説明

細胞集団における変化の決定

【課題】細胞集団における変化の決定のための方法およびシステムに関するとともに、胚の品質尺度を推定し、体外受精のための胚を選択するための前記方法およびシステムを提供する。
【解決手段】細胞集団の少なくとも2つの画像を連続的に取得するステップと、少なくとも1つの差画像を得るために少なくとも2つの画像の少なくとも一部を比較するステップと、少なくとも1つの差画像から変数を計算するステップと、前記計算された変数に基づいて、変化が生じたかどうかを決定するためのステップと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞集団における変化の決定のための方法およびシステムに関し、更に、前記方法を用いるための方法と、胚の品質測定値を推定し、体外受精のための胚を選択するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
不妊症は、世界中で800万人以上に悪影響を及ぼしている。全カップルの10%が原発性不妊症または続発性不妊症にかかっていると推定されている(Vayena et al. 2001)。体外受精(IVF)は、他の方法では妊娠を確立する機会を考えることができなかったカップルに提供されうる選択的な医療処置である。体外受精(IVF)は、卵子(卵母細胞)が女性の卵巣から取り出され、次に、実験室で精子と受精させるプロセスである。このプロセスで生成された胚は次に、着床が見込まれる子宮に配置される。多胎妊娠および多子出産を避けるために、少数の胚のみが移送される(通常は4個未満であり、理想的には1つのみ(Bhattacharya et al. 2004))。移送に適した胚を選択することは、いずれのIVF処置においても重要なステップである。最新の選択手順は、成長中の異なる時点における胚の形態学的評価、特に標準的な立体顕微鏡を用いた移送時間における評価に略全体的に基づいている。しかし、評価手順は、定性的改善のほか、定量的改善も必要とすることが広く認識されている。
【0003】
早期細胞分裂。前途有望な新たな手法は、品質指標として2細胞期(すなわち、受精/注入後、25〜27時間前)に「早期分裂」を用いることである。この手法において、胚は、第1の細胞分裂が完了したかどうかを決定するために、受精後25〜27時間、目視によって検査される。複数の研究が、早期分割と個別の胚の次の成長可能性との間の強い相関を実証している(Shoukir et al., 1997; Sakkas et al., 1998, 2001 ; Bos−Mikich et al., 2001 ; Lundin et al., 2001 ; Petersen et al., 2001 ; Fenwick et al., 2002; Neuber et al. 2003; Salumets et al., 2003; Windt et al., 2004)。さらに頻繁な観察の必要性が、複数の観察者によって指摘されているが、インキュベータから倒立顕微鏡までの関連する移送を伴う頻繁な目視観察は、胚の成長を遅らせ、場合によっては行き詰まらせる可能性がある物理的なストレスを誘発する。これはまた、時間がかかり、IVFクリニックの日常の業務に組み込むことが困難である。
【0004】
複数の研究者は、胚の成長中、経時画像取得を行っている。これは、インキュベータ内部に観察顕微鏡を配置することによって、または自動画像取得を備えた顕微鏡ステージの上に「インキュベータステージ」を構築することによって主に行われる。「インキュベータ」は、許容可能な温度(37℃)、湿度(>90%)および気体組成(5%のCOおよび場合によっては削減した酸素濃度)に維持される。経時画像の手動判定は、細胞分裂のタイミングおよび持続時間に関する重要な情報をもたらした(Grisart et al. 1994, Holm et al. 1998, Maje− rus et al. 2000, Holm et al. 2002, Holm et al. 2003, Lequarre et al. 2003, Motosugi et al. 2005)。
【0005】
別の実験装置は、インキュベータの内部に画像取得システムを配置して、成長中の胚をインキュベータの内部の最適化された状態以外の場所に移動することによって、ストレスを与えることなく観察することを伴う。市販のシステムであるEmbryoGuardは、IMT internationalによって製作および販売されている(文献リスト参照)。この装置において、インキュベータの内部でオンラインで胚を観察することが可能である。
【0006】
従来の画像解析。胚画像の形態学的スコアリングおよび胚の成長の経時映像は、視聴者が画像に等級を与え、コンピュータのみが、この等級付けを把握し、主な変化が生じたときを示す注釈付き時間記録を生成する手動解析に頼っていた。そのようなソフトウェアの一例は、EmbryoGuardの経時画像取得システムを備えた注釈ソフトウェアである。経時映像の手動解析の例は、Grisart et al. 1994, Holm et al. 1998, Majerus et al. 2000, Holm et al. 2002, Holm et al. 2003, Lequarre et al. 2003, Motosugi et al. 2005において見つけることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
胚の画像の定量的な画像解析のための最新のソフトウェアは、半自動またはコンピュータ補助型アルゴリズムを用いる。これは、ユーザが、胚の構造を描写するために、描画ツールを用い、続いて、これらの胚のユーザの導出した輪郭に基づいて定量化されるコンピュータ支援画像スコアリングである。胚の画像の半自動解析を行うための複数のプログラムが、市販されている(たとえば、FertiMorph from lmageHouse, Copenhagen, Denmark)。胚の画像のために完全に自動化した解析システムを構成するために、複数の試みがなされている(たとえば、Christina Hnidaの博士論文)。しかし、胎生学およびIVF実験室におけるホフマンモジュレーションコントラスト(HMC)画像の一般的な使用は、自動的な細胞検出を困難にしている。
【0008】
自動化画像解析は、細胞培養における有糸分裂細胞の検出など他の用途のために開発されている(Eccles et al. 1986, Klevecz et al. 1988 米国特許US4724543, Belien et al. 1997, and Curl et al. 2004)。報告された自動化アルゴリズムはすべて、定量的な画像解析のための古典的なスキームを用いる。
1.画像の取得
2.画像の強調
3.閾値によって関心領域(ROI)に画像を分割
4.ROIの計数及び特徴付け(サイズ、密度など)
【0009】
これらのステップの一般的な記述およびそれぞれに関する多数の変形は、画像解析に関する総論および教科書において見つけることができる(たとえば、Oberholzer et al. 1996による組織学的な画像解析の概説またはJohn RussによるThe Image Processing Handbook,第4版, 2002)。関心構造の提示を強化するための最適な方法は、手元にある画像(たとえば、顕微鏡検査法の画像)および関心構造(たとえば、原子核)の表示に左右され、多くの異なる変形が用いられている。しかし、強調手順は常に、関心領域を識別して描写するために、画像の区分化を容易にするために用いられている。一旦、これらの領域が見つけられて識別されると、面積、サイズ、強度、位置などに関してさらに特徴付けられることができる。
【0010】
区分化自体は、画素強度(または画素強度から導出された関数)を所与の閾値と比較することによって実現される。閾値を上回る面積は、通常は測定されなければならない対象(たとえば、原子核)である関心領域(ROI)に属する。この区分化のためのさまざまな異なるアルゴリズムが用いられるが、それらは、常に同じ目的、すなわち画像の区分化のために機能する。
【0011】
細胞分裂を検出するために、経時顕微鏡検査法画像の自動解析は、Eccles et al. 1986によって論文において示されている。この論文は、経時系列の画像の解析によって合成される、哺乳類の細胞における細胞分裂の自動検出のための方法について記載している。この論文に記載されて用いられた画像解析アルゴリズムは、連続フレームにおける強度差を用いていない。代わりに、このアルゴリズムは、高周波数画像成分を最初に抽出し、次に、閾値処理を行い、推定上の有糸分裂細胞を表す環状物体に関して探索を行うことによって、各画像を解析する。この作業は、細胞の輪郭およびそれらの相対的な位置を検出するために、画像の区分化から構成される。連続フレームにおける環の間の空間的な関係および時間的な関係が、有糸分裂の発生を見分けるために調べられた。
【0012】
別の手法は、自己相似行列法を用いることによって、画像シーケンスを解析するために、US23185450において提示されている。この行列は、正規化された対を成す相似値からなる。この方法は、フレーム間の長期間および短期間の相似性を解析するために用いられる。
【0013】
明細書または本願明細書に記載されたすべての特許文献および非特許文献はまた、全体を参照によって本願に援用されるものとする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、胚などの群化細胞集団などの細胞集団における変化の自動決定のための方法およびシステムに関する。変化は、細胞運動または細胞運動性などの細胞再配列であってもよい。関連する変化はまた、細胞分裂および細胞死を含む。変化の時間パターンおよび大きさは、細胞集団の品質を示す。それによって、本発明は、体外受精(IVF)後に着床されることになる最適な胚の選択を促進する。または、本発明はまた、単位時間当たりの融合性の細胞培養において発生する細胞分裂の数を決定するために用いられてもよい。
【0015】
胚の品質は、透明帯の中の細胞再配列の観察された空間的時間的パターンから導出されることができる。所与の時点における細胞再配列の量は、連続的に取得された画像の間の差から計算されることができる。多くの異なる正規化されていない変数が、変化量を定量化するために用いられることができる。以下に述べるように、最も好ましい方法は、結果として生じる差画像における標準偏差(または分散)である。従来技術とは対照的に、変数は正規化されない、すなわち、相似性のない「差」の測定値であることが好ましい。本発明の1つの新規な態様は、胚の中の細胞再配列の時間的なパターンが胚の品質を表すことができることである。細胞再配列は、胚の内部の少なくとも1つの細胞、好ましくは2つ以上の細胞、最も好ましくはすべての細胞の運動に対応する。
【0016】
細胞再配列は、細胞分裂に関連してもよいが、分裂した特定の細胞は直接的に観察されるのではなく、隣接する細胞の関連する再配列によって間接的に測定されることができるため、はるかに容易であり、容易く検出可能であるという利点を有する。間接的な影響のために、画像における「関心領域」(実際には、分裂細胞が画像からなくなっている場合もある)として分裂対象を識別する必要はない。胚細胞は、透明帯によって閉じ込められているため、細胞が互いに衝突し、大部分(すべてである場合もある)の細胞が、各細胞分裂後に位置を変えるときに、細胞再配列は、細胞分裂の結果として生じる。しかし、他の仕組みが、細胞分裂に関係なく細胞運動(および細胞再配列)の原因となる可能性があり、または細胞質の細胞分裂が完了した後に、運動(および細胞再配列)を持続する原因となる可能性がある。
【0017】
特に、本発明は、群化細胞集団の少なくとも2つの画像を比較することによって得られた差画像から直接的に導出される変数は、群化細胞集団における変化と相関があるという発見に関する。したがって、本発明は、従来技術の方法に比べて改善した方法を提示する。経時画像などの連続画像を解析するために用いられる強調を含む従来技術の方法において、画像における各画素に関する連続フレーム間の強度の差の計算は、胚または細胞に関する任意の情報が得られる前に、強調および区分化からなる従来の画像解析の次の使用のための開始点として用いられる。
【0018】
したがって、第1の態様では、本発明は、少なくとも1つの細胞を含む細胞集団における変化を決定するための方法であって、
a)細胞集団の少なくとも2つの画像を連続的に取得するステップと、
b)少なくとも2つの画像の少なくとも一部を比較して少なくとも1つの差画像を得るステップと、
c)少なくとも1つの差画像から変数を計算するステップと、
d)前記計算された変数に基づいて、変化が生じたかどうかを決定するステップと、を有する方法に関する。
【0019】
さらに、第2の態様では、本発明は、少なくとも1つの細胞を含む細胞集団における変化を決定するためのシステムであって、
a)細胞集団の少なくとも2つの画像を連続的に取得するための手段と、
b)少なくとも2つの画像の少なくとも一部を比較して少なくとも1つの差画像を得るための手段と、
c)少なくとも1つの差画像から変数を計算するためのコンピュータと、
d)前記計算された変数に基づき、変化が生じたかどうかを決定するための手段と、を備えるシステムに関する。
【0020】
第3の態様では、本発明は、移植、凍結保存または除去に適した受精された卵母細胞または胚を選択するための方法であって、
a)請求項1〜89のいずれか一項に記載の方法によって、卵母細胞または胚における変化を決定するステップと、
b)移植、凍結保存または除去に適した卵母細胞または胚を選択するステップと、を有する方法に関する。
【0021】
第4の態様では、本発明は、少なくとも1つの細胞を含む細胞集団の品質を決定するためのシステムであって、
a)細胞集団の少なくとも2つの画像を連続的に取得するための手段と、
b)少なくとも2つの画像の少なくとも一部を比較して少なくとも1つの差画像を得るための手段と、
c)少なくとも1つの差画像から変数を計算するためのコンピュータと、
d)前記計算された変数に基づき、変化が生じたかどうかを決定するための手段と、を有するシステムに関する。
【0022】
第5の態様では、本発明は、少なくとも1つの細胞を含む細胞集団の品質を決定するための方法であって、
a)細胞集団の少なくとも2つの画像を連続的に取得するステップと、
b)少なくとも2つの画像の少なくとも一部を比較して少なくとも1つの差画像を得るステップと、
c)少なくとも1つの差画像から変数を計算するステップと、
d)前記計算された変数に基づいて、細胞集団の品質を決定するステップと、を有する方法に関する。
【0023】
さらに、好ましい実施形態において、前記細胞集団は、胚または卵母細胞である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】受精後、8〜60時間まで20分間隔で得られたウシの胚の経時画像の解析。差画像は、連続フレーム間の差として計算された。図では、差画像におけるすべての画素に関する平均絶対強度(白丸)、強度の標準偏差(黒四角)および最大観察強度(黒三角)が、図示されている。最大観察強度の変数は、右目盛に示され、他の変数は左目盛に示されている。細胞分裂は、28時間後、38時間後および48時間後に観察された。
【図2】ウシの胚の成長に関する経時系列の画像解析。一連の167枚の画像の解析が、胚の成長中に20分の間隔で得られた。結果スタックは、下に示される移動曲線を生成するために解析される計算された差画像を示している。すべての解析変数は、タブで区切られたテキストファイルとして事後処理のために、エクスポートされる。
【図3】ウシの胚の成長の画像。167枚の画像が、受精後8時間から20分間隔で得られた。
【図4】差画像は、図3に示された胚の画像から計算する。受精後の時間として各画像に関する取得時が挿入される。
【図5】図4に示される画像Jマクロのグラフ出力。灰色の線は標準偏差であり、黒い線は平均絶対差強度である。
【図6】細胞の融合性単層における細胞分裂(たとえば、フィーダ/支持細胞の層で成長する幹細胞)の検出。一番上のグラフでは、白抜きの記号によって示された領域全体の直接解析。4つの四分位のそれぞれの解析(画像上に示される)が、下に示されている。領域全体のグラフの解釈は困難であるのに対して、個別の細胞分裂は下に示される各四分位において明確に観察可能である。全データは、方法原理を示すために理論的に用いられる。
【図6−A】細胞の融合性単層における細胞分裂(たとえば、フィーダ/支持細胞の層で成長する幹細胞)の検出。4つの四分位のそれぞれの解析(画像上に示される)が、下に示されている。領域全体のグラフの解釈は困難であるのに対して、個別の細胞分裂は下に示される各四分位において明確に観察可能である。全データは、方法原理を示すために理論的に用いられる。
【図7】2つの代表的なウシの胚の割球活性度。「良好」は、孵化バストキストまで成長したのに対して「不良」は、胞胚まで成長しなかった。
【図8】受精後24〜175時間の41個のウシの胚の割球活性度。割球活性度は、擬似ゲル画像として表示され、運動性のピークは暗帯によって示され、不活性度は、白である。各レーンは、1つの胚に対応し、各画素は、30分以内に得られた差に対応する。
【図9】13個の代表的なウシの胚の割球活性度。孵化バストキストまで成長した「良好」な胚は、緑色の曲線によって表される。胞胚まで成長しなかった「不良」の胚は、赤で示されている。X軸は、フレーム数であり、y軸は、割球活性度である。画像取得は、受精後24時間から始まり、1時間に2フレームで続けられた。緑色の曲線は、割球活性度の値に30を加えることによって、表示されている。
【図10】取得された全フレームに関する平均割球活性度(明るい領域=高い割球活性度、暗い領域=低い割球活性度)。
【図11】高品質の胞胚まで成長しなかった21個のウシの胚の割球活性度。割球活性度パターンを分類するために用いられる曲線の3つの部分が、示されている。
【図12】高品質の胞胚まで成長しなかった18個のウシの胚の割球活性度。割球活性度パターンを分類するために用いられる曲線の3つの部分が、示されている。
【図13】A)R1=胞胚活性度パターンにおける部分1の平均胞胚活性度と部分3の平均胞胚活性度との比、B)R2=胞胚活性度パターンにおける部分2の胞胚活性度の標準偏差と部分3の胞胚活性度の標準偏差との比に基づく選択基準の適用。
【図14】13個の代表的な胚に関して手動で検出される細胞分裂と自動的に検出される細胞分裂との相関。細胞分裂の約10%は、このアルゴリズムによっては検出されなかったが、その他の点では、一致はすばらしい。
【図15】良好な胚および不良の胚に関する手動で検出された細胞分裂。
【発明を実施するための形態】
【0025】
定義
細胞分裂期間:細胞膜における陥凹の最初の観察(細胞質分裂の始まりを示す)から次の娘細胞の細胞質が2つの分割された細胞に分離されるように細胞質の細胞分裂が完了するまでの時間の期間。
【0026】
分裂間期間:1つの細胞分裂期間の終了から次の細胞分裂期間の始まりまでの時間の期間。
【0027】
分裂周期:連続的な細胞分裂の始まりの間、すなわち、1つの細胞分裂期間の開始から次の細胞分裂期間の開始までの時間間隔。
【0028】
細胞運動:細胞の中心および外側の細胞膜の運動。細胞内の小器官の内部運動は、細胞運動ではない。外側の細胞膜は、動的構造であるため、細胞の境界は引き続き位置をわずかに変化させる。しかし、これらのわずかな変動は、細胞運動と見なされない。細胞運動とは、細胞に関する重力の中心および他の細胞に対するその位置が、変化する場合のほか、細胞が分裂する場合である。細胞運動は、移動中の細胞の2つの連続的なデジタル画像の間の差を計算することによって、定量化されることができる。
【0029】
小器官の運動:顕微鏡検査法によって見られうる、胚内の内部小器官および小器官膜の運動。小器官運動は、本願の文脈では、細胞運動ではない。
【0030】
細胞再配列:集団における2つ以上の細胞の位置の移動。細胞再配列は、胚における2つの割球、または好ましくはそれ以上の割球、最も好ましくはすべての割球の細胞運動を伴う。
【0031】
画像:細胞集団から記録された空間画素(2D)または体素(3D)に分割される空間分布に対応する変換データ集合または未変換データ集合。本発明の画素の記述における画素は、本発明の範囲から逸脱することなく、体素に置き換えられてもよいことは理解されよう。
【0032】
差画像:画素計算による画素によって2つの画像のデータ集合から空間画素(2D)または体素(3D)に分割される空間分布に対応する変換データ集合または未変換データ集合。
【0033】
細胞再配列を決定するための方法およびシステム
本発明は、細胞の変化が発生した場合のほか、細胞集団の一般的な活性度レベルを決定するために、群化細胞集団の経時画像を解析することによって、成長中の胚などの群化細胞集団などの細胞集団における変化を決定するための方法およびシステムである。
【0034】
本内容において、「群化細胞集団」なる語は、1つ以上の細胞の集団、特に、細胞集団における細胞分裂が細胞集団における1つ以上の細胞の相対的な位置において3次元の変化をもたらす1つ以上の細胞の集団を意味する。したがって、群化細胞集団は好ましくは、1次元または2次元においてのみ成長する細胞集団とは対照的に、集合体で増殖する細胞集団である。群化細胞集団の例は、個別の細胞の境界が識別することが困難であるフィーダ層または融合性細胞層で増殖する成長中の胚または幹細胞の集合体である。
【0035】
胚:胚は、略球形であり、ゼラチン状の細胞、透明帯として知られている細胞基質によって包囲されている1つ以上の細胞(割球)から構成される。透明帯は、胚が孵化するまで種々の機能を果たし、胚の評価に関する良好な標識である。透明帯は、球形で、半透明であり、細胞デブリから明確に識別可能でなければならない。
【0036】
胚は、卵母細胞が精子細胞(精子)の融合または注入によって受精させるときに形成される。この用語が、孵化後(すなわち、透明帯の破裂)および続く着床にも従来的に用いられる。ヒトの場合には、受精させる卵母細胞は、従来的に最初の8週にわたる胚について呼ぶ。それ以降(すなわち8週後、およびすべての主要器官が形成されたとき)は、胎児と呼ばれる。しかし、胚と胎児との間の区別は、一般には十分に定義されていない。
【0037】
胚の成長中、割球数は、幾何的に(1−2−4−8−16など)増大する。同時細胞分裂は一般に、胚における16細胞期まで維持される。その後、細胞分裂は、不同時性となり、最後に、個別の細胞がそれ自身の細胞周期を有する。ウシの細胞の場合には、胚から構成される細胞は、球形細胞として16細胞期によって容易に識別される必要がある。32細胞期(桑実期)後、胚は、緊密化を受ける。その結果、胚における個別の細胞は、この桑実期を経て評価することが困難である。ヒトの胚の場合には、緊密化は、多少早くに起こり、個別の割球は、16細胞期で容易に計数することができない。
【0038】
不妊症処置中に生成されるヒトの胚は通常、桑実期の前に被移植者に移送されるのに対して、他の哺乳類の胚は、被移植者への移送または廃棄の前に、さらなる成長期(拡張胞胚)まで実験的に培養されることがよくある。場合によっては、ヒトの胚もまた、移送前に胞胚期まで培養される。これは、多くの良好な品質の胚が入手可能である場合、または着床前遺伝子診断(PGD)の結果を待つために長期孵化が必要である場合には行われることが好ましい。したがって、胚なる語は、受精される卵母細胞期、受精卵期、2細胞期、4細胞期、8細胞期、16細胞期、桑実期、胚盤胞期、拡張胞胚期、孵化胞胚期のそれぞれを示すために、従来の態様で用いられている。
【0039】
融合性細胞層および本発明の適用の他の実施例
本発明はまた、成長中の胚以外の他の細胞培養において、細胞分裂を検出するために用いられてもよい。特に関心があるのは、個別の細胞の境界を決定することが困難である事例、および区分化を伴い、細胞の対象を識別する古典的な画像解析を実行することが難しい事例である。これらの事例は、培養集合体における細胞分裂、二層または組織標本などの融合性細胞層の中または上における細胞分裂の検査を含む。事例には、また、幹細胞などのフィーダ細胞層の一番上で成長した細胞の細胞分裂または従来的な区分化が困難である他の構造の一番上で成長した細胞の細胞分裂などが含まれてもよい。
【0040】
画像の取得
「画像」なる語は、検査されることになっている領域の描写を記述するために用いられる。すなわち、「画像」なる語は、1次元描写、2次元描写、3次元描写のほか、n次元描写を含む。したがって、「画像」なる語は、領域の体積、領域のマトリックスのほか、領域の情報のアレイを含む。
【0041】
群化細胞集団の画像は、CCDチップ、CMOSチップ、ビデオカメラ、スチールカメラ、平床式スキャナ、ドラムスキャナ、レーザスキャナ、光電子増倍管、ディジタイザアレイまたは任意の他の画像取得デバイスなどで提示されることによって生成される画像に関して、写真、画像用フィルムおよびディジタル画像などの任意のタイプの画像から構成されてもよいが、次の画像比較を容易にするために、画像はディジタル化されることが好ましい。
【0042】
特に、画像は、位相コントラスト画像、暗視野画像、ケーラ光学素子を用いた明視野画像、ホフマンモジュレーションコントラスト画像、干渉モジュレーションコントラスト画像、偏光画像、蛍光画像、赤外線画像または近赤外線画像、紫外線画像またはその組み合わせまたは個別の細胞の境界または核などの細胞の小器官を可視化する任意の他のタイプの光学素子であってもよい。通常、8ビット画像(すなわち、256の異なるグレーレベル)が適切であるが、高解像度(12ビットまたは16ビット)画像もまた、用いてもよい。カラー画像は、解析前にグレースケール画像に変換されてもよいが、異なる色空間で解析されることもでき、複合蛍光画像の場合には有用であると考えられているように、色を分離することもできる。さらに、画素は、正値のほか、負値をとってもよい。
【0043】
しかし、問題になっている画像は、生体細胞の画像であるため、画像生成手段は好ましくは、細胞自体を傷つけないものであるべきである。したがって、「画像を取得する」なる語は、画像がカメラから取得されてもよいが、ディジタル格納媒体、コンピュータCPU,ハードディスク、CDROM、書籍、印刷物、従来的な写真および走査画像のほか、他の源から取得されるものを含む。しかし、大部分の場合には、画像は、ディジタルカメラによって取得されるであろう。
【0044】
通例、画像は、顕微鏡または等価なレンズ系に取り付けられたディジタルカメラなどの顕微鏡を用いて取得される。胚が画像において少なくとも100個の画素などの画像において25個の画素を含むことが好ましい限りは、倍率のレベルおよび画像解像度は一般に重要ではない。一般的な適用において、胚は、数千個の画素を占める。一般に、可能な限り最高のコントラストおよび倍率が用いられる必要があるが、画像は続いて、解析中に縮小される場合がある(以下参照)。しかし、きわめて高解像度の画像(>>100万画素)の場合には、画像をそのサイズまで縮小するために、倍率を調整することが必要である場合もある(以下参照)。
【0045】
好ましくは、前記少なくとも2つの画像の有効解像度は、前記細胞集団の最大寸法が1画素〜1000万画素、好ましくは、10画素〜100万画素、好ましくは、50〜1000画素、好ましくは100〜1000画素、好ましくは、200〜1000画素、好ましくは、500〜1000画素、好ましくは200〜500画素を占めるように選択される。
【0046】
一実施形態において、前記少なくとも2つの画像の有効解像度は、前記細胞集団の最大寸法が実質的に1〜10画素または10〜50画素または50〜100画素または100〜200画素または200〜500画素または500〜1000画素または1000画素〜100万画素または1〜1000万画素または1000万画素を超えるように選択される。
【0047】
好ましくは、一連の連続画像は、少なくとも2画像など、少なくとも3画素など、少なくとも4画素など、少なくとも5画素など、少なくとも6画素など、少なくとも7画素など、少なくとも8画素など、少なくとも9画素など、少なくとも10画素など、少なくとも25画素など、少なくとも50画素など、少なくとも100画素など、少なくとも200画素など、少なくとも1000画素など、少なくとも10000画素など、少なくとも100000画素など、少なくとも100万画素など、少なくとも5000万画像などの複数の画素を有する細胞集団から取得される。
【0048】
2つの連続取得の間の時間は好ましくは、せいぜい1つの細胞分裂の時間期間に対応し、他方では、処理を容易にするために、最小の画像が取得されることが好ましい。また、好ましくは、2つの連続取得の間の時間は、少なくとも1/100秒、好ましくは少なくとも1/50秒、好ましくは少なくとも1/10秒、好ましくは少なくとも1秒、好ましくは少なくとも10秒、好ましくは少なくとも1分、好ましくは少なくとも2分、好ましくは少なくとも10分、好ましくは少なくとも30分、約30分、1時間などである。
【0049】
また、2つの連続取得の間の時間は、好ましくはせいぜい2時間、せいぜい1.5時間など、せいぜい1時間など、せいぜい30分など、せいぜい20分など、せいぜい10分など、せいぜい5分など、せいぜい2分など、せいぜい1分などである。
【0050】
差画像
胚における細胞分裂を検出するためのこれまでの存在する試みは、存在する割球(=細胞)の数を計数し、その数が増大するときを決定するために、画像を区分しようとしてきた。この方法は、Ecclesによって記載されたように、哺乳類の細胞系における細胞分裂を検出するために、本質的に平面的な細胞培養にはうまく作用する(Eccles et al. 1986)。しかし、異なる焦点面からの多数の画像が解析され、どの区画が同一の割球の部分であるかを認識するために比較されなければならない場合には、3次元の胚に関してこの方法を行うことはさらに困難になる。画像区分化は、ほとんどの場合、人間視覚システムによって容易に解釈されるが、コンピュータに基づく画像解析にはあまり適していないホフマンモジュレーションコントラスト(HMC)画像で行われるため、実際には不可能になる。
【0051】
本発明は、個別の割球の輪郭などの関心領域を識別するために、画像の区分化に依存しない。代わりに、本発明は、画像系列における細胞再配列を推定する。これは、群化細胞集団の少なくとも2つの画像からの少なくとも1つの差画像、好ましくは一連の差画像によって得られる。いくらかの実施形態においては、差画像は、最新の画像を、前画像の一次結合または他の機能的関係と比較することによって、得られうる。前記差画像の少なくとも1つの変数は、群化細胞集団における変化を決定するために評価される。好ましい実施形態において、差画像は、細胞集団の連続/次の画像から得られる。
【0052】
この方法は、取得した画像フレームに基づいて、差画像を計算することを含む。本発明によれば、任意の適切な差画像、2つの画像を減算することによって得られた差画像または2つの画像の比を確立することによって得られた差画像などが、適用されてもよい。差画像は、それ自体元の画像から得られてもよく、または2つの画像の任意の変換画像から得られてもよい。後者の実施例は、2つの元の画像における画素強度の比の対数変換である差画像である。(これは、対数変換された画像の間の強度差画像と等価である)。好ましい実施形態において、差画像は、強度差画像であってもよい。
【0053】
一般に、画像における対応する画素の値は、画像が取得された時間における対応する位置で直面した光強度に相関される。しかし、他の値のタイプは、位相コントラストなどの位相値、または2つのスペクトルバンドにおけるエネルギの比などのスペクトル特性、スペクトル分布における重力の中心などを含む。したがって、異なる好ましい実施形態において、差画像は、位相差画像またはスペクトル差画像である。位相差画像は、位相コントラスト顕微鏡によって得られる画像に本発明の方法を適用するのに適していると考えられるのに対し、スペクトル差画像は、色画像および/またはさらに高度な空間分布分光法に本発明の方法を適用するのに適していると考えられる。
【0054】
したがって、一実施形態において、差画像は、式(1)に示すように、2つの連続画像において対応する画素の強度値を減算することによって得られる。

式中、D(i,j)は、時間nでの位置i、jにおける強度差であり、
(i,j)は、時間nでの位置i、jにおける強度であり、
n−1(i,j)は、時間n−1での位置i、jにおける強度である。
【0055】
差画像が、画像として表示されることが多い。計算された差が正または負のいずれであってもよいため、これは、適切なスケーリングを必要とする。しかし、本発明は、差画像の区分化に依存するのではなく、差画像D(x,y)において画素のすべての値の数値解析に依存しているに過ぎないため、本発明の目的のために、差のグラフ表示を確立することは必要ではない。差画像を示すグラフ表示は、必要ではない。グラフ表示が確立されている場合には、アルゴリズムに対して望ましくないまたはさらに有害である可能性がある丸めまたはスケーリングを避けるために好都合である。
【0056】
別の実施形態において、差画像は、連続画像における画素に関する画像強度間の強度比として得られる。一実施形態において、雑音を削減するため、元の画像および/または上記強度比を変換することは、好都合である場合がある。一実施形態において、差画像は、例えば式(2)に示すように、強度比の対数(自然対数または底10の対数)として確立される。

【0057】
このように計算された対数の比画像は、上述した差画像にきわめて類似的な様相を呈し、以下に記載した一般変数のいずれかを計算することによって、細胞分裂などに関する類似の情報を生成するために解析されてもよい。
【0058】
好ましい実施形態において、前記差画像は、一連の連続画像において2つの次の画像から得られ、前記差画像から計算された変数の集合は、時系列を形成する。さらに好ましくは、この時系列は、細胞再配列の時間パターンを含み、細胞集団の品質、状況及び/状態を得るために、ピーク(山)、谷および基準レベルの大きさに関連して、この時間パターンが解釈されてもよい。
【0059】
好ましい実施形態において、前記時系列は、PCA解析、SVD、GPCA、サポートベクターマシン、n個組分類モデル、ニューラルネットワーク、フィードフォワード型ニューラルネットワークなどの機械学習ツールによって導出されるモデルを用いて解析される。
【0060】
規則的な時間間隔で得られた画像の利点は明白である。しかし、不規則なフィルム画像の解析もまた、可能であることを留意すべきである。この場合には、フレーム間の時間間隔における差を補償するために、重み付けが適用されてもよい。短い時間間隔で得られた画像間の差が拡大されるのに対して、長い時間間隔で得られた画像間の差は縮小される。一定の差を有する画像を取得し、したがって、細胞分裂の指標として取得された画像間の時間間隔を用いることが可能である場合もある。
【0061】
一旦、差画像が得られると、1つの画像から次の画像への変化が、変数、好ましくは、差画像における実質的にすべての画素からの変数を計算することによって、記述されてもよい。これらの変数は、差画像で直面した差の値の列挙に基づき、好ましくは直面したすべての差の値から計算される。
【0062】
変数
任意の適切な計算された変数は、差画像またはこの部分から計算された変数などの変化の指標として用いられることができる。前記部分は、非適応に決定され、差画像における画素の絶対値の和、差画像における画素の平均絶対値、差画像における画素の中央絶対値、差画像における画素の平方値の和、差画像における画素の平均平方値、差画像における画素の平方値の中央値、差画像における画素の値の分散、差画像における画素の値の標準偏差、差画像のヒストグラムにおける異なるパーセンタイル値の値、差画像の最小値および最大値および差画像ヒストグラムの値域または分散またはこれらの変数の1つ以上の組み合わせから導出された別の変数からなる群から選択される。
【0063】
好ましい実施形態において、変数は、系列におけるすべての個別のフレームに関して関心領域および非関心領域における画像の適応区分化なしで計算される。しかし、元の画像の部分区画は、非適応によって(たとえば、胚を含む部分の中心に元の画像を刈り込むことによって)選択されてもよい。部分区画は、好ましくは、細胞集団の同一経時系列の画像の間で固定される。解析される部分区画(たとえば、胚を含む)は、導出された変数を較正するために、画像の他の基準領域と比較されてもよい。実施例は、胚を含む領域に関する差画像の標準偏差を、差画像から空白の領域における同様に計算された標準偏差と比較することであってもよい。
【0064】
いくつかの実施形態においては、変数は、差画像の部分集合から計算される。
【0065】
一実施形態において、差画像から計算された変数は、差画像における画素の絶対値の和、差画像における画素の値の分散からなる群から選択される。ある実施形態においては、差画像に適用された他の関数が、変数を計算するために用いられることもあり得る。
【0066】
これらの変数のそれぞれは、検査される画像系列における細胞の境界位置における変化を反映するために、細胞分裂などの群化細胞集団における変化に応じて変化する数である。
【0067】
好ましい実施形態において、前記変数は、全体的な差画像に基づく少なくとも1つの差画像から計算される。
【0068】
上述したように、変数は、
‐差画像におけるすべての画素に関する平均絶対値
‐差画像におけるすべての画素に関する中央絶対値
‐差画像におけるすべての画素に関する値の分散
‐差画像におけるすべての画素に関する最大値
など、差画像におけるすべての画素から計算されてもよい。
【0069】
変数の計算の実施例は、式(3)に示すように、差の平方の平均値である。

式中、kは、画像の長さであり、mは、画像の幅である。
【0070】
本発明は、2つの細胞への1つの細胞の分裂が、分裂する細胞のほか、周囲の細胞の対応する再配列の原因となる各細胞分裂前後の短い時間間隔を除き、細胞の位置が通常、細胞分裂間では比較的静止しているという観察に基づいている。この再配列は、差画像に反映される。細胞の境界(すなわち、細胞膜)の位置の変化は、平均絶対値または分散における上昇など、差画像に関して上記で導出された変数のすべてを一時的に上昇させる。したがって、細胞分裂は、時間的な変化、差画像におけるすべての画素に関する平均絶対値または任意の他の上記で列挙された導出された変数における増大または減少によって、検出されることができる。
【0071】
本発明は、導出された変数における時間的な変化の解析に依存している。特に関心があるのは、変数値における明確な極値、ピークまたは谷の始まり、その大きさおよび持続時間である。これらの極値、ピークまたは谷は、細胞分裂事象をしばしば示し、これらの事象のタイミングおよび持続時間は、胚などの所与の細胞集団を特徴付けて、その成長可能性を評価するために用いられてもよい。各ピークの形状はまた、一般にピークのサイズであると考えられるようなさらなる情報を提供してもよい。ピークはまた、割球の突然の破裂および同時発生的な細胞死を示している場合もある。しかし、ピークの形状および事象の前後の基準値における変化によって、細胞分裂事象および細胞死事象を分離することが可能である場合がある。
【0072】
図1は、各細胞分裂が導出された変数のそれぞれにおける顕著なピークによって特徴付けられることを示している。したがって、細胞分裂は、数々の出された変数のそれぞれ、たとえば、図1に示されているような強度分散または標準偏差における著しい増大によって検出されることができる。
【0073】
好ましい実施形態において、前記変数は、比較される画像間の差の表示である。第1の好ましい実施形態において、変数は、同一の計算および同一の細胞集団から得られる他の差画像から導出される別の変数に対して非正規化された状態で維持される。これは、2つ1つの細胞集団から得られる変数値と異なる細胞集団から得られる値との間の定量的な比較を可能にする。第2の好ましい実施形態において、前記変数は、0と1との間の正規化された値に調整されていない値として計算されていない。第3の好ましい実施形態において、計算された変数は、自己相似行列における値の計算と相関されていない。
【0074】
したがって、本発明は、細胞分裂を直接的に決定し、第1の細胞分裂の正確なタイミングを決定することを可能にする方法を提供する。
【0075】
差画像における変化の形状
上述したように、本発明は、細胞集団における変化の始まりを決定するための方法を提供する。しかし、一実施形態において、本発明はさらに、ピークの形状もまた重要であると考慮される点で、品質および/または変化に関する定量情報を決定するための方法を提供する。高い急峻なピークは、最小の断片化を伴う速い細胞分裂を反映するものとする。ところが、より広くそれほど目立たないピークは、場合によってはより多くの断片化を伴うより遅い分裂を反映する可能性がある。これは、急峻な第2のピークが2細胞から4細胞への同期細胞分裂を示す可能性があり、より広く、またはさらに二峰性のピークは、分裂が非同期(すなわち2細胞から3細胞に、次に3細胞から4細胞に)であることを示す可能性もあるため、次の細胞分裂に対応するピークに関して、さらに一層重要となる。全般的に見て、ピークの位置、高さ、幅および急峻さに関する詳細な解析は、特定の分裂事象について重要な情報を提供する。これに関連して、同期化は、すべての細胞分裂が5時間以内、さらに好ましくは3時間以内、最も好ましくは1時間以内の時間帯で生じるものとして理解されよう。
【0076】
上記において、高いとは、計算された変数の標準偏差の2倍を超えるもの、好ましくは計算された変数の標準偏差の3倍を超えるもの、最も好ましくは計算された変数の標準偏差の5倍を超えるもの、と見なされる。さらに、急峻とは、持続時間が3時間未満、さらに好ましくは持続時間が2時間未満、最も好ましくは持続時間が1時間以下のピークであると見なされる。代わりに、広いピークは、3時間を超える持続時間、さらに好ましくは5時間を超える持続時間、最も好ましくは10時間を超える持続時間を有すると理解される。
【0077】
基準レベル
ピークが識別された後、ピーク間の活性度の基準レベルを評価することが可能である。基準レベルは、擬似安定または緩慢に変化する値として理解される。この値は、1時間当たり10%未満、好ましくは1時間当たり5%未満、最も好ましくは1時間当たり3%未満だけ変化する値として定義されることが多い。分裂間の各変数に関する基準レベルは、また、有用な情報を含む。細胞の代謝は、小器官の運動(たとえば、細胞質におけるミトコンドリアの循環)に関連付けられる。この運動は、前記変数のうち複数の基準レベルに反映される。この背景レベルは、細胞死のために止まる運動など、細胞集団における小器官の運動の範囲に関する本質的な情報を与える。したがって、基準レベルにおける変化に対応する観察された小器官の運動における部分的減少は、1つ以上の細胞の腐敗などの問題を暗示する可能性がある。
【0078】
この変化は、少なくとも1つの細胞の死を表す前記計算された変数の基準線における急激な変化として見られることが多い。さらに、前記変化は、基準線の平均値の急激な減少を伴う著しい増大であるように生じることが多い。これに関連して、急激とは5時間未満以内、好ましくは2時間未満以内、最も好ましくは1時間未満以内の変化として理解され、著しい増大とは、好ましくは1時間未満以内で5%を上回り、さらに好ましくは1時間未満以内で10%を上回り、最も好ましくは1時間未満で30%を上回る顕著な増大として理解される。最後に、減少はほとんどの場合、元の値のm/Nまで実質的に減少することを伴うわずかな増大である。ここで、Nは、n細胞集団の細胞の数であり、mは0〜(N−1)の整数である。
【0079】
一実施形態において、平均絶対値強度は、全体的な活性度の測定値として用いられ、ピーク間のこの変数の基準レベルは、胚の成長の指標および場合によっては成長可能性としてとらえることができる。
【0080】
基準レベルを十分に活用するために、細胞集団の全体的な輪郭に評価領域を制限し、この領域に関して導出された値を胚の外側の制御領域と比較することが必要である場合もある。したがって、基準レベルを確立するために、文献に記載した標準的な画像解析手順を用いて胚の輪郭を選択することが必要である場合もある。この実施例としては、ブラウン運動整列化問題などに起因する胚の外側の「運動」に対する胚の内側の細胞運動の比較が挙げられる。これは、大部分は、胚の輪郭を描き、胚の内側の差画像を胚の外側の類似の領域において計算された差と比較することによって達成される。胚の輪郭を描くことは、全体的な経時系列におけるすべての絶対値の差の和を含む画像を閾値処理することによって、手動または自動的に行われてもよい。外側の領域は、残りの画素として選定されるだけでもよく、または(好ましくは)逆転領域を選択する前に、胚領域を膨張させることによって、胚の周囲の境界の画素を排除することによって選定されてもよい。
【0081】
整列
時系列における画像取得間の不正確な段階の運動に起因して、時系列における連続画像が、正確に同じスポットで獲得されていないような位置決めシステムにおけるわずかな不正確さは、次善の差画像をもたらす可能性がある。急峻に画定された構造はすべて、真の運動が生じていない場合であっても、差画像にハローアンドシャドウ効果を生成するため、位置におけるこれらのわずかなずれは、差画像に影響を及ぼす。したがって、一実施形態において、時系列における連続画像は、たとえば、導出された変数を改善するための本発明と組み合わせて、これを実現するための既存のアルゴリズムを用いて整列される。画像を整列するために複数の確立されたアルゴリズムが、記載されている(John Russ, 2002)。
【0082】
画像を整列するためのきわめて簡単な方法は、元の差画像を、元の画像の1つをずらした後に、所与の方向において1つの画素を計算した差画像と比較することである。転位後に計算された差画像の分散が元の差画像の分散より小さい場合には、転位は、改善した整列を形成したことになる。すべての可能な転位方向およびすべての関連する転位の大きさを体系的に試すことによって、整列された時系列を得ることが可能である。特に胚に関して、整列は、透明ゾーンに対して、すなわち、透明帯に対応する領域の分散を低減するために行われてもよい。
【0083】
画質の改善およびアーティファクトの除去
さらなる実施形態において、画質を改善し、アーティファクトを除去することが好ましい。アーティファクトは、画像を取得する光学経路および/または電子経路に関連している可能性があり、たとえば、カメラレンズに位置する汚れ/染み、カメラアーティファクトに起因する染み、カメラまたはCCDのエラーに起因する画素エラー、細胞集団から生じ、明るい領域をもたらしうる反射などである。
【0084】
したがって、アーティファクトは、画像上の任意の位置に現れ、画像のシーンの部分ではない。したがって、アーティファクトは、たとえば、1つ以上の以下のもの、すなわち、光学系の画像、分散、回折および/または反射に投影される望ましくない物体である可能性がある。
【0085】
不正確な運動を補償するための転位は、通例、上述の固定位置のアーティファクトを含む画像全体の位置をずらす。したがって、次の差は、固定位置のアーティファクトからの誤った寄与を含むことになる。したがって、転位前に固定位置のアーティファクトを除去することが重要である。固定されたアーティファクトを除去するための異なる標準的な技術が利用可能である(John Russ,2002参照)。簡素なバージョンは、焦点がぼやけた参照画像を得て、系列におけるすべての画像からアーチファストを含むこの画像を減算することである。類似の効果は、異なる胚の複数の関連のないフレームの平均画像を減算することによって得られることができる。複数の焦点がぼやけた画像の平均が最適である。
【0086】
さらに、1画素未満の段階の運動におけるわずかな不正確さは、転位による連続フレームの一般的な整列によって除去または補償することは困難である。しかし、たとえばわずか(1画素未満)な平行移動であっても、差画像に著しい寄与を与える場合がある。高品質の画像に関して別の一般的に直面する問題は、部分的に認識され、細胞に粒状の外観を与える可能性がある小胞およびミトコンドリアなどの細胞小器官である。小器官の運動は、細胞分裂が不鮮明になり、小器官の運動雑音で認識されにくい程度まで差画像に寄与する可能性がある。上述の問題はいずれも、画像サイズを減少させる(画像を縮小する)ことまたは画像をわずかにぼやかす/滑らかにすることによって、軽減またはさらに削減される可能性がある。
【0087】
整列に関する問題を低減し、小器官の運動とは対照的に、細胞分裂に適切な焦点を当てる傾向があることから、たとえば、各胚が100〜200画素の直径を有するような時系列におけるすべての画像の画像サイズの削減が、好ましい。最適のスケーリングは、取得された時系列の一般的な品質に左右される可能性がある。このスケーリングは、固定位置のアーティファクトの除去および転位の補償などの後に行われることが重要である。好ましい実施形態において、前記スケーリングまたは解像度の減少は、再標本化、平均化、平滑化、移動平均、双3次内挿、bスプライン内挿および画像行列の簡単な削減または当業者には明白な他の方法からなる群に属する方法によって行われる。
【0088】
多くのカメラシステムは、フレーム間で動的に画像強度をスケーリングする自動ゲイン機能を用いる。これは避けられることが好ましい。時系列における連続画像を減算することによって差画像を計算し、次に、これらの差画像を個別にスケーリングして、差画像が人間の目によってさらに容易に評価されるよう強度範囲全体を用いることが避けられることが好ましく、ここで、計算には、通例、画像解析プログラムを用いている。このスケーリングは、画像解析プログラムの優先設定をオフにする必要がある。これが可能でない場合には、定量的な解析は、このアーティファクトによってあまり影響されない分散および標準偏差を用いる必要がある。同一の因子を有する時系列から計算されたすべての差画像の一般化されたスケーリングは、問題ではなく、差画像をよりよく可視化するために推奨される場合もある。時系列における連続画像間で一様でない照射を有するまれな事例において、強度の計算前に個別のフレームの画像強度をスケーリングすることが必要である場合もある。これらの事例において、定量的な解析は、アーティファクトをスケーリングした強度によって、あまり影響されない分散および標準偏差を用いる必要がある。
【0089】
培地
好ましい実施形態において、画像の取得は、細胞集団が培地に位置しているような細胞集団の培養中に行われる。細胞集団を培養するための手段は、当業界では周知である。胚の培養の実施例は、PCT出願WO 2004/056265に記載されている。
【0090】
胚の選択または識別
本発明はさらに、移植、凍結保存または除去用の胚を選択するための方法を提供する。この方法は、細胞分裂が発生したときおよび任意に細胞死が発生したかどうかを決定するためのほか、細胞分裂の品質および胚の全体的な品質を決定するために、上述したように、胚における変化を決定するための方法を用いて、胚が監視されていることを示唆している。差画像において極端な極値を引き起こす実質的に同時の細胞分裂を有する胚を選択することが好ましく、細胞死のない胚を選択することがさらに好ましい。
【0091】
選択または識別の方法は、以下に述べるように、胚の品質を評価するために、他の評価尺度と組み合わせてもよい。胚の形態学的評価における重要な判断基準は、(1)割球の数を含む胚の形状および断片化の程度、(2)透明帯の存在および品質、(3)サイズ、(4)色および質感、(5)その成長期に関する胚の齢の知識、(6)割球の膜の完全性、である。
【0092】
次に、高品質の胚の場合には移植、凍結保存が、または、低品質の胚の場合には除去が、当業者には周知の任意の適切な方法によって行われてもよい。
【0093】
品質の決定
細胞境界(すなわち細胞膜)の変化する位置は、平均絶対値強度または分散における上昇など、差画像のために上記で導出された変数のすべてを一時的に上昇させる。したがって、細胞分裂およびその持続時間および関連する細胞再配列、細胞運動性などは、一時的な変化、差画像におけるすべての画素に関する標準偏差または差画像から計算された任意の他の導出された変数における増大または減少によって、検出されることができる。胚の評価への本発明の適用において、そのような変数は主に、「割球活性度」を反映すると考えられる。これは、2つの細胞への1つの細胞の分裂が、簡単に引き起こされるが、分裂する細胞のほか、周囲の細胞の著しい再配列を引き起こす各細胞分裂前後の短い時間間隔を除き、細胞の位置が通常、細胞分裂間では比較的静止しているという観察に基づいている。
【0094】
したがって、本発明は、少なくとも1つの細胞分裂期間の長さの決定、および/または分裂間期間中の細胞運動の決定、および/または分裂間期間中の細胞運動の時間期間の長さの決定、などの胚に関する1つ以上の決定に基づいている胚の品質の尺度を提供しうる。この尺度は、胚が移植または凍結保存に十分な品質を有するかどうか、または劣った品質であり、胚が廃棄されることになるかどうかを決定するために用いられてもよい。好ましい実施形態において、移植または凍結保存のために選択された卵母細胞または胚は、最高の胚品質尺度を有する卵母細胞または胚であり、および/または除去のために選択された前記選択卵母細胞または胚は、最低の胚品質尺度を有する卵母細胞または胚である。
【0095】
特に関心があるのは、変数値においてピークまたは谷として定量化されうる細胞分裂の始まり、大きさおよび持続時間である。これらの極値、ピークまたは谷は、細胞分裂事象をしばしば示し、これらの事象のタイミングおよび持続時間は、胚などの所与の細胞集団を特徴付けて、その成長可能性を評価するために用いられる。各ピークの形状はまた、一般にピークのサイズであると考えられるようなさらなる情報も提供する。ピークはまた、割球の突然の破裂および同時発生的な細胞死を示している場合もある。しかし、ピークの形状および事象の前後の基準値における変化によって、細胞分裂事象および細胞死事象を分離することが可能である場合がある。
【0096】
したがって、胚の品質尺度は、少なくとも1つの細胞分裂に関する細胞分裂時間期間、分裂間期間の時間期間、分裂間期間における細胞運動の時間期間および/または分裂間期間における細胞運動の範囲に関する情報を含む。好ましい実施形態において、胚の品質尺度は、本願明細書に記載される2つ以上の決定に関する情報を含む。さらに好ましい実施形態において、胚の品質尺度は、本願明細書に記載されるすべての決定に関する情報を含む。
【0097】
胚の品質尺度は、以下の観察(a)〜(h)に基づいている。
a)細胞質の実際の分裂が急速に進行し、他の割球の位置の次の再配列が急激に生じる急激な細胞分裂(たとえば、急峻な割球活性度のピーク)は、高品質の胚を表す。長期の細胞質分裂およびその後の他の割球の広範囲な再配列は、貧弱な品質の胚を表す(たとえば、広い割球活性度のピーク)。(実施例3a)
b)細胞分裂間の割球位置のごくわずかな再配列は、高品質の胚を表すのに対して、目視可能な細胞分裂間の運動は、貧弱な品質の胚を表すことが多い。(実施例3a)
c)細胞分裂間の細胞位置の長期の再配列(たとえば、広い割球活性度のピーク)は、貧弱な胚品質、非同期的な細胞分裂および広範囲の断片化に関連付けられることが多い。(実施例3a)
d)胚のゲノムが活性化され、蛋白質合成が母親から胚の転写物に切り替わるとき、大部分の哺乳類では、ごくわずかな細胞運動の静止期間が観察される。この期間が、i)早発性、ii)きわめて低い活性度(=細胞運動がほとんどない=静止している)およびiii)早期終了である場合には、高品質の胚の確たる表示である。貧弱な品質の胚において、静止期間は、遅発性であることが多く、細胞運動によって時々妨げられる。(実施例3b)。これに関連して、早いとは、好ましくは受精後30時間以内、さらに好ましくは受精後27時間以内、最も好ましくは受精後25時間以内であると理解される。
e)続いて成長を止める貧弱な品質の胚において、特定の持続的に不動の領域が観察されることが多く、これは持続し、最終的に成長阻止につながる。そのような不動の領域は、広範囲の断片化または割球の死および溶解に関連付けられる可能性がある。これらの領域が所与の成長期における所与の割合より大きい場合には、胚が生き残っている確率はきわめて低い。この割合は、ある場合には少なくとも15%であったり、別の場合には少なくとも35%であったりする可能性があり、これらの割合は種に特有であることが予想される。高品質の胚の場合には、各細胞質分裂事象後にすぐに続く細胞の運動性は、最初は、全体的な胚の面にわたって分散され(すなわち、すべての割球がわずかに運動する)、桑実期における緊密化を経て初めて、局所的な運動が見られる(実施例3c)。
f)適切な時間間隔が種に特有であると予想される場合には、異なる時間間隔における細胞運動の量は、胚の品質のよい指標である。品質関連変数は、異なる時間区分における平均運動の比および/または異なる時間区分における標準偏差の比から計算されることができ、胚の選択手順は、これらの変数の値に基づいて確立されることができる。(実施例3d)。
g)第1の細胞分裂のきわめて早い始まりは、高い胚の品質の表示である。第1の細胞分裂(および次の細胞分裂)のきわめて遅い始まりは、低品質の胚を表す。しかし、大多数の胚の場合には、第1の細胞分裂の正確な始まりのみが胚の品質の明確な表示を提供するわけではない。(実施例3d)
h)後期における同期細胞分裂(たとえば、2→4、4→8)は、高品質の胚の場合には大部分が見つけられるのに対して、非同期細胞分裂は、低品質の胚の場合に観察されることが多い(たとえば、2→3→4→5→6→7→8)。(実施例3a)
【0098】
以下の決定は、最高の胚の品質尺度につながる。
・短い細胞分裂期間、短いとは1時間未満と定義される。
・分裂間期間におけるわずかな細胞運動、わずかとは、通常の変動を超える細胞位置における変化および差画像に常に寄与する小器官の運動が本質的にないことと定義される。わずかな細胞運動は、細胞の重力の中心が静止しており(運動<3μm)、細胞質の膜が大部分は動けない(<3μm)ことを示唆する。
・第1の細胞分裂期間の早い始まり、すなわち、ヒトの胚の場合には受精後25時間以内(ウシの胚の場合には受精後30時間以内)。
・分裂間期間における細胞運動の短い期間、短いとは3時間未満と定義される。
・時間に関して胚内の細胞運動の均一な分布、すなわち、細胞運動がより長い時間期間(すなわち>24時間)にわたって観測されない場合の、胚の不活性領域/ゾーン/体積の不在。そのような不動ゾーンは、死んだ割球または死にかけている割球または断片化に起因する可能性があり、さらなる成長を遅らせる恐れがある。
【0099】
ニューラルネットワークまたは他の定量的なパターン認識アルゴリズムは、上述した複雑な細胞運動性パターンを評価するために用いられることができる。そのようなネットワークは、IVF治療において移送するための最良の品質の胚を見つけるために用いられてもよい。
【0100】
他の測定値
胚の品質を決定するときの最終的な解析ステップは、異なる品質および成長能力を有する胚の類似の観察によって行われた観察との比較のほか、同一の胚において行った他の定量的な測定値と所与の胚に関する変数値の比較を含む。これは、割球の運動性、呼吸量、アミノ酸吸収量などのオンライン測定値との比較を含んでもよい。割球の運動性解析、呼吸量および他の定量的な変数の組み合わせたデータ集合は、胚の選択を改善し、胎生学者が高い信頼性で移送用の最良の胚を選定することを可能にする。
【0101】
したがって、一実施形態において、本発明による方法は、問題の胚を評価するために、他の測定値と組み合わせてもよく、被移植者に移送するための要求に適った胚の選択のために用いられてもよい。
【0102】
そのような他の測定値は、呼吸量、アミノ酸吸収量、運動性解析、割球運動性、モルフォロジ、割球のサイズ、割球の顆粒、断片化、割球の色、極体の配向、核形成、紡錘体の形成および完全性、および数々の他の定量的な測定値の群から選択されてもよい。呼吸測定値は、PCT特許WO 2004/056265に記載したように行われてもよい。
【0103】
データ媒体
本発明はさらに、ディジタル処理デバイスのメモリに直接的にロード可能なコンピュータプログラムと、上述したように、本発明の方法を実行するための手段を構成するコンピュータコード部分を含むデータ媒体に関する。
【0104】
データ媒体は、EEPROMまたはフラッシュ型の電子カードの形状であってもよく、磁気ディスクまたは光ディスクまたは既存のディジタル処理手段にロードされるように設計されてもよい。
【0105】
実施例1
ImageJにおいて実装される基本プログラム
上記で概要を述べた基本的なアルゴリズムは、このプログラムのマクロ言語を用いて画像プログラムImageJに実装された。ImageJは、National Institute of Health, MD, USAのWayne Rasbandによって開発されたパブリックドメインのフリーウェアプログラムである。このプログラムは、ウェブサイトhttp://rsb.info.nih.gov/ij/から自由に得られることができる。
【0106】
図2は、計算中のプログラムのグラフ出力、すなわち、反転アルゴリズムに基づいてこれらの画像を解析するために用いられるImageJマクロソースコードのリストの実施例である。
【0107】
材料および方法。ウシの未成熟な卵丘‐卵母細胞複合体(COCs)は、食肉処理場で取り出された卵巣から吸引され、選択され、4ウェルシャーレで24時間成熟させた(Nunc、Roskilde、Denmark)。各ウェルには、15%ウシの血清(CS; Danish Veterinary Institute、Frederiksberg、Denmark)を補ったTCM−199培養液(Gibco BRL、Paisley、UK)で緩衝された400μLの重炭酸塩、10IU/mLのeCGおよび5IU/mLのhCG(Suigonan Vet; Intervet Scandinavia、Skovlunde、Denmark)が入れられた。胚は、加湿空気中に5%のCOで、38.5℃で鉱物油の下で成熟された。受精は、凍結解凍済みのパーコールと選択された精子を用いて、改良した体ロード培養液内で行われた。22時間後、卵丘細胞は、攪拌によって除去され、発生予定の受精卵が、抗生物質(硫酸ゲンタマイシン、10mg/ml)および5%のCSを補ったアミノ酸、クエン酸およびイノシトールを有する合成卵管流体培養液(SOFaaci)から構成される400μLの培地に移送され、最大湿度で5%のCO、5%のO、90%のNの大気の中で38.5℃でインキュベートされた。
【0108】
インキュベータシステムは、前述の部分で詳細に記載し、試験管内の胚の培養に関して適切であることが分かっている(Holm et al. 1998)。簡単に言えば、4ウェル培養シャーレが、反転型Nikon TMD顕微鏡(Diaphot、DFA A/S、Copenhagen、Denmark)の顕微鏡ステージ(MultiControl 2000 Scanning stage, Marzhauser, Germany)に配置された。空気温度制御装置(Air−Therm(TM), World Precision Instruments, Aston, UK)によって調整された黒いプレキシグラスインキュベータボックスが、ステージの周囲に準備された。底の開いたプラスチックカバーが、培養シャーレの上に配置され、加湿気体混合物が、インキュベータボックスの内側に配置された気体洗浄瓶を通過した後、この半閉鎖培養室に導かれた。
【0109】
この培養箱は、安定した温度状態および湿度状態を提供する試験管内の胚の培養には有用であることが既に分かっている(Holm et al. 1998, 2003)。実験中、週ごとのルーチンの試験管内の胚の生成が、基本的な培養システムの完全性のために制御装置として供給された。
【0110】
カメラシステム。経時記録は、画像解析ソフトウェア(ImagePro(TM), Unit One, Birkerφd, Denmark)によって管理された。画像解析ソフトウェアは、x軸、y軸およびz軸における走査ステージの移動、接続された高い光感度ビデオカメラ(WAT−902H、Watec、DFA A/S、Copenhagen、Denmark)の動作のほか、コンピュータハードディスクにおける経時系列の記録および格納を制御する。
【0111】
各胚の画像(合計倍率:×265)が、培養期間を通じて、20分の間隔で最小の光で連続的に記録された。記録時の間には、胚は光照射野外に移動された。
【0112】
識別可能な割球に焦点を当てた受精卵に関して、以下の卵割期/胚期の第1の出現の時間が記録された。すなわち、目視可能な凝集性の細胞集団に関する2細胞期および3〜4細胞期および桑実胚期および胞胚期、最大のコンパクトな桑実胚、胞胚の第1の拡大および胞胚の崩壊である。
【0113】
図3〜図5は、活性度プロファイルとして画像および解析結果のデータ系列を示している。
【0114】
実施例2
フィーダ細胞の単層で成長中の幹細胞における細胞分裂を定量化するための理論的な実施例
本発明はまた、融合性細胞層(またはフィーダ細胞の融合性層の上で成長する幹細胞の中の細胞分裂)における時間単位当たりの面積当たりの分裂の数を検出して定量化するために用いられてもよい。本発明は、細胞の境界の貧弱な描写のために、個別の細胞を検出し、境界を定めて、計数することを実行不能にしている場合に、特に、有用である。しかし、細胞分裂が、運動に関連付けられるため、本発明の運動解析は、他の細胞が静止したままであるならば、細胞分裂が誘発する運動性を反映する確率が高い。したがって、個別の細胞が弁別されることができない場合には、細胞分裂の解析は、本発明において概要を述べた方法によってこのように達成されることができる。
【0115】
細胞分裂がまれな事象であり、画像の異なる部分にめったに同時発生しないのであれば、方法はうまく作用する。この場合には、全体的な画像に関して導出された変数において分離されたピークが、細胞分裂に関連付けられることになる。しかし、多くの場合には、細胞分裂はさらに頻繁に起こり、一部の運動は、画像の異なる部分で常に生じる。それゆえ、簡単な解決策は、細胞分裂が各部分において生じるのが比較的少ないように、画像をより小さな部分(たとえば、2×2、3×3または4×4など)に部分分割することである。各部分に関して時系列を解析するために本発明を用い、次に、画像全体に関して結果の和を求める。
【0116】
原理を示す仮想データを用いた理論的な実施例が、図6に示されている。この想像上の実施例において、融合性細胞培養の画像は、60時間の間、20分ごとに取得される。経時画像系列は、差画像を計算し、各差画像の分散を計算することによって解析される。しかし、検査される面積に比較的大きな数の細胞分裂の場合(すなわち、9)には、画像全体の分散(白抜きの企業の上のグラフ)は、簡単に解釈可能ではない。しかし、画像が4つの四分位に部分分割され、次に、各四分位が個別に解析されたとしても、各四分位が解析された時間帯において、1〜3の細胞分裂を有し、それぞれの分散グラフ(下図、黒塗りの記号)において明確に輪郭が描かれる。各四分位において明確に画定されたピークを計数することは、領域全体に関する細胞分裂の総数、すなわち60時間で9分裂を与える。
【0117】
本仮想実施例は、細胞分裂が2つの区画の境界に沿って生じず、1つの分裂事象を2回計数することがない理想的な状況を示している。しかし、隣接する四分位の両方において結果として生じるピークが閾値未満である場合には、境界における細胞分裂はまた、省略されてもよい。したがって、エッジ効果が、実際の値の過大評価または過小評価をもたらし、有用な近似を明確に表す場合は、不明確である。
【0118】
実施例3
細胞集団の品質の決定:胚の品質の判定
体外受精(IVF)後に移植されることになっている最適な胚を決定することは、観察された細胞分裂および関連する細胞運動のタイミング、持続時間および範囲に基づいて可能であることが分かってきた。
【0119】
したがって、第1の目的は、細胞集団における変化を決定するための上述の方法を用いて、時間期間の間、胚を監視することを含む方法を実現することであり、前記時間期間は、少なくとも1つの細胞分裂期間および少なくとも分裂間期間の一部を含むほど十分な長さを有し、少なくとも1つの細胞分裂期間の長さを決定し、および/または分裂間期間中の細胞運動を決定し、および/または分裂間期間中の細胞運動の時間期間の長さを決定して、それによって胚の品質尺度を得ることによって、胚の品質を決定することを目的とする。
【0120】
得られた胚の品質尺度は、次に、妊娠および生産児を提供するために、女性の子宮への移植に適した胚を識別して選択するために用いられてもよい。したがって、第2の目的は、上記で定義されたように、胚の品質尺度を得て胚を監視し、最高の胚の品質尺度を有する胚を選択することを含む方法を実行することによって、移植に適した胚の知識に基づく選択を可能にすることである。
【0121】
実施例3a
実験、観察、解析および検討
材料および方法。ウシの未成熟な卵丘‐卵母細胞複合体(COCs)は、食肉処理場で取り出された卵巣から吸引され、選択され、4ウェルシャーレで24時間成熟させた(Nunc、Roskilde、Denmark)。各ウェルには、15%ウシの血清(CS; Danish Veterinary Institute、Frederiksberg、Denmark)を補ったTCM−199培養液(Gibco BRL、Paisley、UK)で緩衝された400μLの重炭酸塩、10IU/mLのeCGおよび5IU/mLのhCG(Suigonan Vet; Intervet Scandinavia、Skovlunde、Denmark)が入れられた。胚は、加湿空気中に5%のCOで、38.5℃で鉱物油の下で成熟された。受精は、凍結解凍済みのパーコールと選択された精子を用いて、改良した体ロード培養液内で行われた。22時間後、卵丘細胞は、攪拌によって除去され、発生予定の受精卵が、抗生物質(硫酸ゲンタマイシン、10mg/ml)および5%のCSを補ったアミノ酸、クエン酸およびイノシトールを有する合成卵管流体培養液(SOFaaci)から構成される400μLの培地に移送され、最大湿度で5%のCO、5%のO、90%のNの大気中で38.5℃でインキュベートされた。
【0122】
インキュベータシステムは、前述の部分で詳細に記載し、試験管内の胚の培養に関して適切であることが分かっている(Holm et al. 1998)。簡単に言えば、4ウェル培養シャーレが、反転型Nikon TMD顕微鏡(Diaphot、DFA A/S、Copenhagen、Denmark)の顕微鏡ステージ(MultiControl 2000 Scanning stage, Marzhauser, Germany)に配置された。空気温度制御装置(Air−Therm(TM), World Precision Instruments, Aston, UK)によって調整された黒いプレキシグラスインキュベータボックスが、ステージの周囲に準備された。底の開いたプラスチックカバーが、培養シャーレの上に配置され、加湿気体混合物が、インキュベータボックスの内側に配置された気体洗浄瓶を通過した後、この半閉鎖培養室に導かれた。
【0123】
この培養箱は、安定した温度状態および湿度状態を提供する試験管内の胚の培養には有用であることが既に分かっている(Holm et al. 1998, 2003)。実験中、週ごとのルーチンの試験管内の胚の生成が、基本的な培養システムの完全性のための制御として実験的に行われた。
【0124】
カメラシステム。経時記録は、画像解析ソフトウェア(ImagePro(TM), Unit One, Birkerφd, Denmark)によって管理された。画像解析ソフトウェアは、x軸、y軸およびz軸における走査ステージの移動、接続された高い光感度ビデオカメラ(WAT−902H、Watec、DFA A/S、Copenhagen、Denmark)の動作のほか、コンピュータハードディスクにおける経時系列の記録および格納を制御する。各胚の画像(合計倍率:×265)が、7日の培養期間を通じて、30分の間隔で最小の光で連続的に記録された。記録時の間には、胚は光照射野から外に移動された。
【0125】
経時画像系列の手動解析は、以下の卵割期/胚期の第1の出現の時間を記録することからなる。すなわち、目視可能な凝集性の細胞集団に関する2細胞期、4細胞期、8細胞期、16細胞期および桑実胚期および胞胚期、最大のコンパクトな桑実胚、胞胚の第1の拡大、胞胚の崩壊および胞胚の孵化である
【0126】
自動コンピュータ式解析は、2つの連続フレーム間の差として計算された差画像の標準偏差を計算することからなる。整列のアーティファクトおよび他の問題を避けるために、以下の複雑な手順が、用いられた。
1)画像取得。(前記説明参照)。
2)系列におけるすべての画像からアーティファクトのぼやけた参照画像を減算することによって、固定位置のアーティファクト(カメラの埃)を除去する。
3)不正確な段階の運動を補償するための転位。整列するためのきわめて簡単な方法は、元の差画像を元の画像の1つをずらした後に、所与の方向において1つの画素を計算した差画像と比較することである。転位後に計算された差画像の分散が元の差画像の分散より小さい場合には、転位は、改善した整列を形成したことになる。すべての可能な転位方向およびすべての関連する転位の大きさを体系的に試すことによって、整列された時系列を得ることが可能である。しかし、本事例の場合には、Thevenaz et al. 1998によって開発された画像整列のための高度なImageJマクロを用いた。
4)関心領域(ROI)および外側の参照領域を識別する。ブラウン運動整列化問題などに起因する胚の外側の「運動」と胚の内側の細胞運動を比較することが好都合である。これは、大部分は、胚の輪郭を描き、胚の内側の差画像を胚の外側の類似の領域において計算された差と比較することによって達成される。胚の輪郭を描くことは、手動で行われた。選定した参照領域は、胚のない画像の領域である。
5)強度差を計算する。
6)各差画像に関して導出された変数を計算する。複数の差変数が計算されたが、最も参考になった変数は、差画像におけるすべての画素に関する強度の標準偏差であった。この変数は、以下のほか、以下の実施例において「割球活性度」と呼ばれる。
7)割球活性度におけるピーク形状を識別して決定する。
8)診断的に関連する時間間隔に関する割球活性度の標準偏差および平均値を計算する。実施例3d参照。
【0127】
実験設計。約20個のウシの胚が、Nunc−4ウェルシャーレの1つのウェルで7日間、共にインキュベートされ、30分ごとに画像取得が行われた。この実験は、合計5時間繰り返され、99個のウシの胚の経時画像系列が得られた。
【0128】
結果:
成長中の胚の経時画像系列の定性的な評価に基づいて(動画としてそれらを多大な時間にわたって素早く動く様子を見て、変化に留意することによって)、それを観察した。高品質の胚の指標は、細胞質の実際の分裂が急速に進行し、他の割球の位置の次の再配列が、次の細胞質分裂の急激な始まりまで細胞位置の再配列がほとんどない「静止」期間に続いて、急激に生じる急激な細胞分裂である。貧弱な品質の胚は、細胞質分裂後および細胞質の細胞分裂間の割球位置の長期の再配列を示すことが多い。これらの観察を定量化して、文書化するために、経時画像系列から割球活性度を計算する。
【0129】
代表的な割球活性度が、「良好」胚および「不良」胚に関してそれぞれ、図7に示されている。「良好」と見なされた胚は、孵化胞胚まで成長されたのに対して、「不良」と見なされた胚は、胞胚まで成長しなかった。
【0130】
観察された活性度の一部は、高品質の胚の場合に観察される同期細胞分裂(たとえば、2→4、4→8)とは対照的に、非同期細胞分裂(たとえば、2→3→4→5→6→7→8)および断片化に起因している。図8において、41個の胚の割球活性度が擬似ゲル画像として表示され、運動性のピークは暗帯によって示され、不活性度は、白であり、各レーンは、1つの胚に対応する。暗帯パターンまたは染みは、胚内の細胞の運動性の期間を反映する。胞胚まで成長している「良好」胚は、胞胚期まで成長しなかった「不良」胚の上部に示されている。さらに急峻な初期の帯(通常は3)は、良好な胚の場合に見られる。
【0131】
実施例3b
実験、観察、解析および検討
材料および方法。実施例3aと同様。
結果
哺乳類の胚における初期の蛋白質合成は、卵母細胞からの母親のmRNAを用いるが、数回の細胞分裂後、胚のゲノムが活性化され、転写され、移植される。母親のゲノムから胚のゲノムへの切り替えは、胚の成長における決定的なステップである。この期間は、ウシの場合には8細胞期で生じ、比較的長い持続時間を有するのに対し、ヒトの胚の場合には、切り替えは、4〜8細胞期でより早くに生じ、より短い持続時間を有する。
【0132】
胚のゲノムが活性化され、蛋白質合成が母親から胚の遺伝子に切り替わるとき、大部分の哺乳類では、ごくわずかな細胞運動の静止期間が観察される。この期間が、i)早発性、ii)きわめて低い活性度(=細胞運動がほとんどない=静止している)およびiii)早期終了である場合には、高品質の胚の確たる表示である。貧弱な品質の胚において、静止期間は、遅発性であることが多く、細胞運動によって時々妨げられる。13個の異なる胚に関して実施例3aにおいて定義された割球活性度を示すこの実施例は、図9に示されている。暗帯パターンまたは染みは、胚内の細胞の運動性の期間を反映する。胞胚まで成長している「良好」胚は、胞胚期まで成長しなかった「不良」胚の上部に示されている。さらに急峻な初期の帯(通常は3)は、良好な胚の場合に見られる。
【0133】
実施例3c
実験、観察、解析および検討
材料および方法。実施例3aと同様。
結果
続いて成長を止める貧弱な品質の胚において、特定の持続的に不動の領域が観察されることが多く、これは持続して、最終的に成長阻止につながる。そのような不動の領域は、広範囲の断片化または割球の死および溶解に関連付けられるてもよい。これらの領域が所与の成長期における所与の割合より大きい場合には、胚が生き残っている確率はきわめて低い。高品質の胚の場合には、各細胞質分裂事象後にすぐに続く細胞の運動性は、最初は、全体的な胚の面にわたって分散され(すなわち、すべての割球がわずかに運動する)、桑実期における緊密化を経て、局所的な運動が初めて見られる。
【0134】
図10における左パネルなどの胞胚まで成長する胚は、一様に分散された割球活性度を有する(実施例3aにおいて定義される)。図10における右パネルなどの一様に分散されない割球活性度を有する胚は、胞胚まで決して成長しない。
【0135】
実施例3d
実験、観察、解析および検討
材料および方法。実施例3aと同様。
結果
異なる時間間隔における細胞運動の量は、胚の品質のよい指標である。品質関連変数は、異なる時間区分における平均運動の比および/または異なる時間区分における標準偏差の比から計算されることができ、胚の選択手順は、これらの変数の値に基づいて確立されることができる。異なる区分(=部分)の実施例が、図11および図12に示されている。この事例では、部分1は、受精後32〜60時間の時間区分であり、部分2は、受精後60〜75時間であり、部分3は、受精後75〜96時間である。異なる部分における平均割球活性度および/または割球活性度標準偏差(実施例3aで定義される)に基づき、胚を分類することが可能である。
【0136】
本事例の場合には、下記R1及びR2に基づく以下に述べる選択判断基準を用いた。
・R1=所与の胚に関する胞胚活性度パターンにおける部分1の平均胞胚活性度と部分3の平均胞胚活性度との間の比
・R2=所与の胚に関する胞胚活性度パターンにおける部分2の胞胚活性度の標準偏差と部分3の胞胚活性度の標準偏差との間の比
【0137】
計算は、図13に示されている。
R1<1.15およびR2<0.50の場合には、「良好」胚であり、そうでなければ「不良」胚である。これらの判断基準を用いると、39個の胚のうち、36個の胚のすべてが続いてどのように成長したかに基づいて正確に分類された。
【0138】
実施例3e
実験、観察、解析および検討
材料および方法。実施例3aと同様。
結果
図14は、細胞分裂の始まりの自動決定と手動決定との間の良好な対応を示している。
【0139】
第1の細胞分裂のきわめて早い始まりは、高い胚の品質の表示である。第1の細胞分裂(および次の細胞分裂)のきわめて遅い始まりは、低品質の胚を表す。しかし、大多数の胚の場合には、図15に示されているように、第1の細胞分裂の正確な始まりのみが胚の品質の明確な表示を提供するわけではない。
【0140】
細胞分裂の平均の始まりは、不良な胚の場合には遅れるのに対して、大きな固有標準偏差は、極端な場合を除き、絶対値を貧弱な選択判断基準にする。たとえば、30時間以内の第1の分裂は、良好な胚を意味する。35時間後の第1の分裂は、不良な胚を意味するが、検査されたウシの胚の大部分は、容易に解釈されない中間の分裂時間を有する。
【0141】
ウェブサイトhttp://rsb.info.nih.gov/ij/から得られるImageJのプログラム








【0142】
文献
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【0145】
製品
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの細胞を含む融合性細胞培養における変化の大きさを決定するための方法であって、前記方法は、
a)前記融合性細胞培養の少なくとも2つの画像を連続的に取得するステップと、
b)一連の差画像を得るために少なくとも2つの画像の少なくとも一部を比較するステップと、
c)各差画像から変数を計算し、該変数が前記融合性細胞培養における変化の大きさの情報を提供するステップと、
d)前記計算された変数に基づいて、前記融合性細胞培養における前記変化の大きさを決定するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記融合性細胞培養は、細胞の融合性単層を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記融合性細胞培養は、融合性細胞層の上に成長する細胞を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記融合性細胞培養は、フィーダ細胞の融合性層である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記融合性細胞培養は、少なくとも一つの幹細胞を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記変数は、全体の差画像に基づく1つの差画像から計算される請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記変数は、同一の計算および同一の融合性細胞培養から得られる他の差画像から導出される別の変数に対して正規化されていない状態で維持される請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記変数は、0と1との間の正規化された値に調整されてもいない値として計算されていない請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記変数は、比較された画像間の差の表示である請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記変数は、自己相似行列における値の計算と相関されていない請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記変数は、系列におけるすべての個別のフレームに関して関心領域および非関心領域における画像の適応区分化なしで計算される請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記融合性細胞培養における前記変化は、細胞運動などの細胞再配列である請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記融合性細胞培養における前記変化は、細胞の境界箇所における変化である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記変化の大きさは、前記融合性細胞培養における細胞再配列の量である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記計算された変数に基づいて、細胞再配列の一時的パターンを計算するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記融合性細胞培養における前記変化は、2つより多い細胞が移動する場合、細胞の大部分が移動する場合、すべての細胞が移動する場合などの細胞再配列である請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記方法は、前記融合性細胞培養における細胞分裂の検出に適用される、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記融合性細胞培養における前記変化は、細胞分裂である請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記融合性細胞培養における前記変化は、少なくとも1つの細胞の死である請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記融合性細胞培養の少なくとも2つの画像のそれぞれは、より小さい複数の対応部分に再分され、前記差画像解析は、各部分ごとに個別に変化を決定するために各対応部分について得られる、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記画像の前記対応部分は、複数の一連の差画像を得るために対比され、前記変数は各一連の画像における各差画像について計算される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記画像は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8又は9の部分に分けられる、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記融合性細胞培養の各部分について個別に決定された前記変化を組み合わせて、全体の前記融合性細胞培養における前記変化を得る、請求項20から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
差画像は、前記少なくとも2つの画像における対応する画素の値を減算することによって得られる請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
差画像は、前記少なくとも2つの画像における対応する画素の値に対する対数を減算するなどの、前記少なくとも2つの画像における対応する画素の変換値を減算することによって得られる請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
差画像は、前記少なくとも2つの画像における対応する画素の値の比を計算することによって得られる請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
差画像から計算される変数は、差画像における画素の絶対値の和、差画像における画素の平均絶対値、差画像における画素の中央絶対値、画素の平方値の和、差画像における画素の平均平方値、差画像における画素の平方値の中央値、差画像における画素の値の分散、差画像における画素の値の標準偏差、差画像のヒストグラムにおける異なるパーセンタイル値の値、差画像の最小値および最大値、および差画像ヒストグラムの値域または分散またはこれらの変数の1つ以上の組み合わせから導出された別の変数からなる群から選択される請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
差画像から計算される変数は、差画像における画素の絶対値の和、差画像における画素の値の標準偏差、および差画像における画素の値の分散、からなる群から選択される請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
差画像は強度差画像である請求項1〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
差画像における画素に対応する値は、強度における差である請求項1〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
差画像における画素に対応する値は、位相コントラストの差などの位相における差である請求項1〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
差画像における画素に対応する値は、スペクトル特性における差である請求項1〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
少なくとも1つの差画像を得るために、前記比較の前に、少なくとも2つの画像が整列される請求項1〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
少なくとも1つの差画像を得るために、前記比較の前に、画像アーティファクトが、前記少なくとも2つの画像から除去される請求項1〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
少なくとも1つの差画像を得るために、前記比較の前に、前記少なくとも2つの画像には、同一のスケーリングが施される請求項1〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記スケーリングは解像度の減少である請求項35に記載の方法。
【請求項37】
解像度の前記減少は、再標本化、平均化、平滑化、移動平均、双3次内挿、bスプライン内挿、および画像行列の単純な削減より成る群に属する方法によって行われる請求項35又は36に記載の方法。
【請求項38】
前記少なくとも2つの画像は少なくとも3つの画像であり、これらの画像は規則的な時間間隔で得られる請求項1〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記少なくとも2つの画像は少なくとも3つの画像であり、これらの画像は不規則的な時間間隔で得られる請求項1〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
複数の差画像は一連の連続画像から得られ、前記計算された変数における変化は、前記融合性細胞培養における変化を表す請求項1〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記複数の差画像の各々は2つの次の画像から得られ、前記差画像から計算される変数の集合は時系列を形成する請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記計算される変数における極値は、細胞運動性などの細胞再配列を表す請求項38または41に記載の方法。
【請求項43】
前記計算される変数における極値は、細胞分裂を表す請求項38〜42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記極値はピーク値である請求項38〜43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記ピークの形状は、細胞集団で生じる変化の性質を表す請求項44に記載の方法。
【請求項46】
高い急峻なピークは、最小の断片化を有する速い細胞分裂を表す請求項44又は45に記載の方法。
【請求項47】
前記高い急峻なピークは、前記融合性細胞培養における実質的に同期した細胞分裂を表す請求項46に記載の方法。
【請求項48】
広いピークおよび/または二峰性のピークは、より多くの断片化を有する更に遅い細胞分裂を表す請求項46または47に記載の方法。
【請求項49】
前記広いピークおよび/または二峰性のピークは、非同期細胞分裂を表す請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記計算される変数の基準レベルにおける急激な変化は、少なくとも1つの細胞の死を表す請求項38〜49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記変化は、基準レベルの平均値の急激な減少に続く著しい増大である請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記融合性細胞培養における前記変化の決定は、前記融合性細胞培養の他の測定値に比較される請求項1〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
他の測定値は、呼吸量、アミノ酸吸収量、運動性解析、モルフォロジ、断片化、の群から選択される請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記融合性細胞培養は、少なくとも2つの画像の取得中に、培地に位置決めされる請求項1〜53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
少なくとも1つの細胞を含む融合性細胞培養における変化を決定するためのシステムであって、前記システムは、
a)前記融合性細胞培養の少なくとも2つの画像を連続的に取得するための手段と、
b)一連の差画像を得るために少なくとも2つの画像の少なくとも一部を比較するための手段と、
c)少なくとも1つの差画像から変数を計算し、該変数は前記融合性細胞培養における変化の大きさの情報を提供するためのコンピュータと、
d)計算された変数に基づいて、前記融合性細胞培養における変化が生じたか決定するための手段と、を備えるシステム。
【請求項56】
前記コンピュータは、同一の計算導出され、同一の細胞集団から得られる他の差画像から導出される別の変数に対して正規化されていない状態で前記変数を維持する請求項55に記載のシステム。
【請求項57】
前記コンピュータは、0と1との間の正規化された値に調整されていない値として前記変数を計算しない請求項55または56に記載の方法。
【請求項58】
前記コンピュータによって計算された前記変数は、比較された画像間の差の表示である請求項55〜57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
請求項1〜54のいずれかの1つ以上の特徴を有する請求項55〜58に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図6−A】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−84277(P2013−84277A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−245593(P2012−245593)
【出願日】平成24年11月7日(2012.11.7)
【分割の表示】特願2008−534871(P2008−534871)の分割
【原出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【出願人】(505238326)ユニセンス・ファーティリテック・アクティーゼルスカブ (3)
【氏名又は名称原語表記】Unisense FertiliTech A/S
【Fターム(参考)】