説明

組立て容器

【課題】製作、組立て、開閉が容易で、かつ容器同士を安定して積み重ねることができる折り畳み可能な組立て容器を提供する。
【解決手段】左右側板13,15に下辺22,23を折り返し線として舌片状の底板支持片24,24を夫々連設し、底板支持片24,24の前部側の内側角部に斜めに折り返し線25,25を設けて略三角形の接着部26を形成し、天板11に前辺28を折り返し線として短冊状の天板係止片29を連設したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、組立て容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、不要時には扁平に折り畳むことができ、使用時には容易に組み立てられる箱型の組立て容器が知られている。この組立て容器は、例えば紙製で、折り畳み可能な直方体の箱に把手を設けたものである(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2546787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の組立て容器は把手が設けられているため、一つの容器を持ち運ぶには便利であるが、複数の容器を同時に把持して持ち運ぶことは困難である。この把手は折り畳みが可能なように工夫されているが、たとえ把手を折り畳んだとしても、容器の上面には把手による凹凸が形成されている。
このため、例えば手提げ袋等の別の容器に複数の組立て容器を入れて運搬するときに、把手が障害となって容器同士を安定して積み重ねることができなかった。また、例えば冷蔵庫等の収納ケースに収納するときに把手が邪魔になることがあった。また、複数の組立て容器を保管するときにも把手が障害となって安定して積み重ねができず不便であった。
また、容器の組立て時には、把手を構成する2枚の紙片を重ね合わせ、把手の両端部に設けられた係止用の紙片を左右両側板に設けられた被係止片の長孔に片側ずつ挿入して係止させなくてはならず、組立てに手間がかかっていた。同様に、容器を開けて内容物を取り出す際には、把手の両端の係止を一つずつ外さなくてはならず、面倒であった。さらに、把手部周辺を構成する紙片の展開時の形状が複雑であるため、容器の製作が困難であった。
【0004】
そこで、この発明は、製作、組立て、開閉が容易で、かつ容器同士を安定して積み重ねることができる折り畳み可能な組立て容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、直方体または立方体の容器の底板に、該底板の前辺および後辺を折り返し線として前記容器の前板および後板を夫々連設し、前記後板に該後板の上辺を折り返し線として前記容器の天板を連設し、前記前板に該前板の左辺および右辺を折り返し線として、前記容器の左側板および右側板を夫々連設し、前記左右側板に該左右側板の上辺および後辺を折り返し線として、舌片状の天板支持片および後板支持片を夫々連設した組立て容器において、前記左右側板に該左右側板の下辺を折り返し線として舌片状の底板支持片を夫々連設し、前記底板支持片の前部側の内側角部に斜めに折り返し線を設けて略三角形の接着部を形成し、前記天板に該天板の前辺を折り返し線として短冊状の天板係止片を連設したことを特徴とする。
【0006】
このように構成することで、従来の組立て容器と比較して平面展開時の形状を簡略化することができる。また、従来の組立て容器と同様に、底板の外表面に接着部を固定し、底板支持片の折り返し線を折り返すことで、左右の側板をそれぞれ底板の外面に重ねるようにして折り畳むことができる。
また、容器の組立て時には底板に重ね合わせるように折り畳まれていた左右の側板をそれぞれ起立させることで、接着部によって底板支持片を介して左右の各側板と連結された底板も起立し、後板と天板を底板と同じ平面に展開させた状態の箱型容器が形成される。続いて、天板支持片および後板支持片を折り返し線に沿って容器の内側に折り返し、後板を起立させて後板支持片に当接させる。さらに、後板と天板の間の折り返し線、および天板と天板係止片との間の折り返し線を折り返し、天板を天板支持片に当接させつつ、天板係支片を前板の内側(後側)の天板支持片との間の隙間に差し込むことで天板を閉じた状態で係止することができる。このとき、天板の上面は凹凸のない平面となっている。
【0007】
請求項2に記載した発明は、前記前板の上辺に設けた切欠き部の間に舌片状の挿入片を形成し、これに対応して前記天板係止片に前記挿入片を受け入れる挿入部を形成したことを特徴とする。
このように構成することで、天板係止片を前板の内側(後側)に差し込むと同時に、前板上辺に設けた挿入片を天板係止片に設けた挿入部に差し込んで天板を閉じた状態で係止することができる。このとき、天板係止片の外面の一部を切欠き部の間から露出させることができる。さらに、天板係止片に差し込んだ挿入片の上端と天板の下面を当接させて、天板を支持することができる。
【0008】
請求項3に記載した発明は、前記前板の上部に前記天板係止片の一部を受け入れる挿入部を形成したことを特徴とする。
このように構成することで、天板を閉じる際に、天板に連接した天板係止片を前板の外側(前側)に折り返して前板の外面に当接させ、前板の上部に設けた挿入部に天板係止片の下端部を差し込んで天板を閉じた状態で係止することができる。このとき、天板係止片の前面は挿入部に挿入された下端部を除いて前板の前に露出した状態となっている。また、天板支持片を前板の外側(前側)に折り返すことで、前板の上辺を天板の下面に当接させて天板を支持することができる。
【0009】
請求項4に記載した発明は、前記挿入部を上側に凸の円弧形状のスリットとして前記前板の両側に前記天板係止片の角部に対応させて夫々設け、前記天板係止片の両端の先端側を先細状に形成したことを特徴とする。
このように構成することで、前板の挿入部に天板係止片の先端部を挿入する際に、天板係止片先端部の両側の角を最初に挿入部に到達させて挿入することができる。また、天板係止片の先端側は先細状で両側に余裕があるので、天板係止片が多少左右にずれたとしても容易に角を挿入部に挿入することができる。その後、天板係止片の先端部をさらに挿入部に押し込むことで、天板係止片先端部の両側が係止され、天板を閉じた状態で係止することができる。また、挿入部が上側を凸とした円弧形状のスリットになっているので、天板係止片の先端部の挿入部に挿入される部分の面積を大きくすることができる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載した発明によれば、組立て容器の平面展開時の形状を簡略化することができるので、従来の組立て容器と比較して製作を容易にすることができる。また、底板の外表面に接着部を固定し、底板支持片に折り返し線を設けたので、従来と同様に不要時には扁平に折り畳むことができる。
また、組立て時には折り畳まれた左右の側板を前板に対して略垂直に起立させるだけで、後板と前板が底板と同じ平面上に開いた箱型の容器が完成するので、組立てが容易である。このとき、後板と天板は底板と同じ平面状に展開されるため、容器の内容物をこれらの上を滑らせるようにして出し入れすることができ、内容物の出し入れが用意である。
また、天板を閉じた状態で係止する際に、天板係止片を前板の内側に差し込むだけでよく、従来と比較して組立て容器の開閉を容易にすることができる。また、天板の上面は凹凸のない平面となっているので、天板の上面に他の組立て容器を安定して積み重ねることができる。
【0011】
請求項2に記載した発明によれば、天板を閉じた状態で係止する際に、天板係止片を前板の内側に差し込むと同時に、挿入片を挿入部に差し込むだけでよいので、天板を容易に閉じた状態で係止することができる。また、このとき天板係止片の前面の一部を切欠き部の間に露出させることができるので、その露出した部分に指をかけて天板を持ち上げることで、天板を容易に開くことができる。したがって、従来と比較して、組立て容器の開閉を容易にすることができる。
また、挿入片を挿入部に差し込んだことで、前板が撓んで外側に開くことが防止される。さらに、挿入片の上端によって天板を支持することができるので、天板上面に掛かる荷重に対する天板の強度を向上させることができる。
【0012】
請求項3に記載した発明によれば、天板を閉じて係止する際に、前板の上部に設けた挿入部に天板係止片の先端部を差し込んで係止するだけでよいので、組立て容器を容易に閉じることができる。また、天板係止片の前面が前板の外側(前側)に露出した状態となっているので、そこに指をかけて天板を持ち上げるだけで、組立て容器を容易に開くことができる。したがって、従来よりも組立て容器の開閉を容易にすることができる。
また、天板係止片を挿入部に差し込んだことで、前板が撓んで外側に開くことが防止される。さらに、前板の上辺を天板の下面に当接させて天板を支持することができるので、天板上面に掛かる荷重に対する天板の強度を向上させることができる。
【0013】
請求項4に記載した発明によれば、天板係止片を先端部の角から挿入部に挿入していくことができるので、天板係止片の挿入部への挿入を容易にすることができる。また、挿入部によって、天板係止片の先端部の両側を係止することができるので、天板を前板に確実に係止することができる。さらに、天板係止片の先端部の挿入部に挿入される部分の面積を大きくすることができるので、天板を確実に係止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、この発明の第1の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すのは直方体の組立て容器が平面状に展開されたものである。図1に示すように、例えば厚紙製の容器1の底板2には図示上側の前辺3を折り返し線として前板4が連設されている。また、底板2には図示下側の後辺5を折り返し線として後板6が連設されている。ここで底板2の図示右側の左辺7および図示左側の右辺8には段差状の切り込み9,9が形成されている。
【0015】
後板6には図示下側の上辺10を折り返し線として天板11が連接されている。また、前板4には図示右側の左辺12を折り返し線として、左側板13が連設されている。また、前板4には図示左側の右辺14を折り返し線として右側板15が連接されている。
左側板13および右側板15には図示上側の上辺16および上辺17を折り返し線として舌片状の天板支持片18,18が夫々連設されている。また左側板13には図示右側の後辺19を折り返し線として舌片状の後板支持片20が連接されている。同様に右側板15にも図示左側の後辺21を折り返し線として舌片状の後板支持片20が連接されている。
【0016】
さらに、左側板13および右側板15には図示下側の下辺22,23を折り返し線として舌片状の底板支持片24,24が夫々連設されている。ここで、左右側板13,15の横幅W1と底板支持片24,24の横幅W2を加えた寸法は底板2の横幅W3と等しいかそれ以下となっている。底板支持片24,24の底板2側には、左右側板下辺22,23に対して略45度の角度θで斜めに折り返し線25,25が設けられている。この折り返し線25,25によって、底板支持片24,24の底板2側の角部には略三角形の接着部26,26が形成されている。また、接着部26,26の底板2側の辺27,27は、夫々底板2の左辺7および底板2の右辺8と略平行で、やや離間させて設けられている。また、天板11には図示下側の天板11の前辺28を折り返し線として短冊状の天板係止片29が連設されている。
ここで、前板4の図示上側の上辺30の中央部にはくさび形の切欠き部31,31が形成されている。この切欠き部31,31の間には舌片状の挿入片32が形成されている。さらに、図示下側の天板係止片29の中央部には、挿入片32に対応して挿入片32を受け入れる略U字形状のスリットとして挿入部33が形成されている。
【0017】
次に、この実施の形態の作用について説明する。
図1に示す底板2の前辺3と前板4の左辺12および右辺14を谷折にして左右側板13,15および底板2を紙面上側に起立させるように折り返す。続いて、左右側板13,15の下辺22,23を谷折にして、図2に示すように、底板支持片24,24を底板2の図示下側に重ねあわせ、接着部26,26を介して底板2に接着する。これにより、底板支持片24,24を底板2に固定することができる。底板支持片24,24を底板2に固定したことで、底板2、前板4、左右側板13,15により後部および上部が開放された箱状の容器1が形成される。このとき、後板6と天板11は底板2と同じ平面上に展開された状態となっている。
【0018】
したがって、この箱状の容器1に、例えば菓子等の壊れやすい内容物を収容する際には、内容物を天板11または後板6の図示上面に載置し、天板11および後板6上をスライドさせて容器1内部に収容することができる。したがって、後板6が左右側板13,15に固定されている場合と比較して壊れやすい内容物に損傷を与えることなく、容易に容器1内に内容物を収容することができる。
【0019】
また、図2に示す箱状の容器1を使用しないときは、天板11および後板6を図示上側に持ち上げてゆき、底板2の前辺3を谷折にして底板2を前板4に重ねるように折り返す。これにより、底板2に接着部26,26を介して固定された底板支持片24,24にも、この底板支持片24,24を前板4に重ね合わせるように起立させる力が作用する。しかし、底板支持片24,24には、前板4寄りに位置する前部側の内側角部に斜めに折り返し線25が設けられ、さらに底板支持片24,24は夫々左右側板13,15の下辺22,23に連設されている。このため、底板2を前板4に重ね合わせていくにしたがって、底板支持片24,24は左右側板13,15による抵抗を受け、起立するのではなく、斜めの折り返し線25から左右側板13,15とともに、図3に示すように底板2の図示上側に重ね合わされるように折り畳まれる。
【0020】
このとき、左右側板13,15の横幅W1と底板支持片24,24の横幅W2を加えた寸法を底板2の横幅W3と等しいかそれ以下としたことによって、図3に示すように底板支持片24,24が右側板15または左側板13と干渉することがない。また、図3に示すように、下側となった左側板13の後板支持片20を上側に折返し、その上に右側板15を重ね合わせることで、箱型であった容器1を扁平に折り畳むことができる。また、図1に示すように、底板2の図示右側の左辺7および図示左側の右辺8に段差状の切り込み9,9を形成したことにより、折り畳み時に底板2の左辺7および右辺8が左右側板13,15の内側の面に引っかかることが防止される。
【0021】
また、図2に示す容器1の後板6と天板11を閉じ、天板11を係止して容器1を密閉させた状態にする際には、まず、天板支持片18,18および後板支持片20,20を左右側板13,15の上辺16,17および後辺19,21の折り返し線に沿って夫々容器1内側に折り返す。次に、後板6を底板2の後辺5の折り返し線に沿って、起立させるように折り返して後板支持片20,20に当接させる。そのまま、後板6の上辺10の折り返し線に沿って容器1の上部を閉じるように天板11を折り返し、さらに天板11の前辺28の折り返し線に沿って天板係止片29を前板4側に折り返す。
【0022】
次いで、図4に示すように、前板4側に折り返した天板係止片29を先端側から、前板4の図示後側で、図2に示す天板支持片18,18との間の隙間に挿入する。同時に、前板4の上辺30の中央部に設けた挿入片32を天板係止片29の中央部に設けた挿入部33に差し込む。そのまま、天板11の下面が天板支持片18および挿入片32の上部に当接するまで、天板係止片29を差し込んでいく。これにより、天板11と後板6によって容器1は密閉され、天板11は閉じた状態で係止される。
【0023】
したがって、本実施の形態によれば、図4に示すように、天板11を閉じた状態で係止する際に、天板係止片29を前板4の内側(図示前側)に差し込むと同時に、挿入片32を挿入部33に差し込むだけでよいので、天板11を容易に閉じた状態で係止することができる。よって、従来と比較して組立て容器1の開閉を容易にすることができる。また、このとき天板係止片29の前面の一部34を切欠き部31,31の間に露出させることができるので、その露出した天板係止片29の前面の一部34に指をかけて天板11を持ち上げることで、天板11を容易に開くことができる。したがって、従来と比較して、組立て容器1の開閉を容易にすることができる。
【0024】
また、図4に示すように、天板11の上面35は凹凸のない平面となっているので、天板11の上面35に他の組立て容器を安定して積み重ねることができる。また、挿入片32を挿入部33に差し込むことで、前板4が撓んで外側に開くことが防止される。さらに、挿入片32の上端36によって天板11を支持することができるので、天板11の上面35に掛かる荷重に対する天板11の強度を向上させることができる。加えて、従来の把手つきのものと比較して、図1に示すように、組立て容器1の平面展開時の形状を簡略化することができるので、従来の組立て容器と比較して製作を容易にすることができる。
【0025】
また、図2示すように、底板2の外表面(図示下側)に接着部26を固定し、底板支持片24,24に折り返し線25,25を設けたので、従来と同様に容器1の不要時には扁平に折り畳むことができる。また、折り畳み時に底板2が左右側板13,15に引っかかることが防止されるので、折り畳みが容易である。また、組立て時には折り畳まれた左右側板13,15を前板4に対して略垂直に起立させるだけで、後板6と天板11が底板2と同じ平面上に開いた箱型の容器1が完成するので、容器1の組立てが容易である。
【0026】
次に、本発明の第2の実施の形態について、図2および図3を援用し、図5および図6を用いて説明する。図5は図1において切欠き部31,31、挿入片32を設けることなく、前板4の上部に天板係止片29の図示下側の先端部を受け入れる挿入部37,37を形成したものである。その他の構成は第1の実施の形態と同様であるので、同一の部分には同一の符号を付して説明は省略する。
図5に示すように、前板4の上部の両側には上側に凸の円弧状のスリットとして挿入部37,37が夫々設けられている。この挿入部37,37は天板係止片29の角部38,38に対応させて設けられている。
また、図示下側の天板係止片29の両端は先端側が斜めに切り落とされて、この天板係止片29が先細状に形成されている。
【0027】
ここで、図2に示すように、第1の実施の形態と同様に、接着部26,26を底板2に固定することで、底板2、前板4、左右側板13,15により後部および上部が開放された箱状の容器1’が形成される。
したがって、第1の実施の形態同様、壊れやすい内容物に損傷を与えることなく、箱状の容器1’の内部に、容易に内容物を収容することができる。また、図3に示すように、第1の実施の形態と同様に容器1’を使用しないときは、扁平に折り畳むことができる。
【0028】
次に、図2に示すように、第1の実施の形態と同様に、底板2、前板4、左右側板13,15により後部および上部が開放された状態から、まず、天板支持片18,18および後板支持片20,20を左右側板13,15の上辺16,17および後辺19,21の折り返し線によって夫々容器1’内側に折り返す。次に、後板6を底板2の後辺5の折り返し線に沿って、起立させるように折り返して後板支持片20,20に当接させる。そのまま、後板6の上辺10の折り返し線に沿って容器1’の上部を閉じるように天板11を折り返し、さらに天板11の前辺28の折り返し線に沿って天板係止片29を前板4側に折り返す。
【0029】
次いで、図6に示すように、前板4側に折り返した天板係止片29の先端側を、前板4の図示前側に当接させ、天板係止片29の先端側の両側の角部38,38を挿入部37,37に挿入する。これにより、天板11と後板6によって容器は密閉され、天板11は閉じた状態で係止される。このとき、挿入部37,37を上側に凸の円弧状のスリットとして設けたことにより、天板係止片29の角部38,38の先端の角39,39を挿入部37,37に最初に到達させることができる。また、同時に挿入部37,37に挿入される角部38,38の面積を大きくすることができる。また、天板11の下面は図5に示す前板4の上辺30に当接した状態となる。また、天板係止片29は角部38,38以外の前面が前板4の外側(図示前側)に露出した状態となる。
【0030】
したがって本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果が得られるだけでなく、天板11を閉じて係止する際に、前板4の上部に設けた挿入部37,37に天板係止片29の下端部の角部38,38を差し込んで係止するだけでよいので、容易に組立て容器1を閉じることができる。また、天板係止片29の前面が前板4の外側(図示前側)に露出した状態となっているので、そこに指をかけて天板11を持ち上げるだけで、組立て容器1を容易に開くことができる。したがって、従来よりも組立て容器1の開閉を容易にすることができる。
また、天板係止片29を挿入部37,37に差し込んだことで、前板4が撓んで外側に開くことが防止される。さらに、前板4の上辺30を天板11の下面に当接させて天板11を支持することができるので、天板11の上面35に掛かる荷重に対する天板11の強度を向上させることができる。
【0031】
さらに、天板係止片29を角部38,38の先端の角39,39から挿入部37,37に挿入していくことができるので、天板係止片29の挿入部37,37への挿入を容易にすることができる。また、挿入部37,37によって、天板係止片29の先端部両側の角部38,38を係止することができるので、天板11を確実に係止することができる。加えて、挿入部を上側が凸の円弧形状のスリットとしたことで、天板係止片29の先端部の挿入部37,37に挿入される部分の面積を大きくすることができるので、天板11を確実に係止することができる。
【0032】
尚、この発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、底板支持部の接着部を底板に接着する際の手順は、例えば図3のように折り畳んだ状態にしてから接着してもよい。また、接着部は全面を接着しても良いが、必要な強度を満足すれば接着部の一部のみを接着するようにしてもよい。また、挿入部の形状はU字形または円弧状でなくてもよい。
また、上述の第2の実施の形態において、天板係止片を前板の内側(後側)に挿入し、天板係止片の角部を挿入部から前板の外側(前側)に挿出させるようにしてもよい。また、組立て容器は厚紙製に限られない。また、底板支持片に切り込み部を設けて、折り畳み時の左右側板の後辺と底板支持片との干渉を軽減することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1の実施の形態における組立て容器の展開図。
【図2】本発明の第1の実施の形態における組立て容器を開いた状態を示した斜視図。
【図3】本発明の第1の実施の形態における組立て容器を畳む過程を示した斜視図。
【図4】本発明の第1の実施の形態における組立て容器を閉じた状態を示した斜視図。
【図5】本発明の第2の実施の形態における組立て容器の展開図。
【図6】本発明の第2の実施の形態における組立て容器を閉じた状態を示した斜視図
【符号の説明】
【0034】
1 容器
2 底板
3 前辺
4 前板
5 後辺
6 後板
10 上辺
11 天板
12 左辺
13 左側板
14 右辺
15 右側板
16 上辺
17 上辺
18 天板支持片
19 後辺
20 後板支持片
21 後辺
22 下辺
23 下辺
24 底板支持片
25 折り返し線
26 接着部
28 前辺
29 天板係止片
30 上辺
31 切欠き部
32 挿入片
33 挿入部
37 挿入部
38 角部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体または立方体の容器の底板に、該底板の前辺および後辺を折り返し線として前記容器の前板および後板を夫々連設し、前記後板に該後板の上辺を折り返し線として前記容器の天板を連設し、前記前板に該前板の左辺および右辺を折り返し線として、前記容器の左側板および右側板を夫々連設し、前記左右側板に該左右側板の上辺および後辺を折り返し線として、舌片状の天板支持片および後板支持片を夫々連設した組立て容器において、
前記左右側板に該左右側板の下辺を折り返し線として舌片状の底板支持片を夫々連設し、前記底板支持片の前部側の内側角部に斜めに折り返し線を設けて略三角形の接着部を形成し、前記天板に該天板の前辺を折り返し線として天板係止片を連設したことを特徴とする組立て容器。
【請求項2】
前記前板の上辺に設けた切欠き部の間に舌片状の挿入片を形成し、これに対応して前記天板係止片に前記挿入片を受け入れる挿入部を形成したことを特徴とする請求項1記載の組立て容器。
【請求項3】
前記前板の上部に前記天板係止片の一部を受け入れる挿入部を形成したことを特徴とする請求項1記載の組立て容器。
【請求項4】
前記挿入部を上側に凸の円弧形状のスリットとして前記前板の両側に前記天板係止片の角部に対応させて夫々設け、前記天板係止片の両端の先端側を先細状に形成したことを特徴とする請求項3記載の組立て容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−81177(P2008−81177A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−264515(P2006−264515)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(501409142)富士印刷紙器株式会社 (1)
【出願人】(501409131)太平紙業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】