネルギ技術の発展に有利である。この能力は、2種類の異なったヒドロゲナーゼの活性に依存する。第1は、膜に結合した2分子性のヒドロゲナーゼで、これは主として異質細胞に限定され、ニトロゲナーゼにより生産される水素ガスを再利用する機能を有する。第2は、二方向性ヒドロゲナーゼで、光合成で生産された電子及びプロトンを再結合しかつ消費して水素の発生及び分解の両者を行うことのできる酵素である。
【0041】
シネコシスティス(Synechocystis)種PCC6803は、非窒素固定性のシアノバクテリアで、新鮮な水の中に生息している。この株は、外来性DNAで天然に変換でき(つまりそれ自身でDNAを取り上げる)、自然に変換でき、相同的組み換えによりDNAをそのゲノムに組み入れる。有機体は、光独立栄養状態から完全に従属栄養の状態までの多数の異なった状態で成長でき、光合成(この場合はヒドロゲナーゼ)の研究のような基本的なプロセスと干渉する遺伝子組み換えを可能にする。これらの性質は、シネコシスティス種PCC6803を、本明細書で述べるような遺伝子操作における好適な選択の1つとする。実際、この有機体は、ヒドロゲナーゼ酵素を取り込む能力に欠けていることが示されている(大きなサブユニットを欠いているため)。この特徴は、前記有機体を、本発明で使用する際の前記有機体の「有用性」を増加させ、これによりヒドロゲナーゼ取り込みの悪影響を除去し、(この場合)ヒドロゲナーゼ取り込みの抗生産性効果を考慮することなく、ヒドロゲナーゼ活性のインビボのスクリーニングを行うことを可能にする。
【0042】
5種類の遺伝子が、双方向ヒドロゲナーゼ酵素複合体を形成することが知られ、ラルストニア・ユートロフィア(Ralstonia eutrophia)の四量体NAD+還元ヒドロゲナーゼをエンコードする遺伝子と同族であって、ディアフォラーゼ残基は、ホックス・エフユー(hoxFU)で、ヒドロゲナーゼ部は、ホックス・ワイエッチ(hoxYH)でエンコードされる。ラルストニア・ユートロフィア内の溶性酵素と対照的に、シネコシスティス種PCC6803の双方向ヒドロゲナーゼの遺伝子クラスターは、更に第3のディアフォラーゼサブユニットをエンコードすると考えられるオープン・リーディング・フレーム(hoxE)を含む。従ってホックス・イーエフユー(HoxEFU)は、主としてミトコンドリア複合体I(NADH:Q、酸化還元酵素)の3種のサブユニットの配列の類似性に起因して、呼吸活性又は光化学系Iの周りの循環的電子伝達の複合体IのNADH酸化部として機能すると想定され、hoxEは大腸菌(Escherichia coli)のNuoEの同族である(3種のサブユニットの1つは、複合体Iの親水部を構成する)。選択的な単離実験により、活性は、ヘテロシストスなシアノバクテリア種の単一の及び異質細胞性で植物性の細胞内で認められた。
【0043】
シアノバクテリアによる水素生産は、ニトロゲナーゼ又は双方向ヒドロゲナーゼの活性から誘導される。従って、シアノバクテリアによる全水素発生量は、ニトロゲナーゼ及び双方向ヒドロゲナーゼが触媒する水素発生とヒドロゲナーゼ取り込みが触媒する水素消費の合計である。本発明は、下記式に示すように、ニトロゲナーゼのそれ(式1)と比較して、エネルギ効率が大きく増加する、双方向ヒドロゲナーゼ酵素による水素生成(式2)に関する。
【0044】
2H++2e-+2NADP→H2+2NAD++2P(1)
N2+8H++8e-+16ATP → 2NH3+H2+16ADP+16P1 (2)
【0045】
シネコシスティス種PCC6803中に存在すると示されているヒドロゲナーゼに関連する遺伝子は、(1) sllO322−ヒドロゲナーゼ熟成蛋白質HypF (hypF)、(2) SII1078−ヒドロゲナーゼ発現/形成蛋白質HypA (hypA)、(3)sll1079−ヒドロゲナーゼ発現/形成蛋白質HypB (hypB)、(4) sll1220− NADHヒドロゲナーゼIチェーンE (hoxE)、(5) sll1221−NADHヒドロゲナーゼIチェーンF(hoxF)、(6)sll1223−NAD還元ヒドロゲナーゼHoxSガンマサブユニット(hoxU)、(7) slH224− NAD還元ヒドロゲナーゼHoxSデルタサブユニット(hoxY) (EC. 1.12.1.2)、(8)slH226−NAD還元ヒドロゲナーゼHoxSベータサブユニット(hoxH)、(9)sll1432−ヒドロゲナーゼイソ酵素形成(ニッケル取り込み)蛋白質HypB(hypB)、(10)slI1462−ヒドロゲナーゼ発現/形成蛋白質HypE (hypE)、(11)sII1559−可溶性ヒドロゲナーゼ42kDサブユニット、(12)slr1498−ヒドロゲナーゼイソ酵素形成蛋白質HypD(hypD)、(13)slr1675−ヒドロゲナーゼ形成(ニッケル取り込み)蛋白質HypA(hypA)、(14)slr2135−ヒドロゲナーゼ付属蛋白質、(15)ssl3580−ヒドロゲナーゼ発現/形成蛋白質HypC(hypC)を含む。
【0046】
シネコシスティス種PCC6803内のこれらの全ての遺伝子の正確な位置を図1にプロットした。この配置を示すマップは、この有機体の完全なゲノムの矢クレーム75%をカバーしている。従って本発明は、長さが約7kbである、図2に示したシネコシスティス種PCC6803のホックス・オペロン(hox operon)から誘導される配列を利用する。
【0047】
[ベクター]
本明細書で使用する用語「ベクター」は、リンクされている他の核酸を輸送できる核酸分子を意味する。ベクターは、自己複製ができるか、宿主DNAに取り込まれる。ベクターは、組替えDNAの挿入のための制限酵素サイトを有することがあり、1又は2以上の選択できるマーカーを有することがある。ベクターは、プラスミド、バクテリオファージ又はコスミッドの形態の核酸であることができる。最も好ましくは、ベクターは、バクテリア発現、例えば大腸菌、枯草菌、サルモネラ菌、ブドウ状球菌、連鎖球菌、サッカロミセテス(Saccharomycetes)中での発現の適している。
【0048】
ベクターは、細菌性細胞中で増殖でき、次世代に安定して伝達される。
【0049】
本明細書で使用する用語「操作するようリンクされる」は、上述の単一のコントロールエレメント、又はコード配列と互いに機能的関係、例えばリンクされた関係で組合されたコントロールエレメントを意味し、コード配列の発現を指令する。
【0050】
本明細書で使用する用語「調節塩基配列」は、遺伝子発現をコントロールできるDNA又はRNAエレメントを意味する。発現コントロール配列の例は、紫外線で起きる遺伝子応答に 重要である、プロモータ、エンハンサ、サイレンサ、シャイン・ダルガノ(Shine Dalgarno)配列、TATAボックス、内部リボゾームエントリサイト(IRES)、転写因子用付着サイト、転写ターミネータ、ポリアデニル化サイト、RNA輸送シグナル又は配列を含む。好ましい発現ベクターは、発現すべき核酸配列に操作するようリンクされた1又は2以上の調節塩基配列である。調節塩基配列は、組織特異性の調節及び/又は誘導塩基配列だけでなく、構成的発現を指令するものも含む。
【0051】
本明細書で使用する用語「プロモータ」は、転写を開始するためにRNAポリメラーゼが結合するDNA又はRNA中のヌクレオチド配列を意味する。プロモータは、誘導的に又は構成的に発現できる。その代わりに、プロモータは、リオウレッサー又は促進性蛋白質であっても良い。プロモータは、T7, T3, lac, lac UV5, tac, trc, [lambda]PL, Sp6 or a 紫外線誘導蛋白質であることが好ましい。プロモータは、例えば大腸菌のようなバクテリア中で機能することが知られているT7又はT3プロモータであることがより好ましい。
【0052】
本明細書で使用する用語「転写ターミネータ」は、DNAをRNAへ転写するためのRNAポリメラーゼの機能を終了させるDNAエレメントを意味する。好ましい転写ターミネータは、GCリッチな二分染色体対称領域により先行されたT残渣のランを特徴とする。より好ましい転写ターミネータは、T7ファージからのターミネータ配列である。
【0053】
本明細書で使用する用語「翻訳調節エレメント」は、mRNAの翻訳調節を行うDNA又はRNAエレメントを意味する。好ましい翻訳調節エレメントは、リボゾーム結合サイトである。翻訳調節エレメントは、プロモータと同族の、例えばプロモータとそのリボゾーム結合サイトからのものであることが好ましい。好ましいリボゾーム結合サイトは、T7又はT3リボゾーム結合サイトである。
【0054】
本明細書で使用する用語「制限酵素認識サイト」は、制限酵素で認識されるDNA上のモチーフである。
【0055】
本明細書で使用する用語「選択可能なマーカー」は、宿主細胞中で発現されたときに、前記選択可能なマーカーの遺伝子を発現する細胞の選択を可能にする細胞への遺伝子型を与える蛋白質を意味する。一般にこれは、アンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、ヒグロマイシン、ネオマイシン、メソトレキセートのような抗生物質に耐性を与える蛋白質である。抗生物質の他の例は、ペニシリン、アンピシリンHCl、アンピシリンNa、アモキシチリンNa,カルベニチリンナトリウム、ペニシリンG,セファロスポリン、セフォタキシムNa,セファレキシンHCl、バンコマイシン、シクロセリンを含む。他の例は、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、リンコマイシン、テトラサイクリン、硫酸スペクチノマイシン、クリンダマイシンHCl、クロルテトラサイクリンHClを含む。
【0056】
発現ベクターのデザインは、変化される宿主細胞の選択や所望の蛋白質の発現レベル等の因子に依存する。本発明の発現ベクターは、宿主細胞に導入され、本明細書で述べるように、核酸でエンコードされる、融合蛋白質又はポリペプチド(例えばシノコシスチス(Synochocystis)種PCC6803双方向ヒドロゲナーゼ蛋白質複合体、つまりホックスE、ホックスF、ホックスU、ホックスY及びホックスH)を含む蛋白質やポリペプチドを生成する。
【0057】
原核生物中の蛋白質の発現は、融合又は非融合蛋白質の発現を指令する誘導的に又は構成的蛋白質を含むベクターを使用して大腸菌中でしばしば行われる。融合ベクターは、エンコードされた蛋白質に、通常は組替え蛋白質のアミノ末端に、多数のアミノ酸を加える。このような融合ベクターは具体的には次の3種類の目的を達成する。1)組替え蛋白質の発現を増加させる。2)組替え蛋白質の溶解度を向上させる。3)親和性精製のリガンドとして作用し、組替え蛋白質の精製を補助する。蛋白質解裂サイトはしばしば、融合残基と組替え蛋白質の接合部に導入されて、融合蛋白質の精製後に、組替え蛋白質を融合残基から分離することを可能にする。このようなベクターは、本発明の範囲内である。
【0058】
好ましいベクターは、細菌性細胞内で、双方向ヒドロゲナーゼ蛋白質複合体を発現させるために必要な遺伝子エレメントを含む。細菌性細胞内での転写及び翻訳に必要なエレメントは、プロモータ、双方向ヒドロゲナーゼ蛋白質複合体用のコード領域及び転写ターミネータを含む。
【0059】
本発明の発現ベクターは、例えばバクテリオファージDNA,プラスミドDNA又はコスミッドDNAなどのバクテリア性発現ベクター、例えば組替えイースト発現ベクターなどのイースト発現ベクター、例えばバキュロ・ウィルスのような組替えウィルス発現ベクター、又は例えばカリフラワー・モザイク・ウィルス、CaMV、タバコ・モザイク・ウィルス、TMVのような組替えウィルス発現ベクターのような植物細胞で発現させるためのベクター、又はTiプラスミドのような組替えプラスミドベクターとすることができる。
【0060】
ベクターは、バクテリア発現ベクターであることが好ましい。ベクターは、双方向発現ベクターであることが好ましい。発現ベクターは、高コピー数発現ベクターであることが好ましい。その代わりに、発現ベクターは、例えばミニFプラスミドのような低コピー数発現ベクターでも良い。
【0061】
ベクターは、T7プロモータシステムを含んで成るバクテリア発現ベクターであることが好ましい。その代わりに、ベクターは、tacプロモータシステムを含んで成るバクテリア発現ベクターであっても良い。
【0062】
ベクターは、pET発現ベクターであることがより好ましい。例えばベクターは、pET-3a、pET-3b、pET-3c、pET-3d、pET-9a、pET-9b、pET-9c、pET-9d、pET-11a、pET-11b、pET-11c、pET-11d、pET-12a、pET-12b、pET-12c、pET-14b、pET-15b、pET-16b、pET-17b、pET-17xb、pET-19b、pET-20b(+)、pET-21(+)、pET-21a(+)、pET-21b(+)、pET-21c(+)、pET-21d(+)、pET-22b(+)、pET-23(+)、pET-23a(+)、pET-23b(+)、pET-23c(+)、pET-23d(+)、pET-24(+)、pET-24a(+)、pET-24b(+)、pET-24c(+)、pET-24d(+)、pET-25b(+)、pET-26b(+)、pET-27b(+)、pET-28a(+)、pET-28b(+)、pET-28c(+)、pET-29a(+)、pET-29b(+)、pET-29c(+)、pET-30Ek/LIC、pET-30Xa/LIC、pET-30a(+)、pET-30b(+)、pET-30c(+)、pET-31b(+)、pET-32Ek/LIC、pET-32Xa/LIC、pET-32a(+)、pET-32b(+)、pET-32c(+)、pET-33b(+)、pET-39b(+)、pET-40b(+)、pET-41a(+)、pET-41b(+)、pET-41c(+)、pET-41Ek/LIC、pET-42a(+)、pET-42b(+)、pET-42c(+)、pET-43.1a(+)、pET-43.1b(+)、pET-43.1c(+)、pET-43.1Ek/LIC、pET-44a(+)、pET-44b(+)、pET-44c(+)、pET-44Ek/LIC、pET-45b(+)、pET-46Ek/LIC、pET-47b(+)、pET-48b(+)、pET-49b(+)、pET-50b(+)、pLacl、 pLysE、 pLysSのようなノボゲン(登録商標)pETベクター、又は例えばpET161-DEST、pET101/D-TOPO、 pET151/D/LacZ、pET104.1-DEST、pET161-GW/CAT、 pET104.1/GW/iacZ、pETSUMO/CAT、pETSUMO、pET-DEST41、 pET-DEST42、pET101/D/LacZ、pET151/D-TOPO、pET161-DEST、 pET100/D/LacZ、pET161-GW/CAT、pET151/D/LacZ、pET101/D-TOPO、pET104-DEST、pET160-DEST、pET102/D/LacZ、pET200/D/LacZ、pET200/D-TOPO、pET161/GW/D-TOPO、pET160-GW/CATのような.インビトリゲン(登録商標)pETベクターであることができる。
【0063】
ベクターは、図3に示したpET-17b (ノバゲン(登録商標)、アメリカ合衆国ウィスコンシン州マヂソン) (Seed, B. (1987) Nature 329, 840)であることがより好ましい。 pET-17bベクターは、N−末端11aa T7-タグ配列とそれに続く、通常のクローニングサイトを具備している。複数のクローニング領域には、二重のBstX Iサイトが含まれ、これは非対称なリンカーを使用して効率的なクローニングを行う。特異なサイトが図3の環状マップに示されている。当該配列には、Pbr322コンベンションによる番号が付され、T7発現領域は環状マップ上では、逆になっている。T7RNAポリメラーゼにより転写されるコード鎖のクローニング/発現領域は、図4に示されている。
【0064】
pET−17bベクターは、T7プロモータ(核酸数333〜349)、T7転写スタート(核酸数332)、及びT7ターミネータ(核酸数28〜74)を含んでいる。pET−17bベクターは、更にT7Tag配列を有し、これは発現酵素の親和性精製を可能にする。pET−17bベクターは、BamHI認識サイトの後のGATトリプレットから発現する翻訳ベクターである。
【0065】
特に、T7プロモータ領域、例えばpET−17bを含むベクターを使用すると、宿主細胞が高蛋白質発現用に適していることが要求される。
【0066】
[シネコシスティス種PCC6803ホックス・オペロン]
本明細書で使用する用語「核酸分子」は、DNA分子(例えばcDNA又はゲノムDNA)及びRNA分子(例えばmRNA)及びヌクレオチド類縁体を使用して得られるDNA又はRNAの類縁体を含む。核酸分子は、一重鎖でも二重鎖でも良いが、二重鎖DNAであることが好ましい。
【0067】
ゲノムDNAに関しては、「単離された」という用語は、ゲノムDNAが天然に結びついているクロモゾームから分離された核酸分子を含む。「単離された」核酸は、それから核酸が誘導される有機体のゲノムDNA中の核酸(つまり核酸の5´−及び/又は3´−末端に位置する配列)に沿って天然に存在する配列を有さないことが好ましい。更にcDNAのような「単離された」核酸分子は、組替え技術で生産されたときに、他の細胞状物質又は培地を実質的に有さないことができ、あるいは化学的に合成されたときには、化学的前駆体や他の化学薬品を有さないことができる。
【0068】
本明細書で使用する用語「厳格な条件下でハイブリッドする」は、交配(hybridization)及び洗浄(washing)のための条件を記述する。厳格な条件は、当業者には公知で、入手できる文献(例えば、「分子生物学の現在のプロトコル」、ニューヨークのジョン・ウィリー・アンド・サンズ、1989年、6.3.1−6.3.6)にも記載されている。本文献には、水性及び非水性法が記載され、いずれも使用できる。好ましい交配条件は、約45℃で、6χ塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)で、次いで50℃で、0.2χSSC.0.1%(w/v)SDSで1又は2回以上洗浄を行う交配である。厳格な交配条件の他の例は、約45℃の6χのSSCで、次いで、55℃で、0.2χSSC.0.1%(w/v)SDSで1又は2回以上洗浄を行う交配である。厳格な交配条件の更に他の例は、約45℃の6χのSSCで、次いで、60℃で、0.2χSSC.0.1%(w/v)SDSで1又は2回以上洗浄を行う交配である。好ましい厳格な交配条件は、約45℃の6χのSSCで、次いで、65℃で、0.2χSSC.0.1%(w/v)SDSで1又は2回以上洗浄を行う交配である。特に好ましい厳格な交配条件は、約45℃の6χのSSCで、次いで、65℃で、0.2χSSC.0.1%(w/v)SDSで1又は2回以上洗浄を行う交配である。特に好ましい厳格な交配条件(及び分子が本発明の交配条件内にあるかを決定するためにどんな条件が使用されなければならないかを、実施者が確認できない場合に使用すべき条件)は、65℃における0.5モルのリン酸ナトリウム、7%(w/v)SDS、次いで65℃で、0.2χSSC.1%(w/v)SDSで1又は2回以上洗浄を行うことである。厳格な条件下で、配列番号1,2,4,6,7,9、11又は12の配列に交配される本発明の単離された核酸分子は、天然産出の核酸分子に対応することが好ましい。
【0069】
本明細書で使用する用語「天然算出の」核酸分子は、天然に存在するヌクレオチド配列を有するRNA又はDNA分子(例えば天然の蛋白質をエンコードする)を意味する。
【0070】
本明細書で使用する用語「遺伝子」及び「組替え遺伝子」は、オープン・リーディング・フレームのエンコード蛋白質を含み、かつ非コード化調節塩基配列及びイントロンを更に含む核酸分子を意味する。
【0071】
「非必須アミノ酸残基」は、生物活性をなくすことなく、より好ましくは実質的に生物活性を変化させることなく、広い範囲の配列(例えば配列番号3,5,8,10又は13)から、修正させられる残基で、他方「必須」アミノ酸残基は、前記変化を生じさせる。例えば本発明のポリペプチド間で保存されるアミノ酸残基、例えば保存されたカリウムチャンネルドメインに存在する残基は、膜貫通領域内のアミノ酸残基が通常大きな活性変化なしに、ほぼ等価の疎水性を有する他の残基と置換できることを除いて、変化に対して修正が効かない。
【0072】
「保存」アミノ酸置換は、アミノ酸残基が、類似のサイドチェーンを有するアミノ酸残基と置換できる。類似のサイドチェーンを有するアミノ酸残基のファミリーは、従来技術で定義されている。これらのファミリーは、塩基性のサイドチェーンを有するアミノ酸(例えばリジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性のサイドチェーンを有するアミノ酸(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸)、電荷を有さない極性サイドチェーンを有するアミノ酸(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性のサイドチェーンを有するアミノ酸(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリピトファン)、ベーター分枝サイドチェーンを有するアミノ酸(スレオニン、バリン、イソロイシン)、及び芳香族サイドチェーンを有するアミノ酸(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む。従って蛋白質中の非必須アミノ酸残基は、同じサイドチェーンを有するファミリーから選ばれる他のアミノ酸残基と置換されることが好ましい。その代わりに、他の態様では、飽和突然変異誘発のようなコード配列の全て又は一部をランダムに導入することにより変異を起こさせることができ、生成する突然変異体は生物活性のスクリーニングを行って、活性を保持した突然変異体を特定できる。配列番号1,2,4,6,7,9,11又は12の突然変異体形成後に、エンコードされた蛋白質を組替え発現させることができ、蛋白質の活性を決定できる。
【0073】
本明細書で使用する用語である蛋白質の「生物学的活性部」は、分子と非分子間の相互作用に関与する蛋白質のフラグメントを含む。蛋白質の生物学的活性部は、蛋白質のアミノ酸配列と十分に近似しあるいはそれから誘導されるアミノ酸配列を含んで成るペプチドを含み、前記アミノ酸配列は、例えば蛋白質の全長より少ないアミノ酸を含みかつ少なくとも1つの蛋白質活性を示す配列番号3、5、8、10及び13に示すアミノ酸配列である。生物学的活性部は、少なくとも1つの蛋白質活性、例えば膜の興奮性、細胞間イオン濃度、膜の極性及び活動電位を調節する能力を有する領域又はモチーフを含んで成る。
【0074】
蛋白質の生物学的活性部は、配列番号3、5、8、10又は13の長さが、例えば核酸数50、100、150、200、250、300、350、400、450、500あるいはそれ以上のポリペプチドであることができる。蛋白質の生物学的活性部は、例えば本明細書で述べる生物学的活性である媒介された活性を促進するターゲットとして使用することもできる。
【0075】
配列間の相応性又は同一性(本明細書で、両用語は互換性があるものとして使用される)の算定は、次のようにして行われる。
【0076】
2種類のアミノ酸配列又は2種類の核酸配列のパーセント同一性を決定するためには、両配列を、比較目的に最適になるよう整列させる(例えば1つの第1及び第2のアミノ酸配列又は核酸配列又はそれら両者に、最適な整列のためのギャップを形成し、相同性のない配列は、比較目的に関しては無視する)。好ましい態様では、比較目的で整列した参照配列の長さは、参照配列の長さの、少なくとも30%、より好ましくは少なくとも50&、更に好ましくは少なくとも60%、より以上に好ましいのは、少なくとも70%、75%、80%、82%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、あるいは100%である。次いで、対応するアミノ酸ポジション又は核酸ポジションのアミノ酸残基又はヌクレオチドを比較する。第1の配列内のポジションが、第2の配列内の対応するポジションとして、同じアミノ酸残基又はヌクレオチドで占められていると、そのポジションにおいて分子は同一であるとする(本明細書では、アミノ酸又は核酸の「同一性」は、アミノ酸又は核酸の「相同性」と等価とする)。2種の配列間のパーセント同一性は、2種の配列の最適比較のために導入される、ギャップの数と各ギャップの長さを考慮して、各配列により占められる同一ポジションの数の関数になる。
【0077】
配列間の比較及びパーセント同一性の決定は、数学アルゴリズムを使用して行うことができる。好ましい態様では、2種のアミノ酸配列のパーセント同一性は、ニードルマ ン(Needleman)らのアルゴリズム((1970)J. Mol. Biol. 48:444-453)を使用して決定され、これは、BLOSUM62マトリックス又はPAM250マトリックスを使用して、16、14,12,10,8,6又は4のギャップウエイト及び1,2,3,4,5又は6の長さウエイトで、(http://www.gcg.comで入手できる)GCGソフトウェアパッケージ中のGAPプログラムに組み入れられる。他の好ましい態様では、2種のアミノ酸配列のパーセント同一性は、(http://www.gcg.comで入手できる)GCGソフトウェアパッケージ中のGAPプログラムを使用して決定され、これは、NWSgapdna,CMPマトリックスを使用し、40、50,60,70又は80のギャップウエイト及び1,2,3,4,5又は6の長さウエイトを使用する。特に好ましい一連のパラメータ(、及びどのパラメータを、分子が本発明の配列同一性又は相同限界内にあるかを決定するために使用されなければならないかを、実施者が確認できない場合に使用されるパラメータ)は、ギャップペナルティが12、ギャップエクステンドペナルティが4、フレームシフトギャップペナルティが5である、BLOSUM62スコアリングマトリックスである。
【0078】
2種類のアミノ酸又はヌクレオチド配列間のパーセント同一性は、メーヤース(Meyers)らのアルゴリズム(1989) C>AB/OS 4:11-17)を使用して決定され、これは、ギャップ長さペナルティが12、ギャップペナルティが4のPAM120ウエイト残基表を使用して、ALIGNプログラム(バージョ2.0)に組み入れられる。
【0079】
本明細書で説明した核酸及び蛋白質配列は、「クエリ配列」として使用し、データベースの調査を行い、例えば他のファミリーや関連配列の同定を行うことができる。このような調査は、アルシュル(Altschul) らのNPLAST及びXBLASTプログラム(バージョ2.0)((1990) J. MoI. Biol. 215:403-410)を使用して行うことができる。BLASTヌクレオチド調査は、NBLASTプログラム(スコアは100、ワード長は12)で行い、本発明の核酸分子と同族のヌクレオチド配列を得ることができる。BLAST蛋白質調査は、XBLASTプログラム(スコアは50、ワード長は3)で行い、本発明の蛋白質分子と同族のアミノ酸配列を得ることができる。比較目的でギャップのある整列を得るためには、アルシュルら(1997, Nucl. Acids Res. 25:3389-3402)が説明しているように、ギャップのあるBLASTを利用できる。BLAST及びギャップのあるBLASTプログラムを使用するときは、それぞれのプログラム(例えばXBLAST及びNBLAST)のデフォルトパラメータを使用できる(<http://www.ncbi.nlm.nih.gov>.を参照)。
【0080】
本発明のベクターで発現されるポリペプチドは、配列番号3、5,8,10又は13のアミノ酸配列と十分に又は実質的に同一のアミノ酸配列を有することができる。「十分に同一」又は「実質的に同一」という用語は、第1のアミノ酸又はヌクレオチド配列が、第2のアミノ酸又はヌクレオチド配列に対して、十分な数の又は最小数の同一又は等価のアミノ酸残基又はヌクレオチドを有し、第1及び第2のアミノ酸又はヌクレオチド配列が、共通の構造的領域又は共通の機能活性を有することを意味する。例えば少なくとも60%又は65%の同一性、好ましくは75%、より好ましくは85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有する共通の構造的領域を有するアミノ酸又はヌクレオチド配列は、十分に又は実質的に同一性であると定義される。
【0081】
本発明の発現ベクターは、双方向ヒドロゲナーゼ酵素蛋白質複合体をエンコードする核酸配列を含んで成っている。
【0082】
核酸配列は、図2に示したボックス・オペロンによりエンコードされるシネコシスティス種PCC6803の双方向ヒドロゲナーゼ酵素蛋白質複合体をエンコードすることが好ましい。
【0083】
本発明のホックス・オペロンの核酸配列は、配列番号1に示されている。この配列は、長さが約6532のヌクレオチドである。前記オペロンは、配列番号1,2,4.6.7.9.11及び12の8種のコード配列を含んでいる。
【0084】
配列番号2(配列番号1のヌクレオチド31から429)は、長さが約399のヌクレオチドで、522ヌクレオチド(174個のアミノ酸)
ジアフォラーゼ、NADHデヒドロゲナーゼI1、チェーンE(配列番号3)(ホックスEと命名)をエンコードする。
【0085】
配列番号4(配列番号1のヌクレオチド627から2228)は、長さが約1602のヌクレオチドで、533個のアミノ酸のNADHデヒドロゲナーゼI、チェーンF(配列番号5)(ホックスFと命名)をエンコードする。
【0086】
配列番号6(配列番号1のヌクレオチド2269から2907)は、長さが約639のヌクレオチドで、転写調節及びDNA複製に含まれるウイルス性調節蛋白質E2に28.1%の同一性を有する未知の蛋白質をエンコードする。
【0087】
配列番号7(配列番号1のヌクレオチド2934から3650)は、長さが約717のヌクレオチドで、238アミノ酸ジアフォラーゼ、NAD還元ヒドロゲナーゼガンマサブユニット(配列番号8)をエンコードする(ホックスUと命名)。
【0088】
配列番号9(配列番号1のヌクレオチド3696から4244)は、長さが約549のヌクレオチドで、182アミノ酸NAD還元ヒドロゲナーゼデルタサブユニット(配列番号10)をエンコードする(ホックスYと命名)。
【0089】
配列番号11(配列番号1のヌクレオチド4560から5009)は、長さが約450のヌクレオチドで、機能が未知であるテルムス・テロモフィルスHB27と32.8%の同一性を有する未知蛋白質をエンコードする。
【0090】
配列番号12(配列番号1のヌクレオチド5099から6523)は、長さが約1425のヌクレオチドで、474アミノ酸NAD還元ヒドロゲナーゼベータサブユニット(配列番号13)をエンコードする(ホックスHと命名)。
【0091】
本発明の発現ベクターに組み入れられる他の核酸分子を次に述べる。
【0092】
一態様では、本発明の発現ベクターは、配列番号1のヌクレオチド配列を含む核酸分子、又はその一部又はフラグメントを含む。他の態様では、前記発現ベクターは、配列番号3,5,8,10及び13のポリペプチド(シノコシスチス種PCC6803五量体ヒドロゲナーゼ蛋白質複合体サブユニット)をエンコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を含んで成るものである。好ましい態様では、発現ベクターは、配列番号2,4,7、9及び12(ホックスEFUYHコード領域)のヌクレオチド配列を含む核酸分子を含んで成るものである。他の態様では、発現ベクターは、配列番号2,4,6、7、9、11及び12のヌクレオチド配列を含む核酸分子を含んで成るものである。更に他の態様では、発現ベクターは、配列番号1のフラグメントを含む核酸分子を含んで成り、前記フラグメントは、生物学的に活性なフラグメント、つまりヒドロゲナーゼ活性を有することが好ましい。
【0093】
他の態様では、発現ベクターは、配列番号1,2,4,6,7,9,11及び12のいずれかで示したヌクレオチド配列の相補体、その一部又はフラグメントを含んで成るものである。他の態様では、発現ベクターは、配列番号1,2,4,6,7,9,11及び12のいずれかで示したヌクレオチド配列に十分に相補的である核酸配列を有し、それは、配列番号1,2,4,6,7,9,11及び12のいずれかで示したヌクレオチド配列にそれぞれハイブリッドし、これにより安定な二本鎖を形成する。
【0094】
一態様では、発現ベクターは、配列番号1で示したヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有する核酸配列、その一部又はフラグメントを含んで成るものである。
【0095】
一態様では、発現ベクターは、配列番号3,5,8,10及び13で示したアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子多型をエンコードする核酸配列を含んで成る。配列番号3,5,8,10又は13で示したヒドロゲナーゼサブユニットの対立遺伝子多型は、ホックスE、ホックスF、ホックスU、ホックスY又はホックスHの機能的なヒドロゲナーゼサブユニットを含む。機能的な対立遺伝子多型は、ヒドロゲナーゼ活性を維持している配列番号3,5,8,10及び13で示したホックスE、ホックスF、ホックスU、ホックスY又はホックスHのヒドロゲナーゼサブユニットの天然に存在するアミノ酸配列変異体である。機能的対立遺伝子多型は一般に、配列番号3,5,8,10及び13の1又は2以上のアミノ酸の同類置換、又は蛋白質の重要でない領域の重要でない残基の置換、削除又は挿入を含む。非機能的対立遺伝子多型は、ヒドロゲナーゼ活性を有さない配列番号3,5,8,10及び13の天然に存在するアミノ酸配列変異体である。非機能的対立遺伝子多型は一般に、配列番号3,5,8,10又は13のアミノ酸の非同類置換、削除又は挿入又は早期切断、又は重要でない残基や重要でない領域での置換、削除又は挿入を含む。本発明における天然の対立遺伝子多型に対応しかつヒドロゲナーゼ核酸分子と同族の核酸分子は、配列番号1,2,4,6,7,9,11又は12のヌクレオチド配列又はその一部を、厳格な交配条件下で交配プローブとして使用し、本発明の核酸分子への同族性に基づいて単離できる。
【0096】
他の態様では、発現ベクターは、配列番号2の核酸配列により表される核酸分子、又は配列番号2に交配させてディアフォラーゼ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子を含んで成る。
【0097】
他の態様では、発現ベクターは、配列番号4の核酸配列により表される核酸分子、又は配列番号4に交配させてNADHデヒドロゲナーゼI活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子を含んで成る。
【0098】
他の態様では、発現ベクターは、配列番号7の核酸配列により表される核酸分子、又は配列番号7に交配させてNAD還元ヒドロゲナーゼガンマ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子を含んで成る。
【0099】
他の態様では、発現ベクターは、配列番号9の核酸配列により表される核酸分子、又は配列番号9に交配させてNAD還元ヒドロゲナーゼデルタ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子を含んで成る。
【0100】
他の態様では、発現ベクターは、配列番号12の核酸配列により表される核酸分子、又は配列番号12に交配させてNAD還元ヒドロゲナーゼベータ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子を含んで成る。
【0101】
他の態様では、発現ベクターは、配列番号2のヌクレオチド配列を含む核酸分子、又はその一部又はフラグメントを含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号2で示したヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有する核酸配列、その一部又はフラグメントを含んで成るものである。他の態様では、発現ベクターは、配列番号2のヌクレオチド又はその一部又はフラグメント、及び配列番号4、6.7、9.11又は12の少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号2のヌクレオチド配列又はその一部又はフラグメント、及び配列番号4、6.7、9.11又は12の少なくとも1つのヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有する少なくとも1個の核酸配列、その一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成るものである。他の態様では、発現ベクターは、配列番号2のヌクレオチド配列又はその一部又はフラグメント、及び配列番号4、6.7、9.11又は12の少なくとも1つのヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有する少なくとも1個の核酸配列、その一部又はフラグメントを含む核酸分子含んで成るものである。他の態様では、発現ベクターは、配列番号2のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有する少なくとも1個のヌクレオチド配列又はその一部又はフラグメントと、配列番号4、6.7、9.11又は12の少なくとも1つのヌクレオチド配列又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成るものである。他の態様では、発現ベクターは、配列番号2のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するヌクレオチド配列又はその一部又はフラグメントと、配列番号4、6.7、9.11又は12のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有する少なくとも1個のヌクレオチド配列を含む核酸分子を含んで成るものである。
【0102】
他の態様では、発現ベクターは、配列番号3のポリペプチド(シノコシスチス種PCC6803、5量体ヒドロゲナーゼ蛋白質複合体)をエンコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子、又はその一部又はフラグメントを含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号3で示したポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号3のポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号5、8、10又は13の少なくとも1つのポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号3のポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列と、配列番号5、8、10又は13の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号3のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードするヌクレオチド、又はその一部又はフラグメントと、配列番号5、8、10又は13のポリペプチドの少なくとも1つをエンコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号3のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号5、8、10又は13のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。
【0103】
他の態様では、発現ベクターは、配列番号4のヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号4のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号4のヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号2、6,7,9,11又は12の少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号4のヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号2、6,7,9,11又は12のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有する少なくとも1つのポリペプチド、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号4のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有する少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号2、6,7,9,11又は12の少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号4のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有する少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号2、6,7,9,11又は12のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有する少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。
【0104】
他の態様では、発現ベクターは、配列番号5のポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列(シノコシスチス種PCC6803、5量体ヒドロゲナーゼ蛋白質複合体)、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号5のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントとを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号5のポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号3,8,10又は13のポリペプチドの少なくとも1つをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号5のポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号3,8,10又は13のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号5のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号3,8,10又は13のポリペプチドの少なくとも1つをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号5のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号3,8,10又は13のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。
【0105】
他の態様では、発現ベクターは、発明のヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号7のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号7のヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号2、4、6、9、11又は12の少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号7のヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号2、4、6、9、11又は12のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有する少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号7のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号2、4、6、9、11又は12のヌクレオチド配列の少なくとも1つ、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号7のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号2、4、6、9、11又は12のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有する少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントとを含む核酸分子を含んで成る。
【0106】
他の態様では、発現ベクターは、配列番号8のポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列(シノコシスチス種PCC6803、5量体ヒドロゲナーゼ蛋白質複合体のホックスU蛋白質複合体)、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号8のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号8のポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号3,5,10又は13のポリペプチドの少なくとも1つをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号8のポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号3,5,10又は13のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号8のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号3,5,10又は13のポリペプチドの少なくとも1つをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。
他の態様では、発現ベクターは、配列番号8のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号3,5,10又は13のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントとを含む核酸分子を含んで成る。
【0107】
他の態様では、発現ベクターは、配列番号9のヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号9のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントとを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号9のヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号2、4,6,7,11又は12のヌクレオチド配列の少なくとも1つと、その一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号9のヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号2、4,6,7,11又は12のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有する少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号9のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号2、4,6,7,11又は12の少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号9のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号2、4,6,7,11又は12のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有する少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。
【0108】
他の態様では、発現ベクターは、配列番号10のポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列(シノコシスチス種PCC6803、5量体ヒドロゲナーゼ蛋白質複合体のホックスY蛋白質複合体)、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号10のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメント含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号10のポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号3,5,8又は13のポリペプチドの少なくとも1つをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号10のポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号3,5,8又は13のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号10のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号3,5,8又は13のポリペプチドの少なくとも1つをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号10のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号3,5,8又は13のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。
【0109】
他の態様では、発現ベクターは、配列番号12のヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号12のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号12のヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号2,4,6,7,9、又は11の少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号12のヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号2,4,6,7,9、又は11のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有する少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号12のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号2,4,6,7,9又は11の少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。
他の態様では、発現ベクターは、配列番号12のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号2,4,6,7,9又は11のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有する少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。
【0110】
他の態様では、発現ベクターは、配列番号13のポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列(シノコシスチス種PCC6803、5量体ヒドロゲナーゼ蛋白質複合体のホックスH蛋白質サブユニット)、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号13のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号13のポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号3,5,8又は10のポリペプチドの少なくとも1つをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号13のポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号3,5,8又は10のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号13のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号3,5,8又は10のポリペプチドの少なくとも1つをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。
他の態様では、発現ベクターは、配列番号13のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号3,5,8又は10のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。
【0111】
他の態様では、発現ベクターは、宿主細胞中の翻訳用に、コドン及びmRNAの二次構成の最適化のために、ヌクレオチド配列中に特定の変化を生じさせた、前述の核酸分子を含んで成る。好ましくは、核酸のコドン使用は、宿主細胞の発現に適用され、例えばコドンの最適化は、カルクゲン、ヘール・RS及びトーマス・Gの「Protein Exper. Purif. 12, 185-188 (1998)、アップゲーン、ガオ・Wらの「Biotechnol. Prog. 20, 443-448 (2004)」又は「Codon Optimizer, Fuglsang, A. Protein Exper. Purif. 31, 247-249 (2003)」を使用して達成できる。好ましいコドン最適化に従う核酸の修正は、フェルフォールトらの「少数のコドンの修正」(Nucleic Acids Res. 25: 2069-2074 (2000))又は「例えば100bpのDNAまでの大きなセクションの核酸配列の書換え」、ヘール・RS及びトーマス・Gの「Protein Exper. Purif. 12,185-188 (1998)」を含む多数の異なった実験プロトコルで達成できる。核酸配列の書換えは、繰返しPCRで達成でき、ここでは、所望の配列が、オバーラップしているオリゴヌクレオチドプライマーの延長により得られる(プドロモー及びパールの「Protein Eng. 5: 827-829 (1992)」)。DNAの大きな伸びの書換えは、繰返しPCRの3つの連続期間まで要求する(ヘール・RS及びトーマス・Gの「Protein Exper. Purif. 12,185-188 (1998)」及びテオらの「FEMS Microbiol. Lett. 190: 13-19, (2000)」。
【0112】
その代わりに、コグネント(cognent)tRNAのレベルを宿主細胞により上昇させることができる。この上昇は、それぞれのtRNA遺伝子のコピー数を増加させることにより達成でき、例えば多数のコピープラスミドの関連するtRNA遺伝子を宿主細胞に挿入することにより、又はその代わりに発現ベクター自身にtRNA遺伝子を挿入することにより達成できる。大腸菌発現システムを使用する際は、アルグ(arg)U発現(AGG/AGAの認識のため)の卓越した発現を有する大腸菌宿主細胞を使用できる。更にイレックス(ilex,AUAの認識のため)、ロイW(leuW,CUAの認識のため)、プロL(proL,CCCの認識のため)又はグリT(glyT,GGAの認識のため)のためのtRNA遺伝子を含む宿主細胞も使用できる(Brinkmannらの「Genes, 85, 109-114, (1989)」、ケイン・FJ,カーの「Opin. Biotechnol. 6:494-500 (1995)」、ローゼンブルクらの「J. Bacteriol. 175, 716-722, (1993)、及びシーデルらの「Biochemistry, 31, 2598-2608, (1992)」)。
【0113】
他の態様では、発現ベクターは、双方向ヒドロゲナーゼの発現、活性又は機能的ライフを最適化するために、ヌクレオチド配列中に特定の変化を生じさせた、前述の核酸分子を含んで成る。前述した好ましいヒドロゲナーゼ核酸は、遺伝子的なマニピュレーション及び崩壊技術を受ける。種々の遺伝子的なマニピュレーション及び崩壊技術は、DNAシャフリング(米国特許明細書第6132970号、プノネン・Jらの「Science & Medicine, 7(2): 38-47, (2000)」及び米国特許明細書第6132970号)、一連の突然変異生成を含み、これに限定されない。突然変異生成の1つの例は、エラープロンPCRで、これにより、米国特許公開2003−152944号に記載されたエラープロンDNAポリメラーゼの使用と反応条件によるPCRの間に、例えばザ・ジーンモルフ(登録商標)IIキット(米国、ストラータジーン(登録商標))のような商業的に入手できるキットを使用して、突然変異が意図的に導入される。任意抽出されたDNA配列は、発現ベクター中及び変化し又は改良された蛋白質活性のためにスクリーンされた生成する突然変異体のライブラリにクローン化される。
【0114】
[ホックス発現ベクターの調製]
当業者は、発現ベクターの調製に利用できる分子技術を知っているであろう。
【0115】
前述の本発明の発現ベクター中へ組み入れられる核酸分子は、本明細書で述べた互いに誘発できるオリゴヌクレオチドと核酸配列を使用して核酸分子を合成することにより調製できる。
【0116】
DNAを相補的結合末端を通してベクターへリンクするための多数の分子技術が開発されてきた。ある態様では、相補的ホモポリマートラクトが核酸分子に付加されてベクターDNAに挿入される。次いでベクターと核酸分子は、相補的ホモポリマーのテイル間の水素結合で結合されて組替え型DNA分子を形成する。
【0117】
他の態様では、1又は2以上の制限サイトを含む合成リンカーが使用されて、核酸分子を発現ベクターにリンクさせる。ある態様では、前述の通り、核酸分子は、制限エンドヌクレアーゼ消化により発生する。好ましくは、核酸分子を、隆起型の、3'-5'-エキソヌクレチド活性を有する3'-一本鎖末端を除去し、重合活性を有する埋め込まれた3'−末端を充填するバクテリオファージT4DNAポリメラーゼや大腸菌DNAポリメラーゼI1酵素で処理しこれによりブラント末端DNAセグメントを発生する。次いでブラント末端セグメントは、バクテリオファージT4DNAリガーゼのようなブラント末端DNA分子の連結反応を触媒する酵素の存在下、大過剰のリンカー分子で培養される。反応生成物は、その末端に、重合性リンカー配列を有する核酸分子である。これらの核酸分子は、好適な制限酵素で開裂され、核酸分子と互換性のある末端を生産する酵素で開裂された発現ベクターに結合される。
【0118】
その代わりに、連結独立クローニング(ligation independent cloning (LIC)サイトを使用できる。次いで必要とされるPCR増幅された核酸分子は、制限消化又は連結なしに、LICベクター中にクローンされる (アスランディス及びデヨング、Nucl. Acid. Res. 18, 6069-6074, (1990)、 ハウンら、Biotechniques 13, 515-518 (1992))。
【0119】
選択されたプラスミド中へ問題の核酸分子を挿入するために、該核酸分子を単離及び/又は修正するためにはPCRを使用することが好ましい。配列のPCR調製で使用される好適なプレミアは、核酸分子の必要なコード領域を単離し、制限エンドヌクレアーゼ又はLICサイトを付加し、所望の読み出しフレームにコード領域を位置させる。好ましい態様では、サカイらにより開示されているように(Science 239, 487-491, (1988))、本発明の発現ベクター中へ組入れる核酸分子は、ポリメラーゼチェーン反応と好適なオリゴヌクレオチドを使用して調製される。
【0120】
コード領域は増幅され、その一方でプレミア自身は増幅された配列生成物中に組入れられる。好ましい態様では、増幅プレミアは、増幅された配列生成物を好適なベクター中へクローン化するための制限エンドヌクレオチド認識サイトを含んでいる。
【0121】
その技術が周知である、制限エンドヌクレオチド消化及び連結を使用して、配列番号1の核酸分子を、PCRで得て、発現ベクター中に導入することが好ましい。配列番号1の核酸分子を、pET−17b発現ベクターに導入しかつT7プロモータにリンクすることが更に好ましい。
【0122】
その代わりに、配列番号1の核酸分子を、酵母相同的組替えより発現ベクター中に導入しても良い(レイモンら、Biotechniques. 26(1): 134-8, 140-1, 1999)。
【0123】
本発明の発現ベクターは、前述した通り、核酸分子の単一コピーを含んでいても、核酸分子の複数コピーを含んでいても良い。
【0124】
本発明の発現ベクターは、図4に示したように、配列番号1の双方向ヒドロゲナーゼを含むpET−17b発現ベクター(3306bp)であることが好ましい。
【0125】
[宿主細胞]
本明細書で使用する「細胞の精製された調製」とは、培養された細胞又は微生物細胞の場合に、対象細胞の少なくとも10%、より好ましくは50%の調製を意味する。
【0126】
本明細書で使用する「宿主細胞」及び「組替え型宿主細胞」は互いに交換して使用できる。これらの用語は、特定の対象細胞、及びこのような細胞の子孫又は潜在的な子孫を意味する。突然変異や環境的な影響のため、後の世代である種の修正が生じることがあるので、前記子孫細胞は親細胞と同じでなくても良く、依然として本明細書で使用する用語の範囲に含まれる。
【0127】
本発明の他の態様では、本明細書の述べた核酸分子、例えば配列番号1のホックス・オペロン、又はその一部又はフラグメントを含む発現ベクターを含んで成る、本発明の発現システムで使用する宿主細胞が提供される。代替態様では、宿主細胞は、本明細書の述べた核酸分子、例えば配列番号1のホックス・オペロン、又はその一部又はフラグメントを含む発現ベクターを含んで成り、前記ベクターは、宿主細胞のゲノムの特定のサイト中に相同的に再結合することを可能にする配列を更に含む。
【0128】
本発明の発現システムで使用される宿主細胞は、好気性細胞でも、その代わりに条件的好気性細胞でも良い。細胞は、細菌性細胞であることが好ましい。その代わりに、細胞は、酵母細胞(例えばサッカロミセスやピチア)、藻細胞、昆虫細胞又は植物細胞であって良い。
【0129】
細菌性宿主細胞は、グラム陽性及びグラム陰性バクテリアを含む。好適な細胞性宿主細胞は、グラム陰性バクテリアには限定されず、例えば腸内細菌のファミリ、最も好ましくは大腸菌である。大腸菌は、本発明で最も好ましい細菌性宿主細胞である。大腸菌内の発現は、他の発現システムより、特に開発コストが低く、生成率が高いといった多くの利点を提供する。高い蛋白質発現に適した細胞は、例えばE.coli W3110、及びE.coliのB株である。E.coli BL21 , BL21 (DE3)及びBL21 (DE3) pLysS, pLysE, DH1 , DH4I, DH5, DH5I, DH5IF, DH5IMCR, DH10B, DHlOB/p3, DH1 IS, C600, HB101 , JM101 , JM105, JM109, JM110, K38, RR1 , Y1088, Y1089, CSH18, ER1451 , ER1647は発現に特に好ましい。E. coli K12 株も好ましく、これは標準的な実験室の株で、非病原性で、ノバ・ブルー(NovaBlue)、JM109及びDH5α(ノボゲン(登録商標))、E. coli KM RV308, E. coli K12 C600, E. coli HB101ヲ含む(ブラウンのMolecular Biology Labfax (Academic Press (1991)を参照)。
【0130】
その代わりに、サルモネラ(Salmonella)、シゲラ(Shigella)、エンテロバクタ(Enterobacter)、セッラチア(Serratia)、プロテウス(Proteus)及びエルウィニア(Erwinia)類の腸内細菌の類である。他の原格生物の宿主細胞は、セラチア(Serratia)、プソイドモナス(Pseudomonas)、カウロバクタ(Caulobacter)又はシアノバクテリアであり、例えばシネコシスティス又はシネココクス(Synechococcus)株、より好ましくはシスティス種PCC6803又はシネココクス種PCC6301からのバクテリアである。その代わりに、宿主細胞は、バチルス(Bacillus)株、例えばバチルス・ブレビス(brevis)又はバチルス・サブチリス(subtilis)、バチルス・スリンジネシス(thuringienesis)であっても良い。その代わりに、宿主細胞は、ラクトコクス(Lactococcus)株、例えばラクトコクス・ラクチス(lactis)であることができる。その代わりに、細菌性細胞は、放射菌のファミリであっても良く、より好ましくはストレプトミセス(Streptomyces)、ロドコクス(Rhodococcus)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、ミコバクテリウム(Mycobacterium)である。より好ましくはストレプトミセス・リビダンス(lividans)、ストレプトミセス・アンボファシエンス(ambofaciens)、ストレプトミセス・フラディエ(fradiae)、ストレプトミセス・グリセオフスクス(griseofuscus)、ロドコクス・エリスロポリス(erythropolis)、コリネバクテリウム・グルアミクス(gluamicum)、ミコバクテリウム・スメグマチス(smegmatis)である。
【0131】
原核生物宿主細胞中のベクターを繁殖させる標準的な技術は、当業者には周知である(例えば、オウスベルらの「Short Protocols in Molecular Biology 第3版(John Wiley & Sons 1995))」参照)。
【0132】
大腸菌中の組替え蛋白質発現を最大にするために、本発明の発現ベクターは、その中に組入れられた核酸分子を、組替え蛋白質を開裂する能力を有する宿主バクテリア中で発現させられる(ゴッツマン・S、「遺伝子発現技術、酵素学の方法」、Academic Press, San Diego, California, 119-128)。その代わりに、本発明の発現ベクター中に組入れられた核酸分子を弱めて、各アミノ酸用の個々のコドンは、大腸菌中で優先的に利用される(ワダら、(1992) Nucleic Acids Res. 20:2111-2118))。本発明における核酸配列のこのような変化は、標準的なDNA合成技術で実行できる。
【0133】
[宿主細胞の転換]
本発明の発現ベクターは、従来の転換又はトランスフェクシン技術で宿主細胞中に導入できる。
【0134】
本明細書で使用している「転換又はトランスフェクシン」は、外来性核酸を宿主細胞に導入するための種々の公知技術を意味する。本発明の発現ベクターを有する好適な宿主細胞の転換は、公知でベクター及び宿主細胞の両者に依存する方法で達成できる。このような技術は、燐酸カルシウム又は塩化カルシウムの共沈、DEAEデキストリン媒介トランスフェクション、リポフェクション、ケモポレーション又はエレクトロポレーションを含むが、これらに限定されない。
【0135】
細菌性宿主細胞の転換の公知技術は、例えばサムブロックらの「分子クローニング、実験室マニュアル」(Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y)、オウスベルら、「分子生物学の現在のプロトコル」(1987)(John Wiley and Sons, Inc., NY)、コーエンら((1972) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 69, 2110)、ルチャンスキら((1988) MoI. Microbiol. 2, 637-646)に開示されている。これら全ての方法は、本明細書中に組入れられる。
【0136】
例えば転換に成功した細胞、つまり本発明の発現ベクターを含む細胞は、公知の技術で特定できる。例えば本発明の発現ベクターで転換した細胞は、培養して双方向ヒドロゲナーゼ蛋白質複合体を生成させることができる。細胞は、公知技術により発現ベクターDNAの存在を調べることができる。その代わりに、双方向ヒドロゲナーゼ蛋白質複合体又はその一部又はフラグメントの存在を、そこに交配される抗体を使用して検出できる。
【0137】
好ましい態様では、本発明は転換宿主細胞の培養媒体である。好ましくは前記培養媒体はクローン的に相同である。
【0138】
前記した通り、宿主細胞は、発現ベクターの単一コピーを有していても、その代わりに発現ベクターの複数のコピーを含んでいても良い。
【0139】
[水素生産]
前述した通り、核酸分子を含む本発明の発現ベクターを有する宿主細胞の転換は、ヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドを生産(つまり発現)するために使用できる。
【0140】
本発明は、本発明の核酸コード配列を利用し、双方向ヒドロゲナーゼ蛋白質をエンコードする、水素生産を大スケールで行う発現システムを含んで成ることが好ましい。発現システムは、大腸菌発現システムであることが好ましい。
【0141】
本発明の転換された宿主細胞は、宿主有機体に依存する、当業者には良く知られた公知法により、成長又は培養される。一般に、例えば糖の形態の炭素源、一般に酵母や硫酸アンモニウムのような塩の形態の有機窒素源の形態の窒素源、鉄、マンガン、マグネシウムの塩のような痕跡元素、そして好適であるならば、ビタミンを含む液体媒体中で、0℃から100℃の温度、好ましくは10℃から60℃の温度で成長し、酸素ガス処理も行う。
【0142】
液体媒体のpHは、培養期間の間、一定に保持しても、つまり調節しても、しなくても良い。培養体は、バッチ式に、又は
セミーバッチ式に又は連続的に成長できる。養分は、発酵の開始時に与えるか、準連続的又は連続的に与える。生成物は、前述した当業者に周知な方法、例えば抽出、蒸留、結晶化などで、そして好適であるならば塩を使用する沈殿及び/又はクロマログラフィで有機体から単離できる。これにより、宿主細胞は、前もって分離できる。このプロセスでは、pH値は、4から12の間に、好ましくは6から9の間に、特に好ましくは7から8の間に維持する。
【0143】
公知の培養法の概説は、キミル(Chmiel)による教科書 (Bioproze秉ochtechnik 1. Einf≡ochhrung in die Bioverfahrenstechnik [バイオプロセス技術1、 Introduction to Bioprocess technology] (Gustav Fischer Verlag, Stuttgart, 1991))に、 又はストロハス(Storhas)による教科書(Bioreaktoren und periphere Einrichtungen [バイオリアクタ及び周辺機器] (Vieweg Verlag, Brunswick/Wiesbaden, 1994))に見い出すことができる。
【0144】
使用する培養媒体は、問題となる株の要求に好適に合致しなければならない。種々の微生物用の培養媒体の記述は、教科書である「生化学の一般的方法のマニュアル」American Society for Bacteriology (Washington D.C., USA, 1981)に見い出すことができる。
【0145】
前述の通り、本発明で使用できるこれらの媒体は、1又は2以上の炭素源、窒素源、無機塩、ビタミン類及び/又は痕跡元素を含んでいる。
【0146】
好ましい炭素源は、単―、二−又は多糖類のような糖類である。炭素源の例は、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトーセ、リボース、ソルボース、リブロース、ラクトース、マルトース、スクロース、ラフィノース、澱粉又はセルロースである。糖類は、糖液や、糖精製で得られる他の副生物のような複雑な化合物として媒体に加えることができる。種々の炭素源の混合物を添加することは好ましいことである。他の可能な炭素源は、例えば大豆油、ヒマワリ油、ピーナッツ油及び/又はココナツ油、更にパルミチン酸、ステアリン酸及び/又はリノール酸のような脂肪酸、例えばグリセリン、メタノール及び/又はエタノールのようなアルコール及び/又はポリアルコール、及び/又は例えば酢酸及び/又は乳酸のような有機酸である。
【0147】
窒素源は、一般的に有機又は無機窒素化合物又はこれらの化合物を含む物質である。窒素源の例は、液状又はガス状のアンモニア、又は硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、炭酸アンモニウム又は硝酸アンモニウムのようなアンモニウム塩、硝酸塩、尿素、アミノ酸、又はコーンリカー、大豆、大豆蛋白質、酵母抽出物、肉抽出物などである。窒素源は個々に使用しても混合物で使用しても良い。
【0148】
媒体中に存在しても良い無機塩化合物は、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、コバルト、モリブデン、カリウム、マンガン、亜鉛、銅及び鉄の塩化物、燐酸塩及び硫酸塩を含む。
【0149】
例えば硫酸塩、亜硫酸塩、亜ジチオン酸塩、テトラチオン酸塩、チオ硫酸塩、スルフィド等の{さんえん}{さんえん}硫黄含有無機化合物や、メルカプタンやチオール等の他の有機硫黄化合物は、硫黄含有薬品、特にメチオニンの生産用の硫黄源として使用できる。
【0150】
燐酸、燐酸二水素カリウム又は燐酸水素二カリウム又は対応するナトリウム含有塩を燐源として使用できる。
【0151】
キレート化剤を媒体に加えて、金属イオンを溶液中に保持できる。特に好ましいキレート化剤は、カテコールやプロトカテクエートのようなジヒドロキシフェノール、及びクエン酸のような有機酸を含む。
【0152】
通常宿主細胞を培養するために本発明で使用する発酵媒体は、例えばビオチン、リボフラビン、チアミン、葉酸、ニコチン酸、パントテネート及びピリドキシンを含むビタミンなどの他の成長因子や成長プロモーターを含む。成長因子及び塩は、酵母抽出物、モラッセ、コーンリカー等の複合体媒体成分からしばしば誘導される。更に培養媒体に好適な前駆体を加えることも可能である。媒体化合物の抽出組成物は、特定の実験に大きく依存し、各場合について個々に決定される。媒体の最適化に関する情報は、教科書である「応用微生物生理学、実践的なアプローチ」(編者:P.M.ローズ、P.F.スタンベリ、IRL Press (1997) pp. 53-73, ISBN 0 19 963577 3)で見い出すことができる。成長媒体は、例えばスタンダード1(メルク社)又はBHI(ブレインハートインフュージョン、DIFCO)である商業的なサプライヤーから入手できる。
【0153】
全ての媒体成分は、熱(1.5バール、121℃で20分)又は濾過消毒で消毒する。各成分は、全て一緒に、又必要があれば別個に消毒する。全ての媒体成分は、培養の開始時に存在しても良く、所望の通り、連続的又はバッチ式で加えても良い。
【0154】
培養温度は、一般に15℃から45℃、好ましくは25℃から40℃、より好ましくは25℃から37℃、更に好ましくは35℃から37℃、更に好ましくは37℃であり、一定に維持しても実験中に変化させても良い。媒体のpHは、5から8.5の範囲、好ましくは7,0前後である。培養のためのpHは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、及び水性アンモニアなどの塩基性成分、又は燐酸又は硫酸のような酸性成分を加えて、培養中にコントロールできる。例えば脂肪酸ポリグリコールエステルのような反発泡剤を使用して発泡をコントロールできる。ベクターの強度を維持するために、例えば抗生物質のような選択効果を有する好適な物質を、媒体に添加することが可能である。媒体に、例えば大気のような酸素や酸素含有ガス混合物を導入して、好気的条件を維持できる。培地の温度は一般的に20℃から45℃で、好ましくは25℃から40℃である。培養は、所望生成物の生成が最大になるまで連続する。この目的は通常10から150時間内に達成される。
【0155】
このようにして得られる発酵ブロス、特にポリ不飽和脂肪酸を含むものは、一般に7.5重量%から25重量%の乾燥重量を有する。
【0156】
次いで発酵ブロスを更に加工する。要求に従って、バイオマスを、遠心分離、濾過、デカンテーションにような分離方法、又はこれらの技術の組み合わせにより、発酵ブロスから完全に又は部分的に除去するか、発酵ブロス中に完全に残しておく。分離後にバイオマスの処理を行うのが有利である。
【0157】
しかし、例えば回転エバポレータ、薄肉フィルムエバポレータ、フォーリングフィルムエバポレータの補助で、逆浸透又はナノ濾過を使用して、細胞を分離せずに、発酵ブロスを濃縮できる。最後に濃縮された発酵ブロスを処理して、脂肪酸を得た。
【0158】
転換された宿主細胞は培養し、双方向ヒドロゲナーゼ蛋白質複合体を生成させることが好ましい。宿主細胞により水素生産を起こさせることのできる条件で、細胞を培養することが好ましい。
【0159】
特に、本発明の双方向ヒドロゲナーゼ発現システムを使用して、大スケールの水素を生産することが要求される際は、バッチ発酵を使用して、転換宿主細胞の培養を行うことができる。その代わりに、供給バッチ及び/又は連続培養を使用して、本発明の双方向ヒドロゲナーゼ発現システムで転換された宿主細胞から水素を発生させることができる。
【0160】
転換宿主細胞は、好気又は嫌気性条件下で培養できる。好気条件下では、例えば還元剤や酸素スカベンジャーの添加、又は天然ガスで反応媒体をパージすることにより、酸素が培養媒体から連続的に除去されることが好ましい。
【0161】
宿主細胞の大スケール培養に関する公知技術は、例えばベイリーとオリスの「生化学工学の基礎」((1986) Biochemical Engineering Fundamentals, McGraw-Hill, Singapore)又はシュラーの「生化学プロセス工学、基礎的概念」(Prentice Hall)に開示されている。全ての文献は、本明細書中に組み入れられる。
【0162】
転換された宿主細胞は、発現ベクター用の好適で選択できる抗生物質を含むLB中で培養される。転換された宿主細胞は、OD600が0.6から1.0に達するまで、37℃で振とうしながら培養する。次いで、培地を4℃で一晩貯蔵する。翌朝、細胞を遠心分離で集める(微小遠心管中で30秒)。次いで、集めた細胞を、新鮮なLB媒体中に再度懸濁させる。LB媒体は付加的な栄養媒体を含んでいることが好ましい。栄養媒体は、BG−11又はBG−110媒体であることが好ましい(スタニア R.Y.ら、 (1971) Bacteriol. Rev. 35: 171- 205)。
【0163】
好ましくは、本発明の双方向ヒドロゲナーゼコード配列を最適に発現させる細菌性細胞の培地の双方向ヒドロゲナーゼの含有量は、全細胞の培地1リットル当たり、少なくとも100nmolであり、全細胞の培地1リットル当たり、少なくとも150nmolであることが好ましく、全細胞の培地の培地1リットル当たり、ほぼ250nmolであることがより好ましく、全細胞の培地1リットル当たり、約500nmolであることがより以上に好ましく、全細胞の培地1リットル当たり、約1000nmolであることが最も好ましい。双方向ヒドロゲナーゼ含有量の典型的な値は、全細胞の培地1リットル当たり、約200nmolである。
【0164】
本発明の宿主細胞は、例えばバイオリアクタのような容器中で培養できる。例えば発酵装置であるバイオリアクタは、細胞や酵素を含む容器であり、工業的スケールで分子生産に使用される。該分子は、容器内に含まれる細胞により、又は反応容器内で完了する酵素反応により製造される、組替え蛋白質(例えばヒドロゲナーゼなどの酵素)又は化合物である。細胞を利用するバイオリアクタは、対象とする細胞を含み、反応を進行させるために必要な、全ての栄養分、及び/又は共同因子を含む。
【0165】
[実施例]
[実施例1]
[発現ベクターの構築]
双方向ヒドロゲナーゼ蛋白質複合体コード領域(配列番号1)を、シネコシスティス種PCC6803ライブラリをテンプレートとして使用し、更にオリゴヌクレオチド・プレミアのSynBamFwd(ccaatcatgg atccgctgta ttgctccttt ttgagg (配列番号14))及びSynEcoRev(ggattactga attcccgtct gaatgttttt tg (配列番号15))を使用して生成させた。生成した遺伝子配列は、配列番号1をエンコードし、これはそれぞれ5´末端及び3´末端に組み入れられたBamHI及びEcoRを含んでいた。
【0166】
生成したPCR生成物を、組み入れられた制限サイト、BamHI及びEcoRIで制限エンドヌクレアーゼで開裂させ、T4リガーゼを使用するライゲーションにより、これも、BamHI及びEcoRIを使用して、制限エンドヌクレアーゼ消化で開裂させた発現ベクターpET-17b(前述した)に挿入した。これは、図4に示してある。
【0167】
[実施例2]
[発現ベクターの構築]
他の例では、双方向ヒドロゲナーゼ蛋白質複合体コード領域(配列番号1)を、シネコシスティス種PCC6803ライブラリをテンプレートとして使用し、更にオリゴヌクレオチド・プレミアのSynBamFwd(ccaatcatgg atccgctgta ttgctccttt ttgagg (配列番号14))及びSynEcoRev(ggattactga attcccgtct gaatgttttt tg (配列番号15))を使用して生成させた。生成した遺伝子配列は、配列番号1をエンコードし、これはそれぞれ5´末端及び3´末端に組み入れられたBamHI及びEcoRを含んでいた。
【0168】
生成したPCR生成物を、組み入れられた制限サイト、BamHI及びNotlで制限エンドヌクレアーゼで開裂させ、T4リガーゼを使用するライゲーションにより、これも、BamHI及びNotlを使用して、制限エンドヌクレアーゼ消化で開裂させた発現ベクターpET-17b(前述した)に挿入した。
【0169】
[実施例3]
[転換]
実施例1及び2で述べた発現ベクターの各々を、ノバブルー(登録商標)コンピテント細胞(ノバゲン、登録商標、アメリカ合衆国)中に転換させた。1μlの各発現ベクター生成物と20μlのノバブルー(登録商標)細胞を、氷の上で5分間、42℃で30秒分間、次いで氷の上で2分間培養した。80μlのSOC(RT)を加え、反応混合物を37℃で60分間培養した。次いで反応混合物を、50μlのカルベニシリンを含むLB寒天上に位置させ、37℃で20時間放置した。
【0170】
[ベクターの安定性]
大腸菌発現ベクター形質転換細胞及びNotl発現ベクター形質転換細胞の両者からのコロニーを選択し、その100μlを、50μg/mlのカルベニシリンを含む10.0mlのLBブロス中に再懸濁させた。次いで反応混合物を、37℃で20時間培養し、250rpmで振とうさせた。
【0171】
pFT17bホックス・プラスミドの存在を確認するために、プラスミドを、培養した単離体から抽出した。Notlプラスミドの抽出は、モバイオ(登録商標)6・ミヌート・ミニ・プラスミド抽出キット(MO BIO Laboratories、アメリカ合衆国)を使用して行った。大腸菌プラスミドの抽出は、キアゲン(登録商標)・ミニ・プラスミド抽出キット(キアゲン・インコーポレーテッド、アメリカ合衆国)を使用して行った。
【0172】
抽出されたプラスミドには、BamHI及びEcoRI又はBamHI及びNotlを使用して、制限消化を行い、消化した生成物には、100Vで60分間、0.6%のTAEアガロース・ゲル上で、ゲル電気泳動を行った。正確なサイズのフラグメントである3.3kb−pET−17bベクターと6.4kbのホックス・オペロン核酸分子挿入体を含む株が検出された。
【0173】
[双方向五量体ヒドロゲナーゼ蛋白質複合体の発現]
1つがNotlで他がEcoRIであり、正確なサイズのフラグメントを含む2種の単離体を、大腸菌、BL21及びBL21 (DE3)pLys5の細胞ラインに導入した。具体的には、1ng/μl希釈の単離細胞を調製し、氷の上で5分間、42℃で30秒間、次いで再度氷の上で2分間培養することにより、BL21及びBL21(DE3)pLys5の細胞ラインに導入した。次いで80μlのSOC(RT)を追加し、反応混合物を37℃で60分間培養した。次いで100μlの反応混合物を、50μg/mlのカルベニチリン又はアンピシリンを含むLB寒天プレート上に筋が付くように塗布し、次いで37℃で一晩培養した。
【0174】
50μg/mlのカルベニシリンを含む1mlのLBブロス中に形質転換コロニーを有する、Notlベクターを導入した細胞のコロニーを接種材料として使用し、250mlフラスコ中の50mlの培地に接種するために使用した。同様に、EcoRIベクターを導入した細胞のコロニーを接種材料として使用した。フラスコ培地のそれぞれを、37℃で培養し、次いで250rpmで4〜5時間、振とうさせた。次いで培地を、蛋白質発現刺激(200μlの10OnM・IPTG(最終濃度は0.4nM)を加えることにより誘導)を与え又は与えずに、培養した。3時間、振とうを続けながら、培地を更に37んで培養した。次いで、4℃における5000xgの遠心分離で細胞を採取した。細胞のペレットを、後日の使用のために、70℃で乾燥貯蔵した。
【0175】
組替え双方向ヒドロゲナーゼ蛋白質複合体を、不溶性封入体として及び可溶性蛋白質として蓄積した。ペレットを、pH8.0の12.5ml TRIS-HCIで1回洗浄した。
【0176】
封入体蛋白質を、2mlの細菌性蛋白質抽出試薬(燐酸緩衝液中のB−PER、ピアス社、アメリカ合衆国)及び40μlの濃度が10mg/mlのリコザイム(最終濃度は、200μg/ml)を使用して抽出し、細胞のかけらを更に消化し、封入体を形成した。次いで「封入体」ペレットを、加熱、渦巻き及び音響により、1%SDS(1ml)に溶解した。
【0177】
2mlのB-PER試薬(ピアス社、アメリカ合衆国)及び渦巻き又はピペット操作のいずれかによる機械的均一化を使用して、可溶性蛋白質を抽出した。次いでこのフラクションを、27200x gでの1時間の遠心分離で分離し、90%を超える回収率を達成した。可溶性蛋白質のフラクションを、5mlのトリクロロ酢酸/アセトン(5mlの6NのTCA又は3mlのTCA,300μlのTBPを、アセトンを使用して全量が30mlになるようにした)を添加して濃縮し、十分混合し、−20℃で貯蔵した。次いでこの混合物を4600xgで1時間掛けて遠心分離し平衡緩衝液(300μlのTBPをアセトンで29700μlにした)で洗浄した。次いでペレットを1%のSDSに再懸濁し、再度加熱、渦巻き及び音響の助けを借りた。
【0178】
続いて、Notl及びEcoRI転換細胞から単離された、可溶性蛋白質及び封入体を、ポリアクリルアミド・ゲル電気泳動(SDS-PAGE)を使用して分離した。具体的には、10μlの各サンプル(両者とも誘発されあるいはされていないDE3及びpLysSを使用して転換されたNotl及びEcoRI細胞からの可溶性蛋白質及び封入体)を、150Vで65分間、10%のSDS-PAGEゲル上で、操作した。これに続けて、1時間、染色し、一晩脱染した。
【0179】
生成するSDS-PAGEゲル内の、2種の双方向水素サブユニット(ジアフォラーゼ及びネイティブ)の相対位置を考慮に入れて、質量分析計を使用する同定の前に、バンドを切除し、洗浄し、抽出したトリプシン及びペプチドで消化した。QqTOF-MS-MSを使用するペプチドのフィンガープリント法の結果は、誘発されたDE3及びNotl転換細胞ライン中のホックスU及びホックスUサブユニットの存在が示された。誘発されたEcoRI転換細胞の結果は、ホックスH、ホックスU, ホックスF及びホックスYの存在を示し、更にDE3及びpLysS大腸菌細胞ライン内の封入体も示した。
【0180】
本願と同時又は本願に先立って出願されかつ公開された全ての出願書類に注目して頂きたい。それらの書類の全ての内容は、それを参照することにより、本明細書に含まれる。
【0181】
本明細書で開示した全ての態様(特許請求の範囲、要約及び図面を含む)及び/又は開示された任意の方法の全ての工程は組み合わせることができる(前記態様が互いに排他的で、組み合わせることができない場合を除く)。
【0182】
本明細書で開示した各態様(特許請求の範囲、要約及び図面を含む)は、明示がある場合を除き、同じ等価物として機能しあるいは類似の目的を達成する代替態様と置換できる。従って明示がなければ、開示された各態様は、包括的な一連の等価物又は類似態様の一例に過ぎない。
【0183】
本発明は、前述の実施形態の詳細に限定されるものではない。本発明は、本明細書(特許請求の範囲、要約及び図面を含む)で開示した新規な態様、新規な組み合わせに及ぶ。
【図面の簡単な説明】
【0184】
【図1】全シネコシスティス種PCC6803ゲノム内の全ての水素代謝関連遺伝子の1:1000スケールのグラフィック表示である。
【図2】シネコシスティス種PCC6803ゲノム内のホックス・オペロンの概略表示である。
【図3】発現ベクターpET-17bの概略表示である。
【図4】配列番号1のヌクレオチド配列を有する核酸分子を含む本発明の発現ベクターの概略表示である。
【図5A】配列番号1のヌクレオチド配列の第1の部分である。
【図5B】配列番号1のヌクレオチド配列の第2の部分である。
【図5C】配列番号1のヌクレオチド配列の第3の部分である。
【図6】配列番号2のヌクレオチド配列である。
【図7】配列番号3のヌクレオチド配列である。
【図8】配列番号4のヌクレオチド配列である。
【図9】配列番号5のヌクレオチド配列である。
【図10】配列番号6のヌクレオチド配列である。
【図11】配列番号7のヌクレオチド配列である。
【図12】配列番号8のヌクレオチド配列である。
【図13】配列番号9のヌクレオチド配列である。
【図14】配列番号10のヌクレオチド配列である。
【図15】配列番号11のヌクレオチド配列である。
【図16】配列番号12のヌクレオチド配列である。
【図17】配列番号13のヌクレオチド配列である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞により水素を生産するための組替え発現システムに関する。より詳細には、本発明は、発現ベクターにより形質転換された宿主細胞である、一般的には大腸菌である細菌性細胞中で、シアノバクテリアから誘導されるヒドロゲナーゼ蛋白質複合体を生産させる前記発現ベクター、及び光合成による水素生産に適した条件下で宿主細胞を培養することにより水素を生産する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水素エネルギは、公知の化石燃料と置換するための重要な候補であり、特に微生物から生産される水素は重要である。現在のところ、微生物源から水素を光合成で生産することには多くの障害が存在する。シアノバクテリアや緑藻類などの従来の水素生産微生物のエネルギ変換効率は低く、水素発生速度も低い。更に種々の抑制因子のため、前記微生物からの水素生産は不安定性が付きまとう。例えば関与する酵素は本来酸素感受性で、好気性条件下でも変性してしまう。
【0003】
従来法は、微生物からの水素生産量を増加させるためのプロセス制御を探求している。特許文献1は、光が存在する好気性条件下で、水中に藻を培養して藻中に光合成生成物を蓄積する工程と、暗所の微好気性条件下で、水中に藻を培養して呼吸により蓄積した物質を分解して水素を発生させる工程を交互に含んで成る、交互の明暗サイクルを使用する、藻培養液中での水素生産を開示している。
【0004】
最近、問題を扱うために分子技術が採用されている。特許文献2は、酵素である鉄ヒドロゲナーゼ(HydA)が水素生産用、特に蛋白質の分子状水素への可逆的還元を触媒する工業的用途を有することを開示している。該特許文献は、鉄ヒドロゲナーゼをエンコードする藻であるセネデスムス・オブリクス(Scenedesmus Obliquus)、キラミドモナス・レインハードチイ(Chlamydomonas reinhardtti)及びクロレラ・フスカ(Chlorella fusca)から核酸配列を単離することを開示している。本発明は、更にゲノム核酸、cDNA及びHydAの蛋白質配列を開示する。
【0005】
これまでの文献はいずれも、工業的規模で水素生産に適する方法を提案していない。
【特許文献1】米国特許明細書第4532210号
【特許文献2】米国特許明細書第6858718号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、酵素又は酵素複合体を発現しない宿主細胞、一般に細菌宿主細胞中で、例えばシアノバクテリア種のような光合成細菌種から単離される酵素又は酵素複合体の発現に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によると、
a)転写プロモータ成分、
b)シアノバクテリアヒドロゲナーゼと協働して特定の酵素活性を有するポリペプチドをエンコードする核酸分子、及び
c)転写ターミネータ、
のリンクして作用する成分を含んで成る、ヒドロゲナーゼ蛋白質又はヒドロゲナーゼ蛋白質複合体を生産するための発現がされる。
【0008】
好ましくは、核酸分子は、
i)配列番号1のヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
ii)配列番号1のヌクレオチド配列に対して少なくとも70%の同一性を有し、ヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをエンコードする核酸分子、
iii)配列番号1のヌクレオチド配列にハイブリダイズし、ヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをエンコードする核酸分子、及び
iv)前記i)、ii)及びiii)の配列への遺伝子コードの結果として、変質したヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
から成る群から選択される。
【0009】
核酸分子は、配列番号1のヌクレオチド配列から成ることがより好ましい。
【0010】
その代わりに、核酸分子は、
i)配列番号2、4、7、9及び12のそれぞれのヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
ii)配列番号2に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、配列番号4に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、配列番号7に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、配列番号9に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、及び配列番号11に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
iii)配列番号2に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号4に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号7に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号9に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、及び配列番号11に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列から成る核酸分子
から成る群から選択される。
【0011】
核酸分子は、配列番号2、4、7、9及び12のそれぞれのヌクレオチド配列から成ることが好ましい。
【0012】
その代わりに、核酸分子が、
i)配列番号2、4、7、9及び12の少なくとも1つのヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、又は
ii)配列番号2に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号4に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号7に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号9に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、及び配列番号11に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列の少なくとも1つのヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
から成る群から選択される。
【0013】
より好ましくは、核酸分子が、配列番号2の核酸配列で表される核酸分子か、又は配列番号2にハイブリッドしかつジアホラーゼ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である。その代わりに、 核酸分子は、配列番号4の核酸配列で表される核酸分子か、又は配列番号4にハイブリッドしかつNADHデヒドロゲナーゼI活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である。その代わりに、核酸分子が、配列番号の核酸配列7で表される核酸分子か、又は配列番号7にハイブリッドしかつNAD還元デヒドロゲナーゼガンマ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である。核酸分子が、配列番号9の核酸配列で表される核酸分子か、又は配列番号9にハイブリッドしかつNAD還元デヒドロゲナーゼデルタ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である。その代わりに、核酸分子が、配列番号12の核酸配列で表される核酸分子か、又は配列番号12にハイブリッドしかつNAD還元デヒドロゲナーゼベータ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である。核酸分子は厳格なハイブリダイゼーション条件下で、ハイブリッドすることが好ましい。
【0014】
核酸分子が、配列番号3、5、8、10及び13のそれぞれのポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列から成ることが好ましい。
【0015】
変異核酸分子が、厳格なハイブリダイゼーション条件下でハイブリッドすることが好ましい。
【0016】
転写プロモーター成分が、前記核酸分子又は変異核酸分子に、誘導発現を起こす成分を含んで成ることが好ましい。その代わりに、転写プロモーター成分が、前記核酸分子又は変異核酸分子に、抑制発現を起こす成分を含んで成る。その代わりに、転写プロモーター成分が、前記核酸分子又は変異核酸分子に、構成的発現を起こす成分を含んで成る。
【0017】
発現ベクターが、選択可能なマーカーを含むことが好ましい。発現ベクターが、翻訳調節成分を含んで成ることが好ましい。翻訳調節成分が、リボゾーム結合配列であることが好ましい。
【0018】
核酸分子が、ヌクレオチド配列に特定の変化を受けて、コドン使用を最適化されていて、例えばDNAシャフリング、エラープローンPCR又はサイト指令突然変異生成が導入されている。
【0019】
他の態様では、本発明の第1態様による発現ベクターで転換された宿主細胞が提供される。
【0020】
前記細胞は、細菌性細胞であることが好ましく、より好ましくはグラム陰性細菌性細胞であり、例えばエシェリキア種の属であり、好ましくは大腸菌であり、更に好ましくは大腸菌BL21又は大腸菌BL21(DE3)pLys5である。その代わりに、細胞は他の細菌性細胞、例えばグラム陽性細菌性細胞、酵母細胞、藻細胞、昆虫細胞又は植物細胞である。
【0021】
前記細胞は、argU、ilex、leuW、Prol又はglyTをエンコードするtRNA遺伝子であることが好ましい。
【0022】
本発明の他の態様は、
i) 少なくとも1個のシアノバクテリアヒドロゲナーゼ遺伝子を含んで成る核酸分子を、発現ベクター中に組み入れて宿主細胞中で発現させ、かつ
ii)発現ベクターで宿主細胞をトランスフェクトし、生成するトランスフェクトされた宿主細胞が水素を生産する方法である。
【0023】
少なくとも1つのヒドロゲナーゼ遺伝子が、双方向ヒドロゲナーゼ遺伝子であることが好ましい。シアノバクテリアが、シネコシスティス属、より好ましくはシネコシスティス種PCC6803である。
【0024】
核酸分子が、
i)配列番号1のヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
ii)配列番号1のヌクレオチド配列に対して少なくとも70%の同一性を有する酸分子、
iii)配列番号1のヌクレオチド配列にハイブリダイズする核酸分子、及び
iv)前記i)、ii)及びiii)の配列への遺伝子コードの結果として、変質したヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
から成る群から選択されることが好ましい。
【0025】
核酸分子が、配列番号1のヌクレオチド配列から成ることがより好ましい。
【0026】
その代わりに、核酸分子が、
i)配列番号2、4、7、9及び12のそれぞれのヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
ii)配列番号2に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、配列番号4に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、配列番号7に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、配列番号9に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、及び配列番号11に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、及び
iii)配列番号2に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号4に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号7に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号9に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、及び配列番号11に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列から成る核酸分子
から成る群から選択される。
【0027】
核酸分子が、配列番号2、4、7、9及び12のそれぞれのヌクレオチド配列から成ることがより好ましい。
【0028】
その代わりに、核酸分子が、
i)配列番号2、4、7、9及び12の少なくとも1つのヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、又は
ii)配列番号2に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号4に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号7に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号9に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、及び配列番号11に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列の少なくとも1つのヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
から成る群から選択される。
【0029】
核酸分子が、配列番号2の核酸配列で表される核酸分子か、又は配列番号2にハイブリッドしかつジアホラーゼ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子であることが好ましい。その代わりに、核酸分子が、配列番号4の核酸配列で表される核酸分子か、又は配列番号4にハイブリッドしかつNADHデヒドロゲナーゼI活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である。その代わりに、核酸分子が、配列番号の核酸配列7で表される核酸分子か、又は配列番号7にハイブリッドしかつNAD還元デヒドロゲナーゼガンマ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である。その代わりに、核酸分子が、配列番号9の核酸配列で表される核酸分子か、又は配列番号9にハイブリッドしかつNAD還元デヒドロゲナーゼデルタ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である。その代わりに、 核酸分子が、配列番号12の核酸配列で表される核酸分子か、又は配列番号12にハイブリッドしかつNAD還元デヒドロゲナーゼベータ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である。核酸分子は厳格なハイブリダイゼーション条件下で、ハイブリッドすることが好ましい。
【0030】
核酸分子が、配列番号3、5、8、10及び13のそれぞれのポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列から成ることが好ましい。
【0031】
本発明の他の態様では、細胞の成長をサポートするために十分な媒体を含む反応容器が提供される。好ましい態様では、容器はバイオレアクタ、例えば発酵槽である。
【0032】
本発明の他の態様では、
i)本発明の宿主細胞を含む容器を準備し、
ii)該容器内に含まれる細胞培養により水素生産を容易にするための細胞培養を条件を提供し、必要であれば
iii)容器から水素を回収する
各工程を含んで成る水素の生産方法が提供される。
【0033】
本発明の更に他の態様では、
i)本発明の宿主細胞を含む反応容器、及び、
ii)細胞培養容器に流体を介して接続された第2の反応容器、
を含んで成り、
該第2の反応容器が、i)の反応容器内に含まれる細胞により生産される水素の回収及び/又は貯蔵に使用される、細胞により生産されかつ回収される水素生産装置が提供される。
【0034】
本発明の他の態様では、水素生産のための組み換え発現システムにおいて、シアノバクテリアヒドロゲナーゼを使用する方法が提供される。シアノバクテリアヒドロゲナーゼは、
i)配列番号1のヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
ii)配列番号1のヌクレオチド配列に対して少なくとも70%の同一性を有し、ヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをエンコードする核酸分子、
iii)配列番号1のヌクレオチド配列にハイブリダイズし、ヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをエンコードする核酸分子、及び
iv)前記i)、ii)及びiii)の配列への遺伝子コードの結果として、変質したヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
から成る群から選択される核酸分子でエンコードされることが好ましい。
【0035】
本発明の他の態様によると、配列番号1の核酸配列で表される核酸分子が提供される。
【0036】
本明細書及び特許請求の範囲において、「含んで成る」及び「含む」、又はこれらの用語の変形された用語は、「含むがそれに限定されない」ことを意味し、他の残基、付加物、成分、要素又は工程を排除しない。
【0037】
本明細書及び特許請求の範囲において、他に特定されていなければ、単数形は複数形も含む。
【0038】
本発明の特定の特徴、態様又は例として述べた特性、特徴、化合物、化学残基又は基は、矛盾がない限り、他の特徴、態様又は例にも適用できるものである。
【0039】
本発明の種々の態様を、以下に詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
微細藻類(緑藻類やシアノバクテリア)は、太陽エネルギによる収穫物として成長するときに、高等植物と比較して、明確な利点を有する。それは、成長速度が速く、自然の池や閉じた反応器内で操作が行いやすく、概して高い光合成効率を有していることである。シアノバクテリアや緑藻類に固有の、水から水素を生産する能力は、低炭素クリーンエネルギ技術の発展に有利である。この能力は、2種類の異なったヒドロゲナーゼの活性に依存する。第1は、膜に結合した2分子性のヒドロゲナーゼで、これは主として異質細胞に限定され、ニトロゲナーゼにより生産される水素ガスを再利用する機能を有する。第2は、二方向性ヒドロゲナーゼで、光合成で生産された電子及びプロトンを再結合しかつ消費して水素の発生及び分解の両者を行うことのできる酵素である。
【0041】
シネコシスティス(Synechocystis)種PCC6803は、非窒素固定性のシアノバクテリアで、新鮮な水の中に生息している。この株は、外来性DNAで天然に変換でき(つまりそれ自身でDNAを取り上げる)、自然に変換でき、相同的組み換えによりDNAをそのゲノムに組み入れる。有機体は、光独立栄養状態から完全に従属栄養の状態までの多数の異なった状態で成長でき、光合成(この場合はヒドロゲナーゼ)の研究のような基本的なプロセスと干渉する遺伝子組み換えを可能にする。これらの性質は、シネコシスティス種PCC6803を、本明細書で述べるような遺伝子操作における好適な選択の1つとする。実際、この有機体は、ヒドロゲナーゼ酵素を取り込む能力に欠けていることが示されている(大きなサブユニットを欠いているため)。この特徴は、前記有機体を、本発明で使用する際の前記有機体の「有用性」を増加させ、これによりヒドロゲナーゼ取り込みの悪影響を除去し、(この場合)ヒドロゲナーゼ取り込みの抗生産性効果を考慮することなく、ヒドロゲナーゼ活性のインビボのスクリーニングを行うことを可能にする。
【0042】
5種類の遺伝子が、双方向ヒドロゲナーゼ酵素複合体を形成することが知られ、ラルストニア・ユートロフィア(Ralstonia eutrophia)の四量体NAD+還元ヒドロゲナーゼをエンコードする遺伝子と同族であって、ディアフォラーゼ残基は、ホックス・エフユー(hoxFU)で、ヒドロゲナーゼ部は、ホックス・ワイエッチ(hoxYH)でエンコードされる。ラルストニア・ユートロフィア内の溶性酵素と対照的に、シネコシスティス種PCC6803の双方向ヒドロゲナーゼの遺伝子クラスターは、更に第3のディアフォラーゼサブユニットをエンコードすると考えられるオープン・リーディング・フレーム(hoxE)を含む。従ってホックス・イーエフユー(HoxEFU)は、主としてミトコンドリア複合体I(NADH:Q、酸化還元酵素)の3種のサブユニットの配列の類似性に起因して、呼吸活性又は光化学系Iの周りの循環的電子伝達の複合体IのNADH酸化部として機能すると想定され、hoxEは大腸菌(Escherichia coli)のNuoEの同族である(3種のサブユニットの1つは、複合体Iの親水部を構成する)。選択的な単離実験により、活性は、ヘテロシストスなシアノバクテリア種の単一の及び異質細胞性で植物性の細胞内で認められた。
【0043】
シアノバクテリアによる水素生産は、ニトロゲナーゼ又は双方向ヒドロゲナーゼの活性から誘導される。従って、シアノバクテリアによる全水素発生量は、ニトロゲナーゼ及び双方向ヒドロゲナーゼが触媒する水素発生とヒドロゲナーゼ取り込みが触媒する水素消費の合計である。本発明は、下記式に示すように、ニトロゲナーゼのそれ(式1)と比較して、エネルギ効率が大きく増加する、双方向ヒドロゲナーゼ酵素による水素生成(式2)に関する。
【0044】
2H++2e-+2NADP→H2+2NAD++2P(1)
N2+8H++8e-+16ATP → 2NH3+H2+16ADP+16P1 (2)
【0045】
シネコシスティス種PCC6803中に存在すると示されているヒドロゲナーゼに関連する遺伝子は、(1) sllO322−ヒドロゲナーゼ熟成蛋白質HypF (hypF)、(2) SII1078−ヒドロゲナーゼ発現/形成蛋白質HypA (hypA)、(3)sll1079−ヒドロゲナーゼ発現/形成蛋白質HypB (hypB)、(4) sll1220− NADHヒドロゲナーゼIチェーンE (hoxE)、(5) sll1221−NADHヒドロゲナーゼIチェーンF(hoxF)、(6)sll1223−NAD還元ヒドロゲナーゼHoxSガンマサブユニット(hoxU)、(7) slH224− NAD還元ヒドロゲナーゼHoxSデルタサブユニット(hoxY) (EC. 1.12.1.2)、(8)slH226−NAD還元ヒドロゲナーゼHoxSベータサブユニット(hoxH)、(9)sll1432−ヒドロゲナーゼイソ酵素形成(ニッケル取り込み)蛋白質HypB(hypB)、(10)slI1462−ヒドロゲナーゼ発現/形成蛋白質HypE (hypE)、(11)sII1559−可溶性ヒドロゲナーゼ42kDサブユニット、(12)slr1498−ヒドロゲナーゼイソ酵素形成蛋白質HypD(hypD)、(13)slr1675−ヒドロゲナーゼ形成(ニッケル取り込み)蛋白質HypA(hypA)、(14)slr2135−ヒドロゲナーゼ付属蛋白質、(15)ssl3580−ヒドロゲナーゼ発現/形成蛋白質HypC(hypC)を含む。
【0046】
シネコシスティス種PCC6803内のこれらの全ての遺伝子の正確な位置を図1にプロットした。この配置を示すマップは、この有機体の完全なゲノムの矢クレーム75%をカバーしている。従って本発明は、長さが約7kbである、図2に示したシネコシスティス種PCC6803のホックス・オペロン(hox operon)から誘導される配列を利用する。
【0047】
[ベクター]
本明細書で使用する用語「ベクター」は、リンクされている他の核酸を輸送できる核酸分子を意味する。ベクターは、自己複製ができるか、宿主DNAに取り込まれる。ベクターは、組替えDNAの挿入のための制限酵素サイトを有することがあり、1又は2以上の選択できるマーカーを有することがある。ベクターは、プラスミド、バクテリオファージ又はコスミッドの形態の核酸であることができる。最も好ましくは、ベクターは、バクテリア発現、例えば大腸菌、枯草菌、サルモネラ菌、ブドウ状球菌、連鎖球菌、サッカロミセテス(Saccharomycetes)中での発現の適している。
【0048】
ベクターは、細菌性細胞中で増殖でき、次世代に安定して伝達される。
【0049】
本明細書で使用する用語「操作するようリンクされる」は、上述の単一のコントロールエレメント、又はコード配列と互いに機能的関係、例えばリンクされた関係で組合されたコントロールエレメントを意味し、コード配列の発現を指令する。
【0050】
本明細書で使用する用語「調節塩基配列」は、遺伝子発現をコントロールできるDNA又はRNAエレメントを意味する。発現コントロール配列の例は、紫外線で起きる遺伝子応答に 重要である、プロモータ、エンハンサ、サイレンサ、シャイン・ダルガノ(Shine Dalgarno)配列、TATAボックス、内部リボゾームエントリサイト(IRES)、転写因子用付着サイト、転写ターミネータ、ポリアデニル化サイト、RNA輸送シグナル又は配列を含む。好ましい発現ベクターは、発現すべき核酸配列に操作するようリンクされた1又は2以上の調節塩基配列である。調節塩基配列は、組織特異性の調節及び/又は誘導塩基配列だけでなく、構成的発現を指令するものも含む。
【0051】
本明細書で使用する用語「プロモータ」は、転写を開始するためにRNAポリメラーゼが結合するDNA又はRNA中のヌクレオチド配列を意味する。プロモータは、誘導的に又は構成的に発現できる。その代わりに、プロモータは、リオウレッサー又は促進性蛋白質であっても良い。プロモータは、T7, T3, lac, lac UV5, tac, trc, [lambda]PL, Sp6 or a 紫外線誘導蛋白質であることが好ましい。プロモータは、例えば大腸菌のようなバクテリア中で機能することが知られているT7又はT3プロモータであることがより好ましい。
【0052】
本明細書で使用する用語「転写ターミネータ」は、DNAをRNAへ転写するためのRNAポリメラーゼの機能を終了させるDNAエレメントを意味する。好ましい転写ターミネータは、GCリッチな二分染色体対称領域により先行されたT残渣のランを特徴とする。より好ましい転写ターミネータは、T7ファージからのターミネータ配列である。
【0053】
本明細書で使用する用語「翻訳調節エレメント」は、mRNAの翻訳調節を行うDNA又はRNAエレメントを意味する。好ましい翻訳調節エレメントは、リボゾーム結合サイトである。翻訳調節エレメントは、プロモータと同族の、例えばプロモータとそのリボゾーム結合サイトからのものであることが好ましい。好ましいリボゾーム結合サイトは、T7又はT3リボゾーム結合サイトである。
【0054】
本明細書で使用する用語「制限酵素認識サイト」は、制限酵素で認識されるDNA上のモチーフである。
【0055】
本明細書で使用する用語「選択可能なマーカー」は、宿主細胞中で発現されたときに、前記選択可能なマーカーの遺伝子を発現する細胞の選択を可能にする細胞への遺伝子型を与える蛋白質を意味する。一般にこれは、アンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、ヒグロマイシン、ネオマイシン、メソトレキセートのような抗生物質に耐性を与える蛋白質である。抗生物質の他の例は、ペニシリン、アンピシリンHCl、アンピシリンNa、アモキシチリンNa,カルベニチリンナトリウム、ペニシリンG,セファロスポリン、セフォタキシムNa,セファレキシンHCl、バンコマイシン、シクロセリンを含む。他の例は、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、リンコマイシン、テトラサイクリン、硫酸スペクチノマイシン、クリンダマイシンHCl、クロルテトラサイクリンHClを含む。
【0056】
発現ベクターのデザインは、変化される宿主細胞の選択や所望の蛋白質の発現レベル等の因子に依存する。本発明の発現ベクターは、宿主細胞に導入され、本明細書で述べるように、核酸でエンコードされる、融合蛋白質又はポリペプチド(例えばシノコシスチス(Synochocystis)種PCC6803双方向ヒドロゲナーゼ蛋白質複合体、つまりホックスE、ホックスF、ホックスU、ホックスY及びホックスH)を含む蛋白質やポリペプチドを生成する。
【0057】
原核生物中の蛋白質の発現は、融合又は非融合蛋白質の発現を指令する誘導的に又は構成的蛋白質を含むベクターを使用して大腸菌中でしばしば行われる。融合ベクターは、エンコードされた蛋白質に、通常は組替え蛋白質のアミノ末端に、多数のアミノ酸を加える。このような融合ベクターは具体的には次の3種類の目的を達成する。1)組替え蛋白質の発現を増加させる。2)組替え蛋白質の溶解度を向上させる。3)親和性精製のリガンドとして作用し、組替え蛋白質の精製を補助する。蛋白質解裂サイトはしばしば、融合残基と組替え蛋白質の接合部に導入されて、融合蛋白質の精製後に、組替え蛋白質を融合残基から分離することを可能にする。このようなベクターは、本発明の範囲内である。
【0058】
好ましいベクターは、細菌性細胞内で、双方向ヒドロゲナーゼ蛋白質複合体を発現させるために必要な遺伝子エレメントを含む。細菌性細胞内での転写及び翻訳に必要なエレメントは、プロモータ、双方向ヒドロゲナーゼ蛋白質複合体用のコード領域及び転写ターミネータを含む。
【0059】
本発明の発現ベクターは、例えばバクテリオファージDNA,プラスミドDNA又はコスミッドDNAなどのバクテリア性発現ベクター、例えば組替えイースト発現ベクターなどのイースト発現ベクター、例えばバキュロ・ウィルスのような組替えウィルス発現ベクター、又は例えばカリフラワー・モザイク・ウィルス、CaMV、タバコ・モザイク・ウィルス、TMVのような組替えウィルス発現ベクターのような植物細胞で発現させるためのベクター、又はTiプラスミドのような組替えプラスミドベクターとすることができる。
【0060】
ベクターは、バクテリア発現ベクターであることが好ましい。ベクターは、双方向発現ベクターであることが好ましい。発現ベクターは、高コピー数発現ベクターであることが好ましい。その代わりに、発現ベクターは、例えばミニFプラスミドのような低コピー数発現ベクターでも良い。
【0061】
ベクターは、T7プロモータシステムを含んで成るバクテリア発現ベクターであることが好ましい。その代わりに、ベクターは、tacプロモータシステムを含んで成るバクテリア発現ベクターであっても良い。
【0062】
ベクターは、pET発現ベクターであることがより好ましい。例えばベクターは、pET-3a、pET-3b、pET-3c、pET-3d、pET-9a、pET-9b、pET-9c、pET-9d、pET-11a、pET-11b、pET-11c、pET-11d、pET-12a、pET-12b、pET-12c、pET-14b、pET-15b、pET-16b、pET-17b、pET-17xb、pET-19b、pET-20b(+)、pET-21(+)、pET-21a(+)、pET-21b(+)、pET-21c(+)、pET-21d(+)、pET-22b(+)、pET-23(+)、pET-23a(+)、pET-23b(+)、pET-23c(+)、pET-23d(+)、pET-24(+)、pET-24a(+)、pET-24b(+)、pET-24c(+)、pET-24d(+)、pET-25b(+)、pET-26b(+)、pET-27b(+)、pET-28a(+)、pET-28b(+)、pET-28c(+)、pET-29a(+)、pET-29b(+)、pET-29c(+)、pET-30Ek/LIC、pET-30Xa/LIC、pET-30a(+)、pET-30b(+)、pET-30c(+)、pET-31b(+)、pET-32Ek/LIC、pET-32Xa/LIC、pET-32a(+)、pET-32b(+)、pET-32c(+)、pET-33b(+)、pET-39b(+)、pET-40b(+)、pET-41a(+)、pET-41b(+)、pET-41c(+)、pET-41Ek/LIC、pET-42a(+)、pET-42b(+)、pET-42c(+)、pET-43.1a(+)、pET-43.1b(+)、pET-43.1c(+)、pET-43.1Ek/LIC、pET-44a(+)、pET-44b(+)、pET-44c(+)、pET-44Ek/LIC、pET-45b(+)、pET-46Ek/LIC、pET-47b(+)、pET-48b(+)、pET-49b(+)、pET-50b(+)、pLacl、 pLysE、 pLysSのようなノボゲン(登録商標)pETベクター、又は例えばpET161-DEST、pET101/D-TOPO、 pET151/D/LacZ、pET104.1-DEST、pET161-GW/CAT、 pET104.1/GW/iacZ、pETSUMO/CAT、pETSUMO、pET-DEST41、 pET-DEST42、pET101/D/LacZ、pET151/D-TOPO、pET161-DEST、 pET100/D/LacZ、pET161-GW/CAT、pET151/D/LacZ、pET101/D-TOPO、pET104-DEST、pET160-DEST、pET102/D/LacZ、pET200/D/LacZ、pET200/D-TOPO、pET161/GW/D-TOPO、pET160-GW/CATのような.インビトリゲン(登録商標)pETベクターであることができる。
【0063】
ベクターは、図3に示したpET-17b (ノバゲン(登録商標)、アメリカ合衆国ウィスコンシン州マヂソン) (Seed, B. (1987) Nature 329, 840)であることがより好ましい。 pET-17bベクターは、N−末端11aa T7-タグ配列とそれに続く、通常のクローニングサイトを具備している。複数のクローニング領域には、二重のBstX Iサイトが含まれ、これは非対称なリンカーを使用して効率的なクローニングを行う。特異なサイトが図3の環状マップに示されている。当該配列には、Pbr322コンベンションによる番号が付され、T7発現領域は環状マップ上では、逆になっている。T7RNAポリメラーゼにより転写されるコード鎖のクローニング/発現領域は、図4に示されている。
【0064】
pET−17bベクターは、T7プロモータ(核酸数333〜349)、T7転写スタート(核酸数332)、及びT7ターミネータ(核酸数28〜74)を含んでいる。pET−17bベクターは、更にT7Tag配列を有し、これは発現酵素の親和性精製を可能にする。pET−17bベクターは、BamHI認識サイトの後のGATトリプレットから発現する翻訳ベクターである。
【0065】
特に、T7プロモータ領域、例えばpET−17bを含むベクターを使用すると、宿主細胞が高蛋白質発現用に適していることが要求される。
【0066】
[シネコシスティス種PCC6803ホックス・オペロン]
本明細書で使用する用語「核酸分子」は、DNA分子(例えばcDNA又はゲノムDNA)及びRNA分子(例えばmRNA)及びヌクレオチド類縁体を使用して得られるDNA又はRNAの類縁体を含む。核酸分子は、一重鎖でも二重鎖でも良いが、二重鎖DNAであることが好ましい。
【0067】
ゲノムDNAに関しては、「単離された」という用語は、ゲノムDNAが天然に結びついているクロモゾームから分離された核酸分子を含む。「単離された」核酸は、それから核酸が誘導される有機体のゲノムDNA中の核酸(つまり核酸の5´−及び/又は3´−末端に位置する配列)に沿って天然に存在する配列を有さないことが好ましい。更にcDNAのような「単離された」核酸分子は、組替え技術で生産されたときに、他の細胞状物質又は培地を実質的に有さないことができ、あるいは化学的に合成されたときには、化学的前駆体や他の化学薬品を有さないことができる。
【0068】
本明細書で使用する用語「厳格な条件下でハイブリッドする」は、交配(hybridization)及び洗浄(washing)のための条件を記述する。厳格な条件は、当業者には公知で、入手できる文献(例えば、「分子生物学の現在のプロトコル」、ニューヨークのジョン・ウィリー・アンド・サンズ、1989年、6.3.1−6.3.6)にも記載されている。本文献には、水性及び非水性法が記載され、いずれも使用できる。好ましい交配条件は、約45℃で、6χ塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)で、次いで50℃で、0.2χSSC.0.1%(w/v)SDSで1又は2回以上洗浄を行う交配である。厳格な交配条件の他の例は、約45℃の6χのSSCで、次いで、55℃で、0.2χSSC.0.1%(w/v)SDSで1又は2回以上洗浄を行う交配である。厳格な交配条件の更に他の例は、約45℃の6χのSSCで、次いで、60℃で、0.2χSSC.0.1%(w/v)SDSで1又は2回以上洗浄を行う交配である。好ましい厳格な交配条件は、約45℃の6χのSSCで、次いで、65℃で、0.2χSSC.0.1%(w/v)SDSで1又は2回以上洗浄を行う交配である。特に好ましい厳格な交配条件は、約45℃の6χのSSCで、次いで、65℃で、0.2χSSC.0.1%(w/v)SDSで1又は2回以上洗浄を行う交配である。特に好ましい厳格な交配条件(及び分子が本発明の交配条件内にあるかを決定するためにどんな条件が使用されなければならないかを、実施者が確認できない場合に使用すべき条件)は、65℃における0.5モルのリン酸ナトリウム、7%(w/v)SDS、次いで65℃で、0.2χSSC.1%(w/v)SDSで1又は2回以上洗浄を行うことである。厳格な条件下で、配列番号1,2,4,6,7,9、11又は12の配列に交配される本発明の単離された核酸分子は、天然産出の核酸分子に対応することが好ましい。
【0069】
本明細書で使用する用語「天然算出の」核酸分子は、天然に存在するヌクレオチド配列を有するRNA又はDNA分子(例えば天然の蛋白質をエンコードする)を意味する。
【0070】
本明細書で使用する用語「遺伝子」及び「組替え遺伝子」は、オープン・リーディング・フレームのエンコード蛋白質を含み、かつ非コード化調節塩基配列及びイントロンを更に含む核酸分子を意味する。
【0071】
「非必須アミノ酸残基」は、生物活性をなくすことなく、より好ましくは実質的に生物活性を変化させることなく、広い範囲の配列(例えば配列番号3,5,8,10又は13)から、修正させられる残基で、他方「必須」アミノ酸残基は、前記変化を生じさせる。例えば本発明のポリペプチド間で保存されるアミノ酸残基、例えば保存されたカリウムチャンネルドメインに存在する残基は、膜貫通領域内のアミノ酸残基が通常大きな活性変化なしに、ほぼ等価の疎水性を有する他の残基と置換できることを除いて、変化に対して修正が効かない。
【0072】
「保存」アミノ酸置換は、アミノ酸残基が、類似のサイドチェーンを有するアミノ酸残基と置換できる。類似のサイドチェーンを有するアミノ酸残基のファミリーは、従来技術で定義されている。これらのファミリーは、塩基性のサイドチェーンを有するアミノ酸(例えばリジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性のサイドチェーンを有するアミノ酸(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸)、電荷を有さない極性サイドチェーンを有するアミノ酸(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性のサイドチェーンを有するアミノ酸(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリピトファン)、ベーター分枝サイドチェーンを有するアミノ酸(スレオニン、バリン、イソロイシン)、及び芳香族サイドチェーンを有するアミノ酸(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む。従って蛋白質中の非必須アミノ酸残基は、同じサイドチェーンを有するファミリーから選ばれる他のアミノ酸残基と置換されることが好ましい。その代わりに、他の態様では、飽和突然変異誘発のようなコード配列の全て又は一部をランダムに導入することにより変異を起こさせることができ、生成する突然変異体は生物活性のスクリーニングを行って、活性を保持した突然変異体を特定できる。配列番号1,2,4,6,7,9,11又は12の突然変異体形成後に、エンコードされた蛋白質を組替え発現させることができ、蛋白質の活性を決定できる。
【0073】
本明細書で使用する用語である蛋白質の「生物学的活性部」は、分子と非分子間の相互作用に関与する蛋白質のフラグメントを含む。蛋白質の生物学的活性部は、蛋白質のアミノ酸配列と十分に近似しあるいはそれから誘導されるアミノ酸配列を含んで成るペプチドを含み、前記アミノ酸配列は、例えば蛋白質の全長より少ないアミノ酸を含みかつ少なくとも1つの蛋白質活性を示す配列番号3、5、8、10及び13に示すアミノ酸配列である。生物学的活性部は、少なくとも1つの蛋白質活性、例えば膜の興奮性、細胞間イオン濃度、膜の極性及び活動電位を調節する能力を有する領域又はモチーフを含んで成る。
【0074】
蛋白質の生物学的活性部は、配列番号3、5、8、10又は13の長さが、例えば核酸数50、100、150、200、250、300、350、400、450、500あるいはそれ以上のポリペプチドであることができる。蛋白質の生物学的活性部は、例えば本明細書で述べる生物学的活性である媒介された活性を促進するターゲットとして使用することもできる。
【0075】
配列間の相応性又は同一性(本明細書で、両用語は互換性があるものとして使用される)の算定は、次のようにして行われる。
【0076】
2種類のアミノ酸配列又は2種類の核酸配列のパーセント同一性を決定するためには、両配列を、比較目的に最適になるよう整列させる(例えば1つの第1及び第2のアミノ酸配列又は核酸配列又はそれら両者に、最適な整列のためのギャップを形成し、相同性のない配列は、比較目的に関しては無視する)。好ましい態様では、比較目的で整列した参照配列の長さは、参照配列の長さの、少なくとも30%、より好ましくは少なくとも50&、更に好ましくは少なくとも60%、より以上に好ましいのは、少なくとも70%、75%、80%、82%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、あるいは100%である。次いで、対応するアミノ酸ポジション又は核酸ポジションのアミノ酸残基又はヌクレオチドを比較する。第1の配列内のポジションが、第2の配列内の対応するポジションとして、同じアミノ酸残基又はヌクレオチドで占められていると、そのポジションにおいて分子は同一であるとする(本明細書では、アミノ酸又は核酸の「同一性」は、アミノ酸又は核酸の「相同性」と等価とする)。2種の配列間のパーセント同一性は、2種の配列の最適比較のために導入される、ギャップの数と各ギャップの長さを考慮して、各配列により占められる同一ポジションの数の関数になる。
【0077】
配列間の比較及びパーセント同一性の決定は、数学アルゴリズムを使用して行うことができる。好ましい態様では、2種のアミノ酸配列のパーセント同一性は、ニードルマ ン(Needleman)らのアルゴリズム((1970)J. Mol. Biol. 48:444-453)を使用して決定され、これは、BLOSUM62マトリックス又はPAM250マトリックスを使用して、16、14,12,10,8,6又は4のギャップウエイト及び1,2,3,4,5又は6の長さウエイトで、(http://www.gcg.comで入手できる)GCGソフトウェアパッケージ中のGAPプログラムに組み入れられる。他の好ましい態様では、2種のアミノ酸配列のパーセント同一性は、(http://www.gcg.comで入手できる)GCGソフトウェアパッケージ中のGAPプログラムを使用して決定され、これは、NWSgapdna,CMPマトリックスを使用し、40、50,60,70又は80のギャップウエイト及び1,2,3,4,5又は6の長さウエイトを使用する。特に好ましい一連のパラメータ(、及びどのパラメータを、分子が本発明の配列同一性又は相同限界内にあるかを決定するために使用されなければならないかを、実施者が確認できない場合に使用されるパラメータ)は、ギャップペナルティが12、ギャップエクステンドペナルティが4、フレームシフトギャップペナルティが5である、BLOSUM62スコアリングマトリックスである。
【0078】
2種類のアミノ酸又はヌクレオチド配列間のパーセント同一性は、メーヤース(Meyers)らのアルゴリズム(1989) C>AB/OS 4:11-17)を使用して決定され、これは、ギャップ長さペナルティが12、ギャップペナルティが4のPAM120ウエイト残基表を使用して、ALIGNプログラム(バージョ2.0)に組み入れられる。
【0079】
本明細書で説明した核酸及び蛋白質配列は、「クエリ配列」として使用し、データベースの調査を行い、例えば他のファミリーや関連配列の同定を行うことができる。このような調査は、アルシュル(Altschul) らのNPLAST及びXBLASTプログラム(バージョ2.0)((1990) J. MoI. Biol. 215:403-410)を使用して行うことができる。BLASTヌクレオチド調査は、NBLASTプログラム(スコアは100、ワード長は12)で行い、本発明の核酸分子と同族のヌクレオチド配列を得ることができる。BLAST蛋白質調査は、XBLASTプログラム(スコアは50、ワード長は3)で行い、本発明の蛋白質分子と同族のアミノ酸配列を得ることができる。比較目的でギャップのある整列を得るためには、アルシュルら(1997, Nucl. Acids Res. 25:3389-3402)が説明しているように、ギャップのあるBLASTを利用できる。BLAST及びギャップのあるBLASTプログラムを使用するときは、それぞれのプログラム(例えばXBLAST及びNBLAST)のデフォルトパラメータを使用できる(<http://www.ncbi.nlm.nih.gov>.を参照)。
【0080】
本発明のベクターで発現されるポリペプチドは、配列番号3、5,8,10又は13のアミノ酸配列と十分に又は実質的に同一のアミノ酸配列を有することができる。「十分に同一」又は「実質的に同一」という用語は、第1のアミノ酸又はヌクレオチド配列が、第2のアミノ酸又はヌクレオチド配列に対して、十分な数の又は最小数の同一又は等価のアミノ酸残基又はヌクレオチドを有し、第1及び第2のアミノ酸又はヌクレオチド配列が、共通の構造的領域又は共通の機能活性を有することを意味する。例えば少なくとも60%又は65%の同一性、好ましくは75%、より好ましくは85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有する共通の構造的領域を有するアミノ酸又はヌクレオチド配列は、十分に又は実質的に同一性であると定義される。
【0081】
本発明の発現ベクターは、双方向ヒドロゲナーゼ酵素蛋白質複合体をエンコードする核酸配列を含んで成っている。
【0082】
核酸配列は、図2に示したボックス・オペロンによりエンコードされるシネコシスティス種PCC6803の双方向ヒドロゲナーゼ酵素蛋白質複合体をエンコードすることが好ましい。
【0083】
本発明のホックス・オペロンの核酸配列は、配列番号1に示されている。この配列は、長さが約6532のヌクレオチドである。前記オペロンは、配列番号1,2,4.6.7.9.11及び12の8種のコード配列を含んでいる。
【0084】
配列番号2(配列番号1のヌクレオチド31から429)は、長さが約399のヌクレオチドで、522ヌクレオチド(174個のアミノ酸)
ジアフォラーゼ、NADHデヒドロゲナーゼI1、チェーンE(配列番号3)(ホックスEと命名)をエンコードする。
【0085】
配列番号4(配列番号1のヌクレオチド627から2228)は、長さが約1602のヌクレオチドで、533個のアミノ酸のNADHデヒドロゲナーゼI、チェーンF(配列番号5)(ホックスFと命名)をエンコードする。
【0086】
配列番号6(配列番号1のヌクレオチド2269から2907)は、長さが約639のヌクレオチドで、転写調節及びDNA複製に含まれるウイルス性調節蛋白質E2に28.1%の同一性を有する未知の蛋白質をエンコードする。
【0087】
配列番号7(配列番号1のヌクレオチド2934から3650)は、長さが約717のヌクレオチドで、238アミノ酸ジアフォラーゼ、NAD還元ヒドロゲナーゼガンマサブユニット(配列番号8)をエンコードする(ホックスUと命名)。
【0088】
配列番号9(配列番号1のヌクレオチド3696から4244)は、長さが約549のヌクレオチドで、182アミノ酸NAD還元ヒドロゲナーゼデルタサブユニット(配列番号10)をエンコードする(ホックスYと命名)。
【0089】
配列番号11(配列番号1のヌクレオチド4560から5009)は、長さが約450のヌクレオチドで、機能が未知であるテルムス・テロモフィルスHB27と32.8%の同一性を有する未知蛋白質をエンコードする。
【0090】
配列番号12(配列番号1のヌクレオチド5099から6523)は、長さが約1425のヌクレオチドで、474アミノ酸NAD還元ヒドロゲナーゼベータサブユニット(配列番号13)をエンコードする(ホックスHと命名)。
【0091】
本発明の発現ベクターに組み入れられる他の核酸分子を次に述べる。
【0092】
一態様では、本発明の発現ベクターは、配列番号1のヌクレオチド配列を含む核酸分子、又はその一部又はフラグメントを含む。他の態様では、前記発現ベクターは、配列番号3,5,8,10及び13のポリペプチド(シノコシスチス種PCC6803五量体ヒドロゲナーゼ蛋白質複合体サブユニット)をエンコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を含んで成るものである。好ましい態様では、発現ベクターは、配列番号2,4,7、9及び12(ホックスEFUYHコード領域)のヌクレオチド配列を含む核酸分子を含んで成るものである。他の態様では、発現ベクターは、配列番号2,4,6、7、9、11及び12のヌクレオチド配列を含む核酸分子を含んで成るものである。更に他の態様では、発現ベクターは、配列番号1のフラグメントを含む核酸分子を含んで成り、前記フラグメントは、生物学的に活性なフラグメント、つまりヒドロゲナーゼ活性を有することが好ましい。
【0093】
他の態様では、発現ベクターは、配列番号1,2,4,6,7,9,11及び12のいずれかで示したヌクレオチド配列の相補体、その一部又はフラグメントを含んで成るものである。他の態様では、発現ベクターは、配列番号1,2,4,6,7,9,11及び12のいずれかで示したヌクレオチド配列に十分に相補的である核酸配列を有し、それは、配列番号1,2,4,6,7,9,11及び12のいずれかで示したヌクレオチド配列にそれぞれハイブリッドし、これにより安定な二本鎖を形成する。
【0094】
一態様では、発現ベクターは、配列番号1で示したヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有する核酸配列、その一部又はフラグメントを含んで成るものである。
【0095】
一態様では、発現ベクターは、配列番号3,5,8,10及び13で示したアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子多型をエンコードする核酸配列を含んで成る。配列番号3,5,8,10又は13で示したヒドロゲナーゼサブユニットの対立遺伝子多型は、ホックスE、ホックスF、ホックスU、ホックスY又はホックスHの機能的なヒドロゲナーゼサブユニットを含む。機能的な対立遺伝子多型は、ヒドロゲナーゼ活性を維持している配列番号3,5,8,10及び13で示したホックスE、ホックスF、ホックスU、ホックスY又はホックスHのヒドロゲナーゼサブユニットの天然に存在するアミノ酸配列変異体である。機能的対立遺伝子多型は一般に、配列番号3,5,8,10及び13の1又は2以上のアミノ酸の同類置換、又は蛋白質の重要でない領域の重要でない残基の置換、削除又は挿入を含む。非機能的対立遺伝子多型は、ヒドロゲナーゼ活性を有さない配列番号3,5,8,10及び13の天然に存在するアミノ酸配列変異体である。非機能的対立遺伝子多型は一般に、配列番号3,5,8,10又は13のアミノ酸の非同類置換、削除又は挿入又は早期切断、又は重要でない残基や重要でない領域での置換、削除又は挿入を含む。本発明における天然の対立遺伝子多型に対応しかつヒドロゲナーゼ核酸分子と同族の核酸分子は、配列番号1,2,4,6,7,9,11又は12のヌクレオチド配列又はその一部を、厳格な交配条件下で交配プローブとして使用し、本発明の核酸分子への同族性に基づいて単離できる。
【0096】
他の態様では、発現ベクターは、配列番号2の核酸配列により表される核酸分子、又は配列番号2に交配させてディアフォラーゼ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子を含んで成る。
【0097】
他の態様では、発現ベクターは、配列番号4の核酸配列により表される核酸分子、又は配列番号4に交配させてNADHデヒドロゲナーゼI活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子を含んで成る。
【0098】
他の態様では、発現ベクターは、配列番号7の核酸配列により表される核酸分子、又は配列番号7に交配させてNAD還元ヒドロゲナーゼガンマ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子を含んで成る。
【0099】
他の態様では、発現ベクターは、配列番号9の核酸配列により表される核酸分子、又は配列番号9に交配させてNAD還元ヒドロゲナーゼデルタ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子を含んで成る。
【0100】
他の態様では、発現ベクターは、配列番号12の核酸配列により表される核酸分子、又は配列番号12に交配させてNAD還元ヒドロゲナーゼベータ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子を含んで成る。
【0101】
他の態様では、発現ベクターは、配列番号2のヌクレオチド配列を含む核酸分子、又はその一部又はフラグメントを含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号2で示したヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有する核酸配列、その一部又はフラグメントを含んで成るものである。他の態様では、発現ベクターは、配列番号2のヌクレオチド又はその一部又はフラグメント、及び配列番号4、6.7、9.11又は12の少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号2のヌクレオチド配列又はその一部又はフラグメント、及び配列番号4、6.7、9.11又は12の少なくとも1つのヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有する少なくとも1個の核酸配列、その一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成るものである。他の態様では、発現ベクターは、配列番号2のヌクレオチド配列又はその一部又はフラグメント、及び配列番号4、6.7、9.11又は12の少なくとも1つのヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有する少なくとも1個の核酸配列、その一部又はフラグメントを含む核酸分子含んで成るものである。他の態様では、発現ベクターは、配列番号2のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有する少なくとも1個のヌクレオチド配列又はその一部又はフラグメントと、配列番号4、6.7、9.11又は12の少なくとも1つのヌクレオチド配列又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成るものである。他の態様では、発現ベクターは、配列番号2のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するヌクレオチド配列又はその一部又はフラグメントと、配列番号4、6.7、9.11又は12のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有する少なくとも1個のヌクレオチド配列を含む核酸分子を含んで成るものである。
【0102】
他の態様では、発現ベクターは、配列番号3のポリペプチド(シノコシスチス種PCC6803、5量体ヒドロゲナーゼ蛋白質複合体)をエンコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子、又はその一部又はフラグメントを含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号3で示したポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号3のポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号5、8、10又は13の少なくとも1つのポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号3のポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列と、配列番号5、8、10又は13の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号3のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードするヌクレオチド、又はその一部又はフラグメントと、配列番号5、8、10又は13のポリペプチドの少なくとも1つをエンコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号3のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号5、8、10又は13のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。
【0103】
他の態様では、発現ベクターは、配列番号4のヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号4のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号4のヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号2、6,7,9,11又は12の少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号4のヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号2、6,7,9,11又は12のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有する少なくとも1つのポリペプチド、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号4のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有する少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号2、6,7,9,11又は12の少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号4のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有する少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号2、6,7,9,11又は12のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有する少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。
【0104】
他の態様では、発現ベクターは、配列番号5のポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列(シノコシスチス種PCC6803、5量体ヒドロゲナーゼ蛋白質複合体)、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号5のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントとを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号5のポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号3,8,10又は13のポリペプチドの少なくとも1つをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号5のポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号3,8,10又は13のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号5のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号3,8,10又は13のポリペプチドの少なくとも1つをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号5のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号3,8,10又は13のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。
【0105】
他の態様では、発現ベクターは、発明のヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号7のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号7のヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号2、4、6、9、11又は12の少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号7のヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号2、4、6、9、11又は12のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有する少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号7のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号2、4、6、9、11又は12のヌクレオチド配列の少なくとも1つ、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号7のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号2、4、6、9、11又は12のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有する少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントとを含む核酸分子を含んで成る。
【0106】
他の態様では、発現ベクターは、配列番号8のポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列(シノコシスチス種PCC6803、5量体ヒドロゲナーゼ蛋白質複合体のホックスU蛋白質複合体)、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号8のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号8のポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号3,5,10又は13のポリペプチドの少なくとも1つをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号8のポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号3,5,10又は13のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号8のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号3,5,10又は13のポリペプチドの少なくとも1つをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。
他の態様では、発現ベクターは、配列番号8のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号3,5,10又は13のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントとを含む核酸分子を含んで成る。
【0107】
他の態様では、発現ベクターは、配列番号9のヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号9のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントとを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号9のヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号2、4,6,7,11又は12のヌクレオチド配列の少なくとも1つと、その一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号9のヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号2、4,6,7,11又は12のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有する少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号9のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号2、4,6,7,11又は12の少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号9のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号2、4,6,7,11又は12のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有する少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。
【0108】
他の態様では、発現ベクターは、配列番号10のポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列(シノコシスチス種PCC6803、5量体ヒドロゲナーゼ蛋白質複合体のホックスY蛋白質複合体)、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号10のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメント含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号10のポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号3,5,8又は13のポリペプチドの少なくとも1つをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号10のポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号3,5,8又は13のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号10のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号3,5,8又は13のポリペプチドの少なくとも1つをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号10のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号3,5,8又は13のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。
【0109】
他の態様では、発現ベクターは、配列番号12のヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号12のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号12のヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号2,4,6,7,9、又は11の少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号12のヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号2,4,6,7,9、又は11のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有する少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号12のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号2,4,6,7,9又は11の少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。
他の態様では、発現ベクターは、配列番号12のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号2,4,6,7,9又は11のヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有する少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。
【0110】
他の態様では、発現ベクターは、配列番号13のポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列(シノコシスチス種PCC6803、5量体ヒドロゲナーゼ蛋白質複合体のホックスH蛋白質サブユニット)、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号13のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号13のポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号3,5,8又は10のポリペプチドの少なくとも1つをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号13のポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号3,5,8又は10のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。他の態様では、発現ベクターは、配列番号13のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号3,5,8又は10のポリペプチドの少なくとも1つをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。
他の態様では、発現ベクターは、配列番号13のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントと、配列番号3,5,8又は10のポリペプチドの全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するポリペプチドをエンコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその一部又はフラグメントを含む核酸分子を含んで成る。
【0111】
他の態様では、発現ベクターは、宿主細胞中の翻訳用に、コドン及びmRNAの二次構成の最適化のために、ヌクレオチド配列中に特定の変化を生じさせた、前述の核酸分子を含んで成る。好ましくは、核酸のコドン使用は、宿主細胞の発現に適用され、例えばコドンの最適化は、カルクゲン、ヘール・RS及びトーマス・Gの「Protein Exper. Purif. 12, 185-188 (1998)、アップゲーン、ガオ・Wらの「Biotechnol. Prog. 20, 443-448 (2004)」又は「Codon Optimizer, Fuglsang, A. Protein Exper. Purif. 31, 247-249 (2003)」を使用して達成できる。好ましいコドン最適化に従う核酸の修正は、フェルフォールトらの「少数のコドンの修正」(Nucleic Acids Res. 25: 2069-2074 (2000))又は「例えば100bpのDNAまでの大きなセクションの核酸配列の書換え」、ヘール・RS及びトーマス・Gの「Protein Exper. Purif. 12,185-188 (1998)」を含む多数の異なった実験プロトコルで達成できる。核酸配列の書換えは、繰返しPCRで達成でき、ここでは、所望の配列が、オバーラップしているオリゴヌクレオチドプライマーの延長により得られる(プドロモー及びパールの「Protein Eng. 5: 827-829 (1992)」)。DNAの大きな伸びの書換えは、繰返しPCRの3つの連続期間まで要求する(ヘール・RS及びトーマス・Gの「Protein Exper. Purif. 12,185-188 (1998)」及びテオらの「FEMS Microbiol. Lett. 190: 13-19, (2000)」。
【0112】
その代わりに、コグネント(cognent)tRNAのレベルを宿主細胞により上昇させることができる。この上昇は、それぞれのtRNA遺伝子のコピー数を増加させることにより達成でき、例えば多数のコピープラスミドの関連するtRNA遺伝子を宿主細胞に挿入することにより、又はその代わりに発現ベクター自身にtRNA遺伝子を挿入することにより達成できる。大腸菌発現システムを使用する際は、アルグ(arg)U発現(AGG/AGAの認識のため)の卓越した発現を有する大腸菌宿主細胞を使用できる。更にイレックス(ilex,AUAの認識のため)、ロイW(leuW,CUAの認識のため)、プロL(proL,CCCの認識のため)又はグリT(glyT,GGAの認識のため)のためのtRNA遺伝子を含む宿主細胞も使用できる(Brinkmannらの「Genes, 85, 109-114, (1989)」、ケイン・FJ,カーの「Opin. Biotechnol. 6:494-500 (1995)」、ローゼンブルクらの「J. Bacteriol. 175, 716-722, (1993)、及びシーデルらの「Biochemistry, 31, 2598-2608, (1992)」)。
【0113】
他の態様では、発現ベクターは、双方向ヒドロゲナーゼの発現、活性又は機能的ライフを最適化するために、ヌクレオチド配列中に特定の変化を生じさせた、前述の核酸分子を含んで成る。前述した好ましいヒドロゲナーゼ核酸は、遺伝子的なマニピュレーション及び崩壊技術を受ける。種々の遺伝子的なマニピュレーション及び崩壊技術は、DNAシャフリング(米国特許明細書第6132970号、プノネン・Jらの「Science & Medicine, 7(2): 38-47, (2000)」及び米国特許明細書第6132970号)、一連の突然変異生成を含み、これに限定されない。突然変異生成の1つの例は、エラープロンPCRで、これにより、米国特許公開2003−152944号に記載されたエラープロンDNAポリメラーゼの使用と反応条件によるPCRの間に、例えばザ・ジーンモルフ(登録商標)IIキット(米国、ストラータジーン(登録商標))のような商業的に入手できるキットを使用して、突然変異が意図的に導入される。任意抽出されたDNA配列は、発現ベクター中及び変化し又は改良された蛋白質活性のためにスクリーンされた生成する突然変異体のライブラリにクローン化される。
【0114】
[ホックス発現ベクターの調製]
当業者は、発現ベクターの調製に利用できる分子技術を知っているであろう。
【0115】
前述の本発明の発現ベクター中へ組み入れられる核酸分子は、本明細書で述べた互いに誘発できるオリゴヌクレオチドと核酸配列を使用して核酸分子を合成することにより調製できる。
【0116】
DNAを相補的結合末端を通してベクターへリンクするための多数の分子技術が開発されてきた。ある態様では、相補的ホモポリマートラクトが核酸分子に付加されてベクターDNAに挿入される。次いでベクターと核酸分子は、相補的ホモポリマーのテイル間の水素結合で結合されて組替え型DNA分子を形成する。
【0117】
他の態様では、1又は2以上の制限サイトを含む合成リンカーが使用されて、核酸分子を発現ベクターにリンクさせる。ある態様では、前述の通り、核酸分子は、制限エンドヌクレアーゼ消化により発生する。好ましくは、核酸分子を、隆起型の、3'-5'-エキソヌクレチド活性を有する3'-一本鎖末端を除去し、重合活性を有する埋め込まれた3'−末端を充填するバクテリオファージT4DNAポリメラーゼや大腸菌DNAポリメラーゼI1酵素で処理しこれによりブラント末端DNAセグメントを発生する。次いでブラント末端セグメントは、バクテリオファージT4DNAリガーゼのようなブラント末端DNA分子の連結反応を触媒する酵素の存在下、大過剰のリンカー分子で培養される。反応生成物は、その末端に、重合性リンカー配列を有する核酸分子である。これらの核酸分子は、好適な制限酵素で開裂され、核酸分子と互換性のある末端を生産する酵素で開裂された発現ベクターに結合される。
【0118】
その代わりに、連結独立クローニング(ligation independent cloning (LIC)サイトを使用できる。次いで必要とされるPCR増幅された核酸分子は、制限消化又は連結なしに、LICベクター中にクローンされる (アスランディス及びデヨング、Nucl. Acid. Res. 18, 6069-6074, (1990)、 ハウンら、Biotechniques 13, 515-518 (1992))。
【0119】
選択されたプラスミド中へ問題の核酸分子を挿入するために、該核酸分子を単離及び/又は修正するためにはPCRを使用することが好ましい。配列のPCR調製で使用される好適なプレミアは、核酸分子の必要なコード領域を単離し、制限エンドヌクレアーゼ又はLICサイトを付加し、所望の読み出しフレームにコード領域を位置させる。好ましい態様では、サカイらにより開示されているように(Science 239, 487-491, (1988))、本発明の発現ベクター中へ組入れる核酸分子は、ポリメラーゼチェーン反応と好適なオリゴヌクレオチドを使用して調製される。
【0120】
コード領域は増幅され、その一方でプレミア自身は増幅された配列生成物中に組入れられる。好ましい態様では、増幅プレミアは、増幅された配列生成物を好適なベクター中へクローン化するための制限エンドヌクレオチド認識サイトを含んでいる。
【0121】
その技術が周知である、制限エンドヌクレオチド消化及び連結を使用して、配列番号1の核酸分子を、PCRで得て、発現ベクター中に導入することが好ましい。配列番号1の核酸分子を、pET−17b発現ベクターに導入しかつT7プロモータにリンクすることが更に好ましい。
【0122】
その代わりに、配列番号1の核酸分子を、酵母相同的組替えより発現ベクター中に導入しても良い(レイモンら、Biotechniques. 26(1): 134-8, 140-1, 1999)。
【0123】
本発明の発現ベクターは、前述した通り、核酸分子の単一コピーを含んでいても、核酸分子の複数コピーを含んでいても良い。
【0124】
本発明の発現ベクターは、図4に示したように、配列番号1の双方向ヒドロゲナーゼを含むpET−17b発現ベクター(3306bp)であることが好ましい。
【0125】
[宿主細胞]
本明細書で使用する「細胞の精製された調製」とは、培養された細胞又は微生物細胞の場合に、対象細胞の少なくとも10%、より好ましくは50%の調製を意味する。
【0126】
本明細書で使用する「宿主細胞」及び「組替え型宿主細胞」は互いに交換して使用できる。これらの用語は、特定の対象細胞、及びこのような細胞の子孫又は潜在的な子孫を意味する。突然変異や環境的な影響のため、後の世代である種の修正が生じることがあるので、前記子孫細胞は親細胞と同じでなくても良く、依然として本明細書で使用する用語の範囲に含まれる。
【0127】
本発明の他の態様では、本明細書の述べた核酸分子、例えば配列番号1のホックス・オペロン、又はその一部又はフラグメントを含む発現ベクターを含んで成る、本発明の発現システムで使用する宿主細胞が提供される。代替態様では、宿主細胞は、本明細書の述べた核酸分子、例えば配列番号1のホックス・オペロン、又はその一部又はフラグメントを含む発現ベクターを含んで成り、前記ベクターは、宿主細胞のゲノムの特定のサイト中に相同的に再結合することを可能にする配列を更に含む。
【0128】
本発明の発現システムで使用される宿主細胞は、好気性細胞でも、その代わりに条件的好気性細胞でも良い。細胞は、細菌性細胞であることが好ましい。その代わりに、細胞は、酵母細胞(例えばサッカロミセスやピチア)、藻細胞、昆虫細胞又は植物細胞であって良い。
【0129】
細菌性宿主細胞は、グラム陽性及びグラム陰性バクテリアを含む。好適な細胞性宿主細胞は、グラム陰性バクテリアには限定されず、例えば腸内細菌のファミリ、最も好ましくは大腸菌である。大腸菌は、本発明で最も好ましい細菌性宿主細胞である。大腸菌内の発現は、他の発現システムより、特に開発コストが低く、生成率が高いといった多くの利点を提供する。高い蛋白質発現に適した細胞は、例えばE.coli W3110、及びE.coliのB株である。E.coli BL21 , BL21 (DE3)及びBL21 (DE3) pLysS, pLysE, DH1 , DH4I, DH5, DH5I, DH5IF, DH5IMCR, DH10B, DHlOB/p3, DH1 IS, C600, HB101 , JM101 , JM105, JM109, JM110, K38, RR1 , Y1088, Y1089, CSH18, ER1451 , ER1647は発現に特に好ましい。E. coli K12 株も好ましく、これは標準的な実験室の株で、非病原性で、ノバ・ブルー(NovaBlue)、JM109及びDH5α(ノボゲン(登録商標))、E. coli KM RV308, E. coli K12 C600, E. coli HB101ヲ含む(ブラウンのMolecular Biology Labfax (Academic Press (1991)を参照)。
【0130】
その代わりに、サルモネラ(Salmonella)、シゲラ(Shigella)、エンテロバクタ(Enterobacter)、セッラチア(Serratia)、プロテウス(Proteus)及びエルウィニア(Erwinia)類の腸内細菌の類である。他の原格生物の宿主細胞は、セラチア(Serratia)、プソイドモナス(Pseudomonas)、カウロバクタ(Caulobacter)又はシアノバクテリアであり、例えばシネコシスティス又はシネココクス(Synechococcus)株、より好ましくはシスティス種PCC6803又はシネココクス種PCC6301からのバクテリアである。その代わりに、宿主細胞は、バチルス(Bacillus)株、例えばバチルス・ブレビス(brevis)又はバチルス・サブチリス(subtilis)、バチルス・スリンジネシス(thuringienesis)であっても良い。その代わりに、宿主細胞は、ラクトコクス(Lactococcus)株、例えばラクトコクス・ラクチス(lactis)であることができる。その代わりに、細菌性細胞は、放射菌のファミリであっても良く、より好ましくはストレプトミセス(Streptomyces)、ロドコクス(Rhodococcus)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、ミコバクテリウム(Mycobacterium)である。より好ましくはストレプトミセス・リビダンス(lividans)、ストレプトミセス・アンボファシエンス(ambofaciens)、ストレプトミセス・フラディエ(fradiae)、ストレプトミセス・グリセオフスクス(griseofuscus)、ロドコクス・エリスロポリス(erythropolis)、コリネバクテリウム・グルアミクス(gluamicum)、ミコバクテリウム・スメグマチス(smegmatis)である。
【0131】
原核生物宿主細胞中のベクターを繁殖させる標準的な技術は、当業者には周知である(例えば、オウスベルらの「Short Protocols in Molecular Biology 第3版(John Wiley & Sons 1995))」参照)。
【0132】
大腸菌中の組替え蛋白質発現を最大にするために、本発明の発現ベクターは、その中に組入れられた核酸分子を、組替え蛋白質を開裂する能力を有する宿主バクテリア中で発現させられる(ゴッツマン・S、「遺伝子発現技術、酵素学の方法」、Academic Press, San Diego, California, 119-128)。その代わりに、本発明の発現ベクター中に組入れられた核酸分子を弱めて、各アミノ酸用の個々のコドンは、大腸菌中で優先的に利用される(ワダら、(1992) Nucleic Acids Res. 20:2111-2118))。本発明における核酸配列のこのような変化は、標準的なDNA合成技術で実行できる。
【0133】
[宿主細胞の転換]
本発明の発現ベクターは、従来の転換又はトランスフェクシン技術で宿主細胞中に導入できる。
【0134】
本明細書で使用している「転換又はトランスフェクシン」は、外来性核酸を宿主細胞に導入するための種々の公知技術を意味する。本発明の発現ベクターを有する好適な宿主細胞の転換は、公知でベクター及び宿主細胞の両者に依存する方法で達成できる。このような技術は、燐酸カルシウム又は塩化カルシウムの共沈、DEAEデキストリン媒介トランスフェクション、リポフェクション、ケモポレーション又はエレクトロポレーションを含むが、これらに限定されない。
【0135】
細菌性宿主細胞の転換の公知技術は、例えばサムブロックらの「分子クローニング、実験室マニュアル」(Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y)、オウスベルら、「分子生物学の現在のプロトコル」(1987)(John Wiley and Sons, Inc., NY)、コーエンら((1972) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 69, 2110)、ルチャンスキら((1988) MoI. Microbiol. 2, 637-646)に開示されている。これら全ての方法は、本明細書中に組入れられる。
【0136】
例えば転換に成功した細胞、つまり本発明の発現ベクターを含む細胞は、公知の技術で特定できる。例えば本発明の発現ベクターで転換した細胞は、培養して双方向ヒドロゲナーゼ蛋白質複合体を生成させることができる。細胞は、公知技術により発現ベクターDNAの存在を調べることができる。その代わりに、双方向ヒドロゲナーゼ蛋白質複合体又はその一部又はフラグメントの存在を、そこに交配される抗体を使用して検出できる。
【0137】
好ましい態様では、本発明は転換宿主細胞の培養媒体である。好ましくは前記培養媒体はクローン的に相同である。
【0138】
前記した通り、宿主細胞は、発現ベクターの単一コピーを有していても、その代わりに発現ベクターの複数のコピーを含んでいても良い。
【0139】
[水素生産]
前述した通り、核酸分子を含む本発明の発現ベクターを有する宿主細胞の転換は、ヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドを生産(つまり発現)するために使用できる。
【0140】
本発明は、本発明の核酸コード配列を利用し、双方向ヒドロゲナーゼ蛋白質をエンコードする、水素生産を大スケールで行う発現システムを含んで成ることが好ましい。発現システムは、大腸菌発現システムであることが好ましい。
【0141】
本発明の転換された宿主細胞は、宿主有機体に依存する、当業者には良く知られた公知法により、成長又は培養される。一般に、例えば糖の形態の炭素源、一般に酵母や硫酸アンモニウムのような塩の形態の有機窒素源の形態の窒素源、鉄、マンガン、マグネシウムの塩のような痕跡元素、そして好適であるならば、ビタミンを含む液体媒体中で、0℃から100℃の温度、好ましくは10℃から60℃の温度で成長し、酸素ガス処理も行う。
【0142】
液体媒体のpHは、培養期間の間、一定に保持しても、つまり調節しても、しなくても良い。培養体は、バッチ式に、又は
セミーバッチ式に又は連続的に成長できる。養分は、発酵の開始時に与えるか、準連続的又は連続的に与える。生成物は、前述した当業者に周知な方法、例えば抽出、蒸留、結晶化などで、そして好適であるならば塩を使用する沈殿及び/又はクロマログラフィで有機体から単離できる。これにより、宿主細胞は、前もって分離できる。このプロセスでは、pH値は、4から12の間に、好ましくは6から9の間に、特に好ましくは7から8の間に維持する。
【0143】
公知の培養法の概説は、キミル(Chmiel)による教科書 (Bioproze秉ochtechnik 1. Einf≡ochhrung in die Bioverfahrenstechnik [バイオプロセス技術1、 Introduction to Bioprocess technology] (Gustav Fischer Verlag, Stuttgart, 1991))に、 又はストロハス(Storhas)による教科書(Bioreaktoren und periphere Einrichtungen [バイオリアクタ及び周辺機器] (Vieweg Verlag, Brunswick/Wiesbaden, 1994))に見い出すことができる。
【0144】
使用する培養媒体は、問題となる株の要求に好適に合致しなければならない。種々の微生物用の培養媒体の記述は、教科書である「生化学の一般的方法のマニュアル」American Society for Bacteriology (Washington D.C., USA, 1981)に見い出すことができる。
【0145】
前述の通り、本発明で使用できるこれらの媒体は、1又は2以上の炭素源、窒素源、無機塩、ビタミン類及び/又は痕跡元素を含んでいる。
【0146】
好ましい炭素源は、単―、二−又は多糖類のような糖類である。炭素源の例は、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトーセ、リボース、ソルボース、リブロース、ラクトース、マルトース、スクロース、ラフィノース、澱粉又はセルロースである。糖類は、糖液や、糖精製で得られる他の副生物のような複雑な化合物として媒体に加えることができる。種々の炭素源の混合物を添加することは好ましいことである。他の可能な炭素源は、例えば大豆油、ヒマワリ油、ピーナッツ油及び/又はココナツ油、更にパルミチン酸、ステアリン酸及び/又はリノール酸のような脂肪酸、例えばグリセリン、メタノール及び/又はエタノールのようなアルコール及び/又はポリアルコール、及び/又は例えば酢酸及び/又は乳酸のような有機酸である。
【0147】
窒素源は、一般的に有機又は無機窒素化合物又はこれらの化合物を含む物質である。窒素源の例は、液状又はガス状のアンモニア、又は硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、炭酸アンモニウム又は硝酸アンモニウムのようなアンモニウム塩、硝酸塩、尿素、アミノ酸、又はコーンリカー、大豆、大豆蛋白質、酵母抽出物、肉抽出物などである。窒素源は個々に使用しても混合物で使用しても良い。
【0148】
媒体中に存在しても良い無機塩化合物は、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、コバルト、モリブデン、カリウム、マンガン、亜鉛、銅及び鉄の塩化物、燐酸塩及び硫酸塩を含む。
【0149】
例えば硫酸塩、亜硫酸塩、亜ジチオン酸塩、テトラチオン酸塩、チオ硫酸塩、スルフィド等の{さんえん}{さんえん}硫黄含有無機化合物や、メルカプタンやチオール等の他の有機硫黄化合物は、硫黄含有薬品、特にメチオニンの生産用の硫黄源として使用できる。
【0150】
燐酸、燐酸二水素カリウム又は燐酸水素二カリウム又は対応するナトリウム含有塩を燐源として使用できる。
【0151】
キレート化剤を媒体に加えて、金属イオンを溶液中に保持できる。特に好ましいキレート化剤は、カテコールやプロトカテクエートのようなジヒドロキシフェノール、及びクエン酸のような有機酸を含む。
【0152】
通常宿主細胞を培養するために本発明で使用する発酵媒体は、例えばビオチン、リボフラビン、チアミン、葉酸、ニコチン酸、パントテネート及びピリドキシンを含むビタミンなどの他の成長因子や成長プロモーターを含む。成長因子及び塩は、酵母抽出物、モラッセ、コーンリカー等の複合体媒体成分からしばしば誘導される。更に培養媒体に好適な前駆体を加えることも可能である。媒体化合物の抽出組成物は、特定の実験に大きく依存し、各場合について個々に決定される。媒体の最適化に関する情報は、教科書である「応用微生物生理学、実践的なアプローチ」(編者:P.M.ローズ、P.F.スタンベリ、IRL Press (1997) pp. 53-73, ISBN 0 19 963577 3)で見い出すことができる。成長媒体は、例えばスタンダード1(メルク社)又はBHI(ブレインハートインフュージョン、DIFCO)である商業的なサプライヤーから入手できる。
【0153】
全ての媒体成分は、熱(1.5バール、121℃で20分)又は濾過消毒で消毒する。各成分は、全て一緒に、又必要があれば別個に消毒する。全ての媒体成分は、培養の開始時に存在しても良く、所望の通り、連続的又はバッチ式で加えても良い。
【0154】
培養温度は、一般に15℃から45℃、好ましくは25℃から40℃、より好ましくは25℃から37℃、更に好ましくは35℃から37℃、更に好ましくは37℃であり、一定に維持しても実験中に変化させても良い。媒体のpHは、5から8.5の範囲、好ましくは7,0前後である。培養のためのpHは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、及び水性アンモニアなどの塩基性成分、又は燐酸又は硫酸のような酸性成分を加えて、培養中にコントロールできる。例えば脂肪酸ポリグリコールエステルのような反発泡剤を使用して発泡をコントロールできる。ベクターの強度を維持するために、例えば抗生物質のような選択効果を有する好適な物質を、媒体に添加することが可能である。媒体に、例えば大気のような酸素や酸素含有ガス混合物を導入して、好気的条件を維持できる。培地の温度は一般的に20℃から45℃で、好ましくは25℃から40℃である。培養は、所望生成物の生成が最大になるまで連続する。この目的は通常10から150時間内に達成される。
【0155】
このようにして得られる発酵ブロス、特にポリ不飽和脂肪酸を含むものは、一般に7.5重量%から25重量%の乾燥重量を有する。
【0156】
次いで発酵ブロスを更に加工する。要求に従って、バイオマスを、遠心分離、濾過、デカンテーションにような分離方法、又はこれらの技術の組み合わせにより、発酵ブロスから完全に又は部分的に除去するか、発酵ブロス中に完全に残しておく。分離後にバイオマスの処理を行うのが有利である。
【0157】
しかし、例えば回転エバポレータ、薄肉フィルムエバポレータ、フォーリングフィルムエバポレータの補助で、逆浸透又はナノ濾過を使用して、細胞を分離せずに、発酵ブロスを濃縮できる。最後に濃縮された発酵ブロスを処理して、脂肪酸を得た。
【0158】
転換された宿主細胞は培養し、双方向ヒドロゲナーゼ蛋白質複合体を生成させることが好ましい。宿主細胞により水素生産を起こさせることのできる条件で、細胞を培養することが好ましい。
【0159】
特に、本発明の双方向ヒドロゲナーゼ発現システムを使用して、大スケールの水素を生産することが要求される際は、バッチ発酵を使用して、転換宿主細胞の培養を行うことができる。その代わりに、供給バッチ及び/又は連続培養を使用して、本発明の双方向ヒドロゲナーゼ発現システムで転換された宿主細胞から水素を発生させることができる。
【0160】
転換宿主細胞は、好気又は嫌気性条件下で培養できる。好気条件下では、例えば還元剤や酸素スカベンジャーの添加、又は天然ガスで反応媒体をパージすることにより、酸素が培養媒体から連続的に除去されることが好ましい。
【0161】
宿主細胞の大スケール培養に関する公知技術は、例えばベイリーとオリスの「生化学工学の基礎」((1986) Biochemical Engineering Fundamentals, McGraw-Hill, Singapore)又はシュラーの「生化学プロセス工学、基礎的概念」(Prentice Hall)に開示されている。全ての文献は、本明細書中に組み入れられる。
【0162】
転換された宿主細胞は、発現ベクター用の好適で選択できる抗生物質を含むLB中で培養される。転換された宿主細胞は、OD600が0.6から1.0に達するまで、37℃で振とうしながら培養する。次いで、培地を4℃で一晩貯蔵する。翌朝、細胞を遠心分離で集める(微小遠心管中で30秒)。次いで、集めた細胞を、新鮮なLB媒体中に再度懸濁させる。LB媒体は付加的な栄養媒体を含んでいることが好ましい。栄養媒体は、BG−11又はBG−110媒体であることが好ましい(スタニア R.Y.ら、 (1971) Bacteriol. Rev. 35: 171- 205)。
【0163】
好ましくは、本発明の双方向ヒドロゲナーゼコード配列を最適に発現させる細菌性細胞の培地の双方向ヒドロゲナーゼの含有量は、全細胞の培地1リットル当たり、少なくとも100nmolであり、全細胞の培地1リットル当たり、少なくとも150nmolであることが好ましく、全細胞の培地の培地1リットル当たり、ほぼ250nmolであることがより好ましく、全細胞の培地1リットル当たり、約500nmolであることがより以上に好ましく、全細胞の培地1リットル当たり、約1000nmolであることが最も好ましい。双方向ヒドロゲナーゼ含有量の典型的な値は、全細胞の培地1リットル当たり、約200nmolである。
【0164】
本発明の宿主細胞は、例えばバイオリアクタのような容器中で培養できる。例えば発酵装置であるバイオリアクタは、細胞や酵素を含む容器であり、工業的スケールで分子生産に使用される。該分子は、容器内に含まれる細胞により、又は反応容器内で完了する酵素反応により製造される、組替え蛋白質(例えばヒドロゲナーゼなどの酵素)又は化合物である。細胞を利用するバイオリアクタは、対象とする細胞を含み、反応を進行させるために必要な、全ての栄養分、及び/又は共同因子を含む。
【0165】
[実施例]
[実施例1]
[発現ベクターの構築]
双方向ヒドロゲナーゼ蛋白質複合体コード領域(配列番号1)を、シネコシスティス種PCC6803ライブラリをテンプレートとして使用し、更にオリゴヌクレオチド・プレミアのSynBamFwd(ccaatcatgg atccgctgta ttgctccttt ttgagg (配列番号14))及びSynEcoRev(ggattactga attcccgtct gaatgttttt tg (配列番号15))を使用して生成させた。生成した遺伝子配列は、配列番号1をエンコードし、これはそれぞれ5´末端及び3´末端に組み入れられたBamHI及びEcoRを含んでいた。
【0166】
生成したPCR生成物を、組み入れられた制限サイト、BamHI及びEcoRIで制限エンドヌクレアーゼで開裂させ、T4リガーゼを使用するライゲーションにより、これも、BamHI及びEcoRIを使用して、制限エンドヌクレアーゼ消化で開裂させた発現ベクターpET-17b(前述した)に挿入した。これは、図4に示してある。
【0167】
[実施例2]
[発現ベクターの構築]
他の例では、双方向ヒドロゲナーゼ蛋白質複合体コード領域(配列番号1)を、シネコシスティス種PCC6803ライブラリをテンプレートとして使用し、更にオリゴヌクレオチド・プレミアのSynBamFwd(ccaatcatgg atccgctgta ttgctccttt ttgagg (配列番号14))及びSynEcoRev(ggattactga attcccgtct gaatgttttt tg (配列番号15))を使用して生成させた。生成した遺伝子配列は、配列番号1をエンコードし、これはそれぞれ5´末端及び3´末端に組み入れられたBamHI及びEcoRを含んでいた。
【0168】
生成したPCR生成物を、組み入れられた制限サイト、BamHI及びNotlで制限エンドヌクレアーゼで開裂させ、T4リガーゼを使用するライゲーションにより、これも、BamHI及びNotlを使用して、制限エンドヌクレアーゼ消化で開裂させた発現ベクターpET-17b(前述した)に挿入した。
【0169】
[実施例3]
[転換]
実施例1及び2で述べた発現ベクターの各々を、ノバブルー(登録商標)コンピテント細胞(ノバゲン、登録商標、アメリカ合衆国)中に転換させた。1μlの各発現ベクター生成物と20μlのノバブルー(登録商標)細胞を、氷の上で5分間、42℃で30秒分間、次いで氷の上で2分間培養した。80μlのSOC(RT)を加え、反応混合物を37℃で60分間培養した。次いで反応混合物を、50μlのカルベニシリンを含むLB寒天上に位置させ、37℃で20時間放置した。
【0170】
[ベクターの安定性]
大腸菌発現ベクター形質転換細胞及びNotl発現ベクター形質転換細胞の両者からのコロニーを選択し、その100μlを、50μg/mlのカルベニシリンを含む10.0mlのLBブロス中に再懸濁させた。次いで反応混合物を、37℃で20時間培養し、250rpmで振とうさせた。
【0171】
pFT17bホックス・プラスミドの存在を確認するために、プラスミドを、培養した単離体から抽出した。Notlプラスミドの抽出は、モバイオ(登録商標)6・ミヌート・ミニ・プラスミド抽出キット(MO BIO Laboratories、アメリカ合衆国)を使用して行った。大腸菌プラスミドの抽出は、キアゲン(登録商標)・ミニ・プラスミド抽出キット(キアゲン・インコーポレーテッド、アメリカ合衆国)を使用して行った。
【0172】
抽出されたプラスミドには、BamHI及びEcoRI又はBamHI及びNotlを使用して、制限消化を行い、消化した生成物には、100Vで60分間、0.6%のTAEアガロース・ゲル上で、ゲル電気泳動を行った。正確なサイズのフラグメントである3.3kb−pET−17bベクターと6.4kbのホックス・オペロン核酸分子挿入体を含む株が検出された。
【0173】
[双方向五量体ヒドロゲナーゼ蛋白質複合体の発現]
1つがNotlで他がEcoRIであり、正確なサイズのフラグメントを含む2種の単離体を、大腸菌、BL21及びBL21 (DE3)pLys5の細胞ラインに導入した。具体的には、1ng/μl希釈の単離細胞を調製し、氷の上で5分間、42℃で30秒間、次いで再度氷の上で2分間培養することにより、BL21及びBL21(DE3)pLys5の細胞ラインに導入した。次いで80μlのSOC(RT)を追加し、反応混合物を37℃で60分間培養した。次いで100μlの反応混合物を、50μg/mlのカルベニチリン又はアンピシリンを含むLB寒天プレート上に筋が付くように塗布し、次いで37℃で一晩培養した。
【0174】
50μg/mlのカルベニシリンを含む1mlのLBブロス中に形質転換コロニーを有する、Notlベクターを導入した細胞のコロニーを接種材料として使用し、250mlフラスコ中の50mlの培地に接種するために使用した。同様に、EcoRIベクターを導入した細胞のコロニーを接種材料として使用した。フラスコ培地のそれぞれを、37℃で培養し、次いで250rpmで4〜5時間、振とうさせた。次いで培地を、蛋白質発現刺激(200μlの10OnM・IPTG(最終濃度は0.4nM)を加えることにより誘導)を与え又は与えずに、培養した。3時間、振とうを続けながら、培地を更に37んで培養した。次いで、4℃における5000xgの遠心分離で細胞を採取した。細胞のペレットを、後日の使用のために、70℃で乾燥貯蔵した。
【0175】
組替え双方向ヒドロゲナーゼ蛋白質複合体を、不溶性封入体として及び可溶性蛋白質として蓄積した。ペレットを、pH8.0の12.5ml TRIS-HCIで1回洗浄した。
【0176】
封入体蛋白質を、2mlの細菌性蛋白質抽出試薬(燐酸緩衝液中のB−PER、ピアス社、アメリカ合衆国)及び40μlの濃度が10mg/mlのリコザイム(最終濃度は、200μg/ml)を使用して抽出し、細胞のかけらを更に消化し、封入体を形成した。次いで「封入体」ペレットを、加熱、渦巻き及び音響により、1%SDS(1ml)に溶解した。
【0177】
2mlのB-PER試薬(ピアス社、アメリカ合衆国)及び渦巻き又はピペット操作のいずれかによる機械的均一化を使用して、可溶性蛋白質を抽出した。次いでこのフラクションを、27200x gでの1時間の遠心分離で分離し、90%を超える回収率を達成した。可溶性蛋白質のフラクションを、5mlのトリクロロ酢酸/アセトン(5mlの6NのTCA又は3mlのTCA,300μlのTBPを、アセトンを使用して全量が30mlになるようにした)を添加して濃縮し、十分混合し、−20℃で貯蔵した。次いでこの混合物を4600xgで1時間掛けて遠心分離し平衡緩衝液(300μlのTBPをアセトンで29700μlにした)で洗浄した。次いでペレットを1%のSDSに再懸濁し、再度加熱、渦巻き及び音響の助けを借りた。
【0178】
続いて、Notl及びEcoRI転換細胞から単離された、可溶性蛋白質及び封入体を、ポリアクリルアミド・ゲル電気泳動(SDS-PAGE)を使用して分離した。具体的には、10μlの各サンプル(両者とも誘発されあるいはされていないDE3及びpLysSを使用して転換されたNotl及びEcoRI細胞からの可溶性蛋白質及び封入体)を、150Vで65分間、10%のSDS-PAGEゲル上で、操作した。これに続けて、1時間、染色し、一晩脱染した。
【0179】
生成するSDS-PAGEゲル内の、2種の双方向水素サブユニット(ジアフォラーゼ及びネイティブ)の相対位置を考慮に入れて、質量分析計を使用する同定の前に、バンドを切除し、洗浄し、抽出したトリプシン及びペプチドで消化した。QqTOF-MS-MSを使用するペプチドのフィンガープリント法の結果は、誘発されたDE3及びNotl転換細胞ライン中のホックスU及びホックスUサブユニットの存在が示された。誘発されたEcoRI転換細胞の結果は、ホックスH、ホックスU, ホックスF及びホックスYの存在を示し、更にDE3及びpLysS大腸菌細胞ライン内の封入体も示した。
【0180】
本願と同時又は本願に先立って出願されかつ公開された全ての出願書類に注目して頂きたい。それらの書類の全ての内容は、それを参照することにより、本明細書に含まれる。
【0181】
本明細書で開示した全ての態様(特許請求の範囲、要約及び図面を含む)及び/又は開示された任意の方法の全ての工程は組み合わせることができる(前記態様が互いに排他的で、組み合わせることができない場合を除く)。
【0182】
本明細書で開示した各態様(特許請求の範囲、要約及び図面を含む)は、明示がある場合を除き、同じ等価物として機能しあるいは類似の目的を達成する代替態様と置換できる。従って明示がなければ、開示された各態様は、包括的な一連の等価物又は類似態様の一例に過ぎない。
【0183】
本発明は、前述の実施形態の詳細に限定されるものではない。本発明は、本明細書(特許請求の範囲、要約及び図面を含む)で開示した新規な態様、新規な組み合わせに及ぶ。
【図面の簡単な説明】
【0184】
【図1】全シネコシスティス種PCC6803ゲノム内の全ての水素代謝関連遺伝子の1:1000スケールのグラフィック表示である。
【図2】シネコシスティス種PCC6803ゲノム内のホックス・オペロンの概略表示である。
【図3】発現ベクターpET-17bの概略表示である。
【図4】配列番号1のヌクレオチド配列を有する核酸分子を含む本発明の発現ベクターの概略表示である。
【図5A】配列番号1のヌクレオチド配列の第1の部分である。
【図5B】配列番号1のヌクレオチド配列の第2の部分である。
【図5C】配列番号1のヌクレオチド配列の第3の部分である。
【図6】配列番号2のヌクレオチド配列である。
【図7】配列番号3のヌクレオチド配列である。
【図8】配列番号4のヌクレオチド配列である。
【図9】配列番号5のヌクレオチド配列である。
【図10】配列番号6のヌクレオチド配列である。
【図11】配列番号7のヌクレオチド配列である。
【図12】配列番号8のヌクレオチド配列である。
【図13】配列番号9のヌクレオチド配列である。
【図14】配列番号10のヌクレオチド配列である。
【図15】配列番号11のヌクレオチド配列である。
【図16】配列番号12のヌクレオチド配列である。
【図17】配列番号13のヌクレオチド配列である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)転写プロモータ成分、
b)シアノバクテリアヒドロゲナーゼと協働して特定の酵素活性を有するポリペプチドをエンコードする核酸分子、及び
c)転写ターミネータ、
のリンクして作用する成分を含んで成る、ヒドロゲナーゼ蛋白質又はヒドロゲナーゼ蛋白質複合体を生産するための発現ベクター。
【請求項2】
核酸分子が、
i)配列番号1のヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
ii)配列番号1のヌクレオチド配列に対して少なくとも70%の同一性を有し、ヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをエンコードする核酸分子、
iii)配列番号1のヌクレオチド配列にハイブリダイズし、ヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをエンコードする核酸分子、及び
iv)前記i)、ii)及びiii)の配列への遺伝子コードの結果として、変質したヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
から成る群から選択される請求項1記載の発現ベクター。
【請求項3】
核酸分子が、配列番号1のヌクレオチド配列から成る請求項2記載の発現ベクター。
【請求項4】
核酸分子が、
i)配列番号2、4、7、9及び12のそれぞれのヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
ii)配列番号2に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、配列番号4に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、配列番号7に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、配列番号9に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、及び配列番号11に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
iii)配列番号2に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号4に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号7に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号9に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、及び配列番号11に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列から成る核酸分子
から成る群から選択される請求項1記載の発現ベクター。
【請求項5】
核酸分子が、配列番号2、4、7、9及び12のそれぞれのヌクレオチド配列から成る請求項4記載の発現ベクター。
【請求項6】
核酸分子が、
i)配列番号2、4、7、9及び12の少なくとも1つのヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、又は
ii)配列番号2に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号4に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号7に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号9に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、及び配列番号11に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列の少なくとも1つのヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
から成る群から選択される請求項1記載の発現ベクター。
【請求項7】
核酸分子が、配列番号2の核酸配列で表される核酸分子か、又は配列番号2にハイブリッドしかつジアホラーゼ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である請求項6に記載の発現ベクター。
【請求項8】
核酸分子が、配列番号4の核酸配列で表される核酸分子か、又は配列番号4にハイブリッドしかつNADHデヒドロゲナーゼI活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である請求項6に記載の発現ベクター。
【請求項9】
核酸分子が、配列番号の核酸配列7で表される核酸分子か、又は配列番号7にハイブリッドしかつNAD還元デヒドロゲナーゼガンマ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である請求項6に記載の発現ベクター。
【請求項10】
核酸分子が、配列番号9の核酸配列で表される核酸分子か、又は配列番号9にハイブリッドしかつNAD還元デヒドロゲナーゼデルタ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である請求項6に記載の発現ベクター。
【請求項11】
核酸分子が、配列番号12の核酸配列で表される核酸分子か、又は配列番号12にハイブリッドしかつNAD還元デヒドロゲナーゼベータ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である請求項6に記載の発現ベクター。
【請求項12】
核酸分子が、配列番号3、5、8、10及び13のそれぞれのポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列から成る請求項1に記載の発現ベクター。
【請求項13】
変異核酸分子が、厳格なハイブリダイゼーション条件下でハイブリッドする請求項7〜12のいずれか1項に記載の発現ベクター。
【請求項14】
転写プロモーター成分が、前記核酸分子又は変異核酸分子に、誘導発現を起こす成分を含んで成る請求項1〜13のいずれか1項に記載の発現ベクター。
【請求項15】
転写プロモーター成分が、前記核酸分子又は変異核酸分子に、抑制発現を起こす成分を含んで成る請求項1〜13のいずれか1項に記載の発現ベクター。
【請求項16】
転写プロモーター成分が、前記核酸分子又は変異核酸分子に、構成的発現を起こす成分を含んで成る請求項1〜13のいずれか1項に記載の発現ベクター。
【請求項17】
発現ベクターが、選択可能なマーカーを含む請求項1〜16のいずれか1項に記載の発現ベクター。
【請求項18】
発現ベクターが、翻訳調節成分を含んで成る請求項1〜17のいずれか1項に記載の発現ベクター。
【請求項19】
翻訳調節成分が、リボゾーム結合配列である請求項18に記載の発現ベクター。
【請求項20】
核酸分子が、ヌクレオチド配列に特定の変化を受けて、コドン使用を最適化されている請求項1〜19のいずれか1項に記載の発現ベクター。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか1項に記載の発現ベクターで形質変換された宿主細胞。
【請求項22】
宿主細胞が、細菌性細胞である請求項21に記載の宿主細胞。
【請求項23】
細菌性細胞が、グラム陰性細菌性細胞である請求項22に記載の宿主細胞。
【請求項24】
前記細胞が、エシェリキア(Escherichia)種の属である請求項23に記載の宿主細胞。
【請求項25】
前記細胞が、大腸菌(Escherichia coli.)である請求項24に記載の宿主細胞。
【請求項26】
前記細胞が、大腸菌BL21又は大腸菌BL21(DE3)pLys5である請求項25に記載の宿主細胞。
【請求項27】
細菌性細胞が、グラム陽性細菌性細胞である請求項22に記載の宿主細胞。
【請求項28】
細胞が、tRNA遺伝子を含むベクターを含んで成る請求項21〜27のいずれか1項に記載の宿主細胞。
【請求項29】
tRNA遺伝子が、argU、ilex、leuW、Prol又はglyTをエンコードする請求項28に記載の宿主細胞。
【請求項30】
i) 少なくとも1個のシアノバクテリアヒドロゲナーゼ遺伝子を含んで成る核酸分子を、発現ベクター中に組み入れて宿主細胞中で発現させ、かつ
ii)発現ベクターで宿主細胞をトランスフェクトし、生成するトランスフェクトされた宿主細胞が水素を生産することを特徴とする方法。
【請求項31】
少なくとも1つのヒドロゲナーゼ遺伝子が、双方向ヒドロゲナーゼ遺伝子である請求項30に記載の方法。
【請求項32】
シアノバクテリアが、シネコシスティス(Synechocystis)属である請求項30又は31に記載の方法。
【請求項33】
シアノバクテリアが、シネコシスティス(Synechocystis)種PCC6803である請求項32に記載の方法。
【請求項34】
核酸分子が、
i)配列番号1のヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
ii)配列番号1のヌクレオチド配列に対して少なくとも70%の同一性を有する酸分子、
iii)配列番号1のヌクレオチド配列にハイブリダイズする核酸分子、及び
iv)前記i)、ii)及びiii)の配列への遺伝子コードの結果として、変質したヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
から成る群から選択される請求項30〜33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
核酸分子が、配列番号1のヌクレオチド配列から成る請求項34に記載の方法。
【請求項36】
核酸分子が、
i)配列番号2、4、7、9及び12のそれぞれのヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
ii)配列番号2に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、配列番号4に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、配列番号7に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、配列番号9に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、及び配列番号11に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、及び
iii)配列番号2に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号4に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号7に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号9に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、及び配列番号11に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列から成る核酸分子
から成る群から選択される請求項30〜35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
核酸分子が、配列番号2、4、7、9及び12のそれぞれのヌクレオチド配列から成る請求項36記載の方法。
【請求項38】
核酸分子が、
i)配列番号2、4、7、9及び12の少なくとも1つのヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、又は
ii)配列番号2に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号4に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号7に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号9に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、及び配列番号11に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列の少なくとも1つのヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
から成る群から選択される請求項30〜33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
核酸分子が、配列番号2の核酸配列で表される核酸分子か、又は配列番号2にハイブリッドしかつジアホラーゼ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である請求項38に記載の方法。
【請求項40】
核酸分子が、配列番号4の核酸配列で表される核酸分子か、又は配列番号4にハイブリッドしかつNADHデヒドロゲナーゼI活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である請求項38に記載の方法。
【請求項41】
核酸分子が、配列番号の核酸配列7で表される核酸分子か、又は配列番号7にハイブリッドしかつNAD還元デヒドロゲナーゼガンマ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である請求項38に記載の方法。
【請求項42】
核酸分子が、配列番号9の核酸配列で表される核酸分子か、又は配列番号9にハイブリッドしかつNAD還元デヒドロゲナーゼデルタ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である請求項38に記載の方法。
【請求項43】
核酸分子が、配列番号12の核酸配列で表される核酸分子か、又は配列番号12にハイブリッドしかつNAD還元デヒドロゲナーゼベータ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である請求項38に記載の方法。
【請求項44】
核酸分子が、配列番号3、5、8、10及び13のそれぞれのポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列から成る請求項38に記載の方法。
【請求項45】
請求項21〜29のいずれか1項に記載の宿主細胞と、該細胞の成長をサポートするために十分な媒体を含む反応容器。
【請求項46】
容器がバイオレアクタである請求項45に記載の反応容器。
【請求項47】
容器が発酵槽である請求項45又は46に記載の反応容器。
【請求項48】
i) 請求項21〜29のいずれか1項に記載の宿主細胞を含む容器を準備し、
ii)該容器内に含まれる細胞培養により水素生産を容易にするための細胞培養を条件を提供し、必要であれば
iii)容器から水素を回収する
各工程を含んで成る水素の生産方法。
【請求項49】
i) 請求項21〜29のいずれか1項に記載の宿主細胞を含む反応容器、及び、
ii)細胞培養容器に流体を介して接続された第2の反応容器、
を含んで成り、
該第2の反応容器が、i)の反応容器内に含まれる細胞により生産される水素の回収及び/又は貯蔵に使用される、細胞により生産されかつ回収される水素生産装置。
【請求項50】
水素生産のための組み換え発現システムにおいて、シアノバクテリアヒドロゲナーゼを使用する方法。
【請求項51】
シアノバクテリアヒドロゲナーゼが,
i)配列番号1のヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
ii)配列番号1のヌクレオチド配列に対して少なくとも70%の同一性を有し、ヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをエンコードする核酸分子、
iii)配列番号1のヌクレオチド配列にハイブリダイズし、ヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをエンコードする核酸分子、及び
iv)前記i)、ii)及びiii)の配列への遺伝子コードの結果として、変質したヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
から成る群から選択される核酸分子でエンコードされる請求項51に記載の方法。
【請求項52】
配列番号1の核酸配列で表される核酸分子。
【請求項1】
a)転写プロモータ成分、
b)シアノバクテリアヒドロゲナーゼと協働して特定の酵素活性を有するポリペプチドをエンコードする核酸分子、及び
c)転写ターミネータ、
のリンクして作用する成分を含んで成る、ヒドロゲナーゼ蛋白質又はヒドロゲナーゼ蛋白質複合体を生産するための発現ベクター。
【請求項2】
核酸分子が、
i)配列番号1のヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
ii)配列番号1のヌクレオチド配列に対して少なくとも70%の同一性を有し、ヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをエンコードする核酸分子、
iii)配列番号1のヌクレオチド配列にハイブリダイズし、ヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをエンコードする核酸分子、及び
iv)前記i)、ii)及びiii)の配列への遺伝子コードの結果として、変質したヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
から成る群から選択される請求項1記載の発現ベクター。
【請求項3】
核酸分子が、配列番号1のヌクレオチド配列から成る請求項2記載の発現ベクター。
【請求項4】
核酸分子が、
i)配列番号2、4、7、9及び12のそれぞれのヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
ii)配列番号2に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、配列番号4に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、配列番号7に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、配列番号9に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、及び配列番号11に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
iii)配列番号2に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号4に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号7に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号9に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、及び配列番号11に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列から成る核酸分子
から成る群から選択される請求項1記載の発現ベクター。
【請求項5】
核酸分子が、配列番号2、4、7、9及び12のそれぞれのヌクレオチド配列から成る請求項4記載の発現ベクター。
【請求項6】
核酸分子が、
i)配列番号2、4、7、9及び12の少なくとも1つのヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、又は
ii)配列番号2に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号4に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号7に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号9に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、及び配列番号11に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列の少なくとも1つのヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
から成る群から選択される請求項1記載の発現ベクター。
【請求項7】
核酸分子が、配列番号2の核酸配列で表される核酸分子か、又は配列番号2にハイブリッドしかつジアホラーゼ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である請求項6に記載の発現ベクター。
【請求項8】
核酸分子が、配列番号4の核酸配列で表される核酸分子か、又は配列番号4にハイブリッドしかつNADHデヒドロゲナーゼI活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である請求項6に記載の発現ベクター。
【請求項9】
核酸分子が、配列番号の核酸配列7で表される核酸分子か、又は配列番号7にハイブリッドしかつNAD還元デヒドロゲナーゼガンマ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である請求項6に記載の発現ベクター。
【請求項10】
核酸分子が、配列番号9の核酸配列で表される核酸分子か、又は配列番号9にハイブリッドしかつNAD還元デヒドロゲナーゼデルタ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である請求項6に記載の発現ベクター。
【請求項11】
核酸分子が、配列番号12の核酸配列で表される核酸分子か、又は配列番号12にハイブリッドしかつNAD還元デヒドロゲナーゼベータ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である請求項6に記載の発現ベクター。
【請求項12】
核酸分子が、配列番号3、5、8、10及び13のそれぞれのポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列から成る請求項1に記載の発現ベクター。
【請求項13】
変異核酸分子が、厳格なハイブリダイゼーション条件下でハイブリッドする請求項7〜12のいずれか1項に記載の発現ベクター。
【請求項14】
転写プロモーター成分が、前記核酸分子又は変異核酸分子に、誘導発現を起こす成分を含んで成る請求項1〜13のいずれか1項に記載の発現ベクター。
【請求項15】
転写プロモーター成分が、前記核酸分子又は変異核酸分子に、抑制発現を起こす成分を含んで成る請求項1〜13のいずれか1項に記載の発現ベクター。
【請求項16】
転写プロモーター成分が、前記核酸分子又は変異核酸分子に、構成的発現を起こす成分を含んで成る請求項1〜13のいずれか1項に記載の発現ベクター。
【請求項17】
発現ベクターが、選択可能なマーカーを含む請求項1〜16のいずれか1項に記載の発現ベクター。
【請求項18】
発現ベクターが、翻訳調節成分を含んで成る請求項1〜17のいずれか1項に記載の発現ベクター。
【請求項19】
翻訳調節成分が、リボゾーム結合配列である請求項18に記載の発現ベクター。
【請求項20】
核酸分子が、ヌクレオチド配列に特定の変化を受けて、コドン使用を最適化されている請求項1〜19のいずれか1項に記載の発現ベクター。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか1項に記載の発現ベクターで形質変換された宿主細胞。
【請求項22】
宿主細胞が、細菌性細胞である請求項21に記載の宿主細胞。
【請求項23】
細菌性細胞が、グラム陰性細菌性細胞である請求項22に記載の宿主細胞。
【請求項24】
前記細胞が、エシェリキア(Escherichia)種の属である請求項23に記載の宿主細胞。
【請求項25】
前記細胞が、大腸菌(Escherichia coli.)である請求項24に記載の宿主細胞。
【請求項26】
前記細胞が、大腸菌BL21又は大腸菌BL21(DE3)pLys5である請求項25に記載の宿主細胞。
【請求項27】
細菌性細胞が、グラム陽性細菌性細胞である請求項22に記載の宿主細胞。
【請求項28】
細胞が、tRNA遺伝子を含むベクターを含んで成る請求項21〜27のいずれか1項に記載の宿主細胞。
【請求項29】
tRNA遺伝子が、argU、ilex、leuW、Prol又はglyTをエンコードする請求項28に記載の宿主細胞。
【請求項30】
i) 少なくとも1個のシアノバクテリアヒドロゲナーゼ遺伝子を含んで成る核酸分子を、発現ベクター中に組み入れて宿主細胞中で発現させ、かつ
ii)発現ベクターで宿主細胞をトランスフェクトし、生成するトランスフェクトされた宿主細胞が水素を生産することを特徴とする方法。
【請求項31】
少なくとも1つのヒドロゲナーゼ遺伝子が、双方向ヒドロゲナーゼ遺伝子である請求項30に記載の方法。
【請求項32】
シアノバクテリアが、シネコシスティス(Synechocystis)属である請求項30又は31に記載の方法。
【請求項33】
シアノバクテリアが、シネコシスティス(Synechocystis)種PCC6803である請求項32に記載の方法。
【請求項34】
核酸分子が、
i)配列番号1のヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
ii)配列番号1のヌクレオチド配列に対して少なくとも70%の同一性を有する酸分子、
iii)配列番号1のヌクレオチド配列にハイブリダイズする核酸分子、及び
iv)前記i)、ii)及びiii)の配列への遺伝子コードの結果として、変質したヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
から成る群から選択される請求項30〜33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
核酸分子が、配列番号1のヌクレオチド配列から成る請求項34に記載の方法。
【請求項36】
核酸分子が、
i)配列番号2、4、7、9及び12のそれぞれのヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
ii)配列番号2に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、配列番号4に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、配列番号7に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、配列番号9に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、及び配列番号11に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、及び
iii)配列番号2に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号4に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号7に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号9に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、及び配列番号11に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列から成る核酸分子
から成る群から選択される請求項30〜35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
核酸分子が、配列番号2、4、7、9及び12のそれぞれのヌクレオチド配列から成る請求項36記載の方法。
【請求項38】
核酸分子が、
i)配列番号2、4、7、9及び12の少なくとも1つのヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、又は
ii)配列番号2に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号4に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号7に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号9に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、及び配列番号11に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列の少なくとも1つのヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
から成る群から選択される請求項30〜33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
核酸分子が、配列番号2の核酸配列で表される核酸分子か、又は配列番号2にハイブリッドしかつジアホラーゼ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である請求項38に記載の方法。
【請求項40】
核酸分子が、配列番号4の核酸配列で表される核酸分子か、又は配列番号4にハイブリッドしかつNADHデヒドロゲナーゼI活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である請求項38に記載の方法。
【請求項41】
核酸分子が、配列番号の核酸配列7で表される核酸分子か、又は配列番号7にハイブリッドしかつNAD還元デヒドロゲナーゼガンマ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である請求項38に記載の方法。
【請求項42】
核酸分子が、配列番号9の核酸配列で表される核酸分子か、又は配列番号9にハイブリッドしかつNAD還元デヒドロゲナーゼデルタ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である請求項38に記載の方法。
【請求項43】
核酸分子が、配列番号12の核酸配列で表される核酸分子か、又は配列番号12にハイブリッドしかつNAD還元デヒドロゲナーゼベータ活性を有するポリペプチドをエンコードする変異核酸分子である請求項38に記載の方法。
【請求項44】
核酸分子が、配列番号3、5、8、10及び13のそれぞれのポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列から成る請求項38に記載の方法。
【請求項45】
請求項21〜29のいずれか1項に記載の宿主細胞と、該細胞の成長をサポートするために十分な媒体を含む反応容器。
【請求項46】
容器がバイオレアクタである請求項45に記載の反応容器。
【請求項47】
容器が発酵槽である請求項45又は46に記載の反応容器。
【請求項48】
i) 請求項21〜29のいずれか1項に記載の宿主細胞を含む容器を準備し、
ii)該容器内に含まれる細胞培養により水素生産を容易にするための細胞培養を条件を提供し、必要であれば
iii)容器から水素を回収する
各工程を含んで成る水素の生産方法。
【請求項49】
i) 請求項21〜29のいずれか1項に記載の宿主細胞を含む反応容器、及び、
ii)細胞培養容器に流体を介して接続された第2の反応容器、
を含んで成り、
該第2の反応容器が、i)の反応容器内に含まれる細胞により生産される水素の回収及び/又は貯蔵に使用される、細胞により生産されかつ回収される水素生産装置。
【請求項50】
水素生産のための組み換え発現システムにおいて、シアノバクテリアヒドロゲナーゼを使用する方法。
【請求項51】
シアノバクテリアヒドロゲナーゼが,
i)配列番号1のヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
ii)配列番号1のヌクレオチド配列に対して少なくとも70%の同一性を有し、ヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをエンコードする核酸分子、
iii)配列番号1のヌクレオチド配列にハイブリダイズし、ヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをエンコードする核酸分子、及び
iv)前記i)、ii)及びiii)の配列への遺伝子コードの結果として、変質したヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、
から成る群から選択される核酸分子でエンコードされる請求項51に記載の方法。
【請求項52】
配列番号1の核酸配列で表される核酸分子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2009−520490(P2009−520490A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546609(P2008−546609)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際出願番号】PCT/GB2006/004832
【国際公開番号】WO2007/072003
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(507330176)ザ・ユニバーシティ・オブ・シェフィールド (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際出願番号】PCT/GB2006/004832
【国際公開番号】WO2007/072003
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(507330176)ザ・ユニバーシティ・オブ・シェフィールド (4)
【Fターム(参考)】
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