説明

組換え生鶏痘ウィルスベクター及びC型肝炎ウィルスに対する薬剤組成物中でのそれらの使用

本発明は、C型肝炎ウィルス抗原に基づく組合せタンパク質のための組換え鶏痘ウィルス、及び回数を低減した投与後にC型肝炎ウィルスに対して細胞性免疫反応を誘導できる薬剤組成物中でのその使用に関する。本発明によれば、前記薬剤組成物は、哺乳動物のC型肝炎ウィルスに関する感染を予防及び治療するのに使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にC型肝炎ウィルス(HCV)のタンパク質を発現する組換え鶏痘ウィルスを用いる免疫学及びウィルスワクチン、並びにHCVに対して細胞性免疫反応を誘導できる薬剤組成物の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
HCVは、1989年に初めて、分子生物学技術を用いて非A非B型輸血後肝炎の主な病原と特定された(Choo Q−L.,Kuo G.,et al.(1989)血液由来非A非B型ウィルス肝炎ゲノム由来のcDNAクローンの単離(Isolation of a cDNA clone derived from a blood−borne non A,non−B viral hepatitis genome.)Science.244:359〜62;EP 0318216 Chiron Corp)。現在では、世界中で1億7千万を超える人々がこのウィルス因子に感染している。HCV感染は、症例の85%で持続性であり、しばしば硬変症及び肝細胞癌を引き起こす(Caselmann W.H.,Alt M.(1996)肝細胞癌に関する主な危険因子としてのC型肝炎ウィルス感染(Hepatitis C virus infection as a major risk factor for hepatocellular carcinoma.)J.Hepatol.24:61〜66)。実際に、感染から25年後、HCV慢性保菌者の25%が硬変症を発症し、その1〜4%が毎年肝細胞癌を発症する(Prince A.M.,Shata M.T.(2001)C型肝炎ウィルス感染の免疫学的予防(Immunoprophylaxis of hepatitis C virus infection.)Clin.Liver.Dis.5:1091〜103)。
【0003】
HCV感染に特に好ましい治療は、集中療法で投与されるペグ化インターフェロンの併用に基づいている。しかし、この治療は攻撃的(aggressive)で、高価であり、且つ症例の50%未満に有効である。(Prince A.M.,Shata M.T.(2001)C型肝炎ウィルス感染の免疫学的予防(Immunoprophylaxis of hepatitis C virus infection.)Clin.Liver.Dis.5:1091〜103)。
【0004】
HCV抗原に基づく、タンパク質サブユニット、ウィルス様粒子、合成ペプチド、組換え生ベクター及びDNA免疫用DNA構築体といった様々な変異体は、ワクチン接種手法として評価されてきた(US6635257、US6387662、US6235888、US6685944、US2003021805、Lechmann M.,Liang T.J.(2000)C型肝炎のワクチン開発(Vaccine development for hepatitis C.)Semin.Liver.Dis.20:211〜26)。これらの変異体の一部は、それらのHCVエピトープに対する特異的な免疫反応を誘発する能力を実証しているが、この反応はまだ不十分のようである。現在、HCV感染に対する予防と相関のある免疫パラメーターは、完全に定められていない。それにもかかわらず、いくつかの研究は、初期の、強い及び多重特異な細胞障害性T細胞応答が、CD4+Th1細胞と共に、ウィルスに対する免疫及び疾患の解消に有利であることを示唆する。反対に、後期のT細胞応答は、慢性肝臓免疫病の確立に関連している(Cerny A.,Chisari F.V.(1999)慢性C型肝炎の発病:肝傷害の免疫学的特徴及びウィルスの持続性(Pathogenesis of chronic hepatitis C: immunological features of hepatic injury and viral persistente.)Hepatology.30:595〜601;Cooper S.,et al.(1999)C型肝炎ウィルスに対して好結果の免疫反応の分析(Analysis of a successful immune response against hepatitis C virus.)Immunity 10:439〜49;Lechner F.,et al.(2000)細胞障害性Tリンパ球は何故C型肝炎ウィルスの除去に失敗するのか? 主要組織適合性複合体クラスIペプチド四量体を用いた研究からの教訓(Why do cytotoxic T lymphocytes fail to eliminate hepatitis C virus? Lessons from studies using major histocompatibility complex class I peptide tetramers.)Philos.Trans.R.Soc.Lond.B.Biol.Sci.355:1085〜92;Takaki A.,et al.(2000).C型肝炎の単一源発生からの回復から20年後に細胞性免疫反応は存続し、液性免疫反応は低減する(Cellular immune responses persist and humoral responses decrease two decades after recovery from a single−source outbreak of hepatitis C.)Nat.Med.6:578〜82)。
【0005】
組換え生ベクターは、HCVに対する細胞性免疫反応を生じるのに魅力的な候補である。HCVコア及びE1を組換えたアデノウィルスによるマウス中での免疫は、これらの抗原に対して特異的細胞障害性T細胞応答を誘発した(Bruna−Romero O.,et al.(1997)欠陥組換えアデノウィルスを用いたC型肝炎ウィルス構造抗原に対する細胞障害性T細胞応答の誘導(Induction of cytotixc T−cell response against hepatitis C virus structural antigens using a defective recombinant adenovirus.)Hepatology 25:470〜7)。これらの結果には期待が持たれているが、遺伝子療法のための組換えアデノウィルスの使用に関連する最近の問題により、それらのヒトでの使用に関して疑いが生じている。DNA構築体に基づくワクチン候補と併用した場合、異なるHCV遺伝子を含有する組換えワクシニア及びカナリア痘ウィルスを使用すると、評価した抗原に従ってマウス中の細胞障害性T細胞応答を誘導した(Pancholi P.,et al.(2000)多シストロン性C型肝炎ウィルス(HCV)遺伝子によるDNAプライム−カナリア痘ブーストはHCV構造及び非構造タンパク質に対する強力な免疫反応を生じる(DNA prime−canarypox boost with polycistronic Hepatitis C virus (HCV)genes generates potent immune responses to HCV structural and nonstructural proteins.)J.Infect.Dis.182:18〜27;Pancholi P.,et al.(2003)C型肝炎ウィルス(HCV)多シストロン性遺伝子によるDNA免疫又はHCV DNAプライム−組換えカナリア痘ウィルスブーストによる免疫は、HLA−A2.1−トランスジェニックマウスにおいて、免疫反応及び組換えHCV−ワクシニアウィルス感染からの予防を誘導する(DNA immunization with hepatitis C virus (HCV)polycistronic genes or immunization by HCV DNA priming−recombinant canarypox virus boosting induces immune responses and protection from recombinant HCV−vaccinia virus infection in HLA−A2.1−transgenic mice.)J.Virol.77:382〜90)。実際には、HCV構造抗原のカナリア痘ウィルス組換え体の個々の投与後における細胞性免疫であって、例えば、組換えワクシニアウィルスによる抗原投与モデル中で効果を示し得る該免疫のin vivoでの誘導に関しては、証拠がない。この群のウィルスには、HCV抗原に対する免疫反応の誘導に関してこれまで使用されていない鶏痘ウィルスも属する。鶏痘ウィルスは、哺乳動物細胞中では複製されないが、宿主細胞の細胞質中に感染し、そのゲノムがコードするタンパク質を効果的に発現することができる。これらの特徴により、ヒトでの組換え鶏痘の使用に付随する規制的リスクは、他の生ウィルスベクターと比較して減少する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在では、入手可能なHCV感染に対するワクチンが市場にない。実際、ほとんどの研究は、まだ前臨床段階である。したがって、HCV感染に対して有効な予防及び/又は治療薬の開発は、未解決の問題であり、且つ急務である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、制限及び技術水準を飛び越えて、鶏痘ゲノムの非必須領域に、HCVに対する特異的細胞性免疫反応を誘導可能で、鶏痘ウィルスによって発現されるHCV抗原に対応するaa領域に従うHCV由来のDNA断片を含有する、組換え鶏痘ウィルスを提供することで上述の問題を解決する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明によれば、ウィルスFPCoE1は、コアタンパク質及びE1の一部分を含めたaa 79−338(配列番号1)を含むタンパク質を発現し、一方、ウィルスFPBSは、異なるHCV抗原に対応するCD4+及びCD8+ Tリンパ球に特異的なエピトープを含めたキメラタンパク質(配列番号2)を含む。これらのウィルスにおいて、HCV抗原をコードする配列は、HCVキューバ分離株のcDNA由来である(Morales JらのWO 98/25960)。
【0009】
本発明の別の態様は、有効量の組換え鶏痘ウィルス及び薬剤として許容される賦形剤を含む、HCVに対する特異的細胞性免疫応答を誘導するための医薬組成物に関する。
【0010】
本発明に含まれる組換え鶏痘ウィルスは、ヒト細胞に侵入し、細胞質中でHCV抗原を発現する能力がある。ヒト細胞中での発現は、鶏痘ウィルスの初期/後期合成プロモーターに基づく転写単位によって制御される。これらのウィルスは、ワクシニアウィルスに由来する7.5Kプロモーターの制御下にあるキサンチングアノシンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子も含有する。これらのウィルスは、ヒトの体内では複製することができない。
【0011】
この組成物は、筋肉内、腹膜内又は皮下経路によって投与することができる。投与方法は、注射器、遺伝子銃、噴霧器又は他の免疫デバイスを用いることによって行うことができる。各個体は、所定容量で2.5×10〜1×10PFU/用量の範囲で投与を受ける。本発明では、DNA構築体を用いたプライム/ブースト戦略における組換え鶏痘ウィルスの投与手順も説明している。組換え鶏痘ウィルスは、プライム/ブースト戦略において、他のHCV抗原についてのタンパク質又は組換えたウィルスと一緒に、或いはサイトカイン及び他の免疫刺激分子と同時に投与することもできる。これらの組合せにより、新しいエピトープ特異性の発生又は特異的に派生した免疫反応の強化が可能になる。
【0012】
HCV抗原の組換え鶏痘ウィルスに基づく薬剤組成物は、以下の利点を有することができる:
−強力な特異的細胞性免疫を誘導することが可能である。
−低減された免疫回数によって所望の効果が得られる。
−混合ワクチンのコアとしてこれらの組成物の使用が可能である。
−アジュバントを必要としない。
−これらは抗ウィルス因子と併用することができる。
【0013】
状況によって、薬剤組成物は、別の療法若しくはワクチンの前、同時又は後に、HCVに対する免疫を誘導するために投与することができる。これらの薬剤組成物は、HCV感染に対する予防免疫を誘導するため、並びに慢性C型肝炎、硬変症及び肝臓癌の患者の免疫を誘導するためにも投与することができる。
【実施例】
【0014】
実現例
本発明で理解されているように、C型肝炎ウィルス又はHCVという用語は、一般的な状態におけるウィルスを表しており、したがってこの用語は、特定のウィルス配列又はHCV分離株に限定するものではない。
【0015】
同様に、コード配列は、正しい調節配列の制御下に置かれたとき、通常mRNAを介して、ポリペプチドに翻訳される核酸分子として理解される。この場合、コード配列には、cDNA及び組換えヌクレオチド配列を含むことができるが、それだけには限定されない。
【0016】
本発明は、例示するものであって本発明の目的を限定するものではない、以下の実施例によってより詳細に説明する。
【0017】
(実施例1:FPCoE1c、FPCoE1及びFPBSの評価)
HCV抗原の組換え鶏痘ウィルスにおける特異的細胞性免疫反応を誘導する能力を評価するために、ウィルスFPCoE1c、FPCoE1及びFPBSを作成した。図1は、HCV抗原に対応する配列の概略図を示す。ウィルスは、以下のように得た:ニワトリ胚線維芽細胞を鶏痘に感染させ、リポフェクタミン(Invitrogen、USA)を用いてプラスミドpFPCoE1c、pFPCoE1又はpFPBSでトランスフェクトさせた。これらのプラスミドは、プラスミドpFP67xgpt(Vazquez−Blomquist D.,Gonzalez S.,Duarte C.A.(2002)HIV−1由来のマルチエピトープポリペプチドを発現している組換え鶏痘ウィルスによって誘導された細胞性免疫反応に対するプロモーターの効果(Effect of promoters on cellular immune response induced by recombinant fowlpox virus expressing multi−epitope polypeptides from HIV−1.)Biotechnol.Appl.Biochem.36:171〜9)由来であり、aa 1−338、aa 79−338を含む領域をコードする配列(配列番号1)、又はTリンパ球に特異的なエピトープに基づくキメラタンパク質をコードする配列(配列番号2)(それぞれプラスミドpFPCoE1c、pFPCoE1及びpFPBS)を含んでいた。キサンチン、ヒポキサンチン及びミコフェノール酸を含有する選択培地中でウィルス精製を数サイクル行った後、感染プレートからのウィルス産物を増幅し、HCV配列に対応する挿入の存在をポリメラーゼ連鎖反応法によって確認した。
【0018】
ウィルスFPCoE1c、FPCoE1及びFPBSの免疫原性を、8週齢のBALB/c雌マウスで2.5×10PFUで2回腹膜内投与後(3週間空けて)調べた。各免疫群には、動物10匹が含まれていた。図2Aは、FPCoE1による免疫だけがコア及びE1に対して検出可能なレベルの抗体を誘導できたことを示す。しかし、図2Bは、陰性ウィルス、FP9で免疫した動物で検出された反応に対して統計的に有意である(スチューデントt検定、p<0.05)、FPCoE1及びFPBSで免疫した動物に対応するリンパ球からのIFN−γ分泌陽性反応を示す。FPCoE1cによる免疫では、IFN−γ分泌リンパ球の陽性反応が誘導されなかった。さらに、図2Cで示すように、ウィルスFPCoE1及びFPBSで免疫した群からの動物は、HCV抗原について組換えていないワクシニアウィルス対照(WR)を抗原投与した後に観察されたものに比較して、HCV構造抗原(HCVポリタンパク質のaa 1−650)の組換えワクシニアウィルス(vvRE)を10PFUで抗原投与した後の卵巣へのウィルス負荷量(the viral load)を有意に低減させることが可能であった(スチューデントt検定、p<0.05)。さらに、FPCoE1及びFPBSで免疫した動物のvvREウィルス負荷量は、陰性鶏痘ウィルスFP9で免疫した動物で検出されたものに関して統計的により低かった(スチューデントt検定、p<0.05)。FPCoE1cによる免疫は、卵巣へのウィルス負荷量を有意に低減させなかった。ワクシニアウィルスによる抗原投与は、鶏痘ウィルスによる最後の免疫から2週間後に腹膜内接種によって実施した。卵巣の抽出は、ワクシニアウィルスの接種から5日後に行った。組換えワクシニアウィルスによる抗原投与は、ワクチン候補のin vivoにおける強力な細胞性免疫反応を誘発する能力を実証するのに広く使用されてきた。特に、卵巣中のウィルス力価の低減は、強力なCD8+ Tリンパ球応答の誘導に主に関連している。
【0019】
(実施例2:鶏痘ウィルスの投与経路(腹膜内、皮下及び筋肉内))
組換え鶏痘ウィルスによって生じる免疫反応に対する接種経路の影響を評価するために、8週齢の雌BALB/cマウスを免疫した。各免疫群には、動物10匹が含まれていた。ウィルス(2.5×10PFU)を、2回免疫で3週間空けて腹膜内、筋肉内又は皮下経路によって投与した。図3は、ワクシニアウィルスvvREによる抗原投与後の卵巣でのウィルス負荷量を低減させる組換え鶏痘ウィルスFPCoE1及びFPBSの能力に関し免疫経路間で有意な差がないことを示す。これら2種類の組換えウィルスは、鶏痘陰性対照FP9に比較して、ウィルス負荷量の低減に基づいて陽性反応を誘導した(スチューデントt検定、p<0.05)。ワクシニアウィルスによる抗原投与は、鶏痘ウィルスによる最後の免疫から2週間後に10PFUのワクシニアウィルスvvREの腹膜内接種によって実施した。卵巣の抽出は、ワクシニアウィルスの接種から5日後に行った。
【0020】
(実施例3:用量比較(0.9×10、2.5×10、5×10及び1×10PFU)
雌BALB/cマウスを0及び3週目に筋肉内経路によって異なる量の組換え鶏痘ウィルスで免疫した。各免疫群には、動物10匹が含まれていた。図4は、0.9×10PFUで免疫したマウスでは、鶏痘ウィルスによる最後の免疫から2週間後に10PFUのvvREによって抗原投与した後の卵巣で検出されたウィルス負荷量に関して有意な差がなかったことを示す。対照的に、2.5×10、5×10及び1×10PFUのFPCoE1及びFPBSの投与は、同様の量の鶏痘陰性対照FP9を接種した動物で検出されたものに対して、卵巣へのvvREウィルス負荷量を著しく低減させた(スチューデントt検定、p<0.05)。すべての場合において、卵巣の抽出は、vvREの接種から5日後に行った。
【0021】
(実施例4:DNA及び鶏痘ウィルスによるプライム/ブースト免疫)
DNAワクチン候補とHCV抗原の組換え鶏痘ウィルスを組み合わせたプライム/ブースト免疫で誘導された免疫反応を評価することを目的として、8週齢の雌BALB/cマウスを免疫した。各免疫群には、動物10匹が含まれていた。1群(Co−pIDKE2)を、0、3、7及び12週目に筋肉内経路によって、HCVポリタンパク質の最初の650 aaを発現しているプラスミド、pIDKE2(Duenas−Carrera S.,et al.(2004).C型肝炎ウィルス構造抗原をコードしているDNAワクチンによる免疫はウサギ及びMacaca irus(カニクイマカクザル)中のカプシド及び外被タンパク質に対して特異的な免疫反応を誘発する(Immunization with a DNA vaccine encoding the hepatitis−C−virus structural antigens elicits a specific immune response against the capsid and envelope proteins in rabbits and Macaca irus (crab−eating macaque monkeys).)Biotechnol Appl Biochem.39:249〜55)100μgと組換えHCVコアタンパク質、Co.120(Alvarez−Obregon J.C.,et al.(2001).切断されたHCVコアタンパク質はマウス中で細胞性免疫成分の強い関与による強力な免疫反応を誘発する(A truncated HCV core protein elicits a potent immune response with a strong participation of cellular immunity components in mice.)Vaccine 19:3940〜46)10μgの混合物で免疫した。動物の1群(pAEC−K6)を、陰性対照プラスミドpAEC−K6(Herrera A.M.,et al.(2000).ヒトにおけるDNA免疫のための小型プラスミドベクターのファミリー(A family of compact plasmid vectors for DNA immunization in humans.)Biochem.Biophys.Res.Commun.279:548〜51)で同様の条件で免疫した。別の群を、0及び3週目に筋肉内経路によって2.5×10PFUのFPCoE1で免疫した。さらに、動物のある群を同じ条件で、陰性鶏痘ウィルス、FP9で免疫した。さらに、1群(Co−pIDKE2/FPCoE1)を、0及び3週目に混合物Co−pIDKE2で、9及び12週目にFPCoE1で筋肉内経路によって免疫した。別の群(Co−pIDKE2/FP9)を同じ方法で免疫したが、6及び9週目の投与はFP9で投与した。図5は、最も高レベルの抗体がCo−pIDKE2群で誘導されたことを示す(スチューデントt検定、p<0.05)。さらに、Co−pIDKE2とFPCoE1を組み合わせたプライム/ブースト投与は、FPCoE1単独で免疫した群で検出されたものに対してより高レベルの抗体を誘導した(スチューデントt検定、p<0.05)。図5Bでは、FPCoE1、又はCo−pIDKE2で免疫した両方の群、並びに最初の2投与をCo−pIDKE2及び他の2投与をFPCoE1で免疫した群が、陰性対照で免疫した動物に対して抗原投与後のvvREウィルス負荷量を有意に低減させた(スチューデントt検定、p<0.05)ことを観察することができる。最も少ないウィルス負荷量は、最初の2投与をCo−pIDKE2及び他の2投与をFPCoE1で免疫した動物で検出された。ワクシニアウィルスによる抗原投与は、最後の免疫から2週間後に10PFUのワクシニアウィルスvvREの腹膜内接種によって実施した。卵巣の抽出は、ワクシニアウィルスvvREの接種から5日後に行った。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】組換え鶏痘ウィルス中のHCV抗原に対応する領域の概略図である。
【図2】異なる組換え鶏痘ウィルスによる免疫スケジュールを示す図である。抗体反応(A)。インターフェロンγ分泌反応(B)。HCV構造抗原を組換えたワクシニアウィルスによる抗原投与に対する反応(C)。
【図3】異なる経路の接種によるFPCoE1及びFPBSによる免疫スケジュールを示す図である。HCV構造抗原を組換えたワクシニアウィルスによる抗原投与に対する反応。
【図4】異なる量のFPCoE1及びFPBSによる免疫スケジュールを示す図である。HCV構造抗原を組換えたワクシニアウィルスによる抗原投与に対する反応。
【図5】FPCoE1とDNAワクチンの製剤の併用に基づいた免疫スケジュールを示す図である。コア、E1及びE2に対する抗体反応(A)。HCV構造抗原を組換えたワクシニアウィルスによる抗原投与に対する反応(B)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鶏痘ウィルスゲノムの非必須領域に、HCVに由来し、HCV抗原に対して特異的細胞性免疫反応を誘導できるDNA断片を含有する、組換え鶏痘ウィルス。
【請求項2】
前記HCV由来のDNA断片が、aa 79−338を含むポリタンパク質コア−E1をコードする配列(配列番号1)である、請求項1に記載の鶏痘ウィルス。
【請求項3】
前記HCV由来のDNA断片が、Tリンパ球に特異的なエピトープに基づくキメラタンパク質をコードする配列(配列番号2)である、請求項1に記載の鶏痘ウィルス。
【請求項4】
FPCoE1である、請求項1及び2に記載の鶏痘ウィルス。
【請求項5】
FPBSである、請求項1及び3に記載の鶏痘ウィルス。
【請求項6】
有効免疫量の請求項1から5までに記載の組換え鶏痘ウィルスと、薬剤として許容される賦形剤とを含む、HCVに対して特異的細胞性免疫を誘導するための医薬組成物。
【請求項7】
前記有効免疫量が、2.5×10〜1×10PFU/用量の範囲である、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
HCV感染に対して予防免疫を誘導するための請求項6及び7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
慢性C型肝炎、硬変症及び肝臓癌の患者において、HCVに対する免疫を誘導するための請求項6及び7に記載の医薬組成物。
【請求項10】
他の療法若しくはワクチンの前、同時又は後に、HCVに対する免疫を誘導するための請求項6及び7に記載の医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−508890(P2008−508890A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525153(P2007−525153)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【国際出願番号】PCT/CU2005/000004
【国際公開番号】WO2006/015557
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(304012895)セントロ デ インジエニエリア ジエネテイカ イ バイオテクノロジア (46)
【Fターム(参考)】