説明

組合わせの髄膜炎菌B/Cワクチン

【課題】髄膜炎菌BおよびCについての組合わせの免疫学的組成物およびワクチンに、ならびにこれを投与することによって免疫応答を誘導する方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、血清群Bからの外膜タンパク質および血清群Cからのオリゴ糖を含有する髄膜炎菌についての組合わせのワクチン、ならびに疾患の予防または処置のためのその使用に関する。1つの局面において、本発明は、キャリアタンパク質に結合体化されたNmCオリゴ糖、NmB外膜タンパク質、およびキャリアを含有する、免疫原性組成物またはワクチンに関する。好ましい実施態様において、このキャリアタンパク質は、CRM197、非毒性ジフテリアトキシンであり、NmB外膜タンパク質は、プロテオリポソーム小胞として存在し、そしてキャリアは水酸化アルミニウムまたはMF59である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、1998年5月29日に出願された、米国仮出願第60/087,351号、および1998年10月30日に出願された同第60/106,446号に対して優先権を主張し、これらのそれぞれは、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)BおよびCについての組合わせの免疫学的組成物およびワクチンに、ならびにこれを投与することによって免疫応答を誘導する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
髄膜炎菌(Nm)の血清群B株および血清群C株は共に、欧州および米国における大多数の侵襲性疾患についての原因である。個々のNm血清群に対するワクチンは、現在利用可能である。NIPH(National Institute of Public Health of Norway)のNmBワクチンは安全であり、子供および成人において株特異的免疫を誘発し、ならびに青年においてNmB疾患を予防するのに効き目がある。このワクチンは典型的に、髄膜炎菌C多糖ワクチンと組合わされ、そしてミョウバンとともに与えられてきた。しかし、簡単な多糖ワクチン成分は、乳児および幼児において効果的でない。カイロン(Chiron)社のNmC結合体(conj.)ワクチンはまた、安全であり、2および3月齢程度の幼いワクチン接種された乳児において、高い力価の血清殺細菌性抗体(serum bactericidal antibody)を誘発し、そして結合体化していないNmC多糖に対して免疫学的なB細胞記憶を誘導する。両方の血清群が疾患を引き起こすので、両方の血清群に対して免疫応答を誘導する組合わせのワクチンは、非常に有利である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、例えば以下の項目を提供する:
(項目1) 免疫原性組成物であって、第1のキャリアに結合体化されるNmCオリゴ糖、およびNmB外膜タンパク質を含有する、免疫原性組成物。
(項目2) 前記第1のキャリアが、タンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマー、脂質凝集物、および不活性なウイルス粒子からなる群より選択される、項目1に記載の免疫原性組成物。
(項目3) 前記第1のキャリアがタンパク質である、項目2に記載の免疫原性組成物。
(項目4) 前記第1のキャリアがCRM197である、項目3に記載の免疫原性組成物。
(項目5) 前記NmB外膜タンパク質が、プロテオリポソーム小胞として存在する、項目1に記載の免疫原性組成物。
(項目6) 前記組成物が第2のキャリアを含有する、項目1に記載の免疫原性組成物。
(項目7) 前記第2のキャリアが、水酸化アルミニウムまたはMF59である、項目6に記載の免疫原性組成物。
(項目8) NmBおよびNmCに対する免疫学的応答を誘導する方法であって、免疫学的に有効な量の項目1に記載の免疫原性組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目9) 前記第1のキャリアが、タンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマー、脂質凝集物、および不活性なウイルス粒子からなる群より選択される、項目8に記載の方法。
(項目10) 前記第1のキャリアがタンパク質である、項目9に記載の方法。
(項目11) 前記第1のキャリアがCRM197である、項目10に記載の方法。
(項目12) 前記NmB外膜タンパク質が、プロテオリポソーム小胞として存在する、項目8に記載の方法。
(項目13) 前記組成物が第2のキャリアを含有する、項目8に記載の方法。
(項目14) 前記第2のキャリアが、水酸化アルミニウムまたはMF59である、項目13に記載の方法。
(項目15) 項目1〜7のいずれか1項に記載の免疫原性組成物を含有する、ワクチン。
(項目16) 個体をワクチン接種する方法であって、項目1〜7のいずれか1項に記載の免疫原性組成物を該個体に投与する工程を包含する、方法。
(発明の要旨)
1つの局面において、本発明は、キャリアタンパク質に結合体化されたNmCオリゴ糖、NmB外膜タンパク質、およびキャリアを含有する、免疫原性組成物またはワクチンに関する。好ましい実施態様において、このキャリアタンパク質は、CRM197、非毒性ジフテリアトキシンであり、NmB外膜タンパク質は、プロテオリポソーム小胞(proteoliposomic vesicle)として存在し、そしてキャリアは水酸化アルミニウムまたはMF59である。
【0005】
別の局面において、本発明は、NmBおよびNmCに対して免疫応答を誘導する方法、すなわちワクチン接種する方法に関し、この方法は、キャリアタンパク質に結合体化されたNmCオリゴ糖、NmB外膜タンパク質、およびキャリアを含有する免疫学的に有効な量の免疫原性組成物を投与する工程を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1Aおよび1Bは、それぞれ、ELISAによって決定した場合の、NmB IgGおよびNmC IgGの抗体力価をまとめる。
【図2】図2Aおよび2Bは、それぞれ、NmBおよびNmCに対する血清殺細菌性抗体の力価をまとめる。
【図3】図3は、M59アジュバント中の組合わせのワクチンによって誘導されるNmBおよびNmCに対する抗体対ミョウバン中の組合わせのワクチンによって誘導されるNmBおよびNmCに対する抗体の比率の比較をまとめる。
【図4】図4は、組合わせのワクチンによって誘導されるNmBおよびNmCに対する抗体対それぞれの一価のワクチンによって誘導されるNmBおよびNmCに対する抗体の比率の比較をまとめる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(好ましい実施態様の詳細な説明)
各血清群単独によって誘導される免疫応答とは有意に異ならない、両方の血清群に対して免疫応答を誘導する、NmBおよびNmCについて組合せのワクチンが記載される。NIPH NmBワクチン(本明細書中で、「NmB」あるいは「MenB」ワクチンといわれる)およびカイロン社のNmC結合体ワクチン(本明細書中で、「NmC conj.」あるいは「MenC conj.」といわれる)の、単独での、組合わせた、およびアジュバントMF59と組合わせた免疫原性が、本明細書中で記載される。
本発明の実施は、他で示されない限り、免疫学および微生物学の従来の方法を用いる。このような技術は、文献において十分に説明される。例えば、Methods In Enzymology(S.ColowickおよびN.Kaplan編、Academic Press,Inc.)およびHandbook of Experimental Immunology、第I〜IV巻(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編、Blackwell Scientific Pulications)を参照のこと。
【0008】
本明細書中で使用される場合、用語「免疫原性」とは、ヒトを含む脊椎動物へ投与されると抗体の産生を誘導する材料をいう。
【0009】
本明細書中で使用される場合、用語「キャリア」とは、NmBまたはNmC免疫原性成分以外の薬学的に受容可能な成分をいう。キャリアは、有機性、無機性、またはその両方であり得る。適切なキャリアは当業者に周知であり、そして適切なキャリアとしては、タンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマー、脂質凝集物(例えば、油滴またはリポソーム)、および不活性なウイルス粒子のような大きな、ゆっくりと代謝される高分子が挙げられるがこれらに制限されない。キャリアはまた、免疫刺激剤(例えば、アジュバント)として機能し得る。適切なアジュバントは、当業者に周知である。
【0010】
本明細書中で使用されるように、用語「免疫学的に有効な量」とは、単回用量においてまたは一続きのもの一部としてのいずれかで、疾患の処置または予防のいずれかのための抗体の産生を誘導するのに有効である量の投与を意味する。この量は、被験体の身体の状態を含む多様な因子に依存して変化し、および当業者によって容易に決定され得る。
【0011】
本明細書中で使用されるように、用語「ワクチン」とは、殺微生物性免疫応答を誘導し得る免疫原性組成物を意味する。好ましくは、本発明のワクチンは、殺細菌性抗体応答を誘発する。
【0012】
本発明は、一部、髄膜炎菌BおよびCの両方に対して免疫応答を誘導する免疫原性組成物に関する。本発明の好ましい実施態様において、免疫原性組成物は、NmB外膜タンパク質、および第1のキャリアに結合体化されるNmCオリゴ糖を含有する。
【0013】
NmBタンパク質は好ましくは、株44/76(B15:P1.7、16:L3、7、9)からの部分的に精製された外膜タンパク質を含む。部分的に精製された外膜タンパク質は好ましくは、デオキシコレートを使用する抽出プロセスの結果として、プロテオリポソーム小胞として存在する。NmBの投薬量は、タンパク質のμgにおいて表される。好ましくは、NmB免疫組成物/ワクチン成分は、National Institute of Public Health of Norway(NIPH)から得られ得る。NmB/ミョウバンワクチンは、0.05mg/ml NmBタンパク質、3.33mg/ml Al(OH)3(ミョウバン)、および0.10mg/mlチオメルサールナトリウムを含有する。
【0014】
カイロン社のオリゴ糖は、好ましくは約12個〜約22個の反復単位のNmC多糖フラグメントを表す。好ましくは、NmCオリゴ糖は、第1のキャリアに結合される。NmC結合体または多糖の投薬量は、シアル酸のμgにおいて表される。結合体化していない多糖を含有する、NmCワクチン(「NmC多糖」または「MenC Ps」と本明細書中でいわれる)がまた、使用され得る。MenC Psは、好ましくは約60個〜約80個の反復単位の多糖を含有する、粗単離物である。
【0015】
本発明の好ましい実施態様において、第1のキャリアは、タンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマー、脂質凝集物、または不活性なウイルス粒子である。より好ましくは、第1のキャリアは、タンパク質である。最も好ましくは、第1のキャリアは、CRM197である。12.5μg〜33μgのCRM197に対して10μg(すなわち、約0.3〜約0.8のオリゴ/タンパク質の比率を維持する)のオリゴ糖が、好ましくは1用量あたりで使用される。より好ましくは、約20μgのCRM197が使用され得る。
【0016】
本発明の好ましい実施態様において、免疫原性組成物は、第2のキャリア、好ましくは水酸化アルミニウム(ミョウバン)またはMF59を含む。ミョウバンは、Superfos、Bedbaek、Denmarkから得られ得、および3%溶液である。存在する場合、約1mg〜約1.67mgのミョウバンが1用量あたりで使用される。MF59は、水中のスクアレンの微流動化された(micro−fluidized)乳濁液であり、この乳濁液は、安全であり、および多様な調査のワクチンに対して血清抗体応答を増加させることが示されている。MF59は、約5%のスクアレン、0.5%のTween 80、および約0.5%のSpan 85を含有する。アジュバントMF59は、PCT公開広報第WO 90/14837号(その全体が本明細書中に参考として援用される)において記載される。MF59は、例えば、Ottら、Vaccine Design:The Subunit And Adjuvant Approach、1995、M.F.PowellおよびM.J.Newman編、Plenum Press、New York、277−296頁;Singhら、Vaccine、1998、16、1822−1827;Ottら、Vaccine、1995、13、1557−1562;およびValensiら、J.Immunol.、1994、153、4029−39(これらの開示は、それらの全体が本明細書中に参考として援用される)において記載される手順に従って作製され得る。
【0017】
本発明の免疫原性組成物は、免疫学的に有効な量の抗原を用いる。すなわち、アジュバントと組合わせて、ナイセリア属へのその後の曝露から被験体に対して防御を与えるために、特異的なおよび十分な免疫学的応答、好ましくはTリンパ球応答またはBリンパ球応答を被験体に生じさせる抗原の量が含まれる。
【0018】
本発明において用いられ得る各抗原およびどの抗原についても特異的な指針を提供する単一用量の明示は、指定され得ない。抗原の有効な量は、その固有の活性および純度の関数であり、ならびに慣用実験を介して、当業者によって経験的に決定される。
【0019】
本発明に従う免疫原性組成物は、免疫刺激量のナイセリア属抗原を含む。免疫刺激量は、測定可能な体液性または細胞性の免疫応答を誘導するのに十分な量である。例えば、本発明の免疫原性組成物は、約1ナノグラム〜約1000マイクログラムの抗原、または約10ナノグラム〜約800マイクログラムの抗原を含む。いくつかの好ましい実施態様において、免疫原性組成物は、約0.1マイクログラム〜約500マイクログラムの抗原を含む。いくつかの好ましい実施態様において、免疫原性組成物は、約1マイクログラム〜約350マイクログラムの抗原を含む。いくつかの好ましい実施態様において、免疫原性組成物は、約25マイクログラム〜約250マイクログラムの抗原を含む。いくつかの好ましい実施態様において、免疫原性組成物は、約100マイクログラムの抗原を含む。当業者は、任意の所望の量の抗原を含有する免疫原性組成物を容易に処方し得、これは慣用実験によって、当業者により経験的に決定され得る。免疫原性組成物は、単位投薬量形態において簡便に投与され得、そして例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Pub.Co.、Easton、PA、1980)(この開示はその全体が本明細書中に参考として援用される)において記載されるように薬学の分野において周知である任意の方法によって調製され得る。
【0020】
本発明はまた、上記の任意の免疫原性組成物を含有するワクチンに関する。
【0021】
本発明はまた、NmBおよびNmCに対する免疫学的応答を誘導する方法に関し、この方法は、免疫学的に有効な量の上記の免疫原性組成物をヒトに投与する工程を包含する。投与は、経口経路、非経口経路、肺経路、経皮経路、直腸経路、腹腔内経路、筋肉内経路、または皮下経路によってを含む、当業者に公知の任意の態様によってであり得る。
【0022】
本発明はさらに、本発明を解明することが意図される以下の実施例によってさらに例示される。以下の実施例は、本発明を例示することを意図し、そして本発明を制限するとはいかようにも解釈されない。当業者は、本発明の精神および範囲内にある改変を認識する。本明細書中で引用される全ての参考文献は、それらの全体が本明細書中に参考として援用される。
【実施例】
【0023】
(実施例1:ELISAの結果)
モルモットの群(n=15匹の動物)を、表1において記載される以下のワクチンのうちの1つを受けるように指定した。
【0024】
【表1】

80匹のモルモットを上記の群に無作為化し、そして6つのワクチンの組合わせのうちの1つを受けさせた。表2に示されるデータについて、各動物は、2回のIM注射を、28日間あけて受けた。血清サンプルを、各注射の前、および2回目の注射の18日後に得た。図1Aおよび1Bにおいて示されるデータについて、各動物は、2回の免疫化を6週間の間隔をあけて受けた。各用量は、2回の0.25ml IM注射からなっていた。血清サンプルを、各注射の直前、および2回目の注射の14日後または18日後に得た。
【0025】
血清サンプルを、ELISAにより、NmCに対する抗莢膜IgG抗体濃度について(表2および図1A)、ならびにNmBに対する抗外膜小胞IgG抗体濃度について(図1B)アッセイした。ELISAデータは、個々の動物血清の代表的なアッセイにおいて作製され(表2)、そしてまた、複数のアッセイからの平均として表された(図1Aおよび図1B)。それゆえ、表2において記載されるまとめのELISAデータは、相乗平均として表される。
【0026】
ELISAについて、MCPS−ADH(NmC多糖−アジピン酸ジヒドラジド)結合体または外膜小胞(OMV)成分を、ポリスチレンマイクロタイタープレート上に、一晩、4℃、1μg/ml、100μl/ウェルでコーティングした。コーティングされた各プレートに、それぞれ100μl/ウェルの参照標準(すなわち、プールされたモルモット血清)、ポジティブコントロール、ネガティブコントロール、および血清サンプルを、75μMチオシアン酸アンモニウムを含有する緩衝液中で2倍連続希釈し、そして2時間、室温でインキュベートした。ペルオキシダーゼに結合されたウサギ抗モルモットIgG抗体を、ウェルに添加した(100μl/ウェル)。2時間後、比色定量分析の基質の3,3’,5,5’,テトラメチルベンジジン(TMB)(100μl/ウェル)を添加し、そして色を15分間呈色させた。コントロールおよびサンプル中に存在するMCPSおよびOMVに対する抗体のレベルを、100ELISA単位/mlという指定された値を有する参照標準を使用して、標準曲線から得た。結果を、表2ならびに図1Aおよび図1Bにおいて示す。
【0027】
表2ならびに図1Aおよび図1Bにおいてまとめられる結果は、それぞれ、NmB IgG抗体力価およびNmC IgG抗体力価によって測定されるように、組合わせのワクチンが免疫原性であったことを示す。図1Aは、特異的な抗髄膜炎菌B抗体応答が、NmBを含有するワクチンの組合わせによって誘導されたことを示す。図1Bは、特異的な抗髄膜炎菌C抗体応答が、NmCを含有するワクチンの組合わせによって誘導されたことを示す。特に、MF59アジュバントの存在下でのNmC結合体とNmBとの組合わせ(群5)によって誘導される抗体応答は、NmC結合体単独(群1)、またはミョウバンの存在下でのNmC結合体とNmBとの組合わせ(群4)のいずれによって誘導される抗体応答よりも有意に大きかった。アジュバントMF59が存在した場合、組合わせのワクチンについての抗体力価は、約6倍増加した。
【0028】
【表2】

(実施例2:殺細菌力価)
血清サンプルを、MenC株60EおよびMenB株44/76に対する補体媒介性の殺細菌力価について試験した。殺細菌力価を、各群からのプールされた血清に対してアッセイした。殺細菌データを、ヒト補体を使用して作製した。
【0029】
アッセイの成分(すなわち、緩衝液、抗体、補体、および細菌)を、ふた付きの滅菌の、96ウェル組織培養プレート(Nunc番号167008)に添加した。プレートを、アッセイの間室温で維持した。各ウェルに対して、1%RIA Grade BSA(Sigma)を含有する50μlのGey緩衝液(Gibco)、25μlの希釈された試験抗体、Gey緩衝液/1% BSA中で1:8000に希釈された25μlの細菌を、順次添加した。コントロールウェルは、1)Gey緩衝液/1% BSAおよび細菌単独(生物体が希釈液単独中で生存可能であるか否かを決定するために);2)75μlの緩衝液、25μlの熱不活化(56℃、30分間)されたヒト補体、および25μlの細菌を含有する0時間コントロール;ならびに3)試験株に対して補体供給源が非毒性であることを確認するための、緩衝液および細菌とともに20%および40%にて補体を試験する毒性コントロールを含む。全ての抗体サンプル(アッセイされた最大濃度で)をまた、熱不活性化補体を用いて試験し、抗体の存在下でのコロニー形成単位(cfu)の減少が補体依存性であることが示された。全ての試薬を添加した後、22μlを各コントロールウェルから採取し、そしてサンプルをプレートの全体にゆきわたらせることによってMueller−Hinton寒天プレート上にプレーティングして、0分でのウェルにおけるcfuを決定した。次いで、マイクロタイタープレートを、パラフィルムで覆いそして密閉し、1時間、37℃にて、4% CO2インキュベーターにおいて穏やかに回転した。次いで、プレートを取り出し、そして各ウェルからの22μlのサンプルをMueller−Hinton寒天上にプレーティングした。培養プレートを、4% CO2を伴って、約18時間、37℃にてインキュベートした。コロニーを計数し、そして生存%を、各試験ウェルについて決定した:生存%=([60分間でのサンプルウェルのcfu]/[0分時での熱不活化補体コントロールウェルにおけるcfu])×100。報告される殺細菌力価は、50%生存を生じる力価であった。単回の実験からの結果は、表3において示される。結果はまた、図2Aおよび図2Bにおいて示され、図2Bは、複数の実験からの平均力価を示す。
【0030】
表3においてまとめられる結果として、組合わせのワクチンは、NmBおよびNmCの両方について、高力価の血清殺細菌性抗体を誘発したことを示す。殺細菌性NmC抗体力価は、キャリアとしてMF59を使用する組合わせのワクチンについてわずかにより高かったが、MF59を使用する殺細菌性NmB力価に対して本質的に何の効果もなかった。興味深いことに、NmBワクチン単独を用いるよりも2〜5倍高いNmB殺細菌力価が、組合わせのワクチンを用いて得られた。図2Aは、NmBを含有するワクチンの組合わせによって誘導される、髄膜炎菌Bに対する抗体は、殺細菌性であったことを実証する。図2Bは、NmC結合体を含有するワクチンの組合わせによって誘導される、髄膜炎菌Cに対する抗体もまた、殺細菌性であったことを実証する。
【0031】
【表3】

(実施例3:ミョウバンとMF59アジュバントとの比較)
図1Aおよび図1Bにおいて上記の動物からの血清を比較し、ならびにミョウバンまたはMF59アジュバントのいずれか中でNmB/NmC conj.によって生成されたMenC抗体応答およびMenB抗体応答を、実施例1および2において上記されるように検出した。図3において示される結果は、髄膜炎菌Cに対する抗体応答が、MF59アジュバントを含有するワクチンにおいて約6倍大きかったことを実証する。
【0032】
(実施例4:組合わせのワクチンによって生成される抗体応答と、一価ワクチンによって生成される抗体応答との比較)
図1Aおよび図1Bにおいて上記の動物からの血清を比較し、そしてNmB/NmC conj.によって生成されるMenC抗体応答およびMenB抗体応答を、実施例1および実施例2において上記のように、ミョウバン中のNmBワクチン単独またはNmC conj.単独のいずれかによって生成される抗体応答と比較した。図4において示される結果は、それぞれの一価ワクチン(NmBまたはNmC conj.のいずれか)によって誘導される応答に比較して、NmB/NmC conj.ワクチンの成分に対する抗体応答において有意差がないことを実証する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−292851(P2009−292851A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219818(P2009−219818)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【分割の表示】特願2000−550512(P2000−550512)の分割
【原出願日】平成11年5月28日(1999.5.28)
【出願人】(591076811)ノバルティス バクシンズ アンド ダイアグノスティックス,インコーポレーテッド (265)
【Fターム(参考)】