説明

組み立て玩具

【課題】安全で、楽しく、知育遊びにもなる組み立て玩具を提供すること。
【解決手段】一直線に配置可能の貫通孔21、22、23、24、25、26、27それぞれに形成される複数構成部材11、12、13、14、15、16、17、18、貫通孔21、22、23、24、25、26、27に挿通可能の棒状体19eを保持する支持部材19と、を有し、棒状体19eの軸中心の回動により各部材を係止するロック機構を有して玩具本体を組み立てる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み立て玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、知育を一つの目的とした玩具として多種が提案されている。その中で、特許文献1では、基板に立設された補助棒に対して、中心部に補助棒貫通孔を備えた大きさの異なる複数のブロックを適用する積木玩具を提供している。そして、補助棒に挿通させながらブロックを重ね、加減乗除を体積や高さで実感させることを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平7−37296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1において、ブロック自体は二等辺三角形の三角柱を基本とした積木であり、特に幼児においては、好奇心を掻き立てるものではなく、楽しく遊ぶという観点からは、明らかにずれがあるという問題があった。
【0005】
従って、本発明は、幼児にとっても興味を引き、安全で、楽しく、知育遊びにもなる組み立て玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の組み立て玩具は、一直線に配置可能な貫通孔がそれぞれに形成される複数の構成部材と、貫通孔に挿通可能の棒状体を保持する支持部材とを有し、棒状体の軸中心の回動により各構成部材を係止するロック機構を有する構成である。
【0007】
本発明の組み立て玩具において、ロック機構が、棒状体に保持され貫通孔と同じ断面形状且つ挿通可能のロック部を有し、棒状体の回動によりロック部形状を貫通孔からずらすことで、支持部材とロック部との間に予め決められた構成部材を係止する構成であることが好ましい。
【0008】
本発明の組み立て玩具において、係止時にロック部と接触する構成部材の貫通孔縁部に、ロック部のずらし位置を保持する規制突起が配置される構成であることが好ましい。
【0009】
本発明の組み立て玩具において、ロック部が規制突起を受容する規制凹部を備える構成であることが好ましい。
【0010】
本発明の組み立て玩具において、隣り合う構成部材が互いに相対すべき位置で噛み合わせ可能の位置決め凹凸部を備える構成であることが好ましい。
【0011】
本発明の組み立て玩具において、構成部材又は前記支持部材の少なくとも一方に、着脱可能に保持される補助構成部材を備える構成であることが好ましい。
【0012】
本発明の組み立て玩具において、構成部材及び支持部材が人形を構成しており、支持部材が頭部分であって、顔の構成に対応して分割可能である構成であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、貫通孔を備えた複数の構成部材を重ね、棒状体を挿通して各構成部材をロック可能であることで、安全で、楽しく、知育遊びにもなる組み立て玩具を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)本発明に係わる組み立て玩具の分解斜視図、(b)本発明に係わる組み立て玩具の頭部の分解斜視図である。
【図2】(a1)図1の棒状体挿通前の斜視図、(a2)図1の棒状体挿通前の玩具下面の斜視図、(b1)図1の棒状体挿通状態の斜視図、(b2)図1の棒状体挿通状態の玩具下面の斜視図、(c1)図1の棒状体回転によるロック状態の斜視図、(c2)図1の棒状体回転によるロック状態の下面の斜視図である。
【図3】(a)本発明に係わる組み立て玩具の他の実施形態を示す斜視図、(b)図3(a)の玩具を逆さまにした分解斜視図、(c)図3(b)の玩具の棒状体を含む部分の分解斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係わる組み立て玩具の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1(a)は本発明に係わる組み立て玩具の分解斜視図、図1(b)は本発明に係わる組み立て玩具の頭部の分解斜視図である。
【0016】
本実施形態の組み立て玩具本体10(本実施形態では人形)は複数の構成部材(脚部11、腰部12、ベルト部13、腹部14、マーク表示部15、腕部16、肩部17、マント部18)及び頭部(支持部材)19から構成されている。
【0017】
構成部材(脚部11、腰部12、ベルト部13、腹部14、マーク表示部15、腕部16、肩部17、マント部18)のそれぞれは、胴体部分20を基本的には輪切りにしたような形態で分割している。そして、マント部18を除く各構成部材(脚部11、腰部12、ベルト部13、腹部14、マーク表示部15、腕部16、肩部17)にはそれぞれ、同形状の貫通孔21、22、23、24、25、26、27が一直線に並ぶように設けられている。この貫通孔21、22、23、24、25、26、27の本実施形態の形状は、一般的に表現される鍵穴形状である。
【0018】
本実施形態の組み立て玩具本体10では、構成部材(脚部11、腰部12、ベルト部13、腹部14、マーク表示部15、腕部16、肩部17)の隣り合う構成部材同士で、互いに相対すべき位置で噛み合わせ可能の位置決め凹凸部を備えている。つまり、脚部11には凹部31が備えられ、腰部12に備えられた凸部32aが嵌り込むことで、位置決めが実施される。この関係は、腰部12の凹部32bとベルト部13の33a、ベルト部13の33bと腹部14の凸部34a、腹部14の凹部34bとマーク表示部15のマーク部35、マーク表示部15のマーク部35と肩部17の凹部37a、腕部16の腕保持バー36と肩部17の凹部37b、それぞれの位置決め関係に採用されている。
【0019】
隣り合う構成部材同士の位置決め用の凹凸部は容易な位置決めには有用ではあるが、これらを設けなくとも、組み立ては可能であり、その場合、より難しいパズルの要素が含まれることとなる。
【0020】
頭部(支持部材)19には、棒状体19eが備えられ、棒状体19eの先端にはロック部19fが保持されている。ロック部19fの棒状体19e軸方向断面は貫通孔21、22、23、24、25、26、27と同形状且つ挿通可能に設定されている。棒状体19eの断面は一般の円柱形状であり、ロック部19fは鍵穴形状であるので、棒状体19eの断面形状からのはみ出し部分が存在する。このロック部19fのはみ出し部分から頭部(支持部材)19と棒状体19eとの境界辺までの距離(棒状体19eの長手方向)は、胴体部分20の肩部17上面から脚部11の下面貫通孔21の縁までの距離と同じに設定されている。
【0021】
図1(b)に示すように、本発明に係わる組み立て玩具本体10の頭部(支持部材)19は分解可能である。これは、顔の構成に対応しており、顔表面部19a、鼻部19b、眼口眉部19c、後頭部19dに分かれている。棒状体19eは顔表面部19aの下部に固定配置されている。
【0022】
図2は本実施形態の組み立て玩具本体10のロック機構作用を説明するための斜視図であり、(a1)は図1の棒状体19e挿通前の斜視図、(a2)は図1の棒状体19e挿通前の玩具下面の斜視図、(b1)は図1の棒状体19e挿通状態の斜視図、(b2)は図1の棒状体19e挿通状態の玩具下面の斜視図、(c1)は図1の棒状体19e回転によるロック状態の斜視図、(c2)は図1の棒状体19e回転によるロック状態の下面の斜視図である。
【0023】
図2(a1)で示すように、ロック部19fが肩部17の貫通孔27に挿入できるように、頭部(支持部材)19は胴体部分20に対して略90度横向きの位置となり、棒状体19eが図の矢印方向へ挿通される。この横向き角度は、貫通孔の配置に対するロック部19fと頭部(支持部材)19と角度設定により決定するので、略90度は本実施形態の例であり、多くの設定が可能である。また、この時、貫通孔21、22、23、24、25、26、27が一直線に並ぶよう、胴体部分20が組み上げられている。勿論、図2(a2)で示すように、脚部11の貫通孔21も肩部17の貫通孔27と同じ向きとなっている。
【0024】
図2(b1)で示すように、頭部(支持部材)19が肩部17まで到達するとき、また、胴体部分20の組み立てが完全であれば、ロック部19fが脚部11の貫通孔21の下面まで貫通、突出する(図2(b2)に図示)。この時、前述のように、ロック部19fのはみ出し部分から頭部(支持部材)19と棒状体19eとの境界辺までの距離(棒状体19eの長手方向)は、胴体部分20の肩部17上面から脚部11の下面貫通孔21の縁までの距離と同じに設定されているので、ロック部19fが完全に貫通する。それにより、ロック部19fが脚部11と干渉しなくなり、棒状体19eの長手方向を軸として回動可能となる。
【0025】
図2(c1)で示すように、回動可能となった頭部(支持部材)19が胴体部分20に対して正面を向くように、矢印方向に回動される。すると、図2(c2)に図示するように、ロック部19fは脚部11の貫通孔21形状位置を外れることとなり、ロック機構が作動状態となり、棒状体19eは簡単には抜けなくなる。つまり、構成部材(脚部11、腰部12、ベルト部13、腹部14、マーク表示部15、腕部16、肩部17、マント部18及び頭部(支持部材)19が係止される。
【0026】
ここで、図2(a1)で示すように、ロック部19fが回動する側の脚部11の貫通孔21縁部に規制突起11aを設けることができる。ロック機構作動時にこの規制突起11aを越えてロック部19fを回動させることで、振動などに対してもロック部19fのロックが外れる方向に回転することを規制することができる。更には、この規制突起11aを受容できる規制凹部(図示せず)をロック部19fに設けることもでき、ロック部19fの回動を完全に規制することができる。これらは、各部材の材質をある程度撓む材質とすることで可能となる。
【0027】
図3(a)で示すように、本発明に係わる組み立て玩具の他の実施形態50を示す斜視図、(b)図3(a)の玩具50を逆さまにした分解斜視図、(c)図3(b)の玩具50の棒状体を含む部分の分解斜視図である。
【0028】
本実施形態の組み立て玩具50(本実施形態では人形)は、図1に示した玩具本体10と似た構成であるが、支持部材を腰部に備えている。具体的には、複数の構成部材(頭部51、眼部52、鼻部53、口部54、舌部55、顎部56、袖部57、腕部18、シャツ部59)及び腰部(支持部材)60から構成されている。
【0029】
構成部材(頭部51、眼部52、鼻部53、口部54、舌部55、顎部56、袖部57、腕部18、シャツ部59)のそれぞれは、基本的には輪切りにしたような形態で分割されている。そして、各構成部材(頭部51、眼部52、鼻部53、口部54、舌部55、顎部56、袖部57、腕部18、シャツ部59)にはそれぞれ、同形状の貫通孔が一直線に並ぶように設けられている。この貫通孔の形状は、図1の玩具本体10と同様に、一般的に表現される鍵穴形状である。
【0030】
本実施形態の組み立て玩具50でも、図1に示した玩具本体10と同様に、構成部材(頭部51、眼部52、鼻部53、口部54、舌部55、顎部56、袖部57、腕部18、シャツ部59)の隣り合う構成部材同士で、互いに相対すべき位置で噛み合わせ可能の位置決め凹凸部を備えている。
【0031】
腰部(支持部材)60には、棒状体60eが備えられ、棒状体60eの先端にはロック部60fが保持されている。ロック部60fの棒状体60e軸方向断面は前述の貫通孔と同形状且つ挿通可能に設定されている。
【0032】
このロック機構は図1に示した玩具本体10に対して、支持部材が腰部(支持部材)60で、玩具本体10の脚部11に代わって頭部51となっている以外は、ほぼ同様の構成とロック機構を有するので、説明を流用する。
【0033】
図3(c)で示すように、貫通孔を備えていない補助構成部材を配置することも可能である。具体的には、補助構成部材として、脚部61、足部62、足裏部63がこの順番で接続され、腰部60に着脱可能に備えられる。また、ネクタイ64がシャツ部59に着脱可能に備えられる。
【0034】
ここで、上述した2つの本実施形態に使用される材質としては、樹脂材料、木材など、若干の撓み性があるものが好ましい。
【0035】
以上のように、本発明の上記実施形態によれば、各構成部材を重ねることでブロック的要素を備え、また、所定の順番と位置で重ねる必要があること、棒状体の軸中心の回動による各構成部材を係止するロック機構を有することにより、知育遊びの要素を備えているので、楽しく知育遊びができる。また、人気キャラクターや自動車、電車など、好奇心を持てる対象をこの組み立て玩具とすることが可能で、より楽しく知育遊びができる。また、ロック機構により、各部材が外れにくい状態とすることで、より安全な玩具とすることができる。
【0036】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明の含まれるものである。例えば、本実施形態は、人形の実施形態を示したが、これ以外にも自動車、電車などに適用することもできる。
【0037】
また、貫通孔及びロック部の形状はロック部をずらして構成部材を係止できれば、どのような形状でもよい。また、本実施形態では、ロック部は、組み立て時に、玩具の最下部または、最上部にのみ配置されているが、構成部材の間に配置することや複数配置することも可能である。これにより、部分係止が可能となる。更に、支持部材についても、玩具の端部分の部材としたが、これも中間部分の構成部材に棒状体を保持させることもできる。この場合、少なくとも前後又は上下など2本の棒状体が必要となる。
【符号の説明】
【0038】
10 組み立て玩具本体
11 脚部
11a 規制突起
12 腰部
13 ベルト部
14 腹部
15 マーク表示部
16 腕部
17 肩部
18 マント部
19 頭(支持部材)
19e 棒状体
19f ロック部
20 胴体部分
21〜27 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一直線に配置可能な貫通孔がそれぞれに形成される複数の構成部材と、
前記貫通孔に挿通可能の棒状体を保持する支持部材と、を有し、
前記棒状体の軸中心の回動により前記各構成部材を係止するロック機構を有する組み立て玩具。
【請求項2】
請求項1において、
前記ロック機構が、前記棒状体に保持され前記貫通孔と同じ断面形状且つ挿通可能のロック部を有し、前記棒状体の回動により前記ロック部形状を前記貫通孔からずらすことで、前記支持部材と前記ロック部との間に予め決められた構成部材を係止する組み立て玩具。
【請求項3】
請求項2において、
前記係止時に前記ロック部と接触する前記構成部材の貫通孔縁部に、前記ロック部のずらし位置を保持する規制突起が配置される組み立て玩具。
【請求項4】
請求項3において、
前記ロック部が前記規制突起を受容する規制凹部を備える組み立て玩具。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
隣り合う前記構成部材が互いに相対すべき位置で噛み合わせ可能の位置決め凹凸部を備える組み立て玩具。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項において、
前記構成部材又は前記支持部材の少なくとも一方に、着脱可能に保持される補助構成部材を備える組み立て玩具。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、
前記構成部材及び支持部材が人形を構成しており、前記支持部材が頭部分であって、顔の構成に対応して分割可能である組み立て玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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